説明

センサ回路および電子機器

【課題】各受光素子へ光が一様に照射されるか否かに拘らず、各分光特性の検出結果に偏りや感度のばらつきを生じることなく、照度の測定を行う。
【解決手段】受光素子PD1・PD2を備え、各受光素子PD1・PD2は、互いに異なる分光特性A・Bから1つの分光特性が設定されるように構成され、各受光素子PD1・PD2は、照度の測定時に、互いに異なる分光特性となるように、分光特性A・Bが順次切り替えて設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度を測定するセンサ回路および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器の液晶パネルには、外乱(太陽光や蛍光灯などの光)の照度に応じて液晶パネルのバックライトの発光量を制御するために、周囲の明るさを検出する照度センサが搭載されている。上記バックライトの発光制御は、電子機器の使用者、すなわち人間が感じる明るさに対応させて行うことから、照度センサが有する分光特性(分光感度特性)を、視感度(視感度特性)に近い分光特性とすることが重要である。
【0003】
照度センサにおいて、視感度に近い分光特性を実現するためには、一般的に、互いに異なる分光特性の複数のフォトダイオードの電流を減算する方式が採用されている(例えば、特許文献1,2など参照)。
【0004】
特許文献1では、分光特性に違いのある2つのフォトダイオードにそれぞれ流れる電流を、カレントミラー回路を用いて減算することによって、視感度に近い分光特性を実現する光センサ回路が開示されている。図20は、特許文献1に記載の光センサ回路900の概略構成を示す回路図である。図20に示すように、光センサ回路900は、フォトダイオードPD901と、フォトダイオードPD902と、カレントミラー回路を構成するトランジスタTr901・Tr902とを備えている。また、光センサ回路900には、トランジスタTr902のドレイン端子、および、フォトダイオードPD902のカソード端子に接続された出力端子OUTが設けられている。フォトダイオードPD901は、赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(以下、「赤外線の分光特性」と略記)を持ち、フォトダイオードPD902は、可視光〜赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(以下、「可視光〜赤外線の分光特性」と略記)を持つ。なお、フォトダイオードPD901が受光したときに流れる電流を、入力電流Iin901とし、フォトダイオードPD902が受光したときに流れる電流を、入力電流Iin902とする。
【0005】
フォトダイオードPD901・PD902が受光すると、フォトダイオードPD901に入力電流Iin901が流れ、これがトランジスタTr901にも流れる。トランジスタTr901は、トランジスタTr902とカレントミラー回路を構成しているので、トランジスタTr902には、(Iin901×α)の電流が流れる(α:カレントミラー比)。
【0006】
一方、受光時には、フォトダイオードPD902に入力電流Iin902が流れる。ゆえに、出力端子OUTには、入力電流Iin902から、トランジスタTr902に流れる上記電流を減算した電流である、(Iin902−Iin901×α)の電流が流れる。この電流量(Iin902−Iin901×α)は、赤外線の波長に対する感度を低下させているので、視感度に近い分光特性が実現されている。
【0007】
このように、センサ回路900では、分光特性に違いのある2つのフォトダイオードPD901・PD902にそれぞれ流れる電流(入力電流Iin901・Iin902)を、カレントミラー回路を用いて減算することによって、視感度に近い分光特性を実現することが可能となっている。また、フォトダイオードPD901を、フォトダイオードPD902で挟むように配置することによって、照射された光の角度による出力の偏りが低減される。
【0008】
また、特許文献2では、分光特性に違いのある2つのフォトダイオードにそれぞれ流れる電流を、直接減算することによって、視感度に近い分光特性を実現する照度センサが開示されている。図21は、特許文献2に記載の照明センサに備えられた受光素子910の概略構成を示す平面図である。図21に示すように、受光素子910には、およそ可視光〜赤外線の分光特性を持つ第1受光部と、およそ赤外線の分光特性を有する第2受光部とが設けられている。第1受光部は、ほぼ同じ面積に分割されて配置され(第1受光部PDA)、分割された各第1受光部PDAは並列に接続されている。第2受光部は、ほぼ同じ面積に分割されて配置され(第2受光部PDB)、分割された各第2受光部PDBは並列に接続されている。よって、第1受光部に流れる電流から第2受光部に流れる電流を減算した電流を得ることで、視感度に近い分光特性を実現することが可能となる。
【0009】
さらに、受光素子910の上方には、照射された光を第1受光部PDAおよび第2受光部PDBに集光するための、レンズ部(図示せず)が設けられている。図21の911は、上記レンズ部によって集光されるレンズスポットを示す。そして、各第1受光部PDAおよび各第2受光部PDBは、レンズスポット911内において交互に配置されている。こうして、レンズスポット911内に第1受光部PDAおよび第2受光部PDBを平面的に均等に分布するように配置することによって、照射された光の角度による出力の偏りを低減している。
【0010】
また、近年においては、照度センサには高い分解能が要求されているため、従来のアナログ型からデジタル型が主流となっている。デジタル型の照度センサでは、一般に、アナログ−デジタル変換回路を備えて、出力をデジタル値に変換している。
【0011】
図22は、デジタル型の照度センサ920の概略構成を示す回路図である。図22に示すように、照度センサ920は、赤外線の分光特性を持つフォトダイオードPD921と、可視光〜赤外線の分光特性を持つフォトダイオードPD922と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する)ADC921・ADC922と、乗算部923と、減算部924とを備えている。なお、フォトダイオードPD921が受光したときに流れる電流を、入力電流Iin921とし、フォトダイオードPD922が受光したときに流れる電流を、入力電流Iin922とする。
【0012】
フォトダイオードPD921・PD922が受光すると、フォトダイオードPD921に入力電流Iin921が流れ、これがAD変換回路ADC921に入力されるとともに、フォトダイオードPD922に入力電流Iin922が流れ、これがAD変換回路ADC922に入力される。
【0013】
AD変換回路ADC921は、入力電流Iin921をデジタル値に変換し、測定信号ADCOUT921として出力する。測定信号ADCOUT921は、乗算部923によってα倍(α:定数)された後、減算部924に入力される。また、AD変換回路ADC922は、入力電流Iin922をデジタル値に変換し、測定信号ADCOUT922として出力する。測定信号ADCOUT922は、減算部924に入力される。
【0014】
減算部924は、測定信号ADCOUT922から、α倍した測定信号ADCOUT921を減算する。これにより、減算部924は、(ADCOUT922−ADCOUT921×α)の測定信号を出力する。この測定信号(ADCOUT922−ADCOUT921×α)は、視感度に近い分光特性が実現されている。つまりは、上述した図20の光センサ回路900と同じ結果を、デジタル演算で得ることが可能となる(「ADCOUT922−ADCOUT921×α=Iin902−Iin901×α」)。
【0015】
このように、照度センサ920では、分光特性に違いのある2つのフォトダイオードPD921・PD922にそれぞれ流れる電流(入力電流Iin921・Iin922)を、デジタル値(測定信号ADCOUT921・ADCOUT922)に変換した後に減算することによって、視感度に近い分光特性を実現することが可能となる。また、照度センサ920のように光検出結果(照度の測定値)をデジタル信号で出力することにより、該デジタル信号を用いた後段の処理において、CPUやマイコンによるソフトウェアでの処理が容易になる。
【0016】
なお、AD変換回路ADC921・ADC922の構成は特に限定されないが、積分型の構成を用いることが一般的となっている。これは、積分型のAD変換回路は、簡単な構成で高精度な分解能を実現できる特徴があり、照度センサのように低速であるが高い分解能(16bit程度)が要求されるデバイスに適しているためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−73591号公報(2007年3月22日公開)
【特許文献2】特開2009−182189号公報(2009年8月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上述した従来の照度センサでは、各フォトダイオード(各受光部)のいずれかに偏って光が照射される状態が依然として発生する。これは、従来の照度センサの構成では各フォトダイオードの配置が固定されているので、照射される光の角度によっては、どうしても、各々に照射される光が偏るためである。
【0019】
また、図21の照度センサのように、受光素子910の上方に集光用のレンズ部が設けられている構成においては、実装位置のずれや入射角度のずれにより、レンズスポット911と、各第1受光部PDAおよび各第2受光部PDBとの位置が不一致となって、照射光の偏りが発生してしまうこともある(図23参照)。
【0020】
この結果、各フォトダイオード(各受光部)の出力に偏りが生じてしまい。これら出力を減算して算出する値すなわち可視光の照度を、適切に測定することができないという問題を招いている。つまりは、赤外線の分光特性の検出結果と、可視光〜赤外線の分光特性の検出結果とにおいて、検出が一方に偏ったり、波長に対する感度のばらつきが発生することになるため、両検出結果から算出する可視光の照度を、精度良く得ることができないという問題が生じている。
【0021】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、各受光素子へ光が一様に照射されるか否かに拘らず、各分光特性の検出結果に偏りや感度のばらつきを生じることなく、照度の測定を行うことができるセンサ回路および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のセンサ回路は、上記課題を解決するために、
互いに異なる分光特性で検出された複数の光量から照度を測定するセンサ回路であって、
n個(n:2以上の整数)の受光素子を備え、
上記各受光素子は、互いに異なるn個の分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成され、
上記各受光素子は、上記照度の測定時において、互いに異なる分光特性となるように、上記n個の分光特性が順次切り替えて設定されることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、1つの受光素子において、複数の分光特性で受光することができる。これにより、測定時に各受光素子において、受光素子間で異なる分光特性を有するように、複数の分光特性を順次切り替えて設定することによって、1つの分光特性で検出する光量を、各受光素子から得ることが可能となる。つまりは、ある分光特性の受光素子と別の分光特性の受光素子との配置を入れ替えて検出を行っているのと同等である。
【0024】
よって、各受光素子へ光が偏って照射された場合でも、照度を測定するために必要な各分光特性の検出結果(光量)を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となる。したがって、各受光素子へ光が一様に照射されるか否かに拘らず、各分光特性の検出結果に偏りや感度のばらつきを生じることなく、照度の測定を行うことが可能となる。
【0025】
また、本発明のセンサ回路では、
上記受光素子としての、第1受光素子および第2受光素子を備え、
上記第1受光素子および上記第2受光素子は、互いに異なる第1分光特性および第2分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成され、
上記照度を測定する測定時間は、連続する第1測定時間および第2測定時間を含み、
上記第1測定時間においては、上記第1受光素子が上記第1分光特性に設定されるとともに、上記第2受光素子が上記第2分光特性に設定され、
上記第2測定時間においては、上記第1受光素子が上記第2分光特性に設定されるとともに、上記第2受光素子が上記第1分光特性に設定されることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第1分光特性で検出する光量を、第1測定時間での第1受光素子と、第2測定時間での第2受光素子とから得ることが可能となる。また、第2分光特性で検出する光量を、第1測定時間での第2受光素子と、第2測定時間での第1受光素子とから得ることが可能となる。つまりは、第1測定時間と第2測定時間とで、第1分光特性の受光素子と第2分光特性の受光素子との配置を入れ替えて検出を行っているのと同等である。
【0027】
よって、第1受光素子と第2受光素子とへ照射される光に偏りがある場合でも、第1分光特性の検出結果、および、第2分光特性の検出結果を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となり、精度良く照度の測定を行うことが可能となる。
【0028】
また、本発明のセンサ回路では、
上記第1分光特性は、赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性であり、
上記第2分光特性は、可視光から赤外線までの波長範囲に感度を有する分光特性であることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、第2分光特性の検出結果から第1分光特性の検出結果を減算した値は、視感度に近い分光特性を実現することが可能となる。よって、センサ回路を、可視光の照度を測定する照度センサとして適用することが可能となる。
【0030】
また、本発明のセンサ回路では、上記照度を測定する測定時間は、上記連続する第1測定時間および第2測定時間のペアを、連続して複数含んでいることが好ましい。
【0031】
また、本発明のセンサ回路では、
上記第1受光素子は、2つ以上に分割された状態で当該全ての分割部分が並列接続された構成を有し、
上記第2受光素子は、上記第1受光素子の分割数と同数に分割された状態で当該全ての分割部分が並列接続された構成を有し、
上記第1受光素子の各分割部分と、上記第2受光素子の各分割部分とが、交互に配置されていることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、受光領域において、第1受光素子および第2受光素子を均等かつ点対称に配置することが可能となり、第1分光特性の検出結果、および、第2分光特性の検出結果を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となる。
【0033】
また、本発明のセンサ回路では、上記第1受光素子の各分割部分および上記第2受光素子の各分割部分は同一面積であることが好ましい。
【0034】
また、本発明のセンサ回路では、発光部と、上記発光部を駆動する駆動部とをさらに備えていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、センサ回路に、照度センサの機能だけでなく、近接センサの機能を具備させることが可能となる。
【0036】
また、本発明のセンサ回路では、
上記第1受光素子および上記第2受光素子を封止する封止樹脂をさらに備え、
上記封止樹脂の、上記第1受光素子および上記第2受光素子の上方に位置する表面には、レンズ部が形成されていることが好ましい。
【0037】
また、本発明のセンサ回路では、
上記第1分光特性で検出された光量をデジタル値に変換する第1変換部と、
上記第2分光特性で検出された光量をデジタル値に変換する第2変換部とをさらに備え、
上記第1変換部および上記第2変換部は、上記第1測定時間および上記第2測定時間に検出された光量を積分した値をデジタル値で出力する積分型のアナログ−デジタル変換回路により構成されていることが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、積分型のアナログ−デジタル変換回路を用いているので、第1測定時間と第2測定時間とで接続される受光素子が異なっていても、所定の分光特性で検出された光量をデジタル値に変換するという処理を、入力される電流に基づいて容易に行うことができる。
【0039】
また、本発明のセンサ回路では、
上記アナログ−デジタル変換回路は、
入力された電流により充電される充電回路と、
上記充電回路の出力電圧を基準電圧と比較する比較回路と、
上記比較回路の比較結果に基づいて、上記充電回路の出力電圧が上記基準電圧を超えたときに上記充電回路を放電させる放電回路と、
上記比較回路の比較結果に基づいて、上記第1測定時間および上記第2測定時間に上記放電回路が放電を行った回数を数え、当該回数に応じたデジタル値を出力する制御回路とを備えていることが好ましい。
【0040】
本発明の電子機器は、液晶パネルと、上記液晶パネルを照射するバックライトと、上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部とを備えている電子機器であって、
上述のセンサ回路を備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ回路の出力信号に応じて、上記バックライトの輝度を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明のセンサ回路は、n個(n:2以上の整数)の受光素子を備え、上記各受光素子は、互いに異なるn個の分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成され、上記各受光素子は、上記照度の測定時において、互いに異なる分光特性となるように、上記n個の分光特性が順次切り替えて設定される構成を有しているので、各受光素子へ光が偏って照射された場合でも、照度を測定するために必要な各分光特性の検出結果(光量)を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となる。
【0042】
したがって、各受光素子へ光が一様に照射されるか否かに拘らず、各分光特性の検出結果に偏りや感度のばらつきを生じることなく、照度の測定を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態であるセンサ回路の一構成例を示す回路ブロック図である。
【図2】受光素子の構造および電気的構成の一例を示す図である。
【図3】上記受光素子の分光特性を示すグラフである。
【図4】AD変換回路の一構成例を示す図である。
【図5】動作時の上記センサ回路の内部切替の様子を示す図であり、(a)は第1の測定時間における配線を示し、(b)は第2の測定時間における配線を示す。
【図6】動作時の上記センサ回路における上記受光素子の内部切替の様子を示す図であり、(a)は第1の測定時間における配線を示し、(b)は第2の測定時間における配線を示す。
【図7】AD変換回路の動作波形の一例を示す図である。
【図8】受光部の一構成例を示す図であり、(a)は平面視であり、(b)は断面視である。
【図9】受光素子の構造および電気的構成の他の例を示す図である。
【図10】上記受光素子の分光特性を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態であるセンサ回路の他の構成を示す回路ブロック図である。
【図12】上記センサ回路においてレンズスポットがずれた場合の様子を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態である近接照度一体型センサの一構成例を示す回路ブロック図である。
【図14】上記近接照度一体型センサの断面構造を示す図である。
【図15】上記近接照度一体型センサが近接センサとして動作して、「近接」を検出する場合の動作波形である。
【図16】上記近接照度一体型センサが近接センサとして動作して、「非近接」を検出する場合の動作波形である。
【図17】上記近接照度一体型センサが測距センサとして動作して、「近距離」を検出する場合の動作波形である。
【図18】上記近接照度一体型センサが測距センサとして動作して、「遠距離」を検出する場合の動作波形である。
【図19】本発明の一実施形態である液晶表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【図20】従来の光センサ回路の概略構成を示す回路図である。
【図21】従来の照明センサに備えられた受光素子の概略構成を示す平面図である。
【図22】従来のデジタル型の照度センサの概略構成を示す回路図である。
【図23】従来の照明センサにおいてレンズスポットがずれた場合の様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0045】
(センサ回路の構成)
図1は、本実施の形態のセンサ回路10の一構成例を示す回路ブロック図である。センサ回路10は、測定時間に照射された光量から可視光の照度を測定するセンサである。図1に示すように、センサ回路10は、受光部11と、信号処理部12とを備えている。
【0046】
受光部11は、受光部11に照射された光(光の明るさ)に応じて電流を流す、いわゆる光電変換を行う部分である。受光部11は、受光素子PD1および受光素子PD2(第1受光素子,第2受光素子)により構成されている。受光素子PD1が受光したときに流れる電流(光電流)を、電流Iin1とし、受光素子PD2が受光したときに流れる電流を、電流Iin2とする。受光素子PD1および受光素子PD2は、センサ回路10の動作時の分光特性が異なるのみで、同じ構造を有している。受光素子PD1・PD2の構造を、図2の受光素子PDを用いて説明する。
【0047】
図2は、受光素子PDの構造および電気的構成を示す図である。受光素子PDは、半導体基板、スイッチSW11、およびスイッチSW12により構成されている。半導体基板は、P型基板(P型半導体基板P_sub)にN型ウェル層(N型半導体領域N_well)が形成され、N型ウェル層にP型拡散層(P型半導体領域P)が形成された構造を有している。P型基板は、グランドに接続されている。N型ウェル層は、グランドよりも高い電位の出力端子OUTに接続されている。
【0048】
半導体基板においては、P型基板およびN型ウェル層(PN接合)により、フォトダイオードPDirが形成されている。また、N型ウェル層およびP型拡散層(PN接合)により、フォトダイオードPDvisが形成されている。フォトダイオードPDirおよびフォトダイオードPDvisは、同じ半導体基板に形成されているが、接合部の深さの違いにより、ピーク感度波長が異なっている。つまりは、フォトダイオードPDirは、深い位置に形成されて、ピーク感度波長が赤外線の波長範囲に位置している。一方、フォトダイオードPDvisは、浅い位置に形成されて、ピーク感度波長が可視光の波長範囲に位置している。
【0049】
スイッチSW11は、一方の端子が出力端子OUTに接続され、他方の端子がP型拡散層に接続されている。スイッチSW11は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、両者の電気的接続を導通/遮断する。スイッチSW12は、一方の端子がスイッチSW11の他方端子およびP型拡散層に接続され、他方の端子がグランドに接続されている。スイッチSW12は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、両者の電気的接続を導通/遮断する。上記の各切替信号は、外部の制御部などから供給される。
【0050】
よって、「スイッチSW11=オン、スイッチSW12=オフ」とすると、フォトダイオードPDirは導通し、フォトダイオードPDvisは短絡するので、受光素子PDではフォトダイオードPDirのみを使用することになる。ゆえに、この接続構成時に受光素子PDが受光すると、フォトダイオードPDirに流れる光電流が、受光素子PDの電流Iinとして出力される。よって、この接続構成時の受光素子PDは、赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(第1分光特性)(以下、分光特性Bとする)となる。
【0051】
一方、「スイッチSW11=オフ、スイッチSW12=オン」とすると、フォトダイオードPDirおよびフォトダイオードPDvisは導通するので、受光素子PDでは両者を使用することになる。ゆえに、この接続構成時に受光素子PDが受光すると、フォトダイオードPDirに流れる光電流とフォトダイオードPDvisに流れる光電流とを合算した電流が、受光素子PDの電流Iinとして出力される。よって、この接続構成時の受光素子PDは、可視光〜赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(第2分光特性)(以下、分光特性Aとする)となる。
【0052】
図3は、受光素子PDの分光特性を示すグラフである。図3において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は感度を示す。また、グラフ中の、実線は分光特性A、分光特性Bをそれぞれ示し、破線は分光特性Bをα倍したものを示し、1点鎖線は視感度を示す。
【0053】
可視光〜赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性Aは、ピーク感度波長が750nm付近で、約300nm〜約1200nmの範囲をなだらかに減衰する特性を有している。
【0054】
赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性Bは、ピーク感度波長が900nm付近で、約550nm〜約1200nmの範囲をなだらかに減衰する特性を有している。
【0055】
視感度は、ピーク感度波長が550nm付近で、約400nm〜約700nmの範囲をなだらかに減衰する特性を有している。なお、分光特性Bのピーク感度波長での感度は、視感度のピーク感度波長での感度よりも低い。定数αは、分光特性Bを視感度に近づけるための定数であり、分光特性B×αは、分光特性Bの強度をα倍したものとなっている。
【0056】
このように、受光素子PDは、2つのPN接合を備えることで、2つのフォトダイオード、すなわちフォトダイオードPDirおよびフォトダイオードPDvisを備えている。そして、スイッチSW11・SW12により接続構成を切り替えることによって、分光特性Aおよび分光特性Bのうちいずれかを設定することができるように構成されている。
【0057】
信号処理部12は、受光部11に流れた電流から可視光の照度を算出する。信号処理部12は、上記照度の計算をデジタル値で行い、計算結果をデジタル信号で出力する。信号処理部12は、スイッチSW1〜SW4と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する)ADC1・ADC2(第1変換部・第2変換部)と、乗算部13と、減算部14とを備えている。
【0058】
AD変換回路ADC1は、入力部が、スイッチSW1を介して受光素子PD1に電気的に接続されているとともに、スイッチSW2を介して受光素子PD2に電気的に接続されており、出力部が乗算部13に接続されている。AD変換回路ADC2は、入力部が、スイッチSW4を介して受光素子PD2に電気的に接続されているとともに、スイッチSW3を介して受光素子PD1に電気的に接続されており、出力部が減算部14に接続されている。
【0059】
スイッチSW1は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、AD変換回路ADC1と受光素子PD1との電気的接続を導通/遮断する。スイッチSW2は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、AD変換回路ADC1と受光素子PD2との電気的接続を導通/遮断する。スイッチSW3は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、AD変換回路ADC2と受光素子PD1との電気的接続を導通/遮断する。スイッチSW4は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、AD変換回路ADC2と受光素子PD2との電気的接続を導通/遮断する。これらの各切替信号は、外部の制御部などから供給される。
【0060】
乗算部13は、AD変換回路ADC1からの出力信号(ADCOUT1)をα倍した信号(ADCOUT1×α)を、減算部14に出力する。減算部14は、AD変換回路ADC2からの出力信号(ADCOUT2)から、乗算部13からの出力信号(ADCOUT1×α)を減算した信号(ADCOUT2−ADCOUT1×α)を出力する。この出力信号(ADCOUT2−ADCOUT1×α)が、センサ回路10が検出した可視光の照度を示す信号となる。
【0061】
ここで、AD変換回路ADC1・ADC2は、同じ構成を有している。AD変換回路ADC1・ADC2の構成を、図4のAD変換回路ADCを用いて説明する。
【0062】
図4は、AD変換回路ADCの構成を示す図である。AD変換回路ADCは、入力された電流Iinの電流量を、デジタル値に変換して出力する積分型のAD変換回路である。図4に示すように、AD変換回路ADCは、充電回路21、比較回路22、制御回路23、および放電回路24を備えている。また、AD変換回路ADCは、入力端子INおよび出力端子OUTを備えており、集積化されていてもよい。
【0063】
充電回路21は、入力電流Iinにより充電される回路であり、アンプ回路AMP1と、入力電流Iinに応じた電荷を蓄えるコンデンサC1とにより構成されている。アンプ回路AMP1は、反転入力端子が入力端子INに接続され、非反転入力端子がグランド(0V)に接続され、出力端子が比較回路22に接続されている。コンデンサC1は、アンプ回路AMP1の反転入力端子と出力端子との間に設けられている。これにより、アンプ回路AMP1およびコンデンサC1は、積分回路を構成している。
【0064】
比較回路22は、コンパレータCMP1、スイッチSW21、および基準電源V1により構成されている。コンパレータCMP1は、非反転入力端子が充電回路21に接続され、反転入力端子がスイッチSW21を介して充電回路21に接続されるとともに基準電源V1に接続され、出力端子が制御回路23に接続されている。スイッチSW21は、切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、充電回路21とコンパレータCMP1の反転入力端子との電気的接続を導通/遮断する。基準電源V1は、基準電圧VrefをコンパレータCMP1の反転入力端子に印加している。
【0065】
制御回路23は、比較回路22の比較結果に基づいて、測定時間に放電回路24が放電を行った回数を数え、当該回数に応じたデジタル値を出力するものであり、フリップフロップ(FF)25およびカウンタ(count)26により構成されている。FF25は、入力部が比較回路22に接続され、出力部がカウンタ26に接続されるとともに、放電回路24に接続されている。カウンタ26の出力部は、出力端子OUTに接続されている。
【0066】
放電回路24は、充電回路21の出力電圧が基準電圧Vrefを超えたときに充電回路21を放電させる(コンデンサC1に蓄えられた電荷を放電させる)ものであり、電流源I1およびスイッチSW22により構成されている。スイッチSWは、一方の端子が電流源I1に接続され、他方の端子が充電回路21および入力端子INに接続されている。スイッチSW22は、切替信号(FF25の出力信号charge)に応じて開閉(オン/オフ)し、両者の電気的接続を導通/遮断する。
【0067】
(センサ回路の動作)
次に、センサ回路10の動作について説明する。
【0068】
図5は、動作時のセンサ回路10の内部切替の様子を示す図であり、(a)は第1の測定時間における配線を示し、(b)は第2の測定時間における配線を示す。図6は、動作時のセンサ回路10における受光素子PD1・PD2の内部切替の様子を示す図であり、(a)は第1の測定時間における配線を示し、(b)は第2の測定時間における配線を示す。
【0069】
センサ回路10は、連続する2つの測定時間(期間)での動作により、照度を測定する。なお、ここでは、照度を測定するための測定時間のうち、最初を第1の測定時間(第1測定時間)とし、次を第2の測定時間(第2測定時間)とする。
【0070】
まず、第1の測定時間においては、以下のように動作する。
【0071】
図5の(a)に示すように、スイッチSW1・SW4はオン、スイッチSW2・SW3はオフに切り替えられる。これにより、受光素子PD1はAD変換回路ADC1と接続され、受光素子PD2はAD変換回路ADC2と接続される。
【0072】
また、図6の(a)に示すように、受光素子PD1において、スイッチSW11aはオン、スイッチSW12aはオフに切り替えられる。また、受光素子PD2において、スイッチSW11bはオフ、スイッチSW12bはオンに切り替えられる。これにより、受光素子PD1は分光特性B(赤外線)となり、受光素子PD2は分光特性A(可視光〜赤外線)となる。
【0073】
よって、第1の測定時間において受光素子PD1・PD2が受光すると、受光素子PD1に流れた電流Iin1が、AD変換回路ADC1に入力され、受光素子PD2に流れた電流Iin2が、AD変換回路ADC2に入力される。
【0074】
続いて、第2の測定時間においては、以下のように動作する。
【0075】
図5の(b)に示すように、スイッチSW1・SW4はオフ、スイッチSW2・SW3はオンに切り替えられる。これにより、受光素子PD1はAD変換回路ADC2と接続され、受光素子PD2はAD変換回路ADC1と接続される。
【0076】
また、図6の(b)に示すように、受光素子PD1において、スイッチSW11aはオフ、スイッチSW12aはオンに切り替えられる。また、受光素子PD2において、スイッチSW11bはオン、スイッチSW12bはオフに切り替えられる。これにより、受光素子PD1は分光特性A(可視光〜赤外線)となり、受光素子PD2は分光特性B(赤外線)となる。
【0077】
よって、第2の測定時間において受光素子PD1・PD2が受光すると、受光素子PD1に流れた電流Iin1が、AD変換回路ADC2に入力され、受光素子PD2に流れた電流Iin2が、AD変換回路ADC1に入力される。
【0078】
こうして、第1の測定時間および第2の測定時間にわたって、AD変換回路ADC1には、分光特性Bで検出された光電流が入力され、AD変換回路ADC2には、分光特性Aで検出された光電流が入力される。この間、AD変換回路ADC1・ADC2は、入力される光電流のデジタル変換を行っている。
【0079】
ここで、一例として、ある大きさの光電流が入力したときのAD変換回路ADC1の動作を、図4および図7を参照しながら説明する。なお、説明は省略するが、AD変換回路ADC2もAD変換回路ADC1と同様に動作する。
【0080】
図7に、AD変換回路ADC1の動作波形の一例を示す。図中、clkはクロック信号を示し、SW21はスイッチSW21の開閉状態を示し、SW22はスイッチSW22の開閉状態を示し、vrefは基準電源V1の電圧を示し、vsigは充電回路21の出力を示し、compは比較回路22の出力を示し、chargeはスイッチSW22の開閉に用いる制御回路23の出力を示す。
【0081】
変換動作開始前は、スイッチSW21が閉じている。これにより、充電回路21(積分回路)の出力vsigは、基準電源V1の電圧vrefに充電されている。
【0082】
AD変換回路ADC1は、スイッチSW21が開くことによって、電流IinでコンデンサC1に充電を行うことが可能となり、変換動作を行う。スイッチSW21の開放期間がデータ変換期間(t_conv)となっており、第1の測定時間および第2の測定時間に対応する。
【0083】
まず、スイッチSW21をオフにすると、スイッチSW22をオンにして、放電回路24により、コンデンサC1から一定の電荷(I1×t_clk)を放電させる(プリチャージ動作)。続いて、スイッチSW22をオンからオフに切り替えると、受光素子PD1からの電流Iin1により充電回路21が充電され、その出力vsigが上昇する。出力vsigが電圧vrefを超えると、比較回路22の出力compがローレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、FF25の出力、すなわち制御回路23の出力chargeがローレベルからハイレベルに切り替わって、スイッチSW22がオンとなり、放電回路24によって一定の電荷(I1×t_clk)が放電される。
【0084】
続いて、放電により充電回路21の出力vsigが下降し、出力vsigが電圧vrefを下回ると、比較回路22の出力compがハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、FF25の出力、すなわち制御回路23の出力chargeがハイレベルからローレベルに切り替わって、スイッチSW22がオフとなり放電が停止する。
【0085】
その後は、受光素子PD1からの電流Iin1により再び充電回路21が充電され、上述と同様に動作する。第1の測定時間経過後の第2の測定時間においては、受光素子PD2からの電流Iin2により充電回路21が充電されることとなる。
【0086】
一方、データ変換期間(t_conv)の間、カウンタ26が、FF25の出力がハイレベルとなった時間、すなわち放電時間の回数を数えており、このカウント値が、入力された電荷量に応じた値としてデジタル出力される。カウンタ26の出力は、AD変換回路ADC1の出力ADCOUT1となる。
【0087】
AD変換回路ADC1では、電流Iin(Iin1・Iin2)により充電された電荷量と、(I1×t_clk)により放電された電荷量とが等しくなるように動作するので、「充電電荷量(Iin×t_conv)=放電電荷量(I1×t_clk×count)」により、下記の式が成り立つ。
【0088】
count=(Iin×t_conv)/(I1×t_clk)
count:放電時間をカウントした値
Iin:入力電流値
I1:基準電流値
t_conv:充電時間
t_clk:クロック周期
よって、放電時間をカウントした値(count)の最小分解能は、(I1×t_clk)で決定されることがわかる。
【0089】
ここで、充電期間t_conv=t_clk×2(n:分解能)と設定すると、
count=(Iin/I1)×2
となる。ゆえに、例えば、分解能n=16ビットの場合、カウント値(count)は、入力電流Iinに応じた値を、0〜65535の範囲で出力することになる。よって、AD変換回路ADC1により、広いダイナミックレンジおよび高い分解能のアナログ−デジタル変換を行うことが可能となる。この点は、照度センサのように低速であるが高い分解能(16bit程度)を要求されるデバイスに適している。
【0090】
このようにして、AD変換回路ADC1からは、第1の測定時間および第2の測定時間にわたって分光特性Bで検出された光電流に応じた、デジタル値の測定信号ADCOUT1が出力される。また同様に、AD変換回路ADC2からは、第1の測定時間および第2の測定時間にわたって分光特性Aで検出された光電流に応じた、デジタル値の測定信号ADCOUT2が出力される。
【0091】
測定信号ADCOUT1は、乗算部13によってα倍(α:定数)された後、減算部14に入力され、測定信号ADCOUT2は、直接、減算部14に入力される。そして、減算部14により、測定信号ADCOUT2からα倍した測定信号ADCOUT1が減算されることによって、測定信号(ADCOUT2−ADCOUT1×α)が出力される。この測定信号(ADCOUT2−ADCOUT1×α)は、視感度に近い分光特性が実現されており、可視光の照度を表す値となる。
【0092】
以上のように、センサ回路10では、第1の測定時間および第2の測定時間に受光素子PD1・PD2で検出された各光量から、可視光の照度を測定することができる。
【0093】
また、センサ回路10では、分光特性Aで検出する光量を、第1の測定時間での受光素子PD2と、第2の測定時間での受光素子PD1とから得ることが可能となる。また、分光特性Bで検出する光量を、第1の測定時間での受光素子PD1と、第2の測定時間での受光素子PD2とから得ることが可能となる。つまりは、第1の測定時間と第2の測定時間とで、分光特性Aの受光素子と分光特性Bの受光素子との配置を入れ替えて検出を行っているのと同等である。
【0094】
よって、受光素子PD1・PD2へ光が偏って照射された場合でも、照度を測定するために必要な分光特性A・Bの検出結果(光量)を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となる。したがって、受光素子PD1・PD2へ光が一様に照射されるか否かに拘らず、分光特性A・Bの検出結果に偏りや感度のばらつきを生じることなく、照度の測定を行うことが可能となる。
【0095】
また、センサ回路10では、図4に示した積分型の構成を有するAD変換回路ADC1・ADC2を用いてアナログ−デジタル変換を行っている。よって、AD変換回路ADC1・ADC2が有する広いダイナミックレンジおよび高い分解能のアナログ−デジタル変換を行うことが可能となっている。また、積分型のAD変換回路を用いているので、第1の測定時間と第2の測定時間とで接続される受光素子が異なっていても、所定の分光特性で検出された光電流をデジタル値に変換するという処理を、入力される電流に基づいて容易に行うことができる。
【0096】
但し、AD変換回路ADC1・ADC2は、図4に示した積分型の構成を有することが上記のように効果が大きいが、必ずしもこの構成に限るわけではなく、他の一般的なAD変換回路の構成を有していてもよい。
【0097】
なお、上記では、第1の測定時間および第2の測定時間により照度を測定する動作について説明したが、連続する2つの測定時間に限らず、連続する2の倍数個の測定時間により構成されていてもよい。例えば、連続する4つの測定時間(第1の測定時間、第2の測定時間、第3の測定時間および第4の測定時間)で照度を測定しても、同様の効果を得ることができる。この場合、受光素子PD1・PD2の分光特性を、第1の測定時間と第3の測定時間とで同じとし、第2の測定時間と第4の測定時間とで同じとすればよい。
【0098】
また、センサ回路10では、図8に示すように、受光素子PD1・PD2を封止する封止樹脂を備えていてもよい。図8は、受光部11の一構成例を示す図であり、(a)は平面視であり、(b)は断面視である。
【0099】
受光部11は、チップ形状を有し、その上面に受光素子PD1・PD2を備えている。受光部11は基板31上に設けられ、基板31上には、受光部11を封止する封止樹脂32が設けられている。封止樹脂32の表面には、レンズ部33が形成されている。レンズ部33は、受光素子PD1・PD2の上方に配置されており、レンズ部33によって、受光素子PD1・PD2への照射光を好適に集光することが可能となる。
【0100】
(照度測定の変形例)
上述のセンサ回路10は、分光特性A・Bの減算方式により可視光の照度を測定するための構成を有しているが、この構成は次のように変形することができる。
【0101】
例えば、分光特性A・Bは、図3に示したものに限らず、視感度に近い分光特性を実現できる範囲であれば、ピーク感度波長や感度を有する波長範囲は変えてもよい。また、視感度に近い分光特性を実現できれば、3以上の分光特性の減算方式を適用することもできる。この場合、3以上の受光素子と、3以上のAD変換回路と、各受光素子と各AD変換回路との間を導通/遮断するスイッチとを備え、各受光素子は、3以上のPN接合を備えて3以上の分光特性を設定可能な構造を有するセンサ回路を構成すればよい。
【0102】
つまり、センサ回路10は、n個(n:2以上の整数)の受光素子を備え、各受光素子が、互いに異なるn個の分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成されていればよい。
【0103】
上記の構成においても測定動作はセンサ回路10と同様であり、1つの受光素子において、複数の分光特性で受光することができるので、測定時に各受光素子において、受光素子間で異なる分光特性を有するように、複数の分光特性を順次切り替えて設定することによって、1つの分光特性で検出する光量を、各受光素子から得ることが可能となる。
【0104】
一例として、3つのPN接合を備える受光素子の構造を、図9に示す。
【0105】
図9は、受光素子PD’の構造および電気的構成を示す図である。受光素子PD’は、半導体基板、および、スイッチSW11〜SW14により構成されている。半導体基板は、P型基板(P型半導体基板P_sub)にN型ウェル層(N型半導体領域N_well)が形成され、N型ウェル層にP型拡散層(P型半導体領域P)が形成され、P型拡散層にN型拡散層(N型半導体領域N)が形成された構造を有している。P型基板は、グランドに接続されている。N型ウェル層は、グランドよりも高い電位の出力端子OUTに接続されている。
【0106】
半導体基板においては、P型基板およびN型ウェル層(PN接合)により、フォトダイオードPDirが形成されている。また、N型ウェル層およびP型拡散層(PN接合)により、フォトダイオードPDvisが形成されている。さらに、P型拡散層およびN型拡散層(PN接合)により、フォトダイオードPDvisshが形成されている。フォトダイオードPDir、フォトダイオードPDvis、およびフォトダイオードPDvisshは、同じ半導体基板に形成されているが、接合部の深さの違いにより、ピーク感度波長が異なっている。つまりは、フォトダイオードPDirは、深い位置に形成されて、ピーク感度波長が赤外線の波長範囲に位置している。また、フォトダイオードPDvisは、浅い位置に形成されて、ピーク感度波長が可視光の波長範囲に位置している。さらに、フォトダイオードPDvisshは、さらに浅い位置に形成されて、ピーク感度波長が可視光の波長範囲よりも短波長側に位置している。
【0107】
スイッチSW11は、一方の端子が出力端子OUTに接続され、他方の端子がP型拡散層に接続されている。スイッチSW12は、一方の端子がスイッチSW11の他方端子およびP型拡散層に接続され、他方の端子がグランドに接続されている。スイッチSW13は、一方の端子がスイッチSW11の他方端子およびP型拡散層に接続され、他方の端子がN型拡散層に接続されている。スイッチSW14は、一方の端子がスイッチSW13の他方端子およびN型拡散層に接続され、他方の端子がグランドに接続されている。スイッチSW11〜SW14は、各切替信号に応じて開閉(オン/オフ)し、両者の電気的接続を導通/遮断する。上記の各切替信号は、外部の制御部などから供給される。
【0108】
よって、「スイッチSW11=オン、スイッチSW12=オフ、スイッチSW13=オン、スイッチSW14=オフ」とすると、フォトダイオードPDirは導通し、フォトダイオードPDvis・PDvisshは短絡するので、受光素子PD’ではフォトダイオードPDirのみを使用することになる。ゆえに、この接続構成時に受光素子PD’が受光すると、フォトダイオードPDirに流れる光電流が、受光素子PD’の電流Iinとして出力される。よって、この接続構成時の受光素子PD’は、赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(分光特性B)となる。
【0109】
また、「スイッチSW11=オフ、スイッチSW12=オン、スイッチSW13=オフ、スイッチSW14=オン」とすると、フォトダイオードPDir・PDvisは導通し、フォトダイオードPDvisshは短絡するので、受光素子PD’ではフォトダイオードPDir・PDvisを使用することになる。ゆえに、この接続構成時に受光素子PD’が受光すると、フォトダイオードPDirに流れる光電流とフォトダイオードPDvisに流れる光電流とを合算した電流が、受光素子PD’の電流Iinとして出力される。よって、この接続構成時の受光素子PD’は、可視光〜赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性(分光特性A)となる。
【0110】
さらに、「スイッチSW11=オフ、スイッチSW12=オン、スイッチSW13=オン、スイッチSW14=オフ」とすると、フォトダイオードPDir・PDvis・PDvisshは導通するので、受光素子PD’ではフォトダイオードPDir・PDvis・PDvisshを使用することになる。ゆえに、この接続構成時に受光素子PD’が受光すると、フォトダイオードPDirに流れる光電流とフォトダイオードPDvisに流れる光電流とを合算した電流から、フォトダイオードPDvisshに流れる光電流を減算した電流が、受光素子PD’の電流Iinとして出力される。よって、この接続構成時の受光素子PD’は、可視光〜赤外線の波長範囲から短波長側を低減した波長範囲に感度を有する分光特性(以下、分光特性Cとする)となる。
【0111】
図10は、受光素子PD’の分光特性を示すグラフである。図10において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は感度を示す。また、グラフ中の、実線は分光特性A、分光特性B、および分光特性Cをそれぞれ示し、破線は分光特性Bをα倍したものを示し、1点鎖線は視感度を示す。
【0112】
受光素子PD’の分光特性は、受光素子PDの分光特性に加えて、分光特性Cを含んでいる。可視光〜赤外線の波長範囲から短波長側を低減した波長範囲に感度を有する分光特性Cは、分光特性Aから、約300nm〜約450nmの範囲を低減した特性を有している。つまりは、分光特性Cは、約450nm〜約1200nmの範囲では、分光特性Aとほぼ同等の特性を有している。
【0113】
このように、受光素子PD’は、3つのPN接合を備えることで、3つのフォトダイオード、すなわちフォトダイオードPDir・PDvis・PDvisshを備えている。そして、スイッチSW11〜SW14により接続構成を切り替えることによって、分光特性A〜Cのうちいずれかを設定することができるように構成されている。
【0114】
センサ回路10の受光素子PD1・PD2に、受光素子PD’の構造を適用することによって、例えば、分光特性Bと分光特性Cとで光検出を行い、分光特性Cで検出された光電流から、分光特性Bで検出された光電流を減算することで、より視感度に近い分光特性を得ることができる。また、分光特性Aと分光特性Cとで光検出を行い、分光特性Aで検出された光電流から、分光特性Cで検出された光電流を減算することで、短波長側の照度の検出が可能となる。
【0115】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。このことは、後述する他の実施の形態でも同様とする。
【0116】
図11は、本実施の形態のセンサ回路40の一構成例を示す図である。本実施形態のセンサ回路40は、前記実施の形態のセンサ回路10と比較して、受光素子PD1・PD2の配置が異なった受光部41を備えている。つまりは、図11に示すように、センサ回路40では、受光素子PD1が2つに分割され、受光素子PD2が2つに分割されており、これらが交互に配置されている。2つに分割された受光素子PD1(分割部分)は並列に接続され、2つに分割された受光素子PD2(分割部分)は並列に接続されている。
【0117】
上記の受光素子PD1・PD2の構成によれば、図8に示したレンズ部33によって集光されるレンズスポットに対して、受光素子を点対称で配置することが可能となる。よって、光の角度などによって受光素子PD1と受光素子PD2とへ照射される光に偏りがある場合でも、前記実施の形態のセンサ回路10よりも測定結果の偏りや感度のばらつきをさらに抑制することが可能となり、より高精度の照度の測定が可能となる。また、図12に示すように、レンズ部33によって集光されるレンズスポットがずれた場合でも、センサ回路40によれば、分光特性A・Bの配置を切り替えることにより、照度を測定するために必要な分光特性A・Bの検出結果(光量)を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となる。
【0118】
また、センサ回路40では、受光素子PD1が等分割されるとともに、受光素子PD2が等分割されており、これら分割部分は同一面積となっている。このように、同一面積とすることによって、受光素子の分光特性を切り替えた際、受光素子PD1の出力電流と受光素子PD2の出力電流とを同じ値にすることができるため、測定結果の偏りや感度のばらつきの抑制に大きく寄与することが可能となる。
【0119】
但し、受光素子PD1の分割部分および受光素子PD2の分割部分は、同一面積に限るものではない。また、分割数も2に限るものではないが、受光素子PD1の分割数および受光素子PD2の分割数は、同数であることが望ましい。
【0120】
〔実施の形態3〕
携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器の液晶パネルでは、さらなる消費電力の低減のために、照度センサに加えて、液晶パネルに近づいた物体を検出する近接センサを搭載する形態が増加している。近接センサを備えることによって、例えば、液晶パネルに顔が近づいたときに、液晶パネルのバックライトを消灯するように制御することができる。さらに、小型化への要望から、近接・照度の一体型センサも、近年では提案されている。
【0121】
そこで、本実施の形態では、センサ回路を備える近接照度一体型センサについて説明する。
【0122】
図13は、本実施の形態の近接照度一体型センサ50の一構成例を示す図である。図13に示すように、近接照度一体型センサ(以下、一体型センサと略記する)50は、センサ回路10と、発光ダイオードLED1(発光部)と、LED駆動回路51(駆動部)とを備えている。
【0123】
センサ回路10は、上述した図1のセンサ回路10であるが、図11のセンサ回路40を用いてもよい。発光ダイオードLED1を駆動しない場合は、一体型センサ50は、照度センサとして適用できる。
【0124】
一方、LED駆動回路51によって発光ダイオードLED1を駆動して赤外光を発し、センサ回路10の受光部11で分光特性B(赤外線)の検出結果を得ることで、一体型センサ50は近接センサとして適用することができる。具体的には、受光素子PD1または受光素子PD2により分光特性Bで検出した光電流をAD変換回路ADC1に入力して、その出力信号ADCOUT1を、出力端子OUTirから取り出せばよい。出力端子OUTirから出力された信号ADCOUT1は、後段の制御回路(図示せず)にて近接か否かを判定するために用いられる。こうして、近接センサと照度センサとが一体化された一体型センサ50が実現されている。
【0125】
図14は、一体型センサ50の断面構造を示す図である。一体型センサ50では、受光部11、信号処理部12、および発光ダイオードLED1が封止樹脂32によって封止されており、受光部11の上方と発光ダイオードLED1の上方とに、レンズ部33・34が設けられている。
【0126】
近接センサとして動作する場合、発光ダイオードLED1からの発光がレンズ部34を通って外部へ出射される。ここで、検知物体がない場合は、上記発光はそのまま進むが、検知物体(例えば、近接検知物体60)がある場合、上記発光は、近接検知物体60で反射され、レンズ部33を通って受光部11に受光される。この際、レンズ部33が設けられていることによって、近接特性および指向特性を向上することができる。また、レンズ部33が設けられていることでレンズスポットがずれたとしても、センサ回路10によれば、分光特性A・Bの検出結果(光量)を、偏りや感度のばらつきを生じることなく得ることが可能となっている。
【0127】
図15および図16に近接センサとして動作する場合の動作波形を示す。図15は、「近接」を検出する場合の動作波形である。図16は、「近接」ではないと検出する、すなわち「非近接」を検出する場合の動作波形である。
【0128】
発光ダイオードLED1を駆動している期間のデータ(Data1)と、発光ダイオードLED1を駆動していない期間のデータ(Data2)との差分を、近接データ(Data1−Data2)としている。各データは、測定信号ADCOUT1として、出力端子OUTirから出力され、近接データは後段の制御回路にて算出される。
【0129】
検知物体がある場合、検知物体からの反射光が強いため、受光素子の光電流は大きくなる。よって、その電流値は、閾値Data_thを越え、「近接」と判定される(図15参照)。一方、検知物体がない場合、検知物体からの反射光が弱いため、受光素子の光電流は小さい。よって、その電流値は、閾値Data_thを越えないので、「非近接」と判定される(図16参照)。
【0130】
また、近接センサの測定値は検知距離の2乗に反比例するため、この測定値から検知距離を算出することで、一体型センサ50を、遠近を検知する測距センサとして適用することもできる。
【0131】
図17および図18に測距センサとして動作する場合の動作波形を示す。図16は、「近距離」を検出する場合の動作波形である。図16は、「遠距離」を検出する場合の動作波形である。
【0132】
測距センサの判定方法は、近接センサの判定方法と基本的に同じである。検知物体が近距離にある場合、検知物体からの反射光が強いため、受光素子の光電流は大きくなる。よって、その電流値は、閾値Data_thを越え、「近距離」と判定される(図17参照)。一方、検知物体が遠距離にある場合、検知物体からの反射光が弱いため、受光素子の光電流は小さい。よって、その電流値は、閾値Data_thを越えないので、「遠距離」と判定される(図18参照)。
【0133】
〔実施の形態4〕
本実施の形態では、センサ回路を備える液晶表示装置について説明する。
【0134】
図19は、本実施の形態の液晶表示装置100の一構成例を示す図である。図19に示すように、液晶表示装置100は、画像を表示する液晶パネル101と、液晶パネル101を照射するバックライト102と、バックライト102の輝度を制御するバックライト制御部103と、照度/近接センサ104とを備えている。照度/近接センサ104は、図1のセンサ回路10、図11のセンサ回路40、および図13の一体型センサ50のうち、いずれの構成も適用することができる。
【0135】
照度/近接センサ104は、測定結果DOUTをバックライト制御部103に出力する。測定結果DOUTは、照度/近接センサ104が照度センサとして動作している場合は、測定信号(ADCOUT2−ADCOUT1×α)に相当し、近接センサとして動作している場合は、測定信号ADCOUT1に相当する。これにより、バックライト制御部103は、周囲の明るさ、または、近接物体の有無に応じて、バックライト102の輝度を制御(調節)することができる。
【0136】
液晶表示装置100は、例えば、携帯電話やデジタルスチルカメラなどの電子機器の、液晶パネルを備える表示装置に適用することができる。よって、特に消費電力の低減が求められる携帯型の電子機器に効果が大きい。
【0137】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、照度センサ、近接センサおよび測距センサに関する分野に好適に用いることができるだけでなく、これらセンサの制御方法および製造方法に関する分野に好適に用いることができ、さらには、これらセンサを備える電子機器、例えば携帯電話およびデジタルカメラなどの分野にも広く用いることができる。
【符号の説明】
【0139】
10,40 センサ回路
11,41 受光部
12 信号処理部
13 乗算部
14 減算部
21 充電回路
22 比較回路
23 制御回路
24 放電回路
32 封止樹脂
33 レンズ部
50 近接照度一体型センサ(センサ回路)
51 LED駆動回路(駆動部)
100 液晶表示装置
101 液晶パネル
102 バックライト
103 バックライト制御部
104 照度/近接センサ(センサ回路)
PD1 受光素子(第1受光素子)
PD2 受光素子(第2受光素子)
PDir フォトダイオード
PDvis フォトダイオード
PDvissh フォトダイオード
ADC1 アナログ−デジタル変換回路(第1変換部)
ADC2 アナログ−デジタル変換回路(第2変換部)
LED1 発光ダイオード(発光部)
SW1〜SW4,SW11〜SW14,SW21,SW22 スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる分光特性で検出された複数の光量から照度を測定するセンサ回路であって、
n個(n:2以上の整数)の受光素子を備え、
上記各受光素子は、互いに異なるn個の分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成され、
上記各受光素子は、上記照度の測定時において、互いに異なる分光特性となるように、上記n個の分光特性が順次切り替えて設定されることを特徴とするセンサ回路。
【請求項2】
上記受光素子としての、第1受光素子および第2受光素子を備え、
上記第1受光素子および上記第2受光素子は、互いに異なる第1分光特性および第2分光特性から1つの分光特性が設定されるように構成され、
上記照度を測定する測定時間は、連続する第1測定時間および第2測定時間を含み、
上記第1測定時間においては、上記第1受光素子が上記第1分光特性に設定されるとともに、上記第2受光素子が上記第2分光特性に設定され、
上記第2測定時間においては、上記第1受光素子が上記第2分光特性に設定されるとともに、上記第2受光素子が上記第1分光特性に設定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ回路。
【請求項3】
上記第1分光特性は、赤外線の波長範囲に感度を有する分光特性であり、
上記第2分光特性は、可視光から赤外線までの波長範囲に感度を有する分光特性であることを特徴とする請求項2に記載のセンサ回路。
【請求項4】
上記照度を測定する測定時間は、上記連続する第1測定時間および第2測定時間のペアを、連続して複数含んでいることを特徴とする請求項2に記載のセンサ回路。
【請求項5】
上記第1受光素子は、2つ以上に分割された状態で当該全ての分割部分が並列接続された構成を有し、
上記第2受光素子は、上記第1受光素子の分割数と同数に分割された状態で当該全ての分割部分が並列接続された構成を有し、
上記第1受光素子の各分割部分と、上記第2受光素子の各分割部分とが、交互に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ回路。
【請求項6】
上記第1受光素子の各分割部分および上記第2受光素子の各分割部分は同一面積であることを特徴とする請求項5に記載のセンサ回路。
【請求項7】
発光部と、
上記発光部を駆動する駆動部とをさらに備えていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のセンサ回路。
【請求項8】
上記第1受光素子および上記第2受光素子を封止する封止樹脂をさらに備え、
上記封止樹脂の、上記第1受光素子および上記第2受光素子の上方に位置する表面には、レンズ部が形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のセンサ回路。
【請求項9】
上記第1分光特性で検出された光量をデジタル値に変換する第1変換部と、
上記第2分光特性で検出された光量をデジタル値に変換する第2変換部とをさらに備え、
上記第1変換部および上記第2変換部は、上記第1測定時間および上記第2測定時間に検出された光量を積分した値をデジタル値で出力する積分型のアナログ−デジタル変換回路により構成されていることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のセンサ回路。
【請求項10】
上記アナログ−デジタル変換回路は、
入力された電流により充電される充電回路と、
上記充電回路の出力電圧を基準電圧と比較する比較回路と、
上記比較回路の比較結果に基づいて、上記充電回路の出力電圧が上記基準電圧を超えたときに上記充電回路を放電させる放電回路と、
上記比較回路の比較結果に基づいて、上記第1測定時間および上記第2測定時間に上記放電回路が放電を行った回数を数え、当該回数に応じたデジタル値を出力する制御回路とを備えていることを特徴とする請求項9に記載のセンサ回路。
【請求項11】
液晶パネルと、上記液晶パネルを照射するバックライトと、上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部とを備えている電子機器であって、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のセンサ回路を備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ回路の出力信号に応じて、上記バックライトの輝度を制御することを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−50422(P2013−50422A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189650(P2011−189650)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】