説明

エネルギー回収構成を備える大型ターボ過給型ディーゼル機関

【課題】クロスヘッド式大型過給型2サイクルディーゼル機関において、運転条件の調節の自由度を向上させつつ、排ガスからのエネルギーの回収能力をも向上させること。
【解決手段】給気圧縮機に連結される排ガスタービンを有するターボ過給機と、掃気受けへ供給する掃気を圧縮しうるように配される補助ブロアと、掃気流が前記補助ブロアを迂回しうるように設けられるバイパス管と、シリンダの下流側で前記ターボ過給機の高圧側に設けられる第1の排ガスボイラと、前記ターボ過給機の前記高圧側から分岐する排ガスの一部によって駆動されるパワータービンとを備え、前記パワータービンで大きな回転エネルギーを発生する代わりに前記ボイラで多量の熱を発生するように運転されうる、クロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の排ガスボイラを備える大型ターボ過給型ディーゼル機関に関し、より具体的には、ターボ過給機のタービン上流で分岐する排ガスによって駆動されるパワータービンを備える、大型ターボ過給型ディーゼル機関に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0434419号は、ターボ過給機の低圧側のボイラと、ターボ過給機の高圧側のボイラとを組み合せることによって、熱エネルギーを排ガスから回収する大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関を開示している。機関負荷が低い時に、ターボ過給機に排ガスを導く前の熱エネルギーの排ガスからの回収の程度は、ある割合の排ガスを上流ボイラを迂回させて直接ターボ過給機に導くことによって減少する。しかしながら、排ガス受けとターボ過給機のタービンとの間にボイラを配置すると、全体構造が、比較的大きくなり、また複雑になる。さらに、排気弁とターボ過給機との間の流路の長さが増加することによって、加速時におけるターボ過給機の反応が遅くなる。さらに、この機関は、熱のみを回収するだけで、回収されたエネルギーを、回転力または電気などのより有用な形式のエネルギーに変換する設備が存在しない。
【特許文献1】EP0434419
【発明の開示】
【0003】
このような背景から、本発明の目的は、より小型で構成し易い、冒頭で言及された種類のターボ過給型ディーゼル機関を提供することにある。この目的は、それぞれのマニホールド管を介して排ガス受けに連結される複数のシリンダと、排ガス受けからターボ過給機のタービンの入口に排ガスを導くための上流排ガス導管と、ターボ過給機のタービンの出口から外部に排ガスを導くための下流排ガス導管と、熱エネルギーを排ガスから回収するための1つ以上の排ガスボイラまたは熱交換器と、を備える種類のターボ過給型ディーゼル機関であって、ボイラまたは熱交換器のうちの少なくとも1つは、排ガス受け内に配置されるターボ過給型ディーゼル機関を提供することによって、達成される。
【0004】
効率的であることに、ボイラのうちの1つを物理的に排ガス受け内に配置することによって、システムの構成要素は、大型ターボ過給型ディーゼル機関の上部における空間的余裕のない部分において、いかなる空間も必要としなくなる。ゆえに、この手法によって、機関の周囲にさらなる空間が形成され、また、配管の量が減少する。さらに、ボイラのハウジングは、排ガス受けのハウジングが2つの機能を有することにより省かれる。この2つの機能とは、個々のシリンダから排ガスを収容および回収するための空洞を提供することと、ボイラを収納する空洞を提供することである。別の利点は、機関性能を低下させずに、ボイラの圧力低下を、従来の構造より3倍も促進させることが可能であることにある。促進された圧力低下により、ガス速度が増加し、それによって、熱交換表面を大幅に減少させることが可能になり(その他の全パラメータは同等)、結果的に、ボイラが小型になる。
【0005】
大型ターボ過給型ディーゼル機関は、ターボ過給機の低圧側に、予熱/蒸発ボイラをさらに備えてもよい。この場合、排ガス受け内に配置されるボイラは、ターボ過給器の低圧側のボイラによって生成される蒸気を過熱するために使用される。それによって、具体的には、蒸気タービンにおいて過熱蒸気を使用することを考慮すると、蒸気の質は改善される。
【0006】
大型ターボ過給型ディーゼル機関は、1つまたは複数のボイラによって生成される蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備えてもよい。それによって、排ガスから回収するエネルギーは、より有用な形式のエネルギーに変換される。パワータービンは、回転力を電気に変換する発電機を駆動してもよい。
【0007】
排ガス受けは、複数のボイラまたは単一のボイラのいくつかの段階を収納してもよい。従って、排ガスにおけるエネルギーは、より効率的に蒸気に変換可能である。
【0008】
複数のボイラは、予熱/蒸発ボイラおよび過熱/蒸発ボイラを備える多段階式蒸気過熱蒸気生成システムを形成してもよい。
【0009】
本発明の別の目的は、排ガスからのエネルギー回収について改善された大型ターボ過給型ディーゼル機関を提供することにある。この目的は、給気圧縮機に連結される排ガス駆動のタービンを有するターボ過給機と、ターボ過給機の高圧側に設けられる第1の排ガスボイラと、ターボ過給機の低圧側にある第2の排ガスボイラと、ターボ過給機の高圧側から分岐する排ガスの一部によって駆動されるパワータービンと、を備える大型ターボ過給型ディーゼル機関によって、達成される。
【0010】
ターボ過給機のタービンの高圧側に設けられるボイラの組み合わせを使用し、また、ターボ過給機のタービンの高圧側からの排ガス流の一部を分岐することによって、排ガスから回収可能であるエネルギーの全体量が改善される。特に、運転状態が大きく変化するような状況において大きく改善される。これは、システムがパワータービンによって多くの回転エネルギーを生成することとは対照的に、ボイラを介してより多くの熱を生成するようにされるからである。従って、システムは、外航船の推進システムと同様に、定置式の発電プラントの総合燃料効率の改善にも役立つことが可能である。
【0011】
ある形態では、第1のボイラには、排ガスの全部が流れてもよく、パワータービン用の排ガスの一部は、第1の排ガスボイラの下流で分岐する。このように、回収可能であるエネルギーの全体量が最大化される。
【0012】
他の形態では、第1のボイラには、分岐した部分の排ガスのみが流れてもよく、ターボ過給機の熱勘定が影響を受けないようにし、このようにして、加速時のターボ過給機のタービンの反応性が保証される。
【0013】
パワータービンを出る排ガスは、ターボ過給機の低圧側で主要排ガス流に再流入されてもよい。このようにして、排ガスの全てが、例えば、SCR反応器および/または消音器において、適切な後処理を受けることが確実になる。
【0014】
好ましくは、パワータービンは、発電機を駆動する。従って、回収されたエネルギーは、非常に魅力的かつ柔軟な形式のエネルギーを生成するために使用可能である。
【0015】
本発明の別の目的は、柔軟に動作し、かつ排ガスからの優れたエネルギー回収を有する、大型2サイクルディーゼル機関を提供することにある。
【0016】
この目的は、発電機を駆動する排ガスタービンと、電動モーターによって駆動される給気圧縮機と、タービンの高圧側に設けられる、排ガスから熱を抽出する熱交換器とを備える大型過給型2サイクルディーゼル機関を提供することによって、達成される。
【0017】
タービンを圧縮機に接続する軸がないことによって、機関の動作状態は、さらなる自由度を有して制御可能であり、一方、タービンの高圧側における熱交換器の使用によって、排ガスに含まれるエネルギーの優れた回収が確実になる。
【0018】
好ましくは、この機関は、ターボ過給機を備えない。
【0019】
蒸気を生成するために熱交換器が使用可能である。
【0020】
前記機関は、発電機により生成される電気エネルギーの一部を蓄積する手段と、保存された電気エネルギーを電動モーターに供給する手段と、をさらに備えてもよい。
【0021】
好ましくは、前記機関は、発電機によって生成される電気エネルギーと、保存されたエネルギーとの分配を制御する手段、を備えてもよい。
【0022】
前記機関は、熱交換器からの熱の補助によって生成される蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備えてもよい。
【0023】
好ましくは、熱交換器は、熱交換器の下流にあるタービンを出る排ガスの温度が外気温度未満になる程度まで、熱交換器を出る排ガスの温度を低下させるように構成される。
【0024】
本発明のさらなる目的は、非常に高い燃料効率で、熱併給発電プラントにおいて使用可能である燃焼機関を提供することにある。
【0025】
この目的は、熱併給発電プラントにおいて使用するための過給型内燃機関であって、外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を、内燃機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、排ガスによって駆動されるタービンと、タービンの高圧側に設けられる、排ガスから熱を抽出する熱交換器と、を備え、熱交換器およびタービンは、タービンの低圧側において、外気未満の排ガス温度を得るように構成される、過給型内燃機関を提供することによって、達成される。
【0026】
タービンの高圧側の排ガスボイラにおいて大量のエネルギーを抽出することによって、また、比較的小さい有効タービン面積を有するタービンを使用することによって、タービンにおける既に比較的冷たい排ガスが膨張するため、タービンの低圧側の排ガスの温度が、はるかに外気を下回る。従って、燃焼機関自体は、その環境から低位エネルギーを抽出して高位エネルギーに変える熱ポンプに変化する。100%をはるかに超える総合燃料効率を入手可能であり、非常に経済的で環境に優しい。排ガスの温度は、−40°Cまで低くなることが可能である。ゆえに、このような機関を使用する発電プラントの煙突を出る排ガスは、雪または類似の結晶を含んでもよい。
【0027】
好ましくは、外気未満の排ガス温度は、熱交換器を通る排ガスの温度低下を促進するための大容量の熱交換器と、タービンにおけるその膨張中に排ガスの温度の低下を促進するための小さな有効タービン面積と、によって得られる。
【0028】
好ましくは、シリンダを出る排ガスの温度は、400℃から500℃の間であり、排ガスボイラを出る排ガスの温度は、110℃未満であり、ボイラを出る排ガスの圧力は、2バールを上回る。
【0029】
タービンおよび圧縮機は、ターボ過給機を形成するために、軸によって連結可能である。この場合、機関は、排ガス流から、ボイラの下流にあるターボ過給機タービンに分岐する排ガスによって、駆動されるパワータービンをさらに備えてもよい。
【0030】
好ましくは、機関は、圧縮機の高圧側に、給気加湿ユニットをさらに備えてもよい。
【0031】
好ましくは、タービンを出る排ガスの圧力は、外気圧力に等しい、あるいは外気圧力よりも若干上回る。
【0032】
好ましくは、タービンを出る排ガスの温度は、−5℃から−40℃の間である。
【0033】
好ましくは、タービンを出る排ガスの温度は、少なくとも機関がその最大連続負荷で稼働している場合に、外気未満である。
【0034】
好ましくは、タービンを出る排ガスの温度は、少なくとも機関がその最大連続負荷で稼働している場合に、−5℃から−40℃の間であってもよい。
【0035】
本発明のさらなる側面によると、外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を、内燃機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第1のタービンと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第2のタービンと、タービンの高圧側に設けられる、排ガスから熱を抽出する熱交換器と、タービンの低圧側において異なる排ガス温度で機関を動作させるために、片方または両方のタービンを選択的に使用する手段と、を備える、過給型燃焼機関が提供される。
【0036】
本発明の別の側面によると、外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を、内燃機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、排ガスによって駆動される可変有効タービン面積を有するタービンと、タービンの高圧側に設けられる、排ガスから熱を抽出する熱交換器と、を備える、過給型燃焼機関が提供される。
【0037】
本発明のさらに別の側面によると、過給型燃焼機関を動作させる方法であって、過給型燃焼機関は、外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を、内燃機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第1のタービンと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第2のタービンと、タービンの高圧側に設けられる、排ガスから熱を抽出する熱交換器と、を備え、1つまたは複数のタービンの低圧側において異なる排ガス温度を得るように、タービンを選択的に使用することを含む、方法が提供される。
【0038】
本発明に従う過給型燃焼機関に関するさらなる目的、特徴、利点、および特性は、詳細な説明より明らかになるだろう。
【発明の好適な実施形態の詳細な説明】
【0039】
本明細書の以下の詳細説明部において、図面に示される例示的実施形態を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
【0040】
以下の詳細な説明において、大型2サイクルディーゼル機関形式の、本発明に従う大型ターボ過給型ディーゼル機関について、好適な実施形態を用いて説明する。
【0041】
クロスヘッド型大型2サイクルディーゼル機関などの、大型ターボ過給型ディーゼル機関の構造および動作については、それ自体よく知られているため、その内容においてさらなる説明を必要としない。過給気システムおよび排ガスシステムに関するさらなる詳細について以下に提供する。
【0042】
図1は、本発明に従う大型2サイクルディーゼル機関1の上側部分に関する第1の実施形態を示す。この機関には、相互に一列に配列される複数のシリンダが設けられる。各シリンダには、そのシリンダカバーと連結する排気弁(図示せず)が設けられる。排気チャネルは、排気弁によって開閉可能である。マニホールド管は、それぞれの排気チャネルを排ガス受け3に連結する。排ガス受け3は、一列のシリンダに平行に配置される。マニホールド管40は、排ガス受け3に開口しており、また、排気導管は、排ガス受けからターボ過給機のタービンに通じる。非常に多数のシリンダ(例えば、10本以上のシリンダ)を備える機関において、排ガス受けは、2つ以上の部分(図示せず)に、長手方向に分割されてもよい。
【0043】
本実施形態において、排ガス受け3は、図2に示されるように、着脱可能なカバー44が端部に設けられる円筒状のハウジング42を有する。円筒状のハウジング42には、熱交換器23が含まれ、排ガスは、この熱交換器を通って過熱蒸気を生成する。ゆえに、熱交換器23は、ボイラとしての役割を果たす。また、円筒状のハウジング42には、マニホールド管40がその中で排ガスを放出する回収ダクト46も含まれる。
【0044】
排ガス受けの円筒状のハウジング42は、図2に示されるように、2つの熱交換器部分50aおよび50bと、回収ダクト部分46aおよび46bとに分割され、それらは、排ガスが排気導管を介して出る中央出口チャンバ52に近接する。ゆえに、排ガス受け3の構造は、その半径方向中心面に対して対称的である。
【0045】
熱交換器配置の両区域50a、50bは、連続的に配置され、かつそれ自体よく知られているいくつかの熱交換要素を含む。これらの熱交換要素は、スペーサ49によって分離される。各区域50a、50bは、2つの熱交換要素57a、58a、57b、58bを含み、その各々は、円筒状のハウジングの長手方向軸に平行して、実線矢印に示されるガス流の方向に延在する管を多数備える。それぞれの熱交換器部分50aおよび50bの流れ方向は、反対であり、かつ互いに対向している。
【0046】
偏って配置される熱交換器要素57a、58a、57b、58bの断面輪郭は、円筒状のハウジング42の内周に接する弧状を呈する。弧状の部分は、組立て易くするために、さらに小さな弧に分割されてもよい(図示せず)。
【0047】
排ガス受け3の円筒状のハウジング42には、熱交換器要素を排ガス受け3内部の残りの断面から分離する隔壁63が設けられ、排ガス受け内部の断面が、熱交換器要素を収容するチャネルと、熱交換器要素57a、58a、57b、58bを有するチャネルに排ガスを回収および誘導するチャネルとに分割される。
【0048】
後者のチャネル(マニホールド管40が開口するチャネル)は、破線矢印の方向に排ガスを案内する。
【0049】
加熱要素は、加熱要素を収容するチャネルに格納可能である。長手方向外側の加熱要素は、スペーサ49によって内側の加熱要素から分離される。組立部品一式は、固定板66によって適所に保持される。
【0050】
回収チャネル46a、46bは、半径方向外側方向に開放する漏斗状の断面形状を有する。マニホールド管40は、排ガスをそれぞれの回収チャネル46a、46bに送り込むように配置される。
【0051】
回収チャネル46a、46bは、回収チャネルの前端に連結される側壁69によって、中央出口チャンバ52から分離される。回収チャネル46a、46bは、着脱可能なカバー44からある程度距離をおいて、それらの対向する端部で開放している。従って、逆方向チャンバ71a、71bは、排ガス受けハウジング42の端部の領域に形成される。逆方向チャンバ71a、71bは、回収チャネル46a、46bを、熱交換器区分が収容されるチャネルに連結する。このようにして、熱交換器要素を含むチャネルを介して、収容チャネル46a、46bを出口チャンバに連結する流路が、出口チャンバ52の両側に形成される。それぞれの回収チャネル46a、46bにおけるマニホールド管40を出る排ガスは、図2において破線矢印で示されるように、逆方向チャンバ71a、71bにまで流れ、そこから、実線矢印で示されるように、それぞれの熱交換器要素57a、58a、57b、58bを通って出口チャンバ52まで流れる。
【0052】
従って、排ガス受け3のハウジング42は、排ガスを収容する空洞と、熱エネルギーを排ガスから回収するボイラとの両方を含むように機能する。排ガス受け内部にボイラを含むことによって、排気ボイラと、排ガスボイラのハウジングとに必要な空間が節約可能になる。
【0053】
図3は、吸気および排気システムを備えるクロスヘッド型の大型ターボ過給型2サイクルディーゼル機関に関する第2の実施形態を示す。機関1は、給気受け2および排ガス受け3を有する。排ガス受け3は、第1の実施形態に記載の種類のものであることが可能であるが、必ずしもその種類のものである必要はない。機関には、図示されていない排気弁(シリンダ毎に1つ以上)が設けられる。機関1は、例えば、外航船の主機関として使用されてもよく、あるいは発電プラントの発電機を動作させるための定置式機関として使用されてもよい。機関の総出力は、例えば、5,000kWから110,000kWの範囲であってもよいが、本発明は、例えば、1,000kW出力を有する4サイクルディーゼル機関において使用されてもよい。
【0054】
給気は、給気受け2から個々のシリンダの掃気ポート(図示せず)に通される。排気弁4が開放している場合、排ガス流は、マニホールド管を介して排気受け3に流れ、そこから進んで、第1の排気導管5を介してターボ過給機のタービン6へ流れ、そのタービン6から第2の排気導管7を介して流出する。タービン6は、軸8によって、空気入口10に関して設けられる圧縮機9を駆動する。圧縮機9は、加圧給気を給気受け2に通じる給気導管11に供給する。
【0055】
導管11における吸気はインタークーラー12を通り、インタークーラー12は、約200℃で圧縮機9を出る掃気を約36℃の温度にまで冷却する。
【0056】
冷却された掃気は、(多くの場合、低負荷または部分負荷状態においてのみ)掃気流を圧縮する、電気モーター17によって駆動される補助ブロア16を介して掃気受け2まで到達する。高負荷時において、ターボ過給機の圧縮機9により供給される掃気は機関を動作させるには十分の量であり、補助ブロア16は停止している。この状態において、補助ブロア16は、導管15によって迂回される。
【0057】
管型またはフィン型の熱交換器形式であることが好ましい第1のボイラ23は、排ガスの熱エネルギーを使用するタービン6の上流(例えば第1の排気導管5)に配置され、蒸気を生成する。排ガス受け3に入る際の排ガスの温度は約455°Cであり、第1のボイラ23に入る際の温度は、それよりもわずかに低くなるだけである。第1のボイラ23は、上記の第1の実施形態を参照して図示および説明されたように、排ガス受け3の一体型部分であることが可能である。
【0058】
ボイラ23の下流において、排気導管は分岐する。それによって、大部分の排ガスは引き続き排気導管5を介してタービン6に向かい、少量の排ガスは、導管30を介してパワータービン31に向かう。追加されたパワータービン31は、発電機32を駆動する。
【0059】
このようにして、排ガス流における余剰エネルギーは、電力、つまり高エクセルギーを有するエネルギーに変換される。分岐してパワータービン31に向かう排ガスの量は、導管30における可変流量調節器(図示せず)によって調節可能である。パワータービン31を出る排ガスは、第2の排気導管7に通じ、そこで主要排ガス流に再流入する。
【0060】
第2の排気導管7は、例えば管型またはフィン型の熱交換器を備える第2のボイラ20の入口へと排ガスを導く。第3の排気導管21は、第2のボイラ2の出口から外部へと排気を導く。外気に到達する前に、排ガスは、例えば、NOxレベルを低減するためのSCR反応器(図示せず)において浄化されてもよく、また、騒音公害を軽減するための消音器(図示せず)を通ってもよい。
【0061】
第2のボイラ20は、排ガス流における熱を使用して圧力下で蒸気を生成する。この段階において、排ガス温度はシリンダを出る際の温度よりも低く、ターボ過給機のタービン6の出口の温度は、典型的には250から300°Cの間の範囲である。
【0062】
導管22は、第2のボイラ20によって生成された蒸気を、第1のボイラ23の入口に導く。第1のボイラは、約450°Cの温度の排ガスで加熱されることによって、第1のボイラ23に入る水/蒸気を蒸発/過熱するための非常に効果的な媒体となる。
【0063】
過熱蒸気(superheated steam)は、導管34を介して蒸気タービン37に導かれ、この蒸気タービン37において、蒸気のエネルギーが回転機械力に変換される。蒸気タービン37は電気エネルギーを生成する発電機35を駆動する。この電気エネルギーは、例えば、冷却設備に電力供給するために外航船上で使用可能であり、あるいは定置式発電プラントにおいて生成される電力に付加可能である。本実施形態およびいかなるその他の実施形態にも図示されないが、ボイラおよび蒸気タービンは、蒸気エネルギーの分野において既知である凝縮器、冷却器、およびその他の構成要素を備える蒸気回路の一部であることを理解されたい。
【0064】
MAN B&W(登録商標)12K98ME機関を備える第2の実施形態の動作パラメータに関する例を、以下の表1に提供する。これは、シリンダ内径が98cmのシリンダを12本備える機関である。ターボ過給機の圧縮機や、使用する可能性のある補助ブロアは、約25000kWのパワー入力を必要とすることに留意されたい。このエネルギーは、排ガスから抽出されるか、および/または補助ブロアにより供給される。
【0065】
エネルギー方程式に基づき、システム全体からのエネルギー抽出に関する最適条件を決定することが可能である。これは、ボイラの種類、蒸気タービンの種類、および大型2サイクルディーゼル機関の使用条件などの状況によって最終的に異なる。外航船における主な焦点は、回転力の提供にあり、一方、定置式発電プラントにおける適用では、電気生成と同様に熱生成(地域暖房のため)に焦点が置かれる。
【0066】
本システムは、種々の動作点で運転可能であり、第1のボイラ23およびパワータービン31によって排ガスから抽出されるエネルギー量は可変である。
【0067】
ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23において抽出されるエネルギーによって、ターボ過給機のタービン6およびパワータービン31で利用可能なエネルギーが減少するが、第2のボイラ20において抽出されるエネルギーによるターボ過給機およびパワータービン動力に対する影響は全くない。
【0068】
表1の例において、10.000kWのエネルギー量が、第1のボイラ23で抽出されて蒸気タービン37に供給される(この量は、本例のために任意で選択されており、その他の量も図3Aに示されるように選択されてもよい)。
【0069】
図3Aは、第1のボイラ23で抽出されたエネルギーの、異なる値に対する計算結果を示すグラフである。このグラフは、機関の軸エネルギー(engine shaft power)の割合として、種々の構成要素のエネルギーを示し、本発明が種々のサイズの機関に適用可能であるという事実を説明している。グラフにおいて、ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23において抽出されるエネルギーが増加すると、パワータービンから抽出可能なエネルギーは減少することが分かる。最適動作位置は、必要な動力の種類(熱または回転力/電気)に応じて決定可能である。
【0070】
電力および熱を供給する定置式発電プラントなどにおいて、熱および回転力の両方が必要な場合、最適動作点は、第1のボイラ23を介する最大エネルギー抽出に最も近くなる。この動作点では、全負荷状態でも、補助ブロア16を動作させる必要がある。
【0071】
外航船において必要とされる主要エネルギーは、推進力、つまりプロペラ(図示せず)を駆動する回転力である。典型的には、船舶に必要とされる熱量は比較的少なく、一方、必要とされる電力量は、船舶の種類によって異なる。ばら積み船では、必要とされる電力量は比較的少ない。
【0072】
冷却する必要のある貨物を積むコンテナ船あるいは天然液化ガス船は、相当な量の電力を必要とする。このような状況において、第1のボイラによって抽出される5.000kWから10.000kWで動作することは、総合エネルギー効率の観点から利点となる。
【0073】
図4は、本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、掃気冷却器12aが異なる種類のものであること以外は、実質的に第2の実施形態に相当する。掃気冷却器は、大量の水を注入および蒸発させるスクラバーである。注入された水は、比較的温かいことが好ましく、例えば、海水(機関が外航船に設置されている場合)または河川水(機関が河川付近の定置式発電プラントに設置されている場合)を、機関1の(水)冷却システム(図示せず)からの廃熱で加熱する。スクラバー12aが動作することによって、スクラバー出口を出る空気の温度が約70℃になり、かつ相対湿度が実質的に100%になる。この掃気の絶対湿度は、第2の実施形態のインタークーラー12を出る掃気よりも約5倍高い。ゆえに、掃気に含まれるエネルギー量および排ガスに含まれるエネルギー量は、大幅に増加する。従って、ボイラ20、23およびパワータービン31による排ガスからの抽出に利用可能なエネルギーがさらに存在することになる。
【0074】
MAN B&W(登録商標)12K98ME機関を備える第3の実施形態の動作パラメータに関する例を、以下の表1に提供する。
【0075】
この掃気状態を生成するためには、ターボ過給機の圧縮機や、使用する可能性のある補助ブロアは、約25000kWのパワー入力を必要とし、また、圧縮機出口の空気において蒸発する7,5kg/sの水をさらに注入することを実現しなけれならない。
【0076】
このエネルギー(25000kW)は、排ガスにより抽出および/または補助ブロアによって供給されなければならない。
【0077】
この例において、10.000kWは、第1のボイラ23で抽出されて蒸気タービン37に供給される(この量は、本例のために任意で選択されており、その他の量も図4Aに示されるように選択されてもよい)。
【0078】
図4Aは、第1のボイラの内部で引き抜かれるエネルギー量の、種々の値に対する計算結果を示すグラフである。このグラフは、機関の軸エネルギーの割合として、種々の構成要素のエネルギーを示し、本発明が種々のサイズの機関に適用可能であるという事実を説明している。グラフにおいて、ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23において抽出されるエネルギーが増加すると、パワータービン31から抽出可能なエネルギーは減少することが分かる。この例において、補助ブロア16にエネルギーを入力する必要なく、25.000kWをこえるエネルギーが第1のボイラ23において抽出可能である。第2の実施形態に従う機関においては、補助ブロア16にエネルギーを入力する必要なく、約14.000kWだけが第1のボイラにおいて抽出可能である。機関自体の燃料効率は、湿気を含む温かい掃気によってわずかだけしか低下しないため、本発明に従う排ガスエネルギー回収システムを併用する機関1の総合燃料効率は、排ガスエネルギー回収システム(例えば、第2の実施形態)を備える従来の機関よりも、より大幅に効率的になる。第3の実施形態に従う機関の理想動作点は、第2の実施形態に従う機関の動作点と同様である。
【0079】
第3の実施形態の変形例において、機関は、出口において排ガス温度が非常に低くなるように運転される。これらの温度は−40℃まで低温度であることが可能であり、これは、排ガスの水分が、2つの相変化を経ることを意味する。この2つの相変化は、蒸気から液体ならびに液体から固体の変化であり、例えば、機関を出る排ガスは、雪または類似形状の氷を含む。従って、機関は熱ポンプとしての役割を果たし、これにより、特に、電気および地域暖房の供給に使用される熱併給発電プラントなどにおける、機械的エネルギーおよび熱の両方が必要とされる用途において有益になる。この動作状態は、第1のボイラ23において、非常に大量のエネルギーを抽出することによって得られ、表1の例において72.000kWが抽出されている。さらに、タービン6の有効面積は、上述の例/実施形態と比較すると約3分の1減少し、結果的に、排ガスの温度が−25℃になる。有効タービン面積の減少により、圧縮機9で利用可能なエネルギー量が大幅に減少する(有効タービン面積が減少すると、タービンにおける排ガス温度低下が、ガス膨張により促進される)。従って、補助ブロアの容量および消費エネルギーが増加する。本実施形態において、タービン6によって生成されるエネルギーが、全機関負荷であっても、圧縮機9に必要とされる全掃気を生成するのに不十分であるため、補助ブロア16は、例えば全負荷状態において動作する。
【0080】
機関が重油またはディーゼル油で稼働している場合、露点の下流にある排気部分構成要素を耐食材料で構成し、その構成要素が、このような燃料における硫黄含有によりモーターらされる酸性沈殿物に対処できるようにする(凝縮液は、硫酸を含有する)。
【0081】
機関が、天然ガス、あるいは実質的に硫黄が含まれない別の燃料で動作する場合、このような対処は必要とされない。
【0082】
MAN B&W(登録商標)12K98ME機関を備える第3の実施形態のこの変形例の動作パラメータに関する例を、以下の表1の「3冷却」の列に示す。
【0083】
第3の実施形態のこの変形例において、ターボ過給機のタービンの後の排ガスの温度が低いため、低圧側に第2のボイラが存在しない。従って、このシステムは、第1のボイラ23のみをタービンの高圧側に備える。
【0084】
この実施形態の別の変形例(図示せず)において、機関には、第2のタービンが設けられる。この第2のタービンによって、例えば、熱併給発電プラントの夏の稼働などの、熱の需要が少なくかつ回転力により焦点が置かれる場合に、タービンの高圧側および低圧側においてより高い排ガス温度(例えば、低圧側で50から200℃の間、高圧側で150から350℃の間)で動作するようにする。このシステムは、タービンを使用して外気未満の排ガス温度を得るように、より大きい有効タービン面積を有する第2のタービンに切り替えてもよく、あるいは、第2のタービンは、比較的小さいタービン面積も有し、また、各々が小さい有効面積を有する2つのタービンを並行して使用し、その各々が排ガス流の一部を収容するようにする。より高い排ガス温度による動作において、より大きい有効タービン面積を有するタービン、あるいは並行して動作する小さい有効タービン面積を有する2つのタービンは、十分なエネルギーを圧縮機に供給し、低負荷状態時にのみ補助ブロアを作動する必要があるようにする。ボイラ23で抽出されるエネルギーを適宜低減することによって、ボイラ23を出る排ガス温度が、タービン6の低圧側における排ガスの所望の温度に適するようにする。あるいは、2つのタービンとは対照的に、可変の有効タービンを有する単一のタービン(図示せず)を使用して、有効タービン面積において必要とされる柔軟性を入手することができる。従って、この第2の変形例は、熱生成および非常に高い総合エネルギー効率に焦点を置くモードにおいて動作可能であるが、他のモードでは、回転力生成に焦点が置かれ、そのシステムは、燃料から抽出可能な回転力量に関する最大効率を有するように最適化されるモードにある。
【0085】
図5は、本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態は、排ガス導管5から分岐する排ガス流に第1のボイラ23が配置される以外は、実質的に第2の実施形態に相当する。ゆえに、排ガスの分岐部分のみが、第1のボイラ23を通過する。導管30は、第1のボイラ23の出口からパワータービン31まで排ガスを導く。この実施形態の利点は、排ガスが、排ガス受け3から直接ターボ過給機のタービン6に流れることが可能であるという事実である。これは、機関において、加速事象に対する反応が改善されることを意味する。パワータービン31の出口は、破線で示されるように、第2のボイラ20の入口か、排気導管21の最終部分かに連結される。パワータービン31の出口温度に応じて連結を選択する。パワータービン31の出口温度が、ターボ過給機のタービン6の温度よりも大幅に低い場合、パワータービンの出口は、排気導管21の最終部分に連結される。
【0086】
MAN B&W(登録商標)12K98ME機関を備える第4の実施形態の動作パラメータに関する例を、以下の表1の列「4」に示す。
【0087】
本例において、排ガスの20%は、パワータービン側に分岐され、パワータービンエネルギー出力(POPT)、または補助ブロア入力パワーを可能にする。
【0088】
システム全体からのエネルギー抽出に関する最適条件を決定することが可能である。これは、ボイラの種類、蒸気タービンの種類、および大型2サイクルディーゼル機関の使用条件などの状況によって最終的に異なる。外航船における主な焦点は回転力の提供にあり、一方、定置式発電プラントにおける適用では、電気生成と同様に熱生成(地域暖房)に焦点が置かれてもよい。
【0089】
排ガス流において利用可能なエネルギー(455℃および3.35バール(絶対温度)で160kg/s)は、以下の4つの装置において使用可能である。
1) ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23
2) パワータービン31
3) ターボ過給機のタービン6の下流にある第2のボイラ20
4) ターボ過給機のタービン6
【0090】
このシステムは、種々の動作点で動作可能であり、第1のボイラ23およびパワータービン31によって排ガスから抽出されるエネルギー量は可変である。
【0091】
ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23において抽出されるエネルギーによって、ターボ過給機のタービン6およびパワータービン31で利用可能なエネルギーが減少するが、第2のボイラ20において抽出されるエネルギーによるターボ過給機およびパワータービン動力に対する影響は全くない。
【0092】
第1のボイラ23から抽出されるその他のエネルギー量に関する結果について、図5Aのグラフに示す。
【0093】
第4の実施形態の変形例(図示せず)において、冷却ユニット12は、冷却および加湿ユニット12aに置き換えられる。この冷却および加湿ユニット12aは、相当量の水(水蒸気)を給気に添加する。この実施形態における給気は、給気の加湿をしない実施形態のように低温度まで冷却されない。この実施形態の動作パラメータについて、表1の列「4加湿」に示す。
【0094】
図6は、本発明の第5の実施形態を示す。この実施形態は、第2のボイラ20が存在しないこと以外は、実質的に第2の実施形態に相当する。さらに、機関は、出口において非常に低い排ガス温度で動作する。これらの温度は、−40℃まで低くなることが可能であり、これは、排ガスの水分が、2つの相変化を経ることを意味する。この2つの相変化は、蒸気から液体ならびに液体から固体の変化であり、例えば、機関を出る排ガスは、雪または類似形状の氷を含む。従って、機関は、熱ポンプとしての役割を果たし、これにより、具体的には、電気および地域暖房の供給に使用される熱併給発電プラントなどにおける、機械的エネルギーおよび熱の両方が必要とされる用途において有益になる。
【0095】
低温度の排ガスは、ボイラ23を出る排ガスの温度が比較的低くなるように、ボイラ23において非常に大量のエネルギーを抽出することによって得られる。その後、ターボ過給機における排ガスの膨張によって、排ガス温度がさらに低下する。この温度の低下は、外気温度だけに限定されず、外気温度未満にまで大幅に低下してもよい。従って、燃焼機関は、その環境から低位熱エネルギーを抽出して高位熱を生成するいわゆる熱ポンプに変化する。
【0096】
機関が重油またはディーゼル油で稼働している場合、露点の下流にある排気部分構成要素を耐食材料で構成し、その構成要素が、このような燃料における硫黄含有によりモーターらされる酸性沈殿物に対処できるようにする(凝縮液は、硫酸を含有する)。
【0097】
機関が、天然ガス(LNG)、LPG、DME、アルコール、または実質的に硫黄が含まれないその他の燃料で運転される場合、このような対処は必要とされない。
【0098】
第5の実施形態において、ターボ過給機のタービンの後の排ガスの温度が低いため、低圧側にボイラが存在しない。従って、このシステムは、第1のボイラ23のみをタービンの高圧側に備える。
【0099】
MAN B&W(登録商標)12K98ME機関を使用する際の第5の実施形態の動作パラメータに関する例を、以下の表1の列「5&6」に示す。
【0100】
排ガス流において利用可能なエネルギー(455℃および3.30バール(絶対温度)で160kg/s)は、以下の3つの装置において使用可能である。
1) ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23
2) パワータービン31
3) ターボ過給機のタービン6
【0101】
このシステムは種々の動作点で動作可能であり、第1のボイラ23およびパワータービン31によって排ガスから抽出されるエネルギー量は可変である。
【0102】
ターボ過給機のタービン6の上流にある第1のボイラ23において抽出されるエネルギーによって、ターボ過給機のタービン6およびパワータービン31で利用可能なエネルギーが減少する。
【0103】
第5の実施形態の変形例(図示せず)において、第3の実施形態について上述のとおり、機関には2つのタービンが設けられており、機関は、より高い排ガス温度で動作することも可能になり、また、(機関によって生成される熱電気複合に対して計算される)総合燃料エネルギーではなく、燃料から抽出される回転力量の効率性に焦点を置くことも可能になる。
【0104】
図7は、本発明の第5の実施形態を示す。この実施形態は、ターボ過給機8が省略されること以外は、図6の実施形態に類似している。電動送風機16'(「補助ブロア」の名称は、ここでは適さない)は掃気を加圧する。排ガス側において、高能力のパワータービン31'がターボ過給機のタービンの役割を引き継ぎ、また、送風機16'に電力を提供する電動モーター17'に、発電機32'を介して電気を供給する。高能力の発電機32により生成されるどのような余剰電力も、その他の目的に分配可能である。発電機32により生成される電力の管理は制御ユニット(図示せず)によって対処可能である。この制御ユニットは、電力管理プログラムに従って、または操作者による直接命令に基づいて動作する。タービンと圧縮機との間に固定連結がないため、タービンと圧縮機とを固定軸連結する場合よりも柔軟に、パワータービンで生成されるエネルギーを分配することが可能になることから、この機関はより柔軟な運転を可能とする。電池などのアキュムレータシステム(図示せず)を使用して、送風機16'に必要なエネルギー量の変動を調整することができる。それにより、排ガス流の増加に対するタービンの反応を待たずに、噴射燃料量の増加と同時に送風機出力も増加可能であることから、加速時の機関反応が改善される。
【0105】
第5の実施形態に従う機関は、ボイラ23内で引き抜き可能であるエネルギー範囲において柔軟に動作可能である。従って、地域暖房のために大量の熱が必要とされる「冬」設定または動作状態において、0℃をはるかに下回る出口における排ガス温度で、機関は熱ポンプとして動作し、また、「夏」設定または動作状態では、機関は熱ポンプとして動作されず、また排ガス温度は50℃から200℃の範囲である。夏設定では、第2のタービン(図示せず)を、タービン31'と併用して、またはタービン31'の代わりに使用して、全体有効タービン面積が増加するようにする。あるいは、可変有効タービンを有する単一のタービンを使用することができる。また、動作状態における変化は、ボイラ23において抽出されるエネルギー量によって決定される。ボイラ23で引き抜かれるエネルギー量が多くなればなるほど、タービンを出る排ガス温度は低くなる。
【0106】
「冬」設定において、種々の温度および圧力は、第5の実施形態について提供された例に対応する。表1を参照。
【0107】
第5の実施形態の変形例(図示せず)において、タービン31'は、油圧ポンプを駆動し、送風機16は、油圧モーターによって駆動される(それぞれ、発電機およびモーターの代わりに)。油圧ポンプおよびモーターは、柔軟性のために最終的には可変ストロークを有する容積式装置であることが可能である。油圧ポンプおよびモーターは、導管および弁を介して連結される。この導管および弁は、ポンプにより供給される油圧エネルギーが油圧モーターへの供給に使用されるように、制御装置27によって動作されるようにする。
【0108】
第5の実施形態の別の変形例(図示せず)は、「夏」設定の効率性を最大化するように、180℃の排ガスおよびパワータービン31'の低圧側における第2のボイラで動作される。この場合、機関のパラメータは、「3冷却」の列における第3の実施形態のものに対応する(表1参照)。
【0109】
機関は、上述の2つの極端な場合だけで動作可能であるわけではない。実際の所、機関は、ボイラ23で抽出されるエネルギー量の調整および適切な有効タービン面積の適宜選択により、その間のいかなる所望の温度でタービンを出る排ガス温度であっても動作可能である。本明細書において、機関は、異なる有効タービン面積を有する2つのタービンを備えてもよく、一方のタービンは、小さい有効タービン面積を有し、もう一方のタービンは、より大きい有効タービン面積を有する。この変形例において、機関は、その低圧側における非常に低い排ガス温度のために、小さい有効タービン面積を有するタービンで動作可能であり(熱併給発電プラントにおける冬設定)、その低圧側における中温度の排ガスのために、より大きな有効タービン面積を有するタービンのみで動作可能であり(熱併給発電プラントにおける春/秋設定)、そして、タービンの低圧側における高排ガス温度のために、両方のタービンを並行して動作可能である(熱併給発電プラントにおける夏設定)。
【0110】
図8は、本発明の第7の実施形態を示す。この実施形態は、第4の実施形態に類似している。しかしながら、第7の実施形態において、ターボ過給機8への空気流ならびにターボ過給機/パワータービンからの排ガス流は20%軽減され、その排ガスの20%は、第1のボイラ23、再循環導管19、送風機18、およびスクラバー18aを介して再循環し、インタークーラー12の上流にある導管11における掃気システムに戻る。パワータービン31の出口は、破線で示されるように、第2のボイラ20の入口か、排気導管21の最終部分かに連結される。パワータービン31の出口温度に応じて連結を選択する。パワータービン31の出口温度が、ターボ過給機のタービン6の温度よりも大幅に低い場合、パワータービンの出口は、排気導管21の最終部分に連結される。
【0111】
前述の実施形態と同じ機関を使用するこの実施形態の動作パラメータに関する例を、表1の列「7」に示す。
【0112】
3.6バールの掃気圧力でこの空気量128kg/sを生成するためには、ターボ過給機圧縮機には、約20.000kWのパワー入力が必要となる。
【0113】
このエネルギーは、ターボ過給機のタービンによって排ガスから抽出されなければならない。排ガスは、22.400kWを含む。必要とされる20.000kWを生成するためには、ターボ過給機のタービンは、20000/22400*100%=89%の排ガス流のみを必要とする。残りの11%の排ガス流は、パワータービン31において使用可能である。さらに、排ガス再循環流は、全排ガス流の20%であり、流線における全エネルギーは、第1のボイラ23において利用可能である。
【0114】
第2のボイラ20の入口温度は、ボイラ1において抽出されるエネルギーに応じて可変であり、温度が300°Cを下回ると出口温度が180°Cを下回るため、約300°Cを下回るべきではない(天然ガスまたは別の硫黄を含まない燃料を使用する場合、総合エネルギー効率を最大化するために、排ガスの凝縮または起こり得る凝固を考慮して、より低い温度を選択することが可能である)。
【0115】
パワータービン31は、パワータービン入口温度に応じて、あるいは、パワータービン入口が続く第1のボイラ23で抽出される実際のエネルギー量に応じてのみ、エネルギーを供給する。
【0116】
さらに、ボイラ入口温度は、ターボ過給機出口温度とパワータービン出口温度の混合である。
【0117】
この実施形態は、排ガスの低NOx値を得るということにおいて特に有利である。
[表1]


【0118】
上述の実施形態は、2ステージ蒸気システムで説明された。しかしながら、蒸気システムは、単一ステージのシステムとして、あるいは2つ以上のステージを含むシステムとして実行されることも可能である。
【0119】
図1および2を参照して説明されるような、排ガス受け内に配置されるボイラを有する実施形態は、図3、3a、4、4a、5〜8において説明されたその他の実施形態と組み合わせ可能である。
【0120】
上述の例は全て、その最大連続負荷(Maximum Continuous Rating; MCR)で稼働する機関についてである。これらの機関は、異なる負荷下で稼働可能であり、吸気および排気システムにおける温度および圧力についてその他の値をもたらすことに留意されたい。
【0121】
上述の実施形態および例は、一つの特定モデルの大型2サイクルディーゼル機関に基づいており、その他のサイズおよび種類の燃焼機関は、本明細書に記載される本発明に関連して有利に使用可能である。
【0122】
典型的には、大型2サイクルディーゼル機関のシリンダを出る排ガス温度は、400から500℃の間である。このような機関のシリンダを出る排ガス圧力は、通常は、2バールを上回り、典型的には、3から4バールの間である。
【0123】
特に、タービンの排ガスを外気温度未満へと拡張する概念は、2サイクルおよび4サイクル燃焼機関に使用可能である。
【0124】
請求項で使用される用語の「備える」は、その他の要素またはステップを除外しない。請求項で使用される単数形の用語は、複数形を除外しない。
【0125】
請求項で使用される参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【0126】
説明の目的のために、本発明について詳しく記載されたが、このような詳細が単にその目的のためのものだけではないこと、ならびに本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって変更可能であることを理解されたい。
【0127】
この段落には、本願の原出願(特願2009−503418)について、平成22年3月15日に提出した手続補正書に記載の特許請求の範囲に記載のテキストを収録する。
(1)排ガスがマニホールド管から直接排ガス受けへと流れるように、前記マニホールド管を介して前記排ガス受けに連結されるシリンダと、
前記排ガス受けからターボ過給機のタービンの入口に前記排ガスを導くための上流排ガス導管であって、前記排ガス受けの出口に接続される上流排ガス導管と、
前記ターボ過給機の前記タービンの出口から外部へと前記排ガスを導くための下流排ガス導管と、
前記排ガスから熱エネルギーを回収するための1つ以上の排ガスボイラまたは熱交換器と、
を備えるクロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関であって、前記ボイラまたは熱交換器のうちの少なくとも1つが前記排ガス受け内に配置されることを特徴とする、クロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関。
(2)前記ターボ過給機の低圧側に予熱ボイラをさらに備え、前記排ガス受けに配置される前記ボイラは、前記ターボ過給機の低圧側の前記ボイラによって生成される蒸気を過熱するために使用される、(1)に記載の機関。
(3)前記1つまたは複数のボイラによって生成される蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備える、(1)または(2)に記載の機関。
(4)前記パワータービンは発電機を駆動する、(3)に記載の機関。
(5)前記排ガス受けは複数のボイラを収容する、(1)から(4)のいずれかに記載の機関。
(6)前記複数のボイラは、予熱および過熱ボイラを備える多段階式蒸気過熱蒸気生成システムを形成する、(5)に記載の機関。
(7)前記排ガス受けは、長手方向において、排ガス収集チャネルと熱交換チャネルに分割される、(1)に記載の機関。
(8)前記熱交換チャネルは環状の断面を有し、その中に弧状のボイラ部分が収容される、(7)に記載の機関。
(9)給気圧縮機に連結される排ガスタービンを有するターボ過給機と、
シリンダの下流側で前記ターボ過給機の高圧側に設けられる第1の排ガスボイラと、
前記ターボ過給機の前記高圧側から分岐する排ガスの一部によって駆動されるパワータービンと、
を備え、前記パワータービンで大きな回転エネルギーを発生する代わりに前記ボイラで多量の熱を発生するように運転されうる、クロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関。
(10)前記ターボ過給機の低圧側に第2の排ガスボイラをさらに備える、(9)に記載の機関。
(11)前記第1の排ガスボイラには前記排ガスの全部が流れ、前記パワータービン用の前記排ガスの一部は前記第1の排ガスボイラの下流で分岐する、(10)に記載の機関。
(12)前記第1の排ガスボイラには前記分岐した分の前記排ガスのみが流れる、(10)または(11)に記載の機関。
(13)前記パワータービンを出る前記排ガスは、前記ターボ過給機の低圧側でメインの排ガス流に再流入される、(9)から(12)のいずれかに記載の機関。
(14)前記パワータービンは発電機を駆動する、(9)から(13)のいずれかに記載の機関。
(15)前記第2の排ガスボイラは予熱ボイラとしての役割を果たし、前記第1の排ガスボイラは、前記第2の排ガスボイラによって生成される蒸気を過熱するために使用される、(10)から(14)のいずれかに記載の機関。
(16)前記第1および第2の排ガスボイラによって生成される過熱蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備える、(15)に記載の機関。
(17)前記機関は、高度に過熱された蒸気を得るために、前記第1の排ガスボイラにおいて相当量のエネルギーを回収するように動作し、それによって、前記蒸気タービンの効率性を改善する、(15)に記載の機関。
(18)前記ボイラおよび/またはパワータービンにおけるその後の回収のために、前記排ガスのエネルギー含量を増加させるべく、シリンダに入る掃気が高い絶対水蒸気含量を有するように、前記掃気が比較的高い温度を保つように掃気冷却が行われ、また該掃気が加湿される、(9)から(17)のいずれかに記載の機関。
(19)各々が、それぞれのマニホールド管を介して排ガス受けに連結される複数のシリンダを備え、前記第1の排ガスボイラおよび/または前記第2の排ガスボイラは、前記排ガス受け内に配置される、(10)から(18)のいずれかに記載の機関。
(20)前記第1のおよび/または第2のボイラの冷却能力は、排ガス温度が外気未満となるように選択される、(10)から(19)のいずれかに記載の機関。
(21)前記排ガス流の一部は再循環される、(9)から(20)のいずれかに記載の機関。
(22)再循環される前記排ガスの一部は、前記第1のボイラの下流の排ガス流から分岐される、(21)に記載の機関。
(23)運転条件の調節の自由度を向上させつつ、排ガスからのエネルギーの回収能力をも向上させるために、
発電機を駆動する排ガスタービンと、
電動モーターによって駆動される給気圧縮機と、
シリンダの下流側で前記タービンの高圧側に設けられる、前記排ガスから熱を抽出する熱交換器と、
を備え、前記熱交換器が、前記熱交換器の下流の前記タービンを出る排ガスの温度が外気温度未満になるように、前記熱交換器を出る前記排ガスの温度を低下させるように構成される、クロスヘッド式大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(24)前記発電機から発生した電力が、電力制御プログラム又はオペレータによる操作に従って運転される制御ユニットによって取り扱われる、(23)に記載の大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(25)前記熱交換器は、蒸気を生成するために使用される、(23)または(24)に記載の大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(26)前記発電機により生成される電気エネルギーの一部を蓄積する手段と、前記保存された電気エネルギーを前記電動モーターに供給する手段と、をさらに備える、(25)に記載の大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(27)前記発電機によって生成される前記電気エネルギーと、前記保存されたエネルギーとの分配を制御する手段をさらに備える、(26)に記載の大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(28)前記熱交換器からの熱の補助によって生成される蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備える、(25)から(27)のいずれかに記載の大型過給型2サイクルディーゼル機関。
(29)電力及び熱を発生させるために、熱併給発電プラントにおいて用いられるクロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関であって、
外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を、前記機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、
排ガスによって駆動されるタービンと、
前記シリンダの下流側且つ前記タービンの高圧側に設けられる、前記排ガスから熱を抽出する熱交換器と、
を備え、前記熱交換器および前記タービンは、前記タービンの低圧側における排ガス温度が外気未満となるように構成される、クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関。
(30)外気未満の排ガス温度は、前記熱交換器を通る排ガスの温度低下を促進するための大容量の熱交換器と、排ガスが前記タービン内で膨張する際に排ガスの温度の低下を促進するための小さな有効タービン面積と、によって得られる、(29)に記載の機関。
(31)前記シリンダを出る排ガスの温度は400℃から500℃の間であり、排ガスボイラを出る排ガスの温度は110℃未満であり、前記ボイラを出る排ガスの圧力は2バールを上回る、(29)に記載の機関。
(32)前記タービンおよび前記圧縮機は、ターボ過給機を形成するために、軸によって連結される、(29)から(32)に記載の機関。
(33)特に前記機関がその最大連続負荷において動作する際に、前記機関のシリンダに給気を供給すべく前記タービンを補助する補助ブロアをさらに備える、(32)に記載の機関。
(34)前記ボイラの下流にある前記ターボ過給機タービンへの排ガス流から分岐する排ガスによって駆動されるパワータービンをさらに備える、(32)または(33)に記載の機関。
(35)前記熱交換器によって前記排ガスから抽出される熱で生成される蒸気によって、動力を供給される蒸気タービンをさらに備える、(29)から(34)のいずれかに記載の機関。
(36)前記圧縮機の高圧側に給気加湿ユニットをさらに備える、(29)から(35)のいずれかに記載の機関。
(37)前記タービンを出る前記排ガスの圧力は外気圧力に等しい、あるいは外気圧力よりも若干上回る、(29)から(36)のいずれかに記載の機関。
(38)前記タービンを出る前記排ガスの温度は、少なくとも前記機関がその最大連続負荷で稼働している場合に外気温未満である、(29)から(37)のいずれかに記載の機関。
(39)前記タービンを出る前記排ガスの温度は、少なくとも前記機関がその最大連続負荷で稼働している場合に、−5℃から−40℃の間である、(29)から(38)のいずれかに記載の機関。
(40)前記タービンの代わりに又は前記タービンと併用して使用される別のタービンをさらに備え、前記別のタービンは、前記1つまたは複数のタービンの低圧側における排ガス温度が外気を上回るように有効タービン面積を変更するべく設けられる、(29)から(39)のいずれかに記載の機関。
(41)前記タービンは、様々な温度の排ガス温度で前記機関を動作させるために、有効タービン面積が可変な種類のものである、(29)から(40)のいずれかに記載の機関。
(42)クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関であって、
外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を前記機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、
排ガスによって駆動される、所定の有効タービン面積を有する第1のタービンと、
排ガスによって駆動される、所定の有効タービン面積を有する第2のタービンと、
前記シリンダの下流側で前記タービンの高圧側に設けられる、前記排ガスから熱を抽出する熱交換器と、
前記タービンの低圧側における排ガス温度を調節するために、片方または両方のタービンを選択的に使用し、前記熱交換器によって抽出されるエネルギー量を調節する手段と、
を備える、クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関。
(43)クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関であって、
外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を前記機関のシリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、
排ガスによって駆動される、有効タービン面積が可変のタービンと、
前記シリンダの下流側で前記タービンの高圧側に設けられる、前記排ガスから熱を抽出する熱交換器と、
を備え、前記タービンの低圧側における排ガス温度を変化させ、それによって前記熱交換器によって抽出されるエネルギー量を調節する、クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関。
(44)クロスヘッド式過給型2サイクルディーゼル機関を動作させる方法であって、
前記機関が、外気圧力および外気温度の空気を取り込むための吸気システムであって、圧力が外気を上回る給気を前記機関の前記シリンダに供給するための圧縮機を備える吸気システムと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第1のタービンと、排ガスによって駆動される所定の有効タービン面積を有する第2のタービンと、前記シリンダの下流側で前記タービンの高圧側に設けられる、前記排ガスから熱を抽出する熱交換器とを備え、
前記タービンのいずれか1つ以上の低圧側において様々な排ガス温度が得られるように前記タービンを選択的に使用し、それによって前記熱交換器によって抽出されるエネルギー量を調節することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1の実施形態に従う大型ターボ過給型ディーゼル機関の部分側面図である。
【図2】図1の機関の縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に従うエネルギー回収設備を有する大型ターボ過給型ディーゼル機関を概略的に示す。
【図3A】図3の機関の動作パラメータを示すグラフである。
【図4】本発明の第3の実施形態に従うエネルギー回収設備を有する大型ターボ過給型ディーゼル機関を概略的に示す。
【図4A】図4の機関の動作パラメータを示すグラフである。
【図5】本発明の第4の実施形態に従うエネルギー回収設備を有する大型ターボ過給型ディーゼル機関を概略的に示す。
【図5A】図5の機関の動作パラメータを示すグラフである。
【図6】機関が熱ポンプとして動作する、本発明の別の実施形態を示す。
【図7】ターボ過給機を使用しないが、代わりに、電気的に連結されるタービンおよび送風機が設けられる本発明のさらなる実施形態を示す。
【図8】排ガス再循環を使用する本発明の別の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気圧縮機に連結される排ガスタービンを有するターボ過給機と、
掃気受けへ供給する掃気を圧縮しうるように配される補助ブロアと、
掃気流が前記補助ブロアを迂回しうるように設けられるバイパス管と、
シリンダの下流側で前記ターボ過給機の高圧側に設けられる第1の排ガスボイラと、
前記ターボ過給機の前記高圧側から分岐する排ガスの一部によって駆動されるパワータービンと、
前記ターボ過給機の前記高圧側から分岐する前記排ガスの一部を前記パワータービンへ供給する導管と、
を備える、クロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関。
【請求項2】
前記導管が、前記パワータービンへ供給する排ガスの量を調節する可変流量調節器を備える、請求項1に記載の機関。
【請求項3】
前記パワータービンで大きな回転エネルギーを発生するよりも前記ボイラで多量の熱を発生しうるように構成される、請求項1または2に記載のクロスヘッド式大型2サイクルターボ過給型ディーゼル機関。
【請求項4】
前記ターボ過給機の低圧側に第2の排ガスボイラをさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の機関。
【請求項5】
前記第1の排ガスボイラには前記排ガスの全部が流れ、前記パワータービン用の前記排ガスの一部は前記第1の排ガスボイラの下流で分岐する、請求項4に記載の機関。
【請求項6】
前記第1の排ガスボイラには前記排ガスの一部のみが流れる、請求項4に記載の機関。
【請求項7】
前記パワータービンを出る前記排ガスは、前記ターボ過給機の低圧側でメインの排ガス流に再流入される、請求項4から6のいずれかに記載の機関。
【請求項8】
前記パワータービンは発電機を駆動する、請求項4から7のいずれかに記載の機関。
【請求項9】
前記第2の排ガスボイラは予熱ボイラとしての役割を果たし、前記第1の排ガスボイラは、前記第2の排ガスボイラによって生成される蒸気を過熱するために使用される、請求項4から8のいずれかに記載の機関。
【請求項10】
前記第1および第2の排ガスボイラによって生成される過熱蒸気によって駆動される蒸気タービンをさらに備える、請求項9に記載の機関。
【請求項11】
前記機関は、高度に過熱された蒸気を得るために、前記第1の排ガスボイラにおいて相当量のエネルギーを回収するように動作し、それによって、前記蒸気タービンの効率性を改善する、請求項10に記載の機関。
【請求項12】
前記第1の排ガスボイラおよび/または第2の排ガスボイラおよび/または前記パワータービンにおけるその後の回収のために、前記排ガスのエネルギー含量を増加させるべく、シリンダに入る掃気が高い絶対水蒸気含量を有するように、前記掃気が比較的高い温度を保つように掃気冷却が行われ、また該掃気が加湿される、請求項4から11のいずれかに記載の機関。
【請求項13】
各々が、それぞれのマニホールド管を介して排ガス受けに連結される複数のシリンダを備え、前記第1の排ガスボイラおよび/または前記第2の排ガスボイラは、前記排ガス受け内に配置される、請求項4から12のいずれかに記載の機関。
【請求項14】
前記第1および/または第2の排ガスボイラの冷却能力は、排ガス温度が外気未満となるように選択される、請求項4から13のいずれかに記載の機関。
【請求項15】
前記排ガス流の一部は再循環される、請求項1から14のいずれかに記載の機関。
【請求項16】
再循環される前記排ガスの一部は、前記第1のボイラの下流の排ガス流から分岐される、請求項15に記載の機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−122597(P2011−122597A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13701(P2011−13701)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2009−503418(P2009−503418)の分割
【原出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(597061332)エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー・ティスクランド (98)
【Fターム(参考)】