説明

ナビゲーション装置、方法、システム、及びプログラム

【課題】 到着予定時刻に目的地に到着するうえでの時間的な余裕を容易に把握可能な形でナビゲーションするための技術を提供する。
【解決手段】
経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション装置において、経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、徒歩区間の次区間が列車等による移動区間の場合、仮想位置特定手段25によって、経路探索の結果提示された列車の出発時刻までに駅に到着するために、利用者が現在時刻に位置しているべき仮想位置を特定し、現在地と仮想位置を示すゴーストを共に地図の経路上に表示し、ゴーストを利用者毎の設定である移動速度にもとづいて移動表示をする表示手段26を備える。これにより、利用者は現在地とゴーストとの位置関係から時間的な余裕を容易に把握することができ徒歩ペースの調整を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探索した経路に沿って目的地まで移動する利用者を地図上で案内するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、旅客機や列車、及びバスなどは手軽に利用できる交通手段であり、複数の交通手段の利用を考慮して経路探索を行ない、利用者が適切に移動できるように支援するナビゲーション装置が実用化されている。
【0003】
例えば特許文献1には、地図データを格納した地図データベース(DB)の他に、交通機関が管理する交通手段によって構築された交通ネットワークのデータを格納したデータベース(DB)、交通機関の時刻表などのデータを格納したデータベース(DB)、及び駅などの交通施設で交通手段に搭乗するのに要する時間などのデータを格納したデータベース(DB)を用意して経路探索を実行し、交通機関の乗換えによって生じる乗換え所要時間や待ち時間の表示をするナビゲーションシステムが記載されている。このナビゲーションシステムによれば、利用者は、交通機関の乗換えに必要な時間を考慮したうえで移動をすることができる。
【特許文献1】特開2007−271283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、移動手段が徒歩や自動車などの利用者が任意に移動速度を変更可能なものであった場合の移動時間についての考慮はなされていない。例えば、徒歩移動をした後に電車に乗るといった場合、目的地(駅)に到着すべき到着予定時刻(交通手段の出発時刻)までの残り時間は、現在時刻から容易に把握することができる。しかしながら、残り時間で目的地(駅)まで到着することができるか否かは、残り時間の間に移動すべき距離によって変化するため、利用者が残り時間と残り距離から時間的な余裕を推測し、徒歩ペースを調整して移動をする必要性があった。
【0005】
本発明は、到着予定時刻に目的地に到着するうえでの時間的な余裕を容易に把握可能なかたちでナビゲーションするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション装置であって、利用者の現在地を認識する現在地認識手段と、経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき仮想位置を特定する仮想位置特定手段と、現在地認識手段が認識した現在地、及び仮想位置特定手段が特定した仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示手段と、を具備する。
【0007】
かかる構成によれば、徒歩区間の案内をする際、特に次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、交通手段の出発時刻までに間に合うような仮想位置を特定して地図の経路上で移動表示させ、現在地表示とともに表示をすることができる。これにより、利用者は現在地表示と仮想位置の表示とから徒歩ペースの調整を行なうことが可能となる。また、仮想位置の表示を利用者毎に設定可能な移動速度において移動表示をさせるため、利用者は自らの徒歩ペースを考慮したうえで仮想位置表示の移動表示の速度を決定することができる。
【0008】
また、本発明のナビゲーション装置において、仮想位置特定手段は、案内を行なう徒歩区間が目的地までの徒歩区間である場合に、経路探索の結果提示された到着予定時刻までに目的地に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき仮想位置を仮想的に特定する構成とすることができる。
【0009】
かかる構成によれば、案内を行なう徒歩区間が目的地までの徒歩区間である場合において、目的地に到着予定時刻までに間に合うような仮想位置を特定して地図の経路上で移動表示させ、現在地表示とともに表示をすることができる。
【0010】
また、本発明のナビゲーション装置において、仮想位置特定手段は、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻の一本前の交通手段の出発時刻、及び/又は、一本後の交通手段の出発時刻に交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき第2の仮想位置、及び/又は、第3の仮想位置を仮想的に特定し、表示手段は、現在地、仮想位置、第2の仮想位置及び/又は第3の仮想位置を示すアイコンを地図の経路上に配置し、仮想位置、第2の仮想位置及び/又は第3の仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示手段と、を具備する。
【0011】
かかる構成によれば、経路探索の結果提示された搭乗すべき交通手段の出発時刻の一本前あるいは一本後の交通手段の出発時刻に間に合うような仮想位置を特定して地図の経路上で移動表示させ、現在地表示とともに表示をすることができる。これにより、一本前のあるいは一本後の交通手段の出発時刻を考慮して徒歩ペースの調整を行なうことが可能となる。
【0012】
また、本発明のナビゲーション装置において、表示手段は、案内対象である徒歩区間の道程距離を示す距離表示バーを表示し、現在地及び仮想位置特定手段により特定された一のあるいは複数の仮想位置を示すアイコンを距離表示バー上に配置し、仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示させる構成とすることができる。
【0013】
かかる構成によれば、現在地と仮想位置とを示すアイコンを距離表示バー上に配置し、移動表示をすることができる。これにより、利用者は、現在地と仮想位置との位置関係や距離を直線的な態様で一見して容易に把握をすることが可能となる。
【0014】
また、本発明のナビゲーション装置においては、現在地と、第2の仮想位置及び第3の仮想位置との位置関係を判定する判定手段を備え、現在地が第2の仮想位置より交通施設側であると判定された場合、或いは現在地が第3の仮想位置より出発地側であると判定された場合において、仮想位置特定手段は、新たな仮想位置を特定し、表示手段は、新たに特定した仮想位置を表示装置に表示するとともに、新たな仮想位置から最も離れた仮想位置につき表示を行なわない構成とすることができる。
【0015】
かかる構成によれば、ナビゲーションの途中に、利用者が経路探索の結果提示された搭乗すべき交通手段の一本前の交通手段に間に合うような仮想位置を示すアイコンに追いついた場合に、あるいは、搭乗すべき交通手段の一本後の交通手段に間に合うような仮想位置を示すアイコンに追いつかれた場合に、新たな仮想位置を特定し、新たな仮想位置から最も離れた仮想位置につき表示を行なわないようにすることができる。これにより、利用者に対して必要と考えられる情報を新たに表示するとともに、不要であるものと考えられる情報を表示させないようにすることができる。
【0016】
本発明のナビゲーション方法は、出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション方法であって、利用者の現在地を認識して、認識した現在地を示すアイコンを地図上に配置し、経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき仮想位置を特定し、認識した現在地、及び仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する。
【0017】
本発明のナビゲーションシステムは、出発地から目的地までの経路探索を行なうナビゲーションサーバと、探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内する端末装置とがネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムであって、端末装置は、利用者の現在地を認識する現在地認識手段と、ナビゲーションサーバより受信した経路探索結果を記憶する記憶手段と、経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、該徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき仮想位置を特定する仮想位置特定手段と、現在地認識手段が認識した現在地、及び仮想位置特定手段が特定した仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示手段と、を具備する。
【0018】
本発明のナビゲーションプログラムは、出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション装置を構成するコンピュータに実行させるためのナビゲーションプログラムであって、利用者の現在地を認識する現在地認識機能と、経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に経路上で到達しているべき仮想位置を仮想的に特定する位置特定機能と、現在地認識手段が認識した現在地、及び仮想位置特定手段が特定した仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示機能と、を実行させる
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、徒歩区間の案内をする際、特に次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、交通手段の出発時刻までに間に合うような仮想位置を特定して地図の経路上で移動表示させ、現在地表示とともに表示をすることができ、利用者の徒歩ペースの調整の支援を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるナビゲーションシステムの構成及び機能を示す図である。このシステムは、徒歩(ここでは自転車等、利用者が任意で移動速度を変更することのできる移動手段を含む)や、バス、列車等の公共交通機関など複数の移動手段を用いて移動する経路の探索に対応したものであり、通信ネットワーク1を介して、利用者が携帯可能な携帯電話機2及びナビゲーションサーバ3を接続可能とすることで構築されている。なお、本実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機2を例に説明するが、その他にPDA(personal digital assistant)や電子手帳、小型・軽量のコンピュータ(パーソナル・コンピュータ)等、携帯可能なデータ処理装置により実現することも可能である。
【0021】
また、以下の実施形態では、利用者が任意で移動速度を変更することのできる移動手段として徒歩、公共交通機関としては列車に限定して説明する。
【0022】
ここではじめに、本実施形態の概要について説明する。本実施形態におけるナビゲーションシステムは、移動手段の異なる区間毎にナビゲーションを行ない、特に徒歩区間において、利用者がナビゲーションサービスを受ける場合、最適な徒歩ペースを視覚的に容易に把握できるように構成している。
【0023】
すなわち、次区間が列車の場合の徒歩区間においては、次区間で乗車すべき列車として経路探索の結果提示された列車の発車時刻(以下、推奨発車時刻という)に間に合うように移動するために、現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を地図上にアイコン(以下、ゴーストという)で表示をする。また、次区間の無い最終の目的地への徒歩区間の場合には、経路探索の結果提示された最終目的地の到着予定時刻に間に合うように移動するために、現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を地図上にゴーストとして表示する。なお、以下の説明は、次区間が列車の場合の徒歩区間について説明を行なうものとする。ゴーストは、利用者により設定された徒歩速度に従って移動表示を行なうように構成し、利用者は、地図を見て現在地がゴーストよりも目的地側(すなわち、駅側)にあるか、出発地側にあるかで徒歩ペースの調整を行なうことができる。
【0024】
続いて、本実施形態のナビゲーションシステムの機能について説明をする。携帯電話機2は、入力手段21、通信手段22、GPS測位手段23、制御手段24、仮想位置特定手段25、表示手段26、記憶手段27、計時手段28を備えた構成である。
【0025】
入力手段21は、携帯電話機2のテンキー、カーソルキーによって実現され、利用者が入力手段21を操作することにより各種入力(目的地、到着希望時刻等)や各種指示(経路探索指示、ナビゲーション開始指示)を行なうことができる。
【0026】
通信手段22は、通信ネットワーク1を介し、ナビゲーションサーバ3との通信を行ない、利用者の経路探索指示に応じた経路探索要求や、徒歩区間のナビゲーション開始指示がなされた際に携帯電話機2の表示画面に表示する地図データの取得要求をナビゲーションサーバ3に送信する。
【0027】
GPS測位手段23は、GPS衛星からの信号を受信して携帯電話機2の現在地を測位行なう。
【0028】
制御手段24は、不図示のROM、ワーク領域としてのRAM、CPUから構成されナビゲーションを行なう際の全体の動作を制御する。
【0029】
仮想位置特定手段25は、現在時刻、推奨発車時刻、及び利用者により設定されたゴーストの移動速度から、現在時刻において経路上で到達しているべき仮想位置を特定する。
【0030】
表示手段26は、携帯電話機2の表示画面にナビゲーションサーバ3より受信した地図や経路探索結果等、各種情報の表示を行なう。本実施形態における表示手段26は、具体的には、利用者によりナビゲーションの開始指示がなされた際に、地図表示、徒歩経路表示、現在地表示、カウントダウン表示、ゴースト表示、を行なう。
【0031】
地図表示は、ナビゲーションサーバ3より受信した地図を表示する。徒歩経路表示は、地図上に出発地から目的地(駅)までの経路を表示し、現在地表示は、GPS測位手段23により測位された現在地を地図上にアイコン表示する。カウントダウン表示は、計時手段28により取得した現在時刻と推奨発車時刻との差分時間の表示をし、ゴースト表示は、推奨発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を地図の経路上にアイコン表示する。
【0032】
記憶手段27は、制御手段24により実行されるナビゲーションプログラム(以下、ナビゲーションアプリという)やデータを格納する。具体的には、後述する経路探索の際の移動手段の設定条件や、経路探索の際の徒歩速度の設定等の各種設定を記憶する。あるいは、ナビゲーションサーバ3より取得した経路データや地図データを一時的に記憶する。
【0033】
次に、ナビゲーションサーバ3の構成について説明する。ナビゲーションサーバ3は、地図データを格納した地図データベース(以下、地図DB)31、交通施設毎に交通手段が発着する予定を示す時刻表データを格納した時刻表データベース(以下、時刻表DB)32、及び不図示の道路ネットワークデータを格納したデータベースと、入力手段33、制御手段34、通信手段35、経路探索手段36、経路データ作成手段37、地図データ取得手段38、を備えて構成されている。
【0034】
入力手段33は、ナビゲーションサーバ3の管理者による各種入力を行なうためのものである。制御手段34は、不図示ROM、ワーク領域としてのRAM、及びCPUを備え、ROMに格納された制御プログラムによりナビゲーションサーバ3の全体の動作を制御する。通信手段35は、通信ネットワーク1を介して携帯電話機2との通信を行なう。
【0035】
経路探索手段36は、携帯電話機2から受信した経路探索条件にもとづき、時刻表DB32や道路ネットワークデータベースを参照して経路探索を行ない、経路探索結果を出力する。本実施形態の経路探索手段36は、複数の経路探索エンジンより構成されており、車経路エンジンは自動車(自動二輪車を含む)を移動手段とする経路の探索用、乗換エンジンは、列車等の予め定められた経路を移動する交通手段を移動手段とする経路の探索用、徒歩経路エンジンは、徒歩(自転車)を移動手段とする経路の探索用のものである。
【0036】
経路データ作成手段37は、経路探索手段36が探索した経路探索結果を、複数の経路候補を含むリストに編集し、通信手段35を介して携帯電話機2に送信する。地図データ取得手段38は、携帯電話機2からの地図データ取得要求に応じて地図DB31から地図データを取得する。
【0037】
次に、図2〜図4を参照し、ナビゲーションを行なう場合の携帯電話機2の表示画面の画面遷移について説明をする。
【0038】
図2及び図3は、ナビゲーションを行なう場合に表示される画面及びその画面遷移を説明する図である。より具体的には、図2はナビゲーションサービスの開始から経路探索を要求するまで画面遷移を表す図である。図3は探索された経路候補のうちの一つを選択した場合に表示される、経路の詳細を示す経路詳細画面である。
【0039】
図2に示すメニュー画面P1は、ナビゲーションアプリを起動させた後に表示される初期画面であり、「ナビゲーション」、「地図を見る」等の各種ボタンが配置されている。利用者が入力手段21を操作し「ナビゲーション」ボタンを選択すると、目的地設定画面P2が表示される。ここで、目的地を入力し、探索を指示することで、探索結果(目的地の候補)が配置された目的地選択画面P3が表示される。なお、「地図を見る」ボタンを選択して、表示された地図上で目的地を指定することもできる。
【0040】
目的地選択画面P3上で目的地を選択し、その後同様に出発地(現在地とすることもできる。)を選択すると、次に経路探索画面P4が表示される。経路探索画面P4は、経路探索をするうえでの条件として移動手段の設定、徒歩速度の設定をすることができるように構成されている。
【0041】
移動手段の設定とは、例えば特急料金等の特別な料金を必要とする交通手段を経路探索で考慮するか否か、などである。徒歩速度の設定とは、徒歩区間において時速何kmで歩くものとして経路探索を行なうかの設定であり、この設定速度はゴーストを徒歩区間において時速何kmの移動速度で移動表示を行なうかの設定でもある。本実施形態における徒歩速度の設定は、例えば「ゆっくり」(時速2km)、普通(時速4km)、早歩き(時速6km)の何れかに、利用者が任意に設定可能に構成されている。このうち、「徒歩速度:普通」に設定された場合には、利用者が時速4kmで歩くものとして経路探索が行われ、到着予定時刻等が提示される。また、ゴーストは時速4kmで歩いているかのように、ナビゲーションの行なわれる徒歩区間の経路上を目的地に向かって移動表示される。なお、これらの設定は、メニュー画面P1において「各種設定」ボタンを選択することによっても行なうことができる。
【0042】
続いて、経路探索画面P4上において「次へ」のボタンがクリックされると、入力された出発地/目的地、出発/到着希望時刻等の探索条件のデータに基づいて、ナビゲーションサーバ3において経路が探索され、探索結果を配置した探索結果画面が表示される。探索結果画面には、通常移動手段の異なる複数の経路、例えば徒歩+列車移動の経路1、車移動の経路2といったかたちのリストが表示される。
【0043】
そのうちの一つの経路を利用者が選択することで、図3の経路詳細画面P11が表示される。経路中の徒歩区間には「ナビ開始ボタン」が配置されており、列車区間には「カウントダウンボタン」が配置されている。利用者が、「ナビ開始ボタン」をクリックすると、ナビゲーション画面P20が表示されナビゲーションが開始される。利用者が、「カウントダウンボタン」をクリックすると列車位置推定画面P30が表示され、現在列車がおよそどこを走行しているのかが表示される。
【0044】
図4は、本実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。画面P21は、例えば現在地から地下鉄の駅までの経路を利用者が移動するのをナビゲーションする場合のものである。
【0045】
図4に示すように、ナビゲーション画面P21上には、地図の他に、駅までの最適経路、推奨発車時刻までの残り時間をカウントダウン表示するサブ画面SP1、利用者の現在地を示すアイコンYが表示されている。さらに、本実施形態における特徴である、ゴーストG1が表示されている。
【0046】
ゴーストG1は、推奨発車時刻に間に合うために現在時刻においてどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を表示するものであり、アイコンYと容易に区別できるように、アイコンに影を表示している。この表示は、アイコンYとゴーストとを区別することができればよく、例えばゴーストG1の表示色をアイコンYと異なる色とするようにしてもよい。ゴーストG1を表示することにより、利用者は、アイコンYがゴーストG1より目的地(駅)側に位置していれば時間的な余裕があると迅速に判断することができる。一方、アイコンYがゴーストG1より出発地側に位置していれば、徒歩速度を上げて急ぐ必要性のあることを迅速に判断することができる。
【0047】
次に、図5を参照して本実施形態においてナビゲーションを行なう際の処理の流れを説明する。図5は、本実施形態におけるナビゲーションが行われる際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、利用者により、出発地/目的地、出発/到着希望時刻等の探索条件のデータが入力され経路探索指示がなされると、通信手段22は経路探索要求をナビゲーションサーバ3に送信する(ステップS1)。一方、利用者により経路探索指示がなされない場合には、経路探索指示がなされるまで待機をする(ステップS1のNo)。
【0049】
ナビゲーションサーバ3において経路探索要求を受信すると、経路探索手段36が経路探索を行ない、経路探索結果を出力して、経路データ作成手段37が複数の経路候補をリストにした経路データを作成する(ステップS2)。経路データは、通信手段35を介して携帯電話機2に送信される。携帯電話機2においては、受信した経路データを記憶手段27に記憶するとともに、表示手段26が携帯電話機2の表示画面に経路データを表示する(ステップS3)。
【0050】
続いて、利用者により経路データ中の経路候補のうちから一の経路が選択された後、経路詳細画面P11(図3参照)上で、「ナビ開始ボタン」、あるいは「カウントダウンボタン」がクリックされ、ナビゲーションあるいはカウントダウンを開始する指示がなされたか否かを判定する(ステップS4)。利用者により何れの開始指示もなされない場合には、何れかの開始指示がなされるまで待機をする(ステップS4のNo)。利用者により何れかのボタンがクリックされると(ステップS4のYes)、制御手段24は、「ナビ開始ボタン」がクリックされたのか、「カウントダウンボタン」がクリックされたのかの判定、すなわちナビゲーション開始指示であるのかカウントダウン開始指示であるのかの判定を行なう(ステップS5)。
【0051】
判定の結果、ナビゲーション開始指示であると判定された場合(ステップS5のYes)には、通信手段22はナビゲーションサーバ3に地図データ取得要求を送信する(ステップS6)。ナビゲーションサーバ3において地図データ取得要求を受信すると、これに基づき地図データ取得手段38が、地図データを地図DB31より取得し(ステップS7)、通信手段35を介して携帯電話機2に送信する。
【0052】
携帯電話機2において地図データを取得すると、仮想位置特定手段25が、推奨発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を特定する(ステップS8)。なお、仮想位置の具体的な算出方法、算出例については図6を用いて詳細を後述する。続いて、表示手段26が、地図データに基づいて、地図、最適経路、カウントダウン画面、現在位置及び仮想位置を表示した表示用地図データを作成し、携帯電話機2の表示画面に表示する(ステップS9)。これにより、利用者は、推奨発車時刻に発車する列車に間に合うためには徒歩ペースを上げなければならないのか、それとも余裕があるのか、推奨発車時刻までの時間的余裕、経路等の必要な情報を一見して把握することができる。
【0053】
ナビゲーションが行なわれた結果、目的地(駅)に到着したものと判定された場合には、ナビゲーションは終了となり(ステップS10のYes)、目的地(駅)に到着していないと判定された場合(ステップS10のNo)には、更にナビゲーションが行なわれる。
【0054】
一方で、ステップS5においてナビゲーション開始指示でないと判定された場合、すなわち「カウントダウンボタン」がクリックされたものと判定された場合(ステップS5のNo)には、地図データ取得要求は行なわれず、表示手段26は、列車が現在走行している位置を推定して表示する(図3の画面P30参照)。例えば、発車時刻が「21:19」であり、到着時刻が「21:21」であり、利用者が、「21:20」にカウントダウンボタンがクリックした場合には、当該列車区間のおよそ中間地点を走行中であることを、利用者は容易に把握することができる。
【0055】
次に、図6を参照して、ゴーストG1の位置がどのように特定されるかについて具体例により説明する。図6(a)は、利用者とゴーストG1の位置関係の一例を表す模式図であり、図6(b)は、ゴーストG1の表示と時間経過の一例を表す模式図である。
【0056】
図6(a)において、「X0」は、徒歩区間の出発地であり、「X(t)」は、ゴーストG1の表示位置であり、「y(t)」は、利用者の現在位置であり、「X1」は徒歩区間の最終地点、すなわち列車に乗車する乗車駅の位置である。
【0057】
図6(b)において、「t1s」は、経路探索の結果提示された出発時刻である。これは、は利用者により設定された徒歩速度で、歩くものとして経路探索を行なった場合のものである。また、「t1s」は、ゴーストG1の移動表示を開始すべき時刻でもある。「t1e」は、ゴーストG1が徒歩区間の最終地点である駅に到着する時刻であり、「td」は、推奨発車時刻であり、「tm」は、駅に到着後列車に乗るまでに要する時間である。「tm」は、ナビゲーションサーバ3が管理するデータベース(DB)に各駅の駅構内平均移動所要時間のデータを格納しておきこれを参照するように構成しても良いし、利用者が任意に設定可能なものであっても良い。
【0058】
図6(a)に示すように、ゴーストG1は、利用者により設定された徒歩速度V1で、徒歩経路にそって移動表示される。
【0059】
例えば、『L=1km、設定された徒歩速度V1が6km/時、推奨発車時刻「td」=「10:00」、駅に到着後列車に乗るまでに要する時間「tm」は考慮しない』という場合を例に仮想位置の具体的な算出方法を説明する。
【0060】
先ず、ゴーストG1の移動表示を開始すべき時刻「t1s」は、経路探索の結果利用者に提示される時刻であり、記憶手段27に記憶された経路データ中の出発時刻を参照する。この例の場合、ゴーストG1の移動表示を開始すべき時刻「t1s」(利用者に提示される出発時刻)は、L/設定徒歩速度V1から移動所要時間が10分であり、推奨発車時刻「td」に間に合う「9:50」ということになる。
【0061】
続いて、ゴーストG1の移動表示を開始する時刻「t1s」と現在時刻「t」の比較を行なう。例えば現在時刻が「9:47」であった場合、すなわち、「t」≦「t1s」である場合には、仮想位置は「X0」=「X(t)」と特定され、ゴーストG1は出発地に固定表示される。
【0062】
また、例えば現在時刻が「9:52」であれば、「t1s」<「t」であり、仮想位置特定手段25は、ゴーストG1の移動速度V1(「t」―「t1s」)を演算する。この結果、出発地点から駅方向に向かって1200mほど経路上を進んだ地点が仮想位置として特定され、当該地点にゴーストG1が表示され、その後ナビゲーション中は設定徒歩速度に基づいて移動表示される。
【0063】
また、上記例では駅に到着後列車に乗るまでに要する時間「tm」を考慮しないものとしたが、「tm」を考慮する場合には、経路データ作成の際に「tm」分早い時刻を出発時刻として利用者に提示し、ゴーストG1の表示を開始すべき時刻「t1s」も「tm」分早い時刻となり、ゴーストG1を「tm」分だけ早い到着時刻「t1e」に駅に到着するように表示させることができる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、徒歩速度V1を利用者にとって望ましい移動速度に設定しておくことで、利用者個々の徒歩ペースに対応したナビゲーションを実現することができる。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について図7〜図10を用いて説明する。
【0066】
なお、以降の説明においては、第1の実施形態と重複する構成、機能については、説明を省略する。
【0067】
第2の実施形態は、推奨発車時刻に間に合う徒歩ペースを表すゴーストに加えて、推奨発車時刻の一本前及び一本後の列車の発車時刻に間に合うような徒歩ペースを表すゴーストを表示するものである。以下、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に間に合うような仮想位置(第2の仮想位置)を示すゴーストをプレゴーストといい、一本後の列車の発車時刻に間に合うような仮想位置(第3の仮想位置)を示すゴーストをセカンドゴーストという。
【0068】
例えば、利用者が早く出発した、早い速度で移動した、といった場合、推奨発車時刻の列車よりも一本前の列車に間に合う状況となる場合がある。また、移動中に寄り道をした、といった場合、推奨発車時刻に間に合わなくなるといったことも考えられる。このような状況を考慮して、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に間に合うプレゴーストや、一本後の列車の発車時刻に間に合うようなセカンドゴーストを表示することにより、利用者の移動状況に応じた適切なナビゲーションを行なうことができる。
【0069】
なお、第2の実施形態は、次区間の無い最終目的地への徒歩区間には適用することはできず、次区間が列車区間である徒歩区間について適用されるものである。また、以下の説明においては、ゴースト、プレゴースト、セカンドゴーストの全てを表示するものとして説明するが、これらのうち何れを表示させるかについては各利用者が設定可能に構成するようにしてもよい。例えば、利用者は、メニュー画面P1上の「各種設定」(図2参照)において設定をすることができるものとする。
【0070】
図7は、本発明の第2の実施形態におけるナビゲーションシステムの構成及び機能を示す図である。ここでは、第1の実施形態と異なる構成及び異なる機能についてのみ説明を行なう。
【0071】
携帯電話機200における仮想位置特定手段205は、推奨発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきかを表す仮想位置を特定する。また、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す第2の仮想位置、及び推奨発車時刻の一本後の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す第3の仮想位置を特定する。
【0072】
表示手段206は、利用者によりナビゲーションの開始指示がなされた際、地図表示、徒歩経路表示、現在地表示、カウントダウン表示、最終目的地への到着予定時刻の表示、ゴースト、プレゴースト、セカンドゴーストの表示を行なう。
【0073】
追い越し判定手段209は、ナビゲーション中において利用者の現在位置と第2、3の仮想位置の比較を行ない、利用者がプレゴーストを追い越した否か、セカンドゴーストに追い越されたか否かの判定を行なう。利用者がプレゴーストを追い越したものと判定された場合、ナビゲーションサーバ300に対して、推奨発車時刻の2本前の列車に乗るものとした場合の経路探索要求がなされ、この探索結果にもとづいて仮想位置特定手段205は、第4の仮想位置の特定を行なう。表示手段206は、この第4の仮想位置について新たなプレゴーストとして地図上に表示するとともに、これまで表示されていたセカンドゴーストの表示を行なわないようにする。また、表示手段206は、推奨発車時刻までのカウントダウン表示を、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に対するカウントダウン表示に切り替える。
【0074】
一方、利用者がセカンドゴーストに追い越されたものと判定された場合、ナビゲーションサーバ300に対して、推奨発車時刻の2本後の列車に乗るものとした場合の経路探索要求がなされ、この探索結果にもとづいて仮想位置特定手段205は、第5の仮想位置の特定を行なう。表示手段206は、この第5の仮想位置について新たなセカンドゴーストとして地図上に表示するとともに、これまで表示されていたプレゴーストの表示を行なわないようにする。また、表示手段206は、推奨発車時刻までのカウントダウン表示を、推奨発車時刻の一本後の列車の発車時刻に対するカウントダウン表示に切り替える。
【0075】
経路探索手段305は、利用者の入力した出発地/目的地、出発/到着希望時刻等の探索条件に応じた経路探索を行ない、さらにこの経路探索結果及び時刻表DB302を参照して、経路探索結果中の列車区間について、探索された列車の発車時刻の一本前の列車に乗車した場合の経路探索、及び一本後の列車に乗車した場合の経路探索を行ない、第2の経路探索結果、第3の経路探索結果を出力する。
【0076】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。画面P40は、第1の実施形態の表示例を示す図4と同様に、現在地から地下鉄の駅までの徒歩区間を利用者が移動するのをナビゲーションする場合のものである。
【0077】
図8では、ゴーストG2の他に、セカンドゴーストG3が表示されている。上述したようにゴーストG2は、推奨発車時刻に間に合うように、現在時刻で位置しているべき位置を仮想的に特定し、移動表示させるものである。セカンドゴーストG3は、推奨発車時刻の一本後の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻で位置しているべき位置を仮想的に特定し、移動表示させるものである。
【0078】
このように、利用者が寄り道をした等の理由によって推奨発車時刻に間に合わなくなった場合であっても、移動状況に応じたナビゲーションを行なうことができる。図8において、プレゴーストは不図示であるが、プレゴーストも同様に推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻で位置しているべき位置を仮想的に特定し、移動表示させるものである。
【0079】
ここで、推奨発車時刻の一本前の列車あるいは一本後の列車に乗った場合には、最終目的地への到着予定時刻がどうなるかについて正確に判断をすることは困難である。例えば、推奨発車時刻の一本前の列車に乗った場合であっても、最終目的地への到着予定時刻が遅くなるといった場合も想定される。具体的には、乗るべき列車が特急列車であり、その前の列車が普通列車であれば、普通列車に乗車することで最終目的地への到着予定時刻がより遅くなることが想定される。したがって、利用者に対して推奨発車時刻の一本前の列車あるいは一本後の列車に乗った場合には、最終目的地への到着予定時刻がどうなるかを提示することが要請される。
【0080】
そこで、第2の実施形態においては、ゴーストG2、セカンドゴーストG3、プレゴーストのアイコンに、アイコンIC11、IC12のように最終目的地への到着時刻を表示したアイコンをあわせて表示するように構成している。これにより、利用者は、本来乗車すべき列車より一本前の列車に乗った場合と一本乗り遅れた場合の時間的影響を認識することができる。
【0081】
また、利用者の現在位置を示すアイコンXには、アイコンIC1のような推奨ペースを示すアイコンを状況に応じて組み合わせるようにしてもよい。アイコンIC1を表示させることの有無や、その表示内容については、例えば、ゴーストG2と利用者の現在位置との位置関係を考慮して決定される。
【0082】
次に、図9を参照して第2の実施形態においてナビゲーションを行なう際の処理の流れを説明する。図9は、第2の実施形態におけるナビゲーションが行われる際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
まず、利用者により、出発地/目的地、出発/到着希望時刻等の探索条件のデータが入力され経路探索指示がなされると、通信手段202は経路探索要求をナビゲーションサーバ300に送信する(ステップS101)。一方、利用者により経路探索指示がなされない場合には、経路探索指示がなされるまで待機をする(ステップS101のNo)。
【0084】
ナビゲーションサーバ300において経路探索要求を受信すると、経路探索手段306が経路探索を行ない、経路探索結果を出力する。更に、経路探索手段306は、この経路探索結果及び時刻表DB302を参照して、当該経路探索結果中の列車区間について、探索された列車の発車時刻の一本前の列車に乗車した場合の第2の経路探索結果、及び一本後の列車に乗車した場合の第3の経路探索結果を出力する。続いて、経路探索結果にもとづき、経路データ作成手段307が複数の経路候補をリストにした経路データを作成し、経路データ、第2の経路探索結果及び第3の経路探索結果は、ナビゲーションサーバ300の通信手段305により携帯電話機200に送信される(ステップS102)。
【0085】
携帯電話機200においては、受信した経路データ、第2の経路探索結果及び第3の経路探索結果を記憶手段207に記憶するとともに、表示手段206が携帯電話機200の表示画面に経路データを表示する(ステップS103)。
【0086】
続いて、利用者により経路データ中の経路候補のうちから一の経路が選択された後、経路詳細画面P11(図3参照)上で、「ナビ開始ボタン」、あるいは「カウントダウンボタン」がクリックされ、ナビゲーションあるいはカウントダウンを開始する指示がなされたか否かを判定する(ステップS104)。利用者により何れの開始指示もなされない場合には、何れかの開始指示がなされるまで待機をする(ステップS104のNo)。利用者により何れかのボタンがクリックされると(ステップS104のYes)、制御手段204は、「ナビ開始ボタン」がクリックされたのか、「カウントダウンボタン」がクリックされたのかの判定、すなわちナビゲーション開始指示であるのかカウントダウン開始指示であるのかの判定を行なう(ステップS105)。
【0087】
判定の結果、ナビゲーション開始指示であると判定された場合(ステップS105のYes)には、通信手段202はナビゲーションサーバ300に地図データ取得要求を送信する(ステップS106)。ナビゲーションサーバ300において地図データ取得要求を受信すると、これに基づき地図データ取得手段308が、地図データを地図DB301より取得し(ステップS107)、通信手段305を介して携帯電話機200に送信する。
【0088】
携帯電話機200において地図データを取得すると、仮想位置特定手段205は、推奨発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す仮想位置を特定する。更に、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す第2の仮想位置、及び推奨発車時刻の一本後の列車の発車時刻に間に合うために現在時刻ではどの位置に到達しているべきか表す第3の仮想位置を特定する(ステップS108)。
【0089】
なお、第2、第3の仮想位置の具体的な特定方法は第1の実施形態と基本的に同様であり、詳細な説明は省略するが、第2の仮想位置を特定する際に、現在時刻が推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻を過ぎている場合には、第2の仮想位置は駅地点であるものと特定される。また、第3の仮想位置を特定する際に、現在時刻がセカンドゴーストG3の移動表示を開始すべき時刻よりも前である場合には、第3の仮想位置は出発地点であるものと特定される。
【0090】
続いて、表示手段206が、地図データに基づいて、地図、最適経路、カウントダウン画面、現在地とゴーストG2とプレゴーストとセカンドゴーストG3、及びゴーストG2、プレゴースト、セカンドゴーストG3に従って移動した場合の最終目的地への到着予定時刻、を表示した表示用地図データを作成し、携帯電話機200の表示画面に出力する(ステップS109)。
【0091】
その後、ナビゲーション中に利用者がプレゴーストを追い越した場合、あるいはセカンドゴーストG3に追い越された場合においては、表示切替処理が行なわれる(ステップS110)。表示切替処理に関する詳細は後述する。
【0092】
ナビゲーションが行なわれた結果、目的地(駅)に到着したものと判定された場合には、徒歩区間のナビゲーションが終了となり(ステップS111のYes)、目的地(駅)に到着していないと判定された場合(ステップS111のNo)には、更にナビゲーションが行なわれる。
【0093】
一方で、ステップS105においてナビゲーション開始指示でないと判定された場合、すなわち「カウントダウンボタン」がクリックされたものと判定された場合(ステップS105のNo)には、地図データ取得要求は行なわれず、表示手段206は、列車が現在走行している位置を推定して表示する(図3の画面P30参照)。
【0094】
次に、図10を参照して第2の実施形態におけるナビゲーション中の各種表示の切り替えに関しての処理の流れを説明する。図10は、第2の実施形態におけるナビゲーション中の各種表示の切り替えに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【0095】
先ず、追い越し判定手段209が、利用者の現在地とプレゴーストの位置とを比較し、利用者がプレゴーストを追い越したか否かの判定を行なう(ステップS1101)。この判定は、例えば利用者の現在地の表示を更新するタイミングで行なうものとする。尚、判定のタイミングはこれに限られるものではなく、別途計時手段により生成したタイミングで判定を行うように構成することもできる。
利用者がプレゴーストを追い越したものと判定された場合(ステップS1101のYes)には、ナビゲーションサーバ300に対して推奨発車時刻の二本前の発車時刻の列車に乗った場合の経路探索要求が行なわれる(ステップS1102)。この探索結果にもとづいて、仮想位置特定手段205は、推奨発車時刻の二本前の列車の発車時刻に間に合うための第4の仮想位置を特定する(ステップS1103)。表示手段206は、この第4の仮想位置につき新たなプレゴーストとして地図上に表示するとともに、これまで表示されていたセカンドゴーストG3の表示を行なわないようにする(ステップS1104)。すなわち、以降のナビゲーションにおいては、プレゴーストを追い越す前までのゴーストG2がセカンドゴーストとして機能をし、これまでのプレゴーストがゴーストとして機能し、表示や追い越し判定が行なわれることとなる。
【0096】
また、表示手段206は、推奨発車時刻までのカウントダウン表示を、推奨発車時刻の一本前の列車の発車時刻に対するカウントダウン表示に切り替える(ステップS1105)。
【0097】
一方、利用者がプレゴーストを追い越していないものと判定された場合には(ステップS1101のNo)、各種表示の切り替えは行なわれずステップS1106へ進む。
【0098】
続いて、追い越し判定手段209が、利用者の現在地とセカンドゴーストG3の位置とを比較し、利用者がセカンドゴーストG3に追い越されたか否かの判定を行なう(ステップS1106)。利用者がセカンドゴーストG3に追い越されたものと判定された場合(ステップS1106のYes)には、ナビゲーションサーバ300に対して推奨発車時刻の二本後の発車時刻の列車に乗った場合の経路探索要求が行なわれる(ステップS1107)。この探索結果にもとづいて、仮想位置特定手段205は、推奨発車時刻の二本後の列車の発車時刻に間に合うための第5の仮想位置を特定する(ステップS1108)。表示手段206は、この第5の仮想位置につき新たなセカンドゴーストとして地図上に表示するとともに、これまで表示されていたプレゴーストの表示を行なわないようにする(ステップS1109)。すなわち、以降のナビゲーションにおいては、セカンドゴーストG3に追い越される前までのゴーストG2がプレゴーストとして機能をし、これまでのセカンドゴーストG3がゴーストとして機能し、表示や追い越し判定が行なわれることとなる。
【0099】
また、表示手段206は、推奨発車時刻までのカウントダウン表示を、推奨発車時刻の一本後の列車の発車時刻に対するカウントダウン表示に切り替える(ステップS1110)。一方、利用者がセカンドゴーストに追い越されていないものと判定された場合には(ステップS1106のNo)、各種表示の切り替えは行なわれずにナビゲーションが継続して行なわれる。
【0100】
このように、状況に応じて各ゴーストの表示を切り替えることができ、利用者に対しては、現在の状況において、間に合う可能性のある範囲内の列車に乗るための徒歩ペースを常に示すことができる。
【0101】
次に、本発明の第3の実施形態について図11を用いて説明する。図11(a)は、第3の実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図であり、図11(b)は、第3の実施形態の変形例におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。
【0102】
図11(a)のナビゲーション画面P50には、推奨発車時刻までの残り時間を表示する表示エリアP51、その下部の地図表示エリアが確保され、画面P50の最下部には、出発地からこの徒歩区間の目的地となる交通施設(ここでは「初台駅」)までの道程距離Mを示す距離表示バーBが配置されている。利用者の現在地を示すアイコンW、及び推奨発車時刻に間に合うために現在時刻で到達しているべき仮想位置を示すゴーストG4は、距離表示バーB上に配置されている。このように、出発地から徒歩区間の目的地である駅までの道程距離Mを示す距離表示バーB上に、現在地を示すアイコンWとゴーストG4を表示するように構成することにより、利用者が地図の縮尺を拡大、又は縮小した場合であっても、アイコンWとゴーストG4とを常に表示させることができ、利用者はこの位置関係から時間的余裕を視覚的に把握することができる。
【0103】
ここで、駅までの道程距離Mの違いによって、アイコンWとゴーストG4間の距離が同じであってもアイコンWとゴーストG4間の表示間隔が変化するという問題がある。例えば、道程距離Mが3kmの場合と300mの場合であると、アイコンWとゴーストG4間の距離が同じ100mであっても、道程距離Mが3kmの場合は道程距離Mが300mの場合よりも100mの表示間隔が小さく表示され、利用者は時間的余裕を把握し難いということが考えられる。
【0104】
したがって、第3の実施形態においては、距離表示バーB上でアイコンWとゴーストG4を表示するとともに、アイコンWとゴーストG4との時間差を併せて表示する。現在地がゴーストG4より出発地側(後方)の場合に、例えば図示するように「+1:50」と表示をすることにより、ゴーストG4から1分50秒遅れているということを利用者は容易に把握することができる。
【0105】
また、第3の実施形態においては、地図表示エリアにも現在地を示すアイコンを表示し、これにアイコンIC3のような推奨ペースを示すアイコンを組み合わせて表示をすることで利用者が一層徒歩ペースを調整し易いように構成している。
【0106】
次に、第3の実施形態の変形例について図11(b)を用いて説明する。変形例においては、距離表示バーBを地図の縮尺率と連動したかたちで表示する。すなわち、利用者が地図の縮尺を大きくして地図を拡大表示した場合においては、距離表示バーBの示す距離も連動して短くなり、地図の縮尺を小さくして地図を縮小表示した場合において、距離表示バーBの示す距離も連動して長くなる。
【0107】
なお、変形例においては、仮想位置を特定した結果、仮想位置が距離表示バーB上に配置できないという場合があるが、この場合には、例えばゴーストG4は表示をせず現在地とゴーストG4との時間差のみを表示するようにする。
【0108】
以上の第3の実施形態およびその変形例においては、扱う情報自体は、第1、第2の実施形態と同様であり、アイコンW、ゴーストG4の表示方法のみが異なる。したがって、第3の実施形態は第1、第2の実施形態と同じ構成で実現させることができるため、構成や仮想位置の特定方法等の説明については省略する。
【0109】
なお、第3の実施形態では、距離表示バーB上にゴーストG4を配置した場合について説明をしたが、地図上にも併せてゴーストを配置し、移動表示させるように構成しても良い。また、地図上にゴーストを配置するか否かを利用者が選択可能に構成しても良い。また、他のゴースト(プレゴーストやセカンドゴースト等)を併せて距離表示バーB上に配置し、移動表示させる構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本実施形態におけるナビゲーションシステムの構成及び機能を示す図である。
【図2】ナビゲーションサービスの開始から経路探索を要求するまでの間に表示される各種画面、及びその遷移を説明する図である。
【図3】探索された経路のなかから一つを選択した場合に表示される、経路の詳細を示す経路詳細画面を説明する図である。
【図4】本実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。
【図5】本実施形態におけるナビゲーションが行われる際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】(a)は、利用者とゴーストG1の位置関係の一例を表す模式図であり、(b)は、ゴーストG1の表示と時間経過の一例を表す模式図である。
【図7】第2の実施形態におけるナビゲーションシステムの構成及び機能を示す図である。
【図8】第2の実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。
【図9】第2の実施形態におけるナビゲーションが行われる際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態におけるナビゲーション中の各種表示の切り替えに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11(a)は、第3の実施形態におけるナビゲーション画面の表示例を示す図であり、図11(b)は、第3の実施形態の変形例におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
1 通信ネットワーク
2 携帯電話機
3 ナビゲーションサーバ
21 入力手段
22 通信手段
23 GPS測位手段
24 制御手段
25 仮想位置特定手段
26 表示手段
27 記憶手段
28 計時手段
31 地図データベース
32 時刻表データベース
209 追い越し判定手段
B 距離表示バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション装置において、
利用者の現在地を認識する現在地認識手段と、
前記経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、該徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき仮想位置を特定する仮想位置特定手段と、
前記現在地認識手段が認識した現在地、及び前記仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、該仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示手段と、を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記仮想位置特定手段は、前記徒歩区間が前記目的地までの区間である場合に、前記経路探索の結果提示された到着予定時刻までに該目的地に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき仮想位置を特定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記仮想位置特定手段は、前記経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻の一本前の交通手段の出発時刻、及び/又は、一本後の交通手段の出発時刻に前記交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき第2の仮想位置、及び/又は、第3の仮想位置を特定し、
前記表示手段は、前記現在地、前記仮想位置、前記第2の仮想位置及び/又は第3の位置を示すアイコンを地図の経路上に配置し、前記仮想位置、前記第2の仮想位置及び/又は第3の仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて前記表示装置に移動表示することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示手段は、案内対象とする徒歩区間の道程距離を示す距離表示バーを表示し、前記現在地及び前記仮想位置特定手段により特定された一のあるいは複数の仮想位置を示すアイコンを該距離表示バー上に配置し、該仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて前記表示装置に移動表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記現在地と、前記第2の仮想位置及び前記第3の仮想位置との位置関係を判定する判定手段を備え、
前記現在地が前記第2の仮想位置より前記交通施設側であると判定された場合、或いは
前記現在地が前記第3の仮想位置より前記出発地側であると判定された場合において
前記仮想位置特定手段は、新たな仮想位置を特定し、
前記表示手段は、前記新たな仮想位置を前記表示装置に表示するとともに、該新たな仮想位置から最も離れた仮想位置につき表示を行なわないことを特徴とする請求項3または4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション方法において、
利用者の現在地を認識して、該認識した現在地を示すアイコンを前記地図上に配置し、
前記経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、該徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき仮想位置を特定し、
前記認識した現在地、及び前記仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、該仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する、ことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】
出発地から目的地までの経路探索を行なうナビゲーションサーバと、探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内する端末装置とがネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は、
利用者の現在地を認識する現在地認識手段と、
前記ナビゲーションサーバより受信した前記経路探索結果を記憶する記憶手段と、
前記経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、該徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき仮想位置を特定する仮想位置特定手段と、
前記現在地認識手段が認識した現在地、及び前記仮想位置特定手段が特定した仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図経路上に配置し、該仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示手段と、を具備することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
出発地から目的地までの経路が探索された経路探索結果にもとづき利用者を地図上で案内するナビゲーション装置を構成するコンピュータに実行させるためのナビゲーションプログラムにおいて、
利用者の現在地を認識する現在地認識機能と、
前記経路探索結果のうちの徒歩区間についてナビゲーションを行なう際、該徒歩区間の次区間が交通機関の管理する交通手段によって移動する区間である場合に、経路探索の結果提示された交通手段の出発時刻までに交通施設に到着するうえで、利用者が現在時刻に前記経路上で到達しているべき仮想位置を特定する仮想位置特定機能と、
前記現在地認識手段が認識した現在地、及び前記仮想位置特定手段が特定した仮想位置を示すアイコンをそれぞれ地図の経路上に配置し、該仮想位置を示すアイコンを利用者毎に設定可能な移動速度にもとづいて表示装置に移動表示する表示機能と、を実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−14557(P2010−14557A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175118(P2008−175118)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(599126800)株式会社エムティーアイ (17)
【Fターム(参考)】