説明

ターゲット、およびこれを備えた成膜装置

【課題】焼結体のターゲットであっても、ランニングコストを低減することが可能なターゲット、およびこれを備えた成膜装置を提供する。
【解決手段】クランプ27によって冷却板22に固定されるターゲット25は、金属粉体としてのZnの粉体と、Znの融点よりも融点が高い金属酸化物としてのZnOの粉体とを含む混合物が、t<T<t(ただし、上記式中、tはZnの融点、tはZnOの融点または昇華点である)で表される焼結温度Tで焼結された亜酸化物の焼結体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲット、およびこれを備えた成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成膜装置に用いられるターゲットとしては、特許文献1に示されるような、例えばインジウム等の接着剤によって保持部材(ターゲット電極)に固定されたもの(以下、「ボンディングターゲット」と示す)が知られている。しかしながら、このようなボンディングターゲットにおいては、消耗したターゲットを交換するために、ターゲットに接着されている保持部材も一緒に交換する必要がある。このため、その交換には時間およびコストを要するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、特許文献2に示すような、保持部材の上面に載置し、クランプによって保持部材(ターゲットホルダ)に固定するターゲット(以下、「ボンディングレスターゲット」と示す)に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−291382号公報
【特許文献2】特開2004−193083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示すようなボンディングレスターゲットにおいては、ターゲットはクランプによって保持部材に押さえ付けられるので、クランプによる押さえ付け部分が、この押さえ付けに耐え得る強度を有している必要がある。しかし、一般的に耐割れ性に乏しい焼結体のターゲットでは、前述の強度を確保することが難しい。このため、焼結体のターゲットは、インジウム等の接着剤によって保持部材に固定されるボンディングターゲットが採用され、ターゲットの交換に時間およびコストを要するという問題は解消されないままであった。
【0006】
本発明は、焼結体のターゲットであっても、ランニングコストを低減することが可能なターゲット、およびこれを備えた成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のターゲットは、クランプによって保持部材に固定されるターゲットであって、金属の粉体と、金属の融点よりも融点が高い金属酸化物の粉体とを含む混合物が、t<T<t(ただし、上記式中、tは金属の融点、tは金属酸化物の融点または昇華点である)で表される焼結温度Tで焼結された、亜酸化物の焼結体であることを特徴としている。
【0008】
このようなターゲットでは、金属を構成成分として含まない焼結体のターゲットに比べて耐割れ性が高くなるので、クランプによる押さえ付けによってターゲットが損傷するおそれを低減することができる。この結果、焼結体のターゲットであっても、ターゲットの交換時には、保持部材を含めたターゲット装置全体を交換せずにターゲットのみを交換することが可能となり、ランニングコストを低減することができる。
【0009】
また、金属は、Zn、Sn、Pb、Bi、In、AlおよびGaのいずれかであることが好ましい。これにより、金属の粉体と金属酸化物の粉体との混合物を上記焼結温度Tの条件で焼結することが容易となる。
【0010】
また、この焼結体では、保持部材に接触する接触面と平行である面内方向における外側端部が、中央部と比べて金属酸化物に対する金属の成分割合が高いことが好ましい。これにより、ターゲットの面内方向における外側端部の耐割れ性を中央部よりも高めたターゲットを形成することができる。この結果、クランプによって押さえ付けられる部分の耐割れ性を高めることができるので、クランプによってターゲットを固定する際にターゲットが損傷するおそれをより低減することができる。
【0011】
また、焼結体の体積抵抗率が0.05Ω・m以下であることが好ましい。これにより、スパッタリングを実施する際には、直流スパッタ法あるいは交流スパッタ法によるスパッタリングを実施することができる程度にターゲットの導電性を確保することができる。この結果、安定な放電を確保することが可能となる。
【0012】
また、焼結体の焼結相対密度が90%以上であることが好ましい。「焼結相対密度」とは、内部に空隙が無いターゲットと比較した容積の比率をいう。一般的に空隙量が多いと、ターゲット表面の凹凸が顕著となりスパッタリング時におけるパーティクルやアークの発生の原因となる。このようなターゲット装置では、空隙量を低減させることができるので、スパッタリング時におけるパーティクルやアークの発生を防止することができ、高品質な薄膜を生成することが可能となる。
【0013】
また、金属酸化物を構成する金属元素がZnであってもよい。これにより、耐割れ性に優れたセラミックスのターゲットを容易に形成することが可能となる。
【0014】
本発明の成膜装置は、ターゲットに含まれる成膜材料を基板に付着させることにより成膜を行う成膜装置であって、真空容器と、真空容器内において上述したターゲットを保持する保持部材と、ターゲットと保持部材とを固定するクランプと、を備えていることを特徴としている。
【0015】
このような成膜装置においては、ターゲットは、単体の金属を構成成分として含まない焼結体のターゲットに比べて耐割れ性が確保されているので、クランプによって保持部材に固定することができる。この結果、焼結体のターゲットであっても、ターゲットの交換時には、保持部材を含めたターゲット装置全体を交換せずにターゲットのみを交換することが可能となり、ランニングコストを低減することができる。
【0016】
また、保持部材とターゲットとの間には、保持部材およびターゲットの互いの対向面に接触する熱伝導性薄膜部材が配置されていることが好ましい。ここで、保持部材には、ターゲットを接触して冷却する冷却板が用いられることがある。このとき、ターゲットおよび保持部材が互いに接触する表面に凹凸がある場合でも、導電性薄膜部材が、互いに対向する面の間に形成される空隙を埋めるので、ターゲットと保持部材との接触面積が十分に確保されるようになる。この結果、ターゲットと保持部材との間の良好な熱伝導性を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のターゲット、およびこれを備えた成膜装置によれば、焼結体のターゲットであっても、ランニングコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るターゲットを含む成膜装置の構成を示す側面断面図である。
【図2】図1のターゲットを示す側面断面図である。
【図3】本実施形態に係るターゲットの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るターゲットの好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るターゲットを備えた成膜装置の構成を示す側面断面図である。図1中には、XYZ直交座標系が示され、Z軸方向が上下方向に対応する。図2は、図1に示すターゲット装置を示す側面断面図である。
【0021】
本実施形態に係るターゲット25は、いわゆるスパッタリング法により成膜を行う装置に適用することができる。このような成膜装置1は、図1に示すように、真空容器10、電源11、排気機構12、ガス導入機構13、基板ホルダ3およびターゲット装置2を主に備えている。
【0022】
真空容器10は、導電性の材料から形成されており、後述する電源11によりプラスの電圧が印加される。電源11は、真空容器10をプラスの電圧に印加し、ターゲット25にマイナスの電圧を印加する。排気機構12は、図示しない真空ポンプとバルブとを含んでおり、真空容器10の外側に配置されている。排気機構12は、真空容器10内を成膜に必要な状態にまで減圧する。ガス導入機構13は、真空容器10の外側に配置されている。ガス導入機構13は、スパッタリングに使用されるAr等のガスにOガス等の酸化性ガスを加えたガスを真空容器10内部へ導入する。基板ホルダ3は、真空容器10の内壁に取り付けられており、上下方向(図1に示すZ軸)おいて後述するターゲット装置2と対向する位置に配置されている。基板ホルダ3は、基板31を固定する部材であって、基板ホルダ3の上面に基板31を取り付ける。また、基板31は、真空容器10および基板ホルダ3を介して電源11によりマイナスの電圧が印加される。
【0023】
ターゲット装置2は、真空容器10の内部に配置されており、図2に示すように、インシュレータ21、冷却板(保持部材)22、グラファイトシート(熱伝導性薄膜部材)24、ターゲット25、クランプ27およびターゲットシールド28を備えている。
【0024】
インシュレータ21は、真空容器10と後述する冷却板22との間に配置されており、真空容器10とターゲット25が固定されている冷却板22とを絶縁している。これにより、真空容器10とターゲット25との電位差が確保される。
【0025】
冷却板22は、インシュレータ21を介して真空容器10の内壁に取り付けられている。冷却板22の内部には、配管(図示せず)が、図2に示すXY平面に対して二次元状に配置されている。配管の内部に冷却液が流れることで、冷却板22自体を冷却する。なお、冷却板22は、例えば、銅やアルミニウムといった熱伝導性に優れた金属材料からなることが好ましい。また、冷却板22がアルミニウムからなる場合には、その表面にアルマイト処理がなされていればより好適である。また、冷却板22に用いられる冷却液としては、水よりも凝固点が低い液体(例えば、フロリナートやガルデンなど)が好ましい。また、配管は、例えば、銅やアルミニウムといった熱伝導性に優れた金属材料からなることが好ましい。
【0026】
ターゲット25は、薄膜材料の1つであるZnOを含んで形成されている。ターゲット25は、成膜装置1において陰極に設定される。そして、成膜装置1において陽極として設定される真空容器10とターゲット25との間に電圧が印加されると、発生するプラズマ中のイオンがターゲット25に向けて加速し、このイオンがターゲット25に衝突するようになる。そして、この衝突により弾き出されたZnO構成原子等を基板31上に付着・堆積させることにより薄膜が形成される。
【0027】
ターゲット25は、金属の粉体としてのZn粉体と、Znの融点よりも融点が高い金属酸化物の粉体としてのZnO粉体とが、Znの融点よりも高く、ZnOの融点または昇華点よりも低い温度で焼結された亜酸化物の焼結体(セラミックス)である。ここでいう亜酸化物とは、金属元素の酸化数から期待されるより少ない数の酸素を含むもの、すなわち、酸素欠損(セラミックスの化学量論組成に比して)を起こしたものをいう。このターゲット25では、Znを構成成分として含まない焼結体のターゲットに比べて耐割れ性が高くなるので、クランプの押さえ付けによってターゲットが損傷するおそれを低減することができる。なお、金属の粉体としては、金属酸化物(ZnO)を構成する元素(Zn)と同じものだけでなく、例えば、Sn、Pb、Bi、In、Al、Ga等の元素が含まれる粉体を用いることも可能である。また、金属酸化物の粉体に2種類以上の金属の粉体を混合して焼結してもよい。
【0028】
また、ターゲット25は、当該ターゲット25の面内方向における外側端部から5mm程度の領域である外縁部26が、ターゲット25の中央部と比べて金属酸化物ZnOに対する金属Znの容量比(成分割合)が高く形成されている。これにより、このターゲット25では、外縁部26の耐割れ性が中央部の耐割れ性と比べて優れている。これにより、クランプ27によって押さえ付けられる部分である外縁部26の耐割れ性をより高めることができ、クランプ27によってターゲット25が冷却板22に固定される際にターゲット25が損傷するおそれをより確実に低減することができる。なお、このターゲット25では、ターゲット25の中央部よりも外縁部26における金属酸化物ZnOに対する金属Znの重量比(成分割合)を高くしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、ターゲット25は、体積抵抗率が0.05Ω・m以下となるように形成されている。これにより、直流電源でスパッタリングすることが十分に可能となり、十分な成膜速度を得ることができる。また、ターゲット25は、焼結相対密度が90%以上となるように形成されている。このため、ターゲット25における空隙量が低減され、ターゲット25の表面に形成される凹凸が抑制される。この結果、パーティクルの発生やアークの発生を防止することが可能となり、高品質な薄膜を形成することができる。
【0030】
グラファイトシート24は、熱伝導性薄膜部材の1種であり、冷却板22と後述するターゲット25との間に配置されている。ここで、冷却板22およびターゲット25の表面には凹凸が形成されている場合があり、互いの面が接する部分には多くの空隙が形成される場合がある。グラファイトシート24は、このような空隙を埋めることにより、ターゲット25と冷却板22との接触面積を十分に確保し、ターゲット25から冷却板22への伝熱効率を高めることができる。
【0031】
クランプ27は、ボルト等(図示せず)によって冷却板22に固定されている。クランプ27は、ターゲット25を冷却板22に押し付けて、ターゲット25を冷却板22に固定している。また、クランプ27は、ターゲット25の外縁部26と当接して、ターゲット25を冷却板22に押し付けている。
【0032】
ターゲットシールド28は、絶縁物(図示せず)を介して真空容器10の内壁に固定されており、ターゲット25の外縁部26と対向する位置に配置されている。ターゲットシールド28は、冷却板22における露出部(ターゲット25により覆われていない部分)やクランプ27に膜が形成されるのを防止している。
【0033】
次に、図3を参照しながら、本実施形態に係るターゲットの製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係るターゲットの製造方法を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態に係るターゲットの製造方法は、図3に示すように、まず、金属の粉体であるZn粉体と、金属酸化物の粉体であるZnO粉体とを同時秤量する(ステップS1)。このときのZnO粉体の粒径は1〜15μm、Zn粉体の粒径は、ZnO粉体の粒径よりも大きく、10〜100μmである。
【0035】
次に、Zn粉体とZnO粉体と外径の異なるボールとを樽状の容器に投入する。次に、当該容器を回転(ボールミル混合)させることによりZn粉体とZnO粉体とを混合する(ステップS2:混合工程)。次に、ステップS2において混合されたZn粉体、ZnO粉体およびボールをふるいにかけ、混合されたZn粉体およびZnO粉体からボールを分離する(ステップS3)。
【0036】
次に、混合されたZn粉体およびZnO粉体を成型用型枠であるカーボン製のカーボン型に充填し、パンチによる加圧と同時に加熱して焼結(ホットプレス)する(ステップS4:焼結工程)。具体的には、インサートダイスを内挿可能な管状のアウターダイスに、Zn粉体およびZnO粉体を充填する充填部を有するインサートダイスを内挿する。そして、充填部に充填されたZn粉体およびZnO粉体を、油圧ピストンによって荷重が加えられるパンチによって上下方向から加圧する。また、加圧と同時に、アウターダイスの外側に配置されたコイルにより高周波誘導加熱を行う。本実施形態では、不活性ガスであるアルゴンガス雰囲気中で焼結工程を実施することにより、Zn粉体が酸化して金属酸化物のZnO(II)になることを防止している。
【0037】
このようにして形成された亜酸化物の焼結体は、金属としてのZnを含んでいるので、金属酸化物としてのZnOのみで形成される焼結体に比べて耐割れ性に優れている。
【0038】
また、ステップS4における焼結工程は、下記式を満たす焼結温度T、すなわち、Znの融点tよりも高く、ZnOの融点または昇華点tよりも低い温度で焼結される。
<T<t
(上記式中、tはZnの融点、tはZnOの融点または昇華点)
【0039】
したがって、例えば充填部を形成するインサートダイスの内周面に溝部を形成することによって、焼結工程において、溶融したZnが、この溝部に移動するようになる。これにより、充填部における中心部よりも、溝部の形成されたインサートダイスの内周面に接する充填部の外側部分にZnが集中するようになる。これにより、充填部に充填されたZn粉体およびZnO粉体を焼結した焼結体は、面内方向において中央部よりも外縁部の方がZnOに対するZnの容量比が高くなる。これにより、このターゲットでは、ターゲットの面内方向における中央部と比べて外縁部の耐割れ性を高めることができる。
【0040】
以上に説明した本実施形態のターゲット25は、金属の粉体としてのZn粉体と、Znの融点よりも融点が高い金属酸化物としてのZnO粉体とが、Znの融点tよりも高く、ZnOの融点または昇華点tよりも低い温度Tで焼結された亜酸化物の焼結体であるので、Znを構成成分として含まない焼結体と比べて耐割れ性が高くなる。このため、クランプ27によって冷却板22にターゲット25を取り付ける場合であっても、クランプ27の押さえ付けによってターゲット25が損傷するおそれを低減することができる。この結果、焼結体のターゲット25であっても、ターゲット25の交換時には、ターゲット25のみを交換することが可能となるので、ランニングコストを低減することが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態のターゲット25が従来の金属酸化物の粉体のみで焼結された焼結体に比べて耐割れ性が高くなる1つの理由として以下のことが考えられる。すなわち、一般的に熱伝導特性および電気伝導特性は、金属酸化物、亜酸化物、金属の順番で優れていく。このため、亜酸化物の焼結体のターゲット25は、スパッタ熱を冷却板22に伝えやすくなり、冷却されやすくなる。このため、スパッタリング時におけるターゲット25の温度差が小さくなって耐割れ性が向上すると考えられる。
【0042】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0043】
上記実施形態では、金属としてのZn粉体と金属酸化物としてのZnO粉体とを焼結した亜酸化物の焼結体であるターゲット25を例として説明したがこれに限定されるものではない。例えば、金属としてのZn粉体と、金属酸化物としてのZnO粉体およびMgO粉体とを焼結した亜酸化物の焼結体であるターゲットであってもよい。金属と当該金属の融点よりも融点が高い金属酸化物との組み合わせを満たすという条件であれば、例えばZn、Sn、Pb、Bi、In、Al、Gaのいずれかの金属および金属酸化物を混合して焼結される亜酸化物の焼結体であってもよい。また、上述した条件であれば、金属としての元素と金属酸化物を構成する金属元素とが互いに異なっていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、ターゲット25が、いわゆるスパッタリング法により成膜を行う装置に適用された例を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばRPD法(反応性プラズマ蒸着法)により成膜を行う装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…成膜装置、2…ターゲット装置、3…基板ホルダ、10…真空容器、11…電源、12…排気機構、13…ガス導入機構、21…インシュレータ、22…冷却板、24…グラファイトシート、25…ターゲット、26…外縁部、27…クランプ、28…ターゲットシールド、31…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプによって保持部材に固定されるターゲットであって、
金属の粉体と、前記金属の融点よりも融点が高い金属酸化物の粉体とを含む混合物が、下記式:
<T<t
(ただし、上記式中、tは前記金属の融点、tは前記金属酸化物の融点または昇華点である)
で表される焼結温度Tで焼結された、亜酸化物の焼結体であることを特徴とするターゲット。
【請求項2】
前記金属は、Zn、Sn、Pb、Bi、In、AlおよびGaのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
前記焼結体の前記保持部材に接触する接触面と平行である面内方向における外側端部は、中央部と比べて前記金属酸化物に対する前記金属の成分割合が高いことを特徴とする請求項1または2に記載のターゲット。
【請求項4】
前記焼結体の体積抵抗率が0.05Ω・m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項5】
前記焼結体の焼結相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項6】
前記金属酸化物を構成する金属元素がZnであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項7】
ターゲットに含まれる成膜材料を基板に付着させることにより成膜を行う成膜装置であって、
真空容器と、
前記真空容器内において請求項1〜6のいずれか1項に記載のターゲットを保持する保持部材と、
前記ターゲットと前記保持部材とを固定するクランプと、
を備えていることを特徴とする成膜装置。
【請求項8】
前記保持部材と前記ターゲットとの間には、前記保持部材および前記ターゲットの互いの対向面に接触する熱伝導性薄膜部材が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−144793(P2012−144793A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5201(P2011−5201)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【出願人】(593163449)株式会社豊島製作所 (15)
【Fターム(参考)】