説明

アレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】横電界方式の液晶表示装置において、画素の開口率を向上させたアレイ基板および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】共通電極、画素電極、薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色画素、および保護層より構成される横電界方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板において、前記着色画素上に共通電極が配置され、さらに前記共通電極上に絶縁層を介して画素電極を備えたことを特徴とするアレイ基板を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いられるアレイ基板に関するものであり、特にアレイ基板側にカラーフィルタを備えた横電界方式の液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置はコンピュータ端末表示装置、テレビ画像表示装置を中心に急速に普及が進んでいる。このカラー液晶表示装置は、図1に示すように、アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層と、から構成される液晶表示素子を備えており、アレイ基板または対向基板には、カラー化のために通常、赤色、緑色、青色の3色の着色層からなるカラーフィルタが設けられている。
【0003】
近年、この液晶表示装置には、高コントラスト化、高視野角化、低消費電力等の様々な要求があり、液晶表示装置のカラー表示化には必要不可欠なカラーフィルタにおいても同様の要求を達成する必要がある。通常、カラーフィルタは対向基板に設けられていたが、最近ではこの着色画素や樹脂により形成されるブラックマトリックス(以下「BM」と称する)をアレイ基板側に形成する試みもなされている。(例えば、特許文献1〜5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2758410号
【特許文献2】特許3210639号
【特許文献3】特開2001−154013号公報
【特許文献4】特開2006−259725号公報
【特許文献5】特開2005−018093号公報
【0005】
これまでアレイ基板と対向基板との貼り合せ時の位置ずれによる白抜け等の表示不良を防ぐために、カラーフィルタに設けられるBMを、アレイ基板側の配線よりも広く設けなければならず、画素の開口率を向上させることができないという問題があった。一方、カラーフィルタをアレイ基板側に形成することにより、このような問題を解決することができる。
【0006】
図1は、カラーフィルタを構成する着色層をアレイ基板側に形成した構造の一例であり、一画素内での液晶分子の配向方向が複数の方向になるように制御した視野角の広い、配向分割垂直配向方式であるMVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の一例の断面を模式的に示した説明図である。
【0007】
図1に示すように、このMVA方式の液晶表示装置は、液晶層(4)を介して、ガラス基板(11)上にスリット(14)を有する共通電極(13)が設けられた対向基板(1)と、ガラス基板(21)上に薄膜トランジスタ層(3)、着色層(23R,G,B)、画素電極(24)、突起(26)が設けられたアレイ基板(2)とを配置した構造である。これらの突起(26)及びスリット(14)は、一画素内で互い違いの位置に設けられ、従来のラビング処理に代わり液晶分子の配向を制御する機能を有している。画素電極(24)は、ITO(酸化インジウム・スズ)、酸化亜鉛、酸化スズなどからなる透明導電膜であり、フォトエッチングによって1画素毎に区切られて、着色層(23R,G,B)上に設けられている。該画素電極は、着色層にフォトリソグラフィ法を用いて形成されたコンタクトホールにより薄膜トランジスタ層と接続されており、電圧を印加することにより一画素毎に液晶を駆動させることが可能となっている。アレイ基板の周辺には駆動回路としてゲート線ドライバ及びデータ線ドライバ、及びこれらを制御するコントローラを有している。
【0008】
現在、液晶表示装置において、MVA方式のような垂直配向方式の他にIPS(In Plane Switching)方式やFFS(Fringe Field Switching)方式と呼ばれる横電界型の液晶駆動方式が普及している。(例えば、特許文献5)FFS方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板(2)の構造の一例を図2に示す。ガラス基板(21)上透明導電膜により形成される共通電極(25)とモリブデンやタングステンもしくはその合金等の金属からなるゲート電極(31)が形成されており、スイッチング性能を向上させるために酸化ケイ素・窒化ケイ素等からなる絶縁層(32)を介してアモルファス・シリコンなどの半導体層(34)、モリブデンやアルミニウムからなるデータ線およびソース電極(35)、ドレイン電極(36)が設けられている。これらの層上には絶縁層(33)を形成し、絶縁層上に櫛歯状の画素電極(24)が設けられた構造となっている。前記アレイ基板(2)と液晶層(4)を介して着色層(18R,G)及びブラックマトリクス(16)が形成された対向基板(1)とで構成されている。FFS方式の液晶駆動の原理としては、図3に示すように、共通電極(25)と櫛歯状の画素電極(24)との間に斜めに生じる、所謂フリンジ電界を用いて、ラビング処理により配向膜上で配向制御された正の誘電異方性を持つ液晶分子を制御することにより、液晶駆動を実現している。
【0009】
図4は、図2で示したFFS方式のアレイ基板の表示領域の平面図である。データ線及びゲート線により区切られる領域をサブ画素となっている。櫛歯状の画素電極(24)は、図4に示すように視野角依存性を低減するために角度をつけて形成されており、コンタクトホール(29)を通じてドレイン電極(36)と接続されている。図視しない共通電極(25)は、共通配線(25)及びコンタクトホール(29)を介して画素電極(24)と同一層に形成されたブリッジにより全てのサブ画素を接続している。
【0010】
しかし、現状のアレイ基板の構造ではゲート線と共通電極が同一層内にあるため、画素の開口率を上げる目的で共通電極を大きくすると、共通電極とゲート線との間でクロストークやRC遅延が発生する恐れがあり、共通電極とゲート線との間で5〜7μm程度の距離が必要であり開口率を低下させていた。また、MVA方式の液晶表示装置と比べて、BM線幅が太くなり、開口率を上げられない問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、横電界方式の液晶表示装置において、共通電極の面積をふやし、画素の開口率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る第1の発明は、共通電極、画素電極、薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色画素、および保護層より構成される横電界方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板において、前記着色画素上に共通電極が配置され、さらに前記共通電極上に保護層を介して画素電極を備えたことを特徴とするアレイ基板である。
【0013】
請求項2に係る第2の発明は、共通電極、画素電極、薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた遮光層および複数色の着色画素と、保護層より構成される横電界方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板において、該着色画素上に共通電極が配置され、さらに該共通電極上に保護層を介して画素電極を備えたことを特徴とするアレイ基板である。
【0014】
請求項3に係る第3の発明は、請求項1ならびに請求項2に記載のアレイ基板を用いて形成することを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、横電界方式で駆動を行う液晶表示装置において、高いパネル開口率を有する液晶表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】アレイ基板側に着色画素を具備する液晶表示装置の一例における断面の模式図
【図2】横電界方式の液晶表示装置の一例における断面の模式図
【図3】横電界方式における印加電圧の模式図
【図4】横電界方式におけるアレイ基板の一例における平面の模式図
【図5】アレイ基板側の着色層上に共通電極形成した横電界方式における液晶表示装置の一例における断面の模式図
【図6】液晶表示装置に用いられるアレイ基板の一例における平面の模式図
【図7】アレイ基板側の遮光層及び着色層上に共通電極を形成した横電界方式における液晶表示装置の一例における断面の模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明による液晶表示装置を、その実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のアレイ基板が用いられる液晶表示装置は少なくとも画素電極、共通電極、および薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色画素を備えたアレイ基板と、前記アレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、前記一対の基板間に充填される正の誘電異方性を持つ液晶材料を備えており、当該複数色の画素は少なくとも着色層から構成されている。複数色には赤、緑、青(RGB)の組み合わせやそれらにイエロー、マゼンダ、シアンを追加した組み合わせが挙げられるが、本発明に用いられるカラーフィルタはRGB系に対して特に好ましく適用できる。
【0018】
本発明の方法に用いられる透明基板は可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。
【0019】
本発明のアレイ基板に用いられる薄膜トランジスタ層は、ゲート電極31、ゲート絶縁膜32、絶縁膜33、半導体層34、ソース電極35、ドレイン電極36からなる。ゲート電極31は、ソース−ドレイン間の電流を制御するために形成され、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のような金属やクロム−モリブデン(Cr-Mo)のような合金が用いられる。ゲート絶縁膜31は、ゲート電極と共に半導体層に電界を与えるために形成し、窒化ケイ素(SiN)や酸化ケイ素(SiO)等が用いられる。絶縁層33は、後工程や湿気によるトランジスタの劣化を防ぐために形成され、ゲート絶縁膜同様に窒化ケイ素や酸化ケイ素等が用いられる。半導体層34は、非晶質シリコンで、500〜2000Å程度の厚さで形成される。ソース電極及びドレイン電極との接触部には、オーミックコンタクト用にリン(P)をドープしたN(+)型非晶質シリコンが設けられている。ソース電極及びドレイン電極について、極性が駆動中に反転するため、ソース電極及びドレイン電極も駆動中に入れ替わるが、便宜上一方をソース電極、他方をドレイン電極として固定して表現する。ソース電極及びドレイン電極はチタン−アルミニウム(Ti−Al)合金やクロム−モリブデン(Cr-Mo)により形成される。
【0020】
本発明に用いられる着色層および遮光層のアレイ基板上への形成方法は、公知のインク
ジェット法、印刷法、フォトリソグラフィ法、エッチング法など何れの方法でも可能であるが、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すればフォトリソグラフィ法が好ましい。
【0021】
また前記着色層および前記遮光層は、例えば着色剤となる顔料、透明な樹脂、光開始剤、重合性モノマー等をミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な分散方法にて溶剤中に分散することで調整される着色樹脂組成物からなる。
【0022】
前記着色層を構成する該着色樹脂組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。
【0023】
赤色画素を形成するための赤色着色樹脂組成物に用いることのできる顔料には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。また前記赤色着色樹脂組成物には、赤色の微調整として黄色顔料、橙色顔料を併用することもできる。
【0024】
前記黄色顔料としてはC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0025】
前記橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0026】
緑色画素を形成するための緑色着色樹脂組成物に用いることのできる顔料には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができる。また緑色着色樹脂組成物には緑色の微調整として赤色着色樹脂組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0027】
青色画素を形成するための青色着色樹脂組成物に用いることのできる顔料には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。 また、青色着色樹脂組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I. Pigment Violet 23を併用することができる。
【0028】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無
機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0029】
遮光層、即ち樹脂BMを形成する遮光性着色樹脂組成物に用いられる遮光剤には、カーボンブラックや酸化チタンの他に、赤、青、緑、黄、紫色等の着色顔料の混合物を用いることが出来る。遮光剤として用いられるカーボンブラックとしては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlackS170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V等が挙げられる。
【0030】
前記樹脂BMに用いる遮光剤としては、比誘電率と透過率の関係から、カーボンブラックおよび着色顔料の混合品が好ましい。該樹脂BMの比誘電率が高いと、配線間および配線-画素電極間の信号伝達に影響を及ぼし、RC遅延やクロストークといった表示不良を引き起こす可能性がある。該樹脂BMの比誘電率としては、10以下が好ましく、さらに好ましくは6以下である。着色組成物中への遮光剤の添加量としては、35重量%乃至50重量%が好ましい。遮光剤の添加量が35重量%以下であると十分な遮光性が得られず、遮光剤の添加量が50重量%以上であるとBMとして、十分なパターニング性が得られない。遮光性はOD(Optical Density)値とよばれる透過率の逆数の常用対数によって表される。十分な遮光性を保つためには、該樹脂BM全体として、3.5乃至4.5というOD値が必要とされる。
【0031】
本発明の前記着色樹脂組成物を構成する透明樹脂には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。また該透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である重合性モノマーもしくはオリゴマーを単独または2種以上混合し、放射線照射により硬化してなる透明樹脂を用いることができる。
【0032】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ア
ルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0033】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0034】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0035】
前記着色樹脂組成物を構成する重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0036】
前記着色樹脂組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。 光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0037】
さらに、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。また、重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。
【0038】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を
混合して用いることができる。
【0039】
さらに、前記着色樹脂組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0040】
前記着色樹脂組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で含有させることができる。
【0041】
また、前記着色樹脂組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色樹脂組成物中の顔料100重量部に対して、0.01〜100重量部の量で含有させることができる。
【0042】
前記着色樹脂組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノ
ール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0043】
アレイ基板上に着色層、遮光層を形成する方法として、前記着色樹脂組成物をスピンコート、ディップコート、ダイコートなどの塗布手段にて塗布し、次にプリベークを行う。塗布する手段は、基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。前記プリベークは50〜120℃で1〜20分ほどすることが好ましい。
【0044】
次ぎに着色層または遮光層に求める形状のパターンマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0045】
続いてアルカリ性水溶液を用いて現像を行い、その後、水洗、乾燥して任意の一色のパターンを得る。アルカリ性水溶液の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、もしくは水酸化カリウム水溶液が好んで用いられるが、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものを用いても良い。
【0046】
以上の一連の工程を、着色樹脂組成物およびパターンを替え、必要な数だけ繰り返すことで必要な色数が組み合わされた着色パターンすなわち複数色の画素を得ることができる。
【0047】
アレイ基板側に形成する着色画素の膜厚としては、一般的に2.0乃至3.5μm程度である。これより膜厚が薄くなると着色画素上に形成する画素電極と配線の距離が近くなることによるRC遅延やクロストーク等の表示不良が懸念されるために、画素電極の十分な開口が得られなくなる。一方、これより膜厚が厚いと、着色画素上に形成するコンタクトホールの開口が困難となる。
【0048】
アレイ基板側に形成する樹脂BMの膜厚としては、1.0乃至3.0μm程度である。これより膜厚が薄くなると、十分な遮光性が得られない、もしくは、遮光剤の濃度が高くなるために比誘電率が高くなってしまう。また、これより膜厚が厚くなると、直線性が悪くなる等の十分なパターニング性が得られない結果となる。樹脂BMの形成位置としては、図6に示すように着色画素の形成前、もしくは着色画素の形成後の何れでも良い。
【0049】
図5,7に示すようにアレイ基板側に形成する保護層(2A)は、着色層からの液晶中への不純物溶出防止の他、アレイ基板表面の平坦化による配向不良防止のために形成される。保護層(2A)に用いられる材料としては、酸化ケイ素・窒化ケイ素等の無機材料もしくは前記着色樹脂組成物に用いる材料と同様の有機材料を用いることが出来る。着色画素上に保護層を形成する方法としては、無機材料を用いる場合においてはプラズマCVD法などの蒸着法を用いて形成し、その膜厚は0.02乃至0.05μm程度である。有機材料を用いる場合においてはフォトリソグラフィ法を用いて形成し、その膜厚は0.5乃至2.0μm程度である。
【0050】
アレイ基板(2)および対向基板(1)に塗布される配向膜(15、27)は、液晶を所定の方向ダイレクターに配向させる性質をもつので、横電界液晶駆動モードに合せて配向膜を選定する必要がある。配向膜の材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの感光性または非感光性のものが好ましく用いられるが、配向膜の耐熱性・信頼性の点からポリイミド系樹脂が好ましい。また、市販されている配向膜を用いてもよい。例えば、日産化学社製のサンエバー4742、サンエバー5410、サンエバー6414、ジェイエスアール社製のAL1051などを単独で用いても良いし、これらの内の2種以上を混合して用いても良いし、また適宜他のポリマー成分を添加しても良いし、これらの製品に含まれる樹脂成分を適宜選択して用いてもよい。
【0051】
前記配向膜は、ポリイミド系樹脂などをフレキソ印刷、スピンコート、ロールコート、スリットダイコート、シルク印刷、インクジェット印刷等により液晶表示装置用基板上に塗布し、必要に応じて乾燥、焼成や光照射して形成される。
【0052】
前記配向膜の溶液に使用される溶剤としては、水、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類、ブチルセロソルブなどを使用することができる。
【0053】
液晶界面での液晶の方向(ダイレクター)を一様に揃える処理は、液晶のダイレクターを液晶表示装置用基板の水平ないし水平近くまで配向させるFFSやIPS、TN等といった液晶表示モードで用いられる配向処理である。レーヨンやコットンといった布で配向膜を擦るラビング処理、あるいは光配向が用いられる。
【0054】
本発明に用いることの可能な液晶材料としては、正の誘電異方性を持つネマティック液晶がある。本発明の液晶表示装置の構成を実施するために、市販されている液晶を用いてもよい。例えば、メルク社製MLC−2041、MLC−6601、MLC−6614、MLC−6686、MLC−6692などを使用することが出来る。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
【0056】
[樹脂溶液(A)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800重量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0057】
スチレン 60重量部
メタクリル酸 60重量部
メチルメタクリレート 65重量部
ブチルメタクリレート 65重量部
熱重合開始剤 10重量部
連鎖移動剤 3重量部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0重量部をシクロヘキサノン50重量部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。該溶液に固形分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(A)とした。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約10000であった。
【0058】
[樹脂溶液(B)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800重量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0059】
スチレン 55重量部
メタクリル酸 65重量部
メチルメタクリレート 65重量部
ベンジルメタクリレート 60重量部
熱重合開始剤 15重量部
連鎖移動剤 3重量部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0重量部をシクロヘキサノン50重量部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。該溶液に固形分が30重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(B)とした。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20000であった。
【0060】
[着色樹脂組成物の調製]
下記の要領で赤、青、緑の着色樹脂組成物および樹脂BMの調製を行った。
<赤色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
【0061】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254
(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
18重量部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177
(チバスペシャルティケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」
2重量部
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 2重量部
樹脂溶液(A) 108重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色着色組成物を得た。
【0062】
上記分散体 130重量部
樹脂溶液(A) 100重量部
多官能重合性モノマー 25重量部
(東亜合成製「アロニックス M-520」)
光開始剤(チバスペチャルティケミカルズ社製「イルガキュアー369」)
15重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 5重量部
シクロヘキサノン 325重量部
調整した着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の21.1重量%であった。
【0063】
<緑色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
【0064】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 20重量部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 8重量部
(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」)
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk-103」) 2重量部
樹脂溶液(A) 102重量部
その後、上記分散体を132重量部用い、さらに下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して緑色着色樹脂組成物を得た。
【0065】
樹脂溶液(A) 116重量部
多官能重合性モノマー 32重量部
(大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#2500」)
光開始剤(チバスペチャルティケミカルズ社製「イルガキュアーOXE−02」)
7重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 2重量部
シクロヘキサノン 313重量部
調整した着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の24.2重量%であった。
【0066】
<青色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
【0067】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 20重量部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 2重量部
(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 5重量部
樹脂溶液(A) 125重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して青色着色樹脂組成物を得た。
【0068】
上記分散体 152重量部
樹脂溶液(A) 100重量部
多官能重合性モノマー 31重量部
(大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#2500」)
光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ)社製「イルガキュアー907」)
14重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 3重量部
シクロヘキサノン 300重量部
調整した着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の23.8重量%であった。
【0069】
<遮光性樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に拡販混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して遮光剤の分散体を得た。
【0070】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 14重量部
(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 14重量部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
2重量部
樹脂溶液(A) 120重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して遮光性樹脂組成物を得た。
【0071】
上記分散体 150重量部
樹脂溶液(A) 100重量部
カーボンブラック分散剤(御国色素社製 TPBK−2C)
37重量部
多官能重合性モノマー 30重量部
(東亜合成製「アロニックス M-400」)
光開始剤(チバスペチャルティケミカルズ社製「イルガキュアー369」)
14重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 3重量部
シクロヘキサノン 100重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200重量部
<透明樹脂組成物1>
下記組成の混合物を均一に拡販混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して透明分散体を得た。
【0072】
樹脂溶液(A) 150重量部
多官能重合性モノマー 20重量部
(東亜合成製「アロニックス M-400」)
光開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
16重量部
シクロヘキサノン 200重量部
<透明樹脂組成物2>
下記組成の混合物を均一に拡販混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して透明分散体を得た。
【0073】
樹脂溶液(B) 100重量部
多官能重合性モノマー 20重量部
EO変性ビスフェノールAメタクリレート(BPE−500:新中村化学社製)
光開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
16重量部
シクロヘキサノン 200重量部
【実施例1】
【0074】
《アレイ基板の作製》
〔薄膜トランジスタ層の形成〕
スパッタリング法によりMo薄膜を形成した無アルカリガラス基板OA−10(日本電気硝子社製)上に、ポジ型レジストNPR−9000(ナガセケムテックス社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光後、2.4重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行った。前期基板ウェットエッチングによりMo薄膜をパターニング後にポジ型レジストをアンラストTN−1(三若純薬社製)にて除去するフォトリソグラフィプロセスにより、ゲート線(38)およびゲート電極(31)を形成した。前記基板上に、プラズマCVD法を用いて窒化珪素によるゲート絶縁層(32)、半導体層(34)を形成した。前記基板にフォトリソグラフィプロセスを用いて、Ti/Al合金にてデータ線(39)、ソース電極(35)およびドレイン電極(36)を形成した。前記基板上に窒化珪素による絶縁層(33B)を形成した。
【0075】
〔着色層の形成〕
前記薄膜トランジスタ層上に、前記<赤色着色樹脂組成物>をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行い、ゲート線とデータ線とで囲まれる画素上にストライプ状の着色層である赤色画素をアレイ基板上に形成した。この時、コンタクトホールを形成するためにドレイン電極上に25μmのスルーホールを形成した。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
【0076】
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤 8.0重量%
(花王(株)製「ペリレックスNBL」)
水 90.0重量%
次に、前記<緑色着色樹脂組成物>も同様にスピンコートにて仕上り膜厚が3μmとなるように塗布、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0077】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、前記<青色着色樹脂組成物>についても仕上り膜厚3μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0078】
〔共通電極の形成〕
前記赤色、緑色、青色の各着色画素上に、スパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で透明導電膜を形成した。次に該透明導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって着色画素上にゲート線(38)とデータ線(37)に囲まれる領域よりも2〜3μm狭いベタ状の共通電極(25)を形成した。この時、共通電極(25)とゲート線(38)の距離は2μm、共通電極(25)とデータ線(37)との距離は3μmであった。
【0079】
〔保護層の形成〕
共通電極を設けた該着色画素上に、プラズマCVD法により窒化ケイ素を0.05μmの膜厚で形成した後、ドライエッチによって、該着色画素に形成したスルーホール部上の窒化ケイ素の除去を行い、窒化ケイ素の保護層とした。
【0080】
〔画素電極の形成〕
次に、前記着色画素上にスパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で透明導電膜を形成した。該透明導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて、透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって保護層上にコンタクトホール(29)を通じてドレイン電極と接続する櫛歯状の画素電極を形成した。これで、図5および図6に示すような薄膜トランジスタ層(3)上に赤、緑、青の着色画素及び着色画素上に形成された共通電極(25)、保護層(2A)および画素電極を有するアレイ基板(2)を形成した。
【0081】
《対向基板の形成》
前記アレイ基板と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10上に、遮光層として前記<遮光性樹脂組成物>をスピンコートにて仕上り膜厚が1.6μmとなるように塗布を行った。この時、遮光層のOD値は3.6であった。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。この時、x軸方向に伸びる遮光層の線幅は90μm、y軸方向に伸びる遮光層の線幅は24μmで形成した。平坦化層として前記<透明樹脂組成物1>をスピンコートにて仕上り膜厚が2.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃
60秒間乾燥後、紫外線露光機にて全面露光を行い、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。
【0082】
《液晶表示装置の作製》
対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜サンエバー5410(日産化学社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃ 60秒乾燥後に、オーブンで230℃ 60分熱硬化を行った。前記一対の基板にラビング処理を行って洗浄を行った後、シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積水化学社製)を表示部外周に塗布、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC2041(メルク社製)を滴下後、真空滴下法にて液晶パネルを作製した。前記液晶パネルに偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することにより横電界方式液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置は、共通電極がゲート線と異なる層に十分な距離をもって設けられるため、共通電極とゲート線との平面距離を2μmまで近づけることが可能となり、1画素開口が158μm×430μmの横電界方式液晶表示装置が得られた。
【実施例2】
【0083】
《アレイ基板の作製》
保護膜として、前記<透明樹脂組成物2>を用いた以外は実施例1と同様に、アレイ基板を作製した。保護膜の形成方法として、スピンコート法で該透明樹脂組成物2を仕上り膜厚が0.8μmとなるように塗布し、ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してコンタクトホール部分の保護膜が除去できるようにパターン露光を行い、アルカリ現像液において未露光部分の除去後、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。
【0084】
《対向基板の作製》
前記アレイ基板と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10上に、遮光層として前記遮光性樹脂組成物をスピンコートにて仕上り膜厚が1.6μmとなるように塗布を行った。この時、遮光層のOD値は3.6であった。ホットプレートにて90℃
60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。この時、x軸方向に伸びる遮光層の線幅は90μm、y軸方向に伸びる遮光層の線幅は24μmで形成した。平坦化層として前記透明樹脂組成物1をスピンコートにて仕上り膜厚が2.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にて全面露光を行い、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。
【0085】
《液晶表示装置の作製》
対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜サンエバー5410(日産化学社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃ 60秒乾燥後に、オーブンで230℃ 60分熱硬化を行った。前記一対の基板にラビング処理を行って洗浄を行った後、シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積
水化学社製)を表示部外周に塗布、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC2041(メルク社製)を滴下後、真空滴下法にて液晶パネルを作製し、偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することにより、1画素開口が158μm×430μm横電界方式液晶表示装置を得た。
【実施例3】
【0086】
《アレイ基板の作製》
〔薄膜トランジスタ層の形成〕
スパッタリング法によりMo薄膜を形成した無アルカリガラス基板OA−10(日本電気硝子社製)上に、ポジ型レジストNPR−9000(ナガセケムテックス社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光後、2.4重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行った。前期基板ウェットエッチングによりMo薄膜をパターニング後にポジ型レジストをアンラストTN−1(三若純薬社製)にて除去するフォトリソグラフィプロセスにより、ゲート線(38)およびゲート電極(31)を形成した。前記基板上に、プラズマCVD法を用いて窒化珪素によるゲート絶縁層(32)、半導体層(34)を形成した。前記基板にフォトリソグラフィプロセスを用いて、Ti/Al合金にてデータ線(39)、ソース電極(35)およびドレイン電極(36)を形成した。前記基板上に窒化珪素による絶縁層(33)を形成した。
【0087】
〔遮光層の形成〕
前記、薄膜トランジスタ層上に、遮光層として遮光性樹脂組成物1をスピンコートにて仕上り膜厚が1.6μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。この時、遮光層は薄膜トランジスタ層、ゲート線およびデータ線を覆うようにパターンを形成した。この時、遮光層のOD値は3.6であり、x軸方向に伸びる遮光層の線幅は90μm、y軸方向に伸びる遮光層の線幅は14μmで形成した。
【0088】
〔着色層の形成〕
前記、薄膜トランジスタ層上に、赤色着色樹脂組成物をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行い、ゲート線とデータ線とで囲まれる画素上にストライプ状の着色層である赤色画素をアレイ基板上に形成した。この時、コンタクトホールを形成するためにドレイン電極上に25μmのスルーホールを形成した。
【0089】
次に、緑色着色樹脂組成物も同様にスピンコートにて仕上り膜厚が3μmとなるように塗布、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0090】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色樹脂組成物についても仕上り膜厚3μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0091】
〔共通電極の形成〕
着色画素上に、スパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で透明導電膜を形成した。前記透明導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、IT
O−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって着色画素上にゲート線(38)とデータ線(37)に囲まれる領域よりも2〜3μm狭いベタ状の共通電極(25)を形成した。この時、共通電極(25)とゲート線(38)の距離は2μm、共通電極(25)とデータ線(38)との距離は3μmであった。
【0092】
〔保護層の形成〕
共通電極を設けた着色画素上に、プラズマCVD法により酸化ケイ素を0.05μmの膜厚で形成した後、ドライエッチによって、着色画素に形成したスルーホール部上の酸化ケイ素の除去を行い、窒化ケイ素の保護層とした。
【0093】
〔画素電極の形成〕
着色画素上にスパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で透明導電膜を形成した。前記透明導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて、透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって絶縁層上にコンタクトホール(29)を通じてドレイン電極と接続する櫛歯状の画素電極を形成した。これで、図5および図6に示すような薄膜トランジスタ層(3)上に赤、緑、青の着色画素及び着色画素上に形成された共通電極(25)、絶縁層(2A)および画素電極を有するアレイ基板(2)を形成した。
【0094】
《対向基板の形成》
前記アレイ基板と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10を用いた。
【0095】
《液晶表示装置の作製》
対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜サンエバー4742(日産化学社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃ 60秒乾燥後に、オーブンで230℃ 60分熱硬化を行った。前記一対の基板にラビング処理を行って洗浄を行った後、シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積水化学社製)を表示部外周に塗布、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC2041(メルク社製)を滴下後、真空滴下法にて液晶パネルを作製した。前記液晶パネルに偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することによりFFS方式液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置は、アレイ基板と対向基板の貼り合せマージンを考慮しなくてもよいため、実施例1および実施例2よりも遮光層の線幅を細くすることが可能であり、得られた液晶表示装置における1画素の開口は、168μm×430μmであった。
【比較例】
【0096】
《アレイ基板の作製》
〔薄膜トランジスタ層の形成〕
スパッタリング法により0.1μmのITO薄膜を形成した無アルカリガラス基板OA−10(日本電気硝子社製)上に、ポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって、共通電極(25)を形成した。続いて、前期基板上にスパッタリング法によりMo薄膜を形成し、ポジ型レジストNPR−9000を塗布した。紫外線露光機にてフォトマス
クを介して露光後、2.4重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行った。前期基板ウェットエッチングによりMo薄膜をパターニング後にポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去するフォトリソグラフィプロセスにより、ゲート線(38)およびゲート電極(31)を形成した。前記基板上に、プラズマCVD法を用いて窒化珪素によるゲート絶縁層(32)、半導体層(34)を形成した。前記基板にフォトリソグラフィプロセスを用いて、Ti−Al合金にてデータ線(39)、ソース電極(35)およびドレイン電極(36)を形成した。前記基板上に窒化珪素による絶縁層(33)を形成した。この時、共通電極(25)とゲート線(38)の距離は7μm、共通電極(25)とデータ線(38)との距離は3μmであった。
〔着色層の形成〕
前記、薄膜トランジスタ層上に、赤色着色樹脂組成物をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行い、ゲート線とデータ線とで囲まれる画素上にストライプ状の着色層である赤色画素をアレイ基板上に形成した。この時、コンタクトホールを形成するためにドレイン電極上に25μmのスルーホールを形成した。
次に、緑色着色樹脂組成物も同様にスピンコートにて仕上り膜厚が3μmとなるように塗布、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色樹脂組成物についても仕上り膜厚3μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。この時、ドレイン電極上に25μmのスルーホールを併せて形成した。
〔保護層の形成〕
着色画素上に、プラズマCVD法により窒化ケイ素を0.05μmの膜厚で形成した後、ドライエッチによって、着色画素に形成したスルーホール部上の窒化ケイ素の除去を行い、窒化ケイ素の保護層とした。
〔画素電極の形成〕
着色画素上にスパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で透明導電膜を形成した。前記透明導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いて、透明導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって保護層上にコンタクトホール(29)を通じてドレイン電極と接続する櫛歯状の画素電極を形成した。これで、図5および図6に示すような薄膜トランジスタ層(3)上に赤、緑、青の着色画素及び着色画素上に形成された共通電極(25)、保護層(2A)および画素電極を有するアレイ基板(2)を形成した。
《対向基板の形成》
前記アレイ基板と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10上に、遮光層として遮光性樹脂組成物1をスピンコートにて仕上り膜厚が1.6μmとなるように塗布を行った。この時、遮光層のOD値は3.6であった。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。平坦化層として透明樹脂組成物1をスピンコートにて仕上り膜厚が2.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にて全面露光を行い、バッチ式オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。
《液晶表示装置の作製》
対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜サンエバー5410(日産化学社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃ 60
秒乾燥後に、オーブンで230℃ 60分熱硬化を行った。前記一対の基板にラビング処理を行って洗浄を行った後、シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積水化学社製)を表示部外周に塗布、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC2041(メルク社製)を滴下後、真空滴下法にて液晶パネルを作製した。前記液晶パネルに偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することにより横電界方式液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置における1画素の開口は、158μm×420μmであった。
【符号の説明】
【0097】
1‥対向基板
11‥ガラス基板
12‥偏光板
13‥共通電極
14・・スリット
15・・配向膜
16・・ブラックマトリクス
17・・平坦化層
18・・着色層(R、G、B)
19・・突起
2‥アレイ基板
21‥ガラス基板
22‥偏光板
23・・着色層(R、G、B)
24・・画素電極
25・・共通電極
26・・突起
27・・配向膜
28・・ブラックマトリクス
29・・コンタクトホール
2A・・絶縁層
2B ・・共通配線
3‥薄膜トランジスタ層
31・・ゲート電極
32・・ゲート絶縁膜
33・・絶縁層
34・・半導体層
35・・ソース電極
36・・ドレイン電極
37・・データ線
38・・ゲート線
4‥液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通電極、画素電極、薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色画素、および保護層より構成される横電界方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板において、前記着色画素上に共通電極が配置され、さらに前記共通電極上に絶縁層を介して画素電極を備えたことを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
共通電極、画素電極、薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた遮光層および複数色の着色画素と、保護層より構成される横電界方式の液晶表示装置に用いられるアレイ基板において、該着色画素層上に共通電極が配置され、さらに該共通電極上に絶縁層を介して画素電極を備えたことを特徴とするアレイ基板。
【請求項3】
請求項1ならび請求項2に記載のアレイ基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−257528(P2011−257528A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130800(P2010−130800)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】