説明

クランキング振動低減装置

【課題】既存の圧縮圧開放型エンジンブレーキを有効に活用することで大幅なコスト増を招くことなくエンジン停止時のキャブ振動を低減し得るようにする。
【解決手段】エンジン停止時に発生するキャブ振動を低減するためのクランキング振動低減装置に関し、エンジンの圧縮上死点付近で排気弁4を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することで制動力を得る圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を備え、該圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を制動時だけでなくエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動せしめ得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランキング振動低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりトラックなどの大型運搬車両では、もともと車両重量が大きい上に積載荷重が加わる為、減速時に慣性力が大きく作用することになり、常用ブレーキ装置にかかる負担が大きくなる。
【0003】
そこで、下り坂などでブレーキをかける頻度が高い時には、一般的にエンジンブレーキを併用することが行われているが、積載荷重が大きい場合や坂道が急勾配であるような場合には、十分なエンジンブレーキの効果が得られないことがある。
【0004】
このため、エンジンの圧縮上死点付近で排気弁を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することにより次の膨張行程におけるピストンを押し下げる力の発生を少くして圧縮行程で得た制動力を有効に作用させるようにした圧縮圧開放型エンジンブレーキを補助的に装備することが行われている。
【0005】
図6は前記圧縮圧開放型エンジンブレーキの一例を示すもので、図中1はシリンダ、2は燃焼室、3はピストン、4は排気弁、5は排気流路を夫々示し、排気行程でカムシャフト6に装備した排気カム7により基端をローラ8aを介し押し上げられて傾動するロッカーアーム8の先端によりバルブブリッジ9を介し両方の排気弁4が押し下げられて開作動され、燃焼室2から排気流路5へと排気ガス10が掃気されるようになっている。
【0006】
ここで、図示する例においては、ロッカーアーム8の先端に、バルブブリッジ9の頂部までの間隔を調整する為のアジャストスクリュー15が装備されており、該アジャストスクリュー15の下端部には、バルブブリッジ9の頂部に対し常に水平状態で当接し得るようチップ15aが揺動自在に装備されている。
【0007】
そして、前記ロッカーアーム8の先端によりバルブブリッジ9を介し両方の排気弁4が押し下げられて開作動される際には、前記ロッカーアーム8の基端が上方の油圧ユニット11に備えられたマスターピストン12を押し上げ、前記油圧ユニット11内に穿設された油通路13に圧力を発生させて別のシリンダ1の上方にあるスレーブピストン14を従動させて下降せしめ、該スレーブピストン14により当該シリンダ1のロッカーアーム8の先端側上部を押し下げてバルブブリッジ9を介し両方の排気弁4を開作動し得るようにしてある。
【0008】
即ち、排気行程となっている別のシリンダ1のマスターピストン12の作動により、圧縮上死点付近となっているシリンダ1のスレーブピストン14が従動されるよう行程タイミングの合うシリンダ1相互のスレーブピストン14とマスターピストン12との間が油通路13で接続されており、該油通路13には、該油通路13の油圧の保持・開放を切り替える為の作動油給排手段であるソレノイドバルブ16及びコントロールバルブ17を介し作動油18(エンジンオイル)が供給されるようになっている。
【0009】
ここで、ソレノイドバルブ16は、エンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置19からの制御信号16aにより作動油18の供給・遮断を行い、コントロールバルブ17は、ソレノイドバルブ16が開いた状態で前記油通路13の油圧が保持されるよう逆止弁として機能し且つソレノイドバルブ16が閉じた状態では前記油通路13の油圧をリリーフ口20へと開放するよう機能するものである。
【0010】
尚、図中21は吸入空気、22は吸気流路、23は吸気や排気を担うロッカーアーム8を回動自在に軸支して該ロッカーアーム8の傾動軸を成すロッカーシャフトを示す。
【0011】
而して、斯かる圧縮圧開放型エンジンブレーキ30においては、制御信号16aによりソレノイドバルブ16を開けておくと、コントロールバルブ17が逆止弁として機能して油通路13が閉じるので、各シリンダ1の夫々が異なるタイミングで圧力上死点付近となった際に、排気行程にある別のシリンダ1の排気弁4を開作動する為の排気カム7の押し上げによりロッカーアーム8を介しマスターピストン12が押し上げられて油通路13に圧力が発生し、圧縮上死点付近にあるシリンダ1のスレーブピストン14が従動されて一方の排気弁4が開作動されるので、燃焼室2内から排気流路5へと圧縮空気が開放されて次の膨張行程におけるピストン3を押し下げる力の発生が少くなり、圧縮行程で得た制動力が有効に活用されることになる。
【0012】
また、制御信号16aによりソレノイドバルブ16を閉じておけば、コントロールバルブ17により油通路13の油圧が開放され、油通路13内には圧力が発生しないので、スレーブピストン14が従動されなくなり、排気弁4は通常の開弁操作により排気行程でのみ開作動されて圧縮上死点付近では開作動されなくなる。
【0013】
ただし、以上に述べた如きマスターピストン12をロッカーアーム8により作動させる方式では、タイミングの合うシリンダ1同士を油通路13で結ぶことになるので、油通路13が互いに錯綜して油通路13の複雑化を招くことになり、また、各シリンダ1のバルブ開閉タイミングが一義的に決まっているので、各シリンダ1の排気弁4を圧縮上死点付近における最適なタイミングで開作動させることが難しかった。
【0014】
そのため、近年においては、複雑な油通路13を要することなく排気弁4を圧縮上死点付近における最適なタイミングで開作動し得るようにするため、図7に示す如く、吸気弁4’をロッカーアーム8を介し開作動させるための吸気カム7’と、排気弁4をロッカーアーム8を介し開作動させるための排気カム7とを装備したカムシャフト6に対しブレーキ専用カム24を増設し、このブレーキ専用カム24によりブレーキ用ロッカーアーム25を介しマスターピストン12を圧縮上死点付近で作動することが提案されている。
【0015】
ここで、ブレーキ用ロッカーアーム25の具体的な構造は図8に示す通りであり、ここに図示しているブレーキ用ロッカーアーム25では、ロッカーシャフト23に対し基端側を傾動自在に外嵌されたレバー構造を成しており、その先端側下部に装備した転動自在なローラ25aを介しブレーキ専用カム24に接触して該ブレーキ専用カム24により押し上げられ、これによりロッカーシャフト23を中心に傾動して先端側上部でマスターピストン12を押し上げるようになっている。
【0016】
このようにカムシャフト6にブレーキ専用カム24を増設してブレーキ用ロッカーアーム25を介しマスターピストン12を作動させる方式を採用した場合、各シリンダ1毎に油通路13が完結することになるため、油圧ユニット11を全シリンダ1に亘るような単一ブロックとしなくても複数ブロックに分割構成することが可能となり、例えば、6気筒エンジンにあっては、各シリンダ1を前後三つずつにグループ分けして油圧ユニット11を2ブロックに分割したり、前後何れか一方のブロックにのみ油圧ユニット11を装備して半分のシリンダ1についてだけ圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を効かせるようにしたりすることが提案されている。
【0017】
尚、この種の圧縮圧開放型エンジンブレーキに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【特許文献1】特開2001−289021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、前述の如き圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を装備しているような大型運搬車両にあっては、キースイッチのオフによりエンジン停止の指令が発せられて燃料噴射が停止しても、その燃料噴射の停止後にエンジンが数秒間惰性で回転し続け、該エンジンが完全停止する間際に回転が遅くなってクランキング振動の間隔が開いてくることにより、体感として不快なキャブ振動を感じ易くなるという現象が発生する。
【0019】
このため、エンジン懸架系やキャブ懸架系に液封マウンティングや電子制御式マウンティングなどを採用し、キースイッチのオフ後のエンジンの惰性回転によるクランキング振動そのものを低減したり、エンジン側からキャブ側への振動伝達を低減したりすることが検討されているが、何れを採用した場合においても大幅なコスト増を招いてしまうことが避けられなかった。
【0020】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、既存の圧縮圧開放型エンジンブレーキを有効に活用することで大幅なコスト増を招くことなくエンジン停止時のキャブ振動を低減し得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、エンジン停止時に発生するキャブ振動を低減するためのクランキング振動低減装置であって、エンジンの圧縮上死点付近で排気弁を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することで制動力を得る圧縮圧開放型エンジンブレーキを備え、該圧縮圧開放型エンジンブレーキを制動時だけでなくエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動せしめ得るように構成したことを特徴とするものである。
【0022】
而して、このようにすれば、圧縮圧開放型エンジンブレーキがエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動し、惰性で回転しているエンジンの圧縮上死点付近で排気弁が強制的に開作動されて圧縮圧力が開放されるので、次の膨張行程におけるピストンを押し下げる力の発生が少くなって圧縮行程で得た制動力が有効に活用される結果、エンジンの惰性回転が従来よりも早く完全停止し且つ圧縮圧力(強制力)が低減し、エンジン停止時におけるキャブ振動が確実に低減される。
【0023】
また、本発明を具体的に実施するに際しては、ロッカーアームにより押し上げられて圧縮上死点付近で作動するマスターピストンと、該マスターピストンに対し油通路を介して接続され且つ該油通路に前記マスターピストンの作動により油圧が発生した際に排気弁を開作動するスレーブピストンと、前記油通路の油圧の保持・開放を切り換える作動油給排手段とにより圧縮圧開放型エンジンブレーキを構成し、エンジン停止を指令する信号を入力し且つ該信号の入力があった時に前記作動油給排手段を制御して前記油通路の油圧を僅かな時間帯だけ保持せしめる制御手段を備えると良い。
【発明の効果】
【0024】
上記した本発明のクランキング振動低減装置によれば、エンジン懸架系やキャブ懸架系に液封マウンティングや電子制御式マウンティングなどを新たに採用しなくても、既存の圧縮圧開放型エンジンブレーキをエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動させるようにするだけで、エンジン停止指令直後におけるエンジンの惰性回転を従来よりも早く完全停止させることができ、大幅なコスト増を招くことなくエンジン停止時におけるキャブ振動を確実に低減することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図6〜図8と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0027】
図1に示す如く、本形態例においては、既に図6〜図8で詳細を述べた如き圧縮上死点付近で排気弁4を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することで制動力を得る圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を、制動時だけでなくエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動せしめ得るように構成した点に特徴があり、より具体的には、エンジン停止を指令する信号としてキースイッチ26のオフ信号26aが制御装置19(制御手段)に入力された時に、該制御装置19からの制御信号16aにより作動油給排手段を成すソレノイドバルブ16が閉じて油通路13の油圧がエンジン停止指令直後の僅かな時間帯だけ保持されるようにしてある。
【0028】
尚、図1で示している圧縮圧開放型エンジンブレーキ30は、カムシャフト6にブレーキ専用カム24を増設してブレーキ用ロッカーアーム25を介しマスターピストン12を作動させる方式を採用したものとしてあるが、図6の如き排気行程となっている別のシリンダ1の排気用ロッカーアーム8を介しマスターピストン12を作動させる方式を採用したものであっても良いことは勿論である。
【0029】
ここで、前記制御装置19は、エンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を兼ねたものとなっているので、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ27からの検出信号27aや、エンジンの機関回転数を検出する回転センサ28からの検出信号28a等も入力されるようになっており、更には、各種信号から判断される現在の運転状態に応じ燃料噴射装置(図示せず)に向け燃料噴射量を指示する指示信号29aが出力されるようになっている。
【0030】
図2は前記制御装置19における制御手順の一例をフローチャートで示したものであり、先ずステップS1で水温センサ27からの検出信号27aに基づき「エンジン冷却水の水温が所定温度を超えているか否か」が判断され、「YES」の場合に限りエンジンの暖機が既に完了しているものとしてステップS2へと進み、「NO」の場合にはステップS1での判定が繰り返されるようにしてある。
【0031】
このステップS1でエンジンの暖機が既に完了していることが確認されると、次のステップS2にて回転センサ28からの検出信号28aに基づき「エンジン停止していないか否か」が判定され、「YES」の場合に限り次のステップS3へと進み、「NO」の場合にはステップS2での判定が繰り返されるようにしてある。
【0032】
このステップS2でエンジン停止していないことが確認されると、次のステップS3にて「エンジン停止を指令する信号としてキースイッチ26のオフ信号26aが入力されたか否か」が判定され、「YES」の場合に限り次のステップS4へと進み、「NO」の場合にはステップS3での判定が繰り返されるようしてあり、キースイッチ26のオフ信号26aが入力されるまで待機状態が続くようになっている。
【0033】
そして、このステップS3でキースイッチ26のオフ信号26aの入力が確認されると、次のステップS4にて制御装置19内で作られている燃料噴射装置(図示せず)への指示信号29aに基づき「燃料噴射が停止しているか否か」が判定され、「YES」の場合に限りステップS5へと進んでソレノイドバルブ16に向け油通路13の油圧をエンジン停止指令直後の僅かな時間帯だけ保持せしめる制御信号16aが出力され、圧縮圧開放型エンジンブレーキ30が作動状態となるようにしてあり、「NO」の場合にはステップS6へと進んでソレノイドバルブ16に向け油通路13の油圧を開放する制御信号16aが出力され、圧縮圧開放型エンジンブレーキ30が非作動状態となるようにしてある。
【0034】
尚、本形態例においては、エンジン停止を指令する信号としてキースイッチ26のオフ信号26aを採用しているが、信号待ち等でアイドル停車した時に運転者のパーキングブレーキ操作等により自動的にエンジン停止するようにしたアイドルストップ装置を備えている場合には、このアイドルストップ装置の作動信号を採用することも可能であり、アイドル停車状態のまま所定時間を超えて放置された時に自動的にエンジン停止するようにしたアイドルシャットダウン装置を備えている場合には、このアイドルシャットダウン装置の作動信号を採用するようにしても良い。
【0035】
而して、このような制御装置19により圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を制御すれば、エンジンの暖機が既に完了したエンジン稼働状態でキースイッチ26がオフになる等してエンジン停止を指令する信号(例えばキースイッチ26のオフ信号26a)の入力が制御装置19で確認された際に、燃料噴射が確実に停止している条件下でソレノイドバルブ16に向け油通路13の油圧をエンジン停止指令直後の僅かな時間帯だけ保持せしめる制御信号16aが出力され、圧縮圧開放型エンジンブレーキ30がエンジン停止指令直後の僅かな時間帯で作動することになり、惰性で回転しているエンジンの圧縮上死点付近で排気弁4が強制的に開作動されて圧縮圧力が開放されるので、次の膨張行程におけるピストンを押し下げる力の発生が少くなって圧縮行程で得た制動力が有効に活用される結果、エンジンの惰性回転が従来よりも早く完全停止し且つ圧縮圧力(強制力)が低減し、エンジン停止時におけるキャブ振動が確実に低減されることになる。
【0036】
事実、本発明者らによる検証実験によれば、エンジン停止時に圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を作動させなかった場合に、図3に縦軸をエンジン回転数とし横軸を時間(秒)としてグラフに示す如く、t0の時点でキースイッチ26をオフにしてからエンジン回転数が零となる完全停止まで約3.5秒もかかっていたものが、エンジン停止時に圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を作動させた場合には、図4に同様のグラフで示す如く、キースイッチ26のオフから完全停止まで約2.1秒に短縮できることが確認された。
【0037】
また、図5にグラフ化して示している通り、エンジン停止時に圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を作動させなかった場合(図5中の実線Aを参照)と、エンジン停止時に圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を作動させた場合(図5中の鎖線Bを参照)とを比較すると、キャブを含む様々な位置での振動レベルも大幅に低減されることが確認された。
【0038】
尚、図5中に示す一点鎖線Cはエンジン懸架系に液封マウンティングや電子制御式マウンティングを採用した場合の振動レベルの低減効果を示し、図5中に示す二点鎖線Dはキャブ懸架系に液封マウンティングや電子制御式マウンティングを採用した場合の振動レベルの低減効果を示しているが、何れの場合もエンジン停止時に圧縮圧開放型エンジンブレーキ30を作動させた場合(図5中の鎖線Bを参照)よりも振動レベルの低減効果は少ないことが確認されている。
【0039】
従って、上記形態例によれば、エンジン懸架系やキャブ懸架系に液封マウンティングや電子制御式マウンティングなどを新たに採用しなくても、既存の圧縮圧開放型エンジンブレーキ30をエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動させるようにするだけで、エンジン停止指令直後におけるエンジンの惰性回転を従来よりも早く完全停止させることができ、大幅なコスト増を招くことなくエンジン停止時におけるキャブ振動を確実に低減することができる。
【0040】
尚、本発明のクランキング振動低減装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1の制御装置における制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】エンジン惰性回転が完全停止するまでの推移を示す従来のグラフである。
【図4】エンジン惰性回転が完全停止するまでの推移を示す本形態例のグラフである。
【図5】本形態例の振動レベルの低減効果を従来と比較したグラフである。
【図6】従来の圧縮圧開放型エンジンブレーキの一例を示す概略図である。
【図7】カムシャフトにブレーキ専用カムを増設した例を示す平面図である。
【図8】図7のブレーキ用ロッカーアームの側面図である。
【符号の説明】
【0042】
4 排気弁
8 ロッカーアーム
10 排気ガス
12 マスターピストン
13 油通路
14 スレーブピストン
16 ソレノイドバルブ(作動油給排手段)
16a 制御信号
17 コントロールバルブ(作動油給排手段)
18 作動油
19 制御装置(制御手段)
25 ブレーキ用ロッカーアーム
26 キースイッチ
26a オフ信号(エンジン停止を指令する信号)
30 圧縮圧開放型エンジンブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン停止時に発生するキャブ振動を低減するためのクランキング振動低減装置であって、エンジンの圧縮上死点付近で排気弁を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することで制動力を得る圧縮圧開放型エンジンブレーキを備え、該圧縮圧開放型エンジンブレーキを制動時だけでなくエンジン停止指令直後の僅かな時間帯でも作動せしめ得るように構成したことを特徴とするクランキング振動低減装置。
【請求項2】
ロッカーアームにより押し上げられて圧縮上死点付近で作動するマスターピストンと、該マスターピストンに対し油通路を介して接続され且つ該油通路に前記マスターピストンの作動により油圧が発生した際に排気弁を開作動するスレーブピストンと、前記油通路の油圧の保持・開放を切り換える作動油給排手段とにより圧縮圧開放型エンジンブレーキを構成し、エンジン停止を指令する信号を入力し且つ該信号の入力があった時に前記作動油給排手段を制御して前記油通路の油圧を僅かな時間帯だけ保持せしめる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のクランキング振動低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−24660(P2009−24660A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190522(P2007−190522)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】