MEMS、振動ジャイロスコープおよびMEMSの製造方法
【課題】圧電素子をMEMSに配置できる領域を拡大する。
【解決手段】複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、を備えるMEMS。
【解決手段】複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、を備えるMEMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、振動ジャイロスコープおよびMEMSの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を備えた加速度センサ、圧電アクチュエータ等のMEMSが知られている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1、2には、シリコン基板または圧電層の一部に不純物イオンを拡散させて配線要素を形成する方法が形成されている。
【特許文献1】特開平9−211020号公報
【特許文献2】特開2006−217715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載された方法によると、圧電素子の電極を構成している共通信号線とシリコン基板とが接しているため、シリコン基板の表層に不純物イオンを拡散させても、圧電素子の真下において互いに分離した複数の導線を構成することができない。また、特許文献2に記載された方法によると、圧電素子の電極から引き出される互いに分離した導線を圧電素子に接している弾性膜に形成することができない。
したがって、特許文献1、2に記載された方法によると、圧電素子から引き出される全ての導線のパターンと圧電素子のパターンとを重ねることができない。すなわち、特許文献1、2に記載された方法によると、圧電素子から引き出される導線を避けて圧電素子を配置しなければならないため、圧電素子を配置できる領域が縮小することになる。
【0004】
本発明は圧電素子をMEMSに配置できる領域を拡大することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのMEMSは、複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、を備える。
【0006】
本発明によると、絶縁層を介して半導体層と圧電層とが隔てられているため、半導体層の不純物拡散領域からなる複数の導線を圧電素子の真下に配置することができる。したがって本発明によると、圧電素子を配置できる領域が拡大され、アクチュエータの駆動力が向上し、センサ感度が向上する。なお、本明細書では、可撓部に対する圧電素子の配置位置を上として「上」と「下」の用語を用いる。
【0007】
(2)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記圧電層のパターンは前記下部電極層のパターンより広く前記下部電極層の周囲において前記絶縁層に接していてもよい。
本発明によると、圧電素子の上部電極と下部電極との間のショートおよびリークを防止できる。
【0008】
(3)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記圧電層は、前記下部電極層及び前記絶縁層に対する界面を構成する下面が前記上部電極層に対する界面を構成する上面より広く、前記下面と前記上面の間にある側面が傾斜面であって、前記接続手段は前記圧電層の前記側面に積層されていてもよい。
本発明によると、圧電層自体を層間絶縁膜として用いるため、構造を簡素化し製造コストを低減できる。なお、圧電層が傾斜面であるとき、圧電層の上面と側面がなす狭い方の角は鈍角であり圧電層の下面と側面がなす狭い方の角は鋭角である。
【0009】
(4)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記上部電極層のパターンは前記下部電極層のパターンより狭く、前記下部電極層又は前記圧電層は前記上部電極層の周囲から露出していてもよい。
本発明によると、圧電素子の上部電極と下部電極との間のショートを防止できる。
【0010】
(5)上記目的を達成するためのMEMSを、錘部と、支持部と、をさらに備える振動ジャイロスコープとして構成し、前記可撓部は、自由端が前記錘部に結合し固定端が前記支持部に結合している梁を構成し、前記圧電素子は、前記可撓部を歪ませることによって前記錘部を駆動する駆動用圧電素子と、前記錘部の運動に伴う前記可撓部の歪みを検出する検出用圧電素子とを構成してもよい。
本発明によると、可撓部の剛性を低くして感度を高めるために可撓部をパターンの狭い梁として構成するとともに、パターンが狭い可撓部に対して圧電素子を最大限配置できるため、感度が高い振動ジャイロスコープを実現することができる。
【0011】
(6)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法は、半導体層の表面に積層された絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、前記絶縁層と前記半導体層とを含み可撓性を有する可撓部を形成し、複数の前記コンタクトホールから露出する複数の不純物拡散領域からなる複数の導線を前記半導体層に形成し、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接する下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子を形成し、前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導線層を形成する、ことを含む。
本発明によると、絶縁層を介して半導体層と圧電層とを隔てるため、半導体層の不純物拡散領域からなる複数の導線を圧電素子の真下に配置することができる。したがって本発明によると、圧電素子を配置できる領域が拡大される。
【0012】
尚、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSセンサの第一実施形態である振動ジャイロスコープを図1および図2に示す。図1A、図1Bは振動ジャイロスコープ1のセンサダイ1Aを示す断面図であってそれぞれ図1Cに示すAA線、BB線の断面図である。図1Cはセンサダイ1Aの上面図である。図2は振動ジャイロスコープ1を示す断面図である。図1A、図1Bおよび図2において、センサダイ1Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ1Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0014】
振動ジャイロスコープ1は互いに直交する3軸の角速度成分を検出するためのMEMSセンサである。振動ジャイロスコープ1は、図2に示すパッケージ1Bと、パッケージ1Bに収容されたセンサダイ1Aとを備える。
【0015】
センサダイ1Aは、図1Aに示すように、ベース層11と、ベース層11に接するエッチングストッパ層12と、エッチングストッパ層12に接する半導体層13と、半導体層13に接する第一絶縁層20と、第一絶縁層20に接する電極層31と、電極層31に接する圧電層32と、圧電層32に接する電極層33と、電極層31、33、圧電層32および第一絶縁層20に接する第二絶縁層40と、第二絶縁層40に接する表面導線層50とからなる積層構造体である。ベース層11と半導体層13はいずれも単結晶シリコン(Si)からなる。ベース層11はガラス等のバルク材料で構成しても良い。ベース層11の厚さは625μmである。半導体層13の厚さは10μmである。エッチングストッパ層12および第一絶縁層20はシリコン酸化膜(SiO2)からなる。エッチングストッパ層12の厚さは1μmである。第一絶縁層20の厚さは0.5μmである。電極層31、33は、白金(Pt)からなる。電極層31、33はイリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrO2)、金(Au)等の導電性材料から構成しても良い。電極層31、33の厚さは0.1μmである。圧電層32はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。圧電層32の厚さは3μmである。第二絶縁層40は感光性ポリイミドからなる。第二絶縁層40はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜(SixNy)、アルミナ(Al2O3)等の無機絶縁材料から構成してもよい。第二絶縁層40の厚さは5μmである。表面導線層50はアルミニウム(Al)からなる。表面導線層50は、アルミシリコン(AlSi)、AlSiCu等の導電性材料から構成しても良い。表面導線層50の厚さは0.5μmである。
【0016】
振動ジャイロスコープ1のセンサダイ1Aは、枠形の支持部Sと、支持部Sの内側に十文字形に配置された4つの梁Fと、4つの梁Fのそれぞれの自由端に結合している錘部Mと、4つの梁Fの上にそれぞれに設けられ4つの梁Fを撓ませることによって錘部Mを振動させる駆動用圧電素子30aと、4つの梁Fの上にそれぞれに設けられ4つの梁Fの歪みを検出する検出用圧電素子30bとを備える。
【0017】
支持部Sは図1Cに示すように矩形枠の形態を有する。支持部Sはベース層11、エッチングストッパ層12、半導体層13および第一絶縁層20を含む。支持部Sはバルク材料からなる厚いベース層11を含み、ベース層11を介してパッケージ1Bに固定されるため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において不動の実質的な剛体として振る舞う。支持部Sの底面はパッケージ1Bの底面に接着層92を介して接合される。
【0018】
可撓部としての4つの梁Fのそれぞれは片持ち梁の形態を有する。梁Fは半導体層13と第一絶縁層20とを含む。梁Fはバルク材料からなる厚いベース層11を含まないため、可撓性を有する膜として振る舞う。4つの梁Fのそれぞれの一端は支持部Sの内側の4辺に結合している。支持部Sは不動の剛体として振る舞うため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において梁Fの一端は固定端となる。4つの梁Fは支持部Sの内側の4辺から支持部Sの内側の空間の中央に向かって突出している。4つの梁Fのそれぞれの突端は錘部Mに結合している。錘部Mは梁Fにのみ結合し、図2に示すようにパッケージ1Bの底面90aから浮いているため、梁Fの突端は振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において自由端として振る舞う。4つの梁Fは錘部Mの運動にともなってそれぞれ変形する。
【0019】
錘部Mの底面は、1つの矩形とその4つの角に結合した4つの矩形とが組み合わさったパターン(梁Fの厚さ方向から見た形状)を有する。錘部Mはベース層11、エッチングストッパ層12、半導体層13および第一絶縁層20を含む。錘部Mはバルク材料からなる厚いベース層11を含むため実質的に剛体として振る舞う。錘部Mは梁Fにのみ結合し、図2に示すようにパッケージ1Bの底面90aから浮いているため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において運動する。
【0020】
駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bはいずれも電極層31、33と圧電層32とからなる。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bの下部電極を構成する電極層31は第一絶縁層20に形成されたコンタクトホール20hを介して内部導線131に接続している。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bの上部電極を構成する電極層33は第二絶縁層40に形成されたコンタクトホール40hを介して表面導線層50に接続している。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bは梁Fの幅(自由端と固定端とを結ぶ辺に垂直な長さ)のほぼ全体に対して割り付けられている。
【0021】
駆動用圧電素子30aは梁Fと支持部Sとの境界をまたいで形成されている。駆動用圧電素子30aは錘部Mを振動させるための駆動手段である。駆動用圧電素子30aには錘部Mを振動(周回運動)させる正弦波信号が印加される。
【0022】
検出用圧電素子30bは梁Fと錘部Mとの境界をまたいで形成されている。検出用圧電素子30bは錘部Mの運動に伴う梁Fの変形を検出するための検出手段である。実質的に剛体として振る舞う錘部Mと可撓性を有する梁Fとの境界には、梁Fの変形に伴う応力と歪みが集中する。このため、検出用圧電素子30bを錘部Mと梁Fとの境界をまたいで設けることにより、効率よく梁Fの変形にともなう歪みを検出することができる。検出用圧電素子30bからは同期検波などによって3軸の角速度成分に対応する信号を得ることができる。
【0023】
なお、駆動用圧電素子30aを錘部Mと4つの梁Fとのそれぞれの境界をまたいで設けてもよい。また検出用圧電素子30bを支持部Sと4つの梁Fとのそれぞれの境界をまたいで設けてもよい。いずれにしても、梁Fとそれに結合している実質的な剛体との境界(振動端)近傍に駆動用圧電素子30aと検出用圧電素子30bとを設けることが望ましい。
【0024】
半導体層13には互いに分離している(絶縁されている)複数の内部導線131が形成されている。内部導線131は半導体層13に形成された不純物拡散領域からなる。互いに分離している複数の不純物拡散領域において半導体層13は導体としての性質を持つ。不純物拡散領域の外部において半導体層13は絶縁体としての性質を持つ。第一絶縁層20を介して半導体層13と電極層31とが隔てられている(絶縁されている)ため、互いに分離し絶縁された複数の内部導線131を半導体層13に形成することができる。内部導線131の一部は圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層31の導線として用いられる。内部導線131の残部は圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層33の導線として用いられる。内部導線131を半導体層13に形成することにより、圧電素子30a、30bの真下に配線することが可能になる。すなわち内部導線131を半導体層13に形成することにより、梁Fの幅方向においては、駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30b以外の要素を梁Fの表面に割り付ける必要がなくなる。したがって、フォトリソグラフィのアライメント精度を見込んだマージンを0とするならば、梁Fの幅全体に対して駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bを割り付けることも可能である。
【0025】
内部導線131が形成されている半導体層13と圧電素子30a、30bとの間には第一絶縁層20が形成されているため、第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して圧電素子30a、30bの電極を互いに絶縁された別系統の内部導線131に接続することが可能である。
【0026】
第一絶縁層20の複数のコンタクトホール20hの一部は圧電素子30a、30bの下部電極としての電極層31の真下に形成されている。電極層31の真下に形成された第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して電極層31は内部導線131に直接接続されている。
【0027】
第一絶縁層20の複数のコンタクトホール20hの他の一部は圧電素子30a、30bの近傍にあって圧電素子30a、30bよりも梁Fの固定端側に位置する。圧電素子30a、30bの近傍にあるコンタクトホール20hから端部が露出している内部導線131は接続手段としての表面導線50bを介して圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層33と接続されている。
【0028】
表面導線層50からなる表面導線50bと圧電素子30a、30bの間には第二絶縁層40が差し挟まれている。すなわち第二絶縁層40は圧電素子30a、30bの電極層31と表面導線50bとを絶縁する層間絶縁膜として用いられている。表面導線50bの一端は第二絶縁層40に形成されたコンタクトホール40hを介して電極層33に直接接続されている。表面導線50bの他端は第二絶縁層40のコンタクトホール40hおよび第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して内部導線131に直接接続されている。
【0029】
センサダイ1Aの外周近傍において表面導線層50は複数のボンディングパッド50aを形成している。それぞれのボンディングパッド50aは互いに絶縁された別系統の内部導線131に第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して直接接続されている。すなわち、複数の圧電素子30a、30bの各電極は、表面導線50bおよび内部導線131を介してそれぞれ異なるボンディングパッド50aに接続されている。そして上述したように、圧電素子30a、30bの各電極とボンディングパッド50aとを接続する内部導線131を圧電素子30a、30bの真下に配置することができるため、圧電素子30a、30bを梁Fに対して最大限大きく設計することができるのである。また圧電素子30a、30bの導線を圧電素子30a、30bの直下にある梁Fの内部に配置することにより、圧電素子30a、30bの上に表面導線50bを配置するために第二絶縁層40を広い領域に形成する必要がなくなる。すなわち、第二絶縁層40を形成する領域を最小限にすることによって、第二絶縁層40の熱応力による梁Fの反りを抑制できる。
【0030】
図2に示すパッケージ1Bは、無蓋箱型のパッケージベース90とパッケージベース90の内部空間を閉塞するカバー94とを備える。パッケージベース90とカバー94とは接着層93を介して接合されている。パッケージベース90には複数の貫通電極91が設けられている。ワイヤ95は一端がセンサダイ1Aのボンディングパッド50aに接合され他端がパッケージ1Bの貫通電極91に接合される。センサダイ1Aの支持部Sの底面はパッケージベース90の内側の底面90aに接着層92によって接着されている。底面90aに形成する凹部の深さや接着層92の厚さによってセンサダイ1Aの錘部Mとパッケージベース90の内側の底面90aとの間の空隙の高さが設定されている。なお、パッケージ1Bの内部にセンサダイ1Aと接続されるLSIダイを収容してもよい。
【0031】
(製造方法)
以下、図3から図11に基づいて振動ジャイロスコープ1の製造方法の一例を説明する。図3から図11の断面図は図6C、図7、図10Bおよび図11Bを除いて全て図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図6C、図7、図10Bおよび図11Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。
【0032】
はじめに図3に示すように、ベース層11、エッチングストッパ層12および半導体層13となるSOIウエハ10を用意する。SOIウエハ10のベース層11は厚さ625μmの単結晶シリコンからなる。SOIウエハ10のエッチングストッパ層12は厚さ1μmの二酸化シリコンからなる。SOIウエハ10の半導体層13は厚さ10μmの単結晶シリコンからなる。なお、ベース層11となる単結晶シリコンウエハの表面に、熱酸化、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって酸化シリコンからなるエッチングストッパ層12を形成し、エッチングストッパ層12の表面にCVD等によって多結晶シリコンからなる半導体層13を形成してもよい。次に半導体層13の表面に第一絶縁層20を形成する。第一絶縁層20として、例えば熱酸化またはCVDにより厚さ0.5μmの二酸化シリコンの膜を形成する。そして、フォトレジストからなる保護膜R1を用いてSOIウエハ10の半導体層13に不純物を導入することにより内部導線131を形成する。不純物として、例えば2×1020/cm3の濃度でボロン(B)イオンを25keVの加速電圧によって第一絶縁層20を貫通させて半導体層13の表層に注入する。内部導線131は例えば半導体層13と第一絶縁層20との界面から1μmの深さの範囲に形成する。イオン注入後はアニールによる活性化が行われる。なお、半導体層13への不純物導入後に第一絶縁層20を形成しても良い。図3Bは内部導線131のパターンを示す平面図である。
【0033】
次に図4に示すようにフォトレジストからなる保護膜R2を用いて第一絶縁層20に複数のコンタクトホール20hを形成し、内部導線131の端部を第一絶縁層20から露出させる。コンタクトホール20hは、例えばCF4+H2またはCHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングによって第一絶縁層20を異方的にエッチングすることによって形成する。フッ酸(HF)または緩衝フッ酸(BHF)を用いたウエットエッチングによってコンタクトホール20hを形成してもよい。
【0034】
次に図5に示すように、第一絶縁層20の表面全体に下部電極層としての電極層31を積層し、電極層31の表面全体に圧電層32を積層し、圧電層32の表面全体に上部電極層としての電極層33を積層する。このとき電極層31と内部導線131とが接続される。電極層31、33としては、スパッタリング等によって白金からなる膜を形成する。白金酸化シリコンの密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)を成膜してもよい。また電極層31の材料には酸化イリジウム(IrO2)を用いても良い。電極層33の材料にはイリジウム、酸化イリジウム、金(Au)などを用いても良い。圧電層32としては、ゾルゲル法、水熱合成法等によってPZTからなる膜を形成する。白金とPZTの密着層として厚さ30nmのチタンを成膜しても良い。
【0035】
次に図6に示すように、電極層31、33と圧電層32とをフォトレジストからなる保護膜R3を用いてエッチングすることにより、電極層31、33と圧電層32とからなる圧電素子30a、30bを形成する。このとき、すべての圧電素子30a、30bは内部導線131の真上に形成される。またこのとき上部電極となる電極層33と内部導線131とを接続するためのコンタクトホール20hを露出させる。具体的には、白金からなる電極層31、33はアルゴン(Ar)イオンを用いたイオンミリングによってパターニングする。PZTからなる圧電層32は塩素(Cl2)をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。電極層33と内部導線131とを接続するためのコンタクトホール20hを埋めていた電極層31をイオンミリングによって完全に除去するとき、半導体層13の表層を僅かにオーバーエッチングする必要がある。オーバーエッチングされる半導体層13の深さheは内部導線131の深さh131(1μm)より十分浅い例えば100nmとする。
【0036】
次に図7に示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて第一絶縁層20と半導体層13とを所定形状にパターニングする。その結果、4つの梁Fのパターンが形成される。第一絶縁層20はCHF3ガスまたはCF4+H2ガスを用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。半導体層13はCF4+O2ガスを用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。フッ酸や緩衝フッ酸を用いたウエットエッチングによって梁Fのパターンを形成してもよい。
【0037】
次に図8に示すように圧電素子30a、30bおよび第一絶縁層20の表面にコンタクトホール40hを有する所定パターンの第二絶縁層40を形成する。例えば厚さ5μmの感光性ポリイミドを圧電素子30a、30bおよび第一絶縁層20の表面全体に塗布し、露光・現像によって所定形状にパターニングすることによってコンタクトホール40hを有する第二絶縁層40を形成する。第二絶縁層40のパターンは複数の層間絶縁膜となる複数の領域に分断される。第二絶縁層40の互いに分離しているそれぞれの領域は上部電極としての電極層33と圧電素子30a、30bの外側に位置するコンタクトホール20hとをそれぞれ露出させる2つのコンタクトホール40hを有する。
【0038】
次に図9に示すように第二絶縁層40の表面に表面導線層50を積層し表面導線層50をエッチングすることによって、上部電極としての圧電層32と内部導線131とを接続する表面導線50bとボンディングパッド50aとを形成する。表面導線層50として、例えばスパッタリングによって0.5μmの厚さのアルミニウム(Al)の膜を形成する。表面導線層50としてアルミシリコン(AlSi)の膜を形成してもよい。表面導線層50のパターンは、例えば塩素(Cl2)ガスを用いた反応性イオンエッチングにより形成する。アルミニウムの密着層として厚さ30nmのチタン膜を形成しても良い。表面導線層50は、例えばCl2ガスを用いた反応性イオンエッチングの代わりに、イオンミリング法、燐酸、硝酸、酢酸の混合液を用いたウエットエッチングによってパターニングしてもよい。
【0039】
次に上述の工程によって形成された積層構造体Wの圧電素子30a、30bが形成されている面を図10に示すように犠牲基板99に接着する。接着層98として、例えばワックス、フォトレジスト、両面粘着シート等を用いる。
【0040】
次にフォトレジストからなる保護膜R5を用いてベース層11をエッチングすることによってベース層11を所定形状にパターニングする。具体的には例えば、SF6プラズマガスを用いたパッシベーションとC4F8プラズマガスを用いたエッチングのステップを短い時間間隔で交互に繰り返すDeep−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってベース層11を異方的にエッチングする。なお、ベース層11のパターニングを最初に実施しても良いし、半導体層13の表面側を処理する工程の間に実施しても良い。
【0041】
次に、図11に示すようにエッチングストッパ層12の露出部分をエッチングにより除去する。その結果、梁Fと錘部Mとがリリースされる。具体的には緩衝フッ酸を用いたウエットエッチングによってエッチングストッパ層12の露出部分を除去する。その後、ダイシング、パッケージングなどの後工程を実施することによって、図2に示す振動ジャイロスコープ1が完成する。
【0042】
以上説明した振動ジャイロスコープ1の製造方法によると、圧電素子30a、30bの真下に内部導線131を配置することができるため、圧電素子30a、30bを梁Fに対して最大限広く配置することができる。
【0043】
2.第二実施形態
(構成)
図12は本発明の第二実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ2Aを示す断面図である。センサダイ2Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図12Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図12Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図12A、図12Bにおいて、センサダイ2Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ2Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0044】
図12に示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも圧電層32のパターンを広く設計し、電極層31の周囲において圧電層32が第一絶縁層20に接するように構成しても良い。圧電層32によって電極層31を完全に覆うことによって、電極層31と電極層33とが直接ショートまたはリークすることを確実に防止できる。
【0045】
(製造方法)
図13、図14はセンサダイ2Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すAA線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図13、図14に示すように2種類の保護膜R31、R32を用いる。
【0046】
すなわち、電極層31を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図13に示すようにフォトレジストからなる保護膜R31を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R31を形成しても良い。
【0047】
次に第一絶縁層20と電極層31の表面全体に圧電層32と電極層33を順に積層し、フォトレジストからなる保護膜R32を用いたエッチングにより圧電層32と電極層33とを所定形状にパターニングする。このとき、圧電層32が電極層31を完全に覆うように圧電層32のパターンを電極層31のパターンよりも広く形成する。そして電極層33のパターンを圧電層32のパターンと一致させる。なお、電極層33のパターンを電極層31のパターンと一致させても良い。またこのときも、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R32を形成しても良い。
その後、第一実施形態と同様に表面導線50b等を形成するとセンサダイ2Aが完成する。
【0048】
3.第三実施形態
図15は本発明の第三実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ3Aを示す断面図である。センサダイ3Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図15Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図15Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図15A、図15Bにおいて、センサダイ3Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ3Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0049】
図15に示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも上部電極としての電極層33のパターンを狭く設計し、電極層31または圧電層32が電極層33の周囲から露出するように構成しても良い。電極層31のパターンよりも上部電極としての電極層33のパターンを狭く設計すれば、電極層31と電極層33の間のショートを防止できる。さらに圧電層32のパターンの内側に電極層33のパターンを配置することが好ましい。この場合、パターニング工程を簡素化するため、電極層31と圧電層32のパターンを一致させることがさらに好ましい。
【0050】
(製造方法)
図16、図17はセンサダイ3Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すBB線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図16、図17に示すように2種類の保護膜R33、R34を用いる。
【0051】
すなわち、第一実施形態と同様に電極層31、33、圧電層32を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図16に示すようにフォトレジストからなる保護膜R33を用いたエッチングにより電極層33および圧電層32を所定形状にパターニングする。このとき、圧電層32のエッチングでは保護膜R33に覆われていない領域においても圧電層32が残存するようにエッチングの終点を設定しても良い。
【0052】
次に図17に示すようにフォトレジストからなる保護膜R34を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、電極層31が電極層33の周囲にはみ出すように電極層31のパターンを電極層33のパターンよりも広く形成する。
なお、圧電層32と電極層31のパターンを一致させる場合には、保護膜R33を用い
たパターニングでは電極層33のみをエッチングし、保護膜R34を用いたエッチングによって圧電層32と電極層31とをパターニングすればよい。
その後、第一実施形態と同様に表面導線50b等を形成するとセンサダイ3Aが完成する。
【0053】
4.第四実施形態
図18は本発明の第三実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ4Aを示す断面図である。センサダイ4Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図18Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図18Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図18Aおよび図18Bにおいて、センサダイ4Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ4Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0054】
図18Aに示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも圧電層32のパターンを広く設計し、圧電層32の電極層31との界面を構成する下面が電極層33との界面を構成する上面よりも広くなるように圧電層32の側面(上面と下面の間の端面)を傾斜面とし、電極層31の周囲において圧電層32が第一絶縁層20に接するように構成しても良い。これにより、圧電層32自体が表面導線50bと下部電極としての電極層31との層間絶縁膜として機能するため、第二絶縁層40が無用になる。そして下部電極としての電極層31を完全に覆う圧電層32によって下部電極としての電極層31と表面導線50bの間のショートおよびリークを確実に防止できる。また、圧電層32によって下部電極としての電極層31を完全に覆うことによって、電極層31と電極層33とが直接ショートまたはリークすることを確実に防止できる。
【0055】
なお、電極層33および圧電層32の側面を傾斜した凸曲面または傾斜した凹曲面またはその断面をS字に形成しても良い。また電極層33を圧電層32の側面上に引き延ばし、電極層33と内部導線131とを直接接続したり、第一絶縁層20のコンタクトホール20h内の電極層31と電極層33とを直接接続することもできる。この場合、電極層33自体が接続手段として機能する。またこの場合、ボンディングパッド50aを電極層33によって構成することにより表面導電層50を省略することができる。
【0056】
(製造方法)
図19から図22はセンサダイ4Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すAA線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図19、図20に示すように2種類の保護膜R35、R36を用いる。
【0057】
すなわち、第二実施形態と同様に電極層31を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図19に示すようにフォトレジストからなる保護膜R35を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R35を形成しても良い。
【0058】
次に第一絶縁層20と電極層31の表面全体に圧電層32と電極層33を順に積層し、側面が傾斜面である保護膜R36を電極層33の表面に形成する。具体的には、ポジ型のフォトレジストを電極層33の表面全体に塗布し、マスクを用いてフォトレジストを露光し現像する。その後、フォトレジストをホットプレートにて130℃で3分間ベークすると、側面が傾斜した保護膜R36が形成される。このように側面が傾斜した保護膜R36は、多階調マスク(ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスク)を用いて形成することもできる。
【0059】
次に側面が傾斜した保護膜R36もろともに電極層33および圧電層32を異方的にエッチングする。具体的には例えば、アルゴンイオンを用いたミリング法によって電極層33および圧電層32を保護膜R36もろともにエッチングする。このとき保護膜R36に対する電極層33および圧電層32の選択比を1:1に設定すると、保護膜R36の側面をそのまま電極層33および圧電層32の側面に転写することができる。保護膜R36に対する電極層33および圧電層32の選択比が1:1でなければ、保護膜R36の側面の傾斜角と異なる傾斜角を持つ電極層33および圧電層32の側面が形成される。
【0060】
このように電極層33および圧電層32の側面を傾斜面に形成することによって、電極層33および圧電層32を下地として表面導線層50を図22に示すように形成する際に表面導線層50の段差被覆性が向上する。第二実施形態における第二絶縁層40は表面導電層50の下地表面の段差を緩和する機能を発揮するが、本実施形態のように電極層33および圧電層32の側面が傾斜している場合には、表面導線層50の段差被覆性を向上させるために第二絶縁層40を形成する必要がない。
【0061】
5.他の実施形態
本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上部電極としての電極層33とボンディングパッド50aとを2本以上の内部配線131と2本以上の表面導線50bとを介して接続しても良い。圧電素子30a、30bを配置する必要のない領域(例えば梁Fの中央部)において2本の内部配線131を接続する表面導線50bを形成すると、内部配線131の経路長を短くでき、その結果、配線抵抗が低減される。また本発明は振動ジャイロスコープの他、加速度センサ、角速度および加速度を検出するモーションセンサ、マイクロフォン等の他のMEMSセンサに適用することもできる。また圧電素子を駆動手段として用いるMEMSアクチュエータに本発明を適用することもできる。また可撓部としてダイヤフラムを用いたMEMSに本発明を適用することもできる。
【0062】
また例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また例えば、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Cは本発明の第一実施形態にかかる上面図。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図3】図3Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図3Bは本発明の第一実施形態にかかる平面図。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図6】図6Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図6Bは図6Aの部分拡大図。図6Cは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図8】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図9】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図10】図10Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図10Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図11】図11Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図11Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図12】図12Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図12Bは本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図13】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図14】図14Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図14Bは図14Aの部分拡大図。
【図15】図15Aは本発明の第三実施形態にかかる断面図。図15Bは本発明の第三実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の第三実施形態にかかる断面図。
【図17】図17Aは本発明の第三実施形態にかかる断面図。図17Bは図17Aの部分拡大図。
【図18】図18Aは本発明の第四実施形態にかかる断面図。図18Bは本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図19】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図20】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図21】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図22】図22Aは本発明の第四実施形態にかかる断面図。図22Bは図22Aの部分拡大図。
【符号の説明】
【0064】
1:振動ジャイロスコープ、1A:センサダイ、1B:パッケージ、2A:センサダイ、3A:センサダイ、4A:センサダイ、10:SOIウエハ、11:ベース層、12:エッチングストッパ層、13:半導体層、20:第一絶縁層、20h:コンタクトホール、30a:駆動用圧電素子、30b:検出用圧電素子、31:電極層、32:圧電層、33:電極層、40:第二絶縁層、40h:コンタクトホール、50:表面導線層、50a:ボンディングパッド、50b:表面導線、90:パッケージベース、90a:底面、91:貫通電極、92:接着層、93:接着層、94:カバー、95:ワイヤ、98:接着層、99:犠牲基板、131:内部導線、F:梁、M:錘部、R1:保護膜、R2:保護膜、R3:保護膜、R31:保護膜、R32:保護膜、R33:保護膜、R34:保護膜、R35:保護膜、R36:保護膜、R4:保護膜、R5:保護膜、S:支持部、W:積層構造体
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、振動ジャイロスコープおよびMEMSの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を備えた加速度センサ、圧電アクチュエータ等のMEMSが知られている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1、2には、シリコン基板または圧電層の一部に不純物イオンを拡散させて配線要素を形成する方法が形成されている。
【特許文献1】特開平9−211020号公報
【特許文献2】特開2006−217715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載された方法によると、圧電素子の電極を構成している共通信号線とシリコン基板とが接しているため、シリコン基板の表層に不純物イオンを拡散させても、圧電素子の真下において互いに分離した複数の導線を構成することができない。また、特許文献2に記載された方法によると、圧電素子の電極から引き出される互いに分離した導線を圧電素子に接している弾性膜に形成することができない。
したがって、特許文献1、2に記載された方法によると、圧電素子から引き出される全ての導線のパターンと圧電素子のパターンとを重ねることができない。すなわち、特許文献1、2に記載された方法によると、圧電素子から引き出される導線を避けて圧電素子を配置しなければならないため、圧電素子を配置できる領域が縮小することになる。
【0004】
本発明は圧電素子をMEMSに配置できる領域を拡大することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのMEMSは、複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、を備える。
【0006】
本発明によると、絶縁層を介して半導体層と圧電層とが隔てられているため、半導体層の不純物拡散領域からなる複数の導線を圧電素子の真下に配置することができる。したがって本発明によると、圧電素子を配置できる領域が拡大され、アクチュエータの駆動力が向上し、センサ感度が向上する。なお、本明細書では、可撓部に対する圧電素子の配置位置を上として「上」と「下」の用語を用いる。
【0007】
(2)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記圧電層のパターンは前記下部電極層のパターンより広く前記下部電極層の周囲において前記絶縁層に接していてもよい。
本発明によると、圧電素子の上部電極と下部電極との間のショートおよびリークを防止できる。
【0008】
(3)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記圧電層は、前記下部電極層及び前記絶縁層に対する界面を構成する下面が前記上部電極層に対する界面を構成する上面より広く、前記下面と前記上面の間にある側面が傾斜面であって、前記接続手段は前記圧電層の前記側面に積層されていてもよい。
本発明によると、圧電層自体を層間絶縁膜として用いるため、構造を簡素化し製造コストを低減できる。なお、圧電層が傾斜面であるとき、圧電層の上面と側面がなす狭い方の角は鈍角であり圧電層の下面と側面がなす狭い方の角は鋭角である。
【0009】
(4)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、前記上部電極層のパターンは前記下部電極層のパターンより狭く、前記下部電極層又は前記圧電層は前記上部電極層の周囲から露出していてもよい。
本発明によると、圧電素子の上部電極と下部電極との間のショートを防止できる。
【0010】
(5)上記目的を達成するためのMEMSを、錘部と、支持部と、をさらに備える振動ジャイロスコープとして構成し、前記可撓部は、自由端が前記錘部に結合し固定端が前記支持部に結合している梁を構成し、前記圧電素子は、前記可撓部を歪ませることによって前記錘部を駆動する駆動用圧電素子と、前記錘部の運動に伴う前記可撓部の歪みを検出する検出用圧電素子とを構成してもよい。
本発明によると、可撓部の剛性を低くして感度を高めるために可撓部をパターンの狭い梁として構成するとともに、パターンが狭い可撓部に対して圧電素子を最大限配置できるため、感度が高い振動ジャイロスコープを実現することができる。
【0011】
(6)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法は、半導体層の表面に積層された絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、前記絶縁層と前記半導体層とを含み可撓性を有する可撓部を形成し、複数の前記コンタクトホールから露出する複数の不純物拡散領域からなる複数の導線を前記半導体層に形成し、前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接する下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子を形成し、前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導線層を形成する、ことを含む。
本発明によると、絶縁層を介して半導体層と圧電層とを隔てるため、半導体層の不純物拡散領域からなる複数の導線を圧電素子の真下に配置することができる。したがって本発明によると、圧電素子を配置できる領域が拡大される。
【0012】
尚、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSセンサの第一実施形態である振動ジャイロスコープを図1および図2に示す。図1A、図1Bは振動ジャイロスコープ1のセンサダイ1Aを示す断面図であってそれぞれ図1Cに示すAA線、BB線の断面図である。図1Cはセンサダイ1Aの上面図である。図2は振動ジャイロスコープ1を示す断面図である。図1A、図1Bおよび図2において、センサダイ1Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ1Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0014】
振動ジャイロスコープ1は互いに直交する3軸の角速度成分を検出するためのMEMSセンサである。振動ジャイロスコープ1は、図2に示すパッケージ1Bと、パッケージ1Bに収容されたセンサダイ1Aとを備える。
【0015】
センサダイ1Aは、図1Aに示すように、ベース層11と、ベース層11に接するエッチングストッパ層12と、エッチングストッパ層12に接する半導体層13と、半導体層13に接する第一絶縁層20と、第一絶縁層20に接する電極層31と、電極層31に接する圧電層32と、圧電層32に接する電極層33と、電極層31、33、圧電層32および第一絶縁層20に接する第二絶縁層40と、第二絶縁層40に接する表面導線層50とからなる積層構造体である。ベース層11と半導体層13はいずれも単結晶シリコン(Si)からなる。ベース層11はガラス等のバルク材料で構成しても良い。ベース層11の厚さは625μmである。半導体層13の厚さは10μmである。エッチングストッパ層12および第一絶縁層20はシリコン酸化膜(SiO2)からなる。エッチングストッパ層12の厚さは1μmである。第一絶縁層20の厚さは0.5μmである。電極層31、33は、白金(Pt)からなる。電極層31、33はイリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrO2)、金(Au)等の導電性材料から構成しても良い。電極層31、33の厚さは0.1μmである。圧電層32はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。圧電層32の厚さは3μmである。第二絶縁層40は感光性ポリイミドからなる。第二絶縁層40はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜(SixNy)、アルミナ(Al2O3)等の無機絶縁材料から構成してもよい。第二絶縁層40の厚さは5μmである。表面導線層50はアルミニウム(Al)からなる。表面導線層50は、アルミシリコン(AlSi)、AlSiCu等の導電性材料から構成しても良い。表面導線層50の厚さは0.5μmである。
【0016】
振動ジャイロスコープ1のセンサダイ1Aは、枠形の支持部Sと、支持部Sの内側に十文字形に配置された4つの梁Fと、4つの梁Fのそれぞれの自由端に結合している錘部Mと、4つの梁Fの上にそれぞれに設けられ4つの梁Fを撓ませることによって錘部Mを振動させる駆動用圧電素子30aと、4つの梁Fの上にそれぞれに設けられ4つの梁Fの歪みを検出する検出用圧電素子30bとを備える。
【0017】
支持部Sは図1Cに示すように矩形枠の形態を有する。支持部Sはベース層11、エッチングストッパ層12、半導体層13および第一絶縁層20を含む。支持部Sはバルク材料からなる厚いベース層11を含み、ベース層11を介してパッケージ1Bに固定されるため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において不動の実質的な剛体として振る舞う。支持部Sの底面はパッケージ1Bの底面に接着層92を介して接合される。
【0018】
可撓部としての4つの梁Fのそれぞれは片持ち梁の形態を有する。梁Fは半導体層13と第一絶縁層20とを含む。梁Fはバルク材料からなる厚いベース層11を含まないため、可撓性を有する膜として振る舞う。4つの梁Fのそれぞれの一端は支持部Sの内側の4辺に結合している。支持部Sは不動の剛体として振る舞うため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において梁Fの一端は固定端となる。4つの梁Fは支持部Sの内側の4辺から支持部Sの内側の空間の中央に向かって突出している。4つの梁Fのそれぞれの突端は錘部Mに結合している。錘部Mは梁Fにのみ結合し、図2に示すようにパッケージ1Bの底面90aから浮いているため、梁Fの突端は振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において自由端として振る舞う。4つの梁Fは錘部Mの運動にともなってそれぞれ変形する。
【0019】
錘部Mの底面は、1つの矩形とその4つの角に結合した4つの矩形とが組み合わさったパターン(梁Fの厚さ方向から見た形状)を有する。錘部Mはベース層11、エッチングストッパ層12、半導体層13および第一絶縁層20を含む。錘部Mはバルク材料からなる厚いベース層11を含むため実質的に剛体として振る舞う。錘部Mは梁Fにのみ結合し、図2に示すようにパッケージ1Bの底面90aから浮いているため、振動ジャイロスコープ1に固定された座標系において運動する。
【0020】
駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bはいずれも電極層31、33と圧電層32とからなる。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bの下部電極を構成する電極層31は第一絶縁層20に形成されたコンタクトホール20hを介して内部導線131に接続している。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bの上部電極を構成する電極層33は第二絶縁層40に形成されたコンタクトホール40hを介して表面導線層50に接続している。駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bは梁Fの幅(自由端と固定端とを結ぶ辺に垂直な長さ)のほぼ全体に対して割り付けられている。
【0021】
駆動用圧電素子30aは梁Fと支持部Sとの境界をまたいで形成されている。駆動用圧電素子30aは錘部Mを振動させるための駆動手段である。駆動用圧電素子30aには錘部Mを振動(周回運動)させる正弦波信号が印加される。
【0022】
検出用圧電素子30bは梁Fと錘部Mとの境界をまたいで形成されている。検出用圧電素子30bは錘部Mの運動に伴う梁Fの変形を検出するための検出手段である。実質的に剛体として振る舞う錘部Mと可撓性を有する梁Fとの境界には、梁Fの変形に伴う応力と歪みが集中する。このため、検出用圧電素子30bを錘部Mと梁Fとの境界をまたいで設けることにより、効率よく梁Fの変形にともなう歪みを検出することができる。検出用圧電素子30bからは同期検波などによって3軸の角速度成分に対応する信号を得ることができる。
【0023】
なお、駆動用圧電素子30aを錘部Mと4つの梁Fとのそれぞれの境界をまたいで設けてもよい。また検出用圧電素子30bを支持部Sと4つの梁Fとのそれぞれの境界をまたいで設けてもよい。いずれにしても、梁Fとそれに結合している実質的な剛体との境界(振動端)近傍に駆動用圧電素子30aと検出用圧電素子30bとを設けることが望ましい。
【0024】
半導体層13には互いに分離している(絶縁されている)複数の内部導線131が形成されている。内部導線131は半導体層13に形成された不純物拡散領域からなる。互いに分離している複数の不純物拡散領域において半導体層13は導体としての性質を持つ。不純物拡散領域の外部において半導体層13は絶縁体としての性質を持つ。第一絶縁層20を介して半導体層13と電極層31とが隔てられている(絶縁されている)ため、互いに分離し絶縁された複数の内部導線131を半導体層13に形成することができる。内部導線131の一部は圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層31の導線として用いられる。内部導線131の残部は圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層33の導線として用いられる。内部導線131を半導体層13に形成することにより、圧電素子30a、30bの真下に配線することが可能になる。すなわち内部導線131を半導体層13に形成することにより、梁Fの幅方向においては、駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30b以外の要素を梁Fの表面に割り付ける必要がなくなる。したがって、フォトリソグラフィのアライメント精度を見込んだマージンを0とするならば、梁Fの幅全体に対して駆動用圧電素子30aおよび検出用圧電素子30bを割り付けることも可能である。
【0025】
内部導線131が形成されている半導体層13と圧電素子30a、30bとの間には第一絶縁層20が形成されているため、第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して圧電素子30a、30bの電極を互いに絶縁された別系統の内部導線131に接続することが可能である。
【0026】
第一絶縁層20の複数のコンタクトホール20hの一部は圧電素子30a、30bの下部電極としての電極層31の真下に形成されている。電極層31の真下に形成された第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して電極層31は内部導線131に直接接続されている。
【0027】
第一絶縁層20の複数のコンタクトホール20hの他の一部は圧電素子30a、30bの近傍にあって圧電素子30a、30bよりも梁Fの固定端側に位置する。圧電素子30a、30bの近傍にあるコンタクトホール20hから端部が露出している内部導線131は接続手段としての表面導線50bを介して圧電素子30a、30bの上部電極としての電極層33と接続されている。
【0028】
表面導線層50からなる表面導線50bと圧電素子30a、30bの間には第二絶縁層40が差し挟まれている。すなわち第二絶縁層40は圧電素子30a、30bの電極層31と表面導線50bとを絶縁する層間絶縁膜として用いられている。表面導線50bの一端は第二絶縁層40に形成されたコンタクトホール40hを介して電極層33に直接接続されている。表面導線50bの他端は第二絶縁層40のコンタクトホール40hおよび第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して内部導線131に直接接続されている。
【0029】
センサダイ1Aの外周近傍において表面導線層50は複数のボンディングパッド50aを形成している。それぞれのボンディングパッド50aは互いに絶縁された別系統の内部導線131に第一絶縁層20のコンタクトホール20hを介して直接接続されている。すなわち、複数の圧電素子30a、30bの各電極は、表面導線50bおよび内部導線131を介してそれぞれ異なるボンディングパッド50aに接続されている。そして上述したように、圧電素子30a、30bの各電極とボンディングパッド50aとを接続する内部導線131を圧電素子30a、30bの真下に配置することができるため、圧電素子30a、30bを梁Fに対して最大限大きく設計することができるのである。また圧電素子30a、30bの導線を圧電素子30a、30bの直下にある梁Fの内部に配置することにより、圧電素子30a、30bの上に表面導線50bを配置するために第二絶縁層40を広い領域に形成する必要がなくなる。すなわち、第二絶縁層40を形成する領域を最小限にすることによって、第二絶縁層40の熱応力による梁Fの反りを抑制できる。
【0030】
図2に示すパッケージ1Bは、無蓋箱型のパッケージベース90とパッケージベース90の内部空間を閉塞するカバー94とを備える。パッケージベース90とカバー94とは接着層93を介して接合されている。パッケージベース90には複数の貫通電極91が設けられている。ワイヤ95は一端がセンサダイ1Aのボンディングパッド50aに接合され他端がパッケージ1Bの貫通電極91に接合される。センサダイ1Aの支持部Sの底面はパッケージベース90の内側の底面90aに接着層92によって接着されている。底面90aに形成する凹部の深さや接着層92の厚さによってセンサダイ1Aの錘部Mとパッケージベース90の内側の底面90aとの間の空隙の高さが設定されている。なお、パッケージ1Bの内部にセンサダイ1Aと接続されるLSIダイを収容してもよい。
【0031】
(製造方法)
以下、図3から図11に基づいて振動ジャイロスコープ1の製造方法の一例を説明する。図3から図11の断面図は図6C、図7、図10Bおよび図11Bを除いて全て図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図6C、図7、図10Bおよび図11Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。
【0032】
はじめに図3に示すように、ベース層11、エッチングストッパ層12および半導体層13となるSOIウエハ10を用意する。SOIウエハ10のベース層11は厚さ625μmの単結晶シリコンからなる。SOIウエハ10のエッチングストッパ層12は厚さ1μmの二酸化シリコンからなる。SOIウエハ10の半導体層13は厚さ10μmの単結晶シリコンからなる。なお、ベース層11となる単結晶シリコンウエハの表面に、熱酸化、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって酸化シリコンからなるエッチングストッパ層12を形成し、エッチングストッパ層12の表面にCVD等によって多結晶シリコンからなる半導体層13を形成してもよい。次に半導体層13の表面に第一絶縁層20を形成する。第一絶縁層20として、例えば熱酸化またはCVDにより厚さ0.5μmの二酸化シリコンの膜を形成する。そして、フォトレジストからなる保護膜R1を用いてSOIウエハ10の半導体層13に不純物を導入することにより内部導線131を形成する。不純物として、例えば2×1020/cm3の濃度でボロン(B)イオンを25keVの加速電圧によって第一絶縁層20を貫通させて半導体層13の表層に注入する。内部導線131は例えば半導体層13と第一絶縁層20との界面から1μmの深さの範囲に形成する。イオン注入後はアニールによる活性化が行われる。なお、半導体層13への不純物導入後に第一絶縁層20を形成しても良い。図3Bは内部導線131のパターンを示す平面図である。
【0033】
次に図4に示すようにフォトレジストからなる保護膜R2を用いて第一絶縁層20に複数のコンタクトホール20hを形成し、内部導線131の端部を第一絶縁層20から露出させる。コンタクトホール20hは、例えばCF4+H2またはCHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングによって第一絶縁層20を異方的にエッチングすることによって形成する。フッ酸(HF)または緩衝フッ酸(BHF)を用いたウエットエッチングによってコンタクトホール20hを形成してもよい。
【0034】
次に図5に示すように、第一絶縁層20の表面全体に下部電極層としての電極層31を積層し、電極層31の表面全体に圧電層32を積層し、圧電層32の表面全体に上部電極層としての電極層33を積層する。このとき電極層31と内部導線131とが接続される。電極層31、33としては、スパッタリング等によって白金からなる膜を形成する。白金酸化シリコンの密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)を成膜してもよい。また電極層31の材料には酸化イリジウム(IrO2)を用いても良い。電極層33の材料にはイリジウム、酸化イリジウム、金(Au)などを用いても良い。圧電層32としては、ゾルゲル法、水熱合成法等によってPZTからなる膜を形成する。白金とPZTの密着層として厚さ30nmのチタンを成膜しても良い。
【0035】
次に図6に示すように、電極層31、33と圧電層32とをフォトレジストからなる保護膜R3を用いてエッチングすることにより、電極層31、33と圧電層32とからなる圧電素子30a、30bを形成する。このとき、すべての圧電素子30a、30bは内部導線131の真上に形成される。またこのとき上部電極となる電極層33と内部導線131とを接続するためのコンタクトホール20hを露出させる。具体的には、白金からなる電極層31、33はアルゴン(Ar)イオンを用いたイオンミリングによってパターニングする。PZTからなる圧電層32は塩素(Cl2)をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。電極層33と内部導線131とを接続するためのコンタクトホール20hを埋めていた電極層31をイオンミリングによって完全に除去するとき、半導体層13の表層を僅かにオーバーエッチングする必要がある。オーバーエッチングされる半導体層13の深さheは内部導線131の深さh131(1μm)より十分浅い例えば100nmとする。
【0036】
次に図7に示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて第一絶縁層20と半導体層13とを所定形状にパターニングする。その結果、4つの梁Fのパターンが形成される。第一絶縁層20はCHF3ガスまたはCF4+H2ガスを用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。半導体層13はCF4+O2ガスを用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。フッ酸や緩衝フッ酸を用いたウエットエッチングによって梁Fのパターンを形成してもよい。
【0037】
次に図8に示すように圧電素子30a、30bおよび第一絶縁層20の表面にコンタクトホール40hを有する所定パターンの第二絶縁層40を形成する。例えば厚さ5μmの感光性ポリイミドを圧電素子30a、30bおよび第一絶縁層20の表面全体に塗布し、露光・現像によって所定形状にパターニングすることによってコンタクトホール40hを有する第二絶縁層40を形成する。第二絶縁層40のパターンは複数の層間絶縁膜となる複数の領域に分断される。第二絶縁層40の互いに分離しているそれぞれの領域は上部電極としての電極層33と圧電素子30a、30bの外側に位置するコンタクトホール20hとをそれぞれ露出させる2つのコンタクトホール40hを有する。
【0038】
次に図9に示すように第二絶縁層40の表面に表面導線層50を積層し表面導線層50をエッチングすることによって、上部電極としての圧電層32と内部導線131とを接続する表面導線50bとボンディングパッド50aとを形成する。表面導線層50として、例えばスパッタリングによって0.5μmの厚さのアルミニウム(Al)の膜を形成する。表面導線層50としてアルミシリコン(AlSi)の膜を形成してもよい。表面導線層50のパターンは、例えば塩素(Cl2)ガスを用いた反応性イオンエッチングにより形成する。アルミニウムの密着層として厚さ30nmのチタン膜を形成しても良い。表面導線層50は、例えばCl2ガスを用いた反応性イオンエッチングの代わりに、イオンミリング法、燐酸、硝酸、酢酸の混合液を用いたウエットエッチングによってパターニングしてもよい。
【0039】
次に上述の工程によって形成された積層構造体Wの圧電素子30a、30bが形成されている面を図10に示すように犠牲基板99に接着する。接着層98として、例えばワックス、フォトレジスト、両面粘着シート等を用いる。
【0040】
次にフォトレジストからなる保護膜R5を用いてベース層11をエッチングすることによってベース層11を所定形状にパターニングする。具体的には例えば、SF6プラズマガスを用いたパッシベーションとC4F8プラズマガスを用いたエッチングのステップを短い時間間隔で交互に繰り返すDeep−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってベース層11を異方的にエッチングする。なお、ベース層11のパターニングを最初に実施しても良いし、半導体層13の表面側を処理する工程の間に実施しても良い。
【0041】
次に、図11に示すようにエッチングストッパ層12の露出部分をエッチングにより除去する。その結果、梁Fと錘部Mとがリリースされる。具体的には緩衝フッ酸を用いたウエットエッチングによってエッチングストッパ層12の露出部分を除去する。その後、ダイシング、パッケージングなどの後工程を実施することによって、図2に示す振動ジャイロスコープ1が完成する。
【0042】
以上説明した振動ジャイロスコープ1の製造方法によると、圧電素子30a、30bの真下に内部導線131を配置することができるため、圧電素子30a、30bを梁Fに対して最大限広く配置することができる。
【0043】
2.第二実施形態
(構成)
図12は本発明の第二実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ2Aを示す断面図である。センサダイ2Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図12Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図12Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図12A、図12Bにおいて、センサダイ2Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ2Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0044】
図12に示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも圧電層32のパターンを広く設計し、電極層31の周囲において圧電層32が第一絶縁層20に接するように構成しても良い。圧電層32によって電極層31を完全に覆うことによって、電極層31と電極層33とが直接ショートまたはリークすることを確実に防止できる。
【0045】
(製造方法)
図13、図14はセンサダイ2Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すAA線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図13、図14に示すように2種類の保護膜R31、R32を用いる。
【0046】
すなわち、電極層31を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図13に示すようにフォトレジストからなる保護膜R31を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R31を形成しても良い。
【0047】
次に第一絶縁層20と電極層31の表面全体に圧電層32と電極層33を順に積層し、フォトレジストからなる保護膜R32を用いたエッチングにより圧電層32と電極層33とを所定形状にパターニングする。このとき、圧電層32が電極層31を完全に覆うように圧電層32のパターンを電極層31のパターンよりも広く形成する。そして電極層33のパターンを圧電層32のパターンと一致させる。なお、電極層33のパターンを電極層31のパターンと一致させても良い。またこのときも、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R32を形成しても良い。
その後、第一実施形態と同様に表面導線50b等を形成するとセンサダイ2Aが完成する。
【0048】
3.第三実施形態
図15は本発明の第三実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ3Aを示す断面図である。センサダイ3Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図15Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図15Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図15A、図15Bにおいて、センサダイ3Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ3Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0049】
図15に示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも上部電極としての電極層33のパターンを狭く設計し、電極層31または圧電層32が電極層33の周囲から露出するように構成しても良い。電極層31のパターンよりも上部電極としての電極層33のパターンを狭く設計すれば、電極層31と電極層33の間のショートを防止できる。さらに圧電層32のパターンの内側に電極層33のパターンを配置することが好ましい。この場合、パターニング工程を簡素化するため、電極層31と圧電層32のパターンを一致させることがさらに好ましい。
【0050】
(製造方法)
図16、図17はセンサダイ3Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すBB線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図16、図17に示すように2種類の保護膜R33、R34を用いる。
【0051】
すなわち、第一実施形態と同様に電極層31、33、圧電層32を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図16に示すようにフォトレジストからなる保護膜R33を用いたエッチングにより電極層33および圧電層32を所定形状にパターニングする。このとき、圧電層32のエッチングでは保護膜R33に覆われていない領域においても圧電層32が残存するようにエッチングの終点を設定しても良い。
【0052】
次に図17に示すようにフォトレジストからなる保護膜R34を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、電極層31が電極層33の周囲にはみ出すように電極層31のパターンを電極層33のパターンよりも広く形成する。
なお、圧電層32と電極層31のパターンを一致させる場合には、保護膜R33を用い
たパターニングでは電極層33のみをエッチングし、保護膜R34を用いたエッチングによって圧電層32と電極層31とをパターニングすればよい。
その後、第一実施形態と同様に表面導線50b等を形成するとセンサダイ3Aが完成する。
【0053】
4.第四実施形態
図18は本発明の第三実施形態による振動ジャイロスコープのセンサダイ4Aを示す断面図である。センサダイ4Aは圧電素子30a、30bおよび表面導線50bの構成が第一実施形態のセンサダイ1Aと異なり、その他の点については第一実施形態と実質的に同一である。図18Aは図1Cに示すAA線に対応する断面図である。図18Bは図1Cに示すBB線に対応する断面図である。図18Aおよび図18Bにおいて、センサダイ4Aを構成する層の界面は破線で示し、センサダイ4Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0054】
図18Aに示すように下部電極としての電極層31のパターンよりも圧電層32のパターンを広く設計し、圧電層32の電極層31との界面を構成する下面が電極層33との界面を構成する上面よりも広くなるように圧電層32の側面(上面と下面の間の端面)を傾斜面とし、電極層31の周囲において圧電層32が第一絶縁層20に接するように構成しても良い。これにより、圧電層32自体が表面導線50bと下部電極としての電極層31との層間絶縁膜として機能するため、第二絶縁層40が無用になる。そして下部電極としての電極層31を完全に覆う圧電層32によって下部電極としての電極層31と表面導線50bの間のショートおよびリークを確実に防止できる。また、圧電層32によって下部電極としての電極層31を完全に覆うことによって、電極層31と電極層33とが直接ショートまたはリークすることを確実に防止できる。
【0055】
なお、電極層33および圧電層32の側面を傾斜した凸曲面または傾斜した凹曲面またはその断面をS字に形成しても良い。また電極層33を圧電層32の側面上に引き延ばし、電極層33と内部導線131とを直接接続したり、第一絶縁層20のコンタクトホール20h内の電極層31と電極層33とを直接接続することもできる。この場合、電極層33自体が接続手段として機能する。またこの場合、ボンディングパッド50aを電極層33によって構成することにより表面導電層50を省略することができる。
【0056】
(製造方法)
図19から図22はセンサダイ4Aの製造方法を示す断面図であって、図1Cに示すAA線断面に対応している。圧電素子30a、30bを形成するとき、電極層31のパターンと電極層33のパターンとを別々に形成するため、図19、図20に示すように2種類の保護膜R35、R36を用いる。
【0057】
すなわち、第二実施形態と同様に電極層31を第一絶縁層20の表面全体に形成した後に、図19に示すようにフォトレジストからなる保護膜R35を用いたエッチングにより電極層31を所定形状にパターニングする。このとき、第一絶縁層20のコンタクトホール20hの内部に電極層31が残存するように保護膜R35を形成しても良い。
【0058】
次に第一絶縁層20と電極層31の表面全体に圧電層32と電極層33を順に積層し、側面が傾斜面である保護膜R36を電極層33の表面に形成する。具体的には、ポジ型のフォトレジストを電極層33の表面全体に塗布し、マスクを用いてフォトレジストを露光し現像する。その後、フォトレジストをホットプレートにて130℃で3分間ベークすると、側面が傾斜した保護膜R36が形成される。このように側面が傾斜した保護膜R36は、多階調マスク(ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスク)を用いて形成することもできる。
【0059】
次に側面が傾斜した保護膜R36もろともに電極層33および圧電層32を異方的にエッチングする。具体的には例えば、アルゴンイオンを用いたミリング法によって電極層33および圧電層32を保護膜R36もろともにエッチングする。このとき保護膜R36に対する電極層33および圧電層32の選択比を1:1に設定すると、保護膜R36の側面をそのまま電極層33および圧電層32の側面に転写することができる。保護膜R36に対する電極層33および圧電層32の選択比が1:1でなければ、保護膜R36の側面の傾斜角と異なる傾斜角を持つ電極層33および圧電層32の側面が形成される。
【0060】
このように電極層33および圧電層32の側面を傾斜面に形成することによって、電極層33および圧電層32を下地として表面導線層50を図22に示すように形成する際に表面導線層50の段差被覆性が向上する。第二実施形態における第二絶縁層40は表面導電層50の下地表面の段差を緩和する機能を発揮するが、本実施形態のように電極層33および圧電層32の側面が傾斜している場合には、表面導線層50の段差被覆性を向上させるために第二絶縁層40を形成する必要がない。
【0061】
5.他の実施形態
本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上部電極としての電極層33とボンディングパッド50aとを2本以上の内部配線131と2本以上の表面導線50bとを介して接続しても良い。圧電素子30a、30bを配置する必要のない領域(例えば梁Fの中央部)において2本の内部配線131を接続する表面導線50bを形成すると、内部配線131の経路長を短くでき、その結果、配線抵抗が低減される。また本発明は振動ジャイロスコープの他、加速度センサ、角速度および加速度を検出するモーションセンサ、マイクロフォン等の他のMEMSセンサに適用することもできる。また圧電素子を駆動手段として用いるMEMSアクチュエータに本発明を適用することもできる。また可撓部としてダイヤフラムを用いたMEMSに本発明を適用することもできる。
【0062】
また例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また例えば、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Cは本発明の第一実施形態にかかる上面図。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図3】図3Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図3Bは本発明の第一実施形態にかかる平面図。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図6】図6Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図6Bは図6Aの部分拡大図。図6Cは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図8】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図9】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図10】図10Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図10Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図11】図11Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図11Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図12】図12Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図12Bは本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図13】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図14】図14Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図14Bは図14Aの部分拡大図。
【図15】図15Aは本発明の第三実施形態にかかる断面図。図15Bは本発明の第三実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の第三実施形態にかかる断面図。
【図17】図17Aは本発明の第三実施形態にかかる断面図。図17Bは図17Aの部分拡大図。
【図18】図18Aは本発明の第四実施形態にかかる断面図。図18Bは本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図19】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図20】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図21】本発明の第四実施形態にかかる断面図。
【図22】図22Aは本発明の第四実施形態にかかる断面図。図22Bは図22Aの部分拡大図。
【符号の説明】
【0064】
1:振動ジャイロスコープ、1A:センサダイ、1B:パッケージ、2A:センサダイ、3A:センサダイ、4A:センサダイ、10:SOIウエハ、11:ベース層、12:エッチングストッパ層、13:半導体層、20:第一絶縁層、20h:コンタクトホール、30a:駆動用圧電素子、30b:検出用圧電素子、31:電極層、32:圧電層、33:電極層、40:第二絶縁層、40h:コンタクトホール、50:表面導線層、50a:ボンディングパッド、50b:表面導線、90:パッケージベース、90a:底面、91:貫通電極、92:接着層、93:接着層、94:カバー、95:ワイヤ、98:接着層、99:犠牲基板、131:内部導線、F:梁、M:錘部、R1:保護膜、R2:保護膜、R3:保護膜、R31:保護膜、R32:保護膜、R33:保護膜、R34:保護膜、R35:保護膜、R36:保護膜、R4:保護膜、R5:保護膜、S:支持部、W:積層構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、
前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、
前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、
前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、
を備えるMEMS。
【請求項2】
前記圧電層のパターンは前記下部電極層のパターンより広く前記下部電極層の周囲において前記絶縁層に接している、
請求項1に記載のMEMS。
【請求項3】
前記圧電層は、前記下部電極層及び前記絶縁層に対する界面を構成する下面が前記上部電極層に対する界面を構成する上面より広く、前記下面と前記上面の間にある側面が傾斜面であって、
前記接続手段は前記圧電層の前記側面に積層されている、
請求項2に記載のMEMS。
【請求項4】
前記上部電極層のパターンは前記下部電極層のパターンより狭く、
前記下部電極層又は前記圧電層は前記上部電極層の周囲から露出している、
請求項1に記載のMEMS。
【請求項5】
錘部と、
支持部と、
をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載のMEMSである振動ジャイロスコープであって、
前記可撓部は、自由端が前記錘部に結合し固定端が前記支持部に結合している梁を構成し、
前記圧電素子は、前記可撓部を歪ませることによって前記錘部を駆動する駆動用圧電素子と、前記錘部の運動に伴う前記可撓部の歪みを検出する検出用圧電素子とを構成する、
振動ジャイロスコープ。
【請求項6】
半導体層の表面に積層された絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、
前記絶縁層と前記半導体層とを含み可撓性を有する可撓部を形成し、
複数の前記コンタクトホールから露出する複数の不純物拡散領域からなる複数の導線を前記半導体層に形成し、
前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接する下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子を形成し、
前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導線層を形成する、
ことを含むMEMSの製造方法。
【請求項1】
複数のコンタクトホールが形成された絶縁層と前記絶縁層に接する半導体層とを含み可撓性を有する可撓部と、
前記半導体層に形成された複数の不純物拡散領域からなり互いに分離している複数の導線と、
前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接している下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子と、
前記可撓部に形成された前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導電層からなる接続手段と、
を備えるMEMS。
【請求項2】
前記圧電層のパターンは前記下部電極層のパターンより広く前記下部電極層の周囲において前記絶縁層に接している、
請求項1に記載のMEMS。
【請求項3】
前記圧電層は、前記下部電極層及び前記絶縁層に対する界面を構成する下面が前記上部電極層に対する界面を構成する上面より広く、前記下面と前記上面の間にある側面が傾斜面であって、
前記接続手段は前記圧電層の前記側面に積層されている、
請求項2に記載のMEMS。
【請求項4】
前記上部電極層のパターンは前記下部電極層のパターンより狭く、
前記下部電極層又は前記圧電層は前記上部電極層の周囲から露出している、
請求項1に記載のMEMS。
【請求項5】
錘部と、
支持部と、
をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載のMEMSである振動ジャイロスコープであって、
前記可撓部は、自由端が前記錘部に結合し固定端が前記支持部に結合している梁を構成し、
前記圧電素子は、前記可撓部を歪ませることによって前記錘部を駆動する駆動用圧電素子と、前記錘部の運動に伴う前記可撓部の歪みを検出する検出用圧電素子とを構成する、
振動ジャイロスコープ。
【請求項6】
半導体層の表面に積層された絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、
前記絶縁層と前記半導体層とを含み可撓性を有する可撓部を形成し、
複数の前記コンタクトホールから露出する複数の不純物拡散領域からなる複数の導線を前記半導体層に形成し、
前記絶縁層の表面に積層され前記コンタクトホールを通じて前記導線に接する下部電極層と前記下部電極層の表面に積層された圧電層と前記圧電層の表面に積層された上部電極層とを含み前記可撓部上に位置する圧電素子を形成し、
前記コンタクトホールを通じて前記上部電極層と前記導線とを接続する導線層を形成する、
ことを含むMEMSの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−147285(P2010−147285A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323650(P2008−323650)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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