説明

キャンバ角制御装置

【課題】キャンバ角調整時の車両の走行安定性を確保すると共に、乗り心地を向上させるキャンバ角制御装置を提供する。
【解決手段】車体120に設置され駆動力を発生するモータ及びモータの出力軸を有する駆動部材102と、駆動部材102の回転を減速する減速部103と、減速部103と連結され回転するクランク軸及び同軸と平行に連結され回転するクランクピンを有するクランク部104と、第1連結部151aでクランクピンに連結される連結部材151と、車体120に連結されキャンバ軸を形成するキャンバ部材156bと、車輪2を回転可能に支持し鉛直方向の一方側でキャンバ部材156bに回動可能に支持され、他方側で連結部材151の他端に第2連結部151bで連結される回動部材133と、左右の前記車体の上下動を同一とするように、第1連結部151aの回転方向を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪のキャンバ角を調整するキャンバ角制御装置を備えた車両に用いられる車両用キャンバ角制御装置に関し、特に、キャンバ角調整時の車両の走行安定性を確保すると共に、乗り心地を向上させる車両用キャンバ角制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータで各輪個別にキャンバ及びトウを制御することができるようにするために、車輪を支持するアクスルを車体に対し1点で支持するボールジョイントと、アクスルにおけるボールジョイントによる支持点の上側又は下側であり且つ車両前後方向の2点を支持し、この2点の支持点を、車幅方向に個別に変位させる第1及び第2のアクチュエータと、前記2点の支持点を車幅方向において相対的に変位させることで車輪のトウを変化させ、及び/又は前記2点の支持点を車幅方向において同一方向に変位させることで車輪のキャンバを変化させるように、第1及び第2のアクチュエータを制御する制御手段と、を備えたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−122932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明では、車両の状態を考慮した制御は行われていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、キャンバ角調整時の車両の走行安定性を確保すると共に、乗り心地を向上させるキャンバ角制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明は、車体に設置され駆動力を発生するモータ及び前記モータの発生した駆動力を出力する出力軸を有する駆動部材と、前記出力軸に連結され前記駆動部材の回転を減速する減速部と、前記減速部と連結されるクランク軸及び前記クランク軸に対して偏心したクランクピンを有するクランク部と、一端の第1連結部で前記クランクピンに連結される連結部材と、前記車体に連結されると共にキャンバ軸を形成するキャンバ部材と、前記車輪を回転可能に支持すると共に、鉛直方向の一方側で前記キャンバ部材に回動可能に支持され、他方側で前記連結部材の他端に第2連結部で連結される回動部材と、左右の前記車体の上下動を同一とするように、前記第1連結部の回転方向を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部、をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度が同じ又は符号が同じ場合、前記第1連結部を左右共に上回し又は下回しすることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部と、前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数を記憶する記憶部をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が同じ場合、前記記憶部の記憶した前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数のうち少ない方向に回転させることを特徴とする。
【0009】
また、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部、をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が異なる場合、左右の前記第1連結部のうち一方を上回し、他方を下回しすることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、キャンバ角を付与する際に、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、キャンバ角を解除する際に、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、車体に設置され駆動力を発生するモータ及び前記モータの発生した駆動力を出力する出力軸を有する駆動部材と、前記出力軸に連結され前記駆動部材の回転を減速する減速部と、前記減速部と連結されるクランク軸及び前記クランク軸に対して偏心したクランクピンを有するクランク部と、一端の第1連結部で前記クランクピンに連結される連結部材と、前記車体に連結されると共にキャンバ軸を形成するキャンバ部材と、前記車輪を回転可能に支持すると共に、鉛直方向の一方側で前記キャンバ部材に回動可能に支持され、他方側で前記連結部材の他端に第2連結部で連結される回動部材と、左右の前記車体の上下動を同一とするように、前記第1連結部の回転方向を制御する制御部と、を備えるので、第1連結部の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0013】
また、請求項2記載の発明によれば、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部、をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度が同じ又は符号が同じ場合、前記第1連結部を左右共に上回し又は下回しするので、簡単な構成で、第1連結部の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0014】
また、請求項3記載の発明によれば、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部と、前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数を記憶する記憶部をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が同じ場合、前記記憶部の記憶した前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数のうち少ない方向に回転させるので、上回しが多いため部品の上回しに使用される部分の摩耗が大きくなるというような部品の摩耗の偏りを低減することが可能となる。
【0015】
また、請求項4記載の発明によれば、前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部、をさらに備え、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が異なる場合、左右の前記第1連結部のうち一方を上回し、他方を下回しするので、第1連結部の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明によれば、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、キャンバ角を付与する際に、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせるので、第1連結部の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすると共に、連結部材とクランク部が一直線となり一瞬ネガティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員に対する左右異なる上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。
【0017】
また、請求項6記載の発明によれば、前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、前記制御部は、キャンバ角を解除する際に、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせ、前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせるので、第1連結部の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすると共に、連結部材とクランク部が一直線となり一瞬ネガティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員に対する左右異なる上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態における車両用キャンバ角制御装置が搭載される車内を模式的に示した模式図である。
【図2】実施形態のキャンバ角制御装置の前方斜視図である。
【図3】実施形態のキャンバ角制御装置を前方から見た図である。
【図4】実施形態のキャンバ角制御装置を上方から見た図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】実施形態の作動状態のキャンバ角制御装置を前方から見た図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】車両用キャンバ角制御装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図9】状態量判断処理を示すフローチャートである。
【図10】走行状態判断処理を示すフローチャートである。
【図11】偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。
【図12】キャンバ制御処理を示すフローチャートである。
【図13】車輪付近の模式図である。
【図14】右旋回時の車両を上方から見た図である。
【図15】右旋回時の車両を後方から見た図である。
【図16】左旋回時の車両を上方から見た図である。
【図17】左旋回時の車両を後方から見た図である。
【図18】タイヤ横力とアッパーアーム荷重方向の関係の例を示す図である。
【図19】左右両輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図20】左右両輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図21】右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図22】右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図23】左右両輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図24】左右両輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図25】右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図26】右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【図27】図12のキャンバ制御処理においてキャンバ付与の際のアッパーアーム制御の第1実施形態のフローチャートである。
【図28】図12のキャンバ制御処理においてキャンバ付与の際のアッパーアーム制御の第2実施形態のフローチャートである。
【図29】図12のキャンバ制御処理においてキャンバ付与の際のアッパーアーム制御の第3実施形態のフローチャートである。
【図30】図12のキャンバ制御処理においてキャンバ解除の際のアッパーアーム制御の第4実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態における制御部70が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0020】
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFを支持する複数(本実施形態では、4輪)の車輪2と、それら複数の車輪2(本実施形態では、左右の前輪2FL,2FR)を回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2を車体フレームBFに懸架する複数の懸架装置4と、複数の車輪2の内の一部(本実施形態では、左右の前輪2FL,2FR)を操舵する操舵装置5とを主に備えて構成されている。
【0021】
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の前方側(矢印F方向側)に位置する左右の前輪2FL、2FRと、車両1の後方側(矢印B方向側)に位置する左右の後輪2RL,2RRと、を備えている。なお、本実施形態では、左右の前輪2FL,2FRは、車輪駆動装置3により回転駆動される駆動輪として構成され。左右の後輪2RL,2RRは、車両1の走行に伴って従動される従動輪として構成されている。
【0022】
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2Fを回転駆動するための装置であり、後述するように電動モータ3aにより構成されている。また、電動モータ3aは図1に示すように、デファレンシャルギヤ及びドライブシャフト31を介して左右の前輪2FL,2FRに接続されている。
【0023】
運転者がアクセルペダル61を操作した場合には、車輪駆動装置3から左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力が付与され、それら左右の前輪2FL,2FRがアクセルペダル61の操作量に応じて回転駆動される。
【0024】
懸架装置4は、路面から車輪2を介して車体フレームBFに伝わる振動を緩和するための装置、いわゆるサスペンションとして機能するものであり、伸縮可能に構成され、図1に示すように、各車輪2に対応してそれぞれ設けられている。また、本実施形態における懸架装置4は、車輪2のキャンバ角を調整するキャンバ角制御装置100の一部としての機能を兼ね備えている。
【0025】
図2は実施形態のキャンバ角制御装置の前方斜視図、図3は実施形態のキャンバ角制御装置を前方から見た図、図4は実施形態のキャンバ角制御装置を上方から見た図、図5は図3のA−A断面図である。ただし、車輪は前方半分をカットした図である。また、矢印Fは車両前方、矢印Wは車両前後方向に直交する車両の車体幅方向を示す。
【0026】
図2において、100はキャンバ角制御装置、102は駆動部材、103は減速部、104はクランク部、105は軸受部材、106は検出部材、120は車体、121は第1サスペンションメンバ、122は第2サスペンションメンバ、123はユニット支持部材、130はハブ、131はハブ部材、132はディスクブレーキ、133は回動部材としてのハブ支持部材、2は車輪、141はホイール、142はタイヤである。4は懸架装置、151は連結部材としてのアッパーアーム、152は第1ロアアーム、153はスプリング、154はショックアブソーバ、155はトレーリングアーム、156は第2ロアアーム、である。
【0027】
本実施形態のキャンバ角制御装置100は、車体に連結されると共にキャンバ軸CAを形成するキャンバ部材156aを有し、該キャンバ軸CAを中心に回動することで車輪2のキャンバ角を変更するキャンバ角制御装置100において、車体120に設置され駆動力を発生するモータ102a及びモータ102aの発生した駆動力を出力する出力軸102bを有する駆動部材102と、出力軸102bに連結され駆動部材102の回転を減速する減速部103と、減速部103と連結され出力軸102bと同一軸上の中心線を中心に回転するクランク軸104a1,104b2及びクランク軸104a1,104b2と平行に連結されクランク軸104a1,104b2を中心に回転するクランクピン104a2,104b1を有するクランク部104と、一端をクランクピン104a2,104b1に連結されるアッパーアーム151と、車輪2を回転可能に支持すると共に、鉛直方向の一方側でキャンバ部材CAに回動可能に支持され、他方側でアッパーアーム151の他端に連結されるハブ支持部材133と、を備える。
【0028】
また、本実施形態は、キャンバ角制御装置100をユニットとして考えてもよい。この場合、100はキャンバ角制御装置としてのキャンバ角調整ユニットとなる。
【0029】
本実施形態のキャンバ角調整ユニット100を取り付ける車両について説明する。
【0030】
本実施形態の車両は、ダブルウィッシュボーン式サスペンションを用いた車両である。車両は、車体120と、車輪2と、車体120に対して車輪2を回転可能に支持するハブ130と、車輪2及びハブ130を車体120に対して懸架する懸架装置4とを有する。
【0031】
車体120は、第1サスペンションメンバ121と、第2サスペンションメンバ122と、第1サスペンションメンバ121及び第2サスペンションメンバ122に掛け渡して設けられたユニット支持部材123と、を有する。
【0032】
ハブ130は、図示しないドライブシャフトに連結されエンジンやモータ等の駆動力により回転する回転部131aと、回転部131aと共に回転するディスクブレーキ部131bと、車体120と懸架装置4を介して連結され、回転部131a及びディスクブレーキ131bを回転可能に支持するハブ支持部材131cと、を有する。また、ハブ支持部材131cは、鉛直方向の一方側で第2ロアアーム156の他端に回転可能に支持され、他方側でアッパーアーム151の他端に連結される。
【0033】
車輪4は、ハブ130の回転部131bにボルト等により締着され、回転部131bと共に回転するホイール141と、ホイール141の外周に組み付けられるタイヤ142と、を有する。
【0034】
懸架装置4は、アッパーアーム151と、第1ロアアーム152と、スプリング153と、ショックアブソーバ154と、トレーリングアーム155と、第2ロアアーム156とからなる。
【0035】
アッパーアーム151は、一端の第1連結部151aでクランク部材104のクランクピン104a2に滑り軸受等の軸受107を介して回転可能に連結され、他端の第2連結部151bでハブ130のハブ支持部材133にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両前後方向又は略前後方向の軸に対して回転可能に連結される。
【0036】
第1ロアアーム152は、図示しない一端の第1連結部で車体120の第2サスペンションメンバ122にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両前後方向又は略前後方向の軸に対して回転可能に連結され、他端の第2連結部152bでハブ130のハブ支持部材133にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両前後方向又は略前後方向の軸に対して回転可能に連結される。
【0037】
スプリング153は、上方で第1スプリング受け153aを介して車体120に連結され、下方で第2スプリング受け153bを介して第1ロアアーム152に連結される。
【0038】
ショックアブソーバ154は、図示しないが、上方で車体120に連結され、下方で第1ロアアーム152に連結される。
【0039】
トレーリングアーム155は、前方端の第1連結部で車体120にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両幅方向又は略幅方向の軸に対して回転可能に連結され、後方端上方の第2連結部155bでハブ130のハブ支持部材133にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両幅方向又は略幅方向の軸に対して回転可能に連結され、後方端下方の第3連結部155cでハブ130のハブ支持部材133にボルト等で締結される。
【0040】
第2ロアアーム156は、一端の第1連結部156aで車体120の第1サスペンションメンバ121にゴムブッシュやピロボール等の軸受を介して車両前後方向又は略前後方向の軸に対して回転可能に連結され、他端の第2連結部156bでハブ130のハブ支持部材133にゴムブッシュやピロボール等の軸受107を介して車両前後方向又は略前後方向の軸に対して回転可能に連結される。なお、本実施形態では、第2ロアアーム156は、アライメント時のトウ角を調整するトウコントロールリンクとしての機能を有する。
【0041】
次に、本実施形態のキャンバ角調整ユニット100について説明する。
【0042】
本実施形態のキャンバ角調整ユニット100は、ダブルウィッシュボーン式懸架装置150のアッパーアーム151とロアアーム152を介して車体120に懸架される車輪2のキャンバ角を変更するキャンバ角調整ユニット100において、キャンバ角調整ユニット100の駆動力を発生する駆動部材102と、駆動部材102の回転を減速する減速部103と、減速部103と連結されたクランク軸としての第1クランク軸部104a1及びアッパーアーム151に連結されたクランクピンとしてのクランクピン部104a2を有するクランク部104と、を備える。
【0043】
駆動部材102は、DCモータ等からなるモータ102a、モータの駆動力を出力する出力軸102b等からなる。モータ102aは、車体120の第1サスペンションメンバ121及び第2サスペンションメンバ122に掛け渡して設けられたユニット支持部材123に設置されている。すなわち、懸架装置130に対してバネ上に取り付けられている。なお、ユニット支持部材123は、あらかじめ車体120に設けるのではなく、キャンバ角調整ユニット100の一部として設置してもよい。
【0044】
このように、モータ102aをバネ上に設置することにより、バネ下の軽量化が実現でき、乗り心地及び車両の運動性能が向上する。
【0045】
また、図4に示すように、モータ102aは、軸方向の長さが径方向の長さよりも短い扁平モータが好ましい。また、モータ102aの外径は、減速部103aの各ギヤの外径よりも大きいことが好ましい。
【0046】
このように、モータ102aを扁平モータとすることにより、設置スペースを小さくすることが可能となる。
【0047】
減速部103は、駆動部材102の出力軸102bに取り付けられクランク部材104にモータ102aの駆動力を減速して伝達するものである。図4に示すように、本実施形態の減速部103は、ケース103aと、ケース103aに固定されたリング状のアウターギヤ103bと、モータ102aの出力軸102bに連結されたサンギヤ103cと、サンギヤ103cとアウターギヤ103bとに噛み合いサンギヤ103cの駆動力によりサンギヤ103cの周囲を回転する複数の第1プラネタリギヤ103dと、第1プラネタリギヤ103dを支持する第1プラネタリ軸103eと、第1プラネタリ軸103eに固定され、第1プラネタリギヤ103dがサンギヤ3cの周囲を回転することにより回転軸103f1を中心に回転するプラネタリキャリア103fと、プラネタリキャリア103fの回転軸103f1とアウターギヤ3bとに噛み合い、プラネタリキャリア103fの回転軸103f1の周囲を回転する複数の第2プラネタリギヤ103gと、第2プラネタリギヤ103gを支持する第2プラネタリ軸103hと、第2プラネタリ軸103hに固定され、第2プラネタリギヤ103gがプラネタリキャリア103fの回転軸103f1の周囲を回転することにより回転する出力部材103jと、を有する。なお、本実施形態では、第1プラネタリギヤ103d及び第2プラネタリギヤ103gは、それぞれ3個使用している。なお、本実施形態では、第1プラネタリギヤ103dと第2プラネタリギヤ103gを有する2段の構成となっているが、第1プラネタリギヤ103dの第1プラネタリ軸103eを出力部材103jに固定する1段の構成でもよい。
【0048】
このように、減速部103をプラネタリギヤで構成することにより、設置スペースを小さくすることが可能となる。
【0049】
クランク部104は、減速部103の出力部材103jと一体に回転する第1クランク軸部104a1及びアッパーアーム131に連結されるクランクピン部104a2を有する第1クランク部材104aと、第1クランク部材104aのクランクピン部104a2に一体的に回転可能となるように取り付けられるクランクピン接合部104b1及びユニット支持部123に転がり軸受、滑り軸受け等の軸受105で回転可能に支持される第2クランク軸部104b2を有する第2クランク部材104bとからなる。
【0050】
また、クランク部104には検出部材としての角度センサ106を設けることが好ましい。本実施形態では、角度センサ106は、第2クランク部材104bの第2クランク軸部104b2に隣接して設けられ、回転角を計測している。センサの構成については、既存のマーカー等を読み取る光センサ等でよい。そして、角度センサ6の計測した角度に応じて、キャンバ角が付与されていることを示す図示しない表示装置、モータ102a又は車両のアクセルやブレーキ等の操作系を制御するとよい。
【0051】
クランク部104に隣接してバネ上に角度センサ106を設けることで、バネ下に設ける場合と比較して、振動の影響を低減でき、高精度に検出することが可能となる。なお、検出部材は、第1クランク部材104a側に取り付けてもよい。また、モータ102aや減速部103に設け回転数を計測する回転数センサとしてもよい。
【0052】
このような本実施形態のキャンバ角調整ユニット100は、ユニット化されて、第1クランク部材104aのクランクピン部104a2をアッパーアーム151の第1連結部151aに挿通した後、第2クランク部材104bを第1クランク部材104aに取り付けることで簡単に車体120に設置することが可能である。なお、あらかじめアッパーアーム151に取り付けた状態で車体120に設置してもよい。
【0053】
次に、本実施形態のキャンバ角調整ユニット100の作動について説明する。
【0054】
図6は実施形態の作動状態のキャンバ角制御装置を前方から見た図、図7は図6のE−E断面図である。
【0055】
まず、図示しない制御装置等によりキャンバ角を調整するよう指示があると、駆動部材102のモータ102aが駆動する。モータ102aの駆動力は、減速部102bで減速される。
【0056】
減速部103では、まず、モータ102aの出力軸102bに連結されたサンギヤ103cが回転する。サンギヤ103cが回転すると、サンギヤ103cの周囲に配置された複数の第1プラネタリギヤ103dがサンギヤ103cとアウターギヤ103bとの間を回転しながら移動する。第1プラネタリギヤ103dが移動すると、第1プラネタリギヤ103dを支持する第1プラネタリ軸103eが移動し、第1プラネタリ軸103eに固定されたプラネタリキャリア103fが、回転軸103f1を中心に回転する。プラネタリキャリア103fの回転軸103f1が回転すると、回転軸103f1とアウターギヤ103bとに噛み合う複数の第2プラネタリギヤ103gが回転軸103f1の周囲を回転しながら移動する。第2プラネタリギヤ103gが移動すると、第2プラネタリギヤ103gを支持する第2プラネタリ軸103hが移動し、第2プラネタリ軸103hに固定された出力部材103jが回転する。
【0057】
減速部103の出力部材103jの回転は、クランク部104に伝達され、第1クランク部材104a及び第2クランク部材104bが第1クランク軸部104a1及び第2クランク軸部104b2のクランク軸を中心に回転する。
【0058】
第1クランク部材104a及び第2クランク部材104bが回転すると、クランク軸と偏心して配置されたクランクピン部104a2がクランク軸を中心に図5に示す状態から、図7に示すように車幅方向に略180°回転した状態となる。
【0059】
クランク部104が回転することにより、クランクピン部104a2に連結されたアッパーアーム151の第1連結部151aがクランクピン部104a2と共に回転する。第1連結部151aが回転すると、アッパーアーム151が第1連結部151aに引っ張られ矢印C方向に移動する。アッパーアーム151は第2連結部151bを引っ張り、第2連結部151bに連結されたハブ支持部材133を引っ張る。
【0060】
アッパーアーム151に引っ張られたハブ支持部材133は、第1ロアアーム152の第2連結部152bを中心に矢印Gの方向に回転する。
【0061】
ハブ支持部材133が矢印Gの方向に回転すると、ハブ部材131及び車輪2も矢印Gの方向に回転し、車輪2にネガティブキャンバが付与される。
【0062】
図1に戻って説明する。操舵装置5は、運転者によるステアリング63の操作を左右の前輪2FL,2FRに伝えて操舵するための装置であり、いわゆるラック&ピニオン式のステアリングギヤとして構成されている。
【0063】
この操舵装置5によれば、運転者によるステアリング63の操作(回転)は、まず、ステアリングコラム51を介してユニバーサルジョイント52に伝達され、ユニバーサルジョイント52により角度を変えられつつステアリングボックス53のピニオン53aに回転運動として伝達される。そして、ピニオン53aに伝達された回転運動は、ラック53bの直線運動に変換され、ラック53bが直線運動することで、ラック53bの両端に接続されたタイロッド54が移動する。その結果、タイロッド54がナックル55を押し引きすることで、車輪2に所定の舵角が付与される。
【0064】
アクセルペダル61及びブレーキペダル62は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル61,62の操作状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3が駆動制御される。ステアリング63は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(ステア角、ステア角速度など)に応じて、操舵装置5により左右の前輪2FL,2FRが操舵される。
【0065】
制御部70は、上述したように構成される車両1の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62やステアリング63の操作状態に応じてキャンバ角制御装置100(図2参照)を作動制御する。
【0066】
次いで、図8を参照して、制御部70の詳細構成について説明する。図8は、制御部70の電気的構成を示したブロック図である。制御部70は、図8に示すように、CPU71、記憶部としてのROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の装置が接続されている。
【0067】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図9から図12に図示されるフローチャートのプログラム)や固定値データ等を記憶する書き換え不能な不揮発性のメモリである。
【0068】
RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図8に示すように、キャンバフラグ73a、状態量フラグ73b、走行状態フラグ73c及び偏摩耗荷重フラグ73dが設けられている。
【0069】
キャンバフラグ73aは、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあるか否かを示すフラグであり、CPU71は、このキャンバフラグ73aがオンである場合に、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあると判断する。
【0070】
状態量フラグ73bは、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを示すフラグであり、後述する状態量判断処理(図9参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における状態量フラグ73bは、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1つの操作量が所定の操作量以上である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この状態量フラグ73bがオンである場合に、車両1の状態量が所定の条件を満たしていると判断する。
【0071】
走行状態フラグ73bは、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを示すフラグであり、後述する走行状態判断処理(図10参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における走行状態フラグ73cは、車両1の走行速度が所定の走行速度以上であり、且つ、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この走行状態フラグ73cがオンである場合に、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断する。
【0072】
偏摩耗荷重フラグ73dは、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角の状態、即ち、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、車輪2の接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある接地荷重(以下「偏摩耗荷重」と称す)であるか否かを示すフラグであり、後述する偏摩耗荷重判断処理(図11参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、この偏摩耗荷重フラグ73dがオンである場合に、車輪2の接地荷重がタイヤに偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であると判断する。
【0073】
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FR(図1参照)を回転駆動するための装置であり、それら左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与する電動モータ3aと、その電動モータ3aをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。ただし、車輪駆動装置3は、電動モータ3aに限られず、他の駆動源を採用することは当然可能である。他の駆動源としては、例えば、油圧モータやエンジン等が例示される。
【0074】
モータ102は、各車輪2のキャンバ角を調整するための装置であり、上述したように、各懸架装置4のアッパーアーム151(図2参照)に揺動のための駆動力をそれぞれ付与する合計4個のFL〜RRモータ102FL〜102RRと、それら各モータ102FL〜102RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。
【0075】
加速度センサ装置80は、車両1の加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後方向加速度センサ80a及び左右方向加速度センサ80bと、それら各加速度センサ80a,80bの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0076】
前後方向加速度センサ80aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1矢印F−B方向)の加速度、いわゆる前後Gを検出するセンサであり、左右方向加速度センサ80bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1矢印L−R方向)の加速度、いわゆる横Gを検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ80a,80bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
【0077】
また、CPU71は、加速度センサ装置80から入力された各加速度センサ80a、80bの検出結果(前後G、横G)を時間積分して、2方向(前後方向および左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで、車両1の走行速度を取得することができる。
【0078】
ヨーレートセンサ装置81は、車両1のヨーレートを検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る鉛直軸(図1矢印U−D方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角速度を検出するヨーレートセンサ81aと、そのヨーレートセンサ81aの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0079】
ロール角センサ装置82は、車両1のロール角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る前後軸(図1矢印F−B方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角を検出するロール角センサ82aと、そのロール角センサ82aの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0080】
なお、本実施の形態では、ヨーレートセンサ81a及びロール角センサ82aがサニャック効果により回転角速度および回転角を検出する光学式ジャイロセンサにより構成されている。ただし、他の種類のジャイロセンサを採用することは当然可能である。他の種類のジャイロセンサとしては、例えば、機械式や流体式などのジャイロセンサが例示される。
【0081】
サスストロークセンサ装置83は、各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各懸架装置4の伸縮量をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RRサスストロークセンサ83FL〜83RRと、それら各サスストロークセンサ83FL〜83RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
【0082】
なお、本実施の形態では、各サスストロークセンサ83FL〜83RRがひずみゲージとして構成されており、これら各サスストロークセンサ83FL〜83RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
【0083】
CPU71は、サスストロークセンサ装置83から入力された各サスストロークセンサ83FL〜83RRの検出結果(伸縮量)に基づいて、各車輪2の接地荷重を取得する。即ち、車輪2の接地荷重と懸架装置4の伸縮量とは比例関係を有しているので、懸架装置4の伸縮量をXとし、懸架装置4の減衰定数をkとすると、車輪2の接地荷重Fは、F=kxとなる。
【0084】
接地荷重センサ装置84は、各車輪2の接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の接地荷重をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RR接地荷重センサ84FL〜84RRと、それら各接地荷重センサ84FL〜84RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
【0085】
なお、本実施の形態では、各接地荷重センサ84FL〜84RRがピエゾ抵抗型の荷重センサとして構成されており、これら各接地荷重センサ84FL〜84RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
【0086】
サイドウォール潰れ代センサ装置85は、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RRサイドウォール潰れ代センサ85FL〜85RRと、それら各サイドウォール潰れ代センサ85FL〜85RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
【0087】
なお、本実施の形態では、各サイドウォール潰れ代センサ85FL〜85RRがひずみゲージとして構成されており、これら各サイドウォール潰れ代センサ85FL〜85RRは、各車輪2内にそれぞれ配役されている。
【0088】
アクセルペダルセンサ装置61aは、アクセルペダル61の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル61の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0089】
ブレーキペダルセンサ装置62aは、ブレーキペダル62の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0090】
ステアリングセンサ装置63aは、ステアリング63の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング63のステア角を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
【0091】
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。また、CPU71は、各センサ装置61a,62a,63aから入力された各角度センサの検出結果(操作量)を時間微分して、各ペダル61,62の踏み込み速度及びステアリング63のステア角速度を取得することができる。さらに、CPU71は、取得したステアリング63のステア角速度を時間微分して、ステアリング63のステア角加速度を取得することができる。
【0092】
ここで、本実施形態では、例えば、アクセルペダルセンサ装置61a、ブレーキペダルセンサ装置62a及びステアリングセンサ装置63aが状態量取得部と対応し、前後方向加速度センサ80a及びステアリングセンサ装置63aが走行状態取得部に対応する。
【0093】
図8に示す他の入出力装置90としては、例えば、GPSを利用して車両1の現在位置を取得すると共にその取得した車両1の現在位置を道路に関する情報が記憶された地図データに対応付けて取得するナビゲーション装置などが例示される。また、他にも、アッパーアームの角度を検出する連結部材角度取得部としてのアーム角度センサ、バッテリの残留容量を取得するバッテリ残留容量取得部としてのバッテリセンサ、アッパーアーム151にかかる荷重の方向を取得する荷重方向取得部としての荷重センサ等を有してもよい。
【0094】
次いで、図9を参照して、状態量判断処理について説明する。図9は、状態量判断処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の状態量が所定の条件を満たすかを判断する処理である。
【0095】
CPU71は、状態量判断処理に関し、まず、アクセルペダル61の操作量(踏み込み量)、ブレーキペダル62の操作量(踏み込み量)及びステアリング63の操作量(ステア角)をそれぞれ取得し(S1、S2、S3)、それら取得した各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する(S4)。なお、S4の処理では、S1〜S3の処理でそれぞれ取得した各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量と、それら各ペダル61,62の操作量およびステアリンブ63の操作量にそれぞれ対応してROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回する場合に、車輪2がスリップする恐れがあると判断される限界値)とを比較して、現在の各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
【0096】
その結果、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であると判断される場合には(S4:Yes)、状態量フラグ73bをオンして(S5)、この状態量判断処理を終了する。即ち、この状態量判断処理では、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合に、車両1の状態量が所定の条件を満たすと判断する。
【0097】
一方、S4の処理の結果、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量のいずれもが所定の操作量より小さいと判断される場合には(S4:No)、状態量フラグ73bをオフして(S6)、この状態量判断処理を終了する。
【0098】
次いで、図10を参照して、走行状態判断処理について説明する。図10は、走行状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断する処理である。
【0099】
CPU71は、走行状態判断処理に関し、まず、車両1の走行速度を取得し(S11)、その取得した車両1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判断する(S12)。なお、S12の処理では、S11の処理で取得した車両1の走行速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の走行速度が所定の速度以上であるか否かを判断する。
【0100】
その結果、車両1の走行速度が所定の速度より小さいと判断される場合には(S12:No)、走行状態フラグ73cをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
【0101】
一方、S12の処理の結果、車両1の走行速度が所定の速度以上であると判断される場合には(S12:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)を取得し(S13)、その取得したステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S14)。なお、S14の処理では、S13の処理で取得したステアリング63の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図4に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断するためのステアリング63の操作量より小さい値)とを比較して、現在のステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
【0102】
その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S14:Yes)、走行状態フラグ73cをオンして(S 15)、この走行状態判断処理を終了する。即ち、この走行状態判断部では、車両1の走行速度が所定の速度以上であり、且つ、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下である場合に、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断する。
【0103】
一方、S14の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S14:No)、走行状態フラグ73cをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
【0104】
次いで、図11を参照して、偏摩耗荷重判断処理について説明する。図11は、偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部70の電源が投入されている問、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、車輪2の接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であるが否かを判断する処理である。
【0105】
CPU71は、偏摩耗荷重判断処理に関し、まず、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する(S21)。なお、S21の処理では、サスストロークセンサ装置83により各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出された各懸架装置4の伸縮量と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する。
【0106】
その結果、各懸架装置4の内の少なくとも1の懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量より大きいと判断される場合には(S21:No)、その伸縮量の大きい懸架装置4に対応する車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きく、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0107】
一方、S21の処理の結果、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であると判断される場合には(S21:Yes)、車両1の前後Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する(S22)。なお、S22の処理では、加速度センサ装置80(前後方向加速度センサ80a)により検出された車両1の前後Gと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の前後Gが所定の加法度以下であるか否かを判断する。
【0108】
その結果、車両1の前後Gが所定の加速度より大きいと判断される場合には(S22:No)、左右の前輪2FL,2FR又は左右の後輪2RL,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0109】
一方、S22の処理の結果、車両1の前後Gが所定の加速度以下であると判断される場合には(S22:Yes)、車両1の横Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する(S23)。なお、S23の処理では、加速度センサ装置80(左右方向加速度センサ80b)により検出された車両1の横Gと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の横Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する。
【0110】
その結果、車両1の横Gが所定の加速度より大きいと判断される場合には(S23:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0111】
一方、S23の処理の結果、車両1の横Gが所定の加速度以下であると判断される場合には(S23:Yes)、車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であるか否かを判断する(S24)。なお、S24の処理では、ヨーレートセンサ装置81により検出された車両1のヨーレートと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であるか否かを判断する。
【0112】
その結果、車両1のヨーレートが所定のヨーレートより大きいと判断される場合には(S24:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0113】
一方、S24の処理の結果、車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であると判断される場合には(S24:Yes)、車両1のロール角が所定のロール角以下であるか否かを判断する(S25)。なお、S25の処理では、ロール角センサ装置82により検出された車両1のロール角と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1のロール角が所定のロール角以下であるか否かを判断する.
【0114】
その結果、車両1のロール角が所定のロール角より大きいと判断される場合には(S25:No)、左右の前輪2FL,2FR又は左右の後輪2RL,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0115】
一方、S25の処理の結果、車両1のロール角が所定のロール角以下であると判断される場合には(S25:Yes)、各車輪2の接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する(S26)。なお、S26の処理では、接地荷重センサ装置84により検出された各車輪2の接地荷重と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各車輪2の接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する。
【0116】
その結果、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと判断される場合には(S26:No)、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0117】
一方、S26の処理の結果、各車輪2の接地荷重が所定の荷重以下であると判断される場合には(S26:Yes)、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する(S27)。なお、S27の処理では、サイドウォール潰れ代センサ装置85により検出された各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する。
【0118】
その結果、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代より犬きいと判断される場合には(S27:No)、その潰れ代の大きい車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0119】
一方、S27の処理の結果、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であると判断される場合には(S27:Yes)、アクセルベダル61の操作量(踏み込み量)が所定の操作量以下であるか否か判断する(S28)。なお、S28の処理では、アクセルペダルセンサ装置61aにより検出されたアクセルペダル61の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図5に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断するためのアクセルペダル61の操作量より小さい値)とを比較して、現在のアクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
【0120】
その結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S28:No)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0121】
一方、S28の処理の結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S28:Yes)、ブレーキペダル62の操作量(踏み込み量)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S29)。なお、S29の処理では、ブレーキペダルセンサ装置62aにより検出されたブレーキペダル62の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図5に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断するためのブレーキペダル62の操作量より小さい値)とを比較して、現在のブレーキペダル62の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
【0122】
その結果、ブレーキペダル62の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S29:No)、左右の前輪2FL,2FRの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0123】
一方、S29の処理の結果、ブレーキペダル62の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S29:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S30)。なお、S30の処理では、ステアリングセンサ装置63aにより検出されたステアリング63の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図9に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断するためのステアリング63の操作量より小さい値、且つ、図10に示す走行状態判断処理において、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断するためのステアリング63の操作量より大きい値)とを比較して、現在のステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
【0124】
その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S30:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0125】
一方、S30の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S30:Yes)、ステアリング63の操作速度(ステア角速度)が所定の速度以下であるか否かを判断する(S31)。なお、S31の処理では、ステアリング63の操作量を時間微分して取得されるステアリング63の操作速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のステアリング63の操作速度が所定の速度以下であるか否かを判断する。
【0126】
その結果、ステアリング63の操作速度が所定の速度より大きいと判断される場合には(S31:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0127】
一方、S31の処理の結果、ステアリング63の操作速度が所定の速度以下であると判断される場合には(S31:Yes)、ステアリング63の操作加速度(ステア角加速度)が所定の加速度以下であるか否かを判断する(S32)。なお、S32の処理では、ステアリング63の操作速度を時間微分して取得されるステアリング63の操作加速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のステアリング63の操作加速度が所定の加速度以下であるか否かを判断する。
【0128】
その結果、ステアリング63の操作加速度が所定の加速度より大きいと判断される場合には(S32:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0129】
一方、S32の処理の結果、ステアリング63の操作加速度が所定の加速度以下であると判断される場合には(S32:Yes)、偏摩耗フラグ73dをオフして(S34)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
【0130】
次いで、図12を参照して、キャンバ制御処理について説明する。図12は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を調整する処理である。
【0131】
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、状態量フラグ73bがオンであるか否かを判断し(S41)、状態量フラグ73bがオンであると判断される場合には(S41:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S42)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S42:No)、RLモータ44RL及びRRモータ44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、左右の後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に(S43)、キャンバフラグ73aをオンして(S44)、このキャンバ制御処理を終了する。
【0132】
これにより、車両1の状態量が所定の条件を満たす場合、即ち、所定の安定状態でなく、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であり、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回すると車輪2がスリップする恐れがあると判断される場合には、車輪2にネガティブキャンバを付与することで、車輪2に発生するキャンバスラストを利用して、車両1の走行安定性を確保することができる。
【0133】
一方、S42の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S42:Yes)、車輪2のキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S43及びS44の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
【0134】
これに対し、S41の処理の結果、状態量フラグ73bがオフであると判断される所定の安定状態の場合には(S41:No)、走行状態フラグ73cがオンであるか否かを判断し(S45)、走行状態フラグ73cがオンであると判断される所定の直進状態の場合には(S45:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S46)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S46:No)、RLモータ44RL及びRRモータ44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、各車輪2にネガティブキャンバを付与すると共に(S47)、キャンバフラグ73aをオンして(S48)、S49の処理を実行する。
【0135】
これにより、車両1の走行状態が所定の直進状態である場合、即ち、車両1の走行速度が所定の速度以上であると共にステアリング63の操作量が所定の操作量以下であり、車両1が比較的高速で直進している場合には、車輪2にネガティブキャンバを付与することで、キャンバ付与時の乗り心地を向上すると共に、車輪2の横剛性を利用して、車両1の直進安定性を確保することができる。
【0136】
一方、S46の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S46:Yes)、車輪2のキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S47及びS48の処理をスキップして、偏摩耗荷重フラグ73dがオンであるか否かを判断する(S49)。その結果、偏摩耗荷重フラグ73dがオンであると判断される場合には(S49:Yes)、RLモータ44RL及びRRモータ44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、各車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S50)、キャンバフラグ73aをオフして(S51)、このキャンバ制御処理を終了する。
【0137】
これにより、車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重である場合、即ち、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行すると、タイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れがある場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。
【0138】
一方、S49の処理の結果、偏摩耗荷重フラグ73dがオフであると判断される場合には(S49:No)、車輪2の接地荷重は偏摩耗荷重ではなく、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行しても、タイヤ(トレッド)が偏摩耗する恐れはないと判断されるので、S50及びS51の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
【0139】
これに対し、S45の処理の結果、走行状態フラグ73cがオフであると判断される場合には(S45:No)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S52)。その結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S52:Yes)、RLモータ44RL及びRRモータ44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、各車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S53)、キャンバフラグ73aをオフして(S54)、このキャンバ制御処理を終了する。
【0140】
これにより、車両1の状態量が所定の条件を満たしておらず車両1の走行状態が所定の直進状態でない場合、即ち、車両1の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、キャンバスラストの影響を回避して、省燃費化を図ることができる。
【0141】
一方、S52の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S52:No)、車輪2のキャンバ角は既に第2キャンバ角に調整されているので、S53及びS54の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
【0142】
次に、本実施形態でのアッパーアームの動きについて説明する。図13は車輪付近の模式図である。
【0143】
図13に示すように、アッパーアーム151は、クランク部104の回転に伴って傾斜する。本実施形態では、第1連結部151aと第2連結部151bと第1クランク軸部104a1及び第2クランク軸部104b2とが一直線に並んだ状態を0°とし、0°に対する第1連結部151aと第2連結部151bを結んだ直線の角度を取得する。そして、例えば、アッパーアーム151の車輪側の第2連結部151bがクランク側の第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、アッパーアーム151の車輪側の第2連結部151bがクランク側の第1連結部151aより鉛直方向で低い場合の角度を負とする。
【0144】
アッパーアーム151の角度は、ハイトセンサ等の連結部材角度取得部としてのアーム角度センサにより検出する。なお、図13ではアッパーアーム151が0°の時に車輪2のキャンバ角を0°としているが、アッパーアーム151が0°の時にあらかじめキャンバ角を付与しておいてもよい。また、連結部材角度取得部は、クランク部104の回転角度を検出し、演算やマップ等によりアッパーアーム151の角度を求める構成としてもよい。
【0145】
また、アッパーアーム151には、タイヤ142に生じる車幅方向の旋回内側に向かう横力Fi又は車幅方向の旋回外側に向かう横力Foに応じて、矢印Fuのように引張荷重又は圧縮荷重がかかる。なお、本実施形態では、クランク部104とアッパーアーム151が一直線に並んだ状態から第1連結部151aが上側に回転する場合を上回し、下側に回転する場合を下回しとする。
【0146】
図14〜図17はタイヤ横力とアッパーアーム荷重方向の例を示す図である。図14は右旋回時の車両を上方から見た図、図15は右旋回時の車両を後方から見た図、図16は左旋回時の車両を上方から見た図、図17は左旋回時の車両を後方から見た図である。
【0147】
例えば、図14に示すように、車両1が右旋回している状態では、各タイヤ142には、旋回内側の力が作用する。この状態を図15に示すように後方からみると、左タイヤ142RLは、車幅方向の旋回内側に向かう横力Fiで路面に引っ張られ、右タイヤ142RRは、車幅方向の旋回外側に向かう横力Foで路面に引っ張られる。
【0148】
車幅方向の旋回内側に向かう横力Fiで路面に引っ張られる左タイヤ142RLには、キャンバ軸CAを中心に後方から見て反時計方向の回転力が作用する。すると、左タイヤ142RLのキャンバ軸CAよりも上方は、車両外側に倒れる力が生じる。したがって、アッパーアーム151には、車両外側に引っ張られる引張荷重Ftが生じる。
【0149】
また、車幅方向の旋回外側に向かう横力Foで路面に引っ張られる右タイヤ142RRには、キャンバ軸CAを中心に後方から見て反時計方向の回転力が作用する。すると、右タイヤ142RRのキャンバ軸CAよりも上方は、車両内側に倒れる力が生じる。したがって、アッパーアーム151には、車両内側に圧縮される圧縮荷重Fcが生じる。
【0150】
さらに、図16に示すように、車両1が左旋回している状態では、各タイヤ142には、旋回内側の力が作用する。この状態を図17に示すように後方からみると、左タイヤ142RLは、車幅方向の旋回外側に向かう横力Foで路面に引っ張られ、右タイヤ142RRは、車幅方向の旋回内側に向かう横力Fiで路面に引っ張られる。
【0151】
車幅方向の旋回外側に向かう横力Foで路面に引っ張られる左タイヤ142RLには、キャンバ軸CAを中心に後方から見て時計方向の回転力が作用する。すると、左タイヤ142RLのキャンバ軸CAよりも上方は、車両内側に倒れる力が生じる。したがって、アッパーアーム151には、車両内側に圧縮される圧縮荷重Fcが生じる。
【0152】
また、車幅方向の旋回内側に向かう横力Fiで路面に引っ張られる右タイヤ142RRには、キャンバ軸CAを中心に後方から見て時計方向の回転力が作用する。すると、右タイヤ142RRのキャンバ軸CAよりも上方は、車両外側に倒れる力が生じる。したがって、アッパーアーム151には、車両外側に引っ張られる引張荷重Ftが生じる。
【0153】
なお、アッパーアーム151にかかる荷重が引張荷重Ftか圧縮荷重Fcかは、車体の浮き沈み等を検出するロール角センサ82、サスストロークセンサ83及び接地荷重センサ84、横加速度を検出する加速度センサ80、操舵角を検出するステアリングセンサ63a等の荷重方向検出センサから判断する。
【0154】
図18はタイヤ横力とアッパーアーム荷重方向の関係の例を示す図である。なお、図中、実線は1人乗車の最軽量時、破線は5人乗車+荷物積載の最重量時を示し、実線と破線の範囲内で自重によって上下に変動する。
【0155】
図18に示すようなタイヤ横力とアッパーアーム荷重方向の関係は、車両ごとに異なるので、車両ごとにマッピングしROM72等に記憶しておくことが好ましい。図18に示したグラフの関係を有する車両は、車幅方向の旋回内側に向かう横力Fiが大きくなると、アッパーアーム荷重が圧縮荷重Fcから引張荷重Ftになるが、反対に、車幅方向の旋回外側に向かう横力Foが大きくなってもアッパーアーム荷重が圧縮荷重Fcにしかならないことを表している。
【0156】
次に、車両の状態に対するアッパーアーム151の状態について説明する。図19〜図26は、車両の状態に対するアッパーアームの状態を示す図である。
【0157】
まず、車輪2のキャンバ角を変更する前の状態について説明する。図19〜図22は、車輪2のキャンバ角を変更する前のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【0158】
図19は、左右両輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の左右両輪がバウンド状態の時には、車体120が沈むので、左右のアッパーアーム151RL,151RRは、第1連結部151aRL,151aRRが第2連結部151bRL,151bRRよりも低くなり、どちらも正の状態となる。
【0159】
図20は、左右両輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の左右両輪がリバウンド状態の時には、車体120が浮くので、左右のアッパーアーム151RL,151RRは、第1連結部151aRL,151aRRが第2連結部151bRL,151bRRよりも高くなり、どちらも負の状態となる。
【0160】
図21は、右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時には、車体120の左側が沈むので、左側のアッパーアーム151RLは、第1連結部151aRLが第2連結部151bRLよりも低くなり、正の状態となり、車体120の右側が浮くので、右のアッパーアーム151RRは、第1連結部151aRRが第2連結部151bRRよりも高くなり、負の状態となる。
【0161】
図22は、右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時には、車体120の左側が浮くので、左側のアッパーアーム151RLは、第1連結部151aRLが第2連結部151bRLよりも高くなり、負の状態となり、車体120の右側が浮くので、右のアッパーアーム151RRは、第1連結部151aRRが第2連結部151bRRよりも高くなり、負の状態となる。
【0162】
次に、車輪2のキャンバ角を変更した後の状態について説明する。図23〜図26は、車輪2のキャンバ角を変更した後のアッパーアーム151の状態を示す図である。
【0163】
図23は、左右両輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の左右両輪がバウンド状態の時には、車体120が沈むので、左右のアッパーアーム151RL,151RRは、第1連結部151aRL,151aRRが第2連結部151bRL,151bRRよりも低くなり、どちらも正の状態となる。
【0164】
図24は、左右両輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の左右両輪がリバウンド状態の時には、車体120が浮くので、左右のアッパーアーム151RL,151RRは、第1連結部151aRL,151aRRが第2連結部151bRL,151bRRよりも高くなり、どちらも負の状態となる。
【0165】
図25は、右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の右輪がリバウンド状態、左輪がバウンド状態の時には、車体120の左側が沈むので、左側のアッパーアーム151RLは、第1連結部151aRLが第2連結部151bRLよりも低くなり、正の状態となり、車体120の右側が浮くので、右のアッパーアーム151RRは、第1連結部151aRRが第2連結部151bRRよりも高くなり、負の状態となる。
【0166】
図26は、右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時のアッパーアーム151の状態を示す図である。車両1の右輪がバウンド状態、左輪がリバウンド状態の時には、車体120の左側が浮くので、左側のアッパーアーム151RLは、第1連結部151aRLが第2連結部151bRLよりも高くなり、負の状態となり、車体120の右側が浮くので、右のアッパーアーム151RRは、第1連結部151aRRが第2連結部151bRRよりも高くなり、負の状態となる。
【0167】
次に、アッパーアーム制御について説明する。本実施形態では、図13〜図26で説明したアッパーアーム151の動き等を考慮して、車輪2のキャンバ角を変更する際のアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を制御する。
【0168】
図27〜図29は、本実施形態のキャンバ角を付与する際のアッパーアーム制御のフローチャートである。本実施形態では、乗員の上下の揺れを低減し、乗り心地を確保する。
【0169】
図27は図12のキャンバ制御処理においてキャンバ付与の際のアッパーアーム制御の第1実施形態のフローチャートである。
【0170】
まず、アッパーアーム151の角度θをアーム角度センサ等で検出し、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の角度θが同じか否かを判断する(S101)。
【0171】
S101で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θが同じ場合、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の第1連結部151aを同じ方向、すなわち左右とも下回しに回転する(S102)。
【0172】
S101で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θが異なる場合、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の角度θの符号が同じか否かを判断する(S103)。
【0173】
S103で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θの符号が同じ場合、S102に進み、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の第1連結部151aを同じ方向、すなわち左右とも下回しに回転する。
【0174】
S103で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θの符号が異なる場合、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の第1連結部151aを上下逆方向、すなわち左が上回し右が下回し又は左が下回し右が上回しに回転する(S104)。
【0175】
第1実施形態では、左右輪2L,2Rの動きを対称とし、左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員の上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。なお、第1実施形態では、S102で、左右輪とも下回しとしたが、左右輪とも上回しとしてもよい。
【0176】
次に、第2実施形態について説明する。図28は第2実施形態のフローチャートを示す図である。第2実施形態は、乗員の上下の揺れを低減し、乗り心地を確保すると共に、部品の摩耗の片寄りの低減を考慮したモードである。
【0177】
まず、アッパーアーム151の角度θをアーム角度センサ等で検出し、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の角度θの符号が同じ又はθ=0か否かを判断する(S111)。
【0178】
S111で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θの符号が同じ又はθ=0の場合、RAM等に記憶してあるアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向が、上回しが多いか下回しが多いかを比較して上回し回数Mが下回し回数Nよりも少ないか否かを判断する(S112)。
【0179】
S112で、上回し回数Mが下回し回数Nよりも少ない場合、アッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を上回しとする(S113)。S112で、上回し回数Mが下回し回数Nよりも多い場合、アッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を下回しとする(S114)。
【0180】
S111で、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151L,151Rの角度θの符号が異なる場合、左右輪2L,2Rのアッパーアーム151の第1連結部151aを上下逆方向、すなわち左が上回し右が下回し又は左が下回し右が上回しに回転する(S115)。
【0181】
第2実施形態では、左右輪2L,2Rの動きを対称とし、左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員の上下の揺れを低減し、乗り心地を確保すると共に、部品の摩耗の片寄りを低減することが可能となる。
【0182】
次に、第3実施形態について説明する。図29は第3実施形態のフローチャートを示す図である。第3実施形態は、さらに乗員の上下の揺れを低減し、乗り心地を確保するモードである。
【0183】
まず、アッパーアーム151の角度θをアーム角度センサ等で検出し、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが正か否かを判断する(S121)。
【0184】
S121で、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが正の場合、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正か否かを判断する(S122)。
【0185】
S122で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正の場合、左右のアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を下回しとする(S123)。
【0186】
S122で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが負の場合、右輪2Rのアッパーアーム151Rの第1連結部151aRの回転方向を下回しとし、左輪2Lのアッパーアーム151Lの第1連結部151aLの回転方向を上回しとする(S124)。
【0187】
S121で、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが負の場合、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正か否かを判断する(S125)。
【0188】
S125で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正の場合、右輪2Rのアッパーアーム151Rの第1連結部151aRの回転方向を上回しとし、左輪2Lのアッパーアーム151Lの第1連結部151aLの回転方向を下回しとする(S126)。
【0189】
S125で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが負の場合、左右のアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を上回しとする(S127)。
【0190】
第3実施形態では、左右輪2L,2Rの動きを対称とし、左右の車体の上下動を同一とすると共に、アッパーアーム151とクランク部104が一直線となり一瞬ポジティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員の上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。なお、θ=0の場合、第3実施形態では左右輪とも上回しとしたが、下回しとしてもよい。
【0191】
次に、キャンバ角の付与を解除する際のアッパーアーム制御について説明する。キャンバ角の付与を解除する際のアッパーアーム制御は、図12のS50とS53のキャンバ角の付与を解除する際の制御である。
【0192】
図30は、キャンバ角の付与を解除する際のアッパーアーム制御における第4実施形態である。
【0193】
まず、アッパーアーム151の角度θをアーム角度センサ等で検出し、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが正か否かを判断する(S131)。
【0194】
S131で、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが正の場合、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正か否かを判断する(S132)。
【0195】
S132で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正の場合、左右のアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を上回しとする(S133)。
【0196】
S132で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが負の場合、右輪2Rのアッパーアーム151Rの第1連結部151aRの回転方向を上回しとし、左輪2Lのアッパーアーム151Lの第1連結部151aLの回転方向を下回しとする(S134)。
【0197】
S131で、右輪2Rのアッパーアーム151Rの角度θRが負の場合、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正か否かを判断する(S135)。
【0198】
S135で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが正の場合、右輪2Rのアッパーアーム151Rの第1連結部151aRの回転方向を下回しとし、左輪2Lのアッパーアーム151Lの第1連結部151aLの回転方向を上回しとする(S136)。
【0199】
S135で、左輪2Lのアッパーアーム151Lの角度θLが負の場合、左右のアッパーアーム151の第1連結部151aの回転方向を下回しとする(S137)。
【0200】
第4実施形態では、左右輪2L,2Rの動きを対称とし、左右の車体の上下動を同一とすると共に、アッパーアーム151とクランク部104が一直線となり一瞬ネガティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員の上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。
【0201】
以上説明したように、本実施形態によれば、車体120に設置され駆動力を発生するモータ102a及びモータ102aの発生した駆動力を出力する出力軸102bを有する駆動部材102と、出力軸102bに連結され駆動部材102の回転を減速する減速部103と、減速部103と連結され出力軸と同一軸上の中心線を中心に回転するクランク軸104a及びクランク軸104aと平行に連結されクランク軸104aを中心に回転するクランクピン104bを有するクランク部104と、一端の第1連結部151aでクランクピン104bに連結されるアッパーアーム151と、車体120に連結されると共にキャンバ軸CAを形成するキャンバ部材156bと、車輪2を回転可能に支持すると共に、鉛直方向の一方側でキャンバ部材156bに回動可能に支持され、他方側でアッパーアーム151の他端に第2連結部151bで連結される回動部材133と、左右の前記車体の上下動を同一とするように、前記第1連結部の回転方向を制御する制御部と、を備えるので、第1連結部151の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0202】
また、第1連結部151aと第2連結部151bとを結んだ直線が、クランク軸104a1、第1連結部151a及び第2連結部151bが一直線に並んだ状態での直線に対する角度を検出する連結部材角度センサ、をさらに備え、第1連結部151aと第2連結部151bとクランク軸104aとが一直線に並んだ状態を0°とし、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、制御部70は、連結部材角度センサの検出した角度が同じ又は符号が同じ場合、第1連結部151aを左右共に上回し又は下回しするので、簡単な構成で、第1連結部151の回転に伴う左右の車体の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0203】
また、第1連結部151aと第2連結部151bとを結んだ直線が、クランク軸104a1、第1連結部151a及び第2連結部151bが一直線に並んだ状態での直線に対する角度を検出する連結部材角度センサと、第1連結部151aの上回しの回数と下回しの回数を記憶する記憶部をさらに備え、第1連結部151aと第2連結部151bとクランク軸104aとが一直線に並んだ状態を0°とし、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、制御部70は、連結部材角度センサの検出した角度の符号が同じ場合、記憶部の記憶した第1連結部の上回しの回数と下回しの回数のうち少ない方向に回転させるので、上回しが多いため部品の上回しに使用される部分の摩耗が大きくなるというような部品の摩耗の偏りを低減することが可能となる。
【0204】
また、第1連結部151aと第2連結部151bとを結んだ直線が、クランク軸104a1、第1連結部151a及び第2連結部151bが一直線に並んだ状態での直線に対する角度を検出する連結部材角度センサ、をさらに備え、第1連結部151aと第2連結部151bとクランク軸104aとが一直線に並んだ状態を0°とし、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、制御部70は、連結部材角度センサの検出した角度の符号が異なる場合、左右の第1連結部151aのうち一方を上回し、他方を下回しするので、第1連結部151の回転に伴う左右の車体120の上下動を同一とすることで、乗員に対する左右異なる上下の揺れを低減し、乗り心地を確保することが可能となる。
【0205】
また、第1連結部151aと第2連結部151bとクランク軸104aとが一直線に並んだ状態を0°とし、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、制御部70は、キャンバ角を付与する際に、連結部材角度センサの検出した角度が左右共に正の場合、第1連結部151aを左右共に下回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が左右共に負の場合、第1連結部151aを左右共に上回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の第1連結部151aを下回し、左輪側の第1連結部151aを上回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の第1連結部151aを上回し、左輪側の第1連結部151aを下回しさせるので、第1連結部151の回転に伴う左右の車体120の上下動を同一とすると共に、連結部材151とクランク部104が一直線となり一瞬ネガティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員に対する左右異なる上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。
【0206】
また、第1連結部151aと第2連結部151bとクランク軸104aとが一直線に並んだ状態を0°とし、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において高い場合の角度を正、第2連結部151bが第1連結部151aより鉛直方向において低い場合の角度を負、とした場合、制御部70は、キャンバ角を解除する際に、連結部材角度センサの検出した角度が左右共に正の場合、第1連結部151aを左右共に上回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が左右共に負の場合、第1連結部151aを左右共に下回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の第1連結部151aを上回し、左輪側の第1連結部151aを下回しさせ、連結部材角度センサの検出した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の第1連結部151aを下回し、左輪側の第1連結部151aを上回しさせるので、第1連結部151の回転に伴う左右の車体120の上下動を同一とすると共に、連結部材151とクランク部104が一直線となり一瞬ネガティブキャンバに振れる状態をなくすことで、乗員に対する左右異なる上下の揺れをさらに低減し、よりよい乗り心地を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0207】
1…車両、2…車輪、2FL…左前輪、2FR…右前輪、2RL…左後輪、2RR…右後輪、4…懸架装置、70…制御部、100…キャンバ角制御装置、102…駆動部材、103…減速部、104…クランク部、105…軸受部材、106…検出部材、120…車体、121…第1サスペンションメンバ、122…第2サスペンションメンバ、123…ユニット支持部材、130…ハブ、131…ハブ部材、132…ディスクブレーキ、133…ハブ支持部材(回動部材)、141…ホイール、142…タイヤ、151…アッパーアーム(連結部材)、152…第1ロアアーム、153…スプリング、154…ショックアブソーバ、155…トレーリングアーム、156…第2ロアアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設置され駆動力を発生するモータ及び前記モータの発生した駆動力を出力する出力軸を有する駆動部材と、
前記出力軸に連結され前記駆動部材の回転を減速する減速部と、
前記減速部と連結されるクランク軸及び前記クランク軸に対して偏心したクランクピンを有するクランク部と、
一端の第1連結部で前記クランクピンに連結される連結部材と、
前記車体に連結されると共にキャンバ軸を形成するキャンバ部材と、
前記車輪を回転可能に支持すると共に、鉛直方向の一方側で前記キャンバ部材に回動可能に支持され、他方側で前記連結部材の他端に第2連結部で連結される回動部材と、
左右の前記車体の上下動を同一とするように、前記第1連結部の回転方向を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするキャンバ角制御装置。
【請求項2】
前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部をさらに備え、
前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、
とした場合、
前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度又は符号が同じ場合、前記第1連結部を左右共に上回し又は下回しする
ことを特徴とする請求項1に記載のキャンバ角制御装置。
【請求項3】
前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部と、
前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数を記憶する記憶部をさらに備え、
前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、
とした場合、
前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が同じ場合、前記記憶部の記憶した前記第1連結部の上回しの回数と下回しの回数のうち少ない方向に回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載のキャンバ角制御装置。
【請求項4】
前記第1連結部と前記第2連結部とを結んだ直線が、前記クランク軸、前記第1連結部及び前記第2連結部が一直線に並んだ状態での直線に対する角度を取得する連結部材角度取得部、をさらに備え、
前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、
とした場合、
前記制御部は、前記連結部材角度取得部の取得した角度の符号が異なる場合、左右の前記第1連結部のうち一方を上回し、他方を下回しする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のキャンバ角制御装置。
【請求項5】
前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、
とした場合、
前記制御部は、キャンバ角を付与する際に、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせる
ことを特徴とする請求項1に記載のキャンバ角制御装置。
【請求項6】
前記第1連結部と前記第2連結部とクランク軸部とが一直線に並んだ状態を0°とし、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において高い場合の角度を正、
前記第2連結部が前記第1連結部より鉛直方向において低い場合の角度を負、
とした場合、
前記制御部は、キャンバ角を解除する際に、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に正の場合、前記第1連結部を左右共に上回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が左右共に負の場合、前記第1連結部を左右共に下回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が正、左輪側が負の場合、右輪側の前記第1連結部を上回し、左輪側の前記第1連結部を下回しさせ、
前記連結部材角度取得部の取得した角度が、右輪側が負、左輪側が正の場合、右輪側の前記第1連結部を下回し、左輪側の前記第1連結部を上回しさせる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のキャンバ角制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−76501(P2012−76501A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221067(P2010−221067)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】