説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びプログラム

【課題】簡単な作業により、検索条件を設定すること。
【解決手段】ナビゲーション本体14は、自動車の道路案内に用いられる。ナビゲーション本体14は、地図と位置情報とが重畳して印刷されている用紙21から、電子ペン12によって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索する。例えば、上記電子ペン12の上記用紙21に対する筆記軌跡に基づいて、出発地点と目的地点が設定される。そして設定されたその上記出発地点から上記目的地点までの経路が検索される。本発明は、自動車などの車両にナビゲーション本体が設置されるナビゲーションシステムにおいて好適に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションやインターネット上のアプリケーションなど、電子地図を利用した地図情報を提供するシステムが開発されている。そして、このシステムにおいて、目的地点の設定や、検索された案内経路の変更を、簡単な作業により行うことができる方法が、各種提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、地図とドットパターンが重畳して印刷された電子ペーパと、ドットパターンを解読可能な電子ペンとを有して構成されるシステムが開示されている。ユーザが電子ペンで、電子ペーパの地図上の任意の位置を指し示すと、指し示されたドットパターンから、紙面上の座標値が取得されるとともに、その座標値が地図上の地理座標値(例えば、緯度経度)に変換される。そしてその地理座標値に基づいて例えば、出発地点や目的地点等が設定され、案内経路が検索される。
【0004】
このように電子ペンで電子ペーパの紙面上を指し示すことで、地図上の任意の地点を指定して、出発地点等として設定することができるので、例えば名称や住所等を入力して設定する場合に比べ、出発地点等の設定を、簡単に行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−294942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明でも、目的地点を設定する場合や経由地点を設定する場合、これから行う電子ペンの操作が、目的地点を指定するものであるのか又は経由地点を指定するものであるのかを設定するために、専用のボタンを操作する必要があり、ユーザにとってこの操作が面倒となる場合もある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、簡単な作業により、経路検索のための条件を簡単に設定することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置において、連続する上記位置情報を取得する取得手段と、上記取得手段により取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定手段と、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記設定手段は、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を出発地点に設定し、最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定することができる。
【0010】
前記取得手段により取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出手段をさらに備え、前記検索手段は、前記筆記速度に応じた項目を優先して、前記出発地点から前記目的地点までの経路を検索することができる。
【0011】
前記設定手段は、出発地点から目的地点までの経路が検索されている場合において、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を変更開始点に設定し、最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を変更終了地点に設定し、前記検索手段は、上記出発地点から目的地までの経路の上記変更開始地点と上記変更終了地点間の経路を、前記筆記速度に応じた項目を優先して変更することができる。
【0012】
前記設定手段は、出発地点から目的地点までの経路が検索されている場合において、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点、若しくは最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点のいずれか1つの地点、又は両方の地点を、経由地点に設定し、前記検索手段は、上記出発地点から目的地点までの経路から上記経由地点までの経路又は上記経由地点から上記出発地点から目的地点までの経路までの経路を、前記筆記速度に応じた項目を優先して検索することができる。
【0013】
本発明のナビゲーション方法は、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置のナビゲーション方法において、連続する上記位置情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップの処理で取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定ステップと、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索する検索処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、連続する上記位置情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップの処理で取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定ステップと、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップとを含む検索処理をコンピュータに実行させる。
【0015】
本発明のナビゲーション装置は、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置において、上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出手段と、上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得手段と、上記取得手段により取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出手段と、上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得手段により取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定手段と、上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のナビゲーション方法は、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置のナビゲーション方法において、
上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出ステップと、上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出ステップと、上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定ステップと、上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明のプログラムは、地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索する検索処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出ステップと、上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出ステップと、上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定ステップと、上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップとを含む検索処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、電子ペンと印刷媒体とを用いた簡単な作業により、経路検索の条件を簡単に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びプログラムを、図面に基づいて説明する。ナビゲーション装置としては、車両の一種である自動車に設置されて、自動車の道路案内に用いられるカーナビゲーション装置を例に説明する。ナビゲーション方法及びプログラムについては、カーナビゲーション装置の動作の一部として説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム1の構成例を示すブロック図である。図2は、このシステムの処理の概略を示す図である。
【0021】
ナビゲーションシステム1は、地図帳11、電子ペン12、電子ペン12とUSBケーブル13を介して接続されるナビゲーション本体14、及び地図帳11と共にユーザに提供されるCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)15から構成されている。
【0022】
電子ペン12は、ペン軸31が指し示した用紙21の紙面上の位置、筆圧、時刻等の、ペン軸31の用紙21の紙面上における軌跡(以下、筆記軌跡と称する)を示すデータ(以下、軌跡データDeと称する)を、図2に示すようにナビゲーション本体14に供給する。
【0023】
ナビゲーション本体14は、電子ペン12から供給された、用紙21の紙面上の位置が連続している一連の軌跡データDe、即ち例えば、図2に示すように、ユーザがペン軸31を用紙21の紙面上で、線を描くように移動させたときの軌跡データDe(以下、適宜、1ストローク分の軌跡データDeと称する)に基づいて、案内経路の出発地点や目的地点、案内経路を検索する上で優先する項目(例えば、時間や料金)等の経路検索の条件を決定し、その検索条件に基づいて案内経路を検索する。ナビゲーション本体14は、その検索結果を提示し、提示した案内経路を誘導する誘導処理を実行する。
【0024】
図3は、地図帳11の用紙21の一例を示す図である。地図帳11は、このような用紙21が製本されたものである。
【0025】
用紙21の紙面には、地図22と電子ペン12が読取可能な座標パターン23とが重畳して印刷されている。
【0026】
図4は、各用紙21に描かれている地図22の例を示す図である。この例の場合、各用紙21のそれぞれには、日本全体を含む大きな地図が図中点線で区切られた範囲に切り分けられ、その点線の範囲の部分が地図22として所定の縮尺によって印刷される。図4においては、簡単のために、1つの地図22についてのみ符号が付されており、他の地図22についての符号は省略されている。以下において、用紙21に描かれた地図を並べて得られる大きな地図(図4の例では、日本全体を含む地図)を、大地図24と称する。
【0027】
なお図3の例では、用紙21の紙面上にある枠21A内に地図22が印刷されている。
【0028】
図5は、図3に示す座標パターン23の一部を拡大した図である。座標パターン23は、複数のドット23Aの配列パターンである。ドット23Aは、用紙21の紙面全体に印刷されている。なお図5においては、簡単のために、1つのドット23Aについてのみ符号が付されており、他のドット23Aについての符号は省略されている。
【0029】
ドット23Aは、略0.3ミリメートル間隔に想定される縦基準線Lvと横基準線Lhとの交点の位置を基準として、図6に示すように、上下左右のいずれか1つの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ所定の距離だけずれた位置に配置されている。なお図5及び図6においては、それぞれ1本の縦基準線Lvと横基準線Lhについてのみ符号が付されており、他の縦基準線Lvと横基準線Lhについての符号は省略されている。また縦基準線Lvと横基準線Lhを、説明のために図示したが、それらは実際には印刷されていない。
【0030】
各ドット23Aのこの基準に対する上下左右方向のずれは、任意の6×6の合計36個のドット23A(例えば、図5中、点線で囲まれているドット23A)のそれぞれのずれ方向の組み合わせが、XYの二次元の座標値に対応するものとなっている。なおここで6×6個の範囲としたのは、電子ペン12のドット23Aの読み取り範囲が6×6個の範囲であるためである。
【0031】
図7は、各用紙21の座標パターン23が示す座標値を示す図である。この例の場合、各用紙21の座標パターン23が示す座標値(正確には、6×6個のドット23Aが示す座標値)は、大地図24(図4)が描かれた大きな用紙(以下、大用紙25と称する)を想定した場合にその大用紙25の紙面の左上隅(0,0)を基準とする、XYの二次元の座標値(X,Y)となっている。なお図7においてはその符号が省略されているが、点線の枠の範囲が用紙21に相当する。
【0032】
従って、電子ペン12は、ペン軸31が指し示す座標パターン23(即ち6×6個のドット23Aの基準位置に対するずれの組み合わせ)を解読し、大地図25上の座標値を得ることができる。
【0033】
図8は、地図帳11の用紙21の断面図である。
【0034】
座標パターン23を構成するドット23Aは、赤外線を吸収するインクにより、地図22は、赤外線を透過するインクにより、それぞれ用紙21の紙面上に印刷される。従って、電子ペン12は、赤外線を照射し、反射される赤外線の強度分布に基づいて、座標パターン23を解読することができる。
【0035】
図9は、電子ペン12の内部構成の例を示すブロック図である。
【0036】
この例において電子ペン12は、ペン軸31、筆圧センサ32、赤外線LED(Light Emitting Diode)33、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ34、USBケーブル13が接続されるUSB−I/F(USBインタフェース)35、タイマ36、不揮発性メモリ37、及びマイクロコンピュータ38などを有している。これらの各部は、ハウジング39(図1)内に格納されている。
【0037】
ペン軸31は、細長い棒形状のハウジング39の一端部に、突出して配設されている。
【0038】
筆圧センサ32は、ペン軸31に作用する筆圧を検出する。筆圧センサ32は、検出した筆圧値をマイクロコンピュータ38に出力する。
【0039】
赤外線LED33及びCMOSセンサ34は、ハウジング39の一端部において、ペン軸31の配設位置の周囲に配設される。赤外線LED33は、マイクロコンピュータ38の制御により、ペン軸31の先端が紙面に触れるとき、その接触部位及びその周囲の部位へ赤外線を照射する。
【0040】
CMOSセンサ34は、紙面のその接触部位及びその周囲の部位により反射される赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、受光した赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38に出力する。
【0041】
タイマ36は、時刻情報を生成し、マイクロコンピュータ38に出力する。なおタイマ36は、電子ペン12が例えばリセットされてからの経過時間などを時刻として計測するものであってもよい。
【0042】
不揮発性メモリ37は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などで構成され、マイクロコンピュータ38から供給されたデータを一時的に記憶する。
【0043】
マイクロコンピュータ38は、図示せぬ、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、筆圧センサ32から不揮発性メモリ37などが接続される。マイクロコンピュータ38のCPUは、メモリなどから図示せぬ制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、マイクロコンピュータ38には、軌跡データ生成部41、及び軌跡データ送信部42が実現される。
【0044】
マイクロコンピュータ38における軌跡データ生成部41は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン23から座標値を取得する(具体的には、6×6個のドット23Aの基準位置に対するずれの組み合わせから、座標値を読み取る)。軌跡データ生成部41は、読み取った座標値を表すデータ(以下、読取座標データDr1と称する)、筆圧センサ32から供給された筆圧値を表すデータ(以下、ペン圧レベルデータDr2と称する)、及び筆圧値が得られたときのタイマ36が計測する時刻(即ちペン軸31が用紙21に接触しているときの時刻)を示すデータ(以下、読取時刻データDr3と称する)を、それぞれ対応させて軌跡データDeを生成する。軌跡データ生成部41は、生成した軌跡データDeを不揮発性メモリ37に記憶させる。
【0045】
図10は、不揮発性メモリ37に記憶された軌跡データDeのデータ構造の一例を示す図である。このように、不揮発性メモリ37には、電子ペン12のペン軸31が用紙21の紙面上に接触したときに得られた、読取座標データDr1、ペン圧レベルデータDr2、及び読取時刻データDr3が、それぞれ対応して、軌跡データDeとして記憶されている。
【0046】
図9に戻り軌跡データ送信部42は、不揮発性メモリ37に記憶された軌跡データDeを、USB−I/F35にUSBケーブル13により接続される機器へ送信する。この例の場合、ナビゲーション本体14に送信される。
【0047】
図11は、ナビゲーション本体14の構成例を示すブロック図である。
【0048】
この例においてナビゲーション本体14は、ジャイロセンサ61、GPS(Global Positioning System)受信機62、USB−I/F63,CD(Compact Disc)I/F64、キーデバイス65、タッチパネル66、液晶パネル67、一時メモリ68、HDD(ハードディスクドライブ)69、及びマイクロコンピュータ70などを有する。
【0049】
ジャイロセンサ61は、そのX軸、Y軸及びZ軸の3軸方向での加速度を検出する。つまり、ジャイロセンサ61は、ナビゲーション本体14が配設される車両の3軸方向での加速度を検出する。
【0050】
GPS受信機62は、GPS衛星が送信するGPS電波を受信し、緯度経度データを生成する。つまり、GPS受信機62は、ナビゲーション本体14が配設される車両の位置の緯度経度データを生成する。
【0051】
USB−I/F63は、フロントパネルの裏側に配設され、電子ペン12のUSB−I/F35に接続されたUSBケーブル13が接続可能となっている。
【0052】
CD−I/F64は、ナビゲーション本体14のCD挿入口(図示せず)に挿入されたCD−ROM15からデータを読み込む。CD−ROM15は、例えば地図帳11と共に、例えばカーナビゲーションシステム1の提供元や出版社などから供給される。
【0053】
CD−ROM15には、地図22と座標パターン23とが重ねて印刷されている用紙21から読み取られた読取座標データDr1が示す座標値を、地図22の地理座標値(例えば、緯度経度)に変換するためのデータ(以下、座標変換テーブルDcと称する)が記憶されている。
【0054】
図12は、この座標変換テーブルDcの一例を示す図である。この例の場合において座標変換テーブルDcは、ページID、基準点x座標、基準点y座標、基準点緯度、基準点経度、及び縮尺から構成されている。
【0055】
ページIDは、各用紙21のそれぞれに割り振られたIDである。図12の例では、地図帳11は、用紙21がN頁あることから、用紙21には、1頁からN頁のページIDが割り振られている。
【0056】
基準点x座標及び基準点y座標は、用紙21の左上隅の座標値を(0,0)とした場合の枠21Aの左上隅の座標値(424,1064)である。この基準点座標は、用紙21の大きさによって決定され、(424,1064)は、用紙21がA4サイズである場合の基準点座標である。なお用紙21がA4サイズである場合、座標パターン23における6×6個のドット23AによるXYの座標値は、0.3ミリメートル毎に8ずつ増減し、用紙21の左上隅の座標値を(0,0)とすると、右下隅の座標値は、(5600,7920)となる。
【0057】
基準点緯度及び基準点経度は、基準点の位置(この例の場合、枠21Aの左上隅)に対応する地図22上の地点の緯度及び経度である。
【0058】
縮尺は、地図22の縮尺である。
【0059】
即ち座標変換テーブルDcは、ページID、用紙21の基準点の座標値、その基準点の位置に対応する地図22の地点の緯度経度、そして地図22の縮尺を、用紙21の頁毎にまとめたものである。
【0060】
図11に戻りキーデバイス65は、入力ボタン60(図1)としてナビゲーション本体14のフロントパネルに配設され、操作に応じた信号をマイクロコンピュータ70に出力する。
【0061】
タッチパネル66は、液晶パネル67の表示部上に設けられ、操作に応じた信号をマイクロコンピュータ70に出力する。
【0062】
液晶パネル67は、ナビゲーション本体14のフロントパネルに配設され、マイクロコンピュータ70から供給される画像データに対応する画像を表示する。
【0063】
一時メモリ68は、例えばフラッシュメモリなどの半導体メモリなどにより構成される。一時メモリ68は、マイクロコンピュータ70から供給されたデータを一時的に記憶する。
【0064】
HDD69は、ナビゲーション本体14が単独で経路探索及び経路案内を実行するために必要となるデータを記憶する。
【0065】
マイクロコンピュータ70は、図示せぬメモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、ジャイロセンサ61からHDD69などが接続される。マイクロコンピュータ70のCPUは、メモリなどから図示せぬ制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、マイクロコンピュータ70には、現在位置検出部81、取得部82、制御部83、及び処理部84が実現される。
【0066】
なお、マイクロコンピュータ70が実行する制御プログラムは、ナビゲーション本体14の出荷前に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであっても、ナビゲーション本体14の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ナビゲーション本体14の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。ナビゲーション本体14の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えばCD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。上述した電子ペン12のマイクロコンピュータ38が実行する制御プログラムについても、同様である。
【0067】
現在位置検出部81は、ジャイロセンサ61が生成する加速度データやGPS受信機62が生成する緯度経度データに基づいて、ナビゲーション本体14が設置される車両の現在位置(緯度経度)を検出し、その位置を表す現在位置データを制御部83に供給する。
【0068】
取得部82は、USB−I/F63を介して送信されてきた電子ペン12からの軌跡データDeを受信する。取得部82は、受信した軌跡データDeを一時メモリ68に記憶させる。
【0069】
制御部83は、一時メモリ68に記憶される軌跡データDeから、1ストローク分の軌跡データDeを取得し、取得した1ストローク分の軌跡データDeに基づいて、後述するように経路検索の条件を決定し、その条件に基づく経路検索を処理部84に実行させる。
【0070】
処理部84は、制御部83の制御に従って、案内経路の検索を実行し、実行結果に応じた画像データを液晶パネル67に供給して表示させる。
【0071】
なお、電子ペン12やナビゲーション本体14は、USB−I/Fの代わりに、例えばブルートゥースなどの無線通信I/Fを備えるものであってもよい。
【0072】
図13は、ナビゲーション本体14における案内経路検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
ステップS1において、マイクロコンピュータ70の制御部83は、一時メモリ68に記憶されている軌跡データDeから、1ストローク分の軌跡データDeを読み出す。
【0074】
図14は、電子ペン12の操作の例を示す図である。図14の見開きの用紙21上に示された矢印は、電子ペン12の用紙21に対する軌跡を示している。即ちユーザが、この矢印が示すように、用紙21上のポイントP1からポイントP2を結ぶように、電子ペン12のペン軸31で線を引いた場合、この軌跡に応じた1ストローク分の軌跡データDeが読み出される。
【0075】
なお軌跡は、一筆で2点間を結ぶものであれば、直線、曲線、又はルート沿いに引かれたものでもよい。
【0076】
ステップS2において、制御部83は、一時メモリ68から読み出した1ストローク分の軌跡データDeから、軌跡の始点の読取座標データDr1と終点の読取座標データDr1を読み出す。具体的には、読取時刻データDr3が参照されて、1ストローク分の軌跡データDeの読取座標データDr1のうち、最初に読み取られた読取座標データDr1と最後に読み取られた読取座標データDr1が読み出される。制御部83は、その始点及び終点の読取座標データDr1が示す座標値を、始点及び終点に対応する地図22上の地点の地理座標値に変換する。
【0077】
図14の例では、軌跡の始点であるポイントP1の読取座標データDr1が、ポイントP1に対応する地図22の地点の地理座標値に変換される。そしてポイントP2の読取座標データDr1が、ポイントP2に対応する地図22上の地点の地理座標値に変換される。
【0078】
ここでこの座標変換処理について詳細に説明する。始点及び終点の読取座標データDr1は、上述したように、大用紙25上の座標値を示しているので、初めに、この座標値が、用紙21上の座標値に変換される。
【0079】
図15は、読取座標データDr1が示す大用紙25上の座標値を用紙21上の座標値に変換する方法を示す図である。なお図15においてはその符号が省略されているが、大用紙25上の点線の枠の範囲が用紙21に相当する。
【0080】
この例の場合、ポイントP11の読取座標データDr1が示す大用紙25上の座標値(X1,Y2)(即ち大用紙25の左上隅の座標値を(0,0)とした場合の座標値)が、用紙21上の座標値(x1,y2)(即ち用紙21の左上隅の座標値を(0,0)とした場合の座標値)に変換される。
【0081】
ポイントP11はx軸方向において、図15の左側に示すように、大用紙25の左端から第3番目の用紙21上にあるので、ポイントP11の読取座標データDr1が示すx座標値(X1)から、用紙21の幅方向の長さに相当する座標値の2倍の値を減算することで、図15の右側に示すように、ポイントP11の用紙21上のx座標(x1)が求められる。
【0082】
上述したように、用紙21の左上隅の座標値を(0,0)とすると、右下隅の座標値は(5600,7920)となるので、用紙21の幅方向の長さに相当する座標値は、5600となる。従っていまの場合、ポイントP11の読取座標データDr1が示すx座標値(X1)から、5600の2倍の11200が減算される。
【0083】
またポイントP11はy軸方向において、図15の左側に示すように、大用紙25の上端から第2番目の用紙21上にあるので、ポイントP11の読取座標データDr1が示すy座標(Y1)から、用紙21の高さ方向の長さに相当する座標値を減算することで、図15の右側に示すように、ポイントP11の用紙21上のy座標(y1)が求められる。用紙21の高さ方向の長さに相当する座標値は、7920となるので、いまの場合、ポイントP11の読取座標データDr1が示すy座標値(Y1)から、7920の1倍の7920が減算される。
【0084】
このようにポイントP11の座標パターン23が示す大用紙25上の座標値(X1,Y1)が、用紙21上の座標値(x1,y1)に変換される。
【0085】
次に、用紙21上の座標値が、地理座標値に変換される。具体的には、例えば図15の例の場合、ポイントP11がある用紙21は8頁目のものであるとすると、座標変換テーブルDc(図12)の8頁のページIDに対応している基準点x座標及び基準点y座標と、先に求めたポイントP11の用紙21上の座標値との差分が求められる。そして結果得られた差分値、並びに8頁のページIDに対応付けられている、基準点緯度、基準点経度及び縮尺に基づいて、ポイントP11に対応する地図22上の地点の地理座標値が求められる。
【0086】
このようにして制御部83は、始点及び終点の読取座標データDr1が示す座標値を、地理座標値(即ち緯度経度)に変換する。
【0087】
なお読取座標データDr1が示す大用紙25上の座標値を用紙21上の座標値に変換する際において、読取座標データDr1が示す座標値からどのような値を減算するかは、図15に示した原理から読取座標データDr1が示す座標値の大きさによって決定される。例えばX座標値が、11200(=5600×2)以上であって、16800(=5600×3)より小さな値であれば、11200がX座標値から減算される。
【0088】
また用紙21上の座標値を地理座標値に変換する際においてはポイントが位置する用紙21が何頁目のものであるかを認知する必要があるが、これも大用紙25における用紙21の配列と頁を対応付けておくことにより、読取座標データDr1が示す座標値の大きさによって認知することができる。図15の例において、左上から右下方向に、用紙21の頁が決定される場合、X座標値の大きさが11200(=5600×2)以上で、16800(=5600×3)より小さく、かつY座標値の大きさが、7920(=7920×1)以上で、15840(=7920×2)より小さければ、8頁であると認知することができる。
【0089】
図13に戻りステップS3において、制御部83は、案内経路が既に決定されているか否かを判定し、決定されていないと判定した場合、ステップS4に進む。
【0090】
ステップS4において、制御部83は、始点の読取座標データDr1から得られた地理座標値を有する地点を出発地点に、終点の読取座標データDr1から得られた地理座標値を有する地点を目的地点にそれぞれ設定する。
【0091】
ステップS5において、制御部83は、1ストローク分の軌跡データDeから、用紙21上のペン軸31の軌跡の距離、及びその軌跡を描くのに要した時間を算出し、算出したその距離及び時間に基づいて、筆記速度を算出する。
【0092】
図14の例では、用紙21上のポイントP1からポイントP2までの軌跡の距離、及びその軌跡を描くのに要した時間がそれぞれ算出され、算出された距離及び時間に基づいて、筆記速度が算出される。なお軌跡の距離は、軌跡そのものの長さを距離とすることもできるし、始点と終点の直線距離を、軌跡の距離とすることもできる。
【0093】
ステップS6において、制御部83は、ステップS5で算出した筆記速度が閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合、ステップS7において、経路検索の優先モードを、時間優先に設定する。そして制御部83は、時間優先による、ステップS4で設定した出発地点から目的地点までの経路検索を、処理部84に指示する。処理部84は、制御部83の指示に従って、経路を検索し、その検索結果を液晶パネル67に表示する。
【0094】
図16は、図14の例において時間優先モードで検索された経路の表示例を示す図である。図16の上側には、図14と同様の用紙21が示されており、図16の下側には、検索された経路が表示された液晶パネル67が示されている。図16の上側に示されている用紙21の地図22において、太い破線は、高速道路を表し、細い破線は一般道路を表している。図16の下側に示されている液晶パネル67の表示において、太い実線は、検索経路を表している。いまの場合、時間優先となっているので、高速道路を含む経路が検索される。図16の下側において、検索経路の一点破線で囲まれている部分は、高速道路である。
【0095】
再び図13に戻りステップS6で、筆記速度が閾値以下であると判定された場合、ステップS8において、制御部83は、経路検索の優先モードを、料金優先に設定する。そして制御部83は、料金優先による、ステップS4で設定した出発地点から目的地点までの経路検索を、処理部84に指示する。処理部84は、制御部83の指示に従って、経路を検索し、その検索結果を液晶パネル67に表示する。
【0096】
図17は、図14の例において料金優先モードで検索された経路の表示例を示す図である。図17の上側には、図14と同様の用紙21が示されており、図17の下側には、検索された経路が表示された液晶パネル67が示されている。いまの場合、料金優先となっているので、図17の下側に示すように、料金が必要となる高速道路を含まない、一般道路のみの経路が検索される。
【0097】
次に、ステップS9において、制御部83は、検索された経路が案内経路として決定されたか否かを判定する。例えばキーデバイス65やタッチパネル66に対して、検索された経路を案内経路として決定する操作がなされたか否かが判定される。
【0098】
ステップS9で、検索された経路が案内経路として決定されたと判定された場合、ステップS10において、制御部83は、案内経路を誘導する処理を実行する。
【0099】
一方、ステップS9で、案内経路として決定されなかったと判定された場合、ステップS1に戻り、それ以降の処理が同様に行われる。
【0100】
ステップS3で、案内経路が既に決定されていると判定された場合、処理は、ステップS11に進む。
【0101】
例えば上述した処理が既に行われており、その結果検索された経路が案内経路として決定されている場合、ステップS11に進む。
【0102】
ステップS11において、制御部83は、電子ペン12の軌跡の始点及び終点に対応する地図22の地点(即ち始点及び始点の読取座標データDr1から得られた地理座標値を有する地点)が、案内経路上にあるか否かを判定し、始点及び終点に対応する地点が案内経路上にあると判定した場合、ステップS12に進む。
【0103】
ステップS12において、制御部83は、始点に対応する地点を、変更開始地点に設定し、終点に対応する地点を変更終了地点にそれぞれ設定する。
【0104】
ステップS13において、制御部83は、1ストローク分の軌跡データDeから、ペン軸31の用紙21上の軌跡の距離、及びその軌跡を描くのに要した時間を算出し、算出したその距離及び時間に基づいて、筆記速度を算出する。
【0105】
ステップS14において、制御部83は、筆記速度が閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合、ステップS15において、経路検索の優先モードを、時間優先に設定する。そして制御部83は、時間優先による、案内経路上の、変更開始地点と変更終了地点との区間の経路の再検索を処理部84に指示する。処理部84は、その指示に従って、その区間の経路を再検索し、その検索結果を液晶パネル67に表示する。
【0106】
一方ステップS14で、筆記速度が閾値以下であると判定された場合、ステップS16において、経路検索の優先モードを、料金優先に設定する。そして制御部83は、料金優先による、案内経路上の、変更開始地点と変更終了地点との区間の経路の再検索を処理部84に指示する。処理部84は、その指示に従って、その区間の経路を再検索し、その検索結果を液晶パネル67に表示する。
【0107】
その後、処理はステップS9に進み、それ以降の処理が同様に行われる。
【0108】
ステップS11で、電子ペン12の軌跡の始点及び終点に対応する地点が、案内経路上にはないと判定された場合、処理は、ステップS17に進む。
【0109】
ステップS17において、制御部83は、始点又は終点に対応する地図22上の地点を経由地点に設定する。制御部83はまた、1ストローク分の軌跡データDeから、ペン軸31の用紙21上の軌跡の距離、及びその軌跡を描くのに要した時間を算出し、算出したその距離及び時間に基づいて、筆記速度を算出する。そして制御部83は、筆記速度に応じた優先モードでの、経由地点を経由する案内経路の再検索を、処理部84に指示する。処理部84は、制御部83の指示に従って、案内経路を再検索する。
【0110】
例えば始点に対応する地点は案内経路上にあるが、終点に対応する地点が案内経路上にないとき、終点に対応する地点が経由地点に設定される。なおこのとき始点に対応する地点と経由地点の経路は、筆記速度に基づく優先モードで検索されるが、経由地点から案内経路に戻る経路については、予め決められた優先モードによって検索される。
【0111】
また例えば始点に対応する地点は案内経路上にはないが、終点に対応する地点が案内経路上にあるとき、始点に対応する地点が経由地点に設定される。なおこのとき経由地点と終点に対応する地点までの経路は、筆記速度に基づく優先モードで検索されるが、案内経路のある地点から経由地点に至る経路については、予め決められた優先モードによって検索される。
【0112】
また例えば始点及び終点に対応する地点の両方が案内経路上にないとき、始点及び終点に対応する地点の両方が経由地点に設定される。なおこのとき経由地点間の経路は、筆記速度に基づく優先モードで検索されるが、案内経路のある地点から一方の経由地点に至る経路、及び他方の経由地点から案内経路に戻る経路については、予め決められた優先モードによって検索される。
【0113】
このように経由地点が設定され、その経由地点を経由する新たな案内経路が検索されると、処理は、ステップS9に進み、それ以降の処理が同様に行われる。
【0114】
以上のように、電子ペン12の用紙21に対する筆記軌跡に基づいて、出発地点と目的地点を設定し、設定した出発地点から目的地点までの経路を検索するようにしたので、検索経路のための出発地点や目的地点を、簡単に、設定することができる。
【0115】
また以上のように、電子ペン12の用紙21上の軌跡の始点に対応する地図22上の地点(即ち連続する読取座標データDr1のうち、最初に読み取られた読取座標データDr1から得られた地理座標値を有する地点)を出発地点に設定し、軌跡の終点に対応する地図22上の地点(即ち連続する読取座標データDr1のうち、最後に読み取られた読取座標データDr1から得られた地理座標値を有する地点)を目的地点に設定するようにしたので、電子ペン12で線を引くという直観的な操作により、経路検索のための出発地点や目的地点を設定することができる。
【0116】
また以上のように、軌跡の筆記速度を算出し、筆記速度に応じた項目を優先して、出発地点から目的地点までの経路を検索するようにしたので、経路検索で優先させる項目を、簡単に設定することができる。
【0117】
なお以上においては、ペン軸31の軌跡の始点に対応する地点を出発地点として設定するようにしたが、例えば出発地点と目的地点が、複数頁に渡っている場合、その地点間を結ぶように電子ペン12を操作することができないときがある。そこで例えば終点のみに着目し、出発地点は、例えば現在位置検出部81で検出される車両の現在位置とすることもできる。
【0118】
図18は、このように現在位置検出部81で検出される車両の現在位置を出発地点とする場合の案内経路検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
ステップS51からステップS53においては、図13のステップS1からステップS3における場合と同様の処理が実行されるので、その説明は省略する。
【0120】
ステップS54において、制御部83は、現在位置検出部81で検出された車両の現在位置の地点を出発地点に設定し、軌跡の終点に対応する地点を目的地点に設定する。
【0121】
ステップS55からステップS60においては、図13のステップS5からステップS10における場合と同様の処理が実行されるので、その説明は省略する。
【0122】
ステップS53で、案内経路が既に決定されていると判定された場合、処理は、ステップS61に進む。
【0123】
ステップS61において、制御部83は、電子ペン12の軌跡の終点に対応する地図22上の地点を経由地点に設定する。制御部83はまた、1ストローク分の軌跡データDeから、ペン軸31の用紙21上の軌跡の距離、及びその軌跡を描くのに要した時間を算出し、算出したその距離及び時間に基づいて、筆記速度を算出する。そして制御部83は、筆記速度に応じた優先モードでの、経由地点を経由する案内経路の再検索を、処理部84に指示する。処理部84は、制御部83の指示に従って、案内経路を再検索する。
【0124】
このように経由地点が設定され、その経由地点を経由する新たな案内経路が検索されると、処理は、ステップS59に進み、それ以降の処理が同様に行われる。
【0125】
なお以上においては、座標変換テーブルDcは、CD−ROM15に記憶されて提供される場合を例として説明したが、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの他の記録媒体に記憶されて提供されるようにすることもできる。また例えばナビゲーション本体14のHDD69などに予め記憶されるようにすることもできる。またインターネットなどの伝送媒体を介して提供されるようにすることもできる。
【0126】
また以上においては、車両が走行する経路を検索する場合を例として説明したが、人物の歩く経路を検索することもできる。
【0127】
また以上においては、出発地とする地点、目的地とする地点、又は経由地とする地点を設定する場合を例として説明したが、他の目的の対象となる地点を設定することもできる。
【0128】
また以上においては、電子ペン12によって指し示された地点が、出発地点、目的地点、又は経由地点として設定されたが、指し示された地点近傍の主要な地点(例えば、道路上の地点や施設がある地点)が、出発地点等として設定されるようにすることもできる。このようにすることにより、例えば、走行中の車の揺れや地図22の大きさ等の理由で、電子ペン12によって目的地点等としたい位置を指し示すことができない場合でも、適切に目的地点等を設定することができる。
【0129】
また以上においては、電子ペン12の軌跡によって、1つの地点又は2つの地点が経路検索の条件として設定されるようにしたが、3つ以上の地点が、経路検索の条件として設定されるようにすることもできる。
【0130】
例えば、電子ペン12で用紙21上に線を引くときに、線を引く途中で一度電子ペン12を止め(用紙21に接触したままの状態)、再び線を引くようにしたとき、線の始点と終点の他、電子ペン12が止まった地点を、それぞれ経由地点として設定するようにすれば、3つの地点を経由地点として設定することができる。また同様にして4つ以上の地点を設定することもできる。なお電子ペン12が止まったか否かは、読取時刻データD3により判定することができ、その地点の位置は、上述した読取座標データD1からの地理座標への変換により特定することができる。なお各経由地点間の経路検索において優先される事項は、経由地点間の筆記速度によって決定される。
【0131】
また以上においては、電子ペン12のペン軸31の用紙21への接触を、電子ペン12の軌跡としたが、電子ペン12の用紙21に対する何らかの操作に対応したものであれば、電子ペン12の軌跡を、他の方法で特定することもできる。
【0132】
また以上においては、用紙21に、地図22及び座標パターン23が印刷されている場合を例として説明したが、地図22についてはユーザが視覚的に認識でき、座標パターン23については電子ペン12が読み取り可能であれば、他の方法で用紙21に提示されていてもよい。
【0133】
例えば液晶ディスプレイ上に地図22を表示させ、タッチパネルの電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理から、電子ペン12が用紙21上の座標を読み取ることができようにすることもできる。
【0134】
また以上においては、座標パターン23は、用紙21上の座標値を示していたが、地理座標そのものを示すようにし、電子ペン12が直接地理座標を読み取ることができるようにすることもできる。
【0135】
また以上においては、筆記速度に応じて優先モードを決定するようにしたが、加速度や筆圧等他の条件に基づいて優先モードを決定することもできる。
【0136】
また以上においては、時間及び料金を経路検索で優先する項目としたが、他のものを優先項目とすることができる。
【0137】
例えば経路長が最短になる経路を優先的に検索する距離優先、走りやすい幅の広い道の経路を優先的に検索する大きな道優先、難しい右折が少ない経路を優先的に検索する右折少なめ優先などがある。例えば筆記速度が速ければ、距離優先となり、遅い場合は、大きな道優先又は右折少なめ優先とすることができる。
【0138】
また図13又は図18に示した案内経路検索処理における各処理が、上述したようにすべて実行される場合に限らず、一部の処理のみが実行されるようにすることもできる。例えば、出発地点及び目的地点の設定は行われるが、優先モードの設定は行われないようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、自動車などの車両にナビゲーション本体が設置されるナビゲーションシステムにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムを示す構成図である。
【図2】図1のナビゲーションシステムの処理の概略を示す図である。
【図3】図1の地図帳の用紙の例を示す図である。
【図4】図2の用紙に印刷される地図の例を示す図である。
【図5】図2の用紙に印刷された座標パターンの詳細を説明する図である。
【図6】図4のドットの位置を説明する図である。
【図7】図2の用紙に印刷された座標パターンが示す座標値を説明する図である。
【図8】図2の用紙の部分断面図である。
【図9】図1の電子ペンの構成例を示すブロック図である。
【図10】軌跡データの構成例を示す図である。
【図11】図1のナビゲーション本体14の構成例を示すブロック図である。
【図12】座標変換テーブルの例を示す図である。
【図13】案内経路検索処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】電子ペンの軌跡の例を示す図である。
【図15】座標変換処理を説明する図である。
【図16】経路検索結果を示す図である。
【図17】他の経路検索結果を示す図である。
【図18】他の案内経路検索処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0141】
1 ナビゲーションシステム, 11 地図帳, 12 電子ペン, 14 ナビゲーション本体, 21 用紙, 22 地図, 23 座標パターン, 23A ドット, 24 大地図, 25 大用紙, 31 ペン軸, 32 筆圧センサ, 33 赤外線LED, 34 COMSセンサ, 35 USB−I/F, 36 タイマ, 37 不揮発性メモリ, 38 マイクロコンピュータ, 41 軌跡データ生成部, 42 軌跡データ送信部, 70 マイクロコンピュータ, 81 現在位置検出部, 82 取得部, 83 制御部, 84 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置において、
連続する上記位置情報を取得する取得手段と、
上記取得手段により取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定手段と、
上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を出発地点に設定し、最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記取得手段により取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出手段をさらに備え、
前記検索手段は、前記筆記速度に応じた項目を優先して、前記出発地点から前記目的地点までの経路を検索する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記設定手段は、出発地点から目的地点までの経路が検索されている場合において、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を変更開始点に設定し、最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を変更終了地点に設定し、
前記検索手段は、上記出発地点から目的地までの経路の上記変更開始地点と上記変更終了地点間の経路を、前記筆記速度に応じた項目を優先して変更する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記設定手段は、出発地点から目的地点までの経路が検索されている場合において、前記取得手段により取得された前記位置情報のうち、最初に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点、若しくは最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点のいずれか1つの地点、又は両方の地点を、経由地点に設定し、
前記検索手段は、上記出発地点から目的地点までの経路から上記経由地点までの経路又は上記経由地点から上記出発地点から目的地点までの経路までの経路を、前記筆記速度に応じた項目を優先して検索する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置のナビゲーション方法において、
連続する上記位置情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップの処理で取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定ステップと、
上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップと
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索する検索処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
連続する上記位置情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップの処理で取得された上記連続する位置情報に基づいて、出発地点と目的地点を設定する設定ステップと、
上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップと
を含む検索処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置において、
上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出手段と、
上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得手段と、
上記取得手段により取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出手段と、
上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得手段により取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定手段と、
上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索するナビゲーション装置のナビゲーション方法において、
上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出ステップと、
上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出ステップと、
上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定ステップと、
上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップと
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項10】
地図と位置情報とが重畳して印刷されている印刷媒体から、電子ペンによって読み取られた上記位置情報に基づいて、電子地図上の経路を検索する検索処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
上記ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する検出ステップと、
上記電子ペンにより連続して読み取られた上記位置情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報に対応する前記印刷媒体上の位置、及び前記位置情報が読み取られた時刻に基づいて、筆記速度を算出する算出ステップと、
上記現在位置を出発地点に設定し、上記取得ステップの処理で取得された前記位置情報のうち最後に読み取られた前記位置情報に対応する前記地図上の地点を目的地点に設定する設定ステップと、
上記筆記速度に応じた項目を優先して、上記出発地点から上記目的地点までの経路を検索する検索ステップと
を含む検索処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−288181(P2009−288181A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143481(P2008−143481)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】