説明

スピーカー兼用タッチパネル

【課題】スピーカーとタッチパネルとの両機能を必要とする電子機器の小型化/薄型化を実現させるスピーカーとタッチパネルとを提供する。
【解決手段】本発明はフィルムスピーカーをタッチパネルに一体化させる。そのスピーカー兼用タッチパネルでは第1支持基板と第2支持基板とが所定の間隔を隔てて対向する。第2支持基板に面した第1支持基板の表面は第1透明電極で覆われ、第1支持基板に面した第2支持基板の表面は第2透明電極で覆われ、第1透明電極と第2透明電極との中間には第3透明電極が形成されている。第3透明電極は、第1透明電極とは媒質層を隔てて対向し、第2透明電極とは圧電層を隔てて対向する。圧電層は第2透明電極と第3透明電極との間の電圧に応じて振動する。媒質層は外部からの圧力に応じて弾性変形して第1透明電極と第3透明電極とを互いに接触させ、圧電層の振動に共鳴して音に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカーとタッチパネルとに関し、特に携帯用電子機器に搭載されるスピーカーとタッチパネルとに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、表示装置(例えば液晶表示装置)の画面に表示された文字や画像の位置に接触した人の手または物体を検知し、その位置に対応する情報を出力する装置である。タッチパネルはキーボードより小型化/薄型化が容易であるので、特に携帯用電子機器(例えば、携帯電話、PDA、ポータブルマルチメディアプレーヤー(PMP)等)の入力装置として多用されている。タッチパネルの動作方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線感知方式、張力測定方式、表面超音波伝導方式、及び圧電効果方式に大別される。特に抵抗膜方式のタッチパネルでは、透明な二つの支持基板の各表面に透明電極が形成され、それら二つの透明電極が一定の間隔を隔てて向き合うように、各支持基板が固定されている。二つの透明電極の間には空気層が形成され、透明電極間の短絡を防止している。それぞれの透明電極に対して異なる電圧が印加されているときに手でタッチパネルに接触すると、その接触部分では二つの透明電極が接触して短絡し、電流が流れる。そのとき、二つの透明電極の抵抗成分により透明電極間の電圧が分圧される。二つの透明電極の接触した位置に応じて各透明電極の抵抗成分が変化するので、上記の分圧の比も変化する。従って、その分圧比の検出を通し、二つの透明電極の接触した位置が検出される。
【0003】
一方、携帯用電子機器(例えば、携帯電話、PDA、PMP等)には出力装置の一つとして、既存の一般的な方式によるスピーカーが小型化されて搭載されている。従来の方式によるスピーカーでは一般に、音の情報を示す電気信号が外部から電線を通し、又は電波で入力され、その電気信号に従って内蔵の振動板が振動することにより音が再生される。このような従来のスピーカーでは特に、筐体が円錐形や楕円形に成形され、その内部の空間で振動板の振動が共鳴し、音として増幅される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスピーカーで採用されている共鳴構造は嵩がある程度大きくならざるを得ないので、従来のスピーカーの更なる小型化/薄型化は困難である。その結果、それを搭載する機器(特に携帯用電子機器)の更なる小型化/薄型化が困難である。更に、従来のスピーカーは主にセラミックスから成るので、高温で成形しなければならない等、製造工程が複雑であり、その更なる簡素化が困難である。
【0005】
また、スピーカーに加えてタッチパネルを搭載する機器(特に携帯用電子機器)の内部では一般に、タッチパネルとスピーカーとのそれぞれが大きな面積を占める。従って、その機器の更なる小型化/薄型化にはタッチパネルとスピーカーとのそれぞれの小型化/薄型化が効果的である。更に、その機器の製造コストの更なる削減や製造工程の更なる簡素化には、タッチパネルとスピーカーとのそれぞれの製造コストの削減や製造工程の簡素化が効果的である。
【0006】
本発明の目的は、タッチパネルとスピーカーとを共に搭載する電子機器(特に携帯用電子機器)の更なる小型化/薄型化、製造コストの更なる削減、及び製造工程の更なる簡素化を実現させるタッチパネルとスピーカーとの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点によるスピーカー兼用タッチパネルは、互いに対向する第1支持基板と第2支持基板とを有する。第2支持基板に面した第1支持基板の表面には第1透明電極が形成され、第1支持基板に面した第2支持基板の表面には第2透明電極が形成されている。第1透明電極と第2透明電極との中間には第3透明電極が形成され、第1透明電極とは媒質層を隔てて対向し、第2透明電極とは圧電層を隔てて対向する。圧電層は第2透明電極と第3透明電極との間の電圧に応じて振動する。媒質層は外部からの圧力に応じて弾性変形して第1透明電極と第3透明電極とを互いに接触させ、圧電層の振動に共鳴して音に変換する。
【0008】
本発明の他の観点によるスピーカー兼用タッチパネルはスピーカー部及びタッチパネル部を有する。スピーカー部は、互いに対向する第1支持基板と第2支持基板とを含む。第2支持基板に面した第1支持基板の表面には第1媒質層が形成され、その第1媒質層の表面には第1透明電極が形成され、更に第1支持基板に面した第2支持基板の表面には第2透明電極が形成されている。第1透明電極と第2透明電極とは圧電層を隔てて対向している。圧電層は第1透明電極と第2透明電極との間の電圧に応じて振動する。第1媒質層は圧電層の振動で共鳴し、その振動を音に変換する。一方、タッチパネル部は、上記の第2支持基板に対向する 第3支持基板を含む。第3支持基板に面した第2支持基板の表面には第3透明電極が形成され、第2支持基板に面した第3支持基板の表面には第4透明電極が形成されている。第3透明電極と第4透明電極とは第2媒質層を隔てて対向している。第2媒質層は外部からの圧力に応じて弾性変形して第3透明電極と第4透明電極とを互いに接触させる。
【0009】
本発明による表示装置は、表示パネル、その表示パネルに画像信号を印加する駆動回路部、及び表示パネルの画面を覆うスピーカー兼用タッチパネル、を有する。特に、そのスピーカー兼用タッチパネルが互いに対向する第1支持基板と第2支持基板とを有する。第2支持基板に面した第1支持基板の表面には第1透明電極が形成され、第1支持基板に面した第2支持基板の表面には第2透明電極が形成されている。第1透明電極と第2透明電極との中間には第3透明電極が形成され、第1透明電極とは媒質層を隔てて対向し、第2透明電極とは圧電層を隔てて対向する。圧電層は第2透明電極と第3透明電極との間の電圧に応じて振動する。媒質層は外部からの圧力に応じて弾性変形して第1透明電極と第3透明電極とを互いに接触させ、圧電層の振動に共鳴して音に変換する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の通り、スピーカーの機能をタッチパネルに埋め込むことにより、両者を一体化させている。本発明によるスピーカー兼用タッチパネルは特に、単体のスピーカーと単体のタッチパネルとの組み合わせより小型化/薄型化に優れ、製造コストの削減及び製造工程の簡素化が容易である。従って、スピーカーとタッチパネルとの両方を必要とする機器(特に携帯用電子機器)に本発明によるスピーカー兼用タッチパネルを搭載することで、その機器の更なる小型化/薄型化や生産性の更なる向上を達成できる。また、スピーカーとタッチパネルとの一体化により、それらを搭載する機器全体を小型に維持したまま、タッチパネル、及びそれを含む表示装置を更に大画面化できるので、その画面の解像度及びその機器の操作性を更に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施例によるスピーカー兼用タッチパネルは好ましくは液晶表示装置に搭載される(図3、4参照)。図4に示されている液晶表示装置は、液晶表示パネル200、駆動回路部210、220、及びスピーカー兼用タッチパネル100、101、160を含む。液晶表示パネル200は、可撓性回路フィルム220とドライバIC210とを通じて外部から画像信号と制御信号とを受け、その画像信号の示す画像を画面201に再現する。
【0012】
本発明の実施例によるスピーカー兼用タッチパネルは、本体100、フレーム101、及び回路基板160を有する(図3、4参照)。本体100は液晶表示パネル200の画面201を覆っている。本体100は透明なパネルであるので、画面201の表示は本体100を通して外から見える。本体100は後述の積層構造により、スピーカー機能とタッチパネル機能との両方を発揮できる。すなわち、本体100は外部から印加される電気的な音声信号に従って振動し、その音声信号を音に変換する。一方、本体100の表面に使用者の指が触れると、その触れた位置に応じた値の電流が本体100に流れる。フレーム101は本体100の周囲を支持すると共に、液晶表示パネル200の周囲に嵌合して本体100を液晶表示パネル200に固定している。
【0013】
回路基板160は、本体100を外部の電子回路に接続するインターフェースであり、スピーカー部信号端子161とタッチパネル部信号端子162とを含む。スピーカー部信号端子161を通して外部から本体100に対して音声信号が印加される。タッチパネル部信号端子162を通して外部から本体100に対して一定の電圧が印加されると共に、使用者の指と本体100との接触に伴ってタッチパネル部信号端子162を流れる電流値が変化する。
【0014】
図1は本発明の第1実施例によるスピーカー兼用タッチパネル(の本体)100の断面図である。図1に示されているように、本発明の第1実施例によるスピーカー兼用タッチパネルは、第1支持基板111、第2支持基板112、第1透明電極121、第2透明電極122、第3透明電極123、圧電層130、及び媒質層141を含む。
第1支持基板111と第2支持基板112とは好ましくは、透明なガラスから成る。その他に、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板から形成されていても良い。第1支持基板111と第2支持基板112とは所定の間隔を隔てて互いに対向している。ここで、第1支持基板111と第2支持基板112とのいずれが液晶表示パネル200の画面201(図3、4参照)に面していても良い。
【0015】
第2支持基板112に面した第1支持基板111の表面は第1透明電極121で覆われ、第1支持基板111に面した第2支持基板112の表面は第2透明電極122で覆われている。第1透明電極121と第2透明電極122との中間には第3透明電極123が形成されている。第3透明電極123は媒質層141を隔てて第1透明電極121と対向し、圧電層130を隔てて第2透明電極122と対向している。第1透明電極121、第2透明電極122、及び第3透明電極123はいずれも、光学的に透明で、かつ導電性に優れた物質から成り、好ましくはITO又はIZOから成る。第2透明電極122と第3透明電極123とはスピーカー部信号端子161(図3、4参照)に接続され、第1透明電極121と第3透明電極123とはタッチパネル部信号端子162(図3、4参照)に接続されている。
【0016】
圧電層130は圧電性高分子物質を含み、外部から圧力や振動を受けたとき、第2透明電極122と第3透明電極123との間に電圧を発生させる。反対に、第2透明電極122と第3透明電極123との間に電圧が付与されたとき、圧電層130は振動する。圧電層130に含まれている圧電性高分子物質は好ましくは、ポリフッ化ビニリデン(Poly Vinylidene Fluoride)、ポリ−a−メチル−l−グルタメート(Poly−a−methyl−l−glutamate)、ポリビニルクロライド(Poly Vinyl Chloride)、又はポリトリフルオロエチレン(Poly tri−fluoro ethylene)である。圧電層130の形成では好ましくは、まず、上記の圧電性高分子物質を二つの支持基板111、112のいずれかの表面に蒸着し、次に、蒸着された圧電性高分子物質の表面を表面改質技術(プラズマを用いて材料の表面を親水性にも疎水性にも自由に変更できる技術)で加工し、透明電極122、123の積層を可能にする。
【0017】
媒質層141は、第1透明電極121と第3透明電極123との間を絶縁すると共に、圧電層130の振動に共鳴し、その振動を増幅して音に変換する。媒質層141は好ましくは、支持部151と空気層152とを含む。支持部151は好ましくは、スペーサ散乱法により第1透明電極121の表面に散布されたスペーサから成る。その他に、支持部151が、第1透明電極121の表面に形成された感光膜のパターンから成っても良い。その場合、好ましくは、第1透明電極121の表面に感光膜が塗布された後でその塗膜に紫外線が照射され、若しくは金型が押しつけられて感光膜がパターニングされる。支持部151は第1透明電極121と第3透明電極123との間隔を所定の閾値(好ましくは20μm)以上に保持している。空気層152は圧電層130の振動を効果的に増幅して音に変換する。支持部151と空気層152とは更に適度な弾性を持つ。従って、二つの支持基板111、112のいずれかの外面に使用者の指が触れると、その接触部分で媒質層141が凹み、指から受ける衝撃力を緩和させながら第1透明電極121と第3透明電極123とを適度な圧力で接触させる。更に、指が支持基板111(又は112)から離されると、媒質層141が元の形状に戻り、第1透明電極121と第3透明電極123とを引き離して元の状態に戻す。
【0018】
本発明の第1実施例によるスピーカー兼用タッチパネルでは、第1透明電極121、媒質層141、及び第3透明電極123が以下のようにタッチパネルとして利用される。まず、タッチパネル部信号端子162(図3、4参照)を通し、第3透明電極123に対しては一定の基準電圧が印加され、第1透明電極121に対しては、基準電圧とは異なる値で一定の第2電圧が印加される。二つの支持基板111、112のいずれかの外面に使用者の指が触れると、その接触部分で媒質層141が凹み、第1透明電極121と第3透明電極123とが接触して短絡する。そのとき、第1透明電極121、第3透明電極123、及びタッチパネル部信号端子162に流れる電流の量から、第1透明電極121と第2透明電極122との間での分圧比の変化が検出され、その検出値に基づき、二つの透明電極121、123の接触した位置、すなわち使用者の指が触れた位置が特定される。
【0019】
本発明の第1実施例によるスピーカー兼用タッチパネルでは更に、媒質層141、第3透明電極123、圧電層130、及び第2透明電極122が以下のように、フィルムスピーカーとして機能する。第3透明電極123に対して基準電圧が印加されている状態で、スピーカー部信号端子161(図3、4参照)から第2透明電極122に対して第3電圧が印加される。ここで、基準電圧に対する第3電圧のレベルが音声信号として、出力されるべき音に応じて変化する。基準電圧と第3電圧との間の差に応じて圧電層130が異なる周波数と振幅とで振動する。この振動が媒質層141で共鳴して増幅され、音に変換される。
【0020】
本発明の第1実施形態によるスピーカー兼用タッチパネルは上記の通り、スピーカー機能とタッチパネル機能とを併せ持つ。このスピーカー兼用タッチパネルは特に、単体のスピーカーと単体のタッチパネルとの組み合わせより小型で、かつ薄型である。更に、その組み合わせより部品点数が少なく、積層に必要な工程数が少ないので、製造コストの削減及び製造工程の簡素化が容易である。従って、スピーカーとタッチパネルとの両方を必要とする機器(特に携帯用電子機器)にこのスピーカー兼用タッチパネルを搭載することにより、その機器の更なる小型化/薄型化や生産性の更なる向上を達成できる。また、その機器全体を小型に維持したまま、タッチパネル、及びそれを含む表示装置を更に大画面化できるので、その画面の解像度及びその機器の操作性を更に向上できる。
【0021】
図2は本発明の第2実施例によるスピーカー兼用タッチパネル(の本体)100の断面図である。第2実施例によるこのスピーカー兼用タッチパネル100は第1実施例による上記のものとは異なり、スピーカー部110とタッチパネル部120との二層に分かれている。ここで、好ましくは、スピーカー部110が液晶表示パネル200の画面201(図3、4参照)に面して設置される一方、タッチパネル部120が外部に曝され、使用者の指による接触を受ける。それにより、使用者の指の圧力がスピーカー部110にまでは伝わりにくいので、スピーカー部110の機能や構造が安定に維持される。尚、タッチパネル部120が液晶表示パネル200の画面201に面して設置されても良い。
【0022】
スピーカー部110は、第1支持基板113、第2支持基板114、第1媒質層142、第1透明電極124、第2透明電極125、及び圧電層330を含む(図2参照)。
第1支持基板113と第2支持基板114とは好ましくは、透明なガラスから成る。その他に、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板から形成されていても良い。第1支持基板113と第2支持基板114とは所定の間隔を隔てて互いに対向している。第2支持基板114は更に、後述のように、タッチパネル部120の支持基板としても兼用される。
【0023】
第2支持基板114に面した第1支持基板113の表面は第1媒質層142で覆われ、その表面が更に第1透明電極124で覆われている(図2参照)。第1支持基板113に面した第2支持基板114の表面は第2透明電極125で覆われている。第1透明電極124は圧電層330を隔てて第2透明電極122と対向している。第1透明電極124と第2透明電極125とはいずれも光学的に透明で、かつ導電性に優れた物質から成り、好ましくはITO又はIZOから成る。第1透明電極124と第2透明電極125とはスピーカー部信号端子161(図3、4参照)に接続されている。
【0024】
圧電層330は圧電性高分子物質を含み、第1透明電極124と第2透明電極125との間に外部から電圧が印加されると、その電圧に応じた振幅と周波数とで振動する。圧電層330に含まれている圧電性高分子物質は好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリ−a−メチル−l−グルタメート、ポリビニルクロライド、又はポリトリフルオロエチレンである。圧電層330は好ましくは、上記の圧電層130と同様に形成される。
【0025】
第1媒質層142は第1圧電層330の振動に共鳴し、その振動を増幅して音に変換する。第1媒質層142は好ましくは、第1支持部251と第1空気層252とを含む(図2参照)。第1支持部251は好ましくは、スペーサ散乱法により第1支持基板113の表面に散布されたスペーサから成る。その他に、第1支持部251が、第1支持基板113の表面に形成された感光膜のパターンから成っても良い。その場合、好ましくは、第1支持基板113の表面に感光膜が塗布された後でその塗膜に紫外線が照射され、若しくは金型が押しつけられて感光膜がパターニングされる。第1支持部251は第1支持基板113と第1透明電極124との間隔を所定の閾値(好ましくは20μm)以上に保持している。第1空気層252は圧電層330の振動を効果的に増幅して音に変換する。
【0026】
スピーカー部110は以下のように、フィルムスピーカーとして機能する。第2透明電極125に対して基準電圧が印加されている状態で、スピーカー部信号端子161(図3、4参照)から第2透明電極125に対して第3電圧が印加される。ここで、基準電圧に対する第3電圧のレベルが音声信号として、出力されるべき音に応じて変化する。基準電圧と第3電圧との間の差に応じて圧電層330が異なる周波数と振幅とで振動する。この振動が第1媒質層142で共鳴して増幅され、音に変換される。
【0027】
タッチパネル部120は、第2支持基板114の他に、第3支持基板115、第3透明電極126、第4透明電極127、及び第2媒質層143を含む(図2参照)。
第3支持基板115は第2支持基板114と同様に、好ましくは透明なガラスから成る。その他に、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板から形成されていても良い。第3支持基板115は所定の間隔を隔てて第2支持基板114と対向している。
【0028】
第3支持基板115に面した第2支持基板114の表面は第3透明電極126で覆われ、第2支持基板114に面した第3支持基板115の表面は第4透明電極127で覆われている(図2参照)。第3透明電極126は第2媒質層143を隔てて第4透明電極127と対向している。第3透明電極126と第4透明電極127とはいずれも光学的に透明で、かつ導電性に優れた物質から成り、好ましくはITO又はIZOから成る。第3透明電極126と第4透明電極127とはタッチパネル部信号端子162(図3、4参照)に接続されている。
【0029】
第2媒質層143は好ましくは、第2支持部254と第2空気層253とを含む(図2参照)。第2支持部254は好ましくは、第3透明電極126の表面に形成された感光膜のパターンから成る。その場合、好ましくは、第3透明電極126の表面に感光膜が塗布された後でその塗膜に紫外線が照射され、若しくは金型が押しつけられて感光膜がパターニングされる。その他に、第2支持部254が、スペーサ散乱法により第3透明電極126の表面に散布されたスペーサから成っても良い。第2支持部254は第3透明電極126と第4透明電極127との間隔を所定の閾値(好ましくは20μm)以上に保持している。第2空気層253は第3透明電極126と第4透明電極127との間を絶縁する。第2支持部254と第2空気層253とは更に適度な弾性を持つ。従って、第3支持基板115の外面に使用者の指が触れると、その接触部分で第2媒質層143が凹み、指から受ける衝撃力を緩和させながら第3透明電極126と第4透明電極127とを適度な圧力で接触させる。更に、指が第3支持基板115から離されると、第2媒質層143が元の形状に戻り、第3透明電極126と第4透明電極127とを引き離して元の状態に戻す。
【0030】
タッチパネル部120は以下のように利用される。まず、タッチパネル部信号端子162(図3、4参照)を通し、第3透明電極126に対しては一定の基準電圧が印加され、第4透明電極127に対しては、基準電圧とは異なる値で一定の第2電圧が印加される。第4支持基板115の外面に使用者の指が触れると、その接触部分で第2媒質層143が凹み、第3透明電極126と第4透明電極127とが接触して短絡する。そのとき、第3透明電極126、第4透明電極127、及びタッチパネル部信号端子162に流れる電流の量から、第3透明電極126と第4透明電極127との間での分圧比の変化が検出され、その検出値に基づき、二つの透明電極126、127の接触した位置、すなわち使用者の指が触れた位置が特定される。
【0031】
本発明の第2実施形態によるスピーカー兼用タッチパネルでは上記の通り、スピーカー部とタッチパネル部とが積層されている。従って、このスピーカー兼用タッチパネルは単体のスピーカーと単体のタッチパネルとの組み合わせより小型でかつ薄型である。更に、その組み合わせより部品点数が少なく、積層に必要な工程数が少ないので、製造コストの削減及び製造工程の簡素化が容易である。従って、スピーカーとタッチパネルとの両方を必要とする機器(特に携帯用電子機器)にこのスピーカー兼用タッチパネルを搭載することにより、その機器の更なる小型化/薄型化や生産性の更なる向上を達成できる。また、その機器全体を小型に維持したまま、タッチパネル、及びそれを含む表示装置を更に大画面化できるので、その画面の解像度及びその機器の操作性を更に向上できる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明した。しかし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例には限定されない。実際、当業者であれば、本発明の思想と精神とを離脱することなく、本発明の上記の実施例を修正しまたは変更できるであろう。従って、それらの修正や変更も当然に本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例によるスピーカー兼用タッチパネルの断面図
【図2】本発明の第2実施例によるスピーカー兼用タッチパネルの断面図
【図3】本発明の実施例によるスピーカー兼用タッチパネルの平面図
【図4】本発明の実施例によるスピーカー兼用タッチパネルを搭載した液晶表示パネルの分解斜視図
【符号の説明】
【0034】
100 スピーカー兼用タッチパネル
111 第1支持基板
112 第2支持基板
121 第1透明電極
122 第2透明電極
123 第3透明電極
130 圧電層
141 媒質層
151 支持部
152 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持基板、
前記第1支持基板に対向する第2支持基板、
前記第2支持基板に面した前記第1支持基板の表面に形成された第1透明電極、
前記第1支持基板に面した前記第2支持基板の表面に形成された第2透明電極、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との中間に形成された第3透明電極、
前記第2透明電極と前記第3透明電極との間に形成され、前記第2透明電極と前記第3透明電極との間の電圧に応じて振動する圧電層、及び、
前記第1透明電極と前記第3透明電極との間に形成され、外部からの圧力に応じて弾性変形して前記第1透明電極と前記第3透明電極とを互いに接触させ、前記圧電層の振動に共鳴して音に変換する媒質層、
を有するスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項2】
前記第1支持基板及び前記第2支持基板が、ガラス、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板を含む、請求項1に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項3】
前記圧電層が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ−a−メチル−l−グルタメート、ポリビニルクロライド、又はポリトリフルオロエチレンを含む、請求項1に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項4】
前記媒質層の厚さが20μm以上である、請求項1に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項5】
前記媒質層が空気を含む、請求項1に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項6】
前記媒質層が、前記第1透明電極と前記第3透明電極との間隔を維持する支持部、をさらに含む、請求項1に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項7】
前記支持部が、前記第1透明電極の表面に散布されたスペーサである、請求項6に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項8】
前記支持部が、前記第1透明電極の表面に塗布された感光膜のパターンである、請求項6に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項9】
前記感光性膜が紫外線の照射又は金型の押圧によってパターニングされている、請求項8に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項10】
前記第2透明電極と前記第3透明電極とに接続されたスピーカー部信号端子、及び、前記第1透明電極と前記第3透明電極とに接続されたタッチパネル部信号端子、を含む回路基板、を更に有するスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項11】
スピーカー部とタッチパネル部とを有するスピーカー兼用タッチパネルであり、
前記スピーカー部が
第1支持基板、
前記第1支持基板と対向する第2支持基板、
前記第2支持基板に面した前記第1支持基板の表面に形成された第1媒質層、
前記第1媒質層の表面に形成された第1透明電極、
前記第1支持基板に面した前記第2支持基板の表面に形成された第2透明電極、及び、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に形成され、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間の電圧に応じて振動し、その振動を前記第1媒質層で共鳴させて音に変換させる圧電層、
を含み、
前記タッチパネル部が、
前記第2支持基板に対向する第3支持基板、
前記第3支持基板に面した前記第2支持基板の表面に形成された第3透明電極、
前記第2支持基板に面した前記第3支持基板の表面に形成された第4透明電極、及び、
前記第3透明電極と前記第4透明電極との間に形成され、外部からの圧力に応じて弾性変形して前記第3透明電極と前記第4透明電極とを互いに接触させる第2媒質層、
を含む、
スピーカー兼用タッチパネル。
【請求項12】
前記第1支持基板、前記第2支持基板、及び前記第3支持基板がそれぞれ、ガラス、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板を含む、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項13】
前記圧電層が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ−a−メチル−l−グルタメート、ポリビニルクロライド、又はポリトリフルオロエチレンを含む、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項14】
前記第1媒質層の厚さが20μm以上である、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項15】
前記第1媒質層及び前記第2媒質層が空気を含む、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項16】
前記第1媒質層が、前記第1支持基板と前記第1透明電極との間隔を維持する第1支持部、をさらに含む、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項17】
前記第1支持部が、前記第1支持基板の表面に散布されたスペーサである、請求項16に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項18】
前記第1支持部が、前記第1支持基板の表面に塗布された感光膜のパターンである、請求項16に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項19】
前記感光性膜が紫外線の照射又は金型の押圧によってパターニングされている、請求項18に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項20】
前記第2媒質層が、前記第3透明電極と前記第4透明電極との間隔を維持する第2支持部、をさらに含む、請求項11に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項21】
前記第2支持部が、前記第3透明電極の表面に散布されたスペーサである、請求項20に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項22】
前記第2支持部が、前記第3透明電極の表面に塗布された感光膜のパターンである、請求項20に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項23】
前記感光性膜が紫外線の照射又は金型の押圧によってパターニングされている、請求項22に記載のスピーカー兼用タッチパネル。
【請求項24】
表示パネル、
前記表示パネルに画像信号を印加する駆動回路部、及び、
前記表示パネルの画面を覆うスピーカー兼用タッチパネル、
を有する表示装置であり、
前記スピーカー兼用タッチパネルが、
第1支持基板、
前記第1支持基板に対向する第2支持基板、
前記第2支持基板に面した前記第1支持基板の表面に形成された第1透明電極、
前記第1支持基板に面した前記第2支持基板の表面に形成された第2透明電極、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との中間に形成された第3透明電極、
前記第2透明電極と前記第3透明電極との間に形成され、前記第2透明電極と前記第3透明電極との間の電圧に応じて振動する圧電層、及び、
前記第1透明電極と前記第3透明電極との間に形成され、外部からの圧力に応じて弾性変形して前記第1透明電極と前記第3透明電極とを互いに接触させ、前記圧電層の振動に共鳴して音に変換する媒質層、
を含む、表示装置。
【請求項25】
前記第1基板基板及び前記第2支持基板が、ガラス、プラスチック、光学フィルム、又は偏光板を含む、請求項24に記載の表示装置。
【請求項26】
前記圧電層が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ−a−メチル−l−グルタメート、ポリビニルクロライド、又はポリトリフルオロエチレンを含む、請求項24に記載の表示装置。
【請求項27】
前記媒質層が空気を含む、請求項24に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−66306(P2007−66306A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217218(P2006−217218)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】