説明

エアーブロー装置

【課題】洗浄ライン上を搬送されるワーク全体の水切りを行うと共にエアーブロー位置を局所的にエアーブローしても、エアー消費量を少なくする。
【解決手段】外周面11aに3つのノズル12A、12B、12Cが設けられたノズルヘッド11が回転プレート13によってノズル筐体14に回転可能に取り付けられ、3つのノズル12A、12B、12Cそれぞれに別系統でエアーを供給するように当該ノズルの数だけエアー導入経路15A、15B、15Cがノズル筐体14内に設けられたエアーブロー用自動ガン1と、ノズル筐体14に固定されエアーブロー用自動ガン1をワークWの所定のエアーブロー位置に移動させる移動手段2と、ノズル筐体14に内蔵されると共に回転プレート13に固定され、当該回転プレート13を回動させる回動手段3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの洗浄前の除塵や洗浄後の水切りなどを行うために、あらゆる産業で使用されているエアーブロー装置に係り、特にパイプノズルと共に扁平ノズルでエアーブローを行うエアーブロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの洗浄前の除塵や洗浄後の水切りなどを行うためのエアーブロー装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このエアーブロー装置はあらゆる製造分野において洗浄工程で使用され、例えば、建材工業や金属工業の場合、金属プレス加工部品などの成形品を薬液洗浄した後に水洗いし、その水洗いされた成形品をエアーブローすることで製品とする洗浄工程や、成形品を薬液洗浄した後にエアーブローすることで製品とする洗浄工程で、エアーブローによる水切りを行うために使用されている。また、金属部材の場合、エアーブロー装置は、錆びないようにするために切削加工部品などの成形品に油塗布した後に、エアーブローすることで製品とする洗浄工程で、エアーブローによる油切りを行うために使用されている。
【0003】
また、エアーブロー装置は半導体産業の場合、プリント基板などの素材をエアーブローした後に水洗いし、その水洗いした素材をエアーブローして純水で水洗いし、その純水で水洗いした素材を、さらに、エアーブローすることで製品とする洗浄工程で、各エアーブローによる除塵や水切りを行うために使用されている。
【0004】
このようなエアーブロー装置は図7に示すように、ベルトコンベアなどの搬送部(図示せず。)で搬送されてくるワーク70をエアーブローするために、ワーク70の凹部70aに溜まった水や薬液に圧縮エアーを吹き付ける第1のノズル51及び第2のノズル61を備えている。
【0005】
第1のノズル51はエアーの突出形状が丸パターンとなるパイプノズルで、洗浄ラインCL上を搬送されるワーク70の上方において、そのワーク70の搬送方向に直交する方向に配置された第1のエアー配管52に対してエアー供給可能に複数並列に固定されている。第2のノズル61はエアーの突出形状が扁平パターンとなる扁平ノズルで、洗浄ラインCL上を搬送されるワーク70の上方において、第1のエアー配管52と所定距離で隔てられた状態で平行に配置された第2のエアー配管62に対してエアー供給可能に複数並列に固定されている。なお、第1のノズル51及び第2のノズル61の配置数は、ワーク70の幅や形状によって設定されている。
【0006】
このように構成されたエアーブロー装置は、ワーク70の凹部70aに残留する水洗水を第1のノズル51で局所的にエアーブローすることで取除くと共に、凹部70a全体の水切りを第2のノズル61で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−34101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら背景技術に記載したエアーブロー装置では、第2のノズル61は凹部70aの幅全体にエアーを行き渡らせるように、第2のエアー配管62に対して複数並列に固定され、また、凹部70a全体の水切りをするために、この第2のエアー配管62に常時エアーを供給しなければならないので、膨大なエアーを消費してしまうという難点があった。また、ワーク70の凹部70aに残留する水洗水を、第1のエアー配管52に対して複数並列に固定されている第1のノズル51で局所的にエアーブローすることで取り除き、ワーク70の水切りを、第2のエアー配管62に対して複数並列に固定されている第2のノズル61で行っているので、エアーブロー工程長が長くなる難点があった。さらに、第1のエアー配管52及び第2のエアー配管62にエアーを常時供給しなければならないので、供給するエア量が多くなる難点があった。
【0009】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、洗浄ライン上を搬送されるワーク全体の水切りを行うと共にエアーブロー位置を局所的にエアーブローしても、エアー消費量を少なくすることができるエアーブロー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成する本発明の第1の態様であるエアーブロー装置は、洗浄工程において洗浄ライン上を搬送されるワークの洗浄前の除塵や洗浄後の水切りなどを行うためのエアーブロー装置において、外周面に複数のノズルが設けられたノズルヘッドが回転プレートによってノズル筐体に回転可能に取り付けられ、複数のノズルそれぞれに別系統でエアーを供給するように当該ノズルの数だけエアー導入経路がノズル筐体内に設けられたエアーブロー用自動ガンと、ノズル筐体に固定されエアーブロー用自動ガンをワークの所定のエアーブロー位置に移動させる移動手段と、ノズル筐体に内蔵されると共に回転プレートに固定され、当該回転プレートを回動させる回動手段とを備えているものである。
【0011】
このような第1の態様であるエアーブロー装置によれば、移動手段によってエアーブロー用自動ガンを、洗浄ライン上を搬送されるワークの所定のエアーブロー位置に移動させることができると共に、エアーブロー用自動ガンでワークの所定のエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを回動手段によって回転プレートを回転させることでノズルヘッドから選択することができるので、エアーブロー工程長を短縮できると共にエアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0012】
本発明の第2の態様は第1の態様であるエアーブロー装置において、ノズルは、ノズルヘッドに対してパイプノズルと共に扁平ノズルが設けられているものである。
【0013】
このような第2の態様であるエアーブロー装置によれば、パイプノズルを選択することでワークの窪みに残留する水洗水を局所的にエアーブローすることができ、扁平ノズルを選択することでワークの全体の水切りを行うことができるようになる。
【0014】
本発明の第3の態様は第1の態様又は第2の態様であるエアーブロー装置において、移動手段は、洗浄ライン上を搬送されるワークの上方に設置された支持体と、支持体に固定されノズル筐体を、洗浄ライン上を搬送されるワークの搬送方向に直交する方向で往復運動させる駆動シリンダとから構成されているものである。
【0015】
このような第3の態様であるエアーブロー装置によれば、駆動シリンダでエアーブロー用自動ガンを、洗浄ライン上を搬送されるワークの搬送方向に直交する方向で往復運動させることができるので、ワークの幅方向においてエアーブローするための複数のノズルが設けられたノズルヘッドを移動させることができる。
【0016】
本発明の第4の態様は第3の態様であるエアーブロー装置において、回動手段は、ノズル筐体に内蔵された駆動モータで、当該駆動モータの回転軸が回転プレートに固定されているものである。
【0017】
このような第4の態様であるエアーブロー装置によれば、駆動モータを回転させるだけで外周面に複数のノズルが設けられたノズルヘッドを回転させることができるので、ワークのエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを容易に選択することができる。
【0018】
本発明の第5の態様は第1の態様又は第2の態様であるエアーブロー装置において、移動手段及び回動手段は、複数のアームがそれぞれ関節部にて連結され先端のアームには保持部が回動可能に設けられた多関節型の産業用ロボットで、当該産業用ロボットは、先端のアームがエアーブロー用自動ガンのノズル筐体に固定されて移動手段として機能し、保持部がエアーブロー用自動ガンの回転プレートに固定されて回動手段として機能するように構成されているものである。
【0019】
このような第5の態様であるエアーブロー装置によれば、複数のアームでエアーブロー用自動ガンを、洗浄ライン上を搬送されるワークの搬送方向に直交する方向で往復運動させることができるので、ワークの幅方向においてエアーブローするためのノズルを移動させることができ、また、保持部を回転させるだけで外周面に複数のノズルが設けられたノズルヘッドを回転させることができるので、ワークのエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを容易に選択することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は第1の態様から第5の態様のうち何れか1つの態様であるエアーブロー装置において、洗浄ライン上を搬送されるワークの形状及び移動距離に応じて複数のノズルから一つのノズルを選択すると共にエアーブロー用自動ガンをワークのエアーブロー位置に移動させて、選択された一つのノズルでワークのエアーブロー位置をエアーブローするように移動手段及び回動手段を制御するエアーブロー制御機能を有する制御部を備えているものである。
【0021】
このような第6の態様であるエアーブロー装置によれば、制御部で移動手段及び回動手段を制御することできるので、洗浄ライン上を搬送されるワークの形状及び移動距離に応じて複数のノズルから一つのノズルを瞬時に選択できると共にエアーブロー用自動ガンをワークのエアーブロー位置に瞬時に移動させることができるようになる。
【0022】
本発明の第7の態様は第6の態様であるエアーブロー装置において、ワークのエアーブロー位置を検出するために洗浄ライン上には、当該洗浄ライン上を搬送されるワークを検出する検出センサと、検出センサでワークを検出するとワークの移動距離の計測を開始する計測手段とが配置され、制御部のエアーブロー制御機能は、計測手段で計測された移動距離に基づきエアーブローするワークのエアーブロー位置を特定するものである。
【0023】
このような第7の態様であるエアーブロー装置によれば、エアーブロー位置を正確に検出することができるようになる。
【0024】
本発明の第8の態様は第6の態様又は第7の態様であるエアーブロー装置において、制御部は、ワークの形状及び移動距離に応じて選択された一つのノズルからエアーブローするエアー圧力を制御するエアー圧力制御機能を有しているものである。
【0025】
このような第8の態様であるエアーブロー装置によれば、エアーブロー位置に応じたエアー圧力でエアーブローすることができるので、従来のエアーブロー装置より水切り性能が向上すると共に、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のエアーブロー装置によれば、エアーブローするためのノズルを、ワークの幅やエアーブローする位置の形状に応じて選択すると共にそのノズルを移動可能とすることで、洗浄ライン上を搬送されるワーク全体の水切りを行うと共にエアーブロー位置を局所的にエアーブローしても、エアー消費量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のエアーブロー装置における好ましい実施の形態例を示す図で、(A)は移動手段に支持体及び駆動シリンダ、回動手段に駆動モータをそれぞれ使用した場合の全体図、(B)はエアーブロー用自動ガンの全体斜視図、(C)はエアーブロー用自動ガンにおけるノズル筐体の内部の説明図、(D)はエアーブロー用自動ガンの正面図である。
【図2】図1(B)のエアーブロー用自動ガンの先端部分を示す図で、(A)は分解斜視図、(B)は側面図である。
【図3】図1(B)のエアーブロー用自動ガンにおけるエアーブローの状態を示す説明図である。
【図4】本発明のエアーブロー装置における移動手段及び回動手段の他の好ましい実施の形態例を示す図で、(A)は産業用ロボットを示す全体斜視図、(B)、(C)は産業用ロボットの先端のアームと、このアームに設けられた保持部とを示す部分斜視図である。
【図5】従来のエアーブロー装置と本発明のエアーブロー装置とを建材工業や金属工業で洗浄工程の水切りに使用した図で、(A)は従来のエアーブロー装置によるエアーブローの状態を示す斜視図、(B)は本発明のエアーブロー装置によるエアーブローの状態を示す斜視図である。
【図6】従来のエアーブロー装置と本発明のエアーブロー装置とを食品産業や製薬産業で洗浄工程の水切りに使用した図で、(A)は従来のエアーブロー装置によるエアーブローの状態を示す斜視図、(B)は本発明のエアーブロー装置によるエアーブローの状態を示す斜視図である。
【図7】従来のエアーブロー装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明によるエアーブロー装置を実施するための形態例について図面に基き説明する。本発明のエアーブロー装置は、洗浄工程において洗浄ライン上を搬送されるワークの洗浄前の除塵や洗浄後の水切りなどを行うためのものである。
【0029】
このエアーブロー装置は図1(A)、(B)に示すように、外周面11aに例えば3つのノズル12A、12B、12Cが設けられたノズルヘッド11が回転プレート13によってノズル筐体14に回転可能に取り付けられ、3つのノズル12A、12B、12Cそれぞれに別系統でエアーを供給するように当該ノズル12A、12B、12Cの数だけエアー導入経路15A、15B、15Cがノズル筐体14内に設けられたエアーブロー用自動ガン1と、ノズル筐体14に固定されエアーブロー用自動ガン1をワークWの所定のエアーブロー位置に移動させる移動手段2と、ノズル筐体14に内蔵されると共に回転プレート13に固定され、当該回転プレート13を回動させる回動手段3とを備えている。
【0030】
エアーブロー用自動ガン1は図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示すように、例えば、有底円筒状のノズル筐体14の開口14a側に円盤の回転プレート13が回転可能に固定され、この回転プレート13には有底円筒状のノズルヘッド11が開口側を回転プレート13側に向くように固定されている。なお、回転プレート13及びノズルヘッド11は同心円である。
【0031】
ノズル筐体14内には有底14b側にパイプから成るエアー導入経路15A、15B、15Cが組み込まれ、ノズルヘッド11側となる開口14a側に第1のエアー導入経路15Aに連通する第1の環状の凹部16A、第2のエアー導入経路15Bに連通する第2の環状の凹部16B、第3のエアー導入経路15Cに連通する第3の環状の凹部16Cが形成されている。ここで、連通とは隔絶された二つの空間を通路を介して連続状態にすることを意味する。なお、第1の環状の凹部16A、第2の環状の凹部16B及び第3の環状の凹部16Cは、第1の環状の凹部16Aから第3の環状の凹部16Cに向かって直径が小さくなるように形成されている。また、ノズル筐体14の有底14bには、エアー導入経路15A、15B、15Cに連通するエアー取入孔141a、141b、141cが設けられている。エアー取入孔141a、141b、141cにはエアーホース4A、4B、4Cが接続され、このエアーホース4A、4B、4Cにはエアーを供給するコンプレッサ等のエアー供給手段5に接続されている。
【0032】
ノズルヘッド11は、外周面11aに3つのノズル12A、12B、12Cを嵌め込むための嵌合孔(図示せず。)が設けられている。この嵌合孔と3つのノズル12A、12B、12Cとを嵌合させるには、ねじ込み式のねじ結合やワンタッチで着脱可能なC型バネリング方式のワンタッチ継手が好適である。
【0033】
回転プレート13はエアー導入経路15A、15B、15Cに連通するエアー突出孔131a、131b、131cが設けられ、エアー突出孔131a、131b、131cとノズルヘッド11の嵌合孔とはパイプから成るエアー連通経路17A、17B、17Cによって連結されている。
【0034】
したがって、第1のエアー取入孔141aと第1のノズル12Aとは、第1のエアー導入経路15A、第1の環状の凹部16A、第1のエアー突出孔131a及び第1のエアー連通経路17Aで連通され、第2のエアー取入孔141bと第2のノズル12Bとは、第2のエアー導入経路15B、第2の環状の凹部16B、第2のエアー突出孔131b及び第2のエアー連通経路17Bで連通され、第3のエアー取入孔141cと第3のノズル12Cとは、第3のエアー導入経路15C、第3の環状の凹部16C、第3のエアー突出孔131c及び第3のエアー連通経路17Cで連通されている。
【0035】
また、3つのノズル12A、12B、12Cは例えば図1(D)、図2(B)に示すように、ノズルヘッド11に対してパイプノズルと共に扁平ノズルが設けられている。パイプノズルは、エアーの突出形状が丸パターンとなるノズルで、扁平ノズルはエアーの突出形状が扁平パターンとなるノズルである。このようにパイプノズルと扁平ノズルとを組み合わせると、パイプノズルを選択することで、ワークの窪みに残留する水洗水を局所的にエアーブローすることができ、扁平ノズルを選択することでワークの全体の水切りを行うことができるようになる。
【0036】
移動手段2は例えば図1(A)に示すように、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの上方に設置された支持体21と、支持体21に固定されノズル筐体14を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの搬送方向に直交する方向で往復運動させる駆動シリンダ22とから構成されているものである。支持体21は、例えば洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの搬送方向に直交する方向に設置されている支持棒が好ましい。また、駆動シリンダ22は、作用する流体が油の場合は油圧シリンダが採用され、空気の場合は空気圧シリンダが採用される。
【0037】
このように構成された移動手段2によれば、駆動シリンダ22でエアーブロー用自動ガン1を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの搬送方向に直交する方向で往復運動させることができるので、ワークWの幅方向においてエアーブローするための3つのノズルが設けられたノズルヘッド11を移動させることができる。
【0038】
回動手段3は例えば図1(C)、図2(A)に示すように、ノズル筐体14に内蔵された駆動モータ31で、当該駆動モータ31の回転軸31aが回転プレート13に固定されている。
【0039】
このように構成された回動手段3によれば、駆動モータ31を回転させるだけで外周面11aに3つのノズル12A、12B、12Cが設けられたノズルヘッド11を回転させることができるので、ワークWのエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを容易に選択することができる。
【0040】
また、このエアーブロー装置は図1(A)に示すように、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの形状及び移動距離に応じて3つのノズル12A、12B、12Cから一つのノズルを選択すると共にエアーブロー用自動ガン1をワークWのエアーブロー位置に移動させて、選択された一つのノズルでワークWのエアーブロー位置をエアーブローするように移動手段2及び回動手段3を制御するエアーブロー制御機能6aを有する制御部6を備えている。
【0041】
このように、制御部6で移動手段2及び回動手段3を制御することできるので、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの形状及び移動距離に応じて3つのノズル12A、12B、12Cから一つのノズルを瞬時に選択できると共にエアーブロー用自動ガン1をワークWの所定位置に瞬時に移動させことができるようになる。
【0042】
なお、エアーブロー位置を検出するために洗浄ラインCL上には図3に示すように、当該洗浄ラインCL上を搬送されるワークWを検出する検出センサ7と、検出センサ7でワークWを検出するとワークWの移動距離の計測を開始する計測手段8とが配置されている。これら検出センサ7及び計測手段8が洗浄ラインCL上に配置されている場合には、制御部6のエアーブロー制御機能6aは、計測手段8で計測された移動距離に基づきエアーブローするワークW/の所定のエアーブロー定位置を特定することができる。
【0043】
検出センサ7は、例えば投光器と受光器とから成る光電管スイッチが好適であるが、赤外線センサ、超音波センサあるいは接触式センサのレバースイッチ等種々のセンサを用いることもできる。計測手段8は、ワークWを搬送する洗浄ラインCLがベルトコンベヤの場合には、コンベヤ駆動部の駆動モータの回転量を検出するロータリエンコーダからのパルス量をカウントアップすることができる。したがって、制御部6のエアーブロー制御機能6aは、このパルス信号に基づきワークWの移動距離を求めることができる。このように検出センサ7及び計測手段8を洗浄ラインCL上に配置することで、ワークWのエアーブロー位置を正確に検出することができるようになる。
【0044】
また、制御部6は図1(A)に示すように、ワークWの形状及び移動距離に応じて選択された一つのノズルからエアーブローするエアー圧力を制御するエアー圧力制御機能6bを有している。制御部6にエアー圧力制御機能6bをもたせることで、ワークWのエアーブロー位置に応じたエアー圧力でエアーブローすることができるので、従来のエアーブロー装置より水切り性能が向上すると共に、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0045】
なお、制御部6は、予め洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの種類に応じて個々のワークの形状が記憶部(図示せず。)に記憶されているので、その洗浄ラインCL上を搬送させるためのワークWが選択されると、そのワークWの移動距離によってエアーブロー位置が定まるようになっている。また、制御部6は、駆動シリンダ22、駆動モータ31、検出センサ7、計測手段8及び記憶部それぞれに対して電気的に接続され、検出センサ7からの検出信号及び計測手段8からのパルス信号と共に記憶部の各ワークデータに基づきエアーブロー制御機能6aやエアー圧力制御機能6bで、駆動シリンダ22及び駆動モータ31を制御する。
【0046】
このように構成されたエアーブロー装置の動作について以下説明する。なお、移動手段2は上述した支持体21及び駆動シリンダ22で、回動手段3は上述した駆動モータ31で、洗浄ラインCLはベルトコンベヤである。
【0047】
洗浄ラインCL上をワークWが搬送されてくると、検出センサ7がそのワークWを検出するので、制御部6のエアーブロー制御機能6aはその検出センサ7からの検出信号に基づき計測手段8でワークWの移動距離の測定を開始する。エアーブロー制御機能6aは、計測手段8で計測された移動距離に基づきエアーブローするワークの所定のエアーブロー位置を特定する。即ち、エアーブロー制御機能6aは、記憶部に記憶されたワークデータからワークのエアーブロー位置を、計測手段8で計測された移動距離に基づき特定する。
【0048】
次に、エアーブロー制御機能6aは、計測手段8で計測された移動距離に基づき特定されたワークWのエアーブロー位置の形状に応じて3つのノズル12A、12B、12Cから1つのノズルを選択すると共にエアーブロー用自動ガン1をワークWのエアーブロー位置に移動させて、選択された一つのノズルでワークWのエアーブロー位置をエアーブローできるように、駆動シリンダ22及び駆動モータ31を制御する。エアーブロー制御機能6aは図3に示すように、選択された一つのノズル例えばノズル12AがワークWに向くように駆動モータ31を駆動することでノズルヘッド11を回転プレート13によって回転させると共に、エアーブローする範囲をワークWの進行方向Xにおいて広げるようにノズルヘッド11を回転プレート13によって回転させることができる。したがって、ワークWのエアーブロー位置を狙い打ちすることができるので、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0049】
また、制御部6のエアー圧力制御機能6bは、エアーブロー制御機能6aで選択された1つのノズルから、エアーブロー制御機能6aで得られたワークWのエアーブロー位置に見合ったエアー圧力でエアーブローする。したがって、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0050】
このように、移動手段2である駆動シリンダ22によってエアーブロー用自動ガン1を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの所定のエアーブロー位置に移動させることができると共に、エアーブロー用自動ガン1でワークWの所定のエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを回動手段3である駆動モータ31によって回転プレート13を回転させることでノズルヘッド11から選択することができるので、エアーブロー工程長を短縮できると共にエアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができるようになる。
【0051】
なお、この動作説明では1つのエアーブロー用自動ガン1でエアーブローを行っていたが、ワークWの大きさによっては図1(A)のように複数設けてもよく、この場合、制御部6は、複数のエアーブロー用自動ガン1それぞれに対して移動手段2及び回動手段3を有することになるので、複数のエアーブロー用自動ガン1を別個独立に作動させることができる。
【0052】
また、上述した実施例においては、移動手段2を支持体21及び駆動シリンダ22、回動手段3を駆動モータ31としていたが、これに限らず、移動手段2及び回動手段3は、複数のアームがそれぞれ関節部にて連結され先端のアームには保持部が回動可能に設けられた多関節型の産業用ロボットでもよい。この産業用ロボットは、先端のアームがエアーブロー用自動ガンのノズル筐体に固定されて移動手段として機能し、保持部がエアーブロー用自動ガンの回転プレートに固定されて回動手段として機能するように構成されている。
【0053】
このような産業用ロボットは例えば図4に示すように、6軸ロボット20で基台21上に1軸を中心にして水平方向で回動する回転台22と、1軸に直交する2軸で回転台22の先端に連結され当該2軸を中心にして回動する第1のアーム23と、2軸と平行な3軸で第1のアーム23の先端に連結され当該3軸を中心にして回動する第2のアーム24と、第2のアーム24に回動可能に設けられ3軸に直交する4軸と、4軸の先端に固定された第3のアーム25と、4軸と直交する5軸で第3のアーム25の先端に連結され当該5軸を中心にして回動する第4のアーム26と、5軸に直交する6軸で第4のアーム26の先端に連結され当該6軸を中心にして回動する保持部27とから構成されている。
【0054】
保持部27は、エアーブロー用自動ガン1のノズル筐体14に内蔵された駆動モータ31の代わりに内蔵された回転シャフト(図示せず。)に固定され、この回転シャフトに回転プレート13が固定されている。また、第4のアーム26にノズル筐体14が固定されている。この際、制御部6は、検出センサ7及び計測手段8と共に産業用ロボット20に対して電気的に接続されている。
【0055】
このように移動手段2及び回動手段3を産業用ロボット20とすると、複数のアームでエアーブロー用自動ガン1を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの搬送方向に直交する方向で往復運動させることができるので、ワークWの幅方向においてエアーブローするためのノズルを移動させることができ、また、保持部27を回転させるだけで外周面に複数のノズルが設けられたノズルヘッド11を回転プレート13を介して回転させることができるので、ワークWのエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを容易に選択することができる。
【0056】
このように移動手段2及び回動手段3が産業用ロボット20であるエアーブロー装置の動作について以下説明する。なお、洗浄ラインCLはベルトコンベヤである。
【0057】
洗浄ラインCL上をワークWが搬送されてくると、検出センサ7がそのワークWを検出するので、制御部6のエアーブロー制御機能6aはその検出センサ7からの検出信号に基づき計測手段8でワークWの移動距離の測定を開始する。エアーブロー制御機能6aは、計測手段8で計測された移動距離に基づきエアーブローするワークの所定のエアーブロー位置を特定する。
【0058】
次に、エアーブロー制御機能6aは、計測手段8で計測された移動距離に基づき特定されたワークWのエアーブロー位置の形状に応じて3つのノズル12A、12B、12Cから1つのノズルを選択すると共にエアーブロー用自動ガン1をワークWのエアーブロー位置に移動させて、選択された一つのノズルでワークWのエアーブロー位置をエアーブローできるように、産業用ロボット20を制御する。エアーブロー制御機能6aは図3に示すように、選択された一つのノズル例えばノズル12AがワークWに向くように産業用ロボット20の6軸を駆動することで、保持部27がノズルヘッド11を回転プレート13によって回転させると共に、エアーブローする範囲をワークWの進行方向Xにおいて広げるようにノズルヘッド11を回転プレート13によって回転させることができる。したがって、ワークWのエアーブロー位置を狙い打ちすることができるので、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0059】
また、制御部6のエアー圧力制御機能6bは、エアーブロー制御機能6aで選択された1つのノズルから、エアーブロー制御機能6aで得られたワークWのエアーブロー位置に見合ったエアー圧力でエアーブローする。したがって、エアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0060】
このように、移動手段2である産業用ロボット20によってエアーブロー用自動ガン1を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの所定のエアーブロー位置に移動させることができると共に、エアーブロー用自動ガン1でワークWの所定のエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを回動手段3である産業用ロボット20の6軸によって回転プレート13を回転させることでノズルヘッド11から選択することができるので、エアーブロー工程長を短縮できると共にエアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができるようになる。
【0061】
このような本発明のエアーブロー装置と従来のエアーブロー装置とを比較すると、建材工業や金属工業の場合には、従来のエアーブロー装置は図5(A)に示すように、洗浄ラインCL上を搬送されるワーク70の上方において、そのワーク70の搬送方向に直交する方向に配置された第1のエアー配管52に対してパイプノズルである第1のノズル51が複数並列に固定され、第1のエアー配管52と所定距離で隔てられた状態で平行に配置された第2のエアー配管62に対して扁平ノズルである第2のノズル61が複数並列に固定されているので、これらはエアーを連続噴霧しなければワーク全体の水切りを行うと共にエアーブロー位置を局所的にエアーブローすることができず、また、エアーブロー工程長が長くなっていた。これに対して本発明のエアーブロー装置は図5(B)に示すように、移動手段によってエアーブロー用自動ガン1を、洗浄ラインCL上を搬送されるワークWの所定のエアーブロー位置に移動させることができると共に、エアーブロー用自動ガン1でワークWの所定のエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを回動手段によって回転プレートを回転させることでノズルヘッドから選択することができるので、エアーブロー工程長を短縮できると共にエアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。
【0062】
また、食品産業や製薬産業の場合には、従来のエアーブロー装置は図6(A)に示すように、洗浄工程に設置された回転機構80の周囲に複数のノズル81が所定間隔で隔てられた状態で配置され、回転機構80でワーク70が載置された搬送容器82を水平方向で回転させると共に、回転機構80に配置された複数のアーム82aを垂直方向で回動させるものなので、エアーを連続噴霧しなければワーク全体の水切りを行うと共にエアーブロー位置を局所的にエアーブローすることができず、また、エアーブロー工程長が長くなっていた。これに対して本発明のエアーブロー装置は図6(B)に示すように、移動手段によってエアーブロー用自動ガン1を、配置されている搬送容器82に載置されたワークWの所定のエアーブロー位置に移動させることができると共に、エアーブロー用自動ガン1でワークWの所定のエアーブロー位置をエアーブローするために最適なノズルを回動手段によって回転プレートを回転させることでノズルヘッドから選択することができるので、エアーブロー工程長を短縮できると共にエアー消費量を従来のエアーブロー装置より減らすことができる。また、搬送容器82は従来のエアーブロー装置のようにアーム82aを回動させなくてもよくなる。
【0063】
なお、上述した実施例においては、ノズルヘッドの外周面に設けられるノズルは3つにしていたが、これに限らず、ワークの大きさやエアーブロー位置の形状等に基づき2つ以上のノズルが適宜選択される。
【0064】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0065】
1……エアーブロー用自動ガン
11……ノズルヘッド
12A、12B、12C……ノズル
13……回転プレート
14……ノズル筐体
15A、15B、15C……エアー導入経路
2……移動手段
20……産業用ロボット
26……第4のアーム(先端のアーム)
27……保持部
21……支持体
22……駆動シリンダ体
3……回動手段
31……駆動モータ
31a……回転軸
6……制御部
6a……エアーブロー制御機能
6b……エアー圧力制御機能
7……検出センサ
8……計測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄工程において洗浄ライン上を搬送されるワークの洗浄前の除塵や洗浄後の水切りなどを行うためのエアーブロー装置において、
外周面に複数のノズルが設けられたノズルヘッドが回転プレートによってノズル筐体に回転可能に取り付けられ、前記複数のノズルそれぞれに別系統でエアーを供給するように当該ノズルの数だけエアー導入経路が前記ノズル筐体内に設けられたエアーブロー用自動ガンと、
前記ノズル筐体に固定され前記エアーブロー用自動ガンを前記ワークの所定のエアーブロー位置に移動させる移動手段と、
前記ノズル筐体に内蔵されると共に前記回転プレートに固定され、当該回転プレートを回動させる回動手段とを備えていることを特徴とするエアーブロー装置。
【請求項2】
前記ノズルは、前記ノズルヘッドに対してパイプノズルと共に扁平ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアーブロー装置。
【請求項3】
前記移動手段は、
前記洗浄ライン上を搬送される前記ワークの上方に設置された支持体と、
前記支持体に固定され前記ノズル筐体を、前記洗浄ライン上を搬送される前記ワークの搬送方向に直交する方向で往復運動させる駆動シリンダとから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエアーブロー装置。
【請求項4】
前記回動手段は、前記ノズル筐体に内蔵された駆動モータで、当該駆動モータの回転軸が前記回転プレートに固定されていることを特徴とする請求項3記載のエアーブロー装置。
【請求項5】
前記移動手段及び前記回動手段は、複数のアームがそれぞれ関節部にて連結され先端のアームには保持部が回動可能に設けられた多関節型の産業用ロボットで、当該産業用ロボットは、前記先端のアームが前記エアーブロー用自動ガンの前記ノズル筐体に固定されて前記移動手段として機能し、前記保持部が前記エアーブロー用自動ガンの前記回転プレートに固定されて前記回動手段として機能するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエアーブロー装置。
【請求項6】
前記洗浄ライン上を搬送される前記ワークの形状及び移動距離に応じて前記複数のノズルから一つのノズルを選択すると共に前記エアーブロー用自動ガンを前記ワークの前記エアーブロー位置に移動させて、前記選択された一つのノズルで前記ワークの前記エアーブロー位置をエアーブローするように前記移動手段及び前記回動手段を制御するエアーブロー制御機能を有する制御部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか1項に記載のエアーブロー装置。
【請求項7】
前記ワークの前記エアーブロー位置を検出するために前記洗浄ライン上には、当該洗浄ライン上を搬送される前記ワークを検出する検出センサと、前記検出センサで前記ワークを検出すると前記ワークの移動距離の計測を開始する計測手段とが配置され、
前記制御部の前記エアーブロー制御機能は、前記計測手段で計測された前記移動距離に基づき前記エアーブローする前記ワークの前記エアーブロー位置を特定することを特徴とする請求項6記載のエアーブロー装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記ワークの前記形状及び前記移動距離に応じて前記選択された一つのノズルからエアーブローするエアー圧力を制御するエアー圧力制御機能を有していることを特徴とする請求項6又は請求項7記載のエアーブロー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−161384(P2011−161384A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27985(P2010−27985)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(000107767)スプレーイングシステムスジャパン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】