説明

非晶質シリカ質粉末およびその製造方法、用途

【課題】難燃性が高く、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を有する樹脂組成物、特に半導体封止材を提供する。また、そのような樹脂組成物を調製するのに好適な非晶質シリカ質粉末と、非晶質シリカ質粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒子径が5μm以上60μm以下、最大粒子径が75μm以下、相対密度が85%以上であり、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%以上である非晶質シリカ質粉末。シリカ質原料粉末を、シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量を15MJ/kg以上25MJ/kg以下としたプロパンガスと酸素ガスとで形成した火炎中に噴射して溶融、非晶質化した後、さらに同様の熱量でもう一度溶融し、粒子融着指数を3.0以上7.0以下とし、溶融後の粉末を75μm以下の目開きの網で篩うことを特徴とする非晶質シリカ質粉末の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質シリカ質粉末およびその製造方法、用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全意識の高まりから、半導体素子の封止に用いられる半導体封止材には、アンチモン化合物や臭素化エポキシ樹脂などの有害で環境負荷の大きい難燃剤を使用せずに難燃性を付与すること、鉛を含有しない鉛フリーハンダへの耐熱性を付与することなどが求められている。半導体封止材は主に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、無機質充填材などから構成されるが、上記のような要求特性を満たすため、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などに芳香環を多く含む難燃性、及び耐熱性の高い構造のものを適用する方法、環境負荷の小さい金属水酸化物等の難燃剤を使用する方法、不燃性の無機質粉末を樹脂に高充填、可燃性の樹脂成分の割合を相対的に減らし、難燃性を高める方法などがとられている。
【0003】
一方、半導体の構造については、一つの半導体パッケージ内に複数のICチップを積層、搭載するスタックチップ構造、マルチチップ構造も積極的に採用されるようになっており、半導体構造の複雑化、高密度実装化がますます進んでいる。また、半導体の小型化、薄型化、高密度実装化に対応する目的で、半導体内部の金ワイヤーの線径を細くする動きも加速しており、最新の半導体では、金ワイヤーの線径が15μm程度のものも実用化され始めている。金ワイヤーの細線化に比例して、金ワイヤーが封止時(パッケージング時)の半導体封止材の流動圧力により変形する「ワイヤー流れ」という現象が顕著になりつつあり、ワイヤーどうしが接触する結果、半導体が短絡不良を起こす確率も増加しつつある。このため、半導体封止材には、有害な難燃剤を使用せずに難燃性を高めること、また、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を有すること、の両立が要求されている。
【0004】
これらの要求を満たすべく、半導体封止材に使用するエポキシ樹脂やフェノール樹脂硬化剤の化学構造を改良することによって、難燃性を高める方法や(特許文献1、及び2参照)、樹脂が燃焼した場合に、窒素ガスや炭酸ガス、アンモニア、水蒸気など、環境汚染のない難燃性ガスを発生させ、燃焼を継続させない方法などがとられている(特許文献3参照)。また、難燃剤の改良としては、特定の組成や形状の金属水酸化物粉末を使用する方法などがとられている(特許文献4参照)。無機質粉末の改良としては、樹脂組成物中の充填率を高めることができるように、粉末の粒度分布を調整する方法などがとられている(特許文献5参照)。しかしながら、これらの方法では、難燃性を高めることができても、樹脂組成物の低粘度化効果、流動圧力低下効果は十分ではなく、高い難燃性と、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を両立させた半導体封止材は未だ存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−186673号公報
【特許文献2】特開2003−096161号公報
【特許文献3】特開2003−253095号公報
【特許文献4】特開2000−156438号公報
【特許文献5】特開2005−239892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、難燃性が高く、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を有する半導体封止材を提供することであり、その調製に好適な非晶質シリカ質粉末、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意研究を進めたところ、これを達成する非晶質シリカ質粉末を見いだした。本発明はかかる知見に基づくものであり、以下の要旨を有する。
(1)平均粒子径が5μm以上60μm以下、最大粒子径が75μm以下、相対密度が85%以上であり、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%以上である非晶質シリカ質粉末。
(2)粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を2つ以上含有する粒子の割合が10%以上である前記(1)に記載の非晶質シリカ質粉末。
(3)Al含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下である前記(1)又は(2)に記載の非晶質シリカ質粉末。
(4)シリカ質原料粉末を、シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量を15MJ/kg以上25MJ/kg以下としたプロパンガスと酸素ガスとで形成した火炎中に噴射して溶融、非晶質化した後、さらに同様の熱量でもう一度溶融し、粒子融着指数を3.0以上7.0以下とし、溶融後の粉末の75μmを超える粒子を除去することを特徴とする前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の非晶質シリカ質粉末の製造方法。
(5)シリカ質原料粉末のAl含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下であることを特徴とする前記(4)に記載の非晶質シリカ質粉末の製造方法。
(6)前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の非晶質シリカ質粉末を含有してなる樹脂組成物。
(7)樹脂組成物の樹脂がエポキシ樹脂である前記(6)に記載の樹脂組成物。
(8)前記(6)又は(7)に記載の樹脂組成物を用いた半導体封止材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、難燃性が高く、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を有する樹脂組成物、さらには、該樹脂組成物を用いた半導体封止材が提供される。また前記樹脂組成物を調製するのに好適な非晶質シリカ質粉末が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】空隙を含有する非晶質シリカ粒子の例(a)、空隙を含有しない非晶質シリカ粒子の例(b)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、平均粒子径が5μm以上60μm以下、最大粒子径が75μm以下、相対密度が85%以上であり、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%以上であることが必要である。これらの特性値は、難燃性を高め、かつ、ワイヤー流れ量を小さくするために非常に重要な因子であり、このように設計された非晶質シリカ質粉末はこれまでに存在しない。平均粒子径が5μm未満である場合、5μm未満の比較的細かい粒子が多数存在することを意味し、樹脂に充填した際に、樹脂組成物の粘度が著しく増加してしまうため、ワイヤー流れ量が大きくなる問題が発生する。一方、平均粒子径が60μmを超える場合及び/又は最大粒子径が75μmを超える場合、粒子径が60μmを超える比較的粗い粒子ばかりが存在することや、75μmを超える粗大粒子が存在することを意味し、樹脂に充填した際に、樹脂組成物の粘度は低くなるものの、封止時に半導体素子の表面を傷つけてしまう問題や、細線化した金ワイヤーに衝突しやすく、ワイヤー流れが顕著となる問題が発生する。好ましい平均粒子径は7μm以上50μm以下、より好ましくは9μm以上40μm以下である。また、最大粒子径は70μm以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の非晶質シリカ質粉末の平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度測定に基づいて測定することができる。使用される測定機としては、例えば、シーラス社製商品名「シーラスグラニュロメーターモデル920」を用い、イオン交換水に非晶質シリカ質粉末を分散させ、さらに超音波ホモジナイザーで200Wの出力で1分間分散処理してから測定する。なお、粒度分布測定は、粒子径チャンネルが1、1.5、2、3、4、6、8、12、16、24、32、48、64、96、128、192μmにて行う。測定した粒度分布において、累積質量が50%となる粒子径が平均粒子径である。
【0012】
本発明の非晶質シリカ質粉末の最大粒子径は、以下の方法で測定した際に、最も大きい目開きの篩上に残る粉末の割合が0.5質量%以下である場合の篩目開き径を意味している。湿式篩振とう機、例えば、セイシン企業社製商品名「オクタゴンDigital」に、JIS標準篩、例えば、目開き75μm、70μm、63μm、53μm、45μmなどを任意の個数、目開きが大きい順に上段から下段になるように多段にセットし、非晶質シリカ質粉末約10gを精秤したものを最上段から投入し、9.5リットル/分のシャワー水量で5分間振とうさせた後、各篩上に残った粉末をアルミニウム製容器に移し替え、大気中120℃で30分間乾燥させ、各篩上の粉末の質量を計量する。各篩上の粉末の質量を、測定に供した非晶質シリカ質粉末の質量で除して百分率にし、篩上に残った粉末の割合を算出する。例えば、非晶質シリカ質粉末を、上段から、目開き75μm、70μm、63μmのJIS篩を多段にセットした湿式篩振とう機で篩い分け、75μmの篩上に残った粉末の割合が0.4質量%、70μmの篩上に残った粉末の割合が1.8質量%、63μmの篩上に残った粉末の割合が2.5質量%であった場合、最大粒子径は75μmと判断する。
【0013】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、相対密度が85%以上であり、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%以上であることが必要である。非晶質シリカ質粒子がその内部に空隙を含有すると、空隙による断熱効果により、これらを充填した樹脂組成物の難燃性が、空隙を含有しない場合に比べ向上することが分かった。また、空隙による軽量化効果により、半導体を封止する際に流動する非晶質シリカ質粒子の流動慣性力が小さくなり、ワイヤーへ粒子が衝突した場合の衝撃力が小さくなる結果、ワイヤー流れ量も小さくできることが分かった。さらにこの効果は、粒子径が小さい粒子よりも、粒子径が30μm以上75μm以下の比較的大きい粒子について、特に顕著であることも分かった。
【0014】
相対密度の測定方法については後述するが、相対密度は非晶質シリカ質粉末が含有する空隙の総量と関係があり、相対密度が90%であれば、空隙の総量は10%、相対密度が95%であれば、空隙の総量は5%と見積もることができる。非晶質シリカ質粉末の相対密度が85%未満、すなわち、空隙が占める割合が15%以上であると、非晶質シリカ質粉末を樹脂に充填し混練する際に、割れてしまう粒子が多くなり、樹脂組成物の粘度が上昇、ワイヤー流れ量が急激に上昇する問題が発生する。より好ましい相対密度の値は90%以上である。相対密度が100%ということは、非晶質シリカ質粉末の真密度がその理論密度2.2g/cmと同レベルであることを意味するが、空隙を含有する粒子が皆無であることを意味するものではなく、測定下限値を下まわる量の、空隙を含有する粒子が存在するケースも含まれる。
【0015】
粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%未満であると、非晶質シリカ質粉末を充填した樹脂組成物の難燃性、ワイヤー流れ量を改善することができない。また、空隙の径が粒子径の30%を超えると、非晶質シリカ質粉末を樹脂に充填し混練する際に、粒子が割れる確率が高くなり、樹脂組成物の粘度が上昇、ワイヤー流れ量が急激に上昇する問題が発生する。粒子内部に空隙を含有する粒子の好ましい割合は、12%以上、さらに好ましくは15%以上であり、好ましい空隙の径は、粒子径の25%以下、さらに好ましくは20%以下である。本発明における、高い難燃性と、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を付与する効果は、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を2つ以上含有する粒子の割合が10%以上である場合に助長される。これは、1つの大きな空隙を含有する粒子よりも、2つ以上の小さな空隙を含有した粒子の方が、樹脂に充填、混練した際に割れにくいためである。粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を2つ以上含有する粒子の好ましい割合は12%以上、さらに好ましくは15%以上である。
【0016】
本発明の非晶質シリカ質粉末の粒子径30μm以上75μm以下の粒子における粒子内部に空隙を含有する粒子の割合は、以下の方法によって測定することができる。粒子像分析装置(例えばSYSMEX社製商品名「フロー式粒子像分析装置モデルFPIA−3000」)を用い、粒子の写真(図1に示すような透過像)を撮影し、粒子径および空隙の径を計測する。粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の個数を目視でカウント、測定に供した粒子径30μm以上75μm以下の粒子の総個数で除して百分率にし、粒子内部に空隙を含有する粒子の割合を算出する。例えば、粒子径30μm以上75μm以下の粒子100個のうち、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の個数が40個であった場合、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合は40%と算出される。
【0017】
本発明の非晶質シリカ質粉末の相対密度は、以下の方法によって測定することができる。ピクノメーター法真密度測定装置(例えばセイシン企業社製商品名「オートトゥルーデンサーMAT−7000」)を用い、粉末の真密度を測定する。この値を測定に供した粉末の理論密度で除して百分率にし、相対密度を算出する。例えば、本発明の非晶質シリカ質粉末の真密度が2.1g/cmであった場合、相対密度は非晶質シリカ質粉末の理論密度2.2g/cmで除して百分率にした値95%と算出される。
【0018】
本発明における難燃性、成形性の向上効果は、非晶質シリカ粉末のAl含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下であるときに助長される。すなわち、非晶質シリカ質粉末のAl含有率が0.2質量%未満であると粒子内部に空隙を含有する粒子の量が制御しにくく、逆に1.5質量%を超えると、非晶質シリカ質粉末の本来の特徴である低熱膨張特性が損なわれる恐れがある。特に好ましい非晶質シリカ質粉末のAl含有率は0.2質量%以上1.2質量%以下である。非晶質シリカ質粉末のAl含有率と粒子内部に空隙を含有する粒子の量との関係については、製造方法の項で後述するが、特定量のAlを含有する非晶質シリカ質粉末は、火炎中に噴射されるシリカ質原料粉末中のAl含有率を所定量に制御することによって製造することができる。また、本発明のように、シリカ質原料粉末に特定量のAlを含有させて、粒子に含まれる空隙の量を制御することは過去に例がない。
【0019】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、SiOとAl含有率の和が95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。SiO含有率(酸化物換算)は質量減少法、Al含有率(酸化物換算)は原子吸光分析法を用いて、以下の手順で測定することができる。
(1)SiO含有率の測定:非晶質シリカ質粉末2.5gを白金皿に精秤し、試薬特級フッ化水素酸、試薬特級硫酸、純水をそれぞれ20ml、1ml、1ml加える。その白金皿を300℃に加熱されたサンドバス上に15分間静置して粉末を溶解、乾固させる。次に、1000°に加熱されたマッフル炉に白金皿を入れ10分間加熱して、フッ化ケイ酸を蒸発させる。デシケーター内で室温まで放冷後、白金皿の質量を精秤し、質量減少率からシリカ質粉末のSiOの含有率を算出する。
(2)Al含有率の測定:非晶質シリカ質粉末1gを白金皿に精秤し、試薬特級フッ化水素酸、試薬特級過塩素酸をそれぞれ20ml、1ml加える。その白金皿を300℃に加熱されたサンドバス上に15分間静置してから室温まで冷却し、25mlメスフラスコに移しかえ純水で定容する。この溶液のAl量を原子吸光光度計を用い検量線法により定量する。そのAl量をAlに換算し非晶質シリカ質粉末中の含有率を算出する。原子吸光光度計を例示すれば、日本ジャーレルアッシュ社製商品名「原子吸光光度計 モデルAA−969」である。検量線を作成するのに用いる標準液を例示すれば、関東化学社製原子吸光用Al標準液(濃度1000ppm)である。なお、測定の際のフレームにはアセチレン−亜酸化窒素フレームを用い、波長309.3nmにおける吸光度を測定して定量する。
【0020】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、下記方法で測定された非晶質率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。非晶質率は、粉末X線回折装置(例えばRIGAKU社製商品名「モデルMini Flex」)を用い、CuKα線の2θが26°〜27.5°の範囲においてX線回折分析を行い、特定回折ピークの強度比から測定する。シリカ質粉末の場合、結晶質シリカは、26.7°に主ピークが存在するが、非晶質シリカではピークは存在しない。非晶質シリカと結晶質シリカが混在していると、結晶質シリカの割合に応じた26.7°のピーク高さが得られるので、結晶質シリカ標準試料のX線強度に対する試料のX線強度の比から、結晶質シリカ混在比(試料のX線回折強度/結晶質シリカのX線回折強度)を算出し、式、非晶質率(%)=(1−結晶質シリカ混在比)×100から非晶質率を求める。
【0021】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、下記方法で測定された平均球形度が0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましい。これによって、樹脂組成物の粘度が低下し、ワイヤー流れ量をさらに小さくすることができる。平均球形度は、実体顕微鏡(例えばニコン社製商品名「モデルSMZ−10型」)等にて撮影した粒子像を画像解析装置(例えばマウンテック社製商品名「MacView」)に取り込み、写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)から測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πrであるから、B=π×(PM/2π)となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)となる。このようにして得られた任意の粒子200個の球形度を求め、その平均値を平均球形度とした。上記以外の球形度の測定方法としては、粒子像分析装置(例えばSYSMEX社製商品名「フロー式粒子像分析装置モデルFPIA−3000」)を用いて、定量的に自動計測された個々の粒子の円形度から、式、球形度=(円形度)により換算して求めることもできる。
【0022】
本発明の非晶質シリカ質粉末において、平均粒子径、最大粒子径、相対密度、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における粒子内部に空隙を含有する割合の増減方法についても、本発明の製造方法の項で後述するが、その一例を示すと、以下のとおりである。すなわち、平均粒子径を調整するためには、シリカ質原料粉末の平均粒子径を調整すればよく、最大粒子径を調整するためには、非晶質シリカ質粉末を篩う際の篩網の目開きを調整すればよい。シリカ質粉末の相対密度、空隙を含有する粒子の割合を調整するためには、シリカ質原料粉末中のAl含有率を調整する、及び/又は、シリカ質原料粉末を火炎中に噴射して溶融、非晶質化する際の熱量、粒子融着指数を調整すればよい。
【0023】
つぎに、本発明の非晶質シリカ質粉末の製造方法について説明する。
【0024】
本発明の非晶質シリカ質粉末の製造方法は、シリカ質原料粉末を、シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量を15MJ/kg以上25MJ/kg以下としたプロパンガスと酸素ガスとで形成した火炎中に噴射して溶融、非晶質化した後、さらに同様の熱量でもう一度溶融し、粒子融着指数を3.0以上7.0以下とし、溶融後の粉末を75μm以下の目開きの網で篩うことを特徴とするものである。さらに好ましくは、Al含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下であるシリカ質原料粉末を使用することである。シリカ質原料粉末を火炎中に噴射して溶融、非晶質化し、捕集する方法としては、例えばバーナーを備えた炉体の以降に、捕集装置、吸引装置が接続されたものが使用される。炉体は、縦型の方が好ましい。火炎は、バーナーにプロパンガスと酸素ガスとを供給することで形成することができ、例えば、バーナーの中心からシリカ質原料粉末をキャリアガスなどとともに噴射することで粉末を溶融、非晶質化することができる。捕集装置としてはバッグフィルター、電気集塵機等が利用できる。その一例を示せば、特開平11−57451号公報、特開平11−71107号公報などの装置である。
【0025】
本発明の製造方法は、上記基礎技術において、シリカ質原料粉末を、シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量を15MJ/kg以上25MJ/kg以下としたプロパンガスと酸素ガスとで形成した火炎中に噴射して溶融、非晶質化した後、さらに同様の熱量でもう一度溶融することが必要である。シリカ質原料粉末を火炎中に噴射して溶融、非晶質化する際、粒子内部に空隙を含有させるメカニズムについて説明すれば次の通りである。すなわち、シリカ質原料粉末が火炎中で融点以上の温度に加熱されると、粒子が軟化し表面張力で球状化、火炎から出た後に冷却されて非晶質シリカ質粉末となる。この際、火炎中で軟化した粒子どうしが接触し融着すると粒子の融着面付近の外気が粒子内部に取り込まれ空隙となる。この融着粒子の数を調整することで、空隙の径、量を調整することが可能となる。シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量が15MJ/kg未満である場合、シリカ質粉末の軟化時の粘度が高いため粒子どうしを融着させることが難しくなり、一方、25MJ/kgを超える場合、シリカ質粉末の軟化時の粘度が低くなりすぎ、融着面の空隙が脱泡してしまうため好ましくない。好ましいシリカ質原料粉末1kgあたりの熱量は17MJ/kg以上22MJ/kg以下である。得られた非晶質シリカ質粉末をさらに同様の熱量でもう一度溶融する理由について説明すれば次の通りである。すなわち、シリカ質粉末どうしが融着したままだと、「凝集塊」状のいびつな形状の粒子となってしまう。このままでは、粉末を樹脂に充填した際に樹脂組成物の粘度が上昇し、ワイヤー流れ量が急激に上昇する問題が発生する。同様の熱量でもう一度溶融することによって、いびつな粒子形状が真球に近い形状となり、粒子内部の空隙を保持したまま非晶質シリカ質粒子の球形度を高めることができるためである。
【0026】
さらに本発明の製造方法は、上記基礎技術において、粒子融着指数を3.0以上7.0以下とすることが必要である。粒子融着指数とは、非晶質シリカ質粉末の平均粒子径とシリカ質原料粉末の平均粒子径との比で算出される指数のことである。例えば、シリカ質原料粉末の平均粒子径が12μm、それを溶融、非晶質化して得られた非晶質シリカ質粉末の平均粒子径が48μmであった場合、粒子融着指数は48を12で除した値、4.0と算出される。粒子融着指数が3.0未満であると、粒子の融着が少ないことを意味し、空隙を含有する粒子の割合を10%以上にすることができない。一方、7.0を超えると空隙の量が多くなりすぎ、相対密度を85%以上にすることができない。粒子融着指数の好ましい範囲は、4.0以上6.0以下である。粒子融着指数を調整するための手段に特に限定はないが、例えば、複数本のバーナーを縦型の炉頂に配置する際、垂直方向に対し1〜5°程度の角度をつけ、火炎が焦点を結ぶようにする方法、シリカ質原料粉末をあらかじめ目的とする粒子融着指数が得られる程度の粒子径になるように造粒しておき、火炎中に噴射、溶融する方法などが挙げられる。
【0027】
また、本発明の製造方法は、溶融後の粉末を75μm以下の目開きの網で篩うことが必要である。最大粒子径が大きいほど、樹脂に充填した際の樹脂組成物の粘度は低くなるものの、封止時に半導体素子の表面を傷つけてしまう問題や、細線化した金ワイヤーに衝突しやすく、ワイヤー流れが顕著となる問題が発生する。より好ましい最大粒子径は70μm以下である。篩う方法については特に限定されないが、所定の目開きのステンレス製の網をセットした振動篩などを用いることができる。
【0028】
本発明の製造方法においては、シリカ質原料粉末のAl含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下に調整したシリカ質原料粉末を火炎中に噴射し、溶融、非晶質化することが好ましい。シリカ質原料粉末中のAl含有率を所定量に制御することで、シリカ質原料粉末を溶融、非晶質化する際、シリカ質原料粉末がシリカ−アルミナガラスとなり、シリカ質原料粉末のみを溶融する場合よりも軟化時の粘度が低下する結果、粒子内部に空隙を取り込みやすくすることができる。したがって、シリカ質原料粉末中のAl含有率を調整することで、粒子内部に空隙を含有する粒子の量を調整することが容易となる。ただし、シリカ質原料粉末中のAl含有率が1.5質量%を超えると、非晶質シリカ質粉末の低熱膨張特性が損なわれてしまうため好ましくない。Al含有率は0.2〜1.0質量%であることがより好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、本発明の非晶質シリカ質粉末を含有してなる樹脂組成物である。樹脂組成物中の非晶質シリカ質粉末の含有率は10質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上95質量%以下である。
【0030】
樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、マレイミド変成樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリルーアクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を使用することができる。
【0031】
これらの中、半導体封止材としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が好ましい。それを例示すれば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSなどのグリシジルエーテル、フタル酸やダイマー酸などの多塩基酸とエポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アルキル変性多官能エポキシ樹脂、β−ナフトールノボラック型エオキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、2,7−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、更には難燃性を付与するために臭素などのハロゲンを導入したエポキシ樹脂等である。中でも、耐湿性や耐ハンダリフロー性の点からは、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格のエポキシ樹脂等が好適である。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤、又はエポキシ樹脂の硬化剤とエポキシ樹脂の硬化促進剤を含むものである。エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、クロロフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール等の群から選ばれた1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はパラキシレンとともに酸化触媒下で反応させて得られるノボラック型樹脂、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン等をあげることができる。エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させるために、上記した例えばトリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等の硬化促進剤を使用することができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、更に以下の成分を必要に応じて配合することができる。すなわち、低応力化剤として、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーや飽和型エラストマー等のゴム状物質、各種熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂状物質、更にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂の一部又は全部をアミノシリコーン、エポキシシリコーン、アルコキシシリコーンなどで変性した樹脂など、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシランなど、表面処理剤として、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など、難燃助剤として、Sb、Sb、Sbなど、難燃剤として、ハロゲン化エポキシ樹脂やリン化合物など、着色剤として、カーボンブラック、酸化鉄、染料、顔料など、更には離型剤として、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィンなどである。
【0034】
本発明の樹脂組成物は、上記各材料の所定量をブレンダーやヘンシェルミキサー等によりブレンドした後、加熱ロール、ニーダー、一軸又は二軸押し出し機等により混練したものを冷却後、粉砕することによって製造することができる。
【0035】
本発明の半導体封止材は、樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有してなるものであり、エポキシ樹脂の硬化剤とエポキシ樹脂の硬化促進剤とを含む組成物からなるものである。本発明の半導体封止材を用いて半導体を封止するには、トランスファーモールド法、真空印刷モールド法等の常套の成形手段が採用される。
【実施例】
【0036】
以下、本発明について、実施例及び比較例により、更に、詳細に説明する。
【0037】
実施例1〜11 比較例1〜9
市販の結晶シリカ質粉末A(平均粒子径8.1μm、最大粒子径75μm)、結晶シリカ質粉末B(平均粒子径3.3μm、最大粒子径45μm)を準備した。各結晶シリカ質粉末のSiO含有率は、いずれも99.8質量%、Al含有率は、いずれも0.1質量%であった。市販のアルミナ微粉末(平均粒子径0.3μm、最大粒子径6μm、Al含有率99.9質量%)を結晶シリカ質粉末AはAl含有率が0.2、1.5、1.8質量%になるように、結晶シリカ質粉末BはAl含有率が1.5質量%になるように添加した。アルミナ微粉末を添加後、Wコーンブレンダーを用いて45分間混合し、表1に示されるアルミナ微粉末を含有するシリカ質原料粉末を調製した。これらの原料粉末を、火炎中で溶融、非晶質化し、表2および表3に示される20種類の非晶質シリカ質粉末を製造した。得られた非晶質シリカ質粉末の非晶質率は、いずれも99.5質量%以上であった。
【0038】
シリカ質原料粉末を溶融、非晶質化する装置として、特開平11−57451号公報の図1に記載された装置を用いた。火炎の形成にはプロパンガス、酸素ガス用い、バーナーの中心から原料粉末をキャリア酸素に同伴させ噴射した。バーナーの本数は3本とした。シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量の調整は、プロパンガスと酸素ガスの供給量を調整することにより行い、粒子融着指数の調整は、バーナーの角度を調整することにより行った。火炎の最高温度はアルミナの融点以上の約2000℃〜2200℃であった。プロパンガスの発熱量は100.5MJ/mとして計算した。
なお、本試験においては、粉末一次回収口は使用せず閉じたままとし、すべての粉末は粉末二次回収口より回収した。また、回収された非晶質シリカ質粉末を篩い分ける際には、目開き70μm、75μm、80μmのステンレス製の網をセットした振動篩を用いて、篩い分けを行った。
【0039】
製造した非晶質シリカ質粉末の、平均粒子径、最大粒子径、相対密度、Al含有率および粒子径30μm以上75μm以下の粒子における粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合を測定した。それらの結果を表2および表3に示す。
【0040】
得られた非晶質シリカ質粉末の半導体封止材の充填材としての特性を評価するため、非晶質シリカ粉末質1300gに対し、ビフェニル型エポキシ樹脂100g、ノボラック型フェノール樹脂85g、トリフェニルホスフィン3g、アミノシラン型カップリング剤10g、カーボンブラック2g、カルナバワックス2gを加え、ヘンシェルミキサーにて1分間ドライブレンドした後、同方向噛み合い二軸押出混練機(スクリュー径D=25mm、ニーディングディスク長10Dmm、パドル回転数70〜150rpm、吐出量3.5kg/h、混練物温度100±1℃)で加熱、混練した。混練物をプレス機にてプレスして冷却した後、粉砕、打錠して半導体封止材タブレット(18mmφ、32mmH)を作製し、難燃性、ワイヤー流れ量を以下の方法に従って測定した。それらの結果を表1および表2に示す。
【0041】
(1)難燃性
上記方法で作製した半導体封止材を使用し、トランスファー成型機を用いて、125mm×13mm×3mmの短冊状テストピースを各5本作製した。トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力7.5MPa、保圧時間90秒とした。なお、テストピースは、成形後に175℃で8時間ポストキュアした。作製したテストピースの難燃性を評価するため、UL−94試験(Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances)に準拠した試験を行った。各試験項目の値が小さいほど、難燃性が良好であることを表す。
【0042】
(2)ワイヤー流れ量
BGA用サブストレート基板にダイアタッチフィルムを介して、チップサイズ8mm×8mm×0.3mmの模擬チップを2枚重ね、金ワイヤーで接続した後、上記の各半導体封止材を使用し、トランスファー成形機を用いて、パッケージサイズ38mm×38mm×1.0mmに成形後、175℃で8時間ポストキュアし、BGA模擬半導体を20個作製した。なお、チップ上の隙間は200μm、金ワイヤー直径は15μmφ、平均長さは5mmである。トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力7.5MPa、保圧時間90秒とした。これら20個の模擬半導体の金ワイヤーの部分を軟X線透過装置で観察し、金ワイヤー流れ量を測定した。金ワイヤー流れ量は、パッケージング前後で金ワイヤーが流れた最大距離とし、ゲート部(金型の半導体封止材注入部)から近い順に12本の金ワイヤーの平均値をとった。この値が小さいほど、ワイヤー流れ量が小さく、成形性が良好であることを表す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】



【0046】
実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明によれば、難燃性が高く、ワイヤー流れ量が小さい良好な成形性を有する樹脂組成物、さらには、該樹脂組成物を用いた半導体封止材が提供される。また前記樹脂組成物を調製するのに好適な非晶質シリカ質粉末が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の非晶質シリカ質粉末は、自動車、携帯電子機器、パソコン、家庭電化製品等に使用される半導体封止材、半導体が搭載される積層板、更にはパテ、シーリング材、各種ゴム、各種エンジニアプラスチックスなどの充填材として使用される。また、本発明の樹脂組成物は、半導体封止材の他に、ガラス織布、ガラス不織布、その他有機基材に含浸硬化させてなる例えばプリント基板用のプリプレグや、各種エンジニアプラスチックス等として使用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が5μm以上60μm以下、最大粒子径が75μm以下、相対密度が85%以上であり、粒子径30μm以上75μm以下の粒子における、粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を含有する粒子の割合が10%以上である非晶質シリカ質粉末。
【請求項2】
粒子内部に粒子径の30%以下の径の空隙を2つ以上含有する粒子の割合が10%以上である請求項1に記載の非晶質シリカ質粉末。
【請求項3】
Al含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下である請求項1又は2に記載の非晶質シリカ質粉末。
【請求項4】
シリカ質原料粉末を、シリカ質原料粉末1kgあたりの熱量を15MJ/kg以上25MJ/kg以下としたプロパンガスと酸素ガスとで形成した火炎中に噴射して溶融、非晶質化した後、さらに同様の熱量でもう一度溶融し、粒子融着指数を3.0以上7.0以下とし、溶融後の粉末を75μm以下の目開きの網で篩うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の非晶質シリカ質粉末の製造方法。
【請求項5】
シリカ質原料粉末のAl含有率が0.2質量%以上1.5質量%以下であることを特徴とする請求項4記載の非晶質シリカ質粉末の製造方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の非晶質シリカ質粉末を含有してなる樹脂組成物。
【請求項7】
樹脂組成物の樹脂がエポキシ樹脂である請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の樹脂組成物を用いた半導体封止材。


【図1】
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【公開番号】特開2010−285307(P2010−285307A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139129(P2009−139129)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】