説明

ナビゲーション装置

【課題】正確な住所情報を必要としなくとも、目的地、経由地等の設定を間違いなく行うことができるようにする。
【解決手段】ディスプレイ3に表示される異なった属性別の複数の属性アイコンの中から特定の属性アイコンをドラッグし、ドラッグした特定の属性アイコンをディスプレイ3で表示されている地図上の所望位置に移動し、前記地図上の位置を特定すべくドロップし、そのドロップされた位置を中心として、その中心位置に近い場所から、前記ドラッグした属性アイコンの属性と同一カテゴリに含まれる箇所を選択し、前記ドラッグした属性アイコンの属性と同一カテゴリに含まれる特定箇所を関連地点アイコンとして表示し、表示された関連地点アイコンと現在位置とをディスプレイ3の単一地図上で表示し、関連位置アイコンを通過道路、迂回道路、目的地とするか否かを確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上にマーク等のアイコンを表示するナビゲーション装置に関するもので、特に、アイコンによって特定の地点を目的地等として設定できるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星を利用し、自己の位置や移動速度をリアルタイムに求めている。この種のナビゲーション装置は、自動車等の移動体または携帯用として普及している。
このナビゲーション装置は、電子化された地図データに基づいてモニタ上に地図を表示し、その地図上で自己の位置を示している。また、利用者が出発地、目的地、経由地等を指定することによって、その設定されたルートに基づいて走行を案内する機能を有している。
【0003】
この種のナビゲーション装置として、特許文献1の技術が公知である。特許文献1では、入力機能ボタンと地図上の任意の座標とが指定されたときに、指定された座標に対応する地図上の位置に入力機能ボタンに対応するマークを生成表示する技術を開示している。具体的には、表示部に地図とともに特定の処理と関連付けられた入力機能ボタンを表示させ、タッチパネルによって入力機能ボタンと地図上の任意の座標とが指定されたときに、当該座標に対応する地図上の位置にマークを生成し、表示するのである。ここで、マークとは、例えば、お気に入りの場所、目的地や経由地を示すものである。
また、入力機能ボタンと地図上に表示されたマークに対応する座標とが指定されたときに、当該マークに関する情報(オブジェクト)が表示される。
ここで、マークに関する情報としては、例えば、マークが付された場所が何らかの施設や店舗であれば、営業時間、休業日、住所、電話番号、その場所を紹介する写真(画像)等のガイド情報である。この情報は、予め所定のデータ格納部、記録ディスク等にマークと関連付けをして格納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328028
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1の技術は、利用者が選択する出発地、目的地、経由地、消去等を入力機能ボタンとしてディスプレイ上で表示し、ペンや指をタッチパネルに触れた状態のまま移動させることによって、地図を固定させた状態で地図上の任意の座標を指定し、ナビゲーション装置の出発地、目的地、経由地、それらの消去等の設定を行うことができる。
しかし、住所や地図上の位置が分かっている地点が目的地であればよいが、分かっていない地点であれば、間違った位置を設定してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、正確な住所情報を必要としなくとも、目的とする地点の設定を間違いなく行うことができるナビゲーション装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかるナビゲーション装置は、ディスプレイ上に表示される属性アイコンから特定の属性アイコンを選択し、選択した属性アイコンを地図上の所望の位置にドラッグアンドドロップすることで、地図上の位置を指定する。そして、指定された位置から所定範囲内の前記属性アイコンと同じ属性の施設、道路等の地点を関連地点として検索し、前記検索された関連地点を表示する。
ここで、前記ドラッグアンドドロップされる属性アイコンは、ディスプレイ上に表示される属性別のアイコンである。また、前記属性アイコンは、ディスプレイに直接表示することもできるし、表示される地図にスーパーインポーズで表示することもできる。
また、ドラッグアンドドロップとは、タッチパネルへの接触やマウスのボタン等で属性アイコンを選択した状態で、接触位置やマウスを移動させ、別の場所で接触位置やマウスのボタンを離すことで、属性アイコンを仮想的に「引きずり(ドラッグ)」、別の場所に「落とす(ドロップ)」という操作を意味する。
【0008】
請求項2の発明にかかるナビゲーション装置は、前記選択された属性アイコンと同じ属性である関連地点が複数検索された場合に、前記属性アイコンのドラッグアンドドロップにより指定された位置から近い順番で表示するものである。
【0009】
請求項3の発明にかかるナビゲーション装置は、前記選択されたアイコンが道路を示す属性アイコンである場合には、前記属性アイコンのドラッグアンドドロップにより指定された位置から所定範囲内の道路を関連地点として検索し表示するものである。
なお、道路は交差点間のリンク単位で1つの地点として扱われ表示される。
【0010】
請求項4の発明にかかるナビゲーション装置は、前記選択された属性アイコンが施設を示す属性アイコンであれば前記関連地点の位置に関連地点を示す関連地点アイコンを表示し、前記選択された属性アイコンが道路を示す属性アイコンであれば前記関連地点として検索された道路を強調表示する。
なお、道路の強調表示とは、該当する道路を他の道路と識別可能に表示することである。
【0011】
請求項5の発明にかかるナビゲーション装置は、関連地点として表示された道路から所望の道路を決定する際に、その道路を通過する通過道路として決定するか、選択した道路を迂回する迂回道路として決定するかの何れかを選択可能に表示する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のナビゲーション装置によれば、属性アイコンを選択して地図上の所望の位置にドラッグアンドドロップすることで、周辺から、前記属性アイコンと同じ属性の施設、道路等の地点を関連地点として検索し表示する。よって、操作者が正確な目的地として設定しようとする住所を知らなくても、その住所情報を必要とすることなく、操作者の記憶にある範囲内の情報で目的地の設定を間違いなく行うことができる。
【0013】
請求項2の発明にかかるナビゲーション装置によれば、選択された属性アイコンと同じ属性である関連地点が複数検索された場合には指定された位置から近い順番で表示する。よって、操作者が必要とする地点の表示順が早くなり、地点選択の手間を小さくすることができる。
【0014】
請求項3の発明にかかるナビゲーション装置によれば、選択された属性アイコンが道路を示す属性アイコンである場合に、指定された位置から所定範囲内の道路を関連地点として検索し表示する。よって、施設と道路を同じ操作で設定することが可能になり、操作性が向上する。
【0015】
請求項4の発明にかかるナビゲーション装置によれば、選択されたアイコンが道路を示す属性アイコンである場合には、前記関連地点の位置に関連地点を示す関連地点アイコンを表示し、選択された属性アイコンが道路を示す属性アイコンであれば前記関連地点として検索された道路を強調表示する。よって、施設と道路とで異なる表示を行うため、同じ操作で設定することが可能であるとともに、操作のミスを減らすことができる。
【0016】
請求項5の発明にかかるナビゲーション装置によれば、関連地点として表示された道路から所望の道路を決定する際に、その道路を通過する通過道路として決定するか、選択した道路を迂回する迂回道路として決定するかの何れかを選択可能に表示する。したがって、通過道路指定と迂回道路指定とを同じ操作で行うことが可能になり、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置の一部機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態のナビゲーション装置のメインメニュー画面の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の各種設定画面の説明図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の「属性アイコン列作成ルーチン」のフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の属性アイコン列作成画面の説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の「地点設定ルーチン」の道路アイコン以外の処理のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の「地点設定ルーチン」の道路アイコン処理のフローチャートである。
【図8】図8は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の地点設定の初期画面の説明図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態のナビゲーション装置のドラッグアンドドロップ画面の説明図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の設定・次候補の選択画面の説明図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の設定・次候補の選択画面の他の事例の説明図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の目的地・経由地の設定画面の説明図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態のナビゲーション装置において道路アイコン選択の場合の設定・次候補の選択画面の説明図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の目的地・経由地設定の選択画面の説明図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態のナビゲーション装置において過去の通過道路の選択か迂回道路の選択かを入力する選択画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置の一部機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において、本実施の形態のナビゲーション装置は、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うマイクロプロセッサからなる演算・制御部1と、操作者からの操作を受け付ける各種キー、音声入力用マイク、タッチスイッチ等からなる操作部2と、操作者に対して操作情報、地図等の情報を表示する液晶、EL等からなるディスプレイ3と、ルート案内、交通規制情報、渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを行うスピーカ4と、更に、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)に至るまでの距離等を検出するための各種センサからなる現在地検出部7と、道路交通情報通信システムセンター(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)62等の情報センターとの間でネットワーク61を介して通信を行う通信部6、各種のデータが記録され、書込み、読み出しが可能な記憶容量が大きいハードディスクからなるナビ情報処理部8と、ナビゲーション機能による目的地、経由地の設定によってルート探索される地点設定部9等から構成されている。なお、ディスプレイ3は操作部2としてのタッチスイッチを兼ねるものもある。
【0020】
マイクロプロセッサからなる演算・制御部1は、全体の制御を行う演算及び制御を行うCPU11、及びCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用すると共に、ルートが探索されたときのルートデータ等が記憶されるRAM12、制御用プログラム等が記憶されたROM13、ROM13から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ14等の内部記憶装置や、タイマ15等を備え、RAM12、ROM13、フラッシュメモリ14等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用され、演算及び制御を行うCPU11は、MPU等の演算機能を有するものの使用が可能である。
【0021】
ROM13には、各種のプログラムが記憶され、RAM12に各種のデータが記憶されるようになっている。更に、メモリーカード等を交換することによってプログラム、データ等を更新することができる。
そして、自車の現在位置を検出する現在地検出部7は、GPSセンサ71、地磁気センサ72、距離センサ73、ステアリングセンサ74、方位検出部としてのジャイロセンサ75、高度計76、更に、自車の走行速度及び走行距離を検出する車速センサ77等からなる。
【0022】
なお、本実施の形態のナビゲーション装置は、ネットワーク61を介して道路交通情報通信システムセンター62から警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や、交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。
【0023】
更に、本実施の形態のナビゲーション装置を構成する各構成要素について図1に基づいて具体的に説明する。
GPSセンサ71は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出する。地磁気センサ72は、地磁気を測定することによって自車方位を検出する。距離センサ73は、道路上の所定位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ73としては、例えば、自車の車輪の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するが、車速センサ77の出力を積分して距離を検出してもよい。
【0024】
また、ステアリングセンサ74は自車の操舵角を検出するものである。ここで、ステアリングセンサ74としては、例えば、ステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、ジャイロセンサ75は自車の旋回角を検出するものである。ここで、ジャイロセンサ75としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ75によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0025】
また、ナビ情報処理部8及び地点設定部9は、本実施の形態ではハードディスクを使用した事例で説明する。本実施の形態においては、ナビ情報処理部8、地点設定部9としてハードディスクが使用されているが、ハードディスクの他に、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置の一部として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード等を外部記憶装置の一部として使用することもできる。
【0026】
更に、演算・制御部1には、操作部2、ディスプレイ3、スピーカ4、通信部6の各周辺装置が電気的に接続されている。操作部2は、走行開始時の現在地を入力し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や、特定の設定された通過道路、その特定の道路を迂回する迂回道路の選択、施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種キー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、演算・制御部1は、操作部2の各スイッチの操作により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。イグニッションスイッチ21はエンジンの始動及び停止を行うものである。
なお、操作部2としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0027】
本実施の形態においては、アイコンのドラッグアンドドロップ操作により地図上の位置を指定するが、ドラッグアンドドロップとは、タッチパネルへの接触やマウスのボタン等で属性アイコンを選択した状態で、接触位置やマウスを移動させ、別の場所で接触位置やマウスのボタンを離すことで、属性アイコンを仮想的に「引きずり(ドラッグ)」、別の場所に「落とす(ドロップ)」という操作を意味する。
【0028】
ディスプレイ3には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までのルートの誘導を行う検索ルート、検索ルートに沿った案内情報、後述のルート変更案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
なお、ディスプレイ3の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL等を使用し、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することもできる。
【0029】
スピーカ4は、演算・制御部1からの指示に基づいて、誘導ルートに沿った走行を案内する音声ガイダンスや、誘導ルートのルート変更を案内する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「有料道路を利用するルートに変更されました。」等がある。
なお、スピーカ4より出力される音声としては、合成された音声の他に、各種効果音、予めICメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0030】
通信部6は、道路に沿って配設されたビーコン装置から情報を受信するビーコンレシーバ、FM多重放送等から情報を受信する受信機、通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器等である。
【0031】
ナビ情報処理部8の交通情報DB81には、道路交通情報通信システムセンター62から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報82が格納されている。また、この交通情報DB81には、道路交通情報通信システムセンター62から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報83が格納されている。
【0032】
また、地図情報DB84には、本実施の形態のナビゲーション装置の走行案内やルート探索に使用されるナビ地図情報85が格納されている。ここで、ナビ地図情報85は、ルート案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、地図34を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、地点の一種である道路に関するリンクデータ、ルートを探索するための探索データ、地点の一種である施設等のPOI(Point of Interest)に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。さらに、各地点データには属性が付与されており、例えば、「施設」、「道路」等の地物種別に基づく属性や、「店舗」、「役所」、「病院」等の施設種別に基づく属性や、「コンビニ」、「スーパー」、「本屋」等の店舗種別に基づく属性が設定されている。
そして、地図情報DB84の内容は、地図情報配信センターから通信部6を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0033】
属性アイコン格納部91には、地点の属性に係る属性アイコンが格納されている。属性アイコンは地点の属性をアイコンとして表現したもので、地点の属性と同様に、「施設」、「道路」等の地物種別や、「店舗」、「役所」、「病院」等の施設種別や、「コンビニ」、「スーパー」、「本屋」等の店舗種別に基づいて設定されている。
例えば、本屋の属性アイコンは本を開いた図案で示され、病院の属性アイコンは地図記号を用いて示されている。また、ユーザが自己のアイコンとして、属性アイコンの変更またはオリジナルのアイコンを作成し、それを特定の属性アイコンに対応付けることもできる。
【0034】
また、本実施の形態では、属性アイコン列格納部92を有している。この属性アイコン列格納部92は、ユーザが使用する可能性が高い属性アイコンをユーザの選択によって格納するメモリ領域で、ドラッグする属性アイコンの格納領域である。本発明を実施する場合、属性アイコン格納部91から直接属性アイコンをドラッグしてもよいが、本実施の形態のように、使用頻度の高いものを属性アイコン列格納部92に格納して使用することができる。勿論、メーカ側で比較的使用頻度が高いものを予め格納しておくこともできる。
【0035】
地点確定部94は、ディスプレイ3に表示され、ドラッグした属性アイコンと同じ属性の地点を関連地点アイコンとして表示し、表示された地点からユーザが選択した地点を目的地、経由地、迂回地等として確定する。
なお、ドラッグした属性アイコンと同じ属性の検索された地点の関連地点アイコンは、通常、同一形態のアイコンが使用されるが、本実施の形態では、地点設定のためユーザがドラッグするアイコンを属性アイコン、属性アイコンと同属性である周辺地点の位置を示すアイコンを関連地点アイコンとして区別する。
【0036】
次に、演算・制御部1が処理する本実施の形態にかかるナビゲーション装置の制御について、ディスプレイ3の画面表示と共に説明する。
【0037】
図2において、図示しないメインプログラムの実行によってディスプレイ3にメインメニュー画面が表示されている。このメインメニュー画面から各種設定22を選択することにより、図3に示す各種設定画面が表示される。ここでアイコン列作成23を選択すると、「属性アイコン列作成ルーチン」のプログラムが実行される。また、地点設定24が選択されると、「地点設定ルーチン」のプログラムが実行される。
【0038】
図4は本実施の形態1のナビゲーション装置の「属性アイコン列作成ルーチン」のフローチャートであり、本ナビゲーション装置のメインプログラムの実行中にコールされる。
まず、ステップS11で図5に示すように、ディスプレイ3の最上段に1列の属性アイコン列31を表示する。この属性アイコン列31は1列に限定されるものではなく2列以上とすることもできる。
【0039】
属性アイコン列31の下側には、属性アイコン格納部91に格納されている各属性アイコンが、それぞれが示す地点の属性やコメントと共に表示され、スクロール指示39によって全属性アイコンが上下動する。
【0040】
なお、ディスプレイ3の最下段には、消去エリア32が設けられている。即ち、属性アイコン列31の属性アイコンを消去エリア32にドラッグアンドドロップすることにより、属性アイコン列31の不要な属性アイコンを消去することができる。勿論、アイコン列31の1列または2列まで飽和したときに順次消去するようにしてもよい。本実施の形態では、属性アイコン列31の使用をできるだけ少なくし、背景となる地図34の表示画面の障害にならないようにしたものである。ここで、形式的には、属性アイコン列31の属性アイコンを消去エリア32にドラッグアンドドロップすることにより、属性アイコン列31から消去されるものの、当該属性アイコンは属性アイコン格納部91に存在する。
【0041】
ステップS12で属性アイコン表示部30から、特定の属性アイコンをドラッグし、ステップS13でそれを属性アイコン列31にドロップすると、当該属性アイコンが属性アイコン列31にコピーされる。即ち、ステップS14で使用頻度の高い属性アイコン31a,31b,31c,31dを順次選択すると、それが属性アイコン列31に並ぶことになる。そして、ステップS15で終了エリア33を選択すると、属性アイコン列31に属性アイコンを加える作業が終了する。ステップS15で終了エリア33を選択しないと、ステップS11からステップS15のルーチンを繰り返し実行する。
【0042】
また、ステップS16で属性アイコン列31の特定の属性アイコンがドラッグされたと判断し、かつ、ステップS17で消去エリア32にそれがドロップされたと判断すると、ステップS18で属性アイコン列31から該当属性アイコンを消去し、ステップS19で属性アイコン列31から消去された該当属性アイコンのスペースをなくし、ステップS20で終了エリア33を選択すると、属性アイコン列31の属性アイコンを消去する作業が終了する。ステップS20で終了エリア33を選択しないと、ステップS11からのルーチンを繰り返し実行する。
【0043】
このようにして、特に使用する頻度の高い属性アイコンを属性アイコン列格納部92に格納することによって、操作性の良い使用が可能になる。属性アイコン列格納部92には、格納する属性アイコンが1個でも、2個以上でも良い。
なお、本実施の形態では、属性アイコン格納部91にある属性アイコンのコピーを属性アイコン列格納部92に移したり、消去したりする事例で説明したが、本発明を実施する場合には、属性アイコン格納部91から属性アイコンを取り出して、属性アイコン列格納部92に移動したとき、当該属性アイコンが属性アイコン格納部91から消去され、また、属性アイコン列格納部92から属性アイコンを取り出して属性アイコン格納部91に移動したとき、当該属性アイコンが属性アイコン格納部91に出現するように制御してもよい。
【0044】
また、本記実施の形態のナビゲーション装置では、図4に示す「属性アイコン列作成ルーチン」によって使用する属性アイコンを属性アイコン格納部91に格納されている全属性アイコンからピックアップして属性アイコン列格納部92に移動し、使用し易くしたものであるが、本発明を実施する場合には、属性アイコン格納部91から直接ドラッグアンドドロップのドラッグを行い、それを地図34上の所望の位置にドロップしてもよい。このとき、一括して属性アイコンの表示を行う方が効率的である。
【0045】
このような使用においては、属性アイコンをドラッグしたとき、他の属性アイコンの表示をディスプレイ3上からなくすと、背景にある地図34が見難くなるのを防止でき、かつ、特定の属性アイコンをドラッグしていることが確認でき、ドラッグアンドドロップの操作性をよくすることができる。
【0046】
次に、演算・制御部1が処理する本実施の形態にかかるナビゲーション装置の制御について、ディスプレイ3の画面表示と共に説明する。
図6及び図7は本実施の形態1のナビゲーション装置の「地点設定ルーチン」のフローチャートであり、本ナビゲーション装置のメインプログラムの実行中にコールされる。
図3の地点設定24が選択されると、図6に示す「地点設定ルーチン」のプログラムが実行され、ステップS31で現在位置周辺の地図を表示する。ステップS32で属性アイコン列31をスーパーインポーズする。図8がこのときの状態に対応する。ステップS33で属性アイコンのドラッグの有無を判断し、ドラッグがあるまでステップS32及びステップS33を繰り返し実行する。
【0047】
即ち、属性アイコン列31にはユーザが登録した、例えば、本屋、学校、公園、道路の属性アイコンが本屋アイコン31a、学校アイコン31b、公園アイコン31c、道路アイコン31dとして表示されている。ディスプレイ3には、全面の地図34の表示に対して属性アイコン列31がスーパーインポーズされている。図示の属性アイコン列31は4個の属性アイコンからなるが、具体的には、ユーザが登録した数が表示される。
【0048】
ステップS33で特定の属性アイコンがドラッグされたことが検出されると、ステップS34でその選択された属性アイコンが道路アイコン31dであるか否かを判断する。道路アイコン31dのときには後述するステップS50からの処理に入る。また、ステップS35で当該地図の縮尺が非常に小さい場合には、ドロップする個所が曖昧になるので、地図34の縮尺を適当な縮尺に設定する。このとき、例えば、本屋アイコン31aを選択したとすると、その属性を介して、現在位置から最寄りの本屋までの距離を探索し、それに応じて縮尺を調整することができる。同時に、スクロールの必要性がある場合には、ステップS36でスクロールを行う。ステップS37で属性アイコンのドロップが確認されるまで、ステップS34乃至ステップS37のルーチンの処理を行う。
【0049】
例えば、施設に関する属性アイコンとして本屋アイコン31aを使用して本屋を目的地設定する場合を説明する。
ステップS33で属性アイコン列31から本屋アイコン31aを選択すべく指先でドラッグし、それを操作者が図9に示すように、ステップS37で目的地と思う場所にドロップする。即ち、ステップS33及びステップS37で属性アイコン列31に有る属性アイコンを選択して特定の場所にドロップするドラッグアンドドロップを行うことにより位置を指定する。
【0050】
ステップS37で属性アイコンのドロップによる位置の指定が確認されると、ステップS38でドロップ位置周辺から属性アイコンと同一属性の地点を関連地点として検索し、検索された関連地点をステップS39で関連地点アイコンとして表示させる。なお、ここで、ドロップした属性アイコンの位置に対し検索及び表示する関連地点は、図10に示すように、最も近い1地点の破線で示す関連地点アイコンとしてもよいし、図11に示すように、特定距離範囲内の複数地点の斜線や破線で示す関連地点アイコンとしてもよい。
【0051】
次に、ステップS40において当該関連地点アイコンで示された関連地点を目的地等として「設定」するか、それとも「次候補」の選択を行うか否かを、図10に示すように設定、次候補の選択画面表示35で行い、その判断入力を待つ。ステップS41で「設定」が選択されないで、「次候補」が選択された場合、ステップS42で別の関連地点の関連地点アイコンが表示され、ステップS38からステップS41、更には、必要に応じてステップS42のルーチンを繰り返し実行する。
【0052】
ステップS41で「設定」が選択されると、図10の白抜き矢印の方に移動した破線で示す関連地点アイコンのように、ステップS43で当該関連地点アイコンの位置が画面中央になるように地図34をスクロールする。そして、ステップS44で「目的地」の設定か、「経由地」の設定かを、図12の目的地、経由地の選択画面表示36で行い、その入力を待つ。「経由地」が選択されるとステップS45でその関連地点を経由地として設定し、「目的地」が選択されるとステップS46でその関連地点を目的地として設定する。
【0053】
前述したように、ステップS34でその選択された属性アイコンが道路アイコン31dであると判断された場合、ステップS50で必要に応じてスクロールを行い、道路アイコン31dがドラッグされ地図上にドロップされると、その位置をステップS51で確認し、ステップS52でドロップ位置周辺の道路が検索され、ステップS53で関連地点として強調表示される。このときに強調表示される道路は、例えば、各道路の分岐点間の1区間であり、図13のように、ステップS51でドロップされた道路アイコン31dの位置から最寄りの道路L1と道路L2のリンクが検索され、かつ、道路アイコン31dがドロップされた位置から最も近くに存在する道路L1のリンクが所定の色彩で強調表示される。
【0054】
ステップS54で当該関連アイコンが示された箇所を目的地または経由地として「設定」するか、それとも「次候補」の選択を行うか否かを、図13に示すように選択画面表示35で行い、その判断入力を待つ。
【0055】
このとき、ドロップした道路アイコン31dの位置に近い順から道路を強調表示しているが、この順序を国道、県道、市道のように道路の規模順にすることもできる。また、ドロップした道路アイコン31dの位置を取り囲む道路を関連地点として強調表示することもできる。このときに、右回りまたは左回りに候補を移動させることができる。
なお、ここで、ドロップした道路アイコンの位置に対し、その位置の周辺から検索し表示する道路は、最も近い1つの道路としてもよいし、特定距離範囲内の複数の道路でもよい。
【0056】
ステップS55で「設定」が選択されると、ステップS57で当該選択された道路が画面の中央になるように地図がスクロールされる。そして、ステップS58で「目的地」の設定か、「経由地」の設定かを、目的地、経由地の選択画面表示36で行い、その入力を待つ。「経由地」が選択されるとステップS59でその関連地点を経由地として設定し、「目的地」が選択されるとステップS60でその関連地点を目的地として設定する。
そして、ステップS61で、選択された道路を通過道路として設定するか、迂回道路として設定するかの選択を待つ(図15)。通過道路が選択されたとき、ステップS62で通過道路の設定を行い、また、迂回道路が選択されたとき、ステップS63で迂回道路の設定をナビゲーション装置に行う。
【0057】
ここで、通過道路を設定すると、設定された道路を通過するルートの探索が行われる。具体的には、既に目的地までのルートを探索した状態で通過道路を設定すると、ルートの再探索が行われ、該通過道路を通過するルートに変更される。また、ルートが探索されていない状態で通過道路を設定すると、その後ルート探索が行われたときに該通過道路を通過するルートが探索される。
【0058】
また、迂回道路を設定すると、設定された道路を迂回するルートの探索が行われる。具体的には、既に目的地までのルートを探索した状態で迂回道路を設定すると、ルートの再探索が行われ、該迂回道路を迂回するルートに変更される。また、ルートが探索されていない状態で迂回道路を設定すると、その後、ルート探索が行われたときに該迂回道路を通過しないルートが探索される。
【0059】
例えば、ナビゲーション機能で走行中、コンビニに立ち寄って、交通渋滞、道路障害等の交通情報を得た場合、道路アイコン31dをナビゲーション機能で探索されたルート上に設定し、迂回道路を選択することにより、その道路を通行することのないルートが探索される。また、道路走行中に工事中の看板を見た場合でも同様に一旦停車して、迂回道路を探索することができる。
【0060】
したがって、道路アイコン31dが選択された場合には、目的地または経由地として選択された道路の通過のためだけではなく、選択された道路を迂回するルートの探索に入ることができる。突然の交通量の変化、例えば、工事渋滞、道路障害によって渋滞となっている道路または渋滞が予測できる道路の場合には、迂回道路の選択ができ、ナビゲーション機能によって探索ルートの道路選択がより良いものとなる。
【符号の説明】
【0061】
1 演算・制御部
3 ディスプレイ
30 全属性アイコン表示部
31 属性アイコン列
7 現在地検出部
8 ナビ情報処理部
86 設定・履歴情報DB
9 地点設定部
91 属性アイコン格納部
92 属性アイコン列格納部
93 属性情報格納部
94 地点確定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地点の属性を示す属性アイコン及び地図を表示する表示手段と、
前記属性アイコンを選択する属性アイコン選択手段と、
該選択された属性アイコンを前記地図上の所望の位置に移動し、前記地図上の位置を指定するドラッグアンドドロップ手段と、
前記ドラッグアンドドロップ手段で指定された前記位置から所定範囲内に存在する前記選択した属性アイコンと同じ属性の地点を関連地点として検索し、検索された該関連地点の位置を前記地図上に表示する関連地点表示手段と
を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記関連地点表示手段は、前記関連地点が複数検索された場合に、前記指定された位置から近い順に前記関連地点を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記関連地点表示手段は、前記選択されたアイコンが道路を示す属性アイコンである場合には、前記指定された位置周辺にある道路を関連地点として検索し表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記関連地点表示手段は、前記選択された属性アイコンが施設を示す属性アイコンであれば前記関連地点の位置に関連地点を示す関連地点アイコンを表示し、前記選択された属性アイコンが道路を示す属性アイコンであれば前記関連地点として検索された道路を強調表示することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記関連地点表示手段は、検索した道路を通過する通過道路として決定するか、検索した道路を迂回する迂回道路として決定するかの何れかを選択可能に表示することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のナビゲーション装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−256347(P2010−256347A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77147(P2010−77147)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】