キャブ用補強部材、キャブおよび作業機械
【課題】側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できるキャブ用補強部材を提供する。
【解決手段】フロントヘッダ28の両側にて両フロントピラー22,23に固定する被固定部57,58と被固定部57,58間を連結する補強部材本体59との連結部を補強カバー61,62により補強し、補強カバー61,62を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28にボルト111,131で固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体11を確実に補強できる。
【解決手段】フロントヘッダ28の両側にて両フロントピラー22,23に固定する被固定部57,58と被固定部57,58間を連結する補強部材本体59との連結部を補強カバー61,62により補強し、補強カバー61,62を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28にボルト111,131で固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体11を確実に補強できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械の機械本体に搭載されるこの種のキャブは、箱形のキャブ本体を備え、このキャブ本体は、床面部の前部両側から立上がる左右のフロントピラーの下部間にフロントクロス部材が設けられているとともに上部間にフロントヘッダが設けられており、これらフロントピラー、フロントクロス部材およびフロントヘッダにより、前側面部に前窓が開口形成されている。
【0003】
また、各フロントピラーの上端部は、後方へと屈曲されて左右のサイド部を形成し、これらサイド部の後端部が床面部の後部両側から立上がる左右のリアピラーの上端部に連結され、各フロントピラーの後部にルーフパネルが一体に設けられて、フロントヘッダの後部とルーフパネルの前部との間にてキャブ本体の天井部前側に天窓が開口形成されている。
【0004】
ところで、油圧ショベルなどは、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をすることがあり、このような場所での作業の際には、何らかのアクシデントにより油圧ショベルが転倒するおそれがある。
【0005】
このような転倒に対して、油圧ショベルなどのキャブを補強したり、キャブの剛性を向上したりして、側方荷重に対する変形を抑制してオペレータを保護するためのキャブ構造とすることが望ましい。
【0006】
しかしながら、油圧ショベルなどのキャブにおいては、オペレータの視界などを考慮すると、各窓の面積を可能な限り大きく取ることが望ましいため、前窓および天窓を大きく取ると、これら前窓と天窓との間に位置するフロントヘッダの強度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、キャブ本体にキャブ用補強部材を取付け、キャブ本体の強度を向上した構成が知られている。このようなキャブ用補強部材は、棒状の補強部材本体の両端部が、フロントヘッダの両側部にて固定部に固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−279721号公報(第4−6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のようなキャブ用補強部材を取付けたキャブでは、棒状の補強部材本体の両端部がフロントヘッダの両側部にて固定部に固定されているだけであるため、特に補強部材本体と固定部との連結部の強度が充分とは言えず、キャブ本体の側方荷重に対する補強が充分でないという問題点を有している。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、これら被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿って配設される補強部材本体と、この補強部材本体と被固定部との連結部を補強し、補強部材本体と一体的に横枠部に固定される補強カバーとを具備したものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャブ用補強部材において、補強カバーは、少なくとも一部が補強部材本体に溶接されるとともに、この補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のキャブ用補強部材において、補強カバーは、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるとともに、少なくとも一部が横枠部に溶接されるものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、これら被固定部とともに鍛造および鋳造のいずれか一方にて一体に設けられ、被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿ってこの横枠部に固定される補強部材本体とを具備したものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体と、このキャブ本体の横枠部に沿って取付けられた請求項1乃至4のいずれか記載のキャブ用補強部材とを具備したキャブである。
【0015】
請求項6記載の発明は、機械本体と、この機械本体に設けられた請求項5記載のキャブと、機械本体に作動可能に設けられた作業装置とを具備した作業機械である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、被固定部と補強部材本体との連結部を補強カバーにより補強し、この補強カバーを補強部材本体と一体的に横枠部に固定することで、横枠部を含む横枠部の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、少なくとも一部を補強部材本体に溶接した補強カバーを、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定することで、これら補強カバーと補強部材本体とを容易に横枠部に固定でき、キャブ本体の強度をより向上できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、補強カバーを補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定するとともに、補強カバーの少なくとも一部を横枠部に溶接することで、補強カバーおよび補強部材を横枠部と確実に一体化でき、キャブ本体の強度をより向上できる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、被固定部と補強部材本体とを鍛造、あるいは鋳造により一体に設けることで、被固定部と補強部材本体との連結部を補強し、被固定部を横枠部の両側部に固定するとともに補強部材本体を横枠部に固定することで、横枠部を含む横枠部の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強できることで、信頼性を向上できる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強したキャブを備えることで、作業可能な領域を拡げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図5に作業機械としての油圧ショベル1を示し、この油圧ショベル1は、下部走行体2の上部に旋回部3を介して上部旋回体4が旋回可能に設けられた機械本体5を有し、上部旋回体4の前側上部左側に、オペレータの運転空間を囲むキャブ6が搭載されているとともに、上部旋回体4の前部中央に、作業装置7が作動可能に突設されている。すなわち、キャブ6は、作業装置7の側方に位置している。
【0024】
そして、このキャブ6は、図1および図4に示されるように、箱形のキャブ本体11と、このキャブ本体11に着脱可能に取付けられるキャブ用補強部材12とを有している。
【0025】
キャブ本体11は、上部旋回体4(図5)の旋回フレーム上に、図示されないマウント部材を介して搭載される前後に長い略四角形状の床面部15と、この床面部15の左右両側部から上方に立上がる左側面部16および右側面部17と、床面部15の前後両端部から上方に立上がる前側面部18および後側面部19と、これら側面部16,17,18,19の上部に設けられた天井部20とを備えている。
【0026】
そして、このキャブ本体11は、床面部15の四隅にそれぞれ設けられた柱状体としての左フロントピラー22、右フロントピラー23、左リアピラー24および右リアピラー25を備えている。さらに、左フロントピラー22の上端部は、左リアピラー24の上端部へと屈曲されて左サイド部26を形成し、右フロントピラー23の上端部は、右リアピラー25の上端部へと屈曲されて右サイド部27を形成し、両フロントピラー22,23の上端部間は、横枠部としてのフロントヘッダ28により連結され、両リアピラー24,25の上端部間は、リアヘッダ29により連結され、また、両フロントピラー22,23の下端部間は、フロントクロス部材30により連結され、両リアピラー24,25の下端部間は、リアクロス部材31により連結されている。
【0027】
床面部15上には、図示しないが、オペレータが座るシートおよびオペレータが操作するコンソールなどが適宜配設されている。また、この床面部15には、コンソールなどと接続される各種配線および配管などがキャブ本体11の外部下側へと導出される図示されない孔部などが設けられている。
【0028】
左側面部16は、左フロントピラー22と左サイド部26と左リアピラー24とにより区画され、これら左フロントピラー22と左リアピラー24との間に、上端部が左サイド部26に連結された柱状体としてのドア取付用ピラー32が配設され、このドア取付用ピラー32と左フロントピラー22との間に、オペレータがキャブ本体11内に対して乗降する際に開閉されるドア33が設けられているとともに、ドア取付用ピラー32と左リアピラー24との間に、左サイドパネル34が一体に設けられている。そして、左サイドパネル34の上部には、ドア33の後方に隣接する左窓35が開口形成されている。この左窓35は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0029】
右側面部17には、右フロントピラー23と右サイド部27と右リアピラー25とにより区画され、右フロントピラー23と右リアピラー25との下部間に右サイドパネル36が一体に設けられ、この右サイドパネル36の上部に、右窓37が開口形成されている。この右窓37は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0030】
前側面部18は、両フロントピラー22,23とフロントヘッダ28とフロントクロス部材30とにより区画されて全体に前側窓部としての前窓41が略全面に開口形成され、この前窓41は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0031】
後側面部19は、両リアピラー24,25とリアヘッダ29とにより区画され、両リアピラー24,25の下部間かつリアクロス部材31の上部に、例えば1枚板で形成されたリアパネル43が一体に設けられ、このリアパネル43の上部に後窓44が開口形成されている。この後窓44は、四角形状に形成され、図示されない透光性部材により開閉可能となっている。
【0032】
ここで、フロントクロス部材30および各パネル34,36,43の下端部の内側には、取付部材としての鋼材であるハット部材Hが溶接され、これらハット部材Hが床面部15に図示されないボルトなどを介して固定されることで、各側面部16,17,18,19が床面部15と一体的となっている。
【0033】
天井部20は、両ヘッダ28,29と両サイド部26,27とにより区画され、後側に、例えば1枚板で形成されたルーフパネル47が嵌合され、この後側が略平面状に形成されているとともに、このルーフパネル47の前方に上側窓部としての天窓48が開口形成されている。この天窓48は、四角形状に形成され、図示されない扉体により開閉可能となっている。
【0034】
各フロントピラー22,23は、Aピラーとも呼ばれるものであり、ドア取付用ピラー32は、Bピラーとも呼ばれるものであり、また、各リアピラー24,25は、Cピラーとも呼ばれるものであり、これらピラー22,23,24,25,32は、それぞれ鋼板により形成された異型鋼管である。
【0035】
フロントヘッダ28は、前窓41と天窓48との間に略直線状に位置している。また、このフロントヘッダ28は、図3に示されるように、両フロントピラー22,23間を連結するフロントヘッダ板51と、このフロントヘッダ板51を補強するヘッダ補強板52と、天窓48用の図示されないパッキンが取付けられるパッキン取付板53とを備え左右に長尺状の異型鋼管である。
【0036】
フロントヘッダ板51は、フロントヘッダアウターパネルとも呼ばれるもので、上下方向の略中央域に、前方へと段差状に突出する突出部51aが設けられ、この突出部51aの上下両縁部がフランジ状のフランジ部51b,51cに延設されている。このフランジ部51cの後部には、前窓41用の図示されないパッキンが取付けられる。また、このフロントヘッダ板51の左右方向中央部の上部には、天窓48を開閉する扉体を係合するための係合板51d(図1)が突設されている。
【0037】
ヘッダ補強板52は、フロントヘッダインナーパネルとも呼ばれるもので、後側に突出した断面コ字状に形成され、上下端部がフロントヘッダ板51の突出部51aの後部に溶接されて、フロントヘッダ板51の突出部51aとともに筒状となっている。
【0038】
パッキン取付板53は、フロントヘッダ板51の突出部51aの上部に下端部が溶接され、フランジ部51bに対して略平行に離間されている。
【0039】
一方、キャブ用補強部材12は、図4に示されるように、キャブ6に側方荷重Fが加わった際に想像線Cに示されるようなキャブ本体11の変形を防止するもので、鋼鉄などの金属により形成され、図1および図2に示されるように、フロントヘッダ28の両側部である各フロントピラー22,23の上端部の屈曲部に固定された被固定部57,58と、これら被固定部57,58間を左右方向に連結する補強部材本体59と、これら被固定部57,58と補強部材本体59との連結部を覆う補強カバー61,62とを備えている。このため、キャブ用補強部材12は、平面視で略H字状に形成されている。
【0040】
被固定部57は、上端部に水平状に位置する上端面64、この上端面64の下端部に前方へと傾斜状に連続する上側傾斜面65、この上側傾斜面65の下端部に若干後方へと傾斜状に連続する下側傾斜面66、これら両傾斜面65,66の左側部に亘って連続する左側面67、上端面64と上側傾斜面65との右側部に亘って連続する上側右面68、および、下側傾斜面66の右側部に位置する下側右面69を有する箱状に形成されている。
【0041】
上端面64の後端部、上側傾斜面65の下端部近傍および下側傾斜面66の下端部近傍には、それぞれ挿入孔71,72,73が穿設され、これら挿入孔71,72,73には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト75,76,77が挿入され、これらボルト75,76,77が、左フロントピラー22から突設された図示されないボスにそれぞれ螺着される。
【0042】
また、被固定部58は、被固定部57と左右対称な形状に形成されている。すなわち、被固定部58は、上端部に水平状に位置する上端面84、この上端面84の下端部に前方へと傾斜状に連続する上側傾斜面85、この上側傾斜面85の下端部に若干後方へと傾斜状に連続する下側傾斜面86、これら両傾斜面85,86の右側部に亘って連続する右側面87、上端面84と上側傾斜面85との左側部に亘って連続する上側左面88、および、下側傾斜面86の左側部に位置する下側左面89を有する箱状に形成され、上端面84の後端部、上側傾斜面85の下端部近傍および下側傾斜面86の下端部近傍には、それぞれ挿入孔91,92,93が穿設され、これら挿入孔91,92,93には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト95,96,97が挿入され、これらボルト95,96,97が、右フロントピラー23から突設された図示されないボスにそれぞれ螺着される。
【0043】
補強部材本体59は、左右に長尺状の角パイプであり、左右両端部が、被固定部57の上側右面68と被固定部58の上側左面88とにそれぞれ切欠き形成された図示されない切欠孔にそれぞれ挿入されて被固定部57の左側面67と被固定部58の右側面87とにそれぞれ溶接され、被固定部57,58と一体的に設けられている。このため、この補強部材本体59は、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で、フロントヘッダ28の前部に沿って位置している。
【0044】
補強カバー61は、左右に長尺状の前側面101と、この前側面101の上下両端部から後方へと延設された上側面部102および下側面部103とを有する断面逆コ字状に形成され、補強部材本体59の左側に前側から取付けられている。
【0045】
また、この補強カバー61は、前側面101の後側が補強部材本体59の前側に当接し、各側面部102,103がそれぞれ補強部材本体59の上下両側に当接してこの補強部材本体59と抱き合わされ、各側面部102,103の後端部がそれぞれ補強部材本体59の上面および下面の後端部近傍にて溶接されて溶接部104,105を形成し、補強部材本体59と一体的となっている。
【0046】
さらに、この補強カバー61は、補強部材本体59の左端部から、この補強部材本体59の中央部の左側方に亘って補強部材本体59の前側を覆っている。すなわち、この補強カバー61の左端部は、被固定部57の切欠孔に補強部材本体59の左端部とともに挿入され、被固定部57の左側面67に溶接されている。
【0047】
また、この補強カバー61の右端部近傍には、図1乃至図4に示されるように、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト111が挿入されるボルト挿入孔112が穿設されている。
【0048】
そして、ボルト111は、ボルト挿入孔112に対応する位置にて補強部材本体59に穿設された挿通孔113に挿通され、これらボルト挿入孔112および挿通孔113に対応する位置にてフロントヘッダ板51の突出部51aの前部に溶接されたボス114に螺着され、補強カバー61を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28に固定可能とする。このボス114は、補強部材本体59の後部に切欠き形成されたボス孔115に挿入され、先端部が補強部材本体59の前部の後面に当接している。
【0049】
同様に、補強カバー62は、補強カバー61と左右対称に設けられている。すなわち、補強カバー62は、左右に長尺状の前側面121と、この前側面121の上下両端部から後方へと延設された上側面部122および下側面部123とを有する断面逆コ字状に形成され、補強部材本体59の右側に前側から取付けられ、前側面121の後側が補強部材本体59の前側に当接し、各側面部122,123がそれぞれ補強部材本体59の上下両側に当接してこの補強部材本体59と抱き合わされ、各側面部122,123の後端部がそれぞれ補強部材本体59の上面および下面の後端部近傍にて溶接されて溶接部124,125を形成し、補強部材本体59と一体的となっている。
【0050】
さらに、この補強カバー62は、補強部材本体59の右端部から、この補強部材本体59の中央部の右側方に亘って補強部材本体59の前側を覆っており、左端部が、被固定部58の切欠孔に補強部材本体59の右端部とともに挿入され、被固定部58の右側面87に溶接されている。
【0051】
また、この補強カバー62の右端部近傍には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト131が挿入されるボルト挿入孔132が穿設され、このボルト131は、ボルト挿入孔132に対応する位置にて補強部材本体59に穿設された挿通孔133に挿通され、これらボルト挿入孔132および挿通孔133に対応する位置にてフロントヘッダ28のフロントヘッダ板51の突出部51aの前部に溶接されたボス134に螺着され、補強カバー62を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28に固定可能とする。このボス134は、補強部材本体59の後部に切欠き形成されたボス孔135に挿入され、先端部が補強部材本体59の前部の後面に当接している。
【0052】
そして、ボルト76,111,131,96は、正面視で左右方向に略一直線上に配設されている。
【0053】
なお、溶接部104,105,124,125は、補強カバー61,62の各側面部102,103,122,123の左右全体に亘って連続して設けてもよく、また、複数箇所に点状に設けてもよい。
【0054】
次に、上記第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0055】
油圧ショベル1(図5)にて、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をする場合には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける。
【0056】
このとき、被固定部57の挿入孔71,72,73と被固定部58の挿入孔91,92,93とのそれぞれを、各フロントピラー22,23に突設されたボスと位置合わせし、これら挿入孔71,72,73および挿入孔91,92,93のそれぞれにボルト75,76,77およびボルト95,96,97を挿入して螺着することで、補強部材本体59がフロントヘッダ28に沿ってこのフロントヘッダ28の前部に位置するので、この補強部材本体59のボルト挿入孔112,132にそれぞれボルト111,131を挿入してボス114,134に螺着して、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に固定して、キャブ本体11を側方荷重Fに対して補強する。
【0057】
すなわち、キャブ本体11のフロントヘッダ28は、前窓41と天窓48との間に位置する構造上、オペレータの視界確保のために前窓41と天窓48とを可能な限り大きく取ることで、キャブ本体11中で側方荷重Fに対して最も弱い部分となるので、側方荷重Fに対して補強部材本体59が梁として作用するキャブ用補強部材12を、フロントヘッダ28部分に取付けるだけでなく、補強部材本体59の被固定部57,58との連結部を補強カバー61,62により覆って補強するとともに、さらに、これら補強カバー61,62を補強部材本体59とともにフロントヘッダ28に固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を確実に向上でき、キャブ6に作用する側方荷重Fをフロントヘッダ28とともにキャブ用補強部材12で受け、側方荷重Fに対してキャブ本体11を確実に補強できる。
【0058】
また、補強部材本体59と補強カバー61,62とは、ボルト111,131によりフロントヘッダ28に容易に固定できるとともに、例えば補強部材本体59と補強カバー61,62とをフロントヘッダ28に溶接する場合などと比較して、製造コストを抑制できる。
【0059】
さらに、キャブ用補強部材12は、前窓41および天窓48を閉塞しないので、オペレータの視界を遮ることがない。
【0060】
そして、このようにキャブ本体11を確実に補強できることで、キャブ6の信頼性を向上でき、さらには、このキャブ6を油圧ショベル1に搭載することで、例えば何らかのアクシデントにより油圧ショベル1(図5)が転倒(横転)してキャブ本体11が下側となり、キャブ本体11に側方荷重Fが加わった場合でも、オペレータを確実に保護でき、作業可能な領域を広げることができる。
【0061】
また、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に対して着脱可能とすることにより、必要なときにのみキャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けて使用でき、キャブ本体11の側方荷重Fに対する強度を選択できる。
【0062】
さらに、補強カバー61,62は、連結部材本体59に対して溶接部104,105,124,125で溶接されているため、被固定部57,58と補強部材本体59との連結部をより確実に補強できる。
【0063】
そして、ボルト76,111,131,96を左右方向に一直線上に配設することで、キャブ用補強部材12により側方荷重Fに対する強度を確実に向上できる。
【0064】
次に、第2の実施の形態を図6を参照しながら詳細に説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の補強カバー61,62のそれぞれが、フロントヘッダ28に溶接されているものである。
【0066】
これら補強カバー61,62は、各側面部102,103,122,123のそれぞれが後方へと延設され、パッキン取付板53とフロントヘッダ28のフロントヘッダ板51のフランジ部51cとにそれぞれ溶接されて溶接部141,142,143,144をそれぞれ形成している。
【0067】
なお、これら溶接部141,142,143,144は、補強カバー61,62の各側面部102,103,122,123の左右全体に亘って連続して設けてもよく、また、複数箇所に点状に設けてもよい。
【0068】
そして、補強部材本体59とともにフロントヘッダ28にボルト111,131で固定される補強カバー61,62を、さらに溶接部141,142,143,144にてフロントヘッダ28に溶接することにより、補強部材本体59および補強カバー61,62をフロントヘッダ28と確実に一体化し、キャブ本体11のフロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の側方荷重F(図4)に対する強度を、より向上できる。
【0069】
次に、第3の実施の形態を図7乃至図9を参照しながら詳細に説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
この第3の実施の形態では、上記各実施の形態のキャブ用補強部材12に代えて、鍛造、あるいは鋳造で成形したキャブ用補強部材151を用いるものである。
【0071】
このキャブ用補強部材151は、フロントヘッダ28の両側部である各フロントピラー22,23の上端部の屈曲部に固定された被固定部152,153と、これら被固定部152,153間を連結し、これら被固定部152,153と一体に鍛造、あるいは鋳造により設けられた補強部材本体154とを備え、平面視で略H字状に形成されている。
【0072】
被固定部152は、例えば上端部に水平状に位置する上端面156と、補強部材本体154と一体となる中間部157と、下端部に左フロントピラー22の前側に沿って位置する下端面158とを備え、上端面156には、挿入孔161が、中間部157には、挿入孔162が、下端面158には、挿入孔163が、それぞれ穿設されている。そして、これら挿入孔161,162,163には、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト75,76,77が挿入され、これらボルト75,76,77が、左フロントピラー22に溶接されたボス165,166,167にそれぞれ螺着される。
【0073】
また、被固定部153は、被固定部152と左右対称な形状に形成されている。すなわち、被固定部153は、上端部に水平状に位置する上端面171と、補強部材本体154と一体となる中間部172と、下端部に右フロントピラー23の前側に沿って位置する下端面173とを備え、上端面171には、挿入孔175が、中間部172には、挿入孔176が、下端面173には、挿入孔177が、それぞれ穿設され、これら挿入孔175,176,177に、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト95,96,97が挿入され、これらボルト95,96,97が、右フロントピラー23に溶接されたボス181,182,183にそれぞれ螺着される。
【0074】
補強部材本体154は、左右に長尺状に形成され、左右両端部が被固定部152の中間部157と被固定部153の中間部172とにそれぞれ一体に設けられている。このため、この補強部材本体154は、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付けた状態で、フロントヘッダ28の前部に沿って位置している。
【0075】
さらに、補強部材本体154には、挿入孔162,176と略一直線上に、ボルト挿入孔185,186が穿設され、これらボルト挿入孔185,186には、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト111,131が挿入され、これらボルト111,131が、フロントヘッダ28のボス114,134にそれぞれ螺着される。
【0076】
また、被固定部152,153および補強部材本体154の外周縁部全体には、キャブ用補強部材151を補強する補強リブ部188がキャブ本体11側へと突設されている。
【0077】
そして、キャブ用補強部材151を取付ける際には、被固定部152の挿入孔161,162,163と被固定部153の挿入孔175,176,177とのそれぞれを、ボス165,166,167およびボス181,182,183とそれぞれ位置合わせし、これら挿入孔161,162,163および挿入孔175,176,177のそれぞれにボルト75,76,77およびボルト95,96,97を挿入して螺着することで、補強部材本体154がフロントヘッダ28に沿ってこのフロントヘッダ28の前部に位置するので、この補強部材本体154のボルト挿入孔185,186にそれぞれボルト111,131を挿入してボス114,134に螺着して、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に固定して、キャブ本体11を側方荷重Fに対して補強する。
【0078】
この結果、上記第3の実施の形態でも、被固定部152,153と補強部材本体154とを鍛造、あるいは鋳造で一体に設けることで、これら被固定部152,153と補強部材本体154との連結部を補強でき、被固定部152,153をフロントヘッダ28の両側部の各フロントピラー22,23に固定するとともに、補強部材本体154をフロントヘッダ28に固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を向上でき、側方荷重F(図4)に対してキャブ本体11を確実に補強できるなど、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0079】
また、キャブ用補強部材151を鍛造、あるいは鋳造により成形することにより、プレス成形などで形成する場合と比較して、強度をより向上できるとともに、キャブ用補強部材151自体のデザインの自由度が向上し、フロントヘッダ28にフィットさせて接地することが可能となり、見栄えを向上できる。
【0080】
なお、上記各実施の形態において、被固定部57,58,152,153、補強部材本体59,154および補強カバー61,62の形状などは、キャブ用補強部材12,151にてフロントヘッダ28を確実に補強できれば、上記構成に限定されるものではない。
【0081】
また、キャブ用補強部材12,151は、キャブ本体11に取外しできないように予め取付けておいてもよい。
【0082】
さらに、上記キャブ6は、油圧ショベル1以外の任意の作業機械に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るキャブの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上キャブのキャブ用補強部材を示す斜視図である。
【図3】同上キャブの要部を示す縦断面図である。
【図4】同上キャブを示す正面図である。
【図5】同上キャブを備えた作業機械を示す側面図である。
【図6】本発明に係るキャブの第2の実施の形態の要部を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係るキャブの第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】同上キャブのキャブ用補強部材を示す斜視図である。
【図9】同上キャブの要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 作業機械としての油圧ショベル
5 機械本体
6 キャブ
7 作業装置
11 キャブ本体
12,151 キャブ用補強部材
18 前側面部
20 天井部
28 横枠部としてのフロントヘッダ
41 前側窓部としての前窓
48 上側窓部としての天窓
57,58,152,153 被固定部
59,154 補強部材本体
61,62 補強カバー
111,131 ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械の機械本体に搭載されるこの種のキャブは、箱形のキャブ本体を備え、このキャブ本体は、床面部の前部両側から立上がる左右のフロントピラーの下部間にフロントクロス部材が設けられているとともに上部間にフロントヘッダが設けられており、これらフロントピラー、フロントクロス部材およびフロントヘッダにより、前側面部に前窓が開口形成されている。
【0003】
また、各フロントピラーの上端部は、後方へと屈曲されて左右のサイド部を形成し、これらサイド部の後端部が床面部の後部両側から立上がる左右のリアピラーの上端部に連結され、各フロントピラーの後部にルーフパネルが一体に設けられて、フロントヘッダの後部とルーフパネルの前部との間にてキャブ本体の天井部前側に天窓が開口形成されている。
【0004】
ところで、油圧ショベルなどは、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をすることがあり、このような場所での作業の際には、何らかのアクシデントにより油圧ショベルが転倒するおそれがある。
【0005】
このような転倒に対して、油圧ショベルなどのキャブを補強したり、キャブの剛性を向上したりして、側方荷重に対する変形を抑制してオペレータを保護するためのキャブ構造とすることが望ましい。
【0006】
しかしながら、油圧ショベルなどのキャブにおいては、オペレータの視界などを考慮すると、各窓の面積を可能な限り大きく取ることが望ましいため、前窓および天窓を大きく取ると、これら前窓と天窓との間に位置するフロントヘッダの強度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、キャブ本体にキャブ用補強部材を取付け、キャブ本体の強度を向上した構成が知られている。このようなキャブ用補強部材は、棒状の補強部材本体の両端部が、フロントヘッダの両側部にて固定部に固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−279721号公報(第4−6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のようなキャブ用補強部材を取付けたキャブでは、棒状の補強部材本体の両端部がフロントヘッダの両側部にて固定部に固定されているだけであるため、特に補強部材本体と固定部との連結部の強度が充分とは言えず、キャブ本体の側方荷重に対する補強が充分でないという問題点を有している。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、これら被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿って配設される補強部材本体と、この補強部材本体と被固定部との連結部を補強し、補強部材本体と一体的に横枠部に固定される補強カバーとを具備したものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャブ用補強部材において、補強カバーは、少なくとも一部が補強部材本体に溶接されるとともに、この補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のキャブ用補強部材において、補強カバーは、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるとともに、少なくとも一部が横枠部に溶接されるものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、これら被固定部とともに鍛造および鋳造のいずれか一方にて一体に設けられ、被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿ってこの横枠部に固定される補強部材本体とを具備したものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体と、このキャブ本体の横枠部に沿って取付けられた請求項1乃至4のいずれか記載のキャブ用補強部材とを具備したキャブである。
【0015】
請求項6記載の発明は、機械本体と、この機械本体に設けられた請求項5記載のキャブと、機械本体に作動可能に設けられた作業装置とを具備した作業機械である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、被固定部と補強部材本体との連結部を補強カバーにより補強し、この補強カバーを補強部材本体と一体的に横枠部に固定することで、横枠部を含む横枠部の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、少なくとも一部を補強部材本体に溶接した補強カバーを、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定することで、これら補強カバーと補強部材本体とを容易に横枠部に固定でき、キャブ本体の強度をより向上できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、補強カバーを補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定するとともに、補強カバーの少なくとも一部を横枠部に溶接することで、補強カバーおよび補強部材を横枠部と確実に一体化でき、キャブ本体の強度をより向上できる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、被固定部と補強部材本体とを鍛造、あるいは鋳造により一体に設けることで、被固定部と補強部材本体との連結部を補強し、被固定部を横枠部の両側部に固定するとともに補強部材本体を横枠部に固定することで、横枠部を含む横枠部の近傍の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強できることで、信頼性を向上できる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強したキャブを備えることで、作業可能な領域を拡げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図5に作業機械としての油圧ショベル1を示し、この油圧ショベル1は、下部走行体2の上部に旋回部3を介して上部旋回体4が旋回可能に設けられた機械本体5を有し、上部旋回体4の前側上部左側に、オペレータの運転空間を囲むキャブ6が搭載されているとともに、上部旋回体4の前部中央に、作業装置7が作動可能に突設されている。すなわち、キャブ6は、作業装置7の側方に位置している。
【0024】
そして、このキャブ6は、図1および図4に示されるように、箱形のキャブ本体11と、このキャブ本体11に着脱可能に取付けられるキャブ用補強部材12とを有している。
【0025】
キャブ本体11は、上部旋回体4(図5)の旋回フレーム上に、図示されないマウント部材を介して搭載される前後に長い略四角形状の床面部15と、この床面部15の左右両側部から上方に立上がる左側面部16および右側面部17と、床面部15の前後両端部から上方に立上がる前側面部18および後側面部19と、これら側面部16,17,18,19の上部に設けられた天井部20とを備えている。
【0026】
そして、このキャブ本体11は、床面部15の四隅にそれぞれ設けられた柱状体としての左フロントピラー22、右フロントピラー23、左リアピラー24および右リアピラー25を備えている。さらに、左フロントピラー22の上端部は、左リアピラー24の上端部へと屈曲されて左サイド部26を形成し、右フロントピラー23の上端部は、右リアピラー25の上端部へと屈曲されて右サイド部27を形成し、両フロントピラー22,23の上端部間は、横枠部としてのフロントヘッダ28により連結され、両リアピラー24,25の上端部間は、リアヘッダ29により連結され、また、両フロントピラー22,23の下端部間は、フロントクロス部材30により連結され、両リアピラー24,25の下端部間は、リアクロス部材31により連結されている。
【0027】
床面部15上には、図示しないが、オペレータが座るシートおよびオペレータが操作するコンソールなどが適宜配設されている。また、この床面部15には、コンソールなどと接続される各種配線および配管などがキャブ本体11の外部下側へと導出される図示されない孔部などが設けられている。
【0028】
左側面部16は、左フロントピラー22と左サイド部26と左リアピラー24とにより区画され、これら左フロントピラー22と左リアピラー24との間に、上端部が左サイド部26に連結された柱状体としてのドア取付用ピラー32が配設され、このドア取付用ピラー32と左フロントピラー22との間に、オペレータがキャブ本体11内に対して乗降する際に開閉されるドア33が設けられているとともに、ドア取付用ピラー32と左リアピラー24との間に、左サイドパネル34が一体に設けられている。そして、左サイドパネル34の上部には、ドア33の後方に隣接する左窓35が開口形成されている。この左窓35は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0029】
右側面部17には、右フロントピラー23と右サイド部27と右リアピラー25とにより区画され、右フロントピラー23と右リアピラー25との下部間に右サイドパネル36が一体に設けられ、この右サイドパネル36の上部に、右窓37が開口形成されている。この右窓37は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0030】
前側面部18は、両フロントピラー22,23とフロントヘッダ28とフロントクロス部材30とにより区画されて全体に前側窓部としての前窓41が略全面に開口形成され、この前窓41は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0031】
後側面部19は、両リアピラー24,25とリアヘッダ29とにより区画され、両リアピラー24,25の下部間かつリアクロス部材31の上部に、例えば1枚板で形成されたリアパネル43が一体に設けられ、このリアパネル43の上部に後窓44が開口形成されている。この後窓44は、四角形状に形成され、図示されない透光性部材により開閉可能となっている。
【0032】
ここで、フロントクロス部材30および各パネル34,36,43の下端部の内側には、取付部材としての鋼材であるハット部材Hが溶接され、これらハット部材Hが床面部15に図示されないボルトなどを介して固定されることで、各側面部16,17,18,19が床面部15と一体的となっている。
【0033】
天井部20は、両ヘッダ28,29と両サイド部26,27とにより区画され、後側に、例えば1枚板で形成されたルーフパネル47が嵌合され、この後側が略平面状に形成されているとともに、このルーフパネル47の前方に上側窓部としての天窓48が開口形成されている。この天窓48は、四角形状に形成され、図示されない扉体により開閉可能となっている。
【0034】
各フロントピラー22,23は、Aピラーとも呼ばれるものであり、ドア取付用ピラー32は、Bピラーとも呼ばれるものであり、また、各リアピラー24,25は、Cピラーとも呼ばれるものであり、これらピラー22,23,24,25,32は、それぞれ鋼板により形成された異型鋼管である。
【0035】
フロントヘッダ28は、前窓41と天窓48との間に略直線状に位置している。また、このフロントヘッダ28は、図3に示されるように、両フロントピラー22,23間を連結するフロントヘッダ板51と、このフロントヘッダ板51を補強するヘッダ補強板52と、天窓48用の図示されないパッキンが取付けられるパッキン取付板53とを備え左右に長尺状の異型鋼管である。
【0036】
フロントヘッダ板51は、フロントヘッダアウターパネルとも呼ばれるもので、上下方向の略中央域に、前方へと段差状に突出する突出部51aが設けられ、この突出部51aの上下両縁部がフランジ状のフランジ部51b,51cに延設されている。このフランジ部51cの後部には、前窓41用の図示されないパッキンが取付けられる。また、このフロントヘッダ板51の左右方向中央部の上部には、天窓48を開閉する扉体を係合するための係合板51d(図1)が突設されている。
【0037】
ヘッダ補強板52は、フロントヘッダインナーパネルとも呼ばれるもので、後側に突出した断面コ字状に形成され、上下端部がフロントヘッダ板51の突出部51aの後部に溶接されて、フロントヘッダ板51の突出部51aとともに筒状となっている。
【0038】
パッキン取付板53は、フロントヘッダ板51の突出部51aの上部に下端部が溶接され、フランジ部51bに対して略平行に離間されている。
【0039】
一方、キャブ用補強部材12は、図4に示されるように、キャブ6に側方荷重Fが加わった際に想像線Cに示されるようなキャブ本体11の変形を防止するもので、鋼鉄などの金属により形成され、図1および図2に示されるように、フロントヘッダ28の両側部である各フロントピラー22,23の上端部の屈曲部に固定された被固定部57,58と、これら被固定部57,58間を左右方向に連結する補強部材本体59と、これら被固定部57,58と補強部材本体59との連結部を覆う補強カバー61,62とを備えている。このため、キャブ用補強部材12は、平面視で略H字状に形成されている。
【0040】
被固定部57は、上端部に水平状に位置する上端面64、この上端面64の下端部に前方へと傾斜状に連続する上側傾斜面65、この上側傾斜面65の下端部に若干後方へと傾斜状に連続する下側傾斜面66、これら両傾斜面65,66の左側部に亘って連続する左側面67、上端面64と上側傾斜面65との右側部に亘って連続する上側右面68、および、下側傾斜面66の右側部に位置する下側右面69を有する箱状に形成されている。
【0041】
上端面64の後端部、上側傾斜面65の下端部近傍および下側傾斜面66の下端部近傍には、それぞれ挿入孔71,72,73が穿設され、これら挿入孔71,72,73には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト75,76,77が挿入され、これらボルト75,76,77が、左フロントピラー22から突設された図示されないボスにそれぞれ螺着される。
【0042】
また、被固定部58は、被固定部57と左右対称な形状に形成されている。すなわち、被固定部58は、上端部に水平状に位置する上端面84、この上端面84の下端部に前方へと傾斜状に連続する上側傾斜面85、この上側傾斜面85の下端部に若干後方へと傾斜状に連続する下側傾斜面86、これら両傾斜面85,86の右側部に亘って連続する右側面87、上端面84と上側傾斜面85との左側部に亘って連続する上側左面88、および、下側傾斜面86の左側部に位置する下側左面89を有する箱状に形成され、上端面84の後端部、上側傾斜面85の下端部近傍および下側傾斜面86の下端部近傍には、それぞれ挿入孔91,92,93が穿設され、これら挿入孔91,92,93には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト95,96,97が挿入され、これらボルト95,96,97が、右フロントピラー23から突設された図示されないボスにそれぞれ螺着される。
【0043】
補強部材本体59は、左右に長尺状の角パイプであり、左右両端部が、被固定部57の上側右面68と被固定部58の上側左面88とにそれぞれ切欠き形成された図示されない切欠孔にそれぞれ挿入されて被固定部57の左側面67と被固定部58の右側面87とにそれぞれ溶接され、被固定部57,58と一体的に設けられている。このため、この補強部材本体59は、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で、フロントヘッダ28の前部に沿って位置している。
【0044】
補強カバー61は、左右に長尺状の前側面101と、この前側面101の上下両端部から後方へと延設された上側面部102および下側面部103とを有する断面逆コ字状に形成され、補強部材本体59の左側に前側から取付けられている。
【0045】
また、この補強カバー61は、前側面101の後側が補強部材本体59の前側に当接し、各側面部102,103がそれぞれ補強部材本体59の上下両側に当接してこの補強部材本体59と抱き合わされ、各側面部102,103の後端部がそれぞれ補強部材本体59の上面および下面の後端部近傍にて溶接されて溶接部104,105を形成し、補強部材本体59と一体的となっている。
【0046】
さらに、この補強カバー61は、補強部材本体59の左端部から、この補強部材本体59の中央部の左側方に亘って補強部材本体59の前側を覆っている。すなわち、この補強カバー61の左端部は、被固定部57の切欠孔に補強部材本体59の左端部とともに挿入され、被固定部57の左側面67に溶接されている。
【0047】
また、この補強カバー61の右端部近傍には、図1乃至図4に示されるように、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト111が挿入されるボルト挿入孔112が穿設されている。
【0048】
そして、ボルト111は、ボルト挿入孔112に対応する位置にて補強部材本体59に穿設された挿通孔113に挿通され、これらボルト挿入孔112および挿通孔113に対応する位置にてフロントヘッダ板51の突出部51aの前部に溶接されたボス114に螺着され、補強カバー61を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28に固定可能とする。このボス114は、補強部材本体59の後部に切欠き形成されたボス孔115に挿入され、先端部が補強部材本体59の前部の後面に当接している。
【0049】
同様に、補強カバー62は、補強カバー61と左右対称に設けられている。すなわち、補強カバー62は、左右に長尺状の前側面121と、この前側面121の上下両端部から後方へと延設された上側面部122および下側面部123とを有する断面逆コ字状に形成され、補強部材本体59の右側に前側から取付けられ、前側面121の後側が補強部材本体59の前側に当接し、各側面部122,123がそれぞれ補強部材本体59の上下両側に当接してこの補強部材本体59と抱き合わされ、各側面部122,123の後端部がそれぞれ補強部材本体59の上面および下面の後端部近傍にて溶接されて溶接部124,125を形成し、補強部材本体59と一体的となっている。
【0050】
さらに、この補強カバー62は、補強部材本体59の右端部から、この補強部材本体59の中央部の右側方に亘って補強部材本体59の前側を覆っており、左端部が、被固定部58の切欠孔に補強部材本体59の右端部とともに挿入され、被固定部58の右側面87に溶接されている。
【0051】
また、この補強カバー62の右端部近傍には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける際にボルト131が挿入されるボルト挿入孔132が穿設され、このボルト131は、ボルト挿入孔132に対応する位置にて補強部材本体59に穿設された挿通孔133に挿通され、これらボルト挿入孔132および挿通孔133に対応する位置にてフロントヘッダ28のフロントヘッダ板51の突出部51aの前部に溶接されたボス134に螺着され、補強カバー62を補強部材本体59と一体的にフロントヘッダ28に固定可能とする。このボス134は、補強部材本体59の後部に切欠き形成されたボス孔135に挿入され、先端部が補強部材本体59の前部の後面に当接している。
【0052】
そして、ボルト76,111,131,96は、正面視で左右方向に略一直線上に配設されている。
【0053】
なお、溶接部104,105,124,125は、補強カバー61,62の各側面部102,103,122,123の左右全体に亘って連続して設けてもよく、また、複数箇所に点状に設けてもよい。
【0054】
次に、上記第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0055】
油圧ショベル1(図5)にて、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をする場合には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける。
【0056】
このとき、被固定部57の挿入孔71,72,73と被固定部58の挿入孔91,92,93とのそれぞれを、各フロントピラー22,23に突設されたボスと位置合わせし、これら挿入孔71,72,73および挿入孔91,92,93のそれぞれにボルト75,76,77およびボルト95,96,97を挿入して螺着することで、補強部材本体59がフロントヘッダ28に沿ってこのフロントヘッダ28の前部に位置するので、この補強部材本体59のボルト挿入孔112,132にそれぞれボルト111,131を挿入してボス114,134に螺着して、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に固定して、キャブ本体11を側方荷重Fに対して補強する。
【0057】
すなわち、キャブ本体11のフロントヘッダ28は、前窓41と天窓48との間に位置する構造上、オペレータの視界確保のために前窓41と天窓48とを可能な限り大きく取ることで、キャブ本体11中で側方荷重Fに対して最も弱い部分となるので、側方荷重Fに対して補強部材本体59が梁として作用するキャブ用補強部材12を、フロントヘッダ28部分に取付けるだけでなく、補強部材本体59の被固定部57,58との連結部を補強カバー61,62により覆って補強するとともに、さらに、これら補強カバー61,62を補強部材本体59とともにフロントヘッダ28に固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を確実に向上でき、キャブ6に作用する側方荷重Fをフロントヘッダ28とともにキャブ用補強部材12で受け、側方荷重Fに対してキャブ本体11を確実に補強できる。
【0058】
また、補強部材本体59と補強カバー61,62とは、ボルト111,131によりフロントヘッダ28に容易に固定できるとともに、例えば補強部材本体59と補強カバー61,62とをフロントヘッダ28に溶接する場合などと比較して、製造コストを抑制できる。
【0059】
さらに、キャブ用補強部材12は、前窓41および天窓48を閉塞しないので、オペレータの視界を遮ることがない。
【0060】
そして、このようにキャブ本体11を確実に補強できることで、キャブ6の信頼性を向上でき、さらには、このキャブ6を油圧ショベル1に搭載することで、例えば何らかのアクシデントにより油圧ショベル1(図5)が転倒(横転)してキャブ本体11が下側となり、キャブ本体11に側方荷重Fが加わった場合でも、オペレータを確実に保護でき、作業可能な領域を広げることができる。
【0061】
また、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に対して着脱可能とすることにより、必要なときにのみキャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けて使用でき、キャブ本体11の側方荷重Fに対する強度を選択できる。
【0062】
さらに、補強カバー61,62は、連結部材本体59に対して溶接部104,105,124,125で溶接されているため、被固定部57,58と補強部材本体59との連結部をより確実に補強できる。
【0063】
そして、ボルト76,111,131,96を左右方向に一直線上に配設することで、キャブ用補強部材12により側方荷重Fに対する強度を確実に向上できる。
【0064】
次に、第2の実施の形態を図6を参照しながら詳細に説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の補強カバー61,62のそれぞれが、フロントヘッダ28に溶接されているものである。
【0066】
これら補強カバー61,62は、各側面部102,103,122,123のそれぞれが後方へと延設され、パッキン取付板53とフロントヘッダ28のフロントヘッダ板51のフランジ部51cとにそれぞれ溶接されて溶接部141,142,143,144をそれぞれ形成している。
【0067】
なお、これら溶接部141,142,143,144は、補強カバー61,62の各側面部102,103,122,123の左右全体に亘って連続して設けてもよく、また、複数箇所に点状に設けてもよい。
【0068】
そして、補強部材本体59とともにフロントヘッダ28にボルト111,131で固定される補強カバー61,62を、さらに溶接部141,142,143,144にてフロントヘッダ28に溶接することにより、補強部材本体59および補強カバー61,62をフロントヘッダ28と確実に一体化し、キャブ本体11のフロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の側方荷重F(図4)に対する強度を、より向上できる。
【0069】
次に、第3の実施の形態を図7乃至図9を参照しながら詳細に説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
この第3の実施の形態では、上記各実施の形態のキャブ用補強部材12に代えて、鍛造、あるいは鋳造で成形したキャブ用補強部材151を用いるものである。
【0071】
このキャブ用補強部材151は、フロントヘッダ28の両側部である各フロントピラー22,23の上端部の屈曲部に固定された被固定部152,153と、これら被固定部152,153間を連結し、これら被固定部152,153と一体に鍛造、あるいは鋳造により設けられた補強部材本体154とを備え、平面視で略H字状に形成されている。
【0072】
被固定部152は、例えば上端部に水平状に位置する上端面156と、補強部材本体154と一体となる中間部157と、下端部に左フロントピラー22の前側に沿って位置する下端面158とを備え、上端面156には、挿入孔161が、中間部157には、挿入孔162が、下端面158には、挿入孔163が、それぞれ穿設されている。そして、これら挿入孔161,162,163には、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト75,76,77が挿入され、これらボルト75,76,77が、左フロントピラー22に溶接されたボス165,166,167にそれぞれ螺着される。
【0073】
また、被固定部153は、被固定部152と左右対称な形状に形成されている。すなわち、被固定部153は、上端部に水平状に位置する上端面171と、補強部材本体154と一体となる中間部172と、下端部に右フロントピラー23の前側に沿って位置する下端面173とを備え、上端面171には、挿入孔175が、中間部172には、挿入孔176が、下端面173には、挿入孔177が、それぞれ穿設され、これら挿入孔175,176,177に、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト95,96,97が挿入され、これらボルト95,96,97が、右フロントピラー23に溶接されたボス181,182,183にそれぞれ螺着される。
【0074】
補強部材本体154は、左右に長尺状に形成され、左右両端部が被固定部152の中間部157と被固定部153の中間部172とにそれぞれ一体に設けられている。このため、この補強部材本体154は、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付けた状態で、フロントヘッダ28の前部に沿って位置している。
【0075】
さらに、補強部材本体154には、挿入孔162,176と略一直線上に、ボルト挿入孔185,186が穿設され、これらボルト挿入孔185,186には、キャブ用補強部材151をキャブ本体11に取付ける際にボルト111,131が挿入され、これらボルト111,131が、フロントヘッダ28のボス114,134にそれぞれ螺着される。
【0076】
また、被固定部152,153および補強部材本体154の外周縁部全体には、キャブ用補強部材151を補強する補強リブ部188がキャブ本体11側へと突設されている。
【0077】
そして、キャブ用補強部材151を取付ける際には、被固定部152の挿入孔161,162,163と被固定部153の挿入孔175,176,177とのそれぞれを、ボス165,166,167およびボス181,182,183とそれぞれ位置合わせし、これら挿入孔161,162,163および挿入孔175,176,177のそれぞれにボルト75,76,77およびボルト95,96,97を挿入して螺着することで、補強部材本体154がフロントヘッダ28に沿ってこのフロントヘッダ28の前部に位置するので、この補強部材本体154のボルト挿入孔185,186にそれぞれボルト111,131を挿入してボス114,134に螺着して、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に固定して、キャブ本体11を側方荷重Fに対して補強する。
【0078】
この結果、上記第3の実施の形態でも、被固定部152,153と補強部材本体154とを鍛造、あるいは鋳造で一体に設けることで、これら被固定部152,153と補強部材本体154との連結部を補強でき、被固定部152,153をフロントヘッダ28の両側部の各フロントピラー22,23に固定するとともに、補強部材本体154をフロントヘッダ28に固定することで、フロントヘッダ28を含むフロントヘッダ28の近傍の強度を向上でき、側方荷重F(図4)に対してキャブ本体11を確実に補強できるなど、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0079】
また、キャブ用補強部材151を鍛造、あるいは鋳造により成形することにより、プレス成形などで形成する場合と比較して、強度をより向上できるとともに、キャブ用補強部材151自体のデザインの自由度が向上し、フロントヘッダ28にフィットさせて接地することが可能となり、見栄えを向上できる。
【0080】
なお、上記各実施の形態において、被固定部57,58,152,153、補強部材本体59,154および補強カバー61,62の形状などは、キャブ用補強部材12,151にてフロントヘッダ28を確実に補強できれば、上記構成に限定されるものではない。
【0081】
また、キャブ用補強部材12,151は、キャブ本体11に取外しできないように予め取付けておいてもよい。
【0082】
さらに、上記キャブ6は、油圧ショベル1以外の任意の作業機械に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るキャブの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上キャブのキャブ用補強部材を示す斜視図である。
【図3】同上キャブの要部を示す縦断面図である。
【図4】同上キャブを示す正面図である。
【図5】同上キャブを備えた作業機械を示す側面図である。
【図6】本発明に係るキャブの第2の実施の形態の要部を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係るキャブの第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】同上キャブのキャブ用補強部材を示す斜視図である。
【図9】同上キャブの要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 作業機械としての油圧ショベル
5 機械本体
6 キャブ
7 作業装置
11 キャブ本体
12,151 キャブ用補強部材
18 前側面部
20 天井部
28 横枠部としてのフロントヘッダ
41 前側窓部としての前窓
48 上側窓部としての天窓
57,58,152,153 被固定部
59,154 補強部材本体
61,62 補強カバー
111,131 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、
キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、
これら被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿って配設される補強部材本体と、
この補強部材本体と被固定部との連結部を補強し、補強部材本体と一体的に横枠部に固定される補強カバーと
を具備したことを特徴とするキャブ用補強部材。
【請求項2】
補強カバーは、少なくとも一部が補強部材本体に溶接されるとともに、この補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定される
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ用補強部材。
【請求項3】
補強カバーは、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるとともに、少なくとも一部が横枠部に溶接される
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ用補強部材。
【請求項4】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、
キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、
これら被固定部とともに鍛造および鋳造のいずれか一方にて一体に設けられ、被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿ってこの横枠部に固定される補強部材本体と
を具備したことを特徴とするキャブ用補強部材。
【請求項5】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体と、
このキャブ本体の横枠部に沿って取付けられた請求項1乃至4のいずれか記載のキャブ用補強部材と
を具備したことを特徴とするキャブ。
【請求項6】
機械本体と、
この機械本体に設けられた請求項5記載のキャブと、
機械本体に作動可能に設けられた作業装置と
を具備したことを特徴とする作業機械。
【請求項1】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、
キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、
これら被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿って配設される補強部材本体と、
この補強部材本体と被固定部との連結部を補強し、補強部材本体と一体的に横枠部に固定される補強カバーと
を具備したことを特徴とするキャブ用補強部材。
【請求項2】
補強カバーは、少なくとも一部が補強部材本体に溶接されるとともに、この補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定される
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ用補強部材。
【請求項3】
補強カバーは、補強部材本体と一体的にボルトにより横枠部に固定されるとともに、少なくとも一部が横枠部に溶接される
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ用補強部材。
【請求項4】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、
キャブ本体への取付け状態で横枠部の両側部に固定される被固定部と、
これら被固定部とともに鍛造および鋳造のいずれか一方にて一体に設けられ、被固定部間を連結し、キャブ本体への取付け状態で横枠部に沿ってこの横枠部に固定される補強部材本体と
を具備したことを特徴とするキャブ用補強部材。
【請求項5】
前側面部に前側窓部を開口するとともに天井部の前部に上側窓部を開口し、これら前側窓部と上側窓部との間に横枠部を備えた箱形のキャブ本体と、
このキャブ本体の横枠部に沿って取付けられた請求項1乃至4のいずれか記載のキャブ用補強部材と
を具備したことを特徴とするキャブ。
【請求項6】
機械本体と、
この機械本体に設けられた請求項5記載のキャブと、
機械本体に作動可能に設けられた作業装置と
を具備したことを特徴とする作業機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−69776(P2007−69776A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259803(P2005−259803)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
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