説明

非酸化物セラミックス製品の製造方法

【課題】サイアロン粉末を用いて高密度且つ三次元複雑形状のセラミックス製品を射出成形法により製造する方法を提供する。
【解決手段】サイアロン粉末A、焼結助剤B、および有機バインダCを含有する成形材料であって、前記サイアロン粉末Aは、平均粒径0.01μm〜3.0μmの粉末であり、前記焼結助剤Bは、Y、Yb、Al及びZrよりなる群から選択される元素の酸化物であり、サイアロン粉末Aと焼結助剤Bの合計量に占める割合が0.5〜15重量%となる量で含有されており、前記有機バインダCは、成形材料全量に占める割合が30〜70体積%となる量で含有されている、成形材料を調製し、当該成形材料を射出成形して成形体を得、当該成形体を加熱脱脂し、焼結する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイアロン粉末を用いて非酸化物セラミックス焼結品を得る方法に関する。より詳しくは、セラミックス粉末射出成形(CIM法)によりサイアロンセラミックス焼結品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年資源の枯渇が大きな問題となっている。特に鉄鋼石は地殻中の埋蔵量は5%以下で、今後の枯渇が懸念されている。
そこで、資源の有効活用の観点から珪素を有効活用したセラミックス材料の普及が急務と考えられてきた。1970年代後半においてファインセラミックスがブームとなり、窒化珪素、炭化珪素及びサイアロン(SiAlON)を用いた軽くて耐熱性の高いセラミックスを自動車のエンジン部品に使用することが考えられた。しかしながら、これらセラミックスの合成方法にコストがかかり、最終製品の製造コストに影響を及ぼすこととなった。このため自動車部品への活用は大幅に制限されることとなった。特にサイアロンセラミックスはこれら窒化珪素並びに炭化珪素セラミックスと比較して高温耐食性に優れ、靱性に優れる等の性能を有するものの、窒化珪素、アルミナ、並びにイットリア等の希土類酸化物を出発原料として用いて反応焼結法により製品を製造した場合、安定した組成となるサイアロンセラミックスを得ることが困難であり、物性の安定した焼結品を得ることが難しい。
一方、金属シリコン粉末とアルミ粉末を直接燃焼させて燃焼合成することによりサイアロン粉末を得ることができる。
【0003】
特許文献1〜3に燃焼合成によるサイアロンセラミックス粉末の製造方法が提言されている。
あらかじめサイアロン組成となっている粉末を出発材料として用いれば、窒化珪素、アルミナ、並びにイットリア等の希土類酸化物を出発原料として用いる反応焼結法と比較して、安定した強度を有するサイアロンセラミックス製品を得ることができる。
【0004】
特許文献3においては水を添加した湿式コンパウンドを用いたベアリングボールの製造方法が記載されている。しかしながら、この特許に見られる製造方法ではバインダが水であるためにベアリングボールのような簡単な球体形状、シート形状の製品を得ることはできるものの、タービンホイールやベーンノズル部品に代表される自動車部品に必要とされる三次元複雑形状の製品を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-182334
【特許文献2】特開2005-194154
【特許文献3】特開2008-162851
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、燃焼合成法で製造されたサイアロン粉末を用いて、CIM法により複雑三次元形状のセラミックスを得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、CIM法によりサイアロン粉末を用いてセラミックス部品を製造することを試みた結果、サイアロン粉末の平均粒径、焼結助剤の種類および添加量、有機バインダの添加量を特定の範囲とした成形材料を用いることにより、健全なセラミックス部品の焼結品を得ることに成功し、前記課題を効果的に解決した。
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、
サイアロン粉末A、焼結助剤B、および有機バインダCを含有する成形材料であって、
前記サイアロン粉末Aは、平均粒径0.01μm〜3.0μmの粉末であり、
前記焼結助剤Bは、Y、Yb、Al及びZrよりなる群から選択される元素の酸化物であり、サイアロン粉末Aと焼結助剤Bの合計量に占める割合が0.5〜15重量%となる量で含有されており、
前記有機バインダCは、成形材料全量に占める割合が30〜70体積%となる量で含有されている、成形材料を調製する工程、
当該成形材料を射出成形して成形体を得る工程、
当該成形体を加熱脱脂し、焼結する工程
を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、出発原料としてサイアロン粉末を使用するため、安定した組成となるサイアロンセラミックスを得ることができる。また、サイアロン粉末に、Y、Yb、Al及びZrよりなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物を焼結助剤として、上記の割合となるよう添加し、有機バインダを上記の割合となるよう添加し、混練して得られた成形材料を用いることにより、複雑形状の金型にも成形材料を射出成形により充填することができ、且つ、脱脂・焼結後に焼結密度(焼結体の相対密度を意味する。以下同様)95%以上の健全なサイアロン焼結品を得ることができるため、従来では得ることが困難であった複雑形状・高耐性のサイアロンセラミックス部品を寸法精度良く製造することが可能である。
【0010】
さらに、前記有機バインダCとして、平均分子量15万以下のポリビニルブチラール(PVB)を5〜30体積%、および平均分子量5千以下のポリエチレングリコール(PEG)を35〜80体積%の量で含有する有機バインダを用い、且つ、射出成形工程後に、前記ポリエチレングリコールを溶解するが、前記ポリビニルブチラールを溶解しない溶媒を用いて、成形体中の全バインダ中の25体積%以上に当たるポリエチレングリコールを除去する抽出脱脂工程を行った後、当該成形体を乾燥して溶媒を除去し、その後、加熱脱脂し、焼結する方法によれば、ポリエチレングリコールを溶出させることにより、成形体中にいわば抜け道ができるため、続く加熱脱脂時において、有機バインダを効率よく除去することができ、これにより、肉厚1mm以上の製品であっても、焼結密度95%以上の製品を安定して製造することができる。
【0011】
また、前記加熱脱脂は、不活性ガス雰囲気下にて、昇温速度5〜150℃/hr、最高温度400〜800℃で行い、さらに、前記焼結は、不活性ガス雰囲気下にて、昇温速度50〜400℃/hr、焼結温度1600〜2000℃で行うことが適切であり、欠陥のない製品を安定して製造することができる。
【0012】
さらに、加熱脱脂を行った成形体を50MPa以上の静水圧成形(CIP)処理にかけることにより、脱脂時に生じる微細な内部欠陥を除去することができる。特に肉厚部で生じやすい粗密による内部欠陥を除去することができる。
【0013】
また、焼結工程において、脱脂後(もしくはCIP処理後)の成形体を、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナ、サイアロンの容器に入れて焼結することにより、高温時に焼結炉内に残留するバインダ残留物、ガス不純物からの反応を防ぎ、焼結時の不純物の混入を抑えることができる。
【0014】
さらに、焼結後の製品を、100MPa以上、処理温度1600℃以上1900℃以下で熱間静水圧成形(HIP)処理を行うことにより、焼結時に発生する内部欠陥を除去することができる。
【0015】
前記方法によれば、複雑三次元形状を有し、高密度の製品を安定して製造することができるため、耐久性等が要求される、タービンホイールやベーンノズルといった製品であっても、所望の特性を具備するサイアロン製の製品を製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、すでにサイアロン組成を有している粉末に焼結助剤として特定の希土類酸化物セラミックス粉末を混合し、上記サイアロン粉末の粒径、焼結助剤の量、有機バインダの量を採用することにより、三次元複雑形状のサイアロンセラミックス焼結品をCIM法により製造することができる。特に、自動車過給機部品として必要とされるタービンホイール並びにベーンノズルを上記方法で製造することにより、従来用いられてきた金属製の部品と比較して、サイアロンセラミックスの特徴を活かし、軽量且つ1000℃以上の高温下において耐食性、靱性の高い製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明にかかる製造方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、焼結体の表面と内部のSEM写真(1000倍)である。
【図3】図3は、焼結体のX線回折データである。
【図4】図4は、焼結体表面のSEM写真(500倍)である。
【図5】図5は、実施例7で製造したタービンホイールの形状を示すものであって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図6】図6は、実施例8で製造した可変ベーンの形状を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明におけるサイアロンセラミックスの製造工程を図1に示す。
本発明にかかるサイアロン粉末は、金属シリコンと金属アルミを出発原料として、直接、酸素・窒素と反応させる方法(燃焼合成法)により製造することができる。燃焼合成法により得られるサイアロン(SiAlON)粉末は、組成式Si6−zAlz+x8−(z+y)を有し、組成式中の組成値はZ=1〜4、X=0〜2程度 Y=0〜2程度である。
サイアロン粉末Aの平均粒径は0.01μm以上3.0μm以下が好ましい。平均粒径が0.01μmを下回る場合には、粉末の表面積が増えることでバインダ添加量が増加し、脱脂時の変形が大きくなる。また、バインダ量が多くなると、焼結時の収縮率も大きくなり、焼結後の寸法ばらつきも大きくなり、寸法精度の高い焼結品を得ることは困難である。粉末粒径が3.0μmを越える場合には、焼結密度(相対密度)95%以上を安定して得ることが困難になり、強度が著しく低下し、製品として使用することができない。より好ましい平均粒径は、0.1〜2.0μmであり、さらに望ましくは0.2〜0.7μmである。本発明において、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法を使用した粒度分布測定装置を用いて、測定した重量累積50%の平均径を意味する。粒度分布測定装置としては、島津製作所製 SALD−2000型を用いることができる。
【0019】
焼結密度を向上させるために焼結助剤Bとして、Y、Yb、AlまたはZrよりなる酸化物セラミックス粉末の少なくとも一種をサイアロン粉末に添加する。添加量は、サイアロン粉末と焼結助剤の全量に対し、焼結助剤が酸化物換算で0.5重量%以上15重量%以下となることが好ましく、1.0重量%以上10.0重量%以下となることがより好ましい。焼結助剤の添加量が0.5重量%未満の場合、焼結密度を向上させることが困難となり、また添加量が15重量%よりも多い場合には緻密化する焼結温度は低下するものの、高温時の物性が低下する。
また、焼結助剤として、Y、Yb、Al、Zrの酸化物を用いると、焼結温度1700℃程度で焼結体を緻密化することが出来るが、Y、Yb、Al、Zrの酸化物以外を焼結助剤として用いた場合は、焼結後の高温強度が低くなる。
【0020】
流動性、脱脂性を向上させるために、並びに柔軟性を付与するために、上記サイアロン粉末Aと焼結助剤Bの混合物に、さらに有機バインダCを添加して混練を行い、成形材料を得る。添加量は、前記サイアロン粉末と焼結助剤と有機バインダの全量に対し、有機バインダが30体積%以上70体積%以下であることが好ましく、35体積%以上60体積%以下とすることがより好ましい。
【0021】
また、肉厚1mm以上の部分を有する製品を製造する場合、加熱脱脂のみでは成形体内部の有機バインダの除去が十分に行えないことがあるため、製品中に肉厚1mm以上の箇所が存在する製品を製造する場合、平均分子量15万以下ポリビニルブチラール(PVB)を5体積%以上30体積%以下、及び平均分子量5千以下ポリエチレングリコール(PEG)を35体積%以上80体積%以下含有する有機バインダを用い、さらに、得られた射出成形体を、PEGが溶解する溶媒に漬浸し、成形体からPEGを溶出させて、成形体中の全有機バインダの25体積%に相当するPEGを除去する抽出脱脂工程を行うことで、成形体中に有機バインダの流出路を作ることができ、次工程の加熱脱脂工程において内部に欠陥を生じることなく脱脂体を得ることができる。
【0022】
上記PVBの添加量が5体積%未満の場合には成形体強度が低下する。またPVBの添加量が30体積%よりも多い場合には、脱脂時に炭化物として残留し、焼結品組成に影響をおよぼし、内部に欠陥を生じる。
上記PEGの添加量が35体積%未満の場合には溶媒漬浸工程でPEGをスムースに溶出することができず、加熱脱脂時の有機バインダの流出路が適切に形成できない。PEGの添加量が80体積%よりも多い場合には成形体強度が低下して、射出成形時に割れ、膨れ等の欠陥を生じる。
より好ましいPVBの添加量は10〜25体積%であり、より好ましいPEGの添加量は40〜70体積%である。
また、PVBは平均分子量が15万以下のものを用いることが好ましい。平均分子量が15万より大きいものでは加熱脱脂時に完全に分解されず炭化物として残留し、焼結時に気泡が生じ製品の物性を低下させる。より好ましくは平均分子量1万〜5万のものを使用することが好ましい。
一方、PEGは平均分子量が5千以下のものを用いることが好ましい。平均分子量が5千より大きい場合には抽出脱脂工程において溶媒に対する溶解度が低下する。より好ましくは平均分子量200〜3000のものを使用することが好ましい。
PVBおよびPEGの平均分子量は、ゲルパーミュレーションクロマトグラフにより測定することができる。
【0023】
PVB及びPEG以外の有機バインダの材料としては下記の有機材料を用いる事ができる。
流動性を付与し、脱脂性を向上するために脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、フタル酸エステル、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、モンタン系ワックス、ウレタン化ワックス、無水マレイン酸変性ワックス等が用いられる。特に好ましい材料として脂肪酸エステル、脂肪酸アミドが挙げられる。
【0024】
また、成形時の流動性並びに成形体に柔軟性を付与するためにポリエチレン、アモルファスポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、グリシジルメタクリレート樹脂等を用いることができる。特に好ましい材料として、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂並びにアモルファスポリオレフィンが挙げられる。
【0025】
上記有機バインダと前記サイアロン粉末および焼結助剤を120〜180℃程度で2時間程度加熱混練し、サイアロン粉末、焼結助剤を有機バインダと完全に分散混合させる。この後、取り出して押し出し機若しくは粉砕機で直径5mm程度のペレット状にしてこれを成形材料に用いる。
【0026】
成形においては、焼結後の寸法を考慮して金型形状を決定する必要がある。これらの寸法は焼結後若しくは熱間等方圧加圧法に得られる寸法であって、焼結密度により寸法が異なるため、金型設計は以後の寸法変化を十分に考慮する必要がある。このためには、金型の寸法は上記寸法精度を考慮して設計する必要があり、さらに、成形から焼結への収縮率をあらかじめ計算しておく必要がある。
【0027】
金型は、射出成形機に取り付けて成形を行うが、得られる成形体の取り数は一つの金型で複数の製品を成形することが可能である。製品の大きさに合わせて、射出成形機の容量を適宜調節する。成形体に気泡、クラック等の不良が発生しないように射出速度、圧力を調整するとともに、金型には金型内の空気並びに成形材料から発生するガスを効果的に逃がすためのガス逃げを設ける必要がある。これら有効なガス逃げが無い場合には、成形体中に空気若しくは成形材料から発生するガスが取り込まれて、成形体に気泡が生じる。
【0028】
得られた成形体を本発明にかかる抽出脱脂工程にかける場合、PEGを溶解する溶媒を満たした容器に成形体を入れて、添加の全バインダ中の25体積%以上に相当するPEGを溶出する。PEGの溶出量は、抽出脱脂工程後、抽出溶媒を加熱除去し、残留した成分を計量後、GPC−FTIR分析によって、求めることができる。
また、CIM法に用いられる有機バインダ成分は基本的に水に溶解しないため、抽出溶媒に水を用いた場合、溶出した有機バインダ量=PEGの溶出量とみなすことができる。そのため、抽出溶媒に水を用いた場合、PEGの溶出量は、抽出脱脂工程後、成形体を乾燥して抽出溶媒を除去し、抽出脱脂工程前後の成形体の重量差から、除去されたPEGの重量を求め、体積に換算することによって、求めることができる。
肉厚1mm以上の箇所を有する成形体の場合、PEGの溶出量が25体積%未満であると、続く加熱脱脂時において、有機バインダを効率よく除去することができず、焼結密度95%以上(好ましくは99%以上)の製品を安定して製造することができない。より好ましい溶出量は26体積%以上であり、特に好ましい溶出量は30体積%以上である。なお、肉厚が厚い成形体ほど、加熱脱脂時に内部の有機バインダが除去されにくいため、抽出脱脂工程におけるPEGの溶出量を高くしたほうがよい。PEGの溶出量が高いほど、有機バインダの流出路が多くなるため、加熱脱脂時に内部の有機バインダを完全に除去することができ、焼結密度の高い製品を得ることができる。なお、PEGを溶解することの出来る溶媒には水の他にも、エタノール、メタノール、ベンゼン、ジクロロメタンが挙げられるが、PVBを溶解させないためには水を用いることが特に好ましく、さらに水中に含まれる不純物の影響を排除するためにイオン交換水を用いることが望ましい。抽出速度並びに抽出工程後の乾燥工程を考慮して水及びエタノール、メタノールの混合液を用いても良い。また、溶媒を加温することで抽出速度を向上させることができる。
なお、本発明の抽出脱脂工程で使用する溶媒は、PVBを実質的に溶解しない溶媒であればよく、PVBの溶解度が常温で0.5体積%未満であることが好ましい。PVBが溶解する溶媒を用いると、溶解する際にPVBが溶媒により膨潤して、成形体に膨れを生じる恐れがあるため、好ましくない。
また、有機バインダとして用いられるEVA等の樹脂は通常、分子量が本発明のPEGよりも1桁大きいために、溶媒に溶解する際に膨潤し、成形体に膨れを生じさせるおそれがあるため、抽出脱脂に用いる溶媒としては、本発明のPEG以外を溶解させない溶媒を用いることが好ましい。
本発明にかかるPEGは、ほとんど膨潤することなく溶解するため、成形体を変形させることなく、溶出させることができる。
【0029】
抽出された脱脂体は自然乾燥、熱風乾燥若しくは減圧乾燥させた後、加熱脱脂炉に入れて加熱脱脂を行う。
加熱脱脂は、不活性ガス雰囲気下で最高温度400〜800℃の間において昇温速度5〜150℃/hrの条件で加熱し、添加した有機バインダを除去することが適切である。300℃程度では有機バインダが30%程度残留しやすいので、残留するバインダを除去するためには加熱脱脂を400℃以上で行うことが好ましい。なお、600℃以上では有機バインダが完全に除去されやすく、焼結工程に移動させる際に成形体が崩れる恐れもあるため、より好ましい脱脂温度は最高400℃〜600℃である。加熱脱脂で使用するガスにはコスト面並びにサイアロン粉末に対する反応を考慮して窒素ガスを用いることが望ましい。脱脂時の昇温速度は成形体の形状に合わせて肉厚が厚くなる場合には昇温速度を遅くし、内部にクラック等の欠陥を防ぐ。また、脱脂時の加熱変形を考慮した治具に製品を設置して脱脂を行うことにより、成形体の変形を防ぐことができる。
【0030】
また、脱脂温度をさらに1000〜1200℃程度まで上昇させて仮焼結することで、脱脂後のハンドリングを容易にすることが出来る。さらに、これらの成形体の崩れを防止する方法として、脱脂機能を具備した焼結炉を用いると効果的であり、脱脂終了後も温度を下げることなく焼結に移行することができる。また、連続式(ベルト式、プッシャー式、ウォーキングビーム式)脱脂炉と同じく連続式(ベルト式、プッシャー式、ウォーキングビーム式)焼結炉を連結させることで、脱脂から焼結を中断させることなく連続で処理を行うことができる。
【0031】
また、脱脂工程で内部に粗密化が生じる場合には加熱脱脂を行った成形体を50MPa以上の静水圧成形(CIP)処理にかけることにより、内部の粗密化を抑え、微細な気孔の発生を抑え、焼結品の信頼性を高めることができる。
【0032】
加熱脱脂工程によりバインダを除去した成形体を焼結する。焼結工程は不活性ガス雰囲気下で50〜400℃/hrの昇温速度で昇温し、焼結温度1600〜2000℃において焼結品を得ることが適切である。焼結工程で用いるガスにはコスト面並びにサイアロン粉末に対する反応を考慮して窒素ガスを用いることが望ましい。焼結温度が1600℃未満の場合には完全に焼結が進行せず、内部に気孔が存在し強度が著しく低下する恐れがある。焼結温度が2000℃を超える場合には結晶粒径が成長し、強度が低下する恐れがある。
焼結時の雰囲気は焼結時の材料の加熱分解を考慮して常圧もしくは加圧雰囲気が望ましい。また焼結炉内の温度ばらつきを考慮して、最高温度で1時間から4時間保持して焼結行うことがより望ましい。また焼結時の加熱変形を考慮した治具に製品を設置して焼結を行うことにより、焼結時の変形を防ぐことができる。
また、成形体を、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナまたはサイアロン製の容器(脱脂後の成形体を完全に覆い隠す容器。例えば、箱形若しくは円筒形の容器)に入れて焼結することにより、高温時に焼結炉内に残留するバインダ残留物、ガス不純物からの反応を防ぎ、焼結時の不純物の混入を抑えることができる。
【0033】
また、焼結後の製品を、100MPa以上で処理温度1600℃以上1900℃以下で熱間静水圧成形(HIP)処理を行うことにより、さらに焼結工程で発生した微細な気孔の発生を抑え、焼結品の信頼性を高めることができる。
さらに、必要に応じて焼結後若しくはHIP処理後の製品をバレル研磨等の研磨工程を用いることにより表面粗度を向上させるとともに、バリの除去を行うことができる。また、寸法精度を向上させるために、機械加工を行うことができる。
【0034】
本発明による方法により従来では製造が困難であった、靱性の高い高密度のサイアロンセラミックスの製造が可能となり、軽量で1000℃以上の高温下でも耐食性の高い自動車部品用タービンホイール及びベーンノズルを製造することが可能となった。
【実施例1】
【0035】
本発明にかかる方法により非酸化物セラミックス製品を製造した。成形材料および加熱混練条件、射出成形条件、脱脂条件、焼結条件等は下記の通りとした(抽出脱脂工程なし)。35mm×5mm×0.7mmの成形体を100個成形し、脱脂、焼結後の欠陥の有無並びに焼結密度の測定を行った。
・サイアロン粉末 平均粒径0.5μm(組成式Si5AlON7
・焼結助剤:酸化イットリウム
・有機バインダ組成:パラフィンワックス55体積%、ポリブチルメタクリレート25体積%、エチレン酢酸ビニル供重合体15体積%、ステアリン酸5体積%
・サイアロン粉末:90重量% 酸化イットリウム:10重量%
・成形材料:有機バインダ47体積% サイアロン粉末+焼結助剤53体積%
・加熱混練:160℃ 2時間
・射出成形条件:160℃ 金型温度20℃
・脱脂条件:最高温度600℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:10℃/hr
・焼結条件:最高温度1750℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:150℃/h サイアロン焼結品の容器を用いて焼結
【0036】
脱脂体、焼結品のX線非破壊観察を行った結果内部には欠陥は認められなかった。
また、焼結品は黒色で、焼結密度は99.6%であった。
また、焼結品のX線回折データからSi5AlON7からなるピークが確認された。
【実施例2】
【0037】
適切なサイアロン粉末の平均粒径、焼結助剤の添加量、有機バインダの添加量を検討するため、それぞれの範囲を変更した成形材料を多数作製した。焼結助剤としては酸化イットリウムを用い、有機バインダの組成は実施例1と同様とした。
実施例1と同様の製造条件にて、35mm×5mm×0.9mmの製品を製造した。表1に結果をまとめる。
【0038】
【表1】

【0039】
実験の結果、肉厚1mm未満の製品であれば、平均粒径が0.01μm〜3.0μmのサイアロン粉末を用い、焼結助剤を、サイアロン粉末と焼結助剤の合計量に占める割合が0.5〜15重量%となる量で添加し、有機バインダを、成形材料全量中に占める割合が30〜70体積%となる量で添加した成形材料を用いることにより、射出成形により成形材料を金型に充填して成形体を得ることができ、当該成形体を加熱脱脂し、焼結することにより、焼結密度99%以上のサイアロン製焼結品を得ることができることが分かった。
【実施例3】
【0040】
本発明にかかる方法により非酸化物セラミックス製品を製造した。成形材料および加熱混練条件、射出成形条件、脱脂条件、焼結条件等は下記の通りとした。35mm×35mm×3mmの成形体を100個成形し、脱脂、焼結後の欠陥の有無並びに焼結密度の測定を行った。
・サイアロン粉末 平均粒径0.5μm(組成式Si5AlON7
・焼結助剤:酸化イットリウム
・有機バインダ組成:PVB(分子量 1.5万)15体積%、PEG(分子量2千)45体積%、アモルファスポリオレフィン5体積%、ポリブチルメタクリレート15体積%、エチレン酢酸ビニル供重合体15体積%、ステアリン酸5体積%
・サイアロン粉末:90重量% 酸化イットリウム:10重量%
・成形材料:有機バインダ48体積% サイアロン粉末+焼結助剤52体積%
・加熱混練:160℃ 2時間
・射出成形条件:180℃ 金型温度20℃
・抽出脱脂条件:40℃ 12時間、抽出溶媒:イオン交換水
・乾燥条件:40℃ 4時間
・脱脂条件:最高温度600℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:20℃/hr
・焼結条件:最高温度1750℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:150℃/hr サイアロン焼結品の容器を用いて焼結
【0041】
抽出脱脂後においてPEGの70体積%(全バインダ中換算で31.5体積%)が除去された(PEG以外の有機バインダ成分は実質的に水に溶解しないため、PEGの溶出量は、抽出脱脂工程後、成形体を乾燥して、抽出脱脂工程前後の成形体の重量差=除去されたPEGの重量とし、これを体積に換算することによって算出した)。
脱脂体、焼結品のX線非破壊観察を行った結果内部には欠陥は認められなかった。
また、焼結品は黒色で、焼結密度は99.7%であった。
焼結品の表面及び内部のSEM写真を図2に示す。表面及び内部に気孔は認められなかった。
また、焼結品のX線回折データを図3に示す。Si5AlON7からなるピークが確認された。
【0042】
また、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナまたはサイアロンの容器に入れて焼結することにより焼結工程において残留する不純物からの影響を排除することが可能となった。上記容器に入れて焼結を行ったものは表面が緻密化し黒色であるが、上記容器を用いないで焼結した場合には焼結品の表面が白濁化し、電子顕微鏡の観察結果では図4に示すように同じ条件下で焼結が不十分であることが明らかとなった。
【0043】
[比較例1]
焼結助剤を添加しない焼結品を製造した。成形材料および加熱混練条件、射出成形条件、脱脂条件、焼結条件等は下記の通りとした。35mm×35mm×3mmの成形体を100個成形し、脱脂、焼結後の欠陥の有無並びに焼結密度の測定を行った。
・サイアロン粉末 平均粒径0.5μm
・焼結助剤:なし
・有機バインダ組成:PVB(分子量 2.7万)15体積%、PEG(分子量2千)45体積%、アモルファスポリオレフィン5体積%、ポリブチルメタクリレート15体積%、エチレン酢酸ビニル供重合体15体積%、ステアリン酸5体積%
・サイアロン粉末:100重量%
・成形材料:有機バインダ48体積% サイアロン粉末52体積%
・加熱混練:160℃ 2時間
・射出成形条件:180℃ 金型温度20℃
・抽出脱脂条件:40℃ 12時間、抽出溶媒:イオン交換水
・乾燥条件:40℃ 4時間
・脱脂条件:最高温度600℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:20℃/hr
・焼結条件:最高温度1750℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:150℃/hr サイアロン焼結品の容器を用いて焼結
【0044】
抽出脱脂後においてPEGの70体積%(全バインダ中換算で31.5体積%)が除去された。
脱脂体、焼結品のX線非破壊観察を行った結果、内部には欠陥は認められなかった。
焼結品は黒色で、焼結密度は87.5%であり、完全に緻密化させることは出来なかった。
また、この成形体を脱脂後CIP処理した製品を用いて焼結しても焼結密度は90%以下と低い値を示し、さらに焼結後の製品のHIP処理をおこなったが焼結密度は90%以下であり、焼結密度が99%以上の緻密化した製品を得ることは出来なかった。
【実施例4】
【0045】
焼結助剤の種類および添加量、有機バインダ組成を種々検討し、実験を行った。成形条件、抽出脱脂条件、乾燥条件並びに加熱脱脂条件は実施例3と同じ条件で行った。実験に用いた条件と結果を表2〜4に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
試料1〜9,12,13では焼結密度99%以上の健全な焼結品が得られたが、焼結助剤1wt%の試料10,焼結助剤なしの試料11では焼結密度95%未満と内部に気孔の多い焼結品しか得られなかった。ただし、試料10の焼結品は1000MPa、1700℃でHIP処理を行うことで、焼結密度99%以上の製品を得ることができた。しかしながら試料11においては上記と同様のHIP処理を行っても焼結密度95%以上の焼結品を得ることはできなかった。
また、有機バインダ中のPVB量が3体積%の試料14、PVBを含まない試料15では、成形体強度が低下し、成形時にクラックが発生した。また、分子量1万のPEGを用いた試料16では、PEGの抽出率が低くなり、加熱脱脂時にクラックが発生した。また、試料17では、PVBの分子量が18万のものを用いて実験を行ったが、脱脂後においても残留炭素が存在し、焼結後に50μm程度の気孔が生じた。
【0050】
なお、同じ試料1〜17を用いて、実施例1と同様の製造条件にて、実施例1と同じ製品(35mm×5mm×0.7mm)を製造したところ、試料11(焼結助剤なし)以外の試料については、焼結密度99%以上の製品を得ることができた。
【実施例5】
【0051】
上記実施例およびその他の実験から、肉厚1mm以上のサイアロン焼結品を安定して製造するためには、適切な有機バインダ(特定のPVBおよびPEGを含む有機バインダ)を用い、加熱脱脂前に抽出脱脂工程を行うことが好ましいことが分かった。適切な有機バインダについてさらに検討するため、種々の有機バインダを用いて、有機バインダの組成以外を実施例3と同じとし、35mm×35mm×3mmの製品を製造した。結果を表5にまとめる。
なお、有機バインダの残部は、EVA、PBMA、ステアリン酸を表5に示す配合割合で混合したものからなる。
【0052】
【表5】

【0053】
表5に示す通り、PVBの添加量が5体積%未満の場合には成形体強度が低下しやすく、またPVBの添加量が30体積%よりも多い場合には、脱脂時に炭化物として残留し、内部に欠陥を生じやすかった。また、平均分子量が15万より大きいPVBは加熱脱脂時に完全に分解されず炭化物として残留し、焼結時に気泡が生じ製品の物性を低下させやすかった。
また、PEGについては添加量が35体積%未満の場合には溶媒漬浸工程でPEGをスムースに溶出しにくく、PEGの添加量が80体積%よりも多い場合には成形体強度が低下して、射出成形時に割れ、膨れ等の欠陥を生じやすかった。また、平均分子量が5千より大きいPEGを用いた場合、抽出脱脂工程において溶媒に対する溶解度が低下し、抽出脱脂が不十分になりやすかった。
【実施例6】
【0054】
抽出脱脂時のPEGの溶出量について検討した。PEGとして平均分子量2千のものを用いた。また、平均分子量2.7万のPVBを用いた。他の有機バインダ成分は表6に示す通りである。PEGの溶出量は、抽出脱脂時間により調節した。有機バインダ組成・抽出脱脂時間以外の条件については、実施例3と同様とした。結果を表6に示す。
【0055】
【表6】

【0056】
表6に示す通り、全有機バインダ中の25体積%以上に相当するPEGを溶出することができれば、肉厚1mm以上の製品であっても、抽出脱脂後の加熱脱脂を適切に行うことができ、焼結密度99%以上の焼結品が得られることが分かった。平均分子量の異なるPEGを用いて実験を行っても、同様の結果が得られた。また、成形材料中の有機バインダの量を変化させて実験を行っても、同様の結果が得られた。
【実施例7】
【0057】
本発明にかかる方法によりタービンホイールを製造した。成形材料および加熱混練条件、射出成形条件、脱脂条件、焼結条件等は下記の通りとした。図5に示すタービンホイールの成形体(外径58mm:ブレードの厚み0.5〜2.1mm:中心軸部の直径15mm)を20個成形し、脱脂、焼結後の欠陥の有無並びに焼結密度の測定を行った。
・サイアロン粉末 平均粒径0.5μm
・焼結助剤:酸化イットリウム
・有機バインダ組成:PVB(分子量 1.5万)10体積%、PEG(分子量1.5千)50体積%、アモルファスポリオレフィン5体積%、ポリブチルメタクリレート16体積%、エチレン酢酸ビニル供重合体16体積%、ステアリン酸3体積%
・サイアロン粉末:92.5重量% 酸化イットリウム:7.5重量%
・成形材料:有機バインダ48体積% サイアロン粉末+焼結助剤52体積%
・加熱混練:160℃ 2時間
・射出成形条件:180℃ 金型温度20℃
・抽出脱脂条件:40℃ 24時間、抽出溶媒:イオン交換水
・乾燥条件:40℃ 4時間
・脱脂条件:最高温度600℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:10℃/hr
・焼結条件:最高温度1750℃(窒素ガス、大気圧フロー)2時間保持 昇温速度:150℃/hr
【0058】
抽出脱脂後においてPEGの75体積%(全バインダ中換算で37.5体積%)が除去された。
脱脂体、焼結品のX線非破壊観察を行った結果、内部には欠陥は認められなかった。
また、焼結品は黒色で、焼結密度は99.5%であった。
【実施例8】
【0059】
本発明にかかる方法によりベーンノズル部品を製造した。実施例7と同様にして、図6に示すベーンノズル部品(翼部長さ24.5mm:翼部の厚み0.4〜2.2mm:軸部の直径4.0mm)の成形体を20個成形し、脱脂、焼結後の欠陥の有無並びに焼結密度の測定を行った。
【0060】
抽出脱脂後においてPEGの75体積%(全バインダ中換算で37.5体積%)が除去された。
脱脂体、焼結品のX線非破壊観察を行った結果、内部には欠陥は認められなかった。
また、焼結品は黒色で、焼結密度は99.7%であった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
従来法では、複雑三次元形状のサイアロンセラミックス部品を製造することは困難であったが、本発明の方法によれば、高密度を有する複雑三次元形状のサイアロン焼結品を、精度良く大量に生産することができるため、自動車用耐熱部品、特に過給機向けタービンホイール並びにベーンノズル部品等に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイアロン粉末A、焼結助剤B、および有機バインダCを含有する成形材料であって、
前記サイアロン粉末Aは、平均粒径0.01μm〜3.0μmの粉末であり、
前記焼結助剤Bは、Y、Yb、Al及びZrよりなる群から選択される元素の酸化物であり、サイアロン粉末Aと焼結助剤Bの合計量に占める割合が0.5〜15重量%となる量で含有されており、
前記有機バインダCは、成形材料全量に占める割合が30〜70体積%となる量で含有されている、成形材料を調製する工程、
当該成形材料を射出成形して成形体を得る工程、
当該成形体を加熱脱脂し、焼結する工程
を含むことを特徴とする非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項2】
前記有機バインダCが、平均分子量150,000以下のポリビニルブチラールを5〜30体積%、および平均分子量5,000以下のポリエチレングリコールを35〜80体積%の量で含有していること、および
前記射出成形工程後に、
前記ポリエチレングリコールを溶解するが、前記ポリビニルブチラールを溶解しない溶媒を用いて、成形体中の全バインダ中の25体積%以上に該当する量のポリエチレングリコールを除去する抽出脱脂工程を行った後、当該成形体を乾燥して溶媒を除去し、その後、加熱脱脂し、焼結することを特徴とする、請求項1に記載の非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項3】
前記加熱脱脂が、不活性ガス雰囲気下にて、昇温速度5〜150℃/hr、最高温度400〜800℃で行われること、および
前記焼結が、不活性ガス雰囲気下にて、昇温速度50〜400℃/hr、焼結温度1600〜2000℃で行われる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項4】
前記加熱脱脂後の成形体を50MPa以上の静水圧成形処理にかけた後、焼結することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項5】
成形体を、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナおよびサイアロンからなる群から選択される材質製の容器に入れて焼結することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項6】
前記焼結後の製品を、処理圧力100MPa以上および処理温度1600〜1900℃の熱間静水圧成形にかけることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非酸化物セラミックス製品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された非酸化物セラミックス製品であって、自動車用過給機のタービンホイールまたはベーンノズル部品である、非酸化物セラミックス製品。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−256050(P2011−256050A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27553(P2009−27553)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【特許番号】特許第4330086号(P4330086)
【特許公報発行日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(398041030)株式会社テクネス (10)
【Fターム(参考)】