説明

コンデンサ及びその製造方法

【課題】ビア電極と表層電極との接続強度を高め、接続信頼性の高いコンデンサを提供する。
【解決手段】セラミックコンデンサ101のコンデンサ本体104は、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103を有し、複数のセラミック誘電体層105及び複数の内部電極層141,142を積層してなる。複数のコンデンサ内ビア導体131,132は、コンデンサ本体の積層方向に貫通形成された貫通ビア130内に充填形成されており、各内部電極層141,142に接続されている。貫通ビア130は、コンデンサ主面102側の開口に向かうに従って拡径するように形成された拡径部135を有する。表層電極111,112は、コンデンサ主面102上において拡径したビア導体131,132の端面全体を覆うように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層を積層してなるコンデンサ本体と、コンデンサ本体の積層方向に延びて内部電極層に接続される複数のビア電極と、ビア電極の端部に接続される表層電極とを備えたコンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板においては、ICチップのスイッチングノイズの低減や電源電圧の安定化を図るために、コンデンサ(「キャパシタ」とも言う)を設けることが提案されている。例えば、樹脂コア基板内にコンデンサを埋め込んだ配線基板(例えば特許文献1参照)や、樹脂コア基板の表面や裏面に形成されたビルドアップ層内にコンデンサを埋め込んだ配線基板が従来提案されている。
【0003】
特許文献1において、配線基板に内蔵されるコンデンサとしては、ビアアレイタイプのセラミックコンデンサが開示されている。このセラミックコンデンサは、複数のセラミック誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層配置されたコンデンサ本体を備える。そして、このコンデンサ本体において、各セラミック誘電体層を貫通して各内部電極層と電気的に接続される複数のビア電極がアレイ状に配置されている。さらに、コンデンサ本体の表面及び裏面において、ビア電極の端部が表面から突出しており、そのビア電極の端部を覆うような状態で表層電極が設けられる。また、特許文献2においても、特許文献1と同様に、ビア電極の端部をコンデンサ本体の表面から突出させた構造を有するビアアレイタイプのセラミックコンデンサが開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3にもビアアレイタイプのセラミックコンデンサが開示されている。この特許文献3のセラミックコンデンサは、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層が交互に積層配置された積層部と、その積層部と一体化される蓋部とを備える。この蓋部には、直径が大きなビア導体端部が設けられており、ビア導体端部は積層部に設けられたビア導体本体部に接続されている。このようにビア導体端部を設けることで、ビア導体とセラミック誘電体層との界面における水分の浸入経路が長くなり、信頼性が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−66712号公報
【特許文献2】特開2003−318065号公報
【特許文献3】特開2007−48768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のセラミックコンデンサのように、ビア電極の端部をコンデンサ本体の表面から突出させることでビア電極と表層電極との接続面積が増すが、ビア電極は直径が小さいため、その効果は少ない。このため、ビア電極と表層電極とにおいて、十分な密着性を得ることができず、接続強度が不足する場合がある。具体的には、配線基板との接続信頼性を高めるために、表層電極上に銅からなる突起状導体(銅ポスト)を突設したセラミックコンデンサが実用化されている。このコンデンサを配線基板に内蔵する場合、配線基板の収容部にセラミックコンデンサを収容して樹脂絶縁層で固定した後、突起状導体の端面を樹脂絶縁層の表面から露出させる表面研磨工程が行われる。この表面研磨工程の際に、突起状導体にかかる応力によって、表層電極とビア電極との界面で電極剥がれが起きてしまう。また、特許文献1,2のセラミックコンデンサでは、ビア電極の端部は、特許文献3のセラミックコンデンサのように拡径していない。このため、コンデンサ本体のカバー層部とビア電極との接触面積を増やすことができず、両者の密着性が懸念される。
【0007】
特許文献3のセラミックコンデンサでは、ビア導体端部は直径が大きいため、表層電極やカバー層部との接触面積を増やすことができるが、蓋部を別途作製する必要がある。このため、セラミックコンデンサの製造工数が増え、製造コストが嵩むといった問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビア電極と表層電極との接続強度を高め、接続信頼性の高いコンデンサを提供することにある。また、別の目的は、低コストでビア電極と表層電極との接続強度を高めることができるコンデンサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、少なくとも1つの主面を有し、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層を積層してなるコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の積層方向に延びて前記複数の内部電極層に接続された複数のビア電極と、前記主面上に設けられ、前記ビア電極の端部に接続される表層電極とを備えたコンデンサであって、前記ビア電極は、前記コンデンサ本体を積層方向に貫通し、前記主面側の開口に向かうに従って拡径するように形成された拡径部を有する貫通ビア内を充填して形成され、前記表層電極は、前記ビア電極の前記主面側の端面全体を覆うように設けられていることを特徴とするコンデンサがある。
【0010】
手段1に記載の発明によると、主面側の開口が拡径した拡径部を有する貫通ビア内にビア電極が形成されるので、主面側においてビア電極とコンデンサ本体との接触面積が増してビア電極の密着強度が向上される。また、径方向に拡がっているビア電極の端面全体を覆うように表層電極が設けられているので、ビア電極と表層電極との接触面積が増し、各電極の密着性を十分に高めることができる。この結果、ビア電極と表層電極との界面で電極剥がれが起きるといった問題を回避することができ、コンデンサの接続信頼性を高めることができる。
【0011】
ビア電極の端部は、貫通ビアの拡径部内に埋まり込んだ埋設領域と、主面から突出し、端面としての表面を有する突設領域とを有することが好ましい。このようにすると、ビア電極と表層電極との接触面積を増やすことができ、各電極の接続強度を十分に高めることができる。
【0012】
ビア電極と表層電極とは同種の金属を含んで形成されていることが好ましい。この場合、焼成時におけるビア電極と表層電極との熱収縮差を抑えることができ、ビア電極と表層電極との密着性を十分に確保することができる。また、各電極の材料コストを低く抑えることができる。
【0013】
セラミック誘電体層としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの高誘電率を有する誘電体セラミックの焼結体を使用することが好ましい。誘電体セラミックの焼結体を使用した場合、静電容量の大きなセラミックコンデンサを実現しやすくなる。また、セラミック誘電体層として、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体を使用してもよいし、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体を使用してもよい。
【0014】
内部電極層、ビア電極、及び表層電極としては、メタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペーストを従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
【0015】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、少なくとも1つの主面を有し、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層を積層してなるコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の積層方向に延びて前記複数の内部電極層に接続された複数のビア電極と、前記主面上に設けられ、前記ビア電極の端部に接続された表層電極とを備えたコンデンサの製造方法であって、前記内部電極層となる未焼成導体部及び前記セラミック誘電体層となる未焼成セラミック部を積層して多層化した構造を有し、前記主面側となる表面に剥離可能なシートを張り合わせた未焼成セラミック積層体を準備する準備工程と、前記シート及び前記未焼成セラミック積層体をその積層方向に貫通する貫通孔を形成するとともにその貫通孔内に前記ビア電極となる未焼成ビア導体部を充填するビア充填工程と、前記未焼成セラミック積層体から前記シートを剥離し、前記未焼成セラミック積層体の主面側から前記未焼成ビア導体部の端部を突出させる剥離工程と、そのビア導体部の端部が前記主面上にて径方向に拡がるように面押しするビア潰し工程と、前記表層電極となる未焼成表層導体部を、前記主面側から露出している前記未焼成ビア導体部の端面全体を覆うように形成する表層電極形成工程と、前記未焼成セラミック積層体を焼結させて、前記内部電極層、前記セラミック誘電体層、前記ビア電極及び前記表層電極を形成する焼成工程とを含むことを特徴とするコンデンサの製造方法がある。
【0016】
手段2に記載の発明によると、準備工程において、主面側となる表面に剥離可能なシートを張り合わせた未焼成セラミック積層体が準備される。ビア充填工程では、そのシート及び未焼成セラミック積層体を貫通する貫通孔内に未焼成ビア導体部が充填される。この後、剥離工程において、シートが未焼成セラミック積層体から剥離される。このとき、未焼成ビア導体部の端部は、シートの厚さに対応した長さだけ未焼成ビア導体部の主面から突出する。そして、ビア潰し工程において、そのビア導体部の端部が主面上にて径方向に拡がるように面押しされる。この結果、径方向に拡がったビア導体部の一部が主面側の内側に埋まり込む。またこのとき、貫通孔の主面側開口は、押しつぶされたビア導体の端部によって拡径される。さらに、表層電極形成工程を行い、未焼成ビア導体部の端面全体を覆うように未焼成表層導体部が形成される。この後、焼成工程により、未焼成セラミック積層体を焼結させると、手段1の構成のコンデンサを製造することができる。この場合、従来技術のように蓋部を形成することなく、端部が拡径したビア電極を形成することができる。このため、従来技術よりも低コストで接続信頼性の高いコンデンサを製造することができる。
【0017】
準備工程では、第1主面とその裏面側に位置する第2主面とを有し、第1主面及び第2主面の両面に前記シートを張り合わせた未焼成セラミック積層体を準備し、その後、第1主面及び第2主面の両面について同時にビア潰し工程及び表層電極形成工程を行うようにしてもよい。このようにすると、コンデンサの第1主面及び第2主面の両面において、ビア導体部の端部が径方向に拡がるように押し潰され、端部が拡径したビア電極が形成される。この場合、ビア電極の両端において各主面上に設けられた表層電極との接触面積が増し、表層電極とビア電極との密着強度を十分に高めることができる。また、ビア電極の両端においてコンデンサ本体との接触面積が増し、それらの密着性を向上させることができる。
【0018】
準備工程において、未焼成セラミック積層体の主面側に貼り付けられるシートは、50μm以上の厚さを有する樹脂製シートであることが好ましい。このように厚みのあるシートを貼り付けることで、未焼成ビア導体部の端部の突出量を十分に確保することができる。
【0019】
ビア充填工程の後、未焼成セラミック積層体をその積層方向にプレスしてセラミック誘電体層の未焼成セラミック部及び内部電極層の未焼成導体部を圧着させるプレス工程を含んでいてもよい。また、ビア潰し工程では、プレス工程よりも低い圧力で未焼成ビア導体部の端部を押し潰すことが好ましい。このようにすると、未焼成セラミック積層体を均一に圧縮することができ、焼結後のコンデンサ本体における密度バラツキを低く抑えることができる。
【0020】
さらに、ビア潰し工程において、未焼成ビア導体部の端部を、貫通孔の1.5倍以上の直径となるように押し潰すことが好ましい。このようにすると、端部が十分に拡がったビア電極を形成することができるため、ビア電極と表層電極との接触面積を確保することができる。従って、焼成時には、ビア電極と表層電極との間で金属結合が増え、ビア電極と表層電極との密着強度を向上させることができる。
【0021】
焼成工程後に、表層電極に対してめっきを施すことにより突起状導体を形成するめっき工程を行ってもよい。このめっき工程では、100μm以上の厚さを有する突起状導体を形成することがより好ましい。このように、コンデンサにおける表層電極上に突起状導体を形成すると、そのコンデンサを基板内蔵用コンデンサとして用いることができる。具体的には、突起状導体を形成したコンデンサを配線基板に内蔵する場合、突起状導体が配線基板を構成する樹脂絶縁層に噛み込み、コンデンサの位置ずれが防止される。しかも、突起状導体を形成することで、コンデンサと樹脂絶縁層との接触面積が大きくなるため、両者の密着性が向上する。表層電極に対して、突起状導体を形成する前に、表層電極の全表面に対して、電解銅めっきを施しておいてもよい。後述する表面粗化処理を行う際、表層電極の表面が粗化しやすい銅を主体として構成されていることにより、樹脂層間絶縁層との密着性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態の配線基板を示す概略断面図。
【図2】一実施の形態のセラミックコンデンサを示す概略断面図。
【図3】一実施の形態のセラミックコンデンサを示す上面図。
【図4】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図5】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図6】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図7】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図8】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図9】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図10】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図11】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図12】一実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図13】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図16】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図17】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図18】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図19】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図20】一実施の形態の配線基板の製造方法を示す説明図。
【図21】別の実施の形態のセラミックコンデンサを示す概略断図。
【図22】別の実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図23】別の実施の形態のセラミックコンデンサの製造方法の説明図。
【図24】別の実施の形態のセラミックコンデンサを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
図1に示されるように、本実施の形態の配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板である。配線基板10は、ガラスエポキシからなる樹脂コア基板11と、樹脂コア基板11のコア主面12(図1では上面)上に形成される第1ビルドアップ層31と、樹脂コア基板11のコア裏面13(図1では下面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0025】
樹脂コア基板11における複数個所には厚さ方向に貫通するスルーホール用孔15が形成されており、スルーホール用孔15内にはスルーホール導体16が形成されている。スルーホール導体16は、樹脂コア基板11のコア主面12側とコア裏面13側とを接続している。また、樹脂コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。
【0026】
樹脂コア基板11のコア主面12上に形成された第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45が形成される領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。また、樹脂層間絶縁層33内には複数のビア導体43が形成され、樹脂層間絶縁層35内にも複数のビア導体43が形成されている。各ビア導体43は、導体層41,42及び端子パッド44を相互に電気的に接続している。
【0027】
樹脂コア基板11のコア裏面13上に形成された第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。樹脂層間絶縁層34内には複数のビア導体43が形成され、樹脂層間絶縁層36内にも複数のビア導体43が形成されている。樹脂層間絶縁層36の下面上における複数箇所には、ビア導体43を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48がアレイ状に形成されている。また、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードに対して電気的に接続可能な複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
【0028】
樹脂コア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状であり、コア主面12の中央部及びコア裏面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴である。なお、収容穴部90は、四隅に面取り寸法0.1mm以上2.0mm以下の面取り部を有している。そして、収容穴部90内には、セラミックコンデンサ101が、埋め込まれた状態で収容されている。なお、セラミックコンデンサ101は、コンデンサ裏面103をコア主面12と同じ側に向け、かつ、コンデンサ主面102をコア裏面13と同じ側に向けた状態で収容されている。
【0029】
本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状である。セラミックコンデンサ101は、樹脂コア基板11において前記ICチップ搭載領域23の真下の領域に配置されている。なお、ICチップ搭載領域23の面積(ICチップ21において面接続端子22が形成される面の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101の厚さ方向から見た場合、ICチップ搭載領域23は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102内に位置している。
【0030】
収容穴部90の内面と、セラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間は、高分子材料(本実施の形態ではエポキシ等の熱硬化性樹脂)からなる樹脂充填材92によって埋められている。この樹脂充填材92は、セラミックコンデンサ101を樹脂コア基板11に固定する機能を有している。樹脂充填材92は、セラミックコンデンサ101との熱膨張差を緩和するために、シリカ等のセラミック粉が添加されていても良い。また、放熱性を向上させるために、Cu等の金属粉が添加されても良い。
【0031】
以下、本実施の形態のセラミックコンデンサ101の構成について詳述する。図2はセラミックコンデンサ101の断面図であり、図3はコンデンサ主面102側から見たセラミックコンデンサ101の平面図である。
【0032】
図2及び図3に示されるセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサ101は、複数の内部電極層141,142及び複数のセラミック誘電体層105を積層してなるコンデンサ本体104を備えている。より詳しくは、コンデンサ本体104は、1つのコンデンサ主面102(図2では上面)、1つのコンデンサ裏面103(図2では下面)及び4つのコンデンサ側面106を有している。また、コンデンサ本体104には、電極積層部107と、電極積層部107の積層方向の外面を覆うように設けられた2つのカバー層部108とが設けられている。そして、電極積層部107には、複数の内部電極層141,142及び複数のセラミック誘電体層105が積層されている。電極積層部107に形成される内部電極層は電源用内部電極層141とグランド用内部電極層142とを有している。
【0033】
電極積層部107において、セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142間の誘電体(絶縁体)として機能する。つまり、電源用内部電極層141とグランド用内部電極層142とは、セラミック誘電体層105を介して電気的に絶縁されている。また、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、セラミック誘電体層105の積層方向においてセラミック誘電体層105を介して交互に配置されている。電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、いずれもニッケルを主成分として形成されたメタライズ導体である。なお、内部電極層141,142の層数は約100層程度となっている。
【0034】
コンデンサ本体104には、多数の貫通ビア130が形成されている。これらの貫通ビア130は、コンデンサ本体104をその厚さ方向(積層方向)に貫通するとともに、コンデンサ本体104の全面にわたって格子状(アレイ状)に配置されている。各貫通ビア130は、コンデンサ主面102側の開口に向かうに従って拡径するように形成された拡径部135を有している。そして、各貫通ビア130内には、コンデンサ本体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通する複数のコンデンサ内ビア導体131,132(ビア電極)が充填されている。コンデンサ内ビア導体131,132は、ニッケルを主成分とするメタライズ導体により形成されている。
【0035】
各電源用コンデンサ内ビア導体131は、電極積層部107の積層方向に延びて各電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、電極積層部107の積層方向に延びて各グランド用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各電源用コンデンサ内ビア導体131及び各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、全体としてアレイ状に配置されている。なお、図3では、説明の便宜上、コンデンサ内ビア導体131,132を5列×5列で図示したが、実際にはさらに多くの列が存在している。
【0036】
また、本実施の形態では、コンデンサ内ビア導体131,132において、コンデンサ主面102側の端部が主面102から突出している。つまり、コンデンサ内ビア導体131,132の端部は、貫通ビア130の拡径部135内に埋まり込んだ埋設領域136と、コンデンサ主面102から突出し、端面としての表面138(図2では上端面)を有する突設領域137とを有している。突設領域137は、コンデンサ主面102に対して3μm程度の厚さt1を有している。コンデンサ主面102に対する拡径部135の深さt2は5μm程度である。また、拡径部135の外径は約200μmであり、ビア導体131,132の上端面138の外径も約200μmである。なお本実施の形態において、拡径部135以外の部分における貫通ビア130の直径は約100μmに設定されているため、ビア導体131,132の直径も約100μmに設定されている。
【0037】
カバー層部108は、コンデンサ本体104の表層部にて露出するよう配置されている。すなわち、上側のカバー層部108は、電極積層部107の上端面を覆うように設けられ、下側のカバー層部108は、電極積層部107の下端面を覆うように設けられている。各カバー層部108は、複数のセラミック絶縁層150を積層することで形成されている。各セラミック絶縁層150は、電極積層部107におけるセラミック誘電体層105と同じ材料(具体的には、チタン酸バリウム)を用い、電極積層部107のセラミック誘電体層105よりも厚く形成されている。なお、本実施の形態において、セラミック誘電体層105の厚さは3μm程度であり、セラミック絶縁層150の厚さは20μm程度である。
【0038】
コンデンサ主面102となるカバー層部108の上面上には、複数の主面側電源用表層電極111と複数の主面側グランド用表層電極112とが設けられている。主面側電源用表層電極111は、電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されており、主面側グランド用表層電極112は、グランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。本実施の形態では、コンデンサ主面102から突出している各ビア導体131,132の突設領域137の表面138全体を覆うように各表層電極111,112が設けられている。
【0039】
コンデンサ裏面103となるカバー層部108の下面上には、複数の裏面側電源用表層電極121と複数の裏面側グランド用表層電極122とが設けられている。裏面側電源用表層電極121は、電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されており、裏面側グランド用表層電極122は、グランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。なお本実施の形態では、コンデンサ裏面103側からビア導体131,132の端部は突出していない。つまり、ビア導体131,132の下端部は、コンデンサ裏面103と面一となっている。そして、貫通ビア130にて露出しているビア導体131,132の下端面を覆うように各表層電極121,122が設けられている。
【0040】
このように、電源用表層電極111,121は、電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極層141に導通している。また、グランド用表層電極112,122は、グランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極層142に導通している。
【0041】
各表層電極111,112,121,122は、ニッケルを主材料として形成された円形の島状電極であり、銅めっき層152によって全体的に被覆されている。各表層電極111,112,121,122の厚さは10μm程度であり、銅めっき層152の厚さは15μm程度である。また、各表層電極111,112,121,122の直径は約320μmに設定されており、銅めっき層152の直径は約350μmに設定されている。さらに、各表層電極111,112,121,122の銅めっき層152の表面は粗化されており、銅めっき層152の表面の算術平均粗さRaは0.4μmに設定されている。なお、「算術平均粗さRa」とは、JIS B0601で定義されている算術平均粗さRaである。算術平均粗さRaの測定方法はJIS B0651に準じるものとする。
【0042】
コンデンサ主面102側において、各表層電極111,112上には、それぞれ突起状導体50が凸設されている。これら突起状導体50は、コンデンサ内ビア導体131,132と対応する位置に設けられている。各突起状導体50は、銅めっきによって形成された円柱状導体(銅ポスト)である。即ち、突起状導体50は、各表層電極111,112の銅めっき層152と同じ金属材料である銅を主体として円柱状に形成されている。各突起状導体50の直径は、各表層電極111,112の直径(約320μm)よりも小さく、かつ、コンデンサ内ビア導体131,132の直径(約100μm)よりも大きく設定されており、本実施の形態では約250μmに設定されている。また、突起状導体50の高さは、150μm〜200μmに設定されている。さらに、各突起状導体50の表面は粗化されている。突起状導体50の表面の算術平均粗さRaは、銅めっき層152の表面の算術平均粗さRaと等しく、具体的には0.4μmに設定されている。
【0043】
図1に示されるように、コンデンサ主面102側にある表層電極111,112は、突起状導体50、ビア導体43、導体層42、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して、図示しないマザーボードが有する電極に対して電気的に接続される。一方、コンデンサ裏面103側にある表層電極121,122は、ビア導体43、導体層42、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップの面接続端子22を介して、ICチップ21に電気的に接続される。
【0044】
例えば、マザーボード側から表層電極111,112を介して通電を行い、電源用内部電極層141−グランド用内部電極層142間に電圧を加えると、電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、セラミックコンデンサ101がコンデンサとして機能する。また、セラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
【0045】
本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、以下のように作製される。即ち、厚さが5μm程度(焼成後では約3μm)であるセラミックの第1グリーンシート(未焼成セラミック部)を形成するとともに、厚さが30μm程度(焼成後では約20μm)であるセラミックの第2グリーンシートを形成する。そして、第1グリーンシートに内部電極用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に電源用内部電極層141となる電源用内部導体部(未焼成導体部)と、グランド用内部電極層142となるグランド用内部導体部(未焼成導体部)とが形成される。
【0046】
次に、図4に示されるように、電極積層部107に対応する部位では、電源用内部導体部161が形成された第1グリーンシート162とグランド用内部導体部163が形成された第1グリーンシート164とを交互に積層する。また、カバー層部108に対応する部位では、複数の第2グリーンシート165を積層する。なおここでは、コンデンサ主面102側となるカバー層部108の外側に、剥離可能な樹脂シート167を張り合わせておき、その樹脂シート167をベースシートとして利用して各グリーンシート162,164,165を順次積層する。この結果、主面102側の表面に樹脂シート167を張り合わせたグリーンシート積層体169(未焼成セラミック積層体)が形成される(準備工程)。なお、本実施の形態で使用される樹脂シート167は、例えば100μm程度の厚さを有するPET(ポリエチレンテレフタレート)製のシートである。
【0047】
さらに、図5に示されるように、レーザ加工機を用いて樹脂シート167及びグリーンシート積層体169をその積層方向に貫通する貫通ビア130(貫通孔)を多数個形成する。その後、ペースト圧入充填装置(図示略)を用いて、図6に示されるように、ビア導体用ニッケルペーストを各貫通ビア130内に充填して未焼成ビア導体部170を形成する(ビア充填工程)。なお、このビア充填工程で形成される貫通ビア130及び未焼成ビア導体部170のビア径はφ120μmである。また、ビア導体用ニッケルペーストとしては、35体積%のニッケル粉末(平均粒径が2.5μm)と、共素地材料として15体積%のチタン酸バリウム粉末(平均粒径が1.5μm)とを含んだニッケルペーストを用いている。
【0048】
そして、図示しない軟体プレス板(例えば、ゴム製または樹脂製のプレス板)を用い、80℃の温度条件で約1t/cmの押圧力をシート積層方向に1000秒間付与する(プレス工程)。このプレス工程により、グリーンシート積層体169における各グリーンシート162,164,165を圧着して一体化する。
【0049】
プレス工程の後、未焼成ビア導体部170が樹脂シート167から剥がれやすくなるよう溶剤処理を施す。その後、グリーンシート積層体169から樹脂シート167を剥離してグリーンシート積層体169の主面102側から未焼成ビア導体部170の端部を突出させる(図7参照)。なおここで、未焼成ビア導体部170の突出量は45μm程度である(剥離工程)。その後、図示しない剛体プレス板(例えば、金属製プレス板)を用い、80℃の温度条件で約0.2t/cmの押圧力にて60秒間プレスする。この剛体プレス板のプレスによって、未焼成ビア導体部170の端部が面押しされる(ビア潰し工程)。この結果、図8に示されるように、未焼成ビア導体部170の端部が主面102上にて径方向に押し拡げられるとともに、その一部がカバー層部108の内側に入り込む。このとき、貫通ビア130の主面側開口にすり鉢状に拡径した拡径部135が形成される。なお、未焼成ビア導体部170において拡径した端部のビア径はφ230μmである。また、主面102からの突出量は5μmであり、カバー層部108の内側への入り込み量は7μmである。
【0050】
次に、図9に示されるように、カバー層部108の表面となるグリーンシート積層体169の主面102上に表層電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体169の主面102側にて未焼成ビア導体部170の上端面全体を覆うように円形の未焼成表層導体部171をパターン形成する(表層電極形成工程)。この未焼成表層導体部171は、主面側電源用表層電極111及び主面側グランド用表層電極112となる導体部である。また、図9に示されるように、グリーンシート積層体169の裏面103上に表層電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体169の裏面103側にて貫通ビア130内の未焼成ビア導体部170の下端面全体を覆うように円形の未焼成表層導体部172をパターン形成する。この未焼成表層導体部172は、裏面側電源用表層電極121及び裏面側グランド用表層電極122となる導体部である。なお、各未焼成表層導体部171,172は、直径がφ380μm、厚さが15μmとなるよう印刷される。また、表層電極用ニッケルペーストとしては、22体積%のニッケル粉末(平均粒径が2.5μm)と、共素地材料として10体積%のチタン酸バリウム粉末(平均粒径が0.1μm)とを含んだニッケルペーストを用いている。
【0051】
各表層導体部171,172の印刷後、グリーンシート積層体169の乾燥を行い、各表層導体部171,172をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体169を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う(焼成工程)。その結果、グリーンシート積層体169のチタン酸バリウム及びペースト中のニッケルが同時焼結し、セラミック焼結体104Aとなる(図10参照)。具体的には、この焼成工程において、グリーンシート積層体169における各内部導体部161,163、各グリーンシート162,164,165、未焼成ビア導体部170、未焼成表層導体部171,172が焼成されて、内部電極層141,142、セラミック誘電体層105、セラミック絶縁層150、ビア導体131,132、表層電極111,112,121,122が形成される。なお、セラミック焼結体104Aは、コンデンサ本体104となるべき製品領域が平面方向に沿って縦横に複数配列され、それら製品領域を分割するためのブレイク溝(図示略)が形成された多数個取り用セラミック基板である。
【0052】
セラミック焼結体104Aの焼成時には、各表層電極111,112,121,122の表面が酸化されるため、その表面にはニッケル酸化物が形成される。また、各表層電極111,112,121,122の表面の一部にはチタン酸バリウムの粒体が露出している。このため、本実施の形態では、各表層電極111,112,121,122に対してジェットスクラブ研磨を行う。ここでは、水に研磨材(例えば、アルミナの砥粒)を含ませた処理液をジェットスクラブ装置(図示略)から所定の圧力(例えば、0.2MPa)で各表層電極111,112,121,122の表面に噴射する。このとき、研磨材が表層電極111,112,121,122の表面にぶつかり、その表面に存在するチタン酸バリウム及びニッケル酸化物が選択的に除去される。この結果、各表層電極111,112,121,122の表面における銅めっきの密着性が向上する。
【0053】
そして、各表層電極111,112,121,122に対して電解銅めっき(厚さ15μm程度)を行う。その結果、各表層電極111,112,121,122の上に銅めっき層152が形成される(図11参照)。
【0054】
次に、セラミック焼結体104Aのコンデンサ主面102上に、感光性を有する厚さ200μmのネガ型フォトレジストフィルムをラミネートする。そして、フォトレジストフィルムの露光及び現像を行い、表層電極111,112を露出させる開口部を有するめっきレジストを形成する。そして、図12に示されるように、めっきレジスト175を介して表層電極111,112上に対する電解銅めっきを行うことで突起状導体50を形成する(めっき工程)。さらに、コンデンサ主面102上のめっきレジスト175を除去する。その結果、表層電極111,112上に、高さ150μm以上200μm以下の突起状導体50が形成される。さらに、セラミック焼結体104Aのブレイク溝で各製品領域を分割することにより、複数個のセラミックコンデンサ101が完成する。
【0055】
次に、本実施の形態の配線基板10の製造方法について述べる。
【0056】
まず、基材の両面に銅箔(厚さ50μm程度)が貼付された銅張積層板を準備する。そして、ドリル機を用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板の表裏面を貫通する貫通孔を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板の基材は、後にコア基板11となる部分であり、ガラスエポキシ樹脂にて形成されている。そして、銅張積層板の貫通孔の内面に対する無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、貫通孔内にスルーホール導体16を形成する。次に、銅張積層板の両面上にドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、銅張積層板の両面に所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、銅張積層板上の銅箔及び銅めっき層に対してエッチングによるパターニングを行うことにより、コア基板11となる基材の両面にスルーホール導体16に繋がる導体層41を形成する。その後、エッチングレジストを除去する。さらに、図13に示されるように、コア基板11に対して、ルータ加工を行うことにより、コア主面12及びコア裏面13にて開口する収容穴部90を形成する。以上のコア基板準備工程を行うことで、収容穴部90、スルーホール導体16及び導体層41を有するコア基板11を準備する。
【0057】
そして、剥離可能な粘着テープ180をコア基板11のコア主面12側に貼り付け、収容穴部90のコア主面側開口をシールする(図14参照)。その後、マウント装置を用いて、コア主面12とコンデンサ裏面103とを同じ側に向け、かつ、コア裏面13とコンデンサ主面102とを同じ側に向けた状態で収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収容する(図15参照)。このとき、粘着テープ180の粘着面に、セラミックコンデンサ101が貼り付けられて仮固定される。さらに、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102側の表層電極111,112、突起状導体50、及びコア裏面13側の導体層41の表面を粗化する表面粗化処理を行う。
【0058】
その後、コア基板11のコア裏面13及びセラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102にエポキシ樹脂を主成分とするシート状のビルドアップ材を重ね合わせるようにして配置する。そして、真空圧着熱プレス機(図示しない)を用いて真空下にて加圧加熱する。このとき、収容穴部90の内壁面とセラミックコンデンサ101の側面との隙間にビルドアップ材181の一部を落とし込んで、その隙間を埋める(図16参照)。なおここで、収容穴部90とセラミックコンデンサ101との隙間を埋めるビルドアップ材181の一部が樹脂充填材92となる。
【0059】
このようにして、セラミックコンデンサ101をコア基板11に固定した後、例えばベルトサンダー装置を用いてビルドアップ材181の表面を研磨する(表面研磨工程)。この研磨により、コア裏面13の導体層41表面と、コンデンサ101のコンデンサ主面102の突起状導体50表面とを露出させる(図17参照)。その後、コア主面12側及びコンデンサ裏面103側から粘着テープ180を剥離する。さらに、コア主面12側及びコア裏面13側の導体層41、セラミックコンデンサ101の表層電極121,122及び突起状導体50に対して表面粗化処理を行う。その後、コア主面12側とコア裏面13側とに、エポキシ樹脂を主成分とするシート状の樹脂層間絶縁層33,34を貼り付け、樹脂層間絶縁層33,34をある程度硬化させる。
【0060】
そして、例えばエキシマレーザやUVレーザやCOレーザなどを用いてレーザ加工を施すことによって、樹脂層間絶縁層33,34の所定の位置にビア穴183を形成する(図18参照)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴183内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0061】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっきを行うことで、各ビア穴183内及び樹脂層間絶縁層33,34の表面に全面めっき層を形成する。そして、樹脂層間絶縁層33,34にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。この結果、ビア穴183や導体層42の形成位置に開口部を有する所定パターンのめっきレジストを樹脂層間絶縁層33,34の表面に形成する。
【0062】
その後、めっきレジストを形成した状態で選択的に電解銅めっきを行う。そして、めっきレジストを樹脂層間絶縁層33,34から剥離した後、エッチングを行い、全面めっき層を除去する。この結果、樹脂層間絶縁層33,34にビア導体43が形成されるとともに、そのビア導体43に繋がる導体層42が樹脂層間絶縁層33,34の上に形成される(図19参照)。
【0063】
また、他の樹脂層間絶縁層35,36、導体層42、及び各端子パッド44,48についても、上述した樹脂層間絶縁層33,34及び導体層42と同様の手法によって形成し、樹脂層間絶縁層33,34上に積層する。次に、樹脂層間絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部46,40をパターニングする。以上の工程を経ることで図20の配線基板10が製造される。
【0064】
本発明者らは、上記製造方法で作製した実施例のセラミックコンデンサ101について、突起状導体50(銅ポスト)のシェア試験による強度と破壊モードとを確認した。その確認結果を表1に示している。また、比較例として、実施の形態の場合よりも薄い樹脂シート(厚さが30μmのPET製シート)を用いてビア充填工程まで同様に実施し、ビア潰し工程を省略してセラミックコンデンサを作製した。そして、比較例のセラミックコンデンサについてもシェア試験による強度と破壊モードとを確認した。その確認結果を表1に示している。なお、シェア試験はそれぞれ25個のセラミックコンデンサ101について行い、シェア強度は25個の平均値として測定した。また、破壊モードとしては、25個のコンデンサ101について破壊箇所を観察し、破壊箇所として表層電極111,112とカバー層部108との界面、カバー層部108内側のセラミック部分(セラえぐれ)、突起状導体部50(ポスト破断)にて区分して、それぞれの割合を確認した。
【0065】
さらに、上記配線基板10の製造方法に従って、実施例及び比較例のセラミックコンデンサ101を配線基板10に内蔵し、その際に発生する表層電極111,112の電極剥がれの有無を確認した。具体的には、配線基板10の製造時において、実施例及び比較例のセラミックコンデンサ101をコア基板11の収容穴部90に収容した後、表面研磨工程を行う。この表面研磨工程を実施した製造途中のサンプルについて、断面観察を行い表層電極111,112の剥がれの有無を確認した。その確認結果を表1に示している。
【表1】

【0066】
実施例のセラミックコンデンサ101では、ビア潰し工程を行うことでビア導体131,132と表層電極111,112との接触面積が増し、密着強度が向上する。このため、表1に示されるように、突起状導体50に対するシェア強度は、実施例の場合において1050gであり、比較例の場合の580gよりも十分に高くなった。また、比較例のセラミックコンデンサでは、ビア導体131,132と表層電極111,112との接触面積が少ないため、シェア試験時における破壊は、表層電極111,112とカバー層部108との界面で起き易くなる。具体的には、表層電極111,112とカバー層部108との界面での破壊モードは、比較例の場合では64%(25個中の16個の割合)であり、他の破壊モード(セラえぐれやポスト破断)よりも高い確率で起こっている。これに対して、実施例のセラミックコンデンサ101では、ビア導体131,132と表層電極111,112との密着強度が増すため、表層電極111,112とカバー層部108との界面での破壊モードの確率は0%となり、表層電極111,112とカバー層部108との界面では破壊されなくなった。
【0067】
また、比較例のセラミックコンデンサを用いる場合、基板内蔵時に表層電極111,112の剥がれは37%の確率で起こっていた。これに対して、実施例のセラミックコンデンサ101を用いる場合、基板内蔵時における表層電極111,112の剥がれが起こることなく、配線基板10の信頼性を高めることができた。
【0068】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施の形態のセラミックコンデンサ101では、コンデンサ主面102側の開口が拡径した拡径部135を有する貫通ビア130が形成され、その拡径部135を含む貫通ビア130内にビア導体131,132が形成される。この場合、コンデンサ主面102側においてビア導体131,132とコンデンサ本体104(カバー層部108のセラミック絶縁層150)との接触面積が増してビア導体131,132の密着強度が向上される。この結果、ビア導体131,132とセラミック絶縁層150との界面から水分などがコンデンサ101内に入り込むことを防止することができる。また、ビア導体131,132の端部は径方向に拡がっており、その端部における突設領域137(上端面138)全体を覆うように表層電極111,112が設けられているので、ビア導体131,132と表層電極111,112との接触面積が増す。この結果、焼成時におけるビア導体131−表層電極111間、及びビア導体132−表層電極112間での金属結合が増え、ビア導体131,132と表層電極111,112との密着強度を十分に高めることができる。従って、基板内蔵時の表面研磨工程において、突起状導体50を介して各表層電極111,112に応力がかかったとしても、ビア導体131,132と表層電極111,112との界面で電極剥がれが起きるといった問題を回避することができる。
【0070】
(2)本実施の形態のセラミックコンデンサ101では、ビア導体131,132と表層電極111,112とは、ニッケルペーストを焼結してなるメタライズ導体によって形成されている。この場合、焼成時におけるビア導体131,132と表層電極111,112との熱収縮差を抑えることができ、ビア導体131,132と表層電極111,112との密着性を十分に確保することができる。また、表層電極111,112及びビア導体131,132の材料コストを低く抑えることができる。
【0071】
(3)本実施の形態の場合、グリーンシート積層体169の主面102側に樹脂シート167を重ね合わせた状態でビア充填工程を行い、グリーンシート積層体169の主面102側から樹脂シート167を剥がすことで未焼成ビア導体部170の端部を突出させている。そして、ビア潰し工程において未焼成ビア導体部170の端部が主面102上にて径方向に拡がるように面押しされる。このようにすると、従来技術のように蓋部を形成することなく、端部が拡径したビア導体131,132を形成することができる。このため、セラミックコンデンサ101の製造コストを抑えることができる。
【0072】
(4)本実施の形態では、プレス工程において比較的高い押圧力により各グリーンシート162,164,165を圧着して一体化した後、ビア潰し工程では、プレス工程よりも低い押圧力にて未焼成ビア導体部170の端部を押し潰している。このようにすると、グリーンシート積層体169の各グリーンシート162,164,165を均一に圧縮することができ、セラミック焼結体104Aにおける密度バラツキを低く抑えることができる。また、ビア潰し工程において、未焼成ビア導体部170の端部を、貫通ビア130のビア径(120μmの直径)に対して1.5倍以上の直径(具体的には、230μmの直径)となるよう押し潰している。このようにすると、端部が十分に拡がったビア導体131,132を形成することができる。このため、ビア導体131,132と表層電極111,112との間で金属結合が増え、ビア導体131,132と表層電極111,112との密着強度を向上させることができる。
【0073】
(5)本実施の形態のセラミックコンデンサ101では、表層電極111,112に対してめっきを施すことにより突起状導体50が形成されている。このセラミックコンデンサ101を配線基板10に内蔵すると、突起状導体50が配線基板10を構成する樹脂層間絶縁層34や樹脂充填材92に噛み込み、セラミックコンデンサ101の位置ずれが防止される。しかも、突起状導体50を形成することで、セラミックコンデンサ101と樹脂充填材92との接触面積が大きくなるため、両者の密着性が向上する。
【0074】
(6)本実施の形態のセラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置されている。また、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。このようにすると、コンデンサ101におけるインダクタンス成分の低減化が図られ、ノイズ吸収や電源変動平滑化のための高速電源供給が可能となる。また、コンデンサ全体の小型化が図りやすい。さらに、小さい割りに高静電容量が達成しやすく、より安定した電源供給が可能となる。
【0075】
(7)本実施の形態の配線基板10では、セラミックコンデンサ101がICチップ搭載領域23に搭載されたICチップ21の直下に配置されるため、セラミックコンデンサ101とICチップ21とをつなぐ配線が短くなり、配線のインダクタンス成分の増加が防止される。従って、セラミックコンデンサ101によるICチップ21のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサ101との間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。
【0076】
(8)本実施の形態の配線基板10では、ICチップ搭載領域23がセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しているため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21は高剛性で熱膨張率が小さいセラミックコンデンサ101によって支持される。よって、ICチップ搭載領域23においては、第1ビルドアップ層31が変形しにくくなるため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21をより安定的に支持できる。従って、大きな熱応力に起因するICチップ21のクラックや接続不良を防止することができる。ゆえに、ICチップ21として、熱膨張差による応力(歪)が大きくなり熱応力の影響が大きく、かつ発熱量が大きく使用時の熱衝撃が厳しい10mm角以上の大型のICチップや、脆いとされるLow−k(低誘電率)のICチップを用いることができる。
【0077】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0078】
・上記実施の形態のセラミックコンデンサ101では、コンデンサ主面102側の表層電極111,112上に突起状導体50を設けるものであったが、これに限定されるものではない。図21に示されるセラミックコンデンサ101Aのように、コンデンサ主面102側の表層電極111,112上に加えて、コンデンサ裏面103側の表層電極121,122上にも突起状導体50を設けるようにしてもよい。また、このセラミックコンデンサ101Aでは、貫通ビア130において、主面102側の開口に加えて裏面103側の開口にも拡径部135が設けられている。さらに、ビア導体132,132における裏面103側の端部は、主面103側の端部と同様に、貫通ビア130の拡径部135に埋まり込んだ埋設領域136と、コンデンサ裏面103ら突出した突設領域137とを有している。
【0079】
セラミックコンデンサ101Aを製造する場合、図22に示されるように、主面102側及び裏面103側の両面に樹脂シート167を張り合わせたグリーンシート積層体169を準備する(準備工程)。その後、ビア充填工程を行って未焼成ビア導体部170を形成した後、各樹脂シート167を剥離してグリーンシート積層体169の主面102側及び裏面103側から未焼成ビア導体部170の端部を突出させる(図23参照)。さらに、主面102及び裏面103の両面について同時にビア潰し工程を行って、未焼成ビア導体部170の両端部を径方向に押し広げる。そして、表層電極形成工程を行うことによって、グリーンシート積層体169の主面102側にて未焼成ビア導体部170の上端面全体を覆うように円形の未焼成表層導体部171をパターン形成するとともに、裏面103側にて未焼成ビア導体部170の下端面全体を覆うように円形の表層導体部172をパターン形成する。この後、上記実施の形態と同様に、グリーンシート積層体169を焼成する焼成工程、突起状導体50を形成するめっき工程等を行い、図21のセラミックコンデンサ101Aを製造する。
【0080】
このセラミックコンデンサ101Aでは、コンデンサ主面102側開口及びコンデンサ裏面103側開口が拡径した拡径部135を有する貫通ビア130が形成され、その貫通ビア130内にビア導体131,132が形成される。この場合、コンデンサ主面102側及びコンデンサ裏面103側においてビア導体131,132とコンデンサ本体104(セラミック絶縁層150)との接触面積が増してビア導体131,132の密着性が向上される。また、コンデンサ主面102側及びコンデンサ裏面103側において、ビア導体131,132と表層電極111,112,121,122との接触面積が増す。よって、ビア導体131,132と表層電極111,112,121,122との密着強度を十分に高めることができる。
【0081】
・上記実施の形態のセラミックコンデンサ101,101Aにおいて、各表層電極111,112,121,122は、円形の島状電極であったが、表層電極111,112,121,122の形状は適宜変更することができる。例えば、図24に示されるセラミックコンデンサ101Bのように、電源用表層電極111を円形の島状電極として形成し、グランド用表層電極112Aを島状電極よりも面積が大きいプレーン電極として形成してもよい。なお、グランド用表層電極112Aは、各表層電極111を取り囲むように形成されており、各表層電極111と表層電極112Aとの間には、所定の幅を有する円環状のクリアランス116が設けられている。
【0082】
・上記実施の形態のセラミックコンデンサ101,101A,101Bでは、表層電極111,112,121,122に突起状導体50が形成されていたが、突起状導体50を省略したコンデンサとして具体化してもよい。
【0083】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0084】
(1)手段2において、前記シートは、50μm以上の厚さを有する樹脂製シートであることを特徴とするコンデンサの製造方法。
【0085】
(2)手段2において、前記焼成工程後に前記表層電極に対してめっきを施すことにより100μm以上の厚さを有する突起状導体を形成するめっき工程をさらに含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【0086】
(3)手段2において、前記ビア潰し工程において、前記未焼成ビア導体部の端部を、前記貫通孔の1.5倍以上の直径となるように押し潰すことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【0087】
(4)手段2において、前記ビア充填工程の後、前記未焼成セラミック積層体をその積層方向にプレスして前記未焼成セラミック部及び前記未焼成導体部を圧着させるプレス工程を含み、前記ビア潰し工程では、前記プレス工程よりも低い圧力で前記未焼成ビア導体部の端部を押し潰すようにしたことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【符号の説明】
【0088】
50…突起状導体
101,101A,101B…セラミックコンデンサ
102…第1主面としてのコンデンサ主面
103…第2主面としてのコンデンサ裏面
104…コンデンサ本体
105…セラミック誘電体層
111…表層電極としての主面側電源用表層電極
112,112A…表層電極としての主面側グランド用表層電極
121…表層電極としての裏面側電源用表層電極
122…表層電極としての裏面側グランド用表層電極
131…ビア電極としての電源用コンデンサ内ビア導体
132…ビア電極としてのグランド用コンデンサ内ビア導体
135…拡径部
136…埋設領域
137…突設領域
138…端面としての表面
141…内部電極層としての電源用内部電極層
142…内部電極層としてのグランド用内部電極層
161…未焼成導体部としての電源用内部導体部
162,164…未焼成セラミック部としての第1グリーンシート
163…未焼成導体部としてのグランド用内部導体部
167…剥離可能なシートとしての樹脂シート
169…未焼成セラミック積層体としてのグリーンシート積層体
170…未焼成ビア導体部
171,172…未焼成表層導体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの主面を有し、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層を積層してなるコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の積層方向に延びて前記複数の内部電極層に接続された複数のビア電極と、前記主面上に設けられ、前記ビア電極の端部に接続される表層電極とを備えたコンデンサであって、
前記ビア電極は、前記コンデンサ本体を積層方向に貫通し、前記主面側の開口に向かうに従って拡径するように形成された拡径部を有する貫通ビア内を充填して形成され、
前記表層電極は、前記ビア電極の前記主面側の端面全体を覆うように設けられている
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記ビア電極の端部は、前記貫通ビアの前記拡径部内に埋まり込んだ埋設領域と、前記主面から突出し、前記端面としての表面を有する突設領域とを有することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記ビア電極と前記表層電極とは同種の金属を含んで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
少なくとも1つの主面を有し、複数のセラミック誘電体層及び複数の内部電極層を積層してなるコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の積層方向に延びて前記複数の内部電極層に接続された複数のビア電極と、前記主面上に設けられ、前記ビア電極の端部に接続された表層電極とを備えたコンデンサの製造方法であって、
前記内部電極層となる未焼成導体部及び前記セラミック誘電体層となる未焼成セラミック部を積層して多層化した構造を有し、前記主面側となる表面に剥離可能なシートを張り合わせた未焼成セラミック積層体を準備する準備工程と、
前記シート及び前記未焼成セラミック積層体をその積層方向に貫通する貫通孔を形成するとともにその貫通孔内に前記ビア電極となる未焼成ビア導体部を充填するビア充填工程と、
前記未焼成セラミック積層体から前記シートを剥離し、前記未焼成セラミック積層体の主面側から前記未焼成ビア導体部の端部を突出させる剥離工程と、
そのビア導体部の端部が前記主面上にて径方向に拡がるように面押しするビア潰し工程と、
前記表層電極となる未焼成表層導体部を、前記主面側から露出している前記未焼成ビア導体部の端面全体を覆うように形成する表層電極形成工程と、
前記未焼成セラミック積層体を焼結させて、前記内部電極層、前記セラミック誘電体層、前記ビア電極及び前記表層電極を形成する焼成工程と
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項5】
前記準備工程では、第1主面とその裏面側に位置する第2主面とを有し、前記第1主面及び前記第2主面の両面に前記シートを張り合わせた前記未焼成セラミック積層体を準備し、
その後、前記第1主面及び前記第2主面の両面について同時に前記ビア潰し工程及び前記表層電極形成工程を行う
ことを特徴とする請求項4に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記焼成工程後に前記表層電極に対してめっきを施すことにより突起状導体を形成するめっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載のコンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−62291(P2013−62291A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198191(P2011−198191)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】