説明

ステータ

【課題】軸心が略水平になるように配置されるステータにおいて、ステータコアの温度が軸方向や周方向に不均一になることを抑制することができるステータを提供する。
【解決手段】固定用突条部40は、ステータコア21の円筒状の本体部30の周方向における一部に、本体部30の軸方向全域にわたって本体外周面31に対して径方向外側に突出形成されてなり、固定用突条部40であって、突条外周面42の最上部が本体外周面31の最上部を通る水平面以下の高さに位置し、且つ、突条外周面42の最上部が本体外周面31との境界部に一致しないものを対象突条部41とし、ステータコア21の軸方向両端部に取り付けられ、突条外周面42の最上部を通る水平面以上の高さを有する封止壁部51を形成する封止部材50を備え、突条外周面42と、本体外周面31と、封止壁部51とで囲まれる凹部が、冷媒を溜める冷媒貯留用凹部60とされているステータ20。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定用の締結部が設けられた固定用突条部を有する略円筒状のステータコアを備え、軸心が略水平になるように配置されるステータに関する。
【背景技術】
【0002】
略円筒状のステータコアにコイルが巻装されてなる電機子としてのステータと、このステータの径方向内側に回転可能に支持された界磁としてのロータと、を備えた回転電機に関する技術として、例えば下記の特許文献1には、以下のような回転電機の構成が開示されている。すなわち、この回転電機は、ステータを冷却するための冷媒が流通する冷媒流通路をステータの上方に備えている。冷媒流通路には冷媒を吐出可能な吐出孔が形成されており、当該吐出孔を介してステータコアの上面に冷媒が供給される。そして、ステータコアの上面に供給された冷媒は、重力に従いステータコアの外周面に沿って下方に流れ、ステータコアから滴下するまでの間に行われる冷媒とステータコアとの間の熱交換によりステータコアが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、ステータコアの上面に供給された冷媒がステータコアから滴下するまでの間に流れる経路については何ら制御されていない。そのため、ステータコアの上面に供給された冷媒は、冷媒流通路に形成された吐出孔に対応するある特定の軸方向位置を中心に流れる。よって、ステータコアの温度が軸方向に不均一になるおそれがある。
【0005】
また、ステータコアは、当該ステータコアを収容するケースに固定するための固定用の締結部を備える場合がある。この際、固定用の締結部は、ステータが形成する磁気回路へ与える影響を抑制できるような形態で設けることが望ましく、一般的には、ステータコアの軸方向全域に亘ってステータコアの外周面に対して径方向外側に突出形成された固定用突条部に備えられることが多い。ステータコアがこのような固定用突条部を有する場合には、上記特許文献1に記載された構成では、固定用突条部の配置箇所によってはステータコアの外周面に沿って下方に流れる冷媒の流れが阻害され、当該固定用突条部の下方には冷媒が適切に供給されないおそれがある。すなわち、上記特許文献1に記載された構成では、ステータコアの温度が周方向においても不均一になるおそれがある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定用の締結部が設けられた固定用突条部を有する略円筒状のステータコアを備え、軸心が略水平になるように配置されるステータにおいて、ステータコアの温度が軸方向や周方向に不均一になることを抑制することができるステータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る、固定用の締結部が設けられた固定用突条部を有する略円筒状のステータコアを備え、軸心が略水平になるように配置されるステータの特徴構成は、前記固定用突条部は、前記ステータコアの円筒状の本体部の周方向における一部に、前記本体部の軸方向全域にわたって当該本体部の外周面である本体外周面に対して径方向外側に突出形成されてなり、前記固定用突条部であって、その外周面である突条外周面の最上部が前記本体外周面の最上部を通る水平面以下の高さに位置し、且つ、前記突条外周面の最上部が前記本体外周面との境界部に一致しないものを対象突条部とし、前記対象突条部に対して前記本体外周面の最上部側に配置されるように前記ステータコアの軸方向両端部に取り付けられ、前記突条外周面の最上部を通る水平面以上の高さを有する封止壁部を形成する封止部材を備え、前記突条外周面と、前記本体外周面と、前記封止壁部とで囲まれる凹部が、冷媒を溜める冷媒貯留用凹部とされている点にある。
【0008】
上記の特徴構成によれば、ステータコアの外周面に沿って下方に流れる冷媒の流れを阻害し得る固定用突条部を対象突条部とし、当該対象突条部の外周面である突条外周面を有効に利用して冷媒を溜める冷媒貯留用凹部を形成することができる。そして、一般に冷媒貯留用凹部は軸方向に略一様に形成されるため、突条外周面の最上部を超えて冷媒貯留用凹部から溢れ出た冷媒は、軸方向に略一様に、ステータコアの外周面に沿って下方へ流れる。よって、冷媒貯留用凹部の何れかの場所に冷媒を供給するだけで、ステータコアの外周面に対して軸方向に略均一に冷媒を供給することができる。また、突条外周面の最上部を超えて冷媒貯留用凹部から溢れ出た冷媒が対象突条部の下方に位置するステータコアの外周面に供給されるため、ステータコアの外周面に対して周方向の広範囲に冷媒を行き渡らせることができる。よって、封止部材をステータコアの軸方向両端部に取り付けるという簡素な構成で、ステータコアの温度が軸方向や周方向に不均一になることを抑制することができる。
【0009】
ここで、前記突条外周面の最上部が、前記本体外周面の最上部を通る水平面と同じ高さとなるように前記ステータコアが固定されていると好適である。
【0010】
この構成によれば、冷媒貯留用凹部に溜められた冷媒を、対象突条部の下方に位置するステータコアの外周面だけでなく、本体外周面の最上部に対して対象突条部の周方向反対側に位置するステータコアの外周面にも冷媒を供給することができる。よって、冷媒貯留用凹部に冷媒を供給するだけで、本体外周面の最上部に対する周方向両側に冷媒を供給することができる。
【0011】
また、前記封止部材は、前記封止壁部の壁面が前記ステータコアの軸方向端面に当接するように取り付けられていると好適である。
【0012】
この構成によれば、封止部材を取り付けるだけで、封止壁部により適切に冷媒貯留用凹部の軸方向両側の壁面を構成し、冷媒貯留用凹部に供給された冷媒を溜めることができる。よって、ステータコアの温度が軸方向や周方向に不均一になることをより確実に抑制することができる。
【0013】
また、前記ステータコアに巻装されるコイルにおける前記ステータコアの軸方向端面から突出するコイルエンド部を覆うカバー部材を更に備え、前記カバー部材は、前記コイルエンド部が収容される収容室と前記冷媒貯留用凹部とを連通する内部連通口を備える構成とすると好適である。
【0014】
この構成によれば、冷媒貯留用凹部に溜められた冷媒を、ステータコアの外周面だけでなくコイルエンド部へも供給することができる。よって、冷媒貯留用凹部に冷媒を供給するだけで、ステータコア及びコイルエンド部の双方を冷却することができる。また、この際、コイルエンド部がカバー部材の収容室内に収容されているので、供給された冷媒をコイルエンド部の全体に行き渡らせることが容易な構成とすることができる。さらに、内部連通口の開口部の大きさを調節することで、コイルエンド部が収容される収容室へ供給される冷媒の量を調節することができる。よって、簡素な構成で、ステータコアの冷却とコイルエンド部の冷却に用いられる冷媒の量の振り分けを行うことができる。
【0015】
また、前記カバー部材は、上方に開口するとともに前記冷媒貯留用凹部と連通する冷媒流入口を有する槽状部を備え、前記内部連通口は、前記槽状部の底部に設けられていると好適である。
【0016】
この構成によれば、冷媒貯留用凹部から供給される冷媒を一旦槽状部に溜めてから、コイルエンド部が収容される収容室に冷媒を供給することができる。よって、コイルエンド部を適切に冷却することができる。
【0017】
また、前記カバー部材は、前記封止部材と一体的に形成されるとともに、前記対象突条部に設けられた前記締結部に取り付け可能に構成され、前記封止部材及び前記カバー部材は、前記締結部を用いて前記ステータコアとともにケースに固定される構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、カバー部材が封止部材と一体的に形成されるため、部品点数の増加を抑制することができるとともに、樹脂等の鋳造部品として一体的に形成することで、製造工程の簡素化も図ることができる。また、封止部材及びカバー部材の双方がステータコアとともにケースに固定されるため、組み付け作業の簡素化をも図ることができる。
【0019】
また、前記ケースは、前記ステータコアを固定した状態で前記対象突条部の軸方向一方側の端部に当接する座部を備え、軸方向一方側の前記封止部材は、前記座部により構成されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、軸方向一方側の封止部材を、ケースに既存の構造を有効に利用して形成することができる。よって、部品点数の増加を抑制することができるとともに、組み付け作業の簡素化も図ることができる。
【0021】
また、前記対象突条部の軸方向における1箇所又は複数箇所に、前記突条外周面の最上部に対して下方へ引退した凹溝が形成されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、冷媒貯留用凹部から溢れ出る冷媒を凹溝に積極的に導くことができる。よって、凹溝の形成位置を適切に設定することで、対象突条部の下方に位置するステータコアの外周面を流れる冷媒の軸方向における冷媒量の分布を適切に制御することができる。
【0023】
また、冷媒が流通する冷媒流通路を更に備え、前記冷媒流通路は、少なくとも前記冷媒貯留用凹部の上方に、冷媒を吐出するための吐出孔を備える構成とすると好適である。
【0024】
この構成によれば、簡素な構成で、冷媒貯留用凹部に確実に冷媒を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るステータの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るステータの軸方向断面斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るステータの径方向断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係るステータの軸方向断面斜視図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に係るステータの斜視図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態に係るステータの径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るステータの実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明を、インナーロータ型の回転電機用のステータに適用した場合を例として説明する。本実施形態に係るステータ20は、ある特定の条件を満たす固定用突条部40を対象突条部41とし、当該対象突条部41を利用して冷媒を溜める冷媒貯留用凹部60が形成されていることに特徴を有している。この冷媒貯留用凹部60を備えることで、ステータコア21の温度が軸方向や周方向に不均一になることが抑制されている。以下、本実施形態に係るステータ20の構成について、図1から図3を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、ステータ20の中心軸を基準として、軸方向、周方向、径方向を定義している。また、「上」は鉛直方向上方を指し、「下」は鉛直方向下方を指すものとする。
【0027】
1.ステータの構成
ステータ20は、図1及び図2に示すように、主な構成要素として、ステータコア21と、当該ステータコア21の軸方向両端部に取り付けられるカバー部材70と、を備えている。ステータコア21にはコイル22が巻装されており、当該コイル22に電流を流すことで磁界を発生させることができる。なお、図1においては、コイル22は省略している。また、図2においては、ステータコア21に巻装されるコイル22の一部のみを示している。ステータコア21の径方向内側には、図示は省略するが、永久磁石や電磁石を備えた界磁としてのロータが、ステータコア21に対して相対回転可能に配置されている。すなわち、本実施形態に係るステータ20は、インナーロータ型で回転界磁型の回転電機用のステータとされている。ここで、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0028】
図1に示すように、ステータコア21は略円筒状の形状を有しており、軸心が略水平になるように配置されている。ステータコア21は、円筒状の本体部30と、固定用の締結部が設けられた固定用突条部40と、を備えている。なお、本実施形態では、ステータコア21はケース(図示せず)に固定される。ここで、ステータコア21の本体部30の外周面を本体外周面31とし、固定用突条部40の外周面を突条外周面42とする。固定用突条部40は、ステータコア21の本体部30の周方向における一部に、本体部30の軸方向全域にわたって本体外周面31に対して径方向外側に突出形成されている。本実施形態では、3つの固定用突条部40が、周方向に略均等に配置されている。また、固定用突条部40には、固定用の締結部として、締結ボルト45を挿通するための挿通孔43(図3参照)が設けられている。よって、ステータコア21は締結ボルト45によりケースに締結固定される。本実施形態では、挿通孔43が本発明における締結部に相当する。なお、本発明における締結部は、挿通孔43に限られるものではない。
【0029】
また、ステータコア21の内周面には、その軸方向に延びる複数のスロット24が周方向に沿って所定間隔で設けられている。各スロット24は互いに同じ断面形状であって、所定の幅及び深さを有して内周面側に開口している。そして、スロット24のそれぞれにコイル22が巻装され、図2に示すように、ステータコア21の軸方向端面から突出したコイルエンド部23が形成される。スロット24には、コイル20を形成する線状導体が複数本挿入され、本例では、各スロット24に6本の線状導体が挿入されている。
【0030】
ステータコア21は、円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体である。詳細な説明は省くが、それぞれの電磁鋼板の外径側には、径方向外側に突出形成されるとともに挿通孔43と同径の孔を有する突部が、外周を略均等に3分割する位置に形成されている。そして、電磁鋼板を積層した状態では、それぞれの電磁鋼板に形成された当該突部が積層方向(軸方向と同じ)に連なり、内部に挿通孔43を有する3つの固定用突条部40が形成される。すなわち、本実施形態においては、固定用突条部40は、ステータコア21の本体部30と一体的に形成されている。なお、ステータコア21は、電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体に限られない。例えば、磁性材料の粉体である磁性粉体を加圧成形してなる圧粉材を主な構成要素としてステータコア21を形成しても好適である。また、固定用突条部40を、ステータコア21の本体部30とは別体で構成しても良い。
【0031】
カバー部材70は、ステータコア21の軸方向端面から突出するコイル22のコイルエンド部23を覆う部材である。図1及び図2に示すように、カバー部材70は、封止壁部51、槽状部71、周壁部74、及び端壁部75を備えている。なお、封止壁部51は封止部材50により形成されるが、本例では、封止部材50はカバー部材70と一体的に、カバー部材70の一部として構成されている。言い換えれば、カバー部材70は、封止部材50と一体的に形成されている。また、封止壁部51には、締結ボルト45を挿通するための取付用孔が形成されている。この取付用孔を利用して、カバー部材70は、締結ボルト45によりステータコア21とともにケース(図示せず)に固定される。このように、本実施形態では、カバー部材70は、固定用突条部40(対象突条部41)に設けられた締結部としての挿通孔43に取り付け可能に構成され、封止部材50及びカバー部材70は、当該挿通孔43を用いてステータコア21とともにケースに固定される。そして、図2に示すように、カバー部材70の内面により規定される空間である収容室73に、コイルエンド部23が収容されている。なお、カバー部材70は、例えば樹脂等の絶縁材料で形成される。なお、封止部材50やカバー部材70が、ステータコア21とは別にケースに固定される構成としても良い。
【0032】
封止部材50は、所定の条件を満たす固定用突条部40を対象突条部41とし、当該対象突条部41を対象として取り付けられる。ここで、所定の条件は、「突条外周面42の最上部が本体外周面31の最上部を通る水平面以下の高さに位置し、且つ、突条外周面42の最上部が本体外周面31との境界部に一致しない」という条件である。このような条件に基づくことで、本体外周面31との間に凹部が形成されている固定用突条部40を対象突条部41として適切に選択することができ、以下に述べるように、当該対象突条部41を利用して冷媒貯留用凹部60を形成することができる。すなわち、カバー部材70と一体的に形成された封止部材50が、対象突条部41に対して本体外周面31の最上部側に配置されるようにステータコア21の軸方向両端部に取り付けられる。本実施形態では、封止壁部51の壁面がステータコア21の軸方向端面に当接するように、封止部材50を一体的に備えたカバー部材70が取り付けられる。この封止壁部51は、突条外周面42の最上部を通る水平面以上の高さを有するように形成される。なお、本例では、封止壁部51は、当該封止壁部51の上端が突条外周面42の最上部を通る水平面より上方に位置するような高さを有している。そして、図1に示すように、対象突条部41の突条外周面42と、当該対象突条部41に対して本体外周面31の最上部側に位置する本体外周面31と、封止部材50により形成される封止壁部51とにより囲まれる凹部により、冷媒を溜める冷媒貯留用凹部60が形成されている。この冷媒貯留用凹部60を利用したステータ20の冷却機構については後述する。
【0033】
上記の所定の条件を満たす固定用突条部40が複数ある場合には、少なくとも最上部に位置するものを対象突条部41とすると好適である。この際、所定の条件を満たす全ての固定用突条部40を対象突条部41とし、それら全ての対象突条部41を対象として封止部材50を取り付ける構成としても良い。また、上記の所定の条件を満たす固定用突条部40のうち、最上部に位置するもののみを対象突条部41としたり、最上部に位置するものから順に所定の数だけ対象突条部41として選択しても良い。本実施形態においては、上記の所定の条件を満たす固定用突条部40が一つであり、その固定用突条部40(対象突条部41)を対象として封止部材50が取り付けられている。また、本実施形態においては、図3に示すように、対象突条部41の突条外周面42の最上部が、本体外周面31の最上部を通る水平面と同じ高さとなるように、ステータコア21がケース(図示せず)に固定されている。
【0034】
なお、上記のように、ステータコア21は、円筒状の本体部30と固定用突条部40とを備え、全体として略円筒状の形状を有している。そして、図1及び図2に示すように、固定用突条部40は、軸方向に略一様に形成されている。そのため、本実施形態では、上記の所定の条件における「本体外周面31との境界部」を以下のように定義している。すなわち、軸方向視で、本体部30の本体外周面31が形成する円弧と、固定用突条部40の突条外周面42が形成する線分との交点を、突条外周面42の本体外周面31との境界部としている。
【0035】
槽状部71は、上方に開口するとともに冷媒貯留用凹部60と連通する冷媒流入口61(図3参照)を有する。本実施形態では、槽状部71は、周壁部74の最上部を跨ぐように形成されている。槽状部71の底部には、カバー部材70の内部に形成される収容室73と槽状部71とを連通する内部連通口72が設けられている。上記のように、槽状部71と冷媒貯留用凹部60とは、冷媒流入口61を介して互いに連通している。よって、本実施形態では、内部連通口72は、冷媒流入口61及び槽状部71を介して、冷媒貯留用凹部60とコイルエンド部23が収容される収容室73とを連通している。なお、槽状部71が、周壁部74の最上部以外の場所に形成される構成としたり、槽状部71が上方に開口しない構成としても好適である。また、内部連通口72が、槽状部71における底部以外の部分に形成される構成としても良い。
【0036】
周壁部74は、図1に示すように、コイルエンド部23の外周面を全周に亘って覆う円筒状の形状を有している。ここで、コイルエンド部23の外周面とは、本例では、コイルエンド部23を構成する複数の線状導体における径方向最外周に沿った面である。また、周壁部74は、コイルエンド部23の軸方向高さよりも高い軸方向高さを有するように形成され、コイルエンド部23の外周面における軸方向の全域を覆うように形成されている。
【0037】
端壁部75は、周壁部74の軸方向におけるステータコア21と反対側の端部から径方向内側に向かって延出し、コイルエンド部23の軸方向端部を覆うように形成されている。ここで、コイルエンド部23の軸方向端部とは、コイルエンド部23の軸方向におけるステータコア21と反対側の端部である。図2に示すように、本実施形態では、端壁部75は、コイルエンド部23の軸方向端部における径方向の全域を覆うとともに、径方向内側の端面から軸方向におけるステータコア21側へ延出し、コイルエンド部23の内周面の少なくとも一部を覆うように形成されている。図2に示す例では、軸方向一方側(図2の左上側)では、コイルエンド部23の内周面における軸方向の略全域を覆うように構成されている。一方、軸方向他方側(図2の右下側)では、コイルエンド部23の内周面における軸方向のステータコア21と反対側の一部を覆うように構成されている。ここで、コイルエンド部23の内周面とは、本例では、コイルエンド部23を構成する複数の線状導体における径方向最内周に沿った面である。
【0038】
図2に示すように、コイルエンド部23の形状は、軸方向両端部で異なる構成となっている。そして、カバー部材70は、対象となるコイルエンド部23の形状に合わせて、周壁部74の軸方向長さや端壁部75の径方向長さ等が定められている。なお、カバー部材70の構成は上記のものに限られない。よって、端壁部75が径方向内側の端部から軸方向のステータコア21側に延出する部位を有さない構成としたり、端壁部75がコイルエンド部23の軸方向端部における径方向外側の一部の領域のみを覆う構成としても好適である。また、カバー部材70が端壁部75を備えない構成としても良く、この際、周壁部74が、コイルエンド部23の外周面における軸方向の一部のみを覆う構成としても好適である。
【0039】
また、図示は省略するが、軸方向一方側(図2の左上側)に取り付けられるカバー部材70の内面には、周壁部74から径方向内側へ向かって突出するように径方向壁部が形成されている。具体的には、径方向壁部は径方向に沿って放射状に配置され、コイルエンド部23を構成する線状導体により形成される空間に径方向外側から挿入可能な形状を有している。これにより、径方向壁部の挿入箇所においては、コイルエンド部23を構成する線状導体間の空隙が小さくなっている。
【0040】
2.ステータの冷却機構
上述のように、本実施形態に係るステータ20は、封止部材50と一体的に形成されたカバー部材70を備え、対象突条部41の突条外周面42と、当該対象突条部41に対して本体外周面31の最上部側に位置する本体外周面31と、封止部材50により形成される封止壁部51とで囲まれる凹部により、冷媒を溜める冷媒貯留用凹部60が形成されている。以下に、この冷媒貯留用凹部60を利用したステータ20の冷却機構について詳細に説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、突条外周面42とは、対象突条部41の突条外周面42を指すものとする。
【0041】
本実施形態に係るステータ20は、図3に示すように、冷媒が流通する冷媒流通路80を備えている。冷媒流通路80は、例えば、ステータコア21が取り付けられるケース(図示せず)内に形成したり、ケースとは別体で形成することができる。また、冷媒流通路80には、図示しないポンプが作動することにより冷媒が供給される。冷媒は、公知の種々の冷却液を採用することができ、例えば油とすることができる。そして、冷媒流通路80は、冷媒貯留用凹部60の上方に、冷媒を吐出するための吐出孔81を備えている。よって、重力を利用して吐出孔81から冷媒を滴下させるだけで、冷媒貯留用凹部60に冷媒を供給することが可能となっている。図3には、吐出孔81から吐出された冷媒の流れを実線及び破線の矢印で示してある。
【0042】
図2に示すように、冷媒貯留用凹部60は四方を囲まれているため、冷媒貯留用凹部60に供給された冷媒は、当該冷媒貯留用凹部60に溜められる。そして、冷媒貯留用凹部60に溜められた冷媒の液面レベルが突条外周面42の最上部と略同一になった後、新たに冷媒貯留用凹部60に供給される冷媒の量に応じた量の冷媒が、突条外周面42の最上部を超えて対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31に供給される。よって、本来なら対象突条部41により冷媒の流れが阻害され、冷媒が適切に提供されない可能性があるステータコア21の外周面にも冷媒を適切に供給でき、ステータコア21の外周面に対して周方向の広範囲に冷媒を行き渡らせることが可能となっている。
【0043】
また、図1及び図2に示すように対象突条部41は軸方向に略一様に形成されている。そのため、冷媒貯留用凹部60から溢れ出る冷媒の流れ分布は、冷媒貯留用凹部60に対する上記の冷媒流通路80の吐出孔81の位置に大きく依存せず、冷媒流通路80から供給された冷媒は、対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31に対して軸方向に略均一に供給される。すなわち、冷媒貯留用凹部60のいずれかの場所に冷媒を供給するだけで、対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31に対して軸方向に略均一に冷媒を供給することが可能となっている。
【0044】
さらに、本実施形態では、上記のように、突条外周面42の最上部は、本体外周面31の最上部を通る水平面と同じ高さとなっている。よって、図3に示すように、冷媒貯留用凹部60に供給された冷媒が突条外周面42の最上部を越えて、対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31側に溢れ出るのと同時に、本体外周面31の最上部を超えて、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31側にも冷媒が溢れ出る。よって、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31に直接冷媒を供給しなくとも、冷媒貯留用凹部60に冷媒を供給するだけで、本体外周面31の最上部に対する周方向両側に冷媒を供給することが可能となっている。
【0045】
また、上記のように、封止壁部51は、突条外周面42の最上部を通る水平面より高く形成されている。よって、冷媒貯留用凹部60に供給された冷媒が対象突条部41の最上部を超えて対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31側に溢れ出る際に、冷媒の一部が封止壁部51を超えて冷媒貯留用凹部60の軸方向外側へ溢れ出ることが抑制されている。なお、封止壁部51を、突条外周面42の最上部を通る水平面と同じ高さを有して構成し、封止壁部51を超えて冷媒貯留用凹部60の軸方向外側へ溢れ出た冷媒が、コイルエンド部23へ供給される構成としても好適である。
【0046】
ところで、本実施形態では、上記のように、冷媒貯留用凹部60と連通する形態でカバー部材70の上部に槽状部71が設けられている。図1に示すように、槽状部71は、軸方向に沿って形成される2つの側壁と、軸方向におけるステータコア21と反対側にて当該2つの側壁間に形成される端壁とを有する。そして、これらの壁に三方を囲まれる底部は、2つの側壁間の本体外周面31より低い位置に位置するように構成されている。冷媒貯留用凹部60と槽状部71とは、冷媒流入口61(図3参照)を介して連通している。本実施形態では、図3に詳細を示すように、冷媒流入口61は、突条外周面42の最上部を通る水平面と、本体外周面31と、槽状部71の対象突条部41側の側壁の内面とで定められる略三角形状の空間とされている。冷媒流入口61がこのように形成されているため、冷媒貯留用凹部60に供給された冷媒は、冷媒流入口61を介して槽状部71に供給される。
【0047】
槽状部71には、槽状部71とカバー部材70の内部に形成される収容室73とを連通する内部連通口72が形成されている。内部連通口72は、本実施形態では、図1及び図2に示すように、槽状部71の底部の一部を端壁部75に沿って切り欠いた形状を有している。この内部連通口72を通って、図3において破線の矢印で示すように、槽状部71に供給された冷媒が収容室73に向かって下方に供給される。なお、内部連通口72は、上記のような形状を有するため、絞りとして機能する。よって、内部連通口72の開口部の大きさを調節することで、収容室73への冷媒の供給量を調節することができる。すなわち、ステータコア21の外周面の冷却とコイルエンド部23の冷却に用いられる冷媒の量の振り分けを行うことが可能となっている。
【0048】
また、内部連通口72は、槽状部71の軸方向におけるステータコア21と反対側の端部に近接して形成されている。よって、槽状部71に供給された冷媒が内部連通口72を介して収容室73に供給される際に、コイルエンド部23の軸方向端部を中心に冷媒が供給される。このように、本実施形態では、冷媒貯留用凹部60に冷媒を供給するだけで、コイルエンド部23に対しても冷媒が供給可能となっている。そして、コイルエンド部23は、カバー部材70の周壁部74及び端壁部75により画定される収容室73の内部に収容されているので、供給された冷媒は、コイルエンド部23の周方向の略全体に行き渡る。
【0049】
なお、詳細は省略するが、ステータ20の径方向内側に配置されているロータの回転に伴う遠心力を利用して、コイルエンド部23の軸方向におけるステータコア21側の端部付近には、径方向内側から冷媒が吹きかけられる構成となっている。これにより、コイルエンド部23を構成する線状導体を軸方向の略全体に亘って冷却することが可能となっている。なお、コイルエンド部23に対して径方向内側から冷媒を吹きかける構成は公知であるため、ここでは詳細な説明は省く。また、上記のように、軸方向一方側(図2の左上側)に取り付けられるカバー部材70の内面には、周壁部74から径方向内側へ向かって突出するように径方向壁部が形成されている。よって、冷媒がコイルエンド部23を通過する際に、コイルエンド部23を構成する線状導体と接触して熱交換を行う割合や頻度が高められており、これにより冷却性能の向上が図られている。
【0050】
本実施形態に係るステータ20はこのような槽状部71を備えることで、ステータコア21に対して軸方向外側に位置する、ステータコア21の軸方向端面から突出するコイルエンド部23に冷媒を供給することが容易な構成となっている。さらに、冷媒のコイルエンド部23に対する軸方向における供給位置は、槽状部71の底部に設けられる内部連通口72の軸方向位置を変えるだけで容易に変更することができる。また、本実施形態では、槽状部71は、カバー部材70の最上部を跨ぐように形成されている。よって、内部連通口72を介してコイルエンド部23に供給される冷媒を、コイルエンド部23の最上部を基準とする周方向両側に供給することも容易となっている。すなわち、槽状部71を備えることで、冷媒を一旦槽状部71に溜めてから、コイルエンド部23が収容される収容室73に冷媒を供給することができ、コイルエンド部23を適切に冷却することが可能となっている。
【0051】
また、本実施形態では、図3に示すように、内部連通口72が形成される槽状部71の底部は、突条外周面42の最上部を通る水平面よりも低い位置に位置している。そのため、冷媒貯留用凹部60に供給される冷媒量が少ない場合、すなわち、内部連通口72を通って収容室73に流れ込む単位時間当たりの冷媒量より冷媒貯留用凹部60に供給される単位時間当たりの冷媒量が少ない場合には、主にコイルエンド部23のみに冷媒が供給され、対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31や、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31には冷媒はほとんど供給されない。一方、冷媒貯留用凹部60に供給される冷媒量が多い場合、すなわち、内部連通口72を通って収容室73に流れ込む単位時間当たりの冷媒量より冷媒貯留用凹部60に供給される単位時間当たりの冷媒量が多い場合には、コイルエンド部23だけでなく、対象突条部41の周方向に沿って下方側に位置する本体外周面31や、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31にも冷媒が供給される。よって、冷媒貯留用凹部60に供給される冷媒の量を制御可能な構成とすれば、例えば、回転電機の回転数が低く全損に占める鉄損の割合が小さいときには、冷媒貯留用凹部60に供給する冷媒量を少なくすることでコイルエンド部23のみを冷却し、回転電機の回転数が高く全損に占める鉄損の割合が大きいときには、冷媒貯留用凹部60に供給する冷媒量を多くし、ステータコア21の外周面も積極的に冷却するような構成を実現することができる。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、封止壁部51を形成する封止部材50が、コイルエンド部23を覆うカバー部材70と一体的に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、封止部材50を、カバー部材70と別体で構成することも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、図4に示すように、ステータコア21の軸方向一方側(図4の左上側)の端部に取り付けられる封止部材のみをカバー部材70と別体で構成すると好適である。なお、この例では、軸方向一方側の端部に取り付けられる封止部材は、ケース1の一部として構成されている。すなわち、ステータコア21を固定した状態で対象突条部41の軸方向一方側の端部に当接するケース1の座部2が、封止壁部を形成する封止部材を構成している。
【0053】
(2)上記の実施形態においては、対象突条部41が軸方向に略一様に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、図5及び図6に示すように、対象突条部41の軸方向における1箇所又は複数箇所(図5の例では2箇所)に、突条外周面42の最上部に対して下方へ引退した凹溝44が形成されている構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この構成によれば、冷媒貯留用凹部60から溢れ出る冷媒を凹溝44に積極的に導くことができ、ステータコア21の軸方向における所定の位置を重点的に冷却することが可能となる。なお、対象突条部41にこのような凹溝44が形成されている構成において、封止部材50を備えない構成としても好適である。
【0054】
(3)上記の実施形態においては、冷媒貯留用凹部60の上方に、冷媒を吐出するための吐出孔81が備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、冷媒貯留用凹部60に冷媒を供給できるのであれば、吐出孔81の場所は冷媒貯留用凹部60の上方に限られない。例えば、吐出孔81を軸方向においてステータコア21と重複しない位置に設け、当該吐出孔81から軸方向にステータコア21側へ向けて冷媒を噴射する構成としても好適である。また、槽状部71の上方にも吐出孔81を備え、槽状部71に直接冷媒を供給する構成としても好適である。この場合、槽状部71が冷媒流入口61を備えない構成としても良い。また、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31の上方にも吐出孔81を備え、当該本体外周面31に直接冷媒を供給する構成としても良い。
【0055】
(4)上記の実施形態においては、突条外周面42の最上部が、本体外周面31の最上部を通る水平面と同じ高さとなるようにステータコア21が固定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。突条外周面42の最上部が、本体外周面31の最上部を通る水平面より低くなるようにステータコア21が固定されている場合には、冷媒貯留用凹部60だけでなく、本体外周面31の最上部に対して対象突条部41の周方向反対側に位置する本体外周面31にも冷媒を供給する構成とすることで、本体外周面31の最上部に対する周方向両側に位置するステータコア21の外周面を冷却することができる。
【0056】
(5)上記の実施形態においては、封止壁部51の壁面がステータコア21の軸方向端面に当接するように、封止部材50が取り付けられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、ステータコア21の軸方向端面と封止壁部51の壁面との間に別の部材を介在させて封止部材50を取り付ける構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0057】
(6)上記の実施形態においては、カバー部材70が槽状部71を備え、槽状部71を介して冷媒貯留用凹部60とカバー部材70の内部に形成される収容室73とが連通している場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、カバー部材70が槽状部71を備えず、内部連通口72がカバー部材70の周壁部74や封止部材50に形成されている構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
【0058】
(7)上記の実施形態においては、ステータ20がカバー部材70を備え、カバー部材70が、コイルエンド部が収容される収容室73と冷媒貯留用凹部60とを連通する内部連通口72を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、カバー部材70が内部連通口72を備えず、冷媒貯留用凹部60から収容室73に冷媒を供給しない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、ステータ20がカバー部材70を備えない構成としても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、固定用の締結部が設けられた固定用突条部を有する略円筒状のステータコアを備え、軸心が略水平になるように配置されるステータに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:ケース
2:座部
20:ステータ
21:ステータコア
22:コイル
23:コイルエンド部
30:本体部
31:本体外周面
40:固定用突条部
41:対象突条部
42:突条外周面
43:挿通孔(締結部)
44:凹溝
50:封止部材
51:封止壁部
60:冷媒貯留用凹部
61:冷媒流入口
70:カバー部材
71:槽状部
72:内部連通口
73:収容室
80:冷媒流通路
81:吐出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定用の締結部が設けられた固定用突条部を有する略円筒状のステータコアを備え、軸心が略水平になるように配置されるステータであって、
前記固定用突条部は、前記ステータコアの円筒状の本体部の周方向における一部に、前記本体部の軸方向全域にわたって当該本体部の外周面である本体外周面に対して径方向外側に突出形成されてなり、
前記固定用突条部であって、その外周面である突条外周面の最上部が前記本体外周面の最上部を通る水平面以下の高さに位置し、且つ、前記突条外周面の最上部が前記本体外周面との境界部に一致しないものを対象突条部とし、
前記対象突条部に対して前記本体外周面の最上部側に配置されるように前記ステータコアの軸方向両端部に取り付けられ、前記突条外周面の最上部を通る水平面以上の高さを有する封止壁部を形成する封止部材を備え、
前記突条外周面と、前記本体外周面と、前記封止壁部とで囲まれる凹部が、冷媒を溜める冷媒貯留用凹部とされているステータ。
【請求項2】
前記突条外周面の最上部が、前記本体外周面の最上部を通る水平面と同じ高さとなるように前記ステータコアが固定されている請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記封止部材は、前記封止壁部の壁面が前記ステータコアの軸方向端面に当接するように取り付けられている請求項1又は2に記載のステータ。
【請求項4】
前記ステータコアに巻装されるコイルにおける前記ステータコアの軸方向端面から突出するコイルエンド部を覆うカバー部材を更に備え、
前記カバー部材は、前記コイルエンド部が収容される収容室と前記冷媒貯留用凹部とを連通する内部連通口を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項5】
前記カバー部材は、上方に開口するとともに前記冷媒貯留用凹部と連通する冷媒流入口を有する槽状部を備え、前記内部連通口は、前記槽状部の底部に設けられている請求項4に記載のステータ。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記封止部材と一体的に形成されるとともに、前記対象突条部に設けられた前記締結部に取り付け可能に構成され、
前記封止部材及び前記カバー部材は、前記締結部を用いて前記ステータコアとともにケースに固定される請求項4又は5に記載のステータ。
【請求項7】
前記ケースは、前記ステータコアを固定した状態で前記対象突条部の軸方向一方側の端部に当接する座部を備え、
軸方向一方側の前記封止部材は、前記座部により構成されている請求項6に記載のステータ。
【請求項8】
前記対象突条部の軸方向における1箇所又は複数箇所に、前記突条外周面の最上部に対して下方へ引退した凹溝が形成されている請求項1から7のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項9】
冷媒が流通する冷媒流通路を更に備え、
前記冷媒流通路は、少なくとも前記冷媒貯留用凹部の上方に、冷媒を吐出するための吐出孔を備える請求項1から8のいずれか一項に記載のステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−233318(P2010−233318A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76871(P2009−76871)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】