説明

カーナビゲーション装置

【課題】メモリカードスロットに装填されたメモリカードから記憶媒体への更新データのコピー中における当該メモリカードのメモリカードスロットからの抜き取りを防止する。
【解決手段】制御部20は、メモリカードスロット2bに装填されたメモリカード内の更新データを、RAM20Cにコピーする。当該コピーの実行中、制御部20は、開閉制御部13に対して、ディスプレイユニット3の位置を、メモリカードスロット2bを覆う位置に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムやマップデータを更新可能に記憶する記憶媒体を内蔵するカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置は、年々変化する道路状況を映像に再現すべく、マップデータを更新可能に保持するものが、一般的である。例えば、旧来の光ディスク方式のものでは、マップデータを収録した光ディスク(CD-ROM又はDVD−ROM)を装置内に備え
られたディスクドライブに装填した状態で使用されるので、ディスク交換を行うことによって、マップデータが更新されることになる。但し、かかる光ディスク方式では、ディスクドライブが上記光ディスクに占有されてしまうので、ディスクドライブを他用途(音楽CDやビデオDVDの再生等)に流用すべく、光ディスクドライブとは別にハードディスクや大容量メモリを備え、光ディスク内に収録されたマップデータをかかるハードディスク又は大容量メモリにコピー(インストール)して用いるカーナビゲーション装置も、一般化している。
【0003】
また、カーナビゲーション装置のプログラムも、逐次開発される新機能を反映させるべく更新可能になっていることが一般的である。この場合、上述したマップデータの場合と同様に、光ディスクに収録された新バージョンのプログラムを、カーナビゲーション装置内に内蔵されたハードディスクや大容量メモリにコピー(インストール)することによって、更新が行われる。
【0004】
更に、プログラムの機能として、ルートデータやオービスデータといったユーザ作成データを読み込んでナビゲーションに利用できるものがあるが、かかるユーザ作成データについても、ハードディスクや大容量メモリにコピー(インストール)できるカーナビゲーション装置も、実用されている。
【0005】
以下、更新のためにコピーされるマップデータやプログラム並びにユーザデータを総称して、「更新データ」ということとする。また、カーナビゲーション装置内に内蔵されたハードディスクや大容量メモリを総称して、「記憶媒体」ということとする。
【0006】
ところで、近年では、メモリカードの大容量化やネットワークを通じての更新データの流通を背景に、更新データをカーナビゲーション装置の記憶媒体にインストールするために用いられるリムーバブルメディアとして、データアクセスが光ディスクよりも高速且つ容易であるメモリカードが、一般化しつつある。即ち、カーナビゲーション装置にメモリカード用のスロットが備えられるとともに、パッケージ商品としての更新データがメモリカードに格納されて販売され、ネットワークを通じて更新データが配布ないし販売され、これをダウンロードしたパーソナルコンピュータとカーナビゲーション装置との間でメモリカードを用いて更新データを移動することが、一般的となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−339944号公報
【特許文献2】特表2007−529735号公報
【特許文献3】特開2004−185075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、複雑な機械構成を有する光ディスクドライブでは、ディスクの装填は上位装置によって制御されるローディング機構によって行われるので、データ読出中に光ディスクが光ディスクドライブから取り出されることが禁止されるのと比較して、メモリカードスロットには、かかるローディング機構は備えられていない。
【0009】
従って、上述したカードスロットを備えたカーナビゲーション装置では、メモリカード内の更新データの読み出し中でも、メモリカードをカードスロットから引き抜くことが事実上可能であったので、それに因る更新データの喪失や、カーナビゲーション装置内のソフトウェアの破壊といった問題を避け得なかった。
【0010】
そこで、本願発明の課題は、メモリカードスロット及びソフトウェア格納用の記憶媒体を備えたカーナビゲーション装置において、メモリカードスロットに装填されたメモリカードからの記憶媒体への更新データのコピー中における当該メモリカードのメモリカードスロットからの抜き取りを、防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、上記課題を解決するため、記憶部から読み出したプログラム及びマップデータに基づいて地図画像を生成する本体部と、前記本体部の前面に設けられたメモリカードを挿入及び排出するためのメモリカードスロットと、前記メモリカードスロットに挿入されたメモリカードに格納されている更新データを前記記憶部にコピーするとともに、当該コピーが行われている間は、前記メモリカードスロットからのメモリカードの排出を規制する制御部とを、備えたことを特徴とする。
【0012】
以上のように構成されることにより、メモリカードスロットに装填されたメモリカード内に格納されている更新データを記憶媒体にコピーする間は、規制機構によって、メモリカードスロットからのメモリカードの引き抜きが規制されるので、コピー中のメモリカードの引き抜きによって更新データが破損又は紛失してしまったり、記憶媒体中のプログラムやマップデータが破損してしまうといった問題は生じ得ない。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成された本案によると、メモリカードスロット及びソフトウェア格納用の記憶媒体を備えたカーナビゲーション装置において、メモリカードスロットに装填されたメモリカードから記憶媒体への更新データのコピー中における当該メモリカードのメモリカードスロットからの抜き取りが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態によるカーナビゲーション装置の斜視図
【図2A】ディスプレイユニットを中間位置としたカーナビゲーション装置の斜視図
【図2B】ディスプレイユニットを全開状態としたカーナビゲーション装置の斜視図
【図3】ディスプレイユニットの開閉機構を示す側面図
【図4】カーナビゲーション装置の回路構成を示すブロック図
【図5】制御部20のハードウェア構成を示すブロック図
【図6】制御部20が実現する各機能モジュールを示すブロック図
【図7】ナビ画面を示す図
【図8】AV画面を示す図
【図9】メニュー画面を示す図
【図10】更新部が実行する処理を示すフローチャート
【図11】バージョンアップ画面を示す図
【図12】ランチャー画面を示す図
【図13】警告画面を示す図
【図14】バージョン確認画面を示す図
【図15】プログレスバーを示す図
【図16】完了画面を示す図
【図17】リブート画面を示す図
【図18】変形例に用いられるメモリカードスロットの内部機構を示す平面図
【図19】第2の実施形態によるカーナビゲーション装置の斜視図
【図20】ディスプレイユニットの斜視図
【図21】メインユニットの斜視図
【図22】メインユニットの縦断面図
【図23】変形例に係るカーナビゲーション装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本案の実施の形態を説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
以下に、実施例を記載する。
【実施例1】
【0017】
以下に説明する本発明の第1の実施例は、2DIN(Deutsche Industrie-Nom)サイズのAV(Audio Visual)機能一体型のカーナビゲーション装置に、本発明を実施したものである。
<構成>
図1は、本実施例によるカーナビゲーション装置1の外観を示す斜視図である。かかるカーナビゲーション装置1は、自動車室内における運転席や助手席に着座した乗員から手が届きやすいセンターダッシュボードに、設置される。
【0018】
図1、図2A及び図2Bとから理解されるように、このカーナビゲーション装置1は、その大部分を構成するメインユニット(本体)2と、当該メインユニット2における装着時に唯一室内に露出する前面(各図における左手前面)において開閉自在に配置されたディスプレイユニット3(カバー部材に相当)とから、構成されている。
【0019】
ディスプレイユニット3の表面には、そのほぼ全域に亘って、液晶ディスプレイを主要部品とするタッチパネル21が、埋め込まれている。また、タッチパネル21とディスプレイユニット3の下縁との間のスペースには、後述する制御部20(操作処理機能部51)によって機能が割り当てられた複数の操作ボタン24(開閉スイッチ24aを含む)が配置されている。
【0020】
図3は、このディスプレイユニット3の移動機構を示す側面図である。この図3に示されるように、ディスプレイユニット3の左右両側面の上端近傍には、ギア列15aを通じてモータ15によって回転駆動される回転軸15bに固定された回転アーム15cの先端が枢支されているとともに、同左右両側面の下端近傍には、同じくギア列15aを通じてモータ15によって回転駆動されるピニオンギア15cによって進退駆動されるラックアーム15eの先端が枢支されている。従って、これら回転アーム15c及びラックアーム15eがギア列15aを介して連動することにより、ディスプレイユニット3を傾けて、図1に示す閉鎖位置(即ち、メインユニット2の前面を覆う第1の位置)と、図2に示す全開位置(即ち、その裏面がメインユニット2の底面とほぼ面一になり後述するメモリカードスロット2bを露出させる第2の位置)との間で、連続的に移動可能となっているのである。なお、後述する開閉制御部13Aによってモータ15が制御されることにより、
ディスプレイユニット3は、閉鎖位置,全開位置,及び、その中間の複数位置(チルト位置)にて停止・固定可能となっている。
【0021】
そして、閉鎖位置にあるディスプレイユニット3により外部からのアクセスが遮断されるとともに当該ディスプレイユニット4が全開位置に移動することによって外部からのアクセスが可能となるメインユニット2の前面には、光ディスク(音楽CD,DVD-ROM)を
光ディスクドライブ16に装填するために穿たれた光ディスクスロット2a及び、メモリカードMをカードメモリインタフェース17にガイドするために設けられたメモリカードスロット2bとが、縦に並べて配置されている。また、光ディスクスロット2aとメモリカードスロット2bとの間には、光ディスクドライブ16に装填されている光ディスクを排出させる命令を後述する制御部20(操作処理機能部51)に入力するためのイジェクトボタン18が設置されている。
【0022】
図1に示されるように、ディスプレイユニット3によりメインユニット2の前面が完全に覆われる状態では、外部から、光ディスクスロット2a及びイジェクトボタン18、メモリカードスロット2b等のメインユニット2の前面に配置された機能へのアクセスが不可能となるので、光ディスクドライブ16への光ディスクの挿入や排出、メモリカードスロット2bへのメモリカードMの挿入や排出はできない。また、図2Aに示されるように、ディスプレイユニット3が閉鎖位置と全開位置の中間の位置(チルト位置)にて保持(停止・固定)されている状態では、メモリカードスロット2bはディスプレイユニット13により覆われるのでメモリカードMの挿入や排出は不可能となるが、光ディスクスロット2a及びイジェクトボタン18は外部からアクセス可能となるので、光ディスクドライブ16への光ディスクの挿入や排出は可能となる。また、図2Bに示されるように、ディスプレイユニット3が最も低いチルト位置に在る状態では、外部から、光ディスクスロット2a及びイジェクトボタン18、メモリカードスロット2b等のメインユニット2の前面に配置された機能へのアクセスが可能となるので、光ディスクドライブ16への光ディスクの挿入や排出、メモリカードスロット2bへのメモリカードMの挿入や排出が可能となる。
【0023】
次に、カーナビゲーション装置の内部構成を、図4のブロック図を用いて説明する。この図4に示されるように、メインユニット2には、制御部20,並びに、この制御部20に夫々接続されたブレーキ検知部4、リバース検知部5、携帯式プレーヤインターフェース6、放送波受信部7、外部音声/映像入力部8、GPS情報受信部9、車速検知部10、カメラ映像入力部11、アンプ12、開閉制御部13、光ディスクドライブ16、カードメモリインタフェース17、イジェクトボタン18及びジャイロセンサ19、並びに、開閉制御部13に夫々接続された角度センサ14及びモータ15が、内蔵されている。また、ディスプレイユニット3には、上述したタッチパネル21及び操作ボタン24の他、夫々制御部20に接続された表示処理部22及び操作受付部23が内蔵されている。
【0024】
この表示処理部22は、タッチパネル21の液晶ディスプレイに表示する画面を描画処理する回路であり、制御部20から送られる映像信号に基づき、液晶ディスプレイ上に格子状に均等配列された薄膜トランジスタを駆動することで、タッチパネル21の画面を描画する。
【0025】
また、操作受付部23は、タッチパネル21へのタッチ操作をタッチセンサが感知すると、タッチされた画面上の位置を特定し、操作された位置の情報を制御部20へ送る。
【0026】
一方、ブレーキ検知部4は、車両のパーキングブレーキがかけられているか否かを検知し、これを制御部20に通知する。ブレーキ検知部4は、パーキングブレーキレバー(あるいはペダル)の動きと連動してオンオフするスイッチの通電状態により、ブレーキの状
態を検知する。ブレーキ検知部4は、このスイッチの通電状態を、端子26Aを介して電気的に検知する。
【0027】
また、リバース検知部5は、車両の変速レバーがリバース(後進)になっているか否かを検知し、これを制御部20に通知する。リバース検知部5は、変速レバーと連動して動くスイッチのオンオフにより、変速レバーの状態を検知する。リバース検知部5は、このスイッチの通電状態を、端子26Bを介して電気的に検知する。
【0028】
また、携帯式プレーヤインターフェース6は、音楽等を再生する携帯式のプレーヤと双方向通信を行うためのインターフェースである。
【0029】
また、放送波受信部7は、デジタルTVチューナ、AMチューナ(AM:Amplitude Modulation)、及びFMチューナ(FM:Frequency Modulation)で構成される回路である。放送波受信部7は、制御部20からの制御信号に応じてチューナの受信状態を制御し、端子26Dに接続されるアンテナが受信した電波の信号を制御部20へ送る。
【0030】
また、外部音声/映像入力部8は、端子26Eに接続されるビデオ/オーディオ機器からのコンポジット映像信号や音声信号を受け付け、これを制御部20へ送る回路である。
【0031】
また、GPS情報受信部9(GPS:Global Positioning System)は、端子26Fに接続されるGPSアンテナが受信したGPS衛星からの電波の信号を受信し、受信した信号を制御部20へ送る。周知のように、GPSは、地球を周回する多数のGPS衛星のうち少なくとも3つ以上の衛星からの電波に基づいて車両の位置を測位するシステムである。GPS情報受信部9は、地球を周回するこれらGPS衛星の電波の信号を処理する。GPS情報受信部9によって受信されたGPS衛星からの信号は、カーナビゲーションに用いられる。
【0032】
また、車速検知部10は、車軸の回転角に応じて発生する車速パルス信号を検知し、これを制御部20へ送る回路である。車速検知部10が検知する車速パルス信号は、車速センサまたは車両のエンジンやブレーキを制御する電子制御ユニットから出力されるステップ状の車速パルス信号であり、単位時間当たりのパルス数から車両速度を割り出す際に用いられる。単位時間当たりのパルス数が増えていれば車両が加速しており、減っていれば車両が減速していることになる。車両の速度と車速パルスとの相関関係は、車両を製造するメーカや車種、装着される車輪の大きさや空気圧等に応じて変化する。このため、制御部20では、GPSによる測位結果に基づいて算出される車両の移動距離とその間を走行する間に検知されたパルス数との相関から、車両の速度と車速パルスとの相関関係が適宜更新される。車速検知部10は、電子制御ユニットから出力される車速パルス信号を、端子26Gを介して電気的に検知する。
【0033】
また、カメラ映像入力部11は、車両の後方を撮影するビデオカメラであるバックアイカメラからの映像信号を受け付け、制御部20へ送る回路である。すなわち、カメラ映像入力部11は、リバース検知部5が車両のリバースを検知した際、端子26Hに接続されているビデオカメラからの映像信号を制御部20へ送る。
【0034】
また、アンプ12は、制御部20から車室内に設置されるスピーカへ送られる音声信号を増幅する回路である。アンプ12は、制御部20からの制御信号に応じて増幅率を任意に変更可能である。
【0035】
また、開閉制御部13は、後述する制御部20によって制御されることにより、ディス
プレイユニット3の開閉動作を行うためにモータ15に駆動電力を供給するドライブ回路である。この開閉制御部13Aは、回転アーム15dの回転位置を検出するエンコーダー等の角度センサ14からのフィードバック信号に基づいてディスプレイユニット3の現在の角度を把握して、ディスプレイユニット3の角度(即ち、上述した閉鎖位置、各チルト位置,及び全開位置の何れかの角度)を調整する。
【0036】
また、光ディスクドライブ16は、装填された音楽CDからオーディオコンテンツを読み出して再生したり、DVD−ROMから映画等のビデオデータを読み取って再生する光ディスク読取装置であり、図示は省略したが、スピンドル,光ピックアップ及びローディング機構から構成されている。
【0037】
また、カードメモリインタフェース17は、記憶保持動作が不要な不揮発性のSDカード等のメモリカードMを読み書きするメモリカードリーダライタである。かかるメモリカードMに、更新データとしてのマップデータ(高速道路や一般道等の道路情報、テーマパーク、ガソリンスタンドといった各種施設に関する地点情報[POI:Point Of
Interest]を含む)や、最新バージョンの更新プログラム(後述するNAVI部58を更新するためのプログラム,又は、AV部59を更新するためのプログラム)や、ユーザデータが、格納されているのである。
【0038】
また、ジャイロセンサ19は、メインユニット2に内蔵される2軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ19は、GPS衛星からの電波をGPS情報受信部9が受信できない時でも車両の測位を可能にするためのものである。なお、GPS衛星からの電波を受信できない時の車両の位置は、制御部20により、車速検知部10が検知する車両速度とジャイロセンサ19が検知する車両の進行方向とに基づいて算出される。
【0039】
次に、制御部20のハードウェア構成を、図5のブロック図に基づいて説明する。この図5に示すように、制御部20は、CPU(Central Processing Unit)20A,並びに、このCPU20Aに夫々接続されたROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、入出力インタフェース20D等により、構成されている。RAM20Cは、フラッシュメモリ等の不揮発性の書換可能な大容量記憶媒体であり、各種プログラム(後述するNAVI部58の機能を実現するためのプログラム,又は、AV部59の機能を実現するためのプログラム)及び各種データ(マップデータ及びユーザデータ)を格納する。なお、上述したように、これら各種プログラム及び各種データは、上述したカードメモリインタフェース17を通じてメモリカードM内から読み出された更新データによって更新される。また、RAM20Cは、ハードディスクに置き換えられても良い。また、CPU20Aは、ROM20Bから各プログラム及び各データを読み出すことにより、これらプログラムに従った処理を各データに対して施すことによって、図6に示す各機能50〜57を実現するコンピュータである。なお、ROM20Bには、書換不要なデータが格納されている。また、入出力インタフェース20Dは、制御部20外の各装置との間における入出力を司る装置である。NAVI部58の機能を実現するためのプログラム,及びAV部59の機能を実現するためのプログラムは、夫々、別個の記憶媒体に格納されても良い。
【0040】
次に、図6を参照して、ROM20B中にインストールされている各種プログラムを実行することによってCPU20Aが実現する各種機能を、説明する。図6に示す各機能モジュール50〜57は、RAM20C中に格納されている各プログラムのモジュールに夫々対応しており、更新部50,操作処理機能部51,NAVI部58及びAV部59に大別される。
【0041】
このうち、操作処理機能部51は、I/O20Dを通じて制御部20外の装置を制御す
るとともに、これらの装置から入力されたデータに基づいて、NAVI部58及びAV部59を起動してその処理を命じるとともに、処理の結果としてNAVI部58及びAV部59から得られた画像及び音声を合成して、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ及びスピーカから出力させる、オペレーティングシステム(OS)としての機能モジュールである。当該操作処理機能部51は、上述した移動機構及び開閉制御部13とともに、固定機構を構成する。この固定機構は、上述したディスプレイユニット3とともに、規制機構を構成する。
【0042】
NAVI部58は、より詳細には、測位機能部52,ルート案内機能部53,地図データ処理機能部54,及び、ユーザデータ処理機能部55といった機能モジュールから、構成されている。
【0043】
このうち測位機能部52は、車両のアクセサリー電源がオンになると、GPS情報受信部9から送られる複数のGPS衛星から受信した信号、車速検知部10から通知される車両速度の情報、及びジャイロセンサ19から送られる角速度の情報に基づいて、自車輌の位置(緯度と経度)及び進行方向を算出する機能である。そして、算出した自車輌の位置及び進行方向を地図データ処理機能部54に伝達する。
【0044】
ルート案内機能部53は、車両の現在地からユーザが設定した目的地までのルートを索出し、ルート案内(映像及び音声による車輌の進行方向の指示)を行う機能である。なお、ルート案内機能部53は、カードメモリインタフェース17を通じてメモリカードMからRAM20Cにコピーされた更新データ中のユーザデータにルートデータが含まれている場合には、このルートデータに従って、ルート案内を行うこともできる。そして、生成した音声を操作処理機能部51に直接伝達するとともに、映像を地図データ処理機能部54に伝達する。
【0045】
地図データ処理機能部54は、RAM20C中に格納された地図データ及び測位機能部52が算出し自車輌の位置及び進行方向に基づいてベースマップを描画するとともに、放送波受信部7を介してFM放送波から取得されるVICS(登録商標)の道路交通情報のデータやルート案内機能部53が生成したルート案内映像等の上位レイヤーの映像を生成する。そして、タッチパネルから入力された指示に応じて適宜選択したレイヤーの映像をベースマップ上に重畳してなる映像を表示させるための映像データを生成して、操作処理機能部51に伝達する。
【0046】
ユーザデータ処理機能部55は、ユーザが登録しようとする地点情報(例えば、自宅の位置情報等)やルート検索の履歴情報、アイコンの表示非表示等の設定情報をRAM20Cに書き込んだり、RAM20Cから読み出して、その表示を地図データ処理機能部54に依頼する機能である。
【0047】
AV部59は、より詳細には、音声処理機能部56及び映像処理機能部57とから、構成されている。
【0048】
このうち音声処理機能部56は、アンプ12を介してスピーカから出力する音声の信号を処理する機能である。すなわち、音声処理機能部56は、放送波受信部7が受信したラジオ放送、携帯式プレーヤインターフェース6がプレーヤから取得するオーディオ信号、光ディスクドライブ16が再生するオーディオ信号を、操作処理機能部51に伝達する。
【0049】
映像処理機能部57は、放送波受信部7が受信したテレビジョン放送の映像データや光ディスクドライブ1616が再生するビデオ信号やバックアイカメラから受信した映像データを復調して、操作処理機能部51に伝達する。
【0050】
更新部50は、自らを含む各モジュール50〜57を起動させたRAM20C中にインストールされているプログラム,並びに、RAM20Cにインストールされているマップデータ及びユーザデータを、カードメモリインタフェース17に装填されているメモリカードM中の更新データによって更新する機能である。
<動作>
以下、ナビゲーション装置1の動作について説明する。
【0051】
先ず、ナビゲーション装置1に主電源を投入すると、操作処理機能部51が先ず起動し、NAVI部58を構成する各モジュール52〜55を起動させる。そして、自車輌の現在位置を示す映像データを地図データ処理機能部54から受け取ると、操作処理機能部51は、図7に示すナビ画面を、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示する。このナビ画面は、NAVI部58に関する映像(即ち、地図データ処理機能部54から出力された地図及び上位レイヤーの映像,並びに、NAVI部58を構成する各機能モジュール52〜55に対する命令を入力するためのソフトウェアボタン)を表示するための画面である。
【0052】
操作処理機能部57は、タッチパネル21における何れかの部位が押圧された旨の信号を操作受付部23から受信すると、当該部位に重ねて表示されているソフトウェアボタンの種別を識別し、識別した種別が自己に関係するのであれば当該種別に対応する処理を実行し、識別した種別が他のモジュール52〜57に関係するのであれば、関係するモジュールに対して当該ソフトウェアボタンに対応した指示を通知する。
【0053】
操作処理機能部51は、ナビ画面中の「AV」ボタンが押下された場合には、AV部59を構成する各モジュール56〜57を起動させて、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示されている画面を、図8に示すAV画面に切り替える。このAV画面は、AV部59に関する映像(即ち、AV部59を構成する各機能モジュール56,57に対する命令を入力するためのソフトウェアボタン)を表示する画面である。
【0054】
操作処理機能部51は、AV画面中の「ナビ」ボタンが押下された場合には、画面全域をナビ領域が占めるナビ全画面(D103,図9)を、「AV」ボタンが押下された場合には、AV部59を構成する各機能モジュール56,57を停止させて、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示されている画面を、ナビ画面に切り替える。
【0055】
また、操作処理機能部51は、各画面中の「メニュー」ボタンが押下された場合(タッチパネルにおける「メニュー」ボタン表示位置に重なる部位が押圧された事をいう。以下、同様とする)、図9に示すように、メニューウィンドウ60をポップアップ表示する。このメニューウィンドウ60には、様々な命令を操作処理機能部51に入力するためのボタンが含まれているが、そのうちの一つである「バージョンアップ」ボタン61が押下されると、操作処理機能部51は、更新部50を起動して、データ更新処理を開始させる。なお、更新部50は、カードメモリインタフェース17にメモリカードMが装填されていることが検出されているとともに、ディスプレイユニット3が閉鎖位置にある事が角度センサ14からの角度検出信号によって確認されることを条件に、起動可能となっている。
【0056】
起動された更新部50は、図10のフローチャートに示す流れに従って、RAM20C中のプログラム,マップデータ又はユーザデータの更新のための処理をスタートする。そして、スタート後最初のS01では、更新部50は、図11に示すバージョンアップ画面を、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示する。このバージョンアップ画面には、バージョンアップモードに入る旨の意思表示として押下される「YES」ボタン62,及び、バージョンアップモードに入らない旨の意思表示として押下される「NO」ボタ
ン63を含んでいる。そして、「NO」ボタン63が押下された場合には、更新部50は、処理を操作処理機能部51に戻すので、タッチパネル21中のディスプレイは、メニュー画面のみを表示した状態に戻る。一方、バージョンアップ画面内の「YES」ボタン62が押下された場合には、更新部50は、処理をS04へ進める。
【0057】
S04では、更新部50は、図12に示すランチャー画面をタッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示する。このランチャー画面には、各機能モジュール50〜57を起動するためのプログラムの更新を命じるために押下される「Software」ボタン66,マップデータの更新を命じるために押下される「MAPDATA」ボタン65,ルート案内をする状
態への復帰を命じるために押下される「Navigation」ボタン64,及び、ユーザデータの更新を命じるために押下される「ユーザデータ」ボタン67が、含まれている。
【0058】
次のS05では、更新部50は、ランチャー画面中で何れかのソフトウェアボタンが押下されるのを待つ。そして、「Navigation」ボタン64が押下されると、更新部50は、S06において、処理を操作処理機能部51に戻し、タッチパネル21中のディスプレイ上に、初期画面(ナビ画面)を表示させる。
【0059】
一方、ランチャー画面中で「Software」ボタン66,「MAPDATA」ボタン65,又は「
ユーザデータ」ボタン67が押下されると、更新部50は、処理をS07へ進め、カードメモリインタフェース17に装填されているメモリカードM中に、対応する更新データ(即ち、「Software」ボタン66が押下された場合には何れかの機能モジュール50〜57に相当する更新プログラム,「MAPDATA」ボタン65が押下された場合にはマップデータ
の更新データ,「ユーザデータ」ボタン67が押下された場合にはユーザデータ)が含まれているか否か,及び、含まれていた場合にはその版数を、チェックする。更新部50は、S07のチェックの結果として、S05にて押下されたボタン65〜67に対応する更新データがメモリカードM内に含まれていた場合には、処理をS08からS09へ進め、S05にて押下されたボタン65〜67に対応する更新データが含まれていた場合には、処理をS08からS11へ進める。
【0060】
S09では、更新部50は、図17に示すランチャー画面(警告画面)を、タッチパネル21中のディスプレイ上に表示させる。このランチャー画面(警告画面)には、ルート案内をする状態への復帰を命じるために押下される「Navigation」ボタン68が含まれている。
【0061】
次のS10では、更新部50は、「Navigation」ボタン68が押下されるのを待つ。そして、「Navigation」ボタン68が押下されると、更新部50は、S06において、処理を操作処理機能部51に戻し、タッチパネル21中のディスプレイ上に、初期画面(ナビ画面)を表示させる。
【0062】
これに対して、S05にて押下されたボタン65〜67に対応する更新データがメモリカードM内に含まれていたとS08にて判定した場合には、更新部50は、S11において、図14に示すバージョン確認画面を、タッチパネル21中のディスプレイ上に表示する。このバージョン確認画面には、メモリカードMに格納されている更新データの版数と、当該更新データに対応してRAM20C上に現存する旧版のプログラム又はマップデータの版数とが併記されているとともに、「YES」ボタン69及び「NO」ボタン70が含まれている。次のS12では、更新部50は、バージョン確認画面中の何れかのボタン69,70が押下されるのを待つ。そして、「NO」ボタン70が押下された場合には、更新部50は、他の種類のデータの更新又はルート案内への復帰を操作者に選択させるために、処理をS04へ戻す。これに対して、「YES」ボタン13が押下された場合には、更新部50は、処理をS13へ進める。なお、S05にて「ユーザデータ」ボタン67
が押下された場合には、以上のS11及びS12はスキップされて、処理は直ちにS13へ進められる。
【0063】
S13では、更新部50は、S05にて押下されたボタン65〜67に対応した更新データを、カードメモリインタフェース17を通じてメモリカードMから読み出し、これが圧縮されている場合には伸長処理を行った上で、RAM20Cにおける対応する旧版のプログラム又はデータ上に上書きする処理を、開始する。
【0064】
次のS14では、更新部50は、操作処理機能部51に対して、ディスプレイユニット3の動作ロック(即ち、開閉スイッチ24aを含む全操作ボタン24への入力を無効とし、開閉制御部13に対してモータ15の駆動を禁止すること)を命じる。また、更新部50は、更新対象がNAVI部58を構成する何れかの機能モジュール52〜55に相当するプログラム又はマップデータ若しくはユーザデータであるならば、操作処理機能部51に対して、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上でバックグラウンド表示されている画面をAV画面に強制変更させるとともに、NAVI部58を強制終了させる。他方、更新対象がAV部59を構成する何れかの機能モジュール56〜57に相当するプログラムであるならば、操作処理機能部51に対して、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上でバックグラウンド表示されている画面をナビ画面に強制変更させるとともに、AV部59を強制終了させる。
【0065】
次のS15では、更新部50は、S14でスタートした更新の進捗状況を監視して、進捗状況を反映したプログレスバーを、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上のバックグラウンド上に表示する。
【0066】
次のS16では、S14でスタートした更新が完了したか否かをチェックする。そして、更新が未完であれば、処理をS15へ戻す。これに対して、更新が完了しているならば、更新部50は、S17において、図16に示す完了画面をタッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示させた後に、S18において、操作処理機能部51に対して、ディスプレイユニット3の動作ロックを解除させて、以後における各操作ボタン24への入力を有効とさせる。
【0067】
次のS19では、更新部50は、図17に示すリブート画面をタッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示させた後に、更新後のプログラムを含むRAM20C中の全プログラムを用いて、CPU20Aをリブートさせる。その結果、S06において、リブート後に起動した操作処理機能部51により、初期画面としてのナビ画面が、タッチパネル21中の液晶ディスプレイ上に表示される。
【0068】
このとき、プログラムが更新された各機能モジュール50〜57については、更新によって追加された機能が利用可能になっていたり、更新によってデバッグされた問題点が解決されている。また、マップデータが更新された場合には、ナビ画面中に表示される地図が、現実の道路状況により近いものに変更されている。また、ユーザデータが更新された場合には、更新後のユーザデータの内容に応じて、例えば、ユーザが事前設定したルートに基づいたルート案内や、速度取締機の警告表示がなされるようになる。
【0069】
以上に説明したように、本実施例によると、メモリカードM中の更新データをRAM20C中にコピーすることによって当該RAM20C中のプログラムやデータを更新する場合において、更新が開始する(S13)と同時に、S14によって、ディスプレイユニット3の動作がロックされ(S14)、更新が完了するまでロックが解除されないので(S16,S17)、更新の途中で、ディスプレイユニット3を全開状態にしてメモリカードMをメモリカードスロット2b(カードメモリインタフェース17)から抜き取ることが
、防止される。また、NAVI部58及びAV部59のうち更新に関係するものは、操作処理機能部51によって強制終了される(S14)。よって、起動中のプログラムに対して入力された操作によって更新作業が妨げられたり、それに因ってデータが破壊されてしまうといった不具合が生じない。
【0070】
もっとも、NAVI部58及びAV部59のうち更新に関係しないものについては、リブート(S18)されるまでは有効に動作できるので、操作者は、更新中においても、これらの機能を利用することができる。
【0071】
すると、例えば、NAVI部58に関係する更新を行うためにAV部59のみを有効とした場合には、CDを交換可能にできた方が望ましいと、要望されるかも知れない。そのため、更新中であっても、光ディスクスロット2a及びイジェクトボタン18が外部に露出させる一方メモリカードスロット2bのみを覆う位置まで、ディスプレイユニット3を開放できるようにしても良い。その場合であっても、少なくとも、メモリカードスロット2bがディスプレイユニット3によって覆われている限り、更新中におけるメモリカードMの抜き取りは、防止される。
【0072】
但し、CPU20Aの処理能力が、更新との並行処理の負荷に堪えられない場合には、全ての機能を停止させても良い。
<変形例>
上述した第1実施例では、ディスプレイユニット3のデータ更新中におけるディスプレイユニット3の動作を制限することによって、当該ディスプレイユニット3自体によってメモリカードスロット2bを覆い、メモリカードMの引き抜きを防止したが、ディスプレイユニット3の動作に制限を掛けることなく、機械的な仕組みによって、直接メモリカードMのメモリカードスロット2bからの引き抜きを禁止しても良い。
【0073】
図18は、かかる規制機構を備えたメモリカードスロット2bの内部機構の平面図である。即ち、従来の汎用されているメモリカードスロットと同様に、当該内部機構は、上述したカードメモリインタフェース17,メモリカードスロット2bの開口部に向けて開放した平面コの字型のレール70,レール70の一側面に取り付けられたトグル機構71,このトグル機構71によってレール70と平行に移動可能に保持されたレバー72,及び、このレバー72を外方(図18における上側)へ向けて付勢するスプリング73を、備えている。
【0074】
このうち、レール70は、メモリカードMがその先端(図18の上側)から挿入されると、当該メモリカードMの両側縁に対して外側から係合することによって、当該メモリカードMを一方向(図18における上下方向)にのみ移動可能に保持し、もって、その電極がカードメモリインタフェース17(コネクタ)に接触する位置までガイドする部材である。
【0075】
また、レバー72は、レール70によってガイドされたメモリカードMの先端に接触し、操作者が当該メモリカードMを押し込むことによって、スプリング73の弾発力に抗してカードメモリインタフェース17側へ押し下げられ、操作者が当該メモリカードMから手を離すと、開放されたスプリング73の弾発力によって当該メモリカードMをメモリカードスロット2bから押し出す。
【0076】
また、トグル機構71は、かかるレバー72をスライド自在に保持するとともに、メモリカードMがカードメモリインタフェース17に対して定常の接続位置となる第1の位置と、メモリカードMをよりカードメモリインタフェース17に接近させる第2の位置と、メモリカード2bをメモリカードスロット2bから摘み出し可能な量だけ突出させる第3
の位置との間で、順次位置決めを行う。即ち、トグル機構71は、上述したようにメモリカードMが押し込まれた場合には、常にレバー72を第2の位置に位置決めするが、その状態において操作者が当該メモリカードMから手を離したときにレバーを位置決めする位置を、第1の位置と第3の位置とで交互に切り替えるのである。
【0077】
次に、データ更新中におけるメモリカードMの引き抜きを防止するための仕組みとして、本変形例では、メモリカードMが上記第1の位置に在るレバー72によって位置決めされている状態において、当該メモリカードMの一側縁に形成された切欠Kに係合するようにロックピン75を出没させるアクチュエータ74が備えられている。
【0078】
このアクチュエータ74は、制御部20に接続され、操作処理機能部51によって制御される。即ち、本変形例では、更新部50は、 図10のS14において、操作処理機能
部51に対して、アクチュエータ74からロックピン75を突出させることにより、その先端をメモリカードMの切欠Kに係合させる。その結果、操作者がメモリカードMを押し込もうとしても、レバー72は第1の位置から第2の位置に移動できないので、結果として、操作者がメモリカードMから手を離しても、レバー72が第3の位置に移動してメモリカードMがメモリカードスロット2bから突出することがない。また、第1の位置にあるメモリカードMを直接第3の位置へ移動させることも規制される。よって、メモリカードMの引き抜きが禁止されるのである。更新完了後、更新部50は、 図10のS15に
おいて、操作処理機能部51に対して、アクチュエータ74へロックピン75を繰り込ませることにより、メモリカードMに対するロックを解除させる。その結果、操作者がメモリカードMを押し込めば、レバー72は第1の位置から第2の位置に移動するので、その状態から操作者がメモリカードMから手を離せばレバー72が第3の位置に移動してメモリカードMがメモリカードスロット2bから突出する。よって、メモリカードMの引き抜きが可能となる。
【0079】
以上のように変形された場合には、ディスプレイユニット3の機能及びメモリカードスロット2bの位置についての制約は不要となるので、デザイン上の自由度が増えることになる。
【実施例2】
【0080】
以下に説明する本発明の第2の実施例は、1DINサイズのAV機能一体型のカーナビゲーション装置に、本発明を実施したものである。
<構成>
図19は、本実施例によるカーナビゲーション装置60の外観を示す斜視図である。かかるカーナビゲーション装置60も、自動車室内における運転席や助手席に着座した乗員から手が届きやすいセンターダッシュボードに設置される。
【0081】
図19と図20及び図21とを対比すると理解されるように、このカーナビゲーション装置60も、その大部分を構成するメインユニット61と、当該メインユニット61における装着時に唯一室内に露出する前面(各図における左手前面)において着脱自在に固定されたディスプレイユニット62とから、構成されている。
【0082】
メインユニット61におけるディスプレイユニット62によって覆い隠される表面には、メモリカードスロット63aが設けられているとともに、ディスプレイユニット62の着脱を可能とするための保持機構(係合溝63c,ロック穴63d,コネクタ受け63e)が設けられている。
【0083】
また、カバー部材としてのディスプレイユニット62の表面の向かって右側には、液晶ディスプレイ及びシート状の圧電素子からなるタッチパネル21が埋め込まれており、左
側には、制御部20(操作処理機能部51)によって機能が割り当てられた複数の操作ボタン24(開閉スイッチ24aを含む)が配置されている。当該ディスプレイユニット62の背面には、メインユニット61に対する着脱を可能とするための保持機構(係合フック62c,脚63d,コネクタ62e)が設けられている。
【0084】
図22は、ディスプレイユニット62をメインユニット61に対して着脱可能とするための保持機構の全体構造を示す横断面図である。この図22に示されるように、係合フック62cは、係合溝63cに対して、メインユニット61の表面に直交する方向の動きによって一旦没入した後に、上記表面と平行に水平方向側方(図22における左右方向右側)へスライドすることによって係合し、もって、メインユニット61の表面に直交する方向の動きが規制される。
【0085】
また、脚63dには、水平方向に貫通孔63eが穿たれている一方、ロック穴63dには、当該貫通孔63eに嵌合する形状のロックピン64が、スプリング65によって常時突出する向きに付勢された状態で突出している。このロックピン64におけるロック穴63d内に突出した部分の表面は、先端ほどロック穴63dの奥へ向かうように斜めに面取りされているので、上述したように係合フック62cを係合溝63cに係合させた状態で脚63dをロック穴63dに挿入すると、脚63dの先端がロックピン64の斜面に当接することにより、ロックピン64をスプリング65の付勢力に抗して押し込み、更に脚63dを挿入させていくと、貫通孔63eとロックピン64とが重なることにより、ロックピン64が貫通孔63e内に突入する。この状態では、操作者がディスプレイユニット62をメインユニット61から引き離そうとしても、ロックピン64が脚63dの貫通孔62eに係合しているので、ディスプレイユニット62がメインユニット61から外れることがない。
【0086】
このロックピン64の側面には、ロックピン64の軸方向を向いたスリットを貫通して伸延するアーム64aが突出形成されている。このアーム64aは、制御部20(操作処理機能部51)によって制御されるアクチュエータ67により、スプリング65の付勢力に抗して、没入方向に押し込まれる。制御部20(操作処理機能部51)は、開閉スイッチ24aが押下されると、アクチュエータ67を制御することによってロックピン64を没入させる。これにより、ロックピン64と脚62dとの係合が外れ、ディスプレイユニット62をメインユニット61から取り外すことが可能となるのである。
【0087】
なお、図22では隠れているが、ディスプレイユニット62をメインユニット61に装着した状態では、上述したコネクタ62eとコネクタ受け63eとが結合することにより、ディスプレイユニット63に内蔵された図示せぬ表示処理部22及び操作受付部23(図4参照),並びに操作ボタン24が、制御部20に対して電気的に接続される。また、図22では、詳細な図示を省略したが、メインユニット62内には、開閉制御部13,角度センサ14,モータ15,光ディスクドライブ16及びイジェクトボタン18を除き、図4乃至図6に示す全構成を備えている。但し、本実施例では光ディスクドライブ16(図4参照)がないことから、図6に示す音声処理機能部56は、専ら、RAM20C又はメモリカードMに格納されている音楽データを、読み込んで再生することになる。
【0088】
本実施例においても、制御部20中の更新部50は、図10に示す処理を実行する。但し、S14において、更新部50は、操作処理機能部51に対して、開閉スイッチ24aを含む全操作ボタン24への入力を無効とさせことを命じる。これにより、アクチュエータ67がロックピン64を押し込むことが禁止されるので、ロックピン64と脚62dとの係合解除が制限され、ディスプレイユニット62がメモリカードスロット63dを覆った状態に維持されるので、データ更新中におけるメモリカードMの抜き取りが防止されるのである。更新完了後、更新部50は、S15において、操作処理機能部51に対して、
開閉スイッチ24aを有効とさせるので、以後操作者が開閉スイッチ24aを押下すると、アクチュエータ67が動作し、もって、ディスプレイユニット62をメインユニット61から取り外すことが可能となる。即ち、上記保持機構は、操作処理機能部51とともに、固定機構を構成する。この固定機構は、上述したディスプレイユニット62とともに、規制機構を構成する。
【0089】
なお、上記カーナビゲーション装置1のメモリカードスロット2bは、装填されているメモリカードMを押し込むと弾発力で当該メモリカードMが飛び出し、飛び出したメモリカードMを摘んで引き抜くことで排出する。ここで、上記カーナビゲーション装置1は、図2Bに示されるように、イジェクトボタン18の近くにメモリカードスロット2bがある。このため、光ディスクを排出するつもりでイジェクトボタン18を押そうとした場合に、誤ってメモリカードMを押してしまい、意図しない排出が行なわれてしまう虞がある。そこで、上記カーナビゲーション装置1は、イジェクトボタン18を例えば図23に示すように、光ディスクドライブ16を挟んでメモリカードスロット2bと反対側の位置である光ディスクドライブ16の上側に配置してもよい。イジェクトボタン18をメモリカードスロット2bから離した位置にすることで、このような意図しない誤操作を防ぐことができる。なお、このような誤操作は、図2Aに示したように、ディスプレイユニット3が閉鎖位置と全開位置の中間の位置(チルト位置)にて保持(停止・固定)されている状態であれば、ユーザはメモリカードMに触れることが物理的にできないので、このような誤排出を確実に防ぐことが可能である。
【0090】
イジェクトボタンを押してディスク排出を行なう構成を採る場合は、ディスクアクセス中のイジェクトボタンの操作を無効化するだけで誤排出によるデータアクセスエラーを容易に防ぐことができる。一方、メモリカードのように装填されている記憶媒体に直接触れて排出を行なう構成を採る場合は、イジェクトボタンの操作の無効化といった対応を採る事ができず、記憶媒体が簡単に取り出されてしまう。しかしながら、上記各実施例のように、記憶媒体が装填されている部分をディスプレイ等で元々覆っているような機器においては、ディスプレイの開閉動作で記憶媒体の排出操作を制限可能なようにすれば、特段の新たな構成を付加することなく、誤排出によるデータアクセスエラーを防ぐことができる。
【0091】
以下は、本実施例に含まれる特徴点の一部を例示したものであるが、特徴点が以下に挙げるものに限定されるものではない。
【0092】
(付記1)
プログラム及びマップデータを格納可能な記憶媒体と、
前記記憶媒体から読み出したプログラムを実行することによって、前記記憶媒体から読み出したマップデータに基づく地図表示用の映像を生成する処理装置と、
メモリカードを装填可能なメモリカードスロットと、
当該メモリカードスロットからのメモリカードの引き抜き方向への動きを規制可能な規制機構と、
前記メモリカードスロットに装填されたメモリカード内に格納されている更新データを読み出して前記記憶媒体にコピーするとともに、当該コピーの間、前記規制機構により、メモリカードスロットからのメモリカードの引き抜き方向への動きを規制させる制御部とを備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【0093】
(付記2)
前記規制機構は、前記メモリカードスロットをその前面に備えたカーナビゲーション装置の本体の前面を覆うカバー部材と、前記カバー部材が前記本体の前面を覆った状態で前記部材を固定する固定機構とを含む
ことを特徴とする付記2記載のカーナビゲーション装置。
【0094】
(付記3)
前記カバー部材には、前記本体の前面を覆った状態において外部に露出するように、前記処理装置によって生成された映像を表示する表示装置が埋め込まれている
ことを特徴とする付記2記載のカーナビゲーション装置。
【0095】
(付記4)
操作者によって操作されるスイッチを更に備えるとともに、
前記固定機構は、前記カバー部材が前記本体の前面を覆う第1の位置と前記メモリカードスロットを露出させる第2の位置との間で往復移動させる移動機構を有し、
前記制御部は、前記コピーの間以外の時間においては、前記スイッチが操作されると、前記移動機構により前記カバーを前記第2の位置へ移動させるが、前記コピーの間においては、前記スイッチが操作されても、前記移動機構により前記カバーを前記第1の位置に保持させる
ことを特徴とする付記3記載のカーナビゲーション装置。
【0096】
(付記5)
操作者によって操作されるスイッチを更に備えるとともに、
前記固定機構は、前記カバー部材を、前記本体の前面を覆う位置に着脱自在に保持する保持機構を有し、
前記制御部は、前記コピーの間以外の時間においては、前記スイッチが操作されると、前記保持機構により前記カバーを前記本体から離脱可能させるが、前記コピーの間においては、前記スイッチが操作されても、前記保持機構により前記カバーを前記本体に保持させる
ことを特徴とする付記3記載のカーナビゲーション装置。
【0097】
(付記6)
前記規制機構は、前記メモリカードスロットに装填されたメモリカードに形成された切り欠きに係合することによって、前記メモリカードスロット内での前記メモリカードの移動を規制する
ことを特徴とする付記2記載のカーナビゲーション装置。
【0098】
(付記7)
前記制御部の機能は、前記処理装置と、前記記憶媒体に格納されるととともに前記処理装置によって実行されるプログラムの一部とによって実現される
ことを特徴とする付記1記載のカーナビゲーション装置。
【0099】
(付記8)
前記更新データは、前記記憶媒体に格納されているプログラムに上書き又は追加される新版のプログラムである
ことを特徴とする付記1記載のカーナビゲーション装置。
【0100】
(付記9)
前記処理装置に対して音楽データ又はビデオデータを再生させるAV用プログラムが格納されている記憶媒体を更に備え、
前記更新データは、前記記憶媒体に格納されている前記AV用プログラムに上書きされる新版のプログラムである
ことを特徴とする付記8記載のカーナビゲーション装置。
【0101】
(付記10)
前記更新データは、前記記憶媒体に格納されているマップデータに上書きされる新版のマップデータである
ことを特徴とする付記1記載のカーナビゲーション装置。
【符号の説明】
【0102】
1 カーナビゲーション装置
2 メインユニット
3 ディスプレイユニット
13 開閉制御部
15 モータ
17 カードメモリインタフェース
20 制御部
20A CPU
20C RAM
21 タッチパネル
24 操作ボタン
24a 開閉スイッチ
50 更新部
51 操作処理機能部
58 NAVI部
59 AV部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部から読み出したプログラム及びマップデータに基づいて地図画像を生成する本体部と、
前記本体部の前面に設けられたメモリカードを挿入及び排出するためのメモリカードスロットと、
前記メモリカードスロットに挿入されたメモリカードに格納されている更新データを前記記憶部にコピーするとともに、当該コピーが行われている間は、前記メモリカードスロットからのメモリカードの排出を規制する制御部とを備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記本体部の前面を覆うように設けられ、傾斜可能な表示部を有し、
前記制御部は、前記表示部を所定の傾きで保持させることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記本体部の前面を覆った状態において、前記本体部によって生成された地図画像を表示することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記本体の前面を覆う第1の位置と前記メモリカードスロットを露出させる第2の位置との間で、前記表示部を傾斜させる傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記コピーが行われている間は、前記表示部を前記第1の位置で保持することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記本体の前面を覆う第1の位置と前記メモリカードスロットを露出させる第2の位置との間で、前記表示部を傾斜させる傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記コピーが行われている間は、前記表示部を、前記第1の位置と前記第2の位置との間において前記メモリカードスロットのみを覆う位置で保持することを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記本体部の前面に前記メモリカードとは異なる記録媒体を挿入及び排出するための挿排部を有し、
前記傾斜部は、前記記録媒体を挿入または排出するための指示を受け、かつ前記コピーが行われている間は、前記表示部を、前記挿排部を覆わず、かつ前記メモリカードスロットのみを覆う位置で保持することを特徴とする請求項5記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記本体部の前面を覆うように設けられ、着脱可能な表示部を有し、
前記制御部は、前記コピーが行われている間は、前記表示部を前記本体部から外せないように制御することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−181397(P2010−181397A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265937(P2009−265937)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】