説明

ナビゲーション装置

【課題】 立体交差化された道路を容易に検出することができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】 交差点位置を含む地図データを格納する地図DB10等と、自車両の走行位置を検出するGPS受信機2、自律航法センサ3、車両位置計算部20と、地図DB10等に格納された地図データと検出された自車位置とに基づいて自車両が交差点を通過したことを判定する交差点通過判定部30と、交差点通過判定部30によって通過したと判定された交差点を通過する際の走行軌跡を記録する走行軌跡記録部32と、走行軌跡記録部32によって記録された走行軌跡に基づいて、通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定する立体交差判定部34とが備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行軌跡を検出して走行案内等を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行軌跡を検出して地図データの更新タイミングの判定に役立てるようにしたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このナビゲーション装置では、自車両が道路上を走行していないと判定された累積頻度に応じて地図データ更新を示唆する通知が行われる。利用者は、この通知を受け取った後に、必要に応じて、最新の地図データが格納されたDVDを購入するなどの動作を起こせばよい。
【特許文献1】特開2004−233174号公報(第5−13頁、図1−13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、実際の走行軌跡が地図データで示される道路から大きく外れたときに、実際に走行している道路が新設されたものと判断されるため、T字路の交差点が立体交差化されたような小さな変更を検出することができないという問題があった。このため、このような立体交差点における進入路と退出路が新たに設けられたにもかかわらず、地図データの更新がいつまでも行われないことになり、自車位置の表示が不自然になる。例えば、多くのナビゲーション装置では、マップマッチング処理を行って道路形状に合わせて自車位置を修正している。このため、新設された進入路に車両が進入すると、その時点の地図データで示される古い道路から自車位置が次第に離れていってしまうが、少しするとマップマッチング処理によって自車位置がこの古い道路上に修正される。しかし、車両は新設された道路を走行中であるため、その後も古い道路から自車位置が次第に離れてしまい、少しすると再びマップマッチング処理によって自車位置が古い道路上に修正される。このような自車位置修正が所定間隔で繰り返されることになり、自車位置の表示が不自然になる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、立体交差化された道路を容易に検出することができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、交差点位置を含む地図データを格納する地図データ格納手段と、自車両の走行位置を検出する車両位置検出手段と、地図データ格納手段に格納された地図データと、車両位置検出手段によって検出された自車両の走行位置とに基づいて、自車両が交差点を通過したことを判定する交差点通過判定手段と、交差点通過判定手段によって通過したと判定された交差点を通過する際の走行軌跡を記録する走行軌跡記録手段と、走行軌跡記録手段によって記録された走行軌跡に基づいて、通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定する立体交差判定手段とを備えている。交差点が立体交差化されると、交差する2つの道路の間の形成される進入路と退出路の形状が異なることが多いため、交差点を双方向に通過する際の走行軌跡を記録しておいて比較することにより、立体交差化された道路を容易に検出することができる。
【0006】
また、上述した交差点通過判定手段は、自車両が直進以外の右折あるいは左折を行った交差点のみを、通過した交差点として判定することが望ましい。立体交差化された場合であっても、この立体交差化された交差点を直進するだけだと走行軌跡に違いが現れない。そこで、右左折する場合に限って判定の対象とすることにより、走行軌跡を記録する交差点の数を減らすことができ、しかも高い精度で道路の立体交差化の有無を判定することが可能になる。
【0007】
また、上述した走行軌跡記録手段は、交差点通過判定手段によって通過したと判定されたそれぞれの交差点について、同一の走行経路に対応する双方向の2つの走行軌跡を記録し、立体交差判定手段は、一の交差点に対応する双方向の2つの走行軌跡に基づいて、通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定することが望ましい。具体的には、立体交差判定手段は、2つの走行軌跡が異なるときに、通過した交差点が立体交差化されたものと判定することが望ましい。立体交差化されていない交差点を通過する場合には、同一の走行経路を双方向に走行する場合にはこれらの走行軌跡がほぼ一致する。しかし、この交差点が立体交差化されると、同一の走行経路であっても走行方向が反対になると走行軌跡も大きく変わることが多い。したがって、同一の走行経路に対応する双方向の走行軌跡に違いが生じたときに立体交差化が行われたものと判定すると、高い精度で道路の立体交差化の有無を反映することができる。
【0008】
また、上述した走行軌跡記録手段は、一の交差点に対応する2つの走行軌跡の記録を、この交差点を含む同一の走行経路に沿って一方向に自車両が走行してから一定期間内に逆方向に自車両が走行した場合に行うことが望ましい。これにより、偶然通過した場合のように走行頻度が低い交差点についての双方向の走行軌跡の記録を行わないことで、記録容量を少なくすることができるとともに、通過する頻度が高い重要な交差点についてのみ道路の立体交差化の判定を確実に行うことができる。
【0009】
また、上述した地図データ格納手段に格納された地図データで示される地図上の道路形状と車両位置検出手段によって検出された自車両の走行位置とに基づいて自車両の走行位置を修正するマップマッチング処理を行う車両位置修正手段と、地図データ格納手段に格納された地図データに基づいて、自車両の走行位置を示す車両位置マーク画像を含む周辺の地図画像を描画して表示する地図表示手段とをさらに備え、地図表示手段は、立体交差判定手段によって立体交差化されたと判定された交差点を自車両が通過する際に、車両位置修正手段によって修正される前の自車両の走行位置を用いて車両位置マーク画像の描画を行うことが望ましい。これにより、立体交差化された交差点の道路を通過する際に、立体交差化される前の古い道路の地図データを用いてマップマッチング処理を行って、この古い道路上に自車位置を修正することによって生じる不自然な表示をなくすことができる。
【0010】
また、上述した地図表示手段は、立体交差判定手段によって立体交差化されたと判定された交差点に対応して、走行軌跡記録手段によって記録された走行軌跡に沿った道路画像を追加して地図画像の描画を行うことが望ましい。これにより、立体交差化に伴って新設された進入路や退出路等に対応する仮の道路形状を追加することができるため、道路のない場所を車両が走行する表示を回避することができ、表示の不自然さをさらになくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載用のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、GPS受信機2、自律航法センサ3、リモートコントロール(リモコン)ユニット4、ディスプレイ装置5を含んで構成されている。
【0012】
ナビゲーションコントローラ1は、ナビゲーション装置の全体動作を制御するものである。このナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0013】
GPS受信機2は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算し(車両方位は現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)、これらを測位時刻とともに出力する。また、自律航法センサ3は、車両回転角度を相対方位として検出する振動ジャイロ等の角度センサと、所定走行距離毎に1個のパルスを出力する距離センサとを備えており、車両の相対位置および方位を検出する。
【0014】
リモコンユニット4は、上下左右等の方向を指定するジョイスティックと、数字を入力するテンキーや各種の設定などを確定する「決定キー」などの各種の操作キーとを備えており、操作内容に応じた信号をナビゲーションコントローラ1に出力する。ディスプレイ装置5は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、自車位置周辺の地図画像を含む各種画像を表示する。
【0015】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図DB(データベース)10、地図データ処理部12、地図バッファ14、地図描画部16、車両位置計算部20、車両位置修正部22、交差点通過判定部30、走行軌跡記録部32、立体交差判定部34、入力処理部40、表示処理部50を含んで構成されている。
【0016】
地図DB10は、地図表示や経路探索などに必要な交差点位置を含む地図データを格納する。例えば、ハードディスク装置が用いられるが、ディスクドライブ装置にDVDやCDを装填して地図DBとして用いるようにしてもよい。この地図DB10には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。地図データ処理部12は、地図DB10に格納された地図データの読出しと書込み(更新)を行う。例えば、地図データ処理部12は、車両位置修正部22により算出される車両位置や入力処理部40の操作によって決定されたカーソル位置が指定されると、所定範囲の地図データを地図DB10から読み出す。
【0017】
地図バッファ14は、地図データ処理部12によって地図DB10から読み出された地図データを一時的に格納する。地図描画部16は、地図バッファ14に格納された地図データに基づいて、地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。例えば、自車位置が表示画面内の所定位置になるようにその周辺の地図画像の描画が行われる。また、自車位置に対応して自車位置マーク画像が地図画像上に重ねて描画される。
【0018】
車両位置計算部20は、GPS受信機2および自律航法センサ3のいずれか一方あるいは両方を用いて自車位置を計算する。車両位置修正部22は、車両位置計算部20によって計算された自車位置が地図データの道路上にない場合に、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0019】
交差点通過判定部30は、車両の走行位置に基づいて、自車両の交差点通過の有無を判定する。例えば、直進以外の右折あるいは左折を行った交差点を通過した場合に、交差点を通過したものとして判定される。走行軌跡記録部32は、通過したと判定された交差点を含むその前後の走行軌跡を記録する。この走行軌跡の記録は、車両位置修正部22によって車両位置が修正される前の自車位置、すなわち、車両位置計算部20によって計算された自車位置を用いて行われる。立体交差判定部34は、走行軌跡記録部32に記録された走行軌跡に基づいて通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定する。
【0020】
入力処理部40は、リモコンユニット4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部50は、地図描画部16によって生成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像をディスプレイ装置5の画面に表示する。
【0021】
上述した地図DB10、地図データ処理部12、地図バッファ14が地図データ格納手段に、GPS受信機2、自律航法センサ3、車両位置計算部20が車両位置検出手段に、交差点通過判定部30が交差点通過判定手段に、走行軌跡記録部32が走行軌跡記録手段に、立体交差判定部34が立体交差判定手段に、車両位置修正部22が車両位置修正手段に、地図描画部16、表示処理部50、ディスプレイ装置5が地図表示手段にそれぞれ対応する。
【0022】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。図2は、交差点を通過した際の走行軌跡を記録して交差点の立体交差化の判定を行う一連の動作手順を示す流れ図である。交差点通過判定部30は、走行中に車両前方に交差点が接近したか否かを判定する(ステップ100)。次の交差点まで所定距離以上ある場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、交差点までの距離が所定距離以内になるとステップ100の判定において肯定判断が行われ、走行軌跡記録部32は、走行軌跡の記録を開始する(ステップ101)。例えば、所定距離走行する毎にそのときの修正前の自車位置が不揮発名メモリ(図示せず)に記録される。
【0023】
次に、交差点通過判定部30は、接近中の交差点を通過したか否かを判定する(ステップ102)。通過するまで否定判断が繰り返され、この判定が繰り返される。また、交差点を通過するとステップ102の判定において肯定判断が行われ、次に、交差点通過判定部30は、交差点において直進以外の右左折したか否かを判定する(ステップ103)。交差点を直進した場合には否定判断が行われ、次に、走行軌跡記録部32は、走行軌跡の記録を終了するとともに(ステップ104)、この交差点についてのそれまでの走行軌跡の記録(ステップ101から始まる今回の一連の走行軌跡の記録)を削除する(ステップ105)。その後、ステップ100に戻って交差点接近の有無判定が繰り返される。
【0024】
また、交差点を右折あるいは左折した場合にはステップ103の判定において肯定判断が行われ、交差点通過判定部30は、交差点から一定距離走行したか否かを判定する(ステップ106)。交差点から一定距離以内を走行中の場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、交差点から一定距離離れた場合にはステップ106の判定において肯定判断が行われ、走行軌跡記録部32は走行軌跡の記録を終了する(ステップ107)。
【0025】
次に、立体交差判定部34は、記録が終了した走行軌跡と同一の走行経路についての走行軌跡が他に記録されているか否かを判定する(ステップ108)。ここで、同一の走行経路とは、同じ交差点を通った場合であってこの交差点を通過する前後に走行した道路が同じ場合の走行経路をいう。同一方向に走行する場合の他に、この走行経路を反対方向から走行する場合も含まれる。同一の走行経路についての走行軌跡が他にない場合にはステップ108の判定において否定判断が行われ、ステップ100に戻って交差点接近の有無判定が繰り返される。
【0026】
また、同一の走行経路についての走行軌跡が他に存在する場合にはステップ108の判定において肯定判断が行われ、次に、立体交差判定部34は、他の走行軌跡は同一の走行経路に沿った反対方向の走行軌跡か否かを判定する(ステップ109)。反対方向の走行軌跡でない場合、すなわち同一方向の走行軌跡の場合には否定判断が行われる。この場合には、立体交差判定部34は、走行軌跡記録部32に更新指示を送って、同一の走行経路に対応する古い走行軌跡内容を今回取得した新しい走行軌跡の内容で更新する(ステップ110)。その後、ステップ100に戻って交差点接近の有無判定が繰り返される。
【0027】
また、他の走行軌跡が同一の走行軌跡に沿った反対方向の走行軌跡の場合にはステップ109の判定において肯定判断が行われ、次に、立体交差判定部34は、同一の走行経路に沿った2つの走行軌跡が異なるか否かを判定する(ステップ111)。なお、一方向に着目したときに、左車線を走行して交差点を通過する場合と右車線を走行して交差点を通過する場合とでは道路幅に応じた走行軌跡の差が生じるが、このような差を超えて大きな形状の違いがある場合に2つの走行軌跡が異なるものとして判定される。反対方向の2つの走行軌跡が異なる場合には肯定判断が行われ、立体交差判定部34は、この通過交差点が立体交差化されたものと判定する(ステップ112)。その後、ステップ100に戻って交差点接近の有無判定が繰り返される。
【0028】
また、同一の走行経路に沿った2つの走行軌跡が同じであってステップ111において否定判断が行われると、次に、立体交差判定部34は、反対方向の走行軌跡の他に同一方向の走行軌跡も存在するか否かを判定する(ステップ113)。同一の走行軌跡も存在する場合とは、立体交差化されていない交差点を何度も行き来しているような場合であり、この場合には肯定判断が行われ、ステップ110に移行して、同一の走行経路に対応する古い走行軌跡内容が今回取得した新しい走行軌跡の内容で更新される。また、同一の走行軌跡が存在しない場合にはステップ113において否定判断が行われ、その後ステップ100に戻って交差点接近の有無判定が繰り返される。
【0029】
上述したように、交差点が立体交差化されると、交差する2つの道路の間の形成される進入路と退出路の形状が異なることが多いため、交差点を双方向に通過する際の走行軌跡を記録しておいて比較することにより、立体交差化された道路を容易に検出することができる。特に、右左折する場合に限って判定の対象とすることにより、走行軌跡を記録する交差点の数を減らすることができ、しかも高い精度で道路の立体交差化の有無を判定することが可能になる。また、交差点が立体交差化されると、同一の走行経路であっても走行方向が反対になると走行軌跡も大きく変わることが多い。したがって、同一の走行経路に対応する双方向の走行軌跡に違いが生じたときに立体交差化が行われたものと判定すると、高い精度で道路の立体交差化の有無を反映することができる。
【0030】
図3および図4は、道路が立体交差化された具体例を示す図である。図3に示す地図画像は、立体交差化される前の道路形状を示している。また、図4に示す地図画像は、図3に示された交差点が実際に立体交差化された後の道路形状を示している。図3に示すように、立体交差化されていない交差点の場合には、着目している交差点を通る2つの走行軌跡R1、R2の形状がほぼ同じになる。ところが、図4に示すように、立体交差化された後の交差点の場合には、着目している交差点を通る2つの走行軌跡R3、R4の形状が大きく異なるため、この形状の違いに基づいて交差点が立体交差化されたことを正確に判定することができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、交差点を右左折した際に走行軌跡を記録しておいたが、この記録を制限なく行うと、記録しておく走行軌跡が多くなって記憶容量が大きくなってしまう。このため、走行軌跡を記録してから(更新した場合には更新してから)一定期間経過したものについては削除するようにしてもよい。すなわち、交差点を一方向に通過した際に走行軌跡を記録してから、一定期間内にこの交差点を同一走行経路に沿って反対方向に通過しない場合に限って、一の交差点に対応する2つの走行軌跡の記録が行われることになる。これにより、偶然通過した場合のように走行頻度が低い交差点についての双方向の走行軌跡の記録を行わないことで、記録容量を少なくすることができるとともに、通過する頻度が高い重要な交差点についてのみ道路の立体交差化の判定を確実に行うことができる。
【0032】
また、上述した実施形態では、地図描画部16によって自車位置周辺の地図画像を描画する際に、この地図画像上に自車位置マーク画像を描画するようにしたが、立体交差判定部34によって立体交差化されたと判定された交差点を自車両が通過する際には、車両位置修正部22によるマップマッチング処理によって修正される前の自車両位置を用いて車両位置マーク画像の描画を行っている。これにより、立体交差化された交差点の道路を通過する際に、立体交差化される前の古い道路の地図データを用いてマップマッチング処理を行って、この古い道路上に自車位置を修正することによって生じる不自然な表示をなくすることができる。
【0033】
また、立体交差判定部34によって立体交差化されたと判定された交差点に対応して、地図描画部16によって、走行軌跡記録部32によって記録された走行軌跡に沿った道路画像を追加して地図画像の描画を行うようにしてもよい。図5は、地図画像に記録した走行軌跡に沿った道路画像を追加した表示例を示す図である。図5に示すように、走行軌跡に沿った道路画像D1、D2を追加することにより、この交差点を通過する際に自車位置マーク画像Gがこれらの道路画像上を移動するようになるため、道路のない場所を車両が走行する表示を回避することができ、表示の不自然さをさらになくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】交差点を通過した際の走行軌跡を記録して交差点の立体交差化の判定を行う一連の動作手順を示す流れ図である。
【図3】道路が立体交差化された具体例を示す図である。
【図4】道路が立体交差化された具体例を示す図である。
【図5】地図画像に記録した走行軌跡に沿った道路画像を追加した表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ナビゲーションコントローラ
2 GPS受信機
3 自律航法センサ
4 リモコンユニット
5 ディスプレイ装置
10 地図DB(データベース)
12 地図データ処理部
14 地図バッファ
16 地図描画部
20 車両位置計算部
22 車両位置修正部
30 交差点通過判定部
32 走行軌跡記録部
34 立体交差判定部
40 入力処理部
50 表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点位置を含む地図データを格納する地図データ格納手段と、
自車両の走行位置を検出する車両位置検出手段と、
前記地図データ格納手段に格納された地図データと、前記車両位置検出手段によって検出された自車両の走行位置とに基づいて、自車両が交差点を通過したことを判定する交差点通過判定手段と、
前記交差点通過判定手段によって通過したと判定された交差点を通過する際の走行軌跡を記録する走行軌跡記録手段と、
前記走行軌跡記録手段によって記録された走行軌跡に基づいて、通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定する立体交差判定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記交差点通過判定手段は、自車両が直進以外の右折あるいは左折を行った交差点のみを、通過した交差点として判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記走行軌跡記録手段は、前記交差点通過判定手段によって通過したと判定されたそれぞれの交差点について、同一の走行経路に対応する双方向の2つの走行軌跡を記録し、
前記立体交差判定手段は、一の交差点に対応する双方向の2つの走行軌跡に基づいて、通過した交差点が立体交差化されたか否かを判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記立体交差判定手段は、前記2つの走行軌跡が異なるときに、通過した交差点が立体交差化されたものと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記走行軌跡記録手段は、一の交差点に対応する前記2つの走行軌跡の記録を、この交差点を含む同一の走行経路に沿って一方向に自車両が走行してから一定期間内に逆方向に自車両が走行した場合に行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記地図データ格納手段に格納された地図データで示される地図上の道路形状と前記車両位置検出手段によって検出された自車両の走行位置とに基づいて自車両の走行位置を修正するマップマッチング処理を行う車両位置修正手段と、
前記地図データ格納手段に格納された地図データに基づいて、自車両の走行位置を示す車両位置マーク画像を含む周辺の地図画像を描画して表示する地図表示手段と、
をさらに備え、前記地図表示手段は、立体交差判定手段によって立体交差化されたと判定された交差点を自車両が通過する際に、前記車両位置修正手段によって修正される前の自車両の走行位置を用いて前記車両位置マーク画像の描画を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記地図表示手段は、立体交差判定手段によって立体交差化されたと判定された交差点に対応して、前記走行軌跡記録手段によって記録された走行軌跡に沿った道路画像を追加して地図画像の描画を行うことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−10545(P2007−10545A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193490(P2005−193490)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】