説明

非接触認証による印刷データ処理方法

【課題】非接触認証によるデータの出力を行う場合に、データの出力権限を有する正当な利用者を確実に認証しつつ、データの出力に伴い発生する料金を簡便な方法により課金することのできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】コンピュータ10(3、6、8)及びプリンタ30(4、7)はそれぞれ非接触認証コードを読み取る非接触認証デバイスを備えている。移動体通信機器50は非接触認証コードを送信する非接触通信デバイスを備えている。移動体通信機器50が接近したプリンタ30は非接触認証コードを読み出し、一致した認証データが付加されている印刷データの印刷データ情報を移動体通信機器50に送信する。移動体通信機器50の使用者は表示装置で所望の印刷データ情報を選択して印刷指示を送信し、データの出力に対して課される料金を、移動体通信機器50を介して支払う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触認証による印刷データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷データの印刷処理方法として、印刷データの安全性の確保を考慮した印刷出力管理を行う方法が知られている。
【0003】
例えば、暗号鍵と共に指紋データをRFID(radio frequency identification)カードに記録し、パーソナルコンピュータで作成した印刷データを暗号鍵と指紋データと共にMFP(Multi Function Printer:多機能印刷機)に送信し、そのRFIDカードの所持者がMFPに近づくと非接触認証が行われ、上記の印刷データが印刷出力されるものが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
また、例えば、無線通信を行う対象として指定された複数の機器にそれぞれ非接触ICチップを設け、非接触IC読み取り部により読み取って取得した機器IDに基づいて所望の機器を特定し、その特定した機器から取得した画像データを印刷する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開2006−338307号公報
【特許文献2】特開2005−099945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、非接触認証による印刷データの安全性確保にのみ重点が置かれ、当該印刷データに対する他の処理やその他の利便性の確保については何らの考慮もなされていないという不満が残るものである。
【0006】
また、特許文献2の技術は、特定の装置とその装置の周囲にその装置と無線通信ができる複数の機器が存在することが前提となっており、現在のICタグの通信距離が最大でも5m前後であることを考えると、無線通信を用いたシステム構築の手法としては自由度のない方法であって応用性や利用性に欠けるという問題がある。
【0007】
更には、非接触認証によりデータを出力するサービスを事業として展開するには、正当なサービスの利用者を確実に認証し、データの出力サービスに対して発生する料金を簡便に徴収する技術が必要となる。
【0008】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、非接触認証によるデータの出力を行う場合に、データの出力権限を有する正当な利用者を確実に認証しつつ、データの出力に伴い発生する料金を簡便な方法により課金することのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触認証による印刷データ処理方法は、コンピュータにおいて、認証を行う認証コードを移動体通信機器から非接触にて取得する工程と、前記印刷装置において出力すべき出力データを取得する工程と、該取得した出力データに前記認証コードを付加し該認証コードの付加された前記出力データを印刷装置に送信する工程と、を含み、前記印刷装置において、前記コンピュータ側から送信された認証コード付き出力データを受信する工程と、該受信した前記認証コード付き出力データを記憶装置に記憶する工程と、所定の領域内に前記認証コードを保持した前記移動体通信機器が存在することを検知する工程と、検知された前記移動体通信機器から前記認証コードを非接触にて読み出す工程と、該読み出した認証コードが前記記憶装置に記憶されている前記認証コード付き出力データの認証コードと合致する否か比較する工程と、両前記認証コードが合致したとき前記出力データの出力に対する料金を算出する工程と、前記算出した料金と、前記移動体通信機器においてチャージされている金額とを比較する工程と、前記移動体通信機器においてチャージされている金額が前記算出した料金以上であるときは、前記認証コード付き出力データの識別データを前記移動体通信機器に送信する工程と、前記移動体通信機器から前記識別データで識別される前記認証コード付き出力データの印刷を指示する指示信号を受信したとき該認証コード付き出力データを前記記憶装置から読み出して出力する工程と、前記移動体通信機器においてチャージされている金額から前記算出した料金分の引き落としを行う工程と、を含むように構成される。
【0010】
あるいは、本発明の非接触認証による印刷データ処理方法は、コンピュータにおいて、認証を行う認証コードを移動体通信機器から非接触にて取得する工程と、前記印刷装置において出力すべき出力データを取得する工程と、該取得した出力データに前記認証コードを付加し該認証コードの付加された前記出力データを印刷装置に送信する工程と、を含み、前記印刷装置において、前記コンピュータ側から送信された認証コード付き出力データを受信する工程と、該受信した前記認証コード付き出力データを記憶装置に記憶する工程と、所定の領域内に前記認証コードを保持した前記移動体通信機器が存在することを検知する工程と、検知された前記移動体通信機器から前記認証コードを非接触にて読み出す工程と、該読み出した認証コードが前記記憶装置に記憶されている前記認証コード付き出力データの認証コードと合致するか否か比較する工程と、両前記認証コードが合致したとき前記出力データの出力に対する料金を算出する工程と、前記移動体通信機器により前記料金の引き落としを行う決済システムが指定されると、前記認証コード付き出力データの識別データを前記移動体通信機器に送信する工程と、前記移動体通信機器から前記識別データで識別される前記認証コード付き出力データの印刷を指示する指示信号を受信したとき該認証コード付き出力データを前記記憶装置から読み出して出力する工程と、前記決済システムからの前記算出した料金分の引き落としを行う工程と、を含むように構成される。
【0011】
更には、前記移動体通信機器が前記所定の領域内に存在することが検知されると、該移動体通信機器が前記決済システムを利用するときに使用する、前記認証コードとは異なる第2の認証情報の入力を該移動体通信機器に要求する工程と、前記要求に対して前記移動体通信機器により入力された第2の認証情報が前記コンピュータにおいて保持する第2の認証情報と合致するか否か比較する工程と、を更に含み、両前記認証コード及び両第2の認証情報のいずれもが合致している場合に、前記出力データに対する料金の算出工程を実行することとしてもよい。
【0012】
上記の非接触認証による印刷データ処理方法は、前記印刷出力処理に対して課金すべき料金を算出する工程と、前記移動体通信機器が利用可能な電子決済システムにチャージされている金額から、前記料金分の引き落としを行う工程と、を更に含む構成としてもよい。
【0013】
前記出力データは、前記移動体通信機器の記憶手段に記憶されているデータからなり、前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する。
【0014】
あるいは、前記出力データは、ウェブサイトの内容からなり、前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する。
【0015】
あるいは、前記出力データは、ストレージサービスにより提供されるストレージ空間のデータからなり、前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非接触認証技術を利用して、正当なサービスの利用者を確実に認証し、データの出力サービスに対して発生する料金を簡便に徴収することが可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における非接触認証による印刷データ処理方法を実現するための全体システムの構成図である。
【0018】
図1に示すように、非接触認証による印刷データ処理システムは、例えば大容量の記憶装置を備えたコンピュータからなるメインフレーム1と、このメインフレーム1に対しLAN(local area network)2を介して接続された複数(同図では4台)のコンピュータ3、及び複数(同図では11台)のプリンタ4を備えている。
【0019】
また、LAN2には、更に他のLAN5が接続されており、このLAN5には、複数(同図では6台)のラップトップPC(パーソナルコンピュータ)6、複数(同図では5台)のプリンタ7、及び複数(同図では4台)のワークステーション8が接続されている。
【0020】
上記LAN2に接続されているプリンタ4、及びLAN5に接続されているプリンタ7に、いずれも大容量の記憶装置9を備えている。
【0021】
図2は、上記の全体システム構成図におけるコンピュータ3、ラップトップPC6、又はワークステーション8の内部主要部の構成を、代表的にパーソナルコンピュータを例にとって説明する図である。
【0022】
図2に示すように、パーソナルコンピュータ10(又はコンピュータ3、又はラップトップPC6、又はワークステーション8、以下同様)は、CPU(central processing unit)11を中心に、このCPU11にバス12を介して接続されたROM(read only memory)13、RAM(Random Access Memory)14、HD(hard disk)15からなる記憶部と、同じくバス12に接続された表示制御部16、入力制御部17、USB(universal serial bus)通信制御部18、及びLAN通信制御部19を備えている。
【0023】
上記のROM13にはパーソナルコンピュータ10を制御するためのOSが記憶されている。
【0024】
RAM14には、HD15から読み出された各種のアプリケーション、ドライバ、管理ツールが常駐又はそれらが起動される都度格納される。また、RAM14には、アプリケーション、ドライバ、又は管理ツールが常駐又は格納されると共に、CPU11が演算処
理する途中データや結果データが所定の記憶領域に格納される。
【0025】
CPU11は、ROM13から読み出したOSに従って動作し、必要に応じてHD15又はRAM14から所望のアプリケーション、ドライバ又は管理ツールを読み出し、その読み出したアプリケーション、ドライバ又は管理ツールに基づいて各部を制御する。
【0026】
そして、上記のHD15には、少なくとも印刷装置ドライバ21、各種のアプリケーション22、及び非接触認証コード管理ツール23がインストールされている。
【0027】
印刷装置ドライバ21は、このパーソナルコンピュータ10で作成された文章や図面をこのパーソナルコンピュータ10にLAN又は専用通信線で接続されているプリンタ4又は7に、印字様式その他の印字条件を付与した状態で送信するときに起動される。
【0028】
アプリケーション22は、このパーソナルコンピュータ10にプレインストールされているものの他に、このパーソナルコンピュータ10を使用する使用者の要望に応じてインストールされた数だけの、例えば各種の文章、各種の図面を作成可能な多種類のアプリケーションで構成されている。
【0029】
非接触認証コード管理ツール23は、このパーソナルコンピュータ10を使用する複数の使用者の非接触認証コード(UIDcode:unique identification cord)を記憶・管理している。
【0030】
また、表示制御部16にはディスプレイ24が接続され、入力制御部17にはキーボード25が接続され、USB通信制御部18には非接触型認証装置26が接続されている。
【0031】
表示制御部16は、CPU11からの制御のもとに、起動されたアプリケーション22から指示される表示内容や、その表示内容に対応して入力制御部17を介してキーボード25から入力されるイベントに基づく表示内容をディスプレイ24に表示する。
【0032】
USB通信制御部18は、非接触型認証装置26への入出力を制御する。非接触型認証装置26は、USB通信制御部18に接続された非接触型認証制御部27とこの非接触型認証制御部27に接続されている非接触認証デバイス28とから成る。
【0033】
上記の非接触認証コード管理ツール23により記憶・管理されている複数の使用者にそれぞれ対応する非接触認証コードは、CPU11によって、非接触認証制御部27の非接触認証デバイス28を介して読み取られた移動体通信機器の非接触認証コードと対比され、一致するものがあるか否かが検証される。
【0034】
LAN通信制御部19は、このパーソナルコンピュータ10にLAN2及び5を介して接続されている他のパーソナルコンピュータ10、プリンタ4、又は7とこのパーソナルコンピュータ10との通信を制御し、印刷装置ドライバ21から渡された文章や図面の印刷データを、他のパーソナルコンピュータ10、プリンタ4、又は7に送信し、又は他のパーソナルコンピュータ10の印刷装置ドライバ21が作成した印刷データを受信する。
【0035】
図3は、上記の全体システム構成図におけるプリンタ4及び7の内部主要部の構成を、代表的にMFP(multi function printer)を例にとって説明する図である。
【0036】
図3に示すように、MFP30は、MFP制御部31とスキャナ部32とプリンタ部33とから構成されている。MFP制御部31は、MFPメイン制御部34を備えている。
【0037】
そして、このMFPメイン制御部34に、非接触通信制御部35が接続され、この非接触通信制御部35には非接触通信デバイス36が接続されている。
【0038】
また、MFPメイン制御部34には、LAN通信制御部37、記憶装置制御部38が接続されている。この記憶装置制御部38にはHDを備えた記憶装置部39が接続されている。
【0039】
また、MFPメイン制御部34には、更に、読取機構制御部41が接続され、この読取機構制御部41には、スキャナ部32の読取機構部42が接続されている。
【0040】
また、MFPメイン制御部34には、表示操作制御部43が接続され、この表示操作制御部43には表示操作部44が接続されている。
【0041】
更に、MFPメイン制御部34には、FAX(facsimile)通信制御部45とプリンタ部33のプリンタ制御部46が接続されている。プリンタ制御部46にはプリンタのエンジン部である印刷機構部47が接続されている。この印刷機構部47から印刷結果48が印刷出力される。
【0042】
上記の非接触通信制御部35は、非接触通信デバイス36を制御して、自機MFP30の近傍を通過する又は近傍に停止した移動体通信機器の非接触認証コードを読み取ってMFPメイン制御部34に通知する。
【0043】
LAN通信制御部37は、このMFP30にLAN2及び5を介して接続されているパーソナルコンピュータ10又は他のMFP30とこのMFP30との通信を制御し、自機MFP30を指定してきたパーソナルコンピュータ10で作成された文章や図面の印刷データを受信し、必要に応じて他のMFP30の記憶装置部(HD)39に記憶されている印刷データを受信する。
【0044】
記憶装置制御部38は、MFPメイン制御部34からの制御のもとに、LAN通信制御部37が外部から受信した後述する非接触認証コード付き印刷データを記憶装置部(HD)39に格納する。
【0045】
スキャナ部32は、読取機構部42に設定された原稿の内容を読み取って、その読み取った原稿の内容を、読取機構制御部41を介してMFPメイン制御部34に通知する。
【0046】
表示操作部44は、例えばタッチパネル式の表示操作装置からなり、表示操作制御部43からの制御のもとに、自機MFP30の使用者に必要事項を表示報知し、その使用者からのタッチ入力イベントを、表示操作制御部43を介してMFPメイン制御部34に通知する。
【0047】
FAX通信制御部45は、MFPメイン制御部34からFAXで通信するよう指示された通信データを、同じく指示されたFAX送信先に、LAN2又はLAN5を介して送信する。あるいは、LAN2又はLAN5を介して自機MFP30宛てに送信されたFAX通信データを受信して、MFPメイン制御部34に通知する。
【0048】
プリンタ制御部46は、MFPメイン制御部34からの制御のもとに、スキャナ部32に読み取られた原稿内容を始めとして、記憶装置部(HD)39から読み出された印刷データや、FAX通信で受信した印刷データ等を、印刷機構部47により、印刷結果48として印刷出力する。
【0049】
図4は、本例の全体システム構成図には図示を省略した移動体通信機器の内部主要部の構成を説明する図である。
本例における移動体通信機器には、非接触ICカード、携帯電話、無線LAN機器、無線通信可能な電子手帳や携帯ゲーム機、赤外線通信機器、Bluetooth(登録商標)機器、ICカードを装着したコンピュータ等が含まれる。いずれの場合も、非接触認証コードを備えているものとする。
【0050】
尚、上記に挙げた移動体通信機器の中ではICカードのみが特異な例である。一般に、非接触通信装置本体機器と通信するICカードの場合は、アンテナに接続されたICチップを備え、アンテナが受信した電波によって電力を生じてICチップのプログラムが起動し、ICチップ内のメモリに書き込まれている非接触認証コードやそのたのデータが非接触通信装置本体機器との間で通信される。ICカードの具体的な構成については、後述する。
【0051】
通信距離は短いもので数cm、長いものでも2〜5mであり、使用目的、アンテナの形状、アンテナの設計許容サイズによって通信距離は異なってくる。
【0052】
しかし、携帯電話その他の自機内に電源が内蔵されている無線通信可能な移動体通信機器は、大電力を使用でき、アンテナの性能や赤外線送受信装置も比較的長距離型であるので、通信距離は上記のように短距離ではない。また、非接触認証コードやその他のデータも、RAMやHDに記憶しておくことができる。
【0053】
図4に示す移動体通信機器は、上記のように自機内に電源が内蔵されている大電力使用型の移動体通信機器を例にとって示している。
図4に示す移動体通信機器50は、CPU51を中心に、このCPU51にバス32を介して接続されたROM53、RAM54、不揮発メモリ又はHD55からなる記憶部と表示制御部56、入力制御部57、非接触型認証装置58、及び無線通信制御部59を備えている。
【0054】
上記の不揮発メモリ又はHD55には、アプリケーション61や、非接触認証コード62等が記憶されている。また、表示制御部56にはディスプレイ63が接続され、入力制御部57にはキーボード64が接続されている。
【0055】
また、非接触型認証装置58には、非接触型認証制御部65とこの非接触型認証制御部65に接続されている非接触認証デバイス66が設けられている。
【0056】
上記の移動体通信機器50のCPU51、バス32、ROM53、RAM54、不揮発メモリ又はHD55、表示制御部56、入力制御部57、非接触型認証装置58、アプリケーション61、ディスプレイ63、キーボード64、非接触型認証制御部65、及び非接触認証デバイス66の構成及び機能は、図2に示したパーソナルコンピュータ10の
CPU11、バス12、ROM13、RAM14、HD15、表示制御部16、入力制御部17、非接触型認証装置26、アプリケーション22、ディスプレイ24、キーボード25、非接触型認証制御部27、及び非接触認証デバイス28の構成及び機能とほぼ同一である。
【0057】
尚、移動体通信機器50の無線通信制御部59は、CPU51の制御のもとに、不揮発メモリ又はHD55に格納されている非接触認証コード62を読み出して、その読み出した非接触認証コード62を、不図示のアンテナ送受信機又は赤外線送受信器により外部に発信し、また、キーボード64からの入力イベントを同じく外部に発信し、外部からの自機宛通信を受信する。
【0058】
図4に示す移動体通信機器50の構成のうち、図2に示すパーソナルコンピュータ10の構成と異なる点は、課金関連チャージ情報67を備えることである。課金関連チャージ情報67は、電子決済処理において、印刷処理に対して課金をするときに参照され、ユーザがその電子決済システムにチャージしている金額等の情報を含む。
【0059】
図5は、ICカードの構成図である。図5に示すICカードは、不揮発メモリ71、アプリケーション72、非接触通信制御部73、非接触通信デバイス74、課金関連チャージ情報75及び非接触認証コード76を含んで構成される。
【0060】
アプリケーション72は、非接触通信デバイス74を制御する非接触通信制御部73において動作する印刷用のアプリケーションソフトからなる。非接触認証コード76は、図4に示す移動体通信機器50におけるそれと同様に、プリンタ30において非接触認証を行うときに使用する非接触認証コードを保持している。非接触認証コードにより、プリンタ30においては、そのICカード5を他の通信装置と識別することができる。
【0061】
不揮発メモリ71は、ICチップ等の不揮発メモリから構成される。図5に示すICカード5における不揮発メモリ71は、その記憶領域が複数のブロックに分かれており、ブロックごとにデータの読み出し/書き込みが制御される。
【0062】
課金関連チャージ情報75は、移動体通信機器50における課金関連チャージ情報63と同様に、印刷処理に対して課金をするときに参照され、ユーザがチャージしている金額等の情報からなる。
【0063】
図6(a) は、各実施形態に共通のPC(パーソナルコンピュータ)の印刷データ出力の処理動作を説明するフローチャートであり、図6(b) はMFP(以下、単にプリンタともいう)側で受信した印刷データ保存処理を説明するフローチャートである。
【0064】
先ず、印刷開始のアプリケーションが起動される(ステップS1)。この処理では、図2に示すパーソナルコンピュータ10のアプリケーション22の中の印刷アプリケーショが起動される。
【0065】
そして、パーソナルコンピュータ10の使用者(例えば使用者A)により、例えばキーボード25が操作され、ディスプレイ25を見ながら、上記アプリケーションが有するフォーマットによって文章や図面等の印刷データが作成される。
【0066】
この印刷データの作成の終了が確認入力されると、印刷装置ドライバ21は、非認証コード管理ツールにより、非接触認証デバイス28から認証コードを取得する(ステップS2)。
【0067】
この処理では、非認証コード管理ツール23からの指示により、非接触型認証制御部27が非接触認証デバイス28を制御して、使用者Aが所有する図4に示す移動体通信機器50と非接触の通信を行い、使用者Aが所有する移動体通信機器50の不揮発メモリ又はHD55に記憶されている非接触認証コード62を、非接触型認証制御部65及び非接触認証デバイス66を介して取得する。
【0068】
続いて、印刷装置ドライバ21は、上記作成が終了した文章や図面等の印刷データ(以下、単に印刷データという)に上記取得された非接触認証コード62を付加して、この非接触認証コード62が付加された印刷データを、使用者Aが指定するプリンタに、有線又は無線で送信する(ステップS3)。
【0069】
上述した処理は、使用者Aに限ることなく、パーソナルコンピュータ10の複数の使用者B、C、D・・・によって実行される印刷データ入力操作に対応して行われる。
【0070】
これらの印刷データを受信した図3に示すプリンタ側では、MFPメイン制御部34が図6(b) に示すように、受信した印刷データ内の認証コードを認識する(ステップS11)。
【0071】
この処理は、上記パーソナルコンピュータ10におけるステップS3において印刷データに付加された認証コードを検出する処理である。
【0072】
そして、MFPメイン制御部34は、この検出された認証コード毎に印刷データを別々に仕分けして記憶装置部(HD)39に保存する(ステップS12)。これにより認証コードが付加されている印刷データが、認証コード毎に仕分けされて記憶装置部(HD)39に保存される。
【0073】
ここまでに説明したパーソナルコンピュータ10及びMFP30による処理は、以下に述べる実施形態1〜11において、前段の処理として共通に行われる処理である。
【0074】
(実施形態1)
続いて、上記の構成及び処理を前提とした実施形態1としての移動体通信機器50による印刷データ情報入力処理とプリンタ30による印刷制御の処理について説明する。
【0075】
図7(a) は、移動体通信機器50による印刷データ情報入力処理を説明するフローチャートであり、図7(b) は、プリンタ30による印刷制御の処理を説明するフローチャートである。
【0076】
図7(a) に示すように、本例では、先ず移動体通信機器50において、アプリケーション61が起動され、このアプリケーション61に基づいて、CPU51は、移動体通信機器50の所有者の操作により移動体通信機器50に一体のキーボード64、又は非接触通信デバイス66、又は無線通信制御部59を介して外部から入力される印刷データ情報を取得する(ステップS21)。
【0077】
この処理における印刷データ情報としては、例えば印刷を実行するプリンタの機番、印刷データの指定では例えば印刷データを特定するファイル名等の識別コード又はプリンタに保存されている全ての印刷データ、印刷データの保存場所指定では例えば親展印刷ジョブのフォルダ、パスワードの指定では例えば「パスワード=◎○□△」等の情報である。
【0078】
移動体通信機器50のCPU51は、上記いずれかの方法により入力された上記のような印刷データ情報を、不揮発メモリ又はHD55の所定の領域に格納する(ステップS22)。
【0079】
尚、本例の場合、上記の処理に先立って、図6(a) のステップS1の処理では、印刷データが作成されたとき、これと共に上記の印刷データ情報も入力されているものとする。
【0080】
次に、プリンタ30による印刷制御の処理では、先ず、MFPメイン制御部34は、図7(b) に示すように、非接触通信制御部35及び非接触通信デバイス36を介した移動体通信機器50の非接触通信デバイス66との通信により、移動体通信機器50が自機プリンタ30に接近しているのを確認する(ステップS31)。
【0081】
この確認に続いて、MFPメイン制御部34は、上記移動体通信機器50の認証コードを、上記と同様の通信方法により取得する(ステップS32)。
【0082】
そして、MFPメイン制御部34は、上記取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されているか否か検索する(ステップS33)。
【0083】
そして、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されていないときは(S33がNo)、何も処理を行わない。
【0084】
一方、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されているときは(S33がYes)、移動体通信機器50の不揮発メモリ又はHD55に格納されている上記の印刷データ情報を、上記と同様の通信方法により取得する(ステップS34)。
【0085】
そして、この取得した印刷データ情報と合致する印刷データ情報を有する印刷データが記憶装置部39に格納されているか否か検索する(ステップS35)。
【0086】
この検索で、取得した印刷データ情報と合致する印刷データ情報を有する印刷データが記憶装置部39に格納されていないときは(S35がNo)、何も処理を行わない。
【0087】
一方、取得した印刷データ情報と合致する印刷データ情報を有する印刷データが記憶装置部39に格納されているときは(S35がYes)、その印刷データをプリンタ部33の印刷機構部47において印刷出力する(ステップS36)。
【0088】
このように、予めパーソナルコンピュータ10から認証コードを付与された印刷データ情報を有する印刷データが所定のプリンタ30に送信され、その印刷データを入力した人物が上記のプリンタ30に近接しただけで、その人物が所有する移動体通信機器50の認証コードがプリンタ30により読み出されて認証され、プリンタ30に送信されていた印刷データが自動的に印刷出力される。
【0089】
このように、印刷データを入力した人物が、その印刷データによる印刷出力を得るためにプリンタ30に近づいたときだけ本人分の且つ印刷データ情報で指定された印刷データが印刷出力がなされるので、所望の印刷出力の取り忘れが無くなる。
【0090】
また、印刷データをプリンタに送信しただけでは印刷出力が行われないので、印刷出力を得るためにプリンタ30に近づいた人物の印刷出力と他人の印刷出力が混合することもない。
【0091】
(実施形態2)
次に、実施形態2としてのプリンタ30による印刷データ情報の提供処理、移動体通信機器50による印刷データの選択処理、及びプリンタ30による印刷制御の処理について説明する。
【0092】
図8(a) は、プリンタ30による印刷データ情報の提供処理と印刷制御の処理を説明するフローチャートであり、図8(b) は移動体通信機器50による印刷データの選択処理のフローチャートである。
【0093】
先ず、図8(a) において、ステップS41、S42、及びS43の処理は、図7(b) に示したステップS31、S32、及びS33の処理と同一である。
【0094】
また、本例の場合も、図6(a) のステップS1の処理では、印刷データが作成されたとき、これと共に前述した印刷データ情報も入力されているものとする。
【0095】
本例においては、続くステップS44の処理が図7(b) の場合と異なる。すなわち本例においては、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されているときは(S43がYes)、次のステップS44の処理では、当該印刷データの印刷データ情報を、ここまでと同様の通信方法により、移動体通信機器50に送信する。
【0096】
これに対して、移動体通信機器50の処理では、図8(b) に示すように、移動体通信機器50のCPU51は、受信した上記の印刷データ情報をディスプレイ63に表示する(ステップS51)。
【0097】
ここで移動体通信機器50の所有者により、キーボード64の例えば上下左右のカーソルキーと中央の決定ボタンからなる十字キーが操作され、ディスプレイ63に表示されている印刷データ情報が単数であればそのまま選択され、複数であれば所望の印刷データ情報をカーソルキーで選択することにより、その選択した印刷データ情報で特定される印刷データが選択される。
【0098】
更に移動体通信機器50の所有者により、アプリケーション61で表示されるメニューの中から、印刷方法が指定される(ステップS52)。
【0099】
この指定される印刷方法は、例えば印刷枚数、印刷部数、片面印刷、両面印刷、余白代等の印刷条件である。尚、拡大印刷、縮尺印刷等の印刷条件が加わっても良いことは言うまでも無い。
【0100】
移動体通信機器50のCPU51は、上記選択・指定された情報をプリンタ30に送信する(ステップS53)。
【0101】
ここで再びプリンタ30側では、図8(a) に示すように、選択された印刷データ情報に合致する印刷データを再び記憶装置部39から読み出し、その印刷データを移動体通信機器50から指定された印刷方法に合わせてプリンタ部33の印刷機構部47において印刷出力する(ステップS45)。
【0102】
このように、予めパーソナルコンピュータ10から認証コードを付与された印刷データとその印刷データ情報が所定のプリンタ30に送信され、その印刷データを入力した人物が上記のプリンタ30に近接しただけで、その人物が所有する移動体通信機器50の認証コードがプリンタ30により読み出されて認証され、予めプリンタ30に送信されていた上記認証と印刷データ情報に対応する印刷データが予め指定されている印刷方法で自動的に印刷出力される。
【0103】
(実施形態3)
次に、実施形態3としてのプリンタ30による印刷データ情報の提供処理と印刷制御の他の形態による処理、及び移動体通信機器50による印刷データの選択処理について説明する。
【0104】
図9(a) は、実施形態3としてのプリンタ30による印刷データ情報の提供処理と印刷制御の処理を説明するフローチャートであり、図9(b) は移動体通信機器50による印刷データの選択処理のフローチャートである。
【0105】
先ず、図9(a) において、ステップS61、及びS62の処理は、図8(a) に示したステップS41、及びS42の処理と同一である。
【0106】
尚、本例の場合も、図6(a) のステップS1の処理では、印刷データが作成されたとき、これと共に前述した印刷データ情報も入力されているものとする。
【0107】
また、送信対象となるプリンタは特定の1台のみではなく、図1に示したLAN2及び5のネットワークに接続されている全てのプリンタ4又は7の任意の複数台に送信され得るものとする。
【0108】
本例においては、続くステップS63以降の処理が図8(a) の場合と異なる。すなわち本例においては、プリンタ30のMFPメイン制御部34は、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データを、ネットワーク等に接続されている全てのプリンタ30の記憶装置部39を検索して、その情報を収集する(ステップS63)。
【0109】
この処理では、ネットワーク等に接続されている全てのプリンタ30の記憶装置部39が検索され、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが有れば、その印刷データの印刷データ情報が、移動体通信機器50と対話中の当該プリンタ30の記憶装置部39に収集される。
【0110】
そして、MFPメイン制御部34は、取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データの印刷データ情報が記憶装置部39に収集されているか否かを判別する(ステップS64)。
【0111】
この判別処理では、記憶装置部39にたとえ1個でも該当する印刷データ情報が収集されていれば、検索対象となった上記認証コードが合致する印刷データが存在すると判別される。
【0112】
そして、MFPメイン制御部34は、記憶装置部39に認証コードが合致する印刷データの印刷データ情報が1個も収集されていないときは(S64がNo)、認証コードが合致する印刷データが存在しないと判断して、何も実行しない。
【0113】
一方、MFPメイン制御部34は、記憶装置部39に認証コードが合致する印刷データの印刷データ情報が1個でも収集されているときは(S64がYes)、認証コードが合致する印刷データが存在すると判断し、記憶装置部39に収集されている印刷データ情報をこれまでと同様の通信方法により移動体通信機器50に送信する(ステップS65)。
【0114】
これに対する移動体通信機器50の処理において、図9(b) に示すステップS71、S72、及びS73の処理は、図8(b) に示した移動体通信機器50におけるステップS51、S52、及びS53の処理と同一である。
【0115】
プリンタ30側では、上記ステップS53の処理で送信された選択・指定された情報を受信して、図9(a) に示すように、選択・指定された情報に基づいて、自機プリンタも含む該当するプリンタ30の記憶装置部39から選択・指定された情報に対応する印刷データを取得し、自機プリンタの記憶装置部39の所定のワーク領域内に転送する(ステップS66)。
【0116】
そして、その印刷データを自機プリンタの記憶装置部39の所定のワーク領域から読み出し、その印刷データを、上記選択・指定された情報に対応する印刷方法に合わせてプリンタ部33の印刷機構部47において印刷出力する(ステップS67)。
【0117】
このように、本例では、プリンタは、接近した移動体通信機器との認証が確立出来た段階で、自らも含めてネットワーク等に接続された他の全てのプリンタから、それぞれが保持する上記認証に合致する印刷データ情報及びそれぞれの保存場所情報を非接触通信により移動体通信機器側に送信する。
【0118】
表示装置を有している移動体通信機器は、受信した情報を表示装置に表示し、移動体通信機器の使用者は、表示装置に表示された中から所望のデータを選択し、更に印刷方法を指定する。
【0119】
プリンタは、それら選択・指定された情報を移動体通信機器から受信して取得し、その取得した情報に合わせて印刷を実行する。
【0120】
他のプリンタに保持されている印刷データが指定された場合には、その該当プリンタから印刷データを取得して印刷を実行する。
【0121】
(実施形態4)
次に、実施形態4としてのプリンタ30による印刷データ情報の提供処理と印刷制御の他の形態による処理、及び移動体通信機器50による印刷データの選択処理について説明する。
【0122】
図10(a) は、実施形態4としてのプリンタ30による印刷データ情報の提供処理と印刷制御の処理を説明するフローチャートであり、図10(b) は移動体通信機器50による印刷データの選択処理と記憶処理のフローチャートである。
【0123】
尚、本例の場合も、予め図6(a) のステップS1の処理で、印刷データが作成されたとき、これと共に前述した印刷データ情報も入力されているものとする。
【0124】
また、送信対象となるプリンタは特定の1台のみではなく、図1に示したLAN2及び5のネットワークに接続されている全てのプリンタ4又は7の任意の複数台に送信され得るものとする。
【0125】
先ず、図10(a) において、プリンタ側の処理において、ステップS81〜S85の処理は、図9(a) に示したステップS61〜S65の処理と同一である。
【0126】
これに対する移動体通信機器50の処理において、本例では、図10(b) に示すように、CPU51は、受信した上記の印刷データ情報をディスプレイ63に表示する(ステップS91)。
【0127】
次に、移動体通信機器50の所有者により、キーボード64の例えば上下左右のカーソルキーと中央の決定ボタンからなる十字キーが操作され、取得したい印刷データに対応する印刷データ情報が選択される(ステップS92)。
【0128】
そして、その選択された印刷データ情報がプリンタ30に送信される(ステップS93)。
【0129】
プリンタ30側では、上記ステップS93の処理で送信された選択された情報を受信して、図10(a) に示すように、選択された情報に基づいて、自機プリンタも含む該当するプリンタ30の記憶装置部39から選択された情報に対応する印刷データを取得し、自機プリンタの記憶装置部39の所定のワーク領域内に転送する(ステップS86)。
【0130】
そして、その印刷データを自機プリンタの記憶装置部39の所定のワーク領域から読み出し、その印刷データを、移動体通信機器50に送信する(ステップS87)。
【0131】
移動体通信機器50側では、その送信された印刷データを受信して、その受信した印刷データを自機移動体通信機器50の不揮発メモリ又はHD55に格納する。
【0132】
このように、本例では、プリンタは、接近した移動体通信機器との認証が確立出来た段階で、自機も含めてネットワーク等に接続された他の全てのプリンタから、それぞれが保持する印刷データの印刷データ情報を非接触通信により移動体通信機器側に送信する。
【0133】
表示装置を有している移動体通信機器は、受信した情報を表示し、使用者は、その中からその移動体通信機器側に転写して取得したい印刷データに対応する印刷データ情報を選択指定する。
【0134】
プリンタは、それら選択指定されえた情報を移動体通信機器から受信し、その受信した印刷データ情報に合致する印刷データを該当プリンタから読み出して、その読み出した印刷データを移動体通信機器側に転送する。
【0135】
尚、このように印刷データを自機移動体通信機器に転写する場合は、ステップS83の処理では、認証データに一致する印刷データに限ることなく、公開可能な又は共通の印刷データがプリンタに保持されている場合は、それらの印刷データの印刷データ情報も収集するようにしてもよい。
【0136】
また、移動体通信機器側のステップS92の処理で、ディスプレイに表示されている印刷データ情報とは関係なしに、コンピュータ名、IPアドレス、フォルダ名等を指定して、それらの入力情報をステップS93でプリンタ側に送信するようにしてもよい。
【0137】
プリンタ側では、それらの情報を受け取り、その指定通りの場所に保持されている印刷データを取得して移動体通信機器側に返信し、移動体通信機器側で上記同様にその印刷データを複写(不揮発メモリ又はHD55に格納)するようにしてもよい。
【0138】
(実施形態5)
上記の実施形態においては、LANを介して印刷データ情報を送受して印刷を行っているが、更に、他のネットワークシステム配下の装置において保持されているデータについて、移動体端末機器について認証を取った上で印刷を実行することも可能である。
【0139】
他のネットワークシステム配下の装置において保持されるデータの例としては、移動体通信機器において保持しているデータや、ウェブサイト及びストレージサービスサイト等が挙げられる。以下、これらの各種のデータを印刷する方法について、具体的に説明することとする。
【0140】
図11(a) は、プリンタ30による印刷制御の処理を説明するフローチャートであり、図11(b) は、移動体通信機器50による情報入力の処理を説明するフローチャートである。
【0141】
尚、図11(a) 及び図11(b) に示す処理が実行される前提として、プリンタ30が他のネットワークを介して取得した印刷データを移動体通信機器50側に送信し(図10(a) のステップS86)、移動体通信機器50は、プリンタ30から受信した印刷データを不揮発メモリやHD等に格納して保有している(図10(b) のステップS94)ものとする。以降の実施形態についても同様である。
【0142】
尚、本例の場合は、プリンタ30側において予め図10(a) の処理が実行されているため、プリンタ30においては移動体通信機器50が保有する印刷データについても入力されているものとする。
【0143】
また、上記の実施形態と同様に、送信対象となるプリンタは特定の1台のみではなく、図1に示したLAN2及び5のネットワークに接続されている全てのプリンタ4又は7の任意の複数台に送信され得るものとする。
【0144】
先ず、図11(a) において、ステップS101、及びS102の処理は、図10(a) に示したステップS81、及びステップS82の処理と同一である。
【0145】
プリンタ30のMFPメイン制御部34は、移動体通信機器50の認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されているか検索することにより、その移動体通信機器50がプリンタ30の使用権限を有するか否かを判定する(ステップS103)。
【0146】
取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されていないときは(S103がNo)、特に処理を行わない。
【0147】
取得した認証コードと合致する認証コードを付与されている印刷データが記憶装置部39に格納されているときは(S103がYes)、移動体通信機器50の不揮発メモリ又はHD55に格納されている上記の印刷データ情報及びその印刷方法を、上記ステップと同様の通信方法により取得する(ステップS104)。
【0148】
この指定される印刷方法は、例えば印刷枚数、印刷部数、片面印刷、両面印刷、余白代等の印刷条件である。尚、拡大印刷、縮尺印刷等の印刷条件が加わっても良いことは言うまでも無い。
【0149】
最後に、移動体通信機器50により選択された印刷データを、指定された方法により印刷出力して(ステップS105)、処理を終了する。
【0150】
ここで、上記のプリンタ30における制御処理と並行して、移動体通信機器50において図11(b) の制御処理が実行されている。これにより、上記のステップS104において、プリンタ30は印刷データ情報及び印刷方法を移動体通信機器50から受信する。次に、移動体通信機器50における制御処理について図11(b) を参照して説明する。
【0151】
移動体通信機器50においては、アプリケーション64が印刷用のアプリケーション61を起動することにより、図11(b) に示す一連の処理が開始される。
【0152】
まず、移動体通信機器50において保持している情報を、移動体通信機器50のディスプレイ57に表示させる(ステップS111)。そして、ディスプレイ57に表示されている1以上のデータのうち、印刷データがユーザにより選択され、印刷方法が指定される(ステップS112)。最後に、選択されたデータ及び印刷方法に係わる情報をプリンタ30に送信し(ステップS113)、処理を終了する。
【0153】
以上説明したように、本実施形態によれば、予め移動体通信機器50の不揮発メモリやHDに格納しておいた印刷データについても印刷出力することができる。
【0154】
(実施形態6)
本実施形態に係る印刷方法においては、プリンタ30は、ウェブサイトのURL情報(Uniform Resource Locator)を移動体通信機器50から取得し、取得した情報にしたがって、ウェブサイトの印刷出力を行う。
【0155】
図12(a) は、パーソナルコンピュータ10による情報入力処理を説明するフローチャートであり、図12(b) は、移動体通信機器50による情報保存処理を説明するフローチャートであり、図12(c) は、プリンタ30による印刷制御の処理を説明するフローチャートである。
【0156】
図12(a) に示すように、先ず、パーソナルコンピュータ10のキーボード39、非接触通信デバイス36及びLAN通信制御部37を介して、印刷対象のウェブサイトのURL情報を取得する(ステップS121)。そして、取得したURL情報を移動体通信機器50に送信する(ステップS122)。URL情報をパーソナルコンピュータ10から受信した移動体通信機器50においては、URL情報を不揮発メモリ又はHD55に格納する。
【0157】
尚、パーソナルコンピュータ10は、図12(a) の処理を実行するとともに、取得したURL情報を保持しておく。
【0158】
あるいは、移動体通信機器50において保存するURL情報等は、移動体通信機器50がウェブサイトの検索等により取得する構成としてもよい。移動体通信機器50においてURL情報を取得する場合における移動体通信機器50の情報保存処理を図12(b) に示す。
【0159】
先ず、移動体通信機器50においては、アプリケーション61が起動される。起動されたアプリケーション61に基づいて、CPU51は、移動体通信機器50の所有者の操作により移動体通信機器50に一体のキーボード64、又は非接触通信デバイス66、又は無線通信制御部59を介して、印刷対象のウェブサイトのURL情報を取得する(ステップS131)。そして、取得したURL情報を不揮発メモリ又はHD55の所定の領域に格納し(ステップS132)、処理を終了する。
【0160】
図12(c) に示す処理が実行される前提として、上記の図12(a) あるいは図12(b) の処理が実行されており、また、パーソナルコンピュータ10又は移動体通信機器50において取得したURL情報が、プリンタ30に転送され、入力されているものとする。
【0161】
また、上記の実施形態と同様に、送信対象となるプリンタは特定の1台のみではなく、図1に示したLAN2及び5のネットワークに接続されている全てのプリンタ4又は7の任意の複数台に送信され得るものとする。
【0162】
図12(c) に示す処理のうち、ステップS141からステップS143の処理は、図11(a) のステップS101からステップS103の処理にそれぞれ対応しており、各ステップにおいて同様の処理が実行される。
【0163】
取得した認証コードと合致する認証コードを付与されているURL情報が記憶装置部39に格納されている場合にのみ(S143がYes)、移動体通信機器50の不揮発メモリ又はHD55に格納されているURL情報を、上記ステップと同様の通信方法により取得する(ステップS144)。
【0164】
そして、URL情報が示すウェブサイトの内容を取得し、印刷出力し(ステップS145)、処理を終了する。
【0165】
以上説明したように、本実施形態によれば、ウェブサイトの内容等を印刷出力することができる。
【0166】
(実施形態7)
本実施形態に係る印刷方法においては、プリンタ30は、インターネットのストレージサービスサイトにアクセスし、ストレージ空間のデータの印刷を行う。
【0167】
図13は、移動体通信機器50による制御処理を説明するフローチャートである。
図13のステップS151、及びS152の処理は、それぞれ図12(b) のステップS131、及びS132と同一である。ステップS151及びS152の処理を実行することにより、移動体通信機器50は、サイトのURL情報を検索して取得しておく。実施形態6と同様に、取得したURL情報については、プリンタ30に転送しておく。
【0168】
上記の実施形態と同様に、送信対象となるプリンタは特定の1台のみではなく、図1に示したLAN2及び5のネットワークに接続されている全てのプリンタ4又は7の任意の複数台に送信され得るものとする。
【0169】
また、ストレージサービスサイトのURL情報は、実施形態6と同様の方法により、パーソナルコンピュータ10において取得し、移動体通信機器50に送信する構成としてもよい。
【0170】
プリンタ30においては、実施形態6と同様に、プリンタ30においてURL情報を取得しておく。そして、図12(c) に示す実施形態6における処理と同様の処理が実行される。
【0171】
プリンタ30において実行される処理のうち、実施形態6と本実施形態とで異なる点は、実施形態6においては図12(c) のステップS144で移動体通信機器50から印刷対象のウェブサイトのURL情報を取得したのに対し、本実施形態においては、ステップS144で、ストレージサービスサイトのURL情報を取得する点である。
【0172】
本実施形態に係る印刷方法によれば、ストレージサービスサイトにアクセスし、ストレージ空間のデータを印刷出力することができる。
【0173】
(実施形態8)
本実施形態においては、上記の実施形態に係る印刷方法によりインターネットを介して取得したデータの印刷出力を行った場合に、移動体通信機器50やICカード5からネットワークの利用や印刷等に対して課金する。
【0174】
図14は、プリンタ30における制御処理を説明するフローチャートである。図14を参照して、上記の実施形態のうち、移動体通信機器50に保持されているデータを印刷対象とする場合を例に、プリンタ30の制御処理を説明する。
【0175】
なお、プリンタ30により印刷出力可能な印刷データとしては、上記のとおり、予めシステムにおいて保持しているデータのほか、移動体通信機器50において保持しているデータや、ウェブサイト及びストレージサービスサイトの内容等が挙げられるが、ここでは、移動体通信機器50に保持しているデータを出力する場合を例に説明することとする。
【0176】
図14に示す処理のうち、ステップS161からステップS163までの処理は、図11(a) のステップS101からステップS104までの処理に相当する。すなわち、プリンタ30が、非接触認証デバイス36を介して移動体通信機器50を認識すると、その移動体通信機器50について非接触認証を行う。認証の結果が認証成功である場合は、その移動体通信機器50から印刷データ情報と印刷方法を取得する。
【0177】
印刷データ情報等を取得すると、移動体通信機器50から課金関連チャージ情報を取得する(ステップS164)。そして、取得した印刷データ及び印刷方法に対して移動体通信機器50の所有者に対して求めるべき料金、すなわち情報提供料や他のネットワークの使用料等の料金と、移動体通信機器50にチャージされている金額とを比較し、情報料等の支払いに十分な金額がチャージされているか否かを判定する(ステップS165)。
【0178】
以降の説明においては、情報提供料や他のネットワークの使用料を含む、プリンタ30におけるデータの出力表示/印刷出力処理に対して移動体通信機器50の所有者に課す料金を、情報料と表現することとする。
【0179】
移動体通信機器50にチャージされている金額が情報料の支払いに不足していると判定されると(ステップS165がNo)、プリンタ30の表示操作部44に「チャージ金額不足」等のメッセージを出力して移動体通信機器50の所有者に対してチャージ金額が情報料の支払いに足りない旨を通知し(ステップS170)、処理を終了する。
【0180】
移動体通信機器50において情報料の支払いが可能な金額がチャージされている場合は(ステップS165がYes)、情報料総額をプリンタ30の表示操作部44に表示する(ステップS166)。
【0181】
そして、情報料の支払いを了承するか否かを移動体通信機器50の所有者に入力させるため、例えば情報料総額と共に、表示操作部44にボタンを表示させ、所有者からの情報を受け付ける(ステップS167)。
【0182】
移動体通信機器50の所有者が情報料の支払いを拒否した場合は(ステップS167がNo)、処理を終了する。
【0183】
一方、移動体通信機器50の所有者が情報料の支払いを了承した場合は(ステップS167がYes)、先にステップS163で移動体通信機器50から取得した印刷データ情報及び印刷方法にしたがって、データの出力を行う(ステップS168)。
【0184】
なお、ステップS168においては、データの「出力」とは、プリンタ30の近傍に設けられたディスプレイへのデータの表示や、プリンタ30による印刷出力処理を実行すること、と定義する。以下の説明においても同様である。
【0185】
最後に、情報料をチャージ金額から引き落とし(ステップS169)、処理を終了する。
本実施形態による印刷方法によれば、移動体通信機器50を用いて各種データの印刷出力を行ったユーザに対し、移動体通信機器50にチャージされている金額からデータの表示処理や印刷出力処理、及び他のネットワークの使用量等に対する引き落としを、表示/印刷出力処理と併せて実行することができる。
【0186】
(実施形態9)
本実施形態に係る印刷方法は、実施形態8に係る印刷方法の変形例である。本実施形態においては、移動体通信機器50の所有者により指定された情報量(ページ数やファイル数等)に応じて印刷出力(あるいはデータの表示)を行い、印刷出力あるいはデータの表示の処理ごとに情報料の引き落としを行う点で、実施形態8と異なる。
【0187】
図15は、プリンタ30における制御処理を説明するフローチャートである。図15を参照して、各種の印刷データのうち、ウェブサイトの印刷を行う場合を例に、図14に示す実施形態8に係るプリンタ30における制御処理と異なる点を中心に説明する。
【0188】
図15に示す処理のうち、ステップS181からステップS84までの処理は、図14のステップS161からステップS164までの処理とそれぞれ対応している。図14のステップS163においては移動体通信機器50に保持されている印刷データ及び印刷方法を移動体通信機器50から取得しているのに対し、図15のステップS183において取得する情報が、ウェブサイトのURL情報である点で異なる。
【0189】
ステップS184において移動体通信機器50の課金関連チャージ情報を取得すると、移動体通信機器50の所有者に対して、プリンタ30において実行すべき処理がウェブサイトの内容のディスプレイへの表示かあるいはウェブサイトの内容の印刷出力であるのか、印刷出力を行う場合はその部数・面付等の印刷方法を、表示操作部44等を介して所有者に指定させる。そして、指定された内容にしたがって、情報料を算出する(ステップS185)。
【0190】
算出した情報料を表示操作部44を介して移動体通信機器50の所有者に示し(ステップS186)、その所有者がステップS185において指定した処理に対して課される料金を支払うのに必要なだけのチャージが移動体通信機器50になされているか否かを判定する(ステップS187)。
【0191】
移動体通信機器50にチャージされている金額が情報料の支払いに不足していると判定されると(ステップS187がNo)、図14のステップS170と同様に、プリンタ30の表示操作部44にチャージ金額が不足している旨のメッセージを表示する(ステップS191)。そして、移動体通信機器50の所有者に対して、表示あるいは印刷出力処理を中断するか否かの判断を求めるメッセージを表示操作部44に表示する(ステップS192)。
【0192】
移動体通信機器50の所有者によりデータの表示あるいは印刷出力処理を中断することが選択された場合は、処理を終了する(ステップS192がYes)。
【0193】
一方、データの表示あるいは印刷出力処理を実行することが選択された場合は(ステップS192がNo)、ステップS192からステップS185に戻り、移動体通信機器50の所有者に対して、再度のプリンタ30において実行する処理内容や印刷方法等の情報の入力を求める。
【0194】
チャージ額が不足しているために表示/印刷出力を実行させることができなかった移動体通信機器50の所有者は、チャージ額に応じたページや部数等の情報を新たに入力する。あるいは、ステップS192の判定において移動体通信機器50の所有者が処理を継続することを選択した場合(ステップS192がNo)に、移動体通信機器50へのチャージを求める構成とすることもできる。
【0195】
ステップS187の判定において、情報料の支払いが可能な金額がチャージされている場合は(ステップS187がYes)、ステップS188に進む。ステップS188以降の処理は、図14のステップS167以降の処理と同様の処理を行うため、ここでは説明を割愛する。
【0196】
図15においてはウェブサイトの内容を表示/出力印刷する場合を例に説明しているが、移動体通信機器50において保持しているデータの表示/出力印刷、あるいはストレージサービスにより提供されるサイトの内容を表示/出力印刷を行うこととしてもよい。この場合は、図15のステップS183においては移動体通信機器50から印刷対象のウェブサイトについてのURL情報を取得しているのに対し、ストレージサービスのサイトを示すURL情報を取得する。
【0197】
以上、本実施形態に係る印刷方法によれば、チャージ金額に応じてデータの表示/印刷出力を行うことができる。
【0198】
(実施形態10)
上記の実施形態8及び9に係る印刷方法においては、移動体通信機器50にチャージされている金額から表示/印刷出力に対する情報料の引き落としを行っている。これに対し、本実施形態に係る印刷方法においては、移動体通信機器50の所有者が契約している他のシステム等から引き落としをするかを決定してから印刷処理を行っている点で異なっている。
【0199】
ここで、引き落としを行う他のシステム等とは、例えば各種機関が提供している電子決済システム、クレジット口座、及び現金での支払いを含む。
【0200】
図16は、プリンタ30における制御処理を説明するフローチャートである。ステップS201からステップS203までの処理は、図14のステップS161からステップS163までの処理とそれぞれ対応している。
【0201】
上記の実施形態8及び9においては、移動体通信機器50の所有者により指定された表示/印刷出力の処理に対して、移動体通信機器50にチャージされている金額から引き落としが可能であるか否かの判定を行った上で、その指定された表示/印刷出力を実行している。
【0202】
これに対し、本実施形態においては、他のシステム等に対して課金を行うため、かかる判定は行わない。先ず、情報料の総額をプリンタ30の表示操作部44に表示し(ステップS204)、移動体通信機器50の所有者に対して、いずれの方法により情報料の支払いを行うかを示す情報の入力を求める(ステップS205)。
【0203】
支払い方法を示す情報が表示操作部44等を介して移動体通信機器50の所有者により入力されると、以降は、図14のステップS167以降の処理と同様の処理を行う。ここで、ステップS203からステップS207の処理を移動体通信機器50の所有者からの要求に応じて複数回繰り返す構成としてもよい。
【0204】
最後に、表示又は印刷出力に要した情報料の総額を、移動体通信機器50の所有者により指定されたシステムから引き落とし処理を行い(ステップS208)、処理を終了する。電子決済システムやクレジット口座からの引き落としを行う場合は、ステップS208で、これらのシステムや口座から引き落としに必要な情報、例えば情報料や使用日時、移動体通信機器50の所有者名等の情報の入力を所有者に対して求める。現金での支払いによる場合は、ステップS208で、現金の入力を求める。
【0205】
以上、本実施形態に係る印刷方法によれば、プリンタ等の各装置を互いに接続しているLAN等とは異なるネットワーク(例えばインターネット)を介して接続される電子決済システム等から、データの出力に対する情報料の引き落とし処理を実行することが可能となる。
【0206】
尚、図16においては移動体通信機器50に保持しているデータを印刷する場合の処理を示しているが、当然に、図16のステップS203で移動体通信機器50から取得する情報が、ウェブサイトのURL情報やストレージサービスサイトのURL情報からなることとしてもよい。
【0207】
(実施形態11)
本実施形態に係る印刷方法は、非接触認証とは異なる認証手段を用いて認証を行った上で、電子決済システムやクレジット口座からの引き落とし、あるいは現金入力による決済処理を行う点で実施形態10と異なる。
【0208】
図17は、プリンタ30における制御処理を説明するフローチャートである。先ず実行されるステップS211の処理は、図16のステップS201の処理と同一である。
【0209】
移動体通信機器50を認識すると、プリンタ30の表示操作部44に、認証用ユーザ名及びパスワード等の認証情報を入力させるテキストボックス等を表示させ、その移動体通信機器50の所有者にこれらの情報の入力を求める(ステップS212)。
【0210】
なお、ステップS212で移動体通信機器50の所有者に対して表示操作部44を介して入力させる認証情報は、例えば、その所有者が契約している電子決済システムやクレジット口座において設定されているユーザ名(契約者名)及びパスワード(あるいは暗証番号)等である。あるいは、移動体通信機器50の所有者が電子決済システムやクレジット口座に加入していない場合は、プリンタ30を含むネットワークシステムにおいて設定されているユーザ名及びパスワードである。
【0211】
移動体通信機器50の所有者により認証用ユーザ名及びパスワード等の認証情報が入力されると、上記の実施形態と同様に、上記の認証コードを用いて、その移動体通信機器50の所有者がプリンタの使用権限を有するか否かを判定すると共に、プリンタ30の表示操作部44を介して入力された認証情報を用いて、移動体通信機器50の所有者が、電子決済システム等の正規の契約者であるか否かを判定する。
【0212】
移動体通信機器50の所有者が、プリンタの使用権限についての認証処理、あるいは電子決済システム等の正規の契約者であるか否かの認証処理のうち、いずれか一方でも認証に失敗した場合は(ステップS213がNo)、処理を終了する。
【0213】
移動体通信機器50の所有者が、プリンタの使用権限を有し、且つ電子決済システム等の正規の契約者であると判定された場合は(ステップS213がYes)、移動体通信機器50から印刷データ(あるいはウェブサイトやストレージサービスサイトのURL情報)、表示あるいは印刷出力のいずれを実行するかについての情報、そして、印刷出力を行う場合には、印刷方法を取得する(ステップS214)。
【0214】
ステップS215、及びS216の処理は、それぞれ図16のステップS204、及びS205と同一である。
【0215】
移動体通信機器50の所有者により支払い方法が入力されると、上記ステップS212と同様に、プリンタ30の表示操作部44に認証ユーザ名及びパスワード等の入力を求める(ステップS217)。
【0216】
ステップS218以降の処理については、図16のステップS206以降の処理と同一である。
【0217】
なお、本例においては、プリンタ30を用いてデータの表示や印刷出力を行おうとしている移動体通信機器50の所有者が、プリンタ30を利用することのできる正規の利用者であるか否かをより確実に認証するために、ステップS212において認証用のユーザ名及びパスワード等の入力を求めている。これに対し、ステップS217においてもこれらの認証情報の入力を求めているが、これは、移動体通信機器50の所有者が、これから引き落としを行おうとしている電子決済システム等の正規の契約者であることを認証することを目的とするものである。
【0218】
本実施形態に係る印刷方法によれば、電子決済システム等からの引き落としを行う際に、非接触認証デバイスを用いた非接触認証に加えて、その利用する電子決済システム等において設定されている認証ユーザ名やパスワード等の認証情報を移動体通信機器50の所有者に入力させる。非接触認証及び非接触認証とは異なる認証手段による認証の双方において認証成功とならない限り、データの表示/印刷出力処理や情報料の引き落とし処理は実行されない。これにより、電子決済システム等の他のシステムの利用に際して、より移動体通信機器50の所有者の本人認証の確度を高めることが可能となる。
【0219】
尚、上記の実施形態に係る各装置及びネットワークを用いることにより、各種の印刷出力(及びディスプレイへの表示)が可能となる。例えば、交通システムにおいては、改札や券売機、精算機等に非接触認証デバイスを設け、あるいは列車内や航空機内のディスプレイや座席の近傍に非接触認証デバイスを設けて、所定の箇所に設置したプリンタにおいて印刷を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】本発明の実施形態における非接触認証による印刷データ処理方法を実現するための全体システムの構成図である。
【図2】全体システム構成図におけるコンピュータ、ラップトップPC又はワークステーションの内部主要部の構成を代表的にパーソナルコンピュータを例にとって説明する図である。
【図3】全体システム構成図における複数のプリンタの内部主要部の構成を代表的にMFP(multi function printer)を例にとって説明する図である。
【図4】全体システム構成図において図示を省略した移動体通信機器の内部主要部の構成を説明する図である。
【図5】移動体通信機器の一例であるICカードの構成を説明する図である。
【図6】(a) は各実施形態に共通のPC(パーソナルコンピュータ)の印刷データ送信の処理動作を説明するフローチャート、(b) はプリンタ側で受信した印刷データの保存処理を説明するフローチャートである。
【図7】(a) は実施形態1としての移動体通信機器による印刷データ情報入力処理を説明するフローチャート、(b) はプリンタによる印刷制御の処理を説明するフローチャートである。
【図8】(a) は実施形態2としてのプリンタによる印刷データ情報の提供処理を説明するフローチャート、(b) は移動体通信機器による印刷データの選択処理のフローチャートである。
【図9】(a) は実施形態3としてのプリンタによる印刷データ情報の提供処理と印刷制御の処理を説明するフローチャート、(b) は移動体通信機器による印刷データの選択処理のフローチャートである。
【図10】(a) は実施形態4としてのプリンタによる印刷データ情報の提供処理と印刷制御の処理を説明するフローチャート、(b) は移動体通信機器による印刷データの選択処理と記憶処理のフローチャートである。
【図11】(a) は実施形態5としてのプリンタによる印刷制御の処理を説明するフローチャート、(b) は移動体通信機器による印刷データ情報の入力処理を説明するフローチャートである。
【図12】(a) は実施形態6としてのパーソナルコンピュータによる情報入力処理を説明するフローチャート、(b) は移動体通信機器による情報保存処理を説明するフローチャート、(c) はプリンタによる印刷制御の処理を説明するフローチャートである。
【図13】実施形態7としての移動体通信機器による制御処理を説明するフローチャートである。
【図14】実施形態8としてのプリンタにおける制御処理を説明するフローチャートである。
【図15】実施形態9としてのプリンタにおける制御処理を説明するフローチャートである。
【図16】実施形態10としてのプリンタにおける制御処理を説明するフローチャートである。
【図17】実施形態11としてのプリンタにおける制御処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0221】
1 メインフレーム
2、5 LAN(local area network)
3 コンピュータ
4、7 プリンタ
6 ラップトップPC(パーソナルコンピュータ)
8 ワークステーション
9 記憶装置
10 パーソナルコンピュータ
11 CPU(central processing unit)
12 バス
13 ROM(read only memory)
14 RAM(Random Access Memory)
15 HD(hard disk)
16 表示制御部
17 入力制御部
18 USB(universal serial bus)通信制御部
19 LAN通信制御部
21 印刷装置ドライバ
22 アプリケーション
23 非接触認証コード管理ツール
24 ディスプレイ
25 キーボード
26 非接触型認証装置
27 非接触型認証制御部
28 非接触認証デバイス
30 MFP(multi function printer)、プリンタ
31 MFP制御部
32 スキャナ部
33 プリンタ部
34 MFPメイン制御部
35 非接触通信制御部
36 非接触通信デバイス
37 LAN通信制御部
38 記憶装置制御部
39 記憶装置部
41 読取機構制御部
42 読取機構部
45 FAX(facsimile)通信制御部
46 プリンタ制御部
47 印刷機構部
48 印刷結果
50 移動体通信機器
51 CPU
32 バス
53 ROM
54 RAM
55 不揮発メモリ又はHD
56 表示制御部
57 入力制御部
58 非接触型認証装置
59 無線通信制御部
61 アプリケーション
62 非接触認証コード
63 ディスプレイ
64 キーボード
65 非接触型認証制御部
66 非接触認証デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにおいて、
認証を行う認証コードを移動体通信機器から非接触にて取得する工程と、
前記印刷装置において出力すべき出力データを取得する工程と、
該取得した出力データに前記認証コードを付加し該認証コードの付加された前記出力データを印刷装置に送信する工程と、を含み、
前記印刷装置において、
前記コンピュータ側から送信された認証コード付き出力データを受信する工程と、
該受信した前記認証コード付き出力データを記憶装置に記憶する工程と、
所定の領域内に前記認証コードを保持した前記移動体通信機器が存在することを検知する工程と、
検知された前記移動体通信機器から前記認証コードを非接触にて読み出す工程と、
該読み出した認証コードが前記記憶装置に記憶されている前記認証コード付き出力データの認証コードと合致する否か比較する工程と、
両前記認証コードが合致したとき前記出力データの出力に対する料金を算出する工程と、
前記算出した料金と、前記移動体通信機器においてチャージされている金額とを比較する工程と、
前記移動体通信機器においてチャージされている金額が前記算出した料金以上であるときは、前記認証コード付き出力データの識別データを前記移動体通信機器に送信する工程と、
前記移動体通信機器から前記識別データで識別される前記認証コード付き出力データの印刷を指示する指示信号を受信したとき該認証コード付き出力データを前記記憶装置から読み出して出力する工程と、
前記移動体通信機器においてチャージされている金額から前記算出した料金分の引き落としを行う工程と、
を含むことを特徴とする非接触認証による印刷データ処理方法。
【請求項2】
コンピュータにおいて、
認証を行う認証コードを移動体通信機器から非接触にて取得する工程と、
前記印刷装置において出力すべき出力データを取得する工程と、
該取得した出力データに前記認証コードを付加し該認証コードの付加された前記出力データを印刷装置に送信する工程と、を含み、
前記印刷装置において、
前記コンピュータ側から送信された認証コード付き出力データを受信する工程と、
該受信した前記認証コード付き出力データを記憶装置に記憶する工程と、
所定の領域内に前記認証コードを保持した前記移動体通信機器が存在することを検知する工程と、
検知された前記移動体通信機器から前記認証コードを非接触にて読み出す工程と、
該読み出した認証コードが前記記憶装置に記憶されている前記認証コード付き出力データの認証コードと合致する否か比較する工程と、
両前記認証コードが合致したとき前記出力データの出力に対する料金を算出する工程と、
前記移動体通信機器により前記料金の引き落としを行う決済システムが指定されると、前記認証コード付き出力データの識別データを前記移動体通信機器に送信する工程と、
前記移動体通信機器から前記識別データで識別される前記認証コード付き出力データの印刷を指示する指示信号を受信したとき該認証コード付き出力データを前記記憶装置から読み出して出力する工程と、
前記決済システムからの前記算出した料金分の引き落としを行う工程と、
を含むことを特徴とする非接触認証による印刷データ処理方法。
【請求項3】
前記移動体通信機器が前記所定の領域内に存在することが検知されると、該移動体通信機器が前記決済システムを利用するときに使用する、前記認証コードとは異なる第2の認証情報の入力を該移動体通信機器に要求する工程と、
前記要求に対して前記移動体通信機器により入力された第2の認証情報が前記コンピュータにおいて保持する第2の認証情報と合致するか否か比較する工程と、
を更に含み、
両前記認証コード及び両第2の認証情報のいずれもが合致している場合に、前記出力データに対する料金の算出工程を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の非接触認証による印刷データ処理方法。
【請求項4】
前記出力データは、前記移動体通信機器の記憶手段に記憶されているデータからなり、
前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触認証による印刷データ処理方法。
【請求項5】
前記出力データは、ウェブサイトの内容からなり、
前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触認証による印刷データ処理方法。
【請求項6】
前記出力データは、ストレージサービスにより提供されるストレージ空間のデータからなり、
前記コンピュータは、前記ネットワークとは異なるネットワークを介して前記出力データを取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触認証による印刷データ処理方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−299798(P2008−299798A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148184(P2007−148184)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】