説明

インサート成形方法、シール構造体用の前駆体およびシール構造体

【課題】携帯電話、ゲーム機、ノート型パソコンなどの電子機器に組み込まれるシール構造体の製造に適用されるインサート成形方法において、その所要時間を短縮する。
【解決手段】金型に中子9をインサートする。金型のキャビティ内に樹脂を注入して固化させることにより、中子9の周囲にチューブ2を成形するとともに、中子9に離型用ボス13を成形する。離型用ボス13を把持しつつ中子9を金型から離型する。これにより、金型から中子9を離型するのが容易かつ迅速になるため、インサート成形方法の所要時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、ゲーム機、ノート型パソコンなどの電子機器に組み込まれるシール構造体の製造に適用するに好適なインサート成形方法、シール構造体用の前駆体およびシール構造体に関するものである。
【0002】
なお、本発明において、シール構造体用の前駆体とは、インサート成形方法によってシール構造体を製造する過程で作製されるものであって、バリを取り除くことによってシール構造体に変わりうるものを意味する。
【背景技術】
【0003】
従来、この種の電子機器に防水性向上を目的としてシール構造体を組み込む際に、金型にハウジングをインサートし、この金型に熱可塑性樹脂を注入して固化させることにより、インサート成形によってシール構造体をハウジングと一体に形成する技術(以下、公知技術1という。)が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、近年は、2つの筐体がヒンジを介して折り畳み自在に連結された折り畳み式の電子機器が広く普及している。この折り畳み式の電子機器では、2つの筐体間で回路を接続するため、ヒンジにケーブルを配設する必要がある。そして、このような折り畳み式の電子機器においても、防水性に対する要求が強くなってきている。
【0005】
こうした要求に応えるべく、折り畳み式の電子機器を製造する際に、公知技術1を適用して、ケーブルが挿入されるチューブをインサート成形で成形する場合には、丸棒状の金属製の中子を金型にインサートし、中子の周囲にチューブを形成した後、中子をチューブとともに金型から離型しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−20082号公報(段落〔0001〕〔0015〕〔0016〕の欄)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ここで用いる中子は、概ね直径1.5〜6.0mm、長さ20〜80mmの細長い部材であるため、よほど熟練しない限り、金型から離型するのに困難を伴う。したがって、中子の離型に要する時間、ひいてはインサート成形の所要時間が長くなるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、所要時間を短縮することが可能なインサート成形方法を提供することを第1の目的とし、このインサート成形方法を適用して製造されるシール構造体用の前駆体およびシール構造体を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金型に中子をインサートする中子インサート工程と、前記金型のキャビティ内に樹脂を注入して固化させることにより、前記中子の周囲にチューブを成形するとともに、前記中子に離型用ボスを成形する注入固化工程と、前記離型用ボスを把持しつつ前記中子を前記金型から離型する離型工程とが含まれるインサート成形方法としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記離型用ボスは、前記注入固化工程で生じるバリとつながるように成形され、前記バリは、前記離型用ボスを把持しつつ取り除かれることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記中子は、棒状であり、前記離型用ボスは、前記中子の両端近傍の2箇所に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記離型用ボスは、前記金型のパーティングラインを挟んで両側に突出するように形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記樹脂として、前記金型と接着しない選択接着性シリコーンゴムを用いることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のインサート成形方法によって成形されるチューブを有するシール構造体用の前駆体であって、前記注入固化工程で生じるバリを有するシール構造体用の前駆体としたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシール構造体用の前駆体から前記バリが取り除かれているシール構造体としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、離型用ボスを把持することにより、金型から中子を離型するのが容易かつ迅速になるため、インサート成形方法の所要時間を短縮することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、離型用ボスがバリとつながるため、バリの除去作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、中子の両端近傍に形成された2つの離型用ボスを把持することにより、中子をバランスよく引き上げることが可能となるため、離型時にチューブが損傷を受ける不都合を回避することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、離型用ボスが金型の上型側にも下型側にも突出して形成されるので、金型に対する中子の貼り付き状態の如何にかかわらず、中子の離型作業を支障なく行うことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、選択接着性シリコーンゴムの選択的な接着特性により、金型からの離型が容易となるため、インサート成形方法の所要時間をますます短縮することができる。
【0021】
請求項6、7に記載の発明によれば、請求項1乃至5に記載の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るシール構造体を示す平面図である。
【図2】同実施の形態1に係るシール構造体の製造方法を示す工程図であって、(a)は中子インサート工程および注入固化工程を示す図、(b)は離型工程図、(c)は中子抜き工程図、(d)は金属管挿入工程図、(e)は内側カット工程図、(f)は保護シート梱包工程図である。
【図3】同実施の形態1に係るシール構造体の製造方法における離型工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る離型用ボスの成形状態を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0024】
図1乃至図3には、本発明の実施の形態1を示す。
【0025】
まず、シール構造体1の構成を説明する。
【0026】
シール構造体1は、図1に示すように、選択接着性シリコーンゴムからなる円筒状のチューブ2を有しており、チューブ2の一端には、選択接着性シリコーンゴムからなる枠状のガスケット3が一体成形されている。チューブ2内には、ガスケット3との結合部に円筒状の金属管5が装着されている。また、ガスケット3の枠内にはポリカーボネート樹脂製の補強フィルム6が、ガスケット3の形状を保持するようにガスケット3と一体成形されている。補強フィルム6には、ガスケット組付用の位置決め孔7が2つ形成されている。
【0027】
なお、選択接着性シリコーンゴムは、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂とは強固に接着するが、金型などの金属とは接着しないという選択的な接着特性を有する。この選択接着シリコーンゴムの具体例としては、信越化学工業(株)製の液状シリコーンゴムKE−2090−40、KE−2090−50、KE−2090−60、X−34−1625、X−30−3511Uなどを挙げることができる。
【0028】
ここで、チューブ2およびガスケット3の素材としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴムなどの熱硬化性エラストマーや、スチレン系、エステル系、ウレタン系の熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。但し、日常的に使用される電子機器の防水を目的とするシール構造体1としては、温度変化によるゴム物性の変化が小さく、圧縮永久歪特性や成形性等に優れることが望まれるため、このような観点からは、チューブ2およびガスケット3の素材としてシリコーンゴムを採用することが好ましい。
【0029】
また、チューブ2およびガスケット3のゴム硬度としては、JIS K6253のショアAで、20度以上60度以下であることが好ましく、30度以上50度以下であることが更に好ましい。このゴム硬度が70度以上になると、チューブ2が硬くなって容易に変形しないため、後述するように、シール構造体1を折り畳み式の携帯電話に組み込んでチューブ2をヒンジに配設したときに、ハウジング内でチューブ2が自由に動作し難くなる恐れがある。また、このゴム硬度が70度以上になると、ガスケット3の反発弾性が大きくなるため、後述するように、シール構造体1を携帯電話に組み込んでガスケット3を筐体に取り付けたときに、ハウジングが完全に密閉できなかったり変形しやすくなったりするため、ガスケット3によるシール性が劣る場合がある。一方、このゴム硬度が硬度が20度未満の場合、粘着性が増して異物が付着しやすくなることや、強度不足が生じることから、チューブ2およびガスケット3の取り扱いに注意しなければならなくなる。
【0030】
また、チューブ2の厚さは、0.15mm以上0.6mm未満が好ましい。チューブ2の厚さが0.15mm未満では、チューブ2の成形性に劣るばかりか、後述するように、チューブ2内にケーブル4を挿入するときに、その挿入に困難を伴う。逆に、チューブ2の厚さが0.6mm以上では、チューブ2が硬くなって自在に変形し難くなる。一方、チューブ2とガスケット3との接合部の厚さは、携帯電話の薄型化に対応すべく、0.25mm以下にすることも可能である。これは、チューブ2とガスケット3とは同一素材で一体成形されているため、厚さ0.25mm以下でも所定の強度を保つことができるためである。
【0031】
また、補強フィルム6の素材としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PMMA等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などを挙げることができる。但し、フィルム成形性、強度、易接着性、コスト等を考慮すると、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0032】
また、補強フィルム6の厚さは、0.1mm以上0.5mm以下が好ましい。補強フィルム6の厚さが0.1mm未満では、ガスケット3の形状を保持する補強効果が薄れ、シール構造体1のハンドリング性(取り扱い性)が低下してしまう。逆に、補強フィルム6の厚さが0.5mmを超えると、補強フィルム6の剛性が増大するため、ガスケット3によるシール性が低下する恐れがある。
【0033】
以上のような構成を有するシール構造体1の製造方法について、以下に説明する。
【0034】
まず、中子インサート工程で、図2(a)に示すように、所定形状の金型(図示せず)に中子9および補強フィルム6をインサートする。この金型の上型には、後述する離型用ボス13を成形するための凹部が2箇所に形成されている。また、補強フィルム6には、ガスケット組付用の位置決め孔7の他に、予め成形用の位置決め孔8Aが2つ形成されている。したがって、これらの位置決め孔8Aを利用して、後述する補強フィルム6のインサート作業を高精度に素早く実行することができる。さらに、補強フィルム6には、予め内側カット用の位置決め孔8Bが2つ形成されている。
【0035】
次に、注入固化工程に移行し、図2(a)に示すように、インサート成形により、チューブ2およびガスケット3が一体成形されたシール構造体用の前駆体14を作製する。それには、中子9および補強フィルム6が金型にインサートされた状態で、この金型のキャビティ内に液状の選択接着性シリコーンゴムを注入して固化させる。
【0036】
このようにしてインサート成形を行うと、中子9の周囲に選択接着性シリコーンゴム製のチューブ2が形成されるとともに、このチューブ2および補強フィルム6を一体に連結する形で選択接着性シリコーンゴム製のガスケット3が形成される。また、これらのチューブ2、ガスケット3の周囲には、図2(a)に示すように、バリ10が生じる。さらに、中子9の両端近傍にはそれぞれ、図3に示すように、所定の大きさ(例えば、高さ8mm、長さ5mm、幅3mm)の略直方体状を有する選択接着性シリコーンゴム製の離型用ボス13が、チューブ2と一体になってバリ10とつながる形で上向きに突出して形成される。
【0037】
次いで、離型工程に移行し、図2(b)に示すように、中子9の両端近傍に形成された2つの離型用ボス13を両手で把持しつつ、中子9を引き上げるようにして金型から離型する。すると、シール構造体用の前駆体14は金型から分離された状態となる。
【0038】
こうすることにより、金型から中子9を離型するのが容易かつ迅速になるため、インサート成形方法の所要時間を短縮することができる。しかも、これらの離型用ボス13は中子9の両端近傍に設けられているため、これらの離型用ボス13に作用させる引き上げ力をほぼ均等にすることにより、中子9をバランスよく真上に引き上げることが可能となる。その結果、離型時にチューブ2が損傷を受けたり補強フィルム6が変形したりする不都合を回避することができる。
【0039】
また、選択接着性シリコーンゴムが金型に接着しないという選択特性を発揮するので、金型からの離型が容易となる。したがって、インサート成形方法の所要時間をますます短縮することができる。
【0040】
さらに、図2(b)、(c)に示すように、シール構造体用の前駆体14からバリ10を取り除くことにより、シール構造体1を得る。このとき、離型用ボス13がバリ10とつながっているので、離型用ボス13を両手で把持しつつ、バリ10をチューブ2およびガスケット3から引き剥がすことにより、バリ10の除去作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0041】
次いで、中子抜き工程に移行し、図2(c)に示すように、チューブ2から中子9を抜き取る。このとき、選択接着性シリコーンゴムが中子9に接着しないという選択特性を発揮するため、中子9の抜き取り作業を容易に行うことができる。
【0042】
次に、金属管挿入工程に移行し、図2(d)に示すように、チューブ2内に金属管5を挿入し、ガスケット3との結合部に位置決めする。
【0043】
次いで、内側カット工程に移行し、図2(e)に示すように、ガスケット3の内側にある補強フィルム6の大部分を切り取る。但し、2つのガスケット組付用の位置決め孔7を含む補強フィルム6部分がガスケット3に残るようにする。
【0044】
このとき、2つの内側カット用の位置決め孔8Bを裁断用金型の位置決め部として利用して補強フィルム6を切り取ることにより、補強フィルム6の切取作業を迅速に行うことができる。
【0045】
最後に、ガスケット3の表面に塵埃が静電気で付着するのを防ぐため、保護シート梱包工程に移行し、図2(f)に示すように、ガスケット3および補強フィルム6を保護シート12で梱包する。
【0046】
ここで、シール構造体1の製造が終了する。
【0047】
なお、このシール構造体1を折り畳み式の携帯電話(図示せず)に組み込む際には、この携帯電話の一方の筐体にガスケット3を取り付けて、この筐体を構成する一対のハウジング間をシールするとともに、この携帯電話のヒンジにチューブ2を配設する。そして、2つの筐体間で回路を接続するため、チューブ2内にケーブル4を挿入する。
【0048】
このようにしてシール構造体1が組み込まれた携帯電話においては、チューブ2とガスケット3とが一体成形されているので、両者の隙間から浸水する事態を回避し、シール構造体1の防水性を高めることができる。その結果、携帯電話の一方の筐体において、その防水性が向上する。
【0049】
また、チューブ2内には、ガスケット3との結合部、つまり一方の筐体を構成する一対のハウジングで挟み込まれる部位に、剛体である金属管5が設けられている。そのため、携帯電話の一方の筐体にガスケット3を取り付けるときに、この筐体を構成する一対のハウジングからチューブ2に対して、その求心方向(つまり、金属管5側)に加力されても、金属管5がその剛性によって形状を保持する。その結果、チューブ2がハウジングと金属管5とに挟まれて圧縮変形するため、シール構造体1の防水性がますます向上する。これに加えて、金属管5の内部空間がそのまま確保されるので、チューブ2内に挿入されるケーブル4が一対のハウジングの嵌合時に損傷を受ける事態を未然に防ぐことができる。
【0050】
また、ガスケット3には補強フィルム6が設けられているため、枠状のガスケット3の形状を保持することができる。その結果、シール構造体1を携帯電話に組み込む際に、シール構造体1のハンドリング性を向上させ、ひいては所要時間を短縮することができる。
【0051】
また、補強フィルム6にはガスケット組付用の位置決め孔7が2つ形成されているので、シール構造体1を携帯電話に組み込む際に、これらの位置決め孔7を利用してガスケット3の取付作業を高精度に素早く実行することができる。
[発明の実施の形態2]
【0052】
図4には、本発明の実施の形態2を示す。
【0053】
上述した実施の形態1では、上型に凹部が形成された金型を用いてインサート成形を行うことにより、離型用ボス13を上向きに突出させて形成する場合について説明した。しかし、上型および下型の互いに対応する位置に凹部が形成された金型を用いてインサート成形を行うことにより、図4(a)〜(h)に示すように、金型のパーティングラインPLを挟んで上下両側に突出するように離型用ボス13を形成することも可能である。この場合、離型バランスにより、中子9が上型に貼り付いてしまったときでも、中子9が下型に貼り付いてしまったときと同様、中子9の離型作業を支障なく行うことができる。
[発明のその他の実施の形態]
【0054】
なお、上述した実施の形態1では、離型工程において中子9をバランスよく引き上げることができるように、2つの離型用ボス13を中子9の両端近傍に成形する場合について説明したが、この離型用ボス13の成形部位および個数は別段これらに限るわけではない。例えば、中子9、チューブ2、ガスケット3およびバリ10の全体の重心の近傍に離型用ボス13を1つだけ設けて、この離型用ボス13を片手で把持して中子9をバランスよく引き上げるようにすることもできる。また、中子9をバランスよく引き上げるための工夫が別途なされている場合や、中子9をバランスよく引き上げる必要がない場合には、1つの離型用ボス13を中子9の任意の部位(例えば、中子9の一端近傍など)に設けることが可能である。
【0055】
また、上述した実施の形態1では、注入固化工程において略直方体状の離型用ボス13を成形する場合について説明したが、離型用ボス13の形状については、作業者の手で把持できる形状である限り、略直方体以外の形状(例えば、円柱の側面に2箇所の凹部を形成して把持しやすくした形状など)に成形しても構わない。
【0056】
また、上述した実施の形態1では、離型工程において、金型のキャビティ内に注入する樹脂として選択接着性シリコーンゴムを用いる場合について説明した。しかし、この樹脂としては、選択接着性シリコーンゴムに限らず、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂(例えば、紫外線硬化性樹脂など)を用いることができる。
【0057】
さらに、上述した実施の形態1では、シール構造体1の生産性を向上させることを目的として、選択接着性シリコーンゴムを用いてシール構造体1を製造する場合について説明した。しかし、選択接着性のシリコーンゴムを用いる代わりに、補強フィルム6の所望の部分に予め印刷や塗装などによってプライマー処理を施すことにより、同様の目的を達することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、折り畳み式またはスライド式の移動体端末(携帯電話、無線機、PDA(personal digital assistant)など)に限らず、電子手帳、ゲーム機、ノート型パソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1……シール構造体
2……チューブ
3……ガスケット
4……ケーブル
5……金属管
6……補強フィルム
7……ガスケット組付用の位置決め孔
8A……成形用の位置決め孔
8B……内側カット用の位置決め孔
9……中子
10……バリ
12……保護シート
13……離型用ボス
14……シール構造体用の前駆体
PL……パーティングライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に中子をインサートする中子インサート工程と、
前記金型のキャビティ内に樹脂を注入して固化させることにより、前記中子の周囲にチューブを成形するとともに、前記中子に離型用ボスを成形する注入固化工程と、
前記離型用ボスを把持しつつ前記中子を前記金型から離型する離型工程と
が含まれることを特徴とするインサート成形方法。
【請求項2】
前記離型用ボスは、前記注入固化工程で生じるバリとつながるように成形され、前記バリは、前記離型用ボスを把持しつつ取り除かれることを特徴とする請求項1に記載のインサート成形方法。
【請求項3】
前記中子は、棒状であり、
前記離型用ボスは、前記中子の両端近傍の2箇所に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のインサート成形方法。
【請求項4】
前記離型用ボスは、前記金型のパーティングラインを挟んで両側に突出するように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインサート成形方法。
【請求項5】
前記樹脂として、前記金型と接着しない選択接着性シリコーンゴムを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインサート成形方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のインサート成形方法によって成形されるチューブを有するシール構造体用の前駆体であって、
前記注入固化工程で生じるバリを有することを特徴とするシール構造体用の前駆体。
【請求項7】
請求項6に記載のシール構造体用の前駆体から前記バリが取り除かれていることを特徴とするシール構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−46004(P2011−46004A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193876(P2009−193876)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】