説明

ナビゲーション装置

【課題】複数の経路の中の1つを案内経路として選択するのに適した経路選択画面を表示できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置において、目的地に向かう複数の経路を単純化された線分で表現した経路概略図を生成し、各経路において予測される所定時間毎の通過位置を経路概略図にマークの列として表示する。マークの多い区間は通過に時間を要し、マークの少ない区間は、短時間で通過できる区間を示しているため、ユーザは、経路概略図に表示されたマークの列を比較することによって、複数の経路を容易に比較できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、更に詳しくは、選択可能な複数の経路を概略図として表示する機能を備えたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、ユーザが設定した目的地までの経路を探索し、経路上の道路を画面に提示する。地図画面上に出発地から目的地までの複数の候補経路を表示し、そのうちの一つをユーザに初期経路(案内経路)として選択させる機能を持った装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2003−214879号公報(特許文献1)には、探索された複数の候補経路を地図画面上に表示すると共に、それぞれの経路と対応付けて、予測される所要時間、走行距離、料金等の文字情報を表示するナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
特開2004−347420号公報(特許文献2)には、探索された複数の候補経路を要約地図にして画面に提示するナビゲーション装置が開示されている。特許文献2は、探索された複数の候補経路について、道路形状の直線化や直交化等のデフォルメ処理を施すことによって、ユーザに見易い要約地図に変換する方法を提案している。
【0005】
また、特開2004−170376号公報(特許文献3)には、事前に渋滞情報を取得しておき、探索された経路上での渋滞の発生状況を予測し、案内経路に沿って通行した場合、いつどの位置に到達できるかを提示できるナビゲーション装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−214879号公報
【特許文献2】特開2004−347420号公報
【特許文献3】特開2004−170376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに、特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、探索された複数の候補経路を地図データが示す原形状のまま画面に表示し、予測される所要時間、走行距離、料金等の文字情報を経路図内の余白部分に表示しているため、経路図を一瞥しただけでは、ユーザが経路毎の走行状況を把握することが困難となる。
【0008】
また、特許文献2に開示されたナビゲーション装置では、複数の候補経路が要約地図として画面に提示されるため、ユーザにとっては、複数の経路を分別し易くなっている。しかしながら、特許文献2の要約地図には、経路毎の所要時間等を示す情報が表示されていないため、要約地図を見ただけでは、ユーザにとって、どの経路が最適かを判断することが難しい。
【0009】
一方、特許文献3のナビゲーション装置では、案内経路を通行した場合に予想される通過位置Tiと通過時間ti(i=1、2、3、・・・)との関係を予め計算しておき、経路を示す地図画面の上方に、出発時刻を初期値として、一定時間間隔で時刻を示すタイムスケールを表示している。ユーザがタイムスケール上の何れかの時刻tiを選択すると、案内経路上で時刻tiに通過予定の位置Tiに、予測自動車位置を示すマークPvが表示される。従って、ユーザは、タイムスケール上の時刻を次々と選択することによって、何時に案内経路上のどの位置を走行しているかを推測できる。
【0010】
しかしながら、特許文献3は、既に決定した案内経路において、時刻毎の通過予想位置をマーク表示するようにしたものであって、経路選択のための複数の経路を表示した地図画面に関するものではない。特許文献3の予想位置マークは、ユーザ操作に応答して、表示位置を次々と変えるようになっているため、例えば、目的地に向かって自動車が走行中に、ルート変更可能な複数の代替経路を提示する経路選択画面へに適用しようとすると、前方不注意の原因となるため、実用上の問題がある。
【0011】
本発明の目的は、複数の経路の中の1つを案内経路として選択するのに適した経路選択画面を表示できるナビゲーション装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、出発前の案内経路の選択時のみならず、自動車が走行中でも、状況に応じた経路変更が可能な経路選択画面を表示できるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のナビゲーション装置は、目的地に向かう複数の経路を単純化された線分で表現した経路概略図を生成し、各経路において予測される所定時間毎の通過位置を経路概略図にマークの列で表示することを特徴とする。マークの多い区間は通過に時間を要し、マークの少ない区間は、短時間で通過できる区間を示しているため、本発明によれば、ユーザは、経路概略図に表示されたマークの列を比較することによって、複数の経路を容易に比較することが可能となる。
尚、通過位置を示すマークは、必ずしも各経路の全区間に亘って表示する必要はなく、経路選択の判断に必要な特定の経路区間に表示されてもよい。本明細書では、経路概略図に表示されるマークを時間目盛記号と呼ぶ。
【0013】
更に詳述すると、本発明のナビゲーション装置は、地図データから上記目的地に向かう複数の経路を探索する経路探索部と、上記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、上記複数の経路を分岐点と合流点をもつ複数の線分で示した経路概略図を生成する経路概略図生成部と、上記経路概略図上の特定の経路区間を示す線分に、該区間の通過所要時間に応じて決まる個数の時間目盛記号を配置する時間目盛配置部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の1実施例では、上記経路概略図生成部は、例えば、経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データを解析して、各経路を他の経路と重複する区間と非重複区間とに区分し、重複区間毎、非重複区間毎にリンク識別子をもつ簡略化された経路データを生成し、該簡略化された経路データに基いて経路概略図を生成する。
【0015】
また、本発明の1実施例では、上記経路概略図生成部が、経路探索部で探索された複数の経路のうちの1つを案内経路、他の経路を代替経路として扱い、上記案内経路を分岐点または合流点となる複数のノードを含む第1の直線で表現し、上記案内経路から分岐した各代替経路を両端が上記第1の直線上の何れかのノードに結合された折れ線または曲線で表現した経路概略図を生成する。
【0016】
また、本発明の1実施例では、上記時間目盛配置部が、指定された経路区間の通過所要時間を算出する所要時間計算部を有し、上記所要時間計算部によって、経路概略図上の特定区間に対応する経路区間の通過所要時間を計算し、該通過所要時間に基いて、上記特定区間に配置すべき時間目盛の配置間隔を決定する。
【0017】
本発明による車載型のナビゲーション装置は、地図データ記憶部と、自動車の現在位置を示す位置情報を出力する現在位置取得部と、上記現在位置取得部から出力された位置情報に応じて、上記案内画面を制御する経路案内制御部と、上記地図データ記憶部に格納された地図データに基づいて、現在位置から目的地に向かう複数の経路を探索する経路探索部と、上記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、上記複数の経路を簡略化された分岐点と合流点をもつ複数の線分で示した経路概略図を生成する経路概略図生成部と、上記経路概略図上の特定の経路区間を示す線分に、該区間の通過所要時間に応じて決まる個数の時間目盛記号を配置する時間目盛配置部とを備え、上記時間目盛記号付きの経路概略図が、単独または上記案内画面と一緒に、上記表示装置に表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明のナビゲーション装置は、複数の経路を簡単化された経路概略図で表現し、各経路に通過所要時間の目安となるマーク(時間メモリ記号)を表示しているため、ユーザは、経路概略図を一瞥して、複数の経路を容易に比較することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用したナビゲーションシステムの1例を示す。
ナビゲーションシステムは、自動車に搭載されるナビゲーション装置10と、通信ネットワークNWに接続された交通情報配信サーバ30とからなる。通信ネットワークNWには、複数の無線基地局20が接続してあり、ナビゲーション装置10は、無線基地局20を介して、通信ネットワークNWに接続され、交通情報配信サーバ30から後述する渋滞情報などの交通情報を取得する。
【0020】
ナビゲーション装置10は、装置全体の制御を行う制御部100と、地図データを格納する地図データ記憶部102と、GPSセンサ等により自車の位置情報を取得する現在位置取得部103と、ユーザからの入力を受け付ける入力部104と、ユーザの操作画面や地図を表示する表示部105と、無線基地局20、通信ネットワークNW20を介して交通情報配信サーバ30と通信するための無線通信部106とからなる。図1では省略されているが、ナビゲーション装置10は、表示部105へ情報提示に連動させて、ユーザに音声でガイダンス情報を与える音声出力部を備えるようにしてもよい。
【0021】
制御部100は、プロセッサ101と、メモリ107とからなる。
メモリ107には、プロセッサ101が実行する本発明に関係するプログラムとして、ユーザ操作によって入力部104から入力される目的地等の入力情報を受け付ける入力受付制御部110と、出発地設定、目的地設定、初期経路選択、経路誘導など、ナビゲーション装置の状態に応じて、表示部105の表示内容と経路案内を制御する経路案内制御部111と、ユーザが目的地を設定した時、地図データ記憶部102を参照して、出発地(あるいは現在位置)から目的地に至る複数の候補経路を探索する経路探索部112と、地図画像生成部113と、経路探索部112で使用すべき複数の経路探索条件115(115−1〜115−n)を設定するための経路探索条件設定部114とが用意されている。また、本発明に特徴的なプログラムソフトとして、時間目盛付き経路図生成部116と、所要時間計算部117とが用意されている。
【0022】
経路案内制御部111は、ナビゲーション装置の主たるプログラムであり、現在位置所得部103から出力される自動車の現在位置と、図面では省略されている方向センサからの出力に応じて、地図画像生成部113を制御し、自動車の進行に従って内容が変化する案内画像を表示部105に出力する。また、経路案内制御部111は、入力受付制御部110から、ユーザ操作に応じた制御指令を受け取ると、経路探索部112と時間目盛付き経路図生成部116を起動して経路概略図を生成し、表示部105に出力する。
【0023】
案内経路を最初に選択する初期の画面では、ユーザが指定した目的地に応じて複数の候補経路が探索され、これらの経路を簡単化された線分で示した経路概略図が表示される。ユーザが候補経路のうちの1つを案内経路として選択すると、案内経路上に現在位置マークを表示した地図画像が、案内画面として表示部105に出力される。後述するように、経路概略図は、案内経路に沿って走行中のユーザに対して、案内経路の行く手の交通状態と、途中でルート変更可能な代替経路の交通状態を伝えるため、案内画面と並べて表示画面に表示することができる。
【0024】
地図データ記憶部102は、比較的大容量の記録媒体をもつハードディスクドライブやDVD(Digital Versatile Disk)ドライブによって構成される。入力部104は、例えば、ボタンやダイアル等の入力部品からなり、表示部105は、液晶ディスプレイのように、画像とテキストとを表示できる表示画面と、スピーカ等の音声出力装置とからなっている。表示部105のディスプレイをタッチパネル形式にすることによって、表示部105に入力部104の機能をもたせることができる。メモリ107は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)からなり、プログラム110〜104は、ROMに格納され、経路探索条件115や地図データ記憶部102から読み出された地図データは、RAMに格納される。
【0025】
ここでは、ネットワークNWを介して交通情報配信サーバ30から交通情報を受信するナビゲーション装置10を示しているが、本発明は、例えば、ネットワークNWを介してWeb(World Wide Web)サーバをアクセスし、各種のWebサービスを享受する機能を備えた通信型のカーナビゲーション装置にも適用できる。
【0026】
図2は、地図データ記憶部102に格納されるナビケーション用の地図データベース40の構成例を示す。
地図データベース40は、地図表示用データ41と、経路計算用データ42と、リンク対応データ43とからなる。地図表示用データ41は、表示画面に表示される地図を定義するためのデータであり、道路データ401と、背景データ402と、文字データ403とからなっている。
【0027】
道路データ401は、図4で詳述するように、端点あるいは分岐点となる複数のノードと、隣接する2つのノード間を接続するリンクとの組合せによって、各道路を記述している。道路の形状は、各リンク内の要所に位置した形状補間点の座標によって表される。
【0028】
背景データ402は、海岸線、鉄道、河川、建造物など、道路地図の背景となるデータを含み、文字データ403は、地名、道路名、交差点名など、地図上に表示される注記文字列を含む。
【0029】
経路計算用データ42は、ノードとリンクとの組合せによって経路(ノードネットワーク)を記述し、ノード間、リンク間のコスト(所用時間や料金)を表現できるようになっている。また、リンク対応データ43は、各リンクと他のデータブロック、例えば、交通情報配信サーバ30から取得した渋滞情報を示すデータブロックとを対応付けるためものである。
【0030】
各道路を定義するノードとリンクには、それぞれノードID(識別子)とリンクIDが割当てられている。各リンクは、リンクIDによって、例えば、渋滞情報データブロック、道路形状データブロック、名称データブロックなど、他のデータブロックと対応付けられる。
【0031】
カーナビケーション用の地図データには、経路誘導時に出力する看板や走行レーンなどを示す経路誘導用データや、POI検索や住所検索に利用される案内検索用データなどが含まれているが、これらのデータは、本発明には関係しないため、詳細説明は省略する。
【0032】
図3は、地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す。
カーナビケーション装置では、縮尺に応じて地図データを管理するために、図2に示した地図表示用データ41や経路計算用データ42を何段階かの縮尺レベルに分けて管理している。また、各レベルの地図データは、地図領域を緯度と経度に沿って複数のメッシュに分割し、メッシュ毎に管理されている。
【0033】
図3は、最も詳細な地図を示すレベルL(i)を最下位レベルとして、レベルL(i)と上位レベルL(i+1)、L(i+2)のメッシュとの関係を示している。斜線で示すように、レベルL(i)の地図データは、上位レベルL(i+1)の1つのメッシュの拡大地図を示し、レベルL(i+2)の1つのメッシュは、下位レベルL(i+1)の複数のメッシュ(図2では、16メッシュ)を統合した縮尺地図を示している。
【0034】
経路計算用データ42は、上述したレベル間を対応付けるためのデータを含んでいる。また、交通情報配信サーバ30から各ナビゲーション装置に配信されるデータ、例えば、渋滞領域を示すデータは、上述した複数レベルのうちの少なくとも1つのレベルと対応付けられている。
【0035】
経路探索部112は、地図データ記憶部(地図データベース)102から、経路探索条件115に従って、出発地(例えば、現在地)から目的地に至る複数の経路を探索し、交通情報配信サーバ30から、これらの経路における交通情報を取得する。探索結果を示す経路データは、交通情報配信サーバ30からの配信データと対応付けができるように、レベルを変換して出力される。
【0036】
図4は、道路データ401の基本的な構成の1例を示した図である。
道路データは、分岐点、交差点等の特徴点を示すノードn(n1〜n4)と、ノード間を接続する道路区間を示すリンクa(a1〜a5)とからなっている。道路データには、ノード間の道路形状を表現するために、リンクの途中に形状補間点と呼ばれる点が設定される。図4において、破線矢印で示される区間a1〜a5がリンクであり、黒丸p1〜p10が形状補間点を表している。
【0037】
ナビケーション装置10の経路探索部112で使用する経路探索条件115には、例えば、所要時間優先、あるいは距離優先のように、重要視すべきパラメータを異にした複数の探索条件が用意されている。所要時間優先の経路探索条件では、所要時間計算に適用する交通情報として、内部メモリに予め蓄積しておいた統計交通情報と、交通情報配信サーバ30から動的に受信したリアルタイムの交通情報との何れかを選択できるようになっている。
【0038】
経路探索部112は、ユーザによって指定された経路探索条件115に従って、図4に示した各リンクのコストを計算し、例えば、ダイクストラ法のような経路探索法に基づいて、始点ノード(現在地)から終点ノード(目的地)に至るリンクコストが最小となる経路を最適経路として探索し、リンクコスト順に、選択した幾つかの経路を候補経路とする。ここで探索された候補経路は、それぞれ、図4に示したリンクの列として表現される。
【0039】
図5は、経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す。
(A)は、1例として、所要時間優先の経路探索条件で探索された経路データ50のデータ構造を示し、(B)と(C)は、経路データ50に含まれる各リンクの道路形状データ51と名称データ52のデータ構造を示している。尚、これらの経路データ50、道路データ51、名称データ52は、メモリ107に用意された所定のデータ記憶領域に記憶される。
【0040】
経路データ50は、候補経路と対応する複数のデータブロックからなり、各データブロックは、その経路を利用した場合の目的地への到着予想時刻(あるいは所要時間)501と、経路を構成する複数(n本)のリンクをリンクID:502−iとリンク長503−i(i=1〜n)との対で表している。
【0041】
道路形状データ51は、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID511と、始終点の位置512と、リンク通過の所要時間513と、渋滞度514と、そのリンクの始点ノードのID515と、終点ノードのID516と、リンク形状を特定する座標点の数(n)517と、n個の座標点518(X座標518X−i、Y座標518Y−i、i=1〜n)とを含む。始終点の位置512は、現在位置や目的地が当該リンクの途中にある場合に、その位置を表現する座標値を示している。また、所要時間513と渋滞度514の値は、交通情報配信サーバ30から配信された交通情報データから抽出される。
【0042】
名称データ52も、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID521と、そのリンク内に存在する交差点名称の個数(k)522と、交差点名称523(523−1〜523−k)と、そのリンクがもつ道路名称の個数(m)524と、個々の道路名称525(525−1〜525−m)とを示す。1つのリンクが、国道y号線の一部であり、且つ、xx街道の一部となっていた場合は、名称データ52は、2つの道路名称525をもつことになる。
【0043】
図1に示したナビゲーション装置において、ユーザ(自動車の運転者)が、入力部104から目的地を入力すると、制御部100によって、以下の手順の経路案内が行われる。
入力部104に入力された目的地などの入力情報は、入力受付制御部110で受け付けられ、経路案内制御部111に渡される。目的地が入力され、経路概略図の表示を要求されたとき、経路案内制御部111は、現在位置取得部103から現在地を取得し、経路探索部112に対して、現在地から目的地までの経路探索を要求する。
【0044】
経路探索部112は、経路探索条件115(115−1〜115−n)を読み出し、優先度の高い順に、現在地から目的地までの経路探索を開始する。本実施例では、優先度の最も高い経路探索条件を「最優先探索条件」と呼び、最優先探索条件で探索された最適経路を「案内経路」、その他の経路を「代替経路」と呼ぶことにする。
経路探索部112で経路探索が終了すると、経路案内制御部111は、時間目盛付き経路図生成部116を起動して、時間目盛付きの経路概略図を生成し、これを表示部105に出力する。
【0045】
所要時間計算部117は、経路図生成部116から、簡略化された経路データが示す拡張リンクIDで或る経路区間を指定されると、その区間の通過所要時間を計算して、計算結果を返す機能を備えている。経路探索部112で経路探索した直後であれば、各経路の基本リンクIDと対応した道路データ51に、基本リンク区間毎の最新の所要時間513と渋滞度514が保持されている。
従って、所要時間計算部117は、例えば、図80で説明した拡張リンクIDと基本リンクIDとの対応関係を利用して、拡張リンクIDで指定された経路区間に含まれる基本リンク複数個分の道路データ51を参照し、所要時間513を累計することによって、拡張リンクIDで指定された経路区間の通過所要時間を算出できる。
【0046】
後述するように、案内経路に沿ってユーザを誘導中に、案内経路における残り区間の通過所要時間を定期的に算出したい場合、最新の所要時間513と渋滞度514を示す交通情報データが必要となる。案内経路の残り区間の所要時間513や渋滞度514については、経路案内制御部111が、交通情報サーバ30から定期的に情報を入手して、道路データを更新するようにしておけば、所要時間計算部117は、メモリ107に保持された道路データ51を参照して、指定区間の通過所要時間を算出できる。
【0047】
時間目盛付き経路画像生成部116は、経路探索部112で探索された複数経路の経路データを受け取ると、経路の一部区間を切出し、所要時間計算部117を利用して、この区間の通過所要時間を算出し、時間目盛が配置された経路図を生成する。ここで言う時間目盛は、経路概略図上の或る経路区間を表す線分(直線または曲線)上に、略等間隔に配置される記号を意味している。本明細書では、この記号を時間目盛記号と呼ぶ。
【0048】
例えば、長さLの線分で表される経路区間において、予測された通過所要時間がTの時、この経路区間に進入してから経過時間t毎の自動車の位置を目盛記号で表示したい場合、経路区間を表す線分をn等分(n=T/t)した位置に目盛記号を配置する。T=60分、t=20分の場合、経路区間を表す線分を3等分した位置に目盛記号を配置することによって、ユーザは、この区間の通過に60分かかることが判る。
【0049】
本発明によれば、後で詳述するように、案内経路と代替経路の位置関係を表す経路概略図において、時間目盛記号によって各経路に通過予想時間を表示しているため、ユーザは、複数経路の通行状況を一瞥して比較することができる。
【0050】
図6は、時間目盛付き経路概略図生成部116の機能を示すフローチャートである。
時間目盛付き経路概略図生成部116は、経路探索部112で生成された案内経路と代替経路の経路データ50に基いて、経路間の接続関係を解析し、概略図に適した簡略化経路データを生成する経路接続関係解析処理(ステップS1)と、簡略化経路データに基いて経路概略図を生成する経路概略図生成処理(ステップS2)と、経路概略図に時間目盛を配置する時間目盛配置処理(ステップS3)と、経路概略図上の各経路に交通情報と道路名称を追加する表示情報追加処理(ステップS4)と、経路概略図を地図画像生成部113を介して表示部105に出力する表示処理(ステップS5)を実行する。
【0051】
ステップS1では、経路探索部112で生成された経路データから、経路の分岐点または合流点に接続された基本リンク列を抽出し、複数の経路が互いに重複する重複区間の基本リンク列を1つにまとめ、非重複区間の基本リンク列を1つにまとめて、区間毎に新たなリンク識別子(拡張リンクID)を付与することによって、簡略化された経路データを生成する。簡略化経路データでは、複数経路の分岐点または合流点をノードと定義することによって、元の経路データ50が示す基本リンクよりも距離的に拡張されたリンクでノード間を結合したデータ構造となる。
【0052】
例えば、経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3が、図7に示す接続関係にあり、それぞれの経路データが、図8に示すリンク列からなる場合を想定する。ここで、ノードSは出発地、ノードGは目的地を示し、a01〜a20は、地図データで使用している基本リンクの識別子を示している。
【0053】
経路R1は、案内経路であり、リンクa01〜a10から構成されている。経路R2、R3は、代替経路であり、経路R2は、リンクa01、a02、a11〜a16、a09、a10から構成され、経路R3は、リンクa01、a02、a11、a12、a17〜a20、a09、a10から構成されている。
【0054】
経路データ間に矢印1で示すように、経路R1、R2、R3は、リンクa01とa02、リンクa09とa10との区間で重複し、経路R2とR3は、リンクa11とa12の区間で重複している。経路接続関係解析処理(ステップS1)では、R1、R2、R3の経路データから、これらの重複区間を抽出し、重複区間と非重複区間に新たなリンク識別子(拡張リンクID)L1〜L6を付与して、簡略化された経路データを生成する。
【0055】
図9は、経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノードおよび拡張リンクと、経路R1〜R3との関係を示し、図10は、経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示している。
ここで、矢印2は、経路間で重複するリンクを表し、符号N1〜N5は、簡略化経路データにおけるノードを表している。ノードN1は出発地S、ノードN4は目的地G、リンクL1の終点ノードN2は経路R1と他の2つの経路の分岐点、リンクL4の終点ノードN5は、経路R2とR3の分岐点、リンクL3の始点ノードN3は、経路R1、R2、R3の合流点となっている。
【0056】
尚、簡略化経路データでは、各経路は、図10で示すように、拡張リンクIDの列(L1、L2、・・・)として定義されるが、各拡張リンクIDは、図8に示したように、1個または複数の基本リンクIDと対応付けられている。従って、拡張リンクIDが指定されれば、元のリンクIDが特定され、図5に示した道路形状データ51や名称データ52をアクセスできる。
【0057】
図11は、経路概略図生成処理(ステップS2)の詳細手順を示す。
経路概略図生成処理では、経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成された簡略化経路データから、経路の分岐点または合流点となるノード間のリンク(L1、L2、・・・L5)を抽出する(ステップS201)。次に、優先的な経路である案内経路のリンク(L1、L2、L3)を直線上に配置し(S202)、代替経路のリンク(L4、L5)を案内経路の左側または右側に、それぞれの分岐点および合流点を結ぶように配置する(S203)。例えば、代替経路のリンクL4を配置する場合、リンクL4と案内経路のリンクL2と位置関係は、図8に示した経路データから、リンクL2の最初の基本リンクa03とリンクL4の最初の基本リンクa11を特定し、基本リンクa03に付随する道路形状データの座標点の列と、基本リンクa11に付随する道路形状データの座標点の列とを比較することによって判明する。
【0058】
図12は、時間目盛配置処理(S3)における時間目盛の配置手順を示す。
時間目盛配置処理では、経路概略図上で表示される区間Li(図12ではi=1〜5)毎に、ステップS301〜S303を繰り返す。ステップS301では、経路概略図上で区間Liを表わす線分の長さLを測定し、所要時間計算部117を利用して、この区間Liの通過所要時間Tを求める。
【0059】
次に、ステップ302で、線分L上での経過時間t毎の自動車の移動距離(時間目盛幅)dを計算する。L/Tは、区間Liを長さLの線分で縮尺表示した時、線分L上での単位時間当たりの移動距離を示している。従って、線分L上に経過時間t毎の目盛り記号を配置する場合、目盛り幅(間隔)dは、d=L/T×tとなる。例えば、経過時間tを10分とすれば、dは10分間隔で表した自動車の予想位置を示すことになる。
【0060】
ステップS303では、目盛幅(間隔)dに従って、区間Liの線分上に目盛り記号を配置する。区間Liが曲線で描画されている場合、目盛幅dに比べて微小な長さεの尺取り線分ΔLを用い、曲線に沿って始点からΔLずつ辿って、d<n×εとなった位置に時間目盛記号を配置するとよい。
【0061】
表示情報追加処理S4では、目盛記号が配置された経路概略図に、道路名称、交差点名称などの文字情報と、渋滞区間表示を重畳する。以上の方法により、経路概略図上の各区間に、所定時間毎の走行距離を時間目盛記号で表示できるため、ユーザは、時間目盛記号の列を比較することによって、最適経路として提案された案内経路と代替経路で予想される自動車の通過具合を容易に把握できる。
【0062】
図13は、本発明の第2の実施例として、案内経路に沿って誘導中に、現在の経路より早く目的地に到着できる経路が見つかった時、ユーザに経路変更を提案できるようにした経路案内制御部111の動作を示す。
【0063】
本実施例において、経路案内制御部111(プロセッサ101)は、所定の周期で経路案内処理(S501)を実行し、公知の方法で、自動車の走行に伴った案内画面の更新と、音声よる誘導を行っている。一周期の経路案内処理が終了する毎に、前回の所要時間計算から所定時間、例えば、5分が経過したか否かを判定し(S502)、経過していなければ、ステップ501に戻って、次の周期で経路案内処理を繰り返す。前回の所要時間計算から所定時間(5分)が経過していた場合、プロセッサ101は、所要時間計算部117を利用して、案内経路の残り区間の通過所要時間を計算する(S503)。
【0064】
目的地までの所要時間を最初に予想した時間と比較し(S504)、所要時間が予め設定された遅延時間を超えて増加することが判明した場合、プロセッサ101は、経路探索部112を起動して(S505)、現在地から目的地までの経路を再度探索する。経路探索の結果、現在走行中の案内経路よりも早く目的地に到着できる代替経路が見つかった場合(S506)、時間目盛付き経路図を表示してユーザに経路変更を提案し(S507)、ユーザからの応答を待つ(S508)。
【0065】
図14に、経路変更提案時の表示画面の1例を示す。
画面の左側には、案内経路に沿った現在地近傍の案内画面Map−Aが表示され、画面の右側には、経路概略図Map−Bが表示されている。ここに示した経路概略図Map−Bでは、現在誘導中の案内経路R1が直線で表示され、その左右に2つの代替経路R2、R3が表示されている。ユーザへの経路変更の提案は、経路概略図Map−B上で、目的地に最も早く到着できる経路R2への分岐を矢印600で表示すると共に、案内経路の変更を促す音声メッセージ601を出力することによって行われる。
【0066】
経路変更を提案するために表示される経路概略図Map−Bは、図6で説明した時間目盛付き経路図生成における経路概略図生成処理S2と、表示情報追加処理S4に若干の変更を加えることによって生成できる。図6に示した経路概略図生成処理S2では、探索された複数経路のうちの最優先の経路が直線表示され、他の経路が曲線表示される。従って、経路R1を案内経路としてユーザを誘導中に、代替経路R2が最優先経路として探索された場合、従前の案内経路R1を最優先経路と見做して経路概略図生成処理S2を実行すれば、図14に示す配置の経路概略図を生成できる。また、表示情報追加処理S4では、従前の案内経路R1から新たな最優先経路R2に向かって、分岐矢印600を追加すればよい。
【0067】
経路概略図Map−Bは、十分に簡略化されているため、現在の進行中の案内経路と代替経路との概略的な接続関係をユーザが容易に把握できる。また、各経路には、時間目盛記号602の列によって、一定時間毎の通過予想位置が表示してあるため、ユーザは、時間目盛記号の個数によって、各区間の通過に要する時間を一瞥して把握できる。
【0068】
図13に戻って、ユーザが、音声や入力ボタン操作によって、経路変更を指示すると、プロセッサ101は、経路変更処理を実行する(S509)。これによって、最優先の代替経路R2が新たな案内経路となり、案内画面Map−Aでユーザを経路R2に沿って誘導する案内制御に切替えられる。
【0069】
次に、本発明の第3の実施例として、案内経路および周辺道路の渋滞状況の表示機能を備えた車載ナビゲーション装置について説明する。
図15は、案内経路と代替経路の渋滞区間に対して時間目盛記号を表示した経路概略図の1例を示す。
【0070】
本発明では、ユーザが選択可能な複数の経路を概略経路図で示しているため、経路図上の或る区間を渋滞区間として表示した場合に、表示画面上の渋滞区間の長さが現実の長さに比例するとは限らない。そこで、本実施例では、符号611、612で示すように、各渋滞区間に通過所要時間の目安となる時間目盛記号を表示する。ここに例示した表示画面では、区間611の経路長が区間612よりも短くなっているが、時間目盛記号の表示個数から、ユーザは、区間611と612が通過に同程度の時間がかかると判断できる。
【0071】
図16は、第3の実施例のナビゲーション装置における入力受付制御部110と経路案内制御部111の動作を示す。
ユーザが、入力部104を操作して、周辺道路の渋滞情報の表示を指示すると(OP1)、入力受付制御部110が、経路案内制御部111に周辺渋滞情報表示トリガを与える(S100)。経路案内制御部111は、周辺渋滞情報表示トリガを受けると、周辺渋滞情報取得処理S101を実行し、交通情報配信サーバと交信して、案内経路と周辺道路における通過所要時間や渋滞度などを示す渋滞情報を取得する。経路案内制御部111は、次に、経路探索部112を起動して、目的地に向かう複数の経路を探索(S102)し、時間目盛付き経路図生成部116に渋滞経路図の生成を指示する(S103)。
【0072】
図17は、時間目盛付き経路図生成部116が実行する渋滞経路図生成処理S103のフローチャートを示す。
時間目盛付き経路図生成部116(プロセッサ101)は、先ず、経路接続関係解析処理S1を実行し、図6で説明したように、経路探索部112が探索した複数経路の接続関係を解析し、概略図に適した簡略化経路データを生成する。次に、経路概略図生成処理S21で、経路の特徴点(始点、終点、分岐点または合流点)を格子上に配置する。ここでは、X軸グリッド線とY軸グリッド線とからなり、格子間に新たな格子を追加挿入できる構造の2次元格子が用いられる。
【0073】
図18は、経路概略図生成処理S21による経路概略図の生成手順の一例を示す。
先ず、案内経路(最優先経路)R1が縦方向の直線で表現されるように、基準となるY軸グリッド線1000上に、簡略化経路データが示す案内経路上の特徴点を配置する(ステップS211)。但し、案内経路は、必ずしも直線である必要はなく、例えば、経路形状に近似した折れ線、その他の線分で表示してもよい。
【0074】
次に、始点Sから終点Gに向かって案内経路を辿って、最初の分岐点N1を見つけ、分岐点N1での代替経路の分岐方向を判定し、その方向に新たにY軸グリッド線1001を追加する(ステップS212)。この後、分岐点N1から終点Gに向かって案内経路R1を辿って、分岐点N1と対応する合流点N3を見つけ、分岐点N1と合流点N3とを結ぶ代替経路R2を格子上に配置する。ここでは、Y軸グリッド線1001上で、分岐点N1と合流点N3の間の区間(斜線部分)に、代替経路R2の特徴点N4、N5を配置する。Y軸グリッド線1001上で格子点が不足した場合は、区間1002内に新たなX軸グリッド線を挿入する。
【0075】
次に、代替経路R2について、ステップ212、213と同様の処理を繰り返し、代替経路R2上の分岐点N4と合流点N5とを結ぶ新たな代替経路R3をY軸グリッド線1002上に配置する(S214)。
新たな代替経路が、格子上に配置すべき特徴点をもっていなければ、代替経路でのステップ212、213の繰り返しを終了し、案内経路R1について、ステップS212を続行する。これによって、次の分岐点N2が見つかり、分岐点N2での代替経路の分岐方向に新たにY軸グリッド線1003が追加される(S215)。この後、分岐点N2から終点Gに向かって案内経路R1を辿って、分岐点N2と対応する合流点(図示した例では終点G)を見つけ、分岐点N2と合流点Gとを結ぶ代替経路R4を格子上に配置する。
【0076】
ステップ212で、案内経路R1上の全ての分岐点、合流点を経て終点に到達した時、最終ステップS216を実行する。最終ステップS216では、グリッド線の間隔が一定になるように、格子を再配置する。これによって、案内経路R1を直線で表示し、代替経路R2〜R4を折れ線で表示した経路概略図が得られる。
【0077】
図17に戻って、渋滞区間抽出処理S22では、経路中の渋滞区間を抽出する。渋滞区間としては、周辺渋滞情報取得処理S101で取得した渋滞情報に基いて、例えば、渋滞度が高い区間や、平均速度が遅くなる区間を抽出し、各渋滞区間の開始点、終点、経路概略図上での長さ、所要時間を記録する。
【0078】
時間目盛配置処理S31では、各渋滞区間に対して、例えば、図19に示すステップS311〜S313を実行することによって、経路概略図上の各渋滞区間に時間目盛記号を配置する。ステップS311では、渋滞区間抽出処理S22で抽出された渋滞区間の中から、1つの渋滞区間CRを選択し、渋滞区間CRの経路概略図上での長さLと、通過所要時間Tを読み出す。ステップS312では、TとLから、時間目盛記号の間隔dを計算する。
【0079】
本実施例では、時間目盛記号が経路概略図の直線区間に配置される。そこで、ステップS312では、目盛幅dの計算を容易にするため、T/tの端数値(小数部分)を四捨五入し、線分長Lを整数値で等分している。ステップ313では、渋滞区間を示す線分上に、目盛幅dで時間目盛記号を配置する。本実施例の場合、渋滞区間が直線表示されているため、渋滞区間の開始点からd毎に時間目盛記号を配置すればよい。但し、線分長Lは、必ずしも整数値で等分する必要はなく、図12のステップS302と同様の式で目盛幅dを算出しても構わない。
【0080】
この後、表示情報表示処理S4で、経路概略図上の各経路に道路名称、渋滞区間表示、渋滞区間の長さなどの情報を追加した後、表示処理S5によって、経路概略図を表示部05に出力する。本実施例によれば、案内経路を直線、目的地に向かう代替経路を折れ線で表示し、渋滞区間に時間目盛記号をもつ経路概略図を表示できる。従って、ユーザは、経路概略図から周辺道路の渋滞状況を一瞥して把握できるため、現在の経路を走行して渋滞解消を待つべきか、代替経路に変更すべきかの判断が容易にとなる。
【0081】
次に、本発明の第4の実施例として、経路選択画面で提示された複数の候補経路の中から、ユーザが案内経路を決定できるようにしたナビゲーション装置を示す。
図20は、第4実施例のナビゲーション装置における入力受付制御部110と経路案内制御部111の動作を示す。
【0082】
ユーザが目的地を入力すると(OP11)、入力受付制御部110が、経路案内制御部111に、目的地への経路探索トリガを与える(S110)。経路案内制御部111は、経路探索トリガを受けると、複数経路探索処理S112を実行する。複数経路探索処理S112では、例えば、最短距離の経路、最短時間の経路、有料道路を使用しない経路など、優先すべき評価パラメータが異なった探索条件に基づいて、複数の経路を探索する。
【0083】
経路探索が終了すると、経路選択画面生成処理S112によって、経路選択画面を生成し、表示部105に出力する(S113)。ユーザが、経路選択画面に表示された複数の経路の中から、特定の経路を選択すると(OP12)、入力受付制御部110が、経路案内制御部111に、選択経路トリガを与える(S120)。経路案内制御部111は、選択経路トリガを受けると、経路案内処理S121を開始する。経路案内処理S121では、選択経路を案内経路とする経路案内画面を表示部105に出力し(S122)、自動車の移動に伴って案内画面を変化させる公知の経路案内制御が行われる。
【0084】
図21は、経路選択画面生成処理S112で生成される経路選択画面の1例を示す。
ここでは、経路探索条件として、有料道路を使用して、所要時間が最小の経路を選択する「有料道・時間優先」と、有料道路を使用して、目的地までの距離が最短の経路を選択する「有料道・最短距離」と、有料道路を使用せずに、所要時間が最小の経路を選択する「一般道・時間優先」と、有料道路を使用せずに、目的地までの距離が最短の経路を選択する「一般道・最短距離」の4つの条件が用意されている。
【0085】
経路選択画面は、経路概略図Map−Bと、経路探索条件ウインドウ800とからなっている。経路概略図Map−Bには、上述した経路探索条件で探索された経路が、時間目盛付き経路として表示され、経路探索条件ウインドウ800には、各経路の所要時間と距離が、経路探索条件と対応付けて表示される。801は、経路選択ボタンを示す。例えば、経路選択ボタン801を色分けして表示し、経路概略図Map−B上の各経路を経路選択ボタンと同じ色で表示することによって、経路概略図MAP−B上の経路と探索条件とが対応付けられる。ユーザは、経路選択ボタン801を選択することによって、探索された複数の候補経路の中から、案内経路を選択できる。
【0086】
図22は、経路選択画面生成処理S112における経路概略図Map−Bの生成手順の1例を示す。
経路選択画面生成処理S112は、先ず、図18で説明した格子状の経路概略図を作成する(ステップS1121)。次に、ステップS1122で、分岐点または合流点に結合された代替経路線分の屈曲部分を、例えば、格子幅の1/3ずつY軸方向にずらすことによって、代替経路を表す折れ線を台形状に整形する。最後に、ステップS1123で、各経路の主要部となるY軸方向の直線区間に対して、図19で説明した時間目盛配置処理を適用して、時間目盛記号を配置する。
【0087】
本実施例によれば、経路概略図上で、分岐点の直後、または合流点の直前の区間を除外して、各代替経路の主要部となるY軸方向の直線区間に時間目盛りを配置しているため、ユーザにとって、各経路の所要時間の比較が容易になる。また、本実施例によれば、経路の分岐状態を一見して把握できる程度に簡略化された経路概略図において、各経路の所要時間や渋滞状況を容易に比較できるため、ユーザが、複数の候補経路の中から案内経路を瞬時に選択することが可能となる。
【0088】
以上の実施例では、表示情報追加処理S4において、時間目盛記号が配置された経路概略図に、道路名称、交差点名称などの文字情報と、渋滞区間表示を重畳したが、経路概略図の表示スペースに余裕があれば、経路沿いに位置した主要施設や店舗などを文字情報やアイコンで表示してもよい。
【0089】
また、各経路において、時間目盛記号が示す通過予想時刻と主要施設の通過予想時刻とに基づいて、主要施設名称の表示位置、または時間目盛の表示位置を決定することによって、ユーザが、各経路に表示された時間目盛の配列から、或る主要施設(または店舗)の通過予想時刻τを予測できるようにしてもよい。例えば、第n番目の時間目盛記号が施設Kの手前の地点Paの通過時刻に相当し、施設Kを過ぎた地点Pbの通過時刻が第(n+1)番目の時間目盛記号に相当する場合、時間目盛幅(時間目盛記号の配置間隔)をdとすると、施設Kの通過予想時刻τと時間目盛記号との間には、n×d<τ<(n+1)×dの関係がある。従って、私設Kの名称またはアイコンを(n+0.5)×dの位置に表示することによって、ユーザに施設Kの凡その通過時刻を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明を適用したナビゲーションシステムの1例を示す図。
【図2】地図データ記憶部102に格納される地図データベース40の構成例を示す図。
【図3】地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す図。
【図4】道路データ401の基本的な構成の1例を示した図。
【図5】経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す図。
【図6】時間目盛付き経路概略図生成部116の基本機能を示すフローチャート。
【図7】経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3の接続関係を示す図。
【図8】候補経路R1、R2、R3のリンク列を示す図。
【図9】経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノードおよび拡張リンクと、経路R1〜R3との関係を示す図。
【図10】経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示す図。
【図11】経路概略図生成処理(ステップS2)の詳細手順を示す図。
【図12】時間目盛配置処理(S3)における時間目盛の配置手順を示す図。
【図13】本発明の第2実施例における経路案内制御部111の動作を示すフローチャート。
【図14】経路変更提案時の表示画面の1例を示す図。
【図15】案内経路と代替経路の渋滞区間に時間目盛を表示した経路概略図を示す図。
【図16】本発明の第3の実施例における入力受付制御部110と経路案内制御部111の動作を示す図。
【図17】時間目盛付き経路図生成部116が実行する渋滞経路図生成処理S103のフローチャート。
【図18】経路概略図生成処理S21による経路概略図の生成手順の一例を示す図。
【図19】図17における時間目盛配置処理S31の1例を示す図。
【図20】本発明の第4の実施例における入力受付制御部110と経路案内制御部111の動作を示す図。
【図21】経路案内制御部111が経路選択画面生成処理S112で生成する経路選択画面の1例を示す図。
【図22】経路選択画面生成処理S112における経路概略図MAP−Bの生成手順の1例を示す図。
【符号の説明】
【0091】
10:ナビゲーション装置、20:基地局、30:交通情報配信サーバ、40:地図データベース、50:経路データ、51:道路形状データ、52:名称データ、
100:制御部、101:プロセッサ、102:地図データ記憶部、103:現在位置取得部、104:入力部、105:表示部、106:通信部、107:メモリ、110:入力受付制御部、111:経路案内制御部、112:経路探索部、113:経路概略図生成部、114:経路探索条件設定部、115:経路探索条件、117:時間目盛付き経路図生成部、117:所要時間計算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地に向かう複数の経路を概略図として表示画面に表示するナビゲーション装置であって、
地図データから上記目的地に向かう複数の経路を探索する経路探索部と、
上記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、上記複数の経路を分岐点と合流点をもつ複数の線分で示した経路概略図を生成する経路概略図生成部と、
上記経路概略図上の特定の経路区間を示す線分に、該区間の通過所要時間に応じて決まる個数の時間目盛記号を配置する時間目盛配置部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路概略図生成部が、前記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データを解析して、各経路を他の経路と重複する区間と非重複区間とに区分し、重複区間毎、非重複区間毎にリンク識別子をもつ経路データを生成し、該経路データに基いて、前記経路概略図を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路概略図生成部が、前記複数の経路のうちの1つを案内経路、他の経路を代替経路として扱い、上記案内経路を分岐点または合流点となる複数のノードを含む第1の直線で表現し、上記案内経路から分岐した各代替経路を両端が上記第1の直線上の何れかのノードに結合された折れ線または曲線で表現した経路概略図を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記時間目盛配置部が、指定された経路区間の通過所要時間を算出する所要時間計算部を有し、上記所要時間計算部によって、前記経路概略図上の特定区間に対応する経路区間の通過所要時間を計算し、該通過所要時間に基いて、上記特定区間に配置すべき前記時間目盛の配置間隔を決定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記時間目盛配置部が、前記通過所要時間を所定時間幅で除算して前記時間目盛記号の配置間隔を算出し、前記特定の経路区間を示す線分上に上記配置間隔で時間目盛記号を分散配置することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記時間目盛配置部が、前記通過所要時間を所定時間幅で除算し、除算結果を整数値に丸めて、前記時間目盛記号の配置間隔を算出することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記時間目盛配置部が、前記複数の時間目盛記号を前記特定の経路区間を示す線分の主要部分に等間隔に配置することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
表示装置に案内経路に沿った地図を案内画面として表示し、自動車の走行に伴って上記案内画面の表示内容を更新する車載型のナビゲーション装置であって、
地図データ記憶部と、
自動車の現在位置を示す位置情報を出力する現在位置取得部と、
上記現在位置取得部から出力された位置情報に応じて、上記案内画面を制御する経路案内制御部と、
上記地図データ記憶部に格納された地図データに基づいて、現在位置から目的地に向かう複数の経路を探索する経路探索部と、
上記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、上記複数の経路を簡略化された分岐点と合流点をもつ複数の線分で示した経路概略図を生成する経路概略図生成部と、
上記経路概略図上の特定の経路区間を示す線分に、該区間の通過所要時間に応じて決まる個数の時間目盛記号を配置する時間目盛配置部とを備え、
上記時間目盛記号付きの経路概略図が、単独または上記案内画面と一緒に、上記表示装置に表示されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
前記経路概略図生成部が、前記複数の経路のうちの1つを案内経路、他の経路を代替経路として扱い、上記案内経路を分岐点または合流点となる複数のノードを含む第1の直線で表現し、上記案内経路から分岐した各代替経路を両端が上記第1の直線上の何れかのノードに結合された折れ線または曲線で表現した経路概略図を生成することを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記経路案内制御部が、案内画面でユーザを誘導中に、前記経路探索部によって、現在位置から目的地に向かう複数の経路を探索し、
前記経路概略図生成部が、上記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、案内経路と途中で選択可能な代替経路の状態を前記時間目盛記号で表現した経路概略図を生成することを特徴とする請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記経路概略図生成部が、前記経路探索部で探索された複数の経路を示す経路データに基いて、前記案内経路と途中で選択可能な代替経路の渋滞区間に前記時間目盛記号を配置した経路概略図を生成することを特徴とする請求項10に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記経路探索部が、前記地図データから異なる探索条件で複数の経路を探索し、
前記経路案内制御部が、前記時間目盛記号付きの経路概略図と、上記探索条件別に目的地までの所要時間と走行距離とを示した経路選択画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項8〜請求項10の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−215860(P2008−215860A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50011(P2007−50011)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】