説明

ニトロソ化および/またはニトロシル化シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤、組成物ならびに使用方法

本発明は、新規ニトロソ化および/またはニトロシル化シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤および少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤と、任意で酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、酸化窒素の内因的合成を刺激する、内皮由来の弛緩因子の内因性レベルを上昇させるまたは酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物および/または任意で少なくとも1つの治療薬とを含む新規組成物を記載する。本発明はまた、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で少なくとも1つの酸化窒素ドナーおよび/または少なくとも1つの治療薬とを含む新規組成物を提供する。本発明はまた、炎症、疼痛、および発熱を治療する方法;COX-2選択的阻害剤の消化管特性を治療および/または改善する方法;創傷の治癒を促進する方法;腎および/または呼吸器毒性を治療および/または予防する方法;シクロオキシゲナーゼ-2レベルの上昇によって生じる他の疾患を治療および/または予防する方法;ならびにCOX-2選択的阻害剤の循環器系プロファイルを改善する方法を提供する。本発明はまた、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤、任意で少なくとも1つの一酸化窒素ドナーおよび/または選択的に少なくとも1つの治療薬を含む新規キットを提供する。本発明の新規シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、好ましくは2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸およびそのニトロソ化誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、参照として本明細書に組み入れられている、2002年6月11日提出の米国仮出願第60/387,433号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、新規ニトロソ化および/またはニトロシル化シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤、および少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤、および任意で酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、酸化窒素の内因的合成を刺激する、内皮由来の弛緩因子の内因性レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物および/または少なくとも1つの治療薬を含む新規組成物を記載する。本発明はまた、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、内皮由来の弛緩因子の内因性レベルを上昇させる、酸化窒素の内因的合成を刺激する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物および/または少なくとも1つの治療薬とを含む新規組成物を提供する。本発明はまた、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で少なくとも1つの酸化窒素ドナーおよび/または少なくとも1つの治療薬とを含む新規キットを提供する。本発明はまた、炎症、疼痛、および発熱を治療する方法、COX-2選択的阻害剤の消化管特性を治療および/または改善する方法、創傷の治癒を促進する方法、腎および/または呼吸器毒性を治療および/または予防する方法、シクロオキシゲナーゼ-2レベルの上昇によって生じる他の疾患を治療および/または予防する方法、ならびにCOX-2選択的阻害剤の循環器系プロファイルを改善する方法を提供する。本発明の新規ニトロソ化シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、好ましくは2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸のニトロソ化誘導体である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)は、疼痛、炎症、ならびに骨関節炎および関節リウマチ等の急性および慢性炎症性疾患の治療に広く利用されている。これらの化合物は、アラキドン酸をプロスタノイドに変換する酵素であるプロスタグランジンG/Hシンターゼとしても公知の酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性を阻害する。NSAIDはまた、他のプロスタグランジン、特にプロスタグランジンG2、プロスタグランジンH2およびプロスタグランジンE2の産生を阻害し、それによって炎症過程に関連するプロスタグランジン誘導性の疼痛および膨潤を軽減する。NSAIDの慢性的な使用は、消化管潰瘍および腎毒性等の有害作用に関連するとされている。望ましくない副作用はまた、罹患臓器におけるプロスタグランジンの阻害による。
【0004】
最近、2つの別個の遺伝子にコードされる(Kujubuら、J. Biol. Chem., 266, 12866-12872 (1991))、シクロオキシゲナーゼの2つのアイソフォーム、構成型シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)および誘導型シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)が同定されている。NSAIDの抗炎症作用はCOX-2の阻害によって媒介されるが、副作用はCOX-1の阻害によって生じると考えられている。現在市販されているNSAIDは、どちらのアイソフォームに対しても選択性が低く、COXの両方のアイソフォームを阻害するか、またはCOX-1選択性である。最近、COX-2選択的阻害剤である化合物が開発され、市販された。これらのCOX-2選択的阻害剤は、通常COX-1の阻害に関連する有害作用を生ずることなく、抗炎症薬の望ましい治療プロファイルを有する。しかし、これらの化合物は消化不良を生じることがあり、胃疾患を生じることがある(Mohammedら、N. Engl. J. Med., 340 (25) 2005 (1999))。さらに、COX-2選択的阻害剤は、ある患者において循環器系事象のリスクを増加させることがある(Mukherjeeら.、JAMA 286 (8) 954-959 (2001))、Hennanら、Circulation, 104: 820-825 (2001))。
【0005】
胃保護特性を有し、創傷の治癒、腎および/または呼吸器毒性および消化不良の軽減、循環器系プロファイルの改善を促進し、低用量で使用することができる新規COX-2選択的阻害剤化合物の必要性が当技術分野において依然として存在している。本発明はこれらの重要な目的および他の重要な目的に関する。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、COX-2選択的阻害剤の新規ニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体またはその薬学的に許容される塩を提供する。これらの化合物は強力な鎮痛薬であり、抗炎症作用を有し、創傷の治癒を促進する予測しなかった可能性を有する。新規化合物はまた、腎および/または呼吸器毒性を治療および/または予防する際、およびCOX-2選択的阻害剤の循環器系プロファイルを改善するための予測しなかった特性も有する。COX-2選択的阻害剤またはその薬学的に許容される塩は、酸素(水酸基の縮合)、硫黄(スルフヒドリルの縮合)、および/または窒素等の1つまたは複数の部位を介してニトロソ化および/またはニトロシル化されてもよい。本発明はまた、薬学的に許容される担体中に本明細書に記載する新規化合物を含む組成物も提供する。
【0007】
本発明はまた、少なくとも1つの親COX-2選択的阻害剤、及び任意で少なくとも1つの酸化窒素ドナーを投与することが、COX-2選択的阻害剤によって誘導される消化管窮迫を軽減するという発見に基づいている。酸化窒素ドナーには、例えばS-ニトロソチオール、亜硝酸塩、硝酸塩、N-オキソ-N-ニトロソアミン、SPM3672、SPM5185、SPM5186、およびそれらの類似物、ならびに酸化窒素シンターゼの種々のアイソザイムの基質が挙げられる。従って本発明の別の局面は、少なくとも1つの親COX-2選択的阻害剤と、荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)もしくはニトロキシル(NO-)として、または中性種、一酸化窒素(NO・)として、酸化窒素を供与、転移、または放出する、酸化窒素もしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激するおよび/または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物とを含む組成物を提供する。本発明はまた、薬学的に許容される担体中に含まれるこのような組成物を提供する。
【0008】
本発明のさらに別の局面は、任意で少なくとも1つのNO2基および/または少なくとも1つのNO基で置換されている(すなわち、それぞれニトロソ化および/またはニトロシル化されている)少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)もしくはニトロキシル(NO-)として、または中性種、酸化窒素(NO・)として酸化窒素を供与、転移、または放出する、および/または酸化窒素もしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物と、任意でステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン(isoprostane)阻害剤等を含むが、これらに限定されない少なくとも1つの治療薬とを含む組成物を提供する。
【0009】
本発明のさらに別の局面は、任意で少なくとも1つのNO2基および/または少なくとも1つのNO基で置換されている(すなわち、それぞれニトロソ化および/またはニトロシル化されている)少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)もしくはニトロキシル(NO-)として、または中性種、酸化窒素(NO・)として、酸化窒素を供与、転移、または放出する、および/または酸化窒素もしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である、および/またはNOもしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質(すなわち、NOドナー)である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量とを患者に投与する段階を含む、必要としている患者の炎症、疼痛、および発熱を治療および/または予防する方法、COX-2阻害剤の消化管特性を改善する方法、創傷の治癒を促進する方法、腎および/または呼吸器毒性を治療および/または予防する方法、COX-2媒介性疾患(すなわち、COX-2レベルの上昇によって生じる他の疾患)を治療および/または予防する方法を提供する。本発明の方法は、任意で例えば、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、またはそれら2つ以上の混合物等の少なくとも1つの治療薬を投与する段階をさらに含んでもよい。本発明のこの局面において、本発明の方法は、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤を投与する段階、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤とNOドナーとを投与する段階、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤と治療薬とを投与する段階、または任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤とNOドナーと治療薬とを投与する段階を伴ってもよい。選択的COX-2阻害剤、酸化窒素ドナーおよび/または治療薬は、別個に投与しても、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中の同一組成物の要素として投与してもよい。
【0010】
本発明のさらに別の局面は、任意で少なくとも1つのNO2基および/またはNO基で置換されている(すなわち、ニトロソ化および/またはニトロシル化されている)少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)もしくはニトロキシル(NO-)として、または中性種、酸化窒素(NO・)として、酸化窒素を供与、転移、または放出する、および/または酸化窒素もしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である、および/またはNOもしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質(すなわち、NOドナー)である、少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量とを患者に投与する段階を含む、改善を必要とする患者のCOX-2選択的阻害剤の循環器系プロファイルを改善する方法を提供する。本発明の方法は、任意で3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)阻害剤、抗血小板剤、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、およびそれら2つ以上の混合物の少なくとも1つを投与する段階をさらに含んでもよい。本発明のこの局面において、本発明の方法は、ニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤と任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているNOドナーとを投与する段階、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤と、少なくとも1つの3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)阻害剤、抗血小板剤、トロンビン阻害剤、もしくはトロンボキサン阻害剤とを投与する段階、または任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤と、NOドナーと、少なくとも1つの3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)阻害剤、抗血小板剤、トロンビン阻害剤もしくはトロンボキサン阻害剤とを投与する段階を伴ってもよい。COX-2阻害剤、酸化窒素ドナー、および/または3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)阻害剤、抗血小板剤、トロンビン阻害剤、またはトロンボキサン阻害剤は別個に投与しても、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中の同一組成物の要素として投与してもよい。
【0011】
さらに別の局面において、本発明は、任意で少なくとも1つのNO2基および/または少なくとも1つのNO基で置換されている(すなわち、それぞれ、ニトロソ化および/またはニトロシル化されている)少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、任意で荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)もしくはニトロキシル(NO-)として、または中性種、酸化窒素(NO・)として、酸化窒素を供与、転移、または放出する、および/または酸化窒素もしくはEDRFの内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物とを含むキットを提供する。キットは、例えば、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、またはそれら2つ以上の混合物等の少なくとも1つの治療薬をさらに含んでもよい。COX-2選択的阻害剤、酸化窒素ドナーおよび/または治療薬はキット中の別個の要素であっても、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中の組成物の形態で存在してもよい。
【0012】
発明の詳細な説明
本明細書において使用する以下の用語は、特に示さない限り、以下の意味を持つと理解される。
【0013】
「NSAID」とは、非ステロイド性抗炎症化合物または非ステロイド性抗炎症薬を指す。NSAIDは、プロスタグランジンの生合成を担当する酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害し、ある種のオータコイド阻害剤は、 (シクロオキシゲナーゼ-1およびシクロオキシゲナーゼ-2を含むがこれらに限定されない)種々のアイソザイムのシクロオキシゲナーゼの阻害剤、ならびにシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの両方の阻害剤を含む。
【0014】
「シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤」とは、シクロオキシゲナーゼ-1酵素よりもシクロオキシゲナーゼ-2酵素を選択的に阻害する化合物を指す。一つの態様において、本発明の化合物は、ヒト全血COX-2アッセイにおいてシクロオキシゲナーゼ-2 IC50が約2μM未満で、シクロオキシゲナーゼ-1 IC50が約5μMより多く(Brideauら、Inflamm Res., 45: 68-74 (1996)に記載のとおり)、またシクロオキシゲナーゼ-1阻害に対するシクロオキシゲナーゼ-2阻害の選択性の割合が少なくとも10、好ましくは少なくとも40である。別の態様において、本発明の化合物はシクロオキシゲナーゼ-1 IC50が約1μMより多く、好ましくは20μMより多い。本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ酵素も阻害することができる。このような選択性は、一般的なNSAIDに誘導される副作用の発現頻度を低下することができることを示しうる。
【0015】
「親COX-2阻害剤」とは非ニトロソ化および/または非ニトロシル化COX-2阻害剤またはその薬学的に許容される塩、もしくはその薬学的に許容されるエステルを指す。「親COX-2阻害剤」には、本明細書に記載する方法によってニトロソ化および/またはニトロシル化される前の式(I)の化合物が挙げられる。
【0016】
「治療薬」には、本明細書に記載する疾病を治療または予防するために利用できる任意の治療薬が挙げられる。「治療薬」には、例えばステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエンB4受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤等が挙げられる。治療薬は、プロドラッグおよび対応するニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体を含むが、これらに限定されない薬学的な誘導体を含む。酸化窒素ドナーは治療作用を有するが、酸化窒素ドナーは別に規定するので、「治療薬」という用語は本明細書に記載する酸化窒素ドナーを含まない。
【0017】
「循環器疾病または疾患」とは、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、アテローム発生、狭心症(特に、慢性的な安定狭心症)、虚血性疾患、急性心筋梗塞に関連するうっ血性心不全または肺浮腫、血栓症、高血圧(特に、心臓血管系の外科手術手順に関連する高血圧)における血圧の管理、血栓塞栓事象(Thromboemboembolic)、血小板凝集、血小板接着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管合併症、医療用具の使用に関連する創傷、脳血管虚血事象等を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の任意の循環器疾病または疾患を指す。医療用具の使用に関連する合併症は、血小板の沈着、活性化、血栓形成、または血小板および凝固タンパク質の消費の増加の結果として生じることがある。「循環器系疾病または疾患」の定義の範囲内であるこのような合併症には、例えば心筋梗塞、虚血性脳卒中、一過性虚血性脳卒中、血栓塞栓事象、肺血栓塞栓症、脳血栓塞栓症、血栓静脈炎、血小板減少症、出血性疾患および/または上記の疾患の結果として直接または間接的に生じる任意の他の合併症が挙げられる。
【0018】
「再狭窄」とは、例えば血管形成術、バルーン拡張、アテレクトミー、レーザーアブレーション治療、またはステントの挿入等の損傷によって生じる動脈への外傷による抹消動脈または冠動脈の閉塞を指す循環器系疾病または疾患である。再狭窄はまた、例えば移植手術、静脈移植、冠動脈バイパス手術、動脈内膜切除、心臓移植、バルーン血管形成、アテレクトミー、レーザーアブレーション、血管内ステント留置等の数多くの侵襲性手術技法によっても生じることがある。
【0019】
「アテローム性動脈硬化症」とは、通常は血流を調節する血管緊張を制御する動脈壁の正常な血管平滑筋細胞の一部が性質を変化させて「癌様の」挙動を発生する慢性血管損傷の一形態である。これらの血管平滑筋細胞は異常に増殖するようになり、増殖因子、組織分解酵素、および他のタンパク質等の物質を分泌して、内側の血管内皮構造に侵入させて拡散させ、血流を遮断し、局所的な血液凝固によって完全に遮断されることをその血管に異常に生じやすくし、その動脈が担当している組織の死を生じる。アテローム硬化性循環器疾患、冠動脈性心疾患(冠動脈疾患または虚血性心疾患としても公知)、脳血管疾患、および抹消血管疾患は全てアテローム性動脈硬化症の共通の発現であり、従って「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム硬化性疾患」という用語に含まれる。
【0020】
「循環器系プロファイルの改善」とは、血栓塞栓事象のリスクの低下、アテローム性動脈硬化症発症、およびアテローム硬化性疾患のリスクの低下、ならびに親COX-2阻害剤の血小板凝集の阻害をいい、これらを含む。
【0021】
「血栓塞栓事象」には、虚血性脳卒中、一過性虚血性脳卒中、心筋梗塞、狭心症、血栓症、血栓塞栓症、血栓性閉塞および再閉塞、急性血管事象、再狭窄、一過性虚血性発作、ならびに初回および二次的血栓性脳卒中(thrombotic stroke)が挙げられるが、これらに限定されない。血栓塞栓事象を発症するリスクにある患者には、虚血性脳卒中、一過性虚血性脳卒中、心筋梗塞を発症した経験のある、血栓塞栓性疾患の家族歴または遺伝的素因を有する者、不安定狭心症または慢性的な安定狭心症を有する者、ならびに糖尿病患者および関節リウマチ患者を含む、プロスタサイクリン/トロンボキサンA2ホメオスタシスが変更されているまたは正常なトロンボキサンA2レベルより高く、血栓塞栓症のリスクが増加している患者を挙げることができる。
【0022】
「トロンボキサン阻害剤」とは、トロンボキサン合成を可逆的または非可逆的に阻害する任意の化合物をいい、いわゆるトロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、トロンボキサンA2アンタゴニスト、トロンボキサンA2/プロスタグランジンエンドペルオキシドアンタゴニスト、トロンボキサン受容体(TP)アンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、トロンボキサンシンターゼ阻害剤、ならびにトロンボキサンシンターゼ阻害剤とトロンボキサン受容体アンタゴニストとのデュアル作用型(dual acting)である化合物を含む。好ましいトロンボキサン阻害剤の特徴は、トロンボキサンA2形成の抑制(トロンボキサンシンターゼ阻害剤)、ならびに/または血小板および血管壁におけるトロンボキサンA2およびプロスタグランジンH2の遮断(トロンボキサン受容体アンタゴニスト)を含むべきである。それらの影響は血小板の活性化を遮断し、従って血小板機能を遮断するべきである。
【0023】
「トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト」とは、任意のトロンボキサンA2受容体の活性化を可逆的または非可逆的に遮断する任意の化合物を指す。
【0024】
「トロンボキサンシンターゼ阻害剤」とは、トロンボキサン合成酵素を可逆的または非可逆的に阻害し、それによってトロンボキサンA2形成を減少させる任意の化合物を指す。トロンボキサンシンターゼ阻害剤はまた、プロスタサイクリンおよびプロスタグランジンD2を含む抗凝集性のプロスタグランジンの合成を増加させる場合もある。トロンボキサンA2受容体アンタゴニストおよびトロンボキサンシンターゼ阻害剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、Tai、Methods of Enzymology, Vol.86,110-113 (1982); Hall、Medicinal Research Reviews, 11: 503-579 (1991)およびColemanら、Pharmacol Rev., 46: 205-229 (1994)、ならびにそこに記載されている参照文献に記載されているアッセイを使用して同定することができる。
【0025】
「トロンボキサン受容体アンタゴニストとトロンボキサンシンターゼ阻害剤とのデュアル作用型」とは、トロンボキサンA2受容体アンタゴニストおよびトロンボキサンシンターゼ阻害剤として同時に作用する任意の化合物を指す。
【0026】
「トロンビン阻害剤」とは、フィブリノーゲンのフィブリンへの触媒的変換、第V因子から第Va因子への活性化、第VIII因子から第VIIIa因子への活性化、第XIII因子から第XIIIa因子への活性化、および血小板の活性化を含む、トロンビンの加水分解作用を阻害する化合物をいい、そのような化合物を含む。トロンビン阻害剤は、Lewisら、Thrombosis Research. 70:173-190 (1993)に記載されているアッセイを使用して同定することができる。
【0027】
「血小板凝集」とは、1つまたは複数の血小板が互いに結合することを指す。血小板凝集は、通常全身性のアテローム性動脈硬化症に関連して言われ、医学的な手技中の物理的な損傷の結果として障害を生じた血管系への血小板の接着に関しては言わない。血小板凝集は、リガンドとその特異的な血小板表面受容体との相互作用に依存する血小板の活性化を必要とする。
【0028】
「血小板の活性化」とは、細胞の形態(形状)の変化、細胞表面タンパク質の発現(例えば、IIb/IIIa受容体複合体、GPIb表面タンパク質の損失)および血小板由来因子(例えば、セロトニン、増殖因子)の分泌を指す。
【0029】
「患者」とは、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトをいい、男性および女性、ならびに小児および成人を含む。
【0030】
「治療的に有効な量」とは、意図された目的を達成するのに有効な化合物および/または組成物の量を指す。
【0031】
「経皮的」とは、皮膚を介して血流中に化合物を流入させることによる化合物の送達を指す。
【0032】
「経粘膜」とは、粘膜組織を介して血流中に化合物を流入させることによる化合物の送達を指す。
【0033】
「透過性の増加」または「浸透性の増加」とは、化合物が皮膚または粘膜組織を浸透する速度が増加するように、選択した薬学的に活性な化合物に対する皮膚または粘膜組織での透過性の増加を指す。
【0034】
「担体」または「賦形剤」は、化合物の投与に好適な担体物質をいい、無毒性で、組成物の任意の成分と有害となるように相互作用しない、例えば、任意の液体、ゲル、溶媒、希釈液、溶解剤等の当技術分野において公知の任意のこのような物質を含む。
【0035】
「酸化窒素付加物」または「NO付加物」とは、一酸化窒素種の生物活性が意図された作用部位において発現されるように、生理的条件下において、一酸化窒素の3つの酸化還元型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出、および/または直接または間接的に転移することができる化合物および官能基を指す。
【0036】
「酸化窒素の放出」または「酸化窒素の供与」とは、一酸化窒素種の生物活性が意図された作用部位において発現されるように、一酸化窒素の3つの酸化還元型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出、および/または直接または間接的に転移する方法を指す。
【0037】
「酸化窒素ドナー」または「NOドナー」とは、一酸化窒素種を供与、放出、および/または直接または間接的に転移する、および/または酸化窒素または内皮由来の弛緩因子(EDRF)の内因性の産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素またはEDRFの内因的レベルをインビボにおいて上昇させる化合物を指す。「NOドナー」はまた、酸化窒素シンターゼの基質である化合物も含む。
【0038】
「アルキル」とは、本明細書において規定する、低級アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキル基、または複素環を指す。アルキル基はまた、例えばシクロアルキルアルキル基または複素環アルキル基等の1つまたは複数のラジカル種を含んでもよい。
【0039】
「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜約10(好ましくは、炭素原子数1〜約8、さらに好ましくは炭素原子数1〜約6)の分岐鎖状または直鎖状非環式アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基にはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。
【0040】
「置換低級アルキル」とは、1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数のR100基(式中、各R100は、独立に、本明細書において規定する、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノ、またはアミノ基である)で置換されている、本明細書において規定する低級アルキル基を指す。
【0041】
「ハロアルキル」とは、本明細書において規定する1つまたは複数のハロゲンが付加する、本明細書において規定する低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキル基、または複素環を指す。例示的なハロアルキル基には、トリフルオロメチル、クロロメチル、2-ブロモブチル、1-ブロモ-2-クロロ-ペンチル等が挙げられる。
【0042】
「アルケニル」とは、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含んでもよい分岐鎖状または直鎖状C2〜C10炭化水素(好ましくはC2〜C8炭化水素、さらに好ましくはC2〜C6炭化水素)を指す。例示的なアルケニル基には、プロピレニル、ブテン-1-イル、イソブテニル、ペンテン-1-イル、2,2-メチルブテン-1-イル、3-メチルブテン-1-イル、ヘキサン-1-イル、ヘプテン-1-イル、オクテン-1-イル等が挙げられる。
【0043】
「低級アルケニル」とは、炭素-炭素二重結合を1つまたは2つ含んでもよい分岐鎖状または直鎖状C2〜C4炭化水素を指す。
【0044】
「置換アルケニル」とは、1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数のR100基(式中、各R100は、独立に本明細書において規定する、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノ、アミノ基である)で置換されている、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含んでもよい分岐鎖状または直鎖状C2〜C10炭化水素(好ましくはC2〜C8炭化水素、さらに好ましくはC2〜C6炭化水素)を指す。
【0045】
「アルキニル」とは、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含んでもよい不飽和非環式C2〜C10炭化水素(好ましくはC2〜C8炭化水素、さらに好ましくはC2〜C6炭化水素)を指す。例示的なアルキニルには、エチニル、プロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチル-1-イル、ペンチル-2-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシル-1-イル、ヘキシル-2-イル、ヘキシル-3-イル、3,3-ジメチル-ブチン-1-イル等が挙げられる。
【0046】
「架橋シクロアルキル」とは、2つ以上のシクロアルキル基、複素環基または隣接もしくは非隣接原子を介して融合されるその組み合わせを指す。架橋シクロアルキル基は、独立にアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アリール、アミジル、エステル、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソおよびニトロから選択される1つ、2つまたは3つの置換基で置換されていても置換されていなくてもよい。例示的な架橋シクロアルキル基にはアダマンチル、デカヒドロナフチル、キヌクリジル(quinuclidyl)、2,6-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、7-オキサビシクロ(2.2.1)ヘプチル、8-アザビシクロ(3,2,1)オクト-2-エニル等が挙げられる。
【0047】
「シクロアルキル」とは、炭素原子数約3〜約10の飽和または不飽和の環式炭化水素を指す。シクロアルキル基は、独立にアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アリール、アミジル、エステル、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、アルキルスルフィニル、およびニトロから選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていなくても置換されていてもよい。例示的なシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ-1,3-ジエニル等が挙げられる。
【0048】
「複素環または複素環基」とは、1〜約4の炭素原子が1つまたは複数の窒素、酸素、および/または硫黄原子で置換されている、炭素原子数約2〜約10(好ましくは炭素原子数約4〜約6)の飽和または不飽和の環式炭化水素基を指す。硫黄はチオ、スルフィニル、またはスルホニル酸化状態であってもよい。複素環または複素環基は、芳香族炭化水素基と融合してもよい。複素環基は、独立にアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、ヒドロキシ、オキソ、チアール、ハロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アミジル、エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルフィニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミド、およびニトロから選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていなくても置換されていてもよい。例示的な複素環基には、ピロリル、フリル、チエニル、3-ピロリニル、4,5,6-トリヒドロ-2H-ピラニル、ピリジニル、1,4-ジヒドロピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、インドリル、チオフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、テトラゾリル、ピロリニル、ピロリンジニル、オキサゾリジニル(oxazolindinyl)1,3-ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル(imidazolindinyl)、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、ベンゾ(b)チオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリニル、キノリニル等が挙げられる。
【0049】
「複素環化合物」とは、少なくとも1つのアリールまたは複素環を含む単環式および多環式化合物を指す。
【0050】
「アリール」とは、1つまたは2つの芳香環を含む単環系、二環系、炭素環系または複素環系を指す。例示的なアリール基には、フェニル、ピリジル、ナフチル、キノイル(quinoyl)、テトラヒドロナフチル、フラニル、インダニル、インデニル、インドイル(indoyl)等が挙げられる。アリール基は(二環式アリール基を含む)、独立にアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ハロ、シアノ、アルキルスルフィニル、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミジル、エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、カルボニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミド、およびニトロから選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていなくても置換されていてもよい。例示的な置換アリール基には、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、スルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル等が挙げられる。
【0051】
「シクロアルケニル」とは、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含んでもよい不飽和環式C2〜C10炭化水素(好ましくはC2〜C8炭化水素、さらに好ましくはC2〜C6炭化水素)を指す。
【0052】
「アルキルアリール」とは、本明細書において規定するアリール基が付加されている本明細書において規定するアルキルを指す。例示的なアルキルアリール基には、ベンジル、フェニルエチル、ヒドロキシベンジル、フルオロベンジル、フルオロフェニルエチル等が挙げられる。
【0053】
「アリールアルキル」とは、本明細書において規定するアルキル基に結合している本明細書において規定するアリール基を指す。例示的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、4-ヒドロキシベンジル、3-フルオロベンジル、2-フルオロフェニルエチル等が挙げられる。
【0054】
「アリールアルケニル」とは、本明細書において規定するアルケニル基に結合している本明細書において規定するアリール基を指す。例示的なアリールアルケニル基には、スチリル、プロペニルフェニル等が挙げられる。
【0055】
「シクロアルキルアルキル」とは、本明細書において規定するアルキル基に結合している本明細書において規定するシクロアルキル基を指す。
【0056】
「シクロアルキルアルコキシ」とは、本明細書において規定するアルコキシに結合している本明細書において規定するシクロアルキル基がを指す。
【0057】
「シクロアルキルアルキルチオ」とは、本明細書において規定するアルキルチオに結合している本明細書において規定するシクロアルキル基を指す。
【0058】
「複素環アルキル」とは、本明細書において規定するアルキル基に結合している本明細書において規定する複素環基を指す。
【0059】
「アリール複素環」とは、本明細書において規定するアリール環を含む二環式または三環式環が、アリール環の2つの隣接炭素原子を介して、本明細書において規定する複素環に付加しているものを指す。例示的なアリール複素環には、ジヒドロインドール、1,2,3,4-テトラ-ヒドロキノリン等が挙げられる。
【0060】
「アルコキシ」とは、R50O-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基(好ましくは、本明細書において規定する低級アルキル基またはハロアルキル基)である)を指す。例示的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、t-ブトキシ、シクロペンチルオキシ、トリフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0061】
「アリールオキシ」とは、R55O-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。例示的なアリールオキシ基には、ナフチルオキシ、キノリルオキシ、イソキノリジニルオキシ等が挙げられる。
【0062】
「アルキルチオ」とは、R50S-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0063】
「低級アルキルチオ」とは、本明細書において規定するチオ基に付加している本明細書において規定する低級アルキル基を指す。
【0064】
「アリールアルコキシ」または「アルコキシアリール」とは、本明細書において規定するアリール基が付加している本明細書において規定するアルコキシ基を指す。例示的なアリールアルコキシ基には、ベンジルオキシ、フェニルエトキシ、クロロフェニルエトキシ等が挙げられる。
【0065】
「アルコキシアルキル」とは、本明細書において規定するアルキル基に付加している本明細書において規定するアルコキシ基がを指す。例示的なアルコキシアルキル基には、メトキシメチル、メトキシエチル、イソプロポキシメチル等が挙げられる。
【0066】
「アルコキシハロアルキル」とは、本明細書において規定するハロアルキルに付加している本明細書において規定するアルコキシがを指す。例示的なアルコキシハロアルキニル基には、4-メトキシ-2-クロロブチル等が挙げられる。
【0067】
「シクロアルコキシ」とは、R54O-(式中、R54は、本明細書において規定するシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である)を指す。例示的なシクロアルコキシ基には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロへキシルオキシ等が挙げられる。
【0068】
「シクロアルキルチオ」とは、R54S-(式中、R54は、本明細書において規定するシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である)を指す。例示的なシクロアルキルチオ基には、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロへキシルチオ等が挙げられる。
【0069】
「ハロアルコキシ」とは、1つまたは複数のアルコキシ基の水素原子が、本明細書において規定するハロゲンで置換されている、本明細書において規定するアルコキシ基を指す。例示的なハロアルコキシ基には、1,1,1-トリクロロエトキシ、2-ブロモブトキシ等が挙げられる。
【0070】
「ヒドロキシ」とは、-OHを指す。
【0071】
「オキソ」とは、=Oを指す。
【0072】
「オキシ」とは、-O-R77+(式中、R77は、有機または無機陽イオンである)を指す。
【0073】
「オキシム」とは、(=N-OR81)(式中、R81は、水素、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボン酸エステル、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキサミド基、アルコキシアルキル基、またはアルコキシアリール基である)を指す。
【0074】
「ヒドラゾン」とは、((=N-N(R81))(R'81))(式中、R'81は、独立に本明細書において規定されるR81から選択される)を指す。
【0075】
「有機陽イオン」とは、正に荷電した有機イオンを指す。例示的な有機陽イオンには、アルキル置換アンモニウム陽イオン等が挙げられる。
【0076】
「無機陽イオン」とは、正に荷電した金属イオンを指す。例示的な無機陽イオンには、例えばナトリウム、カリウム等のI族金属の陽イオンが挙げられる。
【0077】
「ヒドロキシアルキル」とは、本明細書において規定するアルキル基に付加している本明細書において規定するヒドロキシ基を指す。
【0078】
「硝酸塩」とは、-O-NO2を指す。
【0079】
「亜硝酸塩」とは、-O-NOを指す。
【0080】
「チオ硝酸塩」とは、-S-NO2を指す。
【0081】
「チオ亜硝酸塩」および「ニトロソチオール」とは、-S-NOを指す。
【0082】
「ニトロ」とは、-NO2基を指し「ニトロソ化」とは、それによって置換されている化合物を指す。
【0083】
「ニトロソ」とは、-NO基を指し「ニトロシル化」とは、それによって置換されている化合物を指す。
【0084】
「ニトリル」および「シアノ」とは、-CNを指す。
【0085】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、および/またはフッ素(F)を指す。
【0086】
「アミノ」とは、本明細書において規定する-NH2、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、または複素環を指す。
【0087】
「アルキルアミノ」とは、R50NH-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。例示的なアルキルアミノ基には、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、シクロへキシルアミノ等が挙げられる。
【0088】
「アリールアミノ」とは、R55NH-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0089】
「ジアルキルアミノ」とは、R52R53N-(式中、R52およびR53は、各々独立に、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。例示的なジアルキルアミノ基には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロパルギルアミノ(propargylamino)等が挙げられる。
【0090】
「ジアリールアミノ」とは、R55R60N-(式中、R55およびR60は、各々独立に本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0091】
「アルキルアリールアミノまたはアリールアルキルアミノ」とは、R52R55N-(式中、R52は、本明細書において規定するアルキル基であり、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0092】
「アルキルアリールアルキルアミノ」とは、R52R79N-(式中、R52は、本明細書において規定するアルキル基であり、R79は、本明細書において規定するアリールアルキル基である)を指す。
【0093】
「アルキルシクロアルキルアミノ」とは、R52R80N-(式中、R52は、本明細書において規定するアルキル基であり、R80は、本明細書において規定するシクロアルキル基である)を指す。
【0094】
「アミノアルキル」とは、本明細書において規定するアルキルに付加している本明細書において規定するアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、または複素環を指す。例示的なアミノアルキル基には、ジメチルアミノプロピル、ジフェニルアミノシクロペンチル、メチルアミノメチル等が挙げられる。
【0095】
「アミノアリール」とは、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアリールアルキルアミノ基に付加しているアリール基を指す。例示的なアミノアリール基には、アニリノ、N-メチルアニリノ、N-ベンジルアニリノ等が挙げられる。
【0096】
「チオ」とは、-S-を指す。
【0097】
「スルフィニル」とは、-S(O)-を指す。
【0098】
「メタンチアル(methanthial)とは、-C(S)-を指す。
【0099】
「チアル」とは、=Sを指す。
【0100】
「スルホニル」とは、-S(O)2-を指す。
【0101】
「スルホン酸」とは、-S(O)2OR76(式中、R76は、本明細書において規定する水素、有機陽イオンまたは無機陽イオンである)を指す。
【0102】
「アルキルスルホン酸」とは、本明細書において規定するアルキル基に付加している本明細書において規定するスルホン酸基を指す。
【0103】
「アリールスルホン酸」とは、本明細書において規定するアリール基に付加している本明細書において規定するスルホン酸基を指す。
【0104】
「スルホン酸エステル」とは、-S(O)2OR58(式中、R58は、本明細書において規定するアルキル基、アリール基、またはアリール複素環である)を指す。
【0105】
「スルホンアミド」とは、-S(O)2-N(R51)(R57)(式中、R51およびR57は、各々独立に本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアリール複素環であるか、またはR51およびR57は、一体として本明細書において規定する複素環、シクロアルキル基、もしくは架橋シクロアルキル基である)を指す。
【0106】
「アルキルスルホンアミド」とは、本明細書において規定するアルキル基に付加さいている本明細書において規定するスルホンアミド基を指す。
【0107】
「アリールスルホンアミド」とは、本明細書において規定するアリール基に付加している本明細書において規定するスルホンアミド基を指す。
【0108】
「アルキルチオ」とは、R50S-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基(好ましくは、本明細書において規定する低級アルキル基)である)を指す。
【0109】
「アリールチオ」とは、R55S-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0110】
「アリールアルキルチオ」とは、本明細書において規定するアルキルチオ基に付加している本明細書において規定するアリール基を指す。
【0111】
「アルキルスルフィニル」とは、R50-S(O)-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0112】
「アルキルスルホニル」とは、R50-S(O)2-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0113】
「アルキルスルホニルオキシ」とは、R50-S(O)2-O-(式中、R50は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0114】
「アリールスルフィニル」とは、R55-S(O)-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0115】
「アリールスルホニル」とは、R55-S(O)2-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0116】
「アリールスルホニルオキシ」とは、R55-S(O)2-O-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0117】
「アミジル」とは、R51C(O)N(R57)-(式中、R51およびR57は、各々独立に本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基、またはアリール複素環である)を指す。
【0118】
「エステル」とは、R51C(O)O-(式中、R51は、本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基またはアリール複素環である)を指す。
【0119】
「カルバモイル」とは、-O-C(O)N(R51)(R57)(式中、R51およびR57は、各々独立に本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアリール複素環であるか、またはR51およびR57は一体として、本明細書において規定する複素環、シクロアルキル基、もしくは架橋シクロアルキルである)を指す。
【0120】
「カルボキシル」とは、-C(O)OR76(式中、R76は、本明細書において規定する水素、有機陽イオン、または無機陽イオンである)を指す。
【0121】
「カルボニル」とは、-C(O)-を指す。
【0122】
「アルキルカルボニル」とは、R52-C(O)-(式中、R52は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0123】
「アリールカルボニル」とは、R55-C(O)-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基である)を指す。
【0124】
「アリールアルキルカルボニル」とは、R55-R52-C(O)-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基であり、R52は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0125】
「アルキルアリールカルボニル」とは、R52-R55-C(O)-(式中、R55は、本明細書において規定するアリール基であり、R52は、本明細書において規定するアルキル基である)を指す。
【0126】
「複素環アルキルカルボニル」とは、R78C(O)-(式中、R78は、本明細書において規定する複素環アルキル基である)を指す。
【0127】
「カルボン酸エステル」とは、-C(O)OR58(式中、R58は、本明細書において規定するアルキル基、アリール基またはアリール複素環基である)を指す。
【0128】
「アルキルカルボン酸」および「アルキルカルボキシル」とは、本明細書において規定するカルボキシル基に付加している本明細書において規定するアルキルを指す。
【0129】
「アルキルカルボン酸エステル」とは、本明細書において規定するカルボン酸エステル基に付加している本明細書において規定するアルキルを指す。
【0130】
「アリールカルボン酸」とは、本明細書において規定するカルボキシル基に付加している本明細書において規定するアリール基を指す。
【0131】
「アリールカルボン酸エステル」および「アリールカルボキシル」とは、本明細書において規定するカルボン酸エステル基に付加している本明細書において規定するアリール基を指す。
【0132】
「カルボキサミド」とは、-C(O)N(R51)(R57)(式中、R51およびR57は、各々独立に本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアリール複素環であるか、またはR51およびR57は一体として、本明細書において規定する複素環、シクロアルキル基、もしくは架橋シクロアルキルである)を指す。
【0133】
「アルキルカルボキサミド」とは、本明細書において規定するカルボキサミド基に付加している本明細書において規定するアルキルを指す。
【0134】
「アリールカルボキサミド」とは、本明細書において規定するカルボキサミド基に付加している本明細書において規定するアリール基を指す。
【0135】
「尿素」とは、-N(R59)-C(O)N(R51)(R57)(式中、R51、R57、およびR59は、各々独立に本明細書において規定する水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアリール複素環であるか、またはR51およびR57は一体として、本明細書において規定する複素環、シクロアルキル基、もしくは架橋シクロアルキルである)を指す。
【0136】
「ホスホリル」とは、-P(R70)(R71)(R72)(式中、R70は、孤立電子対、チアール、またはオキソであり、R71およびR72は、各々独立に、本明細書において規定する共有結合、水素、低級アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシ、オキシ、またはアリールである)を指す。
【0137】
酸化窒素種をインビボにおいて供与、転移、または放出する化合物は、広域的な利点および用途を有すると認識されている。本発明は、このような化合物単独および1つまたは複数のCOX-2阻害剤と併用した場合の予期しなかった影響の発見に基づいている。炎症、疼痛、および発熱の治療もしくは予防;COX-2阻害剤の消化管特性の治療および/または改善;創傷治癒の促進;ならびに腎および/または呼吸毒性およびシクロオキシゲナーゼ-2媒介性疾患の治療および/または予防は、本発明のCOX-2阻害剤を使用することによって、またはCOX-2阻害剤を酸化窒素を供与、放出、もしくは転移する、および/またはNOおよび/またはEDRFの内因的な産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である1つまたは複数の化合物、および任意で1つまたは複数の治療薬を併用使用することによって達成することができる。
【0138】
任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されていてもよいCOX-2選択的阻害剤は、単独使用または酸化窒素を供与、放出、もしくは転移する、および/またはNOおよび/またはEDRFの内因的な産生をインビボにおいて刺激する、および/または酸化窒素シンターゼの基質である1つまたは複数の化合物、および/または例えばステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、およびそれら2つ以上の混合物等の1つまたは複数の治療薬と併用使用することができる。本発明のこれらの新規化合物および新規組成物は本明細書においてさらに詳細に記載される。
【0139】
一つの態様において本発明は、下記式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を記載している。

(式中、
R4は、メチルまたはエチルであり、
R5は、クロロまたはフルオロであり、
R6は、水素またはフルオロであり、
R7は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、またはヒドロキシであり、
R8は、水素またはフルオロであり、
R9は、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、またはメチルであり、
Xは、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)Ri-であり、
Kは、
a) -Wa-Eb-(C(Re)(Rf))p-Ec(C(Re)(Rf))x-Wd-(C(Re)(Rf))y-Wi-Ej-Wg-(C(Re)(Rf))z-T-Q、または
b) -Wa-Eb-(C(Re)(Rf))p-Ec-(C(Re)(Rf))x-Wd-(C(Re)(Rf))y-Wi-Ej-Wg-(C(Re)(Rf))z-R3 であるが、ただし、Kが(b)である場合には、少なくとも1つのReは、-T-Qまたは-(C(Rg)(Rh))k-T-Qとして選択され、さらに式(I)の化合物の「X-K」は、国際公開公報第99/11605号に開示されている4-(ニトロキシ)ブチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート等のニトロキシル低級アルキルエステルを含まないという条件で、
R3は、

であり、
Qは-NOまたは-NO2であり、
a、b、c、d、g、i、およびjは、各々独立に0〜3の整数であり、
p、x、y、およびzは、各々独立に0〜10の整数であり、
Wは、各々の出現時に独立に-C(O)-、-C(S)-、-T-、-(C(Re)(Rf))h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環、または-(CH2CH2O)q-であり、
Eは、各々の出現時に独立に-T-、アルキル基、アリール基、-(C(Re)(Rf))h-、複素環、アリール複素環、または-(CH2CH2O)q-であり、
hは、1〜10の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
ReおよびRfは、各々独立に水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホン酸エステル、尿素、ホスホリル、ニトロ、Wh、-T-Q、もしくは-(C(Rg)(Rh))k-T-Qであるか、またはReおよびRfは、それらが結合する炭素と一体としてカルボニル、メタンチアル、複素環、シクロアルキル基、アリール基、オキシム、ヒドラゾン、または架橋シクロアルキル基を形成し、
RgおよびRhは、各々の出現時に独立にReであり、
kは、1〜3の整数であり、
Tは、各々の出現時に独立に共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-、または-N(Ra)Ri-であり、
oは、0〜2の整数であり、
Raは、孤立電子対、水素、またはアルキル基であり、
Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C(T-Q)(Re)(Rf)、隣接原子と二重結合を形成する隣接原子との結合、-(N2O2-)-・M+(式中、M+は有機または無機陽イオンである)であり、
ただし、式(I)のニトロソ化および/またはニトロシル化化合物は少なくとも1つの-NO基または少なくとも1つの-NO2基を含有する必要があり、かつ少なくとも1つの-NO基または少なくとも1つの-NO2基は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を介して式(I)の化合物に結合される)
【0140】
ReおよびRfが複素環であるか、またはReおよびRfがそれらが結合する炭素原子と一体として複素環である場合には、Riは、その基に含まれる任意の未置換窒素の置換基であってもよく、Riは本明細書において規定するとおりである。
【0141】
配列中に存在する多数の変数の意味が「共有結合」として選択される場合または選択される整数が0である場合には、1つの基を別の基に接続する1つの共有結合を示すことを意図する。例えば、E0は共有結合を意味するが、E2は(E-E)を意味し、(C(Re)(Rf))2は-C(Re)(Rf)-C(Re)(Rf)-を示す。
【0142】
本発明の好ましい態様において、親COX-2選択的阻害剤は、各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、例えば、国際公開公報第99/11605号、国際公開公報第01/23346号、および国際公開公報第02/20090号に開示されている2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸(COX 189、登録番号220991-20-8)およびその誘導体である。好ましい態様である親COX-2選択的阻害剤2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸(COX 189)の構造を以下に示す。

【0143】
本発明の他の好ましい態様において、式(I)の化合物のニトロソ化誘導体は、COX-2選択的阻害剤、2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸(COX 189)のニトロソ化誘導体である。本発明のよりさらに好ましい態様において、COX-2選択的阻害剤のニトロソ化誘導体(COX-189)は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩であり、
式(II)の化合物、2-(2-(ニトロキシ)エチルチオ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(III)の化合物、2-(2-(ニトロキシ)エトキシ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(IV)の化合物、3-((ニトロキシ)メチルフェニル)2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(V)の化合物、2,3-ビス(ニトロキシ)プロピル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(VI)の化合物、6-(ニトロキシ)-4,8-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクト-2-イル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(VII)の化合物、2-((2-(ニトロキシ)エチル)スルホニル)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(VIII)の化合物、2-(4-(2-ニトロオキシル)エチル)ピペラジニル)-2-オキソエチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(IX)の化合物、2,3-ビス(ニトロキシ)-4-(2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセチルオキシ)ブチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

である。
【0144】
本発明の別の局面は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩の代謝物を記載する。これらの代謝物には、例えば、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、および(XVII)の化合物等の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩の非ニトロソ化誘導体が挙げられるが、これらに限定されず、式(X)の化合物、2-(2-(ヒドロキシエチルチオ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XI)の化合物、2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XII)の化合物、3-(ヒドロキシメチルフェニル) 2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XIII)の化合物、2,3-ジヒドロキシプロピル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XIV)の化合物、6-ヒドロキシ-4,8-ジオキサビシクロ(3.3.0) オクト-2-イル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XV)の化合物、2-((2-ヒドロキシエチル)スルホニル)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XVI)の化合物、2-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジニル)-2-オキソエチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートは、

であり、
式(XVII)の化合物、4-(2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセトキシ)-2,3-ジヒドロキシブチル-2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセチルオキシ)ブチルアセテートは、

である。
【0145】
1つまたは複数の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、エナンチオマーの混合物、ジアステレオマーの混合物、エナンチオマーのラセミ混合物、ジアステレオマーのラセミ体、またはジアステレオマーのラセミ体の混合物として存在してもよい。本発明は、このような異性体およびそれらの混合物全てを本発明の範囲内に含む。
【0146】
本発明の別の局面では、本発明の新規化合物を製造する方法およびこのような方法に有用な中間体を提供する。反応は、試薬に適当な溶媒中で実施され、材料は、実施される変換に好適である。分子に存在する官能基は、提案される化学的変換に一致しなければならないことが有機合成の当業者に理解される。これは、合成段階の順序、必要な保護基、および脱保護条件に関して、当業者による判断を必要とすることがある。出発物質の置換基は、記載されている方法の一部に必要な反応条件の一部に適合しないことがあるが、反応条件に適合する別の方法および置換基は当業者に容易に明らかである。硫黄および酸素保護基の使用は、合成手法中に望ましくない反応が生じないようにチオール基およびアルコール基を保護する上で周知であり、多数のこのような保護基が公知であり、例えば、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1999年)に記載されている。
【0147】
本明細書に記載されている化学反応は、本発明の化合物を製造するための最も広域的な用途に関して一般的に開示されている。化学反応は、例えばSmithおよびMarch、March's Advanced Organic Chemistry, Reactions, Mechanisms and Structure、第5版、John Wiley & Sons、ニューヨーク(2001年)ならびにLarock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc. (1989年)に記載されている。本発明の化合物は、有機合成の当業者に周知の数多くの方法で合成することができる。化合物は、本明細書に記載する方法および合成有機化学の当技術分野において公知の合成方法を使用して、または当業者に公知の従来の改良法、例えば介在基の適当な保護、別の従来の試薬への変更、反応条件の通常の改良等によって合成することができ、または本明細書に開示する他の方法もしくは従来の反応を本発明の対応する化合物の製造に適用できる。全ての製造方法において、全ての出発物質は公知であるか、または公知の出発物質から容易に製造される。本発明の化合物を製造する方法には、以下に記載するものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で引用する全ての参照文献は全体の内容が参照として本明細書に組み入れられている。
【0148】
式(I)(式中、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は本明細書において規定するとおりである)のニトロソ化合物およびO-ニトロシル化エステルは、以下に記載するように製造することができる本明細書において規定する「X-K」基の代表である。式(I)の化合物の適当な酸(すなわち、「X-K」が水酸基である)は、適当な単一保護(monoprotected)ジオールと反応させることによってエステルに変換される。エステルを製造する好ましい方法は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の脱水剤で処理することにより酸と単一保護ジオールをカップリングすることである。あるいは、まず酸をナトリウム塩、カリウム塩、またはリチウム塩等のアルカリ金属塩に変換させ、DMF等の極性溶媒中で、保護された水酸基を有するハロゲン化アルキルと反応させて、エステルを製造することができる。アルコール部分の好ましい保護基は、トリメチルシリルまたはtert-ブチルジメチルシリルエーテル等のシリルエーテルである。ヒドロキシル部分を脱保護し(シリルエーテル保護基を脱離させるための好ましい方法はフッ化物イオンである)、次にジクロロメタン、THF、DMFまたはアセトニトリル等の好適な無水溶媒中で、亜硝酸塩化チオニル(thionyl chloride nitrite)、ジ亜硝酸チオニル(thionyl dinitrite)、またはニトロシウムテトラフルオロボレート等の好適なニトロシル化剤と反応させると式(I)の化合物を生ずる。
【0149】
式(I)(式中、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は本明細書において規定するとおりである)のニトロソ化合物およびS-ニトロシル化エステルは、以下に記載するように製造することができる本明細書において規定する「X-K」基の代表である。式(I)の化合物の適当な酸(すなわち、「X-K」が水酸基である)は、保護されたチオールを含有する適当なアルコールと反応させることによってエステルに変換される。エステルを製造する好ましい方法は、DCC等の脱水剤で処理することにより適当な酸と保護されたチオールを含有するアルコールをカップリングして、エステルを生じることである。あるいは、まず酸をナトリウム塩、カリウム塩、またはリチウム塩等のアルカリ金属塩に変換させ、DMF等の極性溶媒中で、保護されたチオール基を有するハロゲン化アルキルと反応させて、エステルを製造することができる。チオール部分の好ましい保護基は、チオアセテートもしくはチオベンゾエート等のチオエステルとして、ジスルフィドとして、N-メトキシメチルチオカルバメート等のチオカルバメートとして、またはパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルもしくはS-トリフェニルメチルチオエーテル等のチオエーテルとしてである。チオール部分を脱保護し(亜鉛の希酸水溶液、トリフェニルホスフィンの水溶液、および水素化ホウ素ナトリウムはジスルフィド基を還元する好ましい方法であるが、塩基の水溶液が、チオエステルおよびN-メトキシメチルチオカルバメートを加水分解するために典型的に使用され、トリフルオロ酢酸水銀、硝酸銀、またはトリフルオロ酢酸、もしくは塩酸等の強酸、および熱は、パラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテル基またはS-トリフェニルメチルチオエーテル基を脱離させるのに使用される)、次に塩化メチレン、THF、DMFまたはアセトニトリル等の好適な無水溶媒中で、亜硝酸塩化チオニル、ジ亜硝酸チオニル、tert-亜硝酸ブチルまたはニトロソニウムテトラフルオロボレート等の低級亜硝酸アルキル、等の好適なニトロシル化剤と反応させると式(I)の化合物を生成する。あるいは、化学量論的な量の亜硝酸ナトリウムの酸混合水溶液は式(I)の化合物を生成する。
【0150】
親COX-2阻害剤(すなわち、非ニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2阻害剤)の合成は、各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、例えば国際公開公報第99/11605号、国際公開公報第01/23346号、および国際公開公報第02/20090号に開示されている。親COX-2選択的阻害剤は、本明細書の実施例に記載する方法および当業者に公知の従来の方法を使用して、酸素、硫黄、および/または窒素等の1つまたは複数の部位を介してニトロソ化および/またはニトロシル化することができる。例えば、化合物をニトロソ化およびニトロシル化する既知の方法は、各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,380,758号および同第5,703,073号、同第6,297,260号、国際公開公報第97/27749号、国際公開公報第98/19672号、国際公開公報第01/45703号、ならびにOaeら、Org.Prep. Proc. Int., 15 (3): 165-198 (1983)に記載されている。これらの参照文献の化合物をニトロソ化および/またはニトロシル化する方法を当業者が適用して、本明細書に記載する式(I)のニトロソ化および/またはニトロシル化化合物のいずれかを生成することができる。式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)のニトロソ化および/またはニトロシル化化合物(すなわち、ニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2選択的阻害剤)は、生物学的に活性な形態の一酸化窒素(酸化窒素)を供与、転移、もしくは放出する。
【0151】
式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、または(IX)のニトロソ化化合物は、各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、例えば、国際公開公報第94/03421号、国際公開公報第94/04484号、国際公開公報第94/12463号、国際公開公報第95/09831号、国際公開公報第95/30641号、国際公開公報第01/00563号、および国際公開公報第01/04082号、国際公開公報第01/10814号、ならびに米国特許出願第60/418,353号に開示されている非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)をニトロソ化する方法を使用して合成することができる。
【0152】
本発明の化合物は親COX-2阻害剤を含み、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素等の1つまたは複数の部位を介してニトロソ化および/またはニトロシル化されている、本明細書に記載する化合物を含む。本発明のニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2阻害剤は、生物学的に活性な形態の一酸化窒素(すなわち酸化窒素)を供与、転移、もしくは放出する。
【0153】
一酸化窒素は3つの型:NO-(ニトロキシル)、NO・(非荷電の酸化窒素)およびNO+(ニトロソニウム)で存在することができる。NO・は、反応性が高く、寿命の短い種で、細胞毒性を生じる可能性がある。NOの薬理効果は、送達される形態に依存するため、このことは重大である。酸化窒素ラジカル(NO・)とは対照的に、ニトロソニウム(NO+)はO2またはO2-種とは反応せず、NO+およびNO-を転移および/または放出することができる官能基も、多数の酸化還元金属の存在下での分解に耐性である。結果として、荷電したNO等価物(正および/または負)は、生物学的に活性なNOを望ましい作用部位に送達する効果的な手段である。
【0154】
本発明において使用が考慮されている化合物(例えば、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されていてもよいCOX-2選択的阻害剤は、任意で酸化窒素および酸化窒素を放出する化合物または生物学的に活性な形態の一酸化窒素を、細胞膜上等の目的の作用部位にインビボにおいて直接もしくは間接的に送達する化合物と併用使用される。
【0155】
「酸化窒素」という用語は、非荷電の酸化窒素(NO・)および荷電一酸化窒素種、好ましくはニトロソニウムイオン(NO+)およびニトロキシルイオン(NO-)等の荷電一酸化窒素種を含む。酸化窒素の反応型はガス状の酸化窒素によって提供されうる。一酸化窒素を放出、送達、または転移する化合物は、構造式F-NO(式中、Fは一酸化窒素を放出、送達、または転移する部分である)を有し、意図された目的のために活性な形態で目的の作用部位に一酸化窒素を提供する任意の全ての化合物を含む。「NO付加物」という用語は、一酸化窒素を放出、送達、または転移する任意の化合物を含み、例えばS-ニトロソチオール、亜硝酸塩、硝酸塩、S-ニトロチオール、シドノンイミン(sydnonimine)、2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン、(NONOate)、(E)-アルキル-2-((E)-ヒドロキシイミノ)-5-ニトロ-3-ヘキセンアミド(FK-409)、(E)-アルキル-2-((E)-ヒドロキシイミノ)-5-ニトロ-3-ヘキセンアミン、N-((2Z,3E)-4-エチル-2-(ヒドロキシイミノ)-6-メチル-5-ニトロ-3-ヘプテニル)-3-ピリジンカルボキサミド(FR 146801)、ニトロソアミン、フロキサン、および酸化窒素を合成する内因性酵素の基質が挙げられる。NONOateには、(Z)-1-(N-メチル-N-(6-(N-メチル-アンモニオヘキシル)アミノ))ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(「MAHMA/NO」)、(Z)-1-(N-(3-アンモニオプロピル)-N-(n-プロピル)アミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(「PAPA/NO」)、(Z)-1-(N-(3-アミノプロピル)-N-(4-(3-アミノプロピルアンモニオ)ブチル)-アミノ) ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(スペルミンNONOateまたは「SPER/NO」)、および(Z)-1-(N,N-ジエチルアミノ) ジアゼニウム-1,2-ジオレートナトリウム(ジエチルアミンNONOateまたは「DEA/NO」)、ならびにそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。NONOateは、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,232,336号、同第5,910,316号、および同第5,650,447号にも記載されている。「NO付加物」は、生物学的に活性な形態の一酸化窒素の未処理の状態で反応性が高い種々の結合部位または人工的に提供した種々の結合部位がモノニトロシル化、ポリニトロシル化、モノニトロソ化および/またはポリニトロソ化されていてもよい。
【0156】
NO付加物の一つのグループは、少なくとも1つの-S-NO基を含む化合物であるS-ニトソチオールである。これらの化合物には、S-ニトロソ-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は、確認されている生物学的機能を持たないタンパク質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む)、S-ニトロシル化アミノ酸(天然型アミノ酸および合成アミノ酸、ならびにそれらの立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの誘導体を含む)、S-ニトロシル化糖、修飾または未修飾のS-ニトロシル化オリゴヌクレオチド(好ましくは、少なくとも5つのヌクレオチド、さらに好ましくは5〜200のヌクレオチド)、直鎖状または分岐鎖状、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換または無置換S-ニトロシル化炭化水素、ならびにS-ニトロソ複素環化合物が挙げられる。S-ニトソチオールおよびそれらを製造する方法は、各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,380,758号および同第5,703,073号、国際公開公報第97/27749号、国際公開公報第98/19672号、ならびにOaeら、Org. Prep. Proc. Int.,15 (3): 165-198 (1983)に記載されている。
【0157】
本発明の別の態様は、ニトロソ基が含硫アミノ酸およびその誘導体の硫黄基に結合しているS-ニトロソアミノ酸である。このような化合物には、例えば、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン、S-ニトロソ-カプトプリル、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン、S-ニトロソホモシステイン、S-ニトロソ-システイン、S-ニトロソ-グルタチオン、S-ニトロソ-システイニル-グリシン等が挙げられる。
【0158】
好適なS-ニトロシル化タンパク質には、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)およびカテプシンB等の酵素;リポタンパク質等の輸送タンパク質;ヘモグロビンおよび血清アルブミン等のヘムタンパク質;免疫グロブリン、抗体、およびサイトカイン等の生物学的防御タンパク質を含む種々の機能的クラスの、チオールを含有するタンパク質(NO基が、アミノ酸またはアミノ酸誘導体の1つまたは複数の硫黄基に結合している)が挙げられる。このようなニトロシル化タンパク質は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第93/09806号に記載されている。例として、タンパク質の1つまたは複数のチオールまたは他の求核中心が修飾されているポリニトロシル化アルブミンが挙げられる。
【0159】
好適なS-ニトソチオールの他の例には以下が挙げられる:
(i)HS(C(Rc)(Rf))mSNO、
(ii)ONS(C(Re)(Rf))mRe、または
(iii)H2N-CH(CO2H)-(CH2)m-C(O)NH-CH(CH2SNO)-C(O)NH-CH2-CO2H
(式中、mは、2〜20の整数であり、ReおよびRfは、各々独立に水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、尿素、ニトロ、-T-Q-、もしくは-(C(Rg)(Rh))k-T-Qであるか、またはReおよびRfは、一体としてオキソ、メタンチアル、複素環、シクロアルキル基、オキシム、ヒドラゾンもしくは架橋シクロアルキル基であり、Qは-NOまたは-NO2であり、Tは、各々独立に共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-もしくは-N(Ra)Ri-(式中、oは0〜2の整数であり、Raは孤立電子対、水素、またはアルキル基)であり;Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C(T-Q)(Rg)(Rh)、または-(N2O2-)-・M+(式中、M+は有機または無機陽イオン)であるが、ただしRiが-CH2-C(T-Q)(Rg)(Rh)または-(N2O2-)・M+である場合には、「-T-Q」は水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシ基、またはアリール基であってもよい)であり、かつRgおよびRhは、各々の出現時に独立にReである)。
【0160】
ReおよびRfが複素環であるかまたはReおよびRfが一体として複素環である場合には、Riは、その基に含まれる任意の二置換窒素の置換基であってもよい(ここで、Riは本明細書において規定するとおりである)。
【0161】
ニトソチオールは、種々の合成方法によって製造することができる。一般に、先ずチオール前駆体を製造し、次いで、S-ニトロソ誘導体を産生する酸性条件下において(pHは約2.5である)チオール基をNaNO2でニトロソ化することによって、S-ニトソチオール誘導体に変換する。この目的に使用することができる酸には、硫酸水溶液、酢酸水溶液、および塩酸水溶液が挙げられる。チオール前駆体は、不活性溶媒中で、亜硝酸tert-ブチル等の有機亜硝酸塩またはテトラフルオロボレートニトロソニウム等のニトロソニウム塩と反応させることによってもニトロソ化することができる。
【0162】
NO付加物が、酸化窒素を供与、転移、または放出する化合物である、本発明に使用する別のグループのNO付加物には、少なくとも1つのON-OまたはON-N-基を含む化合物が挙げられる。少なくとも1つのON-OまたはON-N-基を含む化合物は、好ましくは、ON-O-またはON-N-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は、確認されている生物学的機能を持たないタンパク質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む);ON-O-またはON-N-アミノ酸(天然型アミノ酸および合成アミノ酸、ならびにそれらの立体異性体およびラセミ混合物を含む);ON-O-またはON-N-糖、修飾または未修飾のON-O-またはON-N-オリゴヌクレオチド(少なくとも5つのヌクレオチド、好ましくは5〜200のヌクレオチドを含む)、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換ON-O-またはON-N-炭化水素、ならびにON-O-、ON-N-、またはON-C-複素環化合物である。
【0163】
本発明に使用する別のグループのNO付加物には、O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物等の、酸化窒素を供与、転移、または放出する硝酸塩が挙げられる。これらの化合物の中では、O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は、確認されている生物学的機能を持たないタンパク質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む);O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-アミノ酸(天然型アミノ酸および合成アミノ酸、ならびにそれらの立体異性体およびラセミ混合物を含む);O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-糖;修飾または未修飾のO2N-O-、O2N-N-またはO2N-S-オリゴヌクレオチド(少なくとも5つのヌクレオチド、好ましくは5〜200のヌクレオチドを含む);直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-O-、O2N-N-またはO2N-S-炭化水素;ならびにO2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-複素環化合物が好ましい。O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物の好ましい例には、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、クロニトレート(clonitrate)、四硝酸エリスリチル、六硝酸マンニトール、ニトログリセリン、ペンタエリスリトール-四硝酸、ペントリニトロール(pentrinitrol)、硝酸プロパチル、ならびに例えば、SPM 3672、SPM 5185、SPM 5186等のスルフヒドリルを含有するアミノ酸、ならびに各々の開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,284,872号、同第5,428,061号、同第5,661,129号、同第5,807,847号および同第5,883,122号ならびに国際公開公報第97/46521号、国際公開公報第 00/54756号および国際公開公報第03/013432号に開示されているもの等の有機硝酸塩が挙げられる。
【0164】
NO付加物の別のグループとしては、酸化窒素を供与、転移、または放出するN-オキソ-N-ニトロソアミンであり、式:R1''R2''N-N(O-M+)-NOによって表される(式中、R1''およびR2''は、各々独立にポリペプチド、アミノ酸、糖、修飾もしくは未修飾オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換炭化水素、または複素環基であり、M+は、例えば、アルキル置換アンモニウム陽イオンまたは第I族金属の陽イオン等の有機または無機陽イオンである)。
【0165】
本発明は、内因性NOを刺激するもしくは内因性内皮由来弛緩因子(EDRF)のレベルをインビボにおいて上昇させるまたは酸化窒素シンターゼの基質である化合物にも関する。このような化合物には、例えばL-アルギニン、L-ホモアルギニン、ニトロソ化およびニトロシル化類似物(例えばニトロソ化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニン、およびニトロシル化L-ホモアルギニン)を含むN-ヒドロキシ-L-アルギニン、例えばシトルリン、オルニチン、グルタミン、リジンを含むL-アルギニンの前駆体および/または生理学的に許容される塩、これらのアミノ酸の少なくとも1つを含むポリペプチド、酵素アルギナーゼの阻害剤(例えば、N-ヒドロキシ-L-アルギニンおよび2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸)、例えば、ピルビン酸塩、ピルビン酸塩前駆体、炭素原子数4以上のα-ケト酸、炭素原子数4以上のα-ケト酸の前駆体を含む酸化窒素媒介物質および/または生理学的に許容される塩 (開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第03/017996号に開示されている)ならびに酸化窒素シンターゼの基質、サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、およびフェノールフタレインが挙げられる。EDRFは内皮によって分泌される血管弛緩因子であり、酸化窒素(NO)または密接に関連するその誘導体として同定されている(Palmerら、Nature, 327: 524-526(1987);Ignarroら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 9265-9269(1987))。
【0166】
本発明はまた、本発明の化合物および組成物は、例えばステロイド、NSAID、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2受容体アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、およびそれら2つ以上の混合物との併用等の他の従来の抗炎症化合物と部分的または完全に代わるものとして、併用療法の他の治療薬と併用使用することができるという発見にも基づいている。
【0167】
ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤は、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素を、IC50が約10μm未満、好ましくはIC50が約1μm未満で選択的に阻害する化合物を指す。好適なLTA4加水分解酵素阻害剤には、RP-64966、(S,S)-3-アミノ-4-(4-ベンジルオキシフェニル)-2-ヒドロキシ酪酸ベンジルエステル、N-(2(R)-(シクロヘキシルメチル)-3-(ヒドロキシカルバモイル)プロピオニル)-L-アラニン、7-(4-(4-ウレイドベンジル)フェニル)ヘプタン酸、および3(3-(1E,3E-テトラデカジエニル)-2-オキシラニル)安息香酸リチウム塩、およびそれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
好適なLTB4受容体アンタゴニストには、エブセレン、リナゾラスト、オンタゾラスト;WAY 121006;Bay-x-1005;BI-RM-270;CGS-25019C;ETH-615;MAFP;TMK-688;T-0757;LY 213024、LY 210073、LY 223982、LY 233469、LY 255283、LY 264086、LY 292728、およびLY2931l1;ONO-LB457、ONO-4057、およびONO-LB-448、S-2474、カルシトロール;PF 10042;Pfizer 105696;RP 66153;SC-53228、SC-41930、SC-50605、SC-51146、およびSC-53228;SB-201146およびSB-209247;SKF-104493;SM 15178;TMK-688;BPC 15およびそれら2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいLTB4受容体アンタゴニストはカルシトロール、エブセレン、Bay-x-1005、CGS-25019C、ETH-615、LY-293111、ONO-4057、およびTMK-688、ならびにそれら2つ以上の混合物である。
【0169】
好適な5-LO阻害剤には、A-76745、78773、およびABT761;Bay-x-1005;CMI-392;E-3040;EF-40;F-1322;ML-3000;PF-5901;R-840;リロピロックス(rilopirox)、フロブフェン(flobufen)、リナゾラスト(linasolast)、ロナポレン(lonapolene)、マソプロコール(masoprocol)、オンタゾラスト(ontasolast)、テニダップ、ジロイトン、プランルカスト、テポキサリン、リロピロックス(rilopirox)、フレゼラスチン(flezalastine)塩酸塩、エナザドレム(enazadrem)リン酸塩およびブナプロラスト(bunaprolast)、ならびにそれら2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な5-LO阻害剤はまた、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第97/29776号に十分に記載されている。
【0170】
好適な5-HTアゴニストには、リザトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン(zolmitroptan)、エレプトリプタン(eleptriptan)、アルモトリプタン、麦角アルカロイド、ALX 1323、Merck L 741604 SB 220453およびLAS 31416が挙げられるが、これらに限定されない。好適な5-HTアゴニストは国際公開公報第00/25779号および国際公開公報第00/48583号に詳細に記載されている。5-HTアゴニストは、5-HT1アゴニスト、5-HT1Bアゴニスト、および5-HT1Dアゴニスト等を含むが、これらに限定されない、任意の5-HT受容体のアゴニストである化合物を指す。
【0171】
好適なステロイドには、ブデソニド、デキサメサドン、コルチコステロン、プレドニゾロン等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なステロイドは、CD-ROM版のMerck Index、第13版等の文献にさらに記載されている。
【0172】
好適なHMG CoA阻害剤には、例えばスクアレン合成酵素阻害剤、ベンゾジアゼピンスクアレンシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、アシル-コエンザイムA、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤等のレダクターゼおよびシンターゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適なHMG CoA阻害剤には、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン等が挙げられ、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,245,797号および国際公開公報第99/20110号にさらに詳細に記載されている。
【0173】
好適なNSAIDには、アセトアミノフェン、アスピリン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なNSAIDは、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995年、617〜657ページ、CD-ROM版のMerck Index、第13版、およびNitroMed Inc.に付与された米国特許第6,057,347号および同第6,297,260号等の文献に詳細に記載されている。
【0174】
好適なH2受容体アンタゴニストには、シメチジン、ロキサチジン、ラニチジン(rantidine)等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なH2受容体アンタゴニストは、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995年、901〜915ページ、CD-ROM版のMerck Index、第13版、およびNitroMed Inc.に付与された国際公開公報第00/28988号等の文献に詳細に記載されている。
【0175】
好適な抗腫瘍剤には、5-FU-フィブリノーゲン、アカンチ葉酸(acanthifolic acid)、アミノチアジアゾール、アルトレタミン、アナキシロン(anaxirone)、アクラルビシン等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な抗悪性腫瘍剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,025,353号および国際公開公報第00/38730号にも記載されている。
【0176】
好適な抗血小板薬には、アスピリン、チクロピジン、ジピリダモール、クロピドグレル、糖タンパク質IIb/IIIa受容体アンタゴニスト等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な抗血小板薬は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第99/45913号にも記載されている。本発明の好ましい態様において、抗血小板薬はアスピリンであり、さらに好ましくは低用量アスピリン(すなわち、75 mg〜100 mg/日)である。
【0177】
好適なトロンビン阻害剤には、N'-((1-(アミノイミノメチル)-4-ピペリジニル)メチル)-N-(3,3-ジフェニルプロピニル)-L-プロリンアミド)、3-(2-フェニルエチルアミノ)-6-メチル-1-(2-アミノ-6-メチル-5-メチレンカルボキサミドメチル-ピリジニル)-2-ピラジノン、3-(2-フェネチルアミノ)-6-メチル-1-(2-アミノ-6-メチル-5-メチレンカルボキサミドメチルピリジニル)-2-ピリジノン等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なトロンビン阻害剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第00/18352号にも記載されている。
【0178】
好適なトロンボキサン阻害剤には、トロンボキサンシンターゼ阻害剤、トロンボキサン受容体アンタゴニスト等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なトロンボキサン阻害剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、国際公開公報第01/87343号にも記載されている。
【0179】
好適なうっ血除去薬には、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン(pseudophedrine)、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、levo-デソキシエフェドリン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0180】
好適な鎮咳剤には、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、デキストロメトルファン(dextramethorphan)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
好適なプロトンポンプ阻害剤には、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。好適なプロトンポンプ阻害剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995年、901〜915ページ、CD-ROM版のMerck Index、第13版、およびNitroMed Inc.に付与された国際公開公報第00/50037号等の文献に詳細に記載されている。
【0182】
本発明の化合物および組成物は、麻薬性鎮痛薬、μ受容体アンタゴニスト、κ受容体アンタゴニスト、非麻薬性(すなわち非耽溺性)鎮痛薬、モノアミン取り込み阻害剤、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、ニューロキニン1受容体アンタゴニスト、サブスタンスPアンタゴニスト、ニューロキニン-1受容体アンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断剤、N-メチル-D-アスパルテート受容体アンタゴニスト、およびそれら2つ以上の混合物を含むが、これらに限定されないオピオイドおよび他の鎮痛薬との併用療法にも使用することができる。好ましい併用療法は、モルヒネ、メペリジン、コデイン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、メプタジノール、ヒドロコドン、オキシコドン、メサドン、トラマドール((+)エナンチオマー)、DuP 747、ディノルフィンA、エナドリン、RP-60180、HN-11608、E-2078、ICI-204448、アセトミノフェン(acetominophen)(パラセタモール)、プロポキシフェン、ナルブフィン、E-4018、フィレナドール(filenadol)、ミルテンタニル(mirtentanil)、アミトリプチリン、DuP631、トラマドール((-)エナンチオマー)、GP-531、アカデシン(acadesine)、AKI-1、AKI-2、GP-1683、GP-3269、4030W92、トラマドールラセミ体、ディノルフィンA、E-2078、AXC3742、SNX-111、ADL2-1294、ICI-204448、CT-3、CP-99,994、CP-99,994、およびそれら2つ以上の混合物との併用であると思われる。
【0183】
本発明の化合物および組成物は、誘導性酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤と併用使用することもできる。好適なiNOS阻害剤は、開示内容が全体として参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,132,453号および同第5,273,875号、ならびに国際公開公報第97/38977号および国際公開公報第99/18960号に開示されている。
【0184】
本発明は、本明細書に記載する化合物および組成物の治療的に有効な量の投与は、例えば頭痛、片頭痛、術後疼痛、歯痛、筋肉痛および癌による疼痛を含むが、これらに限定されない疼痛の治療における鎮痛;リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウィルス感染症に関連する症状、感冒、腰痛および頸部痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、筋違い、筋炎、神経痛、滑膜炎を含むが、これらに限定されない発熱の治療のための解熱;関節リウマチ、変形性関節疾患(骨関節炎)、脊椎関節症(spondyloarthropathies)、痛風関節炎、全身性エリテマトーデス、および若年性関節炎を含むが、これらに限定されない関節炎;等の炎症、疼痛(慢性および急性)、および発熱を治療するために有効であるという発見にも基づいている。例えば、本発明のCOX-2選択的阻害剤の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤を含むが、これらに限定されない少なくとも1つの治療薬と、任意で酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量とを患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0185】
本発明の別の態様では、本明細書に記載する化合物および/または組成物の治療的に有効な量を必要としている患者に投与することによって、消化管疾患を軽減および/または予防する方法およびCOX-2選択的阻害剤の消化管特性を改善する方法を提供する。このような消化管疾患は、例えば、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー-エリソン症候群、胃食道逆流、細菌感染症(例えば、ヘリコバクター・ピロリ関連疾病を含む)、短腸 (吻合) 症候群、全身性肥満細胞症もしくは好塩基球性白血病および高ヒスタミン血症に関連する分泌過多状態、ならびに例えば、脳外科的手術、頭部外傷、重症の身体的外傷または火傷によって生じる出血性消化性潰瘍を含む上部消化管(例えば、食道、胃、十二指腸、空腸)の任意の疾病または疾患を指す。例えば、本発明のCOX-2選択的阻害剤の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤を含むが、これらに限定されない、かつ任意で少なくとも1つの治療薬と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量とを患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0186】
本発明のさらに別の態様では、本明細書に記載する化合物および/または組成物の治療的に有効な量を必要としている患者に投与することによって(例えば、潰瘍の治癒、骨粗鬆症を含む骨治癒等の)創傷の治癒を促進する方法を提供する。創傷は、組織の損失によって特徴付けられる任意の病変を指すもので、それを含み、潰瘍、切創、火傷、骨折、整形手技、創傷の苦痛等が挙げられるが、これらに限定されない。潰瘍は、組織の損失によって特徴付けられる上部消化管内層の病変をいい、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明のCOX-2選択的阻害剤の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、少なくとも1つの治療薬と、任意で少なくとも1つの一酸化窒素ドナーの治療的に有効な量とを患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0187】
本発明の別の形態では、本明細書に記載する化合物および/または組成物の治療的に有効な量を必要としている患者に投与することによって(例えば、腎毒性、呼吸器毒性等の)腎毒性および他の毒性を軽減させるまたは回復させる方法を提供する。例えば、本発明のCOX-2選択的阻害剤の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および少なくとも1つの酸化窒素ドナーの治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、少なくとも1つの治療薬と、任意で少なくとも1つの酸化窒素ドナーの治療的に有効な量とを患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0188】
本発明の別の態様では、本明細書に記載する化合物および/または組成物の治療的に有効な量を必要としている患者に投与することによって、COX-2のレベルの上昇によって生じる疾患を治療または予防する方法を提供する。例えば、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている、本発明の少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤を含むがこれらに限定されない少なくとも1つの治療薬と、任意で酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量とを患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0189】
COX-2レベルの上昇によって生じる疾患(例えば、COX-2媒介性疾患)には、血管形成、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、早産、腱炎、滑液包炎;例えば、乾癬、湿疹、外傷、火傷、および皮膚炎等の皮膚関連状態;例えば、白内障手術および屈折矯正手術等の眼科的手術を含む術後炎症;例えば、脳の癌、骨の癌等の新生物、例えば、基底細胞癌等の上皮細胞由来の新生物(上皮のがん)、腺癌、例えば、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌等の消化管癌、大腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、ならびに扁平上皮癌および基底細胞癌等の皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌および生体全体の上皮細胞に影響する他の公知の癌、良性および癌性の腫瘍、腫瘍、ポリープ、家族性腺腫性ポリープを含むが、これらに限定されない腺腫性ポリープ、放射線療法によって生じる線維症等の治療;例えば、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合部疾患、多発性硬化症を含む白質疾患、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、傷害後に生じる膨潤、心筋梗塞等の疾患の炎症性過程の治療;例えば、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、羞明、眼組織の急性傷害、緑内障、眼の炎症および眼内圧の上昇等の眼科疾病および疾患の治療;例えば、ウィルス感染症および嚢胞性線維症に関連するもの等の肺の炎症の治療;例えば、アルツハイマー病を含む皮質痴呆、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老期痴呆、アルコール痴呆、老人性痴呆、卒中、虚血または外傷によって生じる中枢神経系の損傷等の中枢神経系疾患の治療;アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム性動脈硬化症の治療;例えば、眼、耳、鼻、喉および/または皮膚の炎症および/または感染症を含む炎症および/または微生物感染症の治療;例えば、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、心臓移植アテローム性動脈硬化症を含むが、これらに限定されないアテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、高血圧、虚血、塞栓症、卒中、血栓症、静脈血栓症、血栓塞栓症、血栓性閉塞および再閉塞、再狭窄、狭心症、不安定狭心症、ショック、心不全、冠動脈プラーク炎症、例えば、クラミジア誘導性の炎症等の細菌誘導性の炎症、ウィルス誘導性の炎症、例えば、血管移植、冠動脈バイパス術等の外科手術手順に関連する炎症、例えば、血管形成、ステント留置、動脈内膜切除等の血管新生方法、動脈、静脈、毛細管に関係する血管手技等に関連する炎症等の循環器系疾患の治療および/または予防;例えば、失禁等の尿および/または泌尿器系疾患の治療および/または予防;例えば、内皮の機能不全に伴う疾患、高コレステロール血症による内皮損傷、低酸素による内皮損傷、特に、例えば経皮経管血管形成術(PTA)および経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)後の狭窄した血管の薬剤的および機械的再開通中および再開通後の機械的および化学的病毒による内皮損傷、梗塞後の内皮損傷、バイパス手術後の内皮媒介性再閉塞、抹消動脈の血液供給障害、ならびに循環器疾患等の内皮機能不全の治療および/または予防;例えば、臓器移植等の臓器および組織の保存によって治療される疾患;炎症部位における好中球の活性化、接着および浸潤の阻害および/または予防によって治療される疾患;ならびに血小板凝集の阻害および/または予防によって治療される疾患が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および組成物は、酸性の胃内容物を吸引する危険を低下させるために、緊急手術における前麻酔薬としても使用することができる。
【0190】
本発明の別の態様では、本明細書に記載する化合物および/または組成物の治療的に有効な量を必要としている患者に投与することによって、COX-2選択的阻害剤の循環器系プロファイルを改善する方法を提供する。例えば、本発明の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2選択的阻害剤の治療的に有効な量を患者に投与することができる。別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および少なくとも1つの酸化窒素ドナーの治療的に有効な量を患者に投与することができる。さらに別の態様において、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤と、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA (HMG CoA)阻害剤、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤の少なくとも1つと、少なくとも1つの酸化窒素ドナーの治療的に有効な量を患者に投与することができる。本発明の化合物は別個に投与してもまたは組成物の形態で投与してもよい。
【0191】
別個に投与する場合には、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤は、全体の治療法の一部として、すなわち併用療法としてほぼ同じ時に投与することができる。「ほぼ同じ時」は、それらが全体の治療法の一部として、すなわち併用療法または治療カクテルとして投与される限り、同時に、逐次的に、同じ時に、同じ日の異なる時間に、または異なる日に任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されているCOX-2選択的阻害剤を投与することを含む。
【0192】
インビボにおいて投与する場合には、本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容される担体と併用して、本明細書に記載する用量で投与することができる。本発明の化合物および組成物を、少なくとも1つのCOX-2選択的阻害剤および/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2選択的阻害剤および/または少なくとも1つの酸化窒素ドナーおよび/または治療薬との併用として投与する場合には、それらは、治療標的の具体的な疾病状態に有効であることが公知の1つまたは複数の追加の化合物と併用して使用することもできる。酸化窒素ドナー、治療薬および/または他の追加の化合物は、COX-2選択的阻害剤および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化COX-2選択的阻害剤の投与と同時、逐次的、またはその前に投与することができる。
【0193】
本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容される従来の無毒性の担体、補助剤、および賦形剤を適宜含有する剤形製剤で、経口、口腔内、非経口、吸入スプレー、局所適用、注射、経皮的または直腸内(例えば、坐剤の使用による)を含むが、これらに限定されない利用可能で効果的な任意の送達システムによって投与することができる。非経口には、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、または注入技法が挙げられる。
【0194】
当業者に公知の経皮的な化合物の投与は、化合物の経皮的通過を介して患者の全身の循環に注入する薬学的化合物の送達に関係する。局所投与も、経皮パッチまたはイオン導入装置等の経皮的投与の使用に関係することがある。他の成分を経皮パッチに組み入れることもできる。例えば、1つまたは複数の保存剤またはヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウム等を含むがこれらに限定されない抗菌剤と共に、組成物および/または経皮パッチを製剤化することができる。本発明の化合物および組成物の局所投与用の剤形には、クリーム、スプレー、ローション、ゲル、軟膏、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、等を挙げることができる。このような剤形では、本発明の組成物を、例えば保存剤としての1%または2%(wt/wt)ベンジルアルコール、乳化ワックス、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、乳酸、精製水およびソルビトール溶液と混合して、白色で、滑らかで、均一で、不透明なクリームまたはローションを形成することができる。また、本発明の組成物はポリエチレングリコール400を含有することができる。それらを、例えば保存剤としての2%(wt/wt)ベンジルアルコール、白色ワセリン、乳化ワックスおよびテノックス(tenox) II(ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸、プロピレングリコール)と混合して軟膏を形成することができる。織パッドまたはロール状の包帯材、例えばガーゼに、溶液、ローション、クリーム、軟膏状の本発明の組成物を含浸させてもよく、または他のこのような形態を局所的な適用に使用してもよい。本発明の組成物は、樹脂性架橋剤を本発明の組成物と共に含浸させ、不浸透性の裏材に積層したアクリル系ポリマー接着剤の1つ等の経皮的システムを使用して、局所的に適用することもできる。
【0195】
経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、発泡性の錠剤、咀嚼錠、ピル、粉末、サシェ、顆粒およびゲルを挙げることができる。このような固体剤形では、作用化合物を、スクロース、ラクトース、またはデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。このような剤形は、通常不活性希釈剤以外の追加の物質、例えばステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤を含むことができる。カプセル、錠剤、発泡性の錠剤、およびピルの場合には、剤形は緩衝剤を含むことができる。軟ゼラチンカプセルは、本発明の作用化合物または組成物と植物油の混合物を含有するように製剤化することができる。硬ゼラチンカプセルは、本発明の作用化合物の顆粒を、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、ゼラチンのセルロース誘導体等の固体の粉状担体と組み合わせて含有することができる。錠剤およびピルは、腸溶コーティングを用いて製剤化することができる。
【0196】
経口投与用の液体剤形は、当技術分野において通常使用される水等の不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを挙げることができる。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、ならびに甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤等の補助剤も含むことができる。
【0197】
小児発熱等を治療するため等の、本発明の化合物および組成物の膣または直腸投与用の坐剤は、本発明の化合物または組成物を、直腸内で融解して薬物を放出するように、室温において固体であり、直腸体温において液体であるカカオ脂およびポリエチレングリコール等の好適な無刺激性賦形剤と混合することによって製剤化することができる。
【0198】
注射用製剤、例えば滅菌注射用の水性または油性懸濁液は、好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して公知の技術により製剤化することができる。滅菌注射用製剤は、例えば1,3-ブタンジオール溶液等の、非経口的に許容される無毒性の希釈剤または溶媒の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用することができる許容される賦形剤および溶媒には、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。滅菌固定油も、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。
【0199】
本発明の組成物は、従来の賦形剤、すなわち本発明の作用化合物と有害に反応しない、非経口的な適用に好適な薬学的に許容される有機または無機担体物質をさらに含むことができる。薬学的に許容される好適な担体には、例えば水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、芳香油、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ペトロエトラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。薬学的製剤は滅菌し、適宜、作用化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、矯味矯臭剤、および/または芳香性物質等と混合することができる。非経口的な適用のために特に好適な賦形剤は、好ましくは油性もしくは水性溶液および懸濁液、エマルジョンまたは植え込み物からなる。水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増加する物質を含有することができ、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む。任意で、懸濁剤は安定剤も含有することができる。
【0200】
本発明の組成物は、適宜少量の湿潤剤、乳化剤、および/またはpH緩衝剤も含有することができる。本発明の組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、徐放性製剤、または粉末であってもよい。本発明の組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリド等の担体を含有する坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、薬学用グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準的な担体を含むことができる。
【0201】
例えば、リポソームへの封入、マイクロバブル、エマルジョン、微粒子、マイクロカプセル等を含む、種々の送達系が公知であり、本発明の化合物または組成物を投与するために使用することができる。単回投与単位または徐放性剤形として必要な用量を投与することができる。
【0202】
本発明の組成物の生物学的利用能は、好適な賦形剤またはリン脂質もしくは界面活性剤等の物質の存在下において粉砕、製粉、噴霧乾燥等の従来の技法を使用して製剤を微粒化することによって増大させることができる。
【0203】
消化管疾患を治療するためのCOX-2選択的阻害剤および組成物の好ましい投与方法は経口、口腔内、または吸入による。炎症および微生物感染症を治療するための好ましい投与方法は経口、口腔内、局所、経皮、または吸入による。
【0204】
本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容される塩の形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、例えばアルカリ金属塩および遊離酸、または遊離塩基の添加塩が挙げられる。薬学的に許容されるという条件付きで、塩の性質は重大ではない。薬学的に許容される好適な酸添加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。このような無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適当な有機酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニック(embonic)酸(パモン(pamoic)酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸等の脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族、複素環族、カルボン酸およびスルホン酸類の有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される好適な塩基添加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作製される金属塩、または一級、二級、および三級アミン、環状アミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、およびプロカイン等から作製される有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。これらの塩全ては、例えば適当な酸または塩基を本発明の化合物と反応させることによって対応する化合物から従来の手段によって調製することができる。
【0205】
個々の必要量は変わる場合があるが、本発明の化合物および/または組成物の有効量の最適範囲の設定は当技術分野の範囲内である。一般に、当業者が調節することができる、本発明の化合物および組成物の有効量を提供するために必要な用量は、レシピエントの年齢、健康状態、身体状態、性別、食餌、体重、機能不全の程度、治療頻度、ならびに患者の機能不全または疾病、医学的な状態の性質および範囲、投与経路、使用する特定の化合物の活性、効果、薬学動態的および毒性プロファイル、薬物送達システムを使用するかどうか、および本発明の化合物を薬物併用の一部として投与するかどうかにより変わる。
【0206】
特定の疾患または状態を治療する際に有効である本発明の所定のCOX-2選択的阻害剤の量は、疾患または状態の性質に依存し、GoodmanおよびGilman、上記、The Physician's Desk Reference、Medical Economics Company, Inc.、Oradell、N. J.、 1995年、およびDrug Facts and Comparisons, Inc.、St. Louis、MO、1993年を参照することを含む、標準的な臨床技法によって設定することができる。製剤に使用する正確な用量も、投与経路および疾病または疾患の重篤度に依存し、医師および患者の状況によって決定されるべきである。
【0207】
薬学的組成物中の酸化窒素ドナーの量は、COX-2選択的阻害剤のモル当量の約0.1〜約10倍の量であってもよい。COX-2選択的阻害剤の通常の1日量は、1日あたり約0.001 mg〜約140 mg/体重kg、好ましくは1日あたり0.005 mg〜30 mg/kgまたは別の方法として、1日あたり約0.5 mg〜約7 g/患者である。例えば、炎症は、1日あたり約0.01mg〜50 mg の化合物/体重kgまたは別の方法として、1日あたり約0.5 mg〜約3.5 g/患者を投与することによって効果的に治療することができる。化合物は、1日最高6回、好ましくは1日1〜4回、最も好ましくは1日1回の療法で投与することができる。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験システムから得られる用量-応答曲線から外挿することができ、上記、Physician's Desk Reference、において市販の化合物について記載されているものと同じ範囲またはそれより少ない。
【0208】
本発明はまた、任意でニトロソ化および/またはニトロシル化されている新規COX-2選択的阻害剤の少なくとも1つまたは複数と本明細書に記載するNOドナーの1つまたは複数を含む、本発明の薬学的化合物および/または組成物の1つまたは複数の成分を充填した1つまたは複数の容器を含む薬学的キットを提供する。追加の治療薬または組成物(例えば、ステロイド、NSAID、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニスト、およびロイコトリエンA4(LTA4)加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤等)、本発明の組成物を投与する装置、およびヒト用の製造、使用または販売に関する当局による承認を反映する薬剤、または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府当局が規定する形態の通知がこのようなキットに関連することがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:

(式中、
R4は、メチルまたはエチルであり、
R5は、クロロまたはフルオロであり、
R6は、水素またはフルオロであり、
R7は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシまたはヒドロキシであり、
R8は、水素またはフルオロであり、
R9は、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチルまたはメチルであり、
Xは、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)Ri-であり、
Kは、
a) -Wa-Eb-(C(Re)(Rf))p-Ec(C(Re)(Rf))x-Wd-(C(Re)(Rf))y-Wi-Ej-Wg-(C(Re)(Rf))z-T-Q、または
b) -Wa-Eb-(C(Re)(Rf))p-Ec-(C(Re)(Rf))x-Wd-(C(Re)(Rf))y-Wi-Ej-Wg-(C(Re)(Rf))z-R3 であるが、ただしKが(b)である場合には、少なくとも1つのReは、-T-Qまたは-(C(Rg) (Rh)) k-T-Qとして選択され、さらに式(I)の化合物の「X-K」はニトロキシル低級アルキルエステルを含まないという条件で、
R3は、

であり、
Qは-NOまたは-NO2であり、
a、b、c、d、g、i、およびjは、各々独立に0〜3の整数であり、
p、x、y、およびzは、各々独立に0〜10の整数であり、
Wは、各々の出現時に独立に、-C(O)-、-C(S)-、-T-、-(C(Re)(Rf))h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環または-(CH2CH2O)q-であり、
Eは、各々の出現時に独立に-T-、アルキル基、アリール基、-(C(Re)(Rf))h-、複素環、アリール複素環、または-(CH2CH2O)q-であり、
hは、1〜10の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
ReおよびRfは、各々独立に水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホン酸エステル、尿素、ホスホリル、ニトロ、Wh、-T-Qもしくは-(C(Rg)(Rh))k-T-Qであるか、またはReおよびRfは、それらが結合する炭素と一体として考慮するとき、カルボニル、メタンチアル(methanthial)、複素環、シクロアルキル基、アリール基、オキシム、ヒドラゾン、または架橋シクロアルキル基を形成し、
RgおよびRhは、各々の出現時に独立にReであり、
kは、1〜3の整数であり、
Tは、各々の出現時に独立に共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-、または-N(Ra)Ri-であり、
oは、0〜2の整数であり、
Raは、孤立電子対、水素、またはアルキル基であり、
Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C(T-Q)(Re)(Rf)、その原子と二重結合を形成する隣接する原子との結合、-(N2O2-)-・M+(式中、M+は有機または無機陽イオンである)であり、
ただし、式(I)のニトロソ化および/またはニトロシル化化合物は少なくとも1つの-NO基または少なくとも1つの-NO2基を含有する必要があり、ここで少なくとも1つの-NO基または少なくとも1つの-NO2基は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を介して式(I)の化合物に結合される)。
【請求項2】
請求項1記載の化合物と製薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項3】
請求項2記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または軽減を必要とする患者の炎症、疼痛、または発熱を治療または軽減する方法。
【請求項4】
請求項2の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または改善を必要とする患者の消化管疾患を治療するまたはCOX-2阻害剤の消化管特性を改善する方法。
【請求項5】
消化管疾患が、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー-エリソン症候群、胃食道逆流、細菌感染症、短腸 (吻合) 症候群、または全身性肥満細胞症もしくは好塩基球性白血病および高ヒスタミン血症(hyperhistaminemia)に関連する分泌過多状態である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項2記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治癒を必要とする患者の創傷治癒を促進する方法。
【請求項7】
創傷が潰瘍である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項2記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または回復を必要とする患者の腎および/または呼吸器毒性を治療または回復させる方法。
【請求項9】
請求項2記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治癒を必要とする患者のCOX-2レベルの上昇によって生じる疾患を治療する方法。
【請求項10】
COX-2レベルの上昇によって生じる疾患が、血管形成、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、早産、腱炎、滑液包炎、皮膚関連状態、新生物、疾患の炎症性過程、眼科疾患、肺の炎症、中枢神経系疾患、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム性動脈硬化症、炎症および/または微生物感染症、循環器系疾患、尿および/または泌尿器系疾患、内皮機能不全、臓器および組織の保存、炎症部位における好中球の活性化、接着および浸潤の阻害または血小板凝集の阻害である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
新生物が、脳のがん、骨のがん、上皮細胞由来の新生物(上皮のがん)、基底細胞癌、腺癌、消化管の癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、癌性の腫瘍、腫瘍、ポリープ、腺腫性ポリープ、家族性腺腫性ポリープ、または放射線療法によって生じる線維症である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
中枢神経系疾患が、皮質痴呆、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老期痴呆、アルコール痴呆、老人性痴呆、卒中、虚血、または外傷によって生じる中枢神経系の損傷である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
請求項2記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、阻害を必要とする患者の血小板の凝集を阻害する方法。
【請求項14】
少なくとも1つの治療薬をさらに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項15】
治療薬が、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、またはそれら2つ以上の混合物である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または軽減を必要とする患者の炎症、疼痛、または発熱を治療または軽減する方法。
【請求項17】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または改善を必要とする患者の消化管疾患を治療するまたはCOX-2阻害剤の消化管特性を改善する方法。
【請求項18】
消化管疾患が、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー-エリソン症候群、胃食道逆流、細菌感染症、短腸 (吻合) 症候群、または全身性肥満細胞症もしくは好塩基球性白血病および高ヒスタミン血症に関連する分泌過多状態である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治癒を必要とする患者の創傷の治癒を促進する方法。
【請求項20】
創傷が潰瘍である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療または回復を必要とする患者の腎および/または呼吸器毒性を治療または回復させる方法。
【請求項22】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、治療を必要とする患者のCOX-2レベルの上昇によって生じる疾患を治療する方法。
【請求項23】
COX-2レベルの上昇によって生じる疾患が、血管形成、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、早産、腱炎、滑液包炎、皮膚関連状態、新生物、疾患の炎症性過程、眼科疾患、肺の炎症、中枢神経系疾患、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム性動脈硬化症、炎症および/または微生物感染症、循環器系疾患、尿および/または泌尿器系疾患、内皮機能不全、臓器および組織の保存、炎症部位における好中球の活性化、接着および浸潤の阻害または血小板の凝集阻害である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
新生物が、脳のガン、骨のガン、上皮細胞由来の新生物(上皮のがん)、基底細胞癌、腺癌、消化管の癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、癌性の腫瘍、腫瘍、ポリープ、腺腫性ポリープ、家族性腺腫性ポリープ、または放射線療法によって生じる線維症である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
中枢神経系疾患が、皮質痴呆、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老期痴呆、アルコール痴呆、老人性痴呆、卒中、虚血または外傷によって生じる中枢神経系の損傷である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
請求項14記載の組成物の治療的に有効な量を患者に投与する段階を含む、阻害を必要とする患者の血小板の凝集を阻害する方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物を少なくとも1つ、またはその薬学的に許容される塩と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項28】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物がS-ニトロソチオールである、請求項27記載の組成物。
【請求項30】
S-ニトロソチオールが、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン、S-ニトロソ-カプトプリル、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン、S-ニトロソ-ホモシステイン、S-ニトロソ-システイン、S-ニトロソ-グルタチオンまたはS-ニトロソ-システイニル-グリシンである、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
S-ニトロソチオールが、
(i)HS(C(Rc)(Rf))mSNO、
(ii)ONS(C(Re)(Rf))mRe、または
(iii)H2N-CH(CO2H)-(CH2)m-C(O)NH-CH(CH2SNO)-C(O)NH-CH2-CO2H
(式中、mは2〜20の整数であり、ReおよびRfは、各々独立に、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、尿素、ニトロ、-T-Q-または-(C(Rg)(Rh))k-T-Qであるか、またはReおよびRfは一体としてオキソ、メタンチアル、複素環、シクロアルキル基、オキシム、ヒドラゾン、または架橋シクロアルキル基であり、Qは-NOまたは-NO2であり、Tは、各々独立に、共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)Ri-(式中、oは0〜2の整数であり、Raは孤立電子対、水素またはアルキル基であり、Riは水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-、C(T-Q)(Rg)(Rh)または-(N2O2-)-・M+(式中、M+は有機または無機陽イオンである)であるが、ただしRiが-CH2-C(T-Q)(Rg)(Rh)または-(N2O2-)・M+である場合には、「-T-Q」は水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシ基またはアリール基である)であり、RgおよびRhは、各々の出現時に独立にReである)
である、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物が、L-アルギニン、L-ホモアルギニン、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニン、ニトロシル化L-ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、アルギナーゼ阻害剤、または酸化窒素媒介物質である、請求項27記載の組成物。
【請求項33】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物が、
(i)ON-O-またはON-N-基を少なくとも1つ含む化合物、
(ii)O2N-O-、O2N-N-またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物、または
(iii)式:R1''R2''N-N(O-M+)-NOを有するN-オキソ-N-ニトロソアミン
(式中、R1''およびR2''は、各々独立に、ポリペプチド、アミノ酸、糖、オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換の炭化水素または複素環基であり、かつM+は有機もしくは無機陽イオンである)
である、請求項27記載の組成物。
【請求項34】
ON-O-またはON-N-基を少なくとも1つ含む化合物が、ON-O-ポリペプチド、ON-N-ポリペプチド、ON-O-アミノ酸、ON-N-アミノ酸、ON-O-糖、ON-N-糖、ON-O-オリゴヌクレオチド、ON-N-オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、置換もしくは無置換、脂肪族もしくは芳香族ON-O-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、置換もしくは無置換、脂肪族もしくは芳香族ON-N-炭化水素、ON-O-複素環化合物、またはON-N-複素環化合物である、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
O2N-O-、O2N-N-、またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物が、O2N-O-ポリペプチド、O2N-N-ポリペプチド、O2N-S-ポリペプチド、O2N-O-アミノ酸、O2N-N-アミノ酸、O2N-S-アミノ酸、O2N-O-糖、O2N-N-糖、O2N-S-糖、O2N-O-オリゴヌクレオチド、O2N-N-オリゴヌクレオチド、O2N-S-オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-O-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-N-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-S-炭化水素、O2N-O-複素環化合物、O2N-N-複素環化合物、またはO2N-S-複素環化合物である、請求項33記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの治療薬をさらに含む、請求項37記載の組成物。
【請求項37】
治療薬が、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤またはそれら2つ以上の混合物である、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または軽減を必要とする患者の炎症、疼痛、または発熱を治療または軽減する方法。
【請求項39】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または改善を必要とする患者の消化管疾患を治療するまたはCOX-2阻害剤の消化管特性を改善する方法。
【請求項40】
消化管疾患が、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー-エリソン症候群、胃食道逆流、細菌感染症、短腸 (吻合) 症候群、または全身性肥満細胞症もしくは好塩基球性白血病および高ヒスタミン血症に関連する分泌過多状態である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治癒を必要とする患者の創傷の治癒を促進する方法。
【請求項42】
創傷が潰瘍である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または回復を必要とする患者の腎および/または呼吸器毒性を治療または回復させる方法。
【請求項44】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療を必要とする患者のCOX-2レベルの上昇によって生じる疾患を治療する方法。
【請求項45】
COX-2レベルの上昇によって生じる疾患が、血管形成、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、早産、腱炎、滑液包炎、皮膚関連状態、新生物、疾患の炎症性過程、眼科疾患、肺の炎症、中枢神経系疾患、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム性動脈硬化症、炎症および/または微生物感染症、循環器系疾患、尿および/または泌尿器系疾患、内皮機能不全、臓器および組織の保存、炎症部位における好中球の活性化、接着および浸潤の阻害または血小板の凝集阻害である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
新生物が、脳のがん、骨のがん、上皮細胞由来の新生物(上皮のがん)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、癌性の腫瘍、腫瘍、ポリープ、腺腫性ポリープ、家族性腺腫性ポリープ、または放射線療法によって生じる線維症である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
中枢神経系疾患が、皮質痴呆、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老期痴呆、アルコール痴呆、老人性痴呆、卒中、虚血または外傷によって生じる中枢神経系の損傷である、請求項45記載の方法。
【請求項48】
請求項27または36記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、阻害を必要とする患者の血小板の凝集を阻害する方法。
【請求項49】
請求項1記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を含むキット。
【請求項50】
一酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物、または少なくとも1つの治療薬をさらに含む、請求項49記載のキット。
【請求項51】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物、または少なくとも1つの治療薬がキット中で別個の構成要素の形態で存在するまたはキット中で組成物の形態で存在する、請求項50記載のキット。
【請求項52】
請求項14、27、または36記載の組成物を含むキット。
【請求項53】
ニトロソ化2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、ニトロシル化2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、ニトロソ化およびニトロシル化2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテートまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項54】
2-(2-ニトロキシ)エチルチオ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-(2-ニトロキシ)エトキシ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、3-((ニトロキシ)メチルフェニル) 2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2,3-ビス(ニトロキシ)プロピル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、6-(ニトロキシ)-4,8-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクト-2-イル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-((2-(ニトロキシ)エチル)スルホニル)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-(4-(2-ニトロオキシル)エチル)ピペラジニル)-2-オキソエチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2,3-ビス(ニトロキシ)-4-(2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセチルオキシ)ブチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-(2-(ヒドロキシエチルチオ)エチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、3-(ヒドロキシメチルフェニル) 2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2,3-ジヒドロキシプロピル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、6-ヒドロキシ-4,8-ジオキサビシクロ(3.3.0) オクト-2-イル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-((2-ヒドロキシエチル)スルホニル)エチル2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、2-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジニル)-2-オキソエチル2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセテート、4-(2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセトキシ)-2,3-ジヒドロキシブチル-2-(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)アセチルオキシ)ブチルアセテート、またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物。
【請求項55】
請求項54記載の少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項56】
請求項54記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を含むキット。
【請求項57】
式(I)の少なくとも1つの親COX-2阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物とを含む組成物。
【請求項58】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
式(I)の親COX-2阻害剤が2(2-((2-クロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)5-メチルフェニル)酢酸である、請求項57記載の組成物。
【請求項60】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物がS-ニトロソチオールである、請求項57記載の組成物。
【請求項61】
S-ニトロソチオールが、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン、S-ニトロソ-カプトプリル、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン、S-ニトロソ-ホモシステイン、S-ニトロソ-システイン、S-ニトロソ-グルタチオン、またはS-ニトロソ-システイニル-グリシンである、請求項60記載の組成物。
【請求項62】
S-ニトロソチオールが:
(i)HS(C(Rc)(Rf))mSNO、
(ii)ONS(C(Re)(Rf))mRe、または
(iii)H2N-CH(CO2H)-(CH2)m-C(O)NH-CH(CH2SNO)-C(O)NH-CH2-CO2H
(式中、mは2〜20の整数であり、ReおよびRfは、各々独立に、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、尿素、ニトロ、-T-Q-または-(C(Rg)(Rh))k-T-Qであるか、またはReおよびRfは、一体としてオキソ、メタンチアル、複素環、シクロアルキル基、オキシム、ヒドラゾン、または架橋シクロアルキル基であり、Qは-NOまたは-NO2であり、Tは、独立に共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-、または-N(Ra)Ri-(式中、oは0〜2の整数であり、Raは孤立電子対、水素、またはアルキル基であり、Riは水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-、C(T-Q)(Rg)(Rh)、または-(N2O2-)-・M+(式中、M+は有機または無機陽イオンである)であるが、ただしRiが-CH2-C(T-Q)(Rg)(Rh)または-(N2O2-)・M+である場合には、「-T-Q」は水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシ基またはアリール基であってもよい)であり、RgおよびRhは、各々の出現時に独立にReである)
である、請求項60記載の組成物。
【請求項63】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物が、L-アルギニン、L-ホモアルギニン、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニン、ニトロシル化L-ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、アルギナーゼ阻害剤、または酸化窒素媒介物質である、請求項57記載の組成物。
【請求項64】
酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である化合物が、
(i)ON-O-またはON-N-基を少なくとも1つ含む化合物、
(ii)O2N-O-、O2N-N-またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物、または
(iii)式:R1''R2''N-N(O-M+)-NOを有するN-オキソ-N-ニトロソアミン
(式中、R1''およびR2''は、各々独立にポリペプチド、アミノ酸、糖、オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換炭化水素、または複素環基であり、かつM+は有機もしくは無機陽イオンである)
である、請求項57記載の組成物。
【請求項65】
ON-O-またはON-N-基を少なくとも1つ含む化合物が、ON-O-ポリペプチド、ON-N-ポリペプチド、ON-O-アミノ酸、ON-N-アミノ酸、ON-O-糖、ON-N-糖、ON-O-オリゴヌクレオチド、ON-N-オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換ON-O-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換ON-N-炭化水素、ON-O-複素環化合物またはON-N-複素環化合物である、請求項64記載の組成物。
【請求項66】
O2N-O-、O2N-N-またはO2N-S-基を少なくとも1つ含む化合物が、O2N-O-ポリペプチド、O2N-N-ポリペプチド、O2N-S-ポリペプチド、O2N-O-アミノ酸、O2N-N-アミノ酸、O2N-S-アミノ酸、O2N-O-糖、O2N-N-糖、O2N-S-糖、O2N-O-オリゴヌクレオチド、O2N-N-オリゴヌクレオチド、O2N-S-オリゴヌクレオチド、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-O-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-N-炭化水素、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族、置換もしくは無置換O2N-S-炭化水素、O2N-O-複素環化合物、O2N-N-複素環化合物またはO2N-S-である、請求項64記載の組成物。
【請求項67】
少なくとも1つの治療薬をさらに含む、請求項57記載の組成物。
【請求項68】
治療薬が、ステロイド、非ステロイド性抗炎症化合物、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、ロイコトリエンB4受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA4加水分解酵素阻害剤、5-HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、H2アンタゴニスト、抗腫瘍薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、トロンボキサン阻害剤、うっ血除去薬、利尿薬、鎮静作用のあるもしくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬、誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、またはそれら2つ以上の混合物である、請求項67記載の組成物。
【請求項69】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または軽減を必要とする患者の炎症、疼痛、または発熱を治療または軽減する方法。
【請求項70】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または改善を必要とする患者の消化管疾患を治療するまたはCOX-2阻害剤の消化管特性を改善する方法。
【請求項71】
消化管疾患が、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー-エリソン症候群、胃食道逆流、細菌感染症、短腸 (吻合) 症候群、または全身性肥満細胞症もしくは好塩基球性白血病および高ヒスタミン血症に関連する分泌過多状態である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治癒を必要とする患者の創傷の治癒を促進する方法。
【請求項73】
創傷が潰瘍である、請求項72記載の方法。
【請求項74】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療または回復を必要とする患者の腎および/または呼吸器毒性を治療または回復させる方法。
【請求項75】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、治療を必要とする患者のCOX-2レベルの上昇によって生じる疾患を治療する方法。
【請求項76】
COX-2レベルの上昇によって生じる疾患が、血管形成、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、早産、腱炎、滑液包炎、皮膚関連状態、新生物、疾患の炎症性過程、眼科疾患、肺の炎症、中枢神経系疾患、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム性動脈硬化症、炎症および/または微生物感染症、循環器系疾患、尿および/または泌尿器系疾患、内皮機能不全、臓器および組織の保存、炎症部位における好中球の活性化、接着および浸潤の阻害、または血小板の凝集阻害である、請求項75記載の方法。
【請求項77】
新生物が、脳のがん、骨のがん、上皮細胞由来の新生物(上皮のがん)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、癌性の腫瘍、腫瘍、ポリープ、腺腫性ポリープ、家族性腺腫性ポリープ、または放射線療法によって生じる線維症である、請求項76記載の方法。
【請求項78】
中枢神経系疾患が、皮質痴呆、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老期痴呆、アルコール痴呆、老人性痴呆、卒中、虚血または外傷によって生じる中枢神経系の損傷である、請求項76記載の方法。
【請求項79】
請求項57または67記載の組成物の治療的に有効な量を投与する段階を含む、阻害を必要とする患者の血小板の凝集を阻害する方法。
【請求項80】
少なくとも1つの親COX-2阻害剤と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、または少なくとも1つの治療薬とを含むキット。
【請求項81】
少なくとも1つの親COX-2阻害剤と、酸化窒素を供与、転移、もしくは放出する、または内因性酸化窒素もしくは内皮由来の弛緩因子の産生を誘導する、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物と、または少なくとも1つの治療薬とがキット中で別個の要素の形態で存在するまたはキット中で組成物の形態で存在する、請求項80記載のキット。

【公表番号】特表2006−501161(P2006−501161A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−510723(P2004−510723)
【出願日】平成15年6月10日(2003.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/018052
【国際公開番号】WO2003/103602
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(504457681)ニトロメッド インク. (1)
【Fターム(参考)】