説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の表示制御方法及び制御プログラム

【課題】単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速にできるようにしたナビゲーション装置、ナビゲーション装置の表示制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】プッシュ操作とスライド操作とが可能な操作ノブ16Aを備え、この操作ノブ16Aのプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、操作ノブ16Aがさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置、ナビゲーション装置の表示制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置は、地図を表示する機能を備えている。この種のナビゲーション装置は、地図の縮尺変更やスライド表示ができ、広域の地図表示と詳細な地図表示とを切り換えてスライド表示させることで、目的地を含む地図を表示し、その地図から目的地を指定できる機能を具備するものもある。
従来、地図の拡大/縮小表示やスライド表示(スクロール操作とも言う)の指示を、表示装置に配設したタッチパネルを操作して行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この種の地図表示機能を具備するものには、地図の拡大/縮小表示用の操作子と、スライド表示用の操作子とを別々に備え、これらの操作子の操作に基づいて各表示を行うものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−002928号公報
【特許文献1】特開2001−249653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、地図の拡大/縮小表示やスライド表示をタッチパネルの操作で行う構成の場合、各操作を行うためのソフトウェアスイッチを表示する必要があり、その表示の分だけ地図の表示領域が狭くなってしまう。この表示領域の制約を受けないためには、ナビゲーション装置に、地図の拡大/縮小表示用の操作子と、スライド表示用の操作子とを別々に設けることが考えられるが、操作子の数が増えてしまう。
特にナビゲーション装置は、車両の乗員が乗車姿勢で操作するため、操作の容易性及び迅速性が要求される。このため、操作子の数が増えることは、操作位置が複数箇所に存在するので、目的の操作子を探すのに手間取ってしまう場合があり、操作の容易性及び迅速性の観点からは好ましくない。
【0004】
そこで、本発明は、単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速にできるようにしたナビゲーション装置、ナビゲーション装置の表示制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置において、プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子と、この操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、この操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させるので、単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【0006】
上記構成において、前記表示制御部は、前記操作子の操作が中止すると、中止時点の縮尺かつ表示エリアの地図を表示するようにしてもよい。この構成によれば、単一の操作子を操作して選んだ縮尺及び表示エリアの地図を表示させることができる。
また、上記構成において、前記表示制御部は、前記操作子が短時間だけプッシュ操作された場合には、プッシュ操作毎に地図の縮尺を切り換える表示を行うようにしてもよい。この構成によれば、縮尺選択用表示を行う場合の操作方向と同じ方向の操作で縮尺を切り換えでき、分かり易い操作系にすることができる。
【0007】
また、上記構成において、前記表示制御部は、前記操作子が短時間だけプッシュ操作された場合には、当該装置が表示可能な全縮尺の地図を選択表示可能に、プッシュ操作毎に地図の縮尺を切り換え表示し、前記縮尺選択用表示の場合には、当該装置が表示可能な全縮尺の地図のうち制限された縮尺範囲内で、地図の縮尺を切り換え表示するようにしてもよい。この構成によれば、縮尺選択用表示の場合には、当該装置が表示可能な全縮尺の地図のうち制限された縮尺範囲内で、地図の縮尺を切り換え表示するので、縮尺選択に要する時間を短縮化できる。
【0008】
また、本発明は、ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置の表示制御方法において、プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させることを特徴とする。この発明によれば、単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【0009】
また、本発明は、ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、前記コンピュータを、プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させる表示制御部として機能させることを特徴とする。この発明によれば、単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、この操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させるので、単一の操作子を用いて地図の拡大/縮小表示及びスライド表示の操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置を車両に搭載した状態を示す図である。このナビゲーション装置1は、車両のダッシュボード5の運転席と助手席との間に配置され、ダッシュボード5に設けられた開口部5Aから露出する表示部15と、ダッシュボード5内に収納された本体部(不図示)とを備える。このダッシュボード5には、表示部15が露出する開口部5Aの下方から車体後方に延びる箱状のコンソール7が設けられ、このコンソール7の上面部7Aにナビゲーション装置1の操作部16が設けられている。
このように操作部16が表示部15の手前に近接配置されるため、乗員が着座した状態で表示部15を見ながら片手(本実施形態では、運転者の左手)でナビゲーション装置1を操作できるようになっている。
【0012】
図2は操作部16を周辺構成と共に示す上面図である。この図に示すように、操作部16は、表示部15の画面中央から車体後方に延びる軸線L上に配置された操作ノブ16Aを備えている。この操作ノブ16Aは、車両の乗員(運転者等)であるユーザが片手で把持して操作するハードウェア操作子であり、車両の下方向(コンソール7側)へプッシュ操作が可能で、かつ、車両の前後左右及び斜め方向の計8方向(図中、矢印参照)へのスライド操作が可能に構成されている。
なお、この操作ノブ16Aは、外部から操作力が加えられなくなると、ばねによる復元力で初期位置(プッシュ操作前かつスライド操作前)へ戻るように構成されている。なお、操作部16には、この操作ノブ16Aの他にも図示せぬ操作子が設けられている。
【0013】
図3はナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、車両に搭載されて目的地までの経路案内を行う装置であり、制御プログラムを実行して各部を制御するコンピュータとして機能する制御部10と、この制御部10により実行される制御プログラムや地図データ等の各種データを記憶する記憶部11と、制御部10の制御に従って各種情報を表示する表示部15と、ユーザが操作する操作部16とを備えている。
記憶部11は、例えばハードディスク装置を備え、地図表示及び経路案内を実現するための制御プログラム、地図データ、ユーザが設定した目的地やユーザの操作により指定された目的地の座標データ及びその他の各種設定に係るデータを記憶する。なお、この記憶部11は、CDやDVD等のディスク型記録媒体からデータを読み取るものであってもよいし、通信回線(図示略)を介して接続されたサーバ装置(図示略)等から上記の各種データを取得するものとしてもよい。
【0014】
記憶部11に記憶される地図データには、図4に示すように、大縮尺の詳細地図M1から小縮尺の広域地図Mk(kは所定の整数)を含む地図データの他、広域地図Mkよりも更に小縮尺の超広域地図(M(k+1)、・・・、M(x−1)、Mx(xはkより大の整数))がある。より具体的には、大縮尺から順に挙げると、25m市街地図(約1/3125縮尺相当の地図)M1、50mスケール道路地図(約1/6250縮尺相当の地図)M2、1/2.5万縮尺相当の地図M3、・・・、1/25万縮尺相当の地図Mk、・・・、1/640万縮尺相当の地図M(x−1)、超広域地図(表示部15の一画面に日本全体を表示する地図)Mxが記憶部11に記憶される。
【0015】
これら地図データには、緯度や経度等の位置情報が関連づけられており、この位置情報に基づいて異なる縮尺間の地図データでも同位置を含む地図データを特定することが可能であり、また、同じ縮尺の隣接する地図データを特定して合成地図画像を生成することも可能である。なお、これら地図データには、従来のナビゲーション装置に使用される地図データを広く適用することができる。
ここで、本実施形態では、詳細地図M1から広域地図(例えば、1/25万縮尺相当の地図)Mkまでを利用度が高い地図MAとして扱い、つまり、ユーザが目的地の設定や周辺情報(例えば、史跡、観光地等)の検索に使用する地図としており、それ以外の超広域地図M(k+1)、・・・、Mxはユーザが目的地の設定や周辺情報の検索に使用しない地図として扱っている。そして、後述する縮尺選択用表示では、この制限された縮尺範囲の地図MA内で地図の縮尺切り換え表示を行うようにしている。なお、以下の説明では、地図M1〜Mxを特に区別する必要がない場合は地図Mと表記する。
【0016】
表示部15は、例えば、液晶表示装置が適用され、制御部10の制御の下、上記地図データに基づく地図画像等の各種画像を表示する。すなわち、制御部10は表示部15の表示を制御する表示制御部としても機能している。なお、この表示部15には、液晶表示装置以外の他の表示装置を適用してもよい。
【0017】
また、このナビゲーション装置1は、GPSアンテナ22を介して受信した衛星からの電波に基づいて車両の現在位置(自車位置)を検出するGPSユニット21と、内蔵するジャイロセンサ等により車両の向き(方位)を検出する相対方位検出部23と、上記車両から入力される車速パルス信号に基づいて車両の速度を検出する車速検出部25と、道路上に設置された発信器からの光ビーコン信号または電波ビーコン信号を受信することによって交通情報を取得するビーコン受信部27と、FM多重放送波を受信することにより交通情報を取得するFM多重受信部29等を備えている。制御部10は、これらの各部から入力される自車位置を示す情報、自車の向きを示す情報、車速を示す情報、および交通情報等をもとに経路案内を実行する。
【0018】
ところで、このナビゲーション装置1は、ユーザが地図表示を選択した場合やナビゲーションの開始を指示した場合に表示部15に地図Mを表示する地図表示モードで動作する。そして、この地図表示モードで動作している場合、上述した操作ノブ16Aを用いて表示地図の縮尺変更やスライド(表示エリアの変更)の指示が可能に構成されている。
【0019】
以下、この場合の動作を図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
地図表示モードの場合、制御部10は、操作ノブ16Aが操作されたか否かを判定する(ステップS1)。この場合、制御部10は、操作ノブ16Aがプッシュ操作された場合には、プッシュ操作の継続時間tを計測し、この継続時間tが所定時間(長押しか否かの判定基準値t0(例えば、t0=0.5秒))を超えたか否かを判定し、長押し操作(t>t0)か、短押し操作(t≦t0)かを特定する。また、操作ノブ16Aがスライド操作された場合には、制御部10は、そのスライド方向を取得する。さらに、操作ノブ16Aのプッシュ操作とスライド操作とが同時に行われた場合、長押し操作か短押し操作かを特定すると共に、スライド方向を取得するようになっている。
【0020】
詳述すると、制御部10は、操作ノブ16Aが操作された場合(ステップS1:YES)、まず、長押し操作か否かを判定し(ステップS2)、長押し操作でない場合(ステップS2:NO)、短押し操作か、スライド操作かを判定する(ステップS3)。
そして、短押し操作と判定した場合(ステップS3:短押し操作)、制御部10は、縮尺の切り換え表示(縮尺切換表示)を行う(ステップS4)。この場合、図4に矢印αで示すように、制御部10は、現在表示中の地図Mの縮尺から一段階だけ縮尺を変更した地図Mに切り換え表示する。より具体的には、現在表示中の地図Mに対応する一段階縮尺が異なる地図データを記憶部11から読み出し、中心座標を一致させて表示部15に地図Mを表示させる。このようにして、縮尺の切り換え表示をした後は、制御部10は、当該処理を一旦終了して所定の割り込み周期でステップS1の処理を再実行する。
【0021】
すなわち、本実施形態では、短押し操作が行われた場合、この短押し操作毎に、図4に矢印αで示す画像Mへの縮尺切換表示が実行される。この場合の地図Mの縮尺を拡大側或いは縮小側に切り換えるかの設定は、予め定めた規則に従えばよく、例えば、短押し操作毎に、拡大側又は縮小側のいずれか一方側の縮尺へ順に切り換え表示し、最も大縮尺の詳細地図M1或いは最も小縮尺の超広域地図Mxを表示した後は、縮小側又は拡大側の縮尺へ順に切り換え表示すればよい。これにより、短押し操作の場合、図4に示すように、このナビゲーション装置1に記憶された全縮尺の地図Mを選択表示させることができる。
【0022】
一方、ステップS3において、スライド操作と判定した場合(ステップS3:スライド操作)、制御部10は、スライド操作に応じたスクロール表示を行う(ステップS5)。つまり、制御部10は、現在表示中の地図Mと同じ縮尺の地図データの中から、現在の地図Mからスライド方向に対応する地図データを読み出し、この地図データに基づいて地図Mのスクロール表示を行う。この場合、制御部10は、スライド操作が継続する間はスクロール表示を継続し、仮にスライド操作中にスライド方向が変わった場合には、そのスライド方向に対応する同縮尺の地図データを読み出してスクロール方向を変更したスクロール表示を行う。
【0023】
このようにして、ユーザが操作ノブ16Aの短押し操作とスライド操作とを選択的に行うことで、縮尺切換表示とスクロール表示とを選択的に行うことができる。但し、この操作は、所望の縮尺の地図を表示するまでに操作ノブ16Aの短押し操作を多数回操作しなければならない場合が生じ、また、縮尺切換表示からスクロール表示へと切り換える際には、操作ノブ16Aを短押し操作の位置から短押し操作前の位置へ戻す必要があるため、スライド操作前に操作ノブ16Aを押す力を弱める操作(例えば、操作ノブ16Aから手を離す操作)が必要になる。このため、操作に不慣れな初心者等には操作を一つ一つ確認しながら縮尺切換表示とスクロール表示とを別々の行うことができるものの、操作回数が増えてしまい、操作に時間がかかってしまう。
【0024】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、制御部10は、操作ノブ16Aの長押し操作を検出した場合には(ステップS2:YES)、スライド操作の有無を判定し(ステップS6)、スライド操作が無ければ(ステップS6:NO)、操作ノブ16Aが長押し操作される間、表示地図Mの拡大表示と縮小表示とを時間間隔を空けて繰り返す表示(縮尺選択用表示)を行う(ステップS7)。この縮尺選択用表示では、図4に矢印βで示すように、このナビゲーション装置1に記憶された全縮尺の地図Mのうち、制限された縮尺範囲の地図MA(地図M1〜Mk)内で、地図の縮尺を切り換え表示する。
そして、操作ノブ16Aが長押し操作された状態でスライド操作が行われた場合には(ステップS6:YES)、制御部10は、スライド操作検出時点の縮尺及び表示エリアの地図Mのスライド方向に対応する地図データを読み出し、その地図Mのスクロール表示を行う(ステップS8)。この場合、スライド操作中にスライド方向が変わった場合には、そのスライド方向へのスクロール表示が行われ、操作ノブ16Aのスライド操作が中止され、或いは、いずれの操作も中止されると、中止時点の縮尺及び表示エリアの地図Mを継続表示する。
【0025】
すなわち、本実施形態では、操作ノブ16Aの長押し操作により、ユーザの利用度が高い縮尺範囲の地図MAが縮尺を自動変更しながら順次表示され、所望の縮尺の地図が表示されたタイミングで、ユーザが操作ノブ16Aをスライド操作すれば、その所望の縮尺の地図をスクロール表示させることができる。この場合、スライド操作の方向が変わった場合には、そのスライド方向へのスクロール表示を行うので、所望の表示エリアを表示させることができる。
この操作の場合、ユーザが操作ノブ16Aを操作前の位置へ戻す、といった戻す操作を行う必要がない。従って、戻す操作を行うことなく、一連に連続する操作(プッシュ操作からそのままスライド操作)で縮尺切換表示とスクロール表示とを行うことができる。
【0026】
ところで、従来、目的地を地図から設定する場合には、例えば、現在地周辺の詳細地図を表示した状態から広域地図に切り換えて目的地を含む広域地図にスクロール表示させ、次に目的地を含む広域地図を詳細地図に切り換える、といった地図の拡大/縮小表示とスライド表示とを組み合わせる操作が行われる。本実施形態では、この地図の拡大/縮小表示とスライド表示とを組み合わせる操作が、プッシュ操作からスライド操作に一連に連続する操作で行われるため、容易かつ迅速に行うことができる。
しかも、この地図の拡大/縮小表示とスライド表示とを組み合わせる操作は、目的地を含む地図を探す場合に限らず、地図から周辺情報(例えば、史跡、観光地等)を検索する場合等の地図操作、つまり、所望の縮尺及び表示エリアの地図を探す場合に常に行われる操作であり、かかる地図操作を容易かつ迅速に行うことが可能なナビゲーション装置1を提供することが可能になる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作ノブ16Aのプッシュ操作が継続した場合(長押し操作の場合)に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、操作ノブ16Aがさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させるので、単一の操作ノブ16Aを用いて地図の拡大/縮小表示とスライド表示との組み合わせ操作を容易かつ迅速に行うことができる。従って、ユーザは、所望の縮尺かつ所望の表示エリアの地図を容易かつ迅速に表示させることができる。
しかも、この縮尺選択用表示の場合には、このナビゲーション装置1に記憶された全縮尺の地図Mのうち制限された縮尺範囲の地図MA内で、地図の縮尺を切り換え表示するので、目的地設定時や周辺情報検索時に使用される縮尺範囲の地図だけ(本実施形態では、超高域地図を除く地図(詳細地図と広域地図))を切り換え表示することができる。従って、かかる場合に不使用と考えられる超高域地図を非表示とするため、その分、縮尺選択に要する時間を短縮化でき、所望の地図をより迅速に表示させることが可能になる。
【0028】
また、本実施形態では、操作ノブ16Aが短時間だけプッシュ操作(短押し操作)された場合には、プッシュ操作毎に地図の縮尺を一段階ずつ切り換える表示を行うので、乗員にとって感覚的に判り易い操作で地図の縮尺切り換えを行うことができる。しかも、この縮尺切り換えを行うための操作ノブ16Aの操作方向と、上記縮尺選択用表示を行う場合の操作ノブ16Aの操作方向とが一致するので、同方向に操作すれば縮尺が切り変わる点で操作をほぼ共通化でき、分かり易い操作系にすることができる。
同様に、操作ノブ16Aのスライド操作の方向と地図のスクロール表示の方向とが一致するので、これによっても感覚的に判り易い操作で地図のスライド表示を行うことができ、これらによって、ナビゲーション装置1に好適な操作系にすることができる。
【0029】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態においては、プッシュ操作とスライド操作とが可能な操作ノブ16Aを設ける場合を説明したが、これに限らず、さらにこの操作ノブ16Aを回転操作可能に構成してもよいし、この操作ノブ16Aに別操作を行うための操作スイッチを別途設けるようにしてもよい。また、操作ノブ16Aの形状は任意に変更が可能であり、要はプッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子を備えるようにすればよい。
また、上記実施形態では、上記処理を実行するための制御プログラムをナビゲーション装置1の記憶部11内に予め記憶しておく場合について説明したが、この制御プログラムを磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピュータが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、この制御プログラムを通信ネットワーク上の配信サーバ等からダウンロードできるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置を車両に搭載した状態を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置の操作部を周辺構成と共に示す上面図である。
【図3】ナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】地図データの説明に供する図である。
【図5】ナビゲーション装置の動作の説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 ナビゲーション装置
10 制御部(表示制御部)
11 記憶部
15 表示部
16 操作部
16A 操作ノブ(単一のハードウェア操作子)
21 GPSユニット
23 相対方位検出部
25 車速検出部
27 ビーコン受信部
29 FM多重受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置において、
プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子と、
この操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御部は、前記操作子の操作が中止すると、中止時点の縮尺かつ表示エリアの地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御部は、前記操作子が短時間だけプッシュ操作された場合には、プッシュ操作毎に地図の縮尺を切り換える表示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御部は、前記操作子が短時間だけプッシュ操作された場合には、当該装置が表示可能な全縮尺の地図を選択表示可能に、プッシュ操作毎に地図の縮尺を切り換え表示し、前記縮尺選択用表示の場合には、当該装置が表示可能な全縮尺の地図のうち制限された縮尺範囲内で、地図の縮尺を切り換え表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置の表示制御方法において、
プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させることを特徴とするナビゲーション装置の表示制御方法。
【請求項6】
ナビゲーションのための地図を表示するナビゲーション装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記コンピュータを、プッシュ操作とスライド操作とが可能な単一の操作子のプッシュ操作が継続した場合に、地図の拡大表示と縮小表示とを繰り返す縮尺選択用表示を行い、前記操作子がさらにスライド操作された場合に、スライド操作時点の縮尺の地図をスクロール表示させる表示制御部として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−19796(P2010−19796A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182765(P2008−182765)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】