説明

ハイブリッド車両の駆動制御装置

【課題】要求制動トルクをモータジェネレータによる制動トルクおよび機械式ブレーキによる制動トルクの両方で分担する場合に、エンジンを始動する際の駆動力変動をモータジェネレータによって適切に抑制できるようにする。
【解決手段】エンジン12を始動する際に、予め駆動系制動トルクの分担量上限値が制限され、それに伴ってモータジェネレータMGによる制動トルクの分担が低減される一方、その制動トルクの低下を補完するように油圧ブレーキ62による制動トルクの分担が大きくされる。このため、制動トルク制御とエンジン12の始動制御とが重なった場合でも、要求制動トルクに応じた制動トルクを発生させつつモータジェネレータMGによる制動トルクに余裕を残すことができ、そのモータジェネレータMGによる制動トルクの制御でエンジン12の初爆トルクを適切に吸収して駆動力変動を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド車両の駆動制御装置に係り、特に、エンジンを始動する際の駆動力変動をモータジェネレータによって抑制する駆動制御装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 発電機として機能して回生による制動トルクを発生させることができるとともに、電動モータとして機能して力行トルクを発生させることができるモータジェネレータと、(b) 動力伝達経路に接続されてクランキングされることにより始動させられるエンジンと、を有し、(c) 前記エンジンを始動する際の駆動力変動を前記モータジェネレータによって抑制するハイブリッド車両の駆動制御装置が知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、モータジェネレータを回生制御して走行するコースト走行時にエンジン始動要求があった場合に、そのエンジンをクランキングする際の負トルクや自立回転し始める時の初爆トルク等による駆動力変動を、モータジェネレータのトルク制御で抑制するようになっている。なお、駆動力変動の抑制は、駆動力変動を低減するためのもので、駆動力変動を吸収したり補償したりすることと同義である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−35188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1では、運転者のブレーキ操作等による要求制動トルクを、前記モータジェネレータの回生による制動トルク(以下、回生トルクともいう)と、車輪に設けられた機械式ブレーキによる制動トルクとの両方で分担することが行われている。しかし、そのような制動時にエンジン始動要求があると、エンジンの初爆トルクの吸収はモータジェネレータの回生トルクを大きくする側であるため、既に要求制動トルクに応じてモータジェネレータが大きな制動トルクを発生する回生状態にあると、エンジンの初爆トルクを吸収するだけの余裕がない場合がある。これに対し、機械式ブレーキによる制動トルクで吸収することが考えられるが、機械式ブレーキの制動トルク制御はモータジェネレータに比較して応答性が悪いため、初爆トルクを適切に吸収することは難しい。
【0005】
図6は、図1に示すハイブリッド車両10において、アクセル操作量Acc=0のコースト走行時にブレーキペダル47が踏込み操作され、モータジェネレータMGの回生による制動トルク(MGトルク;駆動系トルクの欄の実線)が最大値tmgmxに達している時にエンジン始動要求があり、K0クラッチ34を接続してエンジン12をクランキングして始動する際のタイムチャートの一例である。時間t1はアクセル操作量Acc=0になった時間で、バッテリー44の充電等のためにモータジェネレータMGはコースト回生トルクtcoastで回生制御される。時間t2はブレーキペダル47の踏込み操作開始時間で、時間t3は所望のブレーキ踏力Brkに達した時間であり、この例ではモータジェネレータMGが最大回生トルクtmgmxに達して、不足分が油圧ブレーキ(機械式ブレーキ)62による制動トルク(油圧ブレーキ分担分;制動トルクの欄の破線)で補完されるようになっている。合算制動トルク(制動トルクの欄の一点鎖線)は要求制動トルクに対応し、エンジン12およびモータジェネレータMGによる駆動系分担分(制動トルクの欄の実線)と油圧ブレーキ62による油圧ブレーキ分担分とを加算した制動トルクであるが、この中にはコースト回生トルクtcoastによる制動トルクも含まれる。
【0006】
上記K0クラッチ34は油圧式摩擦係合装置で、時間t4で係合開始し、時間t5で完全係合させられる。このK0クラッチの伝達トルク(K0伝達トルク;駆動系トルクの欄の破線)は、時間t5で完全係合させられるまではK0クラッチ34の係合トルクで、完全係合させられた後はエンジントルクである。時間t4〜t5間は、エンジン12をクランキングする際の回転抵抗(フリクショントルクやポンピングロスなど)で負トルクとなり、モータジェネレータMGは、その負トルク分だけ回生による制動トルクが低減される。時間t5以降は、エンジン12が自力回転するようになり、時間t6で初爆トルクが最大になった後、徐々に低下してアイドルトルクtidleになる。その場合に、K0伝達トルクは、エンジントルクの変化に応じて正トルク側へ変化するが、K0クラッチ34の完全係合に伴って不連続に変化する。これに対し、モータジェネレータMGが最大回生トルクtmgmxに達した後は、油圧ブレーキ62による制動トルク(油圧ブレーキ分担分)を増大させて補完するが、油圧ブレーキ62による制動トルクをK0伝達トルクの変化に対応して高い精度で変化させることは難しい。エンジン12を始動する際の駆動力変動を抑制する際には、例えば予め定められた変化パターンに従ってフィードフォワード的に制動トルクを制御するが、K0伝達トルクの不連続な変化に同期して油圧ブレーキ62による制動トルクを不連続に変化させることは技術的に困難である。
【0007】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、要求制動トルクをモータジェネレータによる制動トルクおよび機械式ブレーキによる制動トルクの両方で分担する場合に、エンジンを始動する際の駆動力変動をモータジェネレータによって適切に抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 発電機として機能して回生による制動トルクを発生させることができるとともに、電動モータとして機能して力行トルクを発生させることができるモータジェネレータと、(b) 動力伝達経路に接続されてクランキングされることにより始動させられるエンジンと、を有し、(c) 前記エンジンを始動する際の駆動力変動を前記モータジェネレータによって抑制するハイブリッド車両の駆動制御装置において、(d) 車輪に設けられた機械式ブレーキの制動トルクを電気的に制御するブレーキ制御装置と、(e) 要求制動トルクを前記モータジェネレータの回生による制動トルクおよび前記機械式ブレーキによる制動トルクの両方で分担する制動制御手段と、(f) 前記エンジンを始動する際に、前記制動制御手段による制動トルク分担に関して、予め前記モータジェネレータの回生による制動トルクの分担を制限するとともに前記機械式ブレーキによる制動トルクの分担を大きくする制動トルク分担変更手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようなハイブリッド車両の駆動制御装置においては、制動制御手段によって要求制動トルクがモータジェネレータの回生による制動トルクと機械式ブレーキによる制動トルクとの両方で分担するように制御されるが、エンジンを始動する際には、制動トルク分担変更手段により、上記制動制御手段による制動トルク分担に関して、予めモータジェネレータの回生による制動トルクの分担が制限されるとともに機械式ブレーキによる制動トルクの分担が大きくされる。このため、制動トルク制御とエンジンの始動制御とが重なった場合でも、要求制動トルクに応じた制動トルクを発生させつつモータジェネレータの回生による制動トルクに余裕を残すことができ、そのモータジェネレータの回生による制動トルクの制御でエンジンの初爆トルクを適切に吸収して駆動力変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が好適に適用されるハイブリッド車両の骨子図に、制御系統の要部を併せて示した概略構成図である。
【図2】図1の油圧制御装置が備えているK0クラッチに関する油圧回路のブロック線図である。
【図3】図1の電子制御装置が機能的に備えている制動制御手段の作動を具体的に説明するフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートに従って車両制動時にエンジン始動制御が行われた場合の各部のトルク変化等を示すタイムチャートの一例である。
【図5】フューエルカット状態でのエンジン始動要求があった場合に、図3のフローチャートに従ってエンジン始動制御が行われた場合の各部のトルク変化等を示すタイムチャートの一例である。
【図6】車両制動時にエンジン始動制御が行われた場合に、エンジン始動時の駆動力変動を油圧ブレーキによって抑制する場合の各部のトルク変化等を示すタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
エンジンは燃料の燃焼によって動力を発生するもので、例えば油圧式摩擦係合装置等の断接装置を介して動力伝達経路に接続されることによりクランキングされ、燃料供給や点火等の始動制御が行われることで始動させられる。油圧式摩擦係合装置は、油圧シリンダによって摩擦係合させられる単板式或いは多板式の摩擦クラッチや摩擦ブレーキで、湿式や乾式、或いは油浴式で用いられる。エンジンは、モータジェネレータが配設された動力伝達経路に接続されて、共通の駆動輪を回転駆動するように構成され、例えば断接装置によってモータジェネレータに直結されるように配設されるが、モータジェネレータが配設された動力伝達経路(例えば後輪駆動側)とは異なる動力伝達経路(例えば前輪駆動側)に配設されても良い。
【0012】
車輪に設けられる機械式ブレーキとしては、例えば油圧シリンダによって摩擦力で制動トルクを発生する油圧ブレーキが広く用いられており、電磁式の油圧制御弁等を有するブレーキ制御装置によって制動トルクが制御される。制動制御手段は、例えばモータジェネレータの回生による制動トルクが最大値に達したら、不足分を機械式ブレーキによる制動トルクで補完するように構成されるが、モータジェネレータの回生による制動トルクと機械式ブレーキによる制動トルクとを例えば50%ずつ等の所定の割合で分担させても良いなど、種々の態様が可能である。要求制動トルクは、例えば運転者のブレーキ操作によって要求される制動トルクであるが、自動的に車両を制動する場合の要求制動トルクであっても良い。その要求制動トルクを所定の割合で前後輪に分配する場合に、モータジェネレータの回生による制動トルクが前後輪の何れか一方だけに作用する場合、その一方の車輪側に対する要求制動トルクのみを対象として分担量を制御すれば良い。
【0013】
モータジェネレータの回生による制動トルク(回生トルク)の分担を制限する制動トルク分担変更手段は、例えばエンジン初爆トルクの推定値に基づいて、モータジェネレータの最大回生トルクからその推定値分を差し引いた制動トルクを上限として制限するなど、推定値分以上の制動トルクが残るように制限することが望ましいが、少なくともモータジェネレータの制動トルク分担が通常よりも少なくされれば良い。初爆トルクの推定値は、予め余裕を持って一定値が定められても良いが、吸気温度やエンジン水温、点火遅角量、回転速度等の始動条件をパラメータとして設定されても良い。機械式ブレーキによる制動トルクは、モータジェネレータによる制動トルクが制限された場合に、その減少分だけ分担を大きくすれば良い。
【0014】
前記制動制御手段による制動制御の実行中にエンジン始動要求があった場合、制動トルク分担変更手段は、モータジェネレータによる制動トルク分担の制限に応じてモータジェネレータによる制動トルクを漸減するとともに、機械式ブレーキによる制動トルクを漸増することが望ましい。その場合に、それ等の漸減、漸増処理が終了するまでエンジンのクランキング等の始動処理を遅延するエンジン始動遅延手段を設けることが望ましい。また、エンジンの始動後にモータジェネレータによる制動トルク分担の制限を解除する際には、その制動トルクを漸増するとともに、機械式ブレーキによる制動トルクを漸減することが望ましい。
【0015】
フューエルカット状態でのエンジン始動(モータリング)の場合は、エンジンをクランキングしても燃料供給や点火は行われず、初爆トルクが発生しないため、制動トルク分担変更手段による分担量の変更処理を行う必要はなく、モータジェネレータの回生による制動トルクを確保し、通常通りの回生により電気エネルギーを回収することが燃費上有利である。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両10の駆動系統の骨子図を含む概略構成図である。このハイブリッド車両10は、燃料の燃焼で動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン12と、電動モータおよび発電機として機能するモータジェネレータMGとを駆動力源として備えている。そして、それ等のエンジン12およびモータジェネレータMGの出力は、流体式伝動装置であるトルクコンバータ14からタービン軸16、C1クラッチ18を経て変速機20に伝達され、更に出力軸22、差動歯車装置24を介して左右の駆動輪26に伝達される。トルクコンバータ14は、ポンプ翼車とタービン翼車とを直結するロックアップクラッチ30を備えているとともに、ポンプ翼車にはオイルポンプ32が一体的に接続されており、エンジン12やモータジェネレータMGによって機械的に回転駆動されるようになっている。変速機20は、油圧によって変速される有段式或いは無段式の自動変速機で、油圧制御装置28に設けられた電磁式の油圧制御弁や切換弁等によって変速制御が行われる。C1クラッチ18は変速機20の入力クラッチとして機能するもので、同じく油圧制御装置28によって係合解放制御される。
【0017】
上記エンジン12とモータジェネレータMGとの間には、ダンパ38を介してそれ等を直結するK0クラッチ34が設けられている。このK0クラッチ34は、油圧シリンダ36(図2参照)によって摩擦係合させられる単板式或いは多板式の摩擦クラッチで、コストや耐久性等の観点からトルクコンバータ14の油室40内に油浴状態で配設されている。K0クラッチ34は油圧式摩擦係合装置で、エンジン12を動力伝達経路に接続したり遮断したりする断接装置として機能する。モータジェネレータMGは、インバータ42を介してバッテリー44に接続されている。
【0018】
前記油圧制御装置28は、上記K0クラッチ34の制御に関して図2の油圧回路50を備えており、前記オイルポンプ32等を有する油圧供給源52から出力された油圧が電磁式の油圧制御弁54によって調圧されることにより、油圧シリンダ36に供給されるK0クラッチ油圧PK0が制御され、このK0クラッチ油圧PK0に応じてK0クラッチ34の係合トルクが制御される。油圧シリンダ36にはK0油圧センサ56が接続されており、K0クラッチ油圧PK0が検出されるようになっている。このK0クラッチ油圧PK0の検出値は電子制御装置70に供給されるとともに、上記油圧制御弁54は、電子制御装置70から出力されるK0クラッチ油圧PK0の油圧指令値に従って制御される。
【0019】
また、前記駆動輪26および図示しない従動輪には、それぞれ油圧シリンダによって機械的に制動トルクを発生させる油圧ブレーキ62が設けられており、油圧ブレーキ制御装置60によってその制動トルクが制御されるようになっている。油圧ブレーキ制御装置60は電磁式の油圧制御弁や切換弁等を備えており、電子制御装置70から出力されるブレーキ制御信号に従って油圧ブレーキ62の制動トルクを電気的に制御する。油圧ブレーキ62は機械式ブレーキに相当する。
【0020】
電子制御装置70は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどを有する所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。この電子制御装置70には、前記K0油圧センサ56からK0クラッチ油圧PK0を表す信号が供給される他、アクセルセンサ46からアクセルペダル45の操作量(アクセル操作量)Accを表す信号が供給されるとともに、ブレーキセンサ48からブレーキペダル47の踏力(ブレーキ踏力)Brkを表す信号が供給される。この他、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)やモータジェネレータMGの回転速度(MG回転速度)、タービン軸16の回転速度(タービン回転速度)、出力軸22の回転速度(車速に対応)等、各種の制御に必要な種々の情報が供給されるようになっている。
【0021】
上記電子制御装置70は、機能的にハイブリッド制御手段72、変速制御手段74、エンジン始動制御手段76、駆動力変動抑制手段78、および制動制御手段80を備えている。ハイブリッド制御手段72は、エンジン12およびモータジェネレータMGの作動を制御することにより、例えばエンジン12のみを駆動力源として走行するエンジン走行モードや、モータジェネレータMGのみを駆動力源として走行するモータ走行モード、それ等の両方を用いて走行するエンジン+モータ走行モード、車両減速時等にモータジェネレータMGを回生制御(発電制御ともいう)してバッテリー44を充電する充電走行モード等の予め定められた複数の走行モードを、アクセル操作量(運転者の要求駆動力)Accや車速等の運転状態に応じて切り換えて走行する。図4のタイムチャートの初期状態はモータ走行モードで、アクセル操作量Accに応じてモータジェネレータMGが力行制御されているが、時間t1でアクセル操作量Acc=0になると、モータジェネレータMGが所定のコースト回生トルクtcoastで回生制御される充電走行モードへ移行する。
【0022】
変速制御手段74は、油圧制御装置28に設けられた電磁式の油圧制御弁や切換弁等を制御することにより、変速機20の変速比やギヤ段を、アクセル操作量Accや車速等の運転状態をパラメータとして予め定められた変速マップに従って制御する。
【0023】
エンジン始動制御手段76は、例えばモータ走行モードからエンジン走行モード或いはエンジン+モータ走行モード等へ切り換える際に、前記ハイブリッド制御手段72からエンジン始動要求が供給された場合に、前記K0クラッチ34を係合させてエンジン12をクランキングするとともに、燃料供給や点火等の始動処理を行ってエンジン12を始動する。このエンジン12の始動時には、K0クラッチ34を係合させてエンジン12をクランキングする際の負トルクや、エンジン12が自立回転し始める時の初爆トルク等により駆動力変動を生じるため、駆動力変動抑制手段78によってそのトルク変化を吸収して駆動力変動を抑制する。すなわち、エンジン始動時のトルク変動に応じて予め定められた変化パターンに従ってモータジェネレータMGのトルク(MGトルク)を変化させることにより、エンジン12の始動時のトルク変動を吸収(補償)して駆動力変動を防止するようになっている。駆動力変動を抑制するためのMGトルクの変化パターンは、例えば吸気温度やエンジン水温、油温、点火遅角量、MG回転速度等の始動条件をパラメータとして定められる。
【0024】
図4は、ブレーキペダル47が踏込み操作された制動時にエンジン始動要求に従ってエンジン12を始動する際の各部のトルク変化等を示すタイムチャートの一例であり、時間t6は、エンジン12をクランキングするために係合制御されるK0クラッチ34が係合トルクを持ち始めた時間で、駆動系トルクの欄に破線で示すK0伝達トルクは、エンジン12の回転抵抗(フリクショントルクやポンピングロスなど)で負トルクとなる。駆動系トルクの欄に実線で示すMGトルクは、この負トルクによる駆動力変動を抑制するために、負トルクに対応して予め定められた変化パターンに従ってトルク変化させられる。この時のK0伝達トルクはK0クラッチ34の係合トルクに対応し、MGトルクの変化パターンはK0クラッチ34の係合トルク変化に基づいて定められる。図4では、モータジェネレータMGは、所定の要求制動トルクを発生するように回生制御されており、K0伝達トルクの負側への変化に対応して回生トルクが小さくされることにより、K0伝達トルクの変化に拘らず駆動系合算トルク(駆動系トルクの欄の一点鎖線)や合算制動トルク(制動トルクの欄の一点鎖線)が略一定に維持されて駆動力変動が防止される。
【0025】
時間t7は、K0クラッチ34が完全係合させられた時間で、この時間t7以降はエンジントルクがK0伝達トルクとなる。図4では、エンジン12の自力回転に基づいて時間t7でK0伝達トルクが不連続に正トルク側へ変化し、時間t8で初爆トルクが最大になる。エンジン12の始動直後は、エンジン12内の空気量、始動時の燃料増量などによりトルクのオーバーシュート(初爆トルク)が発生し、その後、徐々に低下してアイドルトルクtidleで安定する。上記時間t7以降においても、MGトルクはK0伝達トルクの変化に対応して予め定められた変化パターンに従って変化するようにフィードフォワード的に制御され、エンジン12の初爆トルク等によるトルク変動に拘らず駆動系合算トルクや合算制動トルクが略一定に維持されて駆動力変動が防止される。時間t7でK0伝達トルクが不連続に正トルク側へ変化させられ、それに対応してMGトルクは負側すなわち回生トルクの増大側へ不連続に変化させられるが、モータジェネレータMGのトルク制御の応答性は高いため、K0伝達トルクの変化を適切に吸収できる。
【0026】
制動制御手段80は、ブレーキペダル47の踏込み操作による要求制動トルクに応じて、その要求制動トルクが得られるようにモータジェネレータMGおよび油圧ブレーキ制御装置60を制御する。すなわち、ブレーキ踏力Brkに応じて求められる全体の要求制動トルクを駆動輪26側および図示しない従動輪側に分配し、その駆動輪26側に対する要求制動トルクをモータジェネレータMGの回生による制動トルクと油圧ブレーキ62による制動トルクとの両方で分担するようにそれ等の分担量を制御するのであり、本実施例では、モータジェネレータMGによる制動トルクが最大値に達するまではモータジェネレータMGによる制動トルクのみで制動し、モータジェネレータMGによる制動トルクだけでは要求制動トルクに達しない場合に、その不足分を油圧ブレーキ62による制動トルクで補完する。なお、モータジェネレータMGによる制動トルクが得られない従動輪側の制動トルクについては、油圧ブレーキ62によって所定の制動トルクが得られるように制御される。
【0027】
図4の時間t2は、ブレーキペダル47の踏込み操作が開始された時間で、そのブレーキ踏力Brkに応じて所定の制動トルクが得られるようにモータジェネレータMGのMGトルクが回生側へ増加させられ、そのMGトルクの変化に対応して制動トルク(合算制動トルク;制動トルクの欄の一点鎖線)が増大させられる。時間t3は所望のブレーキ踏力Brkに達した時間であるが、その前にMGトルクは最大回生トルクtmgmxに達して、不足分が油圧ブレーキ62による制動トルク(油圧ブレーキ分担分;制動トルクの欄の破線)で補完される。合算制動トルクは要求制動トルクに対応し、エンジン12およびモータジェネレータMGによる駆動系分担分(制動トルクの欄の実線)と油圧ブレーキ62による油圧ブレーキ分担分(制動トルクの欄の破線)とを加算した制動トルクであるが、この中にはコースト回生トルクtcoastによる制動トルクが含まれる。制動トルクの欄の駆動系分担分は、駆動系トルクの欄の駆動系合算トルクに対応する。
【0028】
上記制動制御手段80はまた、前記エンジン始動制御手段76によるエンジン始動時の駆動力変動を駆動力変動抑制手段78によるモータジェネレータMGのトルク制御で適切に抑制することができるように、要求制動トルクに対するモータジェネレータMGの回生による制動トルクの分担量をエンジン始動時に制限するようになっている。すなわち、この制動制御手段80は、機能的にエンジン始動遅延手段82、制動トルク分担変更手段84、エンジン始動遅延解除手段86、および制動トルク分担変更解除手段88を備えており、図3のフローチャートに従って信号処理を行う。図3のフローチャートのステップS3はエンジン始動遅延手段82に相当し、ステップS4〜S7は制動トルク分担変更手段84に相当し、ステップS8はエンジン始動遅延解除手段86に相当し、ステップS9〜S13は制動トルク分担変更解除手段88に相当する。
【0029】
図3のステップS1では、前記ハイブリッド制御手段72からエンジン始動要求が出力されたか否かを判断し、エンジン始動要求が出力された場合にはステップS2以下を実行する。図4の時間t4はエンジン始動要求が出力された時間で、このようなブレーキONで回生制御中の減速走行時のエンジン始動要求は、例えばバッテリー44の蓄電残量SOCの低下時やモータジェネレータMGの力行トルク制限時等に行われる。ステップS2では、フューエルカット(F/C)状態でのエンジン始動要求(モータリング要求)か否かを判断し、フューエルカット状態でのエンジン始動要求の場合はステップS14以下を実行するが、点火して自力回転させる通常のエンジン始動要求の場合はステップS3以下を実行する。
【0030】
ステップS3では、前記エンジン始動制御手段76に対してエンジン始動処理の実施を遅延する遅延要求を出力し、ステップS4では駆動系制動トルクの分担量上限値を漸減する。この駆動系制動トルクの分担量上限値の初期値は、モータジェネレータMGの回生制御で可能な最大回生トルクtmgmxで、そこから予め定められた変化量だけ減少させる。ステップS5では、実際の駆動系制動トルク(図4の制動トルクの欄の駆動系分担分で、駆動系トルクの欄の駆動系合算トルク)がその分担量上限値を超えないように、必要に応じてモータジェネレータMGのMGトルク(回生トルク)を漸減する。図4では、時間t4の時点で駆動系分担分が最大回生トルクtmgmxであるため、ステップS4における駆動系制動トルクの分担量上限値の漸減に伴ってMGトルクが漸減させられる。また、ステップS6では、そのMGトルクの漸減による制動トルク不足を補完するように油圧ブレーキ62による制動トルク(油圧ブレーキ分担分)を漸増する。
【0031】
次のステップS7では、駆動系制動トルクの分担量上限値の制限が完了したか否か、すなわちその分担量上限値が所定の分担量制限値tdcmxまで低減されたか否かを判断する。この分担量制限値tdcmxは、エンジン始動時の駆動力変動をモータジェネレータMGのトルク制御で適切に抑制することができるMGトルクを確保するためのもので、次式(1) に示すように最大回生トルクtmgmxからエンジン12の初爆トルク推定値teffを引き算することによって算出される。初爆トルク推定値teffは、例えば吸気温度やエンジン水温、点火遅角量、MG回転速度等の始動条件をパラメータとして予め定められたマップや演算式から求められる。そして、駆動系制動トルクの分担量上限値が分担量制限値tdcmx以下になるまでステップS4以下が繰り返されることにより、その分担量上限値が漸減され、その分担量上限値を超えないように必要に応じてMGトルクが漸減されるとともに、油圧ブレーキ62による制動トルクが漸増される。図4の時間t5は、駆動系制動トルクの分担量上限値が分担量制限値tdcmx以下になった時間である。
tdcmx=tmgmx−teff ・・・(1)
【0032】
駆動系制動トルクの分担量上限値が分担量制限値tdcmx以下になると、ステップS7の判断がYES(肯定)になり、続いてステップS8を実行する。ステップS8では、エンジン始動処理の遅延を解除し、前記エンジン始動制御手段76に対してエンジン始動処理の実施を許可する。これにより、エンジン始動制御手段76はK0クラッチ34を係合させてエンジン12をクランキングするなどしてエンジン12の始動処理を行うとともに、駆動力変動抑制手段78によってエンジン始動時の駆動力変動がモータジェネレータMGのトルク制御で抑制される。その場合に、エンジン12が自力回転するようになると、比較的大きな初爆トルクが発生し、この初爆トルクによる駆動力変動を抑制するためにはMGトルクを回生側へ増大させる必要があるが、MGトルクは予め最大回生トルクtmgmxから初爆トルク推定値teff分だけ差し引いた分担量制限値tdcmx以下に制限されているため、図4の時間t6〜t9に示すように、MGトルクの制御で初爆トルク等による駆動力変動が適切に防止される。すなわち、エンジン12の初爆トルク等によるK0伝達トルクの増減変化に対してMGトルクが略対称的に増減させられることにより、そのK0伝達トルクの変化がMGトルクによって吸収(相殺)され、駆動系合算トルクや合算制動トルクが略一定に維持されて駆動力変動が防止されるのである。
【0033】
ステップS9ではエンジン始動制御が完了したか否かを、例えばエンジン回転速度等によって判断し、エンジン始動制御が完了したらステップS10以下を実行する。ステップS10〜S13では、前記ステップS4〜S7と逆の処理を実行し、分担量制限値tdcmxによる駆動系制動トルクの分担量の制限を解除して、その分担量上限値を漸増する。また、その分担量上限値を超えないように制限されていたMGトルクを、分担量上限値の漸増に伴って必要に応じて漸増するとともに、そのMGトルクの漸増に対応して油圧ブレーキ62による制動トルクを漸減する。そして、駆動系制動トルクの分担量上限値が初期値である最大回生トルクtmgmxに達したら、制限解除が完了したと判断して一連の信号処理を終了する。図4の時間t9は、ステップS10以下の駆動系制動トルクの分担量の制限解除処理が開始された時間で、時間t10はその制限解除処理が終了した時間である。この時間t10では、駆動系制動トルクの分担量上限値が最大回生トルクtmgmxで、MGトルクは最大回生トルクtmgmxとなるが、エンジン12が自力回転してアイドルトルクtidleを発生しているため、駆動系制動トルク(駆動系トルクの欄の駆動系合算トルク、制動トルクの欄の駆動系分担分)は、最大回生トルクtmgmxからアイドルトルクtidleを差し引いた大きさとなり、その分だけ油圧ブレーキ分担分がエンジン始動前よりも大きくなる。
【0034】
一方、前記ステップS2の判断がYES(肯定)の場合、すなわちフューエルカット(F/C)状態でのエンジン始動要求(モータリング要求)の場合には、燃料供給や点火は行われず、初爆トルクが発生しないため、その初爆トルクに応じて駆動系制動トルクの分担量を制限する必要はなく、モータジェネレータMGによる制動トルクを確保し、通常通りの回生により電気エネルギーを回収することが燃費上有利である。したがって、ステップS14では、エンジン始動要求があった時の実際の駆動系制動トルクを駆動系制動トルクの分担量の上限値として設定し、前記エンジン始動制御手段76および駆動力変動抑制手段78によりエンジン始動制御等が実行されている間、この上限値を超えないように駆動系制動トルクの分担量を制限する。図5は、フューエルカット状態でのエンジン始動時のタイムチャートで、前記図4に対応する図であり、時間t1〜t10はそれぞれ図4の時間t1〜t10に対応する。但し、時間t4は、上記エンジン始動要求があった時間で、ここではこの時の実際の駆動系制動トルク(図では最大回生トルクtmgmx)が駆動系制動トルクの分担量の上限値として設定される。なお、図4において駆動系制動トルクの分担量上限値が分担量制限値tdcmxまで漸減された時間t5は、この図5では存在しない。
【0035】
ステップS15では、エンジン始動制御が完了したか否かを、例えばエンジン回転速度等によって判断し、エンジン始動制御が完了したらステップS16以下を実行する。図5の時間t9は、エンジン始動制御の完了判断が為された時間である。ここで、前記エンジン始動制御手段76および駆動力変動抑制手段78は、エンジン始動要求に伴って直ちにエンジン始動制御等を開始するが、エンジン12が自力回転することはなく、K0クラッチ34の係合によって回転させられるため、エンジン始動後もフリクショントルクやポンピングロス等による回転抵抗トルクtfriが駆動系に作用する。駆動力変動抑制手段78は、この回転抵抗トルクtfriによる駆動力変動についても抑制するようにMGトルクを制御するようになっており、その回転抵抗トルクtfri等に対応するK0伝達トルクの増減変化に対してMGトルクが略対称的に増減させられることにより、そのK0伝達トルクの変化がMGトルクによって吸収(相殺)され、駆動系合算トルクや合算制動トルクが略一定に維持されて駆動力変動が防止される。
【0036】
ステップS16では、駆動系制動トルクの分担量上限値の制限を解除し、徐々に増大するように予め定められた所定量ずつ増大させる。すなわち、このフューエルカット状態でのエンジン始動時には、エンジン12の回転抵抗トルクtfriを吸収(相殺)するようにMGトルク(回生トルク)が低減されるため、その回転抵抗トルクtfri分だけMGトルクを増大させることが可能で、エネルギー回収効率を高めることができる。ステップS17では、上記駆動系制動トルクの分担量上限値の漸増に伴ってMGトルクを漸増し、ステップS18では、そのMGトルクの漸増による制動トルクの増加を吸収(相殺)するように油圧ブレーキ62による制動トルク(油圧ブレーキ分担分)を漸減する。また、ステップS19では、駆動系制動トルクの分担量上限値の制限解除が完了したか否かを判断する。この判断は、MGトルクが最大回生トルクtmgmxに達したか否かで判断し、MGトルクが最大回生トルクtmgmxに達するまでステップS16以下を繰り返すことにより、駆動系制動トルクの分担量上限値が漸増されるとともに、その分担量上限値の漸増に伴ってMGトルクが漸増され、MGトルクの漸増を吸収(相殺)するように油圧ブレーキ62による制動トルクが漸減される。そして、MGトルクが最大回生トルクtmgmxに達したら、ステップS19の判断がYESとなり、一連の信号処理を終了する。図5の時間t9は、ステップS16以下の駆動系制動トルクの分担量の制限解除処理が開始された時間で、時間t10はその制限解除処理が終了した時間である。この時間t10では、駆動系制動トルクの分担量上限値、すなわち駆動系トルクの欄の駆動系合算トルクが、最大回生トルクtmgmxにエンジン12の回転抵抗トルクtfriを加算した大きさとなり、その分だけ油圧ブレーキ分担分がエンジン始動前よりも低減される。
【0037】
このように、本実施例のハイブリッド車両10においては、制動制御手段80によって要求制動トルクがモータジェネレータMGの回生による制動トルクと油圧ブレーキ62による制動トルクとの両方で分担するように制御されるが、エンジン12を始動する際には、制動トルク分担変更手段84により予め駆動系制動トルクの分担量が分担量制限値tdcmxによって制限され、それに伴ってモータジェネレータMGの回生による制動トルクの分担が低減される一方、その制動トルクの低下を補完するように油圧ブレーキ62による制動トルクの分担が大きくされる。このため、制動トルク制御とエンジン12の始動制御とが重なった場合でも、要求制動トルクに応じた制動トルクを発生させつつモータジェネレータMGの回生による制動トルクに余裕を残すことができ、そのモータジェネレータMGのトルク制御でエンジン12の初爆トルクを適切に吸収して駆動力変動を抑制することができる。
【0038】
エンジン始動時にK0クラッチ34を係合する際には、そのK0クラッチ34の完全係合時(図4の時間t7)にK0伝達トルクは不連続に変化するが、モータジェネレータMGのトルク制御の応答性は高いため、油圧ブレーキ62の制動トルク制御でトルク変動を吸収する場合に比較して、K0伝達トルクの変化を適切に吸収して駆動力変動を抑制することができる。
【0039】
また、上記分担量制限値tdcmxは、モータジェネレータMGの最大回生トルクtmgmxから初爆トルク推定値teffを引き算して求められるため、モータジェネレータMGには、車両制動時においてもその初爆トルク推定値teff分の制動トルクが残り、エンジン始動時の駆動力変動をモータジェネレータMGのトルク制御によって適切に抑制することができる。
【0040】
また、図4に示すように車両制動中にエンジン始動要求があった場合、そのエンジン始動制御に先立ってモータジェネレータMGの回生による制動トルクが漸減されるとともに油圧ブレーキ62による制動トルクが漸増される一方、エンジン始動完了後には、モータジェネレータMGの回生による制動トルクが漸増されるとともに油圧ブレーキ62による制動トルクが漸減されるため、その制動トルクを切り換える際のショックが抑制される。
【0041】
また、エンジン始動要求があっても、モータジェネレータMGの回生による制動トルクの漸減および油圧ブレーキ62による制動トルクの漸増による制限処理が完了するまでエンジン始動制御が遅延されるため、漸減、漸増による制限処理に時間が掛かる場合でも、確実にモータジェネレータMGの回生による制動トルクに余裕を持たせた状態でエンジン始動制御が行われるようになり、そのモータジェネレータMGのトルク制御でエンジン始動時の駆動力変動を常に適切に抑制することができる。
【0042】
また、フューエルカット状態でのエンジン始動要求(モータリング要求)時にはステップS14以下が実行され、エンジン12の初爆トルクに応じて駆動系制動トルクの分担量を制限するステップS4〜S7を実施することなくエンジン始動制御が行われるため、モータジェネレータMGの回生による制動トルクを維持して電気エネルギーを効率良く回収でき、燃費上有利である。
【0043】
また、フューエルカット状態でのエンジン始動要求(モータリング要求)時には、エンジン始動後もエンジン12の回転抵抗トルクtfriが作用するが、その回転抵抗トルクtfri分だけ駆動系制動トルクの分担量上限値が増大され、それに伴ってモータジェネレータMGの回生による制動トルクが増大されるため、エネルギー回収効率が一層高められる。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10:ハイブリッド車両 12:エンジン 60:油圧ブレーキ制御装置(ブレーキ制御装置) 62:油圧ブレーキ(機械式ブレーキ) 70:電子制御装置 80:制動制御手段 84:制動トルク分担変更手段 MG:モータジェネレータ tmgmx:最大回生トルク tdcmx:駆動系制動トルクの分担量制限値 teff:エンジン初爆トルク推定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機として機能して回生による制動トルクを発生させることができるとともに、電動モータとして機能して力行トルクを発生させることができるモータジェネレータと、
動力伝達経路に接続されてクランキングされることにより始動させられるエンジンと、
を有し、前記エンジンを始動する際の駆動力変動を前記モータジェネレータによって抑制するハイブリッド車両の駆動制御装置において、
車輪に設けられた機械式ブレーキの制動トルクを電気的に制御するブレーキ制御装置と、
要求制動トルクを前記モータジェネレータの回生による制動トルクおよび前記機械式ブレーキによる制動トルクの両方で分担する制動制御手段と、
前記エンジンを始動する際に、前記制動制御手段による制動トルク分担に関して、予め前記モータジェネレータの回生による制動トルクの分担を制限するとともに前記機械式ブレーキによる制動トルクの分担を大きくする制動トルク分担変更手段と、
を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171521(P2012−171521A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36665(P2011−36665)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】