説明

トロリ線測定方法及び装置

【課題】トロリ線以外の構造物の影響を無くしトロリ線の偏位量を正確に測定する。
【解決手段】トロリ線測定装置は、トロリ線に向けて光を投光し、その反射光を受光することによってトロリ線の外形を測定する。このトロリ線の外形を測定する際に、剛体電車線区間では剛体部やイヤー部からのノイズが多く正確に測定することが困難である。そこで、このトロリ線測定装置は、剛体電車線区間でトロリ線及びその近傍の電車線設備(剛体部及びイヤー部)の画像を撮影し、撮影された画像に基づいて電車線設備の偏位を測定し、その測定結果をトロリ線の外形の測定に反映させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリ線の摩耗量や偏位量を測定するトロリ線測定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多眼式トロリ線摩耗偏位検出装置は、レール横断方向に配列された単色光光源複数個によりスリット状の投光光を生成して、トロリ線の摺動面にその投光光を照射する投光ユニットを備えており、この投光ユニットを所定の周期でパルス駆動することで投光光をパルス状の光としてトロリ線の摺動面に照射している。そして、この投光光が照射されたときとそうでないときのトロリ線からの反射光に対応した受光信号の差に基づいて摺動面についての検出信号を得るようにしたものが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−243275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の多眼式トロリ線摩耗偏位検出装置では、丸型トロリ線剛体電車線(剛体と呼ばれるT字型の導電材に丸型トロリ線を取り付けた電車線設備)区間は剛体部やイヤー部(トロリ線の溝に引っ掛けて剛体部で支持する金具)からのノイズが多いため、トロリ線の受光信号の検出が困難となる場合があることが判明した。すなわち、投光ユニットから投光光をトロリ線の摺動面へ照射し、トロリ線の摺動面の受光信号を検出する際に、トロリ線以外の剛体やイヤーなどが検出され、それによってトロリ線の摺動面幅データが誤検出されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、トロリ線以外の構造物の影響を無くし、トロリ線の偏位量を正確に測定することのできるトロリ線測定方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るトロリ線測定方法の第1の特徴は、トロリ線に向けて光を投光し、その反射光を受光することによって前記トロリ線の外形を測定するトロリ線測定方法において、剛体電車線区間で前記トロリ線及びその近傍の電車線設備の画像を撮影し、撮影画像に基づいて前記電車線設備の偏位を測定し、その測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることにある。トロリ線の外形を測定する際に、剛体電車線区間では剛体部やイヤー部からのノイズが多く正確に測定することは困難である。そこで、この発明では、剛体電車線区間でトロリ線及びその近傍の電車線設備(剛体部及びイヤー部)の画像を撮影し、撮影された画像に基づいて電車線設備の偏位を測定し、その測定結果をトロリ線の外形の測定に反映させるようにした。
【0007】
本発明に係るトロリ線測定方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のトロリ線測定方法において、前記反射光の受光信号を所定の閾値で二値化した二値化信号を生成し、前記二値化信号を構成するパルス波形の隣接するもののエンドエッジとスタートエッジとの間のパルス間距離が所定値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータとし、前記パルス間距離が前記所定値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形と前記スタートエッジを含むパルス波形を合成して新たなパルス波形とし、前記新たなパルス波形に隣接するパルス波形との間で同様の処理を行うことによって前記二値化信号を前記ノイズデータと前記摺動面幅データに分類し、前記摺動面幅データに分類された前記二値化信号に基づいて前記トロリ線の外形を求めることことにある。これは、二値化信号のパルス波形のエンジエッジ(立ち下がり時点)から次のパルス波形のスタートエッジ(立ち上がり時点)までの距離を所定値と比較し、所定値以上の場合はエンドエッジを含むパルス波形をその幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータとし、所定値よりも小さい場合は両パルス波形を合成し新たなパルス波形として次のパルス波形との間で同様の処理を行い、二値化信号をノイズデータと摺動面幅データに順次分類し、その分類結果に基づいてトロリ線の外形を求めるようにした。
【0008】
本発明に係るトロリ線測定方法の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載のトロリ線測定方法において、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記摺動面幅データとし、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記ノイズデータとすることにある。これは、パルス波形をその幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータに分類する際に、パルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値以上の場合は摺動面幅データに、これよりも小さい場合はノイズデータに分類するようにした。
【0009】
本発明に係るトロリ線測定方法の第4の特徴は、前記第2の特徴又は第3の特徴に記載のトロリ線測定方法において、今回検出された摺動面幅データと前回検出された摺動面幅データとの偏位を比較し、前回の摺動面幅データの偏位に最も近いものをトロリ線の外形とすることにある。これは、前回の摺動面幅データに最も近いものを今回の摺動面幅データとすることによってトロリ線の外形のみを出力するようにした。
【0010】
本発明に係るトロリ線測定方法の第5の特徴は、前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のトロリ線測定方法において、前記電車線設備として、前記撮影画像に基づいてパターンマッチング法にて、前記トロリ線取り付け用の剛体部及びイヤー部の偏位を測定し、その測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることにある。これは、剛体電車線区間における電車線設備としてトロリ線取り付け用の剛体部とイヤー部の偏位を測定し、その測定結果であるイヤー部の偏位をトロリ線の外形の測定に反映することによってトロリ線の外形を正確に検出するようにしたものである。すなわち、撮影画像に基づいたパターンマッチング法では、トロリ線の両側のイヤー部が測定されるので、このイヤー部の偏位を測定することによってトロリ線の偏位を正確に求めることができる。
【0011】
本発明に係るトロリ線測定装置の第1の特徴は、トロリ線に向けて光を投光する投光手段と、前記投光手段が前記トロリ線に向けて投光した光の反射光を受光し、その受光に対応した信号を出力する受光手段と、剛体電車線区間で前記トロリ線及びその近傍の電車線設備の画像を撮影する撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて前記電車線設備の偏位を測定する第1の測定手段と、前記受光手段からの信号に基づいて前記トロリ線の外形を測定するものであって、前記剛体電車線区間では前記第1の測定手段の測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させる第2の測定手段と備えたことにある。これは、前記トロリ線測定方法の第1の特徴に記載に対応したトロリ線測定装置の発明である。
【0012】
本発明に係るトロリ線測定装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のトロリ線測定装置において、前記第1の測定手段が前記受光手段からの信号を所定の閾値で二値化し、その二値化信号を出力する二値化手段と、前記二値化手段から出力される前記二値化信号を構成するパルス波形の隣接するもののエンドエッジとスタートエッジとの間のパルス間距離が所定値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータとし、前記パルス間距離が前記所定値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形と前記スタートエッジを含むパルス波形を合成して新たなパルス波形とし、前記新たなパルス波形に隣接するパルス波形との間で同様の処理を行うことによって前記二値化信号を前記ノイズデータと前記摺動面幅データに分類し、前記摺動面幅データに分類された前記二値化信号に基づいて前記トロリ線の外形を求める演算手段とを備えたことにある。これは、前記トロリ線測定方法の第2の特徴に記載に対応したトロリ線測定装置の発明である。
【0013】
本発明に係るトロリ線測定装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載のトロリ線測定装置において、前記演算手段が前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記摺動面幅データとし、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記ノイズデータとすることことにある。これは、前記トロリ線測定方法の第3の特徴に記載に対応したトロリ線測定装置の発明である。
【0014】
本発明に係るトロリ線測定装置の第4の特徴は、前記第2又は第3の特徴に記載のトロリ線測定装置において、前記演算手段が、今回検出された摺動面幅データと前回検出された摺動面幅データとの偏位を比較し、前回の摺動面幅データの偏位に最も近いものをトロリ線の外形とすることにある。これは、前記トロリ線測定方法の第4の特徴に記載に対応したトロリ線測定装置の発明である。
【0015】
本発明に係るトロリ線測定装置の第5の特徴は、前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のトロリ線測定装置において、前記第1の測定手段が前記電車線設備として、前記撮影画像に基づいてパターンマッチング法にて、前記トロリ線取り付け用の剛体部及びイヤー部の偏位を測定し、前記第2の測定手段が前記第1の測定手段の測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることにある。これは、前記トロリ線測定方法の第5の特徴に記載に対応したトロリ線測定装置の発明である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トロリ線以外の構造物の影響を無くし、トロリ線の偏位量を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るトロリ線測定装置の原理を示す図であり、測定光学系の概略を示している。
【図2】図1に示す測定光学系を用いたトロリ線測定装置を搭載する架線検測車を側面から見た図である。
【図3】図2のトロリ線測定装置の天板を外してその内部構造を上側から見た平面概要図である。
【図4】剛体用カメラが丸型トロリ線剛体電車線区間で撮影したトロリ線の画像の一例を示す図である。
【図5】図2に示す測定光学系を構成する投光ユニットの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るトロリ線測定装置10の別の実施例のトロリ線測定用投光装置を搭載する架線検測車を側面から見た図である。
【図7】図6のトロリ線測定装置10の天板を外して内部構造を示す平面概要図である。
【図8】図6及び図7の発光ダイオード投光器の概略構成を示す図である。
【図9】演算装置及び測定装置が実行するトロリ線の摺動面幅データ算出処理の一例を示す図である。
【図10】演算装置が実行するトロリ線偏位追随処理の概要を示す図である。
【図11】演算装置が剛体部やイヤー部からのノイズを除去する場合の処理の一例を示す図である。
【図12】ステップS96のトロリ線偏位追随処理及びステップS97のノイズ除去処理の詳細の一例を示す図である。
【図13】図12のエッジ検出処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係るトロリ線測定装置の原理を示す図であり、測定光学系の概略を示している。トロリ線測定装置の測定光学系は、投光ユニット2、結像レンズ3、受光ユニット4、剛体用カメラ41、パルス駆動回路5、及び受光信号処理部6を含んで構成される。投光ユニット2は、赤外光の範囲にある特定の波長の単色光を、集束レンズ3aを介してトロリ線20に照射するものである。受光ユニット4は、トロリ線20からの反射光を、結像レンズ3を通して受光する。図1において、右上斜めに向かう矢印線L1は、投光ユニット2の投光光を模式的に示すものである。投光ユニット2から出射される単色光の波長は、例えば、λ=850[nm]である。また、右下斜めに向かう矢印線L2は、トロリ線20の摺動面20aからの反射光を模式的に示すものである。以下、投光光L1、反射光L2と表現する。
【0019】
受光ユニット4は、CCDラインセンサで構成される受光器であり、CCDの光感度特性の全光波長領域で反射光L2を受光する。その全光波長領域は、通常、300nm〜1000nmの範囲でゆるやかな山型のピーク特性を持ち、可視光領域をカバーし、赤外光領域に達する。剛体用カメラ41は、トロリ線20を下側から撮影し、その撮影画像(剛体画像)を測定装置19に出力する。パルス駆動回路5は、投光ユニット2をパルス駆動して投光ユニット2の投光光L1を所定の周期でON/OFFしてパルス状の光として発生させる。そして、所定の周期に対応するパルス駆動用の同期信号SYNを受光信号処理部6に送出する。なお、ここでは投光ユニット2をパルス駆動することによってパルス状の光を発生させているが、投光ユニット2の直前にシャッタ機構を設けて、これを開閉制御することによって投光光L1をパルス状の光を発生するようにしてもよい。受光信号処理部6は、A/D変換回路16、波形データメモリ17、及び演算装置18から構成される。演算装置18により算出されたトロリ線摺動面の検出信号は、デジタル値として測定装置19に送出される。
【0020】
図2は、図1に示す測定光学系を用いたトロリ線測定装置を搭載する架線検測車を側面から見た図である。図2において、トロリ線測定装置10は、架線検測車22の車両屋根の上面23に設置されている。トロリ線測定装置10は、図1示すような測定光学系、トロリ線高さ検出機構7、及び測定光学系制御部8から構成される。測定光学系は、投光ユニット2、結像レンズ3、受光ユニットとして機能するラインセンサカメラ9、パルス駆動回路の機能を備えた測定光学系制御部8、及び受光信号処理部とから構成される。
【0021】
投光ユニット2は、図1に示すように、レール21の横断方向(紙面の奥行き方向)に複数n個配列された単色光光源(発光ダイオード群)2a,2b,・・・,2nから構成される。この単色光光源2a,2b,・・・,2nは、赤外領域の単色光をスリット状の投光光として断続的に生成する。投光ユニット2の投光光L1は、昼間の太陽光の赤外領域の光強度より強い反射光をトロリ線20の摺動面20aに発生させるものである。通常、昼間の太陽光の赤外領域の光強度は大きくないので、トロリ線20と投光ユニット2の距離を2m程度とすれば、単色光LEDを用いることでそれが可能になる。
【0022】
この受光ユニットは、CCDラインセンサを内蔵して構成されるラインセンサカメラ9から構成される。結像レンズ3は、ラインセンサカメラ9の手前に設けられている。この受光ユニットとなるラインセンサカメラ9を構成するCCDラインセンサの各受光器の配列ラインは、投光ユニット2と同様に、レール21の横断方向(紙面の奥行き方向)に沿っている。図2のトロリ線測定装置では、トロリ線20の摺動面20aからの反射光をラインセンサカメラ9まで導入するための受光光学系を備えている。この受光光学系は、回転ミラー12と、入射方向に反射光を戻す折り返し反射ミラー13a,13bと、折り返し反射ミラー13a,13bを前後(紙面の左右方向)に移動させるミラー移動機構14とから構成される。この受光光学系は、トロリ線20の高さに応じて変化する摺動面20aからの反射光L2の変化をラインセンサカメラ9に導くように反射光L2の反射角度に応じて制御されるようになっている。なお、投光ユニット2も回転テーブル15上に搭載されており、その投光光L1がトロリ線20の高さに応じて変化する摺動面20aの高さに追従するようにその入射角度が制御されるようになっている。
【0023】
図3は、図2のトロリ線測定装置の天板を外してその内部構造を上側から見た平面概要図である。なお、図3に示す受光光学系は、図2と異なり、ラインセンサカメラ9の分割受光の関係を説明する都合上から折り返し反射ミラー13a,13b及びミラー移動機構14を省略してあり、トロリ線20からの反射光L2を折り返すことなく、反射光L2の先にラインセンサカメラ9(9a,9b,9c)を設けて直接受光するような形で示してある。
【0024】
図3に示されるように、図2に示す投光ユニット2は、単色発光の多数の単色光光源(発光ダイオード・LED発光器)2a,2b,・・・,2nをレール21の横断方向(図3紙面の上下方向)に配列してあり、スリット状の光束Lを発生するように構成されている。レール21の横断方向(図3の紙面の上下方向)におけるその幅は、トロリ線20への投光光L1がトロリ線20の偏位範囲(約700[mm])をカバーするように構成されている。単色光光源(LED発光器)2a,2b,・・・,2nからの発光光は、スリット整形用集光レンズ2Pを介してスリット状の光束Lとしてトロリ線20に照射される。
【0025】
受光光学系の回転ミラー12は、トロリ線20の偏位範囲(約700[mm])の反射光L2を受光するためにレール21の横断方向(図3の紙面の上下方向)に反射光L2を受光可能な長さを持つミラーとして設置されている。図では回転ミラー12の回転駆動機構は図示されていないが、回転ミラー12の背面に回転軸12aが固定され、その回転軸12aがステッピングモータなどの駆動手段によって駆動されるようになっている。図3において、ラインセンサカメラ9は、3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cから構成される。3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cによってトロリ線20の摺動面20aからの反射光L2は、それぞれ3分割されて受光されている。なお、各ラインセンサカメラ9a,9b,9c間において相互の受光境界領域はオーバーラップしている。このように、トロリ線20の偏位範囲の視野を3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cでカバーすることができるように構成されている。なお、この分割受光のカメラの台数は、複数台設けられればよく、3台に限定されるものではない。
【0026】
図2において、トロリ線高さ検出機構7は、トロリ線20に接触するローラ式接触子7aと、2本のアームのリンク結合によって構成された曲折支持可能な回動アーム7bと、この回動アーム7bの根本側のリンクの垂直方向における回動角をポテンションメータによって検出する角度検出器7cとから構成される。なお、この種のポテンションメータを用いて回動アーム7bの角度に基づいてトロリ線20の高さを検出するように構成された高さ検出器としては、例えば、特開平7−120228号等に記載されるようなものがあるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0027】
図2において、投光ユニット2からトロリ線20への投光光L1は、トロリ線測定装置10の屋根フレーム10aに設けられたガラス窓10bを介してトロリ線20の摺動面20aに照射される。トロリ線20からの反射光L2は、ガラス窓10bを介して回転ミラー12、折り返し反射ミラー13a,13bを経て、ラインセンサカメラ9(図3に示す3台のラインセンサカメラ9a,9b,9c)のいずれかの視野内に取り込まれ、トロリ線20の摺動面20aを含む画像(一次元波形データ)として受像されることになる。なお、ガラス窓10bは、トロリ線測定装置10の屋根フレーム10aの水平面に対して約10°程度の角度を持たせて屋根フレーム10aに取付けられている。屋根フレーム10aの高さは、実際は、トロリ線20が上下に偏位する下限高さよりも十分に低い位置にある。これによりガラス窓10bの位置が低くなり、トロリ線測定装置10は、車両の屋根等の高さにほとんど影響を与えることなく設置することができるようになる。
【0028】
図2において、測定光学系制御部8は、トロリ線高さ検出機構7の角度検出器7cから出力されるトロリ線高さ信号を受けて、投光ユニット2の回転テーブル15と、回転ミラー12と、ミラー移動機構14を制御して、トロリ線20の高さが変化してもラインセンサカメラ9の視野内にトロリ線20の画像(一次元波形データ)が採取されるように、トロリ線20の高さに応じた追従制御を行なっている。測定光学系制御部8には、トロリ線20の高さに対する追従制御のための制御データ用テーブル8aが設けられている。この制御データ用テーブル8aは、角度検出器7cの検出値に対応して回転テーブル15の角度値、回転ミラー12の角度値、そしてミラー移動機構14の移動量がそれぞれ制御値として格納されている。これらの各制御値は、あらかじめ、トロリ線20の高さに応じて回転テーブル15と回転ミラー12の各角度値とミラー移動機構14の移動量とが分析されて得られたものである。
【0029】
回転テーブル15、回転ミラー12、及びミラー移動機構14は、現在の角度及び移動位置を検出するエンコーダ(図示せず)をそれぞれ内蔵しており、それぞれがステッピングモータ(図示せず)により駆動制御されるようになっている。各エンコーダの信号はそれぞれ測定光学系制御部8に入力される。測定光学系制御部8は、制御データ用テーブル8aを参照して回転テーブル15、回転ミラー12、及びミラー移動機構14をそれぞれ制御して、トロリ線20の高さの変化に関係なく、ラインセンサカメラ9(3台のラインセンサカメラ9a,9b,9c)の視野内にトロリ線20の摺動面20aの画像(一次元波形データ)が受像されるように制御している。
【0030】
ラインセンサカメラ9(3台のラインセンサカメラ9a,9b,9c)は、内部にA/D変換器を備えたデジタルカメラで構成されている。従って、図1の受光信号処理部に必要であったA/D変換回路16は図3では省略されている。3台のラインセンサカメラ9a,9b,9Cから出力される一次元イメージのデジタル値は、それぞれパラレルに読み出され、さらに各ラインセンサカメラ9を構成する2つのCCDが同期して同時にかつシリアルに順次出力され、その読出処理は連続的に繰り返される。3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cの一次元イメージのデジタル値は、波形データメモリ17に出力され、それぞれに波形データメモリ17の各領域に一次元イメージデータとしてそれぞれ記憶される。なお、波形データメモリ17には、書込/読出等を行うコントローラが内蔵され、記憶されたデータをプッシュダウンして最新の波形データを先頭に記憶するプッシュダウンバッファメモリとして機能する。従って、一定量が一時的に記憶され、最後の記憶位置からオーバーフローした古い過去の一次元イメージのデジタル値は順次破棄される。その一時的な記憶容量は、演算装置18の処理時間に関係して設定されている。
【0031】
波形データメモリ17に記憶された各一次元のイメージの波形データは、DSP等で構成される演算装置18によって古いものから順次読出されて処理され、処理後に順次消去される。3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cで3分割受光された反射光L2における摺動面20aの画像(一次元イメージデータ)は、波形データとして処理され、そのピーク値が検出され、ピークレベルの実質的に1/2のレベルが算出される。算出された1/2のレベルを基準として、これ以上のレベルを「1」とし、それ未満のレベルを「0」とする、二値化処理が行なわれ、波形データはデジタル値のデータとして算出される。その結果は演算装置18の内部メモリ(図示せず)に記憶される。デジタル値のデータの中で、「1」が連続する部分の画素数に基づいて、距離に換算されたトロリ線摺動面20aの幅が算出されて、トロリ線摺動面20aの幅がデジタル値として測定装置19へ出力される。測定装置19は、内部にMPU、メモリ等を有しており、MPUによりメモリに記憶された所定の処理プログラムが実行されて演算装置18で算出されたトロリ線摺動面20aの幅、及び剛体用カメラ41からの画像に基づいてトロリ線20の偏位及び摩耗量を算出する。
【0032】
剛体用カメラ41(2台の2次元カメラ41a,41b)は、内部にA/D変換器を備えたデジタルカメラで構成されている。2台の2次元カメラ41a,41bから出力される2次元の剛体画像は、測定装置19に出力され、画像データメモリにそれぞれ記憶される。図4は、剛体用カメラが丸型トロリ線剛体電車線区間で撮影したトロリ線の画像の一例を示す図である。図4(A)は、剛体用カメラ41によって撮影された画像を示し、図4(B)はその画像からパターンマッチング法にて剛体部20b,20cとイヤー部20d,20eを抽出した画像の一例を示す。図4に示すように、丸型トロリ線剛体電車線区間では、剛体用カメラ41に剛体部とイヤー部が鮮明に撮影される。この実施の形態では、測定装置19は、図4(B)の画像に示すように剛体部20b,20cとイヤー部20d,20eを予め記憶しておいたパターンと比較することによって抽出する。剛体部20b,20cとイヤー部20d,20eとでは、横方向の幅及びその表示位置がそれぞれ異なるので容易に分別することができる。また、イヤー部20d,20eを示す四角形のほぼ中央付近に、トロリ線20が存在することを意味する。測定装置19は、このイヤー部20d,20eを示す四角形のほぼ中央付近をトロリ線20としてその偏位を検出する。
【0033】
図5は、図2に示す測定光学系を構成する投光ユニットの概略構成を示す図である。図5(A)は、投光ユニットの全体構成の斜視図を示し、図5(B)は、図5(A)の投光ユニットの横断面形状を示すと共に投光光の集光状態の様子を模式的に示す図である。投光ユニット2は、スリット状の投光光を照射する投光光学系を構築するものであり、直方体形状の筐体24と、この筐体24内に設けられた単色光源実装基板25と、筐体24の前面すなわち投光光出射側面に設けられた集光レンズ群26a〜26n,27a〜27nと、これらの集光レンズ群26a〜26n,27a〜27nを筐体24の前面部で保持するレンズホルダ群28a〜28n,29a〜29nとから構成されている。単色光源実装基板25は、レール横断方向(図5(A)の紙面の左右方向、図5(B)の紙面の奥行き方向))に沿って少なくとも上下方向に2列分配列された発光ダイオード群2a〜2nを片側表面部に実装している。これらの2列分配列の発光ダイオード群2a〜2nのそれぞれから出射する光をトロリ線摺動面20aに集光すると共に、隣接する2列分の発光ダイオード群2a〜2nから出射する光をトロリ線摺動面20aの所定位置(照射範囲A1)に集約するものであり、レンズホルダ群28a〜28n,29a〜29nによってそれぞれの対応する発光ダイオード群2a〜2nの直前に設けられている。
【0034】
図5(B)に示すように、単色光源実装基板25上にレール横断方向(図5(B)の紙面の奥行き方向))に沿って2列分配列された単色光光源となる発光ダイオード群2a〜2nから照射され光は、その前面に設けられた集光レンズ群26a〜26n,27a〜27nによって照射範囲A1に集約される。上段列の発光ダイオード群2a〜2nに対応した集光レンズ群26a〜26nの光軸D1は、上段列の発光ダイオード群2a〜2nの光軸C1よりも下側にずれた位置にあり、上段列の発光ダイオード群2a〜2nから照射された光は、照射範囲A1をカバーするように集約される。一方、下段列の発光ダイオード群2a〜2nに対応した集光レンズ群27a〜27nの光軸D2は、下段列の発光ダイオード群2a〜2nの光軸C2よりも上側にずれた位置にあり、下段列の発光ダイオード群2a〜2nから照射された光は、照射範囲A1をカバーするように集約される。すなわち、上段列及び下段列の発光ダイオード群2a〜2nと集光レンズ群26a〜26n,27a〜27nとの配置関係は、それぞれの単色光源である上段列の発光ダイオード群2a〜2nによる照射範囲L3、及び下段列の発光ダイオード群2a〜2nによる照射範囲L4がそれぞれトロリ線摺動面20aにおける照射範囲A1に収まるように、それぞれの上段列及び下段列の発光ダイオード群2a〜2nの光軸C1,C2と集光レンズ群26a〜26n,27a〜27nの光軸D1,D2とは、互いに上下方向にずらして配置してある。また、図5(A)に示すように、上段列の発光ダイオード群2a〜2nの光軸間に下段列の発光ダイオード群2a〜2nの光軸が位置するようになっており、上段列及び下段列の発光ダイオード群2a〜2nはそれぞれ各光軸間の光を補うように構成されている。
【0035】
図6は、本発明の一実施の形態に係るトロリ線測定装置10の別の実施例のトロリ線測定用投光装置を搭載する架線検測車を側面から見た図である。図7は、図6のトロリ線測定装置10の天板を外して内部構造を示す平面概要図である。図6及び図7において、図2及び図3と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図8は、図6及び図7の発光ダイオード投光器の概略構成を示す図であり、図8(a)は全体構成を示す斜視図であり、図8(b)は発光ダイオード投光器の短手方向の配光イメージを示す側面図である。図6及び図7のトロリ線測定装置10が図2のものと異なる点は、面発光の単色光源である発光ダイオード群2a〜2nの光をコリメートレンズ65a〜65nとリニアフレネルレンズ60にてトロリ線検出位置61で集光点を持たせて測定するようにした点である。これ以外に、図6及び図7のトロリ線測定装置10が図2のものと異なる点は、投光ユニット2を発光ダイオード投光器50と投光角度調整ミラー51とで構成し、投光角度調整ミラー51を測定光学系制御部8で制御するようにした点、反射光L2に含まれる外光波長をカットする外光フィルタ55を結像レンズ3の手前に設け、反射光L2を測定しやすくした点である。投光角度調整ミラー51は、投光光L1がトロリ線20の高さに応じて変化する摺動面20aの高さに追従するように、その入射角度が測定光学系制御部8にて制御されるようになっている。
【0036】
発光ダイオード投光器50は、スリット状の投光光を照射する投光光学系を構築するものであり、単色光源(赤外LED)である発光ダイオード群2a〜2nを片側表面部に実装した実装基板69と、発光ダイオード群2a〜2nの発熱を逃がすためのヒートシンク63と、集光のための発光ダイオード群2a〜2nをそれぞれ覆うように実装基板69に設けられたコリメートレンズ65a〜65nと、リニアフレネルレンズ60とから構成されている。コリメートレンズ65a〜65nの拡がり角度は約10度とし、リニアフレネルレンズ60の焦点距離(f値)は約270[mm]とする。これによって、図8(b)に示すように、実装基板69上の単色光源である発光ダイオード群2a〜2nから出射した面発光光は、コリメートレンズ65a〜65nにて平行光束に変換され、さらにリニアフレネルレンズ60によって、トロリ線摺動面20a付近(距離約1700[mm]付近)に集光ウエストを持つ光線束(投光光)L1となる。これによって、単色光源である発光ダイオードを用いて、昼間の太陽光の光強度より強い反射光をトロリ線摺動面から発生させることができる。
【0037】
この実施の形態によれば、投光ユニット2又は発光ダイオード投光器50を小型でかつ光量を増加することができるという効果がある。特に、発光ダイオード群2a〜2nとして赤外領域の単色光を使用すれば、太陽光の強度との差が大きくなり、強いレーザ光を発生する光源を設ける必要がなくなる。しかも、トロリ線の偏位範囲に亙ってトロリ線に単色光を照射する場合にはレール横断方向にその光源を複数個配列するだけで済み、単色光光源の光軸方向にレンズを複数使用することが無いため、ポリゴンミラー等による回転走査光学系が不要となり、投光系を小型化できる。その結果、トロリ線摩耗量検出光学系を車両の屋根上にも搭載することが可能になる。投光光が昼間の太陽光の光強度より強い反射光をトロリ線摺動面に発生させるものである。また、車両の動揺等によって発生する傾きが、トロリ線摺動面とトロリ線測定光学系の配置関係に傾きによる影響にも対応することができる。
【0038】
なお、図2及び図3の実施の形態では、単色光源である発光ダイオードを上下2列分配置する場合について説明したが、1列又は3列以上の複数列配置するようにしてもよい。また、図6及び図7の実施の形態では、単色光源である発光ダイオードを1列分配置する場合について説明したが、2列以上の複数列配置するようにしてもよい。これによって、照射光の光量を上げることが可能になる。さらに、上述の実施の形態では、ラインセンサカメラ9を3台のラインセンサカメラ9a,9b,9cで構成し、剛体用カメラ41を2台の2次元カメラ41a,41bで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、これ以外の台数のカメラで構成してもよい。図示した単色光源である発光ダイオードの数は一例であり、単色光源と照射範囲との距離などに応じてその個数等は適宜変更してもよい。
【0039】
図9は、演算装置及び測定装置が実行するトロリ線の摺動面幅データ算出処理の一例を示す図である。以下、各ステップについて説明する。
ステップS91では、演算装置18及び測定装置19は、現在走行中の区間が剛体区間であるか否かの判定を行い、剛体(丸型トロリ線剛体電車線)区間(yes)の場合はステップS92に進み、剛体区間でない(no)の場合はステップS96に進む。
【0040】
ステップS92では、演算装置18は、剛体用カメラ41(2台の2次元カメラ41a,41b)からの画像を取得する。
ステップS93では、演算装置18は画像データメモリに記憶されている2次元の剛体画像に対してパターンマッチング判定処理にて剛体部20b,20cとイヤー部20d,20eを抽出する。
ステップS94では、抽出された剛体部20b,20cとイヤー部20d,20eの偏位を抽出する。
ステップS95では、演算装置18は、このイヤー部20d,20eの偏位を追随する剛体偏位追随処理を行う。すなわち、イヤー部20d,20eを示す四角形のほぼ中央付近にトロリ線20が存在することが分かっているので、剛体偏位追随処理を行うことによって、今回検出されたイヤー部20d,20eと前回検出されたイヤー部20d,20eとの間の偏位を比較し、前回のイヤー部20d,20eの偏位に最も近いものを剛体偏位データとする。測定装置19は、イヤー部20d,20eを示す四角形のほぼ中央付近をトロリ線20の偏位データとして利用する。
【0041】
ステップS96では、演算装置18はトロリ線偏位追随処理を実行する。図10は、演算装置が実行するトロリ線偏位追随処理の概要を示す図である。図10(A)に示すよう、演算装置18は、受光ユニットのCCDラインセンサカメラ9から出力されるCCD映像波形信号(検出信号)を二値化判定レベル(信号を二値化するための閾値)に基づいて二値化する。即ち、検出信号の中で二値化判定レベル以上の信号は“1”とし、二値化判定レベルより下の信号は“0”とする。二値化された検出信号は複数のパルス波形として、演算装置18内のエッジ検出メモリ(図示せず)に送出され、そこに一時的に記憶される。演算装置18は、エッジ検出メモリに記憶されている二値化検出信号(パルス波形群)に基づいて、リアルタイムにそのパルス波形の立ち下がりエッジ部分と次のパルス波形の立ち上がりエッジ部分を検出し、エッジ部分の距離及びトロリ線直径に基づいて、トロリ線摺動面20aを判別する。すなわち、トロリ線摺動面20aの摺面幅は下記の式(1)によって算出される。
摺面幅データ=(二値化判定END)−(二値化判定START)…(1)
ここで、このトロリ線の偏位は、この摺面幅の真ん中の画素位置をパンタグラフのトロリ線位置に換算したものとする。
【0042】
図10(B)は、演算装置18が実行するトロリ線偏位追随処理の概要をパンタグラフの舟体の位置に対応付けて示す図である。図10(B)中において、黒く塗りつぶした丸(黒丸、●)は追随中の偏位データ(本線)を、塗りつぶしていない丸(白丸、○)は疑似データを、デルタ(Δ、δ)は入力された偏位データをそれぞれ示す。図10(B)において、状態C1から状態C7には、パンタグラフの船体を表示して、黒丸、白丸及びデルタがパンタグラフの船体の位置に対して、どの位置にあるかを視覚的に表示している。
【0043】
状態C1において、追随中の偏位データはパンタグラフの船体のほぼ中央に存在する。黒丸の両側に示した矢印は、サーチするときの幅(サーチ幅)である。サーチ幅は、本線を中心として左右に等しい幅に設定される。サーチ幅の最大幅を縦棒で表示する。この縦棒の間で挟まれた領域をサーチ範囲とする。本線は、このサーチ範囲で測定される。なお、以降の図においては、矢印を省略してこの縦棒のみを表示する。このサーチ幅は、本線の測定結果により広げたり狭めたりされ、これによって本線の測定範囲を変化させる。デルタΔは、第1の入力された偏位データであり、パンタグラフの船体の中央よりも右側、かつ、サーチ範囲の右側よりも外側に存在する。
【0044】
状態C2において、追随中の偏位データはパンタグラフの船体のほぼ中央に存在する。サーチ幅は、追随中の偏位データの位置から左右に等しい状態C1と同じ幅であり、サーチ範囲も同じである。第1の入力された偏位データΔは追随中の偏位データの左側に、第2の入力された偏位データδは、追随中の偏位データの右側にある。第1の入力された偏位データΔと第2の入力された偏位データδは、共にサーチ範囲内に存在している。このとき、第1の入力された偏位データΔと第2の入力された偏位データδとが、追随中の偏位データに対してどちらに近いかを判断する。ここでは、第1の入力された偏位データΔが、第2の入力された偏位データδよりも本線に近いと仮定する。
【0045】
状態C3は、状態C2で第1の入力された偏位データΔが、追随中の偏位データとして測定される場合を示す。このときのサーチ範囲は、状態C1と同じサーチ範囲である。第1の入力された偏位データΔは、サーチ範囲よりも左側の外側に存在する。一方、第2の入力された偏位データδは、追随中の偏位データの左側にあって、サーチ範囲の内側に存在する。したがって、第2の入力された偏位データδが次の測定の追随中の偏位データとなる。
【0046】
状態C4は、状態C3における第2の入力された偏位データδが追随中の偏位データとなった場合を示す。第1の入力された偏位データΔは、サーチ範囲よりも左側の外側に存在する。また、第2の入力された偏位データδも存在しないことから、サーチ範囲内に入力された偏位データは全く存在しないことになる。
【0047】
状態C5は、状態C4においてサーチ範囲内に入力された偏位データは全く存在しないので、状態C4の追随中の偏位データを疑似データとするときの場合を示す。何らかの追随中の偏位データが存在しないため、前回測定したときの追随中の偏位データを、今回の追随中の偏位データとして測定する。そのため、状態C5の追随中の偏位データは、疑似データとなる。疑似データとして測定するとき、サーチ幅は追随中の偏位データのときのサーチ幅よりも広くする。これは、入力された偏位データがサーチ範囲内に入るようにするためである。入力された偏位データを次の測定の追随中の偏位データとするので、入力された偏位データがサーチ範囲内に入らない状態が続くと、測定精度が低下してしまうおそれがある。サーチ範囲を広げることで、これを防ぐことができる。第1の入力された偏位データΔは、サーチ範囲を広げたことで、疑似データの左側のサーチ範囲内に存在する。
【0048】
状態C6は、状態C5において第1の入力された偏位データΔがサーチ範囲内に存在するので、第1の入力された偏位データΔを追随中の偏位データとして測定する場合を示したものである。状態C5において偏位データがサーチ範囲内に存在したことから、広範囲のサーチ範囲を使用する必要がない。そのため、サーチ幅を状態C1と同じ幅にして、サーチ範囲を狭めて測定する。この測定では、第1の入力された偏位データΔは、追随中の偏位データの右側でサーチ範囲内に存在する。もし、状態C5において、第1の入力された偏位データΔがまだ存在しないときは、疑似データはそのままで使用する。また、サーチ幅は状態C5よりももっと広いサーチ幅に変更する。入力された偏位データがサーチ範囲内に入るように、さらにサーチ幅を広げる。
【0049】
状態C7は、状態C6における第1の入力された偏位データを追随中の偏位データとする場合を示す。サーチ幅は状態C1と同じ幅にして、同じサーチ範囲を測定する。第1の入力された偏位データΔが追随中の偏位データの右側でサーチ範囲内に存在する。
また、上述の算出式(1)が適用可能なのは、現在走行中の区間が剛体区間でなく、CCD映像波形信号(検出信号)にノイズなどが混入していない場合である。通常はトロリ線の黒化箇所等の影響で摩耗波形が乱れ摺面幅データが分割されて入力されてくることが多い。また、剛体区間では、剛体部やイヤー部からのノイズが多いため、トロリ線自体の受光信号を検出することが困難となる場合が多い。従って、この実施の形態では、ノイズ除去処理を行っている。
【0050】
ステップS97では、演算装置18はCCD映像波形信号(検出信号)に含まれるノイズ除去処理を行う。まず、トロリ線の黒化箇所等の影響で摩耗波形が乱れ摺面幅データが分割された場合に、演算装置18が行うノイズ除去処理について説明する。図10(A)に示すように、トロリ線20の摺動面20bから反射した光は、受光ユニットのCCDラインセンサカメラ9によってCCD映像波形信号(検出信号)に変換され、演算装置18に出力される。図10(A)のCCD映像波形信号において、縦軸は明るさ(受光レベル)を示し、横軸はCCDラインセンサが配列されるライン方向(レール(トロリ線)の横断方向)を示す。図10(A)のCCD映像波形信号に示すようなトロリ線20の検出信号は、二値化処理によって図に示すような3個の二値化された信号(分割されたパルス波形群)として認識される。
【0051】
演算装置18は、この二値化信号に基づいて、それぞれのパルス波形の立ち上がりエッジ部分と立ち下がりエッジ部分を、二値化判定1START、二値化判定1END、二値化判定2START、二値化判定2END、二値化判定3START、二値化判定3ENDとして検出する。演算装置18は、最初の二値化判定1STARTから立ち下がりエッジ部分(二値化判定1END、二値化判定2END、二値化判定3END)までの距離を測定し、その距離がトロリ線直径内に存在する場合は、それらの立ち下がりエッジ部分の信号は同一トロリ線における検出信号とみなす。従って、図10(A)のCCD映像波形信号の場合、トロリ線摺動面幅データは次の式(1)のようにして求められる。
摺動面幅データ=(二値化判定3END−二値化判定1START)<トロリ線直径…(1)
【0052】
次に、剛体部やイヤー部からのノイズがCCD映像波形信号(検出信号)に含まれる場合に演算装置18が行うノイズ除去処理について説明する。図11は、演算装置18が剛体部やイヤー部からのノイズを除去する場合の処理の一例を示す図である。二値化信号のエッジとトロリ線の直径に基づいて摺動面幅を算出することができるのは、図10(A)に示すCCD映像波形信号ように、剛体部やイヤー部などからの反射光がノイズ信号として検出信号に混入していない場合である。しかしながら、剛体区間では、剛体部やイヤー部からのノイズが検出信号に含まれている。例えば、図11の二値化信号に示すようにトロリ線を示すデータの前後近傍にノイズ(剛体部やイヤー部などからの反射光)を示す二値化信号B0,B4,B5,B9がデータとして混入している。そのため、図11に示すような二値化信号を上述の式(1),(2)に基づいてトロリ線摺動面幅データを得たとしても、それは図11に示すような誤検出摺動面幅データとなり、本来検出されるべき摺動面幅データのような正確なトロリ線直径を検出することはできない。
【0053】
そこで、ステップS97のノイズ除去処理では、剛体部やイヤー部からのノイズ対策として二値化信号の立ち下がりエッジ部分から次の立ち上がりエッジ部分までの距離、すなわちエッジ間の離が2.0[mm]以上離れている場合には、別のトロリ線又はノイズ信号と認識することによって、ノイズによる誤検出を低減させている。なお、この2.0[mm]という値は一例であり、検出状態に応じて適宜変更することが可能である。
【0054】
図11の誤検出摺動面幅データにおいて、二値化信号B0の立ち下がりエッジ部分から二値化信号B2の立ち下がりエッジ部分までの距離はトロリ線直径以内であるが、二値化信号B0の立ち下がりエッジ部分から二値化信号B1の立ち上がりエッジ部分までの距離ES01は、2.0[mm]以上あるので、別のトロリ線と判定される。同様にして、二値化信号B3の立ち下がりエッジ部分から二値化信号B4の立ち上がりエッジ部分までの距離ES34、二値化信号B5の立ち下がりエッジ部分から二値化信号B6の立ち上がりエッジ部分までの距離ES56、二値化信号B8の立ち下がりエッジ部分から二値化信号B9の立ち上がりエッジ部分までの距離ES89は全て2.0[mm]以上であるので別のトロリ線と判定される。ここで、前回トロリ線偏位位置に最も近い信号D1,D2をトロリ線と判定し、図11に示すような本来検出されるべき摺動面幅データが検出され、正確なトロリ線直径を検出することが可能となる。
【0055】
図12は、上述したステップS96のトロリ線偏位追随処理及びステップS97のノイズ除去処理の詳細の一例を示す図である。以下、各ステップについて説明する。
ステップS121では、演算装置18がエッジ検出メモリに記憶されているn個のパルスデータに基づいて、それぞれのパルスデータの立ち上がりエッジ部分と立ち下がりエッジ部分の位置を検出する。
図13は、図12のステップS121のエッジ検出処理の一例を示す図である。
ステップS131では、エッジ検出メモリに記憶されているパルスデータを順次読み込む。
【0056】
ステップS132では、読み込まれたパルスデータは立ち上がりエッジ部分か否かを判定し、yesの場合は次のステップS133に進み、noの場合はステップS134にジャンプする。
ステップS133では、パルスデータの立ち上がりエッジ部分の位置をスタートエッジとして検出する。
ステップS134では、読み込まれたパルスデータは立ち下がりエッジ部分か否かを判定し、yesの場合は次のステップS135に進み、noの場合はステップS136にジャンプする。
ステップS135では、パルスデータの立ち下がりエッジ部分の位置をエンドエッジとして検出する。
【0057】
ステップS136では、エッジ検出メモリに格納されている全てのパルスデータ(n個)を読み込んだか否かを判定し、yesの場合は次のステップS137に進み、noの場合はステップS131にリターンする。
ステップS137では、エッジ検出メモリに格納されている全てのパルスデータのエッジ検出が終了したので、それを各パルスデータ毎に格納して、図12のステップS122に進む。上述の処理によって、図11のようなノイズ信号B0,B4,B5,B9を含む二値化信号が抽出される。
【0058】
ステップS122では、各パルスデータのスタートエッジ及びエンドエッジを上述の式(1)に代入して摺動面幅データを算出する。
ステップS123では、エッジ検出メモリに格納されている全てのパルスデータ(n個)に対して摺動面幅データを算出したか否かを判定し、yesの場合は次のステップS124に進み、noの場合はステップS122にリターンし、全てのパルスデータ(n個)に対して摺動面幅データの算出処理を行う。図11に示すようにトロリ線を示すデータの近傍にノイズ(剛体部やイヤー部などからの反射光)を示す二値化信号B0,B4,B5,B9がデータとして混入しているので、これらのノイズ信号を除去する必要がある。
【0059】
ステップS124では、パルスデータのエンドエッジから次のパルスデータのスタートエッジまでの距離(パルス間距離)が所定値X[mm]以上であるか否かの判定を行い、noの場合はステップS125に進み、yesの場合はステップS126に進み、なお、この実施の形態では、X=2[mm]とする。
ステップS125では、前のステップS124でパルスデータのパルス間距離が所定値X[mm]よりも小さいと判定されたので、両パルスデータを合成したものを新たな摺動面幅データとして登録し、次の判定処理に使用する。
【0060】
ステップS126では、パルスデータの摺動面幅データがトロリ線データとして認識可能な値(新線直径)Y[mm]以下であるか否かの判定を行い、yesの場合はステップS127に進み、noの場合はステップS129に進む。なお、この実施の形態では、Y=15.49[mm]とする。
ステップS127では、前回の摺動面幅データの偏位に最も近い偏位データであるか否かを判定する。最も近い偏位データである場合(yesの場合)はステップS128に進み、最も近い偏位データでない場合(noの場合)はステップS129に進む。
ステップS128では、ステップS124でパルスデータのパルス間距離が所定値X[mm]以上であると判定され、ステップS126で摺動面幅データが所定値Y[mm]以下であると判定され、ステップS127で前回偏位データに最も近い偏位データであると判定されたので、そのパルスデータをトロリ線データとして登録する。
【0061】
ステップS129では、ステップS124でパルスデータのパルス間距離が所定値X[mm]以上であると判定されたが、ステップS126で摺動面幅データが所定値Y[mm]より大きいと判定され、または、ステップS127で前回偏位データに最も近い偏位データでないと判定されたので、そのパルスデータをノイズデータとして登録する。
ステップS130では、全てのパルスデータ(n個)に対してステップS124〜ステップS129の処理を行ったか否かを判定し、noの場合はステップS124にリターンし、全てのパルスデータ(n個)をトロリ線データ又はノイズデータとして登録する処理を繰り返し、yesの場合は摺動面幅データ算出処理を終了する。上述の処理によって、図11のような本来検出されるべき摺動面幅データの中からノイズ信号B0,B4,B5,B9を含む摺動面幅データは除去され、トロリ線の直径を示す摺動面幅データのみが抽出される。
【0062】
ステップS98では、測定装置19は、上述のトロリ線偏位追随処理及びノイズ除去処理、並びに剛体区間の場合はステップS95の剛体偏位追随処理によって検出されたトロリ線の偏位及び剛体の偏位に基づいて、トロリ線20の摺動面幅データを算出し、それをここでも前回検出された摺動面幅データの偏位と比較して、前回の摺動面幅データの偏位に最も近いものを偏位データ、すなわちトロリ線摺動面幅データとする。
【0063】
上述の実施の形態によれば、投光ユニットより投光光をトロリ線の摺動面へ照射し、トロリ線からの反射光を受光ユニットで受光したときに、剛体部やイヤー部からのノイズの影響無くトロリ線摩耗偏位を検測できる。また、丸型トロリ線剛体電車線区間においては、その剛体部及びイヤー部の撮影画像に基づいてその偏位を測定しているので、剛体部及びイヤー部の影響による誤検出が少なくなり、剛体トロリ線の検測の信頼性を向上することができる。
なお、図9の摺動面幅データ算出処理では、剛体区間か否かを判定して処理を分岐する場合について説明したが、この判定を省略し、全ての区間でステップS92〜S95の処理を実行するようにしてもよい。また、剛体区間でノイズが発生することが分かっているので、ステップS98のノイズ除去処理をステップS95の処理の直後に移動して剛体区間だけノイズ除去処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…トロリ線測定装置、
10a…屋根フレーム、
10b…ガラス窓、
12…回転ミラー、
12a…回転軸
13a…反射ミラー、
14…ミラー移動機構、
15…回転テーブル、
16…A/D変換回路、
17…波形データメモリ、
18…演算装置、
19…測定装置、
2…投光ユニット、
20…トロリ線、
20a…トロリ線摺動面、
20b,20c…剛体部、
20d,20e…イヤー部、
21…レール、
22…架線検測車、
24…筐体
25…単色光源実装基板
26a〜26n,27a〜27n…集光レンズ群
28a〜28n,29a〜29n…レンズホルダ群
2a〜2n…発光ダイオード群、
2P…スリット整形用集光レンズ
3…結像レンズ、
3a…集束レンズ、
4…受光ユニット、
41…剛体用カメラ、
41a,41b…2次元カメラ、
5…パルス駆動回路、
50…発光ダイオード投光器、
51…投光角度調整ミラー、
55…外光フィルタ、
6…受光信号処理部、
60…リニアフレネルレンズ、
61…トロリ線検出位置、
63…ヒートシンク、
65a〜65n…コリメートレンズ
69…実装基板、
7…トロリ線高さ検出機構、
7a…ローラ式接触子、
7b…回動アーム、
7c…角度検出器、
8…測定光学系制御部、
8a…制御データ用テーブル、
9…CCDラインセンサカメラ、
9,9a,9b,9c…ラインセンサカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロリ線に向けて光を投光し、その反射光を受光することによって前記トロリ線の外形を測定するトロリ線測定方法において、
剛体電車線区間で前記トロリ線及びその近傍の電車線設備の画像を撮影し、撮影画像に基づいて前記電車線設備の偏位を測定し、その測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることを特徴とするトロリ線測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のトロリ線測定方法において、前記反射光の受光信号を所定の閾値で二値化した二値化信号を生成し、前記二値化信号を構成するパルス波形の隣接するもののエンドエッジとスタートエッジとの間のパルス間距離が所定値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータとし、前記パルス間距離が前記所定値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形と前記スタートエッジを含むパルス波形を合成して新たなパルス波形とし、前記新たなパルス波形に隣接するパルス波形との間で同様の処理を行うことによって前記二値化信号を前記ノイズデータと前記摺動面幅データに分類し、前記摺動面幅データに分類された前記二値化信号に基づいて前記トロリ線の外形を求めることを特徴とするトロリ線測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載のトロリ線測定方法において、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記摺動面幅データとし、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記ノイズデータとすることを特徴とするトロリ線測定方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のトロリ線測定方法において、今回検出された摺動面幅データと前回検出された摺動面幅データとの偏位を比較し、前回の摺動面幅データの偏位に最も近いものをトロリ線の外形とすることを特徴とするトロリ線測定方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1に記載のトロリ線測定方法において、前記電車線設備として、前記撮影画像に基づいてパターンマッチング法にて、前記トロリ線取り付け用の剛体部及びイヤー部の偏位を測定し、その測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることを特徴とするトロリ線測定方法。
【請求項6】
トロリ線に向けて光を投光する投光手段と、
前記投光手段が前記トロリ線に向けて投光した光の反射光を受光し、その受光に対応した信号を出力する受光手段と、
剛体電車線区間で前記トロリ線及びその近傍の電車線設備の画像を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて前記電車線設備の偏位を測定する第1の測定手段と、
前記受光手段からの信号に基づいて前記トロリ線の外形を測定するものであって、前記剛体電車線区間では前記第1の測定手段の測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させる第2の測定手段と
を備えたことを特徴とするトロリ線測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載のトロリ線測定装置において、前記第1の測定手段が前記受光手段からの信号を所定の閾値で二値化し、その二値化信号を出力する二値化手段と、前記二値化手段から出力される前記二値化信号を構成するパルス波形の隣接するもののエンドエッジとスタートエッジとの間のパルス間距離が所定値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅に基づいて摺動面幅データ又はノイズデータとし、前記パルス間距離が前記所定値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形と前記スタートエッジを含むパルス波形を合成して新たなパルス波形とし、前記新たなパルス波形に隣接するパルス波形との間で同様の処理を行うことによって前記二値化信号を前記ノイズデータと前記摺動面幅データに分類し、前記摺動面幅データに分類された前記二値化信号に基づいて前記トロリ線の外形を求める演算手段とを備えたことを特徴とするトロリ線測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載のトロリ線測定装置において、前記演算手段が前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値以上ある場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記摺動面幅データとし、前記エンドエッジを含むパルス波形の幅がトロリ線として認識可能な値よりも小さい場合は、前記エンドエッジを含むパルス波形を前記ノイズデータとすることを特徴とするトロリ線測定装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のトロリ線測定装置において、前記演算手段が今回検出された摺動面幅データと前回検出された摺動面幅データとの偏位を比較し、前回の摺動面幅データの偏位に最も近いものをトロリ線の外形とすることを特徴とするトロリ線測定装置。
【請求項10】
請求項6から9までのいずれか1に記載のトロリ線測定装置において、前記第1の測定手段が前記電車線設備として、前記撮影画像に基づいてパターンマッチング法にて、前記トロリ線取り付け用の剛体部及びイヤー部の偏位を測定し、前記第2の測定手段が前記第1の測定手段の測定結果を前記トロリ線の外形の測定に反映させることを特徴とするトロリ線測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−208095(P2012−208095A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76031(P2011−76031)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】