説明

グルココルチコイド受容体調節剤としてのテトラヒドロ−ナフタレン誘導体

本発明は、式(I)の化合物(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表し、XはN、C-HまたはC-CH3を表し、XがC-HまたはC-CH3を表すとき、YはNを表し、XがNを表すとき、YはC-Hを表す)およびその生理学的に機能性の誘導体、その化合物を含む医薬組成物、その化合物を、特に炎症および/またはアレルギー状態の治療用の薬剤の製造のために使用すること、その化合物の製造方法ならびに、その化合物の製造方法における化学的中間体に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイドのグルココルチコイド受容体調節剤である化合物、その化合物を含む医薬組成物、特に炎症および/またはアレルギー状態の治療用の薬剤の製造のためにその化合物を使用すること、その化合物の製造方法ならびにその化合物の製造方法における化学的中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
核受容体は、遺伝子発現の調節に関わる構造的関連タンパク質の一種である。ステロイドホルモン受容体は、その天然のリガンドが典型的には内因性ステロイド、例えばエストラジオール(エストロゲン受容体)、プロゲステロン(プロゲステロン受容体)およびコルチゾール(グルココルチコイド受容体)を含むファミリーのサブセットである。これらの受容体に対する人造のリガンドは、人の健康において、特に広範囲の炎症状態を治療するためのグルココルチコイドアゴニストの使用において、重要な役割を演じる。
【0003】
グルココルチコイドは、少なくとも2つの細胞内メカニズムである、トランス活性化およびトランス抑制によって、グルココルチコイド受容体(GR)でその作用を働かせる(Schacke, H, Docke, W-D. & Asadullah, K (2002) Pharmacol and Therapeutics 96: 23-43; Ray, A., Siegel, M.D., Prefontaine, K.E. & Ray, P. (1995) Chest 107: 139S; およびKonig, H., Ponta, H., Rahmsdorf, H.J. & Herrlich, P. (1992) EMBO J 11: 2241-2246参照)。トランス活性化は、グルココルチコイド受容体の、遺伝子プロモーター内の独特のデオキシリボ核酸(DNA)応答エレメント(GRE)への直接結合を包含するが、通常、下流遺伝子産物の転写を常に増加させるわけではない。近頃、GRはまた、GRがDNAに直接結合しない追加の経路(トランス抑制)によって遺伝子発現を調節することができることが示された。このメカニズムは、GRと他の転写因子、特にNFkBおよびAP1との相互作用を包含し、それらの前-転写活性の阻害に至る(Schacke, H, Docke, W-D. & Asadullah, K (2002) Pharmacol and Therapeutics 96: 23-43; およびRay, A., Siegel, M.D., Prefontaine, K.E. & Ray, P. (1995) Chest 107: 139S)。炎症応答に関与する遺伝子の多くは、NFkBおよびAP1経路によって転写的に活性化され、したがって、グルココルチコイドによるこの経路の阻害は、それらの抗-炎症効果を説明することができる(Barnes, P.J. & Adcock, I. (1993) Trend Pharmacol Sci 14: 436-441; およびCato, A.C. & Wade, E. (1996) Bioessays 18: 371-378参照)。
【0004】
広範囲の状態の治療におけるグルココルチコイドの効力にもかかわらず、多数の副作用が、内因性コルチゾールの病理学的な増加、または外因性、特に全身投与されたグルココルチコイドの使用に関連する。これらは、骨ミネラル密度の減少(Wong, C.A., Walsh, L.J., Smith, C.J.ら (2000) Lancet 355: 1399-1403)、成長が遅くなること(Allen, D.B. (2000) Allergy 55: suppl 62, 15-18)、皮膚挫傷(Pauwels, R.A., Lofdahl, C.G., Latinen, L.A. ら(1999) N Engl J Med 340: 1948-1953)、白内障の発生(Cumming, R.G., Mitchell, P. & Leeder, S.R. (1997) N Engl J Med 337: 8-14)ならびに、脂質およびグルコース代謝の異常調節(dysregulation)(Faul, J.L., Tormey, W., Tormey, V. & Burke, C. (1998) BMJ 317: 1491; Andrews, R.C. & Walker, B. R. (1999) Clin Sci 96: 513-523)を包含する。副作用はしばしば、治療の効力の低下へと至る、潜在する病理を治療するのに使用することができるグルココルチコイドの投与量を制限するに足るほど重大である。
【0005】
トランス活性化-GRE経路の過度の活性化はこれらの副作用の幾つかを仲介し得ることが示唆された(Schacke, H, Docke, W-D. & Asadullah, K (2002) Pharmacol and Therapeutics 96: 23-43参照)。トランス活性化経路と比べてトランス抑制経路を選択的に調節するグルココルチコイドの開発はしたがって、患者のより効果的でかつ安全な治療を可能にする、副作用に優った抗炎症治療係数を有し得る。この新しい種類のグルココルチコイドは、現行のグルココルチコイドによって現在治療された全スペクトルの疾病をもっと効果的に、かつもっと安全に治療するために使用することができるかもしれない。
【0006】
現行の公知のグルココルチコイドは、炎症、組織拒絶反応、自己免疫、種々の悪性疾患、例えば白血病およびリンパ腫、クッシング症候群、リウマチ熱、結節性多発性動脈炎、肉芽腫性多発性動脈炎、骨髄性細胞系の阻害、免疫性増殖/アポトーシス、HPA軸抑制および調節、高コルチゾール血症(hypercortisolemia)、Th1/Th2サイトカインバランスの調節、慢性腎疾患、発作および脊髄損傷、高カルシウム血症、高血糖、急性副腎不全、慢性原発性副腎不全、続発性副腎不全、先天性副腎過形成、脳浮腫、血小板減少症およびリトル症候群の治療に有用であると判明している。
【0007】
グルココルチコイドは、全身性の炎症、例えば炎症性腸疾患、全身性エリトマトーデス、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、関節リウマチ、変形性関節症、季節性鼻炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎および肝硬変を含む疾患状態において特に有用である。グルココルチコイドはまた、免疫刺激剤およびリプレッサーとして、かつ傷の治療剤および組織修復剤として使用されてきた。
【0008】
グルココルチコイドはまた、疾患、例えば炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪組織炎、乾癬、円板状エリテマトーデス、炎症性嚢腫、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性ヘルペス、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィート病、タイプ1反応性ハンセン病、毛細血管性血管腫、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑および皮膚T-細胞リンパ腫の治療における使用を見出されてきた。
【0009】
WO00/32584、WO02/10143、WO03/082827、WO/03082280、DE10261874、WO05/003098およびWO05/030213は、ある種の非ステロイドグルココルチコイド受容体調節剤を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式(I):
【化1】

【0011】
*キラル中心
(ここで、
Rは、メチルまたはエチル基を表し、
Xは、N、C-HまたはC-CH3を表し、XがC-HまたはC-CH3を表すとき、YはNを表し、XがNを表すとき、YはC-Hを表す)
の化合物およびその生理学的に機能性の誘導体(以後、「本発明の化合物」)を提供する。
【0012】
本発明の1つの実施態様においては、Rはメチルを表す。本発明の第2の実施態様においては、Rはエチルを表す。
【0013】
本発明の別の実施態様においては、XはC-Hを表し、かつYはNを表す。本発明のさらなる実施態様においては、XはC-CH3を表し、かつYはNを表す。
【0014】
本発明の別の実施態様においては、XはNを表し、かつYはC-Hを表す。
【0015】
式(I)の化合物はそれぞれ2個のキラル中心を含み、式(I)の各化合物の4個の可能な立体異性体がある。さらに、式(I)の各化合物の少なくとも1個の可能な立体異性体は、グルココルチコイド受容体を調節する。
【0016】
D1およびD2という語はここでは、本明細書に記載されたクロマトグラフィー法(LCMS)を用いたそれらの溶出の順序に基づいて、式(I)の化合物のジアステレオマーをいうために使用される。D1は溶出する最初のジアステレオマーをいい、D2は、溶出する第2のジアステレオマーをいう。
【0017】
D1E1、D1E2、D2E1およびD2E2という語は本明細書において、式(I)の化合物の異性体をいうために使用される。D1E1は、本明細書に記載された方法に従ってジアステレオマーD1のキラル分離中に、溶出する最初の鏡像体をいい、D1E2は、溶出する第2の鏡像体をいう。D2E1は、本明細書に記載された方法に従ってジアステレオマーD2のキラル分離中に、溶出する最初の鏡像体をいい、D2E2は、溶出する第2の鏡像体をいう。
【0018】
クロマトグラフィーにおける絶対保持時間は可変であり得るが、同じカラムおよび条件が使用されるときには、溶出の順序は同じままである。しかしながら、異なるクロマトグラフィーのカラムおよび条件の使用は、溶出の順序を変更し得る。
【0019】
異性体の混合物、例えばラセミ混合物が好ましくあり得、例えば全ての4つの異性体の混合物または2つの異性体のラセミ混合物が好ましくあり得、例えばジアステレオマーD1である。かくして、本発明の1つの実施態様においては、式(I)の化合物はジアステレオマーD1である。
【0020】
あるいは、単一の異性体が好ましくあり得、例えば異性体D1E1または異性体D1E2である。したがって、本発明の1つの実施態様においては、式(I)の化合物は鏡像体D1E1である。本発明の別の実施態様においては、式(I)の化合物は鏡像体D1E2である。
【0021】
基Rがエチルを表し、XがC-CH3を表し、YがNを表すとき、好ましくは化合物はジアステレオマーD1である。ジアステレオマーD1は、本明細書に記載されたクロマトグラフィー法(LCMS)を用いて溶出されるとき、約3.07分の保持時間を有することによって特徴づけられる。比較の目的のために、ジアステレオマーD2は、同じ条件下で約3.11分の保持時間を有する。特に好ましくは異性体D1E1であり、これは、1mL/分でヘプタン中15%エタノールの移動相を用いて、25 x 0.46 cmのChiralcel OJ カラムでの分析用キラルHPLCで溶出されたとき、約4.77分の保持時間を有することによって特徴づけられる。異性体D1E1は、異性体D1E1およびD1E2のラセミ混合物のより速く動く鏡像体である。
【0022】
特に関心のある本発明の化合物は:
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル)アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1E1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;
ならびにそれらの生理学的に機能性の誘導体を包含する。
【0023】
さらに特に関心のある本発明の化合物は:
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E2;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1E2;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1E1;
ならびにそれらの生理学的に機能性の誘導体を包含する。
【0024】
最も特に関心のある本発明の化合物は:
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E2;
ならびにそれらの生理学的に機能性の誘導体を包含する。
【0025】
本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体のアゴニズム(agonism)を提供することができる。
【0026】
式(I)の化合物のそれぞれの可能な立体異性体の少なくとも1つは、グルココルチコイド受容体に結合することが見出された。さらに、式(I)の化合物のそれぞれの可能な立体異性体の少なくとも1つは、グルココルチコイド受容体アゴニストの活性を有すると思われる。その上、式(I)の化合物のそれぞれの可能な立体異性体の少なくとも1つは、トランス活性化の活性を減らしつつ、トランス抑制の活性を維持することに関して有利な選択性を有すると思われる。これらの観察は、本発明の化合物が、重大な関連副作用がより少ない、抗炎症特性を提供することができることを示すものと思われる。
【0027】
少なくとも1つの異性体(例えばジアステレオマーの鏡像体)が記載された活性を有することは、当業者に認識されるであろう。他の異性体は、同様の活性を有するか、少ない活性を有するか、活性を有さないか、または機能的アッセイにおいて幾らかのアンタゴニストの活性を有することができる。
【0028】
本発明は、式(I)の化合物の生理学的に機能性の誘導体を包含する。「生理学的に機能性の誘導体」という語は、例えば、身体中で式(I)の化合物に変換可能であることによって、式(I)の遊離の化合物と同じ生理学的機能を有する式(I)の化合物の化学的誘導体を意味し、受容者に投与されたら、式(I)の化合物またはその活性な代謝産物もしくは残基を(直接または間接的に)提供することができる、式(I)の化合物の任意の製薬上許容されるエステル、カーボネートおよびカルバメート、溶媒和物、式(I)の化合物の任意の製薬上許容されるエステル、カーボネートおよびカルバメートの溶媒和物または式(I)の化合物の塩を包含する。
【0029】
薬剤に使用するのに適当である、式(I)の化合物およびその生理学的に機能性の誘導体の溶媒和物は、会合した溶媒が製薬上許容されるものである。しかしながら、製薬上許容されない対イオンまたは会合した溶媒を有する溶媒和物は、例えば他の式(I)の化合物およびそれらの製薬上許容される塩、溶媒和物および生理学的に機能性の誘導体の製造において中間体として使用するために、本発明の範囲内にある。
【0030】
溶媒和物の例としては水和物が挙げられる。
【0031】
本発明の化合物は、特に局所投与されたなら、例えばグルココルチコイド受容体に結合する能力およびその受容体による応答を禁じる(illicit)能力によって証明される、潜在的に有益な抗炎症または抗アレルギー効果を有することが期待される。故に、本発明の化合物は、炎症および/またはアレルギー疾患の治療において有用であり得る。
【0032】
本発明の化合物が有用性を有することが期待される疾患状態の例としては、皮膚疾患、例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応;鼻、のどまたは肺の炎症状態、例えば喘息(アレルゲンに誘発された喘息反応を含む)、鼻炎(枯草熱を含む)、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間隙性肺疾患および線維症;炎症性腸状態、例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病;ならびに自己免疫疾患、例えば関節リウマチを包含する。
【0033】
本明細書における治療への言及は、予防ならびに確立された状態の治療に及ぶことを、当業者は認識するであろう。
【0034】
上記したように、本発明の化合物は、ヒトまたは獣医学用の薬剤において、特に抗炎症剤および抗アレルギー剤として使用することが期待される。
【0035】
かくして、本発明のさらなる態様として、ヒトまたは獣医学用の薬剤における使用、特に炎症および/またはアレルギー状態の患者、例えば関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーまたは鼻炎を有する患者の治療において使用するための本発明の化合物が提供される。
【0036】
本発明のさらなる態様においては、ヒトまたは獣医学用の薬剤における使用、特に皮膚疾患、例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応を有する患者の治療における使用のための本発明の化合物が提供される。
【0037】
本発明の別の態様に従えば、炎症および/またはアレルギー状態の患者、例えば関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーまたは鼻炎を有する患者の治療のための薬剤の製造のために本発明の化合物を使用することが提供される。
【0038】
なお本発明の別の態様に従えば、皮膚疾患、例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応を有する患者の治療のための薬剤の製造のために本発明の化合物を使用することが提供される。
【0039】
さらなる態様または代替の態様においては、炎症および/またはアレルギー状態を有するヒト対象または動物対象の治療方法であって、該ヒトまたは動物対象に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0040】
なおさらなる態様または代替の態様においては、皮膚疾患、例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応を有するヒトまたは動物の患者の治療方法であって、該ヒトまたは動物の患者に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0041】
本発明の化合物は、任意の便利な方法で投与のために処方されることができ、したがって本発明はまた、その範囲内に、望ましいなら、1種以上の生理学的に許容される希釈剤または担体との混合物で本発明の化合物を含む医薬組成物を包含する。
【0042】
さらに、成分を混合することを含む、そのような医薬組成物の製造方法が提供される。
【0043】
本発明の化合物は、例えば経口、口内、舌下、非経口、局所的直腸投与または他の局所的投与のために処方することができる。
【0044】
本明細書において使用される局所的投与は、吹送(insufflation)または吸入(inhalation)による投与を包含する。局所的投与のための種々のタイプの調製物の例は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、フォーム、経皮パッチによる送達のための調製物、粉末、スプレー、エアゾール、吸入器または吹送器で使用するためのカプセルもしくはカートリッジまたは滴剤(例えば目または鼻の滴剤)、噴霧のための溶液/懸濁物、座薬、ペッサリー、貯留浣腸器および噛むことができるかもしくは吸うことができる錠剤もしくはペレット(例えばアフタ潰瘍の治療用)またはリポソームもしくはミクロカプセル封入調製物を包含する。
【0045】
例えば鼻炎を治療するための鼻へ局所的に投与するための製剤は、加圧ポンプによって鼻へ投与される加圧エアゾール製剤および水性製剤を包含する。加圧されず、鼻腔に局所的に投与されるように適合された製剤が、特に関心がある。適当な製剤は、この目的のために希釈剤もしくは担体として水を含む。肺または鼻への投与のための水性製剤は、慣用の賦形剤、例えば緩衝剤、張性調節剤等を有して提供することができる。水性製剤はまた、噴霧によって鼻に投与することができる。
【0046】
本発明の化合物は、流体ディスペンサー、例えば使用者が加えた力が流体ディスペンサーのポンプメカニズムに加えられると、定量の流体製剤が投薬される投薬ノズルまたは投薬口を有する流体ディスペンサーから投薬するための流体製剤として処方することができる。そのような流体ディスペンサーは一般に、多数回分の定用量の流体製剤の貯蔵器を備え、各用量は、逐次のポンプ作動で投薬され得る。投薬ノズルまたは投薬口は、流体製剤を鼻腔へ噴霧投薬するために使用者の鼻孔へ挿入するように形成され得る。上記したタイプの流体ディスペンサーは、WO05/044354に記載され、説明され、その全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。そのディスペンサーは、流体製剤を入れるための容器に取り付けられた圧縮ポンプを有する流体放出装置を収容するハウジングを有する。ハウジングは、少なくとも1つの指で操作できるサイドレバーを有し、このサイドレバーはハウジングに対して内部へ可動であり、ハウジングにおいて前記容器を上方に排動させて(cam)ポンプを圧縮させ、定量の製剤をハウジングの鼻ノズルによってポンプ軸の外へポンプで送らせる。1つの実施態様においては、流体ディスペンサーは、WO05/044354の図30〜40に説明された一般的タイプのものである。
【0047】
軟膏、クリームおよびゲルは、例えば、適当な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加した水性または油性の基剤と共に処方することができる。そのような基剤はかくして、例えば水および/または油、例えば液体パラフィンもしくは植物油、例えば落花生油もしくはひまし油、または溶媒、例えばポリエチレングリコールを含むことができる。基剤の性質に従って使用することができる増粘剤およびゲル化剤としては、軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはグリセリルモノステアレートおよび/または非イオン性乳化剤を包含する。
【0048】
ローションは、水性または油性の基剤と共に処方することができ、一般にまた、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤を含む。
【0049】
外用施用のための粉末は、任意の適当な粉末基剤、例えばタルク、ラクトースまたはデンプンを用いて形成することができる。滴剤は、また1種以上の分散剤、溶解剤、懸濁剤または防腐剤を含む水性もしくは非水性の基剤と共に処方することができる。
【0050】
噴霧組成物は、例えば水性溶液もしくは懸濁物として、または加圧容器、例えば定量噴霧式吸入器から、適当な液化推進剤を使用して放出されるエアゾールとして処方することができる。吸入のために適当なエアゾール組成物は、懸濁物または溶液であることができ、一般に式(I)の化合物および適当な推進剤、例えばフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはそれらの混合物を含む。エアゾール組成物は任意的に、当技術分野でよく知られたさらなる処方賦形剤、例えば界面活性剤、例えばオレイン酸またはレシチンおよび助溶剤、例えばエタノールを含むことができる。
【0051】
1つの実施態様においては、任意的に界面活性剤および/または助溶剤と組合せて、式(I)の化合物ならびに、推進剤としてフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを含む医薬エアゾール製剤が提供される。
【0052】
別の実施態様においては、推進剤が、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択される医薬製剤が提供される。
【0053】
有利には、本発明の製剤は、適当な緩衝剤の添加によって緩衝することができる。
【0054】
例えばゼラチンでできた、吸入器または吹送器に使用するためのカプセルおよびカートリッジは、本発明の化合物および適当な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの吸入のための粉末混合物を含んで処方することができる。各カプセルまたはカートリッジは一般に、20μg〜10mgの式(I)の化合物を含むことができる。あるいは、本発明の化合物は、賦形剤、例えばラクトースなしで提供され得る。
【0055】
本発明の局所組成物における式(I)の活性化合物の割合は、製造されるべき製剤の正確なタイプに依存するが、一般に、0.001〜10重量%の範囲内にある。一般に、しかしほとんどのタイプの調製物のためには、有利には、使用される割合は、0.005〜1%、好ましくは0.01〜0.5%の範囲内にある。しかしながら、吸入または吹送のための粉末においては、使用される割合は、0.1〜5%の範囲内にある。
【0056】
エアゾール製剤は好ましくは、エアゾールの各定用量または「ひと吹き(puff)」が、20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、より好ましくは約20μg〜500μgの式(I)の化合物を含むように決められる。投与は1日1回または1日数回、例えば2、3、4もしくは8回であることができ、例えば各回1、2もしくは3回分の用量が与えられる。エアゾールを用いての全日用量は、100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲内にある。吸入器または吹送器におけるカプセルまたはカートリッジにより放出される全日用量および定用量は一般に、エアゾール製剤を用いて放出される量の二倍である。
【0057】
懸濁物のエアゾール製剤の場合には、粒子(例えば微粉にされた)薬剤の粒径は、エアゾール製剤を投与したら実質的に全部の薬剤を肺に吸入させるようでなければならず、かくして、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に1〜10ミクロンの範囲、例えば1〜5ミクロン、より好ましくは2〜3ミクロンの範囲である。
【0058】
本発明の製剤は、例えば音波処理または高剪断ミキサーの助けによって、適当な容器中で、薬剤および本発明の化合物を選択された推進剤中に分散もしくは溶かすことによって製造することができる。このプロセスは望ましくは、調節された湿度条件下で行われる。
【0059】
本発明のエアゾール製剤の化学的および物理的安定性ならびに製薬上の許容性は、当業者に良く知られた技術によって決定することができる。かくして、例えば成分の化学的安定性は、例えば製品の長期間貯蔵後にHPLCアッセイによって決定することができる。物理的安定性のデータは、他の慣用の分析技術から、例えば漏れ試験、弁放出 (valve delivery) アッセイ(作動当たりの平均発射重量)、投与量再現性アッセイ(作動当たりの活性成分)および噴霧分布分析によって得ることができる。
【0060】
本発明の懸濁物エアゾール製剤の安定性は、慣用の技術によって、例えば、逆光散乱(back light scattering)装置を用いた凝集粒度分布(flocculation size distribution)を測定することによって、またはカスケードインパクション(cascade impaction)もしくは「ツインインピンジャー(twin impinger)」分析法による粒度分布を測定することによって、測定することができる。本明細書において使用されるように、「ツインインピンジャー」アッセイへの言及は、British Pharmacopaeia 1988, ページA204-207, Appendix XVII Cにおいて定義された「装置Aを用いる加圧吸入において放出された投与量の堆積(deposition)の決定」を意味する。そのような技術は、エアゾール製剤の「吸入可能画分(respirable fraction)」を計算することを可能にする。「吸入可能画分」を計算するために使用される1つの方法は、上記したツインインピンジャー法を用いる、作動当たりに放出された活性成分の全量の百分率として表した、作動当たりの低衝突室において集められた活性成分の量である「微細粒子画分」を参照することによる。
【0061】
MDIキャニスターは一般に、使用される推進剤の蒸気圧に耐えることができる容器、例えばプラスチックまたはプラスチックでコーティングされたガラスのびんまたは、好ましくは金属缶、例えば任意的に陽極処理、ラッカーコーティングおよび/またはプラスチックコーティングされるていてもよいアルミニウムもしくはその合金(例えば、参照することにより本明細書に組み入れられるWO96/32099、ここでは一部もしくは全部の内表面が、任意的に1種以上の非フルオロカーボンポリマーと組み合わせた、1種以上のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている)を含み、その容器は計量弁(metering valve)で閉じられる。超音波溶接、ねじ合わせまたはクリンピングによって缶にふたをすることができる。ここで教示されるMDIは、当技術分野の方法によって製造することができる(例えば、Byron, 上記、および WO/96/32099参照)。好ましくはキャニスターは、ふたアセンブリで適合させ、ここでは、薬剤計量弁はふたに位置を定められ、該ふたは、定位置にクリンプされる。
【0062】
計量弁は、作動当たりの定量の製剤を放出し、弁によって推進剤の漏れを防ぐためにガスケットを挿入するように設計される。ガスケットは、任意の適当なエラストマー物質、例えば低密度ポリエチレン、クロロブチル、黒および白のブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴムおよびネオプレンを含むことができる。適当な弁は、エアゾール工業においてよく知られている製造業者、例えばValois, France (例えばDF10, DF30, DF60)、Bespak plc, UK (例えばBK300, BK357)および3M-Neotechnic Ltd, UK(例えばSpraymiser(商標))から市販されていて入手可能である。
【0063】
医薬エアゾール製造の分野の当業者によく知られている慣用の大量製造法および機械装置を、充填されたキャニスターの工業的製造のための大規模バッチの製造のために使用することができる。かくして、例えば、1つの大量製造法においては、計量弁をアルミニウム缶上にクリンプして、空のキャニスターを形成する。粒状の薬剤が投入容器に加えられ、界面活性剤を含む液化推進剤と一緒に、液化推進剤が投入容器を通して製造容器へと圧力充填される。薬剤懸濁物は充填機への再循環の前に混合され、その後薬剤懸濁物の一定分量が計量弁を通ってキャニスターへと充填される。
【0064】
代替の方法においては、一定分量の液化製剤が、製剤が蒸発しないことを保証するのに十分冷たい条件下で開放キャニスターに添加され、その後、計量弁がキャニスター上にクリンプされる。
【0065】
典型的には、製薬用途のために製造されるバッチにおいては、各充填されたキャニスターは、放出試験前に、重量検査され、バッチ番号を指定され、貯蔵用トレイに梱包される。
【0066】
局所調製物は、1日当たり1つ以上の適用によって患部領域に投与することができ、有利には、皮膚領域上に閉鎖包帯(occlusive dressing)を使用することができる。接着性の貯蔵系によって、連続的または長期の放出を達成することができる。
【0067】
内部投与のためには、本発明の化合物は、例えば経口、非経口または直腸投与のために慣用のやり方で処方することができる。経口投与のための製剤としては、典型的には慣用の賦形剤、例えば結合剤、充填剤、滑剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、防腐剤、緩衝塩、風味剤、着色剤および/または甘味剤を適当なときに含む、シロップ、エリキシル、粉末、顆粒、錠剤およびカプセルを包含する。しかしながら、以下に述べるような単位剤形(dosage unit form)が好ましい。
【0068】
本発明の化合物は一般に、全身の副腎皮質治療が適応となる場合には、内部投与によって投与することができる。
【0069】
ゆっくりとした放出または腸溶コーティングされた製剤は、特に炎症性腸疾患の治療のために有利であり得る。
【0070】
幾つかの実施態様においては、式(I)の化合物は、経口投与のために処方される。他の実施態様においては、式(I)の化合物は、吸入投与のために処方される。
【0071】
本発明の化合物および医薬製剤は、1種以上の他の治療剤、例えば抗炎症剤、抗コリン作用剤(特にM1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば抗生物質、抗ウィルス剤)または抗ヒスタミン剤から選択される治療剤と組合せて使用することができるか、またはそれらを含むことができる。本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、1種以上の他の治療的に活性な剤、例えば抗炎症剤(例えば別のコルチコステロイドまたはNSAID)、抗コリン作用剤、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば抗生物質もしくは抗ウィルス剤)または抗ヒスタミン剤から選択される剤と一緒に含む組合せを提供する。本発明の1つの実施態様は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、β2-アドレナリン受容体アゴニストおよび/または抗コリン作用剤および/またはPDE-4阻害剤と一緒に含む組合せを包含する。適当な組合せは、1種または2種の他の治療剤を含むものである。
【0072】
適当な場合には、他の治療成分を塩(例えばアルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、プロドラッグの形態で、またはエステル(例えば低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば水和物)として使用して、治療成分の活性および/または安定性および/または物性(例えば溶解性)を最適化することができることは、当業者に明らかであろう。適当な場合には、治療成分は、光学的に純粋な形態で使用できることがまた明らかであろう。
【0073】
適当な組合せは、本発明の化合物を、β2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを包含する。
【0074】
β2-アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(salmeterol)(例えばラセミ体または単一鏡像体、例えばR-鏡像体)、サルブタモール(salbutamol)、フォルモテロール(formoterol)、サルメファモール(salmefamol)、フェノテロール(fenoterol)またはテルブタリン(terbutaline)およびそれらの塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基、またはフォルモテロールのフマル酸塩を包含する。1つの実施態様においては、β2-アドレナリン受容体アゴニストは、持続型β2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば24時間にわたって治療効果を有するもの、例えばサルメテロールまたはフォルモテロールである。
【0075】
持続型β2-アドレナリン受容体アゴニストの例は、WO 02/066422, WO 02/070490, WO 02/076933, WO 03/024439, WO 03/072539, WO 03/091204, WO 04/016578, WO 2004/022547, WO 2004/037807, WO 2004/037773, WO 2004/037768, WO 2004/039762, WO 2004/039766, WO01/42193およびWO03/042160に記載されたものを包含する。
【0076】
適当な持続型β2-アドレナリン受容体アゴニストは、式(XX):
【化2】

【0077】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を包含し、ここで:
mは2〜8の整数であり;
nは3〜11の整数であるが、ただし、m+nは5〜19であり;
R21は-XSO2NR26R27 であり、ここでXは-(CH2)p-またはC2-6アルケニレンであり;
R26およびR27は独立して、水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、 C(O)NR28R29、 フェニルおよびフェニル(C1-4アルキル)-から選択されるか、または
R26およびR27は、それらが結合する窒素と一緒に、5-、6-、もしくは7-員環の窒素含有環を形成し、R26およびR27はそれぞれ、任意的に、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ置換C1-6アルコキシ、-CO2R28、-SO2NR28R29、-CONR28R29、-NR28C(O)R29または5-、6-、もしくは7-員環の複素環式環から選択される1個または2個の基で置換され;
R28およびR29は独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニルおよびフェニル(C1-4アルキル) から選択され;
pは0〜6、好ましくは0〜4の整数であり;
R22およびR23は独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニルおよびC1-6ハロアルキルから選択され;かつ
R24およびR25は独立して、水素およびC1-4アルキルから選択されるが、ただし、R24およびR25における炭素原子の合計数は4以下である。
【0078】
持続型β2-アドレナリン受容体アゴニストの他の例は、
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル) フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル) ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルアミドおよび
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン
を包含する。
【0079】
適当な抗炎症剤としては、非ステロイドの抗炎症剤(NSAID)を包含する。
【0080】
適当なNSAIDとしては、ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えばテオフィリン、PDE4阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えばケモカインアンタゴニスト、例えばCCR3アンタゴニスト)またはサイトカイン合成の阻害剤または5-リポキシゲナーゼ阻害剤を包含する。適当な他のβ2-アドレナリン受容体アゴニストとしては、サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)、サルブタモール(例えば硫酸塩または遊離塩基として)、フォルモテロール(例えばフマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩を包含する。iNOS(誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤)は、経口投与のために好ましい。適当なiNOS阻害剤は、WO93/13055, WO98/30537, WO02/50021, WO95/34534およびWO99/62875に開示されたものを包含する。適当なCCR3阻害剤は、WO02/26722に開示されたものを包含する。
【0081】
特に関心のあるものは、特に吸入のために適合された製剤の場合に、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と組合せた式(I)の化合物の使用である。本発明のこの態様において有用なPDE4-特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが発見されていて、かつPDE4阻害剤のみである任意の化合物であることができ、PDE4と同様にPDEファミリーの他のメンバー、例えばPDE3およびPDE5を阻害する化合物ではない。
【0082】
関心のある化合物としては、cis-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オンおよび cis-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル) シクロヘキサン-1-オール]を包含する。また、cis-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル] シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラスト(cilomilast)としてまた知られている)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物質形態であり、これは、1996年9月03日に発行された米国特許第5,552,438号に記載されており、この特許およびそれが開示する化合物は、参照することによって全部本明細書に組み入れられる。
【0083】
関心のある他の化合物は、Elbion(Hofgen, N. ら、15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P.98; CAS reference No. 247584020-9)からのAWD-12-281;NCS-613という名の9-ベンジルアデニン誘導体(INSERM);Chiroscience and Schering-PloughからのD-4418;Cl-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに帰するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤 ;WO99/16766においてKyowa Hakkoにより開示されたベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK-34;Napp (Landells, L.J.ら、 Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393)からのV-11294A;Byk-Guldenからのロフルミラスト(roflumilast)(CAS参照番号No162401-32-3)およびプタラジノン(pthalazinone)(WO99/47505、その開示は、参照することによって本明細書に組み入れられる);Byk-Gulden, 現Altanaにより製造され、公開された混合PDE3/PDE4阻害剤である、プマフェントリン(Pumafentrine)、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaによる開発下にあるアロフィリン(arofylline);Vernalis からのVM554/UM565;またはT-440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K.ら、 J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1): 162)およびT2585を包含する。
【0084】
関心のあるさらなる化合物は、国際特許出願公開
WO04/024728 (Glaxo Group Ltd), PCT/EP2003/014867 (Glaxo Group Ltd)およびPCT/EP2004/005494 (Glaxo Group Ltd)に開示されている。
【0085】
適当な抗コリン作用剤は、ムスカリン性受容体でアンタゴニストとして作用する化合物、特にM1またはM3受容体のアンタゴニスト、M1/M3 またはM2/M3受容体の二重アンタゴニスト、またはM1/M2/M3受容体の全-アンタゴニストである化合物である。吸入による投与のための典型的化合物は、イプラトロピウム(ipratropium)(例えば臭化物として、CAS 22254-24-6、Atroventの名称の下に販売されている)、オキシトロピウム(oxitropium)(例えば臭化物として、CAS 30286-75-0)およびチオトロピウム(tiotropium)(例えば臭化物として、CAS 136310-93-5、Spirivaの名称の下に販売されている)を包含する。また関心のあるものは、レバトロペート(revatropate)(例えば臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)およびLAS-34273(WO01/04118に開示されている)である。経口投与のための典型的化合物は、ピレンゼピン(pirenzepine)(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(darifenacin)(CAS 133099-04-4または、Enablex の名称の下に販売されている臭化水素酸塩についてCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(oxybutynin)(CAS 5633-20-5、Ditropanの名称の下に販売されている)、テロジリン(terodiline)(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(tolterodine)(CAS 124937-51-5または、Detrolの名称の下に販売されている酒石酸塩についてCAS 124937-52-6)、オチロニウム(otilonium)(例えば臭化物として、CAS 26095-59-0、Spasmomenの名称の下に販売されている)、トロスピウムクロリド(trospium chloride)(CAS 10405-02-4)およびソリフェナシン(solifenacin)(CAS 242478-37-1または、YM-905としてまた知られており、Vesicareの名称の下に販売されているコハク酸塩について CAS 242478-38-2)を包含する。
【0086】
他の適当な抗コリン作用剤は、式(XXI)の化合物を含み、これは米国特許出願第60/487981号に開示されており:
【化3】

【0087】
(ここで、トロパン環に結合したアルキル鎖の好ましい配向はendoであり;R31およびR32は独立して、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖の低級アルキル基、5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル-アルキル基、2-チエニル、2-ピリジル、フェニル、4個を超えない炭素原子を有するアルキル基で置換されたフェニルおよび4個を超えない炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニルからなる群より選択され;X-は、N原子の正の電荷と会合するアニオンを表し;X-は、限定されないが、クロリド、ブロミド、ヨーダイド、サルフェート、ベンゼンスルホネートおよびトルエンスルホネートであることができる)
例えば、
(3-endo)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1] オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4-メチルベンゼンスルホネート;
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1] オクタンブロミド;および/または
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1] オクタンブロミドを包含する。
【0088】
さらなる適当な抗コリン作用剤は、式(XXII)または(XXIII)の化合物を包含し、これは米国特許出願第60/511009号に開示されており:
【化4】

【0089】
(ここで、示されたH原子はexo位にあり;
R41は、N原子の正の電荷と会合するアニオンを表し;R41は、限定されないが、クロリド、ブロミド、ヨーダイド、サルフェート、ベンゼンスルホネートおよびトルエンスルホネートであることができ;
R42およびR43は独立して、直鎖もしくは分岐鎖の低級アルキル基(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(5〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル-アルキル基(6〜10個の炭素原子を有する)、ヘテロシクロアルキル(5〜6個の炭素原子を有し、ヘテロ原子としてNもしくはOを有する)、ヘテロシクロアルキル-アルキル(6〜10個の炭素原子を有し、ヘテロ原子としてNもしくはOを有する)、アリール、任意的に置換されたアリール、ヘテロアリールおよび任意的に置換されたヘテロアリールからなる群より選択され;
R44は、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12) シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7) ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6) アルキル-アリール、(C1-C6) アルキル-ヘテロアリール、-OR45, -CH2OR45、-CH2OH、-CN、-CF3、-CH2O(CO)R46、-CO2R47、-CH2NH2、 -CH2N(R47)SO2R45、-SO2N(R47)(R48)、-CON(R47)(R48)、-CH2N(R48)CO(R46)、-CH2N(R48)SO2(R46)、-CH2N(R48)CO2(R45)、-CH2N(R48)CONH(R47)からなる群より選択され;
R45は、(C1-C6) アルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C12) シクロアルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C7) ヘテロシクロアルキル、(C1-C6) アルキル-アリール、(C1-C6) アルキル-ヘテロアリールからなる群より選択され;
R46は、(C1-C6) アルキル、(C3-C12) シクロアルキル、 (C3-C7) ヘテロシクロアルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C12) シクロアルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C7) ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6) アルキル-アリール、(C1-C6) アルキル-ヘテロアリールからなる群より選択され;
R47およびR48は独立して、H、(C1-C6) アルキル、(C3-C12) シクロアルキル、(C3-C7) ヘテロシクロアルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C12) シクロアルキル、(C1-C6) アルキル(C3-C7) ヘテロシクロアルキル、(C1-C6) アルキル-アリール、および(C1-C6) アルキル-ヘテロアリールからなる群より選択される)
例えば、
(Endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨーダイド;
3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(Endo)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨーダイド;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2- ジフェニル-エチル)-8,8- ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(Endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;
1-ベンジル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]- 尿素;
N-[3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;
N-[3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((Endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1] オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド;および/または
(Endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]- プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミドを包含する。
【0090】
さらなる化合物は:
(Endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンブロミド;
(Endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;
(Endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンヨーダイド;および/または
(Endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1] オクタンブロミド
を包含する。
【0091】
適当な抗ヒスタミン剤(またH1-受容体アンタゴニストと称する)は、H1-受容体を阻害し、ヒトへの使用に安全であることが知られている多数のアンタゴニストの任意の1種以上を包含する。第1世代のアンタゴニストは、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびアルキルアミンの誘導体、例えばジフェニルヒドラミン、ピリラミン、クレマスチン、クロロフェニラミンを包含する。非鎮静である第2世代のアンタゴニストは、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、テルフェナジン(terfenadine)、アステミゾール(astemizole)、アクリバスチン(acrivastine)、アゼラスチン(azelastine)、レボセチリジン(levocetirizine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)およびセチリジン(cetirizine)を包含する。
【0092】
抗ヒスタミン剤の例としては、ロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジンおよびセチリジンを包含する。
【0093】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、PDE4阻害剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0094】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、β2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを提供する。
【0095】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、抗コリン作用剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0096】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、抗ヒスタミン剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0097】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、PDE4阻害剤およびβ2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを提供する。
【0098】
かくして本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体を、抗コリン作用剤およびPDE4阻害剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0099】
上記に言及した組合せは便利には、医薬製剤の形態で使用するために提供することができ、かくして、先に定義した組合せを、製薬上許容される希釈剤もしくは担体と一緒に含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を表す。
【0100】
そのような組合せの個々の化合物は、別々または合わせた医薬製剤で、逐次または同時に投与することができる。好ましくは、個々の化合物は、合わせた医薬製剤で同時に投与される。公知の治療剤の適当な投与量は、当業者に容易に認識されるであろう。
【0101】
式(I)の化合物の4種の可能な異性体がある。これらは本明細書において、異性体D1E1、D1E2、D2E1およびD2E2と呼ばれる。
【0102】
例えば、基Rがエチルを表し、XがC-CH3を表し、かつYがNを表す式(I)の化合物の異性体D1E1は、1mL/分で溶出するヘプタン中15%エタノールの移動相を用いた25 x 0.46 cmのChiralcel OJカラムでの分析用キラルHPLCにおいて、保持時間4.77分を有することを特徴とする。基Rがエチルを表し、XがC-CH3を表し、かつYがNを表す式(I)の化合物の異性体D1E2は、同じ条件下で約7.83分の保持時間を有する。異性体D2E1およびD2E2は、1mL/分で溶出するヘプタン中5%エタノールの移動相を用いた25 x 0.46 cmのChiralpak ADカラムでのキラルHPLCにより分析されるとき、それぞれ約6.12分および7.30分で溶出する。
【0103】
キラルクロマトグラフィーにおける絶対保持時間は変わり得るが、同じキラルカラムおよび条件を使用するとき、鏡像体の溶出の順序は同じままであることは、当業者に認識されるであろう。
【0104】
式(I)の化合物の好ましい異性体は、鏡像体異性体の混合物(例えばラセミ混合物、例えばジアステレオマーD1)から異性体のクロマトグラフィー分離によって製造することができる。
【0105】
クロマトグラフィーによる、異性体D1E1およびD1E2の混合物(例えばラセミ混合物、例えばジアステレオマーD1)から式(I)の化合物の異性体D1E1の製造的分離の方法がまた提供される。
【0106】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物の異性体D1E1と、1種以上の他の異性体、例えば異性体D1E1およびD1E2のラセミ混合物(すなわちジアステレオマーD1)との混合物が提供される。
【0107】
鏡像異性体D1E1およびD1E2の混合物(例えばラセミ混合物)は、異性体D1E1、D1E2、D2E1およびD2E2の混合物から、クロマトグラフィー分離によって製造することができる。
【0108】
本発明はまた、異性体D1E1、D1E2、D2E1およびD2E2の混合物(例えばラセミ混合物)を提供する。
【0109】
式(I)の化合物の製造のための本発明の第1の方法(A)は、式(II):
【化5】

【0110】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
のエポキシドと、式(III):
【化6】

【0111】
(ここで、XおよびYは、式(I)の化合物について前記と同義である)
のキノリンアミンまたはイソキノリンアミンとの反応を含む。
【0112】
この反応は一般に、不活性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)および塩基、例えばカリウム-t-ブトキシドの存在下で、極端でない温度、例えば0〜120℃の温度で、より適当には室温で行われる。
【0113】
式(II)の化合物は、式(IV):
【化7】

【0114】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物と、硫黄イリド(sulphur ylide)、例えばジメチルスルホニウムメチリドまたは、より好ましくはジメチルオキソスルホニウムメチリドとの反応によって製造することができる。後者は便利には、DMSO中でトリメチルスルホオキソニウムヨーダイドおよび水素化ナトリウムからin situ生成される。
【0115】
式(III)の化合物は、供給業者、例えばAldrichから市販されていて入手可能である。
【0116】
式(IV)の化合物は、式(V):
【化8】

【0117】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物の酸化により製造することができる。
【0118】
式(V)の化合物の式(IV)のケトンへの酸化は、「有機化学における酸化」("Oxidations in Organic Chemistry") M. Hudlicky, ACS, 1990 pp77-84に詳述された方法によって行うことができる。好ましくはオゾン分解は、アルコール溶媒中で、-78〜25℃の極端でない温度にて行われ、還元剤を用いて処理される。好ましくはオゾン分解は、メタノール中で-78℃にて行われ、硫化ジメチルを用いて処理される。
【0119】
式(V)の化合物は、式(VI):
【化9】

【0120】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物とトリアルキル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナン、例えば式(VII):
【化10】

【0121】
の化合物との結合により製造することができる。式(VI)の化合物の式(V)の化合物への変換は、触媒としてパラジウム誘導体、リガンドとしてホスフィン誘導体およびトリアルキル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナンを用いて、25〜150℃の極端でない温度にて不活性溶媒中で、銅(I)塩の存在下で行うことができる。好ましい条件は、110℃にてN,N-ジメチルホルムアミド中、酢酸パラジウム、トリフェニルホスフィン、トリ-n-ブチル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナン(VII)、ヨウ化銅(I)である。ヨウ素が別の脱離基、例えば臭素もしくはトリフレートで置換された式(VI)の化合物の類似体をまた使用することができる。
【0122】
式(VI)の化合物は、式(VIII):
【化11】

【0123】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物から製造することができる。
【0124】
適当なオレフィン化試薬としては、Wittig試薬、例えばメチルトリフェニルホスホニウム塩を包含する。Peterson, Tebbe, PetasisおよびLombardo試薬がまた適当である。このタイプの反応は、R.C. Hartley ら、 J Chem Soc, Perkin Trans 1 (2002) 2763-2793 およびTetrahedron Lett (1985) 26: 5579-5580にさらに詳細に記載されている。好ましくは化合物(VIII)でのWittig反応は、極性溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジメチルエーテル、ジグライム(diglyme)またはジオキサン中で、強塩基、例えばn-BuLi、sec- BuLi、t- BuLi、LDA、LiHMDS、NaHMDS、KHMDS、NaHまたはKOtBuの存在下で、-78〜+70℃の範囲の温度にて行うことができる。好ましくはWittig反応は、0℃から室温に温めた温度で、塩基としてn-ブチルリチウムもしくはカリウムt-ブトキシドを用いて、溶媒としてジエチルエーテル中で臭化メチルトリフェニルホスホニウムを使用して行われる。
【0125】
式(VIII)の化合物は、式(IX):
【化12】

【0126】
(ここで、X'はBr、IまたはOTfであり、ここでOTfはトリフルオメタンスルホネートであり、MはMgQまたはZnQであり、ここでQはCl、BrまたはIである)
の化合物および式(X):
【化13】

【0127】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物の結合によって製造することができる。
【0128】
好ましくはこの反応は、極性溶媒、例えばテトラヒドロフランおよびジエチルエーテル中で、-78〜+25℃の範囲の温度で行われる。Mがハロゲン化マグネシウムであるなら、反応は好ましくは、銅(I)塩の存在下で行われる。1つの実施態様においては、反応は好ましくは、CuBr.Me2S錯体の存在下で-78℃にてジエチルエーテル中で臭化マグネシウム試薬を用いて行われる。この反応は、X'が臭素原子である式(IX)の化合物での使用のために特に適当である。
【0129】
Mがハロゲン化亜鉛であるなら、反応は好ましくは、LiClおよびCuCNの錯体の存在下で行われる。1つの実施態様においては、反応は好ましくは、-78℃にてTHF中で、2:1のLiCl:CuCN錯体ならびに1当量のTMSClの存在下で、MがZnQ(ここでQはBrを表す)である式(IX)の化合物を用いて行われる。この反応は、X'が臭素もしくはヨウ素原子である式(IX)の化合物での使用のために特に適当である。
【0130】
好ましくは、X'がIであり、ZnQがZnBrである。
【0131】
式(IX)の化合物は市販されていて入手可能であるか、または標準の方法により製造することができる。
【0132】
Rがメチルまたはエチル基を表すビニルケトン(X)は、市販されていて入手可能である。
【0133】
式(IV)のトリフルオロメチルケトン中間体はあるいは、式(XI):
【化14】

【0134】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物から製造することができる。
【0135】
1つの変形においては、式(XI)の化合物は、0〜110℃の極端でない温度で、不活性溶媒、例えばトルエンもしくはジクロロメタン中で、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下での塩化オキサリルまたは塩化チオニルでの処理によって、対応する酸塩化物へと変換することができる。室温にて触媒量のジメチルホルムアミドを用いた、トルエン中の塩化オキサリルが好ましい。粗製の酸塩化物は次に、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中で、0〜40℃の極端でない温度にて、有機塩基、例えばピリジンおよびトリフルオロアセチル化試薬、例えば無水トリフルオロ酢酸で処理されて、式(IV)の化合物を提供することができる。好ましい条件は、室温にてジクロロメタン中でピリジンおよび無水トリフルオロ酢酸である。
【0136】
第2の変形においては、式(IV)の化合物は、式(XI)の化合物のその対応するエステルへの変換、次いでエステルの(IV)への変換による2段階法で製造することができる。酸のそのエステルへの変換については多くの方法があり、「包括的有機変換」("Comprehensive Organic Transformations") R.C. Larock, VCH, 1989, pp966 - 972に記載されたものを含む。好ましくはメチルエステルが使用され、室温にてアセトン中でヨウ化メチルおよび無水炭酸カリウムで式(XI)の化合物を処理することによって製造される。第2工程において、エステルは、-30〜+10℃にて乾燥ジメチルホルムアミド中強塩基の存在下でトリフルオロメタンの溶液での処理によって、式(IV)の化合物へと変換される。好ましくは強塩基は、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドであり、温度は-10℃である。
【0137】
第2の変形において、式(XI)の化合物から式(IV)の化合物の製造についての2段階法が好ましい。
【0138】
式(XI)の化合物は、式(XII):
【化15】

【0139】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物から製造することができる。
【0140】
ニトリルのカルボン酸への加水分解について多くの方法があり、「包括的有機変換」("Comprehensive Organic Transformations" )R.C. Larock, VCH, 1989, p993に記載されたものを含む。加水分解は、50〜200℃の極端でない温度にて、アルコールおよび水を含む溶媒中で、無機塩基の存在下で行うことができる。好ましくは加水分解は、還流にて、水/エチレングリコール混合物中で、塩基として水酸化カリウムを使用して行われる。得られた生成物の脱カルボキシルは、100〜200℃の極端でない温度にて、高沸点溶媒の存在下または不在下で、加熱することによって熱的に達成することができる。130℃でのジエチルグリコール中での加熱が好ましい。
【0141】
式(XII)の化合物は、式(XIII):
【化16】

【0142】
の化合物から製造することができる。求核試薬の式(XIII)の化合物への共役付加は、合成における有機金属("Organometallics in Synthesis") M. Schlosser(編者), Wiley 1994 pp283-376に詳述されたものを含む多くの方法によって達成することができる。好ましくは、不活性溶媒、例えばジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン中でグリニャール試薬がヨウ化銅(I)に添加された後、化合物(VIII)が-20〜65℃の極端でない温度にて添加される。好ましくはテトラヒドロフランが溶媒であり、反応は、全ての試薬が合わされるまで0℃にて行われ、その後還流下で行われる。
【0143】
式(XIII)の化合物、3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレニリデンプロパンジニトリルは、文献(例えば、Russian Chemical Bulletin (Translation of Izvestiya Akademii Nauk, Seriya Khimicheskaya) 2003 52(10): 2235-2240参照)に記載されたように、市販の入手可能なα-テトラロンから製造することができる。
【0144】
式(I)の化合物の製造のための本発明の第2の方法(B)は、式(XIV):
【化17】

【0145】
(ここで、基R、XおよびYは、式(I)の化合物についての前記と同義である)
のシッフ塩基の還元を含む。
【0146】
還元は、適当な溶媒、例えば酢酸中で、種々の還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムで処理することによって達成することができる。
【0147】
式(XIV)の化合物は、式(XV):
【化18】

【0148】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
のアルデヒドと、式(III)のキノリンアミンもしくはイソキノリンアミンとの反応によって製造することができる。
【0149】
この反応は、適当な溶媒、例えば酢酸中で行うことができ、マイクロ波反応器中で反応を行うことによって促進され得る。シッフ塩基(XIV)は、この反応物から分離することができるが、またin situで還元して、式(I)の化合物を直接得ることもできる。
【0150】
式(XV)の化合物は、式(XVI):
【化19】

【0151】
(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物の酸化によって得ることができる。
【0152】
酸化は例えば、トリエチルアミンの存在下で、DMSO中で、ピリジン三酸化硫黄錯体を用いて達成することができる。
【0153】
式(XVI)の化合物は、例えば過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウムまたは非対称ジヒドロキシル化剤、例えばSharpless によりJ Org Chem, 1992, 2768-2771に記載されたAD-mixαおよびβを用いる、式(V)の化合物のジヒドロキシル化によって製造することができる。
【0154】
Rがエチルを表す式(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(XI)の化合物、(XII)、(XIV)、(XV)および(XVI)といった化合物は新規であり、本発明の態様を形成する。
【0155】
加えて、1種以上の式(I)の化合物を含む製剤の製造方法は、本発明の態様を形成する。
【0156】
本発明の化合物を含む組成物はまた、本発明の態様を構成する。
【0157】
本発明の化合物は、良好な抗炎症特性を示すと期待される。本発明の化合物はまた、例えばグルココルチコイド受容体が仲介するトランス抑制に対して、トランス活性化より増加した選択性によって示される、魅力的な副作用プロファイルを有することが期待され得る。かつヒトの患者における治療の都合のよい治療方式と適合することが期待される。
【0158】
本発明をここで、以下の限定されない実施例によって説明する。
【実施例】
【0159】
合成実験
略語
【表1】

【0160】
一般的実験条件
LCMS
LCMSスペクトルは、Hewlett-Packard 1050または1100 LC 系ならびにES+ およびES-イオン化を用いたWaters ZQ マススペクトロメーターで記録し、3μm ABZ+PLUS 3.3cm x 4.6mm IDカラムを、以下の勾配で、3ml/分の流速および5μlの注入容量にて使用した。
【0161】
溶媒A:0.1% 蟻酸 + 10ミリモル酢酸アンモニウム:
溶媒B:95% アセトニトリル+ 0.05% 蟻酸
【表2】

【0162】
UVによる検出は、40℃にてSedere Sedex 55 および2.2バールにて窒素気流を使用して、215〜330nmの範囲であった。
【0163】
LCUV
LCUV分析は、30分勾配にてHewlett-Packard 1050を使用して行い、3.3cm x 4.6mm IDの寸法を有する3mm ABZ+PLUSカラムを、以下の勾配で、1ml/分の流速および5μlの投入体積にて使用した。
【0164】
溶媒A:0.1% 蟻酸 + 10ミリモル酢酸アンモニウム:
溶媒B:95% アセトニトリル+ 0.05% 蟻酸
【表3】

【0165】
マスダイレクト(mass-directed)自動分離用HPLC
自動分離用HPLCは、Waters 600 勾配ポンプ、 Waters 2767 投入/捕集器、 Waters 試薬マネージャー、Micromass ZMDマススペクトロメーター、Gilson Aspec 廃液捕集器およびGilson 115 後-画分UV 検出器を用いて行った。使用したカラムは、典型的には、長さ100mmで20mmの内径寸法を有するSupelco LCABZ++カラムであった。静止相粒径は5μmである。流速は、20ml/分であり、作動時間は15分間であり、これは、10分間の勾配、その後の5分間のカラムフラッシュおよび再-平衡工程を含む。
【0166】
溶媒A:水性溶媒=水 + 0.1%蟻酸
溶媒B:有機溶媒=MeCN:水95:5 + 0.05%蟻酸
【0167】
使用した特定の勾配は、分析系における保持時間に依存した。2.0〜2.8分間、5〜30%B、2.5〜3.0分間、15〜55%B、2.8〜4.0分間、30〜80%Bおよび3.8〜5.5分間、50〜90%B。
【0168】
NMR
1H NMRスペクトルを、内部標準テトラメチルシランまたは残留プロトン化溶媒を用いた、共に400MHzおよび9.4Teslaで作動するBruker DPX 400またはBruker Avance DRX スペクトロメーターにて、CDCl3またはDMSO-d6で記録した。CDCl3およびDMSO-d6について、これはそれぞれ7.25および2.50ppmに関連させた。19F NMRスペクトルを、同じ装置を用いて、CDCl3またはDMSO-d6で記録し、-76ppmにてTFAに関連させる。
【0169】
マイクロ波
マイクロ波反応は、Smith Creator 300 ワット単一モードマイクロ波反応器を用いて行った。
【0170】
実験
中間体1
5-(2-ヨードフェニル)ペンタン-2-オン
無水テトラヒドロフラン(75ml)中の乾燥塩化リチウム(6.4g、150ミリモル)およびシアン化銅(I)(6.72g、75ミリモル)の懸濁液を、窒素下で21℃にて15分間撹拌した後、-73℃に冷却した。テトラヒドロフラン中の臭化2-ヨードベンジル亜鉛の0.5M溶液(150ml、75ミリモル)を、-65℃より下で40分間かけて滴下して添加し、温度を-7℃に上げ、この温度で0.5時間撹拌した後、冷却して-68℃に戻した。クロロトリメチルシラン(19ml、150ミリモル)を10分間かけて添加し、さらに15分間撹拌を続けた。無水テトラヒドロフラン(150ml)中のメチルビニルケトンの溶液(6.25ml、75ミリモル)を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後25分間かけて反応へ添加した。混合物を、アセトン/カード氷(cardice)浴中で19時間撹拌し、-30℃に達した後、冷却せずに3時間撹拌した。水性塩化アンモニウム溶液(200ml)を注意深く添加し、反応混合物をエーテル(2 x 200ml)で抽出した。合わせた有機層を水(200ml)で洗浄し(白色固体をろ別し、捨てた)、飽和塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。得られたオイルをシクロヘキサン(200ml)に溶かし、固体をろ別し、ろ液を蒸発させて、オイル(17.6g)を得た。2g分を、シクロヘキサンおよびトルエンの8:1混合物で溶出させる90gのBiotageカートリッジでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を液体として得た(1.112g)。
【0171】
LCMS:保持時間3.20分、MNH4+ 306。
【0172】
残留する粗生成物を、シクロヘキサンおよびt-ブチルメチルエーテルの9:1混合物で溶出させる800gのBiotageカートリッジで精製して、さらに8.25gの生成物を与え、合計収量9.36g、43%であった。
【0173】
中間体2
1-ヨード-2-(4-メチルペンタ-4-エン-1-イル)ベンゼン
無水エーテル(100ml)中のカリウムt-ブトキシド(7.96g、71ミリモル)の撹拌溶液に、窒素下で、臭化メチルトリフェニルホスホニウム(25.6g、71ミリモル)を添加した。黄色の混合物を還流下で0.5時間撹拌し、10分間冷却した後、無水エーテル(70ml)中の5-(2-ヨードフェニル)ペンタン-2-オン(中間体1)(9.3g, 32.3ミリモル)の溶液を20分間かけて添加した。反応混合物を1時間還流し、冷却した後、氷中に注ぎ入れた。エーテル(100ml)および水(100ml)を添加し、層を分離した。水性層をエーテル(100ml)で再抽出し、合わせた有機層を、水(100ml)および飽和塩水(100ml)で逐次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固させた。残渣をヘプタン(200ml)で処理し、固体をろ別し、ヘプタンで洗浄し、ろ液を蒸発させた。得られたオイルを、ヘプタンで溶出させる90gのシリカカートリッジで精製して、表記化合物を液体として得た(8.34g、90%)。
【0174】
LCMS:保持時間3.97分。
【0175】
1H-NMR (CDCl3) 1.79 (2H, m), 1.81 (3H, s), 2.16 (2H, t), 2.75 (2H, t), 4.79 (2H, d), 6.93 (1H, t), 7.25 - 7.35 (3H, m)。
【0176】
中間体3
トリブチル[1-(トリフルオロメチル)エテニル]スタンナン
テトラヒドロフラン中のLDAの2M溶液(7.5ml、15ミリモル)を、-5℃にてテトラヒドロフラン(5ml)に添加した。この溶液に、トリ-n-ブチルスタンナン(4.36g、15ミリモル)を滴下して加え、混合物を20分間撹拌しておいた。第2のフラスコで、ヨウ化銅(I)(1.43g、7.5ミリモル)をテトラヒドロフラン(5ml)に懸濁させた。このフラスコを-10℃に冷却し、その後、リチウムトリ-n-ブチルスタンナン溶液を、ヨウ化銅(I)懸濁液に、シリンジによって滴下して移した。混合物を-10℃にて0.5時間撹拌し、-78℃に冷却した後、2-ブロモトリフルオロプロペン(1.32g、7.5ミリモル)を滴下して処理した。さらに0.5時間撹拌を続けた後、室
温で1時間撹拌した。揮発物を減圧除去し、残渣をエーテル(100ml)に溶かし、ろ過し、溶媒を除去して、オイルを得た。蒸留によって精製した。114℃/4.6ミリバールで留出する画分を集めて、表記化合物を得た(2.16g、75%)。
【0177】
1H-NMR: (CDCl3) 6.42 (s, 1H), 5.68 (s, 1H), 1.50 (m, 6H), 1.32 (m, 6H). 1.03 (m, 6H), 0.91 (t, 9H)。
【0178】
中間体4
1-メチル-1-[2-(トリフルオロメチル)プロパ-2-エン-1-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン
無水N,N-ジメチルホルムアミド(200ml)中の1-ヨード-2-(4-メチルペンタ-4-エン-1-イル)ベンゼン(中間体2) (8.3g, 29ミリモル)、トリフェニルホスフィン(1.57g、6ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.572g、3ミリモル)および酢酸パラジウム(0.673g、3ミリモル)の溶液に、トリブチル[1-(トリフルオロメチル)エテニル]スタンナン(中間体3) (14.5g, 37.7ミリモル)を添加した。このフラスコを排気し、4回窒素を満たし、その後、110℃に予備加熱した浴に入れ、3時間撹拌した。混合物を冷却し、溶液を黒色固体からデカンテーションで移し、濃縮して低体積にした。ヘプタン(200ml)および水(200ml)を添加し、不溶性物質をろ別し、層を分離した。水性層をヘプタン(100ml)で再抽出し、合わせた有機層を、水(2 x 200ml)、水性塩化リチウム溶液(200ml)、水(200ml)および飽和塩水(200ml)で逐次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。得られたオイルを、ヘプタンで溶出させる800gのBiotageシリカカートリッジでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物を得た(5.28g、72%)。
【0179】
LCMS:保持時間3.89分。
【0180】
1H-NMR: (CDCl3) 1.44 (3H, s), 2.54 & 2.89 (2H, Abq), 2.87(2H, d), 5.02 (1H, s), 5.76 (1H, s), 7.15 - 7.32 (3H,m), 7.41 (1H, d)
19F-NMR: (CDCl3) -68.5。
【0181】
中間体5
3,3,3-トリフルオロ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-1,2-プロパンジオール
t-ブタノール(50ml)および水(50ml)中の1-メチル-1-[2-(トリフルオロメチル)プロパ-2-エン-1-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(中間体4) (2.03g, 8ミリモル)の溶液に、AD-mixα(30g)およびAD-mixβ(30g)を添加した。懸濁物を、40℃にて窒素下で19時間撹拌した。さらにAD-mixα(10g)、AD-mixβ(10g)、t-ブタノール(20ml)および水(20ml)を添加し、22時間撹拌を続けた。固体をろ別し、エーテル(3 x 50ml)で洗浄し、ろ液にさらにエーテル(200ml)を添加した後、水性メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(300ml)に注意深く添加し、10分間撹拌し、そのとき発泡がやんだ。層を分離し、水性層をエーテル(200ml)で再抽出した。合わせた有機層を、約125ml分の水、2Mの塩酸、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水および飽和塩水で逐次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、オイルを得た。粗生成物を、シクロヘキサン中15%酢酸エチルで溶出させる90gのBiotageカートリッジでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物を得た(1.60g、70%)。
【0182】
LCMS:保持時間3.20分、MNH4+ 306, M-H- 287
19F-NMR: (CDCl3) -80.6, -81.2 (43:57 ジアステレオマーの比)
【0183】
中間体6
3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]プロパナール
8.5℃の浴中で窒素下にて撹拌した、無水ジクロロメタン(36ml)中の3,3,3-トリフルオロ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-1,2-プロパンジオール(中間体5) (1.6g, 5.55ミリモル)、無水ジメチルスルホキシド(12ml)およびトリエチルアミン(4.9ml、35ミリモル)の溶液に、ピリジン-三酸化硫黄錯体(4.45g、28ミリモル)を20分間かけて少しずつ添加した。溶液を氷水浴中でさらに1.5時間撹拌した後、21℃に暖め、17時間撹拌した。反応混合物を、水性塩化アンモニウム溶液(100ml)およびジクロロメタン(100ml)に添加し、層を分離した。水性層をジクロロメタン(100ml)で再抽出し、合わせた有機層を、水(6 x 100ml)および飽和塩水(100ml)で逐次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。得られた黄色のオイルを、シクロヘキサン中5%のエーテルで溶出させる90gのBiotageカートリッジでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物をオイルとして得た(1.24g、78%)。
【0184】
LCMS:保持時間3.49分および3.52分、MNH4+ 304 (44:56 ジアステレオマーの比)
19F-NMR: (CDCl3) -78.03, -78.19 (40:60 ジアステレオマーの比)
【0185】
中間体7
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルイミノ) メチル]-2-プロパノール
氷酢酸(4ml)中の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]プロパナール(中間体6) (200mg, 0.7ミリモル)および5-キノリンアミン(131mg、0.9ミリモル)の溶液を、160℃にて30分間マイクロ波処理した。この溶液をトルエン(25ml)に添加し、蒸発させ、残留する酢酸を、トルエン(50ml)と共に再び蒸発させることにより共沸させた。粗生成物を、シクロヘキサン:ジクロロメタン1:1、次いで10:1〜3:1の勾配のシクロヘキサン:酢酸エチルで溶出させる5gのシリカBond Elutカートリッジで精製して、表記化合物を得た(177mg、60%)。
【0186】
LCMS:保持時間3.77分および3.81分、MH+ 413 (38:62ジアステレオマーの比)
19F-NMR: (CDCl3) -79.78, -79.99 (57:43 ジアステレオマーの比)
【0187】
中間体8
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル)イミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-プロパノール
中間体8を、3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]プロパナール(中間体6)および2-メチル-5-キノリンアミンから、中間体7について記載したのと同様の方法を用いて製造した。
【0188】
LCMS:保持時間3.64分および3.73分、MH+ 427 (48:52ジアステレオマーの比)
19F-NMR: (CDCl3) -79.80, -80.02 (54:46ジアステレオマーの比)
【0189】
中間体9
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルイミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノール
中間体9を、3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]プロパナール(中間体6)および5-イソキノリンアミンから、中間体7について記載したのと同様の方法を用いて製造した。
【0190】
LCMS:保持時間3.69分および3.74分、MH+ 413 (40:60ジアステレオマーの比)
19F-NMR: (CDCl3) -79.7, -79.97 (56:44 ジアステレオマーの比)
【0191】
中間体10
6-(2-ヨードフェニル)-3-ヘキサノン
塩化リチウム(6.6g、150ミリモル)(減圧下で115℃にて1晩乾燥させた)およびシアン化銅(I)(6.72g、75ミリモル)を、テトラヒドロフラン(75ml)と一緒に、窒素下で10分間撹拌した後、-78℃に冷却した。臭化2-ヨードベンジル亜鉛の溶液(150ml、THF中0.5M、75ミリモル)を添加し、混合物を-15℃に暖め、この温度に20分間保持した後、-78℃に再冷却した。クロロトリメチルシラン(19.1ml、150ミリモル)を添加した後、テトラヒドロフラン(15ml)中のエチルビニルケトン(7.4ml、74.3ミリモル)の溶液を添加した。混合物を-78℃で3時間撹拌し、その後室温に暖め、1時間撹拌した後、水(400ml)およびエーテル(400ml)の混合物中に注ぎ入れた。水性層をエーテル(2 x 400ml)で抽出し、合わせたエーテル性溶液を塩水(2 x 200ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、表記化合物を薄黄色の液体として得た(23g)。
【0192】
1H-NMR: (CDCl3) 7.81 (d, 1H), 7.30-7.18 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 2.72 (t, 2H), 2.48 (m, 4H), 1.80 (m, 2H), 1.07 (t, 3H)。
【0193】
中間体11
1-(4-エチル-4-ペンテン-1-イル)-2-ヨードベンゼン
乾燥エーテル(300ml)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(21.76g、61ミリモル)の懸濁物を窒素下で0℃にて撹拌した。これに、ブチルリチウムの1.6M溶液(33.3ml、53.3ミリモル)を滴下して加えた。0℃での撹拌を45分間続けた後、乾燥エーテル(40ml)中の6-(2-ヨードフェニル)-3-ヘキサノン(中間体10)(11.5g、38ミリモル)の溶液を滴下して加えた。0℃での撹拌を3時間続けた後、水性塩化アンモニウム溶液を添加し、混合物をエーテルで抽出した。合わせた抽出物を、塩化アンモニウムおよび塩化ナトリウムの混合物の溶液で1度洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣をシクロヘキサンでスラリー化して、粗生成物を抽出した。シクロヘキサンで溶出させるSPEによる精製は、表記化合物を無色液体として得た(6.8g、60%)。
【0194】
LCMS:保持時間4.19分、有意のイオンなし
1H-NMR: (CDCl3) 7.82 (d, 1H), 7.30-7.20 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 4.75 (s, 2H), 2.72 (t, 2H), 2.18-2.02 (m, 4H), 1.75 (m, 2H),1.05 (t, 3H)。
【0195】
中間体12
1-エチル-1-[2-(トリフルオロメチル)-2-プロペン-1-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン
1-(4-エチル-4-ペンテン-1-イル)-2-ヨードベンゼン(中間体11) (1.1g, 3.66ミリモル)、トリブチル[1-(トリフルオロメチル)エテニル]スタンナン(中間体3) (1.4g, 3.64ミリモル)、トリフェニルホスフィン(188mg、0.717ミリモル)、酢酸パラジウム(82mg、0.365ミリモル)およびヨウ化銅(I)(69mg、0.362ミリモル)を乾燥DMF(60ml)に溶かした。溶液を、フラスコを排気し、窒素で4回満たすことにより脱気した。次に、溶液を直ちに110℃の油浴に浸し、3.5時間反応させておき、室温に冷却した後、水(100ml)およびシクロヘキサン(100ml)間に分けた。層を分離し、水性層を、さらにシクロヘキサン(100ml)で抽出した。合わせた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、残渣をシリカ固相抽出(SPE)カートリッジに供した。シクロヘキサンでの溶出は、幾らか残留する不純物を含む表記化合物(1.36g)を得た。これを、さらに精製することなく使用した。
【0196】
中間体13
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノン
1-エチル-1-[2-(トリフルオロメチル)-2-プロペン-1-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(中間体12)(120mg、0.447ミリモル)をメタノール(25ml)に溶かし、-78℃に冷却した。溶液中にオゾンを5分間吹き込んだ後、酸素を10分間吹き込み、その後窒素を10分間吹き込んだ。硫化ジメチル(4ml、54ミリモル)を添加し、ドライアイス浴を除去して、混合物を室温にした。撹拌を30分間続けた後、揮発物を減圧除去した。残渣を、シクロヘキサン(200ml)、シクロヘキサン:酢酸エチル80:20(100ml)および酢酸エチル(100ml)で溶出させる10gのシリカSPEカートリッジで精製して、表記化合物を得た(31mg、26%)。
【0197】
1H-NMR: (CDCl3) 7.10 (m, 4H), 3.20 (d, 1H), 3.0 (d, 1H), 2.95-2.75 (m, 2H), 2.06-1.75 (m, 6H), 0.82 (t, 3H)。
【0198】
中間体14(ラセミジアステレオマー1)
中間体15(ラセミジアステレオマー2)
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(D1)
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(D2)
DMSO(5ml)中水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁物の74mg、1.85ミリモル)の懸濁液に、DMSO(5ml)中ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(610mg、2.77ミリモル)の溶液を添加した。室温にて30分間撹拌後、THF(3ml)中の3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノン(中間体13)(500mg、1.85ミリモル)の溶液を添加し、混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ入れ、ジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を水で繰り返し洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、表記化合物をジアステレオマーの粗製混合物として得た。水性層のジクロロメタンでの抽出は、さらなる表記化合物をジアステレオマーの粗製混合物として生じた。次に、合わせた生成物を、シクロヘキサン中0〜10%のジクロロメタンの勾配で10分間、次いでシクロヘキサン中10%のジクロロメタンで5分間溶出させる20gのシリカSPEカートリッジに供した。これは、溶出の順序で、中間体14(ラセミジアステレオマー1、178mg):および中間体15(ラセミジアステレオマー2、86mg)を得た。
【0199】
中間体14(ラセミジアステレオマー1)
1H-NMR:(CDCl3) 7.19-7.05 (m, 4H), 2.75 (m, 2H), 2.67 (d,1H), 2.59 (d, 1H), 2.24-2.18 (m, 2H), 1.88-1.72 (m, 5H), 1.64-1.55 (m, 1H), 0.84 (t, 3H)。
【0200】
中間体15(ラセミジアステレオマー2)
1H-NMR: (CDCl3) 7.19-7.03 (m, 4H), 2.79-2.74 (m, 3H), 2.53 (d, 1H), 2.33 (m, 1H), 2.27 (d, 1H), 1.87-1.55 (m, 6H), 0.80 (t, 3H)。
【0201】
中間体16
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-3,3,3-トリフルオロ-1,2-プロパンジオール
t-ブタノール(2ml)および水(2ml)中の1-エチル-1-[2-(トリフルオロメチル)-2-プロペン-1-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(中間体12)(100mg、0.373ミリモル)、AD-MIX-α(300mg)およびAD-MIX-β(300mg)を、室温にて撹拌した。1時間後、さらにAD-MIX-α(600mg)およびAD-MIX-β(600mg)を添加し、混合物を30℃に18時間加熱した。亜硫酸ナトリウム(2g)を水(5ml)と一緒に添加した後、10分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(3 x 20ml)で抽出した後、抽出物を2MのHCl(x2)、2MのNaOHで洗浄し、減圧下で揮発物を蒸発させて、粗生成物を得た。精製した(シリカSPE、85:15シクロヘキサン:酢酸エチル)後、表記化合物が得られた(30mg、27%)。
【0202】
LCMS:保持時間3.39分、MNH4+ 320
【0203】
中間体17
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパナール
9℃の氷-水浴中で窒素下にて撹拌された、無水ジクロロメタン(50ml)、無水ジメチルスルホキシド(50ml)およびトリエチルアミン(5.9ml、42ミリモル)中の2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-3,3,3-トリフルオロ-1,2-プロパンジオール(中間体16)(2.03g、6.71ミリモル)の溶液に、ピリジン-三酸化硫黄錯体(5.37g、33ミリモル)を20分間かけて少量ずつ加えた。次に溶液を室温に温め、65時間撹拌した。反応混合物を水性塩化アンモニウム溶液(350ml)に添加し、ジクロロメタン中へ抽出した(x2)。合わせた有機層を、水(2 x 200ml)および飽和塩水(2 x 200ml)で逐次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。得られた茶色のオイルを、ヘプタン中0〜100%ジクロロメタンの勾配で溶出させる50gのシリカSPEカートリッジに供して、表記化合物をジアステレオマーの混合物として得た(380mg、19%)。
【0204】
LCMS:保持時間3.64分、M+NH4+ 318
19F-NMR: (CDCl3) -77.9および-78.3 (40:60ジアステレオマーの比)
【0205】
中間体18
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルイミノ) メチル]-2-プロパノール
氷酢酸(4ml)中の2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパナール(中間体17)(220mg、0.73ミリモル)および5-イソキノリンアミン(144mg、1.0ミリモル)の溶液を、150℃にて20分間マイクロ波処理した。溶液をトルエンに加え、減圧下で蒸発させて、オレンジ色の残渣を生じた。粗生成物を、ヘプタン中0〜100%ジクロロメタンの勾配で溶出させる10gのシリカSPEカートリッジで精製して、表記化合物をジアステレオマーの混合物として得た(190mg、61%)。
【0206】
LCMS:保持時間3.74分、MH+ 427
19F-NMR: (CDCl3) -79.82および-79.88。
【0207】
実施例1
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノール
21℃にて窒素下で撹拌した、氷酢酸(4ml)中の1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルイミノ) メチル]-2-プロパノール(中間体7)(172mg、0.417ミリモル)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(353mg、1.66ミリモル)を25分間かけて少しずつ添加し、溶液をさらに4時間撹拌した。次に溶液を、飽和水性炭酸ナトリウム(50ml)および酢酸エチル(30ml)の混合物に注意深く添加し、10分間撹拌し、そのとき泡立ちがやんだ。層を分離し、水性層を酢酸エチル(30ml)で再抽出し、合わせた有機層を、飽和炭酸ナトリウム(15ml)、水(2 x 30ml)および飽和塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、40分間かけてシクロヘキサン中0〜100%の酢酸エチルの勾配にてFlashmaster 2系を用いた50gのシリカカートリッジで精製して、表記化合物(74.3mg、43%)をジアステレオマーの混合物として得た。
【0208】
マスダイレクト自動分離用逆相HPLCを用いたさらなる精製は、実施例1-D1(ラセミジアステレオマー1)(10mg)および実施例1-D2(ラセミジアステレオマー2)(8.9mg)を得た。
【0209】
実施例1-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS:保持時間3.35分、MH+ 415
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.16。
【0210】
実施例1-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS:保持時間3.42分、MH+ 415
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.05。
【0211】
15ml/分の流速でヘプタン中60%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralpak ADカラムを用いて、実施例1-D1(ラセミジアステレオマー1)を、その鏡像体へと分離して、約3.8分で溶出する実施例1-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)および約6.8分で溶出する実施例1-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)を生じた。
【0212】
実施例1-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中60%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間3.14分。
【0213】
LCMS:MH+ 415
19F-NMR: (CDCl3) -80.31
【0214】
実施例1-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中60%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間5.68分。
【0215】
LCMS:MH+ 415
19F-NMR: (CDCl3) -80.32
【0216】
実施例2
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル)アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-プロパノール
21℃にて窒素下で撹拌した、氷酢酸(4ml)中の1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル)イミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-プロパノール(中間体8)(130mg、0.30ミリモル)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(254mg、1.2ミリモル)を25分間かけて少量ずつ加え、この溶液をさらに4時間撹拌した。次にこの溶液を、飽和水性炭酸ナトリウム(50ml)および酢酸エチル(30ml)の混合物に注意深く加え、10分間撹拌し、そのとき泡立ちがやんだ。層を分離し、水性層を酢酸エチル(30ml)で再抽出し、合わせた有機層を、飽和炭酸ナトリウム(15ml)、水(2x30ml)および飽和塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、80分間かけてシクロヘキサン中酢酸エチルの0〜100%の勾配にて、Flashmaster 2系を用いて、50gのシリカカートリッジで精製して、表記化合物(91.6mg、71%)をジアステレオマーの混合物として得た。
【0217】
マスダイレクト自動分離用逆相HPLCを用いたさらなる精製は、実施例2-D1(ラセミジアステレオマー1)(7.1mg)および実施例2-D2(ラセミジアステレオマー2)(5.5mg)を得た。
【0218】
実施例2-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS:保持時間2.89分、MH+ 429
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.16。
【0219】
実施例2-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS:保持時間2.92分、MH+ 429
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.07。
【0220】
15ml/分の流速でヘプタン中40%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralpak ADカラムを用いて、実施例2-D1(ラセミジアステレオマー1)を、その鏡像体へと分離して、約3.9分で溶出する実施例2-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)および約7.5分で溶出する実施例2-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)を生じた。
【0221】
実施例2-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中40%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間3.22分。
【0222】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (CDCl3) -80.37
【0223】
実施例2-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中40%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間6.40分。
【0224】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (CDCl3) -80.16
【0225】
15ml/分の流速でヘプタン中3%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralpak ADカラムを用いて、実施例2-D2(ラセミジアステレオマー2)を、その鏡像体へと分離して、約13.3分で溶出する実施例2-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)および約16.7分で溶出する実施例2-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)を生じた。
【0226】
実施例2-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中3%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間11.18分。
【0227】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.07
【0228】
実施例2-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中3%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間13.89分。
【0229】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.07
【0230】
実施例3
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノール
21℃にて窒素下で撹拌した、氷酢酸(4ml)中の1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルイミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノール(中間体9)(154mg、0.373ミリモル)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(316mg、1.5ミリモル)を25分間かけて少量ずつ加え、この溶液をさらに4時間撹拌した。次にこの溶液を、飽和水性炭酸ナトリウム(50ml)および酢酸エチル(30ml)の混合物に注意深く加え、10分間撹拌し、そのとき泡立ちがやんだ。層を分離し、水性層を酢酸エチル(30ml)で再抽出し、合わせた有機層を、飽和炭酸ナトリウム(15ml)、水(2x30ml)および飽和塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、80分間かけてシクロヘキサン中酢酸エチルの0〜100%勾配にて、Flashmaster 2系を用いて、50gのシリカカートリッジで精製して、表記化合物(92mg、59.5%)を得た。初期の画分を蒸発させて、実施例3-D2の純粋な試料(ラセミジアステレオマー2)(24.8mg)を与え、一方、遅い画分を蒸発させて、実施例3-D1の純粋な試料(ラセミジアステレオマー1)(8.7mg)を得た。
【0231】
実施例3-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS:保持時間3.48分、MH+ 415
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.17
【0232】
実施例3-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS:保持時間3.51分、MH+ 415
19F-NMR: (DMSO-d6) -78.03。
【0233】
15ml/分の流速でヘプタン中10%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralcel ODカラムを用いて、実施例3-D1(ラセミジアステレオマー1)を、その鏡像体へと分離して、約6.9分で溶出する実施例3-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)および約9.4分で溶出する実施例3-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)を生じた。
【0234】
実施例3-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間5.46分。
【0235】
LCMS:MH+ 415
19F-NMR: (CDCl3) -80.33
【0236】
実施例3-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間7.45分。
【0237】
LCMS:MH+ 415
19F-NMR: (CDCl3) -80.32
【0238】
15ml/分の流速でヘプタン中10%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralcel ODカラムを用いて、実施例3-D2(ラセミジアステレオマー2)を、その鏡像体へと分離して、約9.0分で溶出する実施例3-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)および約12.4分で溶出する実施例3-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)を生じた。
【0239】
実施例3-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間7.69分。
【0240】
LCMS:MH+ 415
【0241】
実施例3-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間10.32分。
【0242】
LCMS:MH+ 415
19F-NMR: (CDCl3)-81.21
【0243】
実施例4
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノール
室温にて窒素下で撹拌した、氷酢酸(5ml)中の3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルイミノ) メチル]-2-プロパノール(中間体18)(185mg、0.43ミリモル)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(276mg、1.3ミリモル)を添加し、この溶液を約4時間撹拌した。さらなるトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(100mg、0.47ミリモル)を添加し、反応を1時間撹拌した。次に溶液を飽和水性炭酸ナトリウムに注意深く加え、泡立ちがやんだときに、酢酸エチル(x2)へと抽出した。合わせた有機層を、飽和水性炭酸ナトリウム溶液、水および最後に塩水/水(1:1)で逐次洗浄し、疎水性フリットを通過させ、減圧下で蒸発させて、薄黄色のオイルを生じた。粗生成物を、ヘプタン中0〜100%のジクロロメタンの勾配、次いでジクロロメタン中1%メタノールで溶出する、10gのシリカSPEカートリッジで精製した。これは、溶出の順序で、実施例4-D2(ラセミジアステレオマー2)(45mg)および実施例4-D1(ラセミジアステレオマー1)(35mg)を得た。
【0244】
実施例4-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS:保持時間3.56分、MH+ 429
LCUV: (30分の作動) 保持時間14.98分
19F-NMR: (CDCl3) -80.36
【0245】
実施例4-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS:保持時間3.57分、MH+ 429
LCUV: (30分の作動) 保持時間15.03分
19F-NMR: (CDCl3) -81.29
【0246】
15ml/分の流速でヘプタン中10%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralcel ODカラムを用いて、実施例4-D1(ラセミジアステレオマー1)を、その鏡像体へと分離して、約6.5分で溶出する実施例4-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)および約8.1分で溶出する実施例4-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)を生じた。
【0247】
実施例4-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間5.26分。
【0248】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (CDCl3) -80.36
【0249】
実施例4-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel ODカラム、ヘプタン中10%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間6.69分。
【0250】
LCMS:MH+ 429
19F-NMR: (CDCl3) -80.37
【0251】
実施例5
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]メチル}-2-プロパノール
乾燥ジメチルアセトアミド(1ml)中の2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(D1、ラセミジアステレオマー1)(中間体14)(83mg、0.29ミリモル)の溶液を、窒素雰囲気下で、乾燥ジメチルアセトアミド(1ml)中の2-メチル-5-キノリンアミン(55mg、0.35ミリモル)およびカリウムt-ブトキシド(39mg、0.35ミリモル)の混合物に添加した。反応を、室温で2時間撹拌した。次に混合物を、塩水/水(1:1)中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を、さらなる塩水/水(1:1)で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、減圧下で蒸発させて、茶色オイルを生じた。粗生成物を、シクロヘキサン中0〜15%の酢酸エチルの勾配で溶出する、5gのシリカSPEカートリッジにまず供し、その後、シクロヘキサン中0〜15%のジエチルエーテルの勾配で溶出する、2gのシリカSPEカートリッジに供して、実施例5-D1(ラセミジアステレオマー1)(8mg)を得た。
【0252】
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(D2、ラセミジアステレオマー2)(中間体15)と2-メチル-5-キノリンアミンとの同様の反応は、実施例5-D2(ラセミジアステレオマー2)を得た。
【0253】
実施例5-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS:保持時間3.07分、MH+443
【0254】
実施例5-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS:保持時間3.11分、MH+443
【0255】
15ml/分の流速でヘプタン中15%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralcel OJカラムを用いて、実施例5-D1(ラセミジアステレオマー1)を、その鏡像体へと分離して、約6分で溶出する実施例5-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)および約9分で溶出する実施例5-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)を生じた。
【0256】
実施例5-D1E1(ジアステレオマー1の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel OJカラム、ヘプタン中15%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間4.77分。
【0257】
この鏡像体は、ヘプタン、次いでシクロヘキサン中0〜25%のジエチルエーテルの勾配で溶出する、2gのシリカSPEカートリッジに供することによってさらに精製した。
【0258】
LCMS:MH+ 443
19F-NMR: (CDCl3) -80.37
【0259】
実施例5-D1E2(ジアステレオマー1の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralcel OJカラム、ヘプタン中15%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間7.83分。
【0260】
LCMS:MH+ 443
19F-NMR: (CDCl3) -80.38
【0261】
15ml/分の流速でヘプタン中5%エタノールで溶出する、2 x 25 cmのChiralpak ADカラムを用いて、実施例5-D2(ラセミジアステレオマー2)を、その鏡像体へと分離して、約8.5分で溶出する実施例5-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)および約10.5分で溶出する実施例5-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)を生じた。
【0262】
実施例5-D2E1(ジアステレオマー2の鏡像体1)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中5%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間6.12分。
【0263】
LCMS:MH+ 443
19F-NMR: (CDCl3) -81.21
【0264】
実施例5-D2E2(ジアステレオマー2の鏡像体2)
分析用キラルHPLC(25 x 0.46 cm Chiralpak ADカラム、ヘプタン中5%エタノール、1ml/分で溶出):保持時間7.30分
LCMS:MH+ 443
19F-NMR: (CDCl3) -81.21
【0265】
実施例6
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-キノリニルアミノ)メチル]-2-プロパノール
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(4ml)中の2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(D1、ラセミジアステレオマー1)(中間体14)(150mg、0.53ミリモル)、5-キノリンアミン(92mg、0.64ミリモル)およびカリウムt-ブトキシド(72mg、0.64ミリモル)の溶液を、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。次に混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。シリカ(溶出液ペンタン/酢酸エチル4:1)でのフラッシュクロマトグラフィーによる精製は、実施例6-D1(ラセミジアステレオマー1)をオレンジ色の固体として得た(16mg)。
【0266】
2-[(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)メチル]-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(ラセミジアステレオマー2)(中間体15)と5-キノリンアミンとの同様の反応は、実施例6-D2(ラセミジアステレオマー2)を得た。
【0267】
実施例6-D1(ラセミジアステレオマー1)
LCMS: 保持時間 3.40分、 MH+ 429
【0268】
実施例6-D2(ラセミジアステレオマー2)
LCMS: 保持時間 3.45分、 MH+ 443
【0269】
生物学的実験
グルココルチコイド受容体結合アッセイ
化合物のグルココルチコイド受容体へ結合する能力を、Pan Vera (Madison, WI, USA)により供給されたキットを用いるか、または社内での(in house)試薬を用いて、蛍光標識したグルココルチコイドと競争するそれらの能力を査定することによって、決定した。化合物をDMSO中で溶媒和し、希釈し、アッセイプレートに直接移した。蛍光グルココルチコイドおよび、安定化ペプチドを有する一部精製されたグルココルチコイド受容体をプレートに添加し、暗がりで22℃にて2時間インキュベートした。化合物の結合は、混合物からの蛍光分極信号の減少を測定することによって、蛍光リガンドの置換を分析することにより評価した。
【0270】
実施例1-D1, 1-D1E1, 1-D2, 2-D1, 2D1-E1, 2-D2, 2-D2E1, 3-D1, 3-D1E2, 3-D2, 3-D2E1, 3-D2E2, 4-D1, 4-D1E2, 4-D2, 5-D1, 5-D1E1, 5-D2, 5-D2E1, 6-D1および6-D2の化合物についてのpIC50値は、グルココルチコイド受容体結合アッセイについて>7である。
【0271】
グルココルチコイドが仲介する、NFkB活性のトランス抑制
ヒトA549肺上皮細胞を、Ray, K.P., Farrow, S., Daly, M., Talabot, F. およびSearle, N. 「インターロイキン1および腫瘍壊死因子αによるE-セレクチンプロモーターの誘発ならびに、グルココルチコイドによる阻害」(“Induction of the E-selectin promoter by interleukin 1 and tumour necrosis factor alpha, and inhibition by glucocorticoids” ) Biochemical Journal. 1997 328 707-15において先に記載されたように、NFkB依存性ELAMプロモーターの遠位領域の制御下で分泌された胎盤アルカリホスファターゼ遺伝子を含むように操作した。
【0272】
化合物を、DMSOの最終濃度が0.7%であるように、DMSO中で溶媒和し、希釈し、直接アッセイプレートに移した。細胞(ウェル当たり40K)を添加した後、プレートを1時間インキュベートし、その後3ng/mlのヒト組み換えTNFαを添加した。16時間インキュベーションを続けた後に、0.7体積のアッセイ緩衝液(1Mのジエタノールアミンに溶かした1mg/mlのp-ニトロフェニルホスフェート、0.28MのNaCl、0.5mMのMgCl2)を添加した後、時間と共に405nMでの光学密度の変化を測定することによって、アルカリホスファターゼ活性を決定した。
【0273】
実施例1-D1, 1-D1E1, 2-D1, 2-D1E1, 2-D2E1, 3-D1, 3-D1E2, 3-D2E1, 4-D1, 4-D1E2, 5-D1, 5-D1E1および6-D1についてのpIC50値は、NFkBアッセイについて>7.5である。
【0274】
グルココルチコイドが仲介する、MMTV駆動遺伝子発現のトランス活性化
ヒトのA549肺上皮細胞またはヒトのMG63骨肉腫を、以前に記載されたように(Austin, R.H., Maschera, B., Walker, A., Fairbairn, L., Meldrum, E., Farrow, S.および Uings, I.J. モメタゾンフロエートは、フルチカゾンプロピオネートより特異性の少ないグルココルチコイドである(Mometasone furoate is a less specific glucocorticoid than fluticasone propionate.) European Respiratory Journal 2002, 20 1386-1392)、マウス哺乳動物腫瘍ウィルスからのLTRの遠位領域の制御下で、レニアラ(renialla)ルシフェラーゼ遺伝子を含むように操作した。
【0275】
化合物を、DMSOの最終濃度が0.7%であるように、DMSO中で溶媒和し、希釈し、直接アッセイプレートに移した。細胞(ウェル当たり40K)を添加した後、プレートを6時間インキュベートした。Firelight キット(Packard, Pangbourne, UK)を使用して、ルシフェラーゼ活性を決定した。
【0276】
実施例1-D1, 1-D1E1, 2-D1, 2-D1E1, 2-D2, 2-D2E1, 2-D2E2, 3-D1, 3-D1E2, 3-D2, 3-D2E1, 4-D1, 4-D1E2, 5-D1, 5-D1E1, 5-D2, 5-D2E1 および6-D1では全て、NFkBアッセイに比べて、MMTVトランス活性化アッセイにおける効力が低下した。
【0277】
明細書および続く特許請求の範囲においては、内容が他に必要としなければ、「含む」という語およびその変形、例えば「含んでいる」等は、記載された整数(integer)または工程または整数の群を含むが、任意の他の整数または工程または整数もしくは工程の群を除外しないことを意味すると理解される。
【0278】
この記載および特許請求の範囲が一部を形成する出願は、任意のその後の出願に関して優先権の基礎として使用することができる。そのようなその後の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載された任意の特徴または組合せの特徴に関することができる。それらは、生成物、組成物、プロセスまたは使用の特許請求の範囲の形態をとることができ、実施例によって、限定することなく、以下の特許請求の範囲を含むことができる。
【0279】
本願に記載された特許および特許出願は、参照することによって本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

*キラル中心
(ここで、
Rは、メチルまたはエチル基を表し、
Xは、N、C-HまたはC-CH3を表し、XがC-HまたはC-CH3を表すとき、YはNを表し、XがNを表すとき、YはC-Hを表す)
の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体。
【請求項2】
式(I):
【化2】

*キラル中心
(ここで、Rは、メチルまたはエチル基を表し、
Xは、N、C-HまたはC-CH3を表し、XがC-HまたはC-CH3を表すとき、YはNを表し、XがNを表すとき、YはC-Hを表す)
の化合物。
【請求項3】
Rがメチル基を表す請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Rがエチル基を表す請求項1または2記載の化合物。
【請求項5】
XがC-H基を表す請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
XがC-CH3基を表す請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
XがNを表す請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
式(I)の化合物のジアステレオマーD1である請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物の異性体D1E1である請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物の異性体D1E2である請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1E1;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1;または
その生理学的に機能性の誘導体である化合物。
【請求項12】
1,1,1-トリフルオロ-3-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-2-[(5-キノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E2;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-[(5-イソキノリニルアミノ) メチル]-2-プロパノールD1E2;
3-(1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,1,1-トリフルオロ-2-{[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ] メチル}-2-プロパノールD1E1;または
その生理学的に機能性の誘導体である化合物。
【請求項13】
1,1,1-トリフルオロ-3-[(2-メチル-5-キノリニル) アミノ]-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E1;
1,1,1-トリフルオロ-3-(5-イソキノリニルアミノ)-2-[(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル) メチル]-2-プロパノールD1E2;または
その生理学的に機能性の誘導体である化合物。
【請求項14】
ヒトまたは獣医学的薬剤において使用するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体。
【請求項15】
関節リウマチ、喘息、CODP、アレルギーまたは鼻炎のような炎症および/またはアレルギー状態の治療において使用するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体。
【請求項16】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応のような皮膚疾患を有する患者の治療において使用するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体。
【請求項17】
1種以上の生理学的に許容される希釈剤または担体と混合された、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体を含む医薬組成物。
【請求項18】
関節リウマチ、喘息、アレルギーまたは鼻炎のような炎症および/またはアレルギー状態を有する患者の治療用薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体の使用。
【請求項19】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応のような皮膚疾患を有する患者の治療用薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体の使用。
【請求項20】
炎症および/またはアレルギー状態を有するヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、該ヒトまたは動物の対象に、有効量の請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体を投与することを含む方法。
【請求項21】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒および過敏症反応のような皮膚疾患を有するヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、該ヒトまたは動物の対象に、有効量の請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体を投与することを含む方法。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体と、推進剤としてフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンとを、場合により界面活性剤および/または助溶剤と組合せて含む医薬エアゾール製剤。
【請求項23】
推進剤が、1,1,1,2-テトラフルオロエタン, 1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択される請求項22記載の医薬製剤。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体を、1種以上の他の治療活性剤と一緒に含む組合せ。
【請求項25】
該治療活性剤が、β2-アドレナリン受容体アゴニストである請求項24記載の組合せ。
【請求項26】
該治療活性剤が、PDE4阻害剤である請求項24記載の組合せ。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその生理学的に機能性の誘導体を製造する方法であって、式(II):
【化3】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
のエポキシドと、式(III):
【化4】

(ここで、XおよびYは、式(I)の化合物について前記と同義である)
のキノリンアミンまたはイソキノリンアミンとの反応を含む方法。
【請求項28】
式(II):
【化5】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項29】
請求項28記載の式(II)の化合物の製造方法であって、式(IV):
【化6】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物と硫黄イリドとの反応を含む方法。
【請求項30】
式(IV):
【化7】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項31】
請求項30記載の式(IV)の化合物の製造方法であって、式(V):
【化8】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物の酸化を含む方法。
【請求項32】
式(V):
【化9】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項33】
請求項32記載の式(V)の化合物の製造方法であって、式(VI):
【化10】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物とトリアルキル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナンとを結合させることを含む方法。
【請求項34】
トリアルキル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナンが、トリ-n-ブチル[1-トリフルオメチル)エテニル]スタンナンである請求項33記載の方法。
【請求項35】
式(VI):
【化11】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項36】
請求項35記載の式(VI)の化合物の製造方法であって、式(VIII):
【化12】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物と、適当なオレフィン化剤とを反応させることを含む方法。
【請求項37】
式(VIII):
【化13】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項38】
請求項37記載の式(VIII)の化合物の製造方法であって、式(IX):
【化14】

(ここで、X'はBr、IまたはOTfであり、ここでOTfはトリフルオメタンスルホネートであり、MはMgQまたはZnQであり、ここでQはCl、BrまたはIである)
の化合物と式(X):
【化15】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物を結合させることを含む方法。
【請求項39】
請求項30記載の式(IV)の化合物の製造方法であって、
式(XI):
【化16】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物を、
(a) 塩化オキサリルもしくは塩化チオニルでの処理の後、有機塩基の存在下でのトリフルオロアセチル化を含む1段階法、または
(b) 酸官能基をエステルに変換した後、強塩基の存在下でトリフルオロメタンの溶液でエステルを処理することを含む2段階法
を用いて変換することを含む方法。
【請求項40】
式(XI):
【化17】

(ここで、Rはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項41】
請求項40記載の式(XI)の化合物の製造方法であって、式(XII):
【化18】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物のニトリルを加水分解することを含む方法。
【請求項42】
式(XII):
【化19】

(ここで、Rはメチルまたはエチル基を表す)
の化合物。
【請求項43】
請求項42記載の式(XII)の化合物の製造方法であって、求核試薬を、式(XIII):
【化20】

の化合物へ共役付加させることを含む方法。

【公表番号】特表2008−509191(P2008−509191A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525263(P2007−525263)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008763
【国際公開番号】WO2006/015870
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】