説明

ナビゲーション装置

【課題】
放送エリアを移動しても現在視聴中の放送局と同一放送局また同一系列の放送局の番組を視聴し続ける場合、頻繁なチャンネルの切換が発生しないナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】
放送局における送信所の距離から、各送信所からの放送電波の推奨経路上の電界強度41,42を算出する。そして、それぞれの送信所からの放送電波の電界強度41,42を比較して、一方の送信所からの放送電波の電界強度41と他方の送信所からの放送電波の電界強度42との間の強弱関係が変動する地点35〜39を算出する。そして、最終的に変動する地点39において番組を視聴するチャンネルを、電界強度41の放送電波のチャンネルから電界強度42の放送電波のチャンネルに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波放送を受信する機能を有するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムの記憶装置に記憶したテレビジョン用放送局チャンネル情報を利用して、同放送局、あるいは同系列放送局のチャンネルに自動で切り換えを可能とすることで、番組を切れ目なく連続して見ることを可能とする移動体用テレビジョン受信機が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−284030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の発明の移動体用テレビジョン受像機では、同一放送局の周波数が複数存在する地域で放送局の電波を受信する場合、電波の強い方の周波数の電波を受信する。このため、同一放送局の周波数が複数存在する地域を走行する経路によっては、受信する周波数が何度も切り換ってしまう場合がある。このような受信する周波数の切り換りが頻繁に起こる場合、視聴者にとってこの切り換りは目障りおよび耳障りになるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明は、放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが所定の条件を満たすとき、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、推奨経路上において、第2の放送エリアの第2の放送局から第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在するか否かを判断するチャンネル切り換え判断手段をさらに備え、チャンネル切り換え手段は、検出された第1の電界強度と第2の電界強度が所定の条件を満たす場合であっても、チャンネル切り換え判断手段が推奨経路上の先に第2の放送エリアの第2の放送局から第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在すると判断する場合は、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えないことを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが所定の条件を満たすとき、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、推奨経路上の第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第3の電界強度と、第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第4の電界強度とを計算により算出する電界強度算出手段をさらに備え、チャンネル切り換え手段は、検出された第1の電界強度と第2の電界強度が所定の条件を満たす場合であっても、計算により求めた第3の電界強度と第4の電界強度とに基づき、推奨経路上の先に、第2の放送エリアの第2の放送局から第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在すると判断する場合は、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えないことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、第1の放送エリアの第1の放送局のチャンネルから第2の放送エリアの第2の放送局のチャンネルに切り換える前に、電界強度検出手段によって検出される第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度が所定値以下になった場合、電界強度算出手段によって算出された第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第3の電界強度が所定値以上になる地点までの到達時間を算出する到達時間算出手段と、到達時間算出手段によって算出された到達時間を通知する到達時間通知手段とを備えることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度と、第2の放送エリアに隣接する第3の放送エリアの第3の放送局の放送電波の第3の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、検出された第1の電界強度と第2の電界強度が所定の条件を満たすとき、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、推奨経路上の第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第4の電界強度を計算により算出する電界強度算出手段をさらに備え、チャンネル切り換え手段は、検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが所定の条件を満たす場合であっても、計算により求めた第4の電界強度が条件を満たさない場合は、第1の放送エリアの第1の放送局から第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えず、第1の放送エリアの第1の放送局から第3の放送エリアの第3の放送局にチャンネルを切り換えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、放送エリアの放送局の放送電波の電界強度を検出する電界強度検出手段と、複数の放送エリアのうちの放送電波の電界強度が強い放送エリアの放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備えたナビゲーション装置にあって、チャンネル切り換え手段によって切り換る放送エリアの放送局のチャンネルが、同じ2つの放送エリアの放送局のチャンネルの間で複数回連続して切り換る場合は、切り換る回数を減らすことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置にあって、切り換る回数を1回に減らすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、あらかじめ算出した各チャンネルの推奨経路上の電界強度に基づいて受信するチャンネルを切り換えるので、同一放送局また同一系列の放送局の番組を見ようとした場合、頻繁なチャンネルの切換えが発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、地図表示などの通常のナビゲーション機能のほかに、地上デジタル放送を受信し、表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、地上デジタル放送受信部19およびディスクドライブ110を有している。ディスクドライブ110には、地図データが記録されたDVD−ROM111が装填される。地図データは、放送エリア情報、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、乗員の要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。
【0007】
放送エリア情報には、地上デジタル放送の放送電波を送信する送信所からの放送電波が届く領域を示す放送区域の情報、その放送電波の受信チャンネルおよびその送信所の位置、送信所から送信される放送電波の出力の情報、放送局の系列局の情報などが含まれている。ここで、地上デジタル放送とは、放送の内容をデジタル化して地上波に乗せて放送する放送をいう。そして、地上デジタル放送には、地上デジタルテレビジョン放送と地上デジタル音声放送とが含まれる。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0009】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ110によって読み込まれるDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてナビゲーション装置1の乗員に提供する。また、表示モニタ16は、地上デジタル放送受信部19で受信した地上デジタル放送の映像情報を出力する。スピーカ17は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を音声により乗員に提供する。また、スピーカ17は、地上デジタル放送受信部19で受信した地上デジタル放送の音声情報を出力する。
【0012】
入力装置18は、車両の目的地などを乗員が設定するための入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。乗員は、表示モニタ16の表示画面の指示または、スピーカ17からの音声の指示に従って入力装置18を操作することにより、目的地を選択して目的地を設定する。また、入力装置18によって、地上デジタル放送受信部19によって受信される放送局を選択することができる。
【0013】
目的地が乗員により設定されると、ナビゲーション装置1は、現在地検出手段14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、乗員は地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、乗員に対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0014】
地上デジタル放送受信部19は、地上デジタル放送を受信し、その受信した放送の内容を表示モニタ16やスピーカ18に出力する。ディスクドライブ110は、装填されたDVD−ROM111から、表示モニタ16に地図を表示するための地図データを読み出す。なお、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0015】
次に、図2を参照して、地上デジタル放送受信部19について説明する。地上デジタル放送受信部19は、アンテナ21,22、チューナ23,24、復調部25,26、チューナ制御回路27、デコード部28、デコード部RAM29、NTSC(National Television System Committee)エンコード部210、音声信号DA変換部211、受信部制御回路212、受信部ROM213および通信部214を有している。ここで、破線215の部分をフロントエンド部215と、破線216の部分をバックエンド部216と呼ぶ。
【0016】
アンテナ21,22は、地上デジタル放送を受信する機能を有する。チューナ23,24は、アンテナ21,22が受信する放送のチャンネルを設定する機能、アンテナ21,22で受信した信号の電界強度を検出する機能、そして、アナログ信号からデジタル信号に変換する機能を有する。復調部25,26は、チューナ23,24でデジタル信号に変換された信号をデジタル復調する機能を有する。
【0017】
チューナ制御回路27は、チューナ23,24で設定されるチャンネルを制御する機能、2つのチューナ23,24からの信号を合成してデコード部28に出力する機能、チューナ23,24のうちの一方の信号のみをデコード部28に出力する機能を有する。チューナ制御回路27によってチューナに設定されるチャンネルがあるチャンネルからほかのチャンネルに切り換る。また、2つのチューナ23,24からの信号を合成してデコード部28に出力することによって、デコード部28に出力されるデジタル信号の矩形波の形状が改善される。
【0018】
デコード部28は、地上デジタル波の信号に含まれているMPEG圧縮されているデジタル映像信号とデジタル音声信号を圧縮解凍し、抽出する機能を有する。デコード部RAM29はデコード部28で圧縮解凍処理のワークエリアとしての機能を有する。NTSCエンコード部210は、デコード部28で抽出されたデジタル映像信号をNTSC方式のアナログ出力映像信号に変換し、モニタ16に出力する機能を有する。音声信号DA変換回路211は、デコード部28で抽出されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ17に出力する機能を有する。映像出力については、NTSCを例としたが、PAL((Phase Alternation by Line system)方式やPC(Personal Computer)などに使用されているRGB、DVI(Digital Video Interface)家電で使用されているHDMI(High Definition Multimedia Interface)などでもよい。
【0019】
受信部制御回路212は、チューナ制御回路27やデコード部28の動作を制御する機能を有する。受信部制御回路212による制御により、チューナ制御回路27によって設定されるチューナ23,24のうちの一方のチューナのチャンネルを走査し、受信可能なチャンネルを検出する。機能通信部214は、制御回路11からの出力を入力し、受信部制御回路212に出力する機能を有する。
【0020】
次に、本発明の第1の実施形態であるナビゲーション装置1におけるチャンネル切換え処理の内容を、図3〜図5を参照して説明する。
【0021】
図3は、自車両が放送エリア間を移動する様子を説明するための図である。自車両31は推奨経路32を通過して放送エリア33から放送エリア34へ移動している。放送エリア33では、放送局Aの番組が、たとえば3チャンネルで放送されているものとする。そして、自車両31では、この番組を現在視聴中であるとする。この現在視聴している番組のチャンネルを以下、現在視聴中チャンネルと呼ぶ。次の移動先である放送エリア34では、現在視聴中の番組を放送している放送局Aと同一の放送局または同系列局の放送局である放送局Bの番組が、たとえば7チャンネルで放送されているものとする。自車両31の乗員は、放送局Aで放送している番組を引き続き視聴するために、次の移動先である放送エリア34では、放送局Bの番組を視聴することになる。この次の移動先の放送エリアで視聴するチャンネルを以下、切換え対象チャンネルと呼ぶ。
【0022】
推奨経路32上の地点35〜39は、放送局Aの放送電波の電界強度と、放送局Bの放送電波の電界強度が同じである地点、つまり、その地点を通過すると放送局Aの放送電波の電界強度である3チャンネルの電界強度が、放送局Bの放送電波の電界強度である7チャンネルの電界強度より強くなったり弱くなったりする地点を示している。すなわち、点35,36,37,38,39を結ぶ線より右側は3チャンネルの電界強度が強く、左側は7チャンネルの電界強度が強い。また、推奨経路32上の点310は推奨経路上で一時的に放送エリア33から外れる位置であり、点311は再び放送エリア33に戻る位置である。
【0023】
従来の移動体用テレビジョン受信機では、単にチャンネルの電界強度によって番組を視聴するチャンネルを切り換えるので、点35では、番組を視聴するチャンネルが3チャンネルから7チャンネルに切り換り、点36では、7チャンネルから3チャンネルに切り換り、点37では、再び3チャンネルから7チャンネルに切り換り、点38では、再び7チャンネルから3チャンネルに切り換り、そして、点39で3チャンネルから7チャンネルに切り換る。このように、最終的に点39で、3チャンネルから7チャンネルに切り換るまでの間に、何度も現在視聴中チャンネルと切換対象チャンネルの間でチャンネルが切り換り、自車両31の乗員である番組の視聴者にとっては非常に目障りに感じ、また、耳障りに感じる。
【0024】
一方、本願発明の第1の実施形態の発明では、推奨経路32上の地点36〜38では、チャンネルの切換えは行われずに、点39によって初めて番組を視聴するチャンネルを3チャンネルから7チャンネルに、つまり放送局Aから放送局Bにチャンネルを切り換る。推奨経路32上の点310,311では、番組の視聴が途中途切れるものの、番組を視聴するチャンネルの切換えは点39でしか行われないので、視聴者は目障り、耳障りに感じることはない。
【0025】
次に図4を参照して、放送局Aの放送電波の推奨経路32上の電界強度、つまり現在視聴中チャンネルの放送電波の推奨経路32上の電界強度と、放送局Bの放送電波の推奨経路32上の電界強度、つまり切換え対象チャンネルの放送電波の推奨経路32上の電界強度について説明する。電界強度曲線41が、現在視聴中の放送局Aの番組が放送されている現在視聴中チャンネルである3チャンネルの推奨経路32上の電界強度である。そして、電界強度曲線42が、現在視聴中の番組を放送している放送局Aと同一の放送局または同系列局の放送局である放送局Bの番組が放送されている切換え対象チャンネルである7チャンネルの電界強度である。
【0026】
図4の点36〜39は、図3の推奨経路32上の現在視聴中チャンネルの電界強度と、切換え対象チャンネルの電界強度が同じ値の地点、つまり、その地点を通過すると現在視聴中チャンネルの電界強度が、切換え対象チャンネルの電界強度より強くなったり弱くなったりする地点である。また、図4の点310は、図3において推奨経路32上で一時的に放送エリア33から外れる位置であり、つまり現在視聴中チャンネルの番組の視聴が不可能になる地点であり、点311は、再び放送エリア33に戻る位置、つまり再び現在視聴中チャンネルの番組の視聴が再び可能になる地点である。図4に記載されている所要限界値とは、地上デジタル放送受信部19による番組の視聴が可能な放送電波の最低の電界強度をいう。たとえば、60dBμV/mである。
【0027】
点36〜38のように、現在視聴中チャンネルの電界強度と、切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値の地点のうち、推奨経路32を進行すると再び現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値になるものを以下、電界強度変化点と呼ぶ。また、点39のように、現在視聴中チャンネルの電界強度と、切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値の地点のうち、推奨経路32を進行しても再び現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値にならないものを以下、チャンネル切換点と呼ぶ。また、チャンネル切換点の前で、現在視聴中の番組の放送されている放送電波の電界強度が所要限界値よりも小さくなり、番組の視聴できなくなる点を以下、視聴中断開始点と呼ぶ。また、再び、視聴できるようになる点を視聴中断終了点と呼ぶ。
【0028】
各放送エリアにおける送信所からの放送電波の推奨経路上の電界強度は、直接測定しなくてもDVD−ROM111に記憶されている地上デジタル放送の送信所の位置および送信所の出力値から算出することができる。推奨経路上の電界強度の算出について、図5を参照して説明する。
【0029】
図5(a)の記号51は地上デジタル放送の放送エリアにおける送信所を示し、円52は送信所51から距離r離れた地点を示す。そして、送信所51から距離r離れた地点52とその地点における電界強度の関係は、図5(b)に示すように距離の2乗に反比例する。よって、送信所51の放送電波の出力値がわかれば、送信所51から距離r離れた地点の電界強度を算出することができる。
【0030】
以上のようにして、推奨経路上の各点の位置と、その位置における送信所からの距離とから推奨経路上の電界強度は算出することができる。そして、各放送エリアの送信所からの放送電波の電界強度を算出し、比較することにより、推奨経路上の電界強度変化点、チャンネル切換点、視聴中断開始点、視聴中断終了点が、推奨経路上に存在するか否かがわかる。そして、存在する場合は、推奨経路上の電界強度変化点、チャンネル切換点、視聴中断開始点、視聴中断終了点の位置がわかる。
【0031】
たとえば、推奨経路上の電界強度を算出した結果、現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度が同じ値になる地点で、推奨経路をさらに進むと再び現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値になる場合は、その地点は電界強度変化点となり、同じ値にならない場合は、その地点はチャンネル切換点になる。また、推奨経路を進むと現在視聴中チャンネルの電界強度が所要限界値以下になる地点は、視聴中断開始点となり、さらに進むと、再び現在視聴中チャンネルの電界強度が所要限界値以上になる地点は、視聴中断終了点となる。
【0032】
次に、本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置の制御回路11のチャンネル切換え処理の動作を、図6〜8のフローチャートを使用して説明する。図6〜8の処理は、目的地を入力するとスタートするプログラムにより実行される。スタートの状態では、地上デジタル放送をアンテナ21で受信し、チューナ23により地上デジタル放送の番組を視聴している。
【0033】
ステップS601では、出発地から目的地までの推奨経路32を探索する。ステップS602では、DVD−ROM111に記憶されている放送エリア情報より、推奨経路32が通過する放送エリアと、同一のまたは同系列の放送局の番組を視聴し続けるためのチャンネルの情報を取得する。ステップS603では、各放送エリアにおける同一のまたは同系列の放送局の放送エリアにおける送信所の位置およびその送信所から送信される放送電波の出力値から、同一のまたは同系列の放送局の番組を視聴し続けるために受信する、各放送エリアの放送局の放送電波の推奨経路32上の電界強度を算出する。
【0034】
ステップS604では、推奨経路32上に電界強度変化点36〜38が存在するか判定を行う。ステップS604が肯定判定された場合は、ステップS605へ進む。ステップS604が否定判定された場合は、図8のステップS801へ進む。ステップS605では、乗員に対して、チャンネルの切換えが頻繁に発生することを通知する。ステップS605では、頻繁なチャンネルの切換え発生を防止する「頻繁切換防止モード」にするか、電界強度の強弱によってチャンネルを切り換える「電界強度切換モード」にするか、乗員に対して選択させる。乗員が「頻繁切換防止モード」を選択した場合は、図7のステップS701へ進む。乗員が「電界強度切換モード」を選択した場合は、図8のステップS801へ進む。
【0035】
図7のステップS701では、図6のステップS603で算出した各放送エリアの放送局の放送電波の推奨経路32上の電界強度の結果より、放送中断開始点310、放送中断終了点311、チャンネル切換点39の推奨経路上の位置を算出する。ステップS702では、現在地検出装置14で自車両31の現在地の情報を検出する。ステップS703では、次の移動先は視聴中断開始点310か、チャンネル切換点39か判定を行う。次の移動先が視聴中断開始点310の場合は、ステップS704へ進む。次の移動先がチャンネル切換点39の場合は、ステップS705へ進む。
【0036】
ステップS704では、現在視聴中チャンネルの電界強度をナビゲーション装置1の地上デジタル放送受信部19のチューナ23で検出する。ステップS706では、現在視聴中チャンネルの電界強度が所要限界値以下であるか判定を行う。ステップS706が肯定判定の場合は、ステップS707へ進む。ステップS706が否定判定の場合は、ステップS704へ戻る。ステップS707では、現在地検出装置14によって現在地の情報を検出する。ステップS708では、推奨経路32上の現在地から視聴中断終了点311までの距離を算出し、その距離を車速センサ14bで検出した車速で割り算することによって視聴中断終了点311までの所要時間を算出する。そして、ステップS709では、番組の視聴が一時中断する旨をスピーカ17からアナウンスし、視聴中断終了点311までの所要時間を表示モニタ16やスピーカ17から出力する。そして番組を中断する旨および中断する番組の視聴が再開できるまでの時間を自車両31の乗員に通知する。
【0037】
ステップS710では、地上デジタル放送の番組の表示モニタ16やスピーカ17への出力を停止し、地上デジタル放送の番組の視聴を中断する。ステップS711では、電界強度が所要限界値以上か判定を行う。ステップS711が肯定判定の場合は、ステップS712へ進む。ステップS711が否定判定の場合は、ステップS709へ戻る。ステップS712では、地上デジタル放送の番組の表示モニタ16やスピーカ17への出力を再開し、地上デジタル放送の番組の視聴を開始する。ステップS713では、現在地装置14により現在地の情報を検出する。ステップS714では、次の移動先に視聴中断開始点310かチャンネル切換点39はあるか判定を行う。ステップS714が肯定判定の場合は、ステップS703へ進む。ステップS714が否定判定の場合はチャンネル切換え処理を終了する。
【0038】
ステップS705では、現在地検出装置14によって現在地の情報を検出する。ステップS715では、自車両31がチャンネル切換点39からの所定の範囲内に到達したか否かの判定を行う。ステップS715が肯定判定された場合は、ステップS716へ進む。ステップS715が否定判定された場合は、ステップS705へ戻る。ステップS716では、現在視聴中チャンネルおよび切換え対象チャンネルの電界強度を検出する。現在視聴中チャンネルの電界強度は地上デジタル放送受信部19のチューナ23で検出する。また、切換え対象チャンネルの電界強度は地上デジタル放送受信部19のチューナ24で検出する。
【0039】
ステップS717では、現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度を比較し、切換え対象チャンネルの電界強度の方が強いか判定を行う。切換え対象チャンネルの方が現在視聴中チャンネルの電界強度より強い場合、つまりステップS717が肯定判定の場合は、ステップS718へ進む。ステップS717が否定判定の場合はステップS716へ戻る。ステップS718では、チューナ23で受信しているチャンネルを現在視聴中チャンネルから切換え対象チャンネルに切換え、切換え対象チャンネルの番組を視聴する。
【0040】
図8のステップS801では、現在地検出装置14によって現在地の情報を検出する。ステップS802では、現在視聴中チャンネルおよび切換え対象チャンネルの電界強度を検出する。現在視聴中チャンネルの電界強度は、地上デジタル放送受信部19のチューナ23で検出する。また、切換え対象チャンネルの電界強度は、地上デジタル放送受信部19のチューナ24で検出する。
【0041】
ステップS803では、現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度を比較し、切換え対象チャンネルの電界強度の方が強いか判定を行う。切換え対象チャンネルの方が現在視聴中チャンネルの電界強度より強い場合、つまりステップS803が肯定判定の場合は、ステップS804へ進む。ステップS803が否定判定の場合は、ステップS802へ戻る。ステップS804では、チューナ23で受信しているチャンネルを現在視聴中チャンネルから切換え対象チャンネルに切換え、切換え対象チャンネルの番組を視聴する。ステップS805では、次の切換え対象チャンネルはないか判定を行う。次の切換え対象チャンネルがある場合は、ステップS805は否定判定され、ステップS801へ進む。切換え対象チャンネルがない場合は、ステップS805は肯定判定され、チャンネル切換え処理は終了する。
【0042】
以上の本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
(1)現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値になった後、その先で現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが、再び同じ値にならないようになる地点まで、現在視聴中チャンネルと切換え対象チャンネルとの間で、視聴するチャンネルの切換えは発生しない。このため、放送電波の電界強度が強い放送エリアの放送局にチャンネルを切り換える場合に、同じ2つの放送エリアの放送局のチャンネルの間で複数回連続して切り換る場合であっても、本発明の実施の形態では、その切り換る回数を減らすことができる。このため、視聴者に目障り、耳障りな頻繁なチャンネルの切り換りを減らすことができる。
(2)現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが同じ値になった後、その先で現在視聴中チャンネルの電界強度と切換え対象チャンネルの電界強度とが、再び同じ値にならないようになる地点まで、現在視聴中チャンネルと切換え対象チャンネルとの間で、視聴するチャンネルの切換えは発生しない。このため、放送電波の電界強度が強い放送エリアの放送局にチャンネルを切り換える場合に、同じ2つの放送エリアの放送局のチャンネルの間で複数回連続して切り換る場合であっても、本発明の実施の形態では、その切り換る回数を1回に減らすことができる。このため、視聴者に目障り、耳障りな頻繁なチャンネルの切り換りが生じない。
(3)現在視聴中の番組が中断した場合であっても、番組の視聴を再開できるまでの時間を表示するので、視聴者にいらいら感を発生させない。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態であるナビゲーション装置1におけるチャンネル切換え処理の内容を、図9を参照して説明する。
【0044】
図9は、自車両が複数の放送エリアを移動する様子を説明するための図である。自車両91は点Aを出発点として、推奨経路92を通過して放送エリア93から放送エリア94、放送エリア95、放送エリア96、放送エリア97を通って目的地Bへ移動するものとする。放送エリア93では、自車両91で現在視聴中の放送局Aの番組が、たとえば3チャンネルで放送されているものとする。このように現在視聴しているチャンネルを以下、現在視聴中チャンネルと呼ぶ。そして、放送エリア95,97でも、放送局Aの番組が3チャンネルで放送されているものとする。
【0045】
また、放送エリア94,96では、現在視聴中の番組を放送している放送局Aと同一の放送局または同系列局の放送局である放送局Bの番組が、たとえば7チャンネルで放送されているものとする。よって、推奨経路93上で、現在視聴中の番組を放送している放送局Aと同一の放送局または同系列局の放送局の番組を視聴し続けた場合に、チャンネルが所々で3チャンネルから7チャンネルに切り換る。このように現在視聴中チャンネルである3チャンネルから所々切り換るチャンネルである7チャンネルを以下、一時切換え対象チャンネルと呼ぶ。
【0046】
推奨経路92上の点910〜914は、3チャンネルの放送電波の電界強度と、7チャンネルの放送電波の電界強度が同じ値の地点、つまり、その地点を通過すると3チャンネルの電界強度が7チャンネルの電界強度より強くなったり弱くなったりする地点を示している。これより、チャンネルの電界強度によって番組を視聴するチャンネルを切り換える場合、自車両91が点910の位置に到着したとき番組を視聴するチャンネルを3チャンネルから7チャンネルに切換え、また、点912の位置で、番組を視聴するチャンネルを7チャンネルから3チャンネルに切り換える。そして、点913において、番組を視聴するチャンネルを再び3チャンネルから7チャンネルに切換え、点914の位置で7チャンネルから3チャンネルに番組を視聴するチャンネルを切り換える。
【0047】
推奨経路92上の点915は、放送エリア93から外れる位置であり、点916は、放送エリア95に入る位置である。また、推奨経路92上の点917は、放送エリア95から外れる位置であり、点918は、放送エリア97に入る点である。よって、3チャンネルの番組を視聴し続けた場合、点915の位置で番組の視聴が中断し、点916の位置で番組の視聴が再開され、再び点917の位置で番組の視聴が中断し、点918の位置で番組の視聴が再開される。
【0048】
ところで、現在視聴中チャンネルが一時切換え対象チャンネルに一時的に切り換った場合、表示される画面や音声がきれいであれば一時切換え対象チャンネルに切り換えた利点は存在する。しかし、一時切換え対象チャンネルに切り換えたときの画面や音声が悪い場合は、かえって視聴者にとって目障り、耳障りとなる。
【0049】
そこで、本発明の第2の実施形態では、一時切換え対象チャンネルの番組の画質や音質が悪い場合は、視聴するチャンネルを一時切換え対象チャンネルに切り換えず、そのまま、現在視聴中チャンネルで視聴し続けるようにしている。一時切換え対象チャンネルの番組の画質や音質が悪いか否かは一時切換え対象チャンネルの電界強度が所定値以上か否かによって判定する。
【0050】
推奨経路92上の各チャンネルの電界強度は、本発明の第1の実施例と同様に、各放送エリアにおける送信所の出力値および送信所からの距離によって算出される。送信所からの距離によって算出された推奨経路93上の電界強度を図10に示す。電界強度曲線101が放送エリア93における送信所から送信される3チャンネルの電界強度、つまり放送エリア93の放送局の放送電波の電界強度を示す曲線であり、電界強度曲線102が放送エリア94における送信所から送信される7チャンネルの電界強度、つまり放送エリア94の放送局の放送電波の電界強度を示す曲線である。また、電界強度曲線103が放送エリア95における送信所から送信される3チャンネルの電界強度、つまり放送エリア95の放送局の放送電波の電界強度を示す曲線であり、電界強度曲線104が放送エリア96における送信所から送信される3チャンネルの電界強度、つまり放送エリア96の放送局の放送電波を示す曲線である。そして、電界強度曲線105が放送エリア97における送信所から送信される3チャンネルの電界強度、つまり放送エリア97の放送局の放送電波の電界強度を示す曲線である。
【0051】
また、図10の推奨経路を表す横軸には、図9の点910〜918に相当する位置に同じ数字が付してある。そして、所要限界値とは、第1の実施例の説明と同様に、地上デジタル放送受信部19により視聴可能な放送電波の電界強度の下限値をいう。
【0052】
本発明の第2の実施形態では、電界曲線102と電界曲線104との最大値が所要限界値とあまり変わらない場合、たとえば所要限界値の2倍以内の場合は、番組を視聴するチャンネルを7チャンネルに切り換えても画像や音声の悪い放送を受信するだけなので、番組を視聴するチャンネルを7チャンネルに切り換えない。そして、出発地Aから目的地Bまで、番組を視聴するチャンネルを切り換えず、3チャンネルに維持する。番組を視聴するチャンネルを3チャンネルのままにすると、点915の位置から点916の間および、点917から点918の間では番組を視聴することはできない。この場合、第1の実施例の場合と同様に、番組の視聴が再開できるまでの時間を自車両の乗員に通知し、番組の視聴を中断する。
【0053】
次に本発明の第2の実施形態におけるナビゲーション装置1における制御回路11のチャンネル切換え処理の動作を図11および図12のフローチャートを使用して説明する。図11,12の処理は、目的地を入力するとスタートするプログラムにより実行される。スタートの状態では、地上デジタル放送をアンテナ21で受信し、チューナ23により地上デジタル放送の番組を視聴している。第1の実施形態における図6〜8のフローチャートと同じプロセスのステップは同じ符号を付け、説明は省略する。
【0054】
図11のステップS1140では、ステップS603で算出した推奨経路93上の電界強度から、受信する放送電波の電界強度に基づいてチャンネルを切り換えた場合に、現在視聴中チャンネルが途中、一時切換え対象チャンネルに切り換るか判定を行う。ステップS1104が肯定判定された場合は、図12のステップS1201へ進む。ステップS1204が否定判定された場合は、チャンネル切換え処理は終了する。
【0055】
図12のステップS1201では、図11のステップS603で算出した各放送局における送信所からの放送電波の推奨経路92上の電界強度の結果より、一時切換え対象チャンネルの電界強度の最大値が所定値以上であるか判定を行う。所定値以上の場合は、図8のステップS801へ進む。そして、現在視聴中チャンネルの電界強度と一時切換え対象チャンネルの電界強度を比較することによって、番組を視聴するチャンネルを切り換える。このとき、図4のフローチャートで「切換え対象チャンネル」を「切換え対象チャンネルまたは一時切換え対象チャンネル」と読み替える。ステップS1201が否定判定された場合は、ステップS702へ進む。ステップS1203では、次の移動先は視聴中断開始点915,917か判定を行う。ステップS1203が肯定判定の場合は、ステップS704へ進む。ステップS1203が否定判定の場合は、処理を終了する。
【0056】
以上の本発明の第2の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
(1)一時切換え対象チャンネルの電界強度が弱い場合は、途中一時切換え対象チャンネルへのチャンネルの切換えは発生しないので、視聴者に目障り、耳障りなチャンネルの切り換りが生じない。
【0057】
以上の第2の実施形態では、放送エリア93,95,97で番組を視聴するチャンネルは全て3チャンネルで同じであったが、同じチャンネルには限定されない。また、放送エリア94,96においても全て7チャンネルであったが、同じチャンネルには限定されない。
【0058】
以上の第2の実施形態では、7チャンネルの電界強度の最大値が所定値以下の場合は、3チャンネルのみ受信し、3チャンネルの番組が視聴できないときは、視聴を中断するのみであったが、さらに、3チャンネルの番組が視聴できない視聴中断時間を最小にする経路を探索し、推奨経路をこの視聴中断時間が最小になる経路に変更するようにしてもよい。たとえば、図9で推奨経路を推奨経路92から経路98に変更するようにしてもよい。このように推奨経路を変更することによって、番組が視聴できない時間が短くなり、番組が中断されることによる視聴者のいらいら感を緩和することができる。
【0059】
以上の実施形態では、各放送エリアの放送局の放送電波の推奨経路上の電界強度を放送局における送信所からの距離によって算出したが、送信所からの距離以外に地形を考慮に入れて電界強度を算出してもよい。また、あらかじめ送信所からの電界強度の分布を測定して地図上に表した電界強度マップから推奨経路上の電界強度を算出してもよい。
【0060】
上記の各実施形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより放送エリア情報を読み出して制御回路11において放送局の推奨経路上の放送電波の電界強度を算出する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、放送局の推奨経路上の放送電波の電界強度を情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、上記に説明したような放送局の推奨経路上の放送電波の電界強度の算出を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信するようにしてもよい。すなわち、情報配信センターは、推奨経路上の電界強度を算出する装置と、その推奨経路上の電界強度を外部へ信号出力する装置によって構成される。
【0061】
以上の実施形態では、地上デジタル放送について適用したが、地上波放送であれば、地上デジタル放送に限定されない。たとえば、アナログのテレビジョン放送やアナログのラジオ放送に適用してもよい。
【0062】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の経路探索手段は制御回路11に対応し、放送出力手段は表示モニタ16およびスピーカ17に対応する。電界強度検出手段はチューナ23、チューナ24に対応し、チャンネル切り換え手段はチューナ制御回路27に対応する。チャンネル切り換え判断手段および電界強度算出手段は制御回路11に対応する。到達時間算出手段は制御回路11に対応し、到着時間通知手段は表示モニタ16およびスピーカ17に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地上デジタル放送受信部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における自車両の放送エリア間の移動を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における送信所からの放送電波の推奨経路上の電界強度を説明するための図である。
【図5】放送局における送信所からの距離と、その距離における送信所からの放送電波の電界強度との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるチャンネル切換え処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるチャンネル切換え処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるチャンネル切換え処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態における自車両の放送エリア間の移動を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における送信所からの放送電波の推奨経路上の電界強度を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の実施形態におけるチャンネル切換え処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態におけるチャンネル切換え処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
17 スピーカ
18 入力装置
19 地上デジタル放送受信部
23,24 チューナ
27 チューナ制御回路
31,91 自車両
32,92 推奨経路
33,34,93〜97 放送エリア
51 送信所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、
第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、前記第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、
前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度が所定の条件を満たすとき、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、
前記推奨経路上において、前記第2の放送エリアの第2の放送局から前記第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在するか否かを判断するチャンネル切り換え判断手段をさらに備え、
前記チャンネル切り換え手段は、前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが前記所定の条件を満たす場合であっても、前記チャンネル切り換え判断手段が前記推奨経路上の先に前記第2の放送エリアの第2の放送局から前記第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在すると判断する場合は、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、
第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、前記第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、
前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度が所定の条件を満たすとき、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、
前記推奨経路上の前記第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第3の電界強度と、前記第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第4の電界強度とを計算により算出する電界強度算出手段をさらに備え、
前記チャンネル切り換え手段は、前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが前記所定の条件を満たす場合であっても、前記計算により求めた第3の電界強度と前記第4の電界強度とに基づき、前記推奨経路上の先に、前記第2の放送エリアの第2の放送局から前記第1の放送エリアの第1の放送局にチャンネルを切り換える場合が存在すると判断する場合は、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記第1の放送エリアの第1の放送局のチャンネルから前記第2の放送エリアの第2の放送局のチャンネルに切り換える前に、前記電界強度検出手段によって検出される前記第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度が所定値以下になった場合、前記電界強度算出手段によって算出された前記第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第3の電界強度が所定値以上になる地点までの到達時間を算出する到達時間算出手段と、
前記到達時間算出手段によって算出された到達時間を通知する到達時間通知手段とを備えることを特徴とする移動体用受信装置。
【請求項4】
放送を受信して出力する機能を有するナビゲーション装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
設定されたチャンネルの放送局の放送を受信して出力する放送出力手段と、
第1の放送エリアの第1の放送局の放送電波の第1の電界強度と、前記第1の放送エリアに隣接する第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第2の電界強度と、前記第2の放送エリアに隣接する第3の放送エリアの第3の放送局の放送電波の第3の電界強度とを検出する電界強度検出手段と、
前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度とが所定の条件を満たすとき、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備え、
前記推奨経路上の前記第2の放送エリアの第2の放送局の放送電波の第4の電界強度を計算により算出する電界強度算出手段をさらに備え、
前記チャンネル切り換え手段は、前記検出された第1の電界強度と第2の電界強度が前記所定の条件を満たす場合であっても、前記計算により求めた第4の電界強度が所定の条件を満たさない場合は、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第2の放送エリアの第2の放送局にチャンネルを切り換えず、前記第1の放送エリアの第1の放送局から前記第3の放送エリアの第3の放送局にチャンネルを切り換えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
放送エリアの放送局の放送電波の電界強度を検出する電界強度検出手段と、
複数の放送エリアのうちの放送電波の電界強度が強い放送エリアの放送局にチャンネルを切り換えるチャンネル切り換え手段とを備えたナビゲーション装置にあって、
前記チャンネル切り換え手段によって切り換る放送エリアの放送局のチャンネルが、同じ2つの放送エリアの放送局のチャンネルの間で複数回連続して切り換る場合は、切り換る回数を減らすことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置にあって、
前記切り換る回数を1回に減らすことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−184093(P2006−184093A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376787(P2004−376787)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】