説明

ディスプレイパネルの点灯画像検査方法

【課題】ディスプレイパネルの点灯画像検査において、画面全体がホワイトからずれている場合や、評価点との比較対象である背景部がホワイトからずれている場合においても、高精度高速検査を実現するディスプレイパネルの点灯画像検査方法を提供する。
【解決手段】撮像手段によりディスプレイパネルの画面を撮像して画像データを得るステップと、画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量がホワイトからの色ズレ量となるように画像データを補正する色ズレバランス補正処理を行うステップと、色ズレバランス補正処理を行って得られた画像から彩度値を求めるステップと、彩度値を用いてディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどのディスプレイパネルの点灯画像検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイなどのフラットディスプレイはディスプレイパネルに駆動回路が実装され製品化される。製造工程では、実装工程への不良パネルの流出を防ぐため、駆動回路実装前にディスプレイパネルに点灯信号を入力し、点灯検査を行っている。
【0003】
プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイパネルの点灯画像を検査する場合、例えば特許文献1には、ディスプレイパネルを点灯させ、点灯したディスプレイパネルの画像を撮像カメラにより取り込み、画像処理装置によってディスプレイパネルの画素セルの欠陥、表示ムラを定量化して判定することが記載されている。
【特許文献1】特開平9−218131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像を評価する際の評価指標として彩度値を用いる場合には処理時間が速くインライン検査には適しているが、画面全体がホワイトからずれている場合や、評価点との比較対象である背景部がホワイトからずれている場合に色ムラの検出性能が悪く、必ずしも高精度に色ムラ欠陥を検出することはできなかった。
【0005】
本発明は、このようなディスプレイパネルの点灯画像検査において、画面全体がホワイトからずれている場合や、評価点との比較対象である背景部がホワイトからずれている場合においても、高精度高速検査を実現するディスプレイパネルの点灯画像検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像手段によりディスプレイパネルの画面を撮像して画像データを得るステップと、前記画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量がホワイトからの色ズレ量となるように前記画像データを補正する色ズレバランス補正処理を行うステップと、前記色ズレバランス補正処理を行って得られた画像から彩度値を求めるステップと、前記彩度値を用いてディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有することを特徴とするディスプレイパネルの点灯画像検査方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスプレイパネルの点灯画像検査において、ホワイトとなるように補正した背景部からの色ズレ量に着目し、その色ズレ量の彩度値を評価することにより、高精度高速検査が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(実施の形態1)
まず、プラズマディスプレイパネルの構造について、一部を示す斜視図である図1を用いて説明する。図1に示すように、前面板1は、ガラス製の前面基板2上に、走査電極3および維持電極4からなる表示電極対を複数形成し、その表示電極対を覆うように誘電体ガラスからなる誘電体層5を形成し、誘電体層5上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層6を形成して構成されている。
【0010】
一方、前面板1に対向配置された背面板7は、ガラス製の背面基板8上に、アドレス電極9を複数形成し、そのアドレス電極9を覆うように誘電体層10を形成し、その誘電体層10上にアドレス電極9と平行な複数の隔壁11を形成し、さらに隣接する隔壁11の間にそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に発光する蛍光体層12を形成して構成されている。アドレス電極9は隣接する隔壁11の間に位置している。
【0011】
走査電極3および維持電極4とアドレス電極9とが直交するように、一対の基板である前面基板2と背面基板8とが対向配置され、これら基板の周辺部を封着部材(図示せず)を用いて封着している。前面基板2と背面基板8との間に形成された放電空間にネオンおよびキセノンからなる放電ガスを封入しており、走査電極3および維持電極4とアドレス電極9との立体交差部に放電セルが形成される。すなわち、一対の基板間に複数の放電セルを有している。この放電セルは画像を表示するときの単位発光領域であり、R、G、Bの各色に発光する蛍光体層12が形成された隣接する3つの放電セルによって1つの画素を形成する。
【0012】
このプラズマディスプレイパネルでは、1フィールド期間(1/60秒)を複数のサブフィールドに分割し、各放電セルにおいて放電を発生させるサブフィールドを組み合わせることにより階調表現を行う。各サブフィールドでは、走査電極3に順次走査パルスを印加するとともに画像データに基づいてアドレス電極9にアドレスパルスを印加することで表示する放電セルを選択した後、走査電極3と維持電極4とに交互に維持パルスを印加することによって、選択した放電セルにおいて維持放電を起こす。これにより、維持放電が起こった放電セルでは、紫外線が発生し、その紫外線で励起された蛍光体層12から各色の可視光が放出されて、画像表示が行われる。
【0013】
次に、このようなプラズマディスプレイパネルについて点灯画像検査を行う方法について説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネルの点灯画像検査装置の説明図である。図2において、パネル検査台13に設置されたプラズマディスプレイパネル14は、駆動回路制御手段15で駆動することにより点灯状態とし、その点灯画像を、カメラ撮像制御手段16によりコントロールされた1台または複数台のカメラ(撮像手段)17により撮像できるようになっている。カメラ17により撮像された画像の画像データは画像処理部18にて処理され、結果を出力するようになっている。画像処理部18は、撮像された画像の画像データをRGB成分別に記憶するR成分画像記憶手段19、G成分画像記憶手段20、B成分画像記憶手段21と、その記憶された各RGB画像データの平滑化処理を行う平滑化処理手段22と、その平滑化処理後の各RGB画像において、表示画面の任意の評価点とその周囲の限定された領域の代表値との差を表す量である各RGB変化量(R変化量、G変化量、B変化量)を算出する周辺比較処理手段23と、各RGB変化量がホワイトからの色ズレ量となるように各RGB画像データを補正する色ズレバランス補正処理手段24と、その色ズレバランス補正処理後の画像からRGB画像を生成するRGB画像生成手段25と、そのRGB画像から色ムラ評価値である彩度値に変換する彩度変換処理手段26と、その彩度変換画像から色ムラ欠陥候補を抽出するための2値化ラベリング手段27と、そのラベリングされた領域の面積・平均濃度・幅・長さといった複数の特徴量を抽出する特徴量抽出手段28と、その抽出された欠陥の特徴量から色ムラ欠陥としての良否の判定を行う良否判定手段29とから構成されている。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態1における点灯画像検査装置の動作フローを示しており、ステップ1からステップ10までの各ステップを行うことでプラズマディスプレイパネルの点灯画像について検査を行う。以下、各ステップについて説明する。
【0016】
まずステップ1では、パネル検査台13に設置されたプラズマディスプレイパネル14を駆動回路制御手段15で制御して点灯させる。そして、カメラ17によりプラズマディスプレイパネル14の点灯画像を撮像し、撮像した画像のRGB各成分(R成分画像データ、G成分画像データ、B成分画像データ)をR成分画像記憶手段19、G成分画像記憶手段20、B成分画像記憶手段21に入力する。ここで、プラズマディスプレイパネル14の点灯画像は、例えば、すべての放電セルを点灯させて白色表示にする。
【0017】
次のステップ2では、R成分画像記憶手段19、G成分画像記憶手段20、B成分画像記憶手段21のそれぞれに記憶されているR成分画像データ、G成分画像データ、B成分画像データのノイズ除去を行うため、平滑化処理手段22により各RGB画像の平滑化処理を行う。平滑化処理として、例えば任意の評価点の画素における画像データを、近傍領域内の画素における画像データの中間値または平均値で置き換える処理を用いることができる。ここで、近傍領域内の画素として、例えば評価点の画素およびその画素を囲む8つの画素を採用する。平滑化処理を行うことにより、各RGB画像(R成分画像、G成分画像、B成分画像)が得られる。
【0018】
次のステップ3では、平滑化処理後の各RGB画像について周辺比較処理手段23により周辺比較処理を行う。周辺比較処理では、各RGB画像において、表示画面の任意の評価点における画像データとその周囲の限定された所定領域の画像データの代表値とから得られる各RGB変化量を算出する。周辺比較処理を行うと、評価点の画像データがその周辺の画素の画像データに比べて大きく異なる場合には、その評価点における各RGB変化量の絶対値は大きくなり、周辺の画素の画像データとほとんど同じ場合には、その評価点における各RGB変化量の絶対値は極めて小さな値となる。したがって、各RGB変化量の絶対値が極めて小さな値となる領域は、色ムラが発生していない領域(背景部という)と推定され、各RGB変化量の絶対値が大きな領域は色ムラが発生している可能性がある領域(色ムラ部という)と推定される。
【0019】
次のステップ4では、ステップ2で得られた各RGB画像に対して色ズレバランス補正処理手段24を用いて色ズレバランス補正処理を行う。すなわち、画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの各RGB変化量がホワイトからの色ズレ量となるように、ステップ2で得られた各RGB画像の画像データを補正する。ここで、ホワイトとは、R成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データが全て同じ値となる状態をいう。背景部のR成分画像データWr、G成分画像データWg、B成分画像データWbの値がそれぞれ異なる場合、これらの画像データに一定値を加算することにより背景部のR成分画像データWr、G成分画像データWg、B成分画像データWbが同じ値になるように補正し、他の画素の画像データについても同じ値を加算することにより補正する。例えば、R成分画像データWrとB成分画像データWbをG成分画像データWgに合わせる場合、Cr=Wg−Wr、Cb=Wg−Wbとするとき、全画素についてR成分画像データに一定値であるCrを加算し、B成分画像データに一定値であるCbを加算することにより、各RGB画像の画像データを補正する。
【0020】
次のステップ5では、ステップ4で得られたR成分画像データ、G成分画像データ、B成分画像データを用いて、RGB画像生成手段25によりRGB画像を生成する。こうして生成されたRGB画像では、ステップ4で色ズレバランス補正処理を行っているため、背景部においてはホワイトの状態となっており、各RGB変化量はホワイトからの色ズレ量となる。
【0021】
次のステップ6では、彩度変換処理手段26により、RGB画像から色ムラ評価値である彩度値に変換する彩度変換処理を行う。ここで、各画素における彩度値は、各画素のR成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データの最大値と最小値との差としており、背景部における彩度値はほぼ0となる。この彩度変換処理により画像データが彩度値である画像が得られる。
【0022】
次のステップ7では、2値化ラベリング手段27により2値化ラベリング処理を行う。すなわち、ステップ6において彩度変換処理を行うことにより得られた画像データに対して或る閾値を設定し、画像データがその閾値以上となっている画素を抽出するという処理である。この2値化ラベリング処理を行うことにより、閾値以上の画像データを有する画素が存在する領域(ラベリングされた領域という)を抽出する。このラベリングされた領域は色ムラ欠陥となる可能性の有る領域である。
【0023】
次のステップ8では、特徴量抽出手段28により1つあるいは複数の特徴量の抽出を行う。ここで特徴量は、ラベリングされた領域の面積、幅、長さ、平均濃度などである。
【0024】
次のステップ9では、良否判定手段29により、予め決められた特徴量の閾値判定から良否判定を行う。例えば、特徴量であるラベリングされた領域の面積、幅、長さ、平均濃度のそれぞれについて所定の判定基準値を決めておき、抽出した特徴量のいずれか1つでも判定基準値より大きくなる場合には、色ムラが存在するためパネルとしては不良であると判定するというように、抽出した特徴量を用いることで色ムラに関してパネルの良否を判定することができる。判定に用いる特徴量は1つでも複数でもよいが、複数の特徴量を用いて判定する方が精度よく判定することができる。このようにステップ7〜ステップ9は、ステップ6で得られた彩度値を用いてプラズマディスプレイパネル14の画像を評価するステップである。
【0025】
そして最後のステップ10において、この良品判定結果を外部に出力し、点灯画像検査を終了する。
【0026】
ここで、ステップ4の色ズレバランス補正処理について、図4および図5を用いて説明する。
【0027】
図4は色ムラ画像の説明図であり、破線で囲んだ領域が色ムラ部であり、それ以外が背景部である。背景部においてはR成分画像データが210階調であり、G成分画像データが200階調であり、B成分画像データが190階調である。また、色ムラ部においてはR成分画像データが190階調であり、G成分画像データが200階調であり、B成分画像データが210階調である。これらの各画像データは、図3のステップ1およびステップ2を実施することにより得られた画像データを示している。図4において、色ムラ部の背景部からの各RGB変化量は、R変化量が−20階調、G変化量が0階調、B変化量が20階調となっている。背景部においても色ムラ部においてもR成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データの最大値と最小値との差は20階調であり、彩度値としては同じ値となる。このため、図3のステップ1およびステップ2を実施することにより得られたR成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データを用いて彩度値を求め、この彩度値によって色ムラを評価する場合、色ムラの検出は困難である。
【0028】
一方、図5は、本発明の実施の形態1における色ズレバランス補正処理を行った場合の色ムラ画像の説明図である。図5において、破線で囲んだ領域が色ムラ部であり、それ以外が背景部である。背景部においてはR成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データが128階調であり、色ムラ部においてはR成分画像データが108階調であり、G成分画像データが128階調であり、B成分画像データが148階調である。これらの各画像データは、図3のステップ1〜ステップ4を実施することにより得られた画像データを示しており、背景部を128階調のホワイトとし、色ムラ部を背景部からの各RGB変化量として生成している。図5においてはR変化量が−20階調、G変化量が0階調、B変化量が20階調となり、図4と同じ値であるが、R成分画像データ、G成分画像データおよびB成分画像データの最大値と最小値との差は、色ムラ部で40階調であり、背景部の0階調と比較すると差が生じている。このように、背景部と色ムラ部との間で彩度値に差が生じているので、彩度値による色ムラの検出が可能となる。これにより、処理時間が速いという彩度値評価の優位性を生かした高精度な色ムラ検査が実現可能となる。そして、検査の高精度化が図られ、製造工程における目視検査員の省人化が可能になるとともに、後工程への不良パネルの流出が軽減でき、ロスコスト削減が可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるディスプレイパネルの点灯画像検査方法について図面を用いて説明する。図1〜図3については実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0030】
図6は、本発明の実施の形態2における色ズレバランス補正処理の説明図である。破線で囲んだ領域が色ムラ部であり、それ以外が背景部である。色ズレバランス補正処理前の色ムラ部と背景部の各RGB変化量を(ΔR、ΔG、ΔB)とすると、目視感度が各RGB変化量に対して異なるため、目視感度に応じて各RGB変化量を補正することが好ましい。そこで図6に示すように、目視感度に応じて各RGB変化量をαr、αg、αb倍して補正するとともに、背景部をホワイトとし、各RGB変化量がホワイトからの変化量を表すように画像データを補正する。すなわち、背景部のR成分画像データWr、G成分画像データWg、B成分画像データWbの値を同じ(Wr=Wg=Wb)にし、色ムラ部のR成分画像データをWr+ΔR×αr、G成分画像データをWg+ΔG×αg、B成分画像データをWb+ΔB×αbとする。このように実施の形態2では、画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量が、RGBの目視感度に応じて重み付けられるように色ズレバランス補正処理を行う。ステップ1〜ステップ3とステップ5〜ステップ10は実施の形態1と同じである。これによって目視感度に近い色ズレ量に補正することができるため、高精度な色ムラ検査が実現可能となる。
【0031】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるディスプレイパネルの点灯画像検査方法について図面を用いて説明する。図1〜図3については実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0032】
図7は、本発明の実施の形態3における色ズレバランス補正処理の説明図である。破線で囲んだ領域が色ムラ部であり、それ以外が背景部である。色ズレバランス補正処理前の色ムラ部と背景部の各RGB変化量(ΔR、ΔG、ΔB)に対して、比較距離による重み付け量(β)を積算して画像データを補正している。この比較距離は、各RGB変化量を求めるときの、画面中の任意の評価点とその周囲の比較対象の所定領域との距離である。任意の評価点での彩度値と比較対象の所定領域での彩度値との差が同じでも、比較距離が短い場合は目視において彩度差を強く感じ、比較距離が長い場合は目視において彩度差を弱く感じる。そこで、比較距離が長くなると値が小さくなる係数βを用い、図7に示すような画像データの補正を行う。すなわち、背景部のR成分画像データWr、G成分画像データWg、B成分画像データWbの値を同じ(Wr=Wg=Wb)とし、色ムラ部のR成分画像データをWr+ΔR×β、G成分画像データをWg+ΔG×β、B成分画像データをWb+ΔB×βとする。このように実施の形態3では、画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量が、比較距離に応じて重み付けられるように色ズレバランス補正処理を行う。ステップ1〜ステップ3とステップ5〜ステップ10は実施の形態1と同じである。これによって比較距離に関する目視感度に近い検査ができるので、高精度な色ムラ検査が実現可能となる。
【0033】
また、画面中の任意の評価点に対して、比較対象の所定領域を変えながら総合的に判断するようにしてもよい。すなわち、或る比較距離について周辺比較処理を行って得られた各RGB変化量と、比較距離に応じて設定される重み付け量(β)とを用いて、任意の評価点での画像データを補正することにより色ズレバランス補正処理を行う。そして、その結果、ステップ5において生成されるRGB画像についてステップ6〜ステップ8を行って特徴量を抽出し、その特徴量を用いてステップ9において良否判定する。次に、比較距離を変えてステップ3〜ステップ9を行うことを1回または複数回行う。このように、複数の比較距離のそれぞれについて特徴量を抽出し、各特徴量を用いてそれぞれ良否判定を複数回行う。そして、複数回の良否判定のうち1回でも不良と判断されれば最終的に不良であると判定するというように、比較対象の所定領域を変えながら総合的に判断するようにしてもよい。これにより、より目視感度に近い検査が可能となり、高精度な色ムラ検査が実現可能となる。
【0034】
さらに、画面中の任意の評価点に対して、比較対象の所定領域を変えながら総合的に判断する他の方法として、次のような方法を用いることもできる。すなわち、色ズレバランス補正処理を行う前に、比較距離を変えて周辺比較処理を複数回行って各RGB変化量を求める。その後、複数回行った周辺比較処理により得られた各RGB変化量と、比較距離に応じて設定される重み付け量(β)とを用いて、任意の評価点での画像データを補正することにより色ズレバランス補正処理を行う。このように、色ズレバランス補正処理を行う前に、比較対象の所定領域を変えて周辺比較処理を複数回行い、総合的に各RGB変化量を算出して画像データを補正することにより、より目視感度に近い検査が可能となり、高精度な色ムラ検査が実現可能となる。
【0035】
また、実施の形態2で説明したαr、αg、αbを組み合わせて用いてもよい。すなわち、色ムラ部のR成分画像データをWr+ΔR×αr×β、G成分画像データをWg+ΔG×αg×β、B成分画像データをWb+ΔB×αb×βとする。これにより、さらに高精度な色ムラ検査が実現可能となる。
【0036】
なお、上記実施の形態ではプラズマディスプレイパネルの点灯画像を検査する場合について説明したが、液晶ディスプレイなどに用いるディスプレイパネルの点灯画像を検査する際にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明によれば、ディスプレイパネルの色ムラ検査において、ホワイトとなるように補正した背景部からの色ズレ量に着目し、その色ズレ量の彩度値を評価することにより、高精度高速検査が実現可能となり、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどに用いるディスプレイパネルの点灯画像検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】プラズマディスプレイパネルの一部を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における点灯画像検査装置の説明図
【図3】同点灯画像検査装置の動作フロー図
【図4】色ムラ画像の説明図
【図5】本発明の実施の形態1における色ズレバランス補正処理を行った場合の色ムラ画像の説明図
【図6】本発明の実施の形態2における色ズレバランス補正処理の説明図
【図7】本発明の実施の形態3における色ズレバランス補正処理の説明図
【符号の説明】
【0039】
14 プラズマディスプレイパネル
15 駆動回路制御手段
17 カメラ
18 画像処理部
22 平滑化処理手段
23 周辺比較処理手段
24 色ズレバランス補正処理手段
25 RGB画像生成手段
26 彩度変換処理手段
27 2値化ラベリング手段
28 特徴量抽出手段
29 良否判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段によりディスプレイパネルの画面を撮像して画像データを得るステップと、前記画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量がホワイトからの色ズレ量となるように前記画像データを補正する色ズレバランス補正処理を行うステップと、前記色ズレバランス補正処理を行って得られた画像から彩度値を求めるステップと、前記彩度値を用いてディスプレイパネルの画像を評価するステップとを有することを特徴とするディスプレイパネルの点灯画像検査方法。
【請求項2】
画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量が、RGBの目視感度に応じて重み付けられるように色ズレバランス補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネルの点灯画像検査方法。
【請求項3】
画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量が、前記任意の評価点と前記所定領域との距離に応じて重み付けられるように色ズレバランス補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネルの点灯画像検査方法。
【請求項4】
画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量を求め、前記変化量と、前記任意の評価点と前記所定領域との距離に応じて設定される重み付けとを用いて、前記任意の評価点での画像データを補正することにより色ズレバランス補正処理を行い、前記色ズレバランス補正処理を行って得られた画像から彩度値を求め、前記彩度値を用いてディスプレイパネルの画像を評価するという処理を、前記所定領域を変えて複数回行うことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネルの点灯画像検査方法。
【請求項5】
画面における任意の評価点の画像データとその周囲の所定領域の画像データとの変化量を求める周辺比較処理を、前記所定領域を変えて複数回行い、その後、前記周辺比較処理により得られた前記変化量と、前記任意の評価点と前記所定領域との距離に応じて設定される重み付けとを用いて、前記任意の評価点での画像データを補正することにより色ズレバランス補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネルの点灯画像検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−119073(P2006−119073A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309412(P2004−309412)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】