説明

ノズル洗浄装置

【課題】 長期間に亘ってノズルを十分清浄に洗浄することが可能なノズル洗浄装置を提供すること。
【解決手段】 洗浄ブロック61は、一対の飛散防止版73と、不活性ガス噴出用スリット77、78を備えた4個の不活性ガス噴出用ブロック75と、仕切板74と、支持部材に支持された下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81と、第1ノズル87、第2ノズル84および第3ノズル85、86を支持する一対のノズル用ブロック76とを備える。洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときには、下面洗浄ブラシ82はスリットノズルの下端部下面と、右側面洗浄ブラシ83はスリットノズルの長手方向に向かって下端部右側面と、左側面洗浄ブラシ81はスリットノズルの長手方向に向かって下端部左側面と、各々、当接可能な位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺のスリットノズルの下端部に形成されたスリット状の吐出口から処理液を吐出する処理液供給ノズルを洗浄するためのノズル洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板あるいは半導体製造装置用マスク基板等の基板に対してフォトレジスト等の処理液を塗布する塗布装置においては、長尺のスリットノズルの下端部に形成されたスリット状の吐出口から処理液を吐出することにより、基板の表面に処理液を塗布している。この塗布装置においては、処理液の塗布により汚染したノズルを、ノズル洗浄装置により洗浄する構成となっている。
【0003】
このようなノズル洗浄装置としては、例えば、特許文献1に記載されたように、ノズルの下端部に洗浄液を供給してノズルを洗浄するノズル洗浄装置が使用されている。
【0004】
また、特許文献2に記載されたように、洗浄液を供給した多孔質材料よりなる払拭部材を利用してノズルを洗浄するノズル洗浄装置も提案されている。
【特許文献1】特開2005−262127号公報
【特許文献2】特開2004−122065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたように、洗浄液のみによりノズルを洗浄する構成を採用した場合には、処理液の種類によってはノズルを十分に洗浄できない場合がある。また、特許文献2に記載されたように多孔質材料よりなる払拭部材を使用した場合には、払拭部材がノズルとの接触により損傷するという問題が生ずる。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、長期間に亘ってノズルを十分清浄に洗浄することが可能なノズル洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、長尺のスリットノズルの下端部に形成されたスリット状の吐出口から処理液を吐出する処理液供給ノズルを洗浄するためのノズル洗浄装置であって、前記スリットノズルの下端部下面に当接可能な下面洗浄部材と、前記スリットノズルの長手方向に向かって下端部右側面に当接可能な右側面洗浄部材と、前記スリットノズルの長手方向に対して前記右側面洗浄部材とは異なる位置に配設され、前記スリットノズルの長手方向に向かって下端部左側面に当接可能な左側面洗浄部材と、を有する洗浄ブロックと、前記洗浄ブロックを、前記下面洗浄部材、前記右側面洗浄部材および前記左側面洗浄部材によりスリットノズルの下端部を洗浄しながら移動する洗浄領域と、前記下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材がスリットノズルから離隔した待機位置との間で往復移動させる移動機構と、前記洗浄ブロックが前記洗浄領域に配置されたときに前記洗浄ブロックにおける前記スリットノズルを挟んで前記右側面洗浄部材と対向する位置に配設され、前記右側面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第1ノズルと、前記洗浄ブロックが前記洗浄領域に配置されたときに前記洗浄ブロックにおける前記スリットノズルを挟んで前記左側面洗浄部材と対向する位置に配設され、前記左側面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第2ノズルと、洗浄ブロックが前記洗浄領域を移動しているときと、洗浄ブロックが前記待機位置に配置されたときに、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記下面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第3ノズルをさらに有し、前記洗浄液供給部は、洗浄ブロックが前記洗浄領域を移動しているときと、洗浄ブロックが前記待機位置に配置されたときに、前記第3ノズルに洗浄液を供給する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記洗浄ブロックにおける前記右側面洗浄部材の移動方向の後ろ側に配置され、前記右側面洗浄部材により洗浄された前記スリットノズルの下端部右側面に気体を噴出する右側面用気体噴出手段と、前記洗浄ブロックにおける前記左側面洗浄部材の移動方向の後ろ側に配置され、前記左側面洗浄部材により洗浄された前記スリットノズルの下端部左側面に気体を噴出する左側面用気体噴出手段とをさらに備える。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記右側面用気体噴出手段と前記左側面用気体噴出手段とは、各々、前記スリットノズルの下端部に向けて気体を噴出するスリット状の気体噴出孔を有する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記洗浄ブロックが前記待機位置に移動したときに、前記洗浄ブロックの上部を覆う洗浄液の飛散防止カバーをさらに備える。
【0012】
請求項6請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、前記下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材は、ブラシである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、洗浄ブロックが洗浄領域を移動しているときに、スリットノズルを下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材により十分清浄に洗浄することができ、また、洗浄ブロックが待機位置に配置されたときに、洗浄液により下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材を洗浄することができる。このとき、右側面洗浄部材と左側面洗浄部材とがスリットノズルの長手方向に対して異なる位置に配設されていることから、第1ノズルから吐出された洗浄液と記第2ノズルから吐出された洗浄液とが衝突することを防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1ノズルおよび第2ノズルから吐出された洗浄液が下面洗浄部材に十分に到達しない場合においても、下面洗浄部材を十分に洗浄することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ノズルの下端部に付着した洗浄液を気体により除去することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ノズルの下端部に付着した洗浄液をより十分にスリット状の気体により除去することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、待機位置において洗浄液により下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材を洗浄するときに、洗浄液が外部に飛散することを有効に防止することが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、スリットノズルをブラシにより十分に洗浄することが可能となり、また、その寿命を長期とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係るノズル洗浄装置を適用する塗布装置の斜視図であり、図2はその側面図である。なお、図1においては、プリディスペンス機構2およびノズル洗浄装置6等の図示を省略している。また、図2においては、キャリッジ4等の図示を省略している。
【0020】
この塗布装置は、矩形状をなす液晶パネル用のガラス基板(以下「基板」という)Wに、例えば、カラーレジストと呼称される顔料を含むレジストを塗布するためのものである。
【0021】
この塗布装置は、基板Wを保持するためのステージ3を備える。このステージ3は、直方体形状を有する石製であり、その上面は水平面とされており、基板Wの保持面30となっている。保持面30には図示しない多数の真空吸着口が分布して形成されており、塗布装置において基板Wを吸着保持する構成となっている。また、図1において模式的に示すように、保持面30には、図示しない駆動手段によって上下に昇降自在な複数のリフトピン39が、適宜の間隔をおいて設けられている。このリフトピン39は、基板Wの搬入、搬出時に、基板Wをその下方より支持して、ステージ3の表面より上方に上昇させる。
【0022】
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡されたキャリッジ4が設けられている。このキャリッジ4は、スリットノズル41を支持するためのノズル支持部40と、このノズル支持部40の両端を支持する左右一対の昇降機構43とを備える。また、ステージ3の両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール31が配設される。これらの走行レール31は、キャリッジ4の両端部をガイドすることにより、キャリッジ4を、図1に示すX方向に往復移動させる。
【0023】
ステージ3およびキャリッジ4の両側部分には、ステージ3の両側の縁側に沿って、それぞれ固定子(ステータ)50aと移動子50bを備える一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)50が固設される。また、ステージ3およびキャリッジ4の両側部分には、それぞれスケール部と検出子とを備えた一対のリニアエンコーダ52が固設される。リニアエンコーダ52は、キャリッジ4の位置を検出する。
【0024】
図2に示すように、ステージ3における保持面30の側方には、プリディスペンス機構2が配設されている。このプリディスペンス機構2は、貯留槽21内に貯留された洗浄液中にその一部を浸漬したプリディスペンスローラ22と、ドクターブレード23とを備える。プリディスペンスローラ22とドクターブレード23とは、Y方向に対して、スリットノズル41と同等以上の長さを有する。また、プリディスペンスローラ22は、図示しないモータの駆動により回転する。
【0025】
この塗布装置においては、処理動作を実行する前に、プリディスペンスローラ22の上方に移動したスリットノズル41から少量のレジストを吐出することにより、後述するノズル洗浄工程において洗浄液を含有したレジストをスリットノズル41内から除去する工程を実行するようにしている。
【0026】
図2に示すように、ステージ3における保持面30の側方には、この発明に係るノズル洗浄装置6が配設されている。このノズル洗浄装置6は、洗浄ブロック61と待機ポッド62とを備える。なお、このノズル洗浄装置6の構成については、後述する。
【0027】
図3はスリットノズル41によるレジストの供給動作を模式的に示す説明図であり、図4はスリットノズル41を一部破断して示す正面図である。
【0028】
このスリットノズル41は、その長手方向(図3における紙面に垂直な方向/図4における左右方向)に延びるスリット状の吐出口44を有する。この吐出口44の長手方向の長さは、基板Wにおける矩形状の素子形成部分の短辺の長さ以上の長さである。レジスト供給配管46により供給されたレジスト45は、図3に示すように、このスリット状の吐出口44を介して基板Wの表面に供給される。
【0029】
塗布装置により基板Wにレジストを塗布する塗布動作について説明する。レジストの塗布動作を実行する前の状態においては、スリットノズル41は、この発明に係るノズル洗浄装置6と対向する位置に配置されている。このときのスリットノズル41等の状態については、後程詳細に説明する。
【0030】
この状態において、レジストの塗布動作を開始するときには、ノズル洗浄装置6上方にスリットノズル41を待機させた状態から、スリットノズル41をプリディスペンス機構2の上部まで移動させ、プリディスペンス動作を実行させる。
【0031】
次に、スリットノズル41を基板Wの一端上方まで水平移動させた後、左右一対の昇降機構により、スリットノズル41を基板Wへの塗布位置に配置する。このとき基板W表面とスリットノズル41の吐出口44との間隔は、レジストの塗布に適した所定の値となっている。
【0032】
この状態において、スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44からレジストを吐出させるとともに、スリットノズル41を基板Wの表面に沿って水平移動させる。この状態においては、図3に示すように、スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44から吐出されたレジスト45が基板Wの表面に薄膜状に塗布される。
【0033】
スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44が基板Wの他端部と対向する位置まで移動すれば、スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44からのレジストの吐出を停止させ、スリットノズル41をノズル洗浄装置6の上方にまで移動させる。しかる後、後述するノズル洗浄工程を実行する。
【0034】
次に、この発明に係るノズル洗浄装置6の構成について説明する。図5は、この発明に係るノズル洗浄装置6をスリットノズル41とともに示す側面図である。
【0035】
このノズル洗浄装置6は、上述したスリットノズル41と平行に配設されたレール63に沿って移動可能なブラケット64と、このブラケット64と連結された同期ベルト65を往復回転させることによりブラケット64をスリットノズル41と平行に往復移動させるモータ66と、ブラケット64の上方に配設された上述した洗浄ブロック61とを備える。この洗浄ブロック61は、スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44付近を払拭するためのものである。この洗浄ブロック61は、モータ66の駆動により、図5において実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間を往復移動する。
【0036】
ここで、図5において実線で示す位置は、後述する下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81がスリットノズル41から離隔した待機位置である。また、図5におけるこの待機位置の右側の位置は、下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81によりスリットノズル41の下端部を洗浄する洗浄領域である。なお、待機位置に移動した洗浄ブロック61の上方には、飛散防止カバー71が配設されている。
【0037】
一方、待機ポッド62は、レジストを塗布しない状態において、スリットノズル41におけるスリット状の吐出口44付近のレジストが乾燥して変質することを防止するためのものである。この待機ポッド62の内部には、例えば、レジストを溶解する溶剤等が貯留されている。この待機ポッド62は、エアシリンダ67の駆動により、図5において二点鎖線で示すその上端の開口部がスリットノズル41におけるスリット状の吐出口44と対向する上昇位置と、実線で示す下降位置との間を昇降可能な構成となっている。このため、スリットノズル41をノズル洗浄装置6の上方に待機させた状態で待機ポッド62が上昇位置をとると、スリットノズル41の吐出口44は待機ポッド62によって閉じられた空間に露出することになる。このとき、該空間は溶剤の蒸気が含まれる雰囲気で満たされているので、吐出口44付近のレジストが乾燥することが防止される。
【0038】
次に、上述した洗浄ブロック61の構成について説明する。図6は、洗浄ブロック61の平面図である。また、図7は、この洗浄ブロック61を分解して示す斜視図である。さらに、図8は、この洗浄ブロック61によりスリットノズル41を洗浄する状態を示す概要図である。なお、図7においては、仕切板74の図示を省略している。
【0039】
この洗浄ブロック61は、一対の飛散防止版73と、不活性ガス噴出用スリット77、78を備えた4個の不活性ガス噴出用ブロック75と、仕切板74と、支持部材79(図8参照)に支持された下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81と、第1ノズル87、第2ノズル84および第3ノズル85、86を支持する一対のノズル用ブロック76とを備える。この洗浄ブロック61は、支持アーム72により支持されており、この洗浄ブロック61の下方には、洗浄液等を回収するドレイン96が配設されている。なお、上述した支持部材79は、自動調芯用バネ部80を介して支持アーム72に固定されている。
【0040】
図8に示すように、下面洗浄ブラシ82は、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときに、スリットノズル41の下端部下面、すなわち、図3に示す吐出口44が形成された領域に当接可能となっている。また、右側面洗浄ブラシ83は、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときに、スリットノズル41の長手方向(洗浄ブロック61の進行方向)に向かって下端部右側面に当接可能となっている。さらに、左側面洗浄ブラシ81は、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときに、スリットノズル41の長手方向に向かって下端部左側面に当接可能となっている。
【0041】
図9および図10は、下面洗浄ブラシ82の斜視図である。
【0042】
下面洗浄ブラシ82としては、図9に示すような直線状ブラシを使用してもよく、また、図10に示すような埋め込み式ブラシを使用してもよい。一般的に、スリットノズル41に付着したレジストがとれにくい場合には、図9に示す直線状ブラシを使用することが好ましい。また、耐久性を重視する場合には、図10に示す埋め込み式ブラシを使用することが好ましい。ブラシ部の材質としては、耐溶剤性のあるフッ素樹脂系の素材を用いることが好ましい。このようなブラシ部を備えたブラシを使用することにより、特許文献2に記載されたような多孔質材料よりなる払拭部材を利用する場合に比べて、その耐久性を向上させることが可能となる。なお、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81も、この下面洗浄ブラシ82と同様の構成を有する。
【0043】
第1ノズル87は、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときに、スリットノズル41を挟んで右側面洗浄ブラシ83と対向する位置に配設されている。また、第2ノズル84は、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときに、スリットノズル41を挟んで左側面洗浄ブラシ81と対向する位置に配設されている。さらに、第3ノズル85、86は、下面洗浄ブラシ82と対向する位置に配置されている。
【0044】
図11は、第1ノズル87、第2ノズル84および第3ノズル85、86による洗浄液の吐出状態を示す正面図であり、図12はその平面図である。
【0045】
第1ノズル87は、右側洗浄ブラシ83と下面洗浄ブラシ82に向かって洗浄液を吐出する。第2ノズル84は、左側洗浄ブラシ81と下面洗浄ブラシ82とに向かって洗浄液を吐出する。第3ノズル85、86は、下面洗浄ブラシ82に向かって洗浄液を吐出する。図12に示すように、これらの第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86は、互い違いに位置する千鳥状に配置されている。このため、これら第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出された洗浄液が互いに衝突してまわりに飛散することを有効に防止することができる。
【0046】
なお、図8に示すように、洗浄ブロック61が洗浄領域に配置されたときには、下面洗浄ブラシ82はスリットノズル41の下端部下面と、右側面洗浄ブラシ83はスリットノズル41の長手方向に向かって下端部右側面と、左側面洗浄ブラシ81はスリットノズル41の長手方向に向かって下端部左側面と、各々、当接可能な位置に配置されている。このため、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液は、スリットノズル41の下端部にも供給されることになる。
【0047】
なお、図6に示すように、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86は、洗浄液供給部100と接続されている。この洗浄液供給部100は、ノズル洗浄装置の制御部からの指令を受け、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86への洗浄液の供給動作を制御する。なお、通常は、この洗浄液制御部100から第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86に洗浄液を供給するが、スリットノズル41の汚染度が高い場合等においては、洗浄液と不活性ガスが混合された混合流体を供給するようにしてもよい。
【0048】
不活性ガス噴出用ブロック75に形成された不活性ガス噴出用スリット77、78は、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から供給されスリットノズル41の下端部に残存する処理液を、窒素ガスにより吹き飛ばすためのものである。洗浄ブロック61が図6に示すY+方向に移動するときには、不活性ガス噴出用スリット77、78のうち右側面用ブラシ83と左側面用ブラシ81の移動方向の後ろ側に位置する不活性ガス噴出用スリット77、78(図6におけるY−側の不活性ガス噴出用スリット77、78)のみが使用され、洗浄ブロック61が図6に示すY−方向に移動するときには、不活性ガス噴出用スリット77、78のうち右側面用ブラシ83と左側面用ブラシ81の移動方向の後ろ側に位置する不活性ガス噴出用スリット77、78(図6におけるY+側の不活性ガス噴出用スリット77、78)のみが使用される。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、不活性ガス噴出用ブロック75に形成された不活性ガス噴出用スリット77、78は、その長手方向が洗浄ブロック61の移動方向と直交する方向を向く形状となっている。しかしながら、図13および図14に示すように、スリットノズル41の端縁の傾斜角θと、側面視において同一の傾斜角を有する不活性ガス噴出用スリット91、92を用いてもよい。この場合においては、スリットノズル41の端縁付近における液切り作用を向上させることができる。
【0050】
また、図15に示すように、上述した不活性ガス噴出用スリット77、78、91、92に加え、スリットノズル41の先端部以外の下面に向けて不活性ガスを噴出する不活性ガス噴出用ノズル93を付設するようにしてもよい。
【0051】
次に、上述した構成を有するノズル洗浄装置によるスリットノズル41の洗浄動作について説明する。
【0052】
スリットノズル41の洗浄作業を開始するときには、洗浄ブロック61は図5において実線で示す待機位置に配置されている。また、このときには、スリットノズル41は、図1に示す昇降機構43の作用により、その下端部と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81とが離隔する位置に配置されている。
【0053】
この状態において、洗浄液供給部100の制御により第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から洗浄液を吐出させる。しかる後、昇降機構43の作用によりスリットノズル41を下降させ、スリットノズル41の下端部と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81とを当接させる。そして、この状態において、洗浄ブロック61を図5に示す右方向(例えば図6におけるY+方向)に移動させる。この状態においては、スリットノズル41の下端部は、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81との作用により、十分に洗浄される。
【0054】
洗浄ブロック61が洗浄領域の端部まで移動すれば、洗浄ブロック61の移動を停止させる。そして、昇降機構43の作用によりスリットノズル41を上昇させ、スリットノズル41の下端部と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81とを離隔する。しかる後、洗浄ブロック61を上記とは逆方向(図6におけるY−方向)に移動させる。これにより、スリットノズル41の下端部は、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液により、その仕上げの洗浄が実行される。
【0055】
このときには、不活性ガス噴出用スリット77、78のうち右側面用ブラシ83と左側面用ブラシ81の移動方向の後ろ側に位置する不活性ガス噴出用スリット77、78から不活性ガスを噴出する。これにより、スリットノズル41に残存する洗浄液が吹き飛ばされ、スリットノズル41から除去される。
【0056】
洗浄ブロック61が図5において実線で示す待機位置に復帰すれば、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86からの洗浄液の吐出と、不活性ガス噴出用スリット77、78からの不活性ガスの噴出を停止する。
【0057】
以上によりスリットノズル41の洗浄動作が完了すれば、次に、下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81の洗浄を実行する。
【0058】
洗浄ブロック61が図5において実線で示す待機位置に復帰した状態においては、図5および図16に示すように、洗浄ブロック61の上方には飛散防止カバー71が配置されている。この状態において、再度、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86からの洗浄液を吐出する。これにより図11および図12に示すように、下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81は、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液により洗浄される。
【0059】
なお、上述した実施例においては、洗浄ブロック61が待機位置から移動するときに第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81とを使用して洗浄を行い、洗浄ブロック61が待機位置に戻るときに第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液のみを使用した洗浄を行っている。しかしながら、スリットノズル41をより確実に洗浄するためには、洗浄ブロック61を複数回往復移動させながら、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液と下面洗浄ブラシ82、右側面洗浄ブラシ83および左側面洗浄ブラシ81とを使用して洗浄を行った後、第1、第2、第3洗浄ノズル87、84、85、86から吐出した洗浄液のみを使用して仕上げ洗浄を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明に係るノズル洗浄装置を適用する塗布装置の斜視図である。
【図2】この発明に係るノズル洗浄装置を適用する塗布装置の側面図である。
【図3】スリットノズル41によるレジストの供給動作を模式的に示す説明図である。
【図4】スリットノズル41を一部破断して示す正面図である。
【図5】この発明に係るノズル洗浄装置6をスリットノズル41とともに示す側面図である。
【図6】洗浄ブロック61の平面図である。
【図7】洗浄ブロック61を分解して示す斜視図である。
【図8】洗浄ブロック61によりスリットノズル41を洗浄する状態を示す概要図である。
【図9】下面洗浄ブラシ82の斜視図である。
【図10】下面洗浄ブラシ82の斜視図である。
【図11】第1ノズル87、第2ノズル84および第3ノズル85、86による洗浄液の吐出状態を示す正面図である。
【図12】第1ノズル87、第2ノズル84および第3ノズル85、86による洗浄液の吐出状態を示す平面図である。
【図13】他の実施形態に係る不活性ガス噴出ブロックの斜視図である。
【図14】スリットノズル41の端縁の傾斜角θと不活性ガス噴出用スリット91、92との関係を示す説明図である。
【図15】不活性ガス噴出用ノズル93をスリットノズル41とともに示す側面図である。
【図16】洗浄ブロック61の上方に配置された飛散防止カバー71を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
6 ノズル洗浄装置
41 スリットノズル
44 吐出口
61 洗浄ブロック
62 待機ポッド
71 飛散防止カバー
73 飛散防止版
74 仕切板
79 支持部材
80 自動調芯用バネ部
81 左側面洗浄ブラシ
82 下面洗浄ブラシ
83 右側面洗浄ブラシ
84 第2ノズル
85 第3ノズル
86 第3ノズル
87 第1ノズル
96 ドレイン
100 洗浄液供給部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のスリットノズルの下端部に形成されたスリット状の吐出口から処理液を吐出する処理液供給ノズルを洗浄するためのノズル洗浄装置であって、
前記スリットノズルの下端部下面に当接可能な下面洗浄部材と、前記スリットノズルの長手方向に向かって下端部右側面に当接可能な右側面洗浄部材と、前記スリットノズルの長手方向に対して前記右側面洗浄部材とは異なる位置に配設され、前記スリットノズルの長手方向に向かって下端部左側面に当接可能な左側面洗浄部材と、を有する洗浄ブロックと、
前記洗浄ブロックを、前記下面洗浄部材、前記右側面洗浄部材および前記左側面洗浄部材によりスリットノズルの下端部を洗浄しながら移動する洗浄領域と、前記下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材がスリットノズルから離隔した待機位置との間で往復移動させる移動機構と、
前記洗浄ブロックが前記洗浄領域に配置されたときに前記洗浄ブロックにおける前記スリットノズルを挟んで前記右側面洗浄部材と対向する位置に配設され、前記右側面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第1ノズルと、
前記洗浄ブロックが前記洗浄領域に配置されたときに前記洗浄ブロックにおける前記スリットノズルを挟んで前記左側面洗浄部材と対向する位置に配設され、前記左側面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第2ノズルと、
洗浄ブロックが前記洗浄領域を移動しているときと、洗浄ブロックが前記待機位置に配置されたときに、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
を備えたことを特徴とするノズル洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノズル洗浄装置において、
前記下面洗浄部材に向けて洗浄液を吐出可能な第3ノズルをさらに有し、
前記洗浄液供給部は、洗浄ブロックが前記洗浄領域を移動しているときと、洗浄ブロックが前記待機位置に配置されたときに、前記第3ノズルに洗浄液を供給するノズル洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のノズル洗浄装置において、
前記洗浄ブロックにおける前記右側面洗浄部材の移動方向の後ろ側に配置され、前記右側面洗浄部材により洗浄された前記スリットノズルの下端部右側面に気体を噴出する右側面用気体噴出手段と、
前記洗浄ブロックにおける前記左側面洗浄部材の移動方向の後ろ側に配置され、前記左側面洗浄部材により洗浄された前記スリットノズルの下端部左側面に気体を噴出する左側面用気体噴出手段と、
をさらに備えるノズル洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載のノズル洗浄装置において、
前記右側面用気体噴出手段と前記左側面用気体噴出手段とは、各々、前記スリットノズルの下端部に向けて気体を噴出するスリット状の気体噴出孔を有するノズル洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のノズル洗浄装置において、
前記洗浄ブロックが前記待機位置に移動したときに、前記洗浄ブロックの上部を覆う洗浄液の飛散防止カバーをさらに備えるノズル洗浄装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のノズル洗浄装置において、
前記下面洗浄部材、右側面洗浄部材および左側面洗浄部材は、ブラシであるノズル洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−290031(P2008−290031A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140019(P2007−140019)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】