説明

カテプシンシステインプロテアーゼ阻害剤

本発明は、式(I)
【化1】


(式中、R、R、R、R、R、R、R、X及びYは明細書中に定義してある)
で表わされる新規な分類の化合物であって、カテプシンK、L、S及びBの阻害剤を含むがこれらに限定されないシステインプロテアーゼ阻害剤に関する。これらの化合物は、骨粗鬆症、変形性関節症及びリウマチ様関節炎等の骨吸収阻害が適応される疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒト及び他の哺乳動物における種々の障害は骨吸収異常に関与、又は関連している。このような障害には、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常増加した骨代謝回転、歯周病、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、悪性腫瘍の高カルシウム血症又は多発性骨髄腫を含むがこれらに限定されない。これらの障害の中で最も一般的なものは骨粗鬆症であって、閉経後の女性においてその兆候が最も頻繁に発生する。骨粗鬆症は、結果として骨の脆弱性及び骨折し易さの増加を伴う、低骨質量及び骨組織の微構造的な劣化によって特徴づけられる全身性の骨疾患である。骨粗鬆症の骨折は、高齢世代における病的状態及び死亡の主な原因である。女性の50%及び男性の3分の1が骨粗鬆症の骨折を経験するだろう。大部分の高齢者は、既に低骨密度であり、骨折の高い危険性を有している。骨粗鬆症、及び骨吸収と関連する他の病状を予防及び治療することが大変必要である。骨粗鬆症、及び骨減少に関連する他の疾患は一般に慢性的な病状であるので、適切な治療は、通常、長期間の治療を必要とすると思われる。
【0002】
カテプシンは、システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーに属する。これらのプロテアーゼは、結合組織の正常な生理的及び病的な分解において機能する。カテプシンは、細胞内タンパク質分解及び代謝回転及び再構築において主要な役割を果たしている。今まで、多数のカテプシンが同定され、多くの起源から配列決定されている。これらのカテプシンは、多種多様の組織中で天然に見出される。例えば、カテプシンB、C、F、H、L、K、O、S、V、W及びZがクローニングされている。カテプシンLは、正常なリソソームタンパク質分解、及びメラノーマの転移を含むがこれらに限定されないいくつかの病状において関与している。カテプシンSは、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、並びに若年型糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーヴズ病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎及び橋本甲状腺炎を含むがこれらに限定されない特定の自己免疫疾患;喘息を含むがこれらに限定されないアレルギー性疾患;臓器移植又は組織移植の拒絶を含むがこれらに限定されない同種免疫応答に関与している。カテプシンBレベルの上昇及び酵素の再分配は腫瘍中に見られ、腫瘍浸潤及び転移における役割を示唆している。更に、異常なカテプシンB活性は、リウマチ様関節炎、骨関節炎、ニューモシスティスカリニ肺炎、急性膵炎、炎症性気道疾患並びに骨及び関節の障害に関与している。
【0003】
哺乳動物のカテプシンは、原生動物、扁形動物門、線虫及び節足動物のファミリーを含む、疾病を引き起こす寄生虫によって発現されるパパイン様システインプロテアーゼに関連する。これらのシステインプロテアーゼは、これらの生物のライフサイクルに重要な役割を果たす。ヒトの骨中の主要なコラーゲン、I型コラーゲンはカテプシンKの良好な基質である。Kafienah,W.ら,1998,Biochem J 331:727−732を参照、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。カテプシンKに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた試験管内の実験は、試験管内における骨吸収の減少を示し、それは、おそらくカテプシンKのmRNAの翻訳の減少によるものである。Inui,T.ら,1997,J Biol Chem 272:8109−8112を参照、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。カテプシンKの結晶構造が決定された。McGrath,M.E.ら,1997,Nat Struct Biol :105−109;Zhao,B.ら,1997,Nat Struct Biol :109−11を参照、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。また、カテプシンKの阻害剤をベースとする選択的ペプチドが開発された。Bromme,D.ら,1996,Biochem J 315:85−89;Thompson,S.K.ら,1997,Proc Natl Acad Sci USA 94:14249−14254を参照、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。したがって、カテプシンKの阻害剤は骨吸収を減少する。このような阻害剤は、骨粗鬆症等の骨吸収に関与する障害の治療に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野においては、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常な疾患、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、緑内障、慢性閉塞性肺疾患、並びに転移性骨疾患、悪性腫瘍の高カルシウム血症及び多発性骨髄腫を含む癌を含む、カテプシンKの活性と関連する疾患を治療するための治療用薬剤が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、カテプシン依存性の病状又は病態の治療及び予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療及び予防の可能な化合物に関する。本発明の一実施態様は、式I
【0006】
【化1】

【0007】
で表わされる化合物、及びその医薬的に許容され得る塩、立体異性体及びN−オキシド誘導体によって例証される。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Xはアリール又はヘテロアリールであり;
Yはアリール又はヘテロアリールであり;
は、水素、アリール又は1〜3個のハロで置換されていてもよい、C1−6アルキル又はO(C1−6アルキル)であり;
は、水素、アリール又は1〜3個のハロで置換されていてもよい、C1−6アルキル又はO(C1−6アルキル)であり;
は、水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)SO、(C1−6アルキル)R又は(C1−6アルキル)(C=O)O(C1−6アルキル)Rであり;
は、水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)SO、(C1−6アルキル)R又は(C1−6アルキル)(C=O)O(C1−6アルキル)Rであり;
又はR及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、それらの間でC3−8ヘテロシクリル環を形成し、該環は、独立して、C1−6アルキル、SO(C1−6アルキル)、SO(アリール)又はハロから選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキルであり、該アルキル及びシクロアルキル基はC1−6アルキル又はハロで置換されていてもよく;
はC1−6ハロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロを有する炭素又はヘテロ原子のいずれかで置換されていてもよく;
はSO(C1−6アルキル)、C1−6アルキル又はハロであり;
は水素、C1−6アルキル又はアリールであり;
それぞれのmは、独立して0〜2の整数である。)で表わされる化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体に関する。
【0011】
本発明の一実施態様においては、Xはアリールである。本発明の更なる実施態様においては、Xはフェニルである。
【0012】
本発明の一実施態様においては、Yはアリールである。本発明の更なる実施態様においては、Yはフェニルである。
【0013】
本発明の一実施態様においては、Rは水素である。
【0014】
本発明の一実施態様においては、Rは水素である。
【0015】
本発明の一実施態様においては、Rは(C1−6アルキル)SO又は(C1−6アルキル)Rである。
【0016】
本発明の一実施態様においては、Rは水素である。
【0017】
本発明の一実施態様においては、RはC1−6アルキルである。
【0018】
前述した好ましい実施態様に対する言及は、特に示さない限り、特定の、及び好ましい置換基の組み合わせの全てを含むことを意味する。
【0019】
本発明の特定の実施態様は、
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−アラニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシルグリシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニンアミド;
−[(1S)−1−(アミノカルボニル)−3−(メチルスルホニル)プロピル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(アミノカルボニル)−3−フェニルプロピル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N,N−ジメチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メトキシ−N−メチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−ベンジル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−フェニルアラニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−D−フェニルアラニンアミド;
ベンジル N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−α−アスパラギナート;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−S−メチル−L−システインアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−3−(メチルスルホニル)−L−アラニンアミド;
−(2−オキソアゼチジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(2−オキソピロリジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−2,5−ジオキソピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1,1−ジオキシド−3−オキソイソチアゾリジン−4−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−1−(メチルスルホニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(メチルスルホニル)−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(フェニルスルホニル)−L−メチオニンアミド;又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体若しくはN−オキシド誘導体を含むがこれらに限定されない。
【0020】
また、本発明の範囲には、前述した式Iで表わされる化合物、及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物が含まれる。また、本発明は、医薬的に許容され得る担体、及び具体的に本明細書に開示されるいずれかの化合物を含む医薬組成物を含むことを意図する。本発明の、これら、及び他の側面は、本明細書に含まれる教示から明らかであろう。
(有用性)
【0021】
本発明の化合物はカテプシンの阻害剤であり、それ故、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシン依存疾患又は病状を治療又は予防するのに有用である。特に、本発明の化合物はカテプシンKの阻害剤であり、それ故、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシンK依存疾患又は病状を治療又は予防するのに有用である。
【0022】
本発明の化合物はそれらが他のカテプシンを超えた、顕著に向上した選択性を有するという点で、当該技術分野において公知の構造的に類似の構造の化合物を超えた利点を有する。特に、本発明の化合物は、カテプシンBに対して100000倍を超え、カテプシンLに対して最大55000倍の、カテプシンSに対して77000倍の選択性を有する。
【0023】
「カテプシン依存疾患又は病状」は、1以上のカテプシンの活性に依存する病状を意味する。「カテプシンK依存疾患又は病状」は、そのカテプシンKの活性に依存する病状を意味する。カテプシンKの活性に関連する疾患には、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常疾患、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、緑内障、慢性閉塞性肺疾患、並びに転移性骨疾患、悪性腫瘍の高カルシウム血症及び多発性骨髄腫を含む癌が含まれる。本発明の化合物を用いた、このような病状の治療においては、治療に必要な量は、特定の疾患によって変化し、当業者によって容易に確認される。治療及び予防の両方は、本発明の範囲として意図されるが、これらの病状の治療が好ましい用途である。
【0024】
本発明の一実施態様は、カテプシン活性の阻害を必要とする哺乳動物において、かかる阻害をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0025】
その実施態様の1つの分類は、カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0026】
本発明の他の実施態様は、カテプシン依存状態の治療又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療又は予防をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0027】
その実施態様の1つの分類は、カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0028】
本発明の他の実施態様は、骨量の減少の抑制を必要とする哺乳動物において、かかる抑制をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。本発明の他の実施態様は、骨量の減少を少なくすることを必要とする哺乳動物において、かかる減少を少なくする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。本発明の更なる実施態様は、異常増加した骨代謝回転及び骨折の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。骨吸収の抑制におけるカテプシンK阻害剤の有用性は文献において公知であり、Stroup,G.B.,Lark,M.W.,Veber,DF.,Bhattacharrya,A.,Blake,S.,Dare,L.C.,Erhard,K.F.,Hoffman,S.J.,James,I.E.,Marquis,R.w.,Ru,Y.,Vasko−Moser,J.A.,Smith,B.R.,Tomaszek,T.and Gowen,M.”Potent and selective inhibition of human cathepsin K leads to inhibition of bone resorption in vivo in a nonhuman primate.”J.Bone Miner.Res.,16:1739−1746;2001;及びVotta,B.J.,Levy,M.A.,Badger,A.,Dodds,R.A.,James,I.E.,Thompson,S.,Bossard,M.J.,Carr,T.,Connor,J.R.,Tomaszek,T.A.,Szewczuk,L.,Drake,F.H.,Veber,D.,and Gowen,M.”Peptide aldehyde inhibitors of cathepsin K inhibit bone resorption both in vivo and in vitro.”J.Bone Miner.Res.12:1396−1406;1997を参照されたい。
【0029】
本発明の他の実施態様は、骨粗鬆症の治療又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療又は予防をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症を含む骨粗鬆症の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は文献において公知であり、Saftig,P.,Hunziker,E.,Wehmeyer,O.,Jones,S.,Boyde,A.,Rommerskirch,W.,Moritz,J.D.,Schu,P.,and Vonfigura,K.”Impaired osteoclast bone resorption leads to osteopetrosis in cathepsin K−deficient mice.”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13453−13458;1998を参照されたい。
【0030】
本発明の他の実施態様は、歯周病又は歯の脱落の治療又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療又は予防をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。歯周病又は歯の脱落の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は文献において公知であり、Sasaki,T.,“Differentiation and functions of osteoclasts and osontoclasts in mineralized tissue resorption,”Microsc Res Tech.2003 Aug 15;61(6):483−95を参照されたい。
【0031】
本発明の他の実施態様は、リウマチ様関節炎又はリウマチ様関節炎状態の治療又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療又は予防をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。関節周囲の骨の進行性破壊が、リウマチ様関節炎を患っている患者における関節機能障害及び身体障害の主原因であることは文献において公知である。Goldring SR,“Pathogenesis of bone erosions in rheumatoid arthritis”.Curr.Opin.Rheumatol.2002;14:406−10を参照されたい。リウマチ様関節炎を患っている患者由来の関節組織の解析は、カテプシンK陽性の破骨細胞が、リウマチ滑膜損傷と関連する病巣の骨吸収を介在する細胞型である証拠を提供する。Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein,MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,“Comparison of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74を参照されたい。更に、全身性の骨量の減少は、重篤なリウマチ性関節炎に関連する病的状態の主原因である。また、腰及び脊髄骨折の頻度は、慢性リウマチ様関節炎を患っている患者においては実質的に増加する。Gould A,Sambrook,P,Devlin J et al,“Osteoclastic activation is the principal mechanism leading to secondary osteoporosis in rheumatoid arthritis”.J.Rheumatol.1998;25:1282−9を参照されたい。関節下骨における再吸収、及び全身性の骨量の減少の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、リウマチ様関節炎の進行における薬学的診療についてのアプローチとして合理的である。
【0032】
本発明の他の実施態様は、変形性関節症の治療又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療又は予防をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。変形性関節症(OA)が、関節軟骨表面の腐食、関節周囲の軟骨内骨化/骨増殖症、軟骨下骨硬化症及び嚢胞形成を含む、関節における明確な変化とともに起こることは文献において公知である。Oettmeier R,Abendroth,K,“Osteoarthritis and bone:osteologic types of osteoarthritis of the hip”,Skeletal Radiol.1989;18:165−74を参照されたい。最近、変形性関節症の発症及び進行に対する軟骨下骨硬化症の潜在的な寄与が議論されている。反復性の衝撃荷重に応答して関節として補強された軟骨下骨は、荷重を関節を通して減弱及び分解することができず、関節の軟骨表面を横断するより大きな機械的ストレスを受ける。これは、順々に軟骨の摩耗及び繊維状構造化を促進する。Radin,EL and Rose RM,“Role of subchondral bone in the initiation and progression of cartilage damage”,Clin.Orthop.1986;213:34−40を参照されたい。カテプシンK阻害剤等の抗吸収剤による過剰の関節下骨の再吸収の阻害は、軟性下骨の回転の阻害をもたらし、変形性関節症の進行において有利な影響を有する。
【0033】
前記仮説に加え、最近、カテプシンKタンパク質の発現は、滑膜由来の滑膜繊維芽細胞、マクロファージ様細胞、及び軟骨細胞、並びに変形性関節症患者由来の関節軟骨試料において同定された。Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein,MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,“Comparison of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74;及びDodd,RA,Connor,JR,Drake,FH,Gowen,M,“Expression of Cathepsin K messenger RNA in giant cells and their precursors in human osteoarthritic synovial tissues”.Arthritis Rheumatism 1999;42:1588−93;and Konttinen,YT,Mandelin,J,Li,T−F,Salo,J,Lassus,J et al.“Acidic cysteine endoproteinase cathepsin K in the degeneration of the superficial articular hyaline cartilage in osteoarthritis”,Arthritis Rheumatism 2002;46:953−60を参照されたい。したがって、これらの最近の研究は、変形性関節症の進行と関連する関節軟骨におけるII型コラーゲンの破壊におけるカテプシンKの役割を示す。したがって、本発明に開示されたように、変形性関節症の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、2種の異なるメカニズムを含み、第一は、破骨細胞誘導性軟骨下骨の回転の阻害であり、第二は、変形性関節症を患っている患者の滑膜及び軟骨におけるII型コラーゲンの変性の直接的阻害である。
【0034】
本発明の他の実施態様は、プロテーゼ周囲骨溶解の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。プロテーゼ周囲骨溶解の治療のためのカテプシンK阻害剤の使用は文献において議論されている。Mandelin,J.,et al.,“Interface tissue fibroblasts from loose total hip replacement prosthesis produce receptor activator of nuclear factor−kappaB ligand,osteoprotegerin and cathepsin K,”J Rheumatol.2005 Apr;32(4):713−20を参照されたい。
【0035】
本発明の他の実施態様は、パジェット病、骨形成不全症、及び多発性骨髄腫由来の骨病変等の骨疾患の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。パジェット病、骨形成不全症、及び多発性骨髄腫由来の骨病変の治療のためのカテプシンK阻害剤の使用は文献において議論されている。Lipton,A.,“New therapeutic agents for the treatment of bone diseases,”Expert Opin Biol Ther.2005 Jun;5(6):817−32を参照されたい。
【0036】
本発明の他の実施態様は、癌の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。ヒト乳癌、前立腺癌及び脊索腫においてカテプシンKが発現し、マトリックス分解能力を有することは文献において公知である。Littlewood−Evans AJ,Bilbe G,Bowler WB,Farley D,Wlodarski B,Kokubo T,Inaoka T,Sloane J,Evans DB,Gallagher JA,“The osteoclast−associated protease cathepsin K is expressed in human breast carcinoma.”Cancer Res 1997 Dec 1;57(23):5386−90,.Brubaker KD,Vessella RL,True LD,Thomas R,Corey E“Cathepsin K mRNA and protein expression in prostate cancer progression.”J Bone Miner Res 2003 18,222−30,Haeckel C,Krueger S,Kuester D,Ostertag H,Samii M,Buehling F,Broemme D,Czerniak B,Roessner A.“Expression of cathepsin K in chordoma.”Hum Pathol 2000 Jul;31(7):834−40を参照されたい。
【0037】
本発明の他の実施態様は、アテローム性動脈硬化症の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。ヒトアテロームにおいてカテプシンKが発現し、かなりのエラスターゼ活性を有することは文献において公知である。Sukhova GK,Shi GP,Simon DI,Chapman HA,Libby P.“Expression of the elastolytic cathepsins S and K in human atheroma and regulation of their production in smooth muscle cells.”J Clin Invest 1998 Aug 102,576−83を参照されたい。
【0038】
本発明の他の実施態様は、肥満症の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。肥満症のマウスモデルにおいて脂肪組織中、また、肥満の男性のヒトの脂肪組織中のカテプシンKのmRNAが増加することは文献において公知である。Chiellini C,Costa M,Novelli SE,Amri EZ,Benzi L,Bertacca A,Cohen P,Del Prato S,Friedman JM,Maffei M.“Identification of cathepsin K as a novel marker of adiposity in white adipose tissue.”J Cell Physiol 2003,195,309−21を参照されたい。
【0039】
本発明の他の実施態様は、緑内障の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。カテプシンKは、虹彩、毛様体、網膜色素上皮において高度に発現しており、これらは緑内障の治療において有用である。Ortega,J.,et al.,“Gene Expression of Proteases and Protease Inhibitors in the Human Ciliary Epithelium and ODM−2 cells,”Exp.Eye Res(1997)65,289−299;International Publication WO2004/058238(Alcon,Inc.)を参照されたい。
【0040】
本発明の他の実施態様は、慢性閉塞性肺疾患の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。カテプシンKが肺線維症において役割を果たしていることは文献において公知である。Buhling,F.,et al.,“Pivotal role of cathepsin K in lung fibrosis,”Am J Pathol.2004 Jun;164(6):2203−16を参照されたい。
【0041】
本発明の他の実施態様は、寄生虫感染の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。哺乳動物のカテプシンが、これらの寄生虫のライフサイクルにおいて重要な役割を果たす、パパイン様システインプロテアーゼと関連していることは文献において公知である。このような寄生虫は、マラリア疾患、アメリカトリパノソーマ症、アフリカトリパノソーマ症、レーシュマニア症、ランブル鞭毛虫症、トリコモナス症、アメーバ症、住血吸虫症、肝蛭症、肺吸虫症及び腸管内線虫に関与している。Lecaille F,Kaleta J,Bromme D.,”Human and parasitic papain−like cysteine proteases:their role in physiology and pathology and recent developments in inhibitor design.”Chem Rev 2002 102,4459−88を参照されたい。
【0042】
本発明の他の実施態様は、重篤な急性呼吸不全症候群(SARS)の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0043】
本発明の他の実施態様は、転移性骨疾患の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をする方法であって、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む方法である。破骨細胞が骨吸収の原因であり、転移性腫瘍によって誘導される骨の破壊及び高カルシウム血症が破骨細胞によって実施されることは文献において公知である。したがって、破骨細胞の阻害は、骨の破壊及び骨転移を予防することができる。Miyamoto,T.and Suda,T.,“Differentiation and function of osteoclasts,”Keio J Med 2003 Mar;52(1):1−7を参照されたい。
【0044】
本発明の他の実施態様は、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、癌、並びに若年型糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーヴズ病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎及び橋本甲状腺炎を含むがこれらに限定されない特定の自己免疫疾患;喘息を含むがこれらに限定されないアレルギー性疾患;臓器移植又は組織移植の拒絶を含むがこれらに限定されない同種免疫応答を含む、カテプシンSに関連する哺乳動物の治療のために、前述の化合物のいずれか、又は医薬組成物のいずれかの治療的に有効量をその哺乳動物に投与することを含む。カテプシンS活性が前記病状と関連していることは文献において公知である。Munger JS,Haass C,Lemere CA,Shi GP,Wong WS,Teplow DB,Selkoe DJ,Chapman HA.”Lysosomal processing of amyloid precursor protein to A beta peptides:a distinct role for cathepsin S.” Biochem J 1995 311,299−305,Sukhova GK,Zhang Y,Pan JH,Wada Y,Yamamoto T,Naito M,Kodama T,Tsimikas S,Witztum JL,Lu ML,Sakara Y,Chin MT,Libby P,Shi GP. ”Deficiency of cathepsin S reduces atherosclerosis in LDL receptor−deficient mice.” J Clin Invest 2003 111,897−906,Zheng T,Zhu Z,Wang Z,Homer RJ,Ma B,Riese RJ Jr,Chapman HA Jr,Shapiro SD,Elias JA. ”Inducible targeting of IL−13 to the adult lung causes matrix metalloproteinase−and cathepsin−dependent emphysema.” J Clin Invest 2000 106,1081−93,Shi GP,Sukhova GK,Kuzuya M,Ye Q,Du J,Zhang Y,Pan JH,Lu ML,Cheng XW,Iguchi A,Perrey S,Lee AM,Chapman HA,Libby P. ”Deficiency of the cysteine protease cathepsin S impairs microvessel growth.” Circ Res 2003 92,493−500,Nakagawa TY,Brissette WH,Lira PD,Griffiths RJ,Petrushova N,Stock J,McNeish JD,Eastman SE,Howard ED,Clarke SR,Rosloniec EF,Elliott EA,Rudensky AY. ”Impaired invariant chain degradation and antigen presentation and diminished collagen−induced arthritis in cathepsin S null mice.” Immunity 1999 10,207−17を参照されたい。
【0045】
本発明の例示は、骨粗鬆症の治療及び/又は予防を必要とする哺乳動物において、かかる治療及び/又は予防をするための医薬の製造における、前記化合物のいずれかの使用である。更なる本発明の例示は、骨量の減少、骨吸収、骨折、転移性骨疾患及び/又はカテプシンの機能に関連する疾患の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、前記化合物のいずれかの使用である。
【0046】
本発明の化合物は、標準的薬学のプラクティスに従って、単独で、又は好ましくは医薬組成物中で医薬的に許容され得る担体又は希釈剤と、任意にミョウバン等の公知のアジュバントと組み合わせて、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。該化合物は、経口的、又は静脈注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、直腸及び局所投与を含む非経口的に投与することができる。
【0047】
経口使用のための錠剤の場合、一般に用いられる担体には、乳糖及びコーンスターチが含まれ、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤が一般に用いられる。カプセル型における経口投与のために有用な希釈剤には、乳糖及び乾燥コーンスターチが含まれる。本発明の治療化合物の経口使用のために、例えば、選択された化合物は、錠剤又はカプセル剤の形態で、又は水溶液又は懸濁液として投与することができる。錠剤又はカプセル剤の形態における経口投与のために、活性薬剤成分は、乳糖、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等の経口的、無毒な医薬的に許容され得る不活性な担体と組み合わせることができ、液状形態の経口投与のために、エタノール、グリセロール、水等の任意の経口的、無毒な医薬的に許容され得る不活性の担体と組み合わせることができる。更に、所望又は必要であれば、適切なバインダー、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤も混合物に取り込むことができる。適切なバインダーには、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ−乳糖等の天然の糖、コーンシロップ、アラビアゴム、トラガントゴム又はアルギン酸ナトリウム等の、天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が含まれる。これらの投与形態に用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が含まれるが、これらに限定されない。経口使用のために水性懸濁液が要求される場合、活性成分は乳化剤及び懸濁剤と組み合わせられる。所望であれば、特定の甘味料及び/又は着香料を加えてもよい。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内の使用のために、通常、活性成分の無菌溶液が調製され、溶液のpHは、適切に調製され、緩衝される。静脈内の使用のために、溶質の全濃度は、製剤に等張を付与するために制御されるべきである。
【0048】
また、本発明の化合物は、小さい単層のベシクル、大きい単層のベシクル及び多層のベシクル等のリポソーム送達システムの形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の種々のリン脂質から製造することができる。
【0049】
また、本発明の化合物は、個々の担体として、前記化合物が結合したモノクローナル抗体の使用によって送達することができる。また、本発明の化合物は、目標を設定可能な薬剤担体として可溶性ポリマーと結合することができる。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれる。更に、本発明の化合物は、薬剤の放出を制御するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のコポリマー、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性のブロックコポリマーと結合してもよい。
【0050】
また、本発明の化合物は、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常増加した骨代謝回転、歯周病、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性腫瘍の高カルシウム血症及び多発性骨髄腫の治療又は予防に有用な公知の薬剤と組み合わせることが有用である。本発明の化合物と、骨粗鬆症又は他の骨疾患の治療又は予防に有用な他の薬剤との組み合わせは本発明の範囲内である。当業者は、薬剤の特定の性質及び関与する疾患に基づいて、どの薬剤の組み合わせが有用であるかを識別することができる。このような薬剤には、以下のもの、すなわち、有機ビスホスフォネート;エストロゲン受容体モジュレータ;アンドロゲン受容体モジュレータ;破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤;HMG−CoAレダクターゼの阻害剤;インテグリン受容体アンタゴニスト;PTH等の骨芽細胞同化剤;ビタミンD;合成ビタミンD類似体;非ステロイド性抗炎症剤;選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤;インターロイキン−1βの阻害剤;LOX/COX阻害剤;及びそれらの医薬的に許容され得る塩及び混合物が含まれる。好ましい組み合わせは、本発明の化合物、及び有機ビスホスフォネートである。他の好ましい組み合わせは、本発明の化合物、及びエストロゲン受容体モジュレータである。他の好ましい組み合わせは、本発明の化合物、及びアンドロゲン受容体モジュレータである。他の好ましい組み合わせは、本発明の化合物、及び骨芽細胞同化剤である。
「有機ビスホスフォネート」は、化学式
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、nは0〜7の整数であり、A及びXは、独立して、H、OH、ハロゲン、NH、SH、フェニル、C−C30アルキル、C−C30分岐状の又はシクロアルキル、2又は3個のNを含む二環式構造、C−C30置換アルキル、C−C10アルキル置換NH、C−C10分岐状の又はシクロアルキル置換NH、C−C10ジアルキル置換NH、C−C10アルコキシ、C−C10アルキル置換チオ、チオフェニル、ハロフェニルチオ、C−C10アルキル置換フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、及びベンジルから選択され(ただし、nが0である場合にA及びXはH又はOHから選択されない)、又はA及びXは、炭素原子又はそれらが結合する原子と一緒になってC−C10環を形成する)で表わされる化合物を含むがこれらに限定されない。
【0053】
前記化学式において、アルキル基は、その化学式のために十分な原子が選択されるのであれば、直鎖状、分岐状又は環状であってもよい。該C−C30置換アルキルは、フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、NH、C−C10アルキル又はジアルキル置換NH、OH、SH及びC−C10アルコキシから選択される置換基を含む非限定的な具体例である多種多様の置換基を含む。
【0054】
また、前記化学式は、ナフチル、キノリル、イソキノリル、アダマンチル及びクロロフェニルチオを含む非限定的な具体例である、A及び/又はX置換基について、複合炭素環、芳香族及びヘテロ原子構造を含むことを意図する。
【0055】
ビスホスフォネートの医薬的に許容され得る塩及び誘導体は、また本明細書において有用である。塩の非限定的な具体例には、アルカリ金属、アルカリ性金属、アンモニウム、及びモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−C−C10−アルキル置換アンモニウムからなる群から選択される塩が含まれる。好ましい塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアンモニウム塩からなる群から選択される塩である。更に好ましくはナトリウム塩である。誘導体の非限定的な具体例には、エステル、水和物及びアミドからなる群から選択される誘導体が含まれる。
【0056】
本発明の治療薬に関連して本明細書で用いられるように、「ビスホスフォネート」及び「ビスホスフォネート類」なる用語は、ジホスホン酸塩、ビホスホン酸、ジホスホン酸、及びこれらの物質の塩及び誘導体を含むことをも意味することに注意すべきである。ビスホスフォネート及びビスホスフォネート類に関連して特定の命名法の使用は、特に示されない限り本発明の範囲を限定することを意味しない。当業者によって現在用いられている雑多な命名法のため本発明のビスホスフォネート化合物の特定の重量又は割合への言及は、本明細書で特に示されない限り、酸の活性な重量ベースによる。例えば、「アレンドロン酸の活性重量ベースによる、アレンドロネート、その医薬的に許容され得る塩及びそれらの混合物からなる群から選択される、約5mgの骨吸収抑制ビスホスフォネート」なる語句は、選択されたビスホスフォネート化合物の量が、5mgのアレンドロン酸をベースに計算されることを意味する。
【0057】
本明細書において有用な、非限定的なビスホスフォネート類の具体例には、以下のものが含まれる。
【0058】
アレンドロン酸、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸、アレンドロン酸ナトリウム、又はアレンドロン酸一ナトリウム三水和物、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸一ナトリウム三水和物として知られるアレンドロネート。
【0059】
アレンドロネートは、1990年5月1日に発行された、Kieczykowskiらに対する米国特許第4,922,007号明細書、1991年5月28日に発行された、Kieczykowskiらに対する米国特許第5,019,651号明細書、1996年4月23日発行された、Dauerらに対する米国特許第5,510,517号明細書、1997年7月15日に発行された、Dauerらに対する米国特許第5,648,491号明細書に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0060】
1990年11月13日に発行された、Isomuraらに対する米国特許第4,970,335号明細書に開示されたような、シクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ビスホスホン酸、YM175、Yamanouchi(以前はシマドロネートとして知られていたインカドロネート)は参照することにより全て本明細書に組み入れられる。。
【0061】
1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)、及び二ナトリウム塩(クロドロン酸塩、Procter and Gamble)は、ベルギー特許第672,205号明細書(1966)及びJ.Org.Chem 32,4111(1967)に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0062】
1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(EB−1053)。
【0063】
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)。
【0064】
BM−210955,Boehringer−Mannheim(イバンドロネート)としても知られる、1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸は、1990年5月22日に発行された、米国特許第4,927,814明細書に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0065】
1−ヒドロキシ−2−イミダゾ−(1,2−a)ピリジン−3−エチリデン(ミノドロネート)。
【0066】
6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−1,1−ビスホスホン酸(ネリドロネート)。
【0067】
3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(オルパドロネート)。
【0068】
3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロネート)。
【0069】
[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸(ピリドロネート)は、米国特許第4,761,406号明細書に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0070】
1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(リセドロネート)。
【0071】
1989年10月24日のBreliereらに対する、米国特許第4,876,248号明細書に開示されたような、(4−クロロフェニル)チオメタン−1,1−ジスホスホン酸(チルドロネート)は参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0072】
1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(ゾレドロネート)。
【0073】
ビスホスフォネートの非限定的な具体例には、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート、及びゾレンドロネート、及びそれらの医薬的に許容され得る塩及びエステルが含まれる。特に好ましいビスホスフォネートはアレンドロネート、特にアレンドロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又はアンモニア塩である。具体的な好ましいビスホスフォネートは、アレンドロン酸のナトリウム塩、特にアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。該塩は、整数モルの水、又は整数でないモルの水で水和され得る。更に、具体的な好ましいビスホスフォネートは、アレンドロン酸の水和ナトリウム塩であり、特に、アレンドロネート・一ナトリウム・三水和物である。
【0074】
2種以上のビスホスフォネート活性の混合物を使用することができることが認識される。
【0075】
有機ビスホスフォネートの正確な投与量は、投与スケジュール、選択された特定のビスホスフォネート、哺乳動物又はヒトの年齢、サイズ、性及び病状、治療すべき障害の性質及び重症度、並びに医学的及び身体的要因によって変化する。したがって、正確な薬学的に有効な量は、前もって特定することができず、介護者又は臨床医によって容易に決定することができる。適当な量は、動物モデル及びヒトの臨床研究からの所定の実験によって決定することができる。一般に、ビスホスフォネートの適当な量は、骨吸収抑制効果を得るために選択され、すなわち、ビスホスフォネートの骨吸収抑制量が投与される。ヒトについては、ビスホスフォネートの効果的な経口投与量は、通常、約1.5〜約6000μg/体重1kg、好ましくは約10〜約2000μg/体重1kgである。アレンドロネート・一ナトリウム・三水和物については、投与される、通常のヒトの投与量は、一般に、約2mg/日〜約40mg/日の範囲、好ましくは約5mg/日〜約40mg/日の範囲である。米国において、アレンドロネート・一ナトリウム・三水和物について承認された投与量は、骨粗鬆症の予防のために5mg/日であり、骨粗鬆法の治療のために10mg/日であり、パジェット病の治療のために40mg/日である。
【0076】
代替的な投薬計画においては、ビスホスフォネートは、毎日でない間隔で、例えば、週に1回投与、週に2回投与、2週に1回投与、及び月に2回投与で投与することができる。週1回の投薬計画においては、アレンドロネート・一ナトリウム・三水和物は、35mg/週又は70mg/週で投与される。
【0077】
「選択的エストロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムに関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体モジュレータの具体例は、エストロゲン、プロゲストゲン、エストラジオール、ドロロキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424,タモキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646等を含むがこれらに限定されない。
【0078】
「エストロゲン受容体βモジュレータ」は、エストロゲン受容体β(ERβ)に対して活性化又は拮抗する化合物である。活性化されたERβは、ERβ介在事象によってトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子(TPH、セロトニン合成におけるキー酵素)の転写を増加する。エストロゲン受容体βアゴニストの具体例は、2001年11月8日に公開された国際出願公開WO01/82923、2002年5月20日に公開されたWO02/41835に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0079】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムに関係なく、アンドロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体モジュレータの具体例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及び酢酸アビラテロンを含む。
【0080】
「破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤」は、破骨細胞の頂端膜に見出され、骨吸収工程において重要な役割を果たすことが報告されているプロトンATPアーゼの阻害剤を意味する。このプロトンポンプは、潜在的に骨粗鬆症及び関連代謝性疾患の治療及び予防のために有用である、骨吸収の抑制剤の設計のための魅力的な標的を意味する。C.Farinaら,“Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents,”DDT,4:163−172(1999))を参照されたい。これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。
【0081】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を意味する。HMG−CoAレダクターゼの阻害活性を有する化合物は、当該技術分野において周知のアッセイを用いて容易に特定することができる。例えば、米国特許第4,231,938号明細書のカラム6、及びWO84/02131の30〜33頁に開示又は引用されているアッセイを参照されたい。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」及び「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」なる用語は、本明細書で用いられる場合、同じ意味を有する。
【0082】
使用し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の具体例に、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号、第4,294,926号及び第4,319,039号を参照)、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号、第4,820,850号及び第4,916,239号を参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号及び第5,180,589号参照)、フルバスタチン(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、第5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号及び第5,356,896号を参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号及び第5,342,952号を参照)及びセリバスタチン(リバスタチン及びBAYCHOL(登録商標)としても知られる;米国特許第5,177,080号を参照)を含むがこれらに限定されない。本発明の方法において用いることができる、これらの及び追加のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、M.Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs”,Chemistry & Industry,pp.85−89(1996年2月5日)の87頁、及び米国特許第4,782,084号及び第4,885,314号に開示されている。本明細書で用いられるように、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤なる用語には、全ての医薬的に許容され得るラクトン及び開環酸型(すなわち、ラクトン環が開環して遊離の酸を形成している)、並びにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステル型を含むものであり、したがって、このような塩、エステル、開環酸およびラクトン型の使用は本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分とそれ相当する開環酸型の図を構造式I及びIIとして以下に示す。
【0083】
【化4】

【0084】
開環酸型が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤においては、塩及びエステル型は好ましくは開環酸から形成することができ、そのような型は全て、本明細書で用いられる「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」なる用語に含まれる。好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン及びシンバスタチンから選択され、最も好ましくはシンバスタチンである。本明細書において、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤に関して、「医薬的に許容され得る塩」なる用語は、適当な有機又は無機塩基と前記遊離酸とを反応させることにより製造される本発明で用いられる化合物の無毒の塩を意味するものであり、特にはナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛及びテトラメチルアンモニウム等のカチオンから形成されるもの、及びアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等のアミンから形成される塩がある。塩の形態のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の更なる具体例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロマイド、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クロライド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨーダイド、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)及び吉草酸塩等を含むがこれらに限定されない。
【0085】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収されると、薬剤形を放出してその薬剤が改善された治療効力を与えることができるような形で開裂し得るプロドラッグとして働くことができる。
【0086】
前記で用いられたように、「インテグリン受容体アンタゴニスト」は、αβインテグリンに対する生理的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害又は中和する化合物、αβインテグリンに対する生理的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害又は中和する化合物、αβインテグリン及びαβインテグリンの両方に対する生理的リガンドの結合を拮抗、阻害又は中和する化合物、及び毛細管内皮細胞上に発現する特定のインテグリンの活性を拮抗、阻害又は中和する化合物を意味する。該用語は、また、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンを意味する。該用語は、また、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストをも意味する。PNAS USA 96:1591−1596(1999)において、H.N.Lode及び共同研究者は、自然腫瘍転移の根絶における、抗血管形成αvインテグリンアンタゴニストと腫瘍特異的抗体−サイトカイン(インターロイキン−2)融合タンパク質との間の相乗効果を認めている。それらの結果は、癌及び転移性腫瘍増殖の治療についての可能性を有するとしてこの組み合わせを示した。αβインテグリン受容体アンタゴニストは、全ての現在利用できる薬剤とは異なる新規なメカニズムにより、骨吸収を阻害する。インテグリンは、細胞−細胞及び細胞−マトリックス相互作用を媒介する、ヘテロ二量体性の膜貫通性接着受容体である。α及びβインテグリンサブユニットは非共有結合的に相互作用し、二価のカチオン依存様式で細胞外マトリックスリガンドと結合する。破骨細胞のほとんどのインテグリンは、細胞遊走及び極性化のために重要な細胞骨格形成において、速度を制限する役割を有すると思われるαβである(>10/破骨細胞)。αβ拮抗効果は、骨吸収の抑制、再狭窄の抑制、黄斑変性の抑制、関節炎の抑制並びに癌及び転移性増殖の抑制から選択される。
【0087】
「骨芽細胞同化剤」は、PTH等の骨を構築する薬剤を意味する。副甲状腺ホルモン(PTH)又はそのアミノ末端フラグメント及び類似体の断続的な投与は、動物及びヒトにおいて、骨量の減少を予防、制止、一部逆転し、骨形成を促進すると思われる。議論については、D.W.Dempsterら,“Anabolic actions of parathyroid hormone on bone,”Endocr Rev 14:690−709(1993)を参照されたい。研究は、骨形成の促進における副甲状腺ホルモンの臨床的有益性、それによる骨量及び強度の上昇を証明した。結果は、RM NeerらによりNew Eng J Med 344 1434−1441(2001)に報告された。
【0088】
更に、副甲状腺ホルモン関連タンパク質のフラグメント及び類似体、例えばPTHrP−(1−36)は、強力な抗カルシウム尿(anticalciuric)効果(M.A.Syedら,“Parathyroid hormone−related protein−(1−36)stimulates renal tubular calcium reabsorption in normal human volunteers:implications for the pathogenesis of humoral hypercalcemia of malignancy,”JCEM 86:1525−1531(2001)を参照されたい。)、及び骨粗鬆症の治療のための同化剤としての可能性を証明した。
【0089】
「ビタミンD」には、天然の、ビタミンDのヒドロキシル化された生物学的活性代謝物の不活性前駆体である、ビタミンD(コレカルシフェロール)及びビタミンD(エルゴカルシフェロール):1α−ヒドロキシビタミンD;25−ヒドロキシビタミンD、及び1α,25−ジヒドロキシビタミンDを含むがこれらに限定されない。ビタミンD及びビタミンDは、ヒトにおいて同一の生物学的効果を有する。ビタミンD又はDが血液の循環内に入ると、チトクロームP450−ビタミンD−25−ヒドロキシラーゼによりヒドロキシル化され、25−ヒドロキシビタミンDとなる。25−ヒドロキシビタミンD代謝物は生物学的に不活性であり、腎臓中でチトクロームP450−モノオキシゲナーゼ、25(OH)D−1α−ヒドロキシラーゼによってヒドロキシル化され、1,25−ジヒドロキシビタミンDとなる。血清中のカルシウムが減少すると、カルシウムホメオスタシスを調節し、25−ヒドロキシビタミンDの1,25−ジヒドロキシビタミンDへの変換を増加することにより血漿カルシウムレベルを増加させる副甲状腺ホルモン(PTH)の生産が増加する。
【0090】
1,25−ジヒドロキシビタミンDは、カルシウム及び骨の代謝におけるビタミンDの効果に関与していると考えられる。1,25−ジヒドロキシ代謝物は、カルシウム吸収及び骨格の完全性の維持に必要な活性ホルモンである。カルシウムホメオスタシスは、単球性幹細胞の破骨細胞への分化を誘導することにより、及びヒドロキシアパタイトカルシウムの骨表面への沈着による骨の石化をもたらす正常範囲内のカルシウムを維持することにより、1,25−ジヒドロキシビタミンDによって維持される。DeGroot Lらによって編集された、Endocrinology,3rd ed.,990−1013(1995)の、Holick,MF,“Vitamin D photobiology,metabolism,and clinical applications,”を参照されたい。しかしながら、高レベルの1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、血中のカルシウム濃度を上昇し、高カルシウム血症をもたらす骨代謝によるカルシウム濃度の異常な制御をもたらし得る。また、1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、骨代謝における骨破壊活性を間接的に制御し、高いレベルは、骨粗鬆症における過剰な骨吸収を増加させることが予想される。
【0091】
「合成ビタミンD類似体」には、ビタミンDと同様の作用をする非天然型の化合物が含まれる。
【0092】
「非ステロイド性抗炎症剤」又はNSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)−1及びCOX−2により、アラキドン酸の炎症性プロスタグランジンへの代謝を阻害する。NSAIDsの非限定的な具体例には、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、エトドラク、フェノポルフェン、フルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ジフルニサル、メクロフェナメイト及びフェニルブタゾンが含まれる。
【0093】
「選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤」又はCOX−2阻害剤は、身体における痛み及び炎症の原因となるCOX−2補酵素を阻害する、非ステロイド型抗炎症剤(NSAID)を意味する。COX−2阻害剤の非限定的な具体例には、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ及びルミラコキシブが含まれる。
【0094】
「インターロイキン−1βの阻害剤」又はIL−1βは、Tリンパ球を活性化し、有糸分裂促進因子又は抗原に対する応答を促進する、単球、マクロファージ、及び他の細胞によって製造される可溶性因子であるIL−1の阻害剤を意味する。IL−1β阻害剤の非限定的な具体例はジアセレインとレインである。
【0095】
「LOX/COX阻害剤」は、アラキドン酸経路に関与する3種の全ての主要な酵素、すなわち、5−LOX、COX−1及びCOX−2の阻害剤を意味する。LOX/COX阻害剤の非限定的な具体例はリコフェロンである。
【0096】
固定された濃度で製剤化される場合、併用製品は、本発明の化合物を後述する投与量の範囲で、承認された投与量の範囲内の他の薬学的に活性な物質とともに用いる。併用製剤が不適当である場合、代替的に本発明の化合物は、公知の医薬的に許容され得る薬剤とともに経時的に用いることができる。
【0097】
本発明の化合物に関連し、「投与」なる用語及びその変形(例えば、化合物を「投与する」)は、当該化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系に導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが、1以上の活性物質(例えば、細胞毒性薬等)と組み合わせて与えられる場合、「投与」及びその変形は、本発明の化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤の同時及び逐次的導入を含むと理解される。本発明は、その範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、このようなプロドラッグは、生体内で必要な化合物に容易に変換し得る、本発明の化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の治療方法においては、「投与」なる用語は、明確に開示された化合物、又は明確に開示されていないが患者への投与後に生体内で特定の化合物に変化する化合物による、開示された種々の病状の治療を含むべきである。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための通常の手順は、例えば、“Design of Prodrugs,”ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。これらの化合物の代謝物には、本発明の化合物の生物学的環境への導入により製造される活性種が含まれる。
【0098】
本明細書で用いられるように、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定量で含み、特定量における特定の成分の組み合わせから直接又は間接的に得られる製品を含むことを意図する。
【0099】
本明細書で用いられる、「治療的に有効な量」なる用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって探求される、組織、系、動物又はヒト内における生物学的又は医薬的反応を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0100】
本明細書で用いられるように、疾患を「治療する」又は「治療」なる用語は:疾患の予防、すなわち、疾患にさらされるか又は感染し易いが、疾患の症状を経験しないか又は示していない哺乳動物において、疾患の臨床症状を発生させないこと;疾患の抑制、すなわち、疾患又はその臨床症状の発生の静止又は減少;又は疾患の軽減、すなわち、疾患又はその臨床症状の退行を起こすことを意味する。
【0101】
本明細書で用いられるように、「骨吸収」なる用語は、骨を分解する破骨細胞によるプロセスを意味する。
【0102】
本発明は、また、医薬的に許容され得る担体又は希釈剤とともに又は伴わず、本発明の化合物の治療的に有効な量の投与を含む、骨粗鬆症及び他の骨疾患の治療において有用な医薬組成物を含む。本発明の適切な組成物には、例えば7.4のpHレベルで、本発明の化合物、及び薬学的に許容され得る担体、例えば、食塩水を含む水溶液が含まれる。該溶液は、局所的急速静注により患者の血流に導入し得る。
【0103】
本発明の化合物がヒトの被験者に投与される場合、1日の投与量は、年齢、体重、個々の患者の反応、及び患者の症状の重症度により一般に変化する投与量を処方医により、通常決定される。
【0104】
典型的な適応においては、化合物の適切な量が、カテプシン依存性病状についての治療を受けている哺乳動物に投与される。適応の効果のために用いられる場合、本発明の経口投与量は、1日あたり約0.01mg/体重kg/日〜100mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜10mg/kg/日であり、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/日である。経口投与のために、組成物は、治療されるべき患者に対し、その症状に応じて投与量を調整するために、好ましくは、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100及び500mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。医薬は、通常、約0.01mg〜約500mgの活性成分、好ましくは約1mg〜約100mgの活性成分を含む。静脈注射には、最も好ましい投与量は、定速注入の間、約0.1〜約10mg/kg/分の範囲である。有利には、本発明の化合物は、1日の投与量が1日に1回投与されるか、又は一日用量の合計が、2、3又は4回に分けて投与される。更に、本発明の好ましい化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所的使用により経鼻形態で投与することができ、又は当業者に周知の経皮パッチの形態を用いて、経皮的経路により投与することができる。経皮的送達システムの形態において投与するために、投薬量投与は、もちろん、投与計画を通じて断続的よりもむしろ連続的である。
【0105】
本発明の化合物は、カテプシンが媒介する病状を治療するのに有用な他の薬剤と併用して用いることができる。このような併用の個々の成分は、治療の経過の際に異なる時間で別々に、また、分割した、又は単一の併用形態で同時に投与することができる。したがって、本発明は、同時又は交互のこのような治療の全ての投与計画を包含するとして理解され、「投与」なる用語はそれ相応に解釈される。カテプシンが媒介する病状の治療に有用な他の薬剤と本発明の化合物の併用の範囲には、原則としてエストロゲンの機能と関連する障害の治療に有用な任意の医薬組成物との併用が含まれると理解されよう。
【0106】
したがって、本発明の範囲には、有機ビスホスフォネート;エストロゲン受容体モジュレータ;アンドロゲン受容体モジュレータ;破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤;HMG−CoAレダクターゼの阻害剤;インテグリン受容体アンタゴニスト;PTH等の骨芽細胞同化剤;ビタミンD;合成ビタミンD類似体;非ステロイド性抗炎症剤;選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;インターロイキン−1βの阻害剤;LOX/COX阻害剤及びそれらの医薬的に許容され得る塩及び混合物から選択される第二の薬剤と併用する本発明の化合物の使用が含まれる。
【0107】
本発明の、これら及び他の側面は、本明細書に含まれる教示から明らかとなろう。
【0108】
定義
本発明の化合物は不斉中心、キラル軸及びキラル平面を有し(E.L.Eliel and S.H.Wilen, ”Stereochemistry of Carbon Compounds”,John Wiley & Sons,New York,1994,pages 1119−1190に記載されているように)、本発明に含まれる、全ての可能な異性体(光学異性体を含む)及びその混合物とともに、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして存在する。更に、本明細書に開示される化合物は、互変異性体として存在することができ、1種の互変異性構造のみが示されるとしても、両方の互変異性体は本発明の範囲に含まれることが意図される。例えば、以下に示す化合物Aの請求項は、逆に互変異性構造B、及びそれらの混合物を含むと理解される。
【0109】
【化5】

【0110】
いずれかの構成要素において、いずれかの変数(例えば、R、R、R等)が1回以上発現する場合、各発現におけるその定義はそれぞれの他の発現において独立している。また、置換基及び変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容され得る。置換基から環システムに引き出される線は、置換可能な任意の環の炭素原子に結合し得る結合線を示す。環システムが多環系である場合、結合は、近接する環のみの適切な炭素原子のいずれかに結合することが意図される。
【0111】
本発明の化合物における置換基及び置換パターンは当業者によって選択することができ、化学的に安定であり、容易に入手可能な出発材料から当該技術分野において公知の技術、及び後述する方法によって容易に合成することができる化合物が提供されることが理解される。置換基が、それ自身1以上の置換基で置換される場合、これらの複合的な置換基は、安定な構造をもたらす限りは、同じ炭素又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。「1以上の置換基で置換されていてもよい」なる語句は、「少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい」と同等であると受け取られ、その場合、好ましい実施態様は0〜3個の置換基を有する。
【0112】
本明細書で用いられるように、「アルキル」は、特に指定しない限りは1〜10個の炭素原子を有する、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を意図する。例えば、「C−C10アルキル」における、C−C10は、直鎖状、分岐状又は環状の配列中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する置換基を含むと定義される。例えば、「C−C10アルキル」には、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が含まれる。
【0113】
「ハロアルキル」なる用語は、特に指定しない限りは、1〜5個、好ましくは1〜3個のハロゲンで置換された、上記に定義されたようなアルキル基を意味する。代表的な具体例には、トリフルオロメチル、ジクロロエチル等が含まれるがこれに限定されない。
【0114】
「シクロアルキル」又は「カルボサイクル」なる用語は、特に示さない限り、合計3〜8個の炭素原子、又はこの範囲のいずれかの数のアルカンの環(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル)を意味する。
【0115】
本明細書で用いられるように、「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族である、各環中に12個以下の原子を有する、安定な単環又は二環式の炭素環を意味することが意図される。このようなアリール成分の具体例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルが含まれる。アリール置換基が二環式で、1個の環が非芳香族である場合、結合は芳香環を通していると理解される。
【0116】
本明細書で用いられるように、「ヘテロアリール」なる用語は、少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、各環中に10個以下の原子を有する、安定な単環、二環又は三環式の環を表す。この定義の範囲内のヘテロアリール基は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル及びテトラヒドロキノリンを含むがこれらに限定されない。ヘテロアリール置換基が二環式であり、1個の環が非芳香族であるか、ヘテロ原子を含まない場合、結合は、それぞれ、芳香環を通しているか、ヘテロ原子を含む環を通していることが理解される。ヘテロアリールが窒素原子を含む場合、その対応するN−オキシドもこの定義に含まれることが理解される。
【0117】
本明細書で用いられるように、「ヘテロサイクル」又は「ヘテロシクリル」なる用語は、とくに指定されない限り、O、N、S、SO又はSOからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、二環式基を含む、5〜10員環の非芳香環を意味する。したがって、「ヘテロシクリル」には、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピペリジニル、テトラヒドロチオフェニル等を含むがこれらに限定されない。ヘテロサイクルが窒素を含む場合、その対応するN−オキシドもこの定義に含まれることが理解される。
【0118】
当業者に理解されるように、本明細書で用いられるように、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むことが意図される。
【0119】
特定の具体例においては、置換基は、(C−C)アルキレン−アリール等の0を含む炭素の範囲内で定義され得る。アリールがフェニルをとる場合、この定義には、フェニル自身、及び−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Ph等が含まれる。
【0120】
また、本発明には、N−オキシド誘導体、及び式Iの化合物の保護された誘導体が含まれる。例えば、式Iの化合物が酸化され得る窒素原子を含む場合、窒素原子は当業界で周知の方法によりN−オキシドに変換することができる。また、式Iの化合物が、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、又は窒素原子を含む任意の置換基を含む場合、これらの置換基は、適切な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的なリストは、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981に見出すことができ、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。式Iの化合物の保護された誘導体は、当業界で周知の方法によって製造することができる。
【0121】
また、無機又は有機酸を形成するような、本発明の化合物の医薬的に許容され得る塩には、本発明の化合物の通常の無毒の塩を含む。例えば、通常の無毒の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸に由来するものが含まれる。前述の医薬的に許容され得る塩、及び他の通常の医薬的に許容され得る塩の製造は、“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19に十分に開示されており、これらは参照することにより全て本明細書に組み入れられる。本発明の化合物の医薬的に許容され得る塩は、従来の化学的方法により、塩基又は酸部分を含む本発明の化合物から合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、又は適切な溶媒又は種々の溶媒の組み合わせ中で、所望の塩を形成する無機又は有機酸の化学両論的な量又は過剰量を、遊離塩基と反応させることによって製造される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0122】
本明細書の目的のため、以下の略語は示された意味を有する。
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
EtN=トリエチルアミン
HATU=2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
LiOH=水酸化リチウム
MeOH=メタノール
PG=保護基
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
rt=室温
sat.aq.=飽和水溶液
THF=テトラヒドロフラン
tlc=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル
【0123】
本発明の新規化合物は、適切な材料を用いて、以下の一般的手順によって製造することができ、以下の特定の実施例により更に例示する。しかし、実施例に示される化合物のみをもって、発明として考えられる属を形成するとして解釈されない。以下の実施例は、本発明の化合物の製造について更に詳細に説明する。当業者は、これらの化合物を製造するために、以下の製造方法の条件及び公知の手順の変形を用いることができることを容易に理解するだろう。特に示さない限り、温度は全て摂氏である。
【0124】
本発明の化合物は、以下に示すように、スキーム1に従って製造することができる。したがって、α−アミノ酸は、HATU又はPyBOP等のカップリング剤を用いてカルボン酸と結合することができ、本発明の化合物が製造される。また、同じ反応条件を用いて、α−アミノエステルがカルボン酸と結合し、標準的加水分解条件を用いてけん化されるエステル中間体が供給される。最終的に、この酸は、HATU又はPyBOP等のカップリング剤の存在下に適当なアミンを用いることによりアミドに変換し、本発明の化合物が形成される。
【0125】
【化6】

【0126】
実施例1
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシルグリシンアミド
【0127】
【化7】

【0128】
DMF(1mL)中の、WO200375836の実施例8、工程6由来のN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシン(148mg,0.33ミリモル)、HATU(292mg,0.77ミリモル)及びL−グリシンアミド塩酸塩(102mg,0.92ミリモル)の氷冷した混合物に、トリエチルアミン(175μL、1.26ミリモル)を滴下して加えた。得られた溶液を、室温になるまで2時間以上撹拌した。反応混合物を、EtOAC及び半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(70:30 EtOAc/ヘキサン〜100% EtOAc)により精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCOCD)δ0.96(6H,dd),1.53(2H,m),1.95(1H,m),2.6(1H,m),3.19(3H,s),3.57(1H,bq),3.78(2H,m),4.55(1H,m),6.43(1H,b),6.86(1H,b),7.58(1H,b),7.68(2H,d),7.78(2H,d),7.97(2H,d),8.06(2H,d)。
【0129】
実施例2
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニンアミド
【0130】
【化8】

【0131】
L−グリシンアミド塩酸塩をL−メチオニンアミド塩酸塩に置換し、実施例1の製造について記載された手順を用いて標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCOCD)δ0.93(6H,dd),1.50(2H,m),1.78(1H,m),1.95(2H,m),1.99(3H,s),2.38(2H,m),2.68(1H,m),3.16(3H,s),3.52(1H,bq),4.45(2H,m),6.44(1H,b),6.90(1H,b),7.53(1H,bd),7.66(2H,d),7.78(2H,d),7.97(2H,d),8.04(2H,d)。
【0132】
実施例3
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メチル−L−メチオニンアミド
【0133】
【化9】

【0134】
工程1
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニン酸メチル
L−グリシンアミド塩酸塩をL−メチオニンメチルエステル塩酸塩に置換し、実施例1の製造について記載された手順を用いて標題の化合物を白色固体として得た。
【0135】
工程2
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニン
THF(2mL)中の、工程1由来のN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニン酸メチル(100mg,0.17ミリモル)及びメタノール(0.5mL)の氷冷した溶液に、1N水酸化リチウム(0.25mL,0.25ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で18時間撹拌し、次いで、EtOAc及び0.1N HClの間で分配した。有機層をNaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10:90:1 EtOH/EtOAc/AcOH)により生成し、次いで、EtOAc/ヘキサン(1:2)中で結晶化し、標題の化合物を白色固体として得た。
【0136】
工程3
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メチル−L−メチオニンアミド
L−グリシンアミド塩酸塩をL−メチルアミン塩酸塩に置換し、実施例1の製造について記載された手順を用いて標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCOCD)δ0.92(6H,dd),1.48(2H,m),1.74(1H,m),1.92(2H,m),1.98(3H,s),2.37(2H,t),2.65(1H,m),2.68(3H,d),3.17(3H,s),3.51(1H,m),4.37(1H,m),4.43(1H,m),7.09(1H,b),7.52(1H,bd),7.66(2H,d),7.77(2H,d),7.97(2H,d),8.03(2H,d)。
【0137】
実施例4
−[(1S)−1−(アミノカルボニル)−3−(メチルスルホニル)プロピル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
【0138】
【化10】

【0139】
工程1
ジクロロメタン(5mL)及びメタノール(1mL)中の、実施例2由来のN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニンアミド(405mg、0.7ミリモル)の氷冷した溶液に、マグネシウムビス(モノペルオキシフタレート)6水和物80%(521mg,0.84ミリモル)を加えた。得られた懸濁液を室温で30分間撹拌した。次いで、EtOAc及び水の間で分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(100% EtOAc〜10:90 EtOH/EtOAc)により精製し、次いでEtOAc/ヘキサン(2:1)中で結晶化し、標題の化合物を白色粉末として得た。
H NMR(500MHz,CDCOCD)δ0.93(6H,dd),1.50(2H,m),1.92(1H,m),2.02(1H,m),2.25(1H,m),2.67(1H,m),2.89(3H,s),3.03(2H,m),3.17(3H,s),3.52(1H,m),4.48(2H,m),6.58(1H,b),7.02(1H,b),7.66(1H,bd),7.68(2H,d),7.78(2H,d),7.97(2H,d),8.03(2H,d)。
【0140】
実施例5
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−フェニルアラニンアミド
【0141】
【化11】

【0142】
L−グリシンアミド塩酸塩をL−フェニルアラニンアミド塩酸塩に置換し、実施例1の製造について記載された手順を用いて標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCOCD)δ0.88(6H,dd),1.38(2H,m),1.85(1H,m),2.44(1H,b),2.78(1H,dd),3.08(1H,dd),3.17(3H,s),3.47(1H,b),4.05(1H,m),4.64(1H,m),6.45(1H,b),6.87(1H,b),7.25(5H,m),7.47(2H,d),7.54(1H,d),7.72(2H,d),7.91(2H,d),8.02(2H,d)。
上述した方法を用いて、次の化合物を調製した。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
医薬組成物
本発明の特定の実施態様として、100mgのN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシルグリシンアミドを、合計量580〜590mgのサイズ0の硬ゼラチンカプセルを充填するくらい十分に微粉化した乳糖を用いて製剤化した。
【0148】
本明細書に開示された化合物は、以下のアッセイにおいて活性を示した。更に、本明細書に開示された化合物は、以前に開示された化合物と比較し、向上した薬理学的プロフィールを有していた。
【0149】
アッセイ
カテプシンKアッセイ
試験化合物の500μM〜0.0085μMの連続希釈(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、50μLのアッセイバッファー(MES,50 mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)及びアッセイバッファー溶液中の25μLのヒトカテプシンK(0.4nM)に、各希釈液由来の2μLのDMSOを加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間インキュベートした。25μLアッセイバッファー中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解の後に10分間の分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントを、用量反応曲線についての標準的数学モデルに対する実験値を適合させることにより計算した。
【0150】
カテプシンLアッセイ
試験化合物の500μM〜0.0085μMの連続希釈(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、50μLのアッセイバッファー(MES,50 mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)及びアッセイバッファー溶液中の25μLのヒトカテプシンL(0.5nM)に、各希釈液由来の2μLのDMSOを加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間インキュベートした。25μLアッセイバッファー中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解の後に10分間の分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントを、用量反応曲線についての標準的数学モデルに対する実験値を適合させることにより計算した。
【0151】
カテプシンBアッセイ
試験化合物の500μM〜0.0085μMの連続希釈(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、50μLのアッセイバッファー(MES,50 mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)及びアッセイバッファー溶液中の25μLのヒトカテプシンB(4.0nM)に、各希釈液由来の2μLのDMSOを加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間インキュベートした。25μLアッセイバッファー中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解の後に10分間の分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントを、用量反応曲線についての標準的数学モデルに対する実験値を適合させることにより計算した。
【0152】
カテプシンSアッセイ
試験化合物の500μM〜0.0085μMの連続希釈(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、50μLのアッセイバッファー(MES,50mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)及びアッセイバッファー溶液中の25μLのヒトカテプシンS(20nM)に、各希釈液由来の2μLのDMSOを加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間インキュベートした。25μLアッセイバッファー中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解の後に10分間の分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントを、用量反応曲線についての標準的数学モデルに対する実験値を適合させることにより計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Xはアリール又はヘテロアリールであり;
Yはアリール又はヘテロアリールであり;
は、水素、アリール又は1〜3個のハロで置換されていてもよい、C1−6アルキル又はO(C1−6アルキル)であり;
は、水素、アリール又は1〜3個のハロで置換されていてもよい、C1−6アルキル又はO(C1−6アルキル)であり;
は、水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)SO、(C1−6アルキル)R又は(C1−6アルキル)(C=O)O(C1−6アルキル)Rであり;
は、水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)SO、(C1−6アルキル)R又は(C1−6アルキル)(C=O)O(C1−6アルキル)Rであり;
又はR及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、それらの間でC3−8ヘテロシクリル環を形成し、該環は、独立して、C1−6アルキル、SO(C1−6アルキル)、SO(アリール)又はハロから選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキルであり、該アルキル及びシクロアルキル基はC1−6アルキル又はハロで置換されていてもよく;
はC1−6ハロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロを有する炭素又はヘテロ原子のいずれかで置換されていてもよく;
はSO(C1−6アルキル)、C1−6アルキル又はハロであり;
は水素、C1−6アルキル又はアリールであり;
それぞれのmは、独立して0〜2の整数である。)で表わされる化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体。
【請求項2】
Xがアリールであり、かつYがアリールである、請求項1記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体。
【請求項3】
Xがフェニルであり、かつYがフェニルである、請求項2記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体。
【請求項4】
が水素であり、かつRが水素である、請求項3記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体。
【請求項5】
が(C1−6アルキル)SO又は(C1−6アルキル)Rであり;かつRが水素であり;RがC1−6アルキルである、請求項3記載の化合物、又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体。
【請求項6】
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−アラニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシルグリシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−メチオニンアミド;
−[(1S)−1−(アミノカルボニル)−3−(メチルスルホニル)プロピル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(アミノカルボニル)−3−フェニルプロピル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N,N−ジメチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−メトキシ−N−メチル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−ベンジル−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−フェニルアラニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−D−フェニルアラニンアミド;
ベンジル N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−L−α−アスパラギナート;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−S−メチル−L−システインアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−3−(メチルスルホニル)−L−アラニンアミド;
−(2−オキソアゼチジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(2−オキソピロリジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−2,5−ジオキソピロリジン−3−yl]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1,1−ジオキシド−3−オキソイソチアゾリジン−4−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−1−(メチルスルホニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(メチルスルホニル)−L−メチオニンアミド;
N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシル−N−(フェニルスルホニル)−L−メチオニンアミド;又はその医薬的に許容され得る塩、立体異性体又はN−オキシド誘導体から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
請求項1記載の化合物、及びその医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常増加した骨代謝回転、歯周病、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、緑内障、慢性閉塞性肺疾患、転移性骨疾患、悪性腫瘍の高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をするのに有用な、請求項1記載の化合物の治療的に有効量を含む医薬の製造における、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1記載の化合物、並びに有機ビスホスフォネート、エストロゲン受容体モジュレータ、エストロゲン受容体βモジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、又は骨芽細胞同化剤、ビタミンD、合成ビタミンD類似体、非ストロイド性抗炎症剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、インターロイキン−1βの阻害剤、LOX/COX阻害剤、及びそれらの医薬的に許容され得る塩及び混合物からなる群から選択される他の薬剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、異常増加した骨代謝回転、歯周病、歯の脱落、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節症、プロテーゼ周囲骨溶解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、緑内障、慢性閉塞性肺疾患、転移性骨疾患、悪性腫瘍の高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療を必要とする哺乳動物において、かかる治療をするのに有用な医薬の製造における、請求項1記載の化合物、並びに有機ビスホスフォネート、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、骨芽細胞同化剤、ビタミンD、合成ビタミンD類似体、非ストロイド性抗炎症剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、インターロイキン−1βの阻害剤、LOX/COX阻害剤、及びそれらの医薬的に許容され得る塩及び混合物からなる群から選択される他の薬剤の使用。

【公表番号】特表2009−511507(P2009−511507A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534832(P2008−534832)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001654
【国際公開番号】WO2007/041837
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】