説明

データ設定変更装置、カーナビゲーション装置及びデータ設定変更システム

【課題】 車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データを、適切な時期に設定変更する。
【解決手段】 カーナビゲーション装置では、制御用データの設定変更指令が乗員により入力された場合に、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来すか否かを判定する(S230)。そして、車両の運転に支障を来さないと判定された場合には(S230:NO)、制御用データの設定変更を行う(S270)。これにより、制御用データの設定変更によって運転者に対して違和感を与えてしまうことを未然に防止することができる。したがって、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われるので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データの設定変更を行うデータ設定変更装置、データ設定変更システム、及びカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置では、音声による操作が可能な機能、いわゆるハンズフリー機能が搭載されており、車両が走行している状態で運転者等の車両乗員が目的地等の設定を行う場合には、音声(ハンズフリー機能)によってカーナビゲーション装置が操作される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−333319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両のボデーには、通常、パワーウィンドウを作動する電子機器やワイパーを作動する電子機器等が取り付けられており、これらの電子機器は、車両に搭載されたECU(電子制御ユニット)により制御されている。また、このECUには、上記電子機器を制御するための制御用データとして、例えば、パワーウィンドウの開閉速度及びワイパーの作動速度等を表すデータが記憶されている。
【0004】
そして、発明者は、車両の利便性を向上させるために、運転者等の車両乗員によりECU内の制御用データを変更することが可能な機能を、カーナビゲーション装置に付加することを考えた。
【0005】
そこで、仮に特許文献1に記載の発明に対して、車両乗員によりECU内の制御用データを変更することが可能な機能を付加した場合には、車両の走行中であっても車両乗員がカーナビゲーション装置を操作することが可能となるので、ECU内の制御用データが車両乗員の操作によって変更されてしまう。
【0006】
そして、車両の走行中に制御用データが変更されてしまうと、例えば、パワーウィンドウ作動時にはウィンドウの開閉速度が変化したり、ワイパー作動時にはワイパーの作動速度が変化したりしてしまうおそれがあるので、運転者に対して違和感を与えてしまい、車両の運転に支障を来してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたものであり、車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データを、適切な時期に設定変更することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データの設定変更を行うデータ設定変更装置であり、制御用データの設定変更指令が入力された場合に、支障有無判定手段が、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来すか否かを判定し、支障有無判定手段により車両の運転に支障を来さないと判定された場合に、設定変更手段が、制御用データの設定変更を行う。
【0009】
このような請求項1に記載の発明によれば、車両の運転に支障を来さない場合に、設定変更手段が制御用データの設定変更を行うので、制御用データの設定変更により運転者に対して違和感を与えてしまうことを未然に防止することができる。
【0010】
したがって、請求項1に記載の発明では、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われるので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のデータ設定変更装置において、支障有無判定手段により車両の運転に支障を来すと判定された場合に、支障有無判定手段が車両の運転に支障を来さないと判定するまでの間、設定変更手段が設定変更すべき変更後(設定変更用)の制御用データを保持する保持手段を備えており、支障有無判定手段により車両の運転に支障を来さないと判定されたときに、設定変更手段が、変更前の制御用データを、保持手段に保持されている制御用データに設定変更する。
【0012】
このような請求項2に記載の発明によれば、変更後の制御用データは、制御用データの設定変更が行われるまでの間保持されるので、支障有無判定手段により車両の運転に支障を来さないと判定された後に、例えば運転者が再度設定変更指令を入力するといった二度手間を避けることができる。
【0013】
また、支障有無判定手段は、請求項3に記載のように、車両が駐車されている状態であるか否かを判定し、車両が駐車されている状態であると判定した場合に、車両の運転に支障を来さないと判定するとよい。
【0014】
すなわち、車両が駐車されているということは運転者が車両を運転していないことと同じことなので、この駐車状態で制御用データの設定変更が行われたとしても、車両の運転に支障を来すことはない。
【0015】
したがって、請求項3に記載の発明によれば、車両が駐車されている場合に制御用データの設定変更が行われるので、制御用データの設定変更により運転者に対して違和感を与えてしまうことを確実に防止することができる。
【0016】
また、支障有無判定手段は、請求項4に記載のように、車両が所定時間以上停止しているか否かを判定し、車両が所定時間以上停止していると判定した場合に、車両が駐車されている状態であると判定するようにされているとよい。
【0017】
一方、支障有無判定手段は、請求項5に記載のように、車両が走行しているか否かを判定し、車両が走行していると判定した場合に、車両の運転に支障を来すと判定するようにされていれば、車両の走行中に制御用データが設定変更されることはないので、制御用データの設定変更により車両の運転に支障を来してしまうことを確実に防止することができる。
【0018】
また、支障有無判定手段が車両の運転に支障を来すか否かを判定する際には、請求項6に記載のように、車速検出手段による検出結果に基づいて行うようにしてもよいし、請求項7に記載のように、ブレーキ検出手段による検出結果に基づいて行うようにしてもよいし、請求項8に記載のように、現在位置検出手段による検出結果に基づいて行うようにしてもよい。
【0019】
そして、支障有無判定手段は、車速検出手段、ブレーキ検出手段及び現在位置検出手段の全ての検出結果に基づいて車両の運転に支障を来すか否かを判定するようにされていれば、複数の検出手段を利用して車両の運転に支障を来すか否かの判定を行うので、この判定結果がより正確なものとなる。
【0020】
したがって、支障有無判定手段による判定結果をより正確なものとすることができるので、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われてしまうのを確実に防止することができる。
【0021】
ところで、設定変更手段が設定変更すべき変更後の制御用データを外部から取得する場合には、請求項1〜8の何れかに記載の発明(データ設定変更装置)を、請求項9に記載のように構成するとよい。
【0022】
すなわち、請求項9に記載の発明は、変更後の制御用データを外部から受信する受信手段を備えており、さらに、設定変更手段は、支障有無判定手段により車両の運転に支障を来さないと判定されたときに、変更前の制御用データを、受信手段により受信された制御用データに設定変更する。
【0023】
また、請求項10に記載の発明(カーナビゲーション装置)は、請求項1〜9の何れかに記載のデータ設定変更装置と、少なくとも道路情報を表示するための表示手段とを備えている。
【0024】
このような請求項10に記載の発明においても、請求項1〜9に記載の発明と同様に、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われるので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。
【0025】
また、請求項11に記載の発明(データ設定変更システム)は、請求項9に記載のデータ設定変更装置と、車両の外部に設置され、設定手段が設定変更すべき変更後の制御用データを、受信手段へ送信する制御用データ送信装置とを備えている。
【0026】
このような請求項11に記載の発明においても、請求項1〜10に記載の発明と同様に、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われるので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の本実施形態を図面と共に説明する。
1.カーナビゲーションシステムの全体構成
図1は、本実施形態のカーナビゲーションシステムの全体構成を表すブロック図である。
【0028】
カーナビゲーションシステムは、図1に示すように、車両(図示省略)に搭載されるカーナビゲーション装置1、及び車両の外部に設置されてカーナビゲーション装置1との間で無線通信を行う情報センタ用端末装置50等を有して構成されている。
【0029】
2.カーナビゲーション装置1(図1参照)
カーナビゲーション装置1は、車両の走行に伴って移動していく現在位置を表示画面上に道路地図と共に表示したり、現在位置から乗員が設定した目的地までの経路を案内したりする機能を有している。
【0030】
さらに、本実施形態のカーナビゲーション装置1は、車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データの設定変更を、車両に搭載された走行制御系ECU(電子制御ユニット)3及びボデー系ECU5に実行させる機能を有している。
【0031】
なお、走行制御系ECU3は、図示しないエンジン、制動装置及び操舵装置等の車両の走行に関する機関を制御するためのものであり、このECU3は、エンジン、制動装置及び操舵装置に設けられた電子機器を制御することにより車両の走行を制御する。
【0032】
また、ボデー系ECU5は、車両のボデーに取り付けられた電子機器を制御するためのものであり、このECU5は、ボデーに取り付けられた電子機器を制御することにより、パワーウィンドウの開閉、ワイパーの作動、シート(座席)の移動、ヘッドライトの点灯、及びルームライトの点灯等を行う。
【0033】
カーナビゲーション装置1には、図1に示すように、位置検出器10、地図データ入力器20、操作スイッチ群22、リモコンセンサ24、表示装置26、外部メモリ28、車載通信機30、スピーカ32、マイクロフォン34及び制御部36等が備えられている。
【0034】
2.1.位置検出器10
位置検出器10は、車両の現在位置を検出するためのものであり、この位置検出器10は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し車両の現在位置を検出するGPS受信機12、距離センサ14、ジャイロスコープ16、及び地磁気に基づいて絶対方位を検出する地磁気センサ18等を備えている。
【0035】
そして、位置検出器10は、これらのセンサ12、14、16、18の各々が互いに異なる誤差を有しているので、各センサ12、14、16、18を互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうち一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0036】
2.2.地図データ入力器20
地図データ入力器20は、図示しない記憶媒体から地図データ等を読み出してその読み出したデータを制御部36に入力するためのものである。記憶媒体には、地図データとして、道路の接続を表すデータ(リンク及びノードのデータ)、地形データ及び施設データ等が記憶されているほか、位置検出精度向上のためのマップマッチングデータや、経路案内用の音声データ等が記憶されている。
【0037】
なお、記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクやメモリーカード等の他の媒体を用いてもよい。
2.3.操作スイッチ群22
操作スイッチ群22は、乗員が操作にて各種指令をカーナビゲーション装置1に入力するために備えられており、この操作スイッチ群22は、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設定されるタッチスイッチや、カーナビゲーション装置1の表示画面の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成されている。
【0038】
2.4.リモコンセンサ24
リモコンセンサ24は、乗員(利用者)が各種指令を入力するためのスイッチ等が設けられたリモコン7からの信号をカーナビゲーション装置1へ入力するためのものであり、操作スイッチ群22を用いた場合と同様の指令を入力することができるようにされている。
【0039】
2.5.表示装置26
表示装置26は、車両の走行に必要な道路の接続情報を含む地図等の道路情報を表示画面上に表示して乗員に報知するために備えられており、この表示装置26は、制御部36にて制御されて、車両が走行する周辺の地図画面を表示するとともに、車両の現在位置を表す現在位置マークをカラーで表示したり、乗員に対する注意喚起用のメッセージ等を表示したりする。
【0040】
2.6.外部メモリ28
外部メモリ28は、電力の供給が遮断されてもデータを記憶(保持)することが可能な不揮発性のメモリ(例えば、EEPROM)で構成されており、この外部メモリ28には、制御部36が設定した経路等の各種データが記憶されている。
【0041】
2.7.車載通信機30
車載通信機30は、情報センタ用端末装置50との間で無線通信を行うためのものであり、具体的には、電話回線網(図示省略)に接続された無線基地局(図示省略)を介して情報センタ用端末装置50に接続することで、その情報センタ用端末装置50との間で無線通信を行う。
【0042】
2.8.スピーカ32及びマイクロフォン34
スピーカ32は、乗員に必要な各種案内を音声にて出力するためのものであり、マイクロフォン34は、乗員の音声を入力するためのものである。そして、運転者がカーナビゲーション装置1に接続された携帯電話機9を用いてハンズフリーでの通話(送受話)が行われる際には、マイクロフォン34に送話用の音声が入力され、スピーカ32ではその携帯電話機9から出力すべき受話音が出力される。
【0043】
2.9.制御部36
制御部36は、CPU、RAM、ROM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、この制御部36は、ROM等に記憶されたナビゲーション装置1の各機能を果たすための各プログラムをCPUにて実行し、装置内1の各部を制御する。
【0044】
また、制御部36は、位置検出器10により検出される車両の現在位置を、車両の周辺の地図画面上に重ねて表示装置26に表示するとともに、目的地が設定されている場合には、更に目的地までの経路案内を行う、といった一般的な地図表示処理及び経路案内処理を行う。
【0045】
また、制御部36には、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ38からのパーキングブレーキ信号、及び車両の走行速度(車速)を検出する車速センサ40からの車速信号等のセンサ・スイッチ類から各種信号が入力されるとともに、走行制御系ECU3及びボデー系ECU5が通信可能に接続されている。
【0046】
また、制御部36は、走行制御系ECU3及びボデー系ECU5が各電子機器を制御するための制御用データの設定変更指令が、操作スイッチ群22やリモコン7等を介して入力されると、車両の運転に支障を来さない場合に、制御用データの設定変更を行う、といった制御用データ設定変更処理を行う。
【0047】
つまり、制御部36は、制御用データ設定変更処理を行うことで、ボデー系ECU5や走行制御系ECU3により制御される電子機器の制御量、具体的には、パワーウィンドウの開閉速度、ワイパーの作動速度、シートの位置、ヘッドライトの点灯タイミング、ルームライトの色や明るさ、ブレーキの制動力、アクセルペダルの開度、及び操舵角等の調整を行う。
【0048】
3.情報センタ用端末装置50
3.1.情報センタ用端末装置50の構成
図2は、情報センタ用端末装置50の構成を表すブロック図である。
【0049】
情報センタ用端末装置50は、道路交通情報及び気象情報等の各種情報をカーナビゲーション装置1(車両)に対して配信したり、制御用データを生成してその生成した制御用データをカーナビゲーション装置1(車両)へ送信したりするための情報センタに備えられている。
【0050】
そして、情報センタ用端末装置50は、図2に示すように、カーナビゲーション装置1との間で通信を行うための通信部52、情報センタに登録された車両を表す車両情報、道路交通情報及び気象情報等の各種情報を蓄積するためのデータベース54、表示装置56、情報センタのオペレータが操作にて各種指令を端末装置50に入力するための操作部58、スピーカ60、マイクロフォン62並びに端末装置50内の各部を制御する制御部64等を備えている。
【0051】
3.2.情報センタ用端末装置50の作動
図3は、情報センタ用端末装置50の制御部64が実行する処理を表すフローチャートである。
【0052】
図3に示す制御フロー(図3に示すフローチャート)は、制御用データの設定変更指令や道路交通情報の配信指令等の各種指令が車両(カーナビゲーション装置1)から送信されることで、この車両と情報センタ用端末装置50(通信部52)との間で通信が成立したときに起動される。
【0053】
そして、図3に示す制御フローが起動されると、通信部52がカーナビゲーション装置1から制御用データの設定変更指令を受信したか否かが判定される(S110)。
そして、通信部52が制御用データの設定変更指令を受信していないと判定された場合には(S110:NO)、今回通信が成立したカーナビゲーション装置1(車両)に対して、道路交通情報及び気象情報等の各種情報を配信する情報配信処理が実行され(S120)、本制御フローが終了する。
【0054】
一方、通信部52が制御用データの設定変更指令を受信したと判定された場合には(S110:YES)、カーナビゲーション装置1と通信部52との通信結果とデータベースに蓄積された車両情報とに基づいて、今回通信部52との間で通信が成立した車両(カーナビゲーション装置1)が情報センタに登録された車両であるか否かが判定される(S130)。
【0055】
そして、今回通信部52との間で通信が成立した車両が、情報センタに登録された車両ではないと判定された場合には(S130:NO)、本制御フローが終了し、逆に、情報センタに登録された車両であると判定された場合には(S130:YES)、制御用データの設定変更指令に対応した制御用データが生成される(S140)。
【0056】
なお、本実施形態では、情報センタのオペレータが、制御用データの設定変更指令を基に、操作部58を介して情報センタ用端末装置50に各種情報を入力することで、情報センタ用端末装置50が制御用データの設定変更指令に対応した制御用データを生成するようにされている。
【0057】
そして、S140の処理で制御用データが生成されると、その制御用データ、すなわち今回通信が成立した車両(カーナビゲーション装置1)が設定変更すべき制御用データが、その車両(カーナビゲーション装置1)へ送信され、本制御フローが終了する。
【0058】
4.実施形態に係るカーナビゲーション装置1の特徴的作動
図4は、カーナビゲーション装置1の制御部36が実行する制御用データ設定変更処理を表すフローチャートである。
【0059】
制御用データの設定変更指令が制御部36に入力されることで、図4に示す制御フロー(制御用データ設定変更処理)が起動されると、まず車載通信機30又は携帯電話機9と情報センタ用端末装置50との間で無線通信を成立させ、車載通信機30又は携帯電話機9を利用して、制御用データの設定変更指令を情報センタ用端末装置50へ送信させる(S210)。
【0060】
なお、本実施形態において、情報センタのオペレータと車両の乗員との間で通話が行われる場合には、携帯電話機9と情報センタ用端末装置50との通信が成立され、逆に通話でなくデータ通信が行われる場合には、車載通信機30と情報センタ用端末装置50との通信が成立される。
【0061】
そして、車載通信機30又は携帯電話機9と情報センタ用端末装置50との間で無線通信が成立されると、車載通信機30又は携帯電話機9が情報センタ用端末装置50から制御用データを受信したか否かが判定される(S220)。
【0062】
そして、車載通信機30又は携帯電話機9が制御用データを受信していないと判定された場合には(S220:NO)、車載通信機30又は携帯電話機9が制御用データを受信したと判定されるまでの間、S220の処理が繰り返し実行される。
【0063】
一方、車載通信機30又は携帯電話機9が制御用データを受信したと判定された場合には(S220:YES)、パーキングブレーキ信号及び車速信号に基づいて、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来すか否かが判定される(S230)。
【0064】
具体的に説明すると、S230の処理では、パーキングブレーキ信号及び車速信号に基づいて、車両が駐車状態であるか否かが判定される。そして、車両が駐車状態ではない(車両が走行している)と判定された場合には、車両の運転に支障を来すと判定され(S230:YES)、逆に車両が駐車状態であると判定された場合には、車両の運転に支障を来さないと判定される(S230:NO)。
【0065】
なお、本実施形態では、車両が所定時間(例えば、3分)以上停止している場合に車両が駐車状態であると判定され、車両が所定時間以上停止していない場合に車両が駐車状態ではない(車両が走行している)と判定される。
【0066】
そして、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来すと判定されると(S230:YES)、S220の処理で受信した制御用データが外部メモリ28に記憶され(S240)、S230の処理に戻る。
【0067】
つまり、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来すと判定された場合には(S230:YES)、このS230の処理で車両の運転に支障を来さないと判定されるまでの間、S220で受信した制御用データ、すなわち設定変更すべき変更後の制御用データが外部メモリ28に記憶(保持)されている。
【0068】
一方、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来さないと判定されると(S230:NO)、制御用データの設定変更が可能であることを表す画像を表示装置26に表示させることで、乗員に対して制御用データの設定変更が可能であることを通知する(S250)。
【0069】
そして、S250の処理で制御用データの設定変更が乗員に対して可能であることが通知されると、制御用データの設定変更を許可することを表す設定変更許可指令が、リモコン7又は操作スイッチ群22を介して入力されたか否かが判定される(S260)。
【0070】
そして、設定変更許可指令が入力されていないと判定された場合には(S260:NO)、本制御フローが終了し、逆に、設定変更指令が入力されたと判定された場合には(S260:YES)、変更前の制御用データが、S220の処理で受信した制御用データ、又は外部メモリ28に記憶された制御用データに設定変更されて(S270)、本制御フローが終了する。
【0071】
なお、本実施形態では、制御用データの設定変更が行われると(S270)、外部メモリ28に記憶された制御用データのうち今回設定変更が行われた制御用データが削除される。
【0072】
また、S220で受信した制御用データ、及び外部メモリ28に記憶されている制御用データのうち今回設定変更が行われなかった制御用データは、外部メモリ28に記憶(保持)されるとともに、制御用データ設定変更処理が次回起動した際に、S250の処理で再び通知される。そして、この外部メモリ28に記憶(保持)されている制御用データは、乗員の操作により削除可能となるようにされている。
【0073】
5.本実施形態に係るカーナビゲーションシステムの特徴
本実施形態では、車両の運転に支障を来さないと判定された場合に(S230:NO)、制御用データの設定変更を行うので、制御用データの設定変更により運転者に対して違和感を与えてしまうことを未然に防止することができる。
【0074】
したがって、本実施形態では、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われるので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。
また、本実施形態によれば、変更後の制御用データは、制御用データの設定変更が行われるまでの間、外部メモリ28に記憶(保持)されるので、車両の運転に支障を来さないと判定された後に(S230:NO)、例えば運転者が再度設定変更指令を入力するといった二度手間を避けることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、車両が駐車されている場合に制御用データの設定変更が行われるので、制御用データの設定変更により運転者に対して違和感を与えてしまうことを確実に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態では、車両が走行していると判定した場合に、車両の運転に支障を来すと判定するようにされているので、車両の走行中に制御用データが設定変更されることはない。したがって、制御用データの設定変更により車両の運転に支障を来してしまうことを確実に防止することができる。
【0077】
また、車速センサ40及びパーキングブレーキスイッチ38等の複数の検出手段を利用して車両の運転に支障を来すか否かの判定を行うので、この判定結果(S230の判定結果)がより正確なものとなる。
【0078】
したがって、S230の判定結果をより正確なものとすることができるので、車両の運転に支障を来さないときに制御用データの設定変更が行われてしまうのを確実に防止することができる。
【0079】
6.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、カーナビゲーション装置1が特許請求の範囲に記載されたデータ設定変更装置に相当し、S230の処理が特許請求の範囲に記載された支障有無判定手段に相当し、S270の処理が特許請求の範囲に記載された設定変更手段に相当する。
【0080】
また、外部メモリ28が特許請求の範囲に記載された保持手段に相当し、車速センサ40が特許請求の範囲に記載された車速検出手段に相当し、パーキングブレーキスイッチ38が特許請求の範囲に記載されたブレーキ検出手段に相当し、位置検出器10が特許請求の範囲に記載された現在位置検出手段に相当する。
【0081】
また、車載通信機30及び携帯電話機9が特許請求の範囲に記載された受信手段に相当し、表示装置26が特許請求の範囲に記載された表示手段に相当し、情報センタ用端末装置50が特許請求の範囲に記載された制御用データ送信手段に相当する。
【0082】
(第2実施形態)
第1実施形態では、パーキングブレーキ信号及び車速信号に基づいて、車両が駐車状態であるか否かを判定するようにしていたが(図4のS230参照)、本実施形態は、位置検出器10により検出される車両の現在位置に基づいて、車両が駐車状態であるか否かを判定するようにしたものである。
【0083】
そして、本実施形態のS230の処理では、位置検出器10により検出される車両の現在位置が駐車場に存在し、かつ、その車両が駐車場に所定時間(例えば20分)以上停止していた場合に、車両が駐車状態である、すなわち制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来さないと判定する。
【0084】
以上のように、本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、車両の運転に支障を来さない場合に制御用データの設定変更を行うので、適切な時期に制御用データの設定変更を行うことができる。
【0085】
(その他の実施形態)
例えば、情報センタ用端末装置50とカーナビゲーション装置1との間で通信が行われる場合には、専用の車載通信機に限らず、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)により通信を行う携帯電話機等の通信装置を利用してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、カーナビゲーション装置1が制御用データ設定変更処理(図4参照)を実行するものとして説明したが、これに限らず、制御用データ設定変更処理を実行するデータ設定変更装置を、カーナビゲーション装置1とは別に設けるようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、設定変更用の制御用データを情報センタ用端末装置50が生成するようにしていたが、これに限らず、カーナビゲーション装置1が設定変更用の制御用データを生成するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、車両が駐車状態であるときに、制御用データの設定変更が行われた際に車両の運転に支障を来さないと判定するようにしていたが、これに限らず、例えば、車両が一時停止しているときに車両の運転に支障を来さないと判定するようにしてもよい。
【0089】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施形態のカーナビゲーションシステムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】同実施形態のセンタ側端末装置の構成を表すブロック図である。
【図3】同実施形態のセンタ側端末の制御部が実行する処理を表すフローチャートである。
【図4】同実施形態のカーナビゲーション装置の制御部が実行する制御用データ設定変更処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1…カーナビゲーション装置、3…走行制御系ECU、5…ボデー系ECU、7…リモコン、9…携帯電話機、10…位置検出器、12…GPS受信機、14…距離センサ、16…ジャイロスコープ、18…地磁気センサ、20…地図データ入力器、22…操作スイッチ群、24…リモコンセンサ、26…表示装置、28…外部メモリ、30…車載通信機、32…スピーカ、34…マイクロフォン、36…制御部、38…パーキングブレーキスイッチ、40…車速センサ、50…情報センタ用端末装置、52…通信部、54…データベース、56…表示装置、58…操作部、60…スピーカ、62…マイクロフォン、64…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電子機器を制御するための制御用データの設定変更を行うデータ設定変更装置であって、
前記制御用データの設定変更指令が入力された場合に、前記制御用データの設定変更が行われた際に前記車両の運転に支障を来すか否かを判定する支障有無判定手段と、
前記支障有無判定手段により前記車両の運転に支障を来さないと判定された場合に、前記制御用データの設定変更を行う設定変更手段と
を備えたことを特徴とするデータ設定変更装置。
【請求項2】
前記支障有無判定手段により前記車両の運転に支障を来すと判定された場合に、前記支障有無判定手段が前記車両の運転に支障を来さないと判定するまでの間、前記設定変更手段が設定変更すべき変更後の制御用データを保持する保持手段を備えており、
さらに、前記設定変更手段は、前記支障有無判定手段により前記車両の運転に支障を来さないと判定されたときに、変更前の前記制御用データを、前記保持手段に保持されている制御用データに設定変更することを特徴とする請求項1に記載のデータ設定変更装置。
【請求項3】
前記支障有無判定手段は、前記車両が駐車されている状態であるか否かを判定し、前記車両が駐車されている状態であると判定した場合に、前記車両の運転に支障を来さないと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデータ設定変更装置。
【請求項4】
前記支障有無判定手段は、前記車両が所定時間以上停止しているか否かを判定し、前記車両が所定時間以上停止していると判定した場合に、前記車両が駐車されている状態であると判定することを特徴とする請求項3に記載のデータ設定変更装置。
【請求項5】
前記支障有無判定手段は、前記車両が走行しているか否かを判定し、前記車両が走行していると判定した場合に、前記車両の運転に支障を来すと判定することを特徴とする請求項4に記載のデータ設定変更装置。
【請求項6】
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段を備え、
前記支障有無判定手段は、前記車速検出手段による検出結果に基づいて、前記車両の運転に支障を来すか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載のデータ設定変更装置。
【請求項7】
前記車両のパーキングブレーキの作動状態を検出するブレーキ検出手段を備え、
前記支障有無判定手段は、前記ブレーキ検出手段による検出結果に基づいて、前記車両の運転に支障を来すか否かを判定することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のデータ設定変更装置。
【請求項8】
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、
前記支障有無判定手段は、前記現在位置検出手段による検出結果に基づいて、前記車両の運転に支障を来すか否かを判定することを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れか1項に記載のデータ設定変更装置。
【請求項9】
前記設定変更手段が設定変更すべき変更後の制御用データを、外部から受信する受信手段を備えており、
さらに、前記設定変更手段は、前記支障有無判定手段により前記車両の運転に支障を来さないと判定されたときに、変更前の前記制御用データを、前記受信手段により受信された制御用データに設定変更することを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のデータ設定変更装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載のデータ設定変更装置と、
少なくとも道路情報を表示するための表示手段と
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項9に記載のデータ設定変更装置と、
前記車両の外部に設置され、前記設定手段が設定変更すべき変更後の制御用データを、前記受信手段へ送信する制御用データ送信手段と
を備えたことを特徴とするデータ設定変更システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−87666(P2008−87666A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271820(P2006−271820)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】