説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザの設定した予算額と利用割引とを考慮した経路案内を行うことによって、ユーザにとって一層好ましい経路による経路案内が出来るナビゲーション装置を提供することである。
【解決手段】CPU11は、上限金額設定プログラム18dの実行によってユーザにより有料道路の使用料金の上限金額が設定されると、経路検索プログラム18lの実行によって上限金額に所定の金額を付加した検索金額に基づいて経路検索を行い、取得プログラム18eの実行によって検索された経路に有料道路の利用割引を受けられる1又は複数の区間が取得され、判断プログラム18gの実行によって各区間に設定された利用割引額の総額を検索金額から減じた額が上限金額以下であるか否かが判断され、上限金額以下であった場合は、その経路によって経路案内を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路案内における予算をユーザが設定し、経路検索の結果、有料道路の使用によって予算を超過した場合に、有料道路の使用区間を調整し、予算内でたどり着く別経路を検索するナビゲーション装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ナビゲーション装置によって探索された経路に含まれる、有料道路の経路を分割し、有料道路の通行料金の割引制度を考慮して、有料道路の通行料金が最も低額となる経路によってユーザに経路案内する技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−275869号公報
【特許文献2】特開2007−271381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1において、ユーザが設定した予算を超過した経路が検索された場合に、当該経路内の通行料金の割引情報などが考慮されておらず、上記経路が真に予算を超過した経路であるか否かは判別することが出来ないため、代わりに案内される経路がユーザにとって必ずしも設定した予算内での最適経路とはいえないという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献2において、有料道路の通行料金が最も低額になる経路であっても、その経路はユーザが許容し得る予算限度額の範囲内で、最短又は最適な経路であるか否かは判別できないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、ユーザの設定した予算額と利用割引とを考慮した経路案内を行うことによって、ユーザにとって一層好ましい経路による経路案内が出来るナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
出発地と目的地を設定する設定手段を備え、出発地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
所定の有料道路の区間ごとの利用割引情報を記憶する利用割引情報記憶手段と、
経路案内において、ユーザが有料道路を使用するか否かを設定する有料道路使用設定手段と、
前記有料道路使用設定手段によって有料道路を使用すると設定された場合に、有料道路の使用料金の上限金額を設定する上限金額設定手段と、
前記上限金額設定手段により設定された上限金額に、所定の金額を付加した検索金額に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、前記利用割引情報記憶手段により記憶された有料道路の利用割引情報に該当する1又は複数の区間を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された1又は複数の区間における利用割引情報を、前記利用割引情報記憶手段により取得して、前記取得手段により取得された1又は複数の区間の利用割引額の総額を算出する利用割引額算出手段と、
前記利用割引額算出手段によって算出された利用割引額の総額を、前記検索金額より減じて、前記上限金額設定手段により設定された上限金額以下の額であるか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段によって上限金額以下の額であると判断された場合に、前記経路検索手段により検索された経路に基づく経路案内を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記利用割引情報記憶手段に記憶される利用割引情報は、所定の有料道路の区間を通過する時間帯に応じて利用割引を受けられる時間帯利用割引情報を含んで構成されており、
出発地を出発する時刻を設定する出発時刻設定手段と、を備え、
前記取得手段は、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、時間帯利用割引情報に該当する区間を取得する時間帯利用割引区間取得手段と、
前記時間帯利用割引区間取得手段により取得された区間の始点及び終点に到達する始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を、前記出発時刻設定手段により設定された出発時刻と、前記経路検索手段により検索された出発地から目的地までの経路とに基づいて予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、前記時間帯利用割引区間取得手段により取得される区間の、前記利用割引を受けられる時間帯に、含まれるか否かを判断する時間帯判断手段と、を備え、
前記取得手段は、前記時間帯判断手段により含まれないと判断された場合、前記時間帯利用割引情報を除いた利用割引情報に該当する1又は複数の区間を取得することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載のナビゲーション装置において、前記判断手段によって上限金額以下の額ではないと判断された場合に、前記経路検索手段における検索金額に、所定の金額を減じた額を新たな検索金額として、前記経路検索手段により、再度経路の検索を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
出発地と目的地を設定する設定手段を備え、出発地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
所定の有料道路の区間を通過する時間帯に応じて利用割引を受けられる時間帯利用割引情報を含んだ、所定の有料道路の区間ごとの利用割引情報を記憶する利用割引情報記憶手段と、
経路案内において、ユーザが有料道路を使用するか否かを設定する有料道路使用設定手段と、
前記有料道路使用設定手段によって有料道路を使用すると設定された場合に、有料道路の使用料金の上限金額を設定する上限金額設定手段と、
前記上限金額設定手段により設定された上限金額に、所定の金額を付加した検索金額に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
出発地を出発する時刻を設定する出発時刻設定手段と、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、時間帯利用割引情報に該当する区間を取得する時間帯利用割引区間取得手段と、
前記時間帯利用割引区間取得手段により取得された区間の始点及び終点に到達する始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を、前記出発時刻設定手段により設定された出発時刻と、前記経路検索手段により検索された出発地から目的地までの経路とに基づいて予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、前記時間帯利用割引区間取得手段により取得される区間の、前記利用割引を受けられる時間帯に、含まれるか否かを判断する時間帯判断手段と、
前記時間帯判断手段により含まれないと判断された場合、前記利用割引情報記憶手段により記憶された有料道路の利用割引情報より、前記時間帯利用割引情報を除いた利用割引情報に該当する1又は複数の区間を、前記経路検索手段により検索された経路の中から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された1又は複数の区間における利用割引情報を、前記利用割引情報記憶手段により取得して、前記取得手段により取得された1又は複数の区間の利用割引額の総額を算出する利用割引額算出手段と、
前記利用割引額算出手段によって算出された利用割引額の総額を、前記検索金額より減じて、前記上限金額設定手段により設定された上限金額以下の額であるか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段によって上限金額以下の額であると判断された場合に、前記経路検索手段により検索された経路に基づく経路案内を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザが目的地と、有料道路の使用に要する料金の上限金額を設定すると、上限金額に所定の額を付加した検索金額に基づいて経路を検索し、その経路に有料道路の利用割引情報が含まれている場合、検索金額から利用割引額の総額を減じたものが上限金額以下の額か否かが判断され、上限金額以下の額である場合には、その検索金額に基づいて検索された経路により経路案内する。
したがって、本発明は、ユーザの設定した予算額と利用割引とを考慮した経路案内を行うことによって、ユーザにとって一層好ましい経路による経路案内が出来るナビゲーション装置であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を参照して、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
ナビゲーション装置1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、GPSアンテナ12と、出力部13と、入力部15と、RAM(Random Access Memory)17と、ROM18と、HDD部19と、計時部20と、通信部21と、等を備えている。また、上記各部はバス10によって接続されている。
このナビゲーション装置1は、車両に着脱可能に構成されており、車両に搭載して使用することと、ユーザが携帯して使用することが可能なポータブル型のナビゲーション装置である。
ここで、本実施形態に係る有料道路の利用割引情報とは、例えば、有料道路の通行時に、ETCシステムを利用することによりユーザが享受出来る割引情報であり、有料道路の所定の区間の通行により一律に割引額が設定されている利用割引情報や、有料道路の所定の区間を所定の時間帯に通行することにより、定められた通行料に対する所定の割引率が設定されている時間帯利用割引情報から成るものとする。そして、各利用割引情報には、利用割引が受けられる区間(時間帯利用割引情報にあっては、利用割引が受けられる区間及びその時間帯)、割引額又は割引率、などの情報を備えているものとする。また、この時間帯利用割引情報に基づく利用割引は、利用割引を受けられる時間内に、利用割引を受けられる区間の始点又は終点をユーザが通過する(始点又は終点に備えられたETCのゲートをETC車載器が通過する)ことによって適用される。さらに、同一の区間に複数の利用割引情報が存在しており、ユーザが利用割引を受けられる条件を複数満たしている場合は、一般に、最大限の利用割引を受けられる利用割引情報が適用される。すなわち、ETCシステムの利用により生じる料金の決済時に、上記最大限の利用割引に基づく割引額のみが差し引かれることになる。
【0014】
CPU11は、ROM18に記憶されたナビゲーション装置用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
【0015】
GPSアンテナ12は、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星から送信されるGPS信号(アルマナック(概略軌道情報)やエフェメリス(詳細軌道情報)など)を受信して、その受信したGPS信号をCPU11に出力する。
【0016】
出力部13は、例えば、液晶表示モニタ等から構成され、地図情報に基づく道路地図や、地図上に示されるナビゲーション装置1の現在位置に対応する地点の道路名や地域名などを表示する。
【0017】
入力部15は、例えば、文字/数字キー、各種機能キー、出力部13と一体的に設けられたタッチパネル等から構成され、ユーザにより操作されると、その操作に伴う押下信号をCPU11に出力する。また、入力部15は、例えば、リモートコントローラのように装置を遠隔操作可能な構成であってもよい。
【0018】
RAM17は、例えば、CPU11により実行される処理プログラム等を展開するためのプログラム格納領域や、入力データや処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域などを備える。
【0019】
ROM18は、例えば、ナビゲーション装置1で実行可能なシステムプログラム、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU11により演算処理された処理結果のデータ等を記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形でROM18に記憶されている。
具体的には、ROM18は、例えば、設定プログラム18aと、利用割引情報記憶プログラム18b、有料道路使用設定プログラム18cと、上限金額設定プログラム18dと、経路検索プログラム18lと、取得プログラム18eと、利用割引額算出プログラム18fと、判断プログラム18gと、出発時刻設定プログラム18hと、時間帯利用割引区間取得プログラム18iと、予測プログラム18jと、時間帯判断プログラム18kと、等を記憶している。
【0020】
設定プログラム18aは、現在位置をナビゲーション装置1の経路案内における出発地として設定し、目的地をナビゲーション装置1のユーザによる入力操作によって設定させる機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が設定プログラム18aを実行することにより、ナビゲーション装置1の現在位置をGPSアンテナ12を介して取得し、それを出発地として設定し、ユーザに入力部15を操作させることにより目的地を設定させる設定手段として機能する。
なお、出発地を現在位置とせずに、目的地と同様に、ユーザに入力部15を入力操作させることにより設定するようにしてもよい。
【0021】
利用割引情報記憶プログラム18bは、後述のHDD部19の利用割引情報フォルダ19aに、外部機器より取得した利用割引情報を記憶する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が利用割引情報記憶プログラム18bを実行することにより、最新の有料道路の利用割引情報を、外部機器を介して取得し、それを利用割引情報フォルダ19aに格納しておくことが出来る。
【0022】
有料道路使用設定プログラム18cは、ナビゲーション装置1の経路案内において、有料道路を使用するか否かをユーザが設定する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が有料道路使用設定プログラム18cを実行することにより、設定プログラム18aの実行によって設定した出発地から目的地までの経路案内において、ユーザに入力部15を操作させることにより、有料道路を使用するか否かの設定をする設定手段として機能する。
【0023】
上限金額設定プログラム18dは、有料道路の使用料金の上限金額をユーザが設定する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が上限金額設定プログラム18dを実行することにより、有料道路使用設定プログラム18cの実行により、ユーザが有料道路を使用すると設定した場合に、ユーザに入力部15を操作させることにより、有料道路の使用料金の上限金額を設定する設定手段として機能する。
【0024】
経路検索プログラム18lは、上限金額に所定の金額を付加した検索金額に基づいて経路検索を実行する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が経路検索プログラム18lを実行することにより、上限金額設定プログラム18dの実行で設定された上限金額に、所定の金額(例えば、上限金額と同額を最大値とする金額)を付加した検索金額(例えば、上限金額以上、上限金額の倍額以下の額)を算出し、その検索金額を経路検索における有料道路の使用料金の限度額とし、経路検索を実行する経路検索手段として機能する。
【0025】
取得プログラム18eは、経路検索プログラム18lの実行により検索される経路の中から、有料道路の利用割引情報に該当する1又は複数の区間を取得する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が取得プログラム18eを実行することにより、経路検索プログラム18lの実行により検索される経路を、例えば、有料道路の料金所の存在する地点ごとに分割し、その分割された区間ごとに対して、HDD部19の利用割引情報フォルダ19aに格納されている、利用割引情報に記載された利用割引の対象となる区間と一致するか否かを判断し、一致していると判断した場合に、その区間を取得する取得手段として機能する。
【0026】
利用割引額算出プログラム18fは、取得プログラム18eの実行によって取得された、1又は複数の利用割引情報に該当する区間の利用割引額の総額を算出する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が利用割引額算出プログラム18fを実行することにより、取得プログラム18eの実行によって取得された、利用割引の対象となる区間に係る1又は複数の利用割引情報を、HDD部19の利用割引情報フォルダ19aより取得し、その利用割引情報から把握される利用割引額に基づいて、利用割引情報に該当する区間の利用割引額の総額を算出する算出手段として機能する。また、同一区間について複数の利用割引情報が含まれており、2以上の利用割引を受けることが出来る場合は、利用割引額が最大となる利用割引のみを利用割引額の総額の算出に考慮するものとする。
【0027】
判断プログラム18gは、利用割引額算出プログラム18fの実行により算出された利用割引額の総額を検索金額より差し引いて、その金額が上限金額を下回るか否かを判断する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が判断プログラム18gを実行することにより、利用割引額算出プログラム18fの実行により算出された利用割引額の総額を検索金額より差し引いて、経路案内する上で現実にユーザが負担すると予測される金額を算出し、その金額が、ユーザが当初設定した上限金額(上限金額設定プログラム18dの実行により設定した上限金額)の範囲内に納まっているか否かを判断する判断手段として機能する。CPU11は判断プログラム18gの実行結果を受けて、上限金額の範囲内に納まっていると判断した場合は、当該検索金額に基づく経路による経路案内を実行する。
【0028】
出発時刻設定プログラム18hは、ナビゲーション装置1の経路案内を実行する上で、その出発地を出発する時刻をユーザが設定する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が出発時刻設定プログラム18hを実行することにより、ユーザに入力部15を操作させ、ナビゲーション装置1の経路案内を実施する上で、出発地を出発する時刻を設定する設定手段として機能する。
なお、出発時刻設定プログラム18hは、ユーザによって出発時刻の設定がされなかった場合、後述の計時部21によって現在時刻を取得し、その現在時刻を出発時刻として設定するようにしても良い。
【0029】
時間帯利用割引区間取得プログラム18iは、経路検索プログラム18lを実行することによって検索された経路の中から、時間帯利用割引情報19bに該当する区間を取得する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が時間帯利用割引区間取得プログラム18iを実行することにより、経路検索プログラム18lの実行によって検索された経路の中から、HDD部19の利用割引情報フォルダ19aに記憶された時間帯利用割引情報19bに該当する1又は複数の区間を取得する取得手段として機能する。
【0030】
予測プログラム18jは、時間帯利用割引情報に該当する区間の始点及び終点に到達する時刻(始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻)を、出発時刻と、経路検索プログラム18lの実行により検索された経路に基づいて予測する機能を、CPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が予測プログラム18jを実行することにより、経路検索プログラム18lの実行によって検索された経路より、時間帯利用割引情報に該当する区間の始点及び終点を判断し、その始点及び終点に到達するまでに要する予測時間を算出し、その時間を、出発時刻設定プログラム18hの実行により設定された出発時刻に付加することにより、始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を予測する予測手段として機能する。
【0031】
時間帯判断プログラム18kは、始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、時間帯利用割引区間取得プログラム18iの実行により取得される区間の、利用割引を受けられる時間帯に含まれるか否かを判断する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が時間帯判断プログラム18kを実行することにより、予測プログラム18jの実行により予測された始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、時間帯利用割引区間取得プログラム18iの実行により取得される区間の、時間帯利用割引情報に基づく利用割引を受けられる時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段として機能する。
【0032】
HDD部19は、利用割引情報フォルダ19aを備えており、後述の通信部21を介して取得された利用割引情報が格納出来るようになっている。また、利用割引情報フォルダ19aには、時間帯利用割引データ19bが含まれている。
具体的に、HDD部19は、例えば、ATA(AT Attachment)規格を採用し、内蔵されたハードディスク(図示省略)と、HDD部19に対するデータの記憶或いはハードディスクに記憶された動画データの読み出しを行う磁気ヘッド(図示省略)と、ハードディスクを回転駆動させるとともに、磁気ヘッド(図示省略)をハードディスクの半径方向に移動させるための駆動部(図示省略)等を備えて構成されている。ハードディスクは、非磁性体のディスク基板(図示省略)と、その上に設けられた磁性層(図示省略)と、を備えて成り、磁気ヘッド(図示省略)とハードディスクとの間に、電流を供給することにより磁界を発生する微小なギャップを有している。
【0033】
計時部20は、現在時刻を計時し、CPU11からの制御出力に応じて、計時した現在時刻データを、CPU11に対して出力する。
【0034】
通信部21は、有線/無線のLANポート等によって構成され、LAN通信回線や無線通信を介して外部機器から利用割引情報を入手可能にしている。
【0035】
<検索金額経路設定処理>
次に、当該ナビゲーション装置1における、検索金額経路設定処理について、図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
前提として、当該ナビゲーション装置1が備えられた車両には、ETC車載器が設置されており、事前のユーザ操作により、CPU11が利用割引情報記憶プログラム18bを実行し、利用割引情報フォルダ19aに時間帯利用割引情報19bを含んだ複数の利用割引情報が格納されているものとする。
【0037】
まず、CPU11は、設定プログラム18aを実行することによって、GPSアンテナ12を介して出発地を取得し、入力部15を介してユーザに目的地を入力させ、出発地と目的地の設定をする。更に、CPU11は、有料道路使用設定プログラム18cの実行により、ユーザに、経路案内において、有料道路を使用するか否かの設定をさせる(ステップS1)。
【0038】
次いで、CPU11は、ユーザが有料道路を使用しないと設定した場合(ステップS2;No)、一般道のみを用いた経路検索を実行し(ステップS3)、ステップS21に移行する。
【0039】
一方で、CPU11は、ユーザが有料道路を使用すると設定した場合(ステップS2;Yes)、上限金額設定プログラム18dを実行し、ユーザに入力部15を操作させ、有料道路の使用料金の上限金額を設定させる(ステップS4)。
【0040】
次いで、CPU11は、上限金額に、所定の金額(例えば、上限金額と同額)を付加し、当初の検索金額(例えば、上限金額の倍額)を設定する(ステップS5)。
【0041】
次いで、CPU11は、上限金額と検索金額が同額か否かを判断し(ステップS6)、同額であると判断した場合は(ステップS6;Yes)、経路検索プログラム18lを実行することにより、その検索金額(上限金額)に基づく経路検索を実行し(ステップS7)、ステップS21に移行する。
【0042】
一方で、CPU11が、上限金額と検索金額が同額でないと判断した場合は(ステップS6;Yes)、すなわち、検索金額が上限金額を上回ると判断した場合、経路検索プログラム18lを実行することにより、その検索金額に基づく経路検索を実行する(ステップS8)。
【0043】
次いで、CPU11は、時間帯利用割引区間取得プログラム18iを実行し、ステップS8で検索した経路に、時間帯利用割引情報19bに該当する1又は複数の区間の取得を行い、取得できなかった場合はステップS15へ移行する(ステップS9;No)。
【0044】
一方で、CPU11は、時間帯利用割引情報19bに該当する1又は複数の区間を取得できた場合(ステップS9;Yes)、出発時刻設定プログラム18hを実行することにより、ユーザに出発地を出発する出発時刻を設定させる(ステップS10)。
【0045】
次いで、CPU11は、予測プログラム18jを実行することにより、ステップS9で取得された各区間について、始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を予測する(ステップS11)。
【0046】
次いで、CPU11は、時間帯判断プログラム18kの実行によって、経路案内時に時間帯利用割引の適用を受けられるか否か、すなわち、ステップS9で取得された各区間の始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、時間帯利用割引情報19bに記載された利用割引を受けられる時間帯に含まれるか否かを判断する(ステップS12)。
【0047】
次いで、CPU11が、時間帯利用割引の適用を受けられると判断した場合(ステップS12;Yes)、ステップS14に移行する。
一方で、CPU11が、時間帯利用割引の適用を受けられないと判断した場合(ステップS12;No)、利用割引情報フォルダ19aからその時間帯利用割引情報19bを一時的にHDD部19の別のフォルダへ退避させ、ステップS15における取得プログラム18eの実行時に、その時間帯利用割引情報19bに該当するか否かの判断が行われないようにする(ステップS13)。そして、ステップS14に移行する。
【0048】
次いで、CPU11は、ステップS9で取得された1又は複数の区間の全てについて、ステップS12における時間帯利用割引の適用を受けられるか否かの判断が行われたか否かを判断し(ステップS14)、まだ判断が行われていない区間が存在する場合(ステップS14;No)は、ステップS11以降の処理を繰り返し、一方で、まだ判断が行われていない区間が存在しない場合(ステップS14;Yes)は、ステップS15に移行する。
【0049】
次いで、CPU11は、取得プログラム18eを実行することにより、利用割引情報に該当する区間の取得を行い(ステップS15)、取得できなかった場合は(ステップS15;No)、有料道路の利用割引を受けられる可能性が無いと判断し、検索金額を上限金額と同額に設定し(ステップS16)、ステップS6に移行し、ステップS7においてユーザの設定した上限金額による経路検索が行われることになる。
【0050】
一方で、CPU11は、利用割引情報に該当する区間の取得ができた場合(ステップS15;Yes)、利用割引額算出プログラム18fを実行することにより、その取得された区間で得られる利用割引額の総額を算出する(ステップS17)。
【0051】
次いで、CPU11は、判断プログラム18gを実行することにより、検索金額からステップS16で得られた利用割引額の総額を差し引いた金額が、ユーザの設定した上限金額を下回っているか否かを判断する(ステップS18)。上限金額を下回っていないと判断した場合(ステップS18;No)、現在の検索金額から、所定の金額(例えば、上限金額の1割)を減じて、新たな検索金額として設定する(ステップS19)。そして、ステップS6以降の処理を繰り返し実行することになる。
【0052】
一方で、CPU11が、上限金額を下回ったと判断した場合(ステップS18;Yes)、現在検索された経路を、経路案内に用いる経路として設定する(ステップS20)。
【0053】
次いで、CPU11は、ステップS20で設定された経路に基づいて、ユーザに経路案内を開始する(ステップS21)。
【0054】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置1において、ユーザが目的地及び有料道路の利用料金の上限金額を設定すると、その上限金額に所定の額を付加した検索金額に基づいて経路検索が実行される。そして、その経路内の利用割引情報に基づく利用割引額の総額が算出され、検索金額より利用割引額の総額を差し引いたものが上限金額以下である場合は、その検索金額に基づく経路によって、ユーザは経路案内を受けることが出来る。
したがって、ナビゲーション装置1は、ユーザの設定した予算額と利用割引とを考慮した経路案内を行うことによって、ユーザにとって一層好ましい経路による経路案内が出来るナビゲーション装置であるといえる。
【0055】
つまり、ナビゲーション装置1は、従来のナビゲーション装置ではユーザの予算額を超える経路であると判断し、経路案内に用いることが出来なかった経路であっても、有料道路の利用割引を考慮することにより、ユーザの予算額に収まる場合は、その経路によってユーザを経路案内することが出来る。
【0056】
また、ナビゲーション装置1は、検索金額に基づく経路検索により検索された経路の中に、時間帯利用割引情報が含まれている場合、その利用割引が受けられる時間帯に、経路案内時に到達することが出来るか否かが判断する。そして、その時間帯利用割引を受けられないと判断した場合は、利用割引情報フォルダより一時的にその時間帯利用割引情報を別のフォルダに退避させて、利用割引情報に該当する区間の取得に際し、その時間帯利用割引情報に該当する区間が取得されないようにすることが出来る。
【0057】
つまり、ユーザの設定する出発地を出発する時刻によっては、利用することができない利用割引情報に基づいて利用割引額が算出されることを未然に防ぎ、一層正確な利用割引額の総額を算出することが出来る。
【0058】
また、ナビゲーション装置1は、利用割引額の総額を検索金額から差し引いた結果、その額が上限金額を上回ると判断した場合、その検索金額から所定の金額を差し引いた額を新たな検索金額として設定し、再度の経路検索を行うことが出来る。
【0059】
つまり、ナビゲーション装置1は、検索金額を逓減させながら経路検索を繰り返すことにより、ユーザにとって最も好ましい経路を正確に検索することが出来る。
【0060】
また、経路案内時に、時間帯利用割引情報に該当する区間をナビゲーション装置1が経路案内する場合、出力部15を介して、その区間の利用割引を受けられる時間帯をユーザに報知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における検索金額経路設定処理の実行による動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明における検索金額経路設定処理の実行による動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 ナビゲーション装置
11 CPU(設定手段、利用割引情報記憶手段、有料道路使用設定手段、上限金額設定手段、経路検索手段、取得手段、利用割引額算出手段、判断手段、出発時刻設定手段、時間帯利用割引区間取得手段、予測手段、時間帯判断手段)
13 出力部
18 ROM
18a 設定プログラム(設定手段)
18b 利用割引情報記憶プログラム(利用割引情報記憶手段)
18c 有料道路使用設定プログラム(有料道路使用設定手段)
18d 上限金額設定プログラム(上限金額設定手段)
18e 取得プログラム(取得手段)
18f 利用割引額算出プログラム(利用割引額算出手段)
18g 判断プログラム(判断手段)
18h 出発時刻設定プログラム(出発時刻設定手段)
18i 時間帯利用割引区間取得プログラム(時間帯利用割引区間取得手段)
18j 予測プログラム(予測手段)
18k 時間帯判断プログラム(時間帯判断手段)
18l 経路検索プログラム(経路検索手段)
19 HDD部
19a 利用割引情報フォルダ
19b 時間帯利用割引情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地と目的地を設定する設定手段を備え、出発地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
所定の有料道路の区間ごとの利用割引情報を記憶する利用割引情報記憶手段と、
経路案内において、ユーザが有料道路を使用するか否かを設定する有料道路使用設定手段と、
前記有料道路使用設定手段によって有料道路を使用すると設定された場合に、有料道路の使用料金の上限金額を設定する上限金額設定手段と、
前記上限金額設定手段により設定された上限金額に、所定の金額を付加した検索金額に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、前記利用割引情報記憶手段により記憶された有料道路の利用割引情報に該当する1又は複数の区間を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された1又は複数の区間における利用割引情報を、前記利用割引情報記憶手段により取得して、前記取得手段により取得された1又は複数の区間の利用割引額の総額を算出する利用割引額算出手段と、
前記利用割引額算出手段によって算出された利用割引額の総額を、前記検索金額より減じて、前記上限金額設定手段により設定された上限金額以下の額であるか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段によって上限金額以下の額であると判断された場合に、前記経路検索手段により検索された経路に基づく経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記利用割引情報記憶手段に記憶される利用割引情報は、所定の有料道路の区間を通過する時間帯に応じて利用割引を受けられる時間帯利用割引情報を含んで構成されており、
出発地を出発する時刻を設定する出発時刻設定手段と、を備え、
前記取得手段は、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、時間帯利用割引情報に該当する区間を取得する時間帯利用割引区間取得手段と、
前記時間帯利用割引区間取得手段により取得された区間の始点及び終点に到達する始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を、前記出発時刻設定手段により設定された出発時刻と、前記経路検索手段により検索された出発地から目的地までの経路とに基づいて予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、前記時間帯利用割引区間取得手段により取得される区間の、前記利用割引を受けられる時間帯に、含まれるか否かを判断する時間帯判断手段と、を備え、
前記取得手段は、前記時間帯判断手段により含まれないと判断された場合、前記時間帯利用割引情報を除いた利用割引情報に該当する1又は複数の区間を取得することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のナビゲーション装置において、
前記判断手段によって上限金額以下の額ではないと判断された場合に、前記経路検索手段における検索金額に、所定の金額を減じた額を新たな検索金額として、前記経路検索手段により、再度経路の検索を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
出発地と目的地を設定する設定手段を備え、出発地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
所定の有料道路の区間を通過する時間帯に応じて利用割引を受けられる時間帯利用割引情報を含んだ、所定の有料道路の区間ごとの利用割引情報を記憶する利用割引情報記憶手段と、
経路案内において、ユーザが有料道路を使用するか否かを設定する有料道路使用設定手段と、
前記有料道路使用設定手段によって有料道路を使用すると設定された場合に、有料道路の使用料金の上限金額を設定する上限金額設定手段と、
前記上限金額設定手段により設定された上限金額に、所定の金額を付加した検索金額に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
出発地を出発する時刻を設定する出発時刻設定手段と、
前記経路検索手段により検索された経路の中から、時間帯利用割引情報に該当する区間を取得する時間帯利用割引区間取得手段と、
前記時間帯利用割引区間取得手段により取得された区間の始点及び終点に到達する始点予測到達時刻及び終点予測到達時刻を、前記出発時刻設定手段により設定された出発時刻と、前記経路検索手段により検索された出発地から目的地までの経路とに基づいて予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された始点予測到達時刻又は終点予測到達時刻が、前記時間帯利用割引区間取得手段により取得される区間の、前記利用割引を受けられる時間帯に、含まれるか否かを判断する時間帯判断手段と、
前記時間帯判断手段により含まれないと判断された場合、前記利用割引情報記憶手段により記憶された有料道路の利用割引情報より、前記時間帯利用割引情報を除いた利用割引情報に該当する1又は複数の区間を、前記経路検索手段により検索された経路の中から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された1又は複数の区間における利用割引情報を、前記利用割引情報記憶手段により取得して、前記取得手段により取得された1又は複数の区間の利用割引額の総額を算出する利用割引額算出手段と、
前記利用割引額算出手段によって算出された利用割引額の総額を、前記検索金額より減じて、前記上限金額設定手段により設定された上限金額以下の額であるか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段によって上限金額以下の額であると判断された場合に、前記経路検索手段により検索された経路に基づく経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−145216(P2009−145216A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323271(P2007−323271)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】