説明

PLL回路

【課題】高周波動作において、互いに容量が異なる複数のコンデンサの組み合わせを切り替えて電圧制御発振器の発振周波数帯域を切り替える際に、全ての発振周波数帯域同士を重なり合わせることが可能なPLL回路を提供することを目的とする。
【解決手段】互いに容量が異なる複数のコンデンサ51−1〜51−nの組み合わせを切り替えることにより発振周波数帯域を切り替える電圧制御発振器2を備えるPLL回路1において、電圧制御発振器2が高周波動作しているとき、容量が比較的大きなコンデンサ52−4又はコンデンサ52−5が選択されなくなる場合、補正用のコンデンサ5−1又はコンデンサ5−2を選択して電圧制御発振器2の全体の容量を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い帯域に渡り発振する電圧制御発振器(以下、VCO)を備えるPLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送のような広い周波数をカバーする場合、容量を切り替えて発振周波数帯域を切り替えるVCO回路を用いてPLL回路を構成する。ここで連続的に周波数をカバーするためには、容量切り替え前後の隣接する設定間で発振周波数帯域同士が重なりを持つ必要がある。
【0003】
しかし、VCOの発振周波数を決める容量が周波数特性をもつことは周知であり、例えば図5(a)のAが理想特性であるが、Bに示すように発振周波数が高くなるとコンデンサの容量が大きくみえてしまう。このため、特に高周波動作になると、容量切り替え前後の容量変化が大きくなり、発振周波数帯域同士の重なりが無くなるという問題がある。
【0004】
例えば、図5(b)に示すように、VCOが比較的低周波動作しているとき(例えば、1−2GHzで動作時)、隣接するVCOの各発振周波数帯域同士は重なり合うが、図5(c)に示すように、VCOが比較的高周波動作しているとき(例えば、2−4GHzで動作時)、発振周波数帯域同士が重なり合わなくなることが問題として発生する。
【0005】
特許文献1には、ICにVCOを内蔵して全体を小型化にすること、ICプロセスのばらつきにより周波数がばらついても、少ない個数のVCOで広い周波数範囲がカバーできる装置が記載されている。
【0006】
特許文献2には、高周波数発振に従い、コンデンサの浮遊インダクタンスによる影響で発振が困難になる従来の問題を複数の部分コンデンサで設けることで解決し、低コストで安定した高周波発振ができるVCOが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3795364号公報
【特許文献2】特開平8−222949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、高周波動作において、互いに容量が異なる複数のコンデンサの組み合わせを切り替えて電圧制御発振器の発振周波数帯域を切り替える際に、隣接する全ての発振周波数帯域同士を重なり合わせることが可能なPLL回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のPLL回路は、互いに容量が異なる複数のコンデンサの組み合わせを切り替えることにより発振周波数帯域を切り替える電圧制御発振器を備えるPLL回路であって、前記電圧制御発振器が高周波動作しているとき、前記複数のコンデンサのうち、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなる場合、補正用コンデンサを選択して前記電圧制御発振器の全体の容量を大きくする。
【0010】
これにより、電圧制御発振器が高周波動作しているとき、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなっても、電圧制御発振器の全体の容量が大きくなり、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなる前と後のそれぞれにおける電圧制御発振器の全体の容量差を小さくすることができるので、隣接する電圧制御発振器の全ての発振周波数帯域同士を重なり合わせることができる。
【0011】
また、本発明のPLL回路は、入力される容量選択信号に基づいて、互いに容量が異なる複数のコンデンサの中から所定のコンデンサを選択することにより全体の容量を変化させて発振周波数帯域を切り替えるとともに、入力されるVCO制御電圧に応じた周波数の発振信号を出力する電圧制御発振器と、入力される分周比に基づいて、前記電圧制御発振器から出力される発振信号を分周する分周器と、入力される基準信号と、前記分周器から出力される発振信号との互いの位相を比較し、その位相差に応じた信号を出力する位相比較器と、前記位相比較器から出力される信号に応じた電流を出力するチャージポンプと、前記チャージポンプから出力される電流の直流成分をVCO制御電圧として前記電圧制御発振器に出力するループフィルタと、前記ループフィルタから出力されるVCO制御電圧が所定範囲に入るように容量選択信号を前記電圧制御発振器に出力する容量選択手段と、前記分周比に基づいて、補正容量選択信号を出力する補正容量選択手段とを備え、前記電圧制御発振器は、前記補正容量選択手段から補正容量選択信号が出力されると、前記電圧制御発振器の全体の容量を大きくする補正容量回路を備え、前記補正容量選択手段は、前記分周器の分周比が所定値以上のときで、かつ、前記複数のコンデンサのうち、所定のコンデンサが選択されなくなったとき、前記補正容量選択信号を出力する。
【0012】
また、前記補正容量回路は、前記補正容量選択手段から補正容量選択信号が出力されると、前記電圧制御発振器の全体の容量が大きくなるように選択される補正用コンデンサを備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、互いに容量が異なる複数のコンデンサの組み合わせを切り替えることにより発振周波数帯域を切り替える電圧制御発振器を備えるPLL回路において、高周波動作時でも隣接する電圧制御発振器の全ての発振周波数帯域同士を重なり合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のPLL回路を示す図である。
【図2】本発明の電圧制御発振器の発振周波数帯域を示す図である。
【図3】本発明の容量可変回路及び補正容量回路の一例を示す図である。
【図4】本発明の各スイッチのオン、オフの組み合わせにおける発振周波数帯域同士の重なり量を示す図である。
【図5】従来の各スイッチのオン、オフの組み合わせにおける発振周波数帯域同士の重なり量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)は、本発明の実施形態のPLL回路を示す図である。
図1(a)に示すPLL回路1は、バッファ増幅器41と、電圧制御発振器2と、増幅器43と、1/N分周器44(分周器)と、位相比較器45と、チャージポンプ46と、ループフィルタ47と、VSB選択部48(容量選択手段)と、補正容量選択部3(補正容量選択手段)とを備えて構成される。
【0016】
バッファ増幅器41は、電圧制御発振器2から出力される発振信号Sp及びその発振信号Spの反転信号である発振信号Snをそれぞれ増幅して出力する。
増幅器43は、バッファ増幅器41から出力される発振信号Sp、Snに基づくパルス信号を出力する。
【0017】
1/N分周器44は、入力される分周比Nに基づいて、増幅器43から出力されるパルス信号を1/Nに分周して出力する。
位相比較器45は、入力されるパルス信号REFCLK(基準信号)と、1/N分周器44から出力されるパルス信号との互いの位相を比較し、その位相差に応じたパルス幅のパルス信号を出力する。
【0018】
チャージポンプ46は、位相比較器45から出力されるパルス信号のパルス幅に応じた大きさの電流を出力する。
ループフィルタ47は、チャージポンプ46から出力される電流の直流成分をVCO制御電圧VTとして出力する。
【0019】
電圧制御発振器2は、VSB選択部48から出力される選択信号VSBに基づいて、電圧制御発振器2の発振周波数帯域を切り替えるとともに、ループフィルタ47から出力されるVCO制御電圧VTに応じた周波数の発振信号Sp、Snを出力する。
【0020】
VSB選択部48は、ループフィルタ47から出力されるVCO制御電圧VTが所定範囲に入るように選択信号VSBを出力する。
なお、本実施形態のPLL回路1は、例えば、無線受信機に備えられ、受信信号からベースバンド信号を取り出す際に、その受信信号に乗算されるキャリア信号を出力するものとし、ユーザが受信を希望する放送局の周波数(目標周波数)に対応する分周比Nが1/N分周器44に入力されるものとする。
【0021】
補正容量選択部3は、分周比Nに基づく選択信号FC(補正容量選択信号)を電圧制御発振器2に出力することにより、電圧制御発振器2(容量可変回路53)の全体の容量を補正する。
【0022】
図1(b)は、電圧制御発振器2の一例を示す図である。
図1(b)に示す電圧制御発振器2は、インダクタ49、50と、容量可変回路53と、可変容量ダイオード54、55と、nチャネルのMOSFET56、57と、電流源58と、電圧源59と、補正容量回路4とを備えて構成されている。なお、MOSFET56、57は、特に限定されず、例えば、pチャネルのMOSFETやバイポーラトランジスタでもよい。
【0023】
容量可変回路53は、複数のコンデンサ51−1〜51−nと、複数のスイッチ52−1〜52−nとを備えて構成されている。すなわち、コンデンサ51−1〜51−nとスイッチ52−1〜52−nはそれぞれ互いに直列接続され、MOSFET56のドレインとグランドとの間、及びMOSFET57のドレインとグランドとの間にそれぞれ設けられている。
【0024】
補正容量回路4は、複数のコンデンサ5−1〜5−n(補正用コンデンサ)と、複数のスイッチ6−1〜6−nとを備えて構成されている。すなわち、コンデンサ5−1〜5−nとスイッチ6−1〜6−nはそれぞれ互いに直列接続され、MOSFET56のドレインとグランドとの間、及びMOSFET57のドレインとグランドとの間にそれぞれ設けられている。
【0025】
図1(b)に示す電圧制御発振器2では、可変容量ダイオード54、55の接続点に入力されるVCO制御電圧VTが大きくなると、出力端子Opから出力される発振信号Sp及び出力端子Onから出力される発振信号Spの反転信号である発振信号Snの周波数がそれぞれ高くなるものとする。また、VSB選択部48から出力される選択信号VSB(容量選択信号)により複数のスイッチ52のそれぞれのオン、オフが制御され、容量可変回路53の全体の容量が単位容量ずつ小さくなっていくと、電圧制御発振器2の発振周波数帯域(VCO制御電圧VTを下限値(A)から上限値(B)まで変化させるときの発振周波数の幅)の上限値及び下限値が所定値ずつ高くなっていくものとする。
【0026】
図2は、電圧制御発振器2の発振周波数帯域を示す図である。
スイッチ52−1〜52−nが全てオンになりコンデンサ51−1〜51−nが全て選択される場合、容量可変回路53の全体の容量が最も大きくなり、電圧制御発振器2の発振周波数帯域の上限値及び下限値は最も小さくなる。また、スイッチ52−1〜52−nが全てオフになりコンデンサ51−1〜51−nが全て選択されない場合、容量可変回路53の全体の容量が最も小さくなり、電圧制御発振器2の発振周波数帯域の上限値及び下限値が最も大きくなる。
【0027】
なお、各発振周波数帯域同士の重なり量は、コンデンサ51−1〜51−nの個数を削減するために、できるだけ小さいことが望ましい。
ここで、電圧制御発振器2から出力される発振信号Sp、Snの周波数を、分周比Nに対応する目標周波数xにロックする場合のVSB選択部48の動作の一例を説明する。
【0028】
まず、VSB選択部48は、コンデンサ51−1〜51−nが全て選択され容量可変回路53の全体の容量が最も大きくなるように選択信号VSBを出力する。すると、電圧制御発振器2の発振周波数帯域がS1になる。
【0029】
次に、VSB選択部48は、発振周波数帯域S1においてVCO制御電圧VTが上限値(B)を超えると判断すると、コンデンサ51−1〜51−nのうち、所定のコンデンサが選択され容量可変回路53の全体の容量が単位容量分小さくなるように選択信号VSBを出力する。すると、電圧制御発振器2の発振周波数帯域がS2になる。
【0030】
次に、VSB選択部48は、発振周波数帯域S2においてVCO制御電圧VTが上限値を超えると判断すると、コンデンサ51−1〜51−nのうち、所定のコンデンサが選択され容量可変回路53の全体の容量が単位容量分さらに小さくなるように選択信号VSBを出力する。すると、電圧制御発振器2の発振周波数帯域がS3になる。
【0031】
次に、VSB選択部48は、発振周波数帯域S3においてVCO制御電圧VTが上限値を超えないと判断すると、そのときの選択信号VSBを維持する。
そして、この発振周波数帯域S3において、VCO制御電圧VTにより電圧制御発振器2から出力される発振信号Sp、Snの周波数が目標周波数xに制御される。
【0032】
なお、上述では、電圧制御発振器2から出力される発振信号Sp、Snの周波数を、分周比Nに対応する目標周波数xにロックする場合のVSB選択部48の動作として、電圧制御発振器2の発振周波数帯域がS1から順番に上げるようにコンデンサ51−1〜51−nが選択される動作を説明したが、電圧制御発振器2の発振周波数帯域がSnから順番に下がるようにコンデンサ51−1〜51−nが選択されてもよい。
【0033】
また、上述では、電圧制御発振器2の発振周波数帯域を一番下のS1又は一番上のSnを初期状態として切り替えを開始する構成であるが、途中の発振周波数帯域を初期状態としてもよい。
【0034】
図3(a)は、容量可変回路53及び補正容量回路4の一例を示す図である。
図3(a)に示す容量可変回路53は、コンデンサ51−1〜51−5と、スイッチ52−1〜52−5と、インバータ60−1〜60−5とを備えて構成されている。
【0035】
コンデンサ51−1の容量を単位容量とすると、コンデンサ51−2の容量は、単位容量の2倍に設定され、コンデンサ51−3の容量は、単位容量の4倍に設定され、コンデンサ51−4の容量は、単位容量の8倍に設定され、コンデンサ51−5の容量は、単位容量の16倍に設定されているものとする。スイッチ52−1〜52−5がそれぞれオン、オフすることにより容量可変回路53の全体の容量を32通り(VCO0〜VCO31)に可変することができる。
【0036】
図3(a)に示す補正容量回路4は、コンデンサ5−1、5−2と、スイッチ6−1、6−2と、インバータ7−1、7−2と、AND回路8−1、8−2と、バッファ回路9とを備えて構成されている。
【0037】
図3(b)は、電圧制御発振器2が低周波動作しているとき、VSB選択部48からインバータ60−1〜60−5にそれぞれ出力される制御信号VSB0〜VSB4と、スイッチ52−1〜52−5のそれぞれのオン、オフとの関係、及び、補正容量選択部3からバッファ回路9を介してAND回路8−1、8−2にそれぞれ出力される選択信号FCと、スイッチ6−1、6−2のそれぞれのオン、オフとの関係を示す図である。また、図3(c)は、電圧制御発振器2が高周波動作しているとき、VSB選択部48からインバータ60−1〜60−5にそれぞれ出力される制御信号VSB0〜VSB4と、スイッチ52−1〜52−5のそれぞれのオン、オフとの関係、及び、補正容量選択部3からバッファ回路9を介してAND回路8−1、8−2にそれぞれ出力される選択信号FCと、スイッチ6−1、6−2のそれぞれのオン、オフとの関係を示す図である。なお、スイッチ52−1は、インバータ60−1から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになり、スイッチ52−2は、インバータ60−2から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになり、スイッチ52−3は、インバータ60−3から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになり、スイッチ52−4は、インバータ60−4から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになり、スイッチ52−5は、インバータ60−5から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになるものとする。
【0038】
全て「0」の制御信号VSB0〜VSB4がVSB選択部48からインバータ60−1〜60−5に出力されると、スイッチ52−1〜52−5が全てオン(1)になり、容量可変回路53の全体の容量が最も大きくなる。
【0039】
次に、「1」の制御信号VSB0がVSB選択部48からインバータ60−1に出力され、「0」の制御信号VSB1〜VSB4がVSB選択部48からインバータ60−2〜60−5に出力されると、スイッチ52−1がオフ(0)、スイッチ52−2〜52−nがそれぞれオンになり、容量可変回路53の全体の容量がコンデンサ51−1の容量すなわち単位容量分小さくなる。
【0040】
以降、容量可変回路53の全体の容量が単位容量分ずつ小さくなるような制御信号VSB0〜VSB4がVSB選択部48からインバータ60−1〜60−5に出力される。
そして、全て「1」の制御信号VSB0〜VSB4がVSB選択部48からインバータ60−1〜60−5に出力されると、スイッチ52−1〜52−5が全てオフになり、容量可変回路53の全体の容量が最も小さくなる。
【0041】
このように、コンデンサ51−1〜51−nのそれぞれの容量をある単位容量に対して1倍、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、・・・となるように設定することにより、コンデンサ51の個数とインバータ60の個数、VSBの制御本数などを低減することができる。
【0042】
次に、補正容量回路4の動作を説明する。
スイッチ6−1は、AND回路8−1から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになり、スイッチ6−2は、AND回路8−2から出力される信号が「1」のときオン、「0」のときオフになるものとする。また、VSB選択部48から出力される制御信号VSB3が「1」で、かつ、補正容量選択部3から出力される選択信号FCが「1」のとき、AND回路8−1から出力される信号が「1」になるものとする。また、VSB選択部48から出力される制御信号VSB4が「1」で、かつ、補正容量選択部3から出力される選択信号FCが「1」のとき、AND回路8−2から出力される信号が「1」になるものとする。
【0043】
なお、コンデンサ5−1〜5−nの個数や個々の容量は特には限定されないが、電圧制御発振器2が高周波動作しているとき、コンデンサ51−1〜51−nのうち、容量が比較的大きなコンデンサ(例えば、コンデンサ51−4やコンデンサ51−5)が選択されなくなる前と後のそれぞれにおける電圧制御発振器2の全体の容量差が小さくなるように、例えば、容量差が上記単位容量以内になるように、設定されているものとする。
【0044】
例えば、分周比Nが2000のとき、電圧制御発振器2の発振周波数が2GHzになり、分周比Nが2000より小さいとき、補正容量選択部3から出力される選択信号FCが「0」になり、分周比Nが2000以上のとき、補正容量選択部3から出力される選択信号FCが「1」になる場合を考える。
【0045】
分周比Nが3000のとき、「1」の選択信号FCが補正容量選択部3から出力されるため、スイッチ52−4がオンからオフになりコンデンサ51−4が選択されなくなるとき、スイッチ6−1がオフからオンになりコンデンサ5−1が選択される。また、スイッチ52−5がオンからオフになりコンデンサ51−5が選択されなくなるとき、スイッチ6−2がオフからオンになりコンデンサ5−2が選択される。そのため、本実施形態のPLL回路1では、コンデンサ51−4やコンデンサ51−5が選択されなくなるときの電圧制御発振器2の全体の容量を、コンデンサ5−1やコンデンサ5−2の容量分大きくすることができるため、コンデンサ51−4やコンデンサ51−5が選択されなくなるときの前と後のそれぞれにおける電圧制御発振器2の全体の容量差を小さくすることができる。
【0046】
このように、本実施形態のPLL回路1では、電圧制御発振器2が高周波動作しているとき、コンデンサ51−1〜51−nのうち、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなっても、補正用のコンデンサ5−1〜5−nを選択して電圧制御発振器2の全体の容量を大きくしているので、コンデンサ51−1〜51−nのうち、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなる前と後のそれぞれにおける電圧制御発振器2の全体の容量差を小さくすることができるので、図4に示すように、電圧制御発振器2を高周波動作させる場合(2−4GHzで動作時)においても、電圧制御発振器2の全ての発振周波数帯域同士を重なり合わせることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 PLL回路
2 電圧制御発振器
3 補正容量選択部
4 補正容量回路
51−1〜51−n コンデンサ
52−1〜52−n スイッチ
41 バッファ増幅器
43 増幅器
44 1/N分周器
45 位相比較器
46 チャージポンプ
47 ループフィルタ
48 VSB選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに容量が異なる複数のコンデンサの組み合わせを切り替えることにより発振周波数帯域を切り替える電圧制御発振器を備えるPLL回路であって、
前記電圧制御発振器が高周波動作しているとき、前記複数のコンデンサのうち、容量が比較的大きなコンデンサが選択されなくなる場合、補正用コンデンサを選択して前記電圧制御発振器の全体の容量を大きくする
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
入力される容量選択信号に基づいて、互いに容量が異なる複数のコンデンサの中から所定のコンデンサを選択することにより全体の容量を変化させて発振周波数帯域を切り替えるとともに、入力されるVCO制御電圧に応じた周波数の発振信号を出力する電圧制御発振器と、
入力される分周比に基づいて、前記電圧制御発振器から出力される発振信号を分周する分周器と、
入力される基準信号と、前記分周器から出力される発振信号との互いの位相を比較し、その位相差に応じた信号を出力する位相比較器と、
前記位相比較器から出力される信号に応じた電流を出力するチャージポンプと、
前記チャージポンプから出力される電流の直流成分をVCO制御電圧として前記電圧制御発振器に出力するループフィルタと、
前記ループフィルタから出力されるVCO制御電圧が所定範囲に入るように容量選択信号を前記電圧制御発振器に出力する容量選択手段と、
前記分周比に基づいて、補正容量選択信号を出力する補正容量選択手段と、
を備え、
前記電圧制御発振器は、前記補正容量選択手段から補正容量選択信号が出力されると、前記電圧制御発振器の全体の容量を大きくする補正容量回路を備え、
前記補正容量選択手段は、前記分周比が所定値以上のときで、かつ、前記複数のコンデンサのうち、所定のコンデンサが選択されなくなったとき、前記補正容量選択信号を出力する
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項3】
請求項2に記載のPLL回路であって、
前記補正容量回路は、前記補正容量選択手段から補正容量選択信号が出力されると、前記電圧制御発振器の全体の容量が大きくなるように選択される補正用コンデンサを備える
ことを特徴とするPLL回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−258764(P2010−258764A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106226(P2009−106226)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】