説明

スパッタターゲット及び回転軸方向鍛造によるその形成方法

回転軸方向鍛造を用いてスパッタターゲットを作製する方法が記載される。当該鍛造工程の前及び/又は後に他の熱機械加工工程を用いることができる。特有の粒子サイズ及び/又は結晶構造を有することができるスパッタターゲットがさらに記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングに用いられるスパッタターゲット及び構成要素に関する。より詳しくは、本発明は、スパッタリングターゲットの形成方法及び本発明の方法によって得られるスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
金属からスパッタリングターゲットを製造する種々の方法があり、それらは、一般にビレット状の粉末冶金製品又はインゴット由来製品を採用し、続いて該ビレットを所望のスパッタターゲットの形状(多くの場合平面かつ円形である)に加工することを一般に伴う。ビレットを所望の形状に加工するのに一般に用いられる手段は、圧延、ハンマー粉砕、押出し、据込み鍛造などの種々の鍛造方法である。一般に、これらの方法は、それらの鍛造又は粉砕操作が非常に労働集約的でかつ関連する必要な変形のために多大な時間を要するので、材料を加工するのにかなりの時間がかかるという点で作業集約的である。さらには、これらのタイプの鍛造又は粉砕工程を使用することにより、形成されるスパッタターゲットは、所望の精密許容差及び優れた表面仕上げを得るために多大な機械加工を一般に必要とする。加えて、平面ターゲットの円形は一般に正確ではなく、ターゲット周囲の直径の変動に関して大きな分散、例えば、10〜15%の分散を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当業界では、これらの不利を克服し、スパッタターゲットを形成するための低コストの方法、並びにターゲットを形成するのに必要な時間を短縮する手段を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴は、スパッタターゲットを低コストでかつより低い労働集約的操作で製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる特徴は、形成プロセスの際に必要とされる時間がより短いスパッタターゲットの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の追加の特徴は、粒子サイズ及び/又は結晶方位に関してより均一なスパッタターゲットを与える方法を提供することである。
【0007】
本発明の追加の特徴は、ターゲット周囲の直径の変動がより小さいスパッタターゲットを提供することである。
【0008】
さらに、本発明の別の特徴は、形成後に必要とされる機械加工が少ないスパッタターゲットを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、過渡的な一次組織又は制御された組織勾配を有するスパッタターゲットを提供することである。
【0010】
本発明の追加の特徴及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、この説明から部分的に明らかであるか又は本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的及び他の利点は、この説明及び特許請求の範囲において特に指摘される構成要素及びその組み合わせによって実現及び達成されるであろう。
【0011】
これら及び他の利点を達成するため並びに本発明の目的に従って、本明細書で具体化されかつ概括的に記載されるとおり、本発明は、スパッタターゲットの形成方法に関する。本方法は、インゴット由来の予備成形体をスパッタターゲットの形状及びサイズに回転軸方向鍛造(rotary axial forging)することを伴う。この回転軸方向鍛造は、クローズドダイにおいて達成されることが好ましい。
【0012】
さらに本発明は、スパッタターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである粒子サイズパターンを有するスパッタターゲットに関する。
【0013】
さらに本発明は、ターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである結晶構造パターンを有するスパッタターゲットに関する。
【0014】
本発明はまた、スパッタターゲット周囲の直径変動が5%以下であるスパッタターゲットに関する。
【0015】
加えて、本発明は、過渡的な一次組織又は制御された組織勾配を有するスパッタターゲットに関する。
【0016】
先の一般的な記載と以下の詳細な記載の両方は、例示的でかつ説明的なものでしかなく、特許請求の範囲に記載される本発明のさらなる説明を提供しようとするものであると解されるべきである。
【0017】
添付図面は、本願に含まれかつその一部を構成し、本発明の幾つかの実施態様を本明細書とともに示し、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、スパッタターゲット及びスパッタターゲットの製造方法、好ましくはスパッタターゲットの形成方法の一部として回転軸方向鍛造技術を用いたスパッタターゲットの製造方法に関する。
【0019】
より詳しくは、本方法において、スパッタターゲットは、インゴット由来の予備成形体又はワークピースを所望のスパッタターゲットの形状及びサイズに回転軸方向鍛造することによって製造することができる。
【0020】
本発明の目的のために、インゴット由来の予備成形体は、所望のスパッタターゲットの形状までサイズを小さく(例えば、変形)させることができる任意のインゴット由来材料であることができる。したがって、インゴット由来の予備成形体は、所望のスパッタリングターゲットよりも大きな高さと、スパッタターゲットよりも小さな直径とを一般に有する材料である。インゴット由来の予備成形体は、一般に、最終的なスパッタターゲット寸法の所望の形状に成形又は変形又は加工することができる限り、任意の所望の高さ及び/又は直径又は他の寸法形状であることができる。本発明の目的のために、インゴット由来の予備成形体は円筒形であることが好ましく、例えば、ビレット、ロッド、シリンダー又は他の同様の形状であることができる。インゴト由来の予備成形体は、長方形などの他の幾何学的形状を有することもできる。しかしながら、このタイプの予備成形体形状で出発すると一般に長方形になるので、それを当業者に公知の鍛造技術によって円筒形に成形することになる。例として、直径が約3インチ〜約14インチのビレットを使用できる。一般に、ビレットの高さは、好ましくはビレット又は他の予備成形体又は他のワークピースの直径の約2倍以下、より好ましくは1.8倍以下である。より大きな高さ/直径比を使用することができる。
【0021】
ビレット又は他のワークピースは、例えば、その参照により全体として本明細書に含まれるMichalukらの米国特許第6,348,113号明細書に記載されている方法及び技術によって形成することができる。
【0022】
インゴット由来の予備成形体に関しては、当該予備成形体は、任意の純度、任意の粒子サイズ及び/又は任意の組織を有することができる。インゴット由来の予備成形体は、好ましくは存在する第一次金属に関して95%を超える純度、より好ましくは存在する第一次金属の純度に関して99%、99.5%、99.9%、99.95%、99.99%、99.995%、99.999%以上の純度を有する。金属に関しては、スパッタされ得る限り、任意の金属を使用することができる。BCCタイプ若しくはFCCタイプの金属又はそれらの合金を使用することができる。例としては、限定されないが、耐火金属、バルブ金属、並びに他のタイプの金属が挙げられる。具体例としては、限定されないが、タンタル、ニオブ、チタン、コバルト、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、白金、ハフニウム、ジルコニウム、パラジウム、バナジウム、イリジウム、モリブデン、タングステン、鉄及びそれらの合金などが挙げられる。
【0023】
記載したように、インゴット由来の予備成形体は、任意の平均粒子サイズを有することができる。平均粒子サイズの例としては、1,000μm以下、より好ましくは500μm以下が挙げられる。他の範囲としては、限定されないが、250μm以下、150μm以下、100μm以下、75μm以下、50μm以下、25μm以下、10μm以下、及び約1μm〜約1,000μmの他の任意の数値範囲が挙げられる。組織に関して、本発明においては、任意の結晶方位を使用することができる。例としては、限定されないが、一次組織と混合組織が挙げられる。例えば、組織は、立方晶金属に関して、(111)組織(又は結晶方位)、(100)組織、(110)組織、又はこれらの組織を混合したものであることができる。同様に、チタンなどの六方晶金属に関しては、組織は、(0002)組織、(10−12)組織、(10−10)組織、又はこれらの組織を混合したものであることができる。この組織は、インゴット由来の予備成形体全体及び/又はその表面であることができる。組織は均一であることが好ましいが、均一である必要はない。同様に、好ましくはしかし必要ではないが、立方晶金属の組織は、如何なる組織バンディングもなくてよい。例えば、インゴット由来の予備成形体は、実質的に(100)組織バンディングがなくてもよい。
【0024】
本発明では、インゴット由来の予備成形体は回転軸方向鍛造にさらされる。この回転軸方向鍛造は揺動鍛造としても公知である。回転軸方向鍛造は、クローズドダイと関連してなされることが好ましい。任意の回転軸方向鍛造機を使用することができる。例としては、限定されないが、米国ミシガン州、アーバンヒルズのVSI Automation(VSI OFP−100)、ドイツ国、ドルトムントのWagner Banning(AGW−125又はAGW−400)、スイス国のSchmid Corporation(Model T630又はT200)から商業的に入手可能な回転軸方向鍛造機が挙げられる。加えて、回転軸方向鍛造機は、米国特許第4,313,332号明細書、同第4,795,333号明細書、及び同第5,531,088号明細書においてさらに記載されており、これらの特許はすべてその参照により全体として本明細書に含まれる。また、回転又は軸方向鍛造の種々の態様が、Shivpuri,R.及びJ.Materの「Past Developments and Future Trends in the Rotary or Orbital Forging Process」,Shaping Technol.6,(1)1988,55−71頁;Honegger,H.R.の「The Push Toward Orbital Forging」,Am.Mach.126,(11)Nov.1982,142−144頁;Faccini,E.C.の「Obital Forging of Heavy Metal EFP Liners」,Conference Proceedings;TMS,Warrendaleの「High Strain Rate Behavior of Refractory Metals and Alloys」,PA,111(1992);Standring,P.M.及びMoon,J.R.の「Metallurgical Aspects of Rotary Metal Forming」,Rotary Metalworking Processes,1979,157−170頁,IFS(Conferences)Ltd and University of Nottingham,Nov.1979;J.Materの「Recent development and applications of three−dimensional finite element modeling in bulk forming processes」,Process.Technol.,第113巻,No.1−3,2001/Jun 40−45頁;R.E.Little及びR.Beyerの「Load−Deformation Relationships during Upsetting by Rotary Forging」,Rotary Metalworking Processes,1979,157−170頁,IFS(Conferences)Ltd and University of Nottingham,Nov.1979;K.Kubo及びY.Hiraiの「Deformation Characteristics of Cylindrical Billet in Upsetting by a Rotary Forging Machine」,Rotary Metalworking Processes,1979,157−170頁,IFS(Conferences)Ltd and University of Nottingham,Nov.1979;J.R.Maickiの「Orbital Forging」,Metallurgia and Metal Forming,June,1977,265−269頁においてさらに記載されており、これらすべての文献もまたその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0025】
回転軸方向鍛造の操作に関して、回転軸方向鍛造によって適用される圧力又は力の量は、約50トン〜約700トン(又はそれ以上)、より好ましくは約200トン〜630トンであることができる。一般に、インゴット由来の予備成形体は、揺動鍛造工程の際、約30rpm〜約120rpm(又はそれ以上)、より好ましくは約50rpm〜約80romの速度で回転される。鍛造操作の間、インゴット由来の予備成形体に実際に接触する定盤である上部定盤を有する回転軸方向鍛造機は、揺動鍛造工程の際、好ましくは30rpm〜約300rpm、より好ましくは約100rpm〜約240rpmの速度で回転する。一般に、鍛造工程の際、インゴット由来の予備成形体の温度は、約−196℃〜約1000℃、より好ましくは約20℃〜約350℃の温度である。
【0026】
ダイとビレットの接触面積及び鍛造されるべき材料の降伏強さは、スパッタリングターゲットを製造するのに必要な回転鍛造機のサイズを決定する要因である。揺動鍛造における接触面積は、式A=πR2(0.48h/(2Rtan(α))0.63(式中、Aは接触面積、Rはビレットの半径、hはフィード/回転数の深さ、αは上部ダイとビレット面の傾斜角である)を用いて計算することができる。半径Rのスパッタリングターゲットを形成するのに回転鍛造プレスから要求される力(F)は、式F=AYC(式中、Yは金属ビレット材料の変形抵抗、Cは拘束係数である)で与えられる。この拘束係数と材料の降伏強さの積は、ダイの摩擦力を考慮した回転鍛造プロセスの有効降伏強さとみなすことができる。
【0027】
回転軸方向鍛造工程の際、インゴット由来の予備成形体は、数秒、例えば、1分以下、より好ましくは30秒以下の時間でスパッタターゲットの所望の形状及びサイズまで小さくすることができ、言うまでもないが、結果としてターゲットの形成時間を大きく短縮することができる。
【0028】
回転軸方向鍛造工程においては、好ましくは、所望のスパッタターゲットの形状及びサイズのクローズドダイが使用される。本質的には、このダイ又は型によってインゴット由来の予備成形体をスパッタターゲットの正確な所望の形状及びサイズに変形させることができ、結果として、スパッタターゲットの直径における分散に関し、完成品において非常に低い分散が得られる。一般に、本発明を用いることで、ターゲット周囲の直径における分散は5%以下である。
【0029】
加えて、回転鍛造によって、スパッタリングターゲットの形状がその侵食パターンに適合するようスパッタリングターゲットを形成することが可能である。これによって材料が節約され、スパッタリングターゲットの材料費が下がる。
【0030】
クローズドダイは、任意の材料、例えば、工具鋼又は類似の材料から製造することができる。二硫化モリブデン又は類似の又は他のタイプの鍛造用潤滑剤を用いて鍛造の際の摩擦力を低減することができる。
【0031】
本発明においては、回転軸方向鍛造にさらされるインゴット由来の予備成形体は、アニーリングしてもよいし又はアニーリングしなくてもよい。好ましくは、インゴット由来の予備成形体はアニーリングされる。より好ましくは、タンタルの場合、インゴット由来の予備成形体は、約900℃〜約1200℃の温度で約60分〜約240分間、好ましくは真空又は不活性雰囲気下でアニーリングされる。インゴット又は金属物品はコーティングすることもできる。他の温度及び/又は時間を用いることもできる。アニーリングは何回でも使用することができる。
【0032】
本発明において鍛造されるインゴット由来の予備成形体のサイズは、スパッタターゲットの所望の仕上げサイズに典型的に基づいている。換言すると、スパッタターゲットのサイズが分かれば、そのスパッタターゲットの金属の容積を容易に決定することができ、そうして、出発インゴット由来の予備成形体が完成したスパッタターゲットと本質的に同じ容積を有するように、出発インゴット由来の予備成形体の適切な直径及び高さを決定することができる。インゴット由来の予備成形体の高さは、好ましくはインゴット由来の予備成形体の直径の約3倍以下である。より好ましくは、その高さはインゴット由来の予備成形体の直径の1.8倍に近いか又は1.8倍である。一般的に、その高さは3倍を超えることはなく、超えることもあるがそれは好ましくない。
【0033】
スパッタターゲットの最終的な形状又はサイズは、任意のサイズ、例えば、6インチ〜18インチのような通常のサイズであることができ、高さが約0.125〜約1インチである。
【0034】
任意選択で、回転軸方向鍛造工程の前に、インゴット由来の予備成形体は、最初の熱機械的な加工又は変形工程にさらすことができる。本発明においては、インゴット由来の予備成形体は、この先行の熱機械加工にさらすことが好ましく、この加工は、任意の加工手段(好ましくは揺動鍛造以外)、例えば、回転鍛造、ハンマー鍛造、据込み鍛造、圧延、クロス圧延、押出しなどの形態であることができる。本質的には、インゴット由来の予備成形体が回転軸方向鍛造のために円筒形に戻されさえすれば、材料を熱機械的に加工する任意の手段を使用することができる。したがって、インゴット由来の予備成形体は、1つの実施態様では、本発明の好ましい実施態様のために続いて円筒形に戻されさえすれば、任意の幾何学的形状に圧延することができる。インゴット由来の予備成形体の先行の熱機械的な加工又は変形により、好ましくは当該予備成形体の粒子サイズ及び/又は組織が改善される。さらに、この先行の熱機械加工を行うことで、特定の回転軸方向鍛造機の加工を受けるのに必要なサイズ及び/又は形状を有する予備成形体を得ることができる。例えば、約3インチ〜約14インチの直径を有するビレットは、鍛造などの最初の熱機械加工を受けて、直径を最初の出発直径の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも100%低減することができる。このサイズの変形及び低減は、必要に応じて100%を大きく超えることもできる。予備成形体の加工は、冷間若しくは熱間加工又はそれらの組み合わせであることができる。ビレットは、再度加工して元の直径に戻すことができる。
【0035】
本発明の目的のために、回転軸方向鍛造工程の前に、先行の熱機械加工を2回以上実施してもよい。回転軸方向鍛造前の加工工程は、予備成形体の所望の比率の変形又は他の熱機械加工を達成するために何回実施してもよい。
【0036】
本発明の別の実施態様においては、回転軸方向鍛造は段階的に実施することができる。例えば、回転軸方向鍛造装置が全体的な自由形状を鍛造するのに十分なトン数を有していない場合には、揺動鍛造を複数の工程で実施できるように、下部ダイを半径方向へ移動させることができる。例えば、プレートの内側部分は、揺動鍛造により機械のトン数限界まで形成することができ、その内側部分は部品の最終半径よりも小さい半径を有する。したがって、直径13インチのプレートを形成したいのであれば、まず、8インチのプレートを心を合わせた上部と下部のダイで形成することができる。次いで、予め鍛造されていない予備成形体の部分へ上部定盤を移動させることによって、予備成形体の外側部分を同じようにして鍛造することができる。別の方法で又は組み合わせて、予備成形体が置かれている下部定盤を予め鍛造されていない領域を鍛造するため上部定盤と並ぶように移動させることができる。したがって、この方法により、揺動鍛造の1つの工程で予め鍛造できなかった大きな予備成形体の全体は、好ましくは連続して行われる2つ以上の工程において揺動鍛造により鍛造することができる。したがって、予備成形体全体を均一に鍛造して、材料、例えば、スパッタターゲットの形態の材料の所望の形状及び最終厚さを達成するために、ダイ又は上部定盤を単に移動させるか又は下部定盤を移動させる。例えば、直径13インチのプレートを形成するには、まず、当初8インチのプレートを心を合わせた上部と下部のダイによって鍛造することができる。このとき、内径は8インチに最終厚さ付近まで成形されているが、ビレット又は予備成形体の外側部分は成形されていない。次いで、この例では、下部ダイを第1プレスの半径長だけ移動させることができ、その移動値は4インチである。次いで、第2の揺動鍛造プレスを実施して外径部分を形成することができる。このプレスによって外側部分を最終直径の13インチに成形する。この2工程の方法によって揺動鍛造に必要な最大力が低下する。この複数工程の方法は、使用される揺動鍛造プレスから利用できる力のみを使用しながら、何度でも繰り返してさらにより大きな直径のプレートを形成することができる。この複数工程の方法は多くの利点を提供する。別の方法では、外径部分で始めて半径方向内側へプレスし内側に移動させるか、又はまず内径部分で始めて半径方向にプレスし1つ又は複数の工程で外側に移動させることができる。
【0037】
回転軸方向鍛造工程の後、他の通常の工程を何度でもスパッタターゲットに実施することができる。例えば、次いで、スパッタターゲットは、任意選択のアニーリング工程について先に記載したのと類似のアニーリングパラメータを用いて何回でもアニーリングすることができる。
【0038】
また、スパッタターゲットは、任意選択で、任意のさらなる熱機械加工工程、例えば、圧延工程、平坦化工程、又は他の熱機械加工、例えば、引抜き、ハイドロフォーミング、超塑性成形、スピニング若しくはフロー成形又は熱機械加工の任意の組み合わせを受けることができる。
【0039】
さらに、スパッタターゲットは、所望の仕様を得るために、任意選択で、機械加工、研削、ラッピング、ミリング又は研磨を受けることができる。
【0040】
所望のスパッタターゲットが得られると、次いで、スパッタターゲットをバッキング層又はバッキングプレートに取り付けてターゲットの組み立てを完了する。スパッタターゲットのバッキングプレートへの取付けは、拡散接合、摩擦ろう付け、摩擦溶接、爆着、はんだ付けなどの任意の取り付け手段によって行うことができる。任意選択で、少なくとも1つの中間層をスパッタターゲットとバッキング層の間に配置することができ、当該中間層は、ターゲットアセンブリを取り付ける前に、ターゲット又はバッキングプレート又はその両方に取り付けてもよい。バッキングプレートは、任意の通常の材料、例えば、銅、アルミニウム、チタン又はそれらの合金であることができる。
【0041】
先に示したとおり、スパッタターゲットの少なくとも一方の表面は、所望の特性及び許容差を得るために機械加工することができる。
【0042】
本発明で得られるスパッタターゲットに関して、1つの実施態様では、スパッタターゲットは、ターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである粒子サイズパターンを有することが好ましい。したがって、粒子サイズパターンは、ターゲットの中心を囲む円形であるがターゲットの外径に対して放射状に広がっている点で特有のものである。本質的には、粒子サイズパターンは、半径方向のパターンと円周方向のパターンを混合したものである。粒子サイズパターンのこの特有の混合を有する本発明の1つの実施態様におけるスパッタターゲットは、特にその円形パターンがスパッタリング装置における磁石の円形パターンとよく適合することができるので、均一なスパッタリングについて特有の特性を提供する。したがって、スパッタターゲットは、基材上により均一な薄膜を提供するだけでなく、均一にスパッタし又は侵食され、より効率的かつ完全にスパッタターゲットが使用される。同様に、スパッタターゲットは、同じ実施態様又は別の実施態様では、連続的な半径円周方向パターンである結晶構造パターンを有することができる。この結晶構造は、先に示したとおり、任意の組織を有することができる。さらに、組織のこの好ましい連続的な半径円周方向パターンは、好ましい実施態様において、所望の基材上に均一な薄膜を形成するのみならず均一に侵食されるより均一なターゲットを提供する。
【0043】
本発明の目的のために、本発明の方法から得られるスパッタターゲットは、出発インゴット由来の予備成形体と同じか又は異なる組織及び/又は粒子サイズを有することができる。したがって、予備成形体について先に具体的に示した粒子サイズ、組織及び純度に関して、これらのパラメータは、完成したスパッタターゲットにおいて等しく存在することができる。
【0044】
本発明の1つの実施態様では、スパッタターゲットは望ましい金属組織を有する。例えば、ターゲットの結晶組織は、ターゲットの厚さを通して過渡的な一次組織であることができる。例えば、ターゲットの一方の端部(例えば、ターゲットの上側部分)は(110)の一次組織を有することができ、ターゲットのもう一方の端部(例えば、ターゲットの下側部分)は(111)の一次組織を有することができる。ターゲットの厚さを通して一次組織がこのようにシフトすることは、スパッタリングのために非常に有利な場合がある。この実施態様の有利な特性を別の言い方で説明すると、ターゲットがその厚さを通して組織の勾配を有しており、より強い組織がターゲットの幾つかの場所に存在しているということである。過渡的な一次組織又は組織の勾配は、スパッタリングにおいて、ターゲットが侵食されるにつれてスパッタ速度が変動するのを補償するのに非常に有利である。本発明の方法は、他の金属加工プロセスでは観測されない特有の組織を生成する。本発明の少なくとも1つの実施態様では、本発明は、ターゲット又は金属物品の厚さを通して直線に近い組織勾配を作り出し、これはスパッタリングターゲットにスパッタ侵食の跡が生成するのとともに生じるスパッタ速度の自然な変化を補償するのに利用できる。ターゲットがスパッタされるにつれてターゲットの表面積が増大するので、ターゲットのスパッタリング速度は、スパッタリング時間の経過とともに一定の率で低下する傾向がある。このようにスパッタ面積が増大すると、加えた電力の単位面積当たりの効果が低下し、有効スパッタ速度が低下する。この作用は、スパッタリングターゲットが侵食されるにつれて、スパッタリングターゲットに加えられる電力を徐々に増大することにより通常補償される。本発明では、スパッタリングターゲットに制御された組織勾配又は過渡的な一次組織を導入することにより、スパッタリングターゲットを(111)などの高いスパッタリング速度の組織から(110)などのより高いスパッタリング速度の方位にシフトさせて、より低い有効電力密度を補償することができる。この組織勾配の例は、図6〜8を含む例においてさらに示される。
【0045】
本発明の目的のために、過渡的な一次組織は、任意のシフトの一次組織であることができる。例えば、ターゲットの厚さ全体に関して、ターゲットの一部、例えば、ターゲットの上部又は下部、より詳しくは、例えば、上半分又は下半分は、(111)、(100)、(110)などの一次組織(例えば、全組織の50%を超える組織又は全組織中に存在する組織の最大比率の組織)又はこれらの組織の2種以上を混合したものであることができる。ターゲット又は金属物品の残りの部分は異なる一次組織である。したがって、例として、ターゲットの一部が一次(111)組織を有し、ターゲットの残りの部分が一次(100)組織を有することができる。別の実施態様では、ターゲットの一部が一次(111)組織を有し、ターゲットの残りの部分が一次(110)組織を有することができる。本発明の別の実施態様では、ターゲットの一部が一次(100)組織を有し、ターゲットの残りの部分が一次(110)組織を有することができる。本発明のさらなる実施態様では、ターゲットの一部が一次(100)組織を有し、ターゲットの残りの部分が一次(111)組織を有することができる。本質的には、シフトする一次組織の任意の組み合わせを達成することができる。各一次組織を含有する「部分」又は「一部」は、ターゲット又は金属物品の上部/底部厚さ全体の10%〜90%であることができ、より好ましくは厚さ全体の25%〜75%又は35%〜60%である。例えば、厚さ14mmのターゲットにおいて、上部から出発して最初の5〜6mmの厚さ(厚さの約40%)が一次(111)であり、残りの厚さが一次(110)組織であることができる。さらに、本発明の別の実施態様では、組織は一次組織から混合組織にシフトすることができる。例えば、ターゲットの一部が一次(111)組織を有し、残りの部分が混合(111):(100)組織又は混合(110):(100)組織などを有することができる。好ましくは、最初スパッタリングにさらされる組織は、後からスパッタされる好ましくはより高いスパッタリング速度を有するターゲットの部分よりも低いスパッタリング速度の組織を有する組織である。さらなる例として、ターゲット又は金属物品の組織勾配は、−1%/mmから−10%/mm以上の範囲の(111)面又は(111)組織を有することができる。好適な組織勾配の他の例としては、−2.5%/mmから−5.0%/mmの(111)面又は(111)組織を含むことができる。この負の組織勾配は、マイナスの記号が、(111)組織がターゲットの上部厚さにおいてより支配的又は主要なものであり、(111)組織の優位は、組織がターゲットの深さ(mm)を通して測定されるときに、線形又は近線形の方式で低下することを示していることを意味する。したがって、−2.0%/mmは、(111)組織がターゲットの厚さ1mm当たり平均して約2%減少するので、ターゲットの厚さが14mmの場合、(111)組織が、同じターゲットの表面の上部から底部までに約24%減少することを意味する。同様に、組織勾配は同じターゲットの(110)組織に存在していてもよく、同じ上部表面から始まる組織勾配は1%/mm〜10%/mmであり、これは、組織が最初にターゲットの上部表面では低いが、ターゲット全体を通じてターゲットの底部に到達するまでに線形又は近線形の方式で徐々に増大することを意味している。(110)の他の組織勾配としては、ターゲット又は金属物品の厚さを通して約1%/mm〜約7%/mm又は約1%/mm〜約5%/mm又は約1%/mm〜約4%/mmを挙げることができる。同様の勾配は(100)組織に存在してもよい。他の結晶方位、例えば、FCC金属における結晶方位については、種々の組織について方位の類似のシフトを達成することができる。本発明は、線形又は近線形の方式であることができる組織勾配を有するターゲット又は金属物品中に存在する少なくとも1つの組織に関し、近線形とは、一般に、直線関係の10%又は25%以内などの誤差で以って一貫してターゲットの厚さ全体にわたり組織が一般に増大又は一般に減少することを意味する。
【0046】
(111)について先に記載した種々の組織勾配は(100)又は(110)にも等しく当てはまる。同様に、上記(111)に関して与えられた組織勾配は(110)又は(100)にも等しく当てはまる。(111)及び(100)に関する先の例によって与えられた組織勾配に当てはまる1つの実施態様では、(100)の組織勾配は、約0%/mm〜約5%/mmであることができ、他の範囲としては、ターゲットの厚さを通して約0.5%/mm〜約3%/mm又は約0.5%/mm〜約2%/mmが挙げられる。より低い組織勾配は、組織が厚さ全体にわたって実質的に同じままであることを一般に意味する。本発明の1つの実施態様では、(100)の組織勾配は低く、例えば3%/mm未満であり、これは(100)組織が一般にターゲットの厚さ全体にわたってほぼ同じであることを示している。さらに、この低い組織勾配は、ターゲットにおいて望まれる組織勾配のタイプに応じて(111)又は(110)にも等しく当てはまる。本発明の1つの好ましい実施態様では、(111)組織の組織勾配は負の組織勾配であり、(110)の組織勾配は正の組織勾配であり、(100)の組織勾配はゼロに近い組織勾配、例えば、3%/mm以下の組織勾配である。本発明の別の実施態様では、ターゲット又は金属物品は、1つ又は複数の組織について少なくとも1つの正の組織勾配を有し及び/又は1つ又は複数の組織について少なくとも1つの負の組織勾配を有し及び/又は1つ又は複数の組織についてゼロ又はゼロに近い組織勾配を有することができる。厚さを通しての粒子サイズの変化が非常に小さく、例えば、ターゲットの厚さ全体にわたる平均粒子サイズが±50μmを超えて変化せず、より好ましくは±25μmを超えて変化しないことに加え、組織勾配又は過渡的な一次組織の種々の任意の組み合わせが存在してもよい。言い換えれば、2mmの深さで測定した平均粒子サイズが約25μmであれば、ターゲットの深さ全体にわたる平均粒子サイズは75μmを超えず、好ましくは50μmを超えない。ターゲットの厚さ全体にわたるこの一貫した平均粒子サイズ範囲は、均一なスパッタ速度と膜厚形成の観点からも有利である。粒子サイズ変化の小さい1つの例は、実施例において図9に示す。
【0047】
さらに、1つの実施態様では、スパッタターゲットは、5%以下(例えば、4%、3%、2%又は1%以下)の直径変化を有することが好ましい。この分散の制御は、スパッタターゲットの均一なスパッタリングと完全な侵食に関して非常に望ましい。
【0048】
図面について、図1は本発明の方法の一例を示し、図1Aに示す出発ビレットは回転軸方向鍛造を受けている。図1Bと1Cに示すように、スパッタターゲットの所望の直径を形成するために、トップダイを出発ビレットに軸方向の力として適用して金属材料の流動を起こさせる。図2Aは、この実施態様において、異なるタイプのデザインを有するトップダイ形態が適用される出発ビレットを示している。軸方向の力が出発ビレットに加えられて金属材料の流動を起こさせる。出発ビレット又はワークピースは、図2Cに示す完成ターゲットの最終形態を制御するために、少なくとも部分的にボトムダイに配置される。図3は、出発ビレットが先の鍛造工程を受けてその直径が減少し、次いで第2の鍛造工程を受けて直径が増す1つの実施態様の流れ図を示している。次いで、ワークピース又は予備成形体は、回転軸方向鍛造工程を受けて直径を18.5インチまで大きくされる。その後、本質的に所望のスパッタターゲットの形状にあるこのピースは、次いで真空アニーリングを受け、バッキングプレートに取り付けることができ、次いで最後の機械加工を含む最後の処理工程を受ける。図4は、1050℃でのアニーリング後、揺動鍛造されたタンタルプレートの断面の後方散乱電子回折マップを示している。この図において、ターゲット面に平行な(111)面を有する粒子は青色に着色し(図中、最も暗く着色した領域)、ターゲット面に平行な(110)面を有する粒子は緑色に着色し(図中、最も明るく着色した領域)、ターゲット面に平行な(100)面を有する粒子は赤色に着色している(本質的に、2つのスポットとして{111}極点図にのみ存在している)。ターゲットを通しての組織勾配が容易に分かる。図5は、この材料のEBSD極点図を与えている。
【0049】
本発明は以下の実施例によってさらに明らかにされるであろう。なお、これらの実施例は、本発明の例示であることを意図するものである。
【実施例】
【0050】
表1は、スパッタリングターゲットの製造において使用する高純度タンタルを回転鍛造するのに用いられる実験条件をまとめたものである。これらの実験条件は、直径が約11インチのタンタルプレートを製造するのに用いた。商業用スパッタリングターゲットの場合、直径13〜18インチのタンタル素材が有用である。これらのより大きな直径のプレートに必要とされる力の計算値を表1の下部に与える。表1において、試料1A、1B、2A及び2Bは、アニーリングの後、真空中1050℃で2時間揺動鍛造した。試料1A及び1Bは、押出し後、アニーリングして11インチのインゴットから3.54インチのビレットにし5.9インチの長さにした。試料3A及び3Bも1Aと同様に押出したが、アニーリングは行わなかった。試料2A及び2Bは、回転鍛造して11インチのインゴットから3.54インチのビレットにし5.9インチの長さにし、回転鍛造した後、検討しようにアニーリングした。試料4A及び4Bも回転鍛造したがアニーリングは行わなかった。
【0051】
【表1】

【0052】
回転クローズドダイ鍛造によって製作したタンタル製スパッタリングターゲットの1つを金属組織について分析した。表1に試料2Bとして表示したこの材料は、平均粒子サイズが36μmであり、厚さ0.5インチのプレートの上部から底部まで10μm以内で均一であった。このプレートの結晶組織は、平均して約45%が(111)、約20%が(110)、約35%が(100)であった。プレートの底部付近では(111)結晶組織は約80%であり、プレートの上部表面付近で20%近くまで減少していた。この組織勾配は、この組織勾配を用いてスパッタリングターゲットの連続的な侵食とともに起こるスパッタリング速度の典型的な低下を補償することにより、この組織勾配をスパッタリングターゲットの設計に利用することができる。ターゲットの背面の方にターゲットのスパッタリング速度のより高い組織を配置することによって、スパッタリング速度の典型的な低下を低減することができる。
【0053】
図6は、揺動鍛造されたタンタルプレートにおいて見出される結晶組織の勾配を与えている。(111)面の組織勾配は、このデータセットでは−3.8%/mm〜−4.9%/mmである。グラフ左側の高い%(111)は、下部ダイに隣接しているタンタル試料の側に生じ、タンタルビレットとダイは互いに位置を変えていない。グラフ右側の低い%(111)は、回転しているダイと接触して高いせん断力を受けている試料面に対応している。
【0054】
図7は、%(110)結晶組織に関する類似の一連の曲線を示している。この場合、%(110)組織は、左側から右側へ進むにつれて徐々に増大しており、これはタンタルプレートの固定下部ダイの接触面から上部回転ダイの接触面への移動に対応している。この場合、組織勾配は、固定ダイの接触面から回転ダイの接触面へ移動するにつれて1%/mm〜4.1%/mmである。
【0055】
図8は、揺動鍛造されたタンタルプレートに関する%(100)組織成分についての厚さ方向の組織の変化を与えている。%(100)の組織勾配は3%/mm〜0,7%/mmであった。(100)成分の勾配は(111)と(100)成分の勾配よりも小さい傾向がある。
【0056】
揺動鍛造されたタンタルプレートの厚さ方向の粒子サイズの変化を図9に与える。粒子サイズは、揺動鍛造されたタンタルにおいて厚さ方向に僅かな勾配のみを示している。平均粒子サイズは25〜50μmであり、粒子サイズはタンタルビレットに対して固定されている下部ダイ付近の材料において僅かに大きい。
【0057】
表2は、本願において記載された4つのタンタル試料に関する組織勾配と粒子サイズの測定結果の要約を与えている。
【0058】
【表2】

【0059】
出願人は、特に、本願に記載したすべての引用文献の内容全体を援用するものである。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲又は好ましい高い値と好ましい低い値のリストとして与えられた場合、これは、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、範囲の上限値又は好ましい値と範囲の下限値又は好ましい値の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示していると解すべきである。数値の範囲が本願に挙げられたときは、特に断らない限り、その範囲は、その端点及びその範囲内のすべての整数と分数を含むものとする。本発明の範囲は、範囲を規定するときに挙げられた特定の値に限定することを意図するものではない。
【0060】
本発明の他の実施態様は、本明細書を考慮し、本明細書に開示される本発明を実施することにより当業者に明らかであろう。本明細書及び例は単に例示的なものとみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、特許請求の範囲及びそれと同等なものによって示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】回転軸方向鍛造によるビレットのスパッタターゲットへの一般的な加工を示す分解側面図である。
【図1B】回転軸方向鍛造によるビレットのスパッタターゲットへの一般的な加工を示す分解側面図である。
【図1C】回転軸方向鍛造によるビレットのスパッタターゲットへの一般的な加工を示す分解側面図である。
【図2A】ボトムダイを用いた出発ビレットの回転軸方向鍛造を示す分解側面図である。
【図2B】ボトムダイを用いた出発ビレットの回転軸方向鍛造を示す分解側面図である。
【図2C】ボトムダイを用いた出発ビレットの回転軸方向鍛造を示す分解側面図である。
【図3】本発明の1つの実施態様を用いてスパッタリングターゲットを形成する一連のプロセスを示す側面図の流れ図である。
【図4】回転軸方向鍛造されたタンタル製スパッタリングターゲット材料の粒子構造及び方位を示すEBSD断面である。
【図5】回転軸方向鍛造されたタンタル製スパッタリングターゲット材料のEBSD由来の極点図である。
【図6】試料の厚さ方向の%(111)の組織勾配を示すグラフである。
【図7】試料の厚さ方向の%(110)の組織勾配を示すグラフである。
【図8】試料の厚さ方向の%(100)の組織勾配を示すグラフである。
【図9】試料の厚さ方向の平均粒子サイズを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インゴット由来の予備成形体をスパッタターゲットの形状及びサイズに回転軸方向鍛造する工程を含む、スパッタターゲットの形成方法。
【請求項2】
前記インゴット由来の予備成形体がバルブ金属又は耐火金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インゴット由来の予備成形体がタンタルの予備成形体又はその合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インゴット由来の予備成形体がチタンの予備成形体又はその合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インゴット由来の予備成形体がニオブの予備成形体又はその合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記インゴット由来の予備成形体が、コバルト、銅、アルミニウム、金若しくは銀の予備成形体又はそれらの合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記インゴット由来の予備成形体が、タンタル、ニオブ、チタン、それらの組み合わせ又はそれらの合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記回転軸方向鍛造の前に前記インゴット由来の予備成形体を熱機械加工する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記回転軸方向鍛造の前に前記インゴット由来の予備成形体を加工することにより該予備成形体の直径を低減する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記直径の低減が、鍛造、圧延又はそれらの組み合わせによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インゴット由来の予備成形体が、前記回転軸方向鍛造の前にアニーリングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記回転軸方向鍛造工程の前に、前記インゴット由来の予備成形体を約900℃〜約1200℃の温度で約60分〜約240分間アニーリングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記回転軸方向鍛造が、前記インゴット由来の予備成形体を約30rpm〜約300rpmの速度で回転することにより達成され、該回転軸方向鍛造が、回転軸方向鍛造工程の際に30rpm〜約300rpmの速度で回転する上部定盤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記インゴット由来の予備成形体が、ビレット、ロッド又はシリンダーである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記スパッタターゲットの形状及びサイズがスパッタターゲットの完成した形状及びサイズではなく、前記方法が、完成したスパッタターゲットの所望の形状及びサイズを得るために前記スパッタターゲットをさらなる熱機械加工にさらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記スパッタターゲットの少なくとも一方の表面を機械加工する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記スパッタターゲットをバッキングプレートに取り付ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの中間層を前記スパッタターゲット又は前記バッキングプレート又はその両方に取り付け、次いで該ターゲット、プレート及び中間層を互いに取り付けてターゲットアセンブリを形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記インゴット由来の予備成形体又は前記スパッタターゲット又はその両方に対する圧延、平坦化、ミリング、研削、ラッピング、研磨又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記インゴット由来の予備成形体が円筒形であり、直径の3倍以下の高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記インゴット由来の予備成形体が直径を少なくとも5%低減される、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記インゴット由来の予備成形体が直径を少なくとも10%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
スパッタターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである粒子サイズパターンを有する、スパッタターゲット。
【請求項24】
スパッタターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである結晶構造パターンを有する、スパッタターゲット。
【請求項25】
前記スパッタターゲットの中心を囲む連続的な半径円周方向パターンである粒子サイズパターンをさらに含む、請求項24に記載のスパッタターゲット。
【請求項26】
5%以下の直径変動を有する、スパッタターゲット。
【請求項27】
チタンを含む、請求項26に記載のスパッタターゲット。
【請求項28】
タンタル、ニオブ又はそれらの合金を含む、請求項26に記載のスパッタターゲット。
【請求項29】
前記回転軸方向鍛造がクローズドダイにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記クローズドダイがスパッタターゲットの形状である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記スパッタターゲットが約20〜約100μmの平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記スパッタターゲットが、アルミニウム、銅、タンタル、ニオブ、チタン、白金、金、ニッケル、鉄、バナジウム、モリブデン、タングステン、銀、パラジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム若しくはそれらの合金、又はそれらの組み合わせを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スパッタターゲットが、少なくとも99.99%の純度を有するタンタルである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記スパッタターゲットが、一次(111)の平均結晶組織を有するタンタルである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記スパッタターゲットが、一次(110)の平均結晶組織を有するタンタルである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記回転軸方向鍛造が、前記インゴット由来の予備成形体の2つ以上の鍛造工程において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
金属プレートの厚さ全体を通して制御された組織勾配を有する、金属プレート。
【請求項38】
BCC金属プレートである、請求項37に記載の金属プレート。
【請求項39】
前記BCC金属プレートが1%/mm以上の%(111)の組織勾配を有する、請求項38に記載の金属プレート。
【請求項40】
前記BCC金属プレートが3%/mm以上の%(111)の組織勾配を有する、請求項38に記載の金属プレート。
【請求項41】
前記BCC金属プレートが5%/mm以上の%(111)の組織勾配を有する、請求項38に記載の金属プレート。
【請求項42】
タンタル金属プレートである、請求項38に記載の金属プレート。
【請求項43】
ニオブ金属である、請求項38に記載の金属プレート。
【請求項44】
金属プレートの厚さ全体にわたって過渡的な一次組織を有する、金属プレート。
【請求項45】
金属プレートの厚さ全体にわたり、第1の結晶方位に関して正の組織勾配を有し、第2の結晶方位に関して負の組織勾配を有する、金属プレート。
【請求項46】
前記正の組織勾配が(111)組織に関するものである、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項47】
前記負の組織勾配が、ターゲットの厚さ全体にわたる(110)組織勾配に関するものである、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項48】
前記正の組織勾配が(110)組織に関するものである、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項49】
前記負の組織勾配が、ターゲットの厚さ全体にわたる(111)組織勾配に関するものである、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項50】
第3の結晶方位が、ターゲットの厚さ全体にわたって3%/mm以下の組織勾配を有する、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項51】
金属プレートの厚さ全体にわたって75μmを超えて変化しない平均粒子サイズを有する、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項52】
金属プレートの厚さ全体にわたって50μmを超えて変化しない平均粒子サイズを有する、請求項45に記載の金属プレート。
【請求項53】
金属プレートの厚さ全体にわたって25μmを超えて変化しない平均粒子サイズを有する、請求項45に記載の金属プレート。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−536431(P2007−536431A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511634(P2007−511634)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015839
【国際公開番号】WO2005/108639
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】