説明

2−アリール−酢酸、その誘導体、及びそれらを含有する医薬組成物

選択された2−アリール酢酸、その誘導体、及びこれらの化合物を含有する医薬組成物は、インターロイキン−8(IL−8)とCXCR1及びCXCR2膜レセプターとの相互作用により誘導される好中球(PMN白血球)の走化性活性化を阻害するのに有用である。前記化合物は、前記活性化に由来する病理の予防及び治療に有用である。特に、2(オルト)−置換アリール酢酸又はその誘導体、例えばアミド及びスルホンアミドは、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を欠失しており、乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎のような好中球依存性病理の治療、並びに虚血及び再潅流によって引き起こされる障害の予防及び治療に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の簡単な説明
本発明は、炎症部位における多形核好中球(PMN白血球)の激化した動員による組織障害の予防及び治療に有用である、2−アリール酢酸及びその誘導体、並びにそれらを含有する医薬組成物に関する。特に、本発明は、乾癬、潰瘍性大腸炎、COPDのようなIL−8介在性疾患、並びに虚血及び再潅流によって引き起こされる障害を治療するための2−フェニル酢酸及びその誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特定の血液細胞(マクロファージ、顆粒球、好中球、多形核球)は、細胞遊走と呼ばれるプロセスを介して刺激物質の濃度勾配に沿って遊走することにより、化学刺激に(ケモカインと呼ばれる物質によって刺激したとき)応答する。主要な公知の刺激物質又はケモカインは、補体C5aの分解産物、細菌表面の溶解によって生ずるある種のN−ホルミルペプチド、又はホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(f−MLP)のような合成由来のペプチドによって、そして主にインターロイキン−8(IL−8、CXCL8とも呼ばれる)を含めたさまざまなサイトカインによって代表される。インターロイキン−8は、線維芽細胞及びマクロファージのような大部分の有核細胞によって産生される内在性の走化性因子である。
【0003】
好中球の激化した動員によって特徴づけられるある種の病態において、その部位でのより重篤な組織障害は好中球細胞の浸潤に関連している。近年、虚血再潅流後及び肺酸素過剰症に関連した障害の測定において、好中球活性化の役割が広く実証された。
【0004】
IL−8の生物活性は、インターロイキンと、7回膜貫通型レセプターのファミリーに属し、ヒト好中球及びある種のT細胞の表面に発現しているCXCR1及びCXCR2膜レセプターとの相互作用によって介在される(L.Xuら、J.Leukocyte Biol.、57、335、1995)。選択的リガンドは公知であり、CXCR1とCXCR2を区別することができる:GRO−αはCXCR2選択的走化性因子の1例である。
【0005】
肺疾患(肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、喘息、慢性肺炎症、及び嚢胞性線維症)、及び特にCOPDの発病(慢性閉塞性肺疾患)におけるCXCR2レセプター経路を介したIL−8の強力な病原性役割について広く記載されている(D.WP Hay及びH.M.Sarau.、Current Opinion in Pharmacology 2001、1:242−247)。
【0006】
急性及び慢性の病態、例えば乾癬病巣のひどく炎症を起こした治療抵抗性領域に、特徴的な好中球の蓄積が起こる。好中球は、ケモカインIL−8と、刺激を受けたケラチノサイトによって放出されるGro−αとの相乗作用によって、並びに代替補体経路活性化を介して産生されるC5a/C5a−desArg画分の相互作用によって走化的に引き付けられ、活性化される(T.Teruiら、Exp.Dermatol.、9、1、2000)。
【0007】
新規クラスのIL−8生物活性の強力且つ選択的なインヒビター(R−2−アリールプロピオン酸アミド及びN−アシルスルホンアミド)は、IL−8誘導好中球走化性及び脱顆粒の有効なインヒビターとして記載されている(WO01/58852;WO00/24710)。更に、新規サブクラスのR及びS 2−フェニルプロピオン酸は、望ましくないシクロオキシゲナーゼ酵素(COX)阻害作用を完全に欠失した強力なIL−8インヒビターとして記載されている(WO03/043625)。COX阻害に由来するプロスタグランジン合成の阻害は、実際、サイトカイン産生の増加に関与し、これは好中球による望ましくない炎症性作用の増幅をもたらす
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の詳細な説明
医薬品化学研究は、2−アリールプロピオン酸のプロピオン鎖上にあるメチル基によるIL−8阻害活性を発揮するための重大な役割を示した。
【0009】
発明者らは、実際、フェニル酢酸のファミリーに属する周知のCOXインヒビターである2−[4−イソブチルフェニル]酢酸(イブフェナック)及び2−[3−ベンゾイルフェニル]酢酸(ケトフェナック)はIL−8阻害活性を発揮しないが、代わりに、イブプロフェン及びケトプロフェンのような強力な対応するフェニルプロピオン酸に存在することを発見した。
【0010】
一般に、2−フェニル酢酸及びその誘導体、例えばアミド及びスルホンアミドはIL−8阻害活性を欠失しており、これは対応する2−フェニルプロピオン酸誘導体におけるメチル基の重大な役割を確認するものである。
【0011】
発明者らは、上記の異なるクラスの2−アリールプロピオン酸及び誘導体についてSAR研究を完了し、これら全ての新規クラスのIL−8インヒビターによって共有されるファーマコフォア構造を正確に明らかにすることができた。
【0012】
ファーマコフォアは、生物活性を確実にするために必要な、生物学的に活性な化合物のクラスにおける立体的及び電子的要求の集合として定義される;一般に、ファーマコフォアとは、生物学的に活性な分子とその標的との正の相互作用を確実にするために必要な、立体的及び電子的要求の集合であると考えられる。ファーマコフォア研究における前提は、全ての化合物がトレーニングセットにおいて同一のメカニズムを共有し、同一の生体標的と相互作用することである。
【0013】
発明者らは、現在2つのファーマコフォアモデルを定義している:第1のモデルは、CXCR1介在経路に選択的に作用しているIL−8インヒビター(以後CXCR1インヒビターという)の生物活性を説明し、第2のモデルは、CXCR1及びCXCR2を介在する経路に2重に作用しているIL−8インヒビター(以後CXCR1/CXCR2インヒビターという)の立体的及び電子的要求を表している。これら2つモデルは、2つの完全なファーマコフォア仮説に対して試験した全ての不活性分子は、重大な特徴の重ね合わせに失敗するか(アンフィット)、又は高エネルギー立体構造におけるファーマコフォア仮説にフィットするため、観察された構造活性相関を説明する。2つの新たに発見されたファーマコフォアモデルは、それぞれ5つ及び6つの特徴のうち4つを共有する;これら4つの特徴は、3D化学空間に完全に重ね合わせ可能である。ファーマコフォアモデルの共通部分の概略が図1に図解されている。
【0014】
ファーマコフォアの作製は、化学的特徴によって活性分子の共通する立体配置を同定するために設計されているCatalystTM ソフトウェア、バージョン4.7(Molecular Simulations,Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア)を用いて行なった。立体配置は3D空間における1セットの関連位置であり、それぞれ特徴タイプに関連している。トレーニングセットの全ての化合物は、3D空間内に関連した化学官能基について記載された。更に、それぞれの化学部分は、発見された類似点に基づいて1より多い特徴としてソフトウェアによって考慮することができる。例えば、芳香環は標的部位における疎水性相互作用及びπ−π相互作用を「構築」することができ、この異なる挙動は異なる特徴(疎水性、疎水性芳香族)を意味する。
【0015】
分子中の官能基は化学的及び物理的特性に依存して1より多い特徴に関連することができ、異なる官能基は標的との相互作用において挙動類似性を示すことができ、同一の特徴にマッピングされる。
【0016】
特徴の定義の分析、及び特徴の選択は、ファーマコフォア仮説の作製における重要な工程である。分子認識に関与する多くの重要な力が静電相互作用、水素結合及び疎水性相互作用によって表されることは周知である。基の化学的性質に関連するいくつかの特徴の定義を、生物活性に関与する特定の相互作用を引き付ける能力に導入した。
【0017】
特徴の定義
「水素結合受容体(HBA)(脂質)」
水素結合受容体脂質の特徴は、以下のタイプの原子又は表面近接性である原子群と一致する:孤立電子対を有し、電荷が0以下である窒素、酸素、又は硫黄(超原子価を除く)。
【0018】
脂質環境が考慮されたため、全ての塩基性アミン(1級、2級及び3級)はこの定義に含まれる。水素結合は高度に方向性のある相互作用であり、この特徴は、対応する水素供与体の理論上の位置に間接的に結合している。3つの水素結合の位置は、例えばカルボニル基(受容体)上にあると考えられ、最初の2つは孤立電子対の理論上の位置に沿って、3つめはC=O結合の方向に沿っている。
【0019】
「疎水性(脂肪族、芳香族)」
疎水性特徴は、原子が表面近接性を有する配座異性体において電荷(荷電原子又は負に帯電した原子)の集中に隣接していない原子の連続的セットとして定義され、フェニル、シクロアルキル、イソプロピル、及びメチルを含める。
【0020】
それにもかかわらず、生物学的結果との良好なフィッティングを付与するために、芳香族疎水性特徴を脂肪族特徴と区別することが必要とされている。前者は芳香族原子のみを考慮し、後者は脂肪族原子のみを考慮する。
【0021】
分子は、1セットの関連する特徴、及びその特徴が対応する「理論上の」位置と重ね合わせることができるような特定の立体構造を有する場合にのみ立体配置をマッチさせるように考慮されている。1セットの特徴は、それぞれの特徴が、理論点から、許容範囲の特定の距離内に存在する場合、重ね合わせが考慮され得る。
【0022】
それぞれの特徴の絶対スフェア重心座標を以下に列挙する:
「疎水性芳香族」のデカルト座標は、XYZ軸に対してそれぞれ+2.588、+0.613、−1.940である。
「疎水性脂肪族」のデカルト座標はXYZ軸に対してそれぞれ+1.788、+2.693、+1.260である。
「水素結合受容体投影点1」のデカルト座標はXYZ軸に対してそれぞれ−2.713、+2.333、+2.840である。
「水素結合受容体基点1」のデカルト座標はXYZ軸に対してそれぞれ−0.233、+0.936、+1.877である。
「水素結合受容体投影点2」(任意)のデカルト座標はXYZ軸に対してそれぞれ−5.013、−1.188、−0.400である。
「水素結合受容体基点2」(任意)のデカルト座標はXYZ軸に対してそれぞれ−2.688、−1.514、+1.472である。
【0023】
最初の3つの特徴(疎水性脂肪族、疎水性芳香族、水素結合受容体1)のマッピングは、そのクラスの生物学的IL−8阻害活性に関して重大である;4つめの特徴(水素結合受容体2)は、そのクラスの分子によって場合によりマッピングすることができるが、第2の水素結合受容体基の存在は必須でない。
【0024】
化学的特徴間の全ての距離についての許容範囲は+0.5Å内に、幾何学的角度についての許容範囲は±20°に定められている。
先に議論したように、ファーマコフォア分析を完了するために他のファーマコフォア点が必要とされるが、その記載は本発明の目的に関連しない。そのクラスにおける観察されたCXCR1/CXCR2選択性は、ファーマコフォアの非共通部分における特定の点と一致するインヒビターの能力に厳密に関連する。
【0025】
これに反して、ファーマコフォアの共通部分が関係する限り、一般的な重ね合わせ様式がCXCR1インヒビター、及び図2に概説したような2−フェニルプロピオン酸、2−フェニルプロピオニルスルホンアミド及び2−フェニルプロピオンアミドのクラスに属するCXCR1/CXCR2インヒビターに関して観察される。固体スフェアは、フェニルプロピオン部分のメチル基の3D空間における正確な位置を意味する。
【0026】
この仮説を部分的に又は完全にマッピングする検索されたリガンドにおいて(図2)、2−フェニルプロピオン酸の化学構造のフェニル残基は、「疎水性芳香族」特徴と常に非常によく一致している;「水素結合受容体(HBA)1」特徴はプロピオニル残基のカルボニル炭素と常によく一致している;「水素結合受容体(HBA)2」特徴は、アミド又はスルホンアミドの窒素に連結した残基上の第2の「水素結合受容体」原子と場合により一致し得る;「疎水性脂肪族」特徴はプロピオニル残基のメチル基と常に一致している。フェニル酢酸及び誘導体は、図2において固体スフェアで表された重大な「疎水性脂肪族」特徴がそれらの化学構造において欠けているため、上記を考慮すると、明らかにファーマコフォア仮説に一致しない。
【0027】
最近、プロピオニル残基のメチル基を欠失している選択したサブクラスの2−アリール酢酸及びその誘導体は、IL−8誘導好中球走化性及び脱顆粒を有効的に阻害する驚くべき能力を示すことを発見した。
【0028】
したがって、本発明は、IL−8誘導ヒトPMN走化性を阻害する医薬の製造における式(I):
【0029】
【化1】

【0030】
の2−アリール酢酸化合物及び誘導体、並びにその医薬的に許容可能な塩の使用を提供するものであり、
式中、
AはX原子を含み、場合により異種原子を含むか又はXがNの場合N(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)から選択される更なる異種原子を含む5〜6員芳香環又は芳香族複素環を意味する;5〜6員芳香環又は芳香族複素環は場合により第2の環と融合して2環式芳香環構造又は芳香族複素環構造を生ずる;
ラベル1及び2はA環上の関連する位置を示す;
X原子はN(窒素)及びC(炭素)から選択される;
Rは以下から選択されるA環上の置換基である:
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、置換又は非置換フェニル、直鎖又は分岐鎖C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アシル、置換又は非置換ベンゾイルから選択される3(メタ)位の基;
− C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アシルオキシ、置換又は非置換ベンゾイルオキシ、C〜C−アシルアミノ、置換又は非置換ベンゾイルアミノ、C〜C−スルホニルオキシ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルオキシ、C〜C−アルカンスルホニルアミノ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルアミノ、C〜C−アルカンスルホニルメチル、置換又は非置換ベンゼンスルホニルメチル、2−フリル基;3−テトラヒドロフリル基;2−チオフェニル基;2−テトラヒドロチオフェニル基、又はC〜C−アルカノイル基、シクロアルカノイル基又はアリールアルカノイル−C〜C−アルキルアミノ基から選択される4(パラ)位の基;
Hyは立体障害因子νが0.5〜0.9Åである、メチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルを含めた小さな疎水性基である(ここでνは置換のためのChartonの立体定数である);
Y基はO(酸素)及びNHから選択される;
YがO(酸素)の場合はR’はH(水素)である;
YがNHの場合はR’は以下から選択される:
− H、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル;
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、1以上のカルボキシ(COOH)基で置換されたフェニルアルキルから成るアミノ酸残基;
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、側鎖に沿って酸素及び硫黄から選択される異種原子を有し、1以上のカルボキシ(COOH)基を有するフェニルアルキルから成るアミノ酸残基;
− 式−CH−CH−Z−(CH−CHO)R”の残基、ここで、R”はH又はC〜C−アルキルであり、nは0〜2の整数であり、Zは酸素又は硫黄である;
− 式−(CH−NRaRbの残基、ここでnは0〜5の整数であり、それぞれのRa及びRbは、同一でも異なっていてもよく、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであり、あるいはRaとRbはそれらが結合している窒素原子とともに式(II):
【0031】
【化2】

【0032】
の3〜7員複素環を形成する、
− 式中、Wは単結合、CH、O、S又はN−Rcを意味し,ここで、RcはH、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルフェニルである;
− OR”の残基、ここで、R”はH、メチル、カルボキシメチルである;
− 式SORdの残基、ここで、RdはC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニルである。
【0033】
A基中の芳香環は、C〜C−アルキル基又はハロゲン基のような更なる基で場合により置換されていてもよい。
上記定義における「置換される」という用語は、C〜C−アルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、アミノ基、C〜C−アルキルアミノ基、ニトロ基、又はシアノ基から選択される基で置換されることを意味する。
【0034】
式(I)の化合物の好ましいA基は、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、インドール、及び7−アザ−インドールから選択される芳香環又は芳香族複素環である。
【0035】
式(I)の好ましい化合物は、基YR’がOHであるものである;YがNHである場合の好ましいR’は以下の通りである:
− グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸のアミノ酸残基、又はL−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、S−メチルシステイン、メチオニンの群から選択されるL−α−アミノ酸の残基;
− 式−CH−CH−O−(CH−CHO)R”の残基、ここでR”はH又はC〜C−アルキルである;
− 式−(CH−NRaRbの残基、ここでnは2〜3の整数であり、より好ましくは3であり、基NRaRbはN,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、1−ピペリジル、4−モルホリル、1−ピロリジル、1−ピペラジニル、1−(4−メチル)ピペラジニルである;
− 残基OR’、ここでR’はH、メチルである;
− 式SORdの残基、ここでRdはメチル、エチル又はイソプロピルである。
【0036】
式(I)の化合物の好ましいR基は、3’−ベンゾイル、3’−(4−クロロベンゾイル)、3’−(4−メチルベンゾイル)、3’−アセチル、3’−プロピオニル、3’−イソブタノイル、3’−エチル、3’−イソプロピル、4’−イソブチル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ、4’−ベンゼンスルホニルオキシ、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルメチル、4’−アセチルオキシ、4’−プロピオニルオキシ、4’−ベンゾイルオキシ、4’−アセチルアミノ、4’−プロピオニルアミノ、4’−ベンゾイルアミノである。
【0037】
式(I)の化合物の好ましいHy基は、メチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルである。
特に好ましいのは以下から選択される化合物の使用である:
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)酢酸、
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)酢酸、
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)酢酸、
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸、
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸、
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}酢酸、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
[1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸、
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸、
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)酢酸、
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸、
(1−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−3−イル)酢酸、
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)酢酸、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−カルボキシメチルアセトアミド、
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシエチル)アセトアミド、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(1−カルボキシ−2−メトキシエチル)アセトアミド、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセトアミド、
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)−N−(3−ジメチルアミノエチル)アセトアミド、
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)−N−[3−(1−ピペリジニル)プロピル]アセトアミド、
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド、
[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド、
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)−N−(2−メトキシエチル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)−N−[3−(1−モルホリノ)プロピル]アセトアミド、
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド、
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシメチル)アセトアミド、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセトアミド、
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)アセトアミド。
【0038】
更に本発明は、式(Ia):
【0039】
【化3】

【0040】
の新規2−アリール酢酸及び誘導体、並びにその医薬的に許容可能な塩を提供するものであり、
式中:
AはX原子を含み、場合により異種原子を含むか又はXがNの場合はN(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)から選択される更なる異種原子を含む、5〜6員芳香環又は芳香族複素環を意味する;5〜6員芳香環又は芳香族複素環は、場合により第2の環と融合して2環式芳香環構造又は芳香族複素環構造を生ずる;
ラベル1及び2はA環状の関連する位置を示す;
X原子はN(窒素)及びC(炭素)から選択される;
Rは以下から選択されるA環上の置換基である:
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、置換又は非置換フェニル、直鎖又は分岐鎖C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アシル、置換又は非置換ベンゾイルから選択される3(メタ)位の基;
− C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アシルオキシ、置換又は非置換ベンゾイルオキシ、C〜C−アシルアミノ、置換又は非置換ベンゾイルアミノ、C〜C−スルホニルオキシ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルオキシ、C〜C−アルカンスルホニルアミノ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルアミノ、C〜C−アルカンスルホニルメチル、置換又は非置換ベンゼンスルホニルメチル、2−フリル基;3−テトラヒドロフリル基;2−チオフェニル基;2−テトラヒドロチオフェニル基、又はC〜C−アルカノイル基、シクロアルカノイル基又はアリールアルカノイル−C〜C−アルキルアミノ基、例えばアセチル−N−メチル−アミノ、ピバロイル−N−エチル−アミノ基から選択される4(パラ)位の基;
Hyは、立体障害因子νが0.5〜0.9Åである、メチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルを含めた小さな疎水性基である(ここでνは置換のためのChartonの立体定数である);
ここで、RdはC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニルである。
【0041】
式(Ia)の好ましい化合物は、以下の化合物である:
Aはベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、インドールである;
Rdはメチル、エチル又はイソプロピルである;
Hyはメチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルから選択される。
【0042】
本発明の特に好ましい化合物は以下の通りである:
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセチル メタンスルホンアミド、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセチル メタンスルホンアミド、
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}アセチル メタンスルホンアミド、
[1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセチル メタンスルホンアミド。
【0043】
Rdが上記定義の通りである式(Ia)の化合物は、式(I)の化合物を変換し(ここで、アシルハロゲン化物、好ましくは塩化アシル、又は公知の「活性エステル」、好ましくはベンゾトリアゾールエステルのような反応性中間体においてYR’はOHである)、好適な塩基、好ましくはカリウムtert−ブトキシドの存在下で式NHSORdの化合物と反応させることにより調製される。本発明の化合物は、プロピオン鎖上にメチル基を欠いているにもかかわらず、IL−8によって誘導されるヒトPMN走化性の強力且つ選択的インヒビターである。
【0044】
上で議論したように、プロピオン鎖のキラル炭素原子上に上記メチル基を欠く分子は、ファーマコフォアの「疎水性脂肪族」特性をマッピングする際のメチル基の主要な役割のために、一般にIL−8誘導走化性アッセイにおいて不活性であることがわかっている。
【0045】
本発明の化合物の、上記及び図1に概説したファーマコフォア仮説への一般的な重ね合わせ様式を、図3及び図4に説明する。
図3は、アリール酢酸誘導体のクラスに属する以下の化合物の重ね合わせについて説明する:(2−メチル−4−イソブチルフェニル)酢酸;(2−メチル−4−イソブチルフェニル)アセチル メタンスルホンアミド;(2−メチル−4−イソブチルフェニル)アセトアミド。
【0046】
図4は、アリール酢酸誘導体のクラスに属する以下の化合物の重ね合わせについて説明する:(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸;(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセチル メタンスルホンアミド;(2−クロロ−3−ベンゾイルフェニル)アセトアミド。
【0047】
本発明の化合物は、2位(式I)の疎水性基(Hy)の予想外の特性から強力な生物活性を導き出し、図3及び図4中に固体スフェアで表されるファーマコフォアモデルの疎水性脂肪族特徴と正しく一致する。一般的なファーマコフォアの重ね合わせ様式が実際に式(I)の化合物について観察される。この仮説を部分的に又は完全にマッピングする検索されたリガンドの疎水性基(Hy)は、常に「疎水性脂肪族」特徴と一致する(固体スフェア、図3)。更に、式(I)の化合物は、低エネルギー立体構造におけるファーマコフォア仮説の他の点を部分的に又は完全にマッピングするために、官能基の必要とされる立体構造配置を示す。
【0048】
本発明の化合物は、2−アリールプロピオン酸及び誘導体のファミリーに属する公知のIL−8インヒビターに関してキラル炭素原子を欠失しているという大きな利点を有する。公知の2−アリールプロピオン酸及び誘導体の製造及び精製方法は、実際に、活性成分のコストに必然的に望ましくない影響を及ぼす複雑なエナンチオマー選択性の条件の開発又は光学分割工程の導入を必要とする。
【0049】
本発明の式(I)及び(Ia)の化合物は、一般に、有機及び無機の医薬的に許容可能な酸及び塩基との付加塩の形態で単離される。
そのような酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、クエン酸から選択される。
【0050】
そのような塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、(D,L)−リジン、L−リジン、トロメタミンから選択される。
本発明の式(I)の化合物を、IL−8及びGRO−αの画分によって誘導された多形核白血球(以後PMNという)及び単球の走化性を阻害する能力についてin vitroで評価した。この目的のため、ヘパリン化ヒト血液からPMNを単離するために、健常成人ボランティアから採血し、デキストラン沈降によって単核細胞を除去し(W.J.Mingら、J.Immunol.、138、1469、1987によって開示された手順による)、低張液によって赤血球を除去した。トリパンブルーを用いた排除により、細胞生存率を計算した。一方、Diff Quickで染色後の細胞遠心物について循環多形核細胞の比を評価した。
【0051】
ヒト組換えIL−8(Pepro Tech)を刺激物質として走化性実験に用い、実践的に同一の結果を得た:凍結乾燥タンパク質を0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する所定量のHBSSに溶解させ、10−5Mの濃度の原液を得た。これをHBSSで10−9Mの濃度まで希釈し、走化性アッセイに供した。
【0052】
走化性アッセイ(W.Falketら、J.Immunol.Methods、33、239、1980による)のあいだ、孔径5μmのPVP不含フィルター及び再生に好適なマイクロチャンバーを用いた。
【0053】
本発明の式(I)及び(Ia)の化合物を10−6〜10−10Mの濃度範囲で評価した;この目的のため、これらをマイクロチャンバーの下部孔及び上部孔に同一濃度で加えた。本発明の式(I)の化合物によるヒト単球のIL−8−誘導走化性の阻害能の評価をVan Damme J.ら(Eur.J.Immunol.、19、2367、1989)によって開示された方法にしたがい行った。
【0054】
特に好ましいのは式(I)の化合物の使用である。ここでR基は3’−ベンゾイル、3’−(4−クロロベンゾイル)、3’−(4−メチルベンゾイル)、3’−アセチル、3’−プロピオニル、3’−イソブタノイル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ、4’−ベンゼンスルホニルオキシ、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルメチル、4’−アセチルオキシ、4’−プロピオニルオキシ、4’−ベンゾイルオキシ、4’アセチルアミノ、4’プロピオニルアミノ、4’−ベンゾイルアミノである;この活性は、CXCR2経路が特異的に関与するか、又はCXCR1シグナル伝達とともに関与するIL−8関連病理におけるこれら化合物の治療的用途を可能にする。
【0055】
IL−8及びGRO−αで誘導される生物活性の2重インヒビターは、目的の治療適用に照らして非常に好ましいが、CXCR1 IL−8レセプター又はCXCR2 GRO−α/IL−8レセプターに選択的に作用する所望の化合物が、以下に記載するような特定の病理の管理において治療適用に有用であることが見出し得る。
【0056】
IL−8誘導PMN走化性(CXCR1)のインヒビターとして、又はIL−8及びGRO−αで誘導されるPMN走化性(CXCR1/CXCR2)の2重インヒビターとして高い可能性を示す化合物の生物活性を表1に報告する。
【0057】
【表1】

【0058】
本発明の全ての化合物は、C5a(10−9M)又はf−MLP(10−8M)によって誘導される走化性と比較して、IL−8誘導走化性の阻害に高度に選択的であることを証明した。
【0059】
式(I)及び(Ia)の化合物は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素のインヒビターとして全体的に有効でないことがわかった。多くの場合、式(I)の化合物は、リポ多糖刺激(LPS、1μg/mL)によってマウスマクロファージにおいて誘導されるPGE産生を10−5〜10−7Mの濃度範囲で妨げない。記録され得るPGE産生の阻害は、ほとんど統計的有意差の限界であり、より頻繁には、基底値の15〜20%以下である。COXの阻害における有効性の低下は、本発明の化合物を治療適用するための利点を構成する。これはプロスタグランジン合成の阻害が、好中球活性化の重要なメディエーターであり、そしてサイトカイン インターロイキン−8の産生刺激であるTNF−αのマクロファージ細胞による合成を増幅(LPS又は過酸化水素によって誘導される)するための刺激を構成するのと同様である。
【0060】
上で議論した実験証拠並びにインターロイキン−8(IL−8)及びその同属体によって行われる役割を考慮すると、好中球の活性化及び浸潤に関与する工程において、本発明の化合物は、乾癬(R.J.Nicholoffら、Am.J.Pathol.、138、129、1991)のような疾患の治療に特に有用である。本発明の化合物で治療し得る更なる疾患は、潰瘍性大腸炎のような腸の慢性炎症性病理(Y.R.Mahidaら、Clin.Sci.、82、273、1992)及び黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ(M.Selzら、J.Clin.Invest.、87、463、1981)、特発性線維症(E.J.Miller、先に引用、及びP.C.Carreら、J.Clin.Invest.、88、1882、1991)、糸球体腎炎(T.Wadaら、J.Exp.Med.、180、1135、1994)であり、虚血及び再潅流によって引き起こされる障害の予防及び治療である。
【0061】
CXCR1及びCXCR2の活性化のインヒビターは、上述のように有用な適用、特にIL−8の2つのレセプターの活性化が疾患の発症に重大な病態生理学的役割を果たすと思われる慢性炎症性病理(例えば乾癬)の治療を見出す。
【0062】
実際、CXCR1の活性化は、IL−8−介在PMN走化性に必須であることが知られている(Hammond Mら、J Immunol、155、1428、1995)。一方、CXCR2活性化は、IL−8−介在上皮細胞増殖及び乾癬患者の血管新生に必須であると思われる(Kulke Rら、J Invest Dermatol、110、90、1998)。
【0063】
加えて、CXCR2選択的アンタゴニストは、慢性閉塞性肺疾患COPDのような重要な肺疾患の管理に特に有用な治療適用を見出す(D.WP Hay及びH.M.Sarau.、Current Opinion in Pharmacology 2001、1:242−247)。
【0064】
したがって、本発明の更なる目的は、乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎の治療、並びに虚血及び再潅流によって引き起こされる障害の予防及び治療のための医薬の製造における式(I)及び(Ia)の化合物の使用を提供することである。また、本発明は、医薬として使用するための式(Ia)の化合物を提供する。
【0065】
本発明の化合物及びその好適な担体を含む医薬組成物も本発明の範囲内である。
本発明の化合物は、実際、慣用的に採用されるアジュバント、担体、希釈剤、又は賦形剤とともに、医薬組成物又はその単位用量の形態中に入れることができる。そのような形態では、錠剤又は充填カプセルのような固体として、あるいは溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、又は同一物を充填したカプセルのような液体として採用され、全て経口用途、又は非経口(皮下を含む)用途のための滅菌注射液の形態である。そのような医薬組成物及びその単位剤形は、成分を慣用の比率で含むことができ、追加の活性化合物又は成分を含んでいても含まなくてもよい。そのような単位剤形は、採用される意図した日用量範囲と釣り合いのとれた好適な有効量の活性成分を含有してもよい。
【0066】
医薬として採用する場合、本発明のアリール酢酸及びその誘導体は典型的には医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は医薬分野に周知の方法で調製でき、少なくとも1つの活性化合物を含む。一般に、本発明の化合物は医薬的に有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、治療すべき病態、選択した投与経路、実際の投与化合物、個々の患者の年齢、体重及び反応性、患者の症状の重篤度などを含めた関連する状況に照らして、典型的には医師によって決定されるであろう。
【0067】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、及び鼻腔内を含めたさまざまな経路から投与することができる。化合物は意図する送達経路により注射用又は経口用組成物として製剤化されることが好ましい。経口投与用組成物は、バルク液体溶液又は懸濁液又はバルク粉末の形態を採ることができる。しかしながら、より一般的には、正確な投薬を容易にするために組成物は単位剤形中に存在する。「単位剤形」という用語は、ヒト及び他の動物のための単一用量として好適な、物理的に別個の単位を意味する。各単位は所望の治療効果を生ずるように計算された所定量の活性物質を好適な医薬賦形剤とともに含有する。典型的な単位剤形には、液体組成物の場合は予め充填され、予め測定されたアンプル又はシリンジが、固体組成物の場合には丸剤、錠剤、カプセルなどが含まれる。そのような組成物において、酢酸化合物又はその誘導体は通常微量成分であり(約0.1〜約50重量%、又は好ましくは約1〜約40重量%)、残りは所望の剤形の形成に有用なさまざまなビヒクル又は担体及び加工助剤である。
【0068】
経口投与に好適な液体形態は、好適な水性又は非水性のビヒクルを、緩衝液、懸濁剤及び分散剤、着色剤、着香料などとともに含んでいてもよい。以下に記載の注射用組成物を含む液体形態は、ヒドロペルオキシド又はペルオキシドの形成のようなあらゆる光の触媒作用を避けるため、常に遮光して保存される。固体形態は、例えば以下の成分、又は類似の性質の化合物を含んでいてもよい:微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンのような結合剤;スターチ又はラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル又はコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖又はサッカリンのような甘味剤;あるいはペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジフレーバーのような着香料。
【0069】
注射用組成物は、典型的には注射用滅菌生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水又は当該技術分野に公知の他の注射用担体に基づいている。上記のように、そのような組成物中の式(I)のアリール酢酸誘導体は、典型的には微量成分であり、0.05〜10重量%であることが多く、残りは注射用担体などである。平均日用量は、患者の重篤度及び患者の状態(年齢、性別及び体重)のようなさまざまな因子に依存するであろう。用量は、一般に1日あたり式(I)の化合物1mg又は数mg〜1500mgで変化するであろう。場合により複数回投与に分けてもよい。本発明の化合物は長期にわたって毒性が低いため、高用量で投与することも可能である。
【0070】
経口投与用又は注射用組成物の前記成分は単に代表的なものである。更なる材料及び処理技術等は、本明細書中に援用される『レミントンの薬学ハンドブック』、第18版、1990、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルバニアの第8部に記載されている。
【0071】
本発明の化合物は、徐放性の形態で又は徐放性薬物送達システムから投与することもできる。上記レミントンのハンドブック中の援用部分に、代表的な徐放性物質についての記述も見出すことができる。
【0072】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲を限定するものとみなすものとして解釈されるべきではない。
材料及び方法
アリール酢酸の合成
【実施例1】
【0073】
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)酢酸
市販の試薬2−ヒドロキシベンゾフェノンから出発して、イタリア国特許第1,283,649号に記載の実験手順にしたがい、1−[(2’−ヒドロキシ−3’−ベンゾイル)フェニル]プロプ−2−エンを良好な収率(>75%)で合成した。
【0074】
無水CHCl(70ml)中の1−[(2’−ヒドロキシ−3’−ベンゾイル)フェニル]プロプ−2−エン(33ミリモル)の冷却した(T=−15℃)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(59.7ミリモル)を加え、得られる溶液を撹拌したままT=−15°Cで30分間放置する。次に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(40.16ミリモル)を溶液中に滴下し、添加が終了したら混合物を撹拌したまま1時間放置する。混合物に2N HCl(100mL)を加えて急冷すると2相に分離する;有機相を2N HCl(100mL)で再び洗浄し、水(2×100mL)で洗浄し、そしてNaCl飽和溶液(2×70ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させると、1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]プロプ−2−エン(31.3ミリモル)を以下の工程での使用に十分な粗精製油状物として得る。
【0075】
CHCl(90ml)中の1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]プロプ−2−エン(30ミリモル)の溶液に、水(90mL)、酢酸、(18.2mL)及びAliquat(1.46ミリモル)を加える。KMnO(103ミリモル)を90分間で少しずつ加える。添加が終了したら混合物を撹拌下で一晩放置する。溶液が完全に漂白されるまで10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液を滴下する。2相が分離し、有機相をNaCl飽和溶液(2×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィの後、1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]酢酸(15ミリモル)を黄白色の粗精製油状物として得る。
【0076】
H−NMR(CDCl):δ7.85(m,2H);7.68(m,2H);7.45(m,4H);3.90(s,2H);2.20(bs,1H,COO).
1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]酢酸(10.3ミリモル)をメチルアルコール(30mL)に溶解させ、96%HSO(0.2mL)を加える。室温で一晩撹拌後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗製物をCHCl(50ml)で希釈し、水(3×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させると、1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]酢酸メチルエステルを黄色油状物として得る(9.2ミリモル)。
【0077】
H−NMR(CDCl):δ7.80(m,2H);7.65(m,2H);7.45(m,4H);3.90(s,2H);3.72(s,3H).
Mitchell T.N.、Synthesis、803、1992、及びRitter K.、Synthesis、735、1993に記載の方法にしたがい、1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]酢酸メチルエステルから出発して、前記triflateをオルガノスタンナンと反応させることにより、2−メチル誘導体を調製した。
【0078】
1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−ベンゾイル)フェニル]酢酸メチルエステル(7.5ミリモル)から出発して、酸を合成し、これを無水N−メチル−2−ピロリドン(25ml)に溶解した;混合物に、無水LiCl(22.5ミリモル)、トリフェニルアルシン(0.3ミリモル)及びジパラジウムトリベンジリデンアセトン(0.14ミリモル Pd)を加えた。室温で5分後、テトラメチルスズ(8.4ミリモル)を加え、溶液をT=60℃で3時間撹拌する。溶液を室温まで冷却後、混合物をn−ヘキサンで希釈し、KF飽和溶液を加える;ろ過及び相分離後、有機相をNaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製することにより、(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)酢酸メチルエステルを得る(Ritter K.、Synthesis、735、1993、及びMitchell T.N.、Synthesis、803、1992)。
【0079】
1N NaOH(5ml)を、1,4−ジオキサン(5ml)中のエステル溶液に加え、溶液を室温で一晩撹拌する。溶媒蒸発後、産物が完全に沈殿するまで混合物を2N HClでpH=2まで酸性にする。これをろ過によって白色固体として単離する。
【0080】
H−NMR(CDCl):δ10.50(bs,1H,COO);7.80(m,2H);7.65(m,2H);7.45(m,4H);3.45(s,2H);2.25(s,3H).
【実施例2】
【0081】
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸
イタリア国特許第1,283,649号に記載の手順にしたがい、市販の試薬2’−ヒドロキシアセトフェノンから出発して、中間体1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−イソプロピル)フェニル]酢酸メチルエステルを合成した。
【0082】
H−NMR(CDCl):δ7.55−7.40(m,3H);3.85(s,2H);3.70(s,3H);2.45(s,3H).
無水THF(テトラヒドロフラン)(5mL)中の1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−イソプロピル)フェニル]酢酸メチルエステル(7.5ミリモル)の溶液を、無水THF(10mL)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(7.5ミリモル)とn−BuLi(7.5ミリモル;1.6M、n−ヘキサン中)との混合物にゆっくり滴下する。添加終了後、混合物を撹拌下、室温で一晩放置する。10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(20mL)を滴下すると、2相が分離する;有機相をNaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製することにより、1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−イソプロペン−2’−イル)フェニル]酢酸メチルエステルを無色油状物として得る(5.28ミリモル)。
【0083】
H−NMR(CDCl):δ7.55−7.40(m,3H);5.50(s,2H);3.80(s,2H);3.74(s,3H);1.63(s,3H).
無水エチルアルコール中のPd/Cを用いた水素添加分解により1−[(2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3−イソプロペン−2’−イル)フェニル]酢酸メチルエステルの還元を行ない、触媒をろ過し、母液を減圧下で蒸発させた後、純粋な(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸メチルエステルを黄白色油状物として得た(5ミリモル)。
【0084】
H−NMR(CDCl):δ7.52−7.45(m,3H);3.82(s,2H);3.70(s,3H);2.65(m,1H);1.25(d,6H,J=8Hz).
実施例1に記載の手順にしたがい、(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸メチルエステル(7.0ミリモル)から出発して、純粋な(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸を合成した(5.45ミリモル)。
【0085】
H−NMR(CDCl):δ11.2(bs,1H,COO);7.35−7.20(m,3H);3.80(s,2H);2.55(m,1H);2.22(s,3H);1.28(d,6H,J=8Hz).
【実施例3】
【0086】
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)酢酸
イタリア国特許第1,283,649号に記載の手順にしたがい、市販の試薬2’−ヒドロキシプロピオフェノンから出発して、中間体1−[(2−ヒドロキシ−3−プロピオニル)フェニル]プロプ−2−エンを合成した。
【0087】
Bayら、J.Org.Chem.、Vol.32、3415、1990に記載の手順にしたがい、化合物をPhPClで処理することにより、1−[(2−クロロ−3−プロピオニル)フェニル]プロプ−2−エン(5.1ミリモル)を得た。実施例1に記載の2重結合酸化の手順にしたがい、純粋な(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)酢酸を合成した(4.15ミリモル)。
【0088】
H−NMR(CDCl):δ10.18(bs,1H,COO);7.40−7.24(m,3H);3.65(s,2H);2.75(q,2H,J=8Hz,J=3Hz);1.15(t,3H,J=8Hz).
【実施例4】
【0089】
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)酢酸
類似のアリールプロピオン酸の合成に用いたWO01/58852A2に記載の同様の実験手順にしたがい、出発試薬2−(2−アセトキシ−4−ペルフルオロブタンスルホニルオキシ)フェニル酢酸メチルエステル(公知の手順にしたがって調製)から、2重Stille反応により化合物を調製した。
【0090】
H−NMR(CDCl):δ7.22(d,1H,J=8Hz);7.05(d,1H,J=8Hz);6.92(s,1H);3.50(s,2H);2.40(d,2H,J=7Hz);2.20(s,3H);1.95(m,1H);0.95(d,6H,J=7Hz).
【実施例5】
【0091】
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸
化合物の合成は以下のように行った:
市販の試薬2−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸を、Hase T.A.ら、Synthetic Communications、10(3)、221−224、1980に記載の実験手順にしたがい、メチルケトンへのメルドラム酸経路により2−ヒドロキシ−4−ニトロアセトフェノンに変換した。2−ヒドロキシ−4−ニトロアセトフェノンをトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理すると2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ誘導体を得、実施例1に記載の実験手順にしたがい、Stille反応により2−メチル−4−ニトロアセトフェノンを得た。
【0092】
2−メチル−4−ニトロアセトフェノンから出発して、イタリア国特許第1,283,649号に記載の手順にしたがい、2−メチル−4−ニトロフェニル酢酸メチルエステルを合成した。
【0093】
H−NMR(CDCl):δ7.50−7.42(m,3H);3.80(s,2H);3.64(s,3H);2.25(s,3H).
無水THF(20mL)及びメチルアルコール(20mL)中の2−メチル−4−ニトロフェニル酢酸メチルエステル(10ミリモル)溶液に、ギ酸アンモニウム(0.1mol)及び10%Pd/C(0.5g)を加え、得られた混合物を、出発試薬が完全に消滅するまで撹拌したまま3時間放置した。触媒をろ過して除去し、ろ液をを真空下で蒸発させると、2−メチル−4−アミノフェニル酢酸メチルエステルをろう状固体として得た(9.22ミリモル)。
【0094】
H−NMR(CDCl):δ7.51(m,1H);7.40(m,1H);7.15(m,1H);5.00(bs,2H,N);3.82(s,2H);3.65(s,3H);2.20(s,3H).
アセトン(10mL)中の2−メチル−4−アミノフェニル酢酸メチルエステル(5.3ミリモル)の溶液に、無水ピリジン(7.95ミリモル)及び塩化フェニルスルホニル(6.36ミリモル)を加え、得られた溶液を撹拌したまま室温で一晩放置した。アセトンを蒸発させ、残渣をCHCl(15mL)で希釈し、1N HCl(2×10mL)で洗浄し、水(3×20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させると、以下の反応に用いられる純粋な{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸メチルエステルを無色油状物として得る(5.0ミリモル)。実施例1に記載の手順にしたがい、メチルエステル(5.0ミリモル)から出発して、純粋な{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸を合成した(4.75ミリモル)。
【0095】
H−NMR(CDCl):δ9.40(s,1H,SO);7.73(m,2H);7.42(m,3H);7.50(m,1H);7.45(m,1H);7.15(m,1H);3.82(s,2H);2.21(s,3H).
同様の実験手順にしたがい、試薬トリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いて以下の化合物を合成した。
【実施例6】
【0096】
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸
H−NMR(CDCl):δ9.35(s,1H,SO);7.54(m,1H);7.40(m,1H);7.20(m,1H);3.80(s,2H);2.25(s,3H).
【実施例7】
【0097】
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}酢酸
Bayら、J.Org.Chem.、Vol.32、3415、1990に記載の実験手順にしたがい、中間体2−ヒドロキシ−4−ニトロアセトフェノン(実施例5に記載)から出発して、2−クロロ誘導体の合成を行なった。実施例5に記載したのと同様の手順にしたがい、中間体2−クロロ−4−ニトロアセトフェノンを中間体2−クロロ−4−アミノフェニル酢酸メチルエステルに変換した。
【0098】
H−NMR(CDCl):δ7.55−7.45(m,3H);3.85(s,2H);3.60(s,3H).
有機合成、III、453に記載のように、2−クロロ−4−アミノフェニル酢酸メチルエステルを酸性条件において亜硝酸ナトリウムで処理後、ジアゾニウムイオンをヒドロキシル基で置換し、(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)酢酸を白色固体として得た。
【0099】
H−NMR(CDCl):δ7.74−7.60(m,3H);6.35(bs,1H,O);3.85(s,2H).
無水ピリジン(1mL)中の上記(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)酢酸(2ミリモル)とトリフルオロメタンスルホン酸無水物(4ミリモル)との混合物をT=60℃で24時間加熱した。室温で冷却後、反応混合物を1N HCl(5mL)に注ぎ入れ、水溶液をCHCl(3×10mL)で抽出した。回収した有機抽出物を1N NaOH(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させると、粗製残渣を得る。粗製物をイソプロピルエーテル中で結晶化すると純粋な{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}酢酸を白色固体として得る(1.25ミリモル)。
【0100】
H−NMR(CDCl):δ7.70−7.62(m,3H);3.85(s,2H).
【実施例8】
【0101】
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸
市販の試薬1−メチル−2−ピロールカルボキシアルデヒド及び塩化ベンゾイルから出発して、Di Santo R.ら、Synth.Comm.、25(6)、787−793(1995)に記載の実験手順にしたがい、化合物を合成した。
【0102】
H−NMR(CDCl):δ7.85(m,2H);7.52(m,1H);7.45(m,2H);6.70(s,1H);6.15(s,1H);3.97(s,3H);3.75(s,2H);3.0(bs,1H,COO).
同様の実験手順にしたがい、関連する市販の塩化アシルから出発して、以下の化合物を調製した。
【実施例9】
【0103】
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=8Hz);7.58(d,2H,J=8Hz);7.20(s,1H);6.68(s,1H);3.75(s,2H);3.70(s,3H).
【実施例10】
【0104】
[1−メチル−5−[(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸
H−NMR(CDCl):δ7.80(d,2H,J=8Hz);7.55(d,2H,J=8Hz);7.18(s,1H);6.72(s,1H);3.75(s,2H);3.70(s,3H);2.35(s,3H).
【実施例11】
【0105】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸
H−NMR(CDCl):δ6.90(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);3.80(s,3H);3.62(s,2H);2.32(s,3H).
【実施例12】
【0106】
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸
H−NMR(CDCl):δ7.55(s,1H);6.32(s,1H);3.65(s,2H);3.52(s,3H);3.15(m,1H);1.05(d,6H,J=7Hz).
【実施例13】
【0107】
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)酢酸
Bertschy H.ら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29(7)、777−778(1990)に記載されているように中間体(2−メチル−1H−ピロール−3−イル)酢酸エチルエステルを合成した。
【0108】
周知の手順(NaH/塩化ベンゾイル)による以下のN−ベンゾイル化及びエステル加水分解により所望の産物を得る。
H−NMR(CDCl):δ8.15(m,2H);7.60(m,1H);7.45(m,2H);6.95(d,1H,J=3Hz);6.32(d,1H,J=3Hz);4.50(bs,1H,COO);3.85(s,2H);2.35(s,3H).
【実施例14】
【0109】
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)酢酸
周知文献の手順による多工程合成により産物を合成した。市販の試薬マロン酸ジエチルとブロモアセトアルデヒドジメチルアセタールの縮合とアセタール加水分解により中間体アルデヒドを得、アンモニアガスで処理し、単離されていない中間体エナミンを脱水した後、純粋な中間体2−ヒドロキシピロール−3−酢酸エチルエステルを得る。
【0110】
H−NMR(CDCl):δ10.35(bs,1H,N);7.21(d,1H,J=3Hz);7.05(bs,1H,O);6.35(d,1H,J=3Hz);4.12(q,2H,J=7Hz);3.45(s,2H);1.31(t,3H,J=7Hz).
ピロール中間体をPClで処理すると2−クロロ誘導体を得る。これを通常の条件(NaOH/CHOH)でエステル加水分解し、N−ベンゾイル化すると、純粋な化合物(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)酢酸を白色固体として与える(収率78%)。
【0111】
H−NMR(DMSO−d):δ8.15(m,2H);7.60(m,1H);7.45(m,2H);6.92(d,1H,J=3Hz);6.35(d,1H,J=3Hz);4.65(bs,1H,COO);3.82(s,2H).
【実施例15】
【0112】
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)酢酸
市販の試薬2−メチル−3−インドール酢酸(3ミリモル)を、周知の手順により無水THF(10mL)中のNaH(6.6ミリモル)及び塩化ベンゾイル(6.6ミリモル)で処理した。通常の反応が徐々に進み、イソプロピルエーテル中の残渣が結晶化して、純粋な(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)酢酸を白色固体としてもたらす(2.25ミリモル)。
【0113】
H−NMR(CDCl):δ7.82−7.70(m,3H);7.55(t,2H,J=8.5Hz);6.90−6.80(m,2H);6.65(m,2H);3.62(s,2H);3.30(s,3H).
【実施例16】
【0114】
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸
市販の試薬2−メチル−3−インドール酢酸(3ミリモル)を、周知の手順により無水THF(10mL)中のNaH(6.6ミリモル)及び4−クロロ塩化ベンゾイル(6.6ミリモル)で処理した。通常の反応が徐々に進み、イソプロピルエーテル中の残渣の結晶化により純粋な[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸を白色固体としてもたらした(2.01ミリモル)。
【0115】
H−NMR(CDCl):δ7.80−7.70(t,2H,J=8.5Hz);7.55(t,2H,J=8.5Hz);6.90(s,1H);6.80(m,1H);3.60(s,2H);3.30(s,3H).
【実施例17】
【0116】
(1−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−3−イル)酢酸
市販の試薬1H−ピロール[2,3−b]ピリジン(3ミリモル)を、周知の手順により無水THF(10mL)中のNaH(3.3ミリモル)及び塩化イソプロピル(3.3ミリモル)で処理した。通常の反応が徐々に進み、クロマトグラフィによる残渣の精製で純粋な1−イソプロピル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジンを白色固体としてもたらす(2.83ミリモル)。
【0117】
H−NMR(CDCl):δ7.65(m,1H);7.15−7.08(m,2H);7.00(m,1H);6.50(m,1H);3.12(m,1H);1.05(d,6H,J=7Hz).
Chi S.M.ら、Tetrahedron Letters、41、919−922(2000)に記載の実験手順にしたがい、1−イソプロピル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン(2.5ミリモル)から出発して、(1−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−3−イル)エトキシアセテートを単離した(2.0ミリモル)。相間移動触媒作用条件(実施例1に記載)におけるKMnOでの最終酸化で所望の産物(1−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−3−イル)酢酸をもたらした(1.85ミリモル)。
【0118】
H−NMR(CDCl):δ7.15(m,1H);7.10(m,1H);6.95(m,1H);3.55(s,2H);3.11(m,1H);2.35(s,3H);1.05(d,6H,J=7Hz).
【実施例18】
【0119】
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)酢酸
2−ヒドロキシベンゾフェノンから公知の手順で調製した(3−ベンゾイル−2−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステルを、アセトン中の炭酸カリウム及びヨードメタンで処理し、対応する2−メトキシ誘導体を得、通常の加水分解(NaOH/CHOH)後、(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)酢酸を白色固体として得た。
【0120】
H−NMR(CDCl):δ7.90(d,2H,J=7Hz);7.62(m,1H);7.50−7.40(m,3H);7.35(m,1H);7.15(t,1H,J=7Hz);3.82(s,2H);3.60(s,3H).

アリール酢酸アミドの合成
WO01/58852に記載の実験手順にしたがい、関連する酢酸から出発して、以下の化合物を合成した。
【実施例19】
【0121】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ6.92(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);5.25(bs,2H,CON);3.81(s,3H);3.68(s,2H);2.35(s,3H).
【実施例20】
【0122】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−カルボキシメチルアセトアミド
H−NMR(CDCl):δ6.90(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);5.95(d,1H,J=7Hz,CON);4.05(d,2H,J=7Hz);3.81(s,3H);3.68(s,2H);2.35(s,3H).
【実施例21】
【0123】
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ6.92(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);6.00(bs,1H,CON);4.53(q,1H,J=7Hz);3.81(s,3H);3.68(s,2H);2.35(s,3H);1.55(d,3H,J=7Hz).
【実施例22】
【0124】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.75(bs,1H,CON);6.92(d,1H,J=3Hz);6.28(d,1H,J=3Hz);4.10(s,3H);3.80(s,2H);3.54(m,2H);2.48(t,2H,J=7Hz);2.40(s,3H);2.19(s,6H);1.76(m,2H).
【実施例23】
【0125】
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(1−カルボキシ−2−メトキシエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.45(bs,1H,CON);6.92(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);4.53(q,1H,J=7Hz);3.81(s,3H);3.68(s,2H);3.20(s,3H);3.15(d,2H,J=7Hz);2.35(s,3H).
【実施例24】
【0126】
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.20(d,1H,J=8Hz);7.05(d,1H,J=8Hz);6.95(s,1H);5.70(bs,2H,CON);3.68(s,2H);2.40(d,2H,J=7Hz);2.22(s,3H);1.95(m,1H);0.95(d,6H,J=7Hz).
【実施例25】
【0127】
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)−N−(3−ジメチルアミノエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.50(bs,1H,CON);7.40−7.24(m,3H);3.62(s,2H);3.54(m,2H);2.75(q,2H,J=8Hz,J=3Hz);2.25(t,2H,J=7Hz);2.19(s,6H);1.15(t,3H,J=8Hz).
【実施例26】
【0128】
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)−N−[3−(1−ピペリジニル)プロピル]アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.45(bs,1H,CON);7.35−7.20(m,3H);3.80(s,2H);3.50(m,2H);3.32(m,2H);2.95(m,2H);2.55(m,1H);2.45(m,2H);2.22(s,3H);2.10(m,2H);1.90(m,6H);1.28(d,6H,J=8Hz).
【実施例27】
【0129】
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.82(m,2H);7.60(m,2H);7.45(m,4H);5.45(bs,2H,CON);3.70(s,2H);2.25(s,3H).
【実施例28】
【0130】
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.82−7.70(m,3H);7.55(t,2H,J=8.5Hz);6.90−6.80(m,2H);6.65(m,2H);5.75(bs,2H,CON);3.68(s,2H);3.30(s,3H).
【実施例29】
【0131】
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.80−7.72(m,3H);7.60(bs,1H,CON);7.55(t,2H,J=8.5Hz);6.90−6.80(d,2H,J=8Hz);6.65(d,2H,J=8Hz);3.80(s,2H);3.58(m,2H);3.30(s,3H);2.50(t,2H,J=7Hz);2.20(s,6H);1.80(m,2H).
【実施例30】
【0132】
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.80−7.70(m,2H,J=8.5Hz);7.55(t,2H,J=8.5Hz);6.92−6.80(d,2H,J=8Hz);6.68(d,2H,J=8Hz);5.62(bs,2H,CON);3.70(s,2H);3.30(s,3H).
【実施例31】
【0133】
[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.82−7.75(m,2H,J=8.5Hz);7.55(m,2H);6.92−6.70(m,3H);5.60(bs,2H,CON);3.82(s,3H);3.66(s,2H);3.30(s,3H).
【実施例32】
【0134】
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.70−7.62(m,3H);5.90(bs,1H,CON);3.80(s,2H);3.65(m,2H);3.55−3.32(m,6H);2.05(bs,1H,O).
【実施例33】
【0135】
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)−N−(2−メトキシエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ8.12(m,2H);7.60(m,1H);7.50(m,2H);6.92(d,1H,J=3Hz);6.32(d,1H,J=3Hz);5.65(bs,1H,CON);3.75(s,2H);3.25(t,2H,J=8Hz);3.20(s,3H);2.97(m,2H);2.35(s,3H).
【実施例34】
【0136】
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)−N−[3−(1−モルホリノ)プロピル]アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ8.15(m,2H);7.60(m,1H);7.45(m,2H);6.92(d,1H,J=3Hz);6.35(d,1H,J=3Hz);6.20(bs,1H,CON);3.78(s,2H);3.25(m,4H);2.98(m,2H);2.45(m,6H);1.80(m,2H).
【実施例35】
【0137】
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.50(s,1H);6.35(s,1H);5.85(bs,2H,CON);3.77(s,2H);3.50(s,3H);3.18(m,1H);1.05(d,6H,J=7Hz).
【実施例36】
【0138】
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシメチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ10.53(bs,1H,COO).7.85(m,2H);7.52(m,1H);7.45(m,2H);6.70(s,1H);6.15(s,1H);5.95(d,1H,J=7Hz,CON);4.05(d,2H,J=7Hz)3.95(s,3H);3.68(s,2H).
【実施例37】
【0139】
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=8Hz);7.55(d,2H,J=8Hz);7.40(bs,1H,CON);7.35(s,1H);6.65(s,1H);3.70(s,2H);3.65(s,3H);3.60(m,2H);3.50−3.42(m,6H);2.25(bs,1H,O).
【実施例38】
【0140】
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=8Hz);7.58(d,2H,J=8Hz);7.20(s,1H);6.68(s,1H);6.35(bs,2H,CON);3.70(s,3H);3.66(s,2H).
【実施例39】
【0141】
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ9.20(s,1H,SO);7.75(m,2H);7.65(bs,1H,CON);7.42(m,3H);7.50(m,1H);7.45(m,1H);7.12(m,1H);3.88(s,2H);3.58(m,2H);2.50(t,2H,J=7Hz);2.35(s,6H);2.21(s,3H);1.80(m,2H).
【実施例40】
【0142】
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)アセトアミド
H−NMR(CDCl):δ7.90(d,2H,J=7Hz);7.62(m,1H);7.50−7.40(m,3H);7.35(m,1H);7.15(t,1H,J=7Hz);6.55(bs,2H,CON);3.82(s,3H);3.66(s,2H).

アリール酢酸メタンスルホンアミドの合成
WO00/24710に記載の実験手順にしたがい、関連する酢酸から出発して、以下の化合物を合成した。
【実施例41】
【0143】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセチル メタンスルホンアミド
H−NMR(CDCl):δ7.50(bs,1H,CON);6.90(d,1H,J=3Hz);6.05(d,1H,J=3Hz);3.80(s,3H);3.58(s,2H);3.22(s,3H);2.32(s,3H).
【実施例42】
【0144】
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセチル メタンスルホンアミド
H−NMR(CDCl):δ7.20(d,1H,J=8Hz);7.10(bs,1H,CON);7.00(d,1H,J=8Hz);6.85(s,1H);3.65(s,2H);3.22(s,3H);2.40(d,2H,J=7Hz);2.22(s,3H);1.95(m,1H);0.95(d,6H,J=7Hz).
【実施例43】
【0145】
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}アセチル メタンスルホンアミド
H−NMR(CDCl):δ9.42(bs,1H,SO);7.45(bs,1H,CON);7.52(m,1H);7.45(m,1H);7.20(m,1H);3.85(s,2H);3.45(s,3H);2.25(s,3H).
【実施例44】
【0146】
[1−メチル−5−[(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセチル メタンスルホンアミド
H−NMR(CDCl):δ7.80(d,2H,J=8Hz);7.55(d,2H,J=8Hz);7.38(bs,1H,CON);7.18(s,1H);6.72(s,1H);3.82(s,2H);3.70(s,3H);3.42(s,3H);2.35(s,3H).
実施例1〜44の化合物の化合物名及び構造式を表2に報告する。
【0147】
【表2−1】

【0148】
【表2−2】

【0149】
【表2−3】

【0150】
【表2−4】

【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】図1は、それぞれCXCR1インヒビター及びCXCR1/CXCR2インヒビターのファーマコフォアの4つの共通する特徴を図示している。以下の特徴タイプは、ファーマコフォア部分:2つの水素結合受容体、1つの疎水性芳香族、及び1つの疎水性脂肪族に関与する。(芳香族及び脂肪族)疎水性特徴は、半径1.7Åのスフェアによって表される。水素結合受容体は、その中心が3.0Å離れている2つのスフェアから成るベクター関数によって表される。より小さな(半径1.7Å)スフェアは、リガンド上の水素結合受容体原子の位置を定義しており、より大きなスフェア(2.3Å)は、レセプター部位からの水素結合受容体の投影点を定義している。固体スフェアは、フェニルプロピオン部分のメチル基の3D空間における正確な位置を表している。
【図2】図2は、以下のアリールプロピオン酸誘導体:R(−)2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸;R(−)2−(4−イソブチルフェニル)プロピオニル メタンスルホンアミド;R(−)−N−(2’−ヒドロキシエトキシエチル)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオンアミドの重ね合わせを示している。固体スフェアは、フェニルプロピオン部分のメチル基の3D空間における正確な位置を表している。
【図3】図3は、以下のアリール酢酸誘導体:(2−メチル−4−イソブチルフェニル)酢酸;(2−メチル−4−イソブチルフェニル)アセチル メタンスルホンアミド;(2−メチル−4−イソブチルフェニル)アセトアミドの重ね合わせを示している。
【図4】図4は、以下のアリール酢酸誘導体:(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸;(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセチル メタンスルホンアミド;(2−クロロ−3−ベンゾイルフェニル)アセトアミドの重ね合わせを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL−8誘導ヒトPMN走化性を阻害するための医薬の製造における、式(1):
【化1】

の2−アリール酢酸化合物及び誘導体、並びにその医薬的に許容可能な塩の使用であって、
式中、
AはX原子を含み、場合により異種原子を含むか又はXがNの場合はN(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)から選択される更なる異種原子を含む5〜6員芳香環又は芳香族複素環を意味する;5〜6員芳香環又は芳香族複素環は、場合により第2の環と融合し、2環式芳香環構造又は芳香族複素環構造を生ずる;
ラベル1及び2は、A環上の関連位置を示す;
X原子はN(窒素)及びC(炭素)から選択される;
RはA環上の置換基であり、以下から選択される:
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、置換又は非置換フェニル、直鎖又は分岐鎖C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アシル、置換又は非置換ベンゾイルから選択される3(メタ)位の基;
− C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アシルオキシ、置換又は非置換ベンゾイルオキシ、C〜C−アシルアミノ、置換又は非置換ベンゾイルアミノ、C〜C−スルホニルオキシ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルオキシ、C〜C−アルカンスルホニルアミノ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルアミノ、C〜C−アルカンスルホニルメチル、置換又は非置換ベンゼンスルホニルメチル、2−フリル基;3−テトラヒドロフリル基;2−チオフェニル基;2−テトラヒドロチオフェニル基、又はC〜C−アルカノイル基、シクロアルカノイル基若しくはアリールアルカノイル−C〜C−アルキルアミノ基から選択される4(パラ)位の基;
Hyは、立体障害因子νが0.5〜0.9Åである、メチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルを含めた小さな疎水性基である(ここで、νは置換のためのChartonの立体定数である);
Y基はO(酸素)及びNHから選択される;
YがO(酸素)の場合はR’はH(水素)である;
YがNHの場合はR’は以下から選択される:
− H、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル;
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、1以上のカルボキシ(COOH)基で置換されたフェニルアルキルから成るアミノ酸残基;
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、側鎖に沿って酸素及び硫黄から選択される異種原子を有し、1以上のカルボキシ(COOH)基を有するフェニルアルキルから成るアミノ酸残基;
− 式−CH−CH−Z−(CH−CHO)R”の残基、ここで、R”はH又はC−C−アルキルであり、nは0〜2の整数であり、Zは酸素又は硫黄である;
− 式−(CH−NRaRbの残基、ここで、nは0〜5の整数であり、それぞれのRa及びRbは、同一でも異なっていてもよく、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであるか、あるいはRaとRbはそれらが結合している窒素原子とともに式(II):
【化2】

の3〜7員複素環を形成する、
式中、Wは単結合、CH、O、S又はN−Rcを意味する、ここでRcはH、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルフェニルである;
− 残基OR”、ここでR”はH、メチル、カルボキシメチルである;
− 式SORdの残基、ここでRdはC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニルである、
前記使用。
【請求項2】
Aは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、インドール及び7−アザ−インドールである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
YR’がOHである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
YはNHであり、R’は:
− グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸のアミノ酸残基、又はL−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、S−メチルシステイン、メチオニンから選択されるL−α−アミノ酸の残基;
− 式−CH−CH−O−(CH−CHO)R”の残基、ここでR”はH又はC〜C−アルキルである;
− 式−(CH−NRaRbの残基、ここでnは2〜3の整数であり、より好ましくは3であり、基NRaRbはN,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、1−ピペリジル、4−モルホリル、1−ピロリジル、1−ピペラジニル、1−(4−メチル)ピペラジニルである;
− 残基OR”、ここでR”はH、メチルである;
− 式SORdの残基、ここでRdはメチル、エチル又はイソプロピルである、
である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
Rが3’−ベンゾイル、3’−(4−クロロベンゾイル)、3’−(4−メチルベンゾイル)、3’−アセチル、3’−プロピオニル、3’−イソブタノイル、3’−エチル、3’−イソプロピル、4’−イソブチル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ、4’−ベンゼンスルホニルオキシ、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルアミノ、4’−ベンゼンスルホニルメチル、4’−アセチルオキシ、4’−プロピオニルオキシ、4’−ベンゾイルオキシ、4’−アセチルアミノ、4’−プロピオニルアミノ、4’−ベンゾイルアミノである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Hyがメチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の2−アリール酢酸化合物及び誘導体が:
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)酢酸、
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル)酢酸、
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)酢酸、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)酢酸、
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸、
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}酢酸、
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}酢酸、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
[1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸、
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]酢酸、
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)酢酸、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)酢酸、
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸、
(1−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−3−イル)酢酸、
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)酢酸、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−カルボキシメチルアセトアミド、
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシエチル)アセトアミド、
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
(S)(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(1−カルボキシ−2−メトキシエチル)アセトアミド、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセトアミド、
(2−クロロ−3−プロピオニルフェニル))−N−(3−ジメチルアミノエチル)アセトアミド、
(3−イソプロピル−2−メチルフェニル)−N−[3−(1−ピペリジニル)プロピル]アセトアミド、
(3−ベンゾイル−2−メチルフェニル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
[1−(4−クロロベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド、
[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセトアミド、
{2−クロロ−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)オキシ]フェニル}−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−メチル−1H−ピロール−3−イル)−N−(2−メトキシエチル)アセトアミド、
(1−ベンゾイル−2−クロロ−1H−ピロール−3−イル)−N−[3−(1−モルホリノ)プロピル]アセトアミド、
(5−イソブチリル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセトアミド、
(5−ベンゾイル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−N−(2−カルボキシメチル)アセトアミド、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)アセトアミド、
[1−メチル−5−(4−クロロベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセトアミド、
{2−メチル−4−[(フェニルスルホニル)アミノ]フェニル}−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド、
(3−ベンゾイル−2−メトキシフェニル)アセトアミド、
から選択される請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式(Ia):
【化3】

の2−アリール酢酸化合物及び誘導体、並びにその医薬的に許容可能な塩、
式中:
AはX原子を含み、場合により異種原子を含むか又はXがNの場合はN(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)から選択される更なる異種原子を含む5〜6員芳香環又は芳香族複素環を意味する;5〜6員芳香環又は芳香族複素環は、場合により第2の環と融合し、2環式の芳香環構造又は芳香族複素環構造を生ずる;
ラベル1及び2はA環上の関連する位置を示す;
X原子はN(窒素)及びC(炭素)から選択される;
Rは以下から選択されるA環上の置換基である:
− 直鎖又は分岐鎖C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、置換又は非置換フェニル、直鎖又は分岐鎖C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アシル、置換又は非置換ベンゾイルから選択される3(メタ)位の基;
− C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アシルオキシ、置換又は非置換ベンゾイルオキシ、C〜C−アシルアミノ、置換又は非置換ベンゾイルアミノ、C〜C−スルホニルオキシ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルオキシ、C〜C−アルカンスルホニルアミノ、置換又は非置換ベンゼンスルホニルアミノ、C〜C−アルカンスルホニルメチル、置換又は非置換ベンゼンスルホニルメチル、2−フリル基;3−テトラヒドロフリル基;2−チオフェニル基;2−テトラヒドロチオフェニル基、又はC〜C−アルカノイル基、シクロアルカノイル基又はアリールアルカノイル−C〜C−アルキルアミノ基から選択される4(パラ)位の基;
Hyは、立体障害因子νが0.5〜0.9Åである、メチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルを含めた小さな疎水性基である(ここで、νは置換のためのChartonの立体定数である);
RdはC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニルである。
【請求項9】
Aはベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、インドールであり;
Rdはメチル、エチル又はイソプロピルであり;
Hyはメチル、エチル、塩素、臭素、メトキシ、トリフルオロメチルから選択される、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
(5−アセチル−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)アセチル メタンスルホンアミド、
(4−イソブチル−2−メチルフェニル)アセチル メタンスルホンアミド、
{2−メチル−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]フェニル}アセチル メタンスルホンアミド、
[1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル)−1H−ピロール−2−イル]アセチル メタンスルホンアミド、
から選択される、請求項8又は9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)の化合物を変換すること、ここで塩化アシル又はベンゾトリアゾリルエステルなどの中間体においてYR’はOHである;及び式NHSORdの化合物と好適な塩基の存在下で反応させること、ここでRdはC〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニルである、
を含む、請求項8に記載の式(Ia)の化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を、その好適な担体とともに含む、医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎の治療、並びに虚血及び再潅流によって引き起こされる障害の予防及び治療における使用のための、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎の治療、並びに虚血及び再潅流によって引き起こされる障害の予防及び治療のための医薬を製造するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−516592(P2006−516592A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501731(P2006−501731)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001021
【国際公開番号】WO2004/069782
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(501165813)ドムペ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (8)
【Fターム(参考)】