説明

シールフレームならびに構成要素をカバーする方法

本発明は、成形材料でカバーしようとする構成要素(7)の面を画成するためのシールフレームに関しており、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)が設けられており、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)とは、相互に着脱可能に結合できるようになっており、成形材料でカバーしようとする構成要素(7)は、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)によって包囲されるようになっており、シールフレーム(1)と構成要素(7)とによって形成されるキャビティ(25)に導入される成形材料用の該キャビティ(25)がシールされている。さらに本発明は、シールフレーム(1)を用いて成形材料で構成要素をカバーする方法に関しており、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)に構成要素(7)を嵌め込み、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)とを結合してシールフレーム(1)を形成し、シールフレーム(1)の形成によりキャビティ(25)が形成され、キャビティ(25)は、構成要素(7)と上位のフレーム部分(5)とによって包囲されており、キャビティ(25)に成形材料を導入し、成形材料を硬化して、カバー(29)を形成し、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)との結合を解除することにより、シールフレーム(1)を離間し、構成要素(7)を取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料でカバーしようとする構成要素の面を画成するためのシールフレームに関する。さらに本発明は、シールフレームを用いて成形材料で構成要素をカバーする方法に関する。
【0002】
構成要素を外部環境の影響または媒体の影響から保護するために、構成要素を成形材料でカバーすることが一般的である。成形材料として、通常、エポキシド低圧成形材料が用いられ、エポキシド低圧成形材料は、構成要素の、保護しようとする面に取り付けられる。
【0003】
特に電子素子、たとえば電子機能素子、たとえばチップのような半導体素子では、特に安全性に関する使用において、耐熱性、媒体耐性、出力向上および信頼性に関して次第に高い要求が課せられる。成形材料をカバーすることによって、周囲からの媒体が素子と接触することはなく、素子が破損することはない。
【0004】
電子素子を打抜グリッド(リードフレーム)と共にバリなくシールするために、現在流通している打抜グリッド結合部が用いられるが、打抜グリッド結合部は、エポキシド低圧成形材料を取り付けたあとで手間を掛けて打ち抜く必要がある。これによって低圧成形材料を備えたカバーが破損する恐れがある。
【0005】
工具縁部で成形材料が研磨されることによって、製造プロセス中のバリ発生が回避できない。したがって後続のプロセスステップで汚染が生じる恐れがある。バリ発生を回避するために、成形材料と固く結合されたフレームが用いられ、フレームは、構成要素を包囲する。これによって構成要素に関して必要な構造スペースが増加する。さらに構成要素ごとに新たなフレームを製作する必要がある。
【0006】
発明の開示
発明の利点
本発明に従って形成された、成形材料でカバーしようとする構成要素の面を画成するためのシールフレームでは、上位のフレーム部分および下位のフレーム部分が設けられており、上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とは、相互に着脱可能に結合できるようになっており、成形材料でカバーしようとする構成要素は、上位のフレーム部分および下位のフレーム部分によって包囲されるようになっており、シールフレームと構成要素とによって形成されるキャビティに導入される成形材料用のキャビティがシールされている。
【0007】
相互に着脱可能に結合することができる上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とを備えたシールフレームの構成によって、フレームは、特に同種の構成要素を大量生産する際に繰り返し利用することができる。フレームが成形材料で構成要素をカバーしたあとで再び離間可能であることによって、フレームは、構成要素に必要な構造スペースを増加させない。さらにフレームの使用によって、バリのない構成要素のカバーが得られる。
【0008】
成形材料の導入後にシールフレームの取り外しを実現するために、好適には、シールフレームは、熱可塑性プラスチックから形成されており、熱可塑性プラスチックは、成形材料と結合されない。成形材料と結合されない熱可塑性プラスチックを用いることによって、成形材料がシールフレームと結合するのを回避するために、追加的な分離手段をシールフレームに取り付ける必要はない。これによりシールフレームの簡単な取り外しが実現される。
【0009】
成形材料を硬化するために、シールフレームを備えた構成要素が一般的な方式で加熱される。加熱により、シールフレームの熱可塑性プラスチックが膨張する。冷却すると、シールフレームも成形材料も収縮する。これにより成形材料と、成形材料と結合されない熱可塑性プラスチックとの間にギャップが形成される。またこれにより成形材料で面をカバーしたあとで、シールフレームの取り外しが簡単になる。
【0010】
熱可塑性プラスチック(熱可塑性プラスチックからシールフレームが製作される)として、たとえばパーフルオロアルコキシ−共重合体が適切である。どの熱可塑性プラスチックが適切であるかは、使用される成形材料に関連する。
【0011】
シールフレームに熱可塑性プラスチックを使用することによって、さらに好適には、シールフレームは、簡単に射出成型法で製作することができる。たとえば生産切換に際して、または成形材料でカバーしようとする構成要素の型式の変更に際して、フレームを溶融して、溶融された材料から新たなシールフレームを製作することもできる。
【0012】
1構成によれば、シールフレームは、クリップを備えており、クリップによって、上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とは、相互に結合することができる。その際たとえばクリップは、回動(旋回)可能に上位のフレーム部分または下位のフレーム部分に取り付けて、別のフレーム部分に取り付けられた装置と結合することができる。択一的に、フレーム部分の1つと固く結合されていないクリップ留め部を設けてもよい。クリップ留め部に対して択一的に、上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とを結合するための任意の別の着脱可能な結合部も適切である。したがってたとえばねじ、または丸い構成要素ではバヨネット留め部を用いてもよい。専門家にとって公知の、上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とを結合する任意の別の着脱可能な結合部を用いてもよい。簡単で迅速な固定に基づいて、クリップ留め部が好適である。
【0013】
構成要素の一部(たとえば打抜グリッドを備えた構成要素では、打抜グリッドの、電気接続部として用いられる部分)が成形材料でカバーされない場合、好適には、シールフレームの上位のフレーム部分と下位のフレーム部分との間に貫通口が形成されており、貫通口を通って、構成要素の、成形材料でカバーされない部分がガイドされる。貫通口は、好適には次のように構成されていて、つまり、構成要素の、貫通口を通ってガイドされる部分が緊密に貫通口に接触するので、成形材料が貫通口を通って流出しないように、構成されている。シールフレームを簡単に取り付けるために、好適には、貫通口が、上位のフレーム部分および/または下位のフレーム部分に設けられた凹部として形成されている。
【0014】
金型内でフレームを精確に位置決めするために、好適には、シールフレームにクリップホルダが取り付けられており、クリップホルダによって、構成要素を備えたシールフレームが金型内で位置決めされる。クリップホルダの他に、金型内で、シールフレームによって包囲された構成要素と共にシールフレームの精確な位置決めを実現することができる任意の別の装置も適切である。
【0015】
本発明による、シールフレームを用いて成形材料で構成要素をカバーする方法では、以下の方法ステップ;
(a)上位のフレーム部分および下位のフレーム部分に構成要素を嵌め込み、上位のフレーム部分と下位のフレーム部分とを結合してシールフレームを形成し、シールフレームの形成によりキャビティが形成され、キャビティは、構成要素と上位のフレーム部分とによって包囲されており、
(b)キャビティに成形材料を導入し、成形材料を硬化し、
(c)上位のフレーム部分と下位のフレーム部分との結合を解除することにより、シールフレームを離間し、構成要素を取り外す、
方法ステップを有している。
【0016】
構成要素を上位のフレーム部分および下位のフレーム部分に嵌め込むために、一般的な方法で、構成要素が下位のフレーム部分に載置され、その上に上位のフレーム部分が位置決めされる。次いで下位のフレーム部分と上位のフレーム部分とが、相互に結合される。このようにすると構成要素がキャビティの底部を形成し、上位のフレーム部分がキャビティのフレーム部分を形成する。
【0017】
上位のフレーム部分および下位のフレーム部分に構成要素を位置決めするために、好適には、下位のフレーム部分および上位のフレーム部分にそれぞれ溝が形成されており、溝に構成要素が嵌め込まれる。構成要素が、成形材料によりカバーされない部分を備えている場合、たとえば打抜グリッドの一部を備えている場合、通常、成形材料によりカバーされない部分を、下位のフレーム部分および/または上位のフレーム部分に設けられた適切な凹部にガイドすれば十分であり、このようにして構成要素を位置決めすることができる。
【0018】
成形材料は、通常、金型内でキャビティに導入される。シールフレームと共に構成要素の精確な位置決めは、たとえば位置決め補助手段、たとえば前述のクリップホルダによって行うことができる。シールフレームを備えた構成要素が金型内に装入されると、直ちに金型が加熱される。択一的に、構成要素をシールフレームと共に、既に暖められた金型内に装入してもよい。加熱により、下位のフレーム部分および上位のフレーム部分が膨張し、このようにして緊密に構成要素に接触する。構成要素とシールフレームとの間の緊密な結合が得られる。したがって成形材料は、上位のフレーム部分または下位のフレーム部分と構成要素との間の隙間通路に進入することはない。これによってバリの発生しない、成形材料の導入が実現される。
【0019】
特に構成要素が、成形材料でカバーされない部分、たとえば打抜グリッドの、たとえば電気接続部として用いられ、シールフレームの貫通口を通ってガイドされる部分を備えている場合、下位のフレーム部分および上位のフレーム部分が、加熱に基づく膨張によって、フレーム部分を通ってガイドされる部分に接触するので、ここでも液密の結合が得られる。
【0020】
キャビティへの成形材料の導入は、専門家にとって公知の一般的な方法によって行われる。好適には、成形材料は、注型(流し込み成形)、特に低圧流し込み成形によって導入される。成形材料は、一般的に液状で供給される。キャビティに成形材料を導入したあとで、成形材料は硬化される。用いられる成形材料は、たとえば放射硬化性または熱硬化性であってよい。好適には、成形材料は、熱硬化性である。
【0021】
成形材料は、たとえば低圧成形材料、特に特にエポキシド低圧成形材料である。
【0022】
本発明による方法によって成形材料でカバーされる構成要素は、好適には装着済みの回路基板を備えている。そのような回路基板には、一般的に、半導体素子が装着されている。一般的に回路基板に載設される、たとえば抵抗である任意の別の電子素子を装着してもよい。
【0023】
別の構成では、構成要素が追加的に打抜グリッドを備えている。
【0024】
構成要素が打抜グリッドを備えている場合、まず下位のフレームに打抜グリッドが嵌め込まれる。打抜グリッドが成形材料によりカバーされない場合、下位のフレーム部分に凹部が設けられており、凹部は、打抜グリッドの、カバーされない部分のための貫通口として用いられる。貫通口に打抜グリッドが嵌め込まれる。次のステップで、フレーム上部がフレーム下部と結合される。結合は、たとえばフレーム下部にフレーム上部がクリップ留めされることによって行われる。シールフレームに打抜グリッドを固定したあとで、次のステップで、回路基板が打抜グリッドにろう接され、装着される。択一的に、既に装着済みの回路基板を打抜グリッドに結合してもよい。
【0025】
1つの打抜グリッドが複数のモジュール用に設けられている場合、既に複数のモジュールにそれぞれ前述の方式でシールフレームを備えることができる。シールフレームおよび回路基板を取り付けたあとで、シールフレームと打抜グリッドと回路基板とを備えた個々のモジュールが、打抜グリッド帯体(打抜グリッド帯体から個々のモジュールの打抜グリッドが製作される)から分離される。個々のモジュールに分離したあとで、モジュールは、金型内に装入され、金型に成形モジュールが導入される。
【0026】
成形材料が硬化したあとで、モジュールが金型から取り出される。前述のように、冷却時に、シールフレームおよび成形材料が収縮する。これによって成形材料とシールフレームとの間にギャップが形成される。フレームは、簡単に結合部の結合を解除することによって、取り出すことができ、別のモジュールに繰り返し用いることができる。
【0027】
次に、本発明の実施の形態を図示して、詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】打抜グリッドと回路基板とを備えたシールフレームを概略図で示す。
【図2】成形材料が導入された、図1に示す打抜グリッドを備えたシールフレームを概略図で示す。
【0029】
発明の実施の形態
図1は、クリップ留めされた打抜グリッドを備えたシールフレームを概略図で示す。
【0030】
本発明に従って形成されたシールフレーム1は、下位のフレーム部分3と上位のフレーム部分5とを備えている。下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5が相互に結合され、シールフレーム1が形成される。
【0031】
下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5は、好適には熱可塑性プラスチックから製作されている。熱可塑性プラスチックの使用によって、下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5は、簡単に射出成型法によって製作することができる。熱可塑性プラスチックから下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5が製作され、熱可塑性プラスチックは、成形材料と結合しないので好適である。適切な熱可塑性プラスチックは、たとえばパーフルオロアルコキシ−共重合体である。
【0032】
シールフレーム1は、構成要素7を包囲している。図示していない実施の形態では、構成要素7は、打抜グリッド9と結合された回路基板11である。回路基板11は、電子素子13を装着している。電子素子は、たとえばチップまたはトランジスタのような半導体素子である。電子素子13は、一般的に回路基板11に装着されるたとえば抵抗または任意の別の電子素子であってよい。
【0033】
打抜グリッド9と回路基板11との結合は、専門家にとって一般的な任意の方法で行われる。したがってたとえば回路基板11が打抜グリッド9にろう接される。打抜グリッド9に回路基板11を接着してもよい。さらに回路基板11を打抜グリッド9上に載置するだけでもよい。回路基板11を精確に打抜グリッド9上に位置決めするために、通常、たとえば打抜グリッドがピン15を備え、ピン15は、回路基板11に設けられた対応する開口17を通ってガイドされる。
【0034】
打抜グリッド9および回路基板11をシールフレーム1内で位置決めするために、たとえば先ず打抜グリッド9が下位のフレーム部分3に嵌め込まれる。打抜グリッド9が、図1に示すように、接続部19を備えている場合、接続部19は、シールフレーム1から突出しているので、好適には、下位のフレーム部分3に凹部21が形成されており、凹部を通って接続部19がガイドされる。凹部21に接続部19を嵌め込むことによって、下位のフレーム部分3における打抜グリッド9の精確な位置決めが行われる。下位のフレーム部分3に打抜グリッド9を嵌め込んだあとで、下位のフレーム部分3は、上位のフレーム部分5と結合される。下位のフレーム部分3と上位のフレーム部分5との結合は、たとえば図示のように、クリップ留め部23で行われる。選択的に、下位のフレーム部分は、たとえばねじまたは着脱可能な別の結合手段を用いることによって、上位のフレーム部分5と結合してもよい。特に丸い構成要素では、下位のフレーム部分3は、上位のフレーム部分5と、たとえばバヨネット留めで結合することもできる。
【0035】
下位のフレーム部分3と上位のフレーム部分5とを結合したあとで、回路基板11は、打抜グリッド9と結合され、電子素子13が装着される。電子素子13の他に、追加的に機械要素、たとえば冷却装置等を設けてもよい。
【0036】
択一的に、回路基板11は、先ず電子素子13を装着して、装着後に打抜グリッド9と結合してもよい。別の択一的な実施の形態では、先ず打抜グリッド9と装着済みの回路基板11とを結合し、次いで回路基板11と結合された打抜グリッド9を、下位のフレーム部分3と上位のフレーム部分5とを組み合わせたシールフレーム1内で位置決めしてもよい。
【0037】
成形材料でカバーしようとする構成要素が打抜グリッド9を備えていない場合、択一的に、たとえば下位のフレーム部分3および/または上位のフレーム部分5に溝を形成して、溝に、構成要素を嵌め込むこともできる。溝に嵌め込むことによって、シールフレーム1における構成要素の精確な位置決めが行われる。
【0038】
構成要素7、たとえば打抜グリッド9と結合された回路基板11のカバーは、上側でも下側でも行うことができる。通常、少なくとも構成要素7の上側が成形材料でカバーされる。上側および下側でカバーを設ける場合、たとえば特にカバーフレーム1内での構成要素7の位置決めが打抜グリッド9の位置決めによって行われる場合、回路基板11とシールフレーム1との間にギャップを設けることができる。この場合成形材料は、ギャップを通って回路基板11の両側に達することができる。もちろん択一的に、成形材料を、回路基板11の上側だけでなく回路基板11の下側でもシールフレームに導入することもできる。上側だけで構成要素7のカバーが行われる場合、シールフレーム1は、構成要素7に緊密に接触し、そうしてキャビティが形成され、キャビティは、成形材料で充填される。
【0039】
シールフレーム1に構成要素7を取り付けたあとで、成形材料が導入されるので、構成要素7は、成形材料によりカバーされる。このために好適には、構成要素7と結合されたシールフレーム1が注型用の金型内に装入される。金型は、好適には加熱される。金型の加熱によって、下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5が膨張し、金型の壁に緊密に接触する。さらに構成要素7は、緊密にシールフレーム1により包囲されるので、成形材料は、シールフレームを通って流出することはない。とりわけ成形材料が下位のフレーム部分3と上位のフレーム部分5との間のギャップに進入することはない。最大で5分、好適には最大で2分、特に最大で1分の短い加熱段階のあとで、成形材料が、金型に導入される。金型を加熱する温度は、好適には160℃〜180℃、特に160℃〜170℃の範囲である。
【0040】
シールフレーム1と結合された構成要素7を金型内に装入して加熱したあとで、成形材料は、専門家にとって公知の一般的な方法で、金型に射出される。成形材料は、好適には低圧成形材料、特にエポキシド低圧成形材料である。
【0041】
成形材料は、キャビティ25に導入される。キャビティ25は、上位のフレーム部分5と構成要素7とによって画成される。構成要素7は、キャビティ25の底部を形成し、上位のフレーム部分5は、側方の画成部を形成する。成形材料を構成要素の上面および下面において導入しようとすると、構成要素7の下面および下位のフレーム部分3は第2のキャビティを形成し、第2のキャビティにも同様に成形材料が充填される。前述のように、構成要素7とシールフレーム1との間にギャップを形成することもできる。この場合、上位のキャビティ25、および構成要素7と下位のフレーム部分3とによって画成されるキャビティは、ギャップを介して相互に結合されている。
【0042】
成形材料を導入したあとで、成形材料は、一般的な方法で、金型内で硬化される。特に熱硬化性の成形材料では、このために金型が加熱される。熱硬化性の成形材料の他に、たとえば放射硬化性の成形材料を用いてもよい。この場合成形材料を硬化するために、たとえばUV光線によって、成形材料の照射が行われる。この場合でも一般的な方法で、成形材料は、硬化反応に基づいて加熱される。
【0043】
成形材料が硬化したあとで、形成されたモジュール27(図2に示す)が、金型から取り出される。モジュール27は、相互に結合された下位のフレーム部分3および上位のフレーム部分5からなるシールフレーム1と、打抜グリッド9と、構成要素7と、硬化性の成形材料から成るカバー29とを備えている。カバー29は、シールフレーム1に接触している。カバー29の上面は平滑であるか、または任意の構造を有していてよい。カバー29の上面31が構造を有している場合、この構造は、金型のネガティブ形状として形成されている。
【0044】
成形材料が硬化したあとで、モジュール27は、冷却される。モジュール27の冷却は、金型内で行っても、または金型から取り出したあとで行ってもよい。冷却によって、シールフレーム1、および成形材料から成るカバー29が収縮する。その際収縮の程度は、シールフレーム1およびカバー29のために用いられる材料の熱膨張係数に影響される。収縮に関連する体積減少によって、カバー29とシールフレーム1との間に小さなギャップが形成される。したがってギャップは、特にカバー29のための成形材料がシールフレーム1の材料に付着しないことよって形成される。シールフレーム1が成形材料から成るカバー29に付着しないことによって、シールフレーム1は、簡単に結合部、たとえばチップ留め部23の解除によって開くことができ、上位のフレーム部分5および下位のフレーム部分3は、カバー29を備えた構成要素7から取り外すことができる。上位のフレーム部分5および下位のフレーム部分3を取り外したあとで、上位のフレーム部分5および下位のフレーム部分3は、必要な場合、さらに冷却して、次いで別の構成要素にカバーを取り付けるために再利用することができる。
【0045】
本発明によるシールフレーム1を用いてカバー29を備えることができる構成要素は、たとえば伝動装置−位置センサまたは高電流モジュールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料でカバーしようとする構成要素(7)の面を画成するためのシールフレームにおいて、
上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)が設けられており、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)とは、相互に着脱可能に結合できるようになっており、成形材料でカバーしようとする構成要素(7)は、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)によって包囲されていて、シールフレーム(1)と構成要素(7)とによって形成されるキャビティ(25)が、該キャビティ(25)内に導入された成形材料に対してシールされていることを特徴とする、シールフレーム。
【請求項2】
当該シールフレーム(1)は、熱可塑性プラスチックから形成されており、該熱可塑性プラスチックは、成形材料と結合されない、請求項1記載のシールフレーム。
【請求項3】
熱可塑性プラスチックは、パーフルオロアルコキシ−共重合体である、請求項2記載のシールフレーム。
【請求項4】
シールフレーム(1)は、クリップ留め部(23)を備えており、該クリップ留め部(23)によって、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)とが、相互に結合されるようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシールフレーム。
【請求項5】
上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)との間に貫通口(21)が形成されており、該貫通口(21)を通って、構成要素(7)の、成形材料でカバーされない部分(19)がガイドされるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシールフレーム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載のシールフレーム(1)を用いて成形材料で構成要素をカバーする方法において、以下の方法ステップ;
(a)上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)に構成要素(7)を嵌め込み、上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)とを結合してシールフレーム(1)を形成し、該シールフレーム(1)の形成によりキャビティ(25)が形成され、該キャビティ(25)は、構成要素(7)と上位のフレーム部分(5)とによって包囲されており、
(b)キャビティ(25)に成形材料を導入し、成形材料を硬化して、カバー(29)を形成し、
(c)上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)との結合を解除することにより、シールフレーム(1)を離間し、構成要素(7)を取り外す、
方法ステップを有することを特徴とする、構成要素をカバーする方法。
【請求項7】
成形材料が、低圧成形材料、特にエポキシド低圧成形材料である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
成形材料を導入するために、構成要素(7)を、シールフレーム(1)と共に、金型内に装入する、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
構成要素(7)およびシールフレーム(1)を、金型内で加熱し、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)が膨張し、成形材料に対して緊密な、シールフレーム(1)と構成要素(7)との間の結合を形成する、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
構成要素(7)は、装着された回路基板(11)を備えている、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
構成要素(7)は、打抜グリッド(9)を備えている、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
打抜グリッド(9)の、成形材料でカバーされない部分を、シールフレーム(1)の上位のフレーム部分(5)と下位のフレーム部分(3)との間の貫通口(21)を通ってガイドし、上位のフレーム部分(5)および下位のフレーム部分(3)が、貫通口(21)を通ってガイドされる前記部分(19)を緊密に包囲し、成形材料が貫通口(21)を通って流出しない、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−528858(P2011−528858A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519105(P2011−519105)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058490
【国際公開番号】WO2010/009970
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】