説明

ハイブリッド車両

【課題】モータ及びジェネレータを冷却する冷媒を圧送するポンプにおいて消費されるエネルギーを節約することができるハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両1において、ハイブリッド車両1を駆動するフロントモータ2と、発電を行うジェネレータ4と、前記ジェネレータ4を駆動させるエンジン5と、前記フロントモータ2及び前記ジェネレータ4を冷却するオイルを圧送するオイルポンプ21と、前記ジェネレータ4への前記オイルの供給量を制御する電磁弁54と、前記ジェネレータ4の状態に基づき前記電磁弁54を制御する電磁弁開度演算部61とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンと車両を駆動するモータ及び発電を行うジェネレータとが搭載されるハイブリッド車両が普及してきている(例えば、下記特許文献1参照)。このようなハイブリッド車両の走行時には、モータ及びジェネレータが発熱して高温となるが、モータ及びジェネレータは耐熱温度に限界があるため、一般にオイルや水等の冷媒をポンプにより冷媒配管を循環させて冷却する冷却装置により、モータ及びジェネレータを冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2004−332744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、ハイブリッド車両においては、冷却装置によりモータ及びジェネレータの耐熱限界を超えないように冷却されている。このため、ポンプを作動させるための電力を消費することとなるが、走行中に常に作動している訳ではないジェネレータについても常に冷却することとなると、ポンプを作動させるための電力を多く消費することとなるという問題がある。
【0005】
以上のことから、本発明は、モータ及びジェネレータを冷却する冷媒を圧送するポンプにおいて消費されるエネルギーを節約することができるハイブリッド車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るハイブリッド車両は、車両を駆動するモータと、該モータに電力を供給するバッテリと、該バッテリの容量が所定量以下になった際にエンジンによって駆動発電した電力を前記バッテリに供給するジェネレータと、前記モータの温度を検出するモータ温度検出手段と、前記モータと前記ジェネレータとを冷却する冷却媒体を圧送する圧送手段と、前記圧送手段の圧力を前記モータの温度に基づいて調整する圧力調整手段と、前記冷却媒体を前記圧送手段から前記モータを経由させて前記圧送手段へ戻すように循環させる第1経路と、該第1経路から分岐して前記モータをバイパスすると共に途中に前記ジェネレータが設けられる第2経路と、該第2経路に設けられると共に前記ジェネレータの状態に基づいて前記ジェネレータに流入される前記冷却媒体の流量を調整する制御弁と、前記制御弁の開度を調整する開度調整手段と、を備えるハイブリッド車において、前記圧力調整手段は、前記制御弁の開度の増減に連動する圧力増減量を加算させて前記圧力を増減させることを特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するための第2の発明に係るハイブリッド車両は、第1の発明に係るハイブリッド車両において、前記ジェネレータの温度を検出する温度検出手段と、前記ジェネレータの駆動トルクを検出する駆動トルク検出手段と、前記ジェネレータの回転数を検出する回転数検出手段とを更に備え、前記ジェネレータの状態は、前記ジェネレータの温度、又は、駆動トルク、又は、回転数であることを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するための第3の発明に係るハイブリッド車両は、第1又は第2の発明に係るハイブリッド車両において、前記制御弁の開度が所定度以上の際に、前記圧力調整手段は前記制御弁の開度の増減に伴って前記圧力を増減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータ及びジェネレータを冷却する冷媒を圧送するポンプにおいて消費されるエネルギーを節約することができるハイブリッド車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るハイブリッド車両の構成を示した模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るハイブリッド車両における要部の他の構成を示した模式図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
【図13】本発明の第3の実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【図14】本発明に係る第3の実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るハイブリッド車両を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明に係るハイブリッド車両の第1の実施例について説明する。
はじめに、本実施例に係るハイブリッド車両の構成について説明する。
図2は、本実施例に係るハイブリッド車両の構成を示した模式図である。
図2に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1は、ハイブリッド車両1を駆動する走行用のフロント側のフロントモータ2及びリヤ側のリヤモータ3と、電力を発電するジェネレータ4と、ジェネレータ4を駆動するエンジン5とを備えている。
【0013】
なお、本実施例においては、フロントモータ2とリヤモータ3を備えるシリーズ方式のハイブリッド車を例として説明するが、フロントモータ2のみを備えるシリーズ方式のハイブリッド車や、その他、パラレル方式のハイブリッド車両等においても適用することが可能である。
【0014】
フロントモータ2とジェネレータ4とエンジン5及びフロント駆動軸6間には、フロントモータ2の駆動力をフロント駆動軸6に伝達し、エンジン5の駆動力をジェネレータ4に伝達するフロントトランスアクスル7が設置されている。また、フロントモータ2は、フロントインバータ8と三相高電圧ハーネス9により接続されている。また、ジェネレータ4は、フロントインバータ8と三相高電圧ハーネス10により接続されている。フロントインバータ8と高圧バッテリ11は高電圧ハーネス12により接続されている。
【0015】
リヤモータ3とリヤ駆動軸13間には、リヤモータ3の駆動力をリヤ駆動軸13に伝達するリヤトランスアクスル14が設置されている。また、リヤモータ3は、リヤインバータ15と三相高電圧ハーネス16により接続されている。リヤインバータ15と高圧バッテリ11は高電圧ハーネス17により接続されている。
【0016】
また、本実施例に係るハイブリッド車両1は、オイルを冷却するオイルクーラ20(冷却手段)と、オイルを圧送するオイルポンプ21(圧送手段)と、オイルを循環させるオイル配管22〜27とにより構成されている。そして、フロントモータ2及びジェネレータ4は、オイルクーラ20及びオイルポンプ21と第1のオイル配管22〜第6のオイル配管27により接続されており、オイルにより冷却されている。ここで、第1〜第4のオイル配管22、23、24、25及び第4のオイル配管27により構成される冷却経路を第1経路とし、第5のオイル配管により構成される冷却経路を第2経路とする。
【0017】
なお、本実施例においては、フロントモータ2及びジェネレータ4を冷却する冷媒としてオイルを用い油冷とする場合を例として説明するが、冷媒に水を用い水冷とすることも可能である。
【0018】
また、本実施例に係るハイブリッド車両1は、冷却水を冷却するラジエータ30と、冷却水を圧送する冷却水ポンプ31と冷却水を循環させる冷却水配管32〜36とにより構成されている。そして、リヤモータ3、フロントインバータ8及びリヤインバータ15は、ラジエータ30及び冷却水ポンプ31と冷却水配管32〜36により接続されており、冷却水により冷却されている。
【0019】
なお、本実施例においては、リヤモータ3、フロントインバータ8及びリヤインバータ15を冷却する冷媒として水を用い水冷とする場合を例として説明するが、冷媒にオイルを用い油冷とすることも可能である。
【0020】
図1は、本実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
図1に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1においては、フロントモータ2の設置位置が、ジェネレータ4の設置位置よりも高い位置に設置されている。
【0021】
フロントモータ2は、主に、筐体2c内に同軸に設置されたロータ2aとステータ2bとにより構成されている。フロントモータ2のステータ2bにはコイルが巻かれている(図示省略)。なお、フロントモータ2のロータ2aは、フロント駆動軸6に駆動力を出力する。また、フロントモータ2のステータ2bには、フロントモータ2のコイルの温度を検出するフロントモータコイル温度計(モータ温度検出手段)53が設置されている。
【0022】
また、ジェネレータ4は、主に、筐体4c内に同軸に設置されたロータ4aとステータ4bとにより構成されている。ジェネレータ4のステータ4bにはコイルが巻かれている(図示省略)。なお、ジェネレータ4のロータ4aは、エンジン5により回転させられる。
【0023】
なお、本実施例においては、ジェネレータ4のロータ4aはエンジン5のクランク軸(図示省略)と直結されているため、エンジン5のクランク軸の回転時にはジェネレータ4のロータ4aも回転することとなる。すなわち、エンジン5の作動時とは、ジェネレータ4の作動時でもある。
【0024】
ジェネレータ4の筐体4c内部の底部には、オイルポンプ21が空気を吸い込むことを防ぐためのオイル溜り4dが形成されている。オイル溜り4dに溜まったオイルの油面4eは、ジェネレータ4のステータ4bの下端より上に位置している。
【0025】
ジェネレータ4のオイル溜り4dには、ジェネレータ4のオイル溜り4dに溜まったオイルの温度を検出するオイル温度計50が設置されている。ジェネレータ4のステータ4bには、ジェネレータ4のコイルの温度を検出するジェネレータコイル温度計51が設置されている。ジェネレータ4のロータ4aの回転軸には、ジェネレータ4のロータ4aのトルク及び回転数を検出するジェネレータ回転数計(駆動トルク検出手段、回転数検出手段)52が設置されている。
【0026】
また、ジェネレータ4の筐体4cの下部とオイルポンプ21との間には、第1のオイル配管22が設置されている。第1のオイル配管22により、ジェネレータ4のオイル溜り4dに溜まったオイルがオイルポンプ21に供給される。
オイルポンプ21とオイルクーラ20との間には、第2のオイル配管23が設置されている。第2のオイル配管23により、オイルポンプ21により圧送されたオイルがオイルクーラ20に供給される。
【0027】
オイルクーラ20とフロントモータ2の筐体2cの上部との間には、第3のオイル配管24及び第4のオイル配管25が設置されている。第3のオイル配管24及び第4のオイル配管25により、オイルクーラ20において冷却されたオイルがフロントモータ2に供給される。第4のオイル配管25から排出されたオイルは、フロントモータ2のステータ2bの上部に掛け流される。これにより、フロントモータ2のロータ2a及びステータ2bが冷却される。
【0028】
オイルクーラ20とジェネレータ4の筐体4cの上部との間には、第3のオイル配管24及び第5のオイル配管26が設置されている。第3のオイル配管24及び第5のオイル配管26により、オイルクーラ20において冷却されたオイルがジェネレータ4に供給される。第5のオイル配管26から排出されたオイルは、ジェネレータ4のステータ4bの上部に掛け流される。これにより、ジェネレータ4のロータ4a及びステータ4bが冷却される。
【0029】
フロントモータ2の筐体2cの下部とジェネレータ4の筐体4cの下部との間には、第6のオイル配管27が設置されている。第6のオイル配管27により、フロントモータ2のロータ2a及びステータ2bを冷却した後のオイルがジェネレータ4のオイル溜り4dに排出される。
【0030】
上述した第1のオイル配管22から第6のオイル配管27により、オイルポンプ21の作動時には、図1中に矢印で示すようにオイルが循環するようになっている。
そして、本実施例に係るハイブリッド車両1においては、第5のオイル配管26にオイルの流れを制御する電磁弁54(制御弁)が設置されている。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両の構成についての説明である。
【0031】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁・オイルポンプ制御装置の構成について説明する。
図3は、本実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
図3に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1における電磁弁・オイルポンプ制御装置60は、ジェネレータコイル温度T1と、ジェネレータトルクTrと、ジェネレータ回転数Nとに基づき、電磁弁開度Sを算出する電磁弁開度演算部(開度調整手段)61を備えている。
また、電磁弁・オイルポンプ制御装置60は、電磁弁開度Sと、ジェネレータコイル温度T1と、フロントモータコイル温度T2と、オイル温度TOとに基づき、オイルポンプ稼働率Dを算出するオイルポンプ稼働率演算部(圧力調整手段)62を備えている。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両におけるモータトルク制御装置の構成についての説明である。
【0032】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順について説明する。
図4は、本実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
図4に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1における電磁弁開度演算部61(開度調整手段)においては、はじめに、ステップP10において、ジェネレータ回転数Nに基づき、電磁弁開度SNを算出する。なお、本実施例においては、ステップP10に示したジェネレータ回転数Nと電磁弁開度SNの関係に従い、ジェネレータ回転数Nに基づき、電磁弁開度SNを算出する。ステップP10における処理の終了後、ステップP11を実行する。
【0033】
ステップP11において、ジェネレータトルクTrに基づき、電磁弁開度STrを算出する。なお、本実施例においては、ステップP11に示したジェネレータトルクTrと電磁弁開度STrの関係に従い、ジェネレータトルクTrに基づき、電磁弁開度STrを算出する。ステップP11における処理の終了後、ステップP12を実行する。
【0034】
ステップP12において、ジェネレータコイル温度T1に基づき、電磁弁開度S1を算出する。なお、本実施例においては、ステップP12に示したジェネレータコイル温度T1と電磁弁開度S1の関係に従い、ジェネレータコイル温度T1に基づき、電磁弁開度S1を算出する。ステップP12における処理の終了後、ステップP13を実行する。
【0035】
最後に、ステップP13において、電磁弁開度SNと電磁弁開度STrと電磁弁開度S1のうち、いずれか大きい値を電磁弁開度Sの値として算出する。
【0036】
図5は、本実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
図5に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1におけるオイルポンプ稼働率演算部62(圧力調整手段)においては、はじめに、ステップP20において、電磁弁開度Sが予め設定した所定値Sj未満であるか判断する。ステップP20において、電磁弁開度Sが所定値Sj未満である場合、ステップP21を実行する。
【0037】
ステップP21において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP21に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DC2の関係に従い、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。ステップP21における処理の終了後、ステップP22を実行する。
【0038】
ステップP22において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP22に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DCOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。ステップP22における処理の終了後、ステップP23を実行する。
最後に、ステップP23において、オイルポンプ稼働率DC2と、オイルポンプ稼働率DCOのうち、いずれか大きい値をオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
【0039】
また、ステップP20において、電磁弁開度Sが所定値Sj未満でない場合、ステップP24を実行する。
ステップP24において、電磁弁開度Sに基づき、オイルポンプの圧力増減量つまりオイルポンプ増減稼働率DO1を算出する。ステップP24における処理の終了後、ステップP25を実行する。
【0040】
ステップP25において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP22に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DO2の関係に従い、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。ステップP25における処理の終了後、ステップP26を実行する。
【0041】
ステップP26において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP26に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DOOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。ステップP26における処理の終了後、ステップP27を実行する。
【0042】
最後に、ステップP27において、オイルポンプ増減稼働率(圧力増減量)DO1を、オイルポンプ稼働率DO2と、オイルポンプ稼働率DOOとのうち、いずれか大きい値に加算してオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両における電磁弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順についての説明である。
【0043】
以上説明したように、本実施例に係るハイブリッド車両においては、ジェネレータ4の停止時にはジェネレータ4へ供給されるオイルの量を減らし、フロントモータ2へ供給されるオイルの量を増やすことができる。
【0044】
これにより、本実施例に係るハイブリッド車両によれば、オイルポンプ21は、フロントモータ2において必要とされるオイルのみを供給できればよいため、オイルポンプ21の出力を低減することができる。
したがって、フロントモータ2及びジェネレータ4を冷却するオイルを圧送するオイルポンプ21において消費されるエネルギーを節約することができるハイブリッド車両1を提供することができる。
【実施例2】
【0045】
以下、本発明に係るハイブリッド車両の第2の実施例について説明する。
はじめに、本実施例に係るハイブリッド車両の構成について説明する。
図6は、本実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
図6に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1の構成は、第1の実施例に係るハイブリッド車両1の構成とほぼ同様であるが、電磁弁54に変えて、温度の変化に応じて自動的にオイルの流れを制御するサーモスタット弁55(制御弁)を設置した点が異なっている。
【0046】
本実施例においては、サーモスタット弁55は、ジェネレータ4の筐体4c上に設置されている。このため、ジェネレータ4の筐体4cの温度の変化に応じてサーモスタット弁55を動作させることができる。
【0047】
図7は、本実施例に係るハイブリッド車両における要部の他の構成を示した模式図である。
図7に示すように、ジェネレータ4の三相高電圧ハーネス10をサーモスタット弁56(制御弁)を介して配線することにより、サーモスタット弁56をジェネレータ4の三相高電圧ハーネス10の温度の変化に応じて作動させるようにしてもよい。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両の構成についての説明である。
【0048】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の構成について説明する。
図8は、本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
【0049】
図8に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置63は、ジェネレータコイル温度T1に基づき、サーモスタット弁開度Sを算出するサーモスタット弁開度演算部64を備えている。
また、サーモスタット弁開度Sと、ジェネレータコイル温度T1と、フロントモータコイル温度T2と、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率Dを算出するオイルポンプ稼働率演算部65を備えている。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の構成についての説明である。
【0050】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順について説明する。
図9は、本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【0051】
図9に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1におけるサーモスタット弁開度演算部64(開度調整手段)においては、はじめに、ステップP30において、ジェネレータコイル温度T1に基づき、サーモスタット弁開度S1を算出する。なお、本実施例においては、ステップP30に示したジェネレータコイル温度T1とサーモスタット弁開度S1の関係に従い、ジェネレータコイル温度T1に基づき、サーモスタット弁開度S1を算出する。ステップP30における処理の終了後、ステップP31を実行する。
【0052】
最後に、ステップP31において、サーモスタット弁開度S1の値をサーモスタット弁開度Sの値として算出する。
【0053】
図10は、本実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
図10に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1におけるオイルポンプ稼働率演算部65(圧力調整手段)においては、はじめに、ステップP40において、サーモスタット弁開度Sが予め設定した所定値Sj未満であるか判断する。ステップP40において、サーモスタット弁開度Sが所定値Sj未満である場合、ステップP41を実行する。
【0054】
ステップP41において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP41に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DC2の関係に従い、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。ステップP41における処理の終了後、ステップP42を実行する。
【0055】
ステップP42において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP42に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DCOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。ステップP42における処理の終了後、ステップP43を実行する。
【0056】
最後に、ステップP43において、オイルポンプ稼働率DC2と、オイルポンプ稼働率DCOのうち、いずれか大きい値をオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
【0057】
また、ステップP40において、サーモスタット弁開度Sが所定値Sj未満でない場合、ステップP44を実行する。
ステップP44において、サーモスタット弁開度Sに基づき、オイルポンプの圧力増減量つまりオイルポンプ増減稼働率DO1を算出する。ステップP44における処理の終了後、ステップP45を実行する。
【0058】
ステップP45において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP45に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DO2の関係に従い、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。ステップP45における処理の終了後、ステップP46を実行する。
【0059】
ステップP46において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP46に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DOOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。ステップP46における処理の終了後、ステップP47を実行する。
【0060】
最後に、ステップP47において、オイルポンプ増減稼働率(圧力増減量)DO1を、オイルポンプ稼働率DO2と、オイルポンプ稼働率DOOとのうち、いずれか大きい値に 加算してオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両におけるサーモスタット弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順についての説明である。
【0061】
以上説明したように、本実施例に係るハイブリッド車両においては、ジェネレータ4の冷却が必要な場合には、ジェネレータ4の筐体4cの温度が上昇するため、サーモスタット弁55をジェネレータ4の筐体4cに取り付け、ジェネレータ4の温度が上昇したときに、ジェネレータ4へのオイルの供給量を増やすことができる。
【0062】
また、ジェネレータ4の冷却が必要な場合には、ジェネレータ4の三相高電圧ハーネス10の温度が上昇するため、ジェネレータ4の三相高電圧ハーネス10をサーモスタット弁56を介すことにより、ジェネレータ4の三相高電圧ハーネス10の温度が上昇したときに、ジェネレータ4へのオイルの供給量を増やすことができる。
【0063】
したがって、本実施例に係るハイブリッド車両によれば、第1の実施例における電磁弁54に変えて、電子制御が不要なサーモスタット弁55,56を用いることにより、第1の実施例に係るハイブリッド車両1と同様の効果を、より少ないコストで実現することができる。
【実施例3】
【0064】
以下、本発明に係るハイブリッド車両の第3の実施例について説明する。
はじめに、本実施例に係るハイブリッド車両の構成について説明する。
図11は、本実施例に係るハイブリッド車両における要部の構成を示した模式図である。
図11に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1の構成は、第1の実施例に係るハイブリッド車両1の構成とほぼ同様であるが、電磁弁54に変えて、油圧の変化に応じてオイルの流れを制御する油圧弁57(制御弁)を設置した点が異なっている。
【0065】
本実施例においては、油圧弁57は、エンジン5の作動時に発生するエンジン油圧を油圧経路58により油圧弁57に供給されることにより、エンジン油圧の変化に応じて油圧弁57を動作させることができる。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両の構成についての説明である。
【0066】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置(制御手段)の構成について説明する。
図12は、本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置の構成を示した図である。
【0067】
図12に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置66は、ジェネレータ回転数Nに基づき、油圧弁開度Sを算出する油圧弁開度演算部67を備えている。
また、油圧弁開度Sと、ジェネレータコイル温度T1と、フロントモータコイル温度T2と、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率Dを算出するオイルポンプ稼働率演算部68を備えている。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置の構成についての説明である。
【0068】
次に、本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順について説明する。
図13は、本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁開度演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
【0069】
図13に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1における油圧弁開度演算部67(開度調整手段)においては、はじめに、ステップP50において、ジェネレータ回転数Nに基づき、油圧弁開度SNを算出する。なお、本実施例においては、ステップP50に示したジェネレータ回転数Nと油圧弁開度SNの関係に基づき、ジェネレータ回転数Nに基づき、油圧弁開度SNを算出する。ステップP50における処理の終了後、ステップP51を実行する。
【0070】
最後に、ステップP51において、油圧弁開度SNの値を油圧弁開度Sの値として算出する。
【0071】
図14は、本実施例に係るハイブリッド車両におけるオイルポンプ稼働率演算部における処理の手順を示したフローチャートである。
図14に示すように、本実施例に係るハイブリッド車両1におけるオイルポンプ稼働率演算部68(圧力調整手段)においては、はじめに、ステップP60において、油圧弁開度Sが予め設定した所定値Sj未満であるか判断する。ステップP60において、油圧弁開度Sが所定値Sj未満である場合、ステップP61を実行する。
【0072】
ステップP61において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP61に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DC2の関係に従い、オイルポンプ稼働率DC2を算出する。ステップP61における処理の終了後、ステップP62を実行する。
【0073】
ステップP62において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP62に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DCOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DCOを算出する。ステップP62における処理の終了後、ステップP63を実行する。
【0074】
最後に、ステップP63において、オイルポンプ稼働率DC2と、オイルポンプ稼働率DCOのうち、いずれか大きい値をオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
【0075】
また、ステップP60において、油圧弁開度Sが所定値Sj未満でない場合、ステップP64を実行する。
ステップP64において、油圧弁開度Sに基づき、オイルポンプ増減稼働率DO1を算出する。ステップP64における処理の終了後、ステップP65を実行する。
【0076】
ステップP65において、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。なお、本実施例においては、ステップP65に示したフロントモータコイル温度T2とオイルポンプ稼働率DO2の関係に従い、フロントモータコイル温度T2に基づき、オイルポンプ稼働率DO2を算出する。ステップP65における処理の終了後、ステップP66を実行する。
【0077】
ステップP66において、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。なお、本実施例においては、ステップP66に示したオイル温度TOとオイルポンプ稼働率DOOの関係に従い、オイル温度TOに基づき、オイルポンプ稼働率DOOを算出する。ステップP66における処理の終了後、ステップP67を実行する。
【0078】
最後に、ステップP67において、オイルポンプ増減稼働率(圧力増減量)DO1を、オイルポンプ稼働率DO2と、オイルポンプ稼働率DOOとのうち、いずれか大きい値に加算してオイルポンプ稼働率Dの値として算出する。
以上が本実施例に係るハイブリッド車両における油圧弁・オイルポンプ制御装置の処理の手順についての説明である。
【0079】
以上説明したように、本実施例に係るハイブリッド車においては、エンジン5の作動時に発生するエンジン油圧により、エンジン5の作動時、すなわちジェネレータ4の作動時には、ジェネレータ4へのオイルの供給量を増やすことができる。
【0080】
したがって、本実施例に係るハイブリッド車両によれば、第1の実施例における電磁弁に変えて、電子制御が不要な油圧弁57を用いることにより、第1の実施例に係るハイブリッド車両1と同様の効果を、より少ないコストで実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、例えば、エンジンと車両を駆動するモータ及び発電を行うジェネレータとが搭載されるハイブリッド車両において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 ハイブリッド車両
2 フロントモータ
2a ロータ
2b ステータ
2c 筐体
3 リヤモータ
4 ジェネレータ
4a ロータ
4b ステータ
4c 筐体
4d オイル溜り
4e 油面
5 エンジン
6 フロント駆動軸
7 フロントトランスアクスル
8 フロントインバータ
9,10,16 三相高電圧ハーネス
11 高圧バッテリ
12,17 高電圧ハーネス
13 リヤ駆動軸
14 リヤトランスアクスル
15 リヤインバータ
20 オイルクーラ
21 オイルポンプ
22 第1のオイル配管(第1経路)
23 第2のオイル配管(第1経路)
24 第3のオイル配管(第1経路)
25 第4のオイル配管(第1経路)
26 第5のオイル配管(第2経路)
27 第6のオイル配管(第1経路)
30 ラジエータ
31 冷却水ポンプ
32〜36 冷却水配管
50 オイル温度計
51 ジェネレータコイル温度計(温度検出手段)
52 ジェネレータ回転数計(駆動トルク検出手段、回転数検出手段)
53 フロントモータコイル温度計(モータ温度検出手段)
54 電磁弁(制御弁)
55,56 サーモスタット弁
57 油圧弁
58 油圧経路
60 電磁弁・オイルポンプ制御装置
61 電磁弁開度演算部(開度調整手段)
62 オイルポンプ稼働率演算部(圧力調整手段)
63 サーモスタット弁・オイルポンプ制御装置
64 サーモスタット弁開度演算部(開度調整手段)
65 オイルポンプ稼働率演算部(圧力調整手段)
66 油圧弁・オイルポンプ制御装置
67 油圧弁開度演算部(開度調整手段)
68 オイルポンプ稼働率演算部(圧力調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するモータと、
該モータに電力を供給するバッテリと、
該バッテリの容量が所定量以下になった際にエンジンによって駆動発電した電力を前記バッテリに供給するジェネレータと、
前記モータの温度を検出するモータ温度検出手段と、
前記モータと前記ジェネレータとを冷却する冷却媒体を圧送する圧送手段と、
前記圧送手段の圧力を前記モータの温度に基づいて調整する圧力調整手段と、
前記冷却媒体を前記圧送手段から前記モータを経由させて前記圧送手段へ戻すように循環させる第1経路と、
該第1経路から分岐して前記モータをバイパスすると共に途中に前記ジェネレータが設けられる第2経路と、
該第2経路に設けられると共に前記ジェネレータの状態に基づいて前記ジェネレータに流入される前記冷却媒体の流量を調整する制御弁と、
前記制御弁の開度を調整する開度調整手段と
を備えるハイブリッド車において、
前記圧力調整手段は、前記制御弁の開度の増減に連動する圧力増減量を加算させて前記圧力を増減させる
ことを特徴とするハイブリッド車。
【請求項2】
前記ジェネレータの温度を検出する温度検出手段と、前記ジェネレータの駆動トルクを検出する駆動トルク検出手段と、前記ジェネレータの回転数を検出する回転数検出手段とを更に備え、
前記ジェネレータの状態は、前記ジェネレータの温度、又は、駆動トルク、又は、回転数である
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車。
【請求項3】
前記制御弁の開度が所定度以上の際に、前記圧力調整手段は前記制御弁の開度の増減に伴って前記圧力を増減させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−126191(P2012−126191A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277684(P2010−277684)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】