はんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法
【課題】 本発明は、プリンタ基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができ、良否判定の基準となる基準データの作成を短時間で行うことができるはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 投影データ作成部12は、パット4と接続端子21とのはんだ付け部の画像データをパット4の幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、演算部14は、検査対象投影データと基準投影データ記憶部13に記憶されている基準投影データとを比較し、判定部15は、検査対象投影データと基準投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する。
【解決手段】 投影データ作成部12は、パット4と接続端子21とのはんだ付け部の画像データをパット4の幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、演算部14は、検査対象投影データと基準投影データ記憶部13に記憶されている基準投影データとを比較し、判定部15は、検査対象投影データと基準投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法に関し、特にプリント基板の表面に実装されたSOP、QFP等のリード実装部品やチップ実装部品等(以下、リード実装部品、チップ実装部品およびその他はんだ付けによる各種実装部品を総称して実装部品と称す)のはんだ付け状態の検査を行うはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定原理を説明するための側面図であり、図19は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準を説明するための平面図であり、図20および図21は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
プリント基板1の表面に形成されているパッド4への実装部品2の接続端子(リード、電極)21のはんだ付け状態を検査する従来のはんだ付け外観検査装置は、プリント基板1の上方から光を照射しながら、プリント基板1の上方に取り付けられたカメラによって反射光を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを所定の二値化閾値で二値化することで白領域と黒領域とからなる二値化画像データを作成し、当該二値化画像データによってはんだ付け状態の良否を判定している。
【0003】
良品、すなわち正常にはんだ付けが行われ、はんだ3によってパッド4と接続端子21との電気的導通が良好になされている場合には、図18(a)に示すように、接続端子21の先端Aにフィレット31が形成され、フィレット31が形成された箇所からの反射光は、図18(a)に矢印で示すように、プリント基板1の上方に配置されたカメラに入射されなくなって、二値化画像データでは、黒領域となるのに対し、不良品、すなわち正常なはんだ付けが行われず、はんだ3によるパッド4と接続端子21との電気的導通が不完全な場合には、図18(b)に示すように、フィレット31が形成されず、本来フィレット31が形成されているはずの箇所からの反射光は、図18(b)に矢印で示すように、プリント基板1の上方に配置されたカメラに入射され、二値化画像データでは、白領域となる。
【0004】
従って、検査領域(パッド4の幅*接続端子21の先端Aから所定距離に設定)内の良品の領域内二値化画像データは、図19(a)に示すように、黒領域の面積が大きくなり、不良品の検査領域内の領域内二値化画像データは、図19(b)に示すように、白領域の面積が大きくなり、黒領域の面積と予め設定されている判定基準面積とを比較することによって良否判定が行われる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、従来技術のように領域内二値化画像データの黒領域の面積によって良否判定を行った場合には、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなるものがあると共に、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなるものがあるため、誤った良否判定が行われる恐れがあるという問題点があった。
【0006】
すなわち実装部品2の種類やはんだ3の量の設定によっては、良品であっても大きなフィレット31が形成されない場合があり、図20(a)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがある。なお、このような良品であっても黒領域の面積が小さいものを良品として判定するために、判定基準面積を小さくした場合には、不良品が良品と誤って判定される確率が高くなってしまう。
【0007】
また、例えば図12(a)に示すように、接続端子21が浮いた状態の場合には、パッド4上のはんだ3が図12(b)に示すようにかまぼこ状になるため、二値化画像データではパッド4の側面部が黒領域となってしまい、図20(b)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0008】
また、実装部品2の種類によっては、接続端子21の先端形状が丸まっているため(図13(a)参照)、二値化画像データでは接続端子21の先端部が黒領域となってしまい、当該黒領域の箇所が検査領域に設定され、図20(c)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0009】
また、不良品であっても、パッド4上の微妙なはんだ3の表面の凹凸により部分的に明るさのばらつきが発生して二値化画像データではパッド4が部分的に黒領域となってしまい、図21(a)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがあると共に、図21(b)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0010】
また、パッド4の幅方向に接続端子21が良品の範囲でずれている場合、接続端子21先端に形成されるフィレット31の形状が変化するため、領域内二値化画像データの黒領域の面積が変化し、図21(c)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがある。
【0011】
また、接続端子21の明るさやパッド4の明るさは、表面状態や材料のばらつきにより変化するため、カメラによって取り込んだ画像データを所定の二値化閾値で二値化するに際し、明るさが変化した場合には適切な二値化画像データとはならない時があり、領域内二値化画像データの黒領域の面積が期待される値よりも大きくなったり小さくなったりすることで誤った良否判定が行われることがある。
【0012】
上述のように、各種の要因によって誤った良否判定が行われる恐れがあり、複数の要因が重なることにより、さらに誤った良否判定が行われる確率が高くなってしまう。
【0013】
さらに従来技術では、実装部品2を搭載するプリント基板1の種類や実装部品2の種類毎に接続端子21の形状や表面状態、パッド4の設計寸法などが異なるため、正常なフィレット31の形状やサイズ、反射の状態が異なると共に、接続端子21の先端が黒領域となる実装部品2と、黒領域とならない実装部品2等の実装部品2の種類毎にばらつきがあり、二値化閾値や判定のための判定基準面積等の基準データを実装部品2の種類毎に微調整しなければならず、基準データの作成に多くの時間が必要になってしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開昭64−13442号公報
【特許文献2】特開平02−278105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができ、良否判定の基準となる基準データの作成を短時間で行うことができるはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、基準となる基準投影データが記憶されている基準投影データ記憶手段と、該基準投影データ記憶手段に記憶されている前記基準投影データと前記検査対象投影データとを比較する投影データ比較手段と、該投影データ比較手段による前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する判定手段とを具備することを特徴とするはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項5記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データが記憶されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項6記載の発明の要旨は、前記投影データ比較手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、前記判定手段は、前記投影データ比較手段によって算出された前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項7記載の発明の要旨は、前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、前記投影データ比較手段は、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項8記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項9記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が前記判定手段によって行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項10記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段に記憶される前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項11記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データが記憶され、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データ記憶手段に記憶されている前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、前記判定手段は、前記投影データ比較手段による前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項12記載の発明の要旨は、前記判定手段は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項13記載の発明の要旨は、前記判定手段は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項14記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する特徴抽出手段と、該特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶する基準値記憶手段とを具備し、前記判定手段は、前記特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量と前記基準値記憶手段に記憶されている前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項15記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、前記プリント基板の表面に光を照射し、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、基準となる基準投影データを記憶しておき、該基準投影データと前記検査対象投影データとを比較し、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項16記載の発明の要旨は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項17記載の発明の要旨は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15又は16記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項18記載の発明の要旨は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項19記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶していることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項20記載の発明の要旨は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、該算出した前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項21記載の発明の要旨は、前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項22記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項23記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項24記載の発明の要旨は、前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項25記載の発明の要旨は、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項26記載の発明の要旨は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項27記載の発明の要旨は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項28記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、前記プリント基板の表面に光を照射し、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、該抽出する前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、前記抽出した前記特徴量と前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項29記載の発明の要旨は、請求項15乃至28のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法コンピュータに実行させるためのプログラムに存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、パッドと接続端子とのはんだ付け部の画像データをパッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、作成した検査対象投影データと基準投影データとを比較し、検査対象投影データと基準投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、投影処理によって作成された検査対象投影データによって、正常なはんだ付けが行われてフィレットが形成されている場合とフィレットが形成されていない場合とを明確に区別することができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0017】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、正常なはんだ付けが行われた場合に接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、良品と不良品との形状が大きく異なる箇所で良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0018】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、接続端子の所定位置からパッドの先端までの画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、パッド先端までの範囲において現れうる特徴から良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、接続端子の先端の概略座標を検出してから、はんだ付け部とする画像データを特定するように構成することにより、検査領域の接続端子の長手方向の長さを短くすることができ、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0020】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶しておくことにより、良否判定の基準となる基準データを検査対象投影データと比較が容易に行なえるような同様の投影データとすることができ、良否判定の基準となる基準投影データの作成を短時間で行うことができるという効果を奏する。
【0021】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、検査対象投影データのパッドの長手方向のデータ数は、基準投影データのパッドの長手方向のデータ数よりも多く、基準投影データを検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、接続端子がパッドの長手方向にずれてはんだ付けされた場合にも、最も類似している箇所に基づいて良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の基準投影データと検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとをそれぞれ比較し、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良品と不良品との形状が類似している場合にも、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、抽出する特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、抽出した特徴量と特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、検査対象投影データと基準投影データとの比較を行う比較処理を行わなくて良いため、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図2および図3は、図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図であり、図4は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図であり、図5乃至図7は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図であり、図8は、図1に示す基準投影データ記憶部に記憶される良品基準投影データ例を示す図である。
【0027】
第1の実施の形態は、図1を参照すると、プリント基板1の表面に搭載された実装部品2のはんだ付け状態を検査する装置であり、落射照明10と、カメラ11と、基準投影データ記憶部12と、投影データ作成部13と、演算部14と、判定部15と、判定結果通知部16とからなる。
【0028】
落射照明10は、プリント基板1とカメラ11との間に斜めに配置されたハーフミラーを有し、当該ハーフミラーで反射した光がプリント基板1に垂直に照射され、プリント基板1からの反射光がハーフミラーを通過してカメラ11に到達するように構成された照明装置である。なお、落射照明10の代わりに、カメラ11の近くに配置された照明を用い、当該照明によって略上方からプリント基板1に光を照射させるようにしても良い。さらに、光源としては、LEDやハロゲンランプなど各種考えられ、照明の光源や照明の形状には特に限定されるものではない。
【0029】
落射照明10からプリント基板1に垂直に照射された光は、実装部品2の接続端子21の表面およびプリント基板1に形成されたパッド4上のはんだ3の表面によって反射され、真上に反射された光が撮像手段であるカメラ11によって画像データとして取り込まれる。なお、本発明がはんだ付け状態の検査対象としている実装部品2は、QFPやSOPと呼ばれるリード部品だけでなく、電極等の部品接続部をパッド4にはんだ付けする部品(コンデンサや抵抗等のチップ部品等)も含まれる物であり、接続端子21とは、リード部品のリードやチップ部品の電極等のはんだ付け接続部のことを示す。
【0030】
はんだ3の表面が完全な鏡面である場合に、傾きθで配置されたはんだ3の表面に真上から入射された光は、図2(a)に示すように、正反射光として(90度−2×θ)の角度に反射され、カメラ11によって取り込まれない。従って、傾きのない(入射光に対して垂直な)接続端子21の表面やパッド4上のはんだ3の表面では、真上から垂直に入射された光が真上に反射されてカメラ11に取り込まれるため、傾きのない接続端子21の表面やパッド4上のはんだ3の表面は、カメラ11に取り込まれた画像データでは白領域となり、傾きのある(入射光に対して傾いている)はんだ3の表面では、真上から垂直に入射された光が真上に反射されずにカメラ11に取り込まれないため、傾きのあるはんだ3の表面は、カメラ11に取り込まれた画像データでは黒領域となる。
【0031】
ところが、金属表面であるはんだ3の表面は、完全な鏡面ではなく、図2(b)に示すように、乱反射成分があるため、はんだ3の表面からの反射光は、正反射光の方向の反射光強度が最も強く、正反射光の角度から離れるに従って反射光強度が弱くなる反射光強度分布となる。従って、プリント基板1に垂直に入射された光は、はんだ斜面部(真上からの入射光に対して傾いているはんだ3の表面)において、はんだ斜面部の角度が急になるほど真上に戻る反射光の反射光強度が弱くなり、はんだ斜面部の角度がなだらかになるほど真上に戻る反射光の反射光強度が強くなるという相関を持つことになり、カメラ11によって取り込まれた画像データは、反射光強度が濃淡に反映され、反射光強度が強いほど明るく、反射光強度が弱いほど暗い濃淡画像データとなる。
【0032】
良品、すなわち正常にはんだ付けが行われ、はんだ3によってパッド4と接続端子21との電気的導通が良好になされている場合に形成されるフィレット31は、図3(a)に示すように、接続端子21の先端部Aに近いほど角度が急になり、離れるほど角度かなだらかになる形状となるため、フィレット31に真上から入射された光は、図3(b)に示すように、接続端子21の先端部Aに近いほど真上に戻る反射光の反射光強度が弱くなり、離れるほど真上に戻る反射光の反射光強度が強くなる。
【0033】
従って、カメラ11によって取り込まれた良品の画像データにおける接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図3(c)に示すように、接続端子21の表面部分では、明るく、接続端子21の先端Aで急激に暗くなり、接続端子21の先端Aから離れるほど徐々に明るくなるという傾向を有することになる。なお、接続端子21の長手方向とは、実装部品2からの接続端子21の延出方向を示すものであり、接続端子21の長手方向に直交する方向をパッド4の幅方向と称す。
【0034】
投影データ作成部12は、図4(a)に示すように、カメラ11によって取り込まれた画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:M)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる検査領域を特定し、特定した検査領域内の画像データをパッド4の幅方向に足し込んだ投影データを検査対象投影データとして作成する投影処理を行う。第1の実施の形態において特定される検査領域は、接続端子21の長手方向では、接続端子21の所定位置からパッド4の先端までの範囲が、パッド4の幅方向では、パッド4の幅がそれぞれ特定されるようになっている。なお、接続端子21の長手方向のデータ数Mおよびパッド4の幅方向のデータ数Lは、カメラ11の画素密度に応じた値となるが、投影データ作成部12によって行われる投影処理は、必ずしも幅方向の全てのデータを足し込む必要はなく、例えば幅方向のデータを1個おきに足し込むようにしても良く、幅方向の一部のデータを除いて足し込むようにしても良い。
【0035】
検査領域の特定方法としては、基板の設計データ等から計算により特定する方法や、実装部品2の樹脂部分と接続端子21との境界を検出し、接続端子21の長さのデータから接続端子21の先端Aの概略座標を算出することによって特定する方法等の各種の方法が考えられるが、本発明では、いずれの方法で検査領域を特定するようにしても良く、検査領域の特定方法を限定するものではない。なお、SOP等のように接続端子21のずれが大きく発生する場合には、接続端子21のフィレット部を検査領域に含めるために検査領域を大きく設定する必要があり後述する演算の時間がかかってしまうが、概略の接続端子21の先端Aの座標を求めてから検査領域を発生させることで検査領域のサイズを小さくすることができ、演算時間を短縮することができる。また、検査対象投影データとしては、投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータを用いるようにしても良い。
【0036】
投影データは、図4(b)に示すL個の接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルが足し込まれたものであり、パッド4上の微妙なはんだ3表面の凹凸によって発生する部分的な明るさのばらつきが投影処理によって平均化され、はんだ3表面の凹凸の影響を軽減することができ、さらに、フィレット31が形成されている領域は、パッド幅方向が連続して暗い領域になっていると共に、接続端子21の領域は、パッド幅方向が連続して明るい領域となっているため、フィレット31が形成されている領域と接続端子21の領域とは、投影処理によって強調される。なお、図4(a)は、正常なフィレット31が形成された良品の画像データであり、図4(c)は、正常なフィレット31が形成された良品の投影データである。
【0037】
従って、図5(a)、(b)に示すように、パッド4の幅方向に接続端子21が横ずれしてはんだ付けされた場合にも、正常なフィレット31が形成されていれば、投影処理によって接続端子21のずれ(横ずれ)の影響はキャンセルされ、図5(c)に示すように、接続端子21が横ずれすることなくはんだ付けされた場合と大差のない投影データが作成される。
【0038】
また、図6(a)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成され、図6(b)に示すように、検査領域内のフィレット31によって本来暗い領域となるはずの箇所に明るい領域が存在した場合にも、フィレット31の表面に形成された凸部を通る接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図6(c)に示すように、フィレット31の表面に形成された凸部の影響を大きく受けたものになる。従って、投影処理していない任意の1ラインの濃淡データでは、凸部の影響がそのまま現れてしまい、誤判定してしまう恐れがあるが、投影処理を行うことにより、フィレット31の表面に形成された凸部の影響はキャンセルされ、図6(d)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成されていない場合と大差のない投影データが作成され、正確な判定を行うことができる。
【0039】
また、図7(a)に示すように、はんだ3の表面に凸部が形成され、図7(b)に示すように、検査領域内のはんだ3によって本来明るい領域となるはずの箇所に暗い領域が存在した場合にも、はんだ3の表面に形成された凸部を通る接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図7(c)に示すように、はんだ3の表面に形成された凸部の影響を大きく受けたものになる。従って、投影処理していない任意の1ラインの濃淡データでは、凸部の影響がそのまま現れてしまい、誤判定してしまう恐れがあるが、投影処理を行うことにより、フィレット31の表面に形成された凸部の影響はキャンセルされ、図7(d)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成されていない場合と大差のない投影データが作成され、正確な判定を行うことができる。
【0040】
基準投影データ記憶部13は、良品の基準となる基準投影データ(以下、良品基準投影データと称す)が記憶されている。良品基準投影データは、正常なフィレット31が形成された良品に基づいて作成された投影データであり、投影データ作成部12によって事前に作成されたものである。投影データ作成部12は、図8(a)に示すように、正常なフィレット31が形成された良品からの反射光に基づく画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:N)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる領域を基準検査領域として特定し、特定した基準検査領域内の濃淡データ、すなわち図8(b)に示す接続端子21の長手方向のL個のプロファイルをパッド4の幅方向に足し込む投影処理を行い、投影処理によって得られた図8(c)に示す投影データを良品基準投影データとして作成する投影処理を行う。基準検査領域の接続端子21の長手方向のデータ数Nは、検査対象投影データにおける検査領域の接続端子21の長手方向のデータ数Mよりも小さい値であり、接続端子21の長手方向では、接続端子21の所定位置から正常に形成されたフィレット31が含まれるパッド4の所定位置までの範囲が、パッド4の幅方向では、パッド4の幅がそれぞれ基準検査領域として特定されるようになっている。また、検査対象投影データとして投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータが用いられている場合には、良品基準投影データも同様に投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータが用いられる。さらに、良品基準投影データは、複数の良品に基づいて作成された投影データから統計処理により作成するようにしてもよく、統計処理としては、複数の投影データの平均値を良品基準投影データとする方法や複数の投影データの平均値および分散値とから一つまたは複数の良品基準投影データを算出する方法が考えられる。
【0041】
演算部14は、検査対象投影データと良品基準投影データとの関係を演算する手段であり、演算処理としては、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関演算(大きいほうが相関が高い)や検査対象投影データと良品基準投影データとの差の合算(小さいほうが相関が高い)が行われる。第1の実施の形態では、演算処理として相関演算が用いられ、検査対象投影データのデータ数Mが良品基準投影データのデータ数Nよりも大きいため、検査対象投影データをずらしながら検査対象投影データと良品基準投影データとのそれぞれの相関値(M−N+1個の相関値)を演算する。なお、相関値の演算方法としては、検査対象投影データと良品基準投影データとの平均値が合うようにオフセットする正規化処理や検査対象投影データと良品基準投影データとの最大値と最小値が合うようにオフセットおよび倍率設定する正規化処理後に行うと好適であり、第1の実施の形態では、次式に示す正規化相関演算を用いて相関値を求めるように構成されている。また、次式において、Nは、良品基準投影データのデータ数、xは、良品基準投影データ、yは、検査対象投影データをそれぞれ示すものである。
【0042】
【数1】
【0043】
判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値の内、最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する。
【0044】
判定結果通知部16は、判定部15によって良品もしくは不良品に判定された判定結果をユーザに通知する手段であり、例えばディスプレイ装置等の表示手段や判定結果の送出手段、不良箇所へのインクマーキング手段、ハードディスク等記憶手段への結果保存手段が用いられる。
【0045】
次に、第1の実施の形態の動作について図9乃至図13を参照して詳細に説明する。
図9は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図10乃至図13は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【0046】
落射照明10によってプリント基板1に対して真上から垂直に光を入射し(ステップA1)、プリント基板1の真上に配置されたカメラ11によってプリント基板1からの反射光を画像データとして取り込む(ステップA2)。
【0047】
次に、投影データ作成部12は、カメラ11によって取り込まれた画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:M)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる領域を検査領域として特定し(ステップA3)、特定した検査領域内の濃淡データをパッド4の幅方向に足し込んだ投影データを検査対象投影データとして作成する(ステップA4)。
【0048】
次に、演算部14は、変数iを1に設定し(ステップA5)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップA6)。
【0049】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップA7)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップA8)、ステップA6に戻る。これにより、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0050】
ステップA7で(N+i−1)=Mである場合には、判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値(M−N+1個の相関値)の内、最大の相関値を選択し(ステップA9)、選択した最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し(ステップA10)、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し(ステップA11)、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する(ステップA12)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0051】
図10(a)に示すように、フィレット31が形成されていない場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図10(b)に示すように、周辺部を除くほぼ全面が明るい領域で構成されたものになる。従って、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図10(c)に示すように、接続端子21の先端A付近で急激に落ち込むことなく常に高いレベルに維持されるプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0052】
図11(a)に示すように、実装部品2の種類やはんだ3の量の設定によって、良品であっても大きなフィレット31が形成されない場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図11(b)に示すように、フィレット31部分の暗い領域の面積が小さいものになる。しかしながら、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図11(c)に示すように、接続端子21の先端A付近で急激に落ち込んで、落ち込んだ後に上昇するプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、類似したものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、大きい値となって正確に良品と判定することができる。
【0053】
図12(a)および(b)に示すように、接続端子21が浮いてパッド4上のはんだ3がかまぼこ状になっている場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図12(c)に示すように、接続端子21の先端Aを境にして明るい領域の面積比率がことなるものになる。なお、図12(b)は、図12(a)に示すZ−Z’断面図である。従って、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図12(d)に示すように、接続端子21の先端A付近で少し落ち込み、その後レベルが変化することがないプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0054】
図13(a)に示すように、接続端子21の先端形状が丸まっている場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図13(b)に示すように、フィレット31によるものと類似した暗い領域が接続端子21の先端Aの手前に生じたものになる。しかしながら、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図13(c)に示すように、接続端子21の先端Aの手前で徐々に落ち込み、その後接続端子21の先端Aで急激に上昇するプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0055】
なお、第1の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データを記憶させるように構成したが、良品基準投影データの代わりに不良品の基準となる基準投影データ(以下、不良品基準投影データと称す)を基準投影データ記憶部13に記憶させるようにしても良く、この場合には、検査対象投影データと不良品基準投影データとの相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に不良品と判定されるようにすると良い。なお、不良品基準投影データは、正常なフィレット31が形成されていない不良品に基づいて作成された投影データであり、投影データ作成部12によって良品基準投影データと同様の手順で作成される。
【0056】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
第2の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に複数個の良品基準投影データが記憶され、演算部14によって検査対象投影データと複数個の良品基準投影データとのそれぞれの相関値を演算するように構成されている。
【0058】
第2の実施の形態の動作について図14を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。また、基準投影データ記憶部13には、J個の良品基準投影データが記憶されているものとする。
【0059】
演算部14は、変数jを1に設定すると共に(ステップB1)、変数iを1に設定し(ステップB2)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されているj番目の良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップB3)。
【0060】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップB4)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップB5)、ステップB3に戻る。これにより、検査対象投影データとj番目の良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0061】
ステップB4で(N+i−1)=Mである場合には、演算部14は、j=Jか否かを判断し(ステップB6)、j=Jでない場合には、変数jをインクリメントし(ステップB7)、ステップB3に戻る。これにより、検査対象投影データとJ個の良品基準投影データとの相関値がJ*(M−N+1)個得られることになる。
【0062】
ステップB6でj=Jある場合には、判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値{J*(M−N+1)個の相関値}の内、最大の相関値を選択し(ステップB8)、選択した最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し(ステップB9)、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し(ステップB10)、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する(ステップB11)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0063】
なお、第2の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に複数個の良品基準投影データを記憶させるように構成したが、良品基準投影データの代わりに複数個の不良品基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶させるようにしても良く、この場合には、検査対象投影データと各不良品基準投影データとのそれぞれ相関値の内、最も大きい相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に不良品と判定されるようにすると良い。また、基準投影データ記憶部13に記憶された複数個の良品基準投影データもしくは複数個の不良品基準投影データと検査対象投影データとのそれぞれの相関値が算出されるために良否判定を行い、良品(良品基準投影データの場合)もしくは不良品(不良品基準投影データの場合)と判定された場合には、以降の相関値の算出を止めるようにしても良い。
【0064】
(第3の実施の形態)
図15は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第3の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0065】
第3の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データと不良品基準投影データとが記憶され、演算部14によって検査対象投影データと良品基準投影データおよび不良品基準投影データとのそれぞれの相関値を演算し、判定部15によって検査対象投影データが良品基準投影データもしくは不良品基準投影データのいずれに近いかを判断することによって良否を判定するように構成されている。
【0066】
第3の実施の形態の動作について図15を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0067】
演算部14は、変数iを1に設定し(ステップC1)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップC2)。
【0068】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップC3)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップC4)、ステップC2に戻る。これにより、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0069】
ステップC3で(N+i−1)=Mである場合には、再び変数iを1に設定し(ステップC5)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている不良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップC6)。
【0070】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップC7)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップC8)、ステップC6に戻る。これにより、検査対象投影データと不良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。
【0071】
ステップC7で(N+i−1)=Mある場合には、判定部15は、演算部14によって求められた検査対象投影データと良品基準投影データとのM−N+1個の内、最大の相関値を選択すると共に(ステップC9)、演算部14によって求められた検査対象投影データと不良品基準投影データとのM−N+1個の内、最大の相関値を選択する(ステップC10)。さらに、判定部15は、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値よりも大きいか否かを判断し(ステップC11)、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値よりも大きい時に良品と判定し(ステップC12)、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値以下である時に不良品と判定する(ステップC13)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0072】
第3の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データと不良品基準投影データとをそれぞれ1個ずつ記憶させるように構成したが、基準投影データ記憶部13に複数の良品基準投影データと複数の不良品基準投影データとを記憶させるようにしても良い。また、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データを用いて良否の判定を行い、不良と判定されたものに対して不良品基準投影データを用いて再度良否の判定を行うことで最終的に不良の判定を行うようにしても良い。
【0073】
(第4の実施の形態)
図16は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図17は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0074】
第4の実施の形態は、図16を参照すると、第1の実施の形態における基準投影データ記憶部13、演算部14および判定部15の代わりに、特徴抽出部17と、基準値記憶部18および特徴判定部19が設けられている。
【0075】
特徴抽出部17は、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する手段であり、例えば、検査対象投影データにおいて、レベルが落ち込む量、落ち込む角度、上昇する角度等を特徴量として抽出する。
【0076】
基準値記憶部18は、特徴抽出部17によって抽出される特徴量毎に対応する特徴基準値が記憶されている。なお、特徴基準値は、正常なフィレット31が形成された良品の投影データに基づいて設定すると良い。
【0077】
特徴判定部19は、特徴抽出部17によって抽出された特徴量と、基準値記憶部18に記憶されている特徴基準値とを比較することによって良否の判定を行う。良否の判定方法としては、各種の方法が考えられるが、例えば、特徴量と特徴基準値との差が所定値以内か否かで良否を判定するようにしても良く、複数の特徴量を抽出する場合には、複数の特徴量と複数の特徴基準値との相関値によって良否を判定するようにしても良い。
【0078】
第4の実施の形態の動作について図17を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0079】
特徴抽出部17は、投影データ作成部12によって作成された検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する(ステップD1)。
【0080】
次に、特徴判定部19は、特徴抽出部17によって抽出された特徴量と、基準値記憶部18に記憶されている特徴基準値とを比較することによって良否の判定を行う(ステップD2)。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パッド4と接続端子21とのはんだ付け部の画像データをパッド4の幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、作成した検査対象投影データに基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、投影処理によって作成された検査対象投影データによって、正常なはんだ付けが行われてフィレット31が形成されている場合とフィレット31が形成されていない場合とを明確に区別することができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0082】
さらに、本実施の形態によれば、正常なはんだ付けが行われた場合に接続端子21の先端に形成されるフィレット31部分を含む画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、良品と不良品との形状が大きく異なる箇所で良否の判定を行うことができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0083】
さらに、本実施の形態によれば、接続端子21の所定位置からパッド4の先端までの画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、パッド先端までの範囲において現れうる特徴から良否の判定を行うことができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0084】
さらに、本実施の形態によれば、接続端子21の先端の概略座標を検出してから、はんだ付け部とする画像データを特定するように構成することにより、検査領域の接続端子21の長手方向の長さを短くすることができ、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、基準投影データと検査対象投影データとを比較し、基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の基準となる基準データを検査対象投影データと比較が容易に行なえるような同様の投影データとすることができ、良否判定の基準となる基準投影データの作成を短時間で行うことができるという効果を奏する。
【0086】
さらに、本実施の形態によれば、検査対象投影データのパッドの長手方向のデータ数は、基準投影データのパッド4の長手方向のデータ数よりも多く、基準投影データを検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、接続端子21がパッド4の長手方向にずれてはんだ付けされた場合にも、最も類似している箇所に基づいて良否の判定を行うことができ、プリント基板1の反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0087】
さらに、本実施の形態によれば、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、複数の基準投影データと検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとをそれぞれ比較し、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良品と不良品との形状が類似している場合にも、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0089】
さらに、本実施の形態によれば、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、抽出する特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、抽出した特徴量と特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、検査対象投影データと基準投影データとの比較を行う比較処理を行わなくて良いため、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0090】
なお、本実施の形態では、基準投影データ記憶部13に正常に形成されたフィレット31部分が含まれる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させるようにしたが、フィレット31部分以外の、接続端子21の部分やパッド4の部分等の良品と不良品との投影データに相違が表れる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるようにしても良い。投影処理は、明るさを足しこむので、暗い領域は投影データの値にあまり影響せず、接続端子21の部分やパッド4の部分等の明るい領域の幅が投影データのレベルと相関をもつので、良品の接続端子21の部分における投影データや良品のパッド4の部分における投影データは安定している。従って、接続端子21の部分やパッド4の部分等の良品と不良品との投影データに相違が表れる場合には、接続端子21の部分やパッド4の部分が含まれる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めることで、検査精度が向上する。
【0091】
すなわち、実装部品2の種類やリフロー条件等によっては、正常にフィレット31が形成された場合に、パッド4の部分のはんだ3が広がり、明るい部分の幅が広くなるのに対し、接続端子21が浮いてしまった場合には、パッド4の部分のはんだ3がかまぼこ状になり、明るい部分の幅が狭くなる。このようなケースの場合には、不良品のパッド4の部分における投影データの値が全体的に良品に比べ小さくなるという特徴を有するため、パッド4の部分が含まれる範囲の投影データを良品基準投影データとして記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるように構成すると、より良否判定の精度を向上させることができる。
【0092】
また、実装部品2の種類やリフロー条件等によっては、接続端子21が浮いてしまった場合に、パッド4の先端部分に良品と不良品の相違が顕著に現れることがある。このようなケースの場合には、パッド4の先端部分が含まれる範囲を良品基準投影データとして記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるように構成すると、より良否判定の精度を向上させることができる。ただし、接続端子21の先端部からパッド4の先端部までを良品基準投影データの範囲とすると、特にSOP等の搭載ずれのために、接続端子21の先端Aからパッド4の先端までの長さにばらつきが発生して、良品の検査対象投影データでも良品基準投影データと類似しなくなって疑似不良が発生する。そこで、パッド4の先端部分が含まれる範囲を良品基準投影データとして記憶させる場合には、正常に形成されたフィレット31部分が含まれる範囲と、パッド4の先端部分が含まれる範囲とをそれぞれ独立した良品基準投影データとすることで搭載ずれの影響をキャンセルすることができる。
【0093】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図である。
【図3】図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図5】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図6】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図7】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図8】図1に示す基準投影データ記憶部に記憶される良品基準投影データ例を示す図である。
【図9】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図11】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図12】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図13】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図14】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第3の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】従来のはんだ付け外観検査装置の判定原理を説明するための側面図である。
【図19】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準を説明するための平面図である。
【図20】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
【図21】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 プリント基板
2 実装部品
3 はんだ
4 パッド
10 落射照明
11 カメラ
12 投影データ作成部
13 基準投影データ記憶部
14 演算部
15 判定部
16 判定結果通知部
17 特徴抽出部
18 基準値記憶部
19 特徴判定部
21 接続端子
31 フィレット
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法に関し、特にプリント基板の表面に実装されたSOP、QFP等のリード実装部品やチップ実装部品等(以下、リード実装部品、チップ実装部品およびその他はんだ付けによる各種実装部品を総称して実装部品と称す)のはんだ付け状態の検査を行うはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定原理を説明するための側面図であり、図19は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準を説明するための平面図であり、図20および図21は、従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
プリント基板1の表面に形成されているパッド4への実装部品2の接続端子(リード、電極)21のはんだ付け状態を検査する従来のはんだ付け外観検査装置は、プリント基板1の上方から光を照射しながら、プリント基板1の上方に取り付けられたカメラによって反射光を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを所定の二値化閾値で二値化することで白領域と黒領域とからなる二値化画像データを作成し、当該二値化画像データによってはんだ付け状態の良否を判定している。
【0003】
良品、すなわち正常にはんだ付けが行われ、はんだ3によってパッド4と接続端子21との電気的導通が良好になされている場合には、図18(a)に示すように、接続端子21の先端Aにフィレット31が形成され、フィレット31が形成された箇所からの反射光は、図18(a)に矢印で示すように、プリント基板1の上方に配置されたカメラに入射されなくなって、二値化画像データでは、黒領域となるのに対し、不良品、すなわち正常なはんだ付けが行われず、はんだ3によるパッド4と接続端子21との電気的導通が不完全な場合には、図18(b)に示すように、フィレット31が形成されず、本来フィレット31が形成されているはずの箇所からの反射光は、図18(b)に矢印で示すように、プリント基板1の上方に配置されたカメラに入射され、二値化画像データでは、白領域となる。
【0004】
従って、検査領域(パッド4の幅*接続端子21の先端Aから所定距離に設定)内の良品の領域内二値化画像データは、図19(a)に示すように、黒領域の面積が大きくなり、不良品の検査領域内の領域内二値化画像データは、図19(b)に示すように、白領域の面積が大きくなり、黒領域の面積と予め設定されている判定基準面積とを比較することによって良否判定が行われる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、従来技術のように領域内二値化画像データの黒領域の面積によって良否判定を行った場合には、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなるものがあると共に、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなるものがあるため、誤った良否判定が行われる恐れがあるという問題点があった。
【0006】
すなわち実装部品2の種類やはんだ3の量の設定によっては、良品であっても大きなフィレット31が形成されない場合があり、図20(a)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがある。なお、このような良品であっても黒領域の面積が小さいものを良品として判定するために、判定基準面積を小さくした場合には、不良品が良品と誤って判定される確率が高くなってしまう。
【0007】
また、例えば図12(a)に示すように、接続端子21が浮いた状態の場合には、パッド4上のはんだ3が図12(b)に示すようにかまぼこ状になるため、二値化画像データではパッド4の側面部が黒領域となってしまい、図20(b)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0008】
また、実装部品2の種類によっては、接続端子21の先端形状が丸まっているため(図13(a)参照)、二値化画像データでは接続端子21の先端部が黒領域となってしまい、当該黒領域の箇所が検査領域に設定され、図20(c)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0009】
また、不良品であっても、パッド4上の微妙なはんだ3の表面の凹凸により部分的に明るさのばらつきが発生して二値化画像データではパッド4が部分的に黒領域となってしまい、図21(a)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがあると共に、図21(b)に示すように、不良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が大きくなって良品と誤って判定されることがある。
【0010】
また、パッド4の幅方向に接続端子21が良品の範囲でずれている場合、接続端子21先端に形成されるフィレット31の形状が変化するため、領域内二値化画像データの黒領域の面積が変化し、図21(c)に示すように、良品であっても領域内二値化画像データの黒領域の面積が小さくなって不良品と誤って判定されることがある。
【0011】
また、接続端子21の明るさやパッド4の明るさは、表面状態や材料のばらつきにより変化するため、カメラによって取り込んだ画像データを所定の二値化閾値で二値化するに際し、明るさが変化した場合には適切な二値化画像データとはならない時があり、領域内二値化画像データの黒領域の面積が期待される値よりも大きくなったり小さくなったりすることで誤った良否判定が行われることがある。
【0012】
上述のように、各種の要因によって誤った良否判定が行われる恐れがあり、複数の要因が重なることにより、さらに誤った良否判定が行われる確率が高くなってしまう。
【0013】
さらに従来技術では、実装部品2を搭載するプリント基板1の種類や実装部品2の種類毎に接続端子21の形状や表面状態、パッド4の設計寸法などが異なるため、正常なフィレット31の形状やサイズ、反射の状態が異なると共に、接続端子21の先端が黒領域となる実装部品2と、黒領域とならない実装部品2等の実装部品2の種類毎にばらつきがあり、二値化閾値や判定のための判定基準面積等の基準データを実装部品2の種類毎に微調整しなければならず、基準データの作成に多くの時間が必要になってしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開昭64−13442号公報
【特許文献2】特開平02−278105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができ、良否判定の基準となる基準データの作成を短時間で行うことができるはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、基準となる基準投影データが記憶されている基準投影データ記憶手段と、該基準投影データ記憶手段に記憶されている前記基準投影データと前記検査対象投影データとを比較する投影データ比較手段と、該投影データ比較手段による前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する判定手段とを具備することを特徴とするはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記投影データ作成手段は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項5記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データが記憶されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項6記載の発明の要旨は、前記投影データ比較手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、前記判定手段は、前記投影データ比較手段によって算出された前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項7記載の発明の要旨は、前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、前記投影データ比較手段は、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項8記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項9記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が前記判定手段によって行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項10記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段に記憶される前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項11記載の発明の要旨は、前記基準投影データ記憶手段には、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データが記憶され、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データ記憶手段に記憶されている前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、前記判定手段は、前記投影データ比較手段による前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項12記載の発明の要旨は、前記判定手段は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項13記載の発明の要旨は、前記判定手段は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項14記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する特徴抽出手段と、該特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶する基準値記憶手段とを具備し、前記判定手段は、前記特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量と前記基準値記憶手段に記憶されている前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査装置に存する。
また請求項15記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、前記プリント基板の表面に光を照射し、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、基準となる基準投影データを記憶しておき、該基準投影データと前記検査対象投影データとを比較し、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項16記載の発明の要旨は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項17記載の発明の要旨は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15又は16記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項18記載の発明の要旨は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項19記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶していることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項20記載の発明の要旨は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、該算出した前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項21記載の発明の要旨は、前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項22記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項23記載の発明の要旨は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項24記載の発明の要旨は、前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項25記載の発明の要旨は、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項26記載の発明の要旨は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項27記載の発明の要旨は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項28記載の発明の要旨は、プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、前記プリント基板の表面に光を照射し、前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、該抽出する前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、前記抽出した前記特徴量と前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法に存する。
また請求項29記載の発明の要旨は、請求項15乃至28のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法コンピュータに実行させるためのプログラムに存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、パッドと接続端子とのはんだ付け部の画像データをパッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、作成した検査対象投影データと基準投影データとを比較し、検査対象投影データと基準投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、投影処理によって作成された検査対象投影データによって、正常なはんだ付けが行われてフィレットが形成されている場合とフィレットが形成されていない場合とを明確に区別することができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0017】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、正常なはんだ付けが行われた場合に接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、良品と不良品との形状が大きく異なる箇所で良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0018】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、接続端子の所定位置からパッドの先端までの画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、パッド先端までの範囲において現れうる特徴から良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、接続端子の先端の概略座標を検出してから、はんだ付け部とする画像データを特定するように構成することにより、検査領域の接続端子の長手方向の長さを短くすることができ、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0020】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶しておくことにより、良否判定の基準となる基準データを検査対象投影データと比較が容易に行なえるような同様の投影データとすることができ、良否判定の基準となる基準投影データの作成を短時間で行うことができるという効果を奏する。
【0021】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、検査対象投影データのパッドの長手方向のデータ数は、基準投影データのパッドの長手方向のデータ数よりも多く、基準投影データを検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、接続端子がパッドの長手方向にずれてはんだ付けされた場合にも、最も類似している箇所に基づいて良否の判定を行うことができ、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、複数の基準投影データと検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとをそれぞれ比較し、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良品と不良品との形状が類似している場合にも、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、本発明のはんだ付け外観検査装置およびはんだ付け外観検査方法は、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、抽出する特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、抽出した特徴量と特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、検査対象投影データと基準投影データとの比較を行う比較処理を行わなくて良いため、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図2および図3は、図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図であり、図4は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図であり、図5乃至図7は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図であり、図8は、図1に示す基準投影データ記憶部に記憶される良品基準投影データ例を示す図である。
【0027】
第1の実施の形態は、図1を参照すると、プリント基板1の表面に搭載された実装部品2のはんだ付け状態を検査する装置であり、落射照明10と、カメラ11と、基準投影データ記憶部12と、投影データ作成部13と、演算部14と、判定部15と、判定結果通知部16とからなる。
【0028】
落射照明10は、プリント基板1とカメラ11との間に斜めに配置されたハーフミラーを有し、当該ハーフミラーで反射した光がプリント基板1に垂直に照射され、プリント基板1からの反射光がハーフミラーを通過してカメラ11に到達するように構成された照明装置である。なお、落射照明10の代わりに、カメラ11の近くに配置された照明を用い、当該照明によって略上方からプリント基板1に光を照射させるようにしても良い。さらに、光源としては、LEDやハロゲンランプなど各種考えられ、照明の光源や照明の形状には特に限定されるものではない。
【0029】
落射照明10からプリント基板1に垂直に照射された光は、実装部品2の接続端子21の表面およびプリント基板1に形成されたパッド4上のはんだ3の表面によって反射され、真上に反射された光が撮像手段であるカメラ11によって画像データとして取り込まれる。なお、本発明がはんだ付け状態の検査対象としている実装部品2は、QFPやSOPと呼ばれるリード部品だけでなく、電極等の部品接続部をパッド4にはんだ付けする部品(コンデンサや抵抗等のチップ部品等)も含まれる物であり、接続端子21とは、リード部品のリードやチップ部品の電極等のはんだ付け接続部のことを示す。
【0030】
はんだ3の表面が完全な鏡面である場合に、傾きθで配置されたはんだ3の表面に真上から入射された光は、図2(a)に示すように、正反射光として(90度−2×θ)の角度に反射され、カメラ11によって取り込まれない。従って、傾きのない(入射光に対して垂直な)接続端子21の表面やパッド4上のはんだ3の表面では、真上から垂直に入射された光が真上に反射されてカメラ11に取り込まれるため、傾きのない接続端子21の表面やパッド4上のはんだ3の表面は、カメラ11に取り込まれた画像データでは白領域となり、傾きのある(入射光に対して傾いている)はんだ3の表面では、真上から垂直に入射された光が真上に反射されずにカメラ11に取り込まれないため、傾きのあるはんだ3の表面は、カメラ11に取り込まれた画像データでは黒領域となる。
【0031】
ところが、金属表面であるはんだ3の表面は、完全な鏡面ではなく、図2(b)に示すように、乱反射成分があるため、はんだ3の表面からの反射光は、正反射光の方向の反射光強度が最も強く、正反射光の角度から離れるに従って反射光強度が弱くなる反射光強度分布となる。従って、プリント基板1に垂直に入射された光は、はんだ斜面部(真上からの入射光に対して傾いているはんだ3の表面)において、はんだ斜面部の角度が急になるほど真上に戻る反射光の反射光強度が弱くなり、はんだ斜面部の角度がなだらかになるほど真上に戻る反射光の反射光強度が強くなるという相関を持つことになり、カメラ11によって取り込まれた画像データは、反射光強度が濃淡に反映され、反射光強度が強いほど明るく、反射光強度が弱いほど暗い濃淡画像データとなる。
【0032】
良品、すなわち正常にはんだ付けが行われ、はんだ3によってパッド4と接続端子21との電気的導通が良好になされている場合に形成されるフィレット31は、図3(a)に示すように、接続端子21の先端部Aに近いほど角度が急になり、離れるほど角度かなだらかになる形状となるため、フィレット31に真上から入射された光は、図3(b)に示すように、接続端子21の先端部Aに近いほど真上に戻る反射光の反射光強度が弱くなり、離れるほど真上に戻る反射光の反射光強度が強くなる。
【0033】
従って、カメラ11によって取り込まれた良品の画像データにおける接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図3(c)に示すように、接続端子21の表面部分では、明るく、接続端子21の先端Aで急激に暗くなり、接続端子21の先端Aから離れるほど徐々に明るくなるという傾向を有することになる。なお、接続端子21の長手方向とは、実装部品2からの接続端子21の延出方向を示すものであり、接続端子21の長手方向に直交する方向をパッド4の幅方向と称す。
【0034】
投影データ作成部12は、図4(a)に示すように、カメラ11によって取り込まれた画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:M)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる検査領域を特定し、特定した検査領域内の画像データをパッド4の幅方向に足し込んだ投影データを検査対象投影データとして作成する投影処理を行う。第1の実施の形態において特定される検査領域は、接続端子21の長手方向では、接続端子21の所定位置からパッド4の先端までの範囲が、パッド4の幅方向では、パッド4の幅がそれぞれ特定されるようになっている。なお、接続端子21の長手方向のデータ数Mおよびパッド4の幅方向のデータ数Lは、カメラ11の画素密度に応じた値となるが、投影データ作成部12によって行われる投影処理は、必ずしも幅方向の全てのデータを足し込む必要はなく、例えば幅方向のデータを1個おきに足し込むようにしても良く、幅方向の一部のデータを除いて足し込むようにしても良い。
【0035】
検査領域の特定方法としては、基板の設計データ等から計算により特定する方法や、実装部品2の樹脂部分と接続端子21との境界を検出し、接続端子21の長さのデータから接続端子21の先端Aの概略座標を算出することによって特定する方法等の各種の方法が考えられるが、本発明では、いずれの方法で検査領域を特定するようにしても良く、検査領域の特定方法を限定するものではない。なお、SOP等のように接続端子21のずれが大きく発生する場合には、接続端子21のフィレット部を検査領域に含めるために検査領域を大きく設定する必要があり後述する演算の時間がかかってしまうが、概略の接続端子21の先端Aの座標を求めてから検査領域を発生させることで検査領域のサイズを小さくすることができ、演算時間を短縮することができる。また、検査対象投影データとしては、投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータを用いるようにしても良い。
【0036】
投影データは、図4(b)に示すL個の接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルが足し込まれたものであり、パッド4上の微妙なはんだ3表面の凹凸によって発生する部分的な明るさのばらつきが投影処理によって平均化され、はんだ3表面の凹凸の影響を軽減することができ、さらに、フィレット31が形成されている領域は、パッド幅方向が連続して暗い領域になっていると共に、接続端子21の領域は、パッド幅方向が連続して明るい領域となっているため、フィレット31が形成されている領域と接続端子21の領域とは、投影処理によって強調される。なお、図4(a)は、正常なフィレット31が形成された良品の画像データであり、図4(c)は、正常なフィレット31が形成された良品の投影データである。
【0037】
従って、図5(a)、(b)に示すように、パッド4の幅方向に接続端子21が横ずれしてはんだ付けされた場合にも、正常なフィレット31が形成されていれば、投影処理によって接続端子21のずれ(横ずれ)の影響はキャンセルされ、図5(c)に示すように、接続端子21が横ずれすることなくはんだ付けされた場合と大差のない投影データが作成される。
【0038】
また、図6(a)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成され、図6(b)に示すように、検査領域内のフィレット31によって本来暗い領域となるはずの箇所に明るい領域が存在した場合にも、フィレット31の表面に形成された凸部を通る接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図6(c)に示すように、フィレット31の表面に形成された凸部の影響を大きく受けたものになる。従って、投影処理していない任意の1ラインの濃淡データでは、凸部の影響がそのまま現れてしまい、誤判定してしまう恐れがあるが、投影処理を行うことにより、フィレット31の表面に形成された凸部の影響はキャンセルされ、図6(d)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成されていない場合と大差のない投影データが作成され、正確な判定を行うことができる。
【0039】
また、図7(a)に示すように、はんだ3の表面に凸部が形成され、図7(b)に示すように、検査領域内のはんだ3によって本来明るい領域となるはずの箇所に暗い領域が存在した場合にも、はんだ3の表面に形成された凸部を通る接続端子21の長手方向の濃淡プロファイルは、図7(c)に示すように、はんだ3の表面に形成された凸部の影響を大きく受けたものになる。従って、投影処理していない任意の1ラインの濃淡データでは、凸部の影響がそのまま現れてしまい、誤判定してしまう恐れがあるが、投影処理を行うことにより、フィレット31の表面に形成された凸部の影響はキャンセルされ、図7(d)に示すように、フィレット31の表面に凸部が形成されていない場合と大差のない投影データが作成され、正確な判定を行うことができる。
【0040】
基準投影データ記憶部13は、良品の基準となる基準投影データ(以下、良品基準投影データと称す)が記憶されている。良品基準投影データは、正常なフィレット31が形成された良品に基づいて作成された投影データであり、投影データ作成部12によって事前に作成されたものである。投影データ作成部12は、図8(a)に示すように、正常なフィレット31が形成された良品からの反射光に基づく画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:N)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる領域を基準検査領域として特定し、特定した基準検査領域内の濃淡データ、すなわち図8(b)に示す接続端子21の長手方向のL個のプロファイルをパッド4の幅方向に足し込む投影処理を行い、投影処理によって得られた図8(c)に示す投影データを良品基準投影データとして作成する投影処理を行う。基準検査領域の接続端子21の長手方向のデータ数Nは、検査対象投影データにおける検査領域の接続端子21の長手方向のデータ数Mよりも小さい値であり、接続端子21の長手方向では、接続端子21の所定位置から正常に形成されたフィレット31が含まれるパッド4の所定位置までの範囲が、パッド4の幅方向では、パッド4の幅がそれぞれ基準検査領域として特定されるようになっている。また、検査対象投影データとして投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータが用いられている場合には、良品基準投影データも同様に投影処理後に投影サイズで割って正規化を行ったデータが用いられる。さらに、良品基準投影データは、複数の良品に基づいて作成された投影データから統計処理により作成するようにしてもよく、統計処理としては、複数の投影データの平均値を良品基準投影データとする方法や複数の投影データの平均値および分散値とから一つまたは複数の良品基準投影データを算出する方法が考えられる。
【0041】
演算部14は、検査対象投影データと良品基準投影データとの関係を演算する手段であり、演算処理としては、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関演算(大きいほうが相関が高い)や検査対象投影データと良品基準投影データとの差の合算(小さいほうが相関が高い)が行われる。第1の実施の形態では、演算処理として相関演算が用いられ、検査対象投影データのデータ数Mが良品基準投影データのデータ数Nよりも大きいため、検査対象投影データをずらしながら検査対象投影データと良品基準投影データとのそれぞれの相関値(M−N+1個の相関値)を演算する。なお、相関値の演算方法としては、検査対象投影データと良品基準投影データとの平均値が合うようにオフセットする正規化処理や検査対象投影データと良品基準投影データとの最大値と最小値が合うようにオフセットおよび倍率設定する正規化処理後に行うと好適であり、第1の実施の形態では、次式に示す正規化相関演算を用いて相関値を求めるように構成されている。また、次式において、Nは、良品基準投影データのデータ数、xは、良品基準投影データ、yは、検査対象投影データをそれぞれ示すものである。
【0042】
【数1】
【0043】
判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値の内、最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する。
【0044】
判定結果通知部16は、判定部15によって良品もしくは不良品に判定された判定結果をユーザに通知する手段であり、例えばディスプレイ装置等の表示手段や判定結果の送出手段、不良箇所へのインクマーキング手段、ハードディスク等記憶手段への結果保存手段が用いられる。
【0045】
次に、第1の実施の形態の動作について図9乃至図13を参照して詳細に説明する。
図9は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図10乃至図13は、図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【0046】
落射照明10によってプリント基板1に対して真上から垂直に光を入射し(ステップA1)、プリント基板1の真上に配置されたカメラ11によってプリント基板1からの反射光を画像データとして取り込む(ステップA2)。
【0047】
次に、投影データ作成部12は、カメラ11によって取り込まれた画像データの内、接続端子21の先端Aを含み、(接続端子21の長手方向のデータ数:M)*(パッド4の幅方向のデータ数:L)個の濃淡データからなる領域を検査領域として特定し(ステップA3)、特定した検査領域内の濃淡データをパッド4の幅方向に足し込んだ投影データを検査対象投影データとして作成する(ステップA4)。
【0048】
次に、演算部14は、変数iを1に設定し(ステップA5)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップA6)。
【0049】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップA7)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップA8)、ステップA6に戻る。これにより、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0050】
ステップA7で(N+i−1)=Mである場合には、判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値(M−N+1個の相関値)の内、最大の相関値を選択し(ステップA9)、選択した最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し(ステップA10)、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し(ステップA11)、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する(ステップA12)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0051】
図10(a)に示すように、フィレット31が形成されていない場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図10(b)に示すように、周辺部を除くほぼ全面が明るい領域で構成されたものになる。従って、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図10(c)に示すように、接続端子21の先端A付近で急激に落ち込むことなく常に高いレベルに維持されるプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0052】
図11(a)に示すように、実装部品2の種類やはんだ3の量の設定によって、良品であっても大きなフィレット31が形成されない場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図11(b)に示すように、フィレット31部分の暗い領域の面積が小さいものになる。しかしながら、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図11(c)に示すように、接続端子21の先端A付近で急激に落ち込んで、落ち込んだ後に上昇するプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、類似したものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、大きい値となって正確に良品と判定することができる。
【0053】
図12(a)および(b)に示すように、接続端子21が浮いてパッド4上のはんだ3がかまぼこ状になっている場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図12(c)に示すように、接続端子21の先端Aを境にして明るい領域の面積比率がことなるものになる。なお、図12(b)は、図12(a)に示すZ−Z’断面図である。従って、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図12(d)に示すように、接続端子21の先端A付近で少し落ち込み、その後レベルが変化することがないプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0054】
図13(a)に示すように、接続端子21の先端形状が丸まっている場合には、ステップA2でカメラ11に取り込まれる画像データは、図13(b)に示すように、フィレット31によるものと類似した暗い領域が接続端子21の先端Aの手前に生じたものになる。しかしながら、ステップA4で投影データ作成部12によって作成される検査対象投影データは、図13(c)に示すように、接続端子21の先端Aの手前で徐々に落ち込み、その後接続端子21の先端Aで急激に上昇するプロファイルになり、図8(c)に示す良品基準投影データとは、かけ離れたものになって、ステップA6で演算部14によって演算された相関値は、小さい値となって正確に不良品と判定することができる。
【0055】
なお、第1の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データを記憶させるように構成したが、良品基準投影データの代わりに不良品の基準となる基準投影データ(以下、不良品基準投影データと称す)を基準投影データ記憶部13に記憶させるようにしても良く、この場合には、検査対象投影データと不良品基準投影データとの相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に不良品と判定されるようにすると良い。なお、不良品基準投影データは、正常なフィレット31が形成されていない不良品に基づいて作成された投影データであり、投影データ作成部12によって良品基準投影データと同様の手順で作成される。
【0056】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
第2の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に複数個の良品基準投影データが記憶され、演算部14によって検査対象投影データと複数個の良品基準投影データとのそれぞれの相関値を演算するように構成されている。
【0058】
第2の実施の形態の動作について図14を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。また、基準投影データ記憶部13には、J個の良品基準投影データが記憶されているものとする。
【0059】
演算部14は、変数jを1に設定すると共に(ステップB1)、変数iを1に設定し(ステップB2)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されているj番目の良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップB3)。
【0060】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップB4)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップB5)、ステップB3に戻る。これにより、検査対象投影データとj番目の良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0061】
ステップB4で(N+i−1)=Mである場合には、演算部14は、j=Jか否かを判断し(ステップB6)、j=Jでない場合には、変数jをインクリメントし(ステップB7)、ステップB3に戻る。これにより、検査対象投影データとJ個の良品基準投影データとの相関値がJ*(M−N+1)個得られることになる。
【0062】
ステップB6でj=Jある場合には、判定部15は、演算部14によって求められた複数の相関値{J*(M−N+1)個の相関値}の内、最大の相関値を選択し(ステップB8)、選択した最大の相関値と予め定められた基準値とを比較し(ステップB9)、最大の相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に良品と判定し(ステップB10)、最大の相関値が予め定められた基準値以下である時に不良品と判定する(ステップB11)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0063】
なお、第2の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に複数個の良品基準投影データを記憶させるように構成したが、良品基準投影データの代わりに複数個の不良品基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶させるようにしても良く、この場合には、検査対象投影データと各不良品基準投影データとのそれぞれ相関値の内、最も大きい相関値が予め定められた基準値よりも大きい時に不良品と判定されるようにすると良い。また、基準投影データ記憶部13に記憶された複数個の良品基準投影データもしくは複数個の不良品基準投影データと検査対象投影データとのそれぞれの相関値が算出されるために良否判定を行い、良品(良品基準投影データの場合)もしくは不良品(不良品基準投影データの場合)と判定された場合には、以降の相関値の算出を止めるようにしても良い。
【0064】
(第3の実施の形態)
図15は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第3の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0065】
第3の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データと不良品基準投影データとが記憶され、演算部14によって検査対象投影データと良品基準投影データおよび不良品基準投影データとのそれぞれの相関値を演算し、判定部15によって検査対象投影データが良品基準投影データもしくは不良品基準投影データのいずれに近いかを判断することによって良否を判定するように構成されている。
【0066】
第3の実施の形態の動作について図15を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0067】
演算部14は、変数iを1に設定し(ステップC1)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップC2)。
【0068】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップC3)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップC4)、ステップC2に戻る。これにより、検査対象投影データと良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。なお、Mは、接続端子21の長手方向のデータ数であり、Lは、パッド4の幅方向のデータ数である。
【0069】
ステップC3で(N+i−1)=Mである場合には、再び変数iを1に設定し(ステップC5)、検査対象投影データのi〜(N+i−1)番目と、基準投影データ記憶部13に記憶されている不良品基準投影データとの相関値を演算する(ステップC6)。
【0070】
次に、演算部14は、(N+i−1)=Mか否かを判断し(ステップC7)、(N+i−1)=Mでない場合には、変数iをインクリメントし(ステップC8)、ステップC6に戻る。これにより、検査対象投影データと不良品基準投影データとの相関値がM−N+1個得られることになる。
【0071】
ステップC7で(N+i−1)=Mある場合には、判定部15は、演算部14によって求められた検査対象投影データと良品基準投影データとのM−N+1個の内、最大の相関値を選択すると共に(ステップC9)、演算部14によって求められた検査対象投影データと不良品基準投影データとのM−N+1個の内、最大の相関値を選択する(ステップC10)。さらに、判定部15は、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値よりも大きいか否かを判断し(ステップC11)、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値よりも大きい時に良品と判定し(ステップC12)、検査対象投影データと良品基準投影データとの最大の相関値が検査対象投影データと不良品基準投影データとの最大の相関値以下である時に不良品と判定する(ステップC13)。判定結果は、判定部15から判定結果通知部16に出力され、判定結果通知部16によって通知される。
【0072】
第3の実施の形態では、基準投影データ記憶部13に良品基準投影データと不良品基準投影データとをそれぞれ1個ずつ記憶させるように構成したが、基準投影データ記憶部13に複数の良品基準投影データと複数の不良品基準投影データとを記憶させるようにしても良い。また、基準投影データ記憶部13に記憶されている良品基準投影データを用いて良否の判定を行い、不良と判定されたものに対して不良品基準投影データを用いて再度良否の判定を行うことで最終的に不良の判定を行うようにしても良い。
【0073】
(第4の実施の形態)
図16は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図17は、本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0074】
第4の実施の形態は、図16を参照すると、第1の実施の形態における基準投影データ記憶部13、演算部14および判定部15の代わりに、特徴抽出部17と、基準値記憶部18および特徴判定部19が設けられている。
【0075】
特徴抽出部17は、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する手段であり、例えば、検査対象投影データにおいて、レベルが落ち込む量、落ち込む角度、上昇する角度等を特徴量として抽出する。
【0076】
基準値記憶部18は、特徴抽出部17によって抽出される特徴量毎に対応する特徴基準値が記憶されている。なお、特徴基準値は、正常なフィレット31が形成された良品の投影データに基づいて設定すると良い。
【0077】
特徴判定部19は、特徴抽出部17によって抽出された特徴量と、基準値記憶部18に記憶されている特徴基準値とを比較することによって良否の判定を行う。良否の判定方法としては、各種の方法が考えられるが、例えば、特徴量と特徴基準値との差が所定値以内か否かで良否を判定するようにしても良く、複数の特徴量を抽出する場合には、複数の特徴量と複数の特徴基準値との相関値によって良否を判定するようにしても良い。
【0078】
第4の実施の形態の動作について図17を参照して詳細に説明する。なお、ステップA1〜ステップA4の動作は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0079】
特徴抽出部17は、投影データ作成部12によって作成された検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する(ステップD1)。
【0080】
次に、特徴判定部19は、特徴抽出部17によって抽出された特徴量と、基準値記憶部18に記憶されている特徴基準値とを比較することによって良否の判定を行う(ステップD2)。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パッド4と接続端子21とのはんだ付け部の画像データをパッド4の幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、作成した検査対象投影データに基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、投影処理によって作成された検査対象投影データによって、正常なはんだ付けが行われてフィレット31が形成されている場合とフィレット31が形成されていない場合とを明確に区別することができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いて正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0082】
さらに、本実施の形態によれば、正常なはんだ付けが行われた場合に接続端子21の先端に形成されるフィレット31部分を含む画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、良品と不良品との形状が大きく異なる箇所で良否の判定を行うことができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0083】
さらに、本実施の形態によれば、接続端子21の所定位置からパッド4の先端までの画像データを用いて検査対象投影データを作成するように構成することにより、パッド先端までの範囲において現れうる特徴から良否の判定を行うことができ、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0084】
さらに、本実施の形態によれば、接続端子21の先端の概略座標を検出してから、はんだ付け部とする画像データを特定するように構成することにより、検査領域の接続端子21の長手方向の長さを短くすることができ、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、基準投影データと検査対象投影データとを比較し、基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の基準となる基準データを検査対象投影データと比較が容易に行なえるような同様の投影データとすることができ、良否判定の基準となる基準投影データの作成を短時間で行うことができるという効果を奏する。
【0086】
さらに、本実施の形態によれば、検査対象投影データのパッドの長手方向のデータ数は、基準投影データのパッド4の長手方向のデータ数よりも多く、基準投影データを検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、接続端子21がパッド4の長手方向にずれてはんだ付けされた場合にも、最も類似している箇所に基づいて良否の判定を行うことができ、プリント基板1の反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0087】
さらに、本実施の形態によれば、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、複数の基準投影データと検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、基準投影データと検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを基準投影データ記憶部13に記憶しておき、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとをそれぞれ比較し、良品基準投影データおよび不良品基準投影データと検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、良品と不良品との形状が類似している場合にも、良否判定の精度を高めることが可能になり、プリント基板1からの反射光を取り込んだ画像データを用いてさらに正確な良否判定を行うことができるという効果を奏する。
【0089】
さらに、本実施の形態によれば、検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、抽出する特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、抽出した特徴量と特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定するように構成することにより、検査対象投影データと基準投影データとの比較を行う比較処理を行わなくて良いため、検査スピードを向上させることができるという効果を奏する。
【0090】
なお、本実施の形態では、基準投影データ記憶部13に正常に形成されたフィレット31部分が含まれる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させるようにしたが、フィレット31部分以外の、接続端子21の部分やパッド4の部分等の良品と不良品との投影データに相違が表れる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるようにしても良い。投影処理は、明るさを足しこむので、暗い領域は投影データの値にあまり影響せず、接続端子21の部分やパッド4の部分等の明るい領域の幅が投影データのレベルと相関をもつので、良品の接続端子21の部分における投影データや良品のパッド4の部分における投影データは安定している。従って、接続端子21の部分やパッド4の部分等の良品と不良品との投影データに相違が表れる場合には、接続端子21の部分やパッド4の部分が含まれる範囲を基準検査領域とする良品基準投影データを記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めることで、検査精度が向上する。
【0091】
すなわち、実装部品2の種類やリフロー条件等によっては、正常にフィレット31が形成された場合に、パッド4の部分のはんだ3が広がり、明るい部分の幅が広くなるのに対し、接続端子21が浮いてしまった場合には、パッド4の部分のはんだ3がかまぼこ状になり、明るい部分の幅が狭くなる。このようなケースの場合には、不良品のパッド4の部分における投影データの値が全体的に良品に比べ小さくなるという特徴を有するため、パッド4の部分が含まれる範囲の投影データを良品基準投影データとして記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるように構成すると、より良否判定の精度を向上させることができる。
【0092】
また、実装部品2の種類やリフロー条件等によっては、接続端子21が浮いてしまった場合に、パッド4の先端部分に良品と不良品の相違が顕著に現れることがある。このようなケースの場合には、パッド4の先端部分が含まれる範囲を良品基準投影データとして記憶させて検査対象投影データとの相関値を求めるように構成すると、より良否判定の精度を向上させることができる。ただし、接続端子21の先端部からパッド4の先端部までを良品基準投影データの範囲とすると、特にSOP等の搭載ずれのために、接続端子21の先端Aからパッド4の先端までの長さにばらつきが発生して、良品の検査対象投影データでも良品基準投影データと類似しなくなって疑似不良が発生する。そこで、パッド4の先端部分が含まれる範囲を良品基準投影データとして記憶させる場合には、正常に形成されたフィレット31部分が含まれる範囲と、パッド4の先端部分が含まれる範囲とをそれぞれ独立した良品基準投影データとすることで搭載ずれの影響をキャンセルすることができる。
【0093】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図である。
【図3】図1に示すカメラによって取り込まれる反射光の特徴を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図5】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図6】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図7】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データの特徴を説明するための説明図である。
【図8】図1に示す基準投影データ記憶部に記憶される良品基準投影データ例を示す図である。
【図9】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図11】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図12】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図13】図1に示す投影データ作成部によって作成される検査対象投影データ例を示す図である。
【図14】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第3の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明に係るはんだ付け外観検査装置の第4の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】従来のはんだ付け外観検査装置の判定原理を説明するための側面図である。
【図19】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準を説明するための平面図である。
【図20】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
【図21】従来のはんだ付け外観検査装置の判定基準のバラツキを説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 プリント基板
2 実装部品
3 はんだ
4 パッド
10 落射照明
11 カメラ
12 投影データ作成部
13 基準投影データ記憶部
14 演算部
15 判定部
16 判定結果通知部
17 特徴抽出部
18 基準値記憶部
19 特徴判定部
21 接続端子
31 フィレット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、
前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、
基準となる基準投影データが記憶されている基準投影データ記憶手段と、
該基準投影データ記憶手段に記憶されている前記基準投影データと前記検査対象投影データとを比較する投影データ比較手段と、
該投影データ比較手段による前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する判定手段とを具備することを特徴とするはんだ付け外観検査装置。
【請求項2】
前記投影データ作成手段は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項3】
前記投影データ作成手段は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項4】
前記投影データ作成手段は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項5】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データが記憶されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項6】
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、
前記判定手段は、前記投影データ比較手段によって算出された前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項7】
前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、
前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項8】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、
前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、
前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項9】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、
前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が前記判定手段によって行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項10】
前記基準投影データ記憶手段に記憶される前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項11】
前記基準投影データ記憶手段には、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データが記憶され、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データ記憶手段に記憶されている前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、
前記判定手段は、前記投影データ比較手段による前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項14】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、
前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、
前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する特徴抽出手段と、
該特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶する基準値記憶手段とを具備し、
前記判定手段は、前記特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量と前記基準値記憶手段に記憶されている前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査装置。
【請求項15】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、
前記プリント基板の表面に光を照射し、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、
基準となる基準投影データを記憶しておき、
該基準投影データと前記検査対象投影データとを比較し、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法。
【請求項16】
前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項17】
前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15又は16記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項18】
前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項19】
良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶していることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項20】
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、
該算出した前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項21】
前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、
前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項22】
良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、
複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項23】
良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、
複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項24】
前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項25】
良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、
前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、
前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項26】
前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項27】
前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項28】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、
前記プリント基板の表面に光を照射し、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、
前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、
該抽出する前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、
前記抽出した前記特徴量と前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法。
【請求項29】
請求項15乃至28のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、
前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、
基準となる基準投影データが記憶されている基準投影データ記憶手段と、
該基準投影データ記憶手段に記憶されている前記基準投影データと前記検査対象投影データとを比較する投影データ比較手段と、
該投影データ比較手段による前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定する判定手段とを具備することを特徴とするはんだ付け外観検査装置。
【請求項2】
前記投影データ作成手段は、前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項3】
前記投影データ作成手段は、前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項4】
前記投影データ作成手段は、前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項5】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる基準投影データが記憶されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項6】
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、
前記判定手段は、前記投影データ比較手段によって算出された前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項7】
前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、
前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項8】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、
前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、
前記判定手段は、前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項9】
前記基準投影データ記憶手段には、良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データが記憶されており、
前記投影データ比較手段は、複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が前記判定手段によって行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項10】
前記基準投影データ記憶手段に記憶される前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項11】
前記基準投影データ記憶手段には、良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データが記憶され、
前記投影データ比較手段は、前記基準投影データ記憶手段に記憶されている前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、
前記判定手段は、前記投影データ比較手段による前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項11記載のはんだ付け外観検査装置。
【請求項14】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査装置であって、
前記プリント基板の表面に光を照射する照明手段と、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込む撮像手段と、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成する投影データ作成手段と、
前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出する特徴抽出手段と、
該特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶する基準値記憶手段とを具備し、
前記判定手段は、前記特徴抽出手段によって抽出される前記特徴量と前記基準値記憶手段に記憶されている前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査装置。
【請求項15】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、
前記プリント基板の表面に光を照射し、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、
基準となる基準投影データを記憶しておき、
該基準投影データと前記検査対象投影データとを比較し、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法。
【請求項16】
前記はんだ付け部に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項17】
前記接続端子の所定位置から前記パッドの先端までの前記画像データを用いて前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15又は16記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項18】
前記接続端子の先端の概略座標から検査対象投影データを作成するための前記画像データを特定し、前記検査対象投影データを作成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項19】
良品もしくは不良品の基準となる基準投影データを記憶していることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項20】
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関値を算出し、
該算出した前記相関値に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項21】
前記検査対象投影データの前記パッドの長手方向のデータ数は、前記基準投影データの前記パッドの長手方向のデータ数よりも多く、
前記基準投影データを前記検査対象投影データ内でずらしながら比較をそれぞれ行い、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項22】
良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、
複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較をそれぞれ行い、
前記基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項23】
良品もしくは不良品の基準となる複数の基準投影データを記憶しておき、
複数の前記基準投影データと前記検査対象投影データとの比較を順次行い、当該比較結果に基づく良否の判定が行われた時点で以降の比較動作を停止させることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項24】
前記基準投影データは、正常なはんだ付けが行われた良品における前記接続端子の先端に形成されるフィレット部分を含む前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した良品基準投影データであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項25】
良品の基準となる良品基準投影データおよび不良品の基準となる不良品基準投影データを記憶しておき、
前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとをそれぞれ比較し、
前記良品基準投影データおよび前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項26】
前記良品基準投影データもしくは前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの相関が最も高い比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項27】
前記良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定した後、更に前記不良品基準投影データと前記検査対象投影データとの比較結果に基づいてはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とする請求項25記載のはんだ付け外観検査方法。
【請求項28】
プリント基板の表面に形成されたパッドと実装部品の接続端子とのはんだ付け状態を検査するはんだ付け外観検査方法であって、
前記プリント基板の表面に光を照射し、
前記プリント基板からの反射光を画像データとして取り込み、
前記パッドと前記接続端子とのはんだ付け部の前記画像データを前記パッドの幅方向に投影処理した検査対象投影データを作成し、
前記検査対象投影データを解析して特徴量を抽出し、
該抽出する前記特徴量に対応する特徴基準値を記憶しておき、
前記抽出した前記特徴量と前記特徴基準値とを比較することによってはんだ付け状態の良否を判定することを特徴とするはんだ付け外観検査方法。
【請求項29】
請求項15乃至28のいずれかに記載のはんだ付け外観検査方法コンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−64689(P2011−64689A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233779(P2010−233779)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【分割の表示】特願2004−288059(P2004−288059)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【分割の表示】特願2004−288059(P2004−288059)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]