説明

AGEの形成の阻害

本発明は、組織、特に、皮膚の弾塑性特性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するための組成物を調製するため、AGEの形成を阻害するため、または皮膚におけるタンパク質の糖化を予防しかつ/またはこれに対抗するための、AGEの形成の阻害を促進する活性物質の使用に関する。本発明は、そのような活性物質のスクリーニング方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織、例えば、皮膚、または血管もしくは臓器の組織壁において糖化することが可能なタンパク質の糖化を低下させるための少なくとも1つの活性成分の使用に関する。
【0002】
本発明は、特に、組織において糖化することが可能なタンパク質に作用するように、局所または経口で使用することができる少なくとも1つの物質に関する。
【背景技術】
【0003】
非酵素的グリコシル化または糖化は、炭水化物をペプチド鎖へ共有結合させる際に存在する純化学的自然反応であることが従来技術において周知である。
【0004】
糖化は、遊離糖類のアミノ酸またはタンパク質への結合によって生じる老化の基本的機構である。
【0005】
高度糖化最終生成物またはAGEとしても周知の糖化タンパク質は、特に、皮膚の柔軟性、弾性、および機能性を低下させる。
【0006】
糖化過程は3つのステップで起きる:
1−タンパク質のアミノ酸残基、主に、リシンおよびN末端アミン画分への還元糖(グルコースまたはフルクトース)またはアルデヒドの結合によって生じるシッフ塩基の形成。
2−シッフ塩基の異性化によって生じる、アマドリ転位として周知の分子内転位。これらのアマドリ生成物の形成の速度は、糖度と比例する。
3−反応性が高い中間体の転位、水素転移、および形成を介する、糖化最終生成物またはメイラード生成物のゆっくりとした不可逆的蓄積。この反応は、メイラード生成という表現で周知のAGEの形成につながる。これらの化合物の形成の速度は、高血糖の期間およびタンパク質ターンオーバーの速度に依存する培地の糖度とは無関係である。
【0007】
最初の2つの段階(シッフ塩基およびアマドリ転位)は、プラトーで安定し、血糖値によって反転し得る。一方、第3のステップは、不可逆的であり、血糖値にかかわらず進行する。
【0008】
体内での寿命が非常に長い細胞外マトリックスタンパク質は、糖化の影響を受ける。糖化は、これらのタンパク質の特性を変化させ、それらにタンパク質分解に対するより高い耐性を与え、それらのターンオーバーを防止する。さらに、AGEは、コラーゲン線維の間の分子ブリッジの形成を誘導し、それらの剛性を高め、溶解性を低下させる。最後に、AGEは、炎症性サイトカインまたは成長因子の分泌を誘導することによって、マクロファージならびに内皮細胞およびメサンギウム細胞に存在する特定の受容体に結合することにより、他の作用を有する場合がある。タンパク質の糖化の重要性は、実験動物において、ある機能の老化の減速によって表される、糖化を阻害する薬物の効果によって強調されている。糖尿病の過程では、タンパク質の過度の糖化も生じ、それは、血糖の上昇に関連付けられる。
【0009】
アミノグアニジンは、グアニジンに由来する医薬用原料である。それは、架橋結合が可能な反応性化合物を形成することによって糖化生成物に結合する。例えば、腎臓では、それは、糸球体においてAGEの形成を防止し、糖尿病患者において、アルブミンの排出を90%低下させる。
【0010】
特許出願第US2007/060533号では、糖尿病およびAGEの形成に関連する様々な疾患の治療のためのAGEの形成の阻害剤の使用が記載されている。したがって、この分野は、皮膚の変化が、AGEの形成に関連する病変とは考えることができない化粧品の分野ではない。一方、アントシアニンはグリコシル化されることに注意すべきである。
【0011】
出願第US2007/0003536号では、リン脂質を遊離基捕捉剤として組み合わせたブドウ種子(ビニフェラ種)の抽出物の局所適用が特に記載されているが、AGEに対する作用は記載されていない。メカニズムは、非常に異なる。ブドウ種子抽出物は、抗ヒドロキシル剤として記載されている。ここでも、AGEに対する活性との関連性は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US2007/060533
【特許文献2】US2007/0003536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主要目的は、タンパク質の化学的糖化によって生じるAGEの形成を制限することを可能にする活性物質の提供からなる技術的課題を解決することである。
【0014】
本発明の特定の一目的は、例えば、皮膚、または血管もしくは臓器の組織壁、特に、組織の老化または糖尿病中の皮膚における組織の弾塑性特性の低下を防止し、対抗する化粧品、皮膚科学的または医薬組成物の提供という関連において、この技術的課題を解決することである。
【0015】
本発明の別の目的は、前述の特性を有する活性成分をスクリーニングする方法を提供することである。
【0016】
本発明の特定の一目的は、好ましくは、局所に適用することができる、特に、化粧品、皮膚科学的、皮膚医薬または医薬産業に対する、非毒性活性物質を提供することによって、信頼可能および再現可能な方法で技術的課題を解決することである。
【0017】
本発明の特定の一目的は、植物からの活性成分を提供すること、特に、低毒性であり、皮膚科学的に許容される活性成分を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、調製が安価であり、信頼できる簡潔な方法で、工業規模で製造することができる活性成分を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、例えば、皮膚、または血管もしくは臓器の組織壁、特に、皮膚における組織の弾塑性特性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗する組成物を調製するために、AGEの形成の阻害を促進する活性物質の使用を記載する。
【0020】
本発明は、AGEの形成の阻害を促進する組成物を調製するための活性物質の使用に関する。
【0021】
本発明は、例えば、皮膚、または血管もしくは臓器の組織壁における組織におけるタンパク質の糖化を予防しかつ/またはこれに対抗するための組成物を調製するための活性物質の使用に関する。
【0022】
糖化は、血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、腎疾患、関節炎、糖尿病の合併症、瘢痕形成等の老化に関連する多数の進行性疾患に関与する。糖化による糖尿病性合併症は、平均血糖濃度が正常より高い若い糖尿病患者にも生じ得ることは意義深い。
【0023】
遊離基の関与が広範囲に確認される糖尿病においては、酸化ストレスが、直接高血糖に関連する。そして、血液中に多過ぎる量で存在する糖類は、容易に酸化する。糖類のこの酸化は、とりわけ、糖/タンパク質グラフトまたは糖化につながる。糖尿病の症例における糖化ヘモグロビンレベルの増加が、典型的な例である。
【0024】
そのレベルが血糖値と比例する、長期間にわたる糖化生成物は、部分的に組織老化に関与し、その弾塑性特性が原因の1つである。
【0025】
したがって、本発明は、糖尿病の過程における血糖の上昇に関連する、特に皮膚におけるタンパク質の糖化を予防しかつ/またはこれに対抗する組成物を調製するための活性物質の使用に関する。
【0026】
本発明は、糸球体におけるAGEの形成を予防しかつ/またはこれに対抗し、特に、糖尿病患者におけるアルブミンの排出を低下させるための組成物を調製するための活性物質の使用に関する。
【0027】
有利に、組成物は、好ましくは、局所に適用できるか、または例えば、食品補助剤として経口投与することができる化粧品、皮膚医薬または医薬組成物である。
【0028】
本発明は、組織におけるAGEの形成の阻害によって、組織の老化に対抗しかつ/またはこれを予防する場合等、組織、特に、皮膚の弾塑性特性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するための、局所にか、または食品(栄養補助食品)補助剤として適用することができる化粧品組成物にも関連し、任意で、アミノグアニジンもしくはグアニジン等の皮膚タンパク質の保護を促進するための物質、またはEDTA誘導体、フィチン酸、アゼライン酸等の無機化によって糖化を阻害する薬剤、またはペントシジン等の酵素阻害剤、またはカルノシン、アスコルビン酸、もしくはα−トコフェロール等の糖化反応に関与するために利用可能な糖の量を低下させることが可能な物質と組み合わせて、AGEの形成の阻害を促進する物質を活性物質として含む。
【0029】
本発明は、組織におけるAGEの形成を阻害することによって、組織、特に、皮膚組織、または血管もしくは臓器の組織壁の弾塑性特性の低下に対抗しかつ/またはこれを予防することを特に目的とする、例えば、局所に適用することができるか、または経口で投与することができる医薬組成物にも関し、任意で、アミノグアニジンもしくはグアニジン等の組織タンパク質の保護を促進するための物質、またはEDTA誘導体、フィチン酸、アゼライン酸等の無機化によって糖化を阻害する薬剤、またはペントシジン等の酵素阻害剤、またはカルノシン、アスコルビン酸、もしくはα−トコフェロール等の糖化反応に関与するために利用可能な糖の量を低下させることが可能な物質と組み合わせて、AGEの形成の阻害を促進する物質を活性物質として含む。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の実施形態によると、AGEの形成の阻害を促進する活性物質は、好ましくは、イカリソウ属抽出物、ナガバギシギシの抽出物、サルサパリラ抽出物、在来つる植物(ビワモドキ)の抽出物、ガラナ、好ましくは、その種子、アセンヤクノキ抽出物、オオアザミ抽出物、松抽出物、ダイオウの抽出物、サンザシ抽出物、ロイコシアニジン、例えば、ブドウ種子抽出物、および特に、構造(I)のプロアントシアニンを含有するロイコシアニジン、ビンロウジュ抽出物、ビルベリー抽出物、ニワトコ抽出物、クルミ抽出物、ヤナギ抽出物、レタス抽出物、ハギ抽出物、およびそれらの混合物より選択される植物、植物全体、または植物部分の抽出物より選択される:
【化1】

【0031】
植物によっては、溶媒または溶媒の混合物、好ましくは、極性プロトン性溶媒中、有利に、100/0〜0/100(v/v)の水、アルコール、グリコール、ポリオール、水/アルコール、水/グリコール、もしくは水/ポリオール混合物(エタノール、グリセロール、ブチレングリコール、またはキシリトール等の他のグリコールとの混合物としての水等)中、好ましくは、1〜10%(w/w)で、根、地下茎、茎、樹皮、花、果実、種、胚芽、および葉より選択される植物部分を使用することが有利である。その後、得られた抽出物は、好ましくは、続いてろ過される可溶性分画を回収するために、ろ過または蒸留される。活性物質は、有利に、好ましくは、0.01〜10%(v/v)の濃度に希釈された水、アルコール、ポリオール、グリコール、またはそれらの混合物等の溶媒中の植物抽出物である。
【0032】
本発明による植物抽出物は、好ましくは、以下からなる群より選択される:
・イカリソウ(Epimedium Brevicornum)、好ましくは、その葉、
・ナガバギシギシ(Rumex crispus)、好ましくは、その根、葉および/または樹皮、
・サルサパリラ(Smilax ornata)、および
・在来つる植物(Davilla rugosa)、特に、その葉。
【0033】
在来つる植物(Davilla rugosa)の抽出物、特に、その葉は、適切な化粧用担体および/または医薬用担体、特に、皮膚科学的担体と組み合わせて、化粧用組成物、医薬組成物、特に、皮膚科学的組成物を製造するための広範囲な対象である。そのような組成物は、特に、皮膚老化およびその魅力的ではない兆候、特に、皺、小皺、および溝を予防しかつ/またはこれに対抗するように局所適用を目的とし、皮膚の一般的状態を改善することを可能とする。したがって、在来つる植物は、外見および/またはその状態を改善するために在来つる植物の抽出物をヒトの体の一部、好ましくは、皮膚に適用するステップからなる、美容ケア法または皮膚科学的ケア法を作り出すために有用である。したがって、本発明は、特に、環境要因の悪影響、特に、汚染物質および紫外線から皮膚を保護するため、および/またはそれを修復するように、美的目的の化粧用途か、または医薬組成物、特に、皮膚科学的組成物を製造するための、この在来つる植物抽出物の使用に関する。
【0034】
第2の実施形態によると、AGEの形成の阻害を促進する活性物質は、好ましくは、以下の特性決定された分子より選択される:アントラキノンおよびその誘導体、好ましくは、1,4−アントラキノンおよび1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC等のOPC(またはPCO)プロシアニドールオリゴマー、構造(I)のロイコシアニジンまたはプロアントシアニン、プルニン、カテコール、4−アミノフェノール、エリスロシンナトリウム、およびそれらを含有する植物抽出物、ならびにそれらの混合物。
【0035】
本発明による特性決定された分子は、好ましくは、1,4−アントラキノン、1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC、構造(I)のプロアントシアニン、プルニン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0036】
特定の一実施形態によると、活性物質は、構造(I)のプロアントシアニン、好ましくは、ブドウ種子、特に、ブドウ種子の抽出物から得られるものであり、該抽出物は、構造(I)のプロアントシアニンを、少なくとも90重量%、好ましくは、少なくとも95重量%含有する。したがって、本発明は、構造(I)のロアントシアニンを、少なくとも90重量%、好ましくは、少なくとも95重量%を含有し、好ましくはブドウ種子から得られる植物抽出物に関する。
【0037】
特定の一実施形態によると、イチゴ植物のOPCは、イチゴ植物(エゾヘビイチゴ)の地下茎から得られ、好ましくは、二量体から六量体の形態のオリゴマーアントシアニジン、カテキン、エピカテキン、およびプロシアニジンの混合物を含有する、好ましくは、抽出物の形態にある。
【0038】
したがって、本発明は、AGEの形成の阻害を促進する有効成分として、化粧用、栄養補助用または医薬組成物を調製するための、ガラナ、アセンヤクノキ、オオアザミ、マツ、ダイオウ、イカリソウ、サンザシ、ロイコシアニジン、ビンロウジュ、ビルベリー、ニワトコ、クルミ、ヤナギ、ナガバギシギシ、レタス、サルサパリラ、在来つる植物、およびハギより選択される植物、植物全体、もしくは植物部分の抽出物、および/またはエリスロシンナトリウム、1,4−アントラキノン、カテコール、4−ヒドロキシカルコン、4−アミノフェノール、イチゴ植物のOPC等のOPC(PCO、プロシアニドールオリゴマー)、またはロイコシアニジンもしくは構造(I)のプロアントシアニン、プルニン、および1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、またはこれらの物質の混合物の中から選択される化合物から選択される物質の使用に関連する。
【0039】
これらの活性物質のうち、1.5mMのアミノグアニジンによって生じる阻害を基準にして、AGEの形成を少なくとも65%、好ましくは、少なくとも80%阻害する活性物質が好ましい。
【0040】
組成物における好ましい有効成分は、イカリソウ(Epimedium Brevicornum)、好ましくは、その葉の抽出物、ナガバギシギシ(Rumex crispus)、好ましくは、その根、葉および/または樹皮の抽出物、サルサパリラ(Smilax ornata)、好ましくは、その根の抽出物、在来つる植物(ビワモドキ)、特に、その葉の抽出物、1,4−アントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC、プルニン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0041】
活性物質は、凍結乾燥、噴霧乾燥等によって濃縮することができる。
【0042】
有利に、該物質は、全組成物のうち、植物抽出物について、好ましくは、0.001重量%〜10重量%、好ましくは、0.01〜5重量%、より具体的に、1重量%の濃度、および特性決定された分子について、好ましくは、1×10−7〜1重量%、好ましくは、1×10−7〜1×10−1重量%、より好ましくは、1×10−5〜1×10−1重量%の濃度で使用され、これは使用する濃度を限定しない。
【0043】
したがって、本発明は、前述の有効成分または以下に記載される有効成分のうちの少なくとも1つを美容活性成分として含む組成物の局所適用または食品(栄養補助)補助剤の形態での摂取を含む美容ケア法に関する。
【0044】
本発明は、特に、血糖値が、例えば、糖尿病中に上昇するか、および/または高い場合、組織のタンパク質の糖化を予防しかつ/またはこれに対抗する前述の医薬組成物または以下に記載される医薬組成物の投与、好ましくは、局所的投与を含む、ヒトの体を治療する方法にも関する。本発明は、特に、糖尿病患者においてアルブミンの排出を低下させる方法に関する。
【0045】
本発明は、AGEの形成を阻害する活性成分をスクリーニングする方法にも関し、以下のステップ:
(a)少なくとも1つの種類の糖化タンパク質を、AGEの形成の阻害に対する活性をスクリーニングする対象の物質に接触させるステップと、
(b)AGEの形成の阻害を促進する少なくとも1つの活性成分を選択するステップと
を含む。
【0046】
有利に、ステップ(a)は、AGEの形成を可能にする条件下における、還元糖(例えば、グルコース、リボース、またはフルクトース)またはアルデヒドとの、皮膚または血管壁のタンパク質の少なくとも1つの種類、例えば、コラーゲン、もしくはウシ血清アルブミンのインキュベーションを含む。
【0047】
有利に、皮膚タンパク質は、ヒトコラーゲンであり、本発明の活性物質が、主にヒトの皮膚におけるタンパク質に対して活性を有することを確認することを可能にする。
【0048】
有利に、ステップ(b)は、40〜60℃、好ましくは、約50℃の温度でのスクリーニング対象の少なくとも1つの物質の存在下における、還元糖(例えば、リボース、グルコースまたはフルクトース)またはアルデヒドとの、皮膚または血管壁の少なくとも1つの種類のタンパク質、またはウシ血清アルブミンのインキュベーションを含む。
【0049】
活性成分の選択は、陽性対照に対して、試験される血清薬剤の存在下で得られる結果の比較により行われる。
【0050】
本発明による化合物は、局所組成物、特に、皮膚科学的に許容される化粧品、皮膚医薬組成物または医薬組成物の形態で調製される。したがって、これらの組成物に対して、賦形剤は、例えば、保存料、皮膚軟化剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、調整剤、艶消し剤、安定化剤、抗酸化剤、触感改良剤、漂白剤、フィルム形成剤、可溶化剤、顔料、染料、香料、および日焼け防止剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する。これらの賦形剤は、好ましくは、アミノ酸およびその誘導体、ポリグリセロール、エステル、セルロースのポリマーおよび誘導体、ラノリン誘導体、リン脂質、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、スクロースベースの安定化剤、ビタミンEおよびその誘導体、天然および合成ろう、植物油、トリグリセリド、不けん化物、植物ステロール、植物エステル、シリコンおよびその誘導体、タンパク質加水分解物、ホホバ油およびその誘導体、脂溶性/水溶性エステル、ベタイン、アミノキシド、植物抽出物、スクロースエステル、二酸化チタン、グリシン、およびパラベンからなる群、より好ましくは、ブチレングリコール、ステアレス−2、ステアレス−21、グリコール−15ステアリルエーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール、グリセリン、セチルリン酸ジヒドロキシナトリウム、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ステアリン酸ジグリコール、トリイソノナノイン、オクチルココアート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール、ビサボロール、ジメチコーン、水酸化ナトリウム、PEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸、カプリン/カプリル酸トリグリセリド、セテアリルオクタノアート、アジピン酸ジブチル、ブドウ種子油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンゴム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、鉱ろうおよび鉱油、イソステアリン酸イソステアリル、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール、PEG−8、蜜ろう、水添パーム核油グリセリド、水添パーム油グリセリド、ラノリン油、ゴマ油、乳酸セチル、ラノリンアルコール、ヒマシ油、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、低密度ポリエチレン、および等張食塩水からなる群より選択される。
【0051】
有利に、前述の組成物は、特に、シャワー用ゲルまたはシャンプーの、特に、ポットまたはチューブに入った水性または油性溶液、クリームまたは水性ゲルもしくは油性ゲル、ミルク、特に、水中油型または油中水型または複合もしくはシリコーンベースの種類のエマルション、マイクロエマルション、もしくはナノエマルション、特に、ガラスもしくはプラスチック瓶または計量瓶または噴霧器に入ったローション、球、液状せっけん、皮膚科学的化粧落とし、軟膏、フォーム、無水生成物、液状、ペースト状または固形生成物(例えば、スティック状、特に、リップスティックの形態)からなる群より選択される形態で作製される。
【0052】
本明細書において使用される「局所適用」という表現は、皮膚の表面上に本発明による組成物を適用または噴霧することを意味する。
【0053】
本明細書において使用される「皮膚科学的に許容される」という表現は、後ろに記載される組成物または成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応、またはそれらの同等物を伴わずに、ヒトの皮膚との接触における使用に適切であることを意味する。
【0054】
「AGEの形成の阻害を促進する」という表現は、物質が、糖の存在下で糖化することが可能なタンパク質の高度糖化最終生成物(AGE)の形成を低下させることを可能にすることを意味する。AGEの形成の阻害を促進する物質は、例えば、以下の実施例1の条件化で、例えば、1.5mMのアミノグアニジンの存在下およびAGEの形成の阻害を促進する活性物質の非存在下で得られるものの少なくとも65%の蛍光を得ることを可能にすることが好ましい。
【0055】
皮膚の健康および/または容貎を改善するための多くの美容的有効成分は、当業者によって知られている。当業者は、最良の効果を得るための化粧用組成物または皮膚科学的組成物の作製方法を知っている。一方、本発明において記載される化合物は、互いに組み合わされる場合に相乗効果を有する可能性がある。これらの組み合わせも、本発明に包含される。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第2版(1992)では、特に、局所使用に適切な、化粧品および医薬産業において一般的に使用される様々な化粧品および薬剤成分が記載される。これらのクラスの成分の例としては、以下の化合物に限定されないが、研磨剤、吸収剤、香料、顔料、染料、精油、収斂剤等の美的目的を有する化合物(例えば、丁子油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、オイゲノール、酪酸メンチル、ハマメリス水)、抗座瘡剤、抗凝集剤、抗発泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバマート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、膨張剤、キレート剤、添加剤、殺生物剤、変性剤、外用鎮痛薬、塗膜形成材、ポリマー、乳白剤、pH調整剤、還元剤、脱色剤または美白剤(例えば、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、調整剤(例えば、保湿剤)、皮膚緩和剤および/または創治癒剤(例えば、パンテノールおよびその誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、およびグリチルリチン酸二カリウム)、増粘剤、ならびにビタミン、および後者の誘導体または同等物を含む。
【0056】
メイラード反応を逆転させるか、AGEの脱糖化を促進するか、またはAGEに対してメイラード反応の逆転を促進することによって、糖化を阻害する活性物質を、AGEの存在を制限することを可能にする活性物質、特に、以下からなる群より選択される活性物質と組み合わせることが特に最も有利である:
・Aye wiwi(マプロウネア属ガイアナ)、好ましくは、その葉
・ジャマイカバーバイン(ホナガソウ)
・セクロピア(Cecropia obtuse)、好ましくは、その葉および/または芽
・パイロラ(オオウメガサソウ)
・3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸)
・トランス−3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン(カテキン)
・オキシインドール
・3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)
・1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログルシノール)。
【0057】
皮膚老化、皮膚の柔軟性および/または可塑性および/または弾性および/または機能性の低下に対する有効性をさらに改善するために、本発明による活性物質を、相補的性質を有する他の活性薬剤と組み合わせることも特に有利である。有利に、これらの他の活性薬剤は、以下より選択される:
・老化防止効果を有する細胞増殖および/または分化を刺激するための活性物質、特に、NGF、α−MSH、β−エンドルフィン、またはそれらの誘導体、特に、特許出願FR2857874号に記載されるもの;
・線維芽細胞増殖因子(FGF)、特に、FGF2を保護する活性物質、特に、第GB244036号において公開されている本出願人の名における特許出願に記載されているもの、特に、ヒビスクス・アベルモスクスの抽出物;
・有利に、ヒビスクス・アベルモスクスの抽出物と組み合わせた、線維芽細胞の活性および/または増殖を刺激する活性物質、特に、発酵大豆ペプチド、特に、Phytokine(商標)という名称で本出願人によって販売されているもの;
・ヒアルロン酸シンターゼ、特に、HAS2を刺激する活性物質、特に、特許第FR2893252号に記載されるもの;
・リシルオキシダーゼ、特に、LOXの活性および/または合成を刺激する活性物質、特に、特許出願第FR2855968号に記載されるもの、好ましくは、ディル抽出物;
・PLA2を阻害する等の抗炎症特性を有する活性物質、特に、特許第FR2847267号(Inhipase(登録商標))に記載されるもの等のクズ根の抽出物。
【0058】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、単に説明のために与えられ、本発明の範囲を全く限定するものではない実施例を言及する説明的記載を読んだ後、当業者にとって明らかとなる。
【0059】
実施例は、本発明の不可欠な部分であり、実施例を含む、その全体において取り込まれる記載に基づくいかなる従来技術に対して新規と見られるいかなる特徴も、機能的かつ一般的に本発明の不可欠な部分である。
【0060】
したがって、各実施例は、一般的範囲を有する。
【0061】
一方、実施例においては、すべてのパーセンテージは、他に示されない限り、重量%で与えられ、温度は、他に示されない限り、摂氏で表され、圧力は、他に示されない限り、大気圧である。
【実施例】
【0062】
実施例1:植物抽出物によるAGEの形成の阻害
1.AGEの調製
タンパク質および還元糖を含有する溶液の調製は、以下の通りに即席で行った。1.5μM〜1.5M、好ましくは、15μM〜500μMの濃度のウシ血清アルブミン(BSA)の溶液を、0.1M〜10M、好ましくは、0.5M〜5Mの濃度のグルコース、フルクトース、リボース等の還元糖の溶液、好ましくは、グルコースとともにインキュベートした。
【0063】
2.「植物抽出物」型の潜在的活性成分の調製
植物抽出物を、水、アルコール、グリコール、ポリオール、または水とアルコール、グリコールまたはポリオール(エタノール、グリセロール、ブチレングリコール、および他のグリコール、キシリトールなど)の100/0〜0/100(v/v)混合物より有利に選択される、溶媒、または溶媒の混合物中、好ましくは水中で、1〜10%(w/w)の植物(好ましくは、根、地下茎、茎、樹皮、花、果実、種子、胚芽、または葉)を浸軟させることによって得た。その後、得られた抽出物を、可溶性分画を回収するために、ろ過または蒸留し、その後、試験対象の抽出物を得るために、好ましくは、0.45μMにろ過した。
【0064】
3.AGEと潜在的活性化合物とのインキュベーション、および得られた阻害の分析
1で調製されたタンパク質/還元糖溶液を、2で得られた抽出物の存在下または非存在下(陰性対照)で、40〜60℃、好ましくは、約50℃で、1〜5週間、好ましくは、3週間インキュベートした。項2:抽出物に記載されるプロトコルによる抽出によって得られた活性物質は、タンパク質/還元糖調製物のうち、0.001〜10重量%、好ましくは、0.01〜5重量%、より特に1重量%の濃度で試験した。使用した陽性対照は、水中の15μM〜150mMの濃度、好ましくは、1.5mM〜15mMの濃度のアミノグアニジンであった。AGEの阻害の測定は、蛍光(350〜375nm、好ましくは、355nmの励起波長、420〜450nm、好ましくは、430nmの発光波長)を測定することによって行った。阻害は、反応培地(クエンチ)の分子との植物抽出物の相互作用の得られた値を推測することによって計算した。
【0065】
記載される条件下でのAGEの形成を阻害する植物抽出物は、以下の通りである:
【表1】

【化2】

【0066】
例として、第84929−27−1号において記録されたロイコシアニジンに関して言及することができる。
【0067】
実施例2:特性決定された分子によるAGEの形成の阻害
タンパク質/還元糖溶液の調製は、実施例1(項1)に記載される方法に従って行った。分子は、例えば、水またはDMSO中で、1×10−7〜1×10−1%、好ましくは、1×10−5〜1×10−1%、特に、1×10−1%の濃度で試験した。
【0068】
記載される条件下でのAGEの形成を阻害する分子は、以下の通りである:
【表2】

【0069】
実施例3:本発明による物質のヒトコラーゲンの抗糖化に対する活性
タンパク質/還元糖溶液の調製は、BSAの代わりのヒトコラーゲンを使用して、実施例1(項1)に記載される方法に従って行った。
【0070】
1.ヒトコラーゲンの調製
形成外科手術から得られたヒト生検から、ヒトコラーゲンの抽出を行った。溶液の形態で得られたコラーゲンは、グルコース、フルクトース、またはリボース等の還元糖の溶液、好ましくは、リボースとともにインキュベートした。インキュベーション濃度は、前述の実施例に記載されるものと同じとした。
【0071】
2.潜在的活性成分の調製および試験
「植物抽出物」型および「特性決定された分子」型の潜在的活性成分を、実施例1および2に挙げられる条件と同じ条件下で使用した。
【0072】
3.結果
使用した1.5mMのアミノグアニジンと少なくとも同等の様式で、記載される条件下でAGEの形成を阻害する分子は、実施例1および2に挙げられるものと同じであった。
【表3】

【0073】
実施例4:本発明によるプロアントシアニジンと従来技術からの一部のアントシアニジンとの比較
この実施例においては、本発明者らは、アントシアニンのファミリーからの種々の分子に対してAGEの形成の阻害の特性を研究することを意図する。
【表4】

【0074】
驚くべきことに、本発明による構造(I)のプロアントシアニジンの95%を含有するブドウ種子抽出物が、従来技術のグリコシル化分子と比較して、非常に高い活性を有することが見出された。従来技術においては、様々なアントシアニンが、AGEの形成を阻害することについて活性であると報告されている。しかしながら、この見解は、概して、「クエンチ」またはアントシアニン自体のある波長の吸収性によって生成されるシグナルのノイズを考慮せず、AGEの形成に対する阻害活性につながらない。
【0075】
本発明においては、「クエンチ」は、正当に考慮される。したがって、観察された結果は、AGEの形成の阻害に直接起因し得る。
【0076】
実施例5:Yoshikawaらによる特許出願第US2007/0060533号「高度糖化最終生成物の形成の新規阻害剤およびアルドース還元酵素阻害剤」の教示に対する比較
阻害剤として使用することができ、大量のアントシアニンを得ることを可能にする抽出により得ることができる文献US2007/0060533号からのアントシアニンは、特に、液果類から得られる。
【0077】
本発明者らは、本発明のロイコシアニジンとの比較において以下の液果類を試験した:
【表5】

【0078】
本発明のロイコシアニジンが、従来技術による活性液果類に含有されるアントシアニンの活性よりはるかに高い活性を有することが見られる。
【0079】
実施例6〜11:局所に適用することができる抗老化組成物
以下の実施例においては、「本発明の生成物」は、本発明による活性物質、特に、実施例1または2に従って得られるものを示す。
【0080】
実施例6:水中油型エマルションタイプの化粧用または製剤処方における本発明の生成物の使用
【表6】

【表7】

【表8】

【0081】
実施例7:油中水型の製剤における本発明の生成物の使用
【表9】

【0082】
実施例8:水性ゲル(アイライナー等)製剤における本発明の生成物の使用
【表10】

【0083】
実施例9:シャンプーまたはシャワー用ジェル型製剤における本発明の生成物の使用
【表11】

【0084】
実施例10:リップスティックおよび他の無水製品型製剤における本発明の生成物の使用
【表12】

【0085】
実施例11:錠剤、軟膏または注射用製剤における本発明の生成物の使用
【表13】

【表14】

【表15】

【0086】
相Aおよび相Bは、別々のアンプル内に封入され、使用前に混合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AGEの形成の阻害を促進する有効成分としての、化粧用、栄養補助用または医薬組成物を調製するための、イカリソウ、ナガバギシギシ、サルサパリラ、在来つる植物、ガラナ種子、アセンヤクノキ、オオアザミ、マツ、ダイオウ、イカリソウ、サンザシ、ロイコシアニジン、ビンロウジュ、ビルベリー、ニワトコ、クルミ、ヤナギ、ナガバギシギシ、レタス、サルサパリラ、およびハギより選択される植物、植物全体、または植物部分の抽出物、および/またはアントラキノンおよびその誘導体、好ましくは、1,4−アントラキノンおよび1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC等のOPC(PCOプロシアニドールオリゴマー)、ロイコシアニジンまたは構造(I)のプロアントシアニン、
【化1】

プルニン、カテコール、4−アミノフェノール、エリスロシンナトリウム、またはこれらの物質の混合物より選択される化合物からなる群より選択される物質の使用。
【請求項2】
前記組成物が、イカリソウ(Epimedium brevicornum)、好ましくは、その葉の抽出物、ナガバギシギシ(Rumex crispus)、好ましくは、その根、葉および/または樹皮の抽出物、サルサパリラ(Smilax ornata)、好ましくは、その根の抽出物、在来つる植物(Davilla rugasa)、好ましくは、その葉の抽出物、1,4−アントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC、プルニン、またはこれらの組み合わせの中から選択される少なくとも1つの有効成分を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が、AGEの形成を阻害することによって、例えば、皮膚、または血管もしくは臓器の組織壁、特に、皮膚の組織の弾塑性特性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するためか、あるいは該組織におけるタンパク質の糖化を予防しかつ/またはこれに対抗するための化粧用、栄養補助用または医薬組成物である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記物質が、全組成物のうち、好ましくは、植物抽出物について0.001〜10重量%、特性決定された分子について1×10−7〜1重量%の濃度で使用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
AGEの皮膚での形成の阻害によって、皮膚の弾塑性特性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するための、局所に、または食品補助剤として適用することができる化粧用組成物であって、任意で、皮膚タンパク質の保護を促進するための物質、または無機化を介して糖化を阻害する薬剤、または酵素阻害剤、または糖化反応に関与するために利用可能な糖の量を低下させることが可能な物質と組み合わせて、イカリソウ、ナガバギシギシ、サルサパリラ、在来つる植物、ガラナ種子、アセンヤクノキ、オオアザミ、マツ、ダイオウ、イカリソウ、サンザシ、ロイコシアニジン、ビンロウジュ、ビルベリー、ニワトコ、クルミ、ヤナギ、ナガバギシギシ、レタス、およびハギの中から選択される植物、植物全体、または植物部分の抽出物、および/またはアントラキノンおよびその誘導体、好ましくは、1,4−アントラキノンおよび1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC等のOPC(PCOプロシアニドールオリゴマー)、ロイコシアニジンまたは構造(I)のプロアントシアニン、
【化2】

プルニン、カテコール、4−アミノフェノール、エリスロシンナトリウム、またはこれらの物質の混合物から選択される化合物の中から選択される物質を、AGEの形成の阻害を促進する有効成分として含む、上記化粧用組成物。
【請求項6】
前記活性物質が、イカリソウ(Epimedium brevicornum)、好ましくは、その葉の抽出物、ナガバギシギシ(Rumex crispus)、好ましくは、その根、葉および/または樹皮の抽出物、サルサパリラ(Smilax ornata)、好ましくは、その根の抽出物、在来つる植物(Davilla rugasa)、好ましくは、その葉の抽出物、1,4−アントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC、プルニン、またはこれらの組み合わせからなる群の中から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記物質は、全組成物のうち、好ましくは、植物抽出物について0.001〜10重量%、特性決定された分子について1×10−7〜1重量%の濃度で使用される、請求項5〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
組織におけるAGEの形成を阻害することによって、組織、特に、皮膚組織、または血管もしくは臓器の組織壁の弾塑性特性の低下に対抗しかつ/またはこれを予防することを特に目的とする医薬組成物であって、任意で、組織のタンパク質の保護を促進するための物質、または無機化を介して糖化を阻害する薬剤、または酵素阻害剤、または糖化反応に関与するために利用可能な糖の量を低下させることが可能な物質と組み合わせて、化粧用、栄養補助用または医薬組成物、または以下の物質の混合物を調製するための、イカリソウ、ナガバギシギシ、サルサパリラ、在来つる植物、ガラナ種子、アセンヤクノキ、オオアザミ、マツ、ダイオウ、イカリソウ、サンザシ、ロイコシアニジン、ビンロウジュ、ビルベリー、ニワトコ、クルミ、ヤナギ、ナガバギシギシ、レタス、サルサパリラ、およびハギの中から選択される植物、植物全体、または植物部分の抽出物、および/またはアントラキノンおよびその誘導体、好ましくは、1,4−アントラキノンおよび1−アミノ−2−ヒドロキシメチルアントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC等のOPC(PCOプロシアニドールオリゴマー)、ロイコシアニジンまたは構造(I)のプロアントシアニン、
【化3】

プルニン、カテコール、4−アミノフェノール、エリスロシンナトリウム、またはこれらの物質の混合物の中から選択される化合物の中から選択される物質を、AGEの形成の阻害を促進する活性物質として含む、上記医薬組成物。
【請求項9】
前記活性物質が、イカリソウ(Epimedium brevicornum)、好ましくは、その葉の抽出物、ナガバギシギシ(Rumex crispus)、好ましくは、その根、葉および/または樹皮の抽出物、サルサパリラ(Smilax ornata)、好ましくは、その根の抽出物、在来つる植物(Dovilla rugasa)、好ましくは、その葉の抽出物、1,4−アントラキノン、4−ヒドロキシカルコン、イチゴ植物のOPC、プルニン、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記物質が、全組成物のうち、好ましくは、植物抽出物について0.001〜10重量%、特性決定された分子について1×10−7〜1重量%の濃度で使用される、請求項8〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
AGEの形成を阻害する活性成分をスクリーニングする方法であって、以下のステップ:
(a)少なくとも1つの種類の糖化タンパク質を、AGEの形成の阻害に関して活性をスクリーニングする対象の物質に接触させるステップと、
(b)AGEの形成の阻害を促進する少なくとも1つの活性成分を選択するステップと、
を含む、上記方法。
【請求項12】
ステップ(a)が、AGEの形成を可能にする条件下における、還元糖との皮膚もしくは血管壁のタンパク質の少なくとも1つの種類、または還元糖とのBSA(ウシ血清アルブミン)のインキュベーションを含む、請求項11に記載のスクリーニング方法。
【請求項13】
ステップ(b)が、40〜60℃、好ましくは、約50℃の温度での、スクリーニング対象の少なくとも1つの物質の存在下において、還元糖との皮膚もしくは血管壁のタンパク質の少なくとも1つの種類、例えば、ヒトコラーゲン、または還元糖とのBSA(ウシ血清アルブミン)のインキュベーションを含む、請求項11または12に記載のスクリーニング方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分の少なくとも1つか、または請求項7〜9のいずれか1項に記載の化粧用組成物を、化粧用活性成分として含む組成物の、局所適用または食品補助剤の形態での摂取を含む美容ケア法。

【公表番号】特表2010−533142(P2010−533142A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515507(P2010−515507)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058954
【国際公開番号】WO2009/007411
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500226948)ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【Fターム(参考)】