説明

コンビネーションスイッチ

【課題】任意の操作感を有する無接点のコンビネーションスイッチを提供することにある。
【解決手段】磁石10Aと磁性体10Bが引き合うため、レバー1Bを操作することで、作用部材10は、レバー1Bの動きを弾性部材11に伝達して、弾性部材11を変形させる。力センサ12は、弾性部材11の変位を検知し、支持板3A、およびPCB3を介して外部に検知した変位に基づいた信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビネーションスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、無接点でレバー動作を検知できるコンビネーションスイッチが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1のコンビネーションスイッチは、支持基板と、支持基板に対して垂直に配置されて一端が支持基板に結合される操作用のレバーと、レバーの中間部側面に固着された少なくとも1対の歪みゲージとを有し、歪みゲージは、レバーの歪みを検知して電気信号として出力する。歪みゲージをレバーに直接固着したことにより、無接点でレバーの歪みを高感度に検知することができる。
【特許文献1】特開平7−302161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコンビネーションスイッチによると、レバーの操作感は、レバーの材質で決まり、レバーの操作感を変更するためにレバーの材質を変更した場合は、レバーの歪み量が変わるために歪みゲージの配置を変更する必要があり、新たにレバーの設計をする必要があるため、生産性が良くない。
【0005】
従って、本発明の目的は、容易に任意の操作感を設定できる無接点のコンビネーションスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記目的を達成するため、一端に磁性体を有するレバーと、前記レバーの前記磁性体と作用して動作する作用部材と、前記作用部材の動作に基づき変形する弾性部材と、前記弾性部材内に配置され、前記弾性部材の変位を検知する力センサとを有することを特徴とするコンビネーションスイッチを提供する。
【0007】
上記した構成によれば、磁性体を用いてレバーの動きを力センサに伝達しているため、レバーが独立して配置され、レバーに任意の操作感を設定することができる。
【0008】
(2)また、本発明は上記目的を達成するため、一端に磁性体を有するレバーと、前記レバーの前記磁性体と作用して動作する作用部材と、前記作用部材の動作を検知する力センサとを有することを特徴とするコンビネーションスイッチを提供する。
【0009】
上記した構成によれば、(1)と同様の効果を達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容易に無接点コンビネーションスイッチの操作感を変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明のコンビネーションスイッチの実施の形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
(コンビネーションスイッチの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略斜視図である。
【0013】
コンビネーションスイッチCは、自動車のハンドル7付近の、カバー6内に設置される。コンビネーションスイッチCは、PCB(Print Circuit Board)3上に設けられ、ワイパーやワイパーウォッシャーノズル等の動作をスイッチ制御する第1レバーコンビネーションスイッチ1、またはウインカーやライトの点灯をスイッチ制御する第2レバーコンビネーションスイッチである。PCB3は、ハンドル7の操舵角を検出するハンドル角センサ4と、ハンドル7のコネクタ7aと接続されるコネクタ5と、後述するECU(Electronic Control Unit)に接続するためのコネクタ8とを有する。
【0014】
第1レバーコンビネーションスイッチと第2レバーコンビネーションスイッチとは、スイッチ制御する対象が異なるが、構成は同一であるので、以下においては代表して、第1レバーコンビネーションスイッチについて説明する。
【0015】
第1レバーコンビネーションスイッチ1は、レバー支点1Aを中心として回動可能なレバー1Bを有し、レバー1Bの一端に回転スイッチ13を有する。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略図である。
【0017】
第1レバーコンビネーションスイッチ1は、回動孔1Aをカバー6から突出する回動軸ピン60に挿入することで回動可能となるレバー1Bと、レバー1Bの一端に設けられた長方形状を有する磁石10Aと、コの字型を有し一端に長方形状を有する磁性体10Bを有する作用部材10と、作用部材10に接するように形成されるシリコーン樹脂からなる弾性部材11と、弾性部材11に埋設されて弾性部材11の歪みを検知する力センサ12とを有する。
【0018】
レバー1Bは、穴部10a〜10eを有し、カバー6から突出するボールストッパ61a、およびバネ61bを介してボール61cと嵌合することで、段階的に回動する。レバー1Bは、図2の上下方向に10〜15°の角度で回動可能である。また、レバー1Bは、図示しない一端に回転スイッチを有し、回転スイッチは回動軸13Aに接続されている。回転スイッチを回転させることで回動軸13Aが回転し、磁石10Aが回転する。磁石10Aの回転は磁性体10Bに伝達し、作用部材10を動かせる。
【0019】
磁石10Aに対して磁性体10Bは、互いに引き合う性質を有する。作用部材10は、その動作をストッパ10Cにより制限される。
【0020】
弾性部材11は、例えば、シリコーン樹脂等の弾性材料を用いて形成されており、奥行き、幅、および厚さともに1〜2cm程度である。弾性部材11、および力センサ12は、PCB3上に設置された支持板3A上に配置される。
【0021】
レバー1Bを操作することで、作用部材10は、レバー1Bの動きを弾性部材11に伝達して、弾性部材11を変形させる。力センサ12は、弾性部材11の変位を検知し、支持板3A、およびPCB3を介して外部に検知した変位に基づいた信号を出力する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの詳細を示す概略図である。
【0023】
力センサ12は、中央部に凹部を有し、凹部に円柱状の力検知部12aを有したマス12bを配するダイヤフラム形状である。マス12bは、4本の歪みゲージ12cによって凹部中央に支持される。力センサ12は、5×5mm程度のサイズを有する。
【0024】
力検知部12aは、弾性部材11の変位に追従して動き、力検知部12aの動きはマス12bを介して4つの歪みゲージ12cに伝達する。歪みゲージ12cは、それぞれ歪みに基づいた抵抗を発生するピエゾ抵抗素子であり、外部から一定電圧を入力してやることで、抵抗に比例した電圧を出力する。力検知部12aが検知可能な変位は約数百μmであり、前後、左右、上下方向の他、回転方向の変位を検知可能である。
【0025】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの構成を示すブロック図である。
【0026】
力センサ12の4つの歪みゲージ12cは、それぞれ独立しており、それぞれ歪みに基づいた電圧を出力する。歪みゲージ12cが出力した電圧は、ECU15に入力され、ECU15内で解析され、レバー1Bの動きが特定される。ECU15は、内蔵した記憶部150に操作信号テーブル(後述)を有し、解析結果としてのレバー1Bの動きと照合し、照合結果を操作命令としてワイパー駆動系16へと送信する。ワイパー駆動系16は、操作命令に従って動作する。
【0027】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る操作信号テーブルの例を示す表である。
【0028】
操作信号テーブル150は、レバー1Bの位置に対応して、ワイパー動作を定義している。例えば、ECU15が力センサ12の出力を解析した結果、レバー1Bの作用部材10が穴部10aの位置にあると判断した場合、ECU15は、操作信号テーブル150を参照し、ワイパー駆動系16に対してワイパー動作「停止」の操作信号を出力する。
【0029】
作用部材10が穴10cの位置にある場合、ECU15は、操作信号テーブル150を参照し、ワイパー駆動系16に対してワイパーが1秒間隔で動作する操作信号を出力する。
【0030】
(動作)
以下に、本発明の第1の実施の形態におけるコンビネーションスイッチの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0031】
運転手がレバー1Bを操作することにより、レバー1Bは、レバー支点1Aを中心に回転し、ボールストッパ61aにバネ61bを介して取り付けられたボール61cが、穴部10a〜10eに嵌合することで、段階的に回動する。作用部材10は、磁石10A、および磁性体10Bを介してレバー1Bの動作が伝達し、穴部10a〜10eの位置に対応して、弾性部材11を変形する。
【0032】
力センサ12は、弾性部材11の変位を検知し、力センサ12の歪みゲージ12cは、自らの歪みを電圧として出力し、出力された電圧信号はECU15に入力される。
【0033】
ECU15は、複数の歪みゲージ12cから入力された電圧信号を、解析し、レバー1Bの位置を特定する。
【0034】
次に、ECU15は、特定したレバー1Bの位置と操作信号テーブル150とを比較して、ワイパー駆動系16に操作信号を出力する。ワイパー駆動系16は、入力された操作信号に基づいて動作する。
【0035】
図6の(a)および(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの動作を示す概略図である。
【0036】
図6(a)は、レバー1Bを操作して、ボール61cが穴部10bに嵌合している状態を示す。レバー1Bを操作することで、レバー1Bが回転し、磁石10Aに追従するように磁性体10Bが移動する。磁性体10Bの移動に合わせて、作用部材10と弾性部材11が変形する。弾性部材11の変位に合わせて力検知部12aが動き、力検知部12aの動きは歪みゲージ12cに伝達する。同様に、図6(b)は、ボール61cが穴部10aに嵌合している状態を示す。
【0037】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、レバー1Bの動きを弾性部材11を介して力センサ12に伝達するため、無接点でレバーの動きを検知可能であるだけでなく、回動孔1Aと回動軸ピン60との材質等を変更し、摩擦係数を変更することでレバー1Bの操作感を容易に変更可能である。
【0038】
なお、レバー1Bの回動方向は一方向に限らず、二方向の回動を組み合わせて操作するものとしてもよい。
【0039】
〔第2の実施の形態〕
(コンビネーションスイッチの構成)
図7は、本発明の第2実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成および機能を有する部分については共通の符号を付している。
【0040】
第1レバーコンビネーションスイッチ1は、回動孔1Aをカバー6から突出する回動軸ピン60に挿入することで回動可能となるレバー1Bと、レバー1Bの一端に設けられた磁石10D、および磁石10Eと、コの字型を有し一端に磁性体10F、および磁性体10Gを有する作用部材10と、作用部材10の動きを検知する力センサ12とを有する。
【0041】
磁石10Dと磁性体10F、また磁石10Eと磁性体10Gは、互いに引き合う性質を有する。作用部材10は、その動作をストッパ10Cにより制限される。
【0042】
レバー1Bは、内部に回転軸13Aを有し、回転軸13Aの一端は、回転スイッチ13に接続され、他端は磁石10D、および磁石10Eに接続されている。
【0043】
レバー1Bを操作することで、レバー1Bの動きを磁石10D、および磁石10Eが磁性体10F、および磁性体10Gに伝達し、作用部材10を動作させる。作用部材10は、弾性部材11を変形させる。また、同様に、回転スイッチ13を操作することで、弾性部材11を捻るように変形させる。力センサ12は、弾性部材11の変位を検知し、支持板3A、およびPCB3を介して外部に検知した変位に基づいた信号を出力する。
【0044】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの詳細を示す概略図である。
【0045】
レバー1Bの作用部材10は、力センサ12の力検知部12aに取り付けられており、レバー1Bの動作を力検知部12aに伝達する。また、回転軸13Aは、磁石D、および磁石Eに接続されており、磁石D、および磁石Eを回転させて、作用部材10を回転させることで力センサ12に動作を伝達する。
【0046】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る操作信号テーブルの例を示す表である。
【0047】
回転スイッチ13が後述するBの方向に回転されている場合、ECU15は、操作信号テーブル150を参照し、ワイパー駆動系16に対してワイパーウォッシャノズルから噴射するよう操作信号を出力する。
【0048】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態におけるコンビネーションスイッチの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0049】
図10の(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの動作を示す概略図である。
【0050】
図10(a)は、レバー1Bを操作して、ボール61cが穴部10bに嵌合している状態を示す。レバー1Bを操作することで、磁石10D、および磁石10Eに引きつけられるように作用部材10が変位する。作用部材10の変位に合わせて力検知部12aが動き、力検知部12aの動きは歪みゲージ12cに伝達する。同様に、図10(b)は、ボール61cが穴部10aに嵌合している状態を示す。
【0051】
図10(c)は、回転スイッチ13をB方向に回転した状態を示している。回転スイッチ13をB方向に回転することによって、回転軸13Aが回転し、磁石10D、および磁石10Eを同様にB方向に回転させる。磁石10D、および磁石10Eの回転に対し、磁性体F、および磁性体Gが追従して作用部材10を捩らせる。作用部材10の捩れに合わせて力検知部12aが回転し、力検知部12aの回転は歪みゲージ12cに歪みとして伝達する。
【0052】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によると、第1の実施の形態の効果に加え、回転スイッチ13の回転動作を力センサ12に伝達することができ、操作の種類を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの詳細を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る操作信号テーブルの例を示す表である。
【図6】(a)および(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの動作を示す概略図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係るコンビネーションスイッチを示す概略図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの詳細を示す概略図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る操作信号テーブルの例を示す表である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るコンビネーションスイッチの動作を示す概略図である。
【符号の説明】
【0054】
C…コンビネーションスイッチ、1…第1レバーコンビネーションスイッチ、1A…レバー支点(回動孔)、1B…レバー、1A…回動孔、2…第2レバーコンビネーションスイッチ、2A…レバー支点、3…PCB、3A…支持板、4…ハンドル角センサ、5…コネクタ、6…カバー、7…ハンドル、7a…コネクタ、8…コネクタ、10…作用部材、10a−10e…穴部、10A…磁石、10B…磁性体、10C…ストッパ、10D…磁石、10E…磁石、10F…磁性体、10G…磁性体、11…弾性部材、12…力センサ、12a…力検知部、12b…マス、12c…歪みゲージ、13…回転スイッチ、13A…回転軸、15…ECU、16…ワイパー駆動系、60…回動軸ピン、61a…ボールストッパ、61b…バネ、61c…ボール、150…記憶部(操作信号テーブル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に磁石を有するレバーと、
前記レバーの前記磁石と作用して動作する作用部材と、
前記作用部材の動作に基づき変形する弾性部材と、
前記弾性部材内に配置され、前記弾性部材の変位を検知する力センサとを有することを特徴とするコンビネーションスイッチ。
【請求項2】
一端に磁石を有するレバーと、
前記レバーの前記磁石と作用して動作する作用部材と、
前記作用部材の動作を検知する力センサとを有することを特徴とするコンビネーションスイッチ。
【請求項3】
前記力センサは、複数の歪みゲージからなることを特徴とする請求項1または2に記載のコンビネーションスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−116522(P2009−116522A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287411(P2007−287411)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】