高さが異なる中空突起を有するシート成形体およびその製造装置
【課題】 種々の複雑な形状を有する製品を、製品の凹凸に対応した形状に適合して包装できる中空突起を有するシート成形体およびそれらを効率よく製造する手段に関する。
【解決手段】 樹脂シートの片方の面又は両面に、樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする、高さが異なる中空突起を有するシート成形体、および高さを異にする針状型により高さを異にする中空突起を有する成型体の製造装置。
【解決手段】 樹脂シートの片方の面又は両面に、樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする、高さが異なる中空突起を有するシート成形体、および高さを異にする針状型により高さを異にする中空突起を有する成型体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さが異なる中空突起を有するシート成形体およびその製造装置に関し、特に、種々の複雑な形状を有する製品を、この中空突起物で包装することができ、製品の凹凸に対応した形状に突起の高さを有する中空突起を有するシート成形体とその製造手段に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂シートの両面や片面に中空突起を有するシート成形体およびその製造方法が提案されている(例えば、特開昭48−75678号、特公昭62−15330号)。しかし、この開示されているシート成形体は、突起物の高さが一定であるため、複雑な形状をした製品の場合は、その製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体が求められていた。また、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置が求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開昭48−75678号公報(第1頁、第2頁、第11頁左下欄、第1図、第5図)。
【特許文献2】特公昭62−15330号公報(第1頁、第2頁、第1図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、複雑な形状をした製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体及びその製造手段を提供することにある。また本発明は、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置を提供することにある。また本発明は、中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体を提供することにある。また本発明は、このような製品を製造可能な装置の針状型をメンテナンスや改造を容易にする手段を提供することにある。さらに本発明は、このような特徴を有する成形体を生産性良く安定して製造する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、そのシート成形体としての特徴は、次の通りである。本発明は、樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有する中空突起を有するシート成形体に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体において、中空突起の先端にシート状物が接合されている前記中空突起を有するシート成形体に関する。さらに本発明は、前記片面に中空突起を有するシート成形体において、中空突起の底面にシート状物が接合されており、中空突起の内部に形成されている空洞に物体が充填されている前記中空突起を有するシート成形体に関する。
【0006】
また本発明の製造装置としての特徴は、次の通りである。本発明は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板と一体化されて設けられており、樹脂シートの他方の面の側には、針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に樹脂シートを背面から支えるように構成されおり、針状型が孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、多数の針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、片面に中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている基板の一対が互いに向かい合って設置され、この一対の基板の針状型が樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、この一対の針状型の少なくとも片方を構成する多数の針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、両面に中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記針状型の少なくとも一部が、直線運動を行うアクチュエータを有する、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、運動量を感知するセンサーを有し、個々のアクチュエータがセンサーによって指示された運動量が与えられる、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータがモータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンクより選ばれた変換機構により直線に変換させられたものである、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、ソレノイドによって与えられる直線的な運動である、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に、さらにシート加熱装置を有し、前記樹脂シートが加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱されたものである、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記針状型にネジ部又は段差が設けられており、この針状型の先端より引き抜き具を挿入してネジ部又は段差に嵌合させ、針状型を先端方向に引き抜かれるようにした針状型を有する、前記高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記基板の表面に針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、この離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、基板と成形されたシート成型体が分離されていくように構成されている、前記高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板の前記樹脂シートと反対側に離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、この離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、成形されたシート成型体の先端部を押し下げられて、シート成型体を孔開き押さえ板から分離されていくように構成されている、前記高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。さらに本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板および/または前記基板の背後に圧空室が設けられており、前記中空突起が形成された前記樹脂シートを、圧空室のエア圧により孔開き押さえ板および/または前記針状型から離すように構成されている、高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。
【0007】
本発明は、樹脂シートの片面又は両面に、中空突起を有することを特徴とする。樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等のビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等の熱可塑性樹脂が好んで使用される。さらに、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、加熱等によって、以下に示す荷重たわみ温度以上で流動性を示す樹脂であれば使用することができる。また、上記の樹脂は、単体で使用されるばかりでなく、ブレンド等により樹脂相互を組み合わせて使用することも出来、さらに可塑剤や充填剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤等の添加剤等を加えて使用することもできる。また本発明は、土木用や環境に配慮した包装材等にも使用されるので、ポリ乳酸系やポリブチレンサクシネート系等の生分解性樹脂や、ビニルケトン系ポリマー等の光分解性樹脂などの分解性樹脂も好ましい。また、本発明は柔らかいシート成形体をも目的としており、SBSやポリウレタン等の熱可塑性エラストマーも使用することができる。そして、本発明に使用される樹脂としては、ポリプロピレン等のヒンジ特性のよい樹脂は、本発明の高さが異なる中空突起のもつ弾性的特徴を最も発揮しやすいので特に好ましい。
【0008】
本発明は、樹脂シートの片面又は両面に、その樹脂シートの一部が変形されることによって形成された多数の中空突起を有する。ここで使用される樹脂シートは、上記樹脂がシート状に成形されたものを意味する。シートは、厚みにおいて特に制限はなく、通常フィルムや膜と呼ばれるものも含むが、厚みは、好ましくは10μm以上であって3mm以下、さらに好ましくは50μm以上であって2mm以下、100μm以上であって1mm以下が最も好ましい。10μmに達しない場合や3mmを越える場合は、中空突起を有するシート成形体を安定して成形することが困難だからである。本発明によるシート成形体は、シート状物の片面に中空突起が形成されたシート成形体と、シート状物の両面に中空突起が形成されたシート成形体がある。片面に中空突起が形成された立体構造は、片面の中空突起の数を多くすることができ、そのため圧縮強度が強く、また、底面には既にシート状を形成しているので、中空突起の先端にシート状物を接合するだけで、天地にシート状物を有する構造物とすることができる。両面に中空突起を形成された立体構造は、シート成形体の厚みが大きくなり、よりカサ高性のある構造物とすることができる特徴を有する。したがって、片面に中空突起を有する成形体を用いるか、両面に中空突起を有する成形体を用いるかは、これらの特性に合わせて、用途により判断される。
【0009】
本発明のシート成形体における中空突起は、突起の形状が細い針状突起であってもよく、また太い突起にも使用される。突起の先端は、突起を縦割りした場合の断面が丸みをおびた放物線状であっても良く、円筒や裁頭円錐形であっても良い。中空突起の先端は、細い突起の形状もとることができ、その場合は、突起部分で柔軟に変形し対象物に対して柔らか接触感を生じさせることができる。また、中空突起の頂点が平面であると、圧縮力が均等にかかりやすい特性もあり、さらに頂点が平面であると、下記に述べるシート状物との接合性も良くなる。これらの突起の先端の形状は、主として、本発明を製造する際の針状型の形状によって定められる。また、突起をヨコに切断した場合の断面は、円ばかりでなく、楕円や四角、三角等の種々の形状を有することもできる。またこれらの形状の混在であってもよい。
【0010】
本発明においては樹脂シートの片面又は両面に多数の中空突起を有することを特徴とする。多数とは、平方メータ当たり10個以上、好ましくは数10個、大きい場合は数100個、数千個以上の突起を有する。中空突起の数は、主として本発明の太さに依存するが、突起が細い場合は、中空突起を数多く設けることができる。中空突起の数が多いことは、それだけ圧縮強度が大きいことを意味し、突起が細くて高い場合は、柔軟でカサ高であることを意味する。なお、本発明の成形体における中空突起は、一定のピッチを必ず有する必要はなく、ランダムなピッチ、また単純な一定ピッチではなく、複雑なピッチを有する場合もある。
【0011】
本発明においては、樹脂シートの片方の面又は両面に樹脂シートの一部が変形されることにより、個々の中空突起が、高さが異なる突起を一定割合以上含むことを特徴とする。本発明の中空突起は、少なくとも片面にある中空突起の数における10%以上の突起の高さHが、15%以上の高さの差を有し、好ましくは、少なくとも20%以上の突起な数が高さHが30%以上の高さの差を有することを特徴とする。中空突起の数は、平方メータ当たりの数に換算して示す。高さの差とは、一番高い突起に対して、10%以上の突起の数が15%以上低いことを意味し、また、一番低い突起に対して、10%以上の突起の数が、15%以上の高さを有することを意味する。これらの高さの差は、装置の不具合等で、たまたま生じたものを排除する主旨であり、一定以上の高さの割合以上でないと、わざわざ装置を改善してまで製造するものではないことを意味する。このように高さの差を有することにより、複雑な形状をした製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体を提供することができる。また、中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体を提供することができる。
【0012】
本発明のシート成形体は、一定間隔をおいて、中空突起を形成していないゾーンを有することができる。中空突起を有していない部分は、このシートに折り畳み部や切り取り部を形成させる。そのことにより、本発明のシートを包装資材として一定の大きさに切断して使用する場合における適合性を高めることができる。
【0013】
本発明の中空突起を有するシート成形体において、中空突起の先端にシート状物が接合されている構造体とすることができる。本発明における中空突起は、中空突起の先端がフラットな裁頭形とすることにより、シート状物との接合面積が広く、先端部においてシート状物との接合が非常に容易である。本発明におけるシート成形体とシート状物との接合方法の例としては、溶融樹脂を押出ラミネートする場合や、樹脂シートを加熱溶融する場合は、シート成形体の中空突起の先端と接触して、中空突起の先端部を溶融している樹脂シートの熱容量で溶解して接合することができる。また、シート状物又はシート成形体の先端に、感圧性接着剤などの粘着性接着剤、ホットメルト接着剤、エマルジョン接着剤などの接着剤を塗布してから、接合接着することもできる。シート状物と接合されることにより、圧縮力が平均にかかり、シート成形体の寸法安定性がアップし、また中空突起の左右への動きを妨げるので、圧縮強度もアップする。接合するシート状物の種類は、本発明のシート成形体を形成させるシートと同様な樹脂シートばかりでなく、織物、編物、不織布、ネット、紙などの通気性や通水性を有する素材、耐熱性を要求される場合はアルミ箔等の金属やセラミック板等も使用することができる。樹脂シートでは孔開きフィルムが、通気性や透水性が要求される場合に好適である。また、通気性発泡シートも使用することができる。これらの通気性を有するシートを接合することにより、「呼吸する断熱ボード」とすることができ、水蒸気は殆ど通さないが空気は通り抜けることにより結露防止性を有するシート成形体とすることができた。それにより、グラスウールのようにチクチクせず、また製品は樹脂として再利用できるので、環境負荷が少ない。また、シート状物を通水性とすることで、暗渠シートとして利用することができる。
【0014】
本発明の片面に中空突起を有するシート成形体において、中空突起の底面にシート状物が接合されることにより、中空突起の内部の空洞へ物体を充填できることに特徴がある。充填される物体は、通常は空気等の気体であることが多いが、水などの他の流体を充填することもできる。中空突起の内部に物体が充填されることにより、圧縮に対して、さらに弾力性が増し、また変形後の戻りも良くなる。
【0015】
本発明の中空突起を有するシート成形体の製造手段は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートに対して、多数の針状型が樹脂シートに対して垂直方向に移行することで樹脂シートに嵌入し、樹脂シートを変形させる。そして、その変形の状態を維持した状態で冷却又は凝固されることにより、片面又は両面に中空突起を有する成形体を製造することができる。樹脂の荷重たわみ温度は、JISK7207により定められ、熱変形温度とも呼ばれる。本発明に使用される荷重たわみ温度においては、B法、即ち試験片に加える曲げ応力は、45.1N/cm2である。樹脂の荷重たわみ温度以上では、樹脂シートは突起物で変形することができ、荷重たわみ温度より30℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、80℃以上が最も好ましい。荷重たわみ温度に達しない場合でも変形はできるが、変形に時間を要し、生産性が悪い。樹脂シートの軟化は、温度効果ばかりでなく、ポリビニルアルコールにおける水溶媒や、ポリ塩化ビニル樹脂における可塑剤のように、溶媒や可塑剤などによる化学的に軟化させる場合があるが、その場合でも、樹脂シートが荷重たわみ温度以上であることが要件とされる。
【0016】
本発明における樹脂の荷重たわみ温度以上である流動性を有している樹脂シートは、製膜装置によって溶融状態からの冷却過程にある樹脂シートをそのまま使用できる。また、一旦シート成形されて固体の状態の樹脂シートを、加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱されたものも使用できる。加熱装置は、加熱ロール、熱風室、赤外線加熱器等の加熱手段を有し、これらの加熱手段から選ばれた一つ、又はそれらを組み合わせて使用される。この固体シートを加熱装置で加熱される手段で製造された中空成形体は、適温を選ぶことにより、変形方向に分子配向が良くなり、圧縮強度や耐衝撃強度の強い成形体となりうることがわかった。 また、製膜装置から中空突起成形装置に導く際、従来のようにキャタビラ等のコンベアで連続的に成形することもできるが、本発明では針状型が複雑なため、一定のシート長毎に間欠的に行うこともできる。その際、製膜装置と中空突起成形装置との間にシートを一時的に溜めるアキュムレータを設けることが望ましい。アキュムレータは、ダンサーロール形式やJシュータ方式のものなど、種々のタイプが使用される。このようにアキュムレータを使用する際は、アキュムレータで溜められている間にシートの熱が奪われるので、前述の加熱装置を用いることが特に有効である。
【0017】
本発明の中空突起を有するシート成形体の製造手段において、樹脂シートを変形させる針状型は、細くて長い剛体や、棒状の突起物からできている。細くて長い針状型の利点は、装置としての針状型も、製品の中空突起も、熱容量が小さいので冷却効率がよく、生産性が良いことである。また、圧縮強度向上には、単に形状のみでなく、成型時に付与される溶融時の変形による分子配向効果も大きい。本発明は、変形率が大きく、また冷却効率も大きいことより、分子配向を大きくすることができるという特徴もある。
【0018】
本発明のシート成形体は、片面のみに突起を有する場合と、両面に突起を有する場合の両方を含む。まず片面の場合について説明する。樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板に設けられており、この樹脂シートの他方の面の側には、針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、この針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に樹脂シートを背面から支えるように構成されている。そしてこの針状型がこの孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように、樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成される。すなわち、多数の針状型と、その突起に対応した位置に孔を有する孔開き押さえ板があり、この二つの間に樹脂シートが挟まれ、この針状型が孔開き押さえ板に対して垂直方向に移行することにより樹脂シートが変形して、樹脂シートの片面に中空突起が形成される。針状型は基板に固定されており、基板が樹脂シートに対して垂直に移行する手段を併用してもよいが、針状型の垂直方向への移行は、アクチュエータによる直線運動によるエネルギーによって行うこともできる。
【0019】
本発明におけるシート状物の片面に多数の中空突起を有するシート成形体の製造においては、多数の針状型の突起に対応した孔を有する孔開き押さえ板が、樹脂シートの背面に設けられる。そして、針状型が樹脂シートに嵌入していく際、樹脂シートを背面から支えるように構成されている。そして、針状型が孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように、樹脂シートに対して垂直方向に動くことによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に中空突起が形成される。この孔開き押さえ板は、嵌入してくる針状型の力を、シートの背面から力学的に支える機能と、樹脂シートの片面に形成される突起の径を決める形状因子として機能を有する。同じ針状型が嵌入される場合であっても、孔開き押さえ板の孔の径を変えることで、異なる径(W)を有するシート成形体とすることができる。この孔開き押さえ板の樹脂シート側の孔の入口は、面取りが施され、成形時に傷が入らないようにする配慮がされていることや、表面や孔にシリコン系やフッ素樹脂系の離型剤等の離型作用のあるもので表面処理されていることが望ましい。
【0020】
つぎに両面突起の場合について説明する。樹脂の荷重たわみ温度以上である流動性を有している樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている基板の一対が互いに向かい合って設置される。この一対の基板の針状型が、この樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成される。針状型は基板に保持されて、基板が樹脂シートに対して垂直方向に移行してもよいが、針状型の垂直方向への移行は、アクチュエータによる直線運動によるエネルギーによっても行うことができる。
【0021】
本発明は、片面又は両面の中空突起を有するシート成形体において、突起の高さが異なる中空突起を有するシート成形体が製造できることを特徴とする。本発明では、その針状型そのものが高さを異にした形状で基板に固定されていることで実現できる。針状型の高さは、少なくとも片面にある中空突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有するように製造される高さの差であることが望ましい。針状型における高さの差は、製品における中空突起において定義したものと同様である。針状型の基板への保持は、ネジやピン、溶接などの機械的方式でもよく、接着剤によって固定してもよい。
【0022】
また、本発明における針状型の突起の高さhを可変出来ることにも特徴がある。この可変にできるメカニズムの一つとして、多数の針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有し、その調整機構により要望する高さの針状型に作り替えて、要求される製品に適合した針状型群とすることができる。調整機構の例として、針状型をねじ込み式で基板に固定し、ネジのセット位置で高さを可変にすることができる。また、他の例として、針状型に多数のセット孔を開けておき、そのセット孔をピンで固定する位置で、高さを可変にすることができる。
【0023】
本発明における針状型の突起の高さhを可変出来るようにする他のメカニズムとして、多数の針状型のそれぞれが直線運動を行うアクチュエータを有し、個々の針状型の嵌入深さがそれぞれ可変にできる。アクチュエータを用いることにより、アクチュエータの設定条件を変更するだけで、簡単に種々の高さの異なる針状型群をつくることができる。アクチュエータは、入力されたエネルギーを物理運動量に変換するものであり、機械、電気機器を構成する機械要素の一つである。入力されるエネルギーには、モータによる回転エネルギー、油圧や空気圧等の流体圧、ソレノイド等に与えられる電磁力等がある。アクチュエータによって与えられる直線運動により、樹脂シートに対して、針状型を垂直方向に移行させることができる。
【0024】
本発明におけるアクチュエータによって与えられる針状型の直線運動は、移動距離を個々の針状型で可変にできることを特徴とする。可変にできる機構は、アクチュエータに与えられるエネルギーの量を可変にすることによっても行うことができる。また、他の方法として、針状型にセンサーを内蔵し、そのセンサーに与えられる指示によって、アクチュエータの運動量をそれぞれの針状型ごとに可変にすることもできる。
【0025】
本発明におけるアクチュエータの例として、モータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンク、クランク等より選ばれた変換機構により直線に変換させて使用することができ、この直線運動エネルギーにより、針状型を直線方向に移行させる。モータに与えられる回転エネルギーは、例えば、ステッピングモータをパルスによって制御し、又はサーボモータ等によって回転数が制御される。
【0026】
本発明のアクチュエータの他の例として、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる。流体圧としては、油圧、水圧、空気圧等がある。これらの流体圧はシリンダーによって、ピストンロッドの直線的なエネルギーに変換される。ピストンロッドを加工して、そのまま針状型として使用することもできるが、針状型をピストンロッドに取り付けてもよい。個々の流体圧アクチュエータには、コントローラを設置し、針状型を動かす距離や速度を制御することができる。
【0027】
本発明のアクチュエータの他の例として、電磁力によるソレノイドによって直線的な運動が与えられる。ソレノイドは、コイル内に可動鉄芯を設置し、電流を加えることで直進運動をえるアクチュエータである。与えられる鉄芯の推力は、入力される電磁力によってコントロールされる。
【0028】
本発明において使用されるアクチュエータは、位置やエネルギーを感知するセンサーを有することが望ましい。個々のアクチュエータがセンサーによって指示された位置にまで運動量が与えられる。位置センサーとして、近接スイッチ、フォトセンサー、超音波センサー等がある。また、エネルギーセンサーとして、流量、圧力、電圧、電流、電力等が使用される。
【0029】
本発明における針状型は、根本部にアクチュエータなど種々の部品が付属している場合が多い。このような針状型が汚れたり、曲がったり、破損したりして補修や交換したい場合がある。または他の高さの針状型に交換したい場合もある。そのような針状型の補修や交換は、針状型の根本に付属するアクチュエータ等の付属物が邪魔になり、根本側に引き抜くことは困難な場合が多い。そのような場合、針状型が基板にセットされているセットを緩め、針状型を上方に引き抜けるようにすることが望ましい。
【0030】
このような針状型を上方(針状型の先端の方向)へ引き抜く手段として、針状型にネジ部又は段差が設けられており、針状型の先端より引き抜き具を挿入してネジ部又は段差に嵌合させ、針状型を先端方向に引き抜くようにすることができる。引き抜き具は、筒状で針状型の先端より挿入され、筒の内部のネジ又は段差と、針状型のネジ又は段差と嵌合させ、引き抜き具を針状型の上方へ引き抜くことで、針状型を基板から引き離すことができる。なお、ねじ込み方式では、上方に引き抜くときばかりでなく、ねじ込むだけで曲がった針状型を真っ直ぐに直す補修用としても使用することができる。
【0031】
本発明における高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造において、成形された中空突起が針状型から型離れすることが困難で、型離れを良くする必要がある場合がある。このような型離れをよくするために、孔開き押さえ板および/または基板の背後に圧空室が設けられていることが好ましい。圧空室は、気体が加圧状態または負圧状態に維持されている部屋である。孔開き押さえ板および基板には、圧空室からの気体を中空突起が形成された樹脂シート側に導く孔またはスリットが設けられていることが好ましい。しかし、孔開き押さえ板の場合は、針状型の針先に対応した位置に開けられている孔をそのまま使用することもできる。気体は、通常はエアが使用されるが、樹脂の酸化を避けたい場合は、窒素ガス等の他のガスが使用され、樹脂シートを加湿したい場合は、水蒸気を含むエアが使用される場合もある。まず、圧空室が加圧状態で、圧空室からエアが中空突起を形成している樹脂シート側に流出される場合について説明する。圧空室の加圧エアにより、エアが中空突起を形成している樹脂シート側に噴出することにより、成形品、孔開き押さえ板、基板等が冷却されることで、安定に成形され、また成形速度が速まる。また、この圧空室のエア圧により、エアが中空突起を形成している樹脂シート側に噴出することにより、成形された樹脂シートが孔開き押さえ板および基板から安定して分離されていき、この面からも安定に成形され、また成形速度を早めることができる。
【0032】
型離れを良くする他の手段として、針状型と一体化している基板と、成形される樹脂シートとの間に、基板の表面に針状型の突起に対応した孔を有する離型板が設けられていることが好ましい。この離型板が、中空突起を有するシート成型体が成形された後、その離型板が樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、その針状型と成形されたシート成型体を安定して分離していくことができ、また成形速度を速めることができる。この離型板は、アルミニューム、銅、ステンレス、鋼材等の金属で作成されていることが望ましい。金属からなる離型板の持っている熱容量で、針状型や成形されたシート成型体が冷却され、安定に成形され、また成形速度が速まるからである。本発明の中空突起は、細く高さが高いので、このような離型板が垂直に移行することで、安定して型離れできる。この離型板の垂直移行の手段は、発明を実施するための最良の手段の項で例示するものの他、磁気を利用する手段や、負圧吸引力や圧気を利用して上下することもできる。
【0033】
なお、本発明における離型板は、孔開き押さえ板からみて樹脂シートの反対側にも設けることができる。針状型等により成形されたシート成型体の中空突起の先端が、孔開き押さえ板の裏面に飛び出した場合、その飛び出している中空突起の先端をこの離型板が垂直に移動して押し当て、逆に孔開き押さえ板側に押し込むこともできる。その場合の孔開き押さえ板は平板でよい。このような孔開き押さえ板側の離型板は、本発明のシート成型体が硬質塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質の樹脂である場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0034】
本発明におけるシートの片面又は両面に中空突起を有する成形体は、包装資材としての目的に合ったように中空突起のそれぞれの高さが、自在に変化している構造を有することを特徴とする。本成形体を梱包材等に使用して、梱包物に衝撃的荷重が平面的にかかった場合、本発明による中空成形体は、複雑な形状をした製品の形状に合致しており、複雑な形状の製品にも優れた包装適正を有する。また、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、本発明は、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置を提供する。また、本発明の中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体となる。また、本発明の中空成形体は、中空突起の高さ方向に分子配向性の良い成形体を効率よく製造出来る手段を提供する。さらに本発明は、このような特徴を有する成形体を生産性良く安定して製造する手段を提供する。
【0035】
本発明の中空突起は、その突起の頂点でシート状物と一体化されている構造とすることができる。そのような構造とすることにより、突起の頂点部分が平面となり、外からの荷重を平面的に受け止め易くなる。また、本発明の中空突起の先端をフラットにすることが容易であるので、突起の先端にシート状物を接合することが容易である。また、本発明の片面に中空突起を有する成形体で、突起の底面にシート状物が貼り合わされることによって、中空突起の内部に物体が充填された構造とすることができる。物体が空気のような流体である場合は、中空突起の耐圧力はさらに増加させることができ、また、クッション作用も良くなる。
【0036】
本発明の突起を有するシート成形体を製造するためには、数十から数百の針状型を同時に直線方向に移行するする必要があり、また、これらの直線移行を有効に成形される溶融樹脂シートに伝える必要があり、また、成形された高さの異なる中空突起を針状型や孔開き押さえ板から効率よく型離れさせる必要があるなど、種々の製造上の困難を伴う。本発明では、これらの製造上の困難を解決して、簡便にして生産性の良い製造手段を提供する。本発明で提供された種々の生産手段により、多数の高さが異なる中空突起を有するシート成形体を、安定して高速連続生産を可能にした。
【0037】
本発明の高さの異なる中空突起を有するシート成形体は、コンピュータなどの重量のある精密機器を緩衝性良く包装して輸送するのに特に適する。また、ゲーム機や玩具などの複雑な形状をしている製品など、柔軟性や緩衝性を要求される製品に対して特に適する。また、緩衝シート、クッションシート、間仕切り、床材、暗渠シート等に使用される。また、比較的大きな中空突起の内部に種々の色のライトを内蔵させることや、バックライト等の照明を工夫することによって、インテリアなどアートデザイン用具としても使用することができる。
【0038】
本発明における針状型が汚れたり、曲がったり、破損したりして補修や交換したい場合、針状型の根本に付属するアクチュエータ等の付属物が邪魔にならないよう、針状型を上方に引き抜けるようにし、補修等を簡便に行うことができることも本発明の特徴である。また本発明のねじ込み方式等によって保持された引き抜き具は、曲がった針状型を真っ直ぐに直す補修効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明の例を、図面で示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明における個々の高さが異なる片面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図である。片面に中空突起からなるシート成形体1は、シート2の片面に高さの異なる中空突起3a、3b、3c、・・・3iが示されている。これらの中空突起の高さ3ah、3bh、3ch・・・3ihの全てが異なる必要はないが、片面の平方メータ当たり10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする。この図において、一番高い中空突起3aを基準にすると、10%以上の突起(例えば3b、3c、・・・)の数が、15%以上低いことを意味する。
【0040】
図2は、本発明の両面に高さが異なる中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図である。両面に中空突起からなるシート成形体11は、シート12の片面に高さの異なる中空突起13a、13b、13c、・・・、13fが示され、他方の面には14a、14b、14c、・・・、14fが示されている。これらの中空突起の高さ13ah、13bh、13ch・・・13fh、および14ah、14bh、14ch、・・・、14fhの全てが異なる必要はないが、少なくとも片面の平方メータ当たり10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする。この図では、片面のみ高さが異なる中空突起からなる成形体が示されている。
【0041】
図3は、本発明における中空突起成形体の突起の形状の例を、縦方向に切った断面図で示す。A図は、先端が尖った中空突起の例を示す。B図は、先端が丸い例を示す。C図は、コップを逆さまにしたような、頂点が平らな形状の例を示す。なお、これらの図の突起の横方向に切った断面は、必ずしも円ばかりでなく、楕円や三角、四角、多角形など種々の形状をとることもできる。これらの形状になるには、製造する際の針状型の形状などの機械的条件や樹脂シート種類や厚みなどの他、樹脂シートの温度など成形条件にも影響される。
【0042】
図4は、本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品の包装に適応される例を示す断面図である。複雑な形状をした物品21を、中空突起を有するシート成形体22、23で包装する。シート成形体22、23は、突起の底面がシート24、25でシールされており、突起の内部は、空気で満たされている。この場合、物品21の形状に沿った中空突起をもったシート成形体22、23で包装することが望ましい。但し、シート成形体22,23を構成する個々の中空突起は、必ずしも物品21の形状に完全に沿った形状である必要はなく、シート成形体22、23がある程度フレキシブルな素材であることにより、物品の形状にとって高過ぎる突起は、ある程度変形し、全体として物品21を支えることができればよい。
【0043】
図5は、物品21を包装する他の例を示す断面図である。物品21は、段ボール箱等の箱26に納められており、下面は図4と同様に物品21の形状に沿った高さが異なる中空突起をもったシート成形体22で包装されている。上面は、伸縮性を有する素材でできた緩衝用空気袋27で覆われている。緩衝用空気袋27は、弁28より封入された空気量によって、適当な大きさに調整される。
【0044】
図6は、本発明の成形装置の一例を、両面突起の場合の装置の一部について斜視図で示す。下部の基板31に針状型31a、31b、31c、・・・31fが固定されており、針状型の高さ32ah、32bh、32ch・・・32hhが異なる。上部の基板33にも、針状型34a、・・・が固定されている。この基板31と基板33との間に、成形すべきシートが挟まれ、基板31に対して、基板33が下降してくることで、上下の針状型に挟まれたシートの両面に中空突起が形成される。これら針状型の全ての高さがそれぞれ全て異なることを意味するものではなく、これらの針状型の一部の高さが異なればよい。
【0045】
図7は、本発明の針状型が、突起の高さ調整機構を有する例を示す、針状型の断面図である。A図は、基板41に孔42が設けられており、その孔42に針状の針状型43が取り付けられている。針状型43は、根本にネジ部44が設けられており、そのネジ部を、上下のナット45aとナット45bで挟んでセットする。針状型43の高さを変えたい場合は、ナット45aと45bをゆるめて、針状型43を目的位置に移動させ、その位置でナット45a、45bでセットする。B図は、基板41に孔42が設けられており、その孔42に針状の針状型46が取り付けられている。針状型46には、多数のセット孔47a、47b、47c、47d、47eが開けられている。図では、セット孔47cとセット孔47dに割ピンなどのセットピン48a、48bで止めることで、位置が固定されている。針状型46の高さを変えたい場合は、セットピン48a、48bを抜き、針状型46を目的位置に移動させ、その位置で改めてセットピンを再セットする。
【0046】
図8は、本発明の成形装置の一例で、針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する装置の断面図で示す。図に示すアクチュエータは、ウォームとホィールの組み合わせで、モータ回転を直線運動に変える例を示す。針状型51の根本部には、ネジ部52が設けられており、その軸にホイール53が嵌合している。ホイール53にはモータMとフレキシブルワイヤ54でつながれているウォーム55が直角方向から嵌合しており、モータMの回転がウォーム55からホイール53に伝わり、針状型51のネジ部52が回転する。ホイール53は、ケース56内に固定されており、このケース56は、基板57に固定されている。基板57と針状型51の接触部にはベアリング部58が設けられており、針状型が基板に対して上下できるようになっている。モータMをサーボモータやステッピングモータにすることによって回転数を制御し、針状型51の移動距離が決められる。なお、この図では針状型51をモータ回転で移動させる例として、ウォーム55を用いたが、他の手段として、ラックアンドピニオン方式、カム、リンクなどの方式をとることもできる。
【0047】
図9は、本発明におけるアクチュエータで、エアシリンダを用いた例を示す断面図である。針状型61が根本部でエアシリンダ62のピストンロッド63と結合している。ピストンロッド63は、チューブ64中のピストン65に固定されており、そのピストン65は、エア出入口66とエア出入口67に直結しているエア配管からのエアの出入りで、ピストンロッドが矢印方向に動き、その結果、針状型61も矢印方向に移動できる。この図では、流体圧としてエア圧を用いる例を示したが、他の流体、例えば油圧、水圧等も使用することができる。
【0048】
図10は、本発明におけるアクチュエータで、ソレノイドを使用した電磁石により直線運動を与える例を示す断面図である。針状型71が根本部でソレノイド72の可動鉄芯73と結合している。ソレノイド72は、ケース74内で可動鉄芯73の周りを電磁石75で囲んでおり、可動鉄心73が電磁石75のON、OFFにより矢印方向に移動し、その結果、針状型71も矢印方向に移動できる。
【0049】
図11は、本発明において、シートを加熱して中空突起成形装置に導く加熱機付き成形装置の断面図で示す。押出機81のTダイス82から押し出されたシート83は、直接、中空突起成形装置84へ導くことができる。しかし、成形された中空突起の変形過程で、より分子配向性を高めるためには、一旦、冷却ロール85a、85bで冷却されることが望ましい。シート83を冷却することのもう一つのメリットは、ダンサーロール86a、86b、86cを用いることができることである。本発明では、中空突起成形装置84部ではシート83が進行方向に断続的に移動する場合が多いので、ダンサーロール86によって、シート83の進行速度を制御することができる。即ち、ダンサーロール86は、アキュムレータとしても機能し、加熱装置87で加熱されたシート83が、中空突起成形装置84において成形される間、シートの進行を一旦停止し、ダンサーロール86上に溜めることにより、シートが断続的に進行するようにすることができる。ダンサーロール86で進行速度が調整されたシート83は、加熱装置87により加熱されて、中空突起成形装置84へ導かれる。加熱装置87は、赤外線ランプ88で加熱する例を示したが、加熱ロールによって行うこともできる。中空突起成形装置84は、片面突起の成型機で、針状型89a、89b、・・・、89eは、その根本部でアクチュエータa、b、・・・、eを備え、針状型の高さを調整できるようになっている。加熱されたシート83は、針状型89と孔開押さえ板90の間に介在し、針状型89が孔開き押さえ板90の孔91を貫通することにより中空突起成形体92が形成される。B図は、孔開き押さえ板90の平面図である。成形された中空突起成形体92は、必要に応じて、底面と表面にフィルム93、94が貼り合わされる。フィルム93,94は、粘着材が塗布されているか、または貼り合わせの工程で、粘着剤や接着剤が塗布されながら貼り合わされる。このようにして、加熱装置87で加熱されたシート83を用いることで、溶融シートから直接成形するよりも、分子配向性の良い中空突起成形体92を製造することができる。
【0050】
図12は、本発明における針状型を上方へ引き抜くことができるようにしたアクチュエータの態様の例で、装置の断面図で示す。モータMの回転軸101に棒状ネジ102がカップリング103によって接続されている。この棒状ネジ102と嵌合するナット部104を内部に有するスライドパイプ105を設ける。このスライドパイプ105の上部に基板106が設けられ、その基板106には、針状型107が埋め込まれている。スライドパイプ105の側面には、タテ方向に溝部108が設けられており、外套パイプ109に設けられた突起体110がこの溝部108に嵌入している。モータMの回転により、棒状ネジ102が回転するが、スライドパイプ105は、溝部108に嵌入している突起体110があるため回転できず、溝部108の突起体110に案内されて、スライドパイプ105はモータMの回転方向により上下にスライドし、それにつれて針状型107が上下する。突起体110は、外套パイプ109にネジ等で固定されている。図では針状型107が最下段に位置する。外套パイプ109は、下部にテーパ部111を有し、さらにその下部のモータ保持部112でモータMと接合されている。外套パイプ109のテーパ部111は、下部プレート113に設けられたテーパを有する下部プレート孔114と嵌め合って、正確な位置に外套パイプ109を固定する。外套パイプ109は、上部において上部プレート115に設けられた上部プレート孔116にネジでセットされた蓋ネジ117によって上から押さえつけられ、外套パイプ109は上下には動けないようになっている。蓋ネジ117に設けられた蓋孔118を通じて、針状型107が上方へ突出でき、蓋孔118の孔径が針状型107の径に近いため、針状型107が横方向に振れるのを防止する役目もある。蓋ネジ117には六角ネジ孔119が設けられており、六角レンチで蓋ネジ117を外すことができるようになっている。また、外套パイプ109の内側にネジ部120が設けられており、後述するメンテナンスの際に使用される。この図では、モータMと、それに接続された棒状ネジ102と、棒状ネジ102の回転にしたがって上下するスライドパイプ105等によってアクチュエータを構成している。
【0051】
図13は、図12における針状型を上方へ引き抜くことができるようにした態様の例で、装置の断面図で示す。図12における蓋ネジ117を六角ネジ孔119に六角レンチ差し込んで取り外し、上方プレート孔116より、外周がネジ121で構成されているパイプ状の引き抜き具122を挿入し、引き抜き具122の外周のネジ部121を外套パイプ109の内壁のネジ部120に嵌め込む。引き抜き具122の上方プレート115より上方へ出ている部分にナット123を嵌合させる。このナット123をスパナ等で回転させて引き抜き具122を上方へ、モータM、外套パイプ109を含めてアチュエータや針状型107等を移行させることによって、装置全体を上方へ取り出して、針状型107やモータMのメンテナンスを行う。
【0052】
図12と図13は、針状型107が最下段の場合を示した。しかし、針状型107が上方プレート115より上に飛び出している場合、多数の針状型107が乱立しているので、蓋ネジ117の取り外しが困難な場合がある。その場合、芯が空洞で柄の長い六角レンチを用いることで、取り外しができる。同様に、針状型107が上方プレート115より上に出ている場合、引き抜き具122に嵌合しているナット123を回転させることが困難な場合がある。その場合は、図14に示す補助パイプ124を上方プレート115にあてがい、その上からナット123をあてがって回転することで、上方へ引き抜くことができる。
【0053】
図15は、本発明における針状型を上方へ引き抜くことができるようにした態様の他の例で、図Aは装置を縦方向に切断した場合の断面図であり、図Bは、A−A線とB−Bで切断した場合の断面図で示す。針状型131は、図の前後の方向で厚みがそぎ落とされており、下部で段差部132が設けられている。この針状型131の上方から筒状の引き抜き具133が、引き抜き具の内面に設けられた突起部134を針状型131のそぎ落とした側面に沿って差し込まれる。そして、針状型131の段差部132の部分で引き抜き具133を90度回転させ、引き抜き具133の突起部134と針状型の段差部132を嵌合させる。図Bは、図AのA−A部、B−B部の平面図で示してある。この図では、引き抜き具133は筒状で示したが、両サイドに突起があればよく、中間部は壁がなくてもよい。この図では、針状型131の根本部に設けられたセット孔135a、135b、135c、135dが設けられており、セットピン136a、136bで基板137に止められる位置で、高さが異なる針状型131となる。そして基板137が上下することで、高さが異なる中空突起を有するシート成形体を製造することができる。針状型131を引き抜く際は、セットピン136aを抜いておく必要がある。なお、この図のような、針状型131と引き抜き具133の双方に段差を設けて嵌合させる方式は、図13における外套パイプ109のネジ部120と引き抜き具122のネジ部121にも応用することができる。
【0054】
図16は、本発明の高さが異なる中空突起の成形に際して、成型物が孔開き押さえ板からの型離れを良くするために、圧空室を用いて製造する装置の概念図で、Aは平面図、Bは側面からみた断面図である。本発明において成形される中空突起は、高さを異にする中空突起からなるので、高い中空突起では、成形後に孔開き押さえ板からの離型が困難な場合がある。そのような場合に圧空室を併用することが特に好ましい。孔開き押さえ板141には、針状型142a、142b、142c、142d、・・・に対応する孔143a、143b、143c、・・・が開けられており、その孔143が二重のリングで示されているのは、孔が面取りされていることを示す。孔開き押さえ板141には、孔143の他に多数の小孔144が開けられている。この孔開き押さえ板141を、圧空室145が上から覆うように設置されている。圧空室145を囲う側壁には、フッ素系樹脂やフェルト等によって構成されているシール部146が設けられており、孔開き押さえ板141の移動による圧空室145の摺動によるエアの漏洩を少なくしてある。圧空室145には、導管147により圧縮空気が導かれ、孔開き押さえ板141の孔143と小孔144からの圧縮空気のエア圧により、成形された高さが異なる中空突起を有するシート成型体148を、孔開き押さえ板141から離される。圧空室145に供給されるエアにより、成形されたシート成型体148を冷却する効果もあり、その意味で、シール部146のシールの程度は厳密性を要しない。このような圧空室145の作用で、本発明の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の生産性をさらにアップさせることができる。なお、針状型142は基板149にベアリング部150を介して取り付けられており、針状型142の根本に取り付けられたアクチュエータ151により、針状型142の高さを調節することができるように構成されている。
【0055】
図17図は、成形時の離型を良くするために離型板が設けられた例を示す側面からの断面図で示す。離型板A161は、基板163と成形された高さが異なる中空突起を有するシート成型体164との間に、基板163の針状型165の突起に対応した孔166を有する。針状型165a、165b、165c、165dの針の長さ(高さ)は、それぞれ異なる。成形初期においては、離型板A161は針状型165の中に収まり、基板163の近傍まで下がっている。そして、シート成型体164が成形された後、図のように基板163が下降し、そのままの位置に残っている離型板A161が、シート成型体164を針状型165から離す。同時に、孔開き押さえ板167も上昇しており、その過程で離型板B162が下降し、中空突起168a、168b、168cの頭を下に押し下げ、孔開き押さえ板167から離す。この離型板B162は、孔開き押さえ板167の樹脂シートと反対側に設けられており、シート成型体164が成形された後、離型板B162がこの樹脂シートの方向に垂直に移行して、成形されたシート成型体164の先端部を押し下げて、シート成型体を孔開き押さえ板167から分離されていく。離型板B162の背後には、圧空室169を設けることができ、離型板B162に開けられている小孔170からエアを吹き出し、シート成型体164や孔開き押さえ板167を冷却し、また、そのエア圧で孔開き押さえ板167とシート成型体164を離すようにすることができる。また、この図における中空突起168が成形される初期の過程で、離型板B162と圧空室169を別に設け、圧空室169を負圧吸引にして逆のエアの流れを作り、成形を助け、中空突起3や孔開き押さえ板167を冷却することができる。なお、この図では、片面中空突起を有するシート成型体164の成形を例に説明したが、図2に示した両面に中空突起を有するシート成型体の成形の場合であっても、離型板A161を有効に利用することができる。針状型165はネジ部171によって基板163に取り付けられており、基板163の上下によって高さが異なる針状型165の全体が上下するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の高さが異なる中空突起を有するシート成形体は、複雑な形状を有する物品の包装材や緩衝材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の高さが異なる片面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図。
【図2】本発明の高さが異なる両面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図。
【図3】本発明における中空突起成形体の突起の形状を示す断面図。
【図4】本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品を包装する形態を示す断面図。
【図5】本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品を包装する形態を示す断面図。
【図6】本発明の両面突起成型体を製造する装置について示す斜視図。
【図7】本発明の針状型が高さ調整機構を有する装置の断面図。
【図8】本発明におけるアクチュエータで、ウォームとホィールを用いた例を示す装置の断面図。
【図9】本発明におけるアクチュエータで、エアシリンダを用いた例を示す装置の断面図。
【図10】本発明におけるアクチュエータで、ソレノイドを用いた例を示す装置の断面図。
【図11】本発明における加熱機付き成形装置の例を示す装置の断面図。
【図12】本発明の針状型を上方へ引き抜くことを可能にしたアクチュエータを備えた装置の断面図。
【図13】図12の針状型およびアクチュエータを上辺に引き抜く態様を示す断面図。
【図14】図13の針状型が上方に上がっている場合において、針状型およびアクチュエータを上辺に引き抜く態様を示す断面図。
【図15】本発明の針状型を上辺に引き抜くことを可能にした他の態様で、図Aは装置を縦に切った断面図、図Bは装置を横に切った断面図。
【図16】本発明の圧空室と離型板の使用態様を示す装置の断面図。
【図17】本発明の離型板の使用態様を示す概念図で、図Aは平面図、図Bは断面図。
【符号の説明】
【0058】
1:シート成形体、 2:シート、 3:中空突起。
11:シート成形体、 12:シート、 13、14:中空突起。
21:物品、 22、23:シート成形体、 24、25:シート。
26:箱、 27:緩衝用空気袋、 28:弁。
31:基板、 32:針状型、 33:基板、 34:針状型。
41:基板、 42:孔、 43:針状型、 44:ネジ部、 45:ナット、
46:針状型、 47:セット孔、 48:セットピン。
51:針状型、 52:ネジ部、 53:ホイール、 54:フレキシブルワイヤ、
55:ウォーム、 56:ケース、 57:基板、 58:ベアリング。
61:針状型、 62:エアシリンダ、 63:ピストンロッド、 64:チューブ、
65:ピストン、 66,67:エア出入口。
71:針状型、 72:ソレノイド、 73:可動鉄芯、 74:ケース、75:電磁石。
81:押出機、 82:Tダイス、 83:シート、 84:中空突起成形装置、
85:冷却ロール、 86:ダンサーロール、 87:加熱装置、
88:赤外線ランプ、 89:針状型、 90:孔開き押さえ板、 91:孔、
92:中空突起成形体、 93、94:フィルム。
M:モータ、101:回転軸、 102:棒状ネジ、 103:カップリング、
104:ナット部、 105:スライドパイプ、 106:基板、 107:針状型、
108:溝部、 109:外套パイプ、 110:突起体、 111:テーパ部、
112:モータ保持部、 113:下部プレート、 114:下部プレート孔、
115:上部プレート、 116:上部プレート孔、 117:蓋ネジ、
118:蓋孔、 119:六角ネジ孔、 120:ネジ部。
121:ネジ、 122:引き抜き具、 123:ナット。
124:補助パイプ。
131:針状型、 132:段差部、 133:引き抜き具、 134:突起部、
135:セット孔、 136:セットピン、 137:基板。
141:孔開き押さえ板、142:針状型、143:孔、144:小孔、
145:圧空室、146:シール部、
147:導管、148:シート成型体、149:基板、150:ベアリング部、
151:アクチュエータ。
161:離型板A、162:離型板B、163:基板、164:シート成型体、
165:針状型、166:孔、 167:孔開き押さえ板、168:中空突起、
169:圧空室、170:小孔、 171:ネジ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さが異なる中空突起を有するシート成形体およびその製造装置に関し、特に、種々の複雑な形状を有する製品を、この中空突起物で包装することができ、製品の凹凸に対応した形状に突起の高さを有する中空突起を有するシート成形体とその製造手段に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂シートの両面や片面に中空突起を有するシート成形体およびその製造方法が提案されている(例えば、特開昭48−75678号、特公昭62−15330号)。しかし、この開示されているシート成形体は、突起物の高さが一定であるため、複雑な形状をした製品の場合は、その製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体が求められていた。また、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置が求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開昭48−75678号公報(第1頁、第2頁、第11頁左下欄、第1図、第5図)。
【特許文献2】特公昭62−15330号公報(第1頁、第2頁、第1図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、複雑な形状をした製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体及びその製造手段を提供することにある。また本発明は、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置を提供することにある。また本発明は、中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体を提供することにある。また本発明は、このような製品を製造可能な装置の針状型をメンテナンスや改造を容易にする手段を提供することにある。さらに本発明は、このような特徴を有する成形体を生産性良く安定して製造する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、そのシート成形体としての特徴は、次の通りである。本発明は、樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有する中空突起を有するシート成形体に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体において、中空突起の先端にシート状物が接合されている前記中空突起を有するシート成形体に関する。さらに本発明は、前記片面に中空突起を有するシート成形体において、中空突起の底面にシート状物が接合されており、中空突起の内部に形成されている空洞に物体が充填されている前記中空突起を有するシート成形体に関する。
【0006】
また本発明の製造装置としての特徴は、次の通りである。本発明は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板と一体化されて設けられており、樹脂シートの他方の面の側には、針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に樹脂シートを背面から支えるように構成されおり、針状型が孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、多数の針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、片面に中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている基板の一対が互いに向かい合って設置され、この一対の基板の針状型が樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、この一対の針状型の少なくとも片方を構成する多数の針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、両面に中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記針状型の少なくとも一部が、直線運動を行うアクチュエータを有する、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、運動量を感知するセンサーを有し、個々のアクチュエータがセンサーによって指示された運動量が与えられる、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータがモータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンクより選ばれた変換機構により直線に変換させられたものである、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記アクチュエータが、ソレノイドによって与えられる直線的な運動である、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に、さらにシート加熱装置を有し、前記樹脂シートが加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱されたものである、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記針状型にネジ部又は段差が設けられており、この針状型の先端より引き抜き具を挿入してネジ部又は段差に嵌合させ、針状型を先端方向に引き抜かれるようにした針状型を有する、前記高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記基板の表面に針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、この離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、基板と成形されたシート成型体が分離されていくように構成されている、前記高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。また本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板の前記樹脂シートと反対側に離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、この離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、成形されたシート成型体の先端部を押し下げられて、シート成型体を孔開き押さえ板から分離されていくように構成されている、前記高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。さらに本発明は、前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板および/または前記基板の背後に圧空室が設けられており、前記中空突起が形成された前記樹脂シートを、圧空室のエア圧により孔開き押さえ板および/または前記針状型から離すように構成されている、高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置に関する。
【0007】
本発明は、樹脂シートの片面又は両面に、中空突起を有することを特徴とする。樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等のビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等の熱可塑性樹脂が好んで使用される。さらに、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、加熱等によって、以下に示す荷重たわみ温度以上で流動性を示す樹脂であれば使用することができる。また、上記の樹脂は、単体で使用されるばかりでなく、ブレンド等により樹脂相互を組み合わせて使用することも出来、さらに可塑剤や充填剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤等の添加剤等を加えて使用することもできる。また本発明は、土木用や環境に配慮した包装材等にも使用されるので、ポリ乳酸系やポリブチレンサクシネート系等の生分解性樹脂や、ビニルケトン系ポリマー等の光分解性樹脂などの分解性樹脂も好ましい。また、本発明は柔らかいシート成形体をも目的としており、SBSやポリウレタン等の熱可塑性エラストマーも使用することができる。そして、本発明に使用される樹脂としては、ポリプロピレン等のヒンジ特性のよい樹脂は、本発明の高さが異なる中空突起のもつ弾性的特徴を最も発揮しやすいので特に好ましい。
【0008】
本発明は、樹脂シートの片面又は両面に、その樹脂シートの一部が変形されることによって形成された多数の中空突起を有する。ここで使用される樹脂シートは、上記樹脂がシート状に成形されたものを意味する。シートは、厚みにおいて特に制限はなく、通常フィルムや膜と呼ばれるものも含むが、厚みは、好ましくは10μm以上であって3mm以下、さらに好ましくは50μm以上であって2mm以下、100μm以上であって1mm以下が最も好ましい。10μmに達しない場合や3mmを越える場合は、中空突起を有するシート成形体を安定して成形することが困難だからである。本発明によるシート成形体は、シート状物の片面に中空突起が形成されたシート成形体と、シート状物の両面に中空突起が形成されたシート成形体がある。片面に中空突起が形成された立体構造は、片面の中空突起の数を多くすることができ、そのため圧縮強度が強く、また、底面には既にシート状を形成しているので、中空突起の先端にシート状物を接合するだけで、天地にシート状物を有する構造物とすることができる。両面に中空突起を形成された立体構造は、シート成形体の厚みが大きくなり、よりカサ高性のある構造物とすることができる特徴を有する。したがって、片面に中空突起を有する成形体を用いるか、両面に中空突起を有する成形体を用いるかは、これらの特性に合わせて、用途により判断される。
【0009】
本発明のシート成形体における中空突起は、突起の形状が細い針状突起であってもよく、また太い突起にも使用される。突起の先端は、突起を縦割りした場合の断面が丸みをおびた放物線状であっても良く、円筒や裁頭円錐形であっても良い。中空突起の先端は、細い突起の形状もとることができ、その場合は、突起部分で柔軟に変形し対象物に対して柔らか接触感を生じさせることができる。また、中空突起の頂点が平面であると、圧縮力が均等にかかりやすい特性もあり、さらに頂点が平面であると、下記に述べるシート状物との接合性も良くなる。これらの突起の先端の形状は、主として、本発明を製造する際の針状型の形状によって定められる。また、突起をヨコに切断した場合の断面は、円ばかりでなく、楕円や四角、三角等の種々の形状を有することもできる。またこれらの形状の混在であってもよい。
【0010】
本発明においては樹脂シートの片面又は両面に多数の中空突起を有することを特徴とする。多数とは、平方メータ当たり10個以上、好ましくは数10個、大きい場合は数100個、数千個以上の突起を有する。中空突起の数は、主として本発明の太さに依存するが、突起が細い場合は、中空突起を数多く設けることができる。中空突起の数が多いことは、それだけ圧縮強度が大きいことを意味し、突起が細くて高い場合は、柔軟でカサ高であることを意味する。なお、本発明の成形体における中空突起は、一定のピッチを必ず有する必要はなく、ランダムなピッチ、また単純な一定ピッチではなく、複雑なピッチを有する場合もある。
【0011】
本発明においては、樹脂シートの片方の面又は両面に樹脂シートの一部が変形されることにより、個々の中空突起が、高さが異なる突起を一定割合以上含むことを特徴とする。本発明の中空突起は、少なくとも片面にある中空突起の数における10%以上の突起の高さHが、15%以上の高さの差を有し、好ましくは、少なくとも20%以上の突起な数が高さHが30%以上の高さの差を有することを特徴とする。中空突起の数は、平方メータ当たりの数に換算して示す。高さの差とは、一番高い突起に対して、10%以上の突起の数が15%以上低いことを意味し、また、一番低い突起に対して、10%以上の突起の数が、15%以上の高さを有することを意味する。これらの高さの差は、装置の不具合等で、たまたま生じたものを排除する主旨であり、一定以上の高さの割合以上でないと、わざわざ装置を改善してまで製造するものではないことを意味する。このように高さの差を有することにより、複雑な形状をした製品の形状に合致した突起を有する中空突起成形体を提供することができる。また、中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体を提供することができる。
【0012】
本発明のシート成形体は、一定間隔をおいて、中空突起を形成していないゾーンを有することができる。中空突起を有していない部分は、このシートに折り畳み部や切り取り部を形成させる。そのことにより、本発明のシートを包装資材として一定の大きさに切断して使用する場合における適合性を高めることができる。
【0013】
本発明の中空突起を有するシート成形体において、中空突起の先端にシート状物が接合されている構造体とすることができる。本発明における中空突起は、中空突起の先端がフラットな裁頭形とすることにより、シート状物との接合面積が広く、先端部においてシート状物との接合が非常に容易である。本発明におけるシート成形体とシート状物との接合方法の例としては、溶融樹脂を押出ラミネートする場合や、樹脂シートを加熱溶融する場合は、シート成形体の中空突起の先端と接触して、中空突起の先端部を溶融している樹脂シートの熱容量で溶解して接合することができる。また、シート状物又はシート成形体の先端に、感圧性接着剤などの粘着性接着剤、ホットメルト接着剤、エマルジョン接着剤などの接着剤を塗布してから、接合接着することもできる。シート状物と接合されることにより、圧縮力が平均にかかり、シート成形体の寸法安定性がアップし、また中空突起の左右への動きを妨げるので、圧縮強度もアップする。接合するシート状物の種類は、本発明のシート成形体を形成させるシートと同様な樹脂シートばかりでなく、織物、編物、不織布、ネット、紙などの通気性や通水性を有する素材、耐熱性を要求される場合はアルミ箔等の金属やセラミック板等も使用することができる。樹脂シートでは孔開きフィルムが、通気性や透水性が要求される場合に好適である。また、通気性発泡シートも使用することができる。これらの通気性を有するシートを接合することにより、「呼吸する断熱ボード」とすることができ、水蒸気は殆ど通さないが空気は通り抜けることにより結露防止性を有するシート成形体とすることができた。それにより、グラスウールのようにチクチクせず、また製品は樹脂として再利用できるので、環境負荷が少ない。また、シート状物を通水性とすることで、暗渠シートとして利用することができる。
【0014】
本発明の片面に中空突起を有するシート成形体において、中空突起の底面にシート状物が接合されることにより、中空突起の内部の空洞へ物体を充填できることに特徴がある。充填される物体は、通常は空気等の気体であることが多いが、水などの他の流体を充填することもできる。中空突起の内部に物体が充填されることにより、圧縮に対して、さらに弾力性が増し、また変形後の戻りも良くなる。
【0015】
本発明の中空突起を有するシート成形体の製造手段は、樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートに対して、多数の針状型が樹脂シートに対して垂直方向に移行することで樹脂シートに嵌入し、樹脂シートを変形させる。そして、その変形の状態を維持した状態で冷却又は凝固されることにより、片面又は両面に中空突起を有する成形体を製造することができる。樹脂の荷重たわみ温度は、JISK7207により定められ、熱変形温度とも呼ばれる。本発明に使用される荷重たわみ温度においては、B法、即ち試験片に加える曲げ応力は、45.1N/cm2である。樹脂の荷重たわみ温度以上では、樹脂シートは突起物で変形することができ、荷重たわみ温度より30℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、80℃以上が最も好ましい。荷重たわみ温度に達しない場合でも変形はできるが、変形に時間を要し、生産性が悪い。樹脂シートの軟化は、温度効果ばかりでなく、ポリビニルアルコールにおける水溶媒や、ポリ塩化ビニル樹脂における可塑剤のように、溶媒や可塑剤などによる化学的に軟化させる場合があるが、その場合でも、樹脂シートが荷重たわみ温度以上であることが要件とされる。
【0016】
本発明における樹脂の荷重たわみ温度以上である流動性を有している樹脂シートは、製膜装置によって溶融状態からの冷却過程にある樹脂シートをそのまま使用できる。また、一旦シート成形されて固体の状態の樹脂シートを、加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱されたものも使用できる。加熱装置は、加熱ロール、熱風室、赤外線加熱器等の加熱手段を有し、これらの加熱手段から選ばれた一つ、又はそれらを組み合わせて使用される。この固体シートを加熱装置で加熱される手段で製造された中空成形体は、適温を選ぶことにより、変形方向に分子配向が良くなり、圧縮強度や耐衝撃強度の強い成形体となりうることがわかった。 また、製膜装置から中空突起成形装置に導く際、従来のようにキャタビラ等のコンベアで連続的に成形することもできるが、本発明では針状型が複雑なため、一定のシート長毎に間欠的に行うこともできる。その際、製膜装置と中空突起成形装置との間にシートを一時的に溜めるアキュムレータを設けることが望ましい。アキュムレータは、ダンサーロール形式やJシュータ方式のものなど、種々のタイプが使用される。このようにアキュムレータを使用する際は、アキュムレータで溜められている間にシートの熱が奪われるので、前述の加熱装置を用いることが特に有効である。
【0017】
本発明の中空突起を有するシート成形体の製造手段において、樹脂シートを変形させる針状型は、細くて長い剛体や、棒状の突起物からできている。細くて長い針状型の利点は、装置としての針状型も、製品の中空突起も、熱容量が小さいので冷却効率がよく、生産性が良いことである。また、圧縮強度向上には、単に形状のみでなく、成型時に付与される溶融時の変形による分子配向効果も大きい。本発明は、変形率が大きく、また冷却効率も大きいことより、分子配向を大きくすることができるという特徴もある。
【0018】
本発明のシート成形体は、片面のみに突起を有する場合と、両面に突起を有する場合の両方を含む。まず片面の場合について説明する。樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板に設けられており、この樹脂シートの他方の面の側には、針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、この針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に樹脂シートを背面から支えるように構成されている。そしてこの針状型がこの孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように、樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成される。すなわち、多数の針状型と、その突起に対応した位置に孔を有する孔開き押さえ板があり、この二つの間に樹脂シートが挟まれ、この針状型が孔開き押さえ板に対して垂直方向に移行することにより樹脂シートが変形して、樹脂シートの片面に中空突起が形成される。針状型は基板に固定されており、基板が樹脂シートに対して垂直に移行する手段を併用してもよいが、針状型の垂直方向への移行は、アクチュエータによる直線運動によるエネルギーによって行うこともできる。
【0019】
本発明におけるシート状物の片面に多数の中空突起を有するシート成形体の製造においては、多数の針状型の突起に対応した孔を有する孔開き押さえ板が、樹脂シートの背面に設けられる。そして、針状型が樹脂シートに嵌入していく際、樹脂シートを背面から支えるように構成されている。そして、針状型が孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように、樹脂シートに対して垂直方向に動くことによって、樹脂シートが変形されてシートの片面に中空突起が形成される。この孔開き押さえ板は、嵌入してくる針状型の力を、シートの背面から力学的に支える機能と、樹脂シートの片面に形成される突起の径を決める形状因子として機能を有する。同じ針状型が嵌入される場合であっても、孔開き押さえ板の孔の径を変えることで、異なる径(W)を有するシート成形体とすることができる。この孔開き押さえ板の樹脂シート側の孔の入口は、面取りが施され、成形時に傷が入らないようにする配慮がされていることや、表面や孔にシリコン系やフッ素樹脂系の離型剤等の離型作用のあるもので表面処理されていることが望ましい。
【0020】
つぎに両面突起の場合について説明する。樹脂の荷重たわみ温度以上である流動性を有している樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている基板の一対が互いに向かい合って設置される。この一対の基板の針状型が、この樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成される。針状型は基板に保持されて、基板が樹脂シートに対して垂直方向に移行してもよいが、針状型の垂直方向への移行は、アクチュエータによる直線運動によるエネルギーによっても行うことができる。
【0021】
本発明は、片面又は両面の中空突起を有するシート成形体において、突起の高さが異なる中空突起を有するシート成形体が製造できることを特徴とする。本発明では、その針状型そのものが高さを異にした形状で基板に固定されていることで実現できる。針状型の高さは、少なくとも片面にある中空突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有するように製造される高さの差であることが望ましい。針状型における高さの差は、製品における中空突起において定義したものと同様である。針状型の基板への保持は、ネジやピン、溶接などの機械的方式でもよく、接着剤によって固定してもよい。
【0022】
また、本発明における針状型の突起の高さhを可変出来ることにも特徴がある。この可変にできるメカニズムの一つとして、多数の針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有し、その調整機構により要望する高さの針状型に作り替えて、要求される製品に適合した針状型群とすることができる。調整機構の例として、針状型をねじ込み式で基板に固定し、ネジのセット位置で高さを可変にすることができる。また、他の例として、針状型に多数のセット孔を開けておき、そのセット孔をピンで固定する位置で、高さを可変にすることができる。
【0023】
本発明における針状型の突起の高さhを可変出来るようにする他のメカニズムとして、多数の針状型のそれぞれが直線運動を行うアクチュエータを有し、個々の針状型の嵌入深さがそれぞれ可変にできる。アクチュエータを用いることにより、アクチュエータの設定条件を変更するだけで、簡単に種々の高さの異なる針状型群をつくることができる。アクチュエータは、入力されたエネルギーを物理運動量に変換するものであり、機械、電気機器を構成する機械要素の一つである。入力されるエネルギーには、モータによる回転エネルギー、油圧や空気圧等の流体圧、ソレノイド等に与えられる電磁力等がある。アクチュエータによって与えられる直線運動により、樹脂シートに対して、針状型を垂直方向に移行させることができる。
【0024】
本発明におけるアクチュエータによって与えられる針状型の直線運動は、移動距離を個々の針状型で可変にできることを特徴とする。可変にできる機構は、アクチュエータに与えられるエネルギーの量を可変にすることによっても行うことができる。また、他の方法として、針状型にセンサーを内蔵し、そのセンサーに与えられる指示によって、アクチュエータの運動量をそれぞれの針状型ごとに可変にすることもできる。
【0025】
本発明におけるアクチュエータの例として、モータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンク、クランク等より選ばれた変換機構により直線に変換させて使用することができ、この直線運動エネルギーにより、針状型を直線方向に移行させる。モータに与えられる回転エネルギーは、例えば、ステッピングモータをパルスによって制御し、又はサーボモータ等によって回転数が制御される。
【0026】
本発明のアクチュエータの他の例として、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる。流体圧としては、油圧、水圧、空気圧等がある。これらの流体圧はシリンダーによって、ピストンロッドの直線的なエネルギーに変換される。ピストンロッドを加工して、そのまま針状型として使用することもできるが、針状型をピストンロッドに取り付けてもよい。個々の流体圧アクチュエータには、コントローラを設置し、針状型を動かす距離や速度を制御することができる。
【0027】
本発明のアクチュエータの他の例として、電磁力によるソレノイドによって直線的な運動が与えられる。ソレノイドは、コイル内に可動鉄芯を設置し、電流を加えることで直進運動をえるアクチュエータである。与えられる鉄芯の推力は、入力される電磁力によってコントロールされる。
【0028】
本発明において使用されるアクチュエータは、位置やエネルギーを感知するセンサーを有することが望ましい。個々のアクチュエータがセンサーによって指示された位置にまで運動量が与えられる。位置センサーとして、近接スイッチ、フォトセンサー、超音波センサー等がある。また、エネルギーセンサーとして、流量、圧力、電圧、電流、電力等が使用される。
【0029】
本発明における針状型は、根本部にアクチュエータなど種々の部品が付属している場合が多い。このような針状型が汚れたり、曲がったり、破損したりして補修や交換したい場合がある。または他の高さの針状型に交換したい場合もある。そのような針状型の補修や交換は、針状型の根本に付属するアクチュエータ等の付属物が邪魔になり、根本側に引き抜くことは困難な場合が多い。そのような場合、針状型が基板にセットされているセットを緩め、針状型を上方に引き抜けるようにすることが望ましい。
【0030】
このような針状型を上方(針状型の先端の方向)へ引き抜く手段として、針状型にネジ部又は段差が設けられており、針状型の先端より引き抜き具を挿入してネジ部又は段差に嵌合させ、針状型を先端方向に引き抜くようにすることができる。引き抜き具は、筒状で針状型の先端より挿入され、筒の内部のネジ又は段差と、針状型のネジ又は段差と嵌合させ、引き抜き具を針状型の上方へ引き抜くことで、針状型を基板から引き離すことができる。なお、ねじ込み方式では、上方に引き抜くときばかりでなく、ねじ込むだけで曲がった針状型を真っ直ぐに直す補修用としても使用することができる。
【0031】
本発明における高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造において、成形された中空突起が針状型から型離れすることが困難で、型離れを良くする必要がある場合がある。このような型離れをよくするために、孔開き押さえ板および/または基板の背後に圧空室が設けられていることが好ましい。圧空室は、気体が加圧状態または負圧状態に維持されている部屋である。孔開き押さえ板および基板には、圧空室からの気体を中空突起が形成された樹脂シート側に導く孔またはスリットが設けられていることが好ましい。しかし、孔開き押さえ板の場合は、針状型の針先に対応した位置に開けられている孔をそのまま使用することもできる。気体は、通常はエアが使用されるが、樹脂の酸化を避けたい場合は、窒素ガス等の他のガスが使用され、樹脂シートを加湿したい場合は、水蒸気を含むエアが使用される場合もある。まず、圧空室が加圧状態で、圧空室からエアが中空突起を形成している樹脂シート側に流出される場合について説明する。圧空室の加圧エアにより、エアが中空突起を形成している樹脂シート側に噴出することにより、成形品、孔開き押さえ板、基板等が冷却されることで、安定に成形され、また成形速度が速まる。また、この圧空室のエア圧により、エアが中空突起を形成している樹脂シート側に噴出することにより、成形された樹脂シートが孔開き押さえ板および基板から安定して分離されていき、この面からも安定に成形され、また成形速度を早めることができる。
【0032】
型離れを良くする他の手段として、針状型と一体化している基板と、成形される樹脂シートとの間に、基板の表面に針状型の突起に対応した孔を有する離型板が設けられていることが好ましい。この離型板が、中空突起を有するシート成型体が成形された後、その離型板が樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、その針状型と成形されたシート成型体を安定して分離していくことができ、また成形速度を速めることができる。この離型板は、アルミニューム、銅、ステンレス、鋼材等の金属で作成されていることが望ましい。金属からなる離型板の持っている熱容量で、針状型や成形されたシート成型体が冷却され、安定に成形され、また成形速度が速まるからである。本発明の中空突起は、細く高さが高いので、このような離型板が垂直に移行することで、安定して型離れできる。この離型板の垂直移行の手段は、発明を実施するための最良の手段の項で例示するものの他、磁気を利用する手段や、負圧吸引力や圧気を利用して上下することもできる。
【0033】
なお、本発明における離型板は、孔開き押さえ板からみて樹脂シートの反対側にも設けることができる。針状型等により成形されたシート成型体の中空突起の先端が、孔開き押さえ板の裏面に飛び出した場合、その飛び出している中空突起の先端をこの離型板が垂直に移動して押し当て、逆に孔開き押さえ板側に押し込むこともできる。その場合の孔開き押さえ板は平板でよい。このような孔開き押さえ板側の離型板は、本発明のシート成型体が硬質塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質の樹脂である場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0034】
本発明におけるシートの片面又は両面に中空突起を有する成形体は、包装資材としての目的に合ったように中空突起のそれぞれの高さが、自在に変化している構造を有することを特徴とする。本成形体を梱包材等に使用して、梱包物に衝撃的荷重が平面的にかかった場合、本発明による中空成形体は、複雑な形状をした製品の形状に合致しており、複雑な形状の製品にも優れた包装適正を有する。また、複雑な形状を有する製品は、通常、製品毎に形状を異にしており、本発明は、異なる高さを有する中空突起成形体を、それらの異なる製品毎に簡便に切り替えて製造できる製造装置を提供する。また、本発明の中空突起を有するシート成形体が平面的荷重により圧縮された場合、多数の中空突起の内、個々の高さが異なると、荷重が全体にかからず、高い中空突起にまずかかり、その後順次他の突起にも荷重が及ぶ構造とすることで、衝撃的な力が軽減され、柔らかな感触を有する成形体となる。また、本発明の中空成形体は、中空突起の高さ方向に分子配向性の良い成形体を効率よく製造出来る手段を提供する。さらに本発明は、このような特徴を有する成形体を生産性良く安定して製造する手段を提供する。
【0035】
本発明の中空突起は、その突起の頂点でシート状物と一体化されている構造とすることができる。そのような構造とすることにより、突起の頂点部分が平面となり、外からの荷重を平面的に受け止め易くなる。また、本発明の中空突起の先端をフラットにすることが容易であるので、突起の先端にシート状物を接合することが容易である。また、本発明の片面に中空突起を有する成形体で、突起の底面にシート状物が貼り合わされることによって、中空突起の内部に物体が充填された構造とすることができる。物体が空気のような流体である場合は、中空突起の耐圧力はさらに増加させることができ、また、クッション作用も良くなる。
【0036】
本発明の突起を有するシート成形体を製造するためには、数十から数百の針状型を同時に直線方向に移行するする必要があり、また、これらの直線移行を有効に成形される溶融樹脂シートに伝える必要があり、また、成形された高さの異なる中空突起を針状型や孔開き押さえ板から効率よく型離れさせる必要があるなど、種々の製造上の困難を伴う。本発明では、これらの製造上の困難を解決して、簡便にして生産性の良い製造手段を提供する。本発明で提供された種々の生産手段により、多数の高さが異なる中空突起を有するシート成形体を、安定して高速連続生産を可能にした。
【0037】
本発明の高さの異なる中空突起を有するシート成形体は、コンピュータなどの重量のある精密機器を緩衝性良く包装して輸送するのに特に適する。また、ゲーム機や玩具などの複雑な形状をしている製品など、柔軟性や緩衝性を要求される製品に対して特に適する。また、緩衝シート、クッションシート、間仕切り、床材、暗渠シート等に使用される。また、比較的大きな中空突起の内部に種々の色のライトを内蔵させることや、バックライト等の照明を工夫することによって、インテリアなどアートデザイン用具としても使用することができる。
【0038】
本発明における針状型が汚れたり、曲がったり、破損したりして補修や交換したい場合、針状型の根本に付属するアクチュエータ等の付属物が邪魔にならないよう、針状型を上方に引き抜けるようにし、補修等を簡便に行うことができることも本発明の特徴である。また本発明のねじ込み方式等によって保持された引き抜き具は、曲がった針状型を真っ直ぐに直す補修効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明の例を、図面で示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明における個々の高さが異なる片面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図である。片面に中空突起からなるシート成形体1は、シート2の片面に高さの異なる中空突起3a、3b、3c、・・・3iが示されている。これらの中空突起の高さ3ah、3bh、3ch・・・3ihの全てが異なる必要はないが、片面の平方メータ当たり10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする。この図において、一番高い中空突起3aを基準にすると、10%以上の突起(例えば3b、3c、・・・)の数が、15%以上低いことを意味する。
【0040】
図2は、本発明の両面に高さが異なる中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図である。両面に中空突起からなるシート成形体11は、シート12の片面に高さの異なる中空突起13a、13b、13c、・・・、13fが示され、他方の面には14a、14b、14c、・・・、14fが示されている。これらの中空突起の高さ13ah、13bh、13ch・・・13fh、および14ah、14bh、14ch、・・・、14fhの全てが異なる必要はないが、少なくとも片面の平方メータ当たり10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする。この図では、片面のみ高さが異なる中空突起からなる成形体が示されている。
【0041】
図3は、本発明における中空突起成形体の突起の形状の例を、縦方向に切った断面図で示す。A図は、先端が尖った中空突起の例を示す。B図は、先端が丸い例を示す。C図は、コップを逆さまにしたような、頂点が平らな形状の例を示す。なお、これらの図の突起の横方向に切った断面は、必ずしも円ばかりでなく、楕円や三角、四角、多角形など種々の形状をとることもできる。これらの形状になるには、製造する際の針状型の形状などの機械的条件や樹脂シート種類や厚みなどの他、樹脂シートの温度など成形条件にも影響される。
【0042】
図4は、本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品の包装に適応される例を示す断面図である。複雑な形状をした物品21を、中空突起を有するシート成形体22、23で包装する。シート成形体22、23は、突起の底面がシート24、25でシールされており、突起の内部は、空気で満たされている。この場合、物品21の形状に沿った中空突起をもったシート成形体22、23で包装することが望ましい。但し、シート成形体22,23を構成する個々の中空突起は、必ずしも物品21の形状に完全に沿った形状である必要はなく、シート成形体22、23がある程度フレキシブルな素材であることにより、物品の形状にとって高過ぎる突起は、ある程度変形し、全体として物品21を支えることができればよい。
【0043】
図5は、物品21を包装する他の例を示す断面図である。物品21は、段ボール箱等の箱26に納められており、下面は図4と同様に物品21の形状に沿った高さが異なる中空突起をもったシート成形体22で包装されている。上面は、伸縮性を有する素材でできた緩衝用空気袋27で覆われている。緩衝用空気袋27は、弁28より封入された空気量によって、適当な大きさに調整される。
【0044】
図6は、本発明の成形装置の一例を、両面突起の場合の装置の一部について斜視図で示す。下部の基板31に針状型31a、31b、31c、・・・31fが固定されており、針状型の高さ32ah、32bh、32ch・・・32hhが異なる。上部の基板33にも、針状型34a、・・・が固定されている。この基板31と基板33との間に、成形すべきシートが挟まれ、基板31に対して、基板33が下降してくることで、上下の針状型に挟まれたシートの両面に中空突起が形成される。これら針状型の全ての高さがそれぞれ全て異なることを意味するものではなく、これらの針状型の一部の高さが異なればよい。
【0045】
図7は、本発明の針状型が、突起の高さ調整機構を有する例を示す、針状型の断面図である。A図は、基板41に孔42が設けられており、その孔42に針状の針状型43が取り付けられている。針状型43は、根本にネジ部44が設けられており、そのネジ部を、上下のナット45aとナット45bで挟んでセットする。針状型43の高さを変えたい場合は、ナット45aと45bをゆるめて、針状型43を目的位置に移動させ、その位置でナット45a、45bでセットする。B図は、基板41に孔42が設けられており、その孔42に針状の針状型46が取り付けられている。針状型46には、多数のセット孔47a、47b、47c、47d、47eが開けられている。図では、セット孔47cとセット孔47dに割ピンなどのセットピン48a、48bで止めることで、位置が固定されている。針状型46の高さを変えたい場合は、セットピン48a、48bを抜き、針状型46を目的位置に移動させ、その位置で改めてセットピンを再セットする。
【0046】
図8は、本発明の成形装置の一例で、針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する装置の断面図で示す。図に示すアクチュエータは、ウォームとホィールの組み合わせで、モータ回転を直線運動に変える例を示す。針状型51の根本部には、ネジ部52が設けられており、その軸にホイール53が嵌合している。ホイール53にはモータMとフレキシブルワイヤ54でつながれているウォーム55が直角方向から嵌合しており、モータMの回転がウォーム55からホイール53に伝わり、針状型51のネジ部52が回転する。ホイール53は、ケース56内に固定されており、このケース56は、基板57に固定されている。基板57と針状型51の接触部にはベアリング部58が設けられており、針状型が基板に対して上下できるようになっている。モータMをサーボモータやステッピングモータにすることによって回転数を制御し、針状型51の移動距離が決められる。なお、この図では針状型51をモータ回転で移動させる例として、ウォーム55を用いたが、他の手段として、ラックアンドピニオン方式、カム、リンクなどの方式をとることもできる。
【0047】
図9は、本発明におけるアクチュエータで、エアシリンダを用いた例を示す断面図である。針状型61が根本部でエアシリンダ62のピストンロッド63と結合している。ピストンロッド63は、チューブ64中のピストン65に固定されており、そのピストン65は、エア出入口66とエア出入口67に直結しているエア配管からのエアの出入りで、ピストンロッドが矢印方向に動き、その結果、針状型61も矢印方向に移動できる。この図では、流体圧としてエア圧を用いる例を示したが、他の流体、例えば油圧、水圧等も使用することができる。
【0048】
図10は、本発明におけるアクチュエータで、ソレノイドを使用した電磁石により直線運動を与える例を示す断面図である。針状型71が根本部でソレノイド72の可動鉄芯73と結合している。ソレノイド72は、ケース74内で可動鉄芯73の周りを電磁石75で囲んでおり、可動鉄心73が電磁石75のON、OFFにより矢印方向に移動し、その結果、針状型71も矢印方向に移動できる。
【0049】
図11は、本発明において、シートを加熱して中空突起成形装置に導く加熱機付き成形装置の断面図で示す。押出機81のTダイス82から押し出されたシート83は、直接、中空突起成形装置84へ導くことができる。しかし、成形された中空突起の変形過程で、より分子配向性を高めるためには、一旦、冷却ロール85a、85bで冷却されることが望ましい。シート83を冷却することのもう一つのメリットは、ダンサーロール86a、86b、86cを用いることができることである。本発明では、中空突起成形装置84部ではシート83が進行方向に断続的に移動する場合が多いので、ダンサーロール86によって、シート83の進行速度を制御することができる。即ち、ダンサーロール86は、アキュムレータとしても機能し、加熱装置87で加熱されたシート83が、中空突起成形装置84において成形される間、シートの進行を一旦停止し、ダンサーロール86上に溜めることにより、シートが断続的に進行するようにすることができる。ダンサーロール86で進行速度が調整されたシート83は、加熱装置87により加熱されて、中空突起成形装置84へ導かれる。加熱装置87は、赤外線ランプ88で加熱する例を示したが、加熱ロールによって行うこともできる。中空突起成形装置84は、片面突起の成型機で、針状型89a、89b、・・・、89eは、その根本部でアクチュエータa、b、・・・、eを備え、針状型の高さを調整できるようになっている。加熱されたシート83は、針状型89と孔開押さえ板90の間に介在し、針状型89が孔開き押さえ板90の孔91を貫通することにより中空突起成形体92が形成される。B図は、孔開き押さえ板90の平面図である。成形された中空突起成形体92は、必要に応じて、底面と表面にフィルム93、94が貼り合わされる。フィルム93,94は、粘着材が塗布されているか、または貼り合わせの工程で、粘着剤や接着剤が塗布されながら貼り合わされる。このようにして、加熱装置87で加熱されたシート83を用いることで、溶融シートから直接成形するよりも、分子配向性の良い中空突起成形体92を製造することができる。
【0050】
図12は、本発明における針状型を上方へ引き抜くことができるようにしたアクチュエータの態様の例で、装置の断面図で示す。モータMの回転軸101に棒状ネジ102がカップリング103によって接続されている。この棒状ネジ102と嵌合するナット部104を内部に有するスライドパイプ105を設ける。このスライドパイプ105の上部に基板106が設けられ、その基板106には、針状型107が埋め込まれている。スライドパイプ105の側面には、タテ方向に溝部108が設けられており、外套パイプ109に設けられた突起体110がこの溝部108に嵌入している。モータMの回転により、棒状ネジ102が回転するが、スライドパイプ105は、溝部108に嵌入している突起体110があるため回転できず、溝部108の突起体110に案内されて、スライドパイプ105はモータMの回転方向により上下にスライドし、それにつれて針状型107が上下する。突起体110は、外套パイプ109にネジ等で固定されている。図では針状型107が最下段に位置する。外套パイプ109は、下部にテーパ部111を有し、さらにその下部のモータ保持部112でモータMと接合されている。外套パイプ109のテーパ部111は、下部プレート113に設けられたテーパを有する下部プレート孔114と嵌め合って、正確な位置に外套パイプ109を固定する。外套パイプ109は、上部において上部プレート115に設けられた上部プレート孔116にネジでセットされた蓋ネジ117によって上から押さえつけられ、外套パイプ109は上下には動けないようになっている。蓋ネジ117に設けられた蓋孔118を通じて、針状型107が上方へ突出でき、蓋孔118の孔径が針状型107の径に近いため、針状型107が横方向に振れるのを防止する役目もある。蓋ネジ117には六角ネジ孔119が設けられており、六角レンチで蓋ネジ117を外すことができるようになっている。また、外套パイプ109の内側にネジ部120が設けられており、後述するメンテナンスの際に使用される。この図では、モータMと、それに接続された棒状ネジ102と、棒状ネジ102の回転にしたがって上下するスライドパイプ105等によってアクチュエータを構成している。
【0051】
図13は、図12における針状型を上方へ引き抜くことができるようにした態様の例で、装置の断面図で示す。図12における蓋ネジ117を六角ネジ孔119に六角レンチ差し込んで取り外し、上方プレート孔116より、外周がネジ121で構成されているパイプ状の引き抜き具122を挿入し、引き抜き具122の外周のネジ部121を外套パイプ109の内壁のネジ部120に嵌め込む。引き抜き具122の上方プレート115より上方へ出ている部分にナット123を嵌合させる。このナット123をスパナ等で回転させて引き抜き具122を上方へ、モータM、外套パイプ109を含めてアチュエータや針状型107等を移行させることによって、装置全体を上方へ取り出して、針状型107やモータMのメンテナンスを行う。
【0052】
図12と図13は、針状型107が最下段の場合を示した。しかし、針状型107が上方プレート115より上に飛び出している場合、多数の針状型107が乱立しているので、蓋ネジ117の取り外しが困難な場合がある。その場合、芯が空洞で柄の長い六角レンチを用いることで、取り外しができる。同様に、針状型107が上方プレート115より上に出ている場合、引き抜き具122に嵌合しているナット123を回転させることが困難な場合がある。その場合は、図14に示す補助パイプ124を上方プレート115にあてがい、その上からナット123をあてがって回転することで、上方へ引き抜くことができる。
【0053】
図15は、本発明における針状型を上方へ引き抜くことができるようにした態様の他の例で、図Aは装置を縦方向に切断した場合の断面図であり、図Bは、A−A線とB−Bで切断した場合の断面図で示す。針状型131は、図の前後の方向で厚みがそぎ落とされており、下部で段差部132が設けられている。この針状型131の上方から筒状の引き抜き具133が、引き抜き具の内面に設けられた突起部134を針状型131のそぎ落とした側面に沿って差し込まれる。そして、針状型131の段差部132の部分で引き抜き具133を90度回転させ、引き抜き具133の突起部134と針状型の段差部132を嵌合させる。図Bは、図AのA−A部、B−B部の平面図で示してある。この図では、引き抜き具133は筒状で示したが、両サイドに突起があればよく、中間部は壁がなくてもよい。この図では、針状型131の根本部に設けられたセット孔135a、135b、135c、135dが設けられており、セットピン136a、136bで基板137に止められる位置で、高さが異なる針状型131となる。そして基板137が上下することで、高さが異なる中空突起を有するシート成形体を製造することができる。針状型131を引き抜く際は、セットピン136aを抜いておく必要がある。なお、この図のような、針状型131と引き抜き具133の双方に段差を設けて嵌合させる方式は、図13における外套パイプ109のネジ部120と引き抜き具122のネジ部121にも応用することができる。
【0054】
図16は、本発明の高さが異なる中空突起の成形に際して、成型物が孔開き押さえ板からの型離れを良くするために、圧空室を用いて製造する装置の概念図で、Aは平面図、Bは側面からみた断面図である。本発明において成形される中空突起は、高さを異にする中空突起からなるので、高い中空突起では、成形後に孔開き押さえ板からの離型が困難な場合がある。そのような場合に圧空室を併用することが特に好ましい。孔開き押さえ板141には、針状型142a、142b、142c、142d、・・・に対応する孔143a、143b、143c、・・・が開けられており、その孔143が二重のリングで示されているのは、孔が面取りされていることを示す。孔開き押さえ板141には、孔143の他に多数の小孔144が開けられている。この孔開き押さえ板141を、圧空室145が上から覆うように設置されている。圧空室145を囲う側壁には、フッ素系樹脂やフェルト等によって構成されているシール部146が設けられており、孔開き押さえ板141の移動による圧空室145の摺動によるエアの漏洩を少なくしてある。圧空室145には、導管147により圧縮空気が導かれ、孔開き押さえ板141の孔143と小孔144からの圧縮空気のエア圧により、成形された高さが異なる中空突起を有するシート成型体148を、孔開き押さえ板141から離される。圧空室145に供給されるエアにより、成形されたシート成型体148を冷却する効果もあり、その意味で、シール部146のシールの程度は厳密性を要しない。このような圧空室145の作用で、本発明の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の生産性をさらにアップさせることができる。なお、針状型142は基板149にベアリング部150を介して取り付けられており、針状型142の根本に取り付けられたアクチュエータ151により、針状型142の高さを調節することができるように構成されている。
【0055】
図17図は、成形時の離型を良くするために離型板が設けられた例を示す側面からの断面図で示す。離型板A161は、基板163と成形された高さが異なる中空突起を有するシート成型体164との間に、基板163の針状型165の突起に対応した孔166を有する。針状型165a、165b、165c、165dの針の長さ(高さ)は、それぞれ異なる。成形初期においては、離型板A161は針状型165の中に収まり、基板163の近傍まで下がっている。そして、シート成型体164が成形された後、図のように基板163が下降し、そのままの位置に残っている離型板A161が、シート成型体164を針状型165から離す。同時に、孔開き押さえ板167も上昇しており、その過程で離型板B162が下降し、中空突起168a、168b、168cの頭を下に押し下げ、孔開き押さえ板167から離す。この離型板B162は、孔開き押さえ板167の樹脂シートと反対側に設けられており、シート成型体164が成形された後、離型板B162がこの樹脂シートの方向に垂直に移行して、成形されたシート成型体164の先端部を押し下げて、シート成型体を孔開き押さえ板167から分離されていく。離型板B162の背後には、圧空室169を設けることができ、離型板B162に開けられている小孔170からエアを吹き出し、シート成型体164や孔開き押さえ板167を冷却し、また、そのエア圧で孔開き押さえ板167とシート成型体164を離すようにすることができる。また、この図における中空突起168が成形される初期の過程で、離型板B162と圧空室169を別に設け、圧空室169を負圧吸引にして逆のエアの流れを作り、成形を助け、中空突起3や孔開き押さえ板167を冷却することができる。なお、この図では、片面中空突起を有するシート成型体164の成形を例に説明したが、図2に示した両面に中空突起を有するシート成型体の成形の場合であっても、離型板A161を有効に利用することができる。針状型165はネジ部171によって基板163に取り付けられており、基板163の上下によって高さが異なる針状型165の全体が上下するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の高さが異なる中空突起を有するシート成形体は、複雑な形状を有する物品の包装材や緩衝材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の高さが異なる片面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図。
【図2】本発明の高さが異なる両面に中空突起を有するシート成形体の例を示す斜視図。
【図3】本発明における中空突起成形体の突起の形状を示す断面図。
【図4】本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品を包装する形態を示す断面図。
【図5】本発明における中空突起成形体が複雑な形状の物品を包装する形態を示す断面図。
【図6】本発明の両面突起成型体を製造する装置について示す斜視図。
【図7】本発明の針状型が高さ調整機構を有する装置の断面図。
【図8】本発明におけるアクチュエータで、ウォームとホィールを用いた例を示す装置の断面図。
【図9】本発明におけるアクチュエータで、エアシリンダを用いた例を示す装置の断面図。
【図10】本発明におけるアクチュエータで、ソレノイドを用いた例を示す装置の断面図。
【図11】本発明における加熱機付き成形装置の例を示す装置の断面図。
【図12】本発明の針状型を上方へ引き抜くことを可能にしたアクチュエータを備えた装置の断面図。
【図13】図12の針状型およびアクチュエータを上辺に引き抜く態様を示す断面図。
【図14】図13の針状型が上方に上がっている場合において、針状型およびアクチュエータを上辺に引き抜く態様を示す断面図。
【図15】本発明の針状型を上辺に引き抜くことを可能にした他の態様で、図Aは装置を縦に切った断面図、図Bは装置を横に切った断面図。
【図16】本発明の圧空室と離型板の使用態様を示す装置の断面図。
【図17】本発明の離型板の使用態様を示す概念図で、図Aは平面図、図Bは断面図。
【符号の説明】
【0058】
1:シート成形体、 2:シート、 3:中空突起。
11:シート成形体、 12:シート、 13、14:中空突起。
21:物品、 22、23:シート成形体、 24、25:シート。
26:箱、 27:緩衝用空気袋、 28:弁。
31:基板、 32:針状型、 33:基板、 34:針状型。
41:基板、 42:孔、 43:針状型、 44:ネジ部、 45:ナット、
46:針状型、 47:セット孔、 48:セットピン。
51:針状型、 52:ネジ部、 53:ホイール、 54:フレキシブルワイヤ、
55:ウォーム、 56:ケース、 57:基板、 58:ベアリング。
61:針状型、 62:エアシリンダ、 63:ピストンロッド、 64:チューブ、
65:ピストン、 66,67:エア出入口。
71:針状型、 72:ソレノイド、 73:可動鉄芯、 74:ケース、75:電磁石。
81:押出機、 82:Tダイス、 83:シート、 84:中空突起成形装置、
85:冷却ロール、 86:ダンサーロール、 87:加熱装置、
88:赤外線ランプ、 89:針状型、 90:孔開き押さえ板、 91:孔、
92:中空突起成形体、 93、94:フィルム。
M:モータ、101:回転軸、 102:棒状ネジ、 103:カップリング、
104:ナット部、 105:スライドパイプ、 106:基板、 107:針状型、
108:溝部、 109:外套パイプ、 110:突起体、 111:テーパ部、
112:モータ保持部、 113:下部プレート、 114:下部プレート孔、
115:上部プレート、 116:上部プレート孔、 117:蓋ネジ、
118:蓋孔、 119:六角ネジ孔、 120:ネジ部。
121:ネジ、 122:引き抜き具、 123:ナット。
124:補助パイプ。
131:針状型、 132:段差部、 133:引き抜き具、 134:突起部、
135:セット孔、 136:セットピン、 137:基板。
141:孔開き押さえ板、142:針状型、143:孔、144:小孔、
145:圧空室、146:シール部、
147:導管、148:シート成型体、149:基板、150:ベアリング部、
151:アクチュエータ。
161:離型板A、162:離型板B、163:基板、164:シート成型体、
165:針状型、166:孔、 167:孔開き押さえ板、168:中空突起、
169:圧空室、170:小孔、 171:ネジ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする、高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項2】
前記中空突起を有するシート成形体において、該中空突起の先端にシート状物が接合されている請求項1の高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項3】
前記片面に中空突起を有するシート成形体において、該中空突起の底面にシート状物が接合されており、該中空突起の内部に形成されている空洞に物体が充填されている請求項1の高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項4】
樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板と一体化されて設けられており、該樹脂シートの他方の面の側には、該針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、該針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に該樹脂シートを背面から支えるように構成されおり、該針状型が該孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように該樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、該樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、
多数の該針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、片面に高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項5】
樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている該基板の一対が互いに向かい合って設置され、該一対の基板の針状型が該樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより該樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、
該一対の針状型の少なくとも片方を構成する多数の該針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、両面に中空突起を有する、高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項6】
前記針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項7】
前記針状型の少なくとも一部が、直線運動を行うアクチュエータを有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項8】
前記アクチュエータが、位置やエネルギーを感知するセンサーを有し、個々のアクチュエータがセンサーによって指示された運動量が与えられる、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項9】
前記アクチュエータがモータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンクより選ばれた変換機構により直線に変換させられたものである、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項10】
前記アクチュエータが、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項11】
前記アクチュエータが、ソレノイドによって与えられる直線的な運動である、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項12】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に、さらにアキュムレータとシート加熱装置を有し、製膜された樹脂シートが該アキュムレータで速度を制御され、かつ該加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱され、間欠的に中空突起成形装置に供給されるように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項13】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記針状型にネジ部又は段差部が接続されており、該針状型の先端より引き抜き具を挿入して該ネジ部又は段差に嵌合させ、該針状型を先端方向に引き抜かれるようにした該針状型を有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項14】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記基板の表面に該針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、該離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、該基板と該成形されたシート成型体が分離されていくように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【請求項15】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板の前記樹脂シートと反対側に離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、該離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、成形された該シート成型体の先端部が押し下げられて、該シート成型体を該孔開き押さえ板から分離されていくように構成されている、請求項4の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【請求項16】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板および/または前記基板の背後に圧空室が設けられており、前記中空突起が形成された前記樹脂シートを、該圧空室のエア圧により該孔開き押さえ板および/または前記針状型から離すように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【請求項1】
樹脂シートの一部が変形されることによって多数の中空突起が形成されているシート成形体であって、少なくとも片面にある突起の数の10%以上の中空突起の高さが、15%以上の高さの差を有することを特徴とする、高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項2】
前記中空突起を有するシート成形体において、該中空突起の先端にシート状物が接合されている請求項1の高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項3】
前記片面に中空突起を有するシート成形体において、該中空突起の底面にシート状物が接合されており、該中空突起の内部に形成されている空洞に物体が充填されている請求項1の高さが異なる中空突起を有するシート成形体。
【請求項4】
樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートの片方の面の側に、多数の針状型が基板と一体化されて設けられており、該樹脂シートの他方の面の側には、該針状型の突起に対応した位置に孔が開けられている孔開き押さえ板が、該針状型が樹脂シート内を嵌入していく際に該樹脂シートを背面から支えるように構成されおり、該針状型が該孔開き押さえ板の孔の中に嵌入するように該樹脂シートに対して垂直方向に移行することによって、該樹脂シートが変形されてシートの片面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、
多数の該針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、片面に高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項5】
樹脂の荷重たわみ温度以上である樹脂シートを間にして、多数の針状型が基板と一体化されている該基板の一対が互いに向かい合って設置され、該一対の基板の針状型が該樹脂シートに嵌入するように互いに平行に移行することにより該樹脂シートが変形されてシートの両面に多数の中空突起が形成されるように構成されているシート成形体の製造装置において、
該一対の針状型の少なくとも片方を構成する多数の該針状型の突起の高さが異なることを特徴とする、両面に中空突起を有する、高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項6】
前記針状型の少なくとも一部が、高さ調整機構を有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項7】
前記針状型の少なくとも一部が、直線運動を行うアクチュエータを有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項8】
前記アクチュエータが、位置やエネルギーを感知するセンサーを有し、個々のアクチュエータがセンサーによって指示された運動量が与えられる、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項9】
前記アクチュエータがモータによる回転エネルギーを、ネジ、カム、リンクより選ばれた変換機構により直線に変換させられたものである、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項10】
前記アクチュエータが、流体圧によるエネルギーにより直線的な運動が与えられる、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項11】
前記アクチュエータが、ソレノイドによって与えられる直線的な運動である、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項12】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置に、さらにアキュムレータとシート加熱装置を有し、製膜された樹脂シートが該アキュムレータで速度を制御され、かつ該加熱装置で荷重たわみ温度以上に加熱され、間欠的に中空突起成形装置に供給されるように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項13】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記針状型にネジ部又は段差部が接続されており、該針状型の先端より引き抜き具を挿入して該ネジ部又は段差に嵌合させ、該針状型を先端方向に引き抜かれるようにした該針状型を有する、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成形体の製造装置。
【請求項14】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記基板の表面に該針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、該離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、該基板と該成形されたシート成型体が分離されていくように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【請求項15】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板の前記樹脂シートと反対側に離型板が設けられており、前記シート成型体が成形された後、該離型板が前記樹脂シートの方向に垂直に移行することにより、成形された該シート成型体の先端部が押し下げられて、該シート成型体を該孔開き押さえ板から分離されていくように構成されている、請求項4の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【請求項16】
前記中空突起を有するシート成形体の製造装置において、前記孔開き押さえ板および/または前記基板の背後に圧空室が設けられており、前記中空突起が形成された前記樹脂シートを、該圧空室のエア圧により該孔開き押さえ板および/または前記針状型から離すように構成されている、請求項4又は請求項5の高さが異なる中空突起を有するシート成型体の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−173341(P2009−173341A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166846(P2008−166846)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】
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