説明

キナーゼ活性を阻害するのに有用な置換アミド、スルホンアミド及び尿素

【課題】骨粗鬆症及び関連する骨組織損失に対して阻止作用を有する化合物の提供。
【解決手段】Srcキナーゼ阻害作用を有する、式(II)で示される一般構造を有するアミド、スルホンアミド及び尿素化合物、それらの鏡像異性体、立体異性体及び互変異性体、並びに該化合物の薬学的許容塩又は溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な置換アミド化合物、詳しくは酵素阻害性、特にタンパク質チロシンキナーゼを阻害する酵素阻害性を有するカルボキサミド、スルホンアミド、及び尿素化合物を開示する。
【背景技術】
【0002】
本発明の新規化合物は、骨癌、結腸癌又は乳癌を含む癌;免疫不全障害及び糖尿病;アテローマ性動脈硬化症、骨粗鬆症、白血病、及びその他の症状、例えば冠動脈性心疾患、うっ血性心不全、腎不全及び該化合物が有益な作用を及ぼす中枢神経系の疾患、の治療に一般的に治療価値があるであろう。本発明の化合物は、Src族の一員であるSrcタンパク質チロシンキナーゼを阻害することが見出された。
【0003】
Src族は9つの部員、即ちSrc、Yes、Fgr、Yrk、Fyn、Lyn、Hck、Lck及びBlk、から成り、それらは同じドメイン構造を分け合う。N−末端はユニークなドメインで、ミリスチル化部位と、しばしばパルミトイル化部位を含む。それに、二葉性(bilobal)であり二つの葉の間に活性部位が押し込まれた調節性SH3及びSH2ドメイン、及びホールマーク(hallmark)調節性チロシン残基(Src中のTyr527)を含むC−末端調節性尾部が続く。キナーゼ活性は後者がホスホリル化されそしてSH2ドメインに結合された場合に減少する。SH2及びSH3ドメインはそれぞれホスホチロシルに富んだペプチド及びプロリンに富んだペプチドに結合する:これらの相互作用により、キナーゼ活性の分子間及び分子内調節、並びに局在化及び基質認識に関与する。
【0004】
チロシンホスホリル化は多くの細胞調節過程に決定的な役割を果たすことについて多くの証拠がある(非特許文献1)。研究により、キナーゼの機能的混乱が多くの病気をもたらすことが見出された。従って、これらの酵素に対する強力且つ選択的な阻害剤を開発する試みの努力が非常に多くなされた。
【0005】
Srcチロシンキナーゼは骨粗鬆症及びその他の骨疾患に役割を果たす。骨粗鬆症は、低い骨質量と骨組織の微細構造劣化により特徴付けられ、骨のもろさと骨折し易さが増大する結果となる全身的骨格疾患として定義される(非特許文献2)。骨粗鬆症は年に150万の骨折を引き起こし、合計医療費は138億米ドルであると推定される(非特許文献3)。かかる骨折の最も典型的な部位は腰、背骨、手首、及び肋骨である。2人の女性に一人そして8人の男性に一人は生涯に骨粗鬆症に関連した骨折をすることも推定されている。骨粗鬆症は閉経後及び年に関連した骨組織減少に非常によく関連する。更に、骨粗鬆症は二次的に色々な薬物及び疾患、例えばコルチコステロイド、抗痙攣薬、アルコール、吸収不良症候群、原発性胆汁肝硬変、ミエローマ、地中海貧血、甲状腺中毒症、クッシング症候群、ターナー症候群、及び原発性上皮小体機能高進症を引き起こし得る。骨粗鬆症の治療に使用される薬物は、抗吸収又は形成刺激剤として一般に分類される。正常な骨組織では、造骨細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収とが調和している。この進行中の過程の調和が覆されると、骨吸収が骨形成を凌ぎ、量的な骨損失となる。治療の殆どが、カルシウムサップルメント、エストロゲン、カルシトニン、およびビタミンDのように骨吸収の阻止により作用する治療を含む(非特許文献4)。
【0006】
骨形成の刺激により作用する治療の例は、フッ化ナトリウム、パラチロイドホルモンの低断続的投与である(非特許文献5)。
【0007】
いくつかの報告は、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)p60c−Src(時々c−Srcと云う)は破骨細胞機能に重大な役割を果たすことを余儀なく示す証拠を開示した(非特許文献6)。インビトロでは、c−Srcのキナーゼ阻害剤は破骨細胞骨吸収を減少させることができることが報告された(非特許文献6)。破骨細胞は骨の破壊又は改造の原因となる骨髄細胞である。一旦破骨細胞が骨表面と接触すると、それは骨に密着し、平らに伸ばし、そして物質を分泌する過程を開始し、それは骨を溶解する結果となる。破骨細胞のこの基本的作用はSrcキナーゼに依存する。この場合、Srcキナーゼの役割の少なくとも一つは、接近した骨細胞間隙を確立しそして細胞分泌を骨表面に偏らせるのに関係する細胞骨格変化の調節にあることは明らかである。従って、Srcキナーゼが欠乏するように遺伝子操作された動物は、一般的な骨再吸収不能を示す異常を示す。
【0008】
更に、これらの動物から誘導された破骨細胞は骨上で平らになることも、骨を溶解することもできない。これらの結果と一致して、Srcキナーゼの小分子阻害剤は、IL−1−誘発高カルシウム血症のような骨粗鬆症の動物モデルにおける骨減少及び卵巣摘出ラットにおける骨減少に対抗するのに有用であることが示された。Srcキナーゼ阻害剤は骨粗鬆症のように不適当な骨再吸収により特徴付けられる障害の治療に有用であろう。
【非特許文献1】Fahad Al-Obeidi 外, Biopolymers(Peptide Science) 47, 197-223 (1998)
【非特許文献2】W. A. Peck, 外, Am. J. Med., 94, 646 (1993)
【非特許文献3】National Osteoporosis Foundation, 8月(1997)
【非特許文献4】L. Riggs, West. J. Med., 154, 63 (1991)
【非特許文献5】M. Missbach, 外, Rech, Chimie Med., 7月、1997年, London
【非特許文献6】M. Missbach, 外, al. Rech, Chimie Med., July, 1997, ロンドン
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、骨粗鬆症及び関連する骨組織損失に対して阻止作用を有する新規なカルボキサミド、スルホンアミド及び尿素を提供する。一つの態様においては、本発明は、かかる望ましい治療的阻害活性を有する新規なカルボキサミド化合物を提供する。本発明のカルボキサミドは、式Iに示される一般構造を有し、その鏡像異性体(エナンチオマー)、立体異性体及び互変異性体(トウトマー)、又は該化合物の薬学的許容塩若しくは溶媒和物を含み、該化合物は式Iで示される一般構造を有する:
【0010】
【化1】

[式中、
mは0から4の整数であり、
nは1から6の整数であり、
R’はC1−C4アルキルであり、
1
【化2】

であり、
3はH、C1−C4の直鎖アルキル及びC1−C4分岐鎖アルキルから成る群から選ばれ、
2は−(CH2)p−NH−C(=NH)NH2;−(CH2)p−R4;及び−(CH2)q−Ar1(ここで、pは1から4の整数;qは0又は1;R4はC5−C7シクロアルキル;そしてAr1は式:
【化3】

から成る群から選ばれ、R5は−NH2又はフェニルである)から成る群から選ばれる]
で示される。
【0011】
別の態様においては、本発明は骨粗鬆症及び関連する骨組織損失に対して阻止作用を有する新規な置換尿素及びスルホンアミド化合物を提供する。本発明の化合物は式IIに示される一般構造を有し、その鏡像異性体、立体異性体及び互変異性体、並びにその薬学的許容塩若しくは溶媒和物を含む:
【0012】
【化4】

[式中、
1はH、直鎖C1−C6アルキル、分岐鎖C1−C6アルキル、−(CH2)p−Ar1及び−(CH2)p−R4(ここで、
pは1又は2であり、
Ar1は、直鎖若しくは分岐鎖C1−C6アルキル基で任意に置換されたフェニル若しくはナフチルであり、そして
4はC5−C7シクロアルキルである)から成る群から選ばれ、
2は式:
【化5】

(ここで、
5はH、直鎖C1−C6アルキル及び分岐鎖C1−C6アルキルから成る群から選ばれる)から成る群から選ばれ、
3は−(CH2)q−Ar2又は−(CH=CH)フェニル(ここで、qは0から4の整数であり、Ar2
【化6】

から成る群から選ばれる)であり、
【0013】
Xは
【化7】

であり、そして
Yは
【化8】

から成る群から選ばれ、但し、Yが下記の基:
【化9】

のいずれかである場合は、R1はHである。
【0014】
特に記載がない限り、下記の用語は、本願で使用される場合、所定の意味を有する:
アルキル(低級アルコキシのアルキル部分を含む)は、1〜10、好ましくは1〜6の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素鎖を示す;
アリールは、6〜14の炭素原子を有しそして少なくとも一つのベンゼノイド環を有する炭素環式基を示し、炭素環式基の全ての利用できる置換可能な芳香族炭素原子は可能な結合点である。好ましいアリール基には、1−ナフチル、2−ナフチル及びインダニル、そして特にフェニル及び置換フェニルが含まれる;
アラルキルは、低級アルキルを介して結合されたアリール基を含む基を示す;
アルキルアリールは、アリール基を介して結合された低級アルキルを含む基を示す;
シクロアルキルは、3〜8、好ましくは5又は6の炭素原子を有し、任意に置換された飽和炭素環式環を示す;
複素環は、以下に定義するヘテロアリールに加えて、少なくとも1個のO、S及び/又はN原子が、1つの環又は2つの融合環から成る炭素環式環構造に介在した飽和又は不飽和の環式有機基を示し、ここで各環は5−、6−又は7−員でありそして非局在パイ電子を欠く二重結合を有しても有さなくてもよく、その環構造は2〜8、好ましくは3〜6の炭素原子を有し、例えば2−若しくは3−ピペリジニル、2−若しくは3−ピペラジニル、2−若しくは3−モルホリニル、又は2−若しくは3−チオモルホリニルである;
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を示す;
ヘテロアリールは、少なくとも一つのO、S及び/又はN原子が炭素環式環構造に介在し、十分な数の非局在パイ電子を有して芳香族特性を与える環式基を示し、芳香族複素環式基は2から14、好ましくは4又は5の炭素原子を有し、例えば、2−、3−若しくは4−ピリジル、2−若しくは3−フリル、2−若しくは3−チエニル、2−、4−若しくは5−チアゾリル、2−若しくは4−イミダゾリル、2−、4−若しくは5−ピリミジニル、2−ピラジニル、又は3−若しくは4−ピリダジニル等である。好ましいヘテロアリール基は、2−、3−若しくは4−ピリジルであり、かかるヘテロアリールはまた、任意に置換されていてもよい。
【0015】
“薬学的許容塩”の用語は、式I及びIIで表される基本化合物の非毒性有機酸又は無機酸付加塩である。
【0016】
本発明の範囲に含まれるのは、式(I)及び(II)の個々の立体異性体、ジアステレオマー及び幾何学異性体、並びにそれらの鏡像異性体(エナンチオマー)である。“立体異性体”の用語は、空間における分子の原子の方向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対する一般的用語である。それは幾何学(シス/トランス)異性体、及び互いに鏡像でない1個より多くのキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。“エナンチオマー”又は“エナンチオメトリック”の用語は、鏡像上に重ねることができず、従って光学活性である分子を云い、ここでエナンチオマーは偏光面を一方向に回転させ、そしてその鏡像は偏光面を反対方向に回転させる。“ラセミ混合物”又は“ラセミ体”の用語は、等しい部のエナンチオマーの混合物を云い、光学的に不活性である。本願で使用される接頭語“(+)”及び“(−)”は、化合物による偏光面の回転のサインを示し、(+)は化合物が右旋性であることを意味し、そして(−)は化合物が左旋性であることを意味する。アミノ酸については、L/D又はR/SはIUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature, Eur. J. Biochem. 138、 9-37(1984)に記載のように使用できる。
【0017】
本発明の別の特徴は、有効成分として式Iの化合物(又はその塩、溶媒和物若しくは異性体)又は式IIの化合物(又はその塩、溶媒和物若しくは異性体)を、薬学的に許容される単体又は賦形剤と共に含む薬学的組成物である。
【0018】
本発明はまた、上記の疾患の1種またはそれ以上を患う患者に、治療上に有効阻害量の式I若しくは式IIの化合物、又は式I若しくは式IIの化合物を含む薬学的組成物を投与する方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
一つの態様においては、本発明はいろいろな記号を定義した前記の式I又は式IIの新規な化合物を提供する。式Iに属する、優れたScrキナーゼ阻害活性を示す本発明の代表的なアミド化合物を名称と構造により以下に提示する。
【0020】
名称及び構造式
1.N−[4−アミジノベンゾイル]−N−[3−フェノキシベンジル]−3−(4−ビフェニル)−アラニル−グリシル−アミド
IUPAC名
アルファ−[[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル][3−フェノキシフェニル)メチル]アミノ]−N−(2−アミノ−2−オキソエチル)−1,1’−ビフェニル−4−プロパンアミド
構造
【化10】

【0021】
2.N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−シクロヘキシルアラニル−グリシル−アミド
IUPAC名
3−(アミノイミノメチル)−N−[1−[[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]]カルボニル]−2−シクロヘキシルエチル]−N−[[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]フェニル]メチル]ベンズアミド
構造
【化11】

【0022】
3.N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−4−アミノフェニルアラニル−グリシル−アミド
IUPAC名
4−アミノ−アルファ−[[3−(アミノイミノメチル)ベンゾイル][[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]フェニル]メチル]アミノ]−N−(2−アミノ−2−オキソエチル)ベンゼンプロパンアミド
構造
【化12】

【0023】
4.N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−1−ナフチルアラニル−グリシル−アミド
IUPAC名
4−アミノ−アルファ−[[3−(アミノイミノメチル)ベンゾイル][[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]フェニル]メチル]アミノ]−N−(2−アミノ−2−オキソエチル)−1−ナフタレンプロパンアミド
構造
【化13】

【0024】
5.N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−アルギニル−グリシル−アミド
IUPAC名
3−(アミノイミノメチル)−N−[4−[(アミノイミノメチル)アミノ]−1−[[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]カルボニル]ブチル]−N−[[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]フェニル]メチル]ベンズアミド
構造
【化14】

【0025】
6.N−[4−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−トリプタニル−グリシル−アミド
IUPAC名
4−アミノ−アルファ−[[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル][[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]フェニル]メチル]アミノ]−N−(2−アミノ−2−オキソエチル)1H−インドール−3−プロパンアミド
構造
【化15】

【0026】
7.N−[4−アミジノベンゾイル]−N−[4−ビフェニルメチル]−3−(4−ビフェニル)アラニル−グリシル−アミド
IUPAC名
アルファ−[[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル][[[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]アミノ]−N−(2−アミノ−2−オキソエチル)−1,1’−ビフェニル−4−プロパンアミド
構造
【化16】

【0027】
優れたScrキナーゼ阻害活性を示す本発明の式IIの代表的な尿素化合物を名称と構造により以下に提示する。
【0028】
8.4−シクロヘキシル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペラジン
IUPAC名
アルファ−[[[[4−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−3−[(1−オキソー4−フェニルブチル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]−2−ナフタレンプロパンアミド
構造
【化17】

【0029】
9.4−シクロヘキシル−1−[[2−シンナモイルアミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペラジン
IUPAC名
アルファ−[[[[4−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−3−[(1−オキソ−3−フェニル−2−プロペニル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]−2−ナフタレンプロパンアミド
構造
【化18】

【0030】
10.一般名
4−シクロヘキシル−1−[[2−シンナモイルアミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−3−フェニル)プロピルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペラジン
IUPAC名
アルファ−[[[[4−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−3−[(1−オキソ−3−フェニル−2−プロペニル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]ベンゼンブタンアミド
構造
【化19】

【0031】
11.4−シクロヘキシル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−3−フェニル)プロピルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペラジン
IUPAC名
アルファ−[[[[4−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−3−[(1−オキソ−4−フェニルブチル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]ベンゼンブタンアミド
構造
【化20】

【0032】
12.4−シクロヘキシル−1−[[2−シンナモイルアミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−2−シクロヘキシルエチルアミノ)カルボニルアミノフェニル]ピペラジン
IUPAC名
2−[アルファ−[[[[4−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−3−[(1−オキソ−3−フェニル−2−プロペニル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]]3−(シクロヘキシル)プロパンアミド
構造:
【化21】

【0033】
13.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
2−[アルファ−[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−5−フェニルペンチル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]]−3−[ナフタ−2−イル]プロパンアミド
構造
【化22】

【0034】
14.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
2−[アルファ−[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]]−3−[ナフタ−2−イル]プロパンアミド
構造
【化23】

【0035】
15.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル]−2−シクロヘキシルエチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
2−[アルファ−[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]]−3−シクロヘキシル−プロパンアミド
構造
【化24】

【0036】
16.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
4−[アルファ−[4−[[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]メチル]]−シクロヘキサ−1−イルホルムアミド
構造
【化25】

【0037】
17.4−(メチルアミノメチル)カルボニル−1−[2−[(2−ベンゾ−フラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
4−[アルファ−[4−[[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−[[[メチル]アミノ]メチル]カルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]メチル]]−シクロヘキサ−1−イルホルムアミド
構造
【化26】

【0038】
18.4−(ピロリジン−2−イル)カルボニル−1−[2−[(2−ベンゾ−フラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシル−メチル−アミノ]カルボニルアミノ]フェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
4−[アルファ−[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(2−ピロリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]メチル]]−シクロヘキサ−1−イルホルムアミド
構造
【化27】

【0039】
19.4−(ピペリジン−1−イル)−1−[2−[(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペリジン
IUPAC名
4−[アルファ−[4−[[[[[4−(ピペリジン−1−イル)−1−ピペリジニル]−3−[(1−オキソ−1−ベンゾフラン−2−イル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]メチル]]−シクロヘキサ−1−イルホルムアミド
構造
【化28】

【0040】
20.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−シクロヘキシルエチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
N−[5−[[[[1−(カルボキシ)−1−(シクロヘキシル−メチル)]アミノ]カルボニル]アミノ]−2−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]フェニル]ベンゼン−ブタンアミド
構造
【化29】

【0041】
21.4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−2−(ナフタ−2−イル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
IUPAC名
2−[アルファ−[[[[4−[ヘキサヒドロ−4−(4−ピペリジニルカルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]−3−[(1−オキソ−4−フェニル−ブチル)アミノ]フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]]−3−(ナフタ−2−イル)−プロパンアミド
構造
【化30】

【0042】
優れたScrキナーゼ阻害活性を示す本発明の式IIの代表的なスルホンアミド化合物を名称と構造により以下に提示する。
【0043】
22.N−(1−アミノカルボニル−2−メチルプロピル)−2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(2−ピロリジノカルボニル)アミノ]フェニルスルホンアミド
IUPAC名
アルファ−2−[[[[2−(4−ベンジル)−1−ピペリジニル]−5−[(ピロリジン−2−イル)カルボニルアミノ]フェニル]スルホニル]アミノ]−3−メチルブタンアミド
構造
【化31】

【0044】
23.N−(1−アミノカルボニル−2−メチルプロピル)−2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(2−ピペリジノ−カルボニル)アミノ]フェニルスルホンアミド
IUPAC名
アルファ−2−[[[[2−(4−ベンジル)−1−ピペリジニル]−5−[(ピペリジン−4−イル)カルボニルアミノ]フェニル]スルホニル]アミノ]−3−メチルブタンアミド
構造
【化32】

【0045】
24.1−(2−[N−(2−アミノカルボニル−3−メチルブチル)スルホンアミド]−5−[(2−シンナモイルアミノ]フェニル−4−シクロヘキシルピペラジン
IUPAC名
アルファ−2−[[[2−(4−シクロヘキシル−1−ピペラジニル)−5−[(1−オキソ−3−フェニル−2−プロペニル)カルボニルアミノ]フェニル]スルホニル]アミノ]−3−メチルブタンアミド
構造
【化33】

【0046】
25.N−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチル]アミノ]−[2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(2−ピロリジノ−カルボニル)アミノ]フェニル]スルホンアミド
IUPAC名
4−[2−[[[[[2−[(4−ベンジル)−1−ピペリジニル]−5−[(ピロリジン−2−イル)カルボニルアミノ]フェニル]スルホニル]アミノ]メチル]−シクロヘキサ−1−イルホルムアミド
構造
【化34】

【0047】
本発明の化合物は有機酸及び無機酸と薬学的許容塩を形成し得る。かかる塩形成に適した酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、琥珀酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸及び2−ヒドロキシエタンスルホン酸のようなスルホン酸、並びに当業者によく知られた他の鉱酸及びカルボン酸、及びオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムのような酸金属塩である。かかる塩は水和形態又は実質的に無水の形態で存在することができる。該塩は、慣用の方法で遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて塩を生成することにより製造される。遊離塩基形態は、該塩を、薄い水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウムのような適当な薄い塩基水溶液で処理することにより再生し得る。遊離塩基形態はそれらの対応する塩形態と、ある種の物性、例えば極性溶媒中への溶解度、において幾分相違するが、該塩はその他は本発明の目的にはそれらの対応する遊離塩基形態と同等である。
【0048】
本発明の化合物上の置換基に依存して、塩基とも塩を形成することができる。従って、例えば分子中にカルボン酸置換基があると(例えば上記のリスト中の化合物21)、例えばNaOH、KOH、NH4OH、テトラアルキルアンモニウムヒドロオキシド等のような有機及び無機の塩基と塩を形成し得る。
【0049】
前に述べたように、本発明は本化合物の互変異性体、鏡像異性体及びその他の立体異性体も含む。かかる変形は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0050】
本発明の他の態様は、前に開示した置換カルボキサミド、尿素及びスルホンアミドの製造法を開示する。該化合物は、合成有機化学の業界で知られた幾つかの工程により製造し得る。式Iの化合物を製造する一つの有用な方法を、上記の化合物No.7に関して以下に図式的に示す。一般にこの手順をここでスキームAと云い、下記を含む:
(a)アミノ酸を適当に官能化したポリマー支持体に結合させる;(b)そこに別の適当に置換したアミノ酸をカップリングする;(c)カップリング構造体をアルデヒドと反応させてシッフ塩基を形成し、それを次に(d)対応するアミンに還元する;それを次に、例えば酸塩化物との反応によりアミドに変換し、その生成物を(e)チオアミドに変換する;それを次に(f)メチル化し、そして(g)アミジノ基に変換する。生成物を次に、下記の記載から理解されるように固相支持体から取り除く。
【0051】
スキームAをN−[4−アミジノベンゾイル]−N−[4−ビフェニルメチル]−3−(4−ビフェニル)アラニル−グリシル−アミドに関して具体的に例示する:
【化35】

【0052】
【化36】

【0053】
スキームAにおいて、特に指示がない限り、全ての置換基は前に定義した通りである。試薬及び出発材料は当業者に容易に入手可能であるか、或いは慣用の方法で調製し得る。スキームA中の出発材料(1)はアミノ官能化固相材料であり、合成のためにリンカー分子(式III)で変性され、該リンカー分子は合成生成物が固体支持体(樹脂)から引き裂かれるのを可能にする。かかるリンカーの例はリンク(Rink)リンカー(p−[R,S)−α−(9H−フルオレン−9−イル)メトキシホルムアミド]−2,4−ジメトキシベンジル]−フェノキシ酢酸(Bernatowicz外、Tetorahedron Lett. 30, 4645(1989))である。所望のリンカーが既に結合した市販の樹脂もまた使用できる。
【0054】
【化37】

【0055】
リンクリンカーの適当な固相への結合は、実施例1に示すように、アミノ官能化固体支持体をリンカー分子の酸部分と、当業界でよく知られた標準的ペプチド合成技術により反応させてアミド結合を生成することにより実施される。かかる反応は、例えば下記に記載されたような標準的カップリング手順を用いて実施できる:Stewart及びYoung, Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版、 Pierce Chemical. Co., ロックフォード、イリノイ州(1984); Gross, Meienhofer, Udenfriend出版、 The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, 第1、2、3、5及び9巻、 Academic Press, ニューヨーク、1980-1987;Bodanszky, Peptide Chemistry: A Practical Textbook, Springer-Verlag, ニューヨーク(1988);及びBodanszky外、The Practice of Peptide Synthesis Springer-Verlag,ニューヨーク(1984)。これらの開示事項を参照用として本願に含ませる。カップリング試薬(活性剤)が必要な場合、適当なカップリング試薬はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキオリン(EEDQ)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、無水n−プロパンホスホン酸(PPA)、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)アミドホスホリルクロリド(BOPCI)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カストロの試薬(BOP)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム塩(HBTU)、2,5−ジフェニル−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−4−ヒドロキシチオフェンジオキシド(ステグリッヒの試薬HOTDO)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)から選択し得る。カップリング試薬は単独で又は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシベンゾトリアジン(HOOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)又は2−ヒドロキシピリジンのような添加剤と組み合わせて使用してもよい。カップリング反応は溶液中で(液相)又は固相で行うことができる。
【0056】
本願で使用する“固相支持体”の用語は特定のタイプの支持体に限定されない。多くの支持体が入手可能であり、当業者に知られている。固相支持体には、シリカゲル、樹脂、誘導されたプラスチックフィルム、ガラス玉、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲル、多糖類等が含まれる。適した固相支持体は所望の最終用途及び種々の合成プロトコルへの適性に基づき選択し得る。例えばペプチド合成には、固相支持体には下記のような樹脂が当てはまる:p−メチルベンズヒドリルアミン(pMBHA)樹脂(ペプチドインターナショナル製、ルイスビル、ケンタッキー州)、ポリスチレン(例えばバッケム社、トランス、カルフォルニア州、米国、から入手可能なPAM−樹脂)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)にグラフト重合されたスチレン コ−ジビニル−ベンゼン(例えば、アミノテック、ネペーン、オンタリオ州、カナダ、から入手可能なPOLYHIPE(登録商標))、ポリアミド樹脂(例えば、アドヴァンストケムテック、ルイスビル、ケンタッキー州、米国、から入手可能なスパー(Spar)−樹脂)、ポリエチレングリコールとグラフト重合したポリスチレン樹脂(TentaGel(登録商標)、ラップポリマー、チュービンゲン、ドイツ、から入手可能)、ポリジメチルアクリルアミド樹脂(ミリゲン/ビオサーチ、バーリントン、マサツセッツ州、米国、から入手可能)、又はセファロース(ファーマシア社、ストックホルム、スエーデン、から入手可能)。
【0057】
アミノ酸部はカップリング反応前に保護基を有していてもよい。適当な保護基の例には下記が含まれる:(1)ホルミル、トリフルオルアセチル、フタリル、及びp−トルエンスルホニルのようなアシル型;(2)ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)及び置換ベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニル)−1−メチルエトキシ−カルボニル、及び9−フルオレニルメチルオキシ−カルボニル(Fmoc)のような芳香族カルバメート型;(3)tert−ブトキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピル−メトキシカルボニル、及びアリルオキシカルボニルのような脂肪族カルバメート型;(4)シクロペンチルオキシカルボニル及びアダマンチルオキシカルボニルのような環式アルキルカルバメート型;(5)トリフェニル−メチル及びベンジルのようなアルキル型;(6)トリメチル−シランのようなトリアルキルシラン型;及び(7)フェニルチオ−カルボニル及びジチアスクシノイルのようなチオール含有型。好ましい保護基はBoc又はFmocである。
【0058】
アミノ酸部のある官能基又は側鎖が望ましくない結合を形成するのを避けるためにカップリング反応中に保護する必要がある場合、この目的に使用できる適当な保護基はGreene, Protective Groups in Orgnic Chemistry, John Wiley & Sons,ニューヨーク(1981)及びThe Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, 第3巻、Academic Press, ニューヨーク(1981)に掲げられている。その開示を参照用に本願に含める。当業者は、適当な保護基の選択及び使用はアミノ酸化合物の全体的構造及びその化合物上の他の保護基の存在に依存するという事実を理解するであろう。かかる保護基の選択は、他の保護基の脱保護中にそれが除去されてはならない場合は特に重要であろう。
【0059】
カップリング反応に適当なアミノ酸を各アミノ酸の記号と共に表1に掲げる。
【0060】
〔表1〕
表1
アミノ酸 記号
アラニン Ala又はA
アルギニン Arg又はR
アスパラギン Asn又はN
アスパラギン酸 Asp又はD
シスチン Cys又はC
グルタミン Gin又はQ
グルタミン酸 Glu又はE
グリシン Gly又はG
ヒスチジン His又はH
イソロイシン Ile又はI
ロイシン Leu又はL
リシン Lys又はK
メチオニン Met又はM
フェニルアラニン Phe又はF
プロリン Pro又はP
セリン Ser又はS
トレオニン Thr又はT
トリプトファン Trp又はW
チロシン Tyr又はY
バリン Val又はV
【0061】
更に詳しくは、例えば脱保護されたRAM−PS樹脂のような固相支持体は、典型的には3当量のアミノ酸部及び3当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールで、N,N−ジメチルホルムアミドのような適当な有機溶媒中で処理される。次に3当量のジイソプロピルカルボジイミドを加え、混合物を約30分から5時間振とうする。生成したアミドを単離しそしてよく知られた技術により精製するか、又は粗製材料にそのまま脱保護を続行することができる。
【0062】
上記の段階で生成したアミドは、固相支持体を生成しつつある化合物から引き裂かない条件下で脱保護する。かかる条件は当業界でよく知られている。従って、Boc保護基を使用した場合、選択方法はそのままの若しくはジクロメタン中のトリフルオロ酢酸、又はジオキサン若しくは酢酸エチル中のHClである。得られたアンモニウム塩は次にカップリングの前又はその場で、塩基性溶液、例えば水性バッファ、又はジクロロメタン若しくはジメチルホルムアミド中の第3アミンで中和する。Fmoc保護基を使用した場合は、試薬の選択はジメチルホルムアミド中のピペリジン又は置換ピペリジンであるが、あらゆる第2アミン又は塩基性水溶液が使用できる。脱保護は一般に約0℃とほぼ室温の間の温度で実施される。例えば、上記の粗製アミドをN,N−ジメチルホルムアミド中の30%ピペリジンで約20分から約1時間処理し、その後反応混合物を濾過して脱保護化合物を得ることができる。
【0063】
固相上の脱保護した化合物に、遊離のカルボキシル官能基を有する適当にアミノ保護された化合物(例えばスキームA中のFmoc保護されたビフェニルアラニン)を加えて、固相結合生成物を形成する。例えば、1当量の脱保護化合物を、3当量のFmoc−ビフェニルアラニン及び3当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及びN,N−ジメチルホルムアミドのような適当な有機溶媒中の適当な活性剤(例えば、3当量のDIC)と合わせてもよい。形成されたビフェニルアラニン結合化合物をFmoc基から引き離し、次に例えば4−フェニルベンズアルデヒドのような適当なアルデヒドと反応させて、対応するシッフ塩基を得る。該シッフ塩基を次に例えばホウ水素ナトリウム、シアノホウ水素ナトリウム等を用いて還元して対応するアミンを形成し、それを次に、例えば酸塩化物、この場合、4−シアノベンゾイルクロリド、と反応させてアミドに変換する。アミドはチオアミドに変換し、それをメチル化し、次にアミジノ基に変換し得る。次に生成物を固相から引き離して、化合物7を得る。
【0064】
Xが尿素である式IIの化合物はスキームBに記載したようにして製造し得る:
【化38】

【0065】
スキームBを、式IIにおいてR1が2−ナフチルメチル、R2がシクロヘキシルピペラジニル、R3が3−フェニルプロピル、Xが−NH−CO−、YがCONH2、そしてnが1の式IIの化合物の合成で説明することができる。この化合物は前に確認した化合物8、4−シクロヘキシル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペラジンである。
【0066】
【化39】

【0067】
即ち、固相支持体を保護されたアミノ酸、この場合はFmoc−2−ナフチルアラニンと、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及びDICのような活性剤の存在下でカップリングする。次にそれを脱保護し、次に4−フルオロ−3−ニトロフェニルイソシアネートと反応させ、フッ素化生成物を次に4−シクロヘキシルピペラジンと反応させてR2基を導入する。ニトロ基を次に塩化第一錫でアミンに還元し、それをHOAt及びDICを用いた活性化により4−フェニル酪酸と反応させて4−フェニルブチルアミドに変換する。固体支持体から引き離すと所望の化合物8を得る。同様にして、他の尿素化合物を、R1、R2及びR3置換反応体を適当に選択することにより合成する。
【0068】
式IIにおいてXがスルホンアミドである化合物の合成は、フルオロニトロフェニル−イソシアネートを導入する段階で、適当なフルオロニトロベンゼンスルホニルクロリドを使用する以外はスキームBに示した合成と類似する。従って、上記の記述でイソシアネートを2−フルオロ−5−ニトロベンゼンスルホニルクロリドに置き換えると、所望のスルホンアミド化合物が生成するであろう。
【0069】
反応スキームのいろいろな段階での化合物の単離は、例えば濾過、溶媒の蒸発等のような標準的技術で固体支持体から引き離した後に達成し得る。生成物、中間体等の精製もまた、再結晶、蒸留、昇華、クロマトグラフィー、再結晶しそして出発物質に変換し得る適当な誘導体への変換等のような標準的技術で行い得る。かかる技術は当業者によく知られている。
【0070】
このようにして製造された化合物は、その組成及び純度を分析し、そして例えば元素分析、NMR、質量分光分析、及びIRスペクトルのような標準的分析法により特徴付けることができる。
【0071】
他の態様において、本発明は、活性成分として上記の本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。該薬学的組成物は一般に更に、薬学的に許容される担体希釈剤、賦形剤又は担体(本願では総括的に担体材料と云う)を含む。それらは骨粗鬆症及び骨組織損失に対して治療活性を有するので、かかる薬学的組成物はこれらの疾患の治療に有用である。
【0072】
さらに別の態様において、本発明は活性成分として式I又は式IIの化合物を含む薬学的組成物の製造法を開示する。本発明の薬学的組成物及び製造法において、活性成分は一般に、意図する投与形態、即ち経口錠剤、カプセル(固体充填、半固体充填又は液体充填されたもの)、構成用粉体、経口ゲル、エリキシル、分散性顆粒、シロップ、懸濁液等、に関して適当に選択された、慣用の薬学的慣例に合致した適当な担体材料と混合して投与されるであろう。例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与には、活性薬物成分はあらゆる経口用非毒性の薬学的に許容される不活性担体、例えば乳糖、澱粉、蔗糖、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体形)等、と組み合わせてもよい。更に、所望により又は必要な場合、適当な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤も該混合物に混入してもよい。粉剤及び錠剤は約5から約95%の本発明組成物を含み得る。適当な結合剤には澱粉、ゼラチン、天然砂糖、コーン甘味料、天然及び合成ガム、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びワックスが含まれる。潤滑剤の中では、これらの投与形態に使用するために、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を述べることができる。崩壊剤には澱粉、メチルセルロース、グアーガム等が含まれる。
【0073】
甘味料、風味料及び保存料も適当な場合、含ませることができる。上記の用語の幾つか、即ち崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤等、を以下に更に詳述する。
【0074】
更に、本発明の組成物は、成分又は活性成分の1種またはそれ以上を速度制御して放出するために、持続放出形態に配合して、治療効果、即ち抗ヒスタミン活性等、を最適化することができる。持続放出に適した投与形態には、いろいろな崩壊速度の層又は活性成分を含浸した制御放出ポリマーマトリックスを含み、錠剤の形に成型した層状錠剤、又はかかる含浸した若しくはカプセルに入れた多孔質ポリマーマトリックスを含むカプセルが含まれる。
【0075】
液体形製剤には、溶液、懸濁液及び乳濁液が含まれる。例として、非経口注入用に水又は水−プロピレングリコール溶液、又は経口用の溶液、懸濁液及び乳濁液用に甘味料及びゴム製乳首(pacifier)の添加を述べることができる。液体形製剤はまた、鼻孔投与用の溶液を含み得る。
【0076】
吸入に適したエアーゾル製剤には、溶液及び粉末形態の固体が含まれ、それらは不活性圧縮ガス、例えば窒素、のような薬学的に許容される担体と組み合わせることができる。
【0077】
座薬の製造には、カカオバターのような脂肪酸グリセリドの混合物のような低融点ワックスをまず融解し、撹拌又は同様の混合により活性成分をその中に均一に分散させる。次に溶融した均一混合物を都合のよい大きさの成形型に注ぎ、冷却することにより固化させる。
【0078】
経口又は非経口投与用の液体形製剤に使用直前に変換するよう意図された固体形態の製剤も含まれる。かかる液体形態には溶液、懸濁液及び乳濁液が含まれる。
【0079】
本発明の化合物はまた経皮的に供給できる。経皮用組成物は、クリーム、ローション、エアーゾル及び/又は乳濁液の形態をとることができ、この目的に当業界で慣用のマトリックスの経皮パッチ又は容器型に含ませることができる。
【0080】
該化合物は経口投与するのが好ましい。
【0081】
薬学的製剤は単位投与形態であるのが好ましい。かかる形態において、製剤は適当な量の活性成分、例えば所望の目的を達成するのに有効量、を含む適当な大きさの単位用量に細分割される。
【0082】
単位用量の製剤中の本発明の活性組成物の量は一般に、特定の適用に応じて、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラム、好ましくは約1.0〜約950ミリグラム、更に好ましくは約1.0〜約500ミリグラム、そして典型的には約1〜約250ミリグラムに変化するか調整される。使用される実際の投与量は患者の年齢、性、体重及び治療する症状の重さに従って変わり得る。かかる技術は当業者によく知られている。
【0083】
一般に、活性成分を含むヒト用の経口投与形態は1日当たり1又は2回投与することができる。投与の量及び回数は、関与する臨床医の判断に従って調節されるであろう。経口投与用に一般に推奨される1日当たりの投与療法は、1日当たり1回で又は分割して、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラムの範囲であろう。
【0084】
“カプセル”の用語は、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、又は変性ゼラチン若しくは澱粉から作られた、活性成分を含む組成物を保持又は収納するための特別な容器又は封入体を云う。硬殻カプセルは典型的には比較的高いゲル強度の骨及び豚皮のゼラチンの混合物から作られる。カプセル自体は少量の染料、不透明化剤、可塑剤及び保存料を含んでもよい。
【0085】
“錠剤”の用語は、活性成分を適当な希釈剤と共に含む圧縮した又は成形した固体投与形態を云う。錠剤は、湿式顆粒化、乾式顆粒化又は圧縮により得られた混合物又は粒状物の圧縮により製造される。
【0086】
“経口ゲル”の用語は、親水性半固体マトリックスに分散された又は溶解された活性成分を云う。
【0087】
“構成用粉末”の用語は、活性成分と適当な希釈剤とを含む、水又はジュースに懸濁することができる粉末ブレンド物を云う。
【0088】
“希釈剤”の用語は、組成物又は投与形態の主要部分を通常作り上げる物質を云う。適当な希釈剤には、乳糖、蔗糖、マンニトール及びソルビトールのような糖類;小麦、とうもろこし、米及び馬鈴薯から誘導された澱粉;微結晶セルロースのようなセルロースが含まれる。組成物中の希釈剤の量は全組成物の約10重量%〜約90重量%、好ましくは約25重量%〜約75重量%、更に好ましくは約30重量%〜約60重量%、より更に好ましくは約12重量%〜約60重量%である。
【0089】
“崩壊剤”の用語は、医薬を崩壊しそして放出するのを助けるために組成物に添加される材料を云う。適当な崩壊剤には、澱粉;ナトリウムカルボキシルメチル澱粉のような“冷水可溶性”の変性澱粉;ハリエンジュ豆、インドゴム、グアーガム、トラガカント及び寒天のような天然又は合成ガム;メチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;微結晶セルロース、及びナトリウムクロスカルメロースのような架橋結合微結晶セルロース;アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩;ベントナイトのような粘土;及び泡立ち剤混合物が含まれる。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2〜約15重量%、更に好ましくは約4〜約10重量%の範囲であることができる。
【0090】
“結合剤”の用語は、粉末を結合又は“にかわ付け”して、顆粒を形成することにより凝集性にし、従って配合物中で”接着剤”として作用する物質を云う。結合剤は、希釈剤又は充填剤中で既に得られた凝集強度を追加する。適当な結合剤には、蔗糖のような糖類;小麦、とうもろこし、米及び馬鈴薯から誘導された澱粉;アカシア、ゼラチン及びトラガカントのような天然ガム;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸アンモニウムカルシウムのような海草の誘導体;メチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース材料;ポリビニルピロリドン;及び珪酸マグネシウムアルミニウムのような無機物が含まれる。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2〜約20重量%、更に好ましくは約3〜約10重量%、より更に好ましくは約3〜約6重量%の範囲であることができる。
【0091】
“潤滑剤”の用語は、錠剤、顆粒等を圧縮した後に、摩擦又は摩耗を減少させることにより型又は成形型から離せるようにするために投与形態に添加する物質を云う。適当な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸カリウムのようなステアリン酸金属塩;ステアリン酸;高融点ワックス;及び塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール及びd’l−ロイシンのような水溶性潤滑剤が含まれる。潤滑剤は、顆粒の表面及び顆粒と錠剤プレスの部品との間に存在しなければならないので、通常圧縮前の最終段階で添加される。組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.2〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%、更に好ましくは約0.3〜約1.5重量%の範囲であることができる。
【0092】
“滑り剤(glident)”の用語は、固まるのを阻止し、顆粒の流動特性を改良して、流動が滑らかに且つ均一になるようにする材料を云う。適当な滑り剤には、二酸化ケイ素及びタルクが含まれる。組成物中の滑り剤の量は、全組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の範囲であることができる。
【0093】
“着色料”の用語は、組成物又は投与形態に色を与える賦形剤を云う。かかる賦形剤は食品等級の染料、及び粘土又は酸化アルミニウムのような適当な吸着剤に吸着された食品等級の染料が含まれる。着色料の量は、組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%の範囲であることができる。
【0094】
“生体利用性”の用語は、活性薬物成分又は治療部分が、基準又はコントロールと比較して、投与された投与形態から全身循環系に吸収される割合又は程度を云う。
【0095】
錠剤を製造するための慣用の方法は知られている。かかる方法には、直接圧縮及び圧縮により生成した顆粒の圧縮のような乾式法、又は湿式法又はその他の特別の手順が含まれる。例えばカプセル、座薬等のような他の投与形態を製造するための慣用の方法もまたよく知られている。
【0096】
本発明の別の態様は、前に開示した薬学的組成物の、例えば骨粗鬆症及び骨組織損失のような疾患の治療への使用を開示する。
【0097】
当業者には、本願の開示、即ち材料及び方法、に対して多くの修正、変形及び変更を実施し得ることは明らかであろう。かかる修正、変形及び変更は本発明の精神及び範囲内にあることが意図される。
【0098】
下記の実施例は本発明を更に例示するために提供される。それらは例示のためにすぎず、本発明の範囲はともかくこれらにより限定されるものではない。
【0099】
特に記載のない限り、下記の略号は以下の実施例で、下記の記載の意味を有する:
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
NaBH(OAc)3=トリアセトキシホウ水素化ナトリウム
FMOC=9−フルオレニルメチロキシカルボニル
DCE=1,2−ジクロロエタン
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
Cha=シクロヘキシルアラニン
Nal(1)=1−ナフチルアラニン
TEOF=トリエチルオルトホルメート
TIPS=トリイソプロピルシラン
Nal(1)=1−ナフチルアラニン
Bip=4−ビフェニルアラニン
Boc=tert.ブチロキシカルボニル
Pip=ピペリジン
HOAc=酢酸
TFA=トリフルオロ酢酸
Py=ピリジン
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド
MeOH=メタノール
NaBH4=ホウ水素化ナトリウム
NaBH3CN=シアノホウ水素化ナトリウム
p−TsOH=p−トルエンスルホン酸
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
DCM:ジクロロメタン、塩化メチレンとも云う
LAH:水素化リチウムアルミニウム
HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HRMS:高分解能質量分光分析
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
NMR:核磁気共鳴
LRMS:低分解能質量分光分析
nM=ナノモル
【0100】
更に、“kg”はキログラムを云い;“g”はグラムを云い;“mg”はミリグラムを云い;“μg”はマイクログラムを云い;“m2/g”はグラム当たり平方メートルを云い、粒子の表面積の寸法として使用され;“mmol”はミリモルを云い;“L”はリットルを云い;“mL”はミリリットルを云い;“μL”はマイクロリットルを云い;“cm”はセンチメートルを云い;“M”はモルを云い;“mM”はミリモルを云い;“μM”はマイクロモルを云い;“nM”はナノモルを云い;“N”は規定を云い;“ppm”は100万当たりの部を云い;“δ”はテトラメチルシランからの下降磁場100万当たりの部を云い;“℃”は摂氏温度を云い;“°F”は華氏温度を云い;“mmHg”は水銀のミリメートルを云い;“kPa”はキロパスカルを云い;“psi”は平方インチ当たりのポンドを云い;“rpm”は毎分の回転数を云い;“bp”は沸点を云い;“mp”は融点を云い;“dec”は分解を云い;“h”は時間を云い;“min”は分を云い;“sec”は秒を云い;“Rf”は保持因子を云い;そして“Rt”は保持時間を云う。
【0101】
実施例1〜7は式Iの化合物の合成に関する。
一般的合成手順
合成に使用した出発材料は、アルドリッヒ(Aldrich)、シグマ(Sigma)、フルカ(Fluka)、ノバ ビオケム(Nova Biochem)及びアドヴァンスト ケムテク(Advanced Chemtech.)のような薬品売店から得た。合成の間、使用したアミノ酸誘導体の官能基は、ブロック基で保護して、カップリング段階中の副反応を阻止した。適当な保護基の例及びそれらの使用は、Peptides, supra, 1981, 及び第9巻, Udenfriend and Meienhofer (編集), 1987に記載されている。それを参照用に本願に含める。
【0102】
一般的固相ペプチド合成を使用して本発明の化合物を生成した。かかる方法は例えば、Steward及びYoungによるSolid Phase Peptide Synthesis (Freeman & Co.,サンフランシスコ、1969)に記載されている。これを参照用に本願に含める。
【0103】
特に指示がない限り、ペプチドはRAM(登録商標)ポリスチレン樹脂(ラップ ポリメレ、チュービンゲン、ドイツ)上で合成した。これに代わるものとして、酸感受性リンカーp−[(R,S)−α−[1−(9H−フルオレン−9−イル)メトキシホルムアミド]−2,4−ジメトキシベンジル]フェノキシ酢酸(Knorr Linker, Bernatowicz外、Tetr. Lett. 30 (1989) 4645、これを本願に参照用に含める)をあらゆるアミノ官能化固体支持体にカップリングするか、又は所望の化合物を、酸感受性リンカー(リンク樹脂)で変性した1%ジビニルベンゼンと架橋結合したポリスチレン樹脂上で合成することができる(Rink, Tetr. Lett. 28 (1987) 3787; Sieber, Tetr. Lett. 28 (1987) 2107,これらを参照用に本願に含める)。カップリングはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を使用して、等量のHOBtの存在下で行った。すべてのカップリングは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で室温(RT)で行った。カップリングの完了はニンヒドリンテストで監視した。1回目のカップリングが不完全な場合は、2回目の(2重の)カップリングを行った。
【0104】
Fmoc基の脱保護は、DMF中の50%ピペリジンを用いて2+15分行った。放出されたFmocの量は、脱保護後の溶液の302nmにおける吸光度、洗浄液の容量及び合成に使用した樹脂の重量から決定した。
【0105】
特に記載がない限り、化合物樹脂を、合成の終わりにDMF及びDCMで引き続き洗浄し、次にペプチドを引き離し、TFA/TIPS(99/1)の混合物により2時間脱保護した。樹脂をDCMで洗浄し、DCMをTFA放出物と合わせた。溶液を蒸発させ、生成物を水とアセトニトリルの混合物中に再度溶解し、そして凍結乾燥した。
【0106】
乾燥した化合物を、水及びアセトニトリル(ACN)中の0.1%TFAの適当な勾配を用いてHPLC精製に付した。目的の合成生成物を含むピークを集めた後、溶液を凍結乾燥し、化合物を同定工程に付した。該同定工程は、正しい化合物が合成されたことを確認するために、エレクトロスプレー(electrospray)質量スペクトル(MS)及び/又はNMRを含んでいた。
【0107】
HPLC分析のために、生成物のサンプルをベックマンHPLC系(126溶媒伝達システム、ゴールドヌーバソフトウエアーを有するデータステーションで制御される166プログラム可能検出器モジュール507eオートサンプラーから成る)及びYMC ODS−AM 4.6×250mmカラム、230nm、を用いて、流速1ml/minで分析した。
【0108】
生成物精製のために、粗製の凍結乾燥した化合物のサンプルを10%〜50%のACNを含む0.1%TFA水溶液の混合物中に溶解した。生成物の溶液を、通常0.45μm“ACRODISC”13 CR PTFE(ゲルマン サイエンス;アン アーバー、ミシガン州)フィルターに連結した注射器を通して濾過した。濾過した化合物の適正量を半−分取C18カラム(YMC ODS−Aカラム(20×250mm)、YMC社、ウィルミントン、ノースカロライナ州)に射出した。溶離液としての0.1%TFAバッファとACN(HPLC等級)の勾配又は定組成(isocratic)混合物の流速は、ベックマン“SYSTEM GOLD”HPLC(ベックマン、システム ゴールド、“SYSTEM GOLD”ソフトウエアーで制御されるプログラム可能溶媒モジュール126及びプログラム可能検出器モジュール166)を用いて維持した。化合物の溶出はUV検出器で230nmにて監視した。合成中の化合物に対応するピークをMSで確認した後、化合物を集め、凍結乾燥し、そして生物学的に試験した。MSはVG Platform(フィッソン インストルメンツ)機器を用いてES+モードで行った。NMRには、典型的にはサンプルをブルーカー アドヴァンスDPX300機器を使用してDMSO−d6(アルドリッヒ)中で測定した。
【実施例1】
【0109】
N−[4−アミジノベンゾイル]−N−[3−フェノキシベンジル]−3−(4−ビフェニル)−アラニル−グリシル−アミド
【化40】

【0110】
スキームAとして前に記載した手順に一般に従って、ポリスチレン−RAM(置換0.74mmol/g,100−200メッシュ、ラップ ポリマー、チュービンゲン、ドイツ、0.5g)をDMFで洗浄し、Fmoc保護基をDMF中の50%ピペリジン溶液で引き離した(10分間2回、各5ml)。次に樹脂をDMFで洗浄した。DMF(3ml)中のDIC/HOBt(各々3当量)で活性化したFmoc−Gly−OH(3当量)を樹脂に一晩カップリングし、完了をニンヒドリンテストで検査した。Fmoc基の脱保護後、樹脂結合中間体を、DIC/HOBt(各々3当量)で活性化したFmoc−4−ビフェニル−アラニン(3当量、3mlのDMF中)と一晩反応させた。Fmoc基を上記のようにして脱保護し、樹脂をDMFで洗浄した。樹脂をDCMで洗浄し、5mlのTEOF/DCM(4:1)中の3−フェノキシベンズアルデヒド(7当量)の溶液を加え、反応を6時間実施し、樹脂をDCMで洗浄し(3回)、そして形成したシッフ塩基を5mlのNaBH3CN溶液で一晩還元した。これは、THF中の1MのNaBH3CN(市販品)とDCE/MeOH/AcOH(80:18:2)を1:4の割合で混合することにより調製した。還元後、樹脂をMeOH、DMF、DMF中の10%DIEA、DMF及びDCEで洗浄した。樹脂結合アミンを5mlのDCE中の5当量の4−シアノベンゾイルクロリド、5当量のDIEAと一晩反応させた。次に樹脂をDCE、DMF、ピリジン/Et3N(2:1)混合物で洗浄し、ピリジン/Et3N(2:1)中のH2S飽和溶液8mlで処理した。5時間後、溶液を除去し、手順を繰り返した。一晩放置後、樹脂をアセトンで洗浄した。得られたチオアミドを、アセトン中のヨウ化メチル(20%溶液4ml)との反応により(一晩)、チオイミデートに変換した。樹脂をアセトン及びMeOHで洗浄し、20当量の酢酸を含むメタノール中の20当量の酢酸アンモニウム溶液を加え、50℃に3時間保持した。次に樹脂をMeOH、DMF及びDCMで洗浄した。生成物をTFA(1%TIPS)で引き離した。粗製生成物を分取HPLCで精製した。MS分析:計算値 625.3(M),実測値 626.2(MH)+
【実施例2】
【0111】
3−アミジノベンゾイル−(3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル)−シクロヘキシルアラニル−グリシル−アミドの製造
【化41】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Cha−OH、3−(4−tert.−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド及び3−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 611.4(M),実測値 612.3(MH)+
【実施例3】
【0112】
N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−4−アミノフェニルアラニル−グリシル−アミド
【化42】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Phe(4−H−Boc)−OH、3−(4−tert.−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド及び3−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 620.3(M),実測値 621.3(MH)+
【実施例4】
【0113】
N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−1−ナフチルアラニル−グリシル−アミド
【化43】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Nal(1)−OH、3−(4−tert.−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド及び3−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 655.3(M),実測値 656.2(MH)+
【実施例5】
【0114】
N−[3−アミジノベンゾイル]−N−[3−(4−tert−ブチルフェノキシ)ベンジル]−アルギニル−グリシル−アミド
【化44】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Arg(Boc)2−OH、3−(4−tert.−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド及び3−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 614.3(M),実測値 615.2(MH)+
【実施例6】
【0115】
4−アミジノベンゾイル−(3−(4−tert−ブチルフェノキシ)フェノキシベンジル)−トリプタニル−グリシル−アミド
【化45】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、3−(4−tert.−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド及び4−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 644.3(M),実測値 645.2(MH)+
【実施例7】
【0116】
N−[4−アミジノベンゾイル]−N−[4−ビフェニルメチル)−3−(4−ビフェニル)アラニル−グリシル−アミド
【化46】

表題の化合物を、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Bip−OH、4−フェニルベンズアルデヒド及び4−シアノベンゾイルクロリドを用いて、実施例1に記載した手順に従って合成した。MS分析:計算値 609.3(M),実測値 610.2(MH)+
【0117】
実施例8〜15は式IIにおいてXが尿素基である化合物の合成を記載する。
【実施例8】
【0118】
4−シクロヘキシル−1−{[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ピペラジン
【化47】

【0119】
スキームBに関連して前に記載した手順に一般に従って、市販のポリスチレン−RAM(置換0.74mmol/g)(ラップ ポリマー、チュービンゲン、ドイツ、0.25g)をジクロロメタン中にスラリー化し、DMFで洗浄し、ピペリジンとDMFの混合物(1:1v/v)で30分間処理した。樹脂をDMF(5回)、DCM(5回)及びDMF(3回)で洗浄し、次に3mlのDMF中の0.5mmolのFmoc−(L)−2−ナフチルアラニン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル及びジイソプロピル−カルボジイミドと一晩カップリングした。樹脂をDMF(5回)で洗浄し、ピペリジン/DMFで再び30分間処理した。上記のようにして洗浄した後、2mlのDMF中の0.5mmolの4−フルオロ−3−ニトロフェニルイソシアネートを用いたカップリングを一晩実施した。樹脂をDMF(5回)で洗浄し、DMF中の1−シクロヘキシルピペラジン0.5モル溶液3mlで60゜にて3時間処理した。DMF(10回)で洗浄した後、樹脂をDMF中の塩化錫二水和物の1モル溶液4mlと共に振とうすることによりニトロ基を還元した。樹脂をDMF(5回)、MeOH(5回)、DCM(5回)、5%のジイソプロピルエチルアミンを含むDMF(1回)及びDMF(3回)で洗浄した。3mlのDMF中の1mmolの4−フェニル酪酸、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール及びジイソプロピルカルボジイミドを用いた最終のカップリングを一晩行った。樹脂をDMF、メタノール及びDCMで十分に洗浄し、引き続き乾燥した後、3mlの95%トリフルオロ酢酸を用いて樹脂を引き離した。TFA溶液を蒸発させ、残留物を、樹脂のメタノール洗浄液と合わせた。蒸発により粗製の表題化合物が生成し、それを分取HPLCにより、標準的アセトニトリル/水+0.1%TFA勾配及びVydac C−18カラムを用いて精製した。純粋なサンプルは質量スペクトルで661.3にてM+1イオンを有し、そして保持時間26.95分を有してHPLCにより均質であった。
【実施例9】
【0120】
4−シクロヘキシル−1−{[2−シンナモイルアミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ピペラジン
【化48】

実施例8の方法により、最終カップリング段階でトランス−桂皮酸を使用して、645.3にてM+1イオンを有し、保持時間26.88分を有する表題の化合物を得た。
【実施例10】
【0121】
4−シクロヘキシル−1−{[2−シンナモイルアミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−3−フェニル)プロピルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ピペラジン
【化49】

実施例8の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−ホモフェニルアラニンを使用して、609.3にてM+1イオンを有し、保持時間25.78分を有する表題の化合物を得た。
【実施例11】
【0122】
4−シクロヘキシル−1−{[2−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−3−フェニル)プロピルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ピペラジン
【化50】

実施例8の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−ホモフェニルアラニンを使用して、625.3にてM+1イオンを有し、保持時間26分を有する表題の化合物を得た。
【実施例12】
【0123】
4−シクロヘキシル−1−{[2−シンナモイルアミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−2−シクロヘキシル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ピペラジン
【化51】

実施例8の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−シクロヘキシルアラニンを使用して、601.3にてM+1イオンを有し、保持時間26.72分を有する表題の化合物を得た。
【実施例13】
【0124】
4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−{[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ホモピペラジン
【化52】

【0125】
スキームBで前に示した手順に一般に従って、市販のポリスチレン−RAM(置換0.74mmol/g)(ラップ ポリマー、チュービンゲン、ドイツ、0.25g)をジクロロメタン中にスラリー化し、DMFで洗浄し、ピペリジンとDMFの混合物(1:1v/v)で30分間処理した。樹脂をDMF(5回)、DCM(5回)及びDMF(3回)で洗浄し、次に3mlのDMF中の0.5mmolのFmoc−(L)−2−ナフチルアラニン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル及びジイソプロピルカルボジイミドと一晩カップリングした。樹脂をDMF(5回)で洗浄し、ピペリジン/DMFで再び30分間処理した。上記のようにして洗浄した後、2mlのDMF中の0.5mmolの4−フルオロ−3−ニトロフェニルイソシアネートを用いたカップリングを一晩実施した。樹脂をDMF(5回)で洗浄し、DMF中のホモピペラジン0.5モル溶液3mlで60゜にて2時間処理した。樹脂をDMF(10回)で洗浄し、2.5mlのDMF中の0.5mmolのBoc−イソニペコチン酸、HOBt及びDICで一晩処理した。樹脂をDMF(10回)で洗浄し、そしてDMF中の塩化錫二水和物の1モル溶液4mlで24時間を還元した。樹脂をDMF(5回)、MeOH(5回)、DCM(5回)、5%のジイソプロピル−エチルアミンを含むDMF(1回)及びDMF(3回)で洗浄した。3mlのDMF中の1mmolのフェニル酪酸、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール及びジイソプロピルカルボジイミドを用いた最終のカップリングを一晩行った。樹脂をDMF、メタノール及びDCMで十分に洗浄し、引き続き乾燥した後、3mlの95%トリフルオロ酢酸を用いて樹脂を引き離した。TFA溶液を蒸発させ、残留物を、樹脂のメタノール洗浄液と合わせた。蒸発により粗製の表題化合物が生成し、それを分取HPLCにより、標準的アセトニトリル/水+0.1%TFA勾配及びVidac C−18カラムを用いて精製した。純粋なサンプルは質量スペクトルで704.3にてM+1イオンを有し、そして保持時間24.12分を有してHPLCにより均質であった。
【実施例14】
【0126】
4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−{[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−(2−ナフチル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ホモピペラジン
【化53】

実施例13の方法により、最終のカップリング段階で2−ベンゾフラン−カルボン酸を使用して、702.1にてM+1イオンを有し、保持時間25.5分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例15】
【0127】
4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−{[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−シクロヘキシルエチルアミノ]カルボニルアミノフェニル}ホモピペラジン
【化54】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−シクロヘキシルアラニンを使用しそして最終のアシル化段階で2−ベンゾフランカルボン酸を使用して、658.3にてM+1イオンを有し、保持時間25.64分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例16】
【0128】
4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[2−(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[4−アミノカルボニル]シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
【化55】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を使用しそして最終のアシル化段階で2−ベンゾフランカルボン酸を使用して、643.4にてM+1イオンを有し、保持時間21.84分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例17】
【0129】
4−(メチルアミノメチル)カルボニル−1−[2−[(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
【化56】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を、ホモピペラジンのキャッピングにBoc−サルコシンを、そして最終のアシル化で2−ベンゾフランカルボン酸を使用して、603.3にてM+1イオンを有し、保持時間21.35分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例18】
【0130】
4−(ピロリジン−2−イル)カルボニル−1−[2−[(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノ]フェニル]ホモピペラジン
【化57】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を、ホモピペラジンのキャッピングにBoc−プロリンを、そして最終のアシル化で2−ベンゾフランカルボン酸を使用して、629.3にてM+1イオンを有し、保持時間22.12分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例19】
【0131】
4−(ピペリジン−1−イル)−1−[2−[(2−ベンゾフラノイル)アミノ]−4−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ピペリジン
【化58】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を、フッ素を置き換えるのに4−(1−ピペリジル)ピペリジンを、そして最終のアシル化に2−ベンゾフランカルボン酸を使用して、600.3にてM+1イオンを有し、保持時間22.5分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例20】
【0132】
4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[1−アミノカルボニル−2−シクロヘキシルエチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
【化59】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−L−シクロヘキシルアラニンを、そしてホモピペラジンのキャッピングにBoc−イソニペコチン酸を使用して、659.4にてM+1イオンを有し、保持時間23.97分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例21】
【0133】
[4−(ピペリジン−4−イル)カルボニル−1−[[2−(4−フェニルブタノイル)アミノ]−4−[(1−アミノカルボニル−2−(ナフタ−2−イル)エチルアミノ]カルボニルアミノフェニル]ホモピペラジン
【化60】

実施例13の方法により、最初のカップリング段階でFmoc−ホモフェニルアラニンを使用して、668.4にてM+1イオンを有し、保持時間22.88分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【0134】
実施例22〜25は、本発明の化合物に従って、スルホンアミド化合物の合成を記載する。
【実施例22】
【0135】
N−(1−アミノカルボニル−2−メチルプロピル)−2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(2−ピロリジノカルボニル)アミノ]フェニルスルホンアミド
【化61】

【0136】
前に記載した手順に一般に従って、市販のポリスチレン−RAM樹脂(置換0.74mmol/g)(ラップ ポリマー、チュービンゲン、ドイツ、0.25g)をジクロロメタン中にスラリー化し、DMFで洗浄し、ピペリジンとDMFの混合物(1:1v/v)で30分間処理した。樹脂をDMF(5回)、DCM(5回)及びDMF(3回)で洗浄し、次に3mlのDMF中の0.5mmolのFmoc−(L)−バリン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル及びジイソプロピルカルボジイミドと一晩カップリングした。樹脂をDMF(5回)で洗浄し、ピペリジン/DMFで再び30分間処理した。DMF(5回)及びDCM(10回)で洗浄した後、2mlのDCM中の0.5mmolの2−フルオロ−5−ニトロフェニルスルホニルクロリド及び1mmolのルチジンを用いたカップリングを一晩実施した。樹脂をDCM(5回)及びDMF(5回)で洗浄し、DMF中の4−ベンジル−ピペリジン0.5モル溶液3mlで室温にて24時間処理した。DMF(10回)で洗浄した後、樹脂をDMF/酢酸1:1中の塩化錫の0.5モル溶液4mlと共に72時間振とうすることによりニトロ基を還元した。樹脂をDMF(5回)、MeOH(5回)、DCM(5回)、5%のジイソプロピルエチルアミンを含むDMF(1回)及びDMF(3回)で洗浄した。3mlのDMF中の1mmolの2−ピロリジンカルボン酸、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール及びジイソプロピルカルボジイミドを用いた最終のカップリングを一晩行った。樹脂をDMF、メタノール及びDCMで十分に洗浄し、引き続き乾燥した後、3mlの95%トリフルオロ酢酸を用いて樹脂を引き離した。TFA溶液を蒸発させ、残留物を、樹脂のメタノール洗浄液と合わせた。蒸発により粗製の表題化合物が生成し、それを分取HPLCにより、標準的アセトニトリル/水+0.1%TFA勾配及びVydac C−18カラムを用いて精製した。純粋なサンプルは質量スペクトルで542.3にてM+1イオンを有し、そして保持時間26.7分を有してHPLCにより均質であった。
【実施例23】
【0137】
N−(1−アミノカルボニル−2−メチルプロピル)−2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(4−ピペリジノカルボニル)アミノ]フェニルスルホンアミド
【化62】

実施例22の方法により、最終のカップリング段階で4−ピペリジンカルボン酸を使用して、質量スペクトルで556.3にてM+1イオンを有し、HPLC保持時間26.2分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例24】
【0138】
1−[2−[N−(2−アミノカルボニル−3−メチルブチル)スルホンアミド]−5−[2−シンナモイルアミノ]]フェニル−4−シクロヘキシルピペラジン
【化63】

実施例22の方法により、フッ素の置き換えにシクロヘキシルピペラジンを使用し、最終のアシル化段階で桂皮酸を使用して、質量スペクトルで568.3にてM+1イオンを有し、HPLC保持時間24.63分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【実施例25】
【0139】
N−[[(4−アミノカルボニル)シクロヘキシルメチル]アミノ]−[2−[(4−フェニルメチル)ピペリジン−1−イル]−5−[(2−ピロリジノカルボニル)アミノ]フェニル]スルホンアミド
【0140】
【化64】

実施例22の方法により、最初のカップリング反応でFmoc保護トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を使用して、質量スペクトルで582.3にてM+1イオンを有し、HPLC保持時間25.31分を有する表題の化合物を得て、この化合物を製造した。
【0141】
タンパク質チロシンキナーゼ活性
上記の化合物1−25をSrcタンパク質チロシンキナーゼに関する活性を、Measurement of the Protein Tyrosine Kinase Activity of c-Src Using Time-Resolved Fluorometry of Europium Chelates, Braunwalder, A.F.外、 Analytical Biochemistry 238, 159-164(1996)(その開示を参照用に本願に含める)、に記載された蛍光分析法により、以下に特定された材料及び手順を用いて検定した。
【0142】
Scr−キナーゼについての一般的検定法
材料
コスター(Costar) 384 クレアー(Clear),未処理の高結合性プレート
シグマ ポリ(Sigma poly)(Glu,Tyr)4:1,平均分子量35,000
Srcキナーゼ(p60C-Src
シグマATP(H2O中の1.5mM原液)
MESバッファー:30mM MES(pH6.8)
10mM MgCl2
MBIバッファー:(MES+0.4mg/mlBSA+0.003%IGEPAL)
ワラック(Wallac)Eu−ラベルを貼られた抗ホスホチロシン抗体(CR04−100)
被覆溶液:
22.5mM Na2CO3(pH9.6)
27.5mM NaHCO3
0.9%NaCl
抗体希釈バッファー:(MES+3%BSA)
DELFIA(登録商標)洗浄溶液(TTBS):
0.5M NaCl
20mM Tris(pH7.4)
0.15%Tween20
DELFIA増強溶液
【0143】
方法
プレートを被覆溶液中の0.1mg/mlポリ(Glu,Tyr)で、35μl/ウェルで被覆した。それを室温で一晩放置して、プレートを次いでMES(100μl/洗浄液)で3回洗浄した。
キナーゼ反応条件:
手順(添加の順序で掲げる)
10μlの200μM ATP
80nlのDMSO中5mMの試験化合物
10μlのMBI中1:400Src希釈
最終反応条件
1:8000 Scrキナーゼ
20μMのライブラリー化合物(0.4%DMSO)
100μMのATP
20μLの検定容量
室温で15分
【0144】
反応はアスピレーションにより停止し、次にMES(100μl/洗浄液)で3回洗浄した。抗体希釈バッファー中の0.4ng/μlの抗体20μl(最終=8ngAb/ウェル)を添加し、次に室温で30分インキュベートした。抗体溶液をアスピレーションにより除き、次に1X DELFIA洗浄液で3回洗浄した。20μlのDELFIA増強溶液を添加し、プレートをワラック ビクター(Wallac Victor)プレートーリーダー上で、時間分解蛍光モードで、340nm励起波長及び615nm発光波長を用いて解読した。
【0145】
IC50s(μM)で示す化合物のSrcキナーゼ阻害活性を表2に掲げる。
【0146】
〔表2〕
表2
化合物番号 活性(μMol、Delfia検定、IC50)
実施例1 22
実施例2 23
実施例3 45
実施例4 18
実施例5 12.5
実施例6 14
実施例7 13
実施例8 8.5
実施例9 17
実施例10 15.5
実施例11 11
実施例12 18.5
実施例13 13
実施例14 2.75
実施例15 6.5
実施例16 36
実施例17 37
実施例18 19
実施例19 22
実施例20 28
実施例21 22
実施例22 14
実施例23 12
実施例24 42
実施例25 27.5
【0147】
これらの試験結果及び「背景技術」の部分中の参照文献に記載された化合物についての知識から、当業者には、本発明の化合物が、Srcキナーゼ阻害活性が望ましい治療症状に有用であることが明らかであろう。本発明を詳細に記述したが、例示した態様を特許請求の範囲に示した本発明の精神及び範囲内で変更することは当業者に容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:
【化1】

[式中、
1はH、直鎖C1−C6アルキル、分岐鎖C1−C6アルキル、−(CH2)p−Ar1及び−(CH2)p−R4から成る群から選ばれ、
pは1又は2であり、
Ar1は、直鎖若しくは分岐鎖C1−C6アルキル基で任意に置換されたフェニル若しくはナフチルであり、
4はC5−C7シクロアルキルであり、
2は式:
【化2】

から成る群から選ばれ、
5はH、直鎖C1−C6アルキル及び分岐鎖C1−C6アルキルから成る群から選ばれ、
3は−(CH2)q−Ar2又は−(CH=CH)フェニルであり(ここで、qは0から4の整数であり、そしてAr2
【化3】

から成る群から選ばれる)、
Xは
【化4】

であり、そして
Yは
【化5】

から成る群から選ばれ、但し、Yが下記の基:
【化6】

のいずれかである場合は、R1はHである]
で示される一般構造を有する化合物、その鏡像異性体、立体異性体及び互変異性体、並びにその薬学的許容塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
Xが
【化7】

である、請求項1の化合物。
【請求項3】
Xが
【化8】

である、請求項1の化合物。
【請求項4】
1がHである、請求項1の化合物。
【請求項5】
1が直鎖C1−C6アルキル又は分岐鎖C1−C6アルキルである、請求項1の化合物。
【請求項6】
1が−(CH2)p−Ar1(ここで、p及びAr1は請求項1に定義した通りである)である、請求項1の化合物。
【請求項7】
1が−(CH2)p−R4(ここで、p及びR4は請求項1に定義した通りである)である、請求項1の化合物。
【請求項8】
2
【化9】

である、請求項1の化合物。
【請求項9】
2
【化10】

である、請求項1の化合物。
【請求項10】
2
【化11】

(ここで、R5は請求項1に定義した通りである)である、請求項1の化合物。
【請求項11】
2
【化12】

である、請求項1の化合物。
【請求項12】
2
【化13】

である、請求項1の化合物。
【請求項13】
2
【化14】

である、請求項1の化合物。
【請求項14】
3が−(CH2)q−Ar2(ここで、q及びAr2は請求項1に定義した通りである)である、請求項1の化合物。
【請求項15】
3が−(CH=CH)−フェニルである、請求項1の化合物。
【請求項16】
Yが
【化15】

である、請求項1の化合物。
【請求項17】
Yが
【化16】

である、請求項1の化合物。
【請求項18】
Yが
【化17】

である、請求項1の化合物。
【請求項19】
1がイソプロピル又はイソブチルである、請求項1の化合物。
【請求項20】
有効成分として請求項1の化合物を含む、医薬組成物。

【公開番号】特開2008−266327(P2008−266327A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99916(P2008−99916)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【分割の表示】特願2003−512216(P2003−512216)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】