説明

ディスク状対象物を検査するための装置

【課題】ディスク状対象物を検査するための装置(1)を提供する。
【解決手段】装置(1)は、ディスク状対象物(10)の構造のある又は構造化された表面を検査するために少なくとも1つのモジュール(2,4)を有する。ディスク状対象物(10)の構造のある又は構造化された表面と異なるディスク状対象物(10)の要素を検査する少なくとも1つの別なモジュールが装置(1)に挿入可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状対象物を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欠陥の光学検知により、フォトレジストが半導体ウェーハに適用されるときに厚さ変化のために生じる系統的な欠陥を考慮することは重要である。光学装置はウェーハの表面を検査するのに特に適している。特許文献1に開示されているように、表面の検査は、例えばウェーハの表面から反射した光ビームを評価することで行われる。
【0003】
半導体ウェーハ上の巨視的な欠陥を見出すために、同じウェーハ上のダイがいわゆるダイトゥダイ法で比較される。高精度プロセスのために、極めて一様な構造がウェーハに形成される。これが、ダイの形成に負の影響を与えかねないプロセス誤作動がなければダイから得られる画像(イメージ)が同一になる理由である。ゆえに、2つの画像の差は欠陥と解釈される。この種の方法は、特許文献2の例で記載されている。しかしながら、比較は、同種のダイを有するウェーハ上のこれら領域のためにだけなされる。結局、このアプローチは、いわゆる生産的なダイを有する領域にだけ適する。例えば、構造のない領域又はテストフィールドを有するウェーハ上の、又はウェーハのエッジ(縁)近くに位置した他の領域はこのようにして検査できない。しかしながら、この重要な情報は、欠陥の早期の検出を可能又は容易にするこれらの領域から得られる。特にウェーハのエッジ近くにフォトレジストを適用する際の問題が早い段階で検知できる。先ず欠陥が生じるのがここであり、製造が継続すると欠陥はここから中央に向かって伝播するからである。これらの領域が検査されなければ、欠陥は検出できない。結局、これらの欠陥は後に生産的ダイに生じ、ウェーハを使い物にならなくさせる。
【0004】
回折光により欠陥のあるウェーハエッジを検査する装置が、例えば特許文献3に開示されている。ウェーハエッジに一致する第1焦点を有する楕円形反射鏡が設けられ、第2焦点に検出器が設けられる。ウェーハエッジの実際の接線に垂直及びウェーハと同じ垂直方向にエッジの方に向いた平行なコヒーレント光を生成する光源によって、ウェーハエッジは照射される。0次の回折光は、アブソーバプレートによりフィルターがかけられる。回折光は第2焦点における楕円形反射鏡によりフォーカスされ、そこで検出器により受けられる。しかしながら、装置は別個の装置として実現され、ディスク状対象物の全体検査のための装置に一体化できない。
【0005】
さらに、特許文献4は特許文献5と同じ原理に基づいた装置を開示する。それは、ウェーハエッジの近傍に設けられた付加的なセンサーと、でたらめな方向の欠陥と、ウェーハの表面に平行、すなわち回転方向に対して横の欠陥とを区別することに特徴がある。
【0006】
さらに特許文献6もウェーハの表面の検査を開示しており、線状のウェーハを走査する照明が選択される。2次元画像が創出されるように照明線はウェーハの表面にわたってガイドされる。
【0007】
特許文献7から、ウェーハを検査する方法及び装置が知られている。ここでは、ウェーハのエッジが照射されるように照明がウェーハに放射される。これは、ウェーハのエッジを走査するのに役立ち、その結果が画像処理ユニットで処理される。ウェーハの欠陥は、得られたエッジ画像と記憶された比較画像を比較することで検出される。
【0008】
特許文献8は、平らなディスクの上面及び下面が交互に部分的に光ビームで走査される装置を開示する。上面及び下面が同時に走査される場合と対照的に、この場合では、一方の面からの回折光が他方の面の検出器に入ることが防がれる。それぞれの検出器は常に独自に一方の面に結合している。2つの面を走査するために、2つのレーザビームが用いられるか、1つのレーザビームが2つの部分ビームに分けられる。これら部分ビームは角度領域内で1つ又は複数の回転鏡により動かされ、偏向鏡によりそれぞれの表面に再び向けられ、レーザビームの光ドットが検査すべきウェーハの領域をわたる。
【0009】
特許文献9は、基板を検査するための装置及び方法を開示する。自動装置は基板を運ぶ第1ステージを有し、第1画像装置が基板の周囲領域の画像を記録する。さらに、基板を運ぶ第2ステージが設けられ、基板の画像を記録するために第2画像装置が設けられる。複数の個々のシステムが1つのユニットに統合される。しかしながら、これは全システムのフットプリントの有効な増加をもたらす。
【0010】
特許文献10がウェーハを検査するための装置を開示する。第1画像装置を用いて、ウェーハ表面の画像が記録される。エッジ領域の上部、ウェーハエッジ及びエッジ領域の下部の画像を作るために第2画像装置が設けられる。第2画像装置は、装置の対応する支持構造部に搭載される。
【0011】
特許文献11がエッジ検査のための装置を開示する。ウェーハはステージ上に位置し、複数のカメラがウェーハエッジの領域に配置される。一方のカメラがウェーハエッジの上部を映し、他方のカメラはウェーハエッジを写す。
【0012】
【特許文献1】EP 455857
【特許文献2】US 2004/0105578 A1
【特許文献3】JP 09269298
【特許文献4】JP 11351850
【特許文献5】JP 09269298
【特許文献6】US 6587193
【特許文献7】US 2003/0202178 A1
【特許文献8】US 5359407
【特許文献9】US Patent Application 2004/086171
【特許文献10】US Patent Application 2004/095575
【特許文献11】US Patent Application 2005/036671
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術の全ての装置は共通して単一の装置を用いたディスク状対象物の完全な検査が可能でない。
【0014】
ゆえに、本発明の目的は、装置のフットプリントを増加させる必要なくディスク状対象物の全体検査が可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明により、この目的は、請求項1に従う構成を有するディスク状対象物を検査するための装置により達成される。
【0016】
本発明によりディスク状対象物を検査するための装置が開示される。この装置は、ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するために少なくとも1つのモジュールを有する。ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面とは異なるディスク状対象物の要素を検査する少なくとも1つの別なモジュールを装置に組み込むこともできる。
【0017】
別なモジュールはディスク状対象物のエッジ領域の検査を行う。別なモジュールも、ディスク状対象物の裏面やディスク状対象物の中央領域などの、ディスク状対象物の別な要素を検査する働きをする。別なモジュールは、ディスク状対象物の背後の構造のない表面の検査を実行するのに役立つ。ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するためのモジュールは、マクロ検査のためのモジュールである。
【0018】
ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するためのモジュールは、マイクロ検査のためのモジュールでもありうる。装置は、マクロ検査のためのモジュールとマイクロ検査のためのモジュールの両方を有してもよい。装置は、ディスク状対象物が配置された回転テーブルを有する。ディスク状対象物のエッジ領域を検査するためのモジュールは、ディスク状対象物のエッジ領域がモジュールを通って回転するように、回転テーブルに対して配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の別な利点及び有利な実施形態を図面に則して以下に記述する。
【0020】
図1に関して、ディスク状対象物を検査するためのシステム1が示されている。システム1は、ユーザの仕様とユーザの望む種類の検査に従って組み合わせられる複数のモジュールからなる。例えば、装置は、ディスク状対象物のマクロ検査のためにモジュール2を有する。加えて、システム1はディスク状対象物のマイクロ検査のためにモジュール4を有する。ディスク状対象物は、少なくとも1つのコンテナを用いてシステム1に移される。システム1は、様々なユーザインターフェースが示されるディスプレイ5を有する。キーボード7はシステム1にも接続しており、ユーザはシステムに入力を行うことができ、所望の態様でシステム1の制御を変えることができる。別な入力ユニット8もキーボードに接続しており、ユーザはディスプレイ5上のカーソルを制御することができる。入力ユニット8は、第1入力ユニット8aと第2入力ユニット8bを有する。好ましい実施形態では、入力ユニット8はコンピュータマウスとして設計される。ゆえに、第1入力ユニット8aと第2入力ユニット8bはそれぞれ左と右のマウスキーである。その基本構造においては、ディスク状対象物を検査するためのシステム1はマクロ検査のためのモジュール2からなり、それにディスク状対象物の他の要素を検査するための別なモジュールが一体化している。ゆえに、モジュールは顧客の仕様に従って挿入でき、極めて多様なシステムが実現される。さらには、全システムのフットプリントは増加しない。
【0021】
図2は、概略的にシステム1における回転手段20上のウェーハ10、走査手段30、光受取り手段40及び評価手段50の配置を示す。ウェーハ10は、ウェーハのためのドライブ21、連結軸22及び固定手段23を備えた回転手段20と同軸の中央軸11を有する。走査手段30と光受取り手段40はモジュール72として構成され、このようなシステムに挿入される。回転手段はリンク24を介して光学走査手段30に接続している。走査手段30は、リンク51を介して評価手段50に接続している。光受取り手段40もリンク52を介して評価手段に接続している。リンクは、電気的又は電磁的な直接又は間接タイプである。回転手段から光受取り手段又は評価手段へのリンクを張ることも考えられる。いつでも新たに挿入されたモジュールを制御することができるように、リンクは回転手段と走査手段の状態を評価手段に伝送する働きをする。
【0022】
図3は、回転手段20、画像手段40、検出器手段55及び制御手段60の配置の概略図である。ウェーハ10の表面を検査するためのモジュール72がシステム1に挿入される。モジュール72はリンクを介してシステム1の制御手段60に接続している。制御手段は、付加的なモジュール又は異なるモジュールの挿入が「プラグ・アンド・プレイ」原理に従って行われるように構成される。システム1はウェーハ10を回転させるための回転手段20を有する。モジュール72は、ウェーハ10の少なくとも2つの表面領域を照射するために照明手段33を具備する。さらに、モジュール72は、照明手段に接続した下流側の光受取り手段40を備えた画像手段43を有する。ウェーハ10が回転手段20によって回転する間、少なくとも2つの表面領域を光学的に映すための光受取り手段40は、照明手段33の照明のために反射したウェーハ10の表面からの光を受ける。画像手段43は、ウェーハの少なくとも2つの表面領域が光受取り手段40の単一の検出器に映されるように設計される。検出器は好ましくはリニアアレーカメラである。検出器は感色性である。ここで用いられるモジュール72により、制御手段60は回転方向の関数として検出器画像の読み取りをクロック制御する。少なくとも2つの表面領域はウェーハ10の平らな上面及び平らな下面を有する。モジュールは3つの表面領域を同時に映す役割もする。3つの表面領域はウェーハ10の平らな上面、平らな下面及びウェーハ10の周囲面である。
【0023】
当業者にとって、このようなタイプのモジュールが図2及び3に則して記述した実施形態に限定されないことは明らかである。複数のモジュールをシステムに挿入することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ディスク状対象物を検査するためのシステムの概略図である。
【図2】システムにおける回転手段、走査手段、光受取り手段及び評価手段の配置を示す概略図である。
【図3】ディスク状対象物を検査するためのシステムで用いるのに適する、ウェーハの表面を検査するための実施形態の別なモジュールである。
【符号の説明】
【0025】
1 システム
2 モジュール
4 モジュール
5 ディスプレイ
8 入力ユニット
10 ウェーハ
20 回転手段
21 ドライブ
22 連結軸
23 固定手段
24 リンク
30 走査手段
33 照明手段
40 光受取り手段
43 画像手段
50 評価手段
51 リンク
52 リンク
55 検出器手段
60 制御手段
72 モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するために少なくとも1つのモジュールと、ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面と異なるディスク状対象物の要素を検査する、装置に挿入可能な少なくとも1つの別なモジュールとを有する、ディスク状対象物を検査するための装置。
【請求項2】
別なモジュールがディスク状対象物のエッジ領域の検査を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
別なモジュールがディスク状対象物の周囲エッジの検査を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
別なモジュールがディスク状対象物の背後の構造のない表面の検査を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
別なモジュールがディスク状対象物の背後の構造のないエッジ領域の検査を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するためのモジュールが、マクロ検査のためのモジュールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ディスク状対象物の構造のある又は構造化された表面を検査するためのモジュールが、マイクロ検査のためのモジュールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
マクロ検査のためのモジュールとマイクロ検査のためのモジュールを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ディスク状対象物が配置された回転テーブルが設けられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ディスク状対象物のエッジ領域がモジュールを通って回転するように、ディスク状対象物のエッジ領域を検査するためのモジュールが回転テーブルに対して配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−284572(P2006−284572A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72875(P2006−72875)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(502124798)ヴィステック セミコンダクタ システムス ゲーエムベーハー (41)
【Fターム(参考)】