説明

ジョイスティック構造体

【課題】通常、ゲーム機に用いられるジョイスティック装置に備えられるジョイスティック構造体)の軸受は、ジョイスティックシャフトと当接する領域を面で支持するお椀形の軸受を備える構成が一般的である。このような場合、ジョイスティックシャフトの当接領域である球面の形状と、軸受の当接領域であるお椀形の面の形状が一致するように加工する必要がある。しかしながら、両者の形状を一致させるような球面(御椀)形状に加工することは技術的に困難であるという課題がある。
【解決手段】そこで、本発明は軸受と接触可能な領域が球面ジョイスティックシャフトと、これを線接触で支持するための軸受で構成されるジョイスティック構造体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイスティックなどに備えられているジョイスティック構造体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ゲーム機に用いられるジョイスティック装置に備えられるジョイスティック構造体(0101)のジョイスティックシャフトを支持する軸受は、図1に示すように軸受と接触可能な当接領域が球面であるジョイスティックシャフト(0102)に対して、軸受は、ジョイスティックシャフトと当接する領域を面で支持するお椀形の軸受(0103)を備える構成が一般的である。
【0003】
ところで、このような構成を採る場合、ジョイスティックシャフトの当接領域である球面の形状と、軸受の当接領域であるお椀形の面の形状が一致するように加工する必要がある。なぜなら、形状が一致しないと、ジョイスティックシャフトが軸受内にてガタつきが発生するためである。
【0004】
しかしながら、両者の形状を一致させるような球面(御椀)形状に加工することは技術的に困難であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−105269
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、特許文献1に記載の技術が提供されている。具体的には、ジョイスティックシャフトのガタつきを抑えるためのX軸、Y軸各方向へ可動するクランクを備えたジョイスティック装置である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術はガタつきを抑えることはできるが、従来のジョイスティック装置では備えられていないクランクが備えられているため、ジョイスティック操作時の操作感覚が異なるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は上記課題を鑑み軸受と接触可能な領域が球面ジョイスティックシャフトと、これを線接触で支持するための軸受で構成されるジョイスティック構造体を提供する。具体的には、以下のようなジョイスティック構造体である。
【0009】
第1発明は、軸受と接触可能な当接領域が球面であるジョイスティックシャフトと、前記ジョイスティックシャフトを線接触にて指示する軸受と、を有するジョイスティック構造体を提供する。
【0010】
第2発明は、第1発明を基本として軸受は当接領域を受ける逆円錐台の軸受空間を備えた軸受面を有するジョイスティック構造体を提供する。
【0011】
第3発明は、第2発明を基本として軸受空間は、その内壁がジョイスティック構造体は一面に対して30〜45度の角度で傾いているジョイスティック構造体を提供する。
【0012】
第4発明は、第2発明若しくは第3発明のいずれか一を基本として、軸受空間の内壁材質と、ジョイスティックシャフトの当接領域材質とは、その組み合わせがPOMとナイロン6との組み合わせで構成されているジョイスティック構造体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ジョイスティックシャフトが、これを支持するための軸受内にてガタつきが発生することを防ぐことが可能となる。これにより、スティック操作の応答遅延などを改善することが可能となり、操作性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的なジョイスティック装置のジョイスティックシャフトを支持する軸受の一例を示した図
【図2】実施形態1のジョイスティック構造体の概略図(軸受挿入後 断面図)
【図3】実施形態1のジョイスティック構造体におけるジョイスティックシャフトの一例を示した図
【図4】実施形態1のジョイスティック構造体における軸受の一例を示した図(軸受けの構成)
【図5A】実施形態1のジョイスティック構造体における軸受けにジョイスティックシャフトが支持されることを説明するための図(A)
【図5B】実施形態1のジョイスティック構造体における軸受けにジョイスティックシャフトが支持されることを説明するための図(B)
【図5C】実施形態1のジョイスティック構造体における軸受けにジョイスティックシャフトが支持されることを説明するための図(C)
【図6】実施形態1のジョイスティック構造体に装着する感度調節キャップを説明するための図(装着前)
【図7】実施形態1のジョイスティック構造体に装着する感度調節キャップを説明するための図(装着後)
【図8A】実施形態2のジョイスティック構造体の概略図(軸受挿入後 断面図)
【図8B】実施形態2のジョイスティック構造体の概略図(軸受挿入前 断面図)
【図9】実施形態2のジョイスティック構造体における軸受の一例を示した図(軸受けの構成)
【図10】実施形態2のジョイスティック構造体における軸受けにジョイスティックシャフトが支持されることを説明するための図
【図11】実施形態2のジョイスティック構造体における軸受空間の内壁角度について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0016】
実施形態1は主に請求項1について主に説明する。また、実施形態2は、主に請求項2、3、4について説明する。
【0017】
≪実施形態1≫
【0018】
<実施形態1 概要>
【0019】
本実施形態のジョイスティック構造体は図2に示すように、ジョイスティック装置に備えられることを想定したジョイスティック構造体(0201)である。本実施形態のジョイスティック構造体は、ユーザが握って操作するためのジョイスティックシャフト(0202)と、ジョイスティックシャフト(0202)を支持するための軸受(0203)とを備えている。
【0020】
本実施形態のジョイスティックシャフト構造体は、本図に示すように軸受(0203)がジョイスティックシャフト(0202)を線接触にて支持することを特徴としている。
【0021】
<実施形態1:構成>
【0022】
≪ジョイスティックシャフト≫
【0023】
「ジョイスティックシャフト」(0202)は、軸受と接触可能な当接領域が球面であるジョイスティックシャフトである。具体的には、ジョイスティックシャフトにおける軸受と接する領域が球面であるスティック(操作桿・レバー)である。
【0024】
図3は、実際に本実施形態におけるジョイスティックシャフトの一例を示したものである。本実施形態のジョイスティックシャフトは、ユーザが握るためのシャフト(0302)と、軸受と当接するための当接領域を備えた当接部品(0304)で構成されている。
【0025】
なお、本実施形態におけるジョイスティックシャフトは、シャフトと当接部品と、から構成される異なる部品の集合体である場合の一例を挙げたが実際にはそれだけに限定されない。例えば、シャフトと当接部品が一つの部品で構成されていてもよい。さらには、
【0026】
≪軸受≫
【0027】
「軸受」(0203)は、ジョイスティックシャフトを線接触にて支持する軸受である。具体的には、ジョイスティックシャフトの当接領域(0304)を直接支持することで、ジョイスティックシャフトを支持する。
【0028】
図4、5は実際に本実施形態における軸受の一例を示したものである。本実施形態の軸受は、図4に示すように軸受けの当接領域を受ける領域として円柱の空間を備える軸受である。本実施形態の軸受は、図5に示すようにジョイスティックシャフトを軸受けに挿入し、円柱の空間にジョイスティックシャフトの当接領域を接触させることで線接触にて支持させるという具合である(図5Aは挿入前の断面図のイメージを示し、図5Bは挿入後の断面図のイメージを示している。図5Cは、挿入後の斜視図と接触面を示している)。
【0029】
本実施形態のジョイスティック構造体は、さらに次に示す機能を備えていてもよい。
【0030】
≪スティック操作感度調節機能≫
【0031】
図6は、ジョイスティックシャフト(0602)の下端に取り付けることで、ジョイスティックシャフトの操作による感度の調節を行うための感度調節キャップ(0605)である。図7に示すように感度調節キャップ(0705)は、ジョイスティックシャフトの下端にはめるようにして利用する。これにより、ジョイスティックシャフトの可動範囲を狭めることが可能となる。したがって、スティックを少し傾倒させるだけでジョイスティック構造体に備えられた操作方向を検知するためのマイクロスイッチのON/OFF入力が可能となる。
【0032】
<実施形態1:効果>
【0033】
本実施形態のジョイスティックシャフトの当接領域と軸受を線接触にて支持させるジョイスティック構造体によって、ジョイスティックシャフトのガタつきをなくすことが可能となる。
【0034】
≪実施形態2≫
【0035】
<実施形態2 概要>
【0036】
本実施形態のジョイスティック構造体は、図8A、Bに示すように、ジョイスティックシャフト(0802)を支持するための軸受における当接領域を受けるための軸受空間(0803)が逆円錐台の形状であるジョイスティック構造体である(図8Aは、ジョイスティックシャフト挿入後を示し、図8Bは、ジョイスティックシャフト挿入後を示している)。
【0037】
≪軸受空間≫
【0038】
「軸受空間」(0803)は、軸受に設けられた前記当接領域を受ける逆円錐台の空間である。具体的には軸受に設けられたジョイスティックシャフトの当接領域を支持するための円錐台の形状をした空間である。
【0039】
図9、10は、実際に本実施形態における軸受面の一例を示した図である。本実施形態の軸受空間は、図9に示すように、逆円錐台空間を備えた軸受け面である。本実施形態の軸受面は図10に示すようにジョイスティックシャフトの当接領域を線接触(円接触)にて支持するという具合である。
【0040】
≪軸受空間の内壁角度≫
【0041】
ここで、本実施形態の軸受空間は、その内壁がジョイスティック構造体配置面に対して30度〜45度の角度で傾いている構造であってもよい。具体的には図11に示すように、本実施形態のジョイスティック構造体がジョイスティック装置に配置される際の面に対して軸受空間の内壁の角度(θ)が、30度〜45度傾いているという具合である。
【0042】
≪軸受空間の内壁材質とジョイスティックシャフトの当接領域材質≫
【0043】
また、軸受空間の内壁材質とジョイスティックシャフトの当接領域材質はPOM(ポリアセタール)と、PA6(ナイロン6)との組み合わせで構成されていてもよい。この組み合わせにより、軸受空間の内壁とジョイスティックシャフトの当接領域との摩擦をより軽減することができる。これにより、スティック操作の軽快さを出すことができると共に摩擦による摩耗を軽減することができる。
【0044】
<実施形態2:効果>
【0045】
本実施形態のジョイスティック構造体によってジョイスティックシャフトのガタつきをなくすことが可能になると共に、軸受の軸受空間の内壁とジョイスティックシャフトの当接領域との摩擦による摩耗を減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
0101 ジョイスティック構造体
0102 ジョイスティックシャフト
0103 軸受
0304 当接部品
0605 感度調節キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受と接触可能な当接領域が球面であるジョイスティックシャフトと、
前記ジョイスティックシャフトを線接触にて支持する軸受と、
を有するジョイスティック構造体。
【請求項2】
軸受は、前記当接領域を受ける逆円錐台の軸受空間を備えた軸受面を有する請求項1に記載のジョイスティック構造体。
【請求項3】
軸受空間は、その内壁が
配置されたジョイスティック構造体のジョイスティックシャフトと30度〜45度の角度となるように傾いている請求項1に記載のスティック構造体。
【請求項4】
軸受空間の内壁材質と、ジョイスティックシャフトの当接領域材質とは、その組み合わせがPOMとナイロン6との組み合わせで構成されている請求項1から3のいずれか一に記載のスティック構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−192284(P2011−192284A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63641(P2011−63641)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3161533号
【原出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000113414)株式会社ホリ (9)
【Fターム(参考)】