説明

2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物およびカリウムイオンチャンネル調節剤を含む活性物質組合せ

本発明は、少なくとも1つの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物および少なくとも1つのK+チャンネル調節剤を含む活性物質組合せ、該活性物質組合せを含む薬剤、該活性物質組合せを含む医薬製剤、および薬剤の製造における該活性物質組合せの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物および少なくとも1つのカリウムイオンチャンネル調節剤を含む活性物質組合せ、該活性物質組合せを含む薬剤、該活性物質組合せを含む医薬製剤、および薬剤の製造における該活性物質組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カリウムイオン(K+)チャンネルは、多くの生理学的過程、例えば、血管緊張の調節において、極めて重要な役割を担っている。従って、K+チャンネル活性の調節剤、例えば、K+チャンネルオープナーまたはK+チャンネルブロッカーとして作用する薬理学的活性物質は、種々のK+チャンネル関連疾患、例えば、血管疾患、糖尿病または高コレステロール血症の治療に、広範囲にわたる重要性を有している。
【0003】
従来のK+チャンネル調節剤は、そのようなK+チャンネル関連疾患の治療に有効であるが、ある場合には、頭痛のような不快作用から心筋症のような致死的事象にわたる望ましくない副作用を示すことがある。
【発明の開示】
【0004】
従って、本発明の目的は、既知のK+調節剤の望ましくない副作用を好ましくは示さない、または少なくともより頻繁および/またはより顕著でない、カリウムイオン(K+)チャンネル関連疾患の予防および/または治療に適切な薬剤を提供することである。
【0005】
意外にも、K+チャンネル調節剤の薬理学的有効性が、1つまたはそれ以上の下記一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物と該調節剤との組合わせ投与によって、強化されることが見出された。それにより、K+チャンネル調節剤の投与量を減少させることができ、望ましくない副作用を、より少なくし、より顕著でないものにし、さらには生じないようにし得る。
【0006】
従って、本発明の1つの態様は、下記を含む活性物質組合せである。
(A) 任意に医薬的に許容される溶媒化合物の形態の、少なくとも1つの一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物、:
【化1】

[式中、
Rは、HまたはSO3-を表し;
Mは、少なくとも1個の陽イオンを表し;
nは、1または2を表し;
mは、1または2を表す]、および
(B) 少なくとも1つのK+チャンネル調節剤。
【0007】
一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物における陽イオンMは、例えば、P.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(編者)、「Handbook of Pharmaceuticcal Salts−Properties,Selections and Use」,Verlag Helvetica Chimica Acta,Zuerich,Switzerland,Wiley−VCH,Weinheim,Germany,2002から当業者に既知の、生理学的に許容される任意の陽イオンであってよい。各文献の記載は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。当業者は、一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物の全電荷が中性になるように陽イオンMを選択すべきことを理解する。
【0008】
本発明は、前記の一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物の少なくとも2つの混合物、ならびに、これらの化合物の混合塩、即ち、種々の陽イオンMおよび/または種々の2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸残基を有する化合物を、成分(A)として使用することを包含する。
【0009】
好ましくは、一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物の陽イオンMは、Ca2+、Mg2+、Na+、K+および[NH4-xx+からなる群から選択され、ここで、xは0、1、2、3または4であり、Rは分岐または非分岐C14アルキル基を表す。xが1より大きい場合、即ち、2個以上のアルキル基が[NH4-xx+陽イオンに存在する場合、それらは、同じかまたは異なっていてよく、同じアルキル基が好ましい。
【0010】
好ましくは、本発明の活性物質組合せは、カルシウム2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(カルシウムドベシレート)、ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(エタムシレート)およびビス(ジエチルアミン)−2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−ジスルホネート(ペルシレート)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の化合物を含む。特に好ましくは、カルシウム2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(カルシウムドベシレート)を、本発明の活性物質組合せに使用する。
【0011】
本発明に使用される一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート化合物は、溶媒化合物、特に水和物の形態であってもよい。一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート化合物ならびにその溶媒化合物の製造は、当業者に既知の試薬および方法を使用して行うことができる。
【0012】
カルシウム2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(カルシウムドベシレート)およびジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(エタムシレート)の製造は、例えば「The Merck Index」,13th edition,Merck & Co.,R.Rahway,N.J.,USA,2001から既知である。該文献の記載は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。ビス(ジエチルアミン)−2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−ジスルホネート(ペルシレート)の製造は、例えばフランス特許第FR 73/17709号(公開番号第2,201,888号)から既知である。各記載の内容は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものである。
【0013】
本発明によれば、任意の既知のK+チャンネル調節剤を、成分(B)として、本発明の活性物質組合せに使用し得る。
【0014】
種々のタイプおよびサブタイプのK+チャンネルが存在することは、例えば、Christopher G.Sobey「Potassium Channel Function in Vascular Disease,Arterioscler.Throm.Vasc.Biol.,Jonuary 2001,pages.28ffから当業者に周知であり、それらは参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものである。一般に、異なるK+チャンネル調節剤は、異なるK+チャンネルに対して異なる活性を示す。あるK+チャンネル調節剤がどのK+チャンネルに最大の活性を示すかは、当業者に既知の方法によって試験することができる。
【0015】
好ましくは、本発明の活性物質組合せの成分Bに係るK+チャンネル調節剤は、K+チャンネルオープナーである。成分Bとして使用し得るK+チャンネルオープナー、ならびにその調製法は、当業者に周知である。
【0016】
好ましくは、本発明の活性物質組合せは、一般式Iのベンズイミダゾール誘導体(任意に、対応するその塩、または対応するその溶媒化合物の形態)からなる群から選択される1個またはそれ以上のK+チャンネルオープナーを含み:
【化2】

[式中、
Xは、O、SまたはNCNを表し;
Yは、OまたはSを表し;
1は、水素、NH2または分岐または非分岐C16アルキルを表し;
2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、CF3、NO2、NH2、OH、C16アルコキシ、C(=O)−フェニルまたはSO2NRABからなる群から選択され、ここで、RAおよびRBは、同じかまたは異なり、HまたはC16アルキルを表し;
6は、水素またはNO2を表し;
7は、水素、ハロゲン、フェニル、CF3またはNO2を表し;
8は、水素またはNO2を表すか;
または、
6およびR7、もしくは、R7およびR8は、フェニル環からの2個の架橋炭素原子と一緒になって、飽和、不飽和または芳香族のC47炭素環を形成し;
9は、水素、ハロゲン、NO2またはSO2NRABであり、ここで、RAおよびRBは、同じかまたは異なり、水素またはC16アルキルを表す];
好ましくは、一般式Iのベンズイミダゾール誘導体は、下記からなる群から選択される。1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾル−2−オン(NS1619)、6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン(ミノキシジル)、(R)−(−)−2−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェニルヒドラゾノ]プロパンジニトリル(レボシメンダン)、N−[2−アミノ−4−(4−フルオロベンジルアミノ)フェニル]カルバミン酸エチルエステル(レチガバイン)、(−)−3−[5−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロキノリン−4(S)−イル]ベンゾニトリル(ZD−0947)、2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボニトリル(NS−8)、(3S,4R)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)−N−フェニル−1−ベンゾピラン−6−スルホンアミド(KCO−912)、(6−クロロ−3−(1−メチルシクロプロピルアミノ)−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン−1,1−ジオキシド(NN−414)、ABT−598、イプタカリムヒドロクロリド、ピナシジル、クロマカリン、レボクロマカリン、アプリカリム、N−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−カルボキシアミドニトレートエステル(ニコランジル)、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン、および、((3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン(BMS−204352としても既知)。より好ましくは、NS1619および/またはピナシジルを、本発明に係る活性物質組合せにおけるK+チャンネルオープナーとして使用する。
【0017】
前記カリウムイオンチャンネルオープナーの製造は、例えば、ベンズイミダゾール誘導体に関して、EP 0477818 A2(これは参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする)から当業者に周知である。
【0018】
好ましくは、本発明の活性物質組合せは、0.1μM〜100μM、より好ましくは、1μM〜10μMの量の成分(A)、および0.001μM〜100μM、より好ましくは、0.01μM〜10μMの量の成分(B)を含む。
【0019】
本発明の活性物質組合せが、10mg〜1000mg、好ましくは、50mg〜500mgの量の成分(A)、および1mg〜100mg、好ましくは、5mg〜50mgの量の成分(B)を含むのも好ましい。
【0020】
本発明の他の態様は、本発明の活性物質組合せ、および任意に、少なくとも1つの付加的活性物質、および/または、任意に、少なくとも1つの補助物質を含む薬剤である。
【0021】
該薬剤は、男性性機能障害、好ましくは、勃起不全、女性性機能障害、高血圧、I型糖尿病、II型糖尿病、高コレステロール血症、不安定膀胱、尿失禁、喘息、虚血性障害、虚血性脳機能不全、心血管疾患、早産の予防および/または治療、または帝王切開分娩に備えた陣痛の停止、発毛の刺激、てんかん、潰瘍および消化不良を含む消化器疾患、痙攣、炎症、炎症性疾患および/または癌の予防および/または治療に特に適切である。
【0022】
適応症尿失禁は、強制尿意(切迫尿失禁)、反射亢進、緊張性尿失禁、混合失禁、および遺尿症ならびに当業者に既知の他の適応症も包含する。
【0023】
これらの定義のより詳しい記載、および用語の標準化について、Abrams et al,Neurology and Urodynamics 21:167−178(2002)を参照し得る。各記載部分は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。
【0024】
本発明の他の態様は、男性性機能障害、好ましくは、勃起不全、女性性機能障害、高血圧、I型糖尿病、II型糖尿病、高コレステロール血症、不安定膀胱、尿失禁、喘息、虚血性障害、虚血性脳機能不全、心血管疾患、早産の予防および/または治療、または帝王切開分娩に備えた陣痛の停止、発毛の刺激、てんかん、潰瘍および消化不良を含む胃腸障害、痙攣、炎症、炎症性疾患および/または癌の予防および/または治療用の薬剤の製造における、本発明の活性物質組合せの使用である。
【0025】
本発明に係る活性物質組合せの成分(A)および(B)を、互いに同時かまたは逐次的に投与でき、それぞれの場合において、成分(A)および(B)を同じかまたは異なる投与経路、例えば経口的または非経口的に投与し得ることを当業者は理解する。好ましくは、両成分(A)および(B)を1つの同じ投与形態で同時に投与する。
【0026】
本発明のさらに他の態様は、本発明の活性物質組合せ、および任意に、少なくとも1つの付加的活性物質、および/または、任意に、少なくとも1つの補助物質を含む種々の医薬形態の医薬製剤である。
【0027】
当業者に周知のように、医薬製剤は、その投与形態に依存して、当業者に既知の1つまたはそれ以上の補助物質も含有し得る。
【0028】
本発明に係る医薬製剤は、例えば、「Pharmaceutics:the Science of Dosage Forms」,Second Edition,Aulton,M.E.(Ed.)Churchill Livingstone,Edinburgh(2002);「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」,Second Edition,Swarbrick,J.およびBoylan J.C.(Eds.),Marcel Dekker,Inc.New York(2002);「Modern Pharmaceutics」,Fourth Edition,Banker G.S.およびRhodes C.T.(Eds.)Marcel Dekker,Inc.New York 2002および「The Theory and Practice of Industrial Pharmacy」,Lachman L.,Lieberman H.and Kanig J.(Eds.),Lea & Febiger,Philadelphia(1986)に記載の内容から当業者に既知の標準法によって製造し得る。各記載は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、医薬製剤は経口投与に適切である。
【0030】
医薬製剤が経口投与に適切である場合、該製剤は、錠剤、カプセル剤また懸濁剤の形態であるのが好ましい。
【0031】
経口投与用の本発明の医薬製剤は、任意に、錠剤に圧縮するか、カプセルに充填するか、または適切な液体に懸濁した、多粒子の形態、好ましくは、ペレット剤または顆粒剤の形態であってもよい。適切な液体は、当業者に既知である。
【0032】
本発明の1つの実施形態において、医薬製剤は、成分(A)および(B)の少なくとも1つを、少なくとも部分的に徐放形態で含む。
【0033】
これらの成分の1つまたは両方を、少なくとも部分的にまたは完全に徐放形態で組み込むことによって、その作用期間を延長させることができ、そのような徐放形態の有益作用、例えば、血中における均一濃度の維持を可能にし得る。
【0034】
適切な徐放形態、ならびにそれを調製する材料および方法は、例えば、「Modified−Release Drug Delivery Technology」,Rathbone,M.J.Hadgraft,J.およびRoberts,M.S.(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York(2002);「Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology」,Wise,D.L.(Ed.),Marcel Dekker,Inc.New York(2000);「Controlled Drug Delivery」,Vol.I,Basic Concepts,Bruck,S.D.(Ed.),CRC Press Inc.,Boca Raton(1983);およびTakada,K.およびYoshikawa,H.,「Oral Drug delivery」,Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,Mathiowitz,E.(Ed.),John Wiley & Sons,Inc.,New York(1999),Vol.2,728−742;Fix J.,「Oral drug delivery,small intestine and colon」,Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,Mathiowitz,E.(Ed.),John Wiley & Sons,Inc.,New York(1999),Vol.2,698−728に記載の内容から当業者に既知である。各記載は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。
【0035】
本発明に係る医薬製剤が、成分(A)および(B)の少なくとも1つを、少なくとも部分的に徐放形態で含む場合、徐放性は、少なくとも1つの徐放性材料を含む少なくとも1つのコーティングを適用するかまたはマトリックスを付与することによって得るのが好ましい。
【0036】
徐放性材料は、任意に改質された、水不溶性、天然、半合成または合成のポリマー、または天然、半合成または合成の蝋または脂肪または脂肪アルコールまたは脂肪酸、またはこれらの前記成分の少なくとも2つの混合物に基づくのが好ましい。
【0037】
徐放性材料の製造に使用される水不溶性ポリマーは、アクリル樹脂に基づくのが好ましく、該アクリル樹脂は下記の群から選択するのが好ましい:ポリ(メタ)アクリレート、特に好ましくは、ポリ(C14)アルキル(メタ)アクリレート、ポリ(C14)ジアルキルアミノ(C14)アルキル(メタ)アクリレート、および/またはそれらのコポリマーまたは混合物、極めて好ましくは、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマー比率2:1のコポリマー(Eudragit NE30D(登録商標))、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドのモノマー比率1:2:0.1のコポリマー(Eudragit RS(登録商標))、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドのモノマー比率1:2:0.2のコポリマー(Eudragit RL(登録商標))、または前記コポリマーの少なくとも2つの混合物。これらの被覆材料は、30wt%水性ラテックス分散系、即ち、Eudragit RS30D(登録商標)、Eudragit NE30D(登録商標)、またはEudragit RL30D(登録商標)として商業的に入手可能であり、被覆目的にそのまま使用してもよい。
【0038】
他の実施形態において、徐放性材料は、水不溶性セルロース誘導体、好ましくは、アルキルセルロース、特に好ましくは、エチルセルロース、またはセルロースエステル、例えば酢酸セルロースに基づく。水性エチルセルロース分散系は、例えば、Aquacoat(登録商標)またはSurelease(登録商標)の商品名で、商業的に入手可能である。
【0039】
徐放性材料は、天然、半合成または合成蝋、脂肪または脂肪アルコールとして、カルナウバ蝋、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノベヘネート、グリセロールジトリパルミトステアレート、ミクロクリスタリンワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、またはこれらの成分の少なくとも2つの混合物に基づき得る。
【0040】
徐放性材料の前記ポリマーは、生理学的に許容される従来の可塑剤を、当業者に既知の量で含んでもよい。
【0041】
適切な可塑剤の例は、C6〜C40脂肪族または芳香族ジカルボン酸とC1〜C8脂肪族アルコールとの親油性ジエステル、例えば、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、セバシン酸ジブチルまたはセバシン酸ジエチル、親水性または親油性クエン酸エステル、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチルまたはクエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールエステル、例えば、トリアセチン、Myvacet(登録商標)(アセチル化モノ−およびジグリセリド、C23445〜C25477)、中鎖トリグリセリド(Miglyol(登録商標))、オレイン酸、または該可塑剤の少なくとも2つの混合物である。Eudragit RS(登録商標)および任意にEudragit RL(登録商標)の水性分散系は、クエン酸トリエチルを含有するのが好ましい。除放性材料は、1つまたはそれ以上の可塑剤を、使用されるポリマーの量に基づいて例えば5〜50wt%の量で含んでよい。
【0042】
徐放性材料は、当業者に既知の他の一般的補助物質、例えば、潤滑剤、着色顔料または界面活性剤も含有し得る。
【0043】
本発明の医薬製剤は、pHの関数として溶解する腸溶コーティングで被覆された成分(A)および(B)の少なくとも1つを含んでもよい。このコーティングにより、医薬製剤の一部または全てが、溶解せずに胃を通過することができ、成分(A)および/または(B)が腸管でのみ放出される。腸溶コーティングは、好ましくは、pH5〜7.5で溶解する。
【0044】
腸溶コーティングは、当業者に既知の任意の腸溶性材料、例えば、モノマーモル比1:1のメタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit L(登録商標))、モノマーモル比1:2のメタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit S(登録商標))、モノマーモル比1:1のメタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L30D−55(登録商標))、モノマーモル比7:3:1のメタクリル酸/メチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit FS(登録商標))、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート−スクシネート、セルロースアセテート−フタレート、またはこれらの成分の少なくとも2つの混合物に基づいてよく、これらは、任意に、前記水不溶性ポリ(メタ)アクリレートと組み合わせて、好ましくは、Eudragit NE30D(登録商標)および/またはEudragit RL(登録商標)および/またはEudragit RS(登録商標)と組み合わせて、使用することもできる。
【0045】
本発明の医薬製剤のコーティングは、例えば下記から当業者に既知の、通常法によって適用し得る。Johnson,J.L.,「Pharmaceutical tablet coating」,Coatings Technology Handbook(Second Edition),Statas,D.およびTracton,A.A.(Eds.),Marcel Dekker,Inc.New York,(2001),863−866;Carstensen,T.,「Coating Tablets in Advanced Pharmaceutical Solids」,Swarbrick,J.(Ed.),Marcel Dekker,Inc.New York(2001),455−468;Leopold,C.S.,「Coated dosage forms for colon−specific drug delivery」,Pharmaceutical Science & Technology Today,2(5),197−204(1999),Rhodes,C.T.およびPorter,S.C.,Coatings,in Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,Mathiowitz,E.(Ed.),John Wiley & Sons,Inc.,New York(1999),Vol.1,299−311。各記載は、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成すものとする。
【0046】
他の実施形態において、本発明の医薬製剤は、成分(A)および(B)の1つまたは両方を、徐放形態だけでなく、非遅延形態でも含有する。即時放出形態との組合わせによって、有益作用の急速開始のための高初期投与量を達成することができる。次に、徐放形態からのゆっくりした放出は、有益作用が減少するのを防止する。そのような医薬製剤は、急性疾患の治療に特に有効である。
【0047】
例えば、患者への投与後に有益作用の急速開始を与えるために、成分(A)および(B)の少なくとも1つを含む少なくとも1つの即時放出コーティングを有する医薬製剤によって、これを達成し得る。
【0048】
本発明の他の好ましい実施形態において、医薬製剤は、非経口投与、好ましくは、静脈内投与に適切である。
【0049】
薬理学的方法:
インビトロ(in vitro)法:
ヒト陰茎抵抗動脈の血管反応性
付着している小柱組織および動脈環状区域(arterial ring segments)(長さ2mm)を注意深く除去することによって、陰茎深動脈の最終枝である陰茎小動脈、らせん動脈(内径150〜400μm)を切り離し、次に、等尺性緊張(isometric tension)記録のために、微小血管Halpern−Mulvanyミオグラフ(J.P.Trading,Aarhus,Denmark)の2本の40μmワイヤー上に配置する。脈管を、下記組成(mmol/L)の生理食塩水(PSS)[NaCl 119、KCl 4.6、CaCl2 1.5、MgCl2 1.2、NaHCO3 24.9、グルコース 11、KH2PO4 1.2、EDTA 0.027、37℃、95%O2/5%CO2混合物で連続的に泡立たせる]中で30分間平衡させて、pH7.4を維持する。経壁圧100mmHg(L100)下にインサイチュ(
in situ)で弛緩している場合の、脈管切片の受動緊張および内周を測定する。次に、力の発生が最大に近かったL100の90%に相当する内周(Mulvany & Halpern.Circ.Res.41:19−26,1977)に、動脈を設定する。次に、試料を125mM K+(KPSS、PSS中のKClに代わるNaClの等モル置換)に暴露し、収縮反応を測定する。動脈を、1μmol/Lのノルエピネフリンで収縮させ(KPSS誘発収縮の約80%)、弛緩反応を試験槽(chambers)への化合物の累積的添加によって評価する。機能的内皮が欠如していると考えられる動脈切片は、10μmol/Lアセチルコリンに対して弛緩しない。
【0050】
ラット腸間膜抵抗動脈
体重300〜400gのSprague−DawleyラットをCO2吸入によって犠牲にする。腸間膜を除去し、PSSに入れる。第三枝腸間膜動脈を、光学顕微鏡下に結合組織から切り離し、環状試料として、微小血管Halpern−Mulvanyミオグラフに配置する。等尺性緊張記録を、ヒト陰茎抵抗動脈に関して記載したように行う。
【0051】
ヒト陰茎動脈のK(ATP)−チャンネル活性化によって誘発される弛緩にカルシウムドベシレートが与える影響:
動脈切片を1μmol/Lのノルエピネフリン(NE)で収縮させ、安定プラトーに達した際に、動脈をATP感受性K+−チャンネル(K(ATP))のオープナー、ピナシジル(1nM〜1mM)に暴露する(本発明の開示の一部を構成するArena & Kass.Circ.Res.,65:436−445,1989の記載の対応する部分を参照)。
【0052】
次に、動脈を洗浄し、平衡時間後に、カルシウムドベシレート(10μM)で30分間処理するかまたは処理しない(対照)。このときに、ピナシジルに対する応答を、ここでも、NE−収縮動脈において評価する。
【0053】
ヒト陰茎動脈のCa2+−活性化K+−チャンネルの活性化によって誘発される弛緩における、カルシウムドベシレートの作用:
動脈切片を1μmol/Lのノルエピネフリン(NE)で収縮させ、安定プラトーに達した際に、動脈を、アセチルコリン(ACh;1nM〜10μM)に暴露して、内皮の存在を示す。洗浄および平衡時間後に、AChに反応して弛緩した試料を、再び、NEで収縮させ、Ca2+−活性化K+−チャンネル(K(Ca))の活性剤、NS1619(1nM〜10μM)の累積的添加に暴露する(本発明の開示の一部を構成するOlesen et al.Eur.J.Pharmacol.,251:53−59,1994の記載の対応する部分を参照)。次に、動脈を洗浄し、平衡時間後に、カルシウムドベシレート(10μM)で30分間処理するかまたは処理しない(対照)。このときに、NS1619に対する応答を、ここでも、NE−収縮動脈において評価する。
【0054】
ラット腸間膜動脈のCa2+−活性化K+−チャンネルの活性化によって誘発される弛緩における、カルシウムドベシレートの作用:
動脈切片を1μmol/Lのノルエピネフリン(NE)で収縮させ、安定プラトーに達した際に、動脈を、ACh(1nM〜10μM)に暴露させて、内皮の存在を検査する。洗浄および平衡時間後に、AChに反応して弛緩した試料を、再び、NEで収縮させ、Ca2+−活性化K+−チャンネルの活性剤、NS1619(1nM〜10μM)の累積的添加に暴露する。次に、動脈を洗浄し、平衡時間後に、カルシウムドベシレート(10μM)で30分間処理するかまたは処理しない(対照)。このときに、NS1619に対する応答を、ここでも、NE−収縮動脈において評価する。
【0055】
成分(A)としてのカルシウムドベシレートおよび成分(B)としてのピナシジルまたはNS1619について先に記載した薬理学的方法は、他の成分(A)および/または成分(B)についても同様に行えることを当業者は理解する。
【0056】
インビボ(in vivo)法:
活性物質組合せのインビボ(in vivo)活性は、本明細書に参照によって組み入れられ、開示の一部を構成するSaenz Tejada et al.の文献、International Journal of Impotence Research 2003,15,90−93,「Methods−Electile responses to cavernosal nerve stimulation in anaesthetized rats」に記載のように試験される。
【0057】
本発明を実施例によって下記に示す。これらの実施例は、例として示すにすぎず、本発明の全体的な精神を限定するものではない。
【実施例1】
【0058】
カルシウムドベシレートおよびNS1619を含む硬質ゼラチンカプセル剤
カルシウムドベシレート 100mg
NS1619 30mg
セルロース 0.023g
ステアリン酸マグネシウム 0.007g
コロイド状二酸化珪素 0.005g
合計重量 0.165g
【0059】
前記の量の、カルシウムドベシレート、NS1619、セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイド状二酸化珪素を、一般的なミキサーで充分に混合し、次に、通常の硬質ゼラチンカプセルに充填した。
【実施例2】
【0060】
カルシウムドベシレートおよびピナシジルを含む錠剤
カルシウムドベシレート 100mg
ピナシジル 30mg
トウモロコシデンプン 0.0650g
ラクトース 0.0520g
Povidone K−30 0.0175g
クエン酸一水和物 0.0125g
ステアリン酸マグネシウム 0.0020g
亜硫酸水素ナトリウム 0.0010g
合計重量 0.28g
【0061】
前記の量の、カルシウムドベシレート、ピナシジル、トウモロコシデンプン、ラクトース、Povidone K−30、クエン酸一水和物、ステアリン酸マグネシウムおよび亜硫酸水素ナトリウムを、一般的なミキサーで充分に混合し、次に、通常のタブレット成形機で圧縮して錠剤にした。
【0062】
薬理学的方法およびデータ:
ヒト陰茎組織:
陰茎プロテーゼの挿入時にインフォームドコンセントを得たインポテンツ男性から、ヒト陰性組織生検試料を得た。使用するまで(抽出から2〜16時間)、組織をM−400溶液(100mLについての組成:マンニトール 4.19g;KH2PO4 0.205g;K2HPO4・3H2O 0.97g;KCl 0.112g;NaHCO3 0.084g)中で4〜6℃に維持した。Angulo et al.,Br.J.Pharmacol,136:23−30,2002の対応する部分が、参照によって本明細書に組み入れられ、開示の一部を構成するものとする。
【0063】
薬剤および材料:
ノルエピネフリン(アルテレノール)、アセチルコリンおよびNS1619は、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から得た。ピナシジルはRBI(Natwick,MA)から得た。カルシウムドベシレート(DOBE)(カルシウムジヒドロキシ−2,5−ベンゼンスルホネート、Doxium(登録商標))は、Dr.Esteve Laboratories(Barcelona,Spain)から得た。NS1619(10mmol/Lの濃度でDMSOに溶解させた)以外は、薬剤を脱イオン水に溶解させた。後の希釈は、脱イオン水で行った。
【0064】
データ分析:
弛緩反応は、試験の終了時における試験槽への0.1mmol/LパパベリンHClの添加によって誘発される全弛緩(緊張喪失)のパーセントとして表す。全てのデータを平均±標準誤差として表す。完全濃度−反応曲線を得、Appleコンピューター用のStatViewソフトウエアを使用して、2因子分散分析(ANOVA)統計的試験によって比較した。
【0065】
ピナシジルによって誘発されるヒト陰茎抵抗動脈の弛緩、およびNS1619によって誘発されるヒト陰茎抵抗動脈およびラット腸間膜抵抗動脈の弛緩に与える、カルシウムドベシレートの作用を、前記のように測定した。
【0066】
カルシウムドベシレートは、ピナシジルでのK(ATP)チャンネルの活性化によって誘発されるヒト陰茎抵抗動脈の弛緩を、有意に増加させることが見出された。
【0067】
さらに、カルシウムドベシレートは、ヒト陰茎抵抗動脈におけるK(Ca)チャンネル活性化によって誘発される弛緩反応も強力に増加させる。
【0068】
後者の作用は、EDHF(内皮由来過分極因子)媒介弛緩が存在するラット腸間膜抵抗動脈にも見出された。即ち、カルシウムドベシレートは、K+チャンネルオープナーの有効性、従って、K+−チャンネル、特にK(Ca)チャンネルの有効性を増加させる。
【0069】
麻酔をかけた糖尿病ラットにおける、海綿体神経電気刺激への勃起反応を、前記のように測定した。
【0070】
カルシウムドベシレート(10mg/kg、静脈内投与)およびK+チャンネルオープナーNS1619(0.3mg/kgまたは5mg/kg、静脈内投与)は、単独で投与した場合、糖尿病ラットにおける勃起反応を改善しないことが見出された。
【0071】
カルシウムドベシレート(10mg/kg)およびK+チャンネルオープナー NS1619(0.3mg/kgまたは5mg/kg)を含む本発明の活性物質組合せを、糖尿病ラットに静脈内投与した場合、糖尿病ラットにおける勃起反応の有意な改善が観察される。すなわち、本発明に係る活性物質組合せについて、相乗効果が見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む活性物質組合せ:
(A) 任意に医薬的に許容される溶媒化合物の形態の、少なくとも1つの一般式Iの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物:
【化1】

[式中、
Rは、HまたはSO3-を表し;
Mは、少なくとも1個の陽イオンを表し;
nは、1または2を表し;
mは、1または2を表す]、および
(B) 少なくとも1つのカリウムイオン(K+)チャンネル調節剤。
【請求項2】
前記陽イオンMが、Ca2+、Mg2+、Na+、K+および[NH4-xx+[ここで、xは0、1、2、3または4であり、Rは、分岐または非分岐C14アルキル基を表し、x>1の場合、同じかまたは異なっていてよい]からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の活性物質組合せ。
【請求項3】
前記一般式Iの化合物が、カルシウム2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(カルシウムドベシレート)であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性物質組合せ。
【請求項4】
前記一般式Iの化合物が、ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホネート(エタムシレート)であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性物質組合せ。
【請求項5】
前記一般式Iの化合物が、ビス(ジエチルアミン)−2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−ジスルホネート(ペルシレート)であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性物質組合せ。
【請求項6】
前記成分(B)の調節剤が、K+チャンネルオープナーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つまたはそれ以上に記載の活性物質組合せ。
【請求項7】
前記K+チャンネルオープナーが、下記の群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の活性物質組合せ:
一般式Iのベンズイミダゾール誘導体(任意に、対応するその塩、または対応するその溶媒化合物の形態):
【化2】

[式中、
Xは、O、SまたはNCNを表し;
Yは、OまたはSを表し;
1は、水素、NH2または分岐または非分岐C16アルキルを表し;
2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、CF3、NO2、NH2、OH、C16アルコキシ、C(=O)−フェニルまたはSO2NRABからなる群から選択され、ここで、RAおよびRBは、同じかまたは異なり、HまたはC16アルキルを表し;
6は、水素もしくはNO2を表し;
7は、水素、ハロゲン、フェニル、CF3もしくはNO2を表し;
8は、水素もしくはNO2を表すか;
または、
6およびR7、もしくは、R7およびR8は、フェニル環からの2個の架橋炭素原子と一緒になって、飽和、不飽和もしくは芳香族のC47炭素環を形成し;
9は、水素、ハロゲン、NO2またはSO2NRABであり、ここで、RAおよびRBは、同じかまたは異なり、水素またはC16アルキルを表す];
好ましくは、1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(NS1619)、6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン(ミノキシジル)、(R)−(−)−2−[4−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)フェニルヒドラゾノ]プロパンジニトリル(レボシメンダン)、N−[2−アミノ−4−(4−フルオロベンジルアミノ)フェニル]カルバミン酸エチルエステル(レチガバイン)、(−)−3−[5−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロキノリン−4(S)−イル]ベンゾニトリル(ZD−0947)、2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボニトリル(NS−8)、(3S,4R)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(2−オキソピペリジン−1−イル)−N−フェニル−1−ベンゾピラン−6−スルホンアミド(KCO−912)、(6−クロロ−3−(1−メチルシクロプロピルアミノ)−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン−1,1−ジオキシド(NN−414)、ABT−598、イプタカリムヒドロクロリド、ピナシジル、クロマカリン、レボクロマカリン、アプリカリム、N−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−カルボキシアミド硝酸エステル(ニコランジル)、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン、および((3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン(BMS−204352)からなる群;好ましくは、ピナシジルおよびNS1619からなる群。
【請求項8】
成分(A)を、0.1μM〜100μM、より好ましくは、1μM〜10μMの量で含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の活性物質組合せ。
【請求項9】
成分(B)を、0.001μM〜100μM、より好ましくは、0.01μM〜10μMの量で含むことを特徴とする請求項1〜8に記載の活性物質組合せ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せ、および任意に、少なくとも1つの付加的活性物質、および/または、任意に、少なくとも1つの補助剤を含む薬剤。
【請求項11】
男性性機能障害、好ましくは、勃起不全、女性性機能障害、高血圧、I型糖尿病、II型糖尿病、高コレステロール血症、不安定膀胱、尿失禁、喘息、虚血性障害、虚血性脳機能不全、心血管疾患、早産の予防および/または治療、または帝王切開分娩に備えた陣痛の停止、脱毛、てんかん、潰瘍および消化不良を含む胃腸障害、痙攣、好ましくは、胃腸痙攣、炎症性疾患、好ましくは、胃腸炎症、および/または癌の予防および/または治療用の請求項10に記載の薬剤。
【請求項12】
男性性機能障害、好ましくは、勃起不全の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項13】
女性性機能障害の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項14】
高血圧の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項15】
I型糖尿病および/またはII型糖尿病の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項16】
高コレステロール血症の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項17】
不安定膀胱の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項18】
尿失禁の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項19】
喘息の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項20】
虚血性障害の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項21】
虚血性脳機能不全の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項22】
心血管疾患の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項23】
早産の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項24】
帝王切開分娩に備えた陣痛の停止用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項25】
脱毛の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項26】
てんかんの予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項27】
潰瘍および消化不良を含む胃腸障害の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項28】
胃腸痙攣の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項29】
炎症性疾患の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項30】
胃腸炎症の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項31】
癌の予防および/または治療用の薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せの使用。
【請求項32】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性物質組合せ、および任意に、少なくとも1つの付加的活性物質、および/または、任意に、少なくとも1つの補助剤を含む医薬製剤。
【請求項33】
経口投与に適切であることを特徴とする請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項34】
錠剤、カプセル剤または懸濁剤の形態であることを特徴とする請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項35】
任意に、錠剤に圧縮するか、カプセルに充填するか、または適切な液体に懸濁した、多粒子の形態、好ましくは、ペレット剤または顆粒剤の形態であることを特徴とする請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項36】
成分(A)および/または成分(B)を、少なくとも部分的に徐放形態で含むことを特徴とする請求項32〜35のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項37】
少なくとも1つの徐放性材料を含む少なくとも1つのコーティングまたはマトリックスを有することを特徴とする請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項38】
前記徐放性材料が、任意に改質された、水不溶性、天然、半合成または合成のポリマー、または天然、半合成または合成の蝋または脂肪または脂肪アルコールまたは脂肪酸、またはこれらの成分の少なくとも2つの混合物に基づくことを特徴とする請求項37に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記水不溶性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(C14)ジアルキルアミノ(C14)アルキル(メタ)アクリレート、および/もしくはそれらのコポリマー、または前記ポリマーの少なくとも2つの混合物から選択するのが好ましいアクリル樹脂に基づくことを特徴とする請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項40】
前記水不溶性ポリマーが、セルロース誘導体、好ましくは、アルキルセルロース、特に好ましくは、エチルセルロース、またはセルロースエステルであることを特徴とする請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項41】
前記蝋が、カルナウバ蝋、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノベヘネート、グリセロールジトリパルミトステアレート、ミクロクリスタリンワックス、またはこれらの成分の少なくとも2つの混合物であることを特徴とする請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項42】
前記ポリマーが、1つまたはそれ以上の可塑剤と組み合わせて使用されることを特徴とする請求項38〜41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項43】
少なくとも1つの腸溶コーティングを含むことを特徴とする請求項32〜42のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項44】
成分(A)および/または成分(B)を含む少なくとも1つの即時放出コーティングを含むことを特徴とする請求項32〜43のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項45】
非経口投与、好ましくは、静脈内投与に適切な請求項32に記載の医薬製剤。

【公表番号】特表2007−500163(P2007−500163A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521527(P2006−521527)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008509
【国際公開番号】WO2005/013962
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500031124)ラボラトリオス・デル・ドクトル・エステベ・ソシエダッド・アノニマ (55)
【Fターム(参考)】