説明

露光装置のメンテナンス方法、露光装置の製造方法及びデバイス製造方法

【課題】露光装置の一部を構成する移動体モジュールの移動を効率化する。
【解決手段】ステージモジュールWSMには、ステージモジュールWSMを浮上させるエアホバー29と、Y軸周りに回転可能かつ接地可能な駆動輪160とが設けられている。エアホバー29により浮上させた状態のまま、ステージモジュールWSMを、駆動輪160を床面上で回転駆動することで、X軸に平行な方向に移動させる。このため、ステージモジュールWSMのθz方向及びY軸に平行な方向への動きを規制してX軸に平行な方向に安定して露光装置本体110から引き出す(移動させる)ことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置のメンテナンス方法、露光装置の製造方法及びデバイス製造方法に係り、特に、半導体素子などのマイクロデバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置のメンテナンス方法、前記露光装置の製造方法、及び該方法によって製造された露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子又は液晶表示素子などのマイクロデバイスを製造するリソグラフィ工程では、ステッパ、あるいはスキャニング・ステッパなどの投影露光装置を含む種々の露光装置が用いられている。
【0003】
従来のステッパなどの露光装置では、フレーム装置(ボディ)に対して投影光学系が装着され、更にはレチクルを位置決めするレチクルステージ系、及びウエハを2次元移動するウエハステージ系が順次フレーム装置に対して直接組み付けられていた。このため、組立調整に時間を要する等の不都合があった。そこで、かかる不都合を改善するものとして、第1物体(レチクル)を保持して移動する第1ステージ系を収納するとともに、フレーム装置に対して着脱可能に装着される第1ステージ室と、第2物体(ウエハ)を保持して移動する第2ステージ系を収納するとともに、フレーム装置に対して着脱可能に装着される第2ステージ室とが、ともにモジュール構成とされ、第1及び第2ステージ室を組み立てた後に、フレーム装置に装着することによって、露光装置の組立調整を容易に、かつ迅速に行うことができる露光装置が、先に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかるに、露光装置のステージ系、例えば基板ステージは、基板の大型化に伴って大型化している。例えば、半導体露光装置の場合、従前は直径が200mmのウエハであったが、現在は直径が300mmのウエハが主流であり、今や直径が450mmのウエハの時代の到来が目前に迫っている。この基板の大型化によって、メンテナンスの際などにおける上記第2ステージ室などのボディから外部への搬出及びメンテンス終了時のボディへの組み付けなどが困難になることが懸念されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開2001/0015795号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、感応物体にエネルギビームを照射し、前記感応物体上にパターンを形成する露光装置のメンテナンス方法であって、露光本体部から取り外すため、前記感応物体を保持する移動体を含む移動体モジュールを、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ前記第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を前記床面に当接させて駆動することにより、前記第2軸に平行な方向に移動させることを含む露光装置のメンテナンス方法が、提供される。
【0007】
ここで、転動部材を前記床面に当接させて駆動とは、転動部材がモータ等の駆動源のよって駆動される場合の他、外部からの力で駆動する場合も含む。
【0008】
これによれば、前記移動体モジュールを、二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を前記床面に当接させて駆動することにより、第2軸に平行な方向に移動させるので、移動体モジュールを、二次元平面内における回転方向及び第1軸に平行な方向への動きを規制して第2軸に平行な方向に安定して移動させることが可能になる。また、転動部材の駆動(回転又は周回を伴なう)により移動体モジュールを移動させるので、容易に移動させることが可能になり、結果的にメンテナンス時の作業性を向上させることが可能になる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、感応物体にエネルギビームを照射し、前記感応物体上にパターンを形成する露光装置の製造方法であって、露光本体部に対して搬入するため、前記感応物体を保持する移動体を含む移動体モジュールを、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ前記第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を床面に当接させて駆動することにより、前記第2軸に平行な方向に移動させることを含む露光装置の製造方法が、提供される。
【0010】
ここでも、転動部材を前記床面に当接させて駆動とは、転動部材がモータ等の駆動源によって駆動される場合の他、外部からの力で駆動する場合も含む。また、露光装置の製造は、メーカの工場内での製造(組立を含む)、及び出荷先であるユーザの工場内での製造(立ち上げ時の組み立て)の他、装置を移設する際の組み立てをも含む。本明細書では、露光装置の製造なる用語をかかる意味で用いている。
【0011】
これによれば、前記移動体モジュールを、二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を床面に当接させて駆動することにより、第2軸に平行な方向に移動させるので、移動体モジュールを、二次元平面内における回転方向及び第1軸に平行な方向への動きを規制して第2軸に平行な方向に安定して移動させることが可能になる。また、転動部材の駆動(回転又は周回を伴なう)により移動体モジュールを移動させるので、容易に移動させることが可能になり、結果的に露光本体部に対する移動体モジュールの搬入、ひいては露光装置の製造の効率化、及び製造時間の短縮が可能になる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、本発明の製造方法によって製造された露光装置を用いて感応物体を露光してパターンを形成することと;前記パターンが形成された感応物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の露光装置の横断面図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、浮上・昇降装置を示す斜視図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、浮上・昇降装置の作用を説明するための図である。
【図5】ステージモジュールを露光装置本体から引き出す際の手順を示すフローチャート(その1)である。
【図6】ステージモジュールを露光装置本体から引き出す際の手順を示すフローチャート(その2)である。
【図7】図7(A)〜図7(C)は、ステージモジュールを露光装置本体から引き出す際の動作を説明するための図(その1)である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、ステージモジュールを露光装置本体から引き出す際の動作を説明するための図(その2)である。
【図9】ステージモジュールを露光装置本体に戻す際の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、チャンバに戻されたステージモジュールをボディに対し位置決めする際の動作を説明するための図である。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、カウンタマスモジュールを露光装置本体から外す際の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図11(C)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャナ)である。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0015】
露光装置100は、例えば半導体工場等のクリーンルーム内に設置されている。露光装置100は、床面F上に設置された露光装置本体110と、露光装置本体110を収容するエンバイロンメンタルチャンバ(以下、チャンバと略記する)とを備えている。チャンバ150は、複数枚のパネルの組み合わせ(又は複数枚のパネルとこれらが取り付けられるフレーム)とを備え、複数箇所に扉を兼ねる開閉パネルが設けられているが、以下では、+X側のパネル150aが開閉可能になっているものとする。
【0016】
露光装置本体110は、光源及び照明光学系を含み、照明光(露光光)ILによりレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRSTを含むレチクルステージモジュール12、投影光学系PLを含む投影ユニットPU、レチクルステージモジュール12及び投影ユニットPUなどが搭載されたボディBD、ウエハWが載置されるウエハステージWST及び計測ステージMSTを含むウエハステージモジュール30、ウエハステージモジュール30のX軸方向の一側と他側とにそれぞれ配置されたカウンタマスモジュール32A,32B、及びこれらの制御系等を備えている。
【0017】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含む。照明系10では、レチクルブラインドにより規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0018】
レチクルステージモジュール12は、ボディBDの一部であるレチクルベース36上に搭載されている。レチクルステージモジュール12は、レチクルステージRST及びレチクルステージRSTを駆動するリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系(不図示)等を備えている。レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により保持されている。レチクルステージRSTは、レチクルステージ駆動系により、レチクルベース36上を所定の走査方向(ここでは、図1における紙面直交方向であるY軸方向)に所定ストロークで駆動され、かつX軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。
【0019】
レチクルステージRSTの位置は、不図示のレチクルレーザ干渉計によって、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出されている。不図示の制御装置は、レチクルレーザ干渉計の検出結果に基づいて、レチクルステージ駆動系を介してレチクルステージRSTを駆動(位置制御)する。
【0020】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLとを含む。投影光学系PLとしては、例えば光軸AXに沿って配列された複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。投影ユニットPUは、ボディBDの一部を構成する後述する第1フレームに支持されたメトロロジーフレームと称される部材MFに一体的に保持されている。より詳細には、メトロロジーフレームMFは、鏡筒定盤とも呼ばれ、そのほぼ中央部に不図示の円形開口が形成されている。円形開口(又はU字状の切り欠き)内に、投影ユニットPUが上方(又は紙面奥側)から挿入され、鏡筒40の外周部に固定されたフランジFLGを介して、メトロロジーフレームMFに支持されている。
【0021】
これにより、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面とがほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
【0022】
ボディBDは、クリーンルームの床面F上に設置されたフレームキャスタFC上に搭載された第1フレーム232と、第1フレーム232上に投影ユニットPUを取り囲む位置に、複数本、例えば3本の脚41(但し、図1における紙面奥側の脚は図示省略)を介して搭載されたレチクルベース36とを含む。すなわち、レチクルベース36とこれを支持する3本の脚41とによってコラム34が構成されている。レチクルベース36には、その中央部に照明光ILの通路となる開口36aが形成されている。
【0023】
フレームキャスタFCは、床面F上に水平に置かれたベースプレートBSと、該ベースプレートBS上にY軸方向に離間して配置された一対の壁部39A、39B(ただし、図1では、紙面奥側の壁部39Bは不図示、図2参照)とを備えている。該一対の壁部39A、39Bによって、第1フレーム232が下方から水平に支持されている。−Y側の壁部39Aの+Y側の面には、後述する位置検出系300に含まれる複数(例えば、5つ)の反射板302a〜302eが固定されている(図2参照)。
【0024】
第1フレーム232は、XY平面に平行な矩形枠状の部材から成る。第1フレーム232は、その中央部に矩形の段付きの開口部232aを有しており、その開口部232a内にメトロロジーフレームMFが、上方から挿入され開口部232aの段部上に載置されている。メトロロジーフレームMFは、Y軸方向を長手方向とする平面視矩形の板状(あるいは高さの低い箱形)の部材から成り、不図示の防振装置を介してXY平面に平行な状態で第1フレーム232に対して固定されている。
【0025】
なお、不図示ではあるが、投影ユニットPUの+Y側には、例えば画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系から成るオフアクシス・アライメント系(以下、「アライメント系」と略述する)が設けられている。このアライメント系は、メトロロジーフレームMFの下面に吊り下げ状態で固定されている。アライメント系からの撮像信号は、不図示の制御装置に供給される。
【0026】
図2には、ウエハステージモジュール30及びカウンタマスモジュール32A,32Bが示されている。図2及び図1に示されるように、ウエハステージモジュール30は、平板(メンテプレート)MPと、該平板MP上に搭載されたステージベース(ステージ定盤)71と、該ステージベース71の上面に沿って互いに独立して移動するウエハステージWST及び計測ステージMSTと、を有している。
【0027】
平板(メンテプレート)MPは、その四隅部に対応して配置された4つの浮上・昇降装置18(4つの浮上・昇降装置18のうち、2つは図1に示される他の2つに対して紙面奥側に隠れている)を介してベースプレートBS上で水平に支持されている。平板(メンテプレート)MPの下方のベースプレートBS上には、図1等では図示が省略されているが、後述する複数枚の敷板が格納されている。
【0028】
ここで、説明は前後するが、浮上・昇降装置18について、図3(A)及び図3(B)に基づいて説明する。
【0029】
浮上・昇降装置18は、図3(A)に示されるように、エアスプリング装置22Aと、ホバー装置22Bとを含む。エアスプリング装置22Aは、円板状の板状部材24と、該板状部材24の下側に設けられたエアマウント26とを有し、板状部材24の上面は、平板MPの下面に固定されている(図4(A)等参照)。エアマウント26には、板状部材24に設けられた第1の気体供給口24aを介して気体(例えば圧縮空気)を供給することが可能であり、エアマウント26は、内部に充填された気体量(圧縮空気の圧力変化)に応じてZ軸方向に所定のストローク(例えば、50mm程度)で伸縮する。このため、ウエハステージモジュール30では、複数の浮上・昇降装置18それぞれが有するエアスプリング装置22A(エアマウント26)を適宜用いて平板MPを上下動させることにより、ステージベース71上面のZ軸方向、θx方向、及びθy方向それぞれの位置を任意に調整できるようになっている。エアマウント26内の気圧(圧縮空気の量)は、露光装置100のメインパネル(不図示)を操作することにより、又はレギュレータボックス(不図示)の手動コックを開閉することにより調整可能となっている。
【0030】
ホバー装置22Bは、図3(B)に示されるように、エアマウント26を下側から支持するベース28と、ベース28の下面(−Z側の面)に設けられたエアホバー29とを含む。エアホバー29には、図3(A)に示される板状部材24に設けられた第2の気体供給口24b及び板状部材24内に形成された管路24c並びに該管路24cとベース28とを連結する配管31を介して、圧縮気体(例えば圧縮空気)を供給可能(ただし、上記エアマウント26とは別系統)であり、該圧縮気体がエアホバー29からベースプレートBS上面(又は床面F)に噴出されると、その噴出力により、エアホバー29とベースプレートBS上面(又は床面F)との間に所定間隔が形成される(図4(C)参照)。これにより、ウエハステージモジュール30全体を、床面F上に所定のクリアランス(例えば、10mm程度)を介して浮上させることができる。エアホバー29への圧縮気体の供給は、露光装置100のメインパネル(不図示)を操作することにより、又はレギュレータボックス(不図示)の手動コックを開閉することにより行われる。
【0031】
また、ベース28の下面の四隅部それぞれには、平面視(−Z方向から見て)三角形状のホバー接触防止部材35が設けられている。このホバー接触防止部材35の高さ方向(Z軸方向)に関する幅(高さ)は、図4(A)等に示されるように、エアホバー29の高さ方向(Z軸方向)に関する幅(高さ)よりも大きく設定されている。これにより、エアホバー29から圧縮気体が噴出されない場合であっても、エアホバー29の下面とベースプレートBS上面とが非接触状態に維持される。
【0032】
また、ベース28の上面の四隅部それぞれには、柱部材33が設けられている(図3(A),図3(B)では奥側に位置する柱部材は不図示)。この柱部材33は、図4(B)に示されるように、エアマウント26内の気体を減少させた際に、平板MPの下面と接触して、エアマウント26の代わりに平板MPの自重を支持するものである。
【0033】
上記のように構成される浮上・昇降装置18は、図4(A)の状態、図4(B)の状態、図4(C)の状態の間で遷移するようになっている。以下、各状態について説明する。
【0034】
図4(A)の状態は、エアマウント26に気体を充填し、かつエアホバー29には圧縮気体を供給しない状態である。この図4(A)の状態では、ホバー接触防止部材35がベースプレートBS上面に接触し(以下、この状態を「着地状態」と呼ぶ)、柱部材33が平板MP下面に接触しない状態(以下、この状態を「上昇状態」と呼ぶ)となっている。以下においては、図4(A)の状態を「第1状態」と呼ぶこととする。
【0035】
また、図4(B)の状態は、エアマウント26内の気体を減少させ(外部に排気し)、かつエアホバー29に圧縮気体を供給しない状態である。この図4(B)の状態では、ホバー接触防止部材35が前記着地状態であり、柱部材33が平板MPに接触した状態(以下、この状態を「下降状態」と呼ぶ)となっている。以下においては、図4(B)の状態を「第2状態」と呼ぶこととする。
【0036】
また、図4(C)の状態は、エアマウント26内の気体を減少させ、かつエアホバー29に圧縮気体を供給した状態である。この図4(C)の状態では、ホバー接触防止部材35がベースプレートBSと非接触となっており(以下、この状態を「浮上状態」と呼ぶ)、柱部材33が前記下降状態となっている。以下においては、図4(C)の状態を「第3状態」と呼ぶこととする。
【0037】
なお、露光装置の稼働中(露光中など)においては、浮上・昇降装置18は、図4(A)の第1の状態に維持されている。
【0038】
平板MPは、図2に示されるように、複数(例えば、3つ)の位置決め装置16により、壁部39A、39B及び第1フレーム232を含むボディBDに対して、X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向(6自由度方向)に関して位置決めされた状態となっている。これをさらに詳述すると、各位置決め装置16は、図4(A)に示されるように、平板MPの上面に固定部材15aを介して固定された球座(半球状の突部)16aと、壁部39A、39Bに一端が接続され他端が平板MPの上方に位置し、下面に球座16aに対向して円錐凹部であるV溝16bが形成されたVブロック15bとを含む。この場合、球座16aは、平板MPの+Y側の端部にX軸方向に所定間隔で2つ、−Y側の端部に1つ配置されており、各球座16aに対向する位置にV溝16bが各1つ配置されている。従って、複数の浮上・昇降装置18それぞれが上昇状態となっている平板MPの壁部39A、39Bに対する位置決め状態では、3つの球座16aのそれぞれが対向するV溝16bと嵌合しており、これによってステージベース71がメトロロジーフレームMFに対して6自由度方向に位置決めされている。ここで、V溝16bをXY平面内の所定方向に長い断面V字状のV溝としても良い。この場合、3つのVブロック15bのそれぞれで異なる方向に長いV溝を形成することが望ましい。
【0039】
平板MPには、図1に示されるように、駆動系200が内蔵されている。駆動系200は、駆動輪160、該駆動輪160にその中心を貫通する状態で固定されたY軸方向を長手方向とする駆動軸(回転軸)、該駆動軸の長手方向の両端を回転自在に支持する軸受部材、駆動輪160の駆動源であるモータ等、及び駆動軸に駆動源の駆動力を伝達するギヤ機構等の駆動力伝達部材等を含む。この場合、駆動輪160は、1つでも良いし、複数あっても良い。複数の駆動輪160は、同一の駆動軸の長手方向の複数箇所にそれぞれ設けられていても良い。あるいは、複数の駆動輪160がそれぞれ別の駆動軸を有していても良いが、この場合、それらの駆動軸が同軸であることが望ましい。複数の駆動輪160がそれぞれ別の駆動軸を有している場合、それぞれ別々の駆動源によって駆動されるようになっていても良いし、同一の駆動源によって駆動されるようになっていても良い。
【0040】
いずれにしても、駆動輪160は、不図示の上下動装置(例えば、エアシリンダあるいはオイルシリンダ等を駆動源とする)により、平板MP内に格納される格納位置と、浮上・昇降装置18が前述の第3状態(図4(C)参照)にあるときに、その周面がベースプレートBSの上面に当接する当接位置との間で昇降駆動される。駆動輪160の駆動源(モータ等)及び上下動装置は、不図示のリモコン装置(ティーチングペンダント)を介して作業者による操作が可能となっている。
【0041】
また、平板MPの上面の−Y側の端部には、図2に示されるように、位置検出系300に含まれる複数(例えば、4つ)のフォトセンサ304a、304a、304b、304c及び複数(例えば、2つ)のセンサ対304d、304eが固定されている。位置検出系300については、後に詳述する。
【0042】
この他、平板MPには、その+X側及び−X側の端面に、それぞれ複数の連結バー(不図示)が突設されている。
【0043】
図1に戻り、ウエハステージモジュール30の一部を構成するステージベース71の+Z側の面(上面)は、その平面度が非常に高くなるように加工されており、ウエハステージWST及び計測ステージMSTのガイド面とされている。
【0044】
ウエハステージWSTは、図1に示されるように、ウエハステージ本体91、及びウエハテーブルWTBを含む。ウエハステージ本体91は、平面視矩形の箱形(直方体状)の部材から成る。なお、図1では不図示であるが、ウエハステージ本体91は、その下面に気体静圧軸受(例えば、エアベアリング)を複数ヶ所に有しており、その気体静圧軸受からステージベース71の上面に対して噴出する加圧気体の静圧により、ステージベース71の上面に対し数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0045】
ウエハステージ本体91には、X軸方向に貫通した開口部(図示省略)が形成されており、その開口部内には、X軸方向に延びる固定子80が挿入されている。固定子80は、X軸方向及びZ軸方向に所定間隔で配列された複数のコイルを含むコイルユニット(図示省略)を有している。これに対し、ウエハステージ本体91は、X軸方向、及びZ軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含むX軸可動子、及びZ軸可動子(図示省略)を有している。ウエハステージ本体91は、固定子80とX軸可動子とから成るローレンツ電磁力駆動方式のムービングマグネット型のX軸リニアモータにより、固定子80に沿ってX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0046】
X軸可動子は、Y軸方向に離間して複数設けられ、その複数のX軸可動子と固定子80とにより複数のX軸リニアモータが構成されている。ウエハステージ本体91は、複数のX軸リニアモータにより、適宜θz方向に微少駆動される。また、Z軸可動子は、複数(少なくとも3つ)設けられ、その複数のZ軸可動子と固定子80とにより複数のローレンツ電磁力駆動方式のムービングマグネット型のZ軸リニアモータが構成されている。ウエハステージ本体91は、複数のZ軸リニアモータにより、適宜θx方向、及び/又はθy方向に微少駆動される。
【0047】
固定子80は、図1に示されるように、長手方向の一端及び他端それぞれの近傍の下面に気体静圧軸受88(例えば、エアベアリング)を有している。固定子80は、気体静圧軸受88からステージベース71の上面に対して噴出される加圧気体の静圧により、ステージベース71の上面に対し数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0048】
固定子80の長手方向の一端及び他端には、図2に示されるように、一対のY軸可動子82,83がそれぞれ固定されている。一対のY軸可動子82,83は、ウエハステージモジュール30の+X側に設けられたカウンタマスモジュール32Aの一部を構成するY軸固定子86、及びウエハステージモジュール30の−X側に設けられたカウンタマスモジュール32Bの一部を構成するY軸固定子87に対して、それぞれ係合した状態となっている。Y軸固定子86,87はその内部に複数のコイルを有し、Y軸可動子82、83のそれぞれは、複数の永久磁石を有する。すなわち、Y軸固定子86とY軸可動子82により、Y軸可動子82をY軸方向に駆動するムービングマグネット型のY軸リニアモータが構成され、Y軸固定子87とY軸可動子83により、Y軸可動子83をY軸方向に駆動するムービングマグネット型のY軸リニアモータが構成されている。以下においては、上記2つのY軸リニアモータのそれぞれを、それぞれのY軸可動子82、83と同一の符号を用いて、適宜、Y軸リニアモータ82、Y軸リニアモータ83と呼ぶものとする。
【0049】
2つのY軸リニアモータ82、83が上記のように構成されていることから、これらY軸リニアモータ82,83によって、固定子80と一体的にウエハステージWSTがY軸方向に駆動される。従って、本実施形態では、ウエハステージWSTは、Y軸リニアモータ82、83によって、X軸方向に駆動されるとともに、Y軸リニアモータ82,83の駆動力を異ならせることによりθz方向に駆動される。
【0050】
ウエハテーブルWTBは、図2に示されるように、平面視略正方形の板状部材から成り、ウエハステージ本体91上に搭載されている。ウエハテーブルWTBの−X側及び−Y側の端面には鏡面加工が施され、反射面17b及び17aがそれぞれ形成されている。ウエハステージWSTのZ軸を除く少なくとも5自由度方向の位置は、反射面17b、17aに計測ビームをそれぞれ照射するX干渉計及びY干渉計を含むウエハ干渉計システムによって、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。なお、干渉計システムに代えて、又は加えてエンコーダシステムによりウエハテーブルWTBの位置を計測しても良い。
【0051】
ウエハテーブルWTBの上面には、図1に示されるように、ウエハWを真空吸着(あるいは静電吸着)によって吸着保持するウエハホルダWHが取り付けられている。
【0052】
計測ステージMSTは、図2に示されるように、ウエハステージWSTの+Y側に配置されており、計測ステージ本体92、及び計測テーブルMTBを有している。計測ステージ本体92は、平面視矩形の箱形(直方体状)の部材から成る。なお、図1では不図示であるが、計測ステージ本体92は、その底部に気体静圧軸受(例えば、エアベアリング)を有している。計測ステージMSTは、気体静圧軸受からステージベース71の上面に対して噴出される加圧気体の静圧により、ステージベース71上に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0053】
計測ステージ本体91には、X軸方向に貫通した開口部(図示省略)が形成されており、その開口部内には、例えばコイルユニットを含むX軸方向に延びる固定子81が挿入されている。これに対し、計測ステージ本体92は、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット(図示省略)から成るX軸可動子を有している。計測ステージ本体92は、固定子81とX軸可動子とから成るローレンツ電磁力駆動方式のムービングマグネット型のX軸リニアモータにより、固定子81に沿ってX軸方向に所定のストロークで駆動される。以下では、適宜、このX軸リニアモータを、固定子81と同一の符号を用いて、X軸リニアモータ81と呼ぶ。
【0054】
固定子81の長手方向の一端及び他端には、図2に示されるように、一対のY軸可動子84,85がそれぞれ固定されている。一対のY軸可動子84,85は、カウンタマスモジュール32Aの一部を構成するY軸固定子86、及びカウンタマスモジュール32Bの一部を構成するY軸固定子87に対して、それぞれ係合した状態となっている。Y軸可動子84、85のそれぞれは、複数の永久磁石を有する。すなわち、Y軸固定子86とY軸可動子84により、Y軸可動子84をY軸方向に駆動するムービングマグネット型のY軸リニアモータが構成され、Y軸固定子87とY軸可動子85により、Y軸可動子85をY軸方向に駆動するムービングマグネット型のY軸リニアモータが構成されている。以下においては、上記2つのY軸リニアモータのそれぞれを、それぞれのY軸可動子84、85と同一の符号を用いて、適宜、Y軸リニアモータ84、Y軸リニアモータ85と呼ぶものとする。なお、これまでに説明した各リニアモータとして、ムービングマグネット型に代えて、ムービングコイル型のリニアモータを用いても良い。
【0055】
2つのY軸リニアモータ84、85が上記のように構成されていることから、これらY軸リニアモータ84,85によって、固定子81と一体的に計測ステージMSTがY軸方向に駆動される。したがって、本実施形態では、計測ステージMSTは、Y軸リニアモータ84、85及びX軸リニアモータ81によって、X軸及びY軸方向に駆動されるとともに、Y軸リニアモータ84,85の駆動力を異ならせることによりθz方向に駆動される。
【0056】
さらに、図1では気体静圧軸受88に対して紙面奥側に隠れているため不図示であるが、固定子81の長手方向の一端及び他端の近傍の下面には、固定子81をステージベース71上で浮上させるための気体静圧軸受が取り付けられている。
【0057】
計測テーブルMTBは、図2に示されるように、平面視矩形の板状部材から成り、計測ステージ本体92上に搭載されている。計測テーブルMTBの−X側及び+Y側の端面には鏡面加工が施され、反射面19b及び19aがそれぞれ形成されている。
【0058】
計測ステージMST(計測テーブルMTB)の少なくともX軸、Y軸、及びθz方向の3由度方向の位置は、反射面19b、19aに計測ビームをそれぞれ照射するX干渉計及びY干渉計を含む干渉計システムによって、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。
【0059】
計測テーブルMTBには、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、米国特許第5,243,195号明細書などに開示される複数の基準マークが形成された基準マーク領域や投影光学系PLを介して照明光ILを受光するセンサ(照度モニタ、照度むらセンサ、空間像計測器等)などが含まれている。
【0060】
図1に戻り、一方のカウンタマスモジュール32Aは、前述したY軸固定子86と、Y軸固定子86の底面に固定されたカウンタマス75と、カウンタマス75をY軸方向にスライド自在に支持するベース73と、ベース73をベースプレートBS上で支持する浮上・昇降装置58とを備えている。また、他方のカウンタマスモジュール32Bは、前述したY軸固定子87と、このY軸固定子87の底面に固定されたカウンタマス76と、このカウンタマス76を浮上支持するベース74と、ベース74をベースプレートBS上で支持する浮上・昇降装置58とを備えている。
【0061】
カウンタマス75,76は、略直方体状の重量物であり、その下面には、XZ断面V字状で、Y軸方向に延びる凸部が形成されている。この凸部を規定する一対の傾斜面のそれぞれには、不図示の気体静圧軸受(例えば、エアベアリング)が設けられている。
【0062】
ベース73,74は、例えば略直方体状の形状を有し、その上面には、XZ断面V字状でY軸方向に延びるV溝が形成されている。このV溝を規定する一対の傾斜面間には、カウンタマス75,76それぞれの凸部が挿入されている。カウンタマス75,76は、気体静圧軸受から噴出される気体の静圧により、所定のクリアランスを介してベース73,74上にて非接触支持されている。従って、ウエハステージWST又は計測ステージMSTのY軸方向への移動により生じる反力がY軸固定子86,87に作用した場合には、Y軸固定子86とカウンタマス75、Y軸固定子87とカウンタマス76が、それぞれ一体となってY軸方向に沿って移動する。この場合、Y軸固定子86とカウンタマス75、Y軸固定子87とカウンタマス76は、運動量保存則(作用反作用の法則)に従って移動するので、それらの移動により、上記反力がキャンセルされる。
【0063】
ベース73の−X端面、及びベース74の+X端面には、不図示ではあるが、平板MPに設けられた連結バーが係合する凹部又は溝がそれぞれ形成されている。
【0064】
浮上・昇降装置58は、大きさが異なる点を除き、ウエハステージモジュール30が有する前述した浮上・昇降装置18と同様の構成、及び機能を有する。浮上・昇降装置58は、ベース73の下面に、Y軸方向に所定間隔で2つ取り付けられている(図1では、一方の浮上・昇降装置58は、他方の紙面奥側に隠れている)。従って、カウンタマスモジュール32Aは、浮上・昇降装置58が有する不図示のエアマウントを用いてY軸固定子86のZ位置を調整すること、及び不図示のエアホバーを用いてベースプレートBS上及び床面上に浮上することができる。カウンタマスモジュール32Bは、図1に示されるように、露光装置100を−Y側から見て左右対称である点を除きカウンタマスモジュール32Aと同様に構成されているため、説明を省略する。
【0065】
次に、位置検出系300について説明する。位置検出系300は、ボディBDに対するウエハステージモジュール30又はウエハ側ステージモジュール(以下、ステージモジュールと略記する)WSMのX軸方向に関する位置情報を検出する。ここで、ステージモジュールWSMとは、ウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32A、32Bとが一体となった露光装置本体110のサブシステムを意味する。位置検出系300は、原点位置検出部、速度制限位置検出部及び引出し位置検出部を含む。
【0066】
原点位置検出部は、図2に示されるように、−Y側の壁部39Aの+Y側の面のX軸方向中央に配置された反射板302aと、それぞれが反射板302aと同じ高さに、かつ互いにX軸方向に所定間隔で平板MP上に配置された一対のフォトセンサ304a、304aとを含む。ここで、フォトセンサ304a、304aとしては、限定反射型光電センサが用いられている。ウエハステージモジュール30が、原点位置(ボディBDに対する基準位置)にあるときは、両フォトセンサ304a、304aが反射板302aに対向しており、両センサはオン状態(光を検出している状態)にある。したがって、原点位置検出部は、ウエハステージモジュール30又はステージモジュールWSMの原点位置を検出できるとともに、ウエハステージモジュール30又はステージモジュールWSMが原点位置から+X方向、−X方向のいずれに移動したかを検出できる。すなわち、両フォトセンサ304a、304aは、原点位置センサである。以下では、適宜、原点位置センサ304a、304aとも表記する。
【0067】
速度制限位置検出部は、ステージモジュールWSMの後述する電動引出しの際に、ステージモジュールWSMの速度制限位置の情報を検出する。速度制限位置検出部は、図2に示されるように、両原点位置センサ304a、304aを挟むようにX軸方向に離間して配置された一対のフォトセンサ304b、304cと、壁部39Aのフォトセンサ304b、304cそれぞれと同じ高さ位置に配置され、X軸方向に延びる一対の反射板302b、302cとを含む。一方の反射板302bは、ステージモジュールWSMが原点位置にあるとき、壁部39Aの−X側の端面の近傍の位置からフォトセンサ304bの−X端面の位置まで(図2の矢印Pの範囲に亘って)延びている。他方の反射板302cは、ステージモジュールWSMが原点位置にあるときに、フォトセンサ304cの+X端面の位置から壁部39Aの+X側の端部近傍の位置まで(図2の矢印Qの範囲に亘って)延びている。フォトセンサ304b、304cとしては、限定反射型光電センサが用いられている。図2からもわかるように、反射板302cは、反射板302bの下方の位置に配置されており、これに対応してフォトセンサ304cは、フォトセンサ304bより低い位置に配置されている。従って、ステージモジュールWSMがX軸方向へ移動しても、フォトセンサ304bは反射板302cに対向することがなく、フォトセンサ304cは反射板302dに対向することがない。
【0068】
引出位置検出部は、ステージモジュールWSMの後述する電動引出しの際に、ステージモジュールWSMの引出位置の情報を検出する。
【0069】
引出位置検出部は、平板MP上面の+X側かつ−Y側の角部、及び−X側かつ−Y側の角部のそれぞれに配置されたセンサ対304d、304eと、センサ対304d、304eのそれぞれと同じ高さに配置された一対の反射板302d、反射板302eとを含む。反射板302dは、反射板302bの−X側に配置され、反射板302eは、反射板302cの+X側に配置されている。センサ対304dは、X軸方向に隣接して配置された一対のフォトセンサ304d、304dを有している。同様に、センサ対304eは、X軸方向に隣接して配置された一対のフォトセンサ304e、304eを有している。フォトセンサ304d、304d及びフォトセンサ304e、304eとしては、回帰反射型の光電センサが用いられている。センサ対304dのうちの−X側のフォトセンサ304d及びセンサ対304eのうちの+X側のフォトセンサ304eは、ステージモジュールWSMの通常の引出位置を検出する。一方、センサ対304dのうちの+X側のフォトセンサ304d及びセンサ対304eのうちの−X側のフォトセンサ304eは、ステージモジュールWSMの引出限界位置を検出する。
【0070】
反射板302dと反射板302eとは、異なる高さ位置に配置されており、これに対応してセンサ対304d、304eは互いに異なる高さに配置されている。従って、ステージモジュールWSMがX軸方向へ移動しても、センサ対304dは反射板302eに対向することがなく、センサ対304eは反射板302dに対向することがない。
【0071】
位置検出系300に備えられるフォトセンサ304a、304a、304b、304c、304d、304d、304e、304eそれぞれの検出情報は、不図示のリモコン装置(ティーチングペンダント)に供給される。
【0072】
次に、ステージモジュールWSMを露光装置本体110(ボディBDの下方)から外部へ引き出す手順を、図5及び図6のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、ステージモジュールWSMの露光装置本体110からの引き出しは、複数の作業者の共同作業によるが、以下では、個々の作業者を区別することなく、単に作業者と呼ぶ。後述するステージモジュールWSMを露光装置本体110(ボディBDの下方)に戻す作業、カウンタマスモジュール32Aの外し、ドッキング等の説明においても同様である。
【0073】
前述のように、露光装置の稼働中は、ウエハステージモジュール30の浮上・昇降装置18は、図4(A)に示される第1の状態にあり、また、カウンタマスモジュール32A、32Bの浮上・昇降装置58も同様の状態にあり、ステージモジュールWSMは、全体として、図7(A)に示される状態にある。なお、図7(A)〜図7(C)において、ボディBD、及び投影ユニットPU等の図示は、省略されている。
【0074】
先ず、作業者は、ステージモジュールWSMの引き出しの前処理として、露光装置100のメインパネル(不図示)からステージ降下開始を指示する。この指示を受け、露光装置100の制御装置は、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス(CM)75、76を、所定の位置(ホバー装置22Bによる浮上時においてステージモジュールWSM全体のバランスが良くなる位置)に移動させた後、ウエハステージWST(及び計測ステージMST)のサーボをオフにする(図5のステップS1、ステップS2)。サーボオフ後、制御装置は、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76を浮上させる各エアパッドへの空気供給を停止して、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76を着地させる(ステップS3、図7(B)参照)。
【0075】
次いで、作業者は、パネル150aに設けられた覗き窓(不図示)を開いても良い。次に行われるウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の降下中の装置異常を監視するためである。
【0076】
次に、制御装置は、作業者によるメインパネルを介した指示に応じ、各浮上・昇降装置18(及び58)のエアマウント26内の気圧を下げて、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の降下を開始させる(ステップS4)。
【0077】
次に、制御装置は、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の降下開始後、傾斜計(例えば、気泡式のものなどが用いられる)、及びタイマーなどのモニタを開始する。そして、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の降下開始から一定時間(例えば、30秒)、ステージベース71の傾きを監視する(ステップS5、S7)。そして、制御装置は、ステージベース71の傾きが異常であることを検知した場合、例えば傾斜計の計測値が水平面に対し5°以上になった場合には、各エアマウント26内の気圧を上げて(ステップS6a)、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76を上昇させた後、例えば「ステージ降下姿勢の異常を検知しました。チャンバを開けてステージの姿勢を確認して下さい。」とメインパネルの表示部に表示する(ステップS6b)。この場合、作業者により、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の姿勢が確認された後、再度、ステージ降下が指示されることとなる。
【0078】
一方、ステージベース71の傾き異常を検出することなく一定時間(例えば、30秒)が経過すると、各エアマウント26の上側に設けられた板状部材24のZ位置を検出するフォトセンサ(不図示)、及び各エアマウント26に設けられた圧力センサ(不図示)などの計測値に基づいて、全エアマウントの排気が終了したか否かを判断する(ステップS7)。そして、この判断が否定された場合には、制御装置は、例えば「ステージ降下が時間内に終了しませんでした。チャンバを開けてステージの状態を確認して下さい。」とメインパネルの表示部に表示する(ステップS8)。この場合、作業者により、ステージモジュールWSMの状態が確認された後、再度、適切な指示が与えられることになる。
【0079】
一方、制御装置は、全エアマウント26の排気が一定時間内に終了したと判断した場合には、例えば、「ステージ降下完了」などをメインパネルの表示部に表示してウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76の降下完了表示を行う(ステップS9)。
【0080】
次に、作業者により、ステージモジュールWSMを引き出す側のチャンバパネル、この場合パネル150aが開けられ、平板MPの下方から敷板180が引き出されてベースプレートBSの+X側に敷設される(図7(B)参照)。
【0081】
次いで、作業者により、カウンタマス75、76の位置が適正か否か(カウンタマス75、76が、ホバー装置22Bによる浮上時においてステージモジュールWSM全体のバランスが良くなる位置にあるか否か)が判断される(ステップS10)。この判断は、目視によって行われる。
【0082】
作業者は、カウンタマス75、76の位置が適正でないと判断した場合には、メインパネルからカウンタマス75,76に設けられたエアパッドの浮上を指示し(ステップS11)、カウンタマス75、76の位置調整を手動で行った(ステップS12)後、カウンタマス75、76に設けられたエアパッドを着地させる(ステップS13)。その後、作業者が各エアホバー29に空気を供給してステージモジュールWSMを浮上させる(ステップS14、図7(C)参照)。一方、作業者は、カウンタマス75、76の位置が適正であると判断した場合には、各エアホバー29に空気を供給して全エアホバー29によりステージモジュールWSMを浮上させる(ステップS14、図7(C)参照)。
【0083】
次に、作業者は、ステージモジュールWSMの引き出しを電動又は手動のいずれにより行うのが妥当かを、安全性等を十分考慮して判断する(S15)。作業者は、ステージモジュールWSMの引き出しを電動により行うのが妥当であると判断した場合には、駆動系200を操作するための図示しないリモコン装置(ティーチングペンダント)を、+X側のベース73に設け、駆動系200に電気的に接続されたコネクタ部(不図示)に接続する。そして、作業者は、リモコン装置により、前述の上下動装置(例えば、エアシリンダなどを駆動源とする)を作動させて、駆動輪160を接地させる(ステップS16、図8(A)参照)。
【0084】
次に、以下に詳述するようにして、作業者により、ステージモジュールWSMの電動引き出しが行われる(ステップS17)。
【0085】
ステージモジュールWSMは、当初、前述した原点位置にあり、図2に示される原点位置センサ304a、304aは、反射板302aに対向しており、検出状態にある。作業者は、先ず、リモコン装置を操作して、ステージモジュールWSMの駆動開始の際、駆動開始から所定時間(例えば、2秒間)の速度を目標速度(例えば、50mm/s)よりも低い速度(例えば、20mm/s)に設定した後、駆動輪160を回転させてステージモジュールWSMの+X方向への移動を開始させる。これにより、ステージモジュールWSMが低速度(例えば、20mm/s)で+X方向へ移動を開始し、間もなく、原点位置センサ304aが反射板302aに対向しなくなり非検出状態(オフ状態)になるとともに、フォトセンサ304cが反射板302cに対向するようになって検出状態(オン状態)となる。その後、原点位置センサ304aが反射板302aに対向する位置から外れて非検出状態となる。作業者は、上記所定時間(例えば、2秒間)が経過したときに、すなわちフォトセンサ304cが検出状態となった直後に、リモコン装置を操作して、ステージモジュールWSMを上記目標速度(例えば、50mm/s)まで加速する。そして、ステージモジュールWSMが更に+X方向へ移動し、フォトセンサ304cが反射板302cの+X端のX位置を通過したとき、すなわちフォトセンサ304cが反射板302cに対向しなくなって非検出状態となったとき、このときの非検出情報がリモコン装置の表示部に反映される。作業者は、このタイミングで、リモコン装置を操作して、ステージモジュールWSMの速度を低速度(例えば、20mm/s)に切り替える。そして、フォトセンサ304eが反射板302eに対向したときに、フォトセンサ304eの検出情報がリモコン装置の表示部に反映されるので、このタイミングで、作業者は、リモコン装置を操作して、ステージモジュールWSMを停止させる。このタイミングを逃した場合には、フォトセンサ304eが反射板302eに対向したときに、フォトセンサ304eの検出情報がリモコン装置の表示部に反映されるので、このときに、ステージモジュールWSMを停止させても良い。結果的に、ステージモジュールWSMは、+X方向に所定距離(例えば、約1.1m)移動した位置で停止し(図8(B)参照)、この位置がステージモジュールWSMの引出位置となる。
【0086】
この一方、作業者は、ステップS15において、ステージモジュールWSMを手動で引き出すことが妥当である判断した場合には、上記原点位置にあるステージモジュールWSMを直接的に押し引きすることにより上記引出位置までゆっくり引き出す(ステップS18)。この際、ステージモジュールWSMに水平方向の慣性力が作用するので、安全性の観点から、特に、その動き出し時及び停止時にステージモジュールWSMの速度を控えめにすることが望ましい。
【0087】
ステージモジュールWSMを引出位置まで引き出した後、各エアホバー29への空気供給を停止して全エアホバー29を着地させる(ステップS19a、図8(C)参照)。これにより、ステージモジュールWSMの手動による引き出し作業は終了する。一方、電動引き出しの場合は、各エアホバー29への空気供給を停止して全てのホバー装置22Bを着地させ(ステップS19)、その後に、作業者は、リモコン装置により、上下動装置を駆動して、駆動輪160を格納する(ステップS20、図8(C)参照)。
【0088】
ここで、作業者がステージモジュールWSMの各構成部のメンテナンス作業及び交換作業を行う。具体的には、ウエハステージWST、ウエハステージWSTの構成部材の清掃及び交換、ウエハホルダの清掃機のメンテナンス、ウエハの研削用砥石の交換、アライメント系(FIA)のメンテナンス、交換等を行う。そして、これらのメンテナンス作業及び交換作業が終了したら、ステージモジュールWSMを露光装置本体110(ボディBDの下方)に戻す。
【0089】
次に、ステージモジュールWSMを露光装置本体110(ボディBDの下方)に戻す手順を、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。先ず、作業者は、各エアパッドに空気を供給してウエハステージWST、計測ステージMST、カウンタマス75、76を浮上させて、それぞれをホバー装置22Bによる浮上時にステージモジュールWSM全体のバランスが良くなる位置に移動させる(ステップS31)。次に、作業者は、各エアパッドへの空気供給を停止してウエハステージWST、計測ステージMST、カウンタマス75、76を着地させる(ステップS32)。その後、メインパネルから指示を与えて、各エアホバー29へ空気を供給して全エアホバー29によりステージモジュールWSMを浮上させる(ステップS33)。
【0090】
ここで、作業者がステージモジュールWSMの戻し方法を、上述した引出時と同様に、手動又は電動のいずれが妥当であるかを判断する(ステップS34)。作業者は、電動により戻すことが妥当であると判断した場合には、リモコン装置により上下動装置を駆動して駆動輪160を接地させる(ステップS35、図8(B)参照)。
【0091】
次に、前述したステージモジュールWSMの電動による引き出し方法とほぼ反対の手順で、作業者により、リモコン装置を用いてステージモジュールWSMの電動による戻しが行われる(ステップS36)。なお、詳細説明は省略するが、駆動輪160を回転させるモータは、速度が目標速度(例えば、50mm/s)から低速度(例えば、20mm/s)に切り替わった後、両原点位置検出センサ304a、304aがともに検出状態となった時点で停止する。これにより、ステージモジュールWSMは、上記引出位置から−X方向に所定距離(例えば、約1.1m)移動し、前述の原点位置で停止する(図10(A)参照)。なお、図10(A)〜図10(C)において、ボディBD、及び投影ユニットPU等の図示は、省略されている。
【0092】
そして、作業者は、リモコン装置をコネクタから外し、敷板180を元の位置(平板MPの下方のベースプレートBS上)に戻し、チャンバ150の開閉パネル150aを閉める。
【0093】
次いで、作業者は、メインパネルからステージ上昇開始を指示する。この指示を受け、露光装置100の制御装置は、上下動装置を駆動して、駆動輪160を格納する(ステップS37)。
【0094】
次いで、制御装置は、各エアマウント26への空気供給を開始した後、各エアマウント26の内圧が第1の値(例えば、0.17MPa)以上になるのを待つ(ステップS39、S40)。
【0095】
この一方、ステップS34において、作業者は、ステージモジュールWSMを手動で戻すことが妥当であると判断した場合には、前述の引出位置にあるステージモジュールWSMを直接的に押し引きすることにより上記原点位置まで戻す(ステップS38)。この際、引出時と同様に、安全性に十分な注意を払うことが望ましい。また、作業者は、敷板180を元の位置(平板MPの下方のベースプレートBS上)に戻し、チャンバ150の開閉パネル150aを閉める。
【0096】
次いで、作業者は、メインパネルからステージの上昇開始を指示する。この指示を受け制御装置は、各エアマウント26への空気供給を開始した後、各エアマウント26の内圧が第1の値(例えば、0.17MPa)以上になるのを待つ(ステップS39、S40)。
【0097】
そして、ウエハステージWST、計測ステージMST、及びカウンタマス75、76が所定位置まで上昇すると、各位置決め部16の作用により(球座16aがV溝16bに嵌り込み)、その上昇が抑えられる(図10(B)及び図4(A)参照)。これにより、各エアマウント26の内圧が第1の値以上になる。
【0098】
そして、制御装置は、各エアマウント26の内圧が第1の値以上になったことを確認すると、全てのホバー装置22Bの降下を開始する(ステップ41)。そして、制御装置は、各エアマウント26の内圧が第2の値、すなわち設定値(例えば0.3Mpa)以上になるのを待つ。
【0099】
各エアマウント26の内圧が第2の値以上になるまでの間に、制御装置は、ホバー装置22Bが降下した分、さらにエアマウント26(エアスプリング装置22A)を伸ばすことで、ステージモジュールWSMがボディBDに対し位置決めされた状態を維持したまま、全てのホバー装置22Bの降下を終了させ、各エアホバー29への空気供給を停止して、全てのホバー装置22Bを着地させる(ステップS42、図10(C)参照)。
【0100】
そして、制御装置は、各エアマウント26の内圧が第2の値以上になると、各エアマウント26への空気供給を停止する。これにより、ステージモジュールWSMを戻す一連の処理が終了する。
【0101】
次に、カウンタマスモジュールの外し動作及びドッキング動作を含む、メンテナンス方法について、図11(A)〜図11(C)を参照して説明する。なお、図11(A)〜図11(C)において、ボディBD、及び投影ユニットPU等の図示は、省略されている。
【0102】
この場合、作業者により、カウンタマスモジュール32Aを引き出す側のチャンバパネル、この場合パネル150aが開けられ、平板MPの下方から敷板180が引き出されてベースプレートBSの+X側に敷設され、カウンタマス75、76の位置が適正か否かが判断され、必要な場合に、カウンタマス75、76の位置調整が行われるまでの手順は、前述のステージモジュールWSMの引き出しの場合と同様である。この状態で、先ず、作業者は、カウンタマスモジュール32Aとウエハステージモジュール30とのロック装置(不図示)を解除した後、カウンタマスモジュール32Aのベース73とウエハステージモジュール30側とを接続する配管、配線等の切り離し、及び両者を電気的に接続するための電線の延長とその延長された電線80を覆うための伸縮自在の増設カバー81の取り付けなどの準備作業を行う。そして、作業者は、全エアホバー29に空気を供給して浮上させる。図11(A)には、この全てのホバー装置22Bが浮上した直後の状態が示されている。
【0103】
次に、作業者は、カウンタマスモジュール32Aを直接的に押し引きして+X方向にゆっくり移動させる。カウンタマスモジュール32Aを+X方向に移動させると、間もなく、前述した平板MPに設けられた連結バーがベース73の−X端面に形成された凹部又は溝から離脱される(カウンタマスモジュール32Aがウエハステージモジュール30から分離する)が、作業者はそのままカウンタマスモジュール32Aを所定の引出位置まで移動させて、停止させる(図11(B)参照)。なお、電線80は、長めに設定されており、伸縮自在の増設カバー81と共にカウンタマスモジュール32Aの移動に従って引き出される。
【0104】
カウンタマスモジュール32Aを上記引出位置に位置させた後、作業者は、カウンタマスモジュール32Aを浮上させるエアホバー29への空気供給を停止してカウンタマスモジュール32Aを敷板180上に接地させる(図11(C)参照)。その後、作業者は、カウンタマスモジュール32Aの各構成部材のメンテナンス及び交換作業を行う。
【0105】
上述のメンテナンス及び交換作業が終了すると、作業者は、エアホバー29に空気を供給してカウンタマスモジュール32Aを浮上させ、作業者がカウンタマスモジュール32Aを−X方向にゆっくり移動させ、ウエハステージモジュール30にドッキングさせる。具体的には、カウンタマスモジュール32Aをウエハステージモジュール30に対して、連結バーとベース73の−X端面に形成された凹部又は溝とが係合するように位置合わせした後、連結バーをベース73の凹部又は溝に係合させることで両者をドッキングさせる。ドッキング後、ウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32AとのZ軸方向の位置調整を行う。そして、上記ロック装置によりウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32Aとをロックして両者を固定する。その後、作業者は、全エアホバー29に対する空気の供給を停止して、ステージモジュールWSMを着地させた後、カウンタマスモジュール32Aのベース73とウエハステージモジュール30側とを配管、配線等で接続し、延長された電線80及び増設カバー81の取り外しを行う。そして、作業者は、敷板180を元の位置(平板MPの下方のベースプレートBS上)に戻し、チャンバ150の開閉パネル150aを閉める。その後、ステージのリセットが行われる。
【0106】
本実施形態の露光装置100では、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順で、レチクルアライメント及びベースライン計測、並びにウエハアライメント等の準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の露光装置100によると、ステージモジュールWSMを、ホバー装置22B(エアホバー29)によって浮上させた状態で、かつY軸に平行な回転軸を有する駆動輪160を接地させてモータ等によって駆動することにより、ステージモジュールWSMを、X軸に平行な方向に移動させる。このため、ステージモジュールWSMのθz方向及びY軸に平行な方向への動きを規制してX軸に平行な方向に安定して露光装置本体110から引き出す(移動させる)ことが可能になる。また、駆動輪160の回転駆動によりステージモジュールWSMを移動させるので、容易に移動させることが可能になり、結果的にメンテナンス時の作業性を向上させることが可能になる。
【0108】
また、ステージモジュールWSMを、ホバー装置22B(エアホバー29)によって浮上させた後に、駆動輪160を接地させるので、上下動装置に過剰な負荷が掛かることが防止される。
【0109】
また、露光装置100では、ステージモジュールWSMが電動又は手動により引き出し可能なので、ステージモジュールWSMを露光装置本体110から引き出す際に、状況により電動又は手動のいずれかを選択できる。したがって、専ら安全性が重視される場合、人員が足りない場合等には電動を選択でき、一方、人員を多数配置する等して安全性が充分確保されている場合、駆動系200が故障した場合等には手動を選択できる。
【0110】
また、ステージモジュールWSMの移動開始時及び停止前に、その速度が低速度に切り替えられるので、駆動系200に掛かる負荷が低減され、ひいては駆動系200の故障等を防止できる。また、ステージモジュールWSMを引き出す際の引出位置における位置制御性を向上させることができ、ステージモジュールWSMを戻す際の原点位置における位置制御性を向上させることができる。
【0111】
また、上述のように、ステージモジュールWSMの少なくとも一部をベースプレートBSに対して浮上した(非接触に維持した)状態で露光装置本体110から引き出すこととしているので、ステージモジュールWSMを引き出すのに必要な力を極力小さくすることができる。これにより、電動引出しを選択した場合には駆動系200に掛かる負荷を低減でき、手動引出しを選択し場合には作業者がステージモジュールWSMを楽に移動させることができる。しかも、ベースプレートBS、敷板180等に傷を付けることなくステージモジュールWSMの少なくとも一部を露光装置本体110から引き出すことが可能である。
【0112】
また、ステージモジュールWSMを露光装置本体110に戻す際にも、上述した引き出しの際と同様に、ステージモジュールWSMを浮上させた状態で移動させるので、電動戻しを選択した場合には駆動系200に掛かる負荷を低減でき、手動戻しを選択した場合には作業者がステージモジュールWSMを楽に移動させることができる。しかも、ステージモジュールWSMとの摩擦などによるベースプレートBS、敷板180等の損傷を極力抑制することができる。
【0113】
また、本実施形態によると、カウンタマスモジュール32Aのみをメンテナンス又は交換したい場合に、カウンタマスモジュール32Aのみを引き出すことができるので、ステージモジュールWSM全体を移動させる場合に比べ、引出時、戻し時の作業性に優れる。また、カウンタマスモジュール32Aを単体でチャンバ150の外部に位置させることができるので、その各部のメンテナンス作業及び交換作業の作業性に優れる。
【0114】
なお、上記実施形態に係るモジュールユニットのメンテナンス方法は、一例であって、本発明に係るメンテナンス方法がこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ステージモジュールWSMの一部をチャンバ150の外部に位置させてメンテナンス等を行っているが、これに限らず、チャンバ150の外部にステージモジュールWSM全体を位置させるスペースがあれば、ステージモジュールWSM全体をチャンバ150の外部に位置させてメンテナンス等を行っても良い。
【0115】
また、上記実施形態では、カウンタマスモジュール32AをボディBDに対し+X方向に引き出してメンテナンス等を行っているが、これに加えて又はこれに代えて、カウンタマスモジュール32BをボディBDに対し−X方向に引き出してメンテナンス等を行っても良い。カウンタマスモジュール32Bの引出し方法及び戻し方法は、カウンタマスモジュール32Aの場合と同様である。
【0116】
また、上記実施形態では、カウンタマスモジュール32Aのみを引き出しているが、これに限らず、例えば、カウンタマスモジュール32Aを引き出した後、ウエハステージモジュール30を引き出してその各構成部のメンテナンス及び交換等を行っても良い。
【0117】
また、上記実施形態では、平板MPに上下動可能な駆動輪160を設けているが、これに限らず、例えば、それぞれY軸方向を軸方向とし、X軸方向に離間して配置された複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられた無端ベルトとを含むベルト装置を、平板MPに上下動可能に設けても良い。
【0118】
また、上記実施形態では、各フォトセンサ304a〜304c、各フォトセンサ対304d、304eの検出情報を、リモコン装置のみならず、制御装置に供給して、駆動系200を制御装置により制御するようにしても良い。
【0119】
また、上記実施形態では、フォトセンサ304a〜304c、304d、304eが平板MPに配置され、反射板302a〜302eが壁部39Aに配置されているが、反射板を平板MPに配置し、フォトセンサを壁部に配置しても良い。フォトセンサ又は反射板を、壁部39Bに配置し、反射板又はフォトセンサを、平板MPの+Y側端部に配置しても良い。
【0120】
また、上記実施形態では、位置決め部として、球座とV溝の組み合わせの位置決め部を3つ用いた場合について説明したが、これに限らず、通常のキネマティック構造(点と、V溝と、面とで接触する構造)を採用することとしても良い。
【0121】
なお、上記実施形態では、位置決め部16を構成する球座16aが平板MPに設けられ、V溝16bを有する部材が壁部39A、39Bに設けられる場合について説明したが、これに限らず、球座が壁部39A、39Bに設けられ、V溝を有する部材が平板MPに設けられることとしても良い。また、平板MPに代えて、ステージベース71に球座又はV溝を有する部材を設けることとしても良いし、壁部39A、39Bに代えて、第1コラム232に球座又はV溝を有する部材を設けることとしても良い。
【0122】
また、上記実施形態では、浮上・昇降装置18が、エアスプリング装置とホバー装置とが一体化されている構成である場合について説明したが、これに限らず、エアスプリング装置とホバー装置とを別体で構成し、それぞれを平板MPの下面に設けることとしても良い。
【0123】
また、上記実施形態では、エアスプリング装置及びホバー装置を採用したが、これに限らず、ウエハステージモジュール30、カウンタマスモジュール32A、32Bの高さ方向の位置を調整することができる装置であれば、エアスプリング装置以外の装置を採用することとしても良いし、ウエハステージモジュール30、カウンタマスモジュール32A、32BをベースプレートBS上で浮上させることができる装置であれば、エアホバー以外の装置(例えば、気体静圧軸受など)を採用することとしても良い。
【0124】
また、上記実施形態では、ウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32A,32Bとを別体とすることとしたが、これに限らず、ステージモジュールとカウンタマスモジュールを一体的に構成することとしても良い。
【0125】
なお、上記実施形態では、ステージモジュールWSMの電動引出し用の駆動系200を平板MPに設けているが、これに限らず、駆動系200を設けない構成(手動引出しに限る構成)も可能である。この場合、例えば、駆動輪160に代えて、Y軸周りに回転自在な車輪を平板MPに上下動可能に設けると良い。そして、車輪をベースプレートBS及び敷板180に接地させた状態で、ステージモジュールWSMを手動によりX軸方向に移動させることとすれば、ステージモジュールWSMをボディBDに対し簡単に出し入れすることができる。
【0126】
上記実施形態では、ステージモジュールWSM又はカウンタマスモジュール32A,32Bをメンテナンス等する場合について説明したが、上記実施形態で述べたステージモジュールWSMをボディBDに戻す方法は、露光装置の製造工場及び/又は半導体工場などで露光装置を製造する際にも用いられる。
【0127】
例えば、上記実施形態の露光装置100の露光装置本体110は、各構成要素を含む各種モジュール(サブシステム)、例えば照明モジュール、レチクルステージモジュール12、投影レンズモジュール、ウエハステージモジュール30、ステージモジュールWSM、及びボディBDなどを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。ここで、照明モジュールとは、光源及び照明光学系などを含む図1の照明系10のモジュールであり、投影レンズモジュールとは、鏡筒40及び投影光学系PLを含む図1の投影ユニットPUのモジュールである。
【0128】
各種モジュールから露光装置への組み立て工程の一部に、ステージモジュールWSMと、ボディとの組立工程がある。この組立工程において、前述したステップS31〜ステップS42の手順に従って、ボディBDの下方にステージモジュールWSMを搬入後、両者がドッキングされる。各種モジュールから露光装置への組み立て工程には、各種モジュール相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種モジュールから露光装置への組み立て工程の前に、各モジュール個々の組み立て工程がある。例えば、ウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32A,32BとからステージモジュールWSMが組み立てられる。各種モジュールの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。
【0129】
従って、ここで説明した露光装置の製造方法によれば、ステージモジュールWSMをボディBDとのドッキングのため外部からボディBDに向かって駆動する際に、前述と同様の理由により、ステージモジュールWSMのθz方向及びY軸に平行な方向への動きを規制してX軸に平行な方向に安定して移動させることが可能になる。また、駆動輪160の回転駆動によりステージモジュールWSMを移動させるので、容易に移動させることが可能になり、結果的にボディBDに対するステージモジュールWSMの搬入、ひいては露光装置の製造の効率化、及び製造時間の短縮が可能になる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行われる。
【0130】
なお、カウンタマスモジュール32A,32Bを、ウエハステージモジュール30と別のサブシステムとして、露光装置を組み立てることも考えられる。この場合、前述したカウンタマスモジュールの外し動作及びドッキング動作のところで説明したカウンタマスのドッキング動作時と同様にして、ウエハステージモジュール30とカウンタマスモジュール32A,32Bとをドッキングする工程を、各種モジュールから露光装置への組み立て工程の一部として実行すれば良い。
【0131】
なお、上記実施形態ではステージモジュールが、ウエハステージと計測ステージとを有する露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを有する露光装置にも本発明を適用することが可能である。また、単一のウエハステージを有するシングルステージタイプの露光装置に本発明を適用することも可能である。
【0132】
なお、上記実施形態では、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置の製造に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、米国特許第6,952,253号明細書などに開示されているように、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置の製造にも本発明を適用することができる。
【0133】
また、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される、液浸露光装置の製造などにも、本発明を適用することができる。この場合、作業者は、ステージモジュールWSMの各構成部のメンテナンス作業及び交換作業として、前述した作業に加え、例えばウエハテーブル上面の撥液プレート等の清掃及び交換、リニアエンコーダのヘッドの調整、液体供給ノズル及び液体回収ノズルの清掃及び交換等をも行うこととしても良い。
【0134】
なお、上記実施形態では、ウエハステージWST、及び計測ステージMSTがリニアモータにより定盤上で駆動される構成であったが、これに限らず、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示されるローレンツ電磁力駆動方式の平面モータにより駆動されても良い。また、上記実施形態では、スキャニング・ステッパの製造に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置の製造に本発明を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置の製造にも本発明は適用することができる。
【0135】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0136】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外域に波長変換した高調波を用いても良い。
【0137】
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことは言うまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。このほか、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0138】
また、上記実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)を用いても良い。
【0139】
また、国際公開2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0140】
さらに、例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0141】
また、物体上にパターンを形成する装置は、前述の露光装置(リソグラフィシステム)に限られず、例えばインクジェット方式にて物体上にパターンを形成する装置にも本発明を適用することができる。
【0142】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0143】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写形成する液晶用の露光装置や、有機EL、薄型磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0144】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上述した本発明の製造方法の一実施形態に係る製造方法によって製造された上記実施形態の露光装置100を用いて露光が行われ、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上説明したように、本発明の露光装置のメンテナンス方法及び露光装置の製造方法は、半導体素子又は液晶表示素子などを製造するリソグラフィ工程で用いられる種々の露光装置のメンテナンス及び製造に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、半導体素子又は液晶表示素子などのマイクロデバイスの生産に適している。
【符号の説明】
【0146】
22A…エアスプリング装置、22B…ホバー装置、26…エアマウント、29…エアホバー、30…ウエハステージモジュール、32A,32B…カウンタマスモジュール、71…ステージベース、73,74…ベース、75,76…カウンタマス、100…露光装置、110…露光装置本体、160…駆動輪、304b,304c…フォトセンサ、304d、304d、304e、304e…フォトセンサ、W…ウエハ、IL…照明光、WSM…ステージモジュール、WST…ウエハステージ、F…床面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感応物体にエネルギビームを照射し、前記感応物体上にパターンを形成する露光装置のメンテナンス方法であって、
露光本体部から取り外すため、前記感応物体を保持する移動体を含む移動体モジュールを、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ前記第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を前記床面に当接させて駆動することにより、前記第2軸に平行な方向に移動させることを含む露光装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記移動体モジュールは、前記移動体の前記水平面内の移動の際にその駆動力の反力を受けて移動するカウンタマスをさらに含み、
前記移動体及びカウンタマスを、前記移動体モジュールの浮上時のバランスを考慮して、前記第2軸に平行な方向に移動させることに先立って、前記移動体モジュールの内部で前記二次元平面に平行に移動させることを含む請求項1に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記移動体モジュールは、前記移動体及び前記カウンタマスそれぞれを支持する第1、第2の支持部材をさらに含み、
前記移動体、前記カウンタマス、及び前記第1、第2の支持部材を含む複数の部材を一体で降下させることをさらに含む請求項2に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記複数の部材の降下中の傾きを監視することをさらに含む請求項3に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記移動体モジュールは、前記第1、第2の支持部材を個別に支持するとともに、上下方向に伸縮する複数の空気ばね装置をさらに含み、
前記複数の部材の降下は、前記複数の空気ばね装置を縮めることで行われる請求項3又は4に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記移動体及び前記カウンタマスは、前記第1、第2の支持部材に対して非接触支持されており、
前記降下させることに先立って、前記移動体及び前記カウンタマスをそれぞれ前記第1、第2の支持部材上に着地させることをさらに含む請求項3〜5のいずれか一項に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記第2軸に平行な方向に移動させることに先立って、前記カウンタマスの位置が適正であるか否かを判断し、適正でない場合に、前記カウンタマスの位置を調整することをさらに含む請求項2〜6のいずれか一項に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記移動体モジュールは、エアホバー装置をさらに含み、
前記移動体モジュールを、床面上で浮上させた状態は、前記エアホバー装置による浮上力で実現される請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記第2軸に平行な方向に移動させることでは、前記転動部材による前記移動体モジュールの駆動速度が、駆動開始直後と駆動終了直前では、設定速度より低く切り替えられる請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記駆動速度の切り替えは、フォトセンサのオンオフに応じて行われる請求項9に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
前記第2軸に平行な方向に移動させることでは、移動開始後リミットセンサが移動限界位置を検出するまで、前記移動体モジュールが前記第2軸に平行な方向に移動される請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置のメンテナンス方法。
【請求項12】
感応物体にエネルギビームを照射し、前記感応物体上にパターンを形成する露光装置の製造方法であって、
露光本体部に対して搬入するため、前記感応物体を保持する移動体を含む移動体モジュールを、互いに直交する第1軸及び第2軸を含む二次元平面と平行な床面上で浮上させた状態で、かつ前記第1軸に平行な軸廻りに回転又は周回する転動部材を床面に当接させて駆動することにより、前記第2軸に平行な方向に移動させることを含む露光装置の製造方法。
【請求項13】
前記移動体モジュールは、前記移動体の前記水平面内の移動の際にその駆動力の反力を受けて移動するカウンタマスをさらに含み、
前記移動体及びカウンタマスを、前記移動体モジュールの浮上時のバランスを考慮して、前記第2軸に平行な方向に移動させることに先立って、前記移動体モジュールの内部で前記二次元平面に平行に移動させることを含む請求項12に記載の露光装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2軸に平行な方向に移動することを実行した後、
前記移動体モジュールを浮上させたまま、前記転動部材を前記床面から離間させて格納することをさらに含む請求項12又は13に記載の露光装置の製造方法。
【請求項15】
前記移動体モジュールは、前記移動体及び前記カウンタマスそれぞれを支持する第1、第2の支持部材をさらに含み、
前記転動部材を前記床面から離間させて格納した後、前記移動体、前記カウンタマス、及び前記第1、第2の支持部材を含む複数の部材を一体で上昇させることをさらに含む請求項14に記載の露光装置の製造方法。
【請求項16】
前記移動体モジュールは、前記第1、第2の支持部材を個別に支持するとともに、上下方向に伸縮する複数の空気ばね装置をさらに含み、
前記複数の部材の上昇は、前記複数の空気ばね装置を伸ばすことで行われる請求項15に記載の露光装置の製造方法。
【請求項17】
前記露光本体部は、前記移動体モジュールの前記第1の支持部材が、位置決め装置を介して位置決めされるボディを備え、
前記複数の部材が上昇し、前記第1の支持部材が、前記位置決め装置を介して前記ボディに位置決めされ、前記各空気ばね装置の内圧が第1の値以上に達するのを待つことを含む請求項16に記載の露光装置の製造方法。
【請求項18】
前記移動体モジュールは、エアホバー装置をさらに含み、
前記各空気ばね装置の内圧が第1の値以上に達すると、前記エアホバー装置の降下を開始し、前記各空気ばね装置の内圧が第2の値以上になるのを待つことをさらに含む請求項17に記載の露光装置の製造方法。
【請求項19】
前記エアホバー装置の降下を開始から前記空気ばね装置の内圧が第2の値以上になるまでの間、前記エアホバー装置が降下した分、さらに前記各空気ばね装置を伸ばすことで、前記第1の支持部材が、前記位置決め装置を介して前記ボディに位置決めされた状態を維持する請求項18に記載の露光装置の製造方法。
【請求項20】
前記各空気ばね装置の内圧が第2の値以上になると、前記エアホバー装置を着地させる請求項19に記載の露光装置の製造方法。
【請求項21】
前記第2軸に平行な方向に移動させることでは、前記転動部材による前記移動体モジュールの駆動速度が、駆動開始直後と駆動終了直前では、設定速度より低く切り替えられる請求項12〜20のいずれか一項に記載の露光装置の製造方法。
【請求項22】
前記駆動速度の切り替えは、フォトセンサのオンオフに応じて行われる請求項21に記載の露光装置の製造方法。
【請求項23】
前記第2軸に平行な方向に移動させることでは、移動開始後原点位置センサが原点を検出するまで、前記移動体モジュールが前記第2軸に平行な方向に移動される請求項12〜22のいずれか一項に記載の露光装置の製造方法。
【請求項24】
請求項12〜23のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された露光装置を用いて感応物体を露光してパターンを形成することと;
前記パターンが形成された感応物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−165990(P2011−165990A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28399(P2010−28399)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】