説明

電流制限回路

【課題】回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することが可能な電流制限回路を提供する。
【解決手段】電流制限回路は、第1の端子と、第1の端子との間に負荷回路を接続した場合に、第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、第1の端子と第2の端子との間に接続され、n型MOSトランジスタである第1のトランジスタと、第1のトランジスタのソースと第2の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、第1のトランジスタのゲートに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制限機能を有する電流制限回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力段のMOSトランジスタと、該MOSトランジスタのソースと接地との間に接続され該MOSトランジスタに流れる電流を制限する抵抗(例えば、ポリシリコン抵抗)と、を備える電流制限回路がある。
【0003】
該従来の電流制限回路は、MOSトランジスタのゲート電圧を制御することにより、接続された負荷回路に流れる電流を制限する。
【0004】
ここで、該従来の電流制限回路は、接続される負荷回路に流れる電流を大きくするためには、該抵抗の抵抗値を小さくする必要がある。
【0005】
したがって、該負荷回路に流れる電流を大きくする場合には、該抵抗の抵抗幅が広くなり、回路面積が大きくなるという問題があった。
【0006】
また、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流制限回路の特性が該MOSトランジスタの特性のみで決まる。すなわち、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流が制限される出力電圧の値が該MOSトランジスタのしきい値電圧のみにより決まり、電流が制限される出力電圧の値が固定される。
【0007】
したがって、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、該電流制限回路が、ユーザの要求に応じて電流が制限される電流値を変更できず、適切に電流を制限できないという問題があった。
【0008】
ここで、従来技術には、CMOSインバータと、該CMOSインバータと電源または接地との間に接続され定電流源として動作するMOSトランジスタと、を備える出力回路がある(例えば、特許文献1参照。)。該出力回路のMOSトランジスタにより、CMOSインバータに流れる電流が制限される。
【0009】
なお、該CMOSインバータは、該MOSトランジスタのソース・ドレイン間の電位差に拘わらず、単に、データ信号によりオン/オフが制御されるものである。
【特許文献1】特開平5−299986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することが可能な電流制限回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る電流制限回路は、
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、n型MOSトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのソースと前記第2の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのゲートに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様に係る電流制限回路は、
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、NPN型バイポーラトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのエミッタと前記第2の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのベースに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらに他の態様に係る電流制限回路は、
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、p型MOSトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのソースと前記第1の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのゲートに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のさらに他の態様に係る電流制限回路は、
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、PNP型バイポーラトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのエミッタと前記第1の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのベースに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る電流制限回路によれば、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用した各実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る電流制限回路100を含む構成を示す回路図である。
【0018】
図1に示すように、2つの端子間に接続された負荷回路101に流れる電流を制限するための電流制限回路100は、第1の端子1と、第2の端子2と、第1の制御回路3と、第1のトランジスタM1と、第2のトランジスタM2と、第2の制御回路4と、を備える。
【0019】
第2の端子2は、第1の端子1との間に負荷回路101を接続した場合に、第1の端子1よりも電位が低くなるようになっている。
【0020】
すなわち、第2の端子2は、第1の端子1よりも出力電圧Voutだけ電位が低い。該第2の端子2は、例えば、接地に接続されている。そして、該第2の端子2と第1の端子1との間に接続される負荷回路(電流源)101により、第1の端子1の電位は、第2の端子2よりも、電位が高くなる。
【0021】
また、第1のトランジスタM1は、第1の端子1と第2の端子2との間に接続されている。ここでは、該第1のトランジスタM1は、n型MOSトランジスタである。
【0022】
第2のトランジスタM2は、第1のトランジスタM1のソースと第2の端子2との間に接続されている。該第2のトランジスタM2は、ここでは、nMOSトランジスタである。なお、該第2のMOSトランジスタM2は、pMOSトランジスタであってもよい。
【0023】
このように、第1の端子1と第2の端子2との間に、第1のトランジスタM1と第2のトランジスタM2とが直列に接続された、MOSトランジスタの段積み構成となっている。このため、従来回路と比較して、第1、第2の端子1、2の耐圧が向上する。
【0024】
第1の制御回路3は、第2のトランジスタM2のソース・ドレイン間の電圧を検知するようになっている。該第1の制御回路3は、検知された検知電圧Vdに基づいて、第1のトランジスタM1のゲートに印加する第1の電圧V1を制御するようになっている。該第1の電圧V1が制御されることにより、第1のトランジスタM1のオン抵抗Ron1が制御される。
【0025】
ここで、該第1の制御回路3は、例えば、検知電圧Vdが規定値以上である場合には、第1のトランジスタM1の抵抗値(オン抵抗Ron1)が大きくなるように、第1の電圧V1を制御する。
【0026】
これにより、負荷回路101に流れる出力電流Ioを、より適切に制限することができる。特に、第1のトランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgs1が、該第1のトランジスタM1のしきい値電圧よりも高い場合に、より急峻に出力電流Ioを制限することができる。したがって、負荷回路101の電力損失を一定に抑えることができる。
【0027】
第2の制御回路4は、第2のトランジスタM2のゲートに印加する第2の電圧V2を制御するようになっている。該第2の電圧V2が制御されることにより、第2のトランジスタM2のオン抵抗Ron2が制御される。
【0028】
該第2の制御回路4は、例えば、外部信号に応じて、第2の電圧V2を制御するようにしてもよい。例えば、ユーザが必要に応じて外部信号を入力して、第2の制御回路4で第2の電圧V2を制御することにより、第2のMOSトランジスタM2のオン抵抗Ron2を制御できる。
【0029】
次に、以上のような構成を有する電流制限回路100により負荷回路101に流れる電流Ioを制限する特性について、説明する。
【0030】
図2は、図1に示す電流制限回路100の出力電圧Voutと出力電流Ioとの関係を示す図である。
【0031】
図2に示すように、例えば、Vgs1>Vth領域(非電流制限領域)では、第1のMOSトランジスタM1が線形領域にあり、電流制限回路100のVI特性が第1のトランジスタM1のオン抵抗Ron1で決まる。
【0032】
また、出力電流Ioが制限される出力電圧Voutは、第2のトランジスタM2のオン抵抗Ron2できまるため、該第2の電圧V2で制御できる。
【0033】
一方、Vgs1≦Vth領域(電流制限領域)では、第1のMOSトランジスタM1が飽和領域にあり、電流制限回路100のVI特性が第1のトランジスタM1のゲート・ソース間電圧(ゲート電圧)Vgs1と出力電流Ioで決まる。すなわち、電流制限回路100は、既述のように、第1のトランジスタM1の抵抗値(オン抵抗Ron1)が大きくなるように、第1の電圧V1を制御することにより、Vgs1≦Vth領域(第1のMOSトランジスタM1の飽和領域)における垂線に対する角度を狭めることができる。これにより、負荷回路101の電力損失を一定に抑えることができる。
【0034】
ここで、第1のトランジスタM1のゲート電圧Vgs1は、第1の制御回路3からの第1の電圧V1と、式(1)で表される第2のトランジスタM2のオン抵抗値(Ron2)と出力電流値Ioにより発生する電圧Vds2と、により決まる。

Vds2=Io×Ron2・・・(1)
【0035】
したがって、第2の電圧V2を既定値に設定して、オン抵抗値Ron2を、例えば、従来回路の抵抗の抵抗値と同じ値にすることにより、電流制限回路100は従来回路と同様の特性が得られる(図2の実線波形)。
【0036】
このように、従来回路の抵抗(ポリシリコン抵抗)を、ポリシリコン抵抗に比べて面積が小さい第2のMOSトランジスタM2で代替することができる。すなわち、電流制限回路100は、従来回路と比較して、回路面積を削減することができる。
【0037】
さらに、電流制限回路100は、例えば、外部信号に応じて、第2の電圧V2を制御して、M2のオン抵抗値Ron2を調整する。これにより、出力電圧Voutに対して出力電流Ioを急峻に制限するポイント(しきい値電圧Vthとゲート電圧Vgs1とが等しいときの制限電流値)を変更することができる(図2の点線波形)。
【0038】
ここで、既述のように、従来の電流制限回路では、電流が制限される出力電圧の値が該MOSトランジスタのしきい値電圧のみにより決まり、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流が制限されるポイント(出力電圧の値)が固定される。
【0039】
しかし、本実施例1に係る電流制制限電流値限回路100では、上述のように、出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更できるので、ユーザの幅広い要求に対応することができる。
【0040】
以上のように、本実施例に係る電流制限回路によれば、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することができる。
【実施例2】
【0041】
実施例1では、第1のトランジスタにnMOSトランジスタを用いた場合について説明した。該第1のトランジスタをNPN型バイポーラトランジスタにしても、電流制限回路は、同様の電流を制限する特性を有することとなる。
【0042】
そこで、本実施例2では、第1のトランジスタをNPN型バイポーラトランジスタにした場合について述べる。なお、電流制限回路は、第1のトランジスタ以外の構成は、実施例1と同様である。
【0043】
図3は、本発明の一態様である実施例2に係る電流制限回路200を含む構成を示す回路図である。なお、図3において、図1の符号と同じ符号は、実施例1と同様の構成を示す。
【0044】
図3に示すように、2つの端子間に接続された負荷回路101に流れる電流を制限するための電流制限回路200は、第1の端子1と、第2の端子2と、第1の制御回路3と、第1のトランジスタQ1と、第2のトランジスタM2と、第2の制御回路4と、を備える。
【0045】
第1のトランジスタQ1は、第1の端子1と第2の端子2との間に接続されている。ここでは、該第1のトランジスタQ1は、NPN型バイポーラトランジスタである。
【0046】
第2のトランジスタM2は、第1のトランジスタQ1のエミッタと第2の端子2との間に接続されている。該第2のトランジスタM2は、ここでは、nMOSトランジスタである。なお、該第2のMOSトランジスタM2は、pMOSトランジスタであってもよい。
【0047】
このように、第1の端子1と第2の端子2との間に、第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタM2とが直列に接続された、トランジスタの段積み構成となっている。
【0048】
第1の制御回路3は、第2のトランジスタM2のソース・ドレイン間の電圧を検知するようになっている。該第1の制御回路3は、検知された検知電圧Vdに基づいて、第1のトランジスタQ1のベースに印加する第1の電圧V1を制御するようになっている。該第1の電圧V1が制御されることにより、第1のトランジスタQ1に流れる電流が制御される。
【0049】
ここで、該第1の制御回路3は、例えば、検知電圧Vdが規定値以上である場合には、第1のトランジスタQ1の抵抗値が大きくなるように、第1の電圧V1を制御する。
【0050】
これにより、負荷回路101に流れる出力電流Ioを、より適切に制限することができる。
【0051】
このように、電流制限回路200は、第1のトランジスタQ1以外の構成は、上述のように、実施例1の電流制限回路100と同様である。
【0052】
以上のような構成を有する電流制限回路200により負荷回路101に流れる電流Ioを制限する特性については、既述の電流制限回路100と同様になる。
【0053】
すなわち、実施例1と同様に、第2の電圧を既定値に設定して、オン抵抗値Ron2を、例えば、従来回路の抵抗の抵抗値と同じ値にすることにより、電流制限回路200は従来回路と同様の特性が得られる。
【0054】
このように、従来回路の抵抗(ポリシリコン抵抗)を、ポリシリコン抵抗に比べて面積が小さい第2のMOSトランジスタM2で代替することができる。すなわち、電流制限回路200は、従来回路と比較して、回路面積を削減することができる。
【0055】
さらに、電流制限回路200は、例えば、外部信号に応じて、第2の電圧V2を制御して、M2のオン抵抗値Ron2を調整する。これにより、出力電圧Voutに対して出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更することができる。
【0056】
ここで、既述のように、従来の電流制限回路では、電流が制限される出力電圧の値が該MOSトランジスタのしきい値電圧のみにより決まり、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流が制限されるポイント(制限電流値)が固定される。
【0057】
しかし、本実施例2に係る電流制限回路200では、上述のように、出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更できるので、ユーザの幅広い要求に対応することができる。
【0058】
以上のように、本実施例2に係る電流制限回路によれば、実施例1と同様に、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例1では、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタにnMOSトランジスタを用いた場合について説明した。回路の極性を考慮しつつ第1、第2のトランジスタをpMOSトランジスタに変更した場合も、電流制限回路は、同様の電流を制限する特性を有することとなる。
【0060】
そこで、本実施例2では、回路の極性を考慮しつつ第1、第2のトランジスタをpMOSトランジスタに変更した場合について述べる。なお、電流制限回路は、第1、第2のトランジスタ以外の構成は、実施例1と同様である。
【0061】
図4は、本発明の一態様である実施例3に係る電流制限回路300を含む構成を示す回路図である。
【0062】
図4に示すように、2つの端子間に接続された負荷回路301、302に流れる電流を制限するための電流制限回路300は、第1の端子1と、第2の端子2と、第1の制御回路3と、第1のトランジスタM1と、第2のトランジスタM2と、第2の制御回路4と、を備える。
【0063】
第2の端子2は、第1の端子1との間に、負荷回路301、302を接続した場合に、第1の端子1よりも電位が低くなるようになっている。
【0064】
すなわち、第2の端子2は、第1の端子1よりも出力電圧Voutだけ電位が低い。例えば、該第2の端子2と接地との間に、負荷回路(電流源)301が接続され、第1の端子1と接地との間に、負荷回路(電圧源)302が接続される。そして、該第2の端子2と第1の端子1との間に接続される負荷回路301、302により、第1の端子1の電位は、第2の端子2よりも、電位が高くなる。
【0065】
また、第1のトランジスタM1は、第1の端子1と第2の端子2との間に接続されている。ここでは、該第1のトランジスタM1は、pMOSトランジスタである。
【0066】
第2のトランジスタM2は、第1のトランジスタM1のソースと第1の端子1との間に接続されている。該第2のトランジスタM2は、ここでは、nMOSトランジスタである。なお、該第2のMOSトランジスタM2は、pMOSトランジスタであってもよい。
【0067】
このように、第1の端子1と第2の端子2との間に、第1のトランジスタM1と第2のトランジスタM2とが直列に接続された、トランジスタの段積み構成となっている。このため、従来回路と比較して、第1、第2の端子1、2の耐圧が向上する。
【0068】
第1の制御回路3は、第2のトランジスタM2のソース・ドレイン間の電圧を検知するようになっている。該第1の制御回路3は、検知された検知電圧Vdに基づいて、第1のトランジスタM1のゲートに印加する第1の電圧V1を制御するようになっている。該第1の電圧V1が制御されることにより、第1のトランジスタM1のオン抵抗が制御される。
【0069】
ここで、該第1の制御回路3は、例えば、検知電圧Vdが規定値以上である場合には、第1のトランジスタM1の抵抗値が大きくなるように、第1の電圧V1を制御する。
【0070】
これにより、負荷回路101に流れる出力電流Ioを、より適切に制限することができる。
【0071】
このように、電流制限回路300は、第1、第2のトランジスタM1、M2以外の構成は、上述のように、実施例1の電流制限回路100と同様である。
【0072】
以上のような構成を有する電流制限回路200により負荷回路101に流れる電流Ioを制限する特性については、既述の電流制限回路100と同様になる。
【0073】
すなわち、実施例1と同様に、第2の電圧を既定値に設定して、オン抵抗値Ron2を、例えば、従来回路の抵抗の抵抗値と同じ値にすることにより、電流制限回路300は従来回路と同様の特性が得られる。
【0074】
このように、従来回路の抵抗(ポリシリコン抵抗)を、ポリシリコン抵抗に比べて面積が小さい第2のMOSトランジスタM2で代替することができる。すなわち、電流制限回路300は、従来回路と比較して、回路面積を削減することができる。
【0075】
さらに、電流制限回路300は、例えば、外部信号に応じて、第2の電圧V2を制御して、M2のオン抵抗値Ron2を調整する。これにより、出力電圧Voutに対して出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更することができる。
【0076】
ここで、既述のように、従来の電流制限回路では、電流が制限される出力電圧の値が該MOSトランジスタのしきい値電圧のみにより決まり、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流が制限されるポイント(制限電流値)が固定される。
【0077】
しかし、本実施例3に係る電流制限回路300では、上述のように、出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更できるので、ユーザの幅広い要求に対応することができる。
【0078】
以上のように、本実施例3に係る電流制限回路によれば、実施例1と同様に、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することができる。
【実施例4】
【0079】
実施例3では、第1のトランジスタにpMOSトランジスタを用いた場合について説明した。該第1のトランジスタをPNP型バイポーラトランジスタにしても、電流制限回路は、同様の電流を制限する特性を有することとなる。
【0080】
そこで、本実施例4では、第1のトランジスタをPNP型バイポーラトランジスタした場合について述べる。なお、電流制限回路は、第1のトランジスタ以外の構成は、実施例3と同様である。
【0081】
図5は、本発明の一態様である実施例4に係る電流制限回路400を含む構成を示す回路図である。なお、図5において、図4の符号と同じ符号は、実施例3と同様の構成を示す。
【0082】
図5に示すように、2つの端子間に接続された負荷回路301、302に流れる電流を制限するための電流制限回路400は、第1の端子1と、第2の端子2と、第1の制御回路3と、第1のトランジスタQ1と、第2のトランジスタM2と、第2の制御回路4と、を備える。
【0083】
第1のトランジスタQ1は、第1の端子1と第2の端子2との間に接続されている。ここでは、該第1のトランジスタQ1は、PNP型バイポーラトランジスタである。
【0084】
第2のトランジスタM2は、第1のトランジスタQ1のエミッタと第1の端子1との間に接続されている。該第2のトランジスタM2は、ここでは、nMOSトランジスタである。なお、該第2のMOSトランジスタM2は、pMOSトランジスタであってもよい。
【0085】
このように、第1の端子1と第2の端子2との間に、第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタM2とが直列に接続された、トランジスタの段積み構成となっている。
【0086】
第1の制御回路3は、第2のトランジスタM2のソース・ドレイン間の電圧を検知するようになっている。該第1の制御回路3は、検知された検知電圧Vdに基づいて、第1のトランジスタQ1のベースに印加する第1の電圧V1を制御するようになっている。該第1の電圧V1が制御されることにより、第1のトランジスタQ1に流れる電流が制御される。
【0087】
ここで、該第1の制御回路3は、例えば、検知電圧Vdが規定値以上である場合には、第1のトランジスタQ1の抵抗値が大きくなるように、第1の電圧V1を制御する。
【0088】
これにより、負荷回路301、302に流れる出力電流Ioを、より適切に制限することができる。
【0089】
このように、電流制限回路400は、第1のトランジスタQ1以外の構成は、上述のように、実施例1の電流制限回路300と同様である。
【0090】
以上のような構成を有する電流制限回路400により負荷回路301、302に流れる電流Ioを制限する特性については、既述の電流制限回路300と同様になる。
【0091】
すなわち、実施例3と同様に、第2の電圧を既定値に設定して、オン抵抗値Ron2を、例えば、従来回路の抵抗の抵抗値と同じ値にすることにより、電流制限回路400は従来回路と同様の特性が得られる。
【0092】
このように、従来回路の抵抗(ポリシリコン抵抗)を、ポリシリコン抵抗に比べて面積が小さい第2のMOSトランジスタM2で代替することができる。すなわち、電流制限回路400は、従来回路と比較して、回路面積を削減することができる。
【0093】
さらに、電流制限回路400は、例えば、外部信号に応じて、第2の電圧V2を制御して、M2のオン抵抗値Ron2を調整する。これにより、出力電圧Voutに対して出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更することができる。
【0094】
ここで、既述のように、従来の電流制限回路では、電流が制限される出力電圧の値が該MOSトランジスタのしきい値電圧のみにより決まり、一度該抵抗の抵抗値を設定した後は、電流が制限されるポイント(制限電流値)が固定される。
【0095】
しかし、本実施例4に係る電流制限回路400では、上述のように、出力電流Ioを急峻に制限するポイント(制限電流値)を変更できるので、ユーザの幅広い要求に対応することができる。
【0096】
以上のように、本実施例4に係る電流制限回路によれば、実施例3と同様に、回路面積を削減しつつ、より適切に電流を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一態様である実施例1に係る電流制限回路100を含む構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す電流制限回路100の出力電圧Voutと出力電流Ioとの関係を示す図である。
【図3】本発明の一態様である実施例2に係る電流制限回路200を含む構成を示す回路図である。
【図4】本発明の一態様である実施例3に係る電流制限回路300を含む構成を示す回路図である。
【図5】本発明の一態様である実施例4に係る電流制限回路400を含む構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0098】
1 第1の端子
2 第2の端子
3 第1の制御回路
4 第2の制御回路
100、200、300、400 電流制限回路
101 負荷回路(電流源)
301 負荷回路(電流源)
302 負荷回路(電圧源)
M1、Q1 第1のトランジスタ
M2 第2のトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、n型MOSトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのソースと前記第2の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのゲートに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備える
ことを特徴とする電流制限回路。
【請求項2】
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、NPN型バイポーラトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのエミッタと前記第2の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのベースに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備える
ことを特徴とする電流制限回路。
【請求項3】
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、p型MOSトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのソースと前記第1の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのゲートに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備える
ことを特徴とする電流制限回路。
【請求項4】
2つの端子間に接続された負荷回路に流れる電流を制限するための電流制限回路であって、
第1の端子と、
前記第1の端子との間に前記負荷回路を接続した場合に、前記第1の端子よりも電位が低くなる第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、PNP型バイポーラトランジスタである第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのエミッタと前記第1の端子との間に接続され、MOSトランジスタである第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソース・ドレイン間の電圧を検知し、検知された検知電圧に基づいて、前記第1のトランジスタのベースに印加する第1の電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第2のトランジスタのゲートに印加する第2の電圧を制御する第2の制御回路と、を備える
ことを特徴とする電流制限回路。
【請求項5】
前記第1の制御回路は、前記検知電圧が規定値以上である場合には、前記第1のトランジスタの抵抗値が大きくなるように、前記第1の電圧を制御する
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の電流制限回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−166359(P2010−166359A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7440(P2009−7440)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】