説明

高真空チャンバー用貫通型プラズマ発生装置

高真空処理チャンバー、高真空処理チャンバーと連結されたトランスフォーマー型プラズマトロン、及び、トランスフォーマー型プラズマトロンに少なくとも1つのガスを導入するための、トランスフォーマー型プラズマトロンに連結された少なくとも1つのガス源とを具備するプラズマ発生装置であって、前記高真空処理チャンバーは少なくとも1つのエントリーポートを有し、前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、交流電流を発生させるためのラジオ周波数電力源と、該ラジオ周波数電力源と接続された複数の導体と、前記ガスを閉じ込める閉ループ・ディスチャージチャンバーと、該閉ループ・ディスチャージチャンバーの周りに取り付けられ前記導体と接続された複数の透磁性の高い磁気鉄心と、該閉ループ・ディスチャージチャンバーの内側に沿って配置した複数の開口と、内側部分と外側部分とを連結する少なくとも2つの絶縁ガスケットを具備し、前記エントリーポートは、前記内側部分が前記高真空処理チャンバーに物理的に貫通するよう該内側部分を受け取るように構成され、前記導体は前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに1次巻き線を形成し、前記閉ループ・ディスチャージチャンバー中のガスは前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに2次巻き線を形成し、前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、前記導体に前記交流電流が供給されたとき、それぞれのプラズマの少なくとも1つのガスに点火し、前記開口は、前記内側部分から該それぞれのプラズマを前記高真空処理チャンバーに放出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示した技術は一般にプラズマ発生装置に関し、具体的には、高真空チャンバー中の対象物に一様に分配するためのプラズマを発生するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスフォーマー型プラズマトロンは、プラズマトロン或いはプラズマ発生装置と称され、トランスフォーマーに採用される物理的原理を用いてプラズマを発生させる。トランスフォーマー型プラズマトロンは当業者に知られている。トランスフォーマーは、誘導的に結合した導体を介して第1の回路から第2の回路に電気エネルギー(交流電流(AC)と電圧のペア)を伝達する装置である。第1の回路は入力対と称されることがあり、第2の回路は出力対と称されることがある。一般に、トランスフォーマーは、1次巻き線として知られる入力導体を一方に巻きつけ、2次巻き線として知られる出力導体を他方に巻きつけた透磁性の高い磁性材料の磁心を有している。各導体、すなわち1次巻き線及び2次巻き線は、閉じた経路すなわちループを形成する。
【0003】
トランスフォーマーの動作形態は、ファラデーの電磁誘導の原理に基づく。入力導体に交流電流を供給し、それにより透磁性の高い磁性材料の磁心に交番磁界が誘導され、磁心材料が磁化される。そして、この磁化された磁心により、出力導体に電界が誘導される。磁心材料内での熱による小さなエネルギーの損失は別にして、入力導体への入力交流電力は、出力導体での出力電力と実質的に等しい。一般に、出力導体の電流と電圧は、1次巻き線と2次巻き線のそれぞれの巻き数に比例する。例えば、1次巻き線の巻き数が増大するにつれて、2次巻き線の電流が増大し電圧が減少する
プラズマは、ガスの加熱された状態を称するものであり、しばしば物質の第4の状態として知られており、そのとき電子はそれぞれの原子や分子から離れることができ、そして、巨視的空間を動き回る自由電子となる。結果として、原子及び分子はイオン、すなわち、荷電粒子に変わる。自由電子が電界内にある場合、自由電子は運動エネルギーを得ることができ、他の原子や分子にぶつかり、これらの原子や分子から電子を除外、すなわち、追い出すことができる。自由電子は原子又は分子中の電子を追い出すことができ、これにより新しいイオンを形成することができる。自由電子はまた、コア軌道電子を他の軌道にたたき出し、それにより励起電子を形成することができる。自由電子はまた、分子中の化学結合を切り離し、それにより2つのラジカル(すなわち化学的に活性な存在)を形成することができる。このように、他の原子や分子がイオン、ラジカル、イオン−ラジカル、及び他の荷電粒子に変わることができる。加えて、自由電子はイオンと再結合し、消滅(co−annihilating)することがある。プラズマは電界中を動く荷電粒子を具備するので、プラズマは電気的に導体となる。プラズマ発生装置の技術分野において、自由電子及びイオン(すなわち、電荷担体)が動き移動することのできる巨視的空間は、ディスチャージチャンバー(以下DChと略称)と称される。プラズマには、自由ラジカル、励起電子、及び、イオン化された粒子が含まれているので、プラズマを造り上げる種々の粒子を集合的にプラズマ成分と称される。プラズマはさまざまな方法で分類することができる。1つの分類は、プラズマを保持する電界の電圧に基づくものである。コールドプラズマとは、低電圧、例えば約0.1〜10ボルト/cm、の電界中に保持されたプラズマを意味する。このようなコールドプラズマは、以下に説明するようなトランスフォーマー型プラズマトロンにより発生させることができる。通常、このようなコールドプラズマが造られるDCh内の圧力は、0.01〜1000パスカル(以下Paと略称)の範囲であり、この範囲は低真空範囲であると考えられる。一般に、高真空範囲(例えば、1×10−6〜1×10−2Pa)及び低真空(すなわち、高圧力)範囲(例えば、1000Pa以上)で、プラズマは、高電界を保持する。プラズマが保持されている電界によりプラズマ及びプラズマの密度の異なる成分についての割合が定まる。電界が高いほど高プラズマ密度となり、ラジカルに対するイオンの割合が高くなる一方、電界が低いほど、低プラズマ密度となり、ラジカルに対するイオンの割合が相対的に低くなる。一般に、DCh圧力は、プラズマを保持するのに必要な電界の電圧が最小にするために定めることができる。その圧力において、プラズマ中のイオンに対するラジカルの割合は最大となる。
【0004】
トランスフォーマー型プラズマトロンにおいて、透磁性の高い磁気鉄心の一方に導電性コイルでコイルが巻かれており、これが1次巻き線を形成する。トランスフォーマーの2次巻き線は、単一ループで経路が閉じられた巻き線を形成する、閉じたチューブ中に収容された導電性ガスにより構成される。この閉じられた又はループ状のチューブがDChとなり、DChと結合している複数の透磁性の高い磁気鉄心に1次巻き線を介して交流電流を加え点火すると、DCh中の導電性ガスがプラズマとなる。導電性ガスを導入しプラズマにするために、DChの壁は非導電性でなければならない。さもなければ、DCh中に誘起された電圧及び電流がDChの壁を通り抜けてしまう。DChの壁は、絶縁材料を用いることにより、あるいは、閉じたチューブを複数の小片にし、それぞれ絶縁材料(絶縁ガスケット等)を間に入れて組み立てることにより非導電性にする。さらに、プラズマはDChの壁を加熱するので、DChの壁は耐熱性を持たせるか又は冷却しなければならない。トランスフォーマー型プラズマトロン中で、ラジオ周波数(以下RFと略称)の交流電力を1次巻き線に供給する。供給した交流電力は、一般に低RFから中間RFの範囲、例えば50〜1000キロヘルツ(以下kHzと略称)である。透磁性の高い磁気鉄心として品質の良いフェライトコアを用いることにより、中間RFを用いることが可能となり、トランスフォーマー型プラズマトロンの電力使用効率を改善することができると共に、物理的な大きさも小さくすることができる。
【0005】
ガスを連続的に供給し、閉じたチューブ中に開口のあるトランスフォーマー型プラズマトロンにおいて、発生したプラズマは化学反応を起こさせるために用いることができる。化学反応はDCh内又はDChの一部として組み込まれたリアクター内で起こる。このようなDChは、石英管又は二重壁にした水冷メタルチャンバーで構築することができる。プラズマによる化学反応もまた、DCh中に単に基板を配置し、プラズマを点火することにより、トランスフォーマー型プラズマトロン中で起こすことができる。このような形のプラズマトロンは、プラズマとの反応を起こすために基板を配置するために、DChのループ中の一部を広くすることもできる。
【0006】
化学反応を起こさせるためのループ状チューブのトランスフォーマー型プラズマトロンは、複数の磁気鉄心の周りに閉ループを形成する隔離したチューブ部分により組み立てられている。隔離したチューブ部分は、アルミニウム又はステンレス鋼により造ることができる。一部のDChは、拡張することができ、リアクター又は処理チャンバー(以下PChと略称)としての役割を果たす。DChに導電性ガスを導入するための入力バルブと、DChからガスを放出するための真空ポンプのような、出力バルブがDChの周辺に取り付けられる。このようにして、DChとリアクターとの間にガス圧力の差をなくす。一般的なDChは、低真空範囲であると考えられる1〜10Paの範囲に、圧力を保持することができる。このようなループ状チューブのトランスフォーマー型プラズマトロンは、スパッタリング、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、プラズマ促進化学蒸着、光化学反応のための半導体産業で採用されている。高真空反応環境(例えば、分子線エピタキシー、化学ビームエピタクシー、原子層堆積、その他)では、プラズマ中で一般にみられる種々のプラズマ成分からの利点は通常は得られないことに留意すべきである。このような高真空反応環境で生じる堆積は、DChの壁がスパッタされず、リアクターを汚染しないよう、一般に、ラジカル、加速されていないイオン、低流動速度、及び低電界のような非常に低いエネルギー反応物質を必要とする。
【0007】
このような高真空での反応で用いられるリアクターは、一般に数十センチメートルのスケールであり、蒸発源から対象物までの距離が数百ミリメートル(以下mmと略称)のオーダーである。このようなリアクターにそのような距離でプラズマ源を置くことは効率的でない。プラズマ成分は、集団、電荷、エネルギー、及び化学反応中で非常に異なる。実際には、プラズマ成分は距離と共に指数関数的に減衰する。加えて、プラズマは、それぞれが特定の寿命と反応速度と効用を持つ、異種物質の無秩序な混合物として表現することができる。プラズマの発生を規定するパラメーターを変更することで、プラズマの成分及び量の相対密度、すなわちプラズマ密度を変更することができる。例えば、プラズマを高い電圧で保持することでプラズマイオンを濃縮することができる一方、プラズマを低い電圧で保持することでプラズマの自由ラジカルを濃縮することができる。
【0008】
トランスフォーマー型プラズマトロンは当業者に知られている。Ryoji他による米国特許番号5,942,854、表題「ディスチャージチャンバー中にサイドオリフィスを設けた、電子ビーム励起プラズマ発生装置」では、効率的に広い領域のサンプルを形成する、電子ビームにより励起こされたプラズマ発生装置を対象にしている。この電子ビーム励起プラズマ発生装置は、陽極、ディスチャージ電極、中間電極、ディスチャージチャンバー、プラズマ処理チャンバー、複数のオリフィス、及び加速電極を具備する。陽極は熱イオンを放射し、ディスチャージ電極は陽極とディスチャージ電極との間のガスをディスチャージさせる。中間電極はディスチャージ電極と同軸上に軸方向に配置される。ディスチャージチャンバーは、陽極とディスチャージ電極とによりプラズマに変わったディスチャージされたガスで満たされている。プラズマ処理チャンバーは、ディスチャージチャンバーとの間に隔壁を設けて隣接しており、処理対象物の処理表面が中間電極の軸方向と垂直に置かれている。複数のオリフィスにより、ディスチャージチャンバー内のディスチャージガスプラズマ中の電子がプラズマ処理チャンバーに入ることができる。各オリフィスは隔壁中に設けられ、各オリフィスは中間電極の軸線に対し実質的に垂直になっており中間電極の軸方向に対して放射状に設けられている。加速電極はプラズマ処理チャンバー内に置かれ、複数のオリフィスを通してディスチャージチャンバー内の電子を抽出し加速する。
【0009】
Ryoji他による米国特許番号6,211,622、表題「プラズマ処理装置」では、プラズマ発生装置で励起こされた電子ビームと共に用いるプラズマ処理装置を対象にしている。この装置は、複数の抽出オリフィス、ディスチャージ部分、プラズマ処理チャンバー、コンパートメント、及び複数の加速電極を具備する。複数の抽出オリフィスは、ディスチャージ部分から電子ビームを抽出し、コンパートメントを介して、プラズマ処理チャンバーに送り込むために用いられる。複数の抽出オリフィスは、放射状に設けられる。複数の加速電極はプラズマ処理チャンバー内に配置される。抽出オリフィスから電子を抽出する方向は、物体面と実質的に平行に設定される。加速電極の数と配置は、励起プラズマの密度分布が物体面を処理するのに最適な状態になるよう設定される。広い面積を持つ物体も適切に処理することができる。
【0010】
Collison他による米国特許番号6,692,649、表題「誘導結合されたプラズマ下流ストリップモジュール」では、基材を処理するプラズマ処理モジュールを対象にしている。このモジュールは、プラズマ閉じ込めチャンバー、誘導結合源、2次チャンバー、及びチャンバー相互連結ポートを有する。プラズマ閉じ込めチャンバーは、基材の処理期間中に、プラズマ処理モジュールのプラズマ閉じ込めチャンバーに供給ガスが入ることができるようにした供給ガス入口ポートを具備する。誘導結合源は、供給ガスを活性化し、プラズマ閉じ込めチャンバー内のプラズマに衝突させるために用いられる。誘導結合源は、プラズマ閉じ込めチャンバー内にプラズマが1次隔離領域を持つように、具体的形状が形成される。2次チャンバーは、プラズマ閉じ込めプレートによりプラズマ閉じ込めチャンバーと切り離される。2次チャンバーは、チャックと排気口とを有する。チャックは、基材の処理期間中に、基材を支持するよう造られており、排気口は、基材の処理期間中に、2次チャンバーからガスを取り除くことができるよう2次チャンバーに接続されている。チャンバー相互連結ポートは、プラズマ閉じ込めチャンバーと2次チャンバーとを相互に連結する。チャンバー相互連結ポートにより、基材の処理期間中に、プラズマ閉じ込めチャンバーから2次チャンバーにガスを流すことができる。チャンバー相互連結ポートは、基材が2次チャンバー内のチャックに置いたとき、基材から、プラズマ閉じ込めチャンバー内に形成されたプラズマの1次隔離領域への実質的に直接的な見通し線がなくなるように、プラズマ閉じ込めチャンバーと2次チャンバーとの間に置かれる。
【0011】
Cox他による米国特許番号6,418,874、表題「プラズマ処理のためのトロイダル・プラズマ源」では、基材処理チャンバー内のトロイダル・プラズマ源を対象にしている。このトロイダル・プラズマ源は、シータシンメトリ(theta symmetry)なポロイダルプラズマを形成する。ポロイダルプラズマ電流は本質的にプラズマ発生機構の表面と平行になっているので、内壁のスパッタリングによる侵食を減少させる。プラズマ電流は、同様に、基材処理チャンバー内の基材の処理表面に対して平行に流れる。基材とプラズマ源との間に位置する一定形状の部材及びプラズマ源により、プラズマ処理の均一性を向上させるように選定された方法でプラズマ密度を制御する。Lai他による米国特許番号6,755,150、表題「マルチコアトランスフォーマープラズマ源」では、トロイダルコアを用いた、ランスフォーマーと結合したプラズマ源を対象にしている。ランスフォーマーと結合したプラズマ源は、トーラスの中央軸に沿って、高密度のイオンを有するプラズマを形成する。プラズマ発生装置の磁心は、プラズマの指向性を向上させ発生効率を上げるために垂直に整列して積み重ねることができる。磁心は、横方向配列にして、非常に大きな基材も含めて種々の大きさの基材に対応して伸縮できるプラズマ発生プレートとすることもできる。プラズマに対称性を持たせることにより、2つの基材をプラズマ発生装置の両サイドに置くことにより同時に処理することができる。
【0012】
Campbell他による米国特許番号5,421,891、表題「高密度プラズマ蒸着及びエッチング装置」では、プラズマ蒸着及びエッチング装置を対象にしている。この装置は、プラズマ源、基材処理チャンバー、内部磁気コイル、及び外部磁気コイルを具備する。プラズマ源は、基材処理チャンバーの上部軸方向に位置する。プラズマ源を取り囲んで内部磁気コイル及び外部磁気コイルがプラズマ源及び基材処理チャンバーの軸に垂直な平面に配置されている。第1の電流は内部コイルを通って流れ第2の電流は外部コイルを通って流れる。第2の電流は第1の電流とは反対方向に流れる。基材処理チャンバー内の磁界は、きわめて均一な処理が可能なように成形される。ガス供給ラインの独特のダイヤモンド型のパターンは、このダイヤモンド型が装置内で処理される加工対象物の外周の4箇所にほぼ接するように配置される場所に用いることができる。
【0013】
Chen他による米国特許番号7,166,816、表題「誘導的に結合したトロイダル・プラズマ源」では、ガスを引き離す装置を対象にしている。この装置は、ガス、第1の磁気鉄心を有する第1のトランスフォーマー、第2の磁気鉄心を有する第2のトランスフォーマー、第1のソリッドステートACスイッチング電源、第1の電圧源、第2のソリッドステートACスイッチング電源、及び第2の電圧源を有するプラズマチャンバーを具備する。第1の磁気鉄心は、プラズマチャンバーの第1の部分を囲み、第1の1次巻き線を有する。第2の磁気鉄心は、プラズマチャンバーの第2の部分を囲み、第2の1次巻き線を有する。第1のソリッドステートACスイッチング電源は、第1の電圧源に接続された1以上のスイッチング半導体装置を有し、第1の1次巻き線に接続された第1の出力を有する。第2のソリッドステートACスイッチング電源は、第2の電圧源に接続された1以上のスイッチング半導体装置を有し、第2の1次巻き線に接続された第2の出力を有する。第1のソリッドステートACスイッチング電源は、第1の1次巻き線の第1のAC電流を駆動する。第2のソリッドステートACスイッチング電源は、第2の1次巻き線の第2のAC電流を駆動する。第1のAC電流及び第2のAC電流はプラズマチャンバー内に複合したAC電圧を誘起して、トロイダル・プラズマを直接形成し、トランスフォーマーの2次回路を完成させ、そしてガスを分離する。
【0014】
Chen他による米国特許番号6,924,455、表題「統合されたプラズマチャンバー及び誘導結合されたトロイダル・プラズマ源」では、統合されたトロイダル・プラズマ源を有する素材処理装置を対象にしている。この素材処理装置は、プラズマチャンバー、処理チャンバー、トランスフォーマー、及びソリッドステートACスイッチング電源を具備する。プラズマチャンバーは、処理チャンバーの外周面の一部を具備する。トランスフォーマーは、プラズマチャンバーの一部を囲む磁気鉄心を有すると共に、1次巻き線を具備する。ソリッドステートACスイッチング電源は、電圧源に接続された1以上のスイッチング半導体装置を有し、1次巻き線に接続された出力を有する。ソリッドステートACスイッチング電源は、1次巻き線のAC電流を駆動する。1次巻き線のAC電流はプラズマチャンバー内にAC電圧を誘起し、それにより、トランスフォーマーの2次回路を完成させるトロイダル・プラズマを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本願に開示された技術は、添付図と共に以下の詳細な説明からさらによく理解し認識できるであろう。
【図1A】本願明細書に開示した技術の1つの実施形態により構成され動作可能な、ダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。
【図1B】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図1Aのダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図2A】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、ダブルポート・サイドエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図2B】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図2Aのダブルポート・サイドエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システムの、側方から断面を見た図として示した実施形態の概略図である。
【図3A】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図3B】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図3Aのシングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システムの相互に貫通するループ構造の簡略化した概略図である。
【図3C】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、図3Bの相互に貫通するサーキュラー・ループ構造を拡大した概略図である。
【図3D】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図3E】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、図3Dの相互に貫通する矩形ループ構造を拡大した概略図である。
【図4A】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図4B】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、ダブルポート・サイドエントリーの相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図5A】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、ダブルポート・トップエントリー・トロイダル・プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。
【図5B】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、図5Aのダブルポート・トップエントリー・トロイダル・プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。
【図6】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、プラズマ成分を放出する複数の開口の形状の概略図である。
【図7A】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、高真空チャンバー内側の絶縁ガスケットの概略図である。
【図7B】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、高真空チャンバー外側の絶縁ガスケットの概略図である。
【図8】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、プラズマ発生システムのエントリーポートの、部分断面図として示した概略図である。
【図9A】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。
【図9B】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、図9Aのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図10】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、のロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。
【図11A】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、他の1つのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。
【図11B】本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、別のロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。
【図11C】本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、他の1つのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願明細書に開示した技術により、プラズマを発生させる新しいシステムを提供することにより先行技術の欠点を解消する。本願明細書に開示した技術によるシステムでは、低エネルギーの生のプラズマ成分を発生させ、高真空処理チャンバー内に配置した対象物に供給する。高真空処理チャンバーに供給したとき、生のプラズマ成分は対象物に近づく。本願明細書に開示した技術によるシステムには、高真空処理チャンバーに物理的に進入し比較的近距離から対象物にプラズマを吹き付ける。プラズマ・ディスチャージ・チャンバー(以下DChと略称)は、低真空状況下で動作し閉ループを形成する。閉ループDChは、トランスフォーマー型プラズマトロン内のフェライト磁心の周りに単一の2次巻き線を実質的に形成する。導体がフェライト磁心の別の側の周りに巻きつけられ、この導体は低RF周波数で動作しているAC電源に接続される。本願明細書に開示した技術によれば、閉ループDChは、高真空処理チャンバー(以下PChと略称)に閉ループDChを挿入したり取り除いたりすることが容易になるよう組み立てられ設計される。この閉ループDChは、管状の構造とすることができる。本願明細書に開示した技術によるDChの設計では、DChに先行技術による既存のPChと結合させることができる。加えて、閉ループDChは、DChの一部がPCh中の処理対象物の場所と非常に接近するように、物理的にPChを貫通するように構成され設計される。本願明細書に開示した技術によれば、処理対象物の場所と非常に接近するDChの一部分には、DCh中に発生させたプラズマを処理対象物に均一にスプレーするための複数の開口が設けられる。
【0017】
一般に、本願明細書に開示した技術は、高真空処理チャンバー内で種々の化学処理を行うためのプラズマ発生に関する。高真空処理チャンバーは、高真空反応チャンバーのように称されることもできる。一般に、本願明細書に開示した技術により発生させたプラズマは、如何なるフィルターにも掛けられていないプラズマである。そのようなフィルターが掛かっていないプラズマは、クルードプラズマとして知られ、中性原子や中性分子のみならず、イオン、自由ラジカル、自由電子、のような種々のプラズマ成分を含むことがある。用語「プラズマ」は、本願明細書に開示した技術の記載全般にわたって用いられ、上記のようなクルードプラズマを意味する。多くの化学処理及び物理処理は、低エネルギー反応として行われるとき、高真空状態又は超高真空状態で行われることに留意すべきである。本願明細書に開示した技術によれば、低エネルギー反応物質は、低電界中のプラズマ成分(すなわち、反応物質)を保持することにより、高真空チャンバー又は超高真空チャンバー内の対象物に低ネルギー反応物質を供給し、DChから出して、真空チャンバー内のクヌーセン数を大きく保っている処理対象物に非常に近接している高真空チャンバー内に反応物質を入れる。以下に示す通り、本願明細書に開示した技術によれば、DChは、高真空ロール・ツー・ロール処理チャンバーのみならず、高真空バッチ・ウエハー処理チャンバーにも接続することができ、これらの処理チャンバーと共に使用することができる。
【0018】
ここで図1Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号100で示した、ダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。側方から見た図1Aは、内部構成要素が見えるので、実質的に、ダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システム100の断面図である。ダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システム100(ここでは、矩形ループ・プラズマ発生システム100と呼ぶ)には、PCh102及びトランスフォーマー型プラズマトロン104が含まれる。PCh102は、実質的に、高真空状態が維持されている高真空処理チャンバーである。トランスフォーマー型プラズマトロン104は、PCh102と一体となっている。以下に詳細に示す通り、トランスフォーマー型プラズマトロン104の一部はPCh102に挿入されている。一般に、矩形ループ・プラズマ発生システム100は、高真空環境下で生じる化学処理のために用いられる、プラズマを発生させるために用いられる。トランスフォーマー型プラズマトロン104は、実質的に、プラズマを発生させ、PCh102に導き、そこで、プラズマは、PCh102で行われる化学処理のために用いることができる。
【0019】
PCh102は、高真空ポンプ106、対象物108、対象物ホルダー110、対象物ヒーター112、シャッター114、対象物遠隔操作器116、少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源118、電子ガン蒸発器120、2つのエントリーポート122を有する。PCh102はまた、高真空反応チャンバーにおいてよく知られている、圧力ゲージ(不図示)、質量分析計(不図示)、及び反射高速電子線回折装置(以下RHEEDと略称)ツール(不図示)を具備することができる。PCh102は、付加的に、対象物移送機構(不図示)、赤外線パイロメーター(不図示)、膜厚モニター(不図示)、膜蒸着制御装置(不図示)、イオン源(不図示)、偏光解析器(不図示)、及び複数のガス源(不図示)を具備することができる。PCh102は、さらに、高真空処理において一般に用いられる公知の他の構成要素を具備することができる。
【0020】
PCh102は、実質的に、密封することができるコンパートメントとなっている。PCh102は、円筒、又は、立方体、又は、球体、その他の既知の形にすることができる。PCh102は通常ステンレス鋼で造られる。PCh102はバレル型の処理チャンバーとすることができ、例えば、40から4000リットルの範囲の容量を持つ。高真空ポンプ106、シャッター114、対象物遠隔操作器116、クヌーセンセル蒸発源118、及び電子ガン蒸発器120は、すべて、外側からPCh102と結合されている。対象物108、対象物ホルダー110、及び対象物ヒーター112は、すべて、内側からPCh102と実質的に結合されている。高真空ポンプ106は、空気をPCh102から吸いだし、それにより、PCh102内に高真空状態を生み出し高真空状態を維持する。例えば、高真空ポンプ106がPCh102から空気を吸いだした後の圧力は10−4〜10−10Paである。対象物108は、実質的に、化学反応を起こさせることができる対象物を表す。対象物108は、例えば、ウエハー、フィルム、ファイバー、その他とすることができ、20センチメートルまでの長さとすることができる。対象物ホルダー110は、実質的に、対象物108をその位置に保持する。図1Aに示す通り、対象物ホルダー110は端部で対象物108を保持し、対象物108に向かって進んでくる化学物質、元素、及びプラズマを妨げないようにしている。対象物ヒーター112は、実質的に、対象物108の上部に位置し、対象物108の表面温度を上昇させるために用いられる。対象物ヒーター112から対象物108へ送られる熱は、図1で、複数の矢印160として示した。
【0021】
シャッター114は、実質的に、対象物108を覆うためにPCh102内に伸ばすことができるアーム115を具備する。アーム115は、対象物108を覆い、クヌーセンセル蒸発源118、電子ガン蒸発器120、あるいは、PCh102内にあるプラズマから来る反応物質から遮蔽する。対象物遠隔操作器116は、対象物108、対象物ホルダー110、及び対象物ヒーター112を、上下のような複数の方向に動かすため、及び、対象物108、対象物ホルダー110、及び対象物ヒーター112のいずれかを曲げ、回転させ、蒸着を均一化するために用いることができる。少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源118は、元素からの蒸気をPCh102に供給するために用いることができる。図1Aに示したクヌーセンセル蒸発源118のそれぞれは、蒸発させPCh102に供給した元素が、実質的に、対象物108の表面の大部分に衝突し蒸着するような位置に置かれる。複数の付加的なクヌーセンセル蒸発源(不図示)は、PCh102と結合し、複数のクヌーセンセル蒸発源を介してPCh102に供給された元素が、実質的に、対象物108の全表面に均等に衝突し蒸着するように対象物108に向けることができる。電子ガン蒸発器120もまた、PCh102と結合し、電子ガン蒸発器120によりPCh102に供給された金属蒸気が、実質的に、対象物108の表面の大部分に均等に衝突し蒸着するような位置に置かれる。2つのエントリーポート122が、PCh102の側面に装備される。エントリーポート122は、図1Bに明確に示されている。以下に示す通り、エントリーポート122により、トランスフォーマー型プラズマトロン104をPCh102内に挿入することができる。
【0022】
トランスフォーマー型プラズマトロン104は、接続フランジ123、ラジオ周波数(以下RFと略称)電源124、複数の導体126、複数の透磁性の高い磁気鉄心128、閉ループディスチャージチャンバー(以下「閉ループDCh」又は単に「DCh」と略称)130、複数の開口138、キャパシタンス圧力ゲージ142、及び絶縁ガスケット148A及び148Bを具備する。接続フランジ123は、絶縁ガスケット148Bを介してエントリーポート122と結合している。トランスフォーマー型プラズマトロン104には、図1Bのみに示した付加的な要素を含み、図1Bの説明中に述べられている。トランスフォーマー型プラズマトロン104にはさらに、RF電源124につながったインピーダンス整合回路網が含まれている。閉ループDCh130内では、矢印132で示すように、プラズマが生成されている。矢印132は、閉ループDCh130内で生じたプラズマが閉ループを形成することを示すものであり、プラズマが特定の方向に流れることを示すことに留意すべきである。閉ループDCh130は、実質的に低真空ディスチャージチャンバーであり、圧力を、実質的に0.1〜10Paの間に保持する。閉ループDCh130は、長方形であり、図1Bに明示する。閉ループDCh130は、機能的に、外部セクション134と内部セクション136の2つのセクションに分けられる。内部セクション136は、エントリーポート122を経てPCh102に挿入される一方、外部セクション134はPCh102の外側に残る。外部セクション134では、プラズマ132が生成される一方、内部セクション136では、プラズマ132がPCh102内に放出される。RF電源124は、複数の導体126に接続されている。複数の導体126は、複数の透磁性の高い磁気鉄心128と結合している。図1Aに詳細に示されてはいないが、複数の透磁性の高い磁気鉄心128のそれぞれは、複数の導体126と結合している。複数の導体126は、複数の透磁性の高い磁気鉄心128に巻きつけられ、トランスフォーマー型プラズマトロン104の1次巻き線となる。複数の透磁性の高い磁気鉄心128は、実質的に閉ループDCh130を取り囲んでいる。閉ループDCh130は、実質的にトランスフォーマー型プラズマトロン104の2次巻き線をなす。複数の開口138の各々は、実質的に閉ループDCh130の内部セクション136に位置する。複数の開口138はまた、複数のオリフィス又はノズルと称することもできる。複数の開口138は、プラズマ132を内部セクション136からPCh102に、実質的には対象物108上に放出する。
【0023】
内部セクション136は、対象物108の周りを取り囲む形でPCh102内に広がるよう設計されている(図1Bに、より明確に示されている)。内部セクション136及び対象物108は、内部セクション136が対象物108より少し下に位置するよう、PCh102内に配置されている。例えば、内部セクション136は、対象物108より2から10センチメートル下のような、数センチ程度、対象物108より下に配置することができる。閉ループDCh130の内部セクション136は、長方形なので、PCh102に供給される、例えば、少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源118及び電子ガン蒸発器120からの気化した、元素の対象物108への照射を妨げることはない。対象物108に対する相対的な内部セクション136の正確な位置は、設計段階での選択事項であり、実質的に、DCh130の内部圧力の計測値(キャパシタンス圧力ゲージ142で計測)、DCh130内部のプラズマ132の電流の計測値(DCh130の周りに配置した磁気リング電流ゲージで計測)、及び、対象物108へのプラズマ132の分布の均一性のトレードオフの関係となる。
【0024】
複数の開口138を対象物08に近接して配置し、内部セクション136から複数の開口138を経て放出するプラズマ132が実質的に均等に対象物108の表面に放射されるようにしている。図1Bに詳細に示した通り、複数の開口138は、プラズマ132が均等に対象物108に吹き付けられるように、対象物108の周りに均等に設置される。複数の開口138の各々は、対象物108とは、プラズマ132中のプラズマ成分の平均自由行程より実質的に短い距離だけ離れた所に位置する。プラズマの平均自由行程は、プラズマの成分が実質的に消滅してしまうまでに、例えば、お互いに再結合するまでに、移動することのできる距離を意味する。プラズマ132の平均自由行程より短い、対象物108との距離に複数の開口138を置くことで、プラズマ132のプラズマ成分が、実際に対象物108の表面に衝突し堆積することができる。複数の開口138を経由してプラズマ132が放出されるので、プラズマ132は、対象物108の方向にPCh102内で、プルームを形成する。対象物108に対する複数の開口138の相対角は、複数の開口138それぞれから放出されるブルームが対象物108の表面に楕円形を形成するような角度となっている。プラズマ成分の濃度は複数の開口138の近傍で最高値となり、対象物108の中心に向かうにつれて徐々に小さくなる。複数の開口138それぞれは、別々の複数の開口138から対象物108の表面に投射した楕円の隣り合う投射面が重なり合い、プラズマ132からのプラズマ成分が対象物108に実質的に均一に広がるように、閉ループDCh130上に配置される。
【0025】
複数の開口138は、PCh102内の高真空状態を損なわないように、DCh130中の複数の開口138の実際の数と矩形ループ・プラズマ発生システム100のクヌーセン番号(以下Knと略称)とに応じて、それぞれ、約1〜8mmの範囲の直径を有する。両端に開口を有するそれぞれのスリーブ(不図示)は、複数の開口138の各々に挿入されている。したがって、個々のスリーブの各々が、複数の開口138を経てDCh130の1つの壁に挿入されている。個々のスリーブの各々の外径は、複数の開口138の直径に実質的に等しい。個々のスリーブの各々は、プラズマ132を対象物108に向けて放出するノズルとしての機能を持つ。各スリーブは、対象物108に向けて特定の角度の方向を持たせてもよい。一般に、対象物108に向けたスリーブの開口(すなわち、スリーブのノズル端)は、断面が実質的に円形ではなく、DCh130の長軸117に対しても短軸119に対しても垂直方向に向いてはいない。スリーブのノズル端は、断面形状の長いほう(例えば、楕円の長軸)を対象物108の方に向けて、円筒、円錐、楕円、放物線、双曲線、その他の形状のような、適切などのような幾何学的形状を持たせることもできる。スリーブのノズル端の具体的な断面形状により、スリーブのノズル端から放出されるプラズマ132のプルームの楕円投射面の大きさと広がりを変化させることができる。スリーブの種々の形と構造を図6に詳細に示す。一般に、複数の開口138に挿入された種々のスリーブのノズル端は、放射状に対象物108に向けられる。
【0026】
DCh130中の複数の開口138のそれぞれとの間隔と開口138の数は、対象物108の大きさ、複数の開口138に挿入されたそれぞれのスリーブのノズル端から対象物108までの距離、及びスリーブのノズル端の寸法及び形によって決まる。一般に、それぞれの隣り合う複数の開口138の同士の間隔は、実質的に、複数の開口138のうちの1つと対象物108との間の距離と同様である。また、対象物108が大きくなるにつれて、複数の開口138の隣り合うもの同士の間隔も大きくなる。個々のスリーブのそれぞれは、以下の、すなわち、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)のような耐熱性金属、セラミックス、石英ガラス、熱分解窒化ホウ素(PBN)及びグラファイトのような、材料のうちの1つから造ることができる。個々のスリーブのそれぞれは、およそ5〜10mmの長さとし、対象物108からはなれた側の開口で(すなわち、スリーブのノズル端ではない側で)、5〜10mmの範囲の直径とすることができる。
【0027】
次に図1Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図1Aのダブルポート・サイドエントリー矩形ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。図1A及び1Bにおいて等価な構成要素は、同じ番号を用いて表示している。矩形ループ・プラズマ発生システム100に対する付加的な構成要素であることをうまく示して説明するために、図1Aのいくつかの構成要素は、図1Bにおいて意図的に省略している。図1Aに示す通り、図1Bには、PCh102、トランスフォーマー型プラズマトロン104、真空ポンプ106、対象物108、2つのエントリーポート122、接続フランジ123、RF電源124、複数の導体126、複数の透磁性の高い磁気鉄心128、閉ループDCh130、複数の開口138、キャパシタンス圧力ゲージ142、及び、絶縁ガスケット148A及び148Bが示されている。プラズマ132は、複数の矢印162で示す通り、実質的にDCh130の周囲全体に存在する。複数の矢印162は単にDCh130内部のプラズマ132が閉ループを形成しているだけであることに留意すべきである。プラズマ132が実際にDCh130の周囲を回っているわけではない。対象物108は、図1Bにおいて円形である。対象物108は、例えば長方形のような、ふさわしいどのような形にすることもでき、その形状は設計時の選択事項である。DCh130の外部セクション134及びDCh130の内部セクション136は、図1Bに明確に示されている。内部セクション136は、PCh102内に貫入しており、外部セクション134は、PCh102の外部に残されている。加えて、図1Bにのみ示されている通り、矩形ループ・プラズマ発生システム100はまた、ガス入口リーク弁140、のぞき窓144、磁石リング電流ゲージ146、及び、3つの絶縁ガスケット148A、48B、148Cを具備する。ガス入口リーク弁140、キャパシタンス圧力ゲージ142、のぞき窓144、及び、磁石リング電流ゲージ146は、すべて外部セクション134に配置されている。ガス入口リーク弁140は、ガスシリンダー(不図示)に連結されている。キャパシタンス圧力ゲージ142及びのぞき窓144は、両方ともDCh130に取り付けられている。磁石リング電流ゲージ146は、DCh130の周囲に取り付けられた、トランスフォーマーのリング型磁心である。さらに、矩形ループ・プラズマ発生システム100は、実質的にDCh130の経路と平行に、DCh130の経路に沿って、ワイヤループを有することもできる。特に、ワイヤループは、複数の透磁性の高い磁気鉄心128で、維持電圧を計測するために複数の透磁性の高い磁気鉄心128の周りに付加的な2次巻き線を形成させるように、DCh130の経路と平行にする。
【0028】
ガス入口リーク弁140から、DCh130をガスで満たすことができる。ガス入口リーク弁140からDCh130を満たしたガスは、複数の透磁性の高い磁気鉄心128に電圧と電力が供給されたときプラズマ132内で点火されるガスである。キャパシタンス圧力ゲージ142は、DCh130内の圧力を実際に計測する。のぞき窓144から、ユーザーは、外部セクション134内部のプラズマ132の発生を見ることができ、さらに、プラズマの分光分析を可能とする。磁石リング電流ゲージ146により、DCh130の電流を計測する。ワイヤループ(不図示)は、矩形ループ・プラズマ発生システム100により、実質的にはDCh130内のプラズマ132である、システムの2次巻き線に生じる電圧を計測するために用いられる。電圧はワイヤループを横切って計測する。ワイヤループは、実質的に、DCh130と同じ経路に沿っているので、ワイヤループを横切る電圧は、DCh130内の電圧を表す。
【0029】
図1Bに示す通り、トランスフォーマー型プラズマトロン104は、2つのエントリーポート122を介してPCh102に挿入され連結されている。2つのエントリーポート122は、PCh102内の真空を維持するために、しっかりとシールしなければならない。エントリーポート122は、図1Bに示す絶縁ガスケット148B、148Cのような、テフロン(登録商標)リングでシールしてもよい。複数の導体126は、複数の透磁性の高い磁気鉄心128の周りにトランスフォーマー型プラズマトロン104の1次巻き線を形成する。DCh130内にあるプラズマ132は、トランスフォーマー型プラズマトロン104の2次巻き線を形成する。ガス入口リーク弁140を経由してガスがDCh130に入り、複数の導体126を経由して複数の透磁性の高い磁気鉄心128に電力が供給される。複数の透磁性の高い磁気鉄心128に電力を供給することにより、複数の透磁性の高い磁気鉄心128に交番磁界が生じ、これにより、DCh130に交番電界が生じる。DCh130に生じた交番電界は、ガス中の原子や分子から電子を除去するために用いられ、プラズマ132中でガスを点火する。DCh130に生じた交番電界は、プラズマ132を保持するためにも用いられる。プラズマ132は、DCh130に保持されるので、少量のプラズマ132が、複数の開口138を経由してPCh102に放出される。複数の開口138の空間的位置及び形によって、対象物108へ向かう複数のプルーム164の形で、プラズマ132がPCh102内に放出される。プラズマ132が対象物108の表面に均一に堆積するように、複数の開口138は、DCh130に沿って異なる位置に設けられる。一般に複数の開口138は、対象物108の表面にプラズマ132の均一な拡散がなされるように、DCh130に沿って対称的に(例えば、対象物108から同一の距離になるように)設けられる。
【0030】
DCh130内に導入されたガスを点火しプラズマ132プラズマ132内に導くために、DCh130の壁は非導電でなければならない。さもなければ、生じた電圧及び電流がDCh130の壁を通り抜け、プラズマが形成されなくなってしまう。DCh130は、したがって、複数の電気的に絶縁されたセクションに分割される。図1A及び1Bの例では、DCh130は、3つの電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cに分割される。電気的に絶縁されたセクション150A、150Bは、実質的に、DCh130の内部セクション136を表し、電気的に絶縁されたセクション150Cは、実質的に、DCh130の外部セクション134を表す。電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cの各々は、実質的に、開放された金属チューブである。電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cは連結されているが、絶縁ガスケット148A、148B、148Cにより相互に電気的に分離されている。絶縁ガスケット148A、148B、148Cは、電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cを電気的に絶縁してシールするために用いられる。絶縁ガスケット148A、148B、148Cは、テフロン(登録商標)のような柔軟な材料で造られ、2つの剛体フランジで挟み込まれる。例えば、絶縁ガスケット148B、148Cは、接続フランジ123とエントリーポート122とに挟まれる。絶縁ガスケット148Aは、電気的に絶縁されたセクション150A、150Bを連結する。絶縁ガスケット148Bは、電気的に絶縁されたセクション150A、150Cを連結する。絶縁ガスケット148Cは、電気的に絶縁されたセクション150B、150Cを連結する。絶縁ガスケット148A、148B、148Cについて、図7A、7Bに詳細に示されている。一般に、本明細書全般にわたり、絶縁ガスケットを介して連結したDChチューブ端、例えば、絶縁ガスケット148Aで連結した、電気的に絶縁されたセクション150A、150Bのチューブ端は、実質的に、チューブ端での電位の差により、コンデンサを形成することに留意すべきである。DCh130中の絶縁ガスケット148A、148B、148Cの存在により、電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150は、プラズマ132を導き入れたとき異なる電位を持つことがある。
【0031】
本願明細書に開示した技術によれば、DCh130は、複数の電気的に絶縁されたセクションに分割することができる。種々の電気的に絶縁されたセクションにより、例えば、DCh130を簡単に組み立てたり、エントリーポート122を介して、PCh102から簡単に分解したりできるように、DCh130の適切な位置でDCh130を分割することができる。一例として、絶縁ガスケット148Aを、DCh130の長いほうの側面に沿って置かれた絶縁ガスケット148B、148Cに平行になっている2つの絶縁ガスケット(不図示)で置き換えることで、DCh130を4つの電気的に絶縁されたセクションに分割することができる。他の一例として、絶縁ガスケット148B、148Cを、図1Bに示す通り、磁石リング電流ゲージ146の位置に隣接して、実質的に、絶縁ガスケット148Aの反対側に、DCh130に1つの絶縁ガスケット(不図示)で置き換えることで、DCh130を2つの電気的に絶縁されたセクションに分割することができる。このような例において、(複数の透磁性の高い磁気鉄心128の代わりに)複数の径の小さい透磁性の高い磁気鉄心(不図示)をDCh130の短い方の側におくことができ、DCh130全体の長さを短くすることができる。図1Bに示すように、DCh130は、長方形であり、2つのエントリーポート122を介してPCh102に貫入している。以下に示す通り図2A、3A、3D、4A、4B、5A、5Bにおいて、本願明細書に開示した技術の閉ループDChは、図1Bに示した長方形のほかに他の形状を取ることができる。
【0032】
電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cの各々は、高真空チャンバー技術で一般に用いられているような、二重壁水冷ステンレス鋼のチューブで造られている。電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cの各々は、さらに、チューブの二重壁の間に冷却液(すなわち、水)を循環させるために、複数の入口管(不図示)及び複数の出口管(不図示)を設けることができる。入口管(不図示)は、DCh130の内側の壁(不図示)に沿って又はDCh130の外側の壁(不図示)に沿って、それぞれの電気的に絶縁されたセクションの電位を崩さないように、設けることができる。冷却液を流す入口管及び出口管は、プラスチックの管によりPCh102の外側に伸ばすことができる。電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cの各々のチューブの内径は、PCh102の内側にて0.1〜1Paの間の圧力でプラズマ132中のプラズマ成分の平均自由行程よりも大きい。例えば、電気的に絶縁されたセクション150Aのチューブの内径は約40mmとすることができる。
【0033】
一般に、外部セクション134に配置する、電気的に絶縁されたセクション150Cに用いるチューブの長さは、DCh130中の高電圧によりDCh130の壁でパチパチ音を出し、対象物108へのプラズマ132の蒸着の品質に影響を与えるDCh130の汚染を増大させるので、DCh130に誘導される全電圧を低くするためにできるだけ短くする。一般に、DCh130は、実質的に導体なので、長さを短くするとオームの法則により抵抗も小さくなり、プラズマ132の維持電圧を保持するために必要な電力及びDChに生じる電圧を減少させる。電気的に絶縁されたセクション150Cの長さは、多くの透磁性の高い磁気鉄心128が矩形ループ・プラズマ発生システム100でどのように用いられるかだけでなく、複数の透磁性の高い磁気鉄心128の寸法と幾何学的形状により、実質的に定まる。電気的に絶縁されたセクション150Cは、実質的に「U」字型なので、複数の透磁性の高い磁気鉄心128は、電気的に絶縁されたセクション150Cでのチューブの長さを減少させるために、電気的に絶縁されたセクション150Cの基礎(すなわち磁石リング電流ゲージ146が置かれている場所)に設置することができる。電気的に絶縁されたセクション150A、150Bのチューブの長さは、実質的に、対象物108の寸法、形、及び幾何学的形状により定まる。電気的に絶縁されたセクション150A、150Bの角又は鋭角部は、電気的に絶縁されたセクションに用いられるチューブ全体の長さを減少させるためだけでなく、DCh130の鋭角部に生じる局部的な電界を減少させるために、湾曲させ又は取り除くことができる。一般に、局部的な電界は、スパッタを生じさせ、DCh130を汚染させる原因となりがちである。
【0034】
一般に、トランスフォーマー型プラズマトロン104は、PCh102とは電気的に分離されていることに留意すべきである。しかしながら原則として、電気的に絶縁されたセクション150A、150B、150Cは、PCh102と共に電気的に接地されている。加えて、DCh130は、単一の絶縁ガスケット(不図示)のみを有する、1つだけの分離区間を有するループとなることがある。しかし、このような構成において、例えば、1センチメートルあたり数キロボルト程度の、実質的な高電界が、1つの絶縁ガスケットの近傍に生じることがある。このような、実質的な高電界は、プラズマ132が最初に点火され絶縁ガスケットを破損させ、DCh130(不図示)の2つの電気的に絶縁されたセクション同士の電気的分離を崩したときに生じる。高電界での絶縁ガスケットの損傷は、電界の強さ、絶縁ガスケットを製造するための誘電体の型式、高電界の形状に関係する絶縁ガスケットの断面、及び絶縁ガスケットの清浄度及び品質とに関連する。
【0035】
ここで図2Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号200で示した、ダブルポート・サイドエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。ダブルポート・サイドエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システム200(以降、スプリット・ループ・プラズマ発生システム200と称する)は、PCh202、トランスフォーマー型プラズマトロン204、及び対象物206を具備する。PCh202は、高真空状態に保たれる一方、トランスフォーマー型プラズマトロン204は、低真空状態に保たれる。スプリット・ループ・プラズマ発生システム200は、実質的に、矩形ループ・プラズマ発生システム100(図1A及び1B)に類似し、矩形ループ・プラズマ発生システム100と多くの同じ構成要素を具備する。一般に、スプリット・ループ・プラズマ発生システム200と矩形ループ・プラズマ発生システム100との間の主な違いは、PChに挿入されるトランスフォーマー型プラズマトロンの形である。開示した技術についての説明を分かりやすくするために、スプリット・ループ・プラズマ発生システム200と矩形ループ・プラズマ発生システム100との間での類似する、対象物ホルダー、対象物ヒーター、シャッター、対象物操作器、複数のクヌーセンセル蒸発源、電子ガン蒸発器、ガス入口リーク弁、キャパシタンス圧力ゲージ、のぞき窓、磁石リング電流ゲージ、その他のような、構成要素は省略した。
【0036】
PCh202は、2つのエントリーポート208を具備する。トランスフォーマー型プラズマトロン204は、接続フランジ209、複数の透磁性の高い磁気鉄心210(ここでは、フェライト磁心210と称する)、複数の導体212、スプリット・ループDCh214(ここでは、「スプリット・ループDCh」又は単に「DCh」と称する)、絶縁ガスケット222A、222B、222C、222D及びプラズマ215を具備する。フェライト磁心210は、DCh214の周囲に設置されている。複数の導体212は、フェライト磁心210の各々と結合されている(図2Aには詳細に記載されていない)。複数の導体212は、低RF電源及びインピーダンス・マッチング・ネットワーク(不図示)とに接続されている。スプリット・ループDCh214は、機能的に2つのセクション、すなわち外部セクション216及び内部セクション218に分けられる。内部セクション218は、エントリーポート208を経由してPCh202に挿入される一方、外部セクション216はPCh202の外部にとどまる。外部セクション216は、プラズマ215を生成する場所である一方、内部セクション218は、プラズマ215がPCh202内に放出される場所である。プラズマ215は、複数の矢印224で示すように、DCh214の周りに閉ループを形成する。DCh214は、2つの電気的に絶縁されたセクション220A、220Bを有する。電気的に絶縁されたセクション220A、220Bは、絶縁ガスケット222A、222Bにより連結され、2つのセクションは電気的に相互に分離されている。絶縁ガスケット222A、222Bは、絶縁ガスケット148A(図1A及び1B)と実質的に同様の構成、材料、装備、作用を有し、図7Aに詳細が記載されている。電気的に絶縁されたセクション220Aは、実質的に電気的に絶縁されたセクション150Cと同様である。エントリーポート208に挿入された電気的に絶縁されたセクション220Aの一部分は、絶縁ガスケット222C、222Dのような、テフロン(登録商標)リングでシールしてもよい。
【0037】
電気的に絶縁されたセクション220Bは、実質的に、平行四辺形に似た、分割形状を有する。電気的に絶縁されたセクション220Bは、第1のポイント230で2つのチャンネル232A、232Bに分けられる。チャンネル232A、232Bは、第2のポイント234で1つのチャンネルに再結合する。チャンネル232A、232Bに沿って、電気的に絶縁されたセクション220Bは、プラズマ215をPCh202に放出し対象物206に蒸着させるために複数の開口226を有する。図2Aに示す通り、複数の開口226のそれぞれは、それぞれプルーム228の形で、プラズマ215をPCh202に放出する。複数の開口226は、実質的に複数の開口138(図1A及び1B)に類似し、開口に挿入するスリーブ(不図示)を具備することができ、対象物206に向けられた各スリーブはノズル(不図示)としての機能を持つ。チャンネルは、DCh214内のプラズマ215を第1のポイント230でチャンネル232A及び232Bに均等に分割するように、実質的に類似し、実質的に対称になっている。第1のポイント230で分割されたチャンネル232A及び232Bは、実質的に同じ角度で第2のポイント234で再結合する。チャンネル232A及び232Bは、形は実質的に同一であり、直径及び長さは実質的に相互に鏡像関係にある。チャンネル232A及び232Bを実質的に同一とすることで、両方のチャンネルで実質的に等しくプラズマ215を点火する。加えて、複数の開口226を経由して放出されたプラズマ215は、対象物206上に蒸着するプラズマ215と実質的に同一プラズマ成分を有する。複数の開口226は、各開口から対象物206へ放射されたプラズマ215の量が実質的に等しくなるよう、チャンネル232A及び232Bに沿って実質的に等しく対称に間隔を置いて配置されている。これに関して、複数の開口226からは、対象物206に向けて対象物206上に実質的に均一にプラズマ215がPCh202内に放出される。閉ループDCh130(図1A及び1B)と比較すると、スプリット・ループDCh214は、対称形状であり対象物206の周りに対称に配置されているので、プラズマ215を対象物206上に、より均一に散布し蒸着することができる。
【0038】
電気的に絶縁されたセクション220Bの一般的形状により、プラズマ215を対象物206上に均一に散布し蒸着することが可能となる。図2Aに示す通り対象物206は、実質的に平らであり円形である。対象物206は概して平らであるが、断面に示す通り(図2Aに示す通り)、対象物206は複数の形及び寸法を持つことができる。例えば、対象物206は円筒、楕円、その他の断面形状を持つことができる。対象物206は平らでなくてもよく、例えば、円筒形又は球形とすることもできる。分割形状の電気的に絶縁されたセクション220Bは、種々の形状及び寸法の対象物206に適合するよう構成することができることに留意すべきである。一般に、電気的に絶縁されたセクションは、複数の異なるチャンネルの各々のチャンネルがトポロジー、直径、及び長さの点で実質的に同一であるという条件で、第1のポイント230で複数の異なるチャンネルに分割することができる。電気的に絶縁されたセクション220Bの分割形状は、円形、正方形、ひし形、楕円形、平行四辺形、多角形、その他のような、実質的に、どのような閉じた対称形とすることもできる。加えて、電気的に絶縁されたセクション220Bにより形成された平面は、電気的に絶縁されたセクション220Aにより形成された平面に対して、実質的に、どのような角度にすることもできる。例えば、図5A及び5Bにおいて、ダブルポート・トップエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システムが示され、そこでは、DChの分割部分が円形であり、DChのPChに挿入した部分に対して直角となっている。
【0039】
ここで図2Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図2Aのダブルポート・サイドエントリー・スプリット・ループ・プラズマ発生システムの、側方から断面を見た図として一般に参照番号250で示した実施形態の概略図である。スプリット・ループ250の側面図は、一般に番号240で示し、スプリット・ループ250の断面は、一般に番号242で示す。242の断面図は、破線「I」に沿って240を直角に側面から見た断面図である。図2Bと図2Aとの間で間で同様の構成要素は同一の番号で表示している。電気的に絶縁されたセクション220Bの実施形態は、図2Bに示されており、電気的に絶縁されたセクション220Bは、第1のポイント230で4つのチャンネル236、236、236、及び236に分割される。各チャンネル236、236、236、及び236のそれぞれが、幾何形状、直径、長さ、及び複数の矢印238Aで示すような第1のポイント230で分割される角度、複数の矢印238Bで示すような第2のポイント234で再結合する角度が実質的に同一なので、各チャンネル236、236、236、及び236内のプラズマ(不図示)は、断面図242に示すように、実質的に均一に対象物206の両側に蒸着する。当業者にとって本願明細書に開示した技術により、スプリット・ループ250の他の多くの実施形態が可能であり、設計時の選択範囲であることは明らかである。
【0040】
ここで図3Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として一般に参照番号300で示した概略図である。シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システム300(ここで、相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300と称する)は、PCh302、トランスフォーマー型プラズマトロン304及び対象物306を具備する。PCh302は高真空状態に維持される一方、トランスフォーマー型プラズマトロン304は低真空状態に維持される。相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300は、実質的に、矩形ループ・プラズマ発生システム100(図1A及び1B)に類似し、矩形ループ・プラズマ発生システム100と多くの同じ構成要素を具備する。一般に、相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300と矩形ループ・プラズマ発生システム100との間の主な違いは、PChに挿入されたトランスフォーマー型プラズマトロンの形である。開示した技術についての説明を分かりやすくするために、相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300と矩形ループ・プラズマ発生システム100との間で類似する、対象物ホルダー、対象物ヒーター、シャッター、対象物操作器、複数のクヌーセンセル蒸発源、電子ガン蒸発器、ガス入口リーク弁、キャパシタンス圧力ゲージ、のぞき窓、磁石リング電流ゲージ、その他の構成要素については省略した。
【0041】
PCh302は、単一のエントリーポート308を具備する。トランスフォーマー型プラズマトロン304は、フランジ309、複数の透磁性の高い磁気鉄心310、複数の導体312、相互に貫通するループDCh314(ここでは、「相互に貫通するループDCh」または、単に「DCh」と称す)、及びプラズマ315を具備する。さらに、DCh314は、複数の絶縁ガスケット(不図示)を有する。複数の透磁性の高い磁気鉄心310はDCh314の周囲に設置されている。複数の導体312は、透磁性の高い磁気鉄心310のそれぞれに接続されている(図3Aには明確に記載されていない)。複数の導体312は、インピーダンスマッチング回路と共にRF電源(不図示)に接続されている。相互に貫通するループDCh314は、機能的に2つのセクション、外部セクション316と内部セクション318に分けられる。内部セクション318は、エントリーポート308を介してPCh302に挿入される一方、外部セクション316は、PCh302の外部にとどまる。外部セクション316は、プラズマ315を生成する場所である一方、内部セクション318は、プラズマ315がPCh302に放出される場所である。プラズマ315は、複数の矢印324で示すように、DCh314の周りに閉ループを形成する。DCh314は、複数の電気的に絶縁されたセクション(不図示)を有し、各電気的に絶縁されたセクションは、隣り合う電気的に絶縁されたセクションと絶縁ガスケットを介して連結されている。DCh314のエントリーポート308に挿入されている部分は、テフロン(登録商標)リングでシールしてもよい(不図示)。
【0042】
DCh314は相互に貫通する円形であり、図3Bでさらに説明する。この相互に貫通する円形は、大口径配管328に挿入した小口径配管330を具備する。大口径配管328は、実質的に対象物306を取り囲む円形セクション332を有する。円形セクション332の直径は、矢印326Aで示すように貫通領域に至るまで一定であり、そこで、円形セクション332の直径は、小口径配管330と実質的に同じになるよう縮められ、まっすぐな小口径配管334として示した図3Aのようになる。この点において、円形セクション332は、図3Aにおいて直線形状の小口径配管334として示した通り、大口径チューブ328を貫通する。同時に、小口径配管334と小口径配管330とは、プラズマ315が生成される、方形の外部セクション316を形成する。図3Aに示す通り、貫通領域326Bで、小口径配管330は、大口径配管328に挿入される。複数の磁気鉄心310は、外部セクション316中の小口径配管330の周りに設けられる。円形セクション332に沿って、DCh314は、プラズマ315をPCh302内に放出して対象物306に蒸着させるために複数の開口320を有する。図3Aに示す通り、複数の開口320の各々から、それぞれプルーム322の形でプラズマ315をPCh302内に放出する。複数の開口320は、実質的に複数の開口138(図1A及び図1B)に類似し、開口に挿入するスリーブ(不図示)を具備することができ、対象物306に向けられた各スリーブはノズル(不図示)としての機能を持つ。複数の開口320は、複数の開口320から放射されたプラズマ315が対象物306上に均等に蒸着するよう、円形セクション332の周りに実質的に等間隔に配置されている。閉ループDCh130(図1A及び図1B)及びスプリット・ループDCh214(図2A)と比較すると、相互に貫通するループDCh314は、円形をしており対象物306の周りに位置しているので、対象物306上にプラズマ315を、より均等に放散させ蒸着させることができる。相互に貫通するループDCh314のもう1つの利点は、2つではなく1つのエントリーポート308を有することである。
【0043】
図3B、3D、4A、及び4Bに示す通り、DCh314の相互に貫通する形状は、種々の形に変形することができ、したがって、PCh302中の対象物306の種々の大きさ、形、配置に対応することができる。例えば、円形セクション332は、(図3Dに示すように)方形又は長方形とすることができ、小口径配管330(すなわち、外部セクション316)は、円形又は6角形にすることができる。円形セクション332は、(図4A及び図4Bに示すように)直線形状にすることもできる。
【0044】
ここで、図3Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、図3Aのシングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システムの相互に貫通するループ構造の、全体として参照番号350で示した、簡略化した概略図である。相互に貫通するループ構造350は、ループセクション352A及び352B、及び、相互に貫通するセクション354を有する。プラズマ(不図示)は、複数の矢印356で示すように相互に貫通するループ構造350内のあらゆる場所に存在し、閉ループを形成している。相互に貫通するセクション354には、小口径配管358及び大口径配管360が含まれる。プラズマは、ループセクション352Aの周囲に存在すると共に、小口径配管358内にも存在する。プラズマは、小口径配管358に沿って存在すると共に、ループセクション352B内にも存在する。プラズマは、ループセクション352A内になるように大口径配管360内にも存在する。シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システム(不図示)中の、1つのループセクション352A及び352BはPCh(不図示)の内部にあり、他のループセクションはPChの外部にある。PChの外部にあるループセクションとは、透磁性の高い磁気鉄心(不図示)がそのループセクションの周りに設置されているようなところである。相互に貫通するセクション354は、実質的に、接続フランジ357を介してエントリーポートからPChに挿入した相互に貫通するループ構造350の一部となる。ループセクション352A及び352Bは相互に貫通する点362A及び362Bで相互に貫通するセクション354に入る。相互に貫通する点362Bは、破線の円364で区分してあり、相互に貫通する点362Bの拡大図は図3Cに詳細が示されている。小口径配管358は、実質的に、大口径配管360内に位置する。大口径配管360は、実質的に、小口径配管358を取り囲む。大口径配管360の直径は、プラズマが大口径配管360を通ってループセクション352Bからループセクション352Aに自由に存在することができるように、実質的に、小口径配管358の直径より大きい。小口径配管358の中心軸(不図示)は、大口径配管360の中心軸と一致させてはならない。一般に、小口径配管358の中心軸は、大口径配管360の中心軸とはずれている。また、小口径配管358及び大口径配管360中のキャリアの経路は同様にすべきである。このように、大口径配管360の直径は、実質的に、小口径配管358の2倍となる。一般に、小口径配管及び大口径配管358及び360の中心軸は平行であるが、小口径配管及び大口径配管358及び360は、同じ長さ方向の中心軸を有する必要はない。例えば、小口径配管358を、実質的に、大口径配管360の内壁(付番なし)の近傍(図3Bには不図示)に置くことができる。そのような実施形態とすることで、大きな自由空間(不図示)が、大口径配管360の内壁(付番なし)の反対側にできるので、相互に貫通するループ構造350内にガスの長い平均自由行程を確保することができる。
【0045】
ここで、図3Cを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号362Bで示した、図3Bの相互に貫通するサーキュラー・ループ構造を拡大した概略図である。図3Bと図3Cとの間で等価な構成要素は同一の番号で示した。図示の通り、小口径配管358は大口径配管360に挿入されている。プラズマ(不図示)は、矢印366Aで示すように小口径配管358全体に存在し、そして、矢印366Bで示すように大口径配管360全体に存在する。図3Bの相互に貫通するサーキュラー・ループ構造は、図3Bの相互に貫通するサーキュラー・ループ構造に組み立てられる複数の異なるチューブセクションにより、実質的に製造することができる。例えば、図3Cに示す通り、小口径配管358は第1のチューブ371Aと第2のチューブ371Bとで造られ、大口径配管360は第3のチューブ371Cで造られる。チューブセクション371Dは、第2のチューブ371Bの他端を表す。各チューブは、絶縁ガスケットを介して接続した隣接するチューブセクションと電気的に絶縁して接続される。図3Cにおいて、第1のチューブ371Aは、第2のチューブ371Bと絶縁ガスケット370を介して接続されている。絶縁ガスケット370は、第1のチューブ371Aと第2のチューブ371Bとを接続すると同時に、第1のチューブ371Aを第2のチューブ371Bから電気的に分離する。絶縁ガスケット370は、リング形状である。小口径配管358は大口径配管360に挿入して接続されシール368で密封される。シール368は絶縁材料で造られリング形状に造られる。シール368は、大口径配管360と小口径配管358とを密封する必要はない。シール368は、チューブセクション371Dと第3のチューブ371Cとを接続する一方、チューブセクション371Dと第3のチューブ371Cとを密封する。シール368は、また、チューブセクション371Dを第3のチューブ371Cから電気的に絶縁する。本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態では、シール368は省略され(不図示)、小口径配管358は、大口径配管360に溶接されることに留意すべきである。この実施形態では、第2のチューブ371Bが第3のチューブ371Cに接触しないように、第1のチューブ371Aは、第3のチューブ371Cに溶接される。このように、第2のチューブ371Bは絶縁ガスケット370を介して第1のチューブ371Aと接続されているが、小口径配管358とは電気的に絶縁されている。
【0046】
図3Cには、小口径配管358及び大口径配管360の二重壁水冷構造が示される。破線の楕円372Aは、二重壁水冷構造の小口径配管358を示し、破線の楕円372Bは、二重壁水冷構造の大口径配管360を示す。破線の楕円372Aで示すように、小口径配管358の壁には、第1の内側チューブ374Aと第1の外側チューブ374Bとが含まれる。第1の内側チューブ374Aと第1の外側チューブ374Bとの間に、水のような冷却液376が入っている。同様に、破線の楕円372Bで示すように、大口径配管360の壁には、第2の内側チューブ378Bと第2の外側チューブ378Aとが含まれる。第1の内側チューブ374A、第1の外側チューブ374B、第2の内側チューブ378B、及び、第2の外側チューブ378Aは、それぞれしっかりした壁となっている。第1の内側チューブ374Aと第1の外側チューブ374Bとの間の隙間(付番せず)は、第2の内側チューブ378Bと第2の外側チューブ378Aとの間の隙間(付番せず)と同様に空洞となっている。第2の内側チューブ378Bと第2の外側チューブ378Aとの間に、水のような冷却液376が入っている。第1の内側チューブ374A、第2の内側チューブ378B、第1の外側チューブ374B、及び、第2の外側チューブ378Aの各々は、ステンレス鋼で造られている。小口径配管358と大口径配管360とがその一部を構成するシングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するサーキュラー・ループ・プラズマ発生システム(不図示)から、冷却液376及び380の注入と除去のために、小口径配管358と大口径配管360との間に追加のチューブ(不図示)を含めることができる。
【0047】
ここで、図3Dを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号400で示した、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム(以降、相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400と称す)は、PCh402、トランスフォーマー型プラズマトロン404、及び、対象物406を具備する。PCh402は、高真空状態に維持される一方、トランスフォーマー型プラズマトロン404は、低真空状態に維持される。相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400は、実質的に、上記のプラズマ発生システム、特に、相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300(図3A)と類似しており、これらのプラズマ発生システムと同じ構成要素を多く含んでいる。一般に、相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400と相互に貫通するサーキュラー・プラズマ発生システム300との間の主な違いは、PChに挿入されたトランスフォーマー型プラズマトロンの形状である。開示した技術をうまく説明するために、相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400と、先に説明したプラズマ発生システムとの間で類似する、対象物ホルダー、対象物ヒーター、シャッター、対象物操作器、複数のクヌーセンセル蒸発源、電子ガン蒸発器、ガス入口リーク弁、キャパシタンス圧力ゲージ、のぞき窓、トランスフォーマー・リング鉄心、等、のような、構成要素については省略する。
【0048】
PCh402は、シングル・エントリーポート412を有する。トランスフォーマー型プラズマトロン404は、複数の透磁性の高い磁気鉄心408、複数の導体410、接続フランジ414、相互に貫通するループDCh416(以降、「相互に貫通するループDCh」又は単に「DCh」と称する)、及びプラズマ418を具備する。プラズマ418は、複数の矢印420で示すようにDCh416の内部に存在する。DCh416はまた、複数の絶縁ガスケット428A、428B、428C、428D、及び428Eを具備する。透磁性の高い磁気鉄心408は、DCh416の周囲に設置される。複数の導体410は、透磁性の高い磁気鉄心408のそれぞれに接続されている(図3Dには明確に記載されていない)。複数の導体410は、インピーダンスマッチング回路網と共にRF電源(不図示)に接続されている。相互に貫通するループDCh416は、機能的に2つのセクション、外部セクション422と内部セクション424とに分けられる。内部セクション424は、エントリーポート412を介してPCh402に挿入される一方、外部セクション422は、PCh402の外部にとどまる。外部セクション422は、プラズマ418を生成する場所である一方、内部セクション424は、プラズマ418がPCh402に放出される場所である。DCh416には、電気的に絶縁されたセクション426A、426B、426C、426D、及び426Eが含まれる。電気的に絶縁されたセクション426A〜426Eは、それぞれ、絶縁ガスケット428A〜428Eを介して隣接する電気的に絶縁されたセクションと接続されている。DCh416のエントリーポート412に挿入されている部分は、接続フランジ414を用いてシールされ、接続フランジ414は銅ガスケット(不図示)を有する標準的な高真空フランジCF100とすることができる。絶縁ガスケット(不図示)は、フランジ414とエントリーポート412との間に設置することができる。銅ガスケットは、PCh402と共に接地することができる。接続フランジ414は、電気的に絶縁されたセクション426C及び426dをエントリーポート412から電気的に絶縁するために、テフロン(登録商標)ガスケットと一緒にすることができる。絶縁ガスケット428A、428B、及び428Cについては図7Aを参照しながら以下に説明し、絶縁ガスケット428D、及び428Eについては図7Bを参照しながら以下に説明する
DCh416は、相互に貫通する矩形を有しており、図3Eにおいて、以下にさらに説明する。破線の楕円436で図3Dに示した相互に貫通する矩形の一部を示す。相互に貫通する矩形には、大口径配管432に挿入した小口径配管434が含まれる。大口径配管432は、小口径配管434が挿入されている区画セクション438を有する。大口径配管432は、内部セクション424内に示すような、対象物406を実質的に取り囲む方形セクション(付番せず)を有する。図3Dに示す通り、区画セクション438において、小口径配管434が大口径配管432に挿入されている。複数の磁気鉄心408は、外部セクション422の、実質的に、電気的に絶縁されたセクション426Eの周りに設置されている。大口径配管432の直径は、大口径配管432中のプラズマ418の平均自由行程が、実質的に、小口径配管434中のプラズマ418の平均自由行程と同様になるように、小口径配管434の直径の約2倍となっている。小口径配管434が大口径配管432の中心から外れているならば、例えば、電気的に絶縁されたセクション426Cが同じ側から(図3Dでは不図示)電気的に絶縁されたセクション426に出入りするようなとき、このような実施形態が可能となる。図3Dは、電気的に絶縁されたセクション426Cが互いに反対側から電気的に絶縁されたセクション426Dに出入りすることが示されている。
【0049】
電気的に絶縁されたセクション426A〜426Eの各々は、図3Cに示すように、二重壁水冷のステンレス鋼のチュービングにより造られる。一般に、電気的に絶縁されたセクション426A〜426Dを造るチュービングの二重壁の間を流れる、水のような冷却液で、電気的に絶縁されたセクション426A〜426Dを冷却する。電気的に絶縁されたセクション426Dに対して、絶縁ガスケット428Dに隣接する電気的に絶縁されたセクション426Dに連結された第1の入口管(不図示)を介して二重壁の間に冷却液が導かれる。この冷却液は、二重壁の間を通り第1の出口管(不図示)を通って区画セクション438で、電気的に絶縁されたセクション426Dから(温まった冷却液として)出てゆく。第1の出口管は、直径6mmのステンレス鋼の管とすることができる。第1の出口管は、電気的に絶縁されたセクション426Dの内壁(付番せず)に接続され、実質的に、フランジ414に隣接するPCh402の外側の電気的に絶縁されたセクション426Dから出てゆく。第1の出口管は、電気的に絶縁されたセクション426Cと接触することはない。第1の出口管が電気的に絶縁されたセクション426Dから一旦出ると、プラスチックのチュービングに接続することができる。電気的に絶縁されたセクション426Cに対して、矢印435で示された、PCh402の外側の電気的に絶縁されたセクション426Dと電気的に絶縁されたセクション426Cとの継ぎ手に隣接する電気的に絶縁されたセクション426Cと接続された第2の入口管(不図示)を通って、冷却液が二重壁の間に導かれる。この冷却液は、二重壁の間を通り、矢印437で示された、PCh402の内側の電気的に絶縁されたセクション426Dと電気的に絶縁されたセクション426Cとの継ぎ手に隣接する第2の出口管(不図示)を通って、電気的に絶縁されたセクション426Cから(温まった冷却液として)出てゆく。第2の出口管は、直径6mmのステンレス鋼の管とすることができる。第2の出口管は、電気的に絶縁されたセクション426Cの内壁(付番せず)に接続され、実質的に、接合部435に隣接するPCh402の外側の電気的に絶縁されたセクション426Cから出てゆく。第2の出口管が電気的に絶縁されたセクション426Cから一旦出ると、プラスチックのチュービングに接続することができる。これは、図3Eに詳細が示されている。第2の出口管は、電気的に絶縁されたセクション426Cを横切って同じ電位でなければならないことに留意すべきである。
【0050】
電気的に絶縁されたセクション426A及び426Bに対して、入口管及び出口管(不図示)は、それぞれ、PCh402の壁を貫通する絶縁フィードトラス(feed−thrus)(不図示)を通ってこれらの電気的に絶縁されたセクションの二重壁の間に導かれ二重壁から出てゆく。絶縁フィードトラス(feed−thrus)は、電気的に絶縁されたセクション426A及び426Bの自然電位を保持するために必要とされる。これらの入口管及び出口管は、PCh402内の大口径配管432を機械的に支えるために用いることができる。PCh402外側で、これらの入口管及び出口管をプラスチックのチュービングに接続することができる。絶縁ガスケット428Bに隣接する電気的に絶縁されたセクション426Bと結合している第3の入口管(不図示)を通って電気的に絶縁されたセクション426Bの二重壁の間に冷却液が導かれる。冷却液は、二重壁の間を通り、絶縁ガスケット428Aに隣接する電気的に絶縁されたセクション426Bから第3の出口管(不図示)を通って(温まった冷却液として)出てゆく。第3の出口管は直径6mmのステンレス鋼の管とすることができる。冷却液は、絶縁ガスケット428Cに隣接する電気的に絶縁されたセクション426Aに接続された第4の入口管(不図示)を通って電気的に絶縁されたセクション426Aの二重壁の間に導かれる。この冷却液は、二重壁の間を通り、第4の出口管(不図示)を通って絶縁ガスケット428Aに隣接する電気的に絶縁されたセクション426Aから(温まった冷却液として)出てゆく。第4の出口管は、同様に、直径6mmのステンレス鋼の管とすることができる。冷却液は、通例、電気的に絶縁されたセクションの二重壁の間に、そのセクションのチューブの最も低い位置から導入され、そのセクションのチューブの最も高い位置から排出されるとともに、冷却液中に形成される気泡の量を最小限にすることに留意すべきである。
【0051】
フランジ414は大口径配管432に接続され、それにより、エントリーポート412を介して、PCh402とトランスフォーマー型プラズマトロン404とを密封する。フランジ414は、PCh402とともに電気的に接地することができ、これにより、エントリーポート412とフランジ414とは、一般的な銅ガスケットで密封される。エントリーポート412、フランジ414、及び大口径配管432の寸法の一例として、エントリーポート412が約100mmであるならば、エントリーポート412に簡単に挿入できるように、大口径配管432は、約80〜90mmの直径とすることができる。このような寸法で、フランジ414は、当業者に知られた、標準のCF100フランジで実施可能である。PCh402内の小口径配管434の端部と区画セクション438との間の長さは約20mmとすることができる。絶縁ガスケット428B及び428Eと絶縁ガスケット428C及び428Dとにより、電気的に絶縁されたセクション426C及び426Dを電気的に分離する。
【0052】
内部セクション424において、DCh416は、プラズマ418をPCh402に放出し対象物406に蒸着するための複数の開口430を有する。複数の開口430のそれぞれからプルーム(不図示)の形でPCh402にプラズマ418を放出する。複数の開口430は、実質的に複数の開口138(図1A及び図1B)に類似し、開口に挿入するスリーブ(不図示)を具備することができ、対象物406に向けられた各スリーブはノズル(不図示)としての機能を持つ。複数の開口430は、複数の開口430から放射されたプラズマ418が対象物406上に均等に蒸着するよう、矩形セクションの周りに実質的に等間隔に配置されている。大口径配管432及び小口径配管434は、対象物406に平行とすることができる。大口径配管432及び小口径配管434は、対象物406に対して垂直にすることも含めて、任意の角度にすることもできる。一般に、図3D中の対象物406は、確実にプラズマ418が対象物406上に均等に蒸着するように、約125mm以上の幅又は長さを持つことはない。相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400の寸法は、対象物にプラズマ418を均等に蒸着させるための手段を付加することを条件に、125mm以上の長さ又は幅を有する対象物に合わせて大きくすることができる。
【0053】
閉ループDCh130(図1A及び図1B)と比較すると、相互に貫通するループDCh416は、方形であること及び対象物406の周りに設置していることから、対象物406にプラズマ418をより均一に放出し蒸着させることができる。相互に貫通するループDCh314(図3A)及び相互に貫通するループDCh416は、貫通の形状及び構造がPChへの単一のエントリーポートしか必要としないので、トランスフォーマー型プラズマトロン304(図3A)及び404からPCh302(図3A)及びPCh402への出入りが簡略化されていることにも留意すべきである。上述の通り、本願明細書に開示した技術によれば、内部セクション424及び外部セクション422は種々の形状とすることができる。例えば、外部セクション422は、円形又は楕円形とすることができる。加えて、本願明細書に開示した技術によれば、内部セクション424と外部セクション422とは、お互いに種々の角度で配置することができる。例えば、外部セクション422と内部セクション424とは、相互に直角に配置することができる。内部セクション424に対する、外部セクション422の具体的な形状、構造、及び角度は設計時の選択事項であり、当業者には自明のことである。
【0054】
ここで、図3Eを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号436で示した、図3Dの相互に貫通する矩形ループ構造を拡大した概略図である。図3Dと図3Eとの間で等価な構成要素は同一の番号で示した。特に、図3Eは、矢印435で表示した、PCh402の外部の電気的に絶縁されたセクション426Cと電気的に絶縁されたセクション426Dとの継ぎ手部分を拡大したものを示す。図3Eに示す通り、プラズマ418は、複数の矢印420で示す通り大口径配管432及び小口径配管434の中に存在する。小口径配管434は、小口径配管434の外壁と大口径配管432の内壁との間の最大間隔と実質的に同じ直径を有する。小口径配管434と大口径配管432とは、必ずしも中心軸を同じにする必要はない。図示の通り、絶縁ガスケット428Eは電気的に絶縁されたセクション426Cを電気的に絶縁されたセクション426Eと接続させると同時に、これらのセクションを電気的に絶縁する。絶縁ガスケット428Eはリング形となっている。小口径配管434の端部425も、図3Eに示されている。図3Eは、冷却液を小口径配管434の二重壁(不図示)に導く入口管444を表示している。入口管444は、実質的に、小口径配管434を横切る電圧と同じ電圧を有する。入口管444は、小口径配管434の二重壁に入る。入口管444は、例えば、6mmのステンレス鋼管とすることができる。図3Eは、温まった冷却液を小口径配管434の他端(付番せず)から排出させるための出口管440も表示している。出口管440は、小口径配管434の内壁(付番せず)に隣接して設置される。出口管440は、排出管442に付着させることができる。出口管440は通常ステンレス鋼で造られ、排出管442はプラスチックで作られる。
【0055】
図3Eは、電気的に絶縁されたセクション426Cと電気的に絶縁されたセクション426Dとが、2つのセクションが密封されさらに電気的に絶縁されている状態で、接続されていることも示している。大口径配管432は、この配管に取り付けた円形フランジ446Aを有する。小口径配管434、この配管に取り付けた円形フランジ446Bを有する。円形フランジ446Aは、ネジ穴とテノン・トゥース(tenon tooth)452Aとを有する。円形フランジ446Bは、ネジ穴と、ほぞ穴452Bとを有する。テノン・トゥース(tenon tooth)452Aと、ほぞ穴452Bとはそれぞれ実質的に円環形状をしている。ほぞ穴452Bは、実質的に、テノン・トゥース(tenon tooth)452Aと同様の形をしている。円形フランジ446Aは、円形フランジ446B及び446Aのネジ穴に挿入するネジ又はボルト(不図示)により、円形フランジ446Bと結合される。テフロン(登録商標)ガスケット450は、テノン・トゥース(tenon tooth)452Aとほぞ穴452Bとがテフロン(登録商標)ガスケット450しっかりつかむように、円形フランジ446Aと円形フランジ446Bとの間に配置される。テフロン(登録商標)ガスケット450は、リング形状とすることができる。ネジにより、円形フランジ446Aと円形フランジ446Bとの間のテフロン(登録商標)ガスケット450を締め付け圧縮し、小口径配管434を大口径配管432に接続し、密着させる。各々が切断用電気接点を有する絶縁エポキシブッシング(不図示)を、大口径配管432を小口径配管434から電気的に分離するために、ネジ穴に設置する。
【0056】
ここで、図4Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号480で示した、シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。シングルポート・サイドエントリーの相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480(以降、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480と称す)は、PCh482、トランスフォーマー型プラズマトロン484、及び対象物486を具備する。PCh482は高真空状態に維持される一方、トランスフォーマー型プラズマトロン484は、低真空状態に維持される。相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480は、実質的に、上述のプラズマ発生システムに類似し、これらのプラズマ発生システムと多くの同じ構成要素を有する。一般に、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480と上述のプラズマ発生システムとの間の主な違いは、PChに挿入するトランスフォーマー型プラズマトロンの形状である。開示する技術の説明を分かりやすくするために、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480と既に説明したプラズマ発生システムとの間で類似する、対象物ホルダー、対象物ヒーター、対象物操作器、複数のクヌーセンセル蒸発源、電子ガン蒸発器、ガス入口リーク弁、キャパシタンス圧力ゲージ、のぞき窓、磁石リング電流ゲージ、その他のような構成要素の説明は省略した。対象物486は、トランスフォーマー型プラズマトロン484の縦方向軸(不図示)に対してPCh482で垂直に対象物486が設置されることを除いて、対象物108と実質的に類似する。以下に示す通り、PCh482中の対象物は、トランスフォーマー型プラズマトロン484の縦方向軸と平行に設置することもできる。このことは、点線で表示した対象物487で示している。一般に、対象物486又は対象物487のどちらか一方だけがPCh482内に存在する。
【0057】
PCh482は単一のエントリーポート502を有する。トランスフォーマー型プラズマトロン484は、複数の透磁性の高い磁気鉄心488、複数の導体490、相互に貫通するシャフトDCh492(以降、「相互に貫通するシャフトDCh」又は単に「DCh」と称す)、及びプラズマ494を具備する。プラズマ494は、複数の矢印496で示すように、DCh492内部に存在し、閉ループを形成する。DCh492はまた、複数の絶縁ガスケット500A及び500B、テフロン(登録商標)ガスケット503、及びフランジ504を具備する。複数の導体490は、透磁性の高い磁気鉄心488のそれぞれに接続されている(図4Aには明示されていない)。複数の導体490は、RF電源(不図示)に接続されている。相互に貫通するシャフトDCh492は、機能的に2つのセクション、外部セクション(不図示)と内部セクション(不図示)とに分けられる。内部セクションは、エントリーポート502を通ってPCh482に挿入される一方、外部セクションは、PCh482の外側にとどまる。外部セクションは、プラズマ494が生成される場所である一方、内部セクションは、プラズマ494がPCh482内に放出される場所である。DCh492には、複数の電気的に絶縁されたセクション498A、498B、及び498Cが含まれる。電気的に絶縁されたセクション498A、498B、及び498Cは、絶縁ガスケット500A及び500B及びテフロン(登録商標)ガスケット503を介して相互に接続されている。DCh492のエントリーポート502に挿入されている部分は、ステンレス鋼で造ることができるフランジ504を用いて密封されている。フランジ504、実質的に円環形状である。絶縁ガスケット500A及び500Bについては、以下に図7Bを参照して説明する。PCh482とDCh492とは、エントリーポート502と接続されているだけであり、ここがチャンバー同士で接続されている唯一の場所なので、電気的切断装置は必要でない。したがって、標準的な高真空ガスケット(不図示)をエントリーポート502とフランジ504との間に置くことができる。エントリーポート502は、ステンレス鋼で造られた標準的な高真空CF100とすることができる。
【0058】
DCh492は、相互に貫通するシャフト形状を有し、実質的に、電気的に絶縁されたセクション498B及び498Cで表される。相互に貫通するシャフトの形態には、大口径配管508に挿入した小口径配管506が含まれる。小口径配管506及び大口径配管508の各々は、間にテフロン(登録商標)ガスケット503を置いたフランジ(不図示)を有し、電気的に小口径配管506と大口径配管508とを絶縁すると同時に密封する。複数の磁気鉄心が外部セクションの小口径配管506の周り、多くは、電気的に絶縁されたセクション498Aの周りに設置される。大口径配管508の直径は、小口径配管506大口径配管508の直径の約2倍であり、大口径配管508中のプラズマ494の平均自由行程が小口径配管506中のプラズマ494の平均自由行程と実質的に同様となるように、2つの配管の中心軸は相互にずれがあり平行である。一般に、小口径配管506の直径は、小口径配管506の外壁と、大口径配管508の内壁との最大間隔と実質的に同じである。このことは、2つの配管を種々の形態にすることにより達成することができる。上述の通り、電気的に絶縁されたセクション498A、498B、及び498Cの各々は、上述の図3Cに示す通り、二重壁水冷のステンレス鋼管により造られている。小口径配管506は、図3Eで説明したのと同様に小口径配管506に冷却液を導入・排出するために、例えば6mm径の薄いステンレス鋼管(不図示)を具備することができることに留意すべきである。この管は絶縁ガスケット500Aに隣接する小口径配管506に出し入れさせてもよい。この管は小口径配管506と同じ電位を有することに留意すべきである。大口径配管508は、上述の図3Eに示したのと同様に、大口径配管508に冷却液を導入・排出するために、例えば6mm径の薄いステンレス鋼管(不図示)を具備することができる。この管はテフロン(登録商標)ガスケット503に隣接する大口径配管508に出し入れさせてもよい。この管は大口径配管508と同じ電位を有することに留意すべきである。
【0059】
大口径配管508のシャフト部分に沿って、DCh492は、プラズマ494を対象物486に蒸着させるためにPCh482に放出するための複数の開口510を具備する。代替的に、DCh492は、ラズマ494を対象物487に蒸着させるためにPCh482に放出するための複数の開口511(点線で示した)を具備することができる。複数の開口510の各々から、プラズマ494がPCh482に、プルーム512の形で放出される。複数の開口510及び511は、実質的に、複数の開口138(図1A及び図1B)に類似し、開口に挿入するスリーブ(不図示)を具備することができ、対象物486又は対象物487に向けられた各スリーブはノズル(不図示)としての機能を持つ。プラズマ494は、電気的に絶縁されたセクション498A全体に存在し、小口径配管506中にも存在する。プラズマ494は、セクション514中に示すように、小口径配管506の開口中にも存在するので、プラズマ494は、外部セクションと共に大口径配管508中(すなわちPCh482の外側の領域)にも存在する。上述の通り、電気的に絶縁されたセクション498B及び498Cは、電気的に絶縁されたセクション498Aに対して平行又は垂直にすることができる。セクション514において、小口径配管506から、複数の開口510が位置する大口径配管508の壁までの距離は約40mmである。
【0060】
閉ループDCh130(図1A及び図1B)、スプリット・ループDCh214(図2A)、相互に貫通するループDCh314(図3A)、及び相互に貫通するループDCh416(図3D)と比較すると、相互に貫通するシャフトDCh492では、相互に貫通するシャフトDCh492の中央軸に対して平行又は垂直な対象物にプラズマを蒸着させることができる。加えて、相互に貫通するループDCh314や相互に貫通するループDCh416のように、相互に貫通するシャフトDCh492では、単一のエントリーポートをPChに挿入する相互に貫通する形状の長さゆえに、トランスフォーマー型プラズマトロン484のPCh482の出し入れが容易になる。先に説明したDChに対する相互に貫通するシャフトDCh492の他の1つの利点は、小口径配管506と大口径配管508の形と位置ゆえに、PCh482に放出されたプラズマ成分が、寄生磁界を伴わないであろうことである。寄生磁界は、DCh内部セクションの内側で電界が変化することにより、複数の開口を通ってDChからPChに放出されるプラズマを伴う。変動する磁界は、DCh内部での磁気誘導の結果であろう。DCh492内では、ディスチャージチャンバーの構造に起因して、大口径配管508中の磁気誘導が小口径配管506中での磁気誘導を実質的に打ち消すので、PCh482内では寄生磁界が検出されない。さらに、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480の寸法は、対象物に蒸着するプラズマ494を均一にするための付加的な対策が採られることを条件に、125mm以上の長さ又は幅の対象物を受け入れるように大きくすることができる。例えば、対象物に蒸着するプラズマ494を均一にするために、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480を回転させ揺り動かすために、エントリーポート502にベローズ(不図示)を含ませることができる。もう1つの例として、対象物に蒸着するプラズマ494を均一にするために、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480を大口径配管508の軸の周りを調和的に揺らすこともできる。
【0061】
ここで、図4Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号540で示した、ダブルポート・サイドエントリーの相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。ダブルポート・サイドエントリーの相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540(以降、相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540と称す)は、PCh542、トランスフォーマー型プラズマトロン544、及び対象物546を具備する。相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540は、2つのエントリーポートを介して、セクション570A及び570Bで示される相互に貫通するシャフトセクションをトランスフォーマー型プラズマトロン544が有する点を除いて、実質的に、相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480(図4A)に類似する。相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540における他の構成要素及び状況は、実質的に相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480と同様である。説明を分かりやすくするために、相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540と先に説明したプラズマ発生システムとで類似する構成要素については、省略した。
【0062】
PCh542は2つのエントリーポート558を有する。トランスフォーマー型プラズマトロン544は、複数の透磁性の高い磁気鉄心548、複数の導体550、相互に貫通するシャフトDCh552(以降、「相互に貫通するシャフトDCh」又は単に「DCh」と称す)、及び、プラズマ554を具備する。プラズマ554は、複数の矢印556に示すように、DCh552中に存在し、閉ループを形成する。DCh552は、フランジ560と複数の絶縁ガスケット564A、564B、及び564Cも具備する。DCh552は、複数の大口径配管565、複数の小口径配管567、複数の第1の接続チューブ563、及び第2の接続チューブ569を有する。透磁性の高い磁気鉄心548はDCh552の周りに置かれ複数の導体550と接続されている。複数の第1の接続チューブ563の周りに透磁性の高い磁気鉄心548をおくことで、矢印556で示すように(先に上述した本願明細書に開示した技術の実施形態と比較したとき)、DCh552中に形成された比較的長い閉ループの周りにプラズマ554を容易に発生させることができる。相互に貫通するシャフトDCh552は、機能的に2つのセクション、外部セクション(不図示)及び内部セクション(不図示)に分割される。内部セクションは2つのエントリーポート558を通してPCh542に挿入される一方、外部セクションはPCh542の外部に残される。内部セクションは、複数の大口径配管565と複数の小口径配管567とを有する。外部セクションは、複数の第1の接続チューブ563と第2の接続チューブ569とを有する。DCh552は、複数の電気的に絶縁されたセクション562A、562B、及び562Cを具備する。電気的に絶縁されたセクション562A〜562Cは、絶縁ガスケット564A〜564Cを介してお互いに結合されている。DCh552の、2つのエントリーポート558に挿入された部分は、ステンレス鋼で造ることのできるフランジ560によりシールされている。相互に貫通するシャフト・プラズマ発生システム480(図4A)とは異なり、相互に貫通するダブルシャフト・プラズマ発生システム540の1つは、PCh542から電気的に遮断しておかなければならない。これは、フランジ560でエントリーポート558と結合するために用いるうちの1つのエントリーポート558のネジ穴に設置した、テフロン(登録商標)ガスケット(不図示)及びエポキシブッシング(不図示)を用いて行うことができる。絶縁ガスケット564A〜564Cは図7Bを参照しながら以下に説明する。複数の第1の接続チューブ563はそれぞれ複数の大口径配管565に溶接されている。第1の接続チューブ563は絶縁ガスケット564Cを介して連結されている。小口径配管567は、絶縁ガスケット564A及び564Bを介して第2の接続チューブ569と結合されている。絶縁ガスケット(不図示)は、複数の矢印571で示すように、複数の小口径配管567が複数の大口径配管565に挿入されているところを結合するために用いられる。
【0063】
DCh552は、実質的に、電気的に絶縁されたセクション562B及び562Cで表される相互に貫通するシャフトが二重になっているような形態をしている。相互に貫通するシャフト形態の各々には、図4Aに示した相互に貫通するシャフト形態と同様に、大口径配管(付番せず)に挿入した小口径配管(付番せず)が含まれる。大口径配管の直径は、大口径配管及び小口径配管中のプラズマ成分の平均自由行程が、両配管中で実質的に同じようになるような直径である。上述の通り、電気的に絶縁されたセクション562A〜562Cは、図3Cにより上述した通り、二重壁水冷ステンレス鋼管で造られる。大口径配管のシャフト部分に沿って、DCh552は、対象物546に蒸着させるためにプラズマ554をPCh542に放出するための複数の開口566を有する。複数の開口566の各々からそれぞれプルーム568の形状でPCh542にプラズマ554が放出される。複数の開口566は、実質的に、複数の開口138(図1A及び図1B)に類似し、開口に挿入するスリーブ(不図示)を具備することができ、対象物546に向けられた各スリーブはノズル(不図示)としての機能を持つ。上述の通り、電気的に絶縁されたセクション562A〜562Cは、お互いに並行とすることができ、又は、お互いに垂直とすることも含めてお互いにどのような角度とすることもできる。
【0064】
二重の相互に貫通するシャフト構造を持つため、相互に貫通するシャフトDCh552は、上述のディスチャージチャンバーと比較して、大きな対象物に均一にプラズマ554を蒸着させることができる。加えて、二重の相互に貫通するシャフト構造なので、DCh130(図1A)やDCh214(図2Aと比べて)、PChに挿入されるDCh130及びDCh214はPCh内部でも連結しなければならないので、ダブルエントリー・トランスフォーマー型プラズマトロンをPChに簡単に出し入れすることができる。また、相互に貫通するシャフトDCh492(図4A)と同様に、DCh552の内部セクションの形状により、PCh542内の誘導磁界が削減されるので、DCh552からPCh542に放出されるプラズマ成分は、寄生磁界を生じさせない。さらに、DCh552は、寄生磁界の影響を受けないので2つの平行シャフトからプラズマ554が対象物546に均等に吹き付けられるので、DCh552は対象物546に噴霧されたプラズマ554の均一性を向上させることができる。
【0065】
ここで、図5Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号600で示した、ダブルポート・トップエントリー・トロイダル・プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。ダブルポート・トップエントリー・トロイダル・プラズマ発生システム600(以降、トロイダル・プラズマ発生システム600と称す)は、DCh602、PCh604、複数の透磁性の高い磁気鉄心616、及び導体617を具備する。トロイダル・プラズマ発生システム600は、一般にPCh604内に挿入されているDCh602の形状を除いて、図2Aについて上述したプラズマ発生システムと実質的に類似している。上述の通り、PCh604は、高真空状態を維持する高真空処理チャンバーである。PCh604の外部の空間は、図5Aでは空間603で示され、特定の真空状態に限定されるものではなく、どのような圧力・温度であってもよい。一方、DCh602は一般に低真空かつ低電界状態に維持される。DCh602は、プラズマが生成される外部セクション605、プラズマが対象物に放出される内部セクション606、複数のフランジ623A及び623B、複数の絶縁ガスケット625A及び625B、及び複数の開口610を具備する。DCh602は、ガスを外部セクション605に導入するための入力バルブ(不図示)を具備することもできる。内部セクション606はトロイダルセクション608を有する。トロイダルセクション608は、外部セクション605に対して、実質的に垂直である。複数の開口610は、トロイダルセクション608の内側に沿って、実質的に等間隔になっている。PCh604は2つのエントリーポート622を有する。各エントリーポートはフランジ(詳細は示さず)として実現することができる。DCh602は実質的に閉ループをなす。導体617は、2つの端部618A及び618Bを有する。複数の透磁性の高い磁気鉄心616は、お互いに連結された外部セクション605の周りでループを形成している。導体617は複数の透磁性の高い磁気鉄心616のそれぞれに接続されている(詳細は示さず)。導体617の端部618A及び618Bの各々はRF電源(不図示)に接続されている。導体617は、複数の透磁性の高い磁気鉄心616の周りを実質的に複数回回るループとなっている。外部セクション605は、2つのセクションを電気的に絶縁する複数の絶縁ガスケット625A及び625Bを介して内部セクション606と接続されている。複数のフランジ623A及び623Bは、DCh602と連結されている。エントリーポート622は、複数の絶縁ガスケット620A及び620Bを介して複数のフランジ623A及び623Bと連結されており(下記、図5Bに示す)、これにより、DCh602をPCh604と結合する。複数の絶縁ガスケット620A及び620Bは、実質的に、DCh602とPCh604とを結合すると共に、DCh602をPCh604から電気的に分離する。複数の絶縁ガスケット620A及び620B及び625A及び625Bについては、さらに図7Bにて説明する。DCh602は、PCh604のエントリーポート622を通ってPCh604に挿入する。要素627は実質的にPCh604の天井を表す。この点において、DCh602はPCh604の上部からPCh604内に挿入される。PCh604はステンレス鋼で造ることができる。
【0066】
トロイダル・プラズマ発生システム600は、また、高真空ポンプ、対象物(図5Bに示す)、対象物ホルダー(図5Bに示す)、対象物ヒーター(図5Bに示す)、対象物シャッター、対象物操作器、少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源、及び電子ガン蒸発器(すべて不図示)のような、プラズマ発生システムに用いられるような、標準構成要素を具備することもできる。加えて、PCh604はさらに、圧力ゲージ、質量分析計、RHEEDツール(すべて不図示)、対象物移送機構、赤外線パイロメーター、蒸着制御装置を装備する膜厚モニター、イオン源、偏光解析器、及び複数のガス源(すべて不図示)を具備することができる。高真空技術で採用される他の構成要素もトロイダル・プラズマ発生システム600に含めることができる。
【0067】
トロイダル・プラズマ発生システム600は、以下に説明するようにトランスフォーマー・プラズマトロンの原理に基づきプラズマを発生させる。導体617は、トランスフォーマー・プラズマトロンの1次ループを形成し、DCh602内のプラズマは、トランスフォーマー・プラズマトロンの2次ループを形成する。RF電源は導体617に電力を供給する。電気が複数の透磁性の高い磁気鉄心616の周りにループを形成している導体617の部分を周回するので、動的磁界が複数の透磁性の高い磁気鉄心616の各々に誘起される。誘起された動的磁界は、同様に、外部セクション605に電圧を誘起する。外部セクション605における入力バルブ(不図示)からガス(不図示)が外部セクション605に導入される。外部セクション605に誘起された電圧が、実質的に導入されたガスを点火し、プラズマを形成させる。形成されたプラズマは、一連の矢印624で示したように、DCh602内で閉ループを形成する。上述の通り形成されたプラズマは、実質的に種々の異なるプラズマ成分を含む生のプラズマである。誘起された電圧により、形成されたプラズマは、一連の矢印624で示したように、DCh602内で閉ループを形成して存在する。複数の絶縁ガスケット625A及び625Bにより外部セクション605は内部セクション606と電気的に分離されるが、外部セクション605及び内部セクション606内に形成されたプラズマが存在することは可能である。トロイダルセクション608中のプラズマは、矢印626Aで示したトロイダルセクション608に第1のプラズマが存在し、矢印626Bで示したトロイダルセクション608に第2のプラズマが存在し、両方のトロイダルセクション608に等しく存在する。トロイダルセクション608が、トロイダルセクション608と複数の絶縁ガスケット620A及び620Bにより結合されている内部セクション606のチューブ(付番せず)と垂直であるならば、スプリット・ループ・プラズマ発生システム200(図2A)と同様に、各矢印626Aと626Bで示したように、実質的に等しい量のプラズマがトロイダルセクション608の両側に存在することとなる。
【0068】
上述の通り、トロイダルセクション608は等間隔に配置された複数の開口610有する。複数の開口610により、PCh604内に形成されたプラズマを放出し、噴霧し、蒸着させることが可能となる。PCh604内に放出又は噴霧した、形成されたプラズマは、それぞれプルーム612の形状となる。所与のプルーム612の相対的な寸法は直線614A及び614Bで示されている。プルーム612の相対的な寸法は、PCh604内に放出された形成されたプラズマが、トロイダルセクション608の近傍に接近させて置いた対象物(不図示)と反応又は相互に作用することができる相対的な量を表す。このことは、図5Bにより明確に示されている。複数の開口610のそれぞれの大きさは、クヌーセン数(Kn)を、PCh604で、大きく維持するように、実質的に小さい。PCh604内でKnを大きく維持することで、実質的にPCh604内での高真空状態が確実に保持される。
【0069】
ここで、図5Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号650で示した、図5Aのダブルポート・トップエントリー・トロイダル・プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。図5Bでは、PCh604の床629、対象物628、一組の対象物ホルダー630A及び630B、対象物ヒーター632、及び一組の対象物ヒーターホールダー634A及び634Bのような、トロイダル・プラズマ発生システム600(図5A)の付加的な構成要素が示されている。複数の絶縁ガスケット620A及び620Bが図5Bに見ることができる。図示の通り、一組の対象物ホルダー630A及び630Bは、対象物628をどの端部で保持し、これにより、一組の直線614A及び614Bで示すように、放出したプラズマ(不図示)のどのプルーム612の経路も対象物628に蒸着することを実質的に妨げることがなくなる。一組の対象物ヒーターホールダー634A及び634Bは対象物ヒーター632所定の位置に保持する。対象物ヒーター632は、一連の矢印636で示すように、上から対象物628を加熱する。図5Bに示すように、それぞれのプルーム612が実質的に対象物628の表面の別々の場所を覆うようにトロイダルセクション608周りに配置され角度付けされ、これにより対象物628上にプラズマが一様に広がる蓋然性を増大させる。複数の開口610も、対象物628の表面領域でそれぞれのプルーム612が隣り合うそれぞれのプルームと少しずつ重複するように、トロイダルセクション608周りに配置され角度付けされる。図示の通り、複数の絶縁ガスケット620A及び620Bは、PCh604の外部に置かれる。
【0070】
上記図で説明したディスチャージチャンバーについて多くの他の形状が、本願明細書に開示した技術の範囲内で可能であることに留意すべきである。例えば、図1Aのループ形状、図2Aのスプリット・ループ形状、又は、図3A、3D、4A、及び4Bの相互に貫通するループ又は相互に貫通するシャフト形状のような、上述のディスチャージチャンバーの一般的形状のいずれかを、組み合わせて、本願明細書に開示した技術に用いるディスチャージチャンバーの別の形状とすることができる。加えて、処理チャンバー内に置いた対象物に対して実行する化学処理に応じて、対象物はプラズマの平均自由行程内に置くこともでき、また置かないこともできる。例えば、プラズマ中に種々のタイプのプラズマ成分を必要とする化学処理において、プラズマ成分がお互いに再結合し対象物に到着する前に消滅することのないよう、対象物はプラズマの平均自由行程内に置くことを必要とするであろう。一方、イオンのみを必要とする化学処理において、対象物はプラズマの平均自由行程より遠くに置くことができる。
【0071】
ここで、図6を参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号680で示した、プラズマ成分を放出する複数の開口の形状の概略図である。図6は、複数の開口形状680を断面で示したものである。複数の開口形状680は、複数の開口138(図1A)のような、上述の複数の開口とスリーブとを表す。図6に、6つの異なる開口形状、すなわち、開口形状682A、開口形状682B、開口形状682C、開口形状682D、開口形状682E、及び開口形状682F、を記載している。開口形状682A−682Fの各々には、プラズマ(不図示)がその中に存在するDCh(不図示)の内壁684、及びそれぞれのスリーブ688A〜688Fが含まれる。各内壁684に開口686がある。開口686を通って、複数の矢印702A〜702Fで示した方向にDCh中に存在するプラズマがPCh(不図示)内に放出される。各開口686に、それぞれ、スリーブ688A、688B、688C、688D、688E、及び688Fのうちの1つが設置される。スリーブ688Aは、開口形状682Aの開口686に設置され、スリーブ688Bは、開口形状682Bの開口686に設置され、スリーブ688Cは、開口形状682Cの開口686に設置され、スリーブ688Dは、開口形状682Dの開口686に設置され、スリーブ688Eは、開口形状682Eの開口686に設置され、そして、スリーブ688Fは、開口形状682Fの開口686に設置される。スリーブ688A〜688Fのそれぞれは、各スリーブを各DChのそれぞれの内壁684に結合させるため、それぞれフランジ(不図示)を有する。
【0072】
スリーブ688A〜688Fの各々は異なる形をしており、異なる角度及び異なるプルーム形状又はプルーム輪郭で、プラズマがPCh内に入ることを可能にしている。スリーブ688Aは、スリーブ688Aの左側690Aと右側690Bで表示するように、実質的に直線形状をしている。図示の通り、複数の矢印702Aで示すように円形の輪郭をもって、プラズマはまっすぐにPChに入る。スリーブ688Bは、スリーブ688Bの、直線の左側692Aと傾斜した右側692Bで示すように、実質的に傾斜形状となっている。図示の通り、複数の矢印702Bで示すように楕円の輪郭をもって、プラズマはまっすぐ方向と傾いた方向に、PChに入る。スリーブ688Cは、スリーブ688Cの、傾斜した左側694Aと、同様に傾斜した右側694Bで示すように、実質的に三角形、あるいは円錐形となっている。図示の通り、複数の矢印702Cで示すように三角形、あるいは円錐形の輪郭をもって、プラズマは多方向にPChに入る。スリーブ688Dは、スリーブ688Dの、放物形状の左側696Aと、同様に放物形状の右側696Bとで示すように、実質的に放物形状を有する。図示の通り、複数の矢印702Dで示すよう放物形状の輪郭をもって、プラズマは多方向にPChに入る。スリーブ688Eは、スリーブ688Eの、放物線状の左側698Aと、同様に放物線状の右側698Bとで示すように、実質的に放物形状を有する。図示の通り、複数の矢印702Eで示すよう放物形状の輪郭をもって、プラズマは多方向にPChに入る。開口形状682Dの放物形状の輪郭と開口形状682Eの放物形状の輪郭とは各々の放物形状の輪郭の曲線が異なるだけである。スリーブ688Fは、スリーブ688Fの、双曲線状の左側700Aと、同様に双曲線状の右側700Bとで示すように、実質的に双曲線形状を有する。図示の通り、複数の矢印702Fで示すよう双曲線状の輪郭をもって、プラズマは多方向にPChに入る。
【0073】
ここで、図7Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号730で示した、高真空チャンバー内側の絶縁ガスケットの概略図である。上記、図1A、1B、2A、3C、3D、3E、4A、4B、5A、及び5Bに示した通り、絶縁ガスケットは、本願明細書に開示した技術のディスチャージチャンバーの種々のチューブセクションを連結するために用いられる。絶縁ガスケットは、ディスチャージチャンバーの各チューブセクションをディスチャージチャンバーの隣接するチューブセクションと電気的に分離、又は電気的に絶縁するためにも用いられる。上記、本願明細書に開示した技術のプラズマ発生システムの種々の実施形態に示した通り、開示した技術で用いられる絶縁ガスケットのいくつかは、DChの内部セクション中の、又は、DChの外部セクション中の、DChのチューブセクションを連結する。DChの内部セクションはPChの内側に位置し、DChの外部セクションはPChの外側に位置することをここで思い出してみる。DChの、内部セクションの圧力その他の状態が外部セクションと比較して違っているので、ここで開示した技術において用いられる絶縁ガスケットは、DChの内部セクションにおけるDChのチューブセクションを連結するために用いるものであるか、あるいは、DChの外部セクションにおけるものであるかにより構成が異なる。図7Aは、PChの内側の、すなわちDChの内部セクションのDChのチューブセクションを連結するために用いられる絶縁ガスケットの形状と構成を示す。そのような絶縁ガスケットの例として、絶縁ガスケット148A(図1A及び図1B)、222A及び222B(共に図2A)、及び428A、428B、及び428C(すべて図3D)が含まれる。図7Bは、PChの外側の、すなわちDChの外部セクションのDChのチューブセクションを連結するために用いられる絶縁ガスケットの形状と構成を示す。そのような絶縁ガスケットの例として、絶縁ガスケット428D及び428E(共に図3D)、500A及び500B(共に図4A)、及び625A及び625B(共に図5A)が含まれる。
【0074】
図7Aには、第1のチューブセクション738を第2のチューブセクション740から電気的に分離する絶縁ガスケット732が含まれている。図7Aは、絶縁ガスケット732の1つの断面のみを示す。絶縁ガスケット732は円環形状をしている。第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の各々は二重壁水冷ステンレス鋼で造られている。図7Aに示す通り、冷却液734は第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の二重壁(付番せず)に入っている。第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の各々は、第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の二重壁内に冷却液734を封じ込めるための、キャップ742を具備する。第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の各々は、絶縁ガスケット732を所定の場所に固定するためにリップ736A及び736Bも具備する。絶縁ガスケット732は、第1のチューブセクション738を第2のチューブセクション740から電気的に分離する。ちょうどDCh中の開口からプラズマがPChに放出されてもPCh中の高真空状態を損なうことがないのと同様に、DChからPChへのプラズマの実質的に少量の漏れがあってもPCh中の高真空状態を損なうことがないので、DCh中のプラズマ(不図示)が第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の処理チャンバー側(それぞれ743A及び743Bで表示)に漏れこまないよう、絶縁ガスケット732は、第1のチューブセクション738及び第2のチューブセクション740の側面のディスチャージチャンバー(それぞれ741A及び741Bで表示)を、完全にシールする必要はない。例えば、リング(不図示)で絶縁ガスケット732を囲むことにより、第1のチューブセクション738のリップ736A間のギャップを第2のチューブセクション738のリップ736Bからシールする。リングはセラミック又はPBNにより造ることができる。絶縁ガスケット732の処理チャンバー側は、クヌーセンセル蒸発源又は電子ガン蒸発器(不図示)によりPCh内の対象物(不図示)に供給する、PCh内に存在する金属蒸気により金属の薄い膜を形成することにより得られる。両方とも円環形状である保護層746と、それで覆われた絶縁スリーブ744は、汚染防止のために絶縁ガスケット732の周りに置くことができる。絶縁スリーブ744はシリカ繊維テープ、シリカ、又はセラミックから造ることができる。保護層746は、実質的に、例えば、タンタル、ステンレス鋼、又はモリブデンから造られる、金属箔である。絶縁スリーブ744は、シリカ繊維テープで造られたとき、第1のチューブセクション738を第2のチューブセクション740に、これらのチューブセクションがお互いに角度を有していたとき(すなわち、図7Aに示す通り、これらのチューブセクションがお互いに平行ではないとき)、強く連結させるために用いることもできる。
【0075】
ここで、図7Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号760で示した、高真空チャンバー外側の絶縁ガスケットの概略図である。上述の通り図7BはPChの外部で用いられる絶縁ガスケットの形と構成を示す。図7Bには、第1のチューブセクション772を第2のチューブセクション774を接続し、かつ、これらを電気的に分離する絶縁ガスケット762が含まれる。図7Bは絶縁ガスケット762の1つの断面のみを示す。絶縁ガスケット762は円環形状を有する。第1のチューブセクション772及び第2のチューブセクション774の各々は二重壁水冷ステンレス鋼で造られる。図7Bに示す通り、冷却液764は、第1のチューブセクション772及び第2のチューブセクション774の二重壁(付番せず)内に入っている。第1のチューブセクション772及び第2のチューブセクション774の各々には、それぞれキャップ766A及び776Bが含まれる。キャップ766Aはグリッピング・ツース(gripping tooth)768Aを有し、キャップ776Bはグリッピング・ツース768Bを有する。キャップ766A及び776Bは、第1のチューブセクション772及び第2のチューブセクション774の二重壁内に冷却液764を封じ込める。キャップ766A及び776Bの各々は、絶縁ガスケット762を所定の場所に保持するためのリップ(付番せず)を有する。絶縁ガスケット762は、第1のチューブセクション772を第2のチューブセクション774から電気的に分離する。
【0076】
絶縁ガスケット762はPChの外部にあるので、絶縁ガスケット762は、第1のチューブセクション772及び第2のチューブセクション774のキャップ766Aと776Bとの間の隙間776を、実質的に大気圧であり、隙間776を通ってディスチャージチャンバーに漏れこむかもしれない外側の空間にある空気から、実質的に完全にシールしなければならない。隙間776を密封するために、絶縁体であり実質的に耐久性のあるテフロン(登録商標)(すなわち、テフロン(登録商標)は、機械的につぶれ電気的に分離する前に実質的な変形を受ける)で、絶縁ガスケット762を造ることができる。キャップ766A及び776Bはステンレス鋼で造り絶縁ガスケット762に取り付けることができる。グリッピング・ツース768A及び768Bは絶縁ガスケット762の端部をしっかりつかみ、キャップ766A及び776Bは絶縁ガスケット762に流体静力学的力を加えることで、絶縁ガスケット762をしっかりつかみ、隙間776を密封する。キャップ766Aは、複数の方法でキャップ776Bをしっかりつかむことができる。例えば、キャップ766A及び776Bの各々は、隙間776に対してそれぞれフランジ(不図示)を持つことができる。ネジ(不図示)を2つのフランジを締め付けるために用いることができ、これにより、グリッピング・ツース768A及び768Bを絶縁ガスケット762に押し付け隙間776を密封することができる。一般に、第1のチューブセクション772を第2のチューブセクション774に押し付けるために用いられる、ネジ、又は他の構成要素は、第1のチューブセクション772と第2のチューブセクション774とを電気的に分離させておくために、絶縁材料で絶縁しなければならない。ここで説明した例では、2つのフランジを締め付けるネジは絶縁リングで囲まれ、これにより、2つのフランジからネジを電気的に分離すると同時に、ネジで2つのフランジを締め付けることを可能とする。第1のチューブセクション772を第2のチューブセクション774に押し付けるための構成の他の1つの例を図8に示す。
【0077】
絶縁ガスケット762は、本願明細書に開示した技術によるプラズマを点火し生成するDChのチューブセクションを連結するために用いられる。絶縁ガスケット762のディスチャージチャンバー側は、DCh内の点火したプラズマにより焦げることがある。テフロン(登録商標)で造ることのできる絶縁ガスケット762を保護するために、シールド710を隙間776の周囲に配置する。シールド770は、ステンレス鋼、チタン、又はモリブデン片で造ることができる。シールド770は、キャップ766A及び776Bのうちの1つ、第1のチューブセクション772又は第2のチューブセクション774のうちの1つと、溶接時継ぎ手778のような溶接により、結合することができる。溶接は、アーク溶接又はレーザービーム溶接により行うことができる。
【0078】
本願明細書に開示した技術におけるプラズマ発生システムの組み立て及び分解を簡単にするために、開示した技術のプラズマ発生システムは、開示した技術のトランスフォーマー型プラズマトロンの一部は高真空PChに挿入することができ、開示した技術のトランスフォーマー型プラズマトロンの他の部分は外側から高真空PChに連結することができる。このような実施形態では、本願明細書に開示した技術におけるDChは、PCh内部を高真空圧力状態に維持すると共に、PChとDChとの間の絶縁して分離した状態に維持したまま分解することができる。このような本願明細書に開示した技術の1つの実施形態を図8に示す。
【0079】
ここで、図8を参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号800で示した、プラズマ発生システムのエントリーポートの、部分断面図として示した概略図である。エントリーポート800は実質的にDCh804のPCh802への入口を示すと共にDCh804のPCh802とのカップリングを示す。エントリーポート800は、エントリーポート122(図1A)、208(図2A)、308(図3A)、412(図3D)、502(図4A)、558(図4B)と実質的に類似し、これらのエントリーポートのうちのいずれか1つを表している。エントリーポート800は、中心線801の周りの、部分断面図として示す。中心線801より上に、エントリーポート800の外観図、中心線801より下にエントリーポート800の断面図が示されている。相互に貫通する矩形ループ・プラズマ発生システム400(図3D)のように、本願明細書に開示した技術のプラズマ発生システムの実施形態として上記に示したように、本願明細書に開示した技術のDChは複数のチューブセクションを有する。図8に示す通り、DCh804は、内部チューブ806及び外部チューブ808を有する。DCh804は、分かりやすくするために図示していないが、付加的なチューブを含むことができる。以下に示す通り、内部チューブ806は、通常の大気圧状態で内部チューブ806を伸ばすことにより、まず、PCh802と連結する。次いで、外部チューブ808を連結し内部チューブ806と共に密封する。内部チューブ806は、以下に示す通り、PCh802と連結される。内部チューブ806及び外部チューブ808の各々は、二重壁水冷ステンレス鋼の管類により造られ、約50ミリメートルの径を有する。図示の通り、例えば、外部チューブ808は内壁840及び外壁840を有する。内壁840と外壁840との間に冷却液842が入っている。キャップ844が外部チューブ808と内部チューブ806の内壁840及び外壁840の端部を密封する。内部チューブ806は、外壁に突起部834を有する。外部チューブ808は、外部チューブ808の端部に連結された第2のフランジ820を有する。第2のフランジ820は、キャップ844と外壁840とに溶接してもよい。
【0080】
内部チューブ806は、絶縁ガスケット846を介して外部チューブ808と連結される。絶縁ガスケット846は、実質的に、絶縁ガスケット762(図7B)と類似する。絶縁ガスケット846により、内部チューブ806は外部チューブ808と電気的に分離される一方物理的には連結される。絶縁ガスケット846はまた、DCh804を密封する。シールド812は、シールド770(図7B)と同様に、絶縁ガスケット846の周囲に施される。シールド812は、複数の溶接継ぎ手814により内部チューブ806の内壁と連結される。
【0081】
PCh802は、セクション838でPCh802と連結するポートフランジ816を具備する。ポートフランジ816は、セクション838でPCh802と溶接することができる。ポートフランジ816は、突起部832を有し凹部836を持つ。一般に、ポートフランジ816の内径は内部チューブ806の外径より少し大きい。PCh802及び内部チューブ806の寸法に応じ、ポートフランジ816は標準の高真空CF63フランジとすることができる。エントリーポート800は、最初に内部チューブ806をPCh802に挿入することで組み立てられる。ガスケットリング830は、次いで内部チューブ806の周りに挿入される。ガスケットリング830は、テフロン(登録商標)のような絶縁材料で造ることができる。ガスケットリング830は、テフロン(登録商標)のような堅固な絶縁材料で造ってもよい。ガスケットリング830は、断面が多角形の形状をもつ。ガスケットリング830は、凹部8362の形と実質的に一致するよう形作られる。次に、第1のフランジ818が内部チューブ806の周りに挿入される。第1のフランジ818はフローティングフランジであり、内部チューブ806と永久的に連結されるものではない。第1のフランジ818は凹部8361を有する。ガスケットリング830も、凹部8361の形と実質的に一致するよう形作られる。ポートフランジ816及び第1のフランジ818は大きさ及び形状が実質的に類似し、これにより、フランジと相フランジのペアを形成する。PCh802及び内部チューブ806の寸法に応じ、ポートフランジ816及び第1のフランジ818は標準のフランジで実施することができる。そのような実施形態において、第1のフランジは内部チューブ806永久的に連結され、フローティングフランジとしなくてもよい。エントリーポート800に用いるフランジの形式は設計時の選択事項であり、コスト、加工性、及び組み立てやすさのような種々の要因により定まる。以下に示す通り、ポートフランジ816及び第1のフランジ818はネジを用いて共に押し付けあう。ポートフランジ816を第1のフランジ818に押し付ける力により、突起部832及び834にガスケットリング830が押し付けられる。ガスケットリング830への押し付け力は、実質的に、ポートフランジ816を第1のフランジ818で電気的に分離しつつ実質的に密封する、流体静力学的力である。突起部832及び834はガスケットリング830をしっかりとつかみ、PCh802を内部チューブ806に連結する。ガスケットリング830はPCh802を内部チューブ806から電気的に分離し、さらに、PCh802のエントリーポート800を密封する。凹部8361及び8362及びガスケットリング830は、内部チューブ806をPCh802連結することができると同時に密封し電気的に分離することのできるような、他の形及び構成とすることができることは、当業者には明らかなことである。次いで、絶縁ガスケット846は内部チューブ806と連結され、続いて、外部チューブ808は絶縁ガスケット846を介して内部チューブ806と連結される。第2のフランジ820と第1のフランジ818とを連結するためのネジにより、内部チューブ806及び外部チューブ808に圧縮力を働かせてこれらのチューブを共に密封する。
【0082】
ネジ828A及び828Bが、それぞれ他の1つとぴったり合わされているポートフランジ816、第1のフランジ818、及び第2のフランジ820中のネジ穴(付番せず)に挿入される。ポートフランジ816、第1のフランジ818、及び第2のフランジ820を電気的に分離すると同時に、物理的にポートフランジ816、第1のフランジ818、及び第2のフランジ820を連結するために、複数の絶縁ブッシング824A〜824D及び複数のスリーブ826A及び826Bを、ネジ穴とネジ828A及び828Bとの間に挿入する。複数の絶縁ブッシング824A〜824D、及び複数のスリーブ826A及び826Bは、例えばエポキシ樹脂のような既知の絶縁材料で造ることができる。複数の絶縁ブッシング824A〜824D、及び複数のスリーブ826A及び826Bをネジ穴に入れ、ネジ828A及び828Bを挿入し、複数のナット822A〜822Fを用いて締め付ける。外部チューブ808は、設計字の選択事項である他の構成を用いて、内部チューブ806及びポートフランジ816と連結することができることに留意すべきである。例えば、第2のフランジ820の代わりに長いベルト(不図示)を、外部チューブ808の曲がり又は曲線部を内部チューブ806に接続することにより、外部チューブ808と内部チューブ806とを連結するために用いることも可能である。このような例では、内部チューブ806と外部チューブ808とを電気的分離しておくために、曲がり又は曲線部と隣り合う部分を電気的に適切に分離する必要がある。
【0083】
エントリーポート800は、内部チューブ806及び外部チューブ808の二重壁セクションに冷却液を導入及び排出も示している。外部チューブ808には、外部チューブ808の外表面に接続された冷却液注入チューブ854が示されている。冷却液注入チューブ854は、外部チューブ808の外表面に溶接することができ、実質的に冷却液外部チューブ808に導入する。内部チューブ806には、冷却液排出チューブ850が示されている。内部チューブ806は、実質的にPCh802内に置かれているので、PCh802内の他の1つのチューブ(不図示)と内部チューブ806とを連結させる、PCh802内に位置する絶縁ガスケット(不図示)、に隣接する内部チューブ806に冷却液を導入するために冷却液注入チューブ(不図示)が用いられる。次に、冷却液は冷却液排出チューブ850を介して内部チューブ806から除去される。冷却液排出チューブ850は、内部チューブ806の自然電位を維持させるために、内部チューブ806の内壁に沿って配置される。冷却液注入チューブ854及び冷却液排出チューブ850は両方とも、ステンレス鋼で造ることができ、チューブの端部をそれぞれ外部チューブ808及び内部チューブ806に溶接することができる。冷却液注入チューブ854及び冷却液排出チューブ850の各々は、約8ミリメーターの径をもつことができる。
【0084】
冷却液排出チューブ850を内部チューブ806から出せるように、内部チューブ806の二重壁の中にステンレス鋼のネジ穴付ブッシング848が設置される。ステンレス鋼のネジ穴付ブッシング848は、内部チューブ806の二重壁に溶接されている。冷却液排出チューブ850は、図8の線分856に示す通り、ステンレス鋼のネジ穴付ブッシング848の一方の端に、通常は溶接により、連結している。取り出し管852が、冷却液を排出するために、線分856に隣接してステンレス鋼のネジ穴付ブッシング848の他の1つの端に連結している。一般に、取り出し管852は、ポートフランジ816、第1のフランジ818、及びガスケットリング830が設置され連結された後で、内部チューブ806と連結する。取り出し管852は、テフロン(登録商標)箔のような、当業者に既知の適切な水封を行って、テフロン(登録商標)又はステンレス鋼で造ることができる。
【0085】
一般に、開示した技術を記載した実施形態(図1A〜図8)は、比較的寸法の小さい対象物を処理する、高真空バッチ・ウエハー処理チャンバー用のプラズマ発生システムについて記載した。図9A〜図12Bは、対象物のロールを処理することのできる高真空ロール・ツー・ロール処理チャンバー用プラズマ発生システムについて記載する。このようなロールは、実質的に、幅が広く長さはエンドレスにすることができる。以下に記載のロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムは、ロールの形となった非常に大きな処理すべき対象物でも処理可能なように構成されている点を除いて、先に記載したようなトランスフォーマー型プラズマトロンでのプラズマ発生原理と実質的に同様に動作する。このように、説明を分かりやすくするために、これらの実施形態の基本的な構成のみを説明する。加えて、先に説明した例えば図1Aのトランスフォーマー型プラズマトロンに含まれる他の構成要素は、説明を分かりやすくするために、省略した。
【0086】
ここで、図9A及び図9Bを参照する。図9Aは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号870Aで示した、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、側方から見た図として示した概略図である。図9Bは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号870Bで示した、図9Aのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。図9A及び図9Bにおいて同一の構成要素は同一の参照番号で示したが、図9Aに見えるすべての構成要素が図9Bにおいても見えるとは限らないことに留意すべきである。図9Aの側面図に表されているように、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Aは、複数のディスチャージチャンバー(以下DChと略称)874A(図図9Aでは1つだけ示されている)、対象物ヒーター876、対象物ロール880、複数の絶縁ガスケット882A〜882B、複数の透磁性の高い磁気鉄心884(ここでは、フェライト磁心と称す)、複数の導体886、複数のクヌーセンセル蒸発源888、及び複数の電子ガン蒸発器890を具備する。複数のDCh874Aは、複数のDCh874A内のプラズマ873を対象物ロール880の方向に放出させるための複数の開口894を有する。
【0087】
複数の導体886は、複数のフェライト磁心884の周りに巻きつけられ、それぞれRF電源(不図示)に接続されている。上述の通り、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Aには、複数のガス入口リーク弁(不図示)、複数ののぞき窓(不図示)、及び複数の磁石リング電流ゲージ(不図示)その他のような、本願明細書に開示した技術の他の実施形態に示した他の構成要素も含まれる。複数のDCh874A内のガスは点火され、複数のDCh870A全体に存在する複数の矢印892で示すような、プラズマ873を形成する。複数のDCh874Aは、それぞれ、複数の絶縁ガスケット882A〜882Bにより連結すると共に電気的に分離した、電気的に電気的に分離した複数のセクション(付番せず)を具備する。対象物ロール880は、図9Aに示したロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Aの平面に垂直な方向に動く。対象物ロール880が動くにつれて、複数の矢印878に示すように、対象物ヒーター876は対象物ロール880を加熱することができる。複数の開口894は、複数のプルーム896の形で対象物ロール880に向けてプラズマ873を放出する。複数の開口894と対象物ロール880との間の距離は、プラズマ873中のプラズマ成分の平均自由行程より小さくすることができる。対象物ロール880が前に進むときに、プラズマ873のプラズマ成分が対象物ロール880に蒸着する。複数のDCh874Aは、それぞれ、閉ループDCh130(図1A及び図1B)と同様に、長方形の形状を有する。複数のクヌーセンセル蒸発源888及び複数の電子ガン蒸発器890は、対象物ロール880に分子、化合物、及び粒子を蒸着させるために用いることができる。複数のクヌーセンセル蒸発源888及び複数の電子ガン蒸発器890は、このような放出された分子、化合物、及び粒子が対象物ロール880の表面に衝突するよう、複数のDCh874A(図9Bに詳細が記載されている)の開放空間であって、隣り合う複数のDCh874A(図9Bに詳細が記載されている)のの間に設置することができる。
【0088】
図9Bは、上方から見たロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Bを示す。図9Bにおいて、複数のDCh874A及び874Bが見える。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Bにおいて、もっと多くのDChが存在し得ることは、当業者には明らかである。図示の通り、複数のDCh874A及び874Bの各々は複数のフェライト磁心884を具備する。複数のDCh874A及び874Bの各々は、複数の絶縁ガスケット882A〜882Hにより分離した4つの電気的に分離したセクション(付番せず)を有する。複数の矢印892で示すように、複数のDCh874A及び874Bの各々に全体的にプラズマ873が存在する。図示の通り、複数のDCh874A及び874Bの一部分はPCh872の内側にあり、複数のDCh874A及び874Bの一部分はPCh872の外側にある。対象物ロール880は、矢印898で示す通り、前方向に動く。対象物ロール880は、すべてPCh872の内側に存在する。図9Bに示す通り、プラズマ873が対象物ロール880上に均等に蒸着するように複数のDCh874A及び874Bのセクションに沿って等間隔になっている。また、図9Bに示す通り、複数のクヌーセンセル蒸発源888及び複数の電子ガン蒸発器890は、複数のDCh874A及び874B同士の間であって、複数のDCh874A及び874Bの各々の長方形により形成された開放空間に設置されている。一般に、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム870Bは、対象物ロール上に複数のプラズマ層を蒸着させるために用いることができる。加えて、複数のDCh874A及び874Bの各々は、別々のガス入口リーク弁(不図示)を有するので、複数のDCh874A及び874Bの各々は、異なるタイプのプラズマ及びプラズマ成分で対象物ロール880を処理する別々のステーションとしての役割を果たす。
【0089】
ここで、図10を参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号920で示した、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、上方から見た図として示した概略図である。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム920は、PCh922、複数のDCh924及び924B、対象物ロール926、複数の対象物ヒーター934、複数のクヌーセンセル蒸発源940、複数の透磁性の高い磁気鉄心942及び複数の導体944を具備する。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム920は、上記に示した、本願明細書に開示した技術の他の実施形態での他の構成要素も具備するが、明確化を目的として、図10から省略した。932で示した部分は、対象物ロール926は実質的に長く、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム920に2つ以上のDChを設置することができることを示している。対象物ロール926は、最初は、シャフト930の周りに回転することのできる円筒ローラー928に装着されている。他の1つの円筒ローラー(不図示)をPCh922の他端(不図示)に設置し、処理後の対象物ロール926を受け取り巻き取ることができる。対象物ロール926は矢印948の方向に動く。対象物ロール926が複数のDCh924A及び924Bに近づくにつれて、複数の対象物ヒーター934は、複数の矢印936で示すように、対象物ロール926を加熱する。複数の透磁性の高い磁気鉄心942及び複数の導体944は、複数のDCh924A及び924B中のガス(不図示)を、プラズマ938として点火する。複数のDCh924A及び924B中の複数の開口(不図示)は、複数の線946で示すように、対象物ロール926に向けてプラズマ938を放出する。次いで、プラズマ938は対象物ロール926上に蒸着する。複数のクヌーセンセル蒸発源940は、対象物ロール926の表面に衝突する分子や化合物を放出できるようにPCh922に沿って配置される。図9A及び図9Bに示した本願明細書に開示した技術の実施形態において、複数のDCh924A及び924Bの各々は、対象物ロール926上に複数の層のプラズマを蒸着させるための別々の処理ステーションであるとすることができる。図10に示す通り、複数のDCh924A及び924Bの各々は、スプリット・ループ250(図2B)の形と同様の形をしている。図9A、図9B、及び図10に示した複数のDChは、長方形ループ形のDCh130(図1A及び図1B)及びスプリット・ループ形のDCh214(図2A)のような、先に説明した本願明細書に開示した技術の実施形態に示したDChと同様の形を有することができる。DChの他の形状は、設計段階で決めることができる事項であることは当業者に明らかなことである。一般に、図9A、図9B、及び図10に示した複数のDChは、対象物ロールの通過を可能とするどのような閉じた対称形状、複数のクヌーセンセル蒸発源から分子や化合物の蒸着を可能とするどのような開口を持つこともできる。加えて、図9A、図9B、及び図10に示した複数のDChのうちのどの1つの形も、図9A、図9B、及び図10に示した複数のDChのうちのどの1つの形と同じである必要はない。
【0090】
ここで、図11A、図11B、及び図図11Cを参照すると、これは、他のロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの概略図である。一般に、これらの図は、本明細書に開示した技術で用いることのできる、さらなる形状と構成を示すために、本願明細書に開示した技術の多くの構成要素を省略し、非常に簡略化したものである。ここで、図11Aを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号970で示した、他の1つのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。上述の通り、図11Aは、分かりやすくする目的で本願明細書に開示した技術の先に示した実施形態での多くの構成要素を省略した、非常に簡略化したものである。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム970は、DCh972、対象物ロール974、及び複数の透磁性の高い磁気鉄心980を具備する。平面978はPCh(不図示)の天井を表す。平面978より下にある構成要素は、PCh内にあり、平面978より上にある、複数の透磁性の高い磁気鉄心980のような構成要素は、PChの外部にある。対象物ロール974は矢印976に示す方向に動く。プラズマは、複数の矢印984で示す通り、DCh972全体に存在する。DCh972の複数の開口(不図示)から、複数の線982に示す通り、DCh972中のプラズマが放出され、対象物ロール974に均等に蒸着させることができる。図示の通りDCh972は対象物ロール974に平行な長方形であり、PChに出入りする対象物ロール974に垂直なU字型をしている。一般にDCh972の形はプラズマ(付番せず)がDCh972全体にわたって均等に配置されるように平面(不図示)に沿って対称となっている。複数の透磁性の高い磁気鉄心980がPChの外側でDCh972の周りに設置されている。対象物ロール974上のPChに沿って次々にDCh972と同等の追加DChを並べることが可能であることは当業者にとって明らかである。ここで、各DCh(不図示)は、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム970の処理ステーションを表す。
【0091】
ここで、図11Bを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の他の1つの実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号1000で示した、別のロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。上述の通り、図11Bでは分かりやすくする目的で本願明細書に開示した技術の先に示した実施形態での多くの構成要素を省略した。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム1000は、DCh1002、対象物ロール1004、及び複数の透磁性の高い磁気鉄心1010を具備する。平面1008はPCh(不図示)の天井を表す。平面1008より下にある構成要素は、PCh内にあり、平面1008より上にある、複数の透磁性の高い磁気鉄心1010のような構成要素は、PChの外部にある。対象物ロール1004は矢印1006に示す方向に動く。プラズマは、複数の矢印1014で示す通り、DCh1002全体に存在する。DCh1002の複数の開口(不図示)から、複数の線1012に示す通り、DCh1002中のプラズマが放出され、対象物ロール1004に均等に蒸着させることができる。図示の通りDCh1002は対象物ロール1004に平行な長方形であり、PChに出入りする対象物ロール1004に垂直なU字型をしている。一般にDCh1002の形はプラズマ(付番せず)がDCh1002全体にわたって均等に配置されるように平面(不図示)に沿って対称となっている。DCh1002の形は、DCh972(図11A)と比較してPCh中のDCh1002の組み立てを簡単化することができる。複数の透磁性の高い磁気鉄心1010がPChの外側のDCh1002の周りに設置されている。対象物ロール1004上のPChに沿って次々にDCh1002と同等の追加DChを並べることが可能であることは当業者にとって明らかである。ここで、各DCh(不図示)は、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム1000の処理ステーションを表す。
【0092】
ここで、図11Cを参照すると、これは、本願明細書に開示した技術の別の実施形態により構成され動作可能な、全体として参照番号1030で示した、他の1つのロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システムの、斜視図として示した概略図である。上述の通り、図11Cでは分かりやすくする目的で本願明細書に開示した技術の先に示した実施形態での多くの構成要素を省略し大幅に簡略化してある。ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム1030は、PCh1032、DCh1034、対象物ロール1036、及び複数の透磁性の高い磁気鉄心1040を具備する。対象物ロール1036は、矢印1038で示す方向に動く。DCh1034中の複数の開口(不図示)から、複数の矢印1044で示す通り、DCh1034中のプラズマを放出し対象物ロール1036に均等に蒸着することができる。図示の通り、DCh1034は、4つの分岐点1046A、1046B、1046C、及び1046D2つの長方形のDCh1042AとDCh1042Bとに分岐する。この実施形態では、(図11Cで示した8つの磁気鉄心のような)透磁性の高い磁気鉄心の1つのグループを複数の長方形のDCh中にプラズマを発生させるために用いられ、ロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム1030の、コスト有効度を増大させると共に部品を減少させる。一般にDCh1034の形はプラズマ(付番せず)がDCh1034全体にわたって均等に配置されるように平面(不図示)に沿って対称となっている。DCh1034と等価な追加DChをPCh1032内に次々に並べ、追加したDCh(不図示)の各々をロール・ツー・ロール処理プラズマ発生システム1030における処理ステーションとすることが可能であることは当業者に明らかなことである。処理対象物ロールにプラズマを均等に放出するために、図11A及び図11Bに示したDChと同様に、DCh1034に多くの変形が可能であり、設計段階で決めることができる事項であることは当業者に明らかなことである。
【0093】
本明細書に開示した技術は、特に以上に示し記載した者に限定されないことは、当業者にとって当然のことである。本願明細書に開示した技術の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高真空処理チャンバーと、
前記高真空処理チャンバーと連結されたトランスフォーマー型プラズマトロンと、
トランスフォーマー型プラズマトロンに少なくとも1つのガスを導入する、トランスフォーマー型プラズマトロンに連結された少なくとも1つのガス源と、
を具備するプラズマ発生装置であって、
前記高真空処理チャンバーは少なくとも1つのエントリーポートを具備し、
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、
交流電流を発生させるラジオ周波数電力源と、
前記ラジオ周波数電力源と接続された複数の導体と、
前記ガスを閉じ込める閉ループ・ディスチャージチャンバーと、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバーの周りに取り付けられ前記複数の導体と接続された複数の透磁性の高い磁気鉄心と、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバーの内側に沿って配置した複数の開口と、
前記内側部分と前記外側部分とを連結する少なくとも2つの絶縁ガスケットと、
を具備し、
前記エントリーポートは、前記内側部分が前記高真空処理チャンバーに物理的に貫通するよう前記内側部分を受け取るように構成され、
前記複数の導体は前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに1次巻き線を形成し、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバー中のガスは前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに2次巻き線を形成し、
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、前記導体に前記交流電流が供給されたとき、それぞれのプラズマの少なくとも1つのガスに点火し、
前記開口は、前記内側部分から前記それぞれのプラズマを前記高真空処理チャンバーに放出することを特徴とする、
プラズマ発生装置。
【請求項2】
圧力ゲージと、
質量分析計と、
反射高速電子線回折装置ツールと
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
対象物移送機構と、
赤外線パイロメーターと、
膜厚モニターと、
膜蒸着制御装置と、
イオン源と、
偏光解析器と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプラズマ発生装置であって、前記高真空処理チャンバーは、
高真空処理チャンバーから空気を排気する高真空ポンプと、
前記それぞれのプラズマを吹き付ける対象物と、
前記対象物を保持する対象物ホルダーと、
前記対象物を加熱する対象物ヒーターと、
前記対象物を覆うシャッターと、
前記対象物を操作する対象物遠隔操作器と、
少なくとも1つの構成要素から前記高真空処理チャンバーに蒸気を供給する少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記高真空ポンプ、前記シャッター、前記対象物遠隔操作器、前記少なくとも1つのクヌーセンセル蒸発源、及び前記電子ガン蒸発器は、前記高真空処理チャンバーの外側で連結されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記対象物、前記対象物ホルダー、及び前記対象物ヒーターは、前記高真空処理チャンバーの内側で連結されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、
前記外側部分と連結される少なくとも1つの接続フランジと、
前記外側部分に接続されたキャパシタンス圧力ゲージと、
をさらに具備し、
前記少なくとも1つの接続フランジのそれぞれは、前記少なくとも2つの絶縁ガスケットのそれぞれを介して前記少なくとも1つのエントリーポートのそれぞれと連結していることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項8】
前記高真空処理チャンバー内の圧力は、実質的に10−4から10−10パスカルの間であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項9】
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、インピーダンスマッチング回路網をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項10】
前記外側部分は、前記それぞれのプラズマの少なくとも1つを発生させるための部分であり、前記内側部分は、前記それぞれのプラズマの少なくとも1つを前記高真空処理チャンバーに放出するための部分であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項11】
前記内側部分は、前記対象物を囲むように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項12】
前記内側部分は、前記高真空処理チャンバー内の、前記対象物の少し下に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項13】
前記複数の開口は、前記対象物から、前記それぞれのプラズマの少なくとも1つの平均自由行程より小さい距離に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項14】
前記複数の開口は、前記対象物の周りに対称的に前記内側部分に沿って配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項15】
複数のスリーブをさらに具備し、前記複数のスリーブは前記複数の開口のそれぞれに挿入され、前記複数のスリーブのそれぞれは、前記高真空処理チャンバーに向けたノズル端を具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項16】
前記ノズル端は、特定の断面形状を有することを特徴とする請求項15に記載のプラズマ発生装置。
【請求項17】
前記複数のスリーブは、
耐熱性金属、
セラミックス、
石英ガラス、
熱分解窒化ホウ素、及び
グラファイト、
の中から選択された材料により造られることを特徴とする請求項15に記載のプラズマ発生装置。
【請求項18】
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、
ガス入口リーク弁と、
のぞき窓と、
磁石リング電流ゲージと、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項19】
前記内側部分は、冷却液を前記内側部分に循環させるために、少なくとも1つの入口管と、少なくとも1つの出口管を具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項20】
前記外側部分冷却液を前記外側部分に循環させるために、少なくとも1つの入口管と、少なくとも1つの出口管を具備することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項21】
真空処理チャンバーと
前記真空処理チャンバーと連結されたトランスフォーマー型プラズマトロンと、
トランスフォーマー型プラズマトロンに少なくとも1つのガスを導入する、トランスフォーマー型プラズマトロンに連結された少なくとも1つのガス源と
を具備するプラズマ発生装置であって、
前記真空処理チャンバーは少なくとも1つのエントリーポートを具備し、
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、
交流電流を発生させるラジオ周波数電力源と、
前記ラジオ周波数電力源と接続された複数の導体と、
前記ガスを閉じ込める閉ループ・ディスチャージチャンバーと、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバーの周りに取り付けられ前記複数の導体と接続された複数の透磁性の高い磁気鉄心と、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバーの内側に沿って配置した少なくとも1つの開口と、
前記内側部分は前記外側部分から電気的に絶縁されている状態で、前記内側部分と前記外側部分とを連結する少なくとも2つの絶縁ガスケットと、
を具備し、
前記エントリーポートは、前記内側部分が前記真空処理チャンバーに物理的に貫通するよう前記内側部分を受け取るように構成され、
前記複数の導体は前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに1次巻き線を形成し、
前記閉ループ・ディスチャージチャンバー中のガスは前記複数の透磁性の高い磁気鉄心の周りに2次巻き線を形成し、
前記トランスフォーマー型プラズマトロンは、前記導体に前記交流電流が供給されたとき、それぞれのプラズマの少なくとも1つのガスに点火し、
前記開口は、前記内側部分から前記それぞれのプラズマを前記真空処理チャンバーに放出することを特徴とする、
プラズマ発生装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2013−503430(P2013−503430A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526183(P2012−526183)
【出願日】平成22年8月29日(2010.8.29)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000707
【国際公開番号】WO2011/024174
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512048527)モザイク・クリスタルズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】