バッテリ駆動型電話端末、および主装置
【課題】端末のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減でき、且つバッテリ切れ端末に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】無線IP内線電話端末1に対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1に送信することなく、所定の転送先(IP内線電話端末1、2)に転送する。したがって、無線IP内線電話端末1のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【解決手段】無線IP内線電話端末1に対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1に送信することなく、所定の転送先(IP内線電話端末1、2)に転送する。したがって、無線IP内線電話端末1のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ駆動型電話端末に対する着信処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動局携帯者が通話中、あるいは移動局の電源を切断している場合、またはエリア圏外にいる場合に、移動局が所属するエリア内のコードレス電話機に、移動局に対する着信呼を転送する自動転送サービスを行うシステムが開示されている。このシステムによれば、第三者を通じて移動局携帯者に着信を通知することができる。このため、発信者および移動局携帯者に対するサービスが向上する。
【0003】
【特許文献1】特開平7−50723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、移動局は、バッテリで駆動している。バッテリの残量が少ないと通話中にバッテリ切れを起こしてしまい、通話が途切れてしまう可能性がある。特許文献1に記載の自動転送サービスは、この点を考慮していない。
【0005】
また、通常、着信に対する移動局からの応答がタイムアウトした場合、この移動局の電源が切断しているか、あるいはこの移動局がエリア圏外にいるものと判断される。したがって、特許文献1に記載の自動転送サービスによれば、電源が切断している移動局に対する着信を転送する場合、まず、この移動局に着信を送出し、この着信に対する移動局からの応答がタイムアウトしてから、この着信を転送する。このため、発信者を長く待たせてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電話端末のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減でき、且つバッテリ切れ電話端末に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、バッテリ駆動型電話端末に対して着信があった場合に、このバッテリ駆動型電話端末のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこのバッテリ駆動型電話端末に送信することなく、所定の転送先に転送する。
【0008】
例えば、本発明は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリの残量値を計測するバッテリ残量監視手段と、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自電話端末を収容する主装置に自電話端末に対する着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送させるための転送設定要求を送信する転送設定要求手段と、を有する。
【0009】
また、例えば、本発明は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末を収容する主装置であって、
前記バッテリ駆動型電話端末からバッテリの残量情報を受信する残量情報受信手段と、
前記残量情報受信手段により受信したバッテリの残量情報を記憶する残量情報記憶手段と、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、前記残量情報記憶手段に記憶されている残量情報が示すバッテリの残量値が所定値未満ならば、当該着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送する転送手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電話端末のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れ電話端末に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をIP内線電話システムに適用した場合を例にとり、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
[第一の実施の形態]
図1は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態のIP内線電話システムは、少なくとも一台の無線IP内線電話端末1と、少なくとも一台の有線IP内線電話端末2と、これらのIP内線電話端末1、2を収容する主装置3と、を有する。有線IP内線電話端末2および主装置3は、LAN5に接続されている。無線IP内線電話端末1は、アクセスポイント4に無線接続され、このアクセスポイント4を介してLAN5に接続されている。また、LAN5は、ゲートウエイ6を介してIP電話網に接続されている。
【0014】
無線IP内線電話端末1は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末である。無線IP内線電話端末1は、バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自無線IP内線電話端末1に対する着信を所定のIP内線電話端末あるいはIP内線電話端末のグループに転送させるための転送設定要求を主装置3に送信する。また、バッテリの残量値が所定値以上となった場合に、自無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を主装置3に送信する。また、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の無線IP内線電話端末と同様である。
【0015】
図2は、無線IP内線電話端末1の概略構成図である。
【0016】
図示するように、無線IP内線電話端末1は、無線通信インターフェース部11と、MM(MAN MACHINE)インターフェース部12と、呼制御部13と、通信制御部14と、主制御部15と、無線IP内線電話端末1の各部11〜15に電力を供給するバッテリ16と、を有する。
【0017】
無線通信インターフェース部11は、アクセスポイント4に接続するためのインターフェースである。
【0018】
MMインターフェース部12は、通話のためのハンドセットと、電話番号、各種指示の入力を受け付けるための操作部と、各種情報を表示するための表示部と、を備える。
【0019】
呼制御部13は、SIP(Session Initiation Protocol)等の呼制御プロトコルに従い、呼制御処理を行って、通話相手との間に通話パスを確立する。
【0020】
通信制御部14は、RTP(Real−time Transport Protocol)等の通信プロトコルに従い、呼制御部13によって確立された通話パスを介して、通話相手と通話データを送受する。
【0021】
主制御部15は、自無線IP内線電話端末1の各部11〜14、16を統括的に制御する。また、バッテリ残量監視部151と、転送設定要求部152と、転送解除要求部153と、を有する。
【0022】
バッテリ残量監視部151は、バッテリ16のバッテリ残量値を逐次計測して、この計測値の遷移を監視する。そして、この計測値が所定値(後述のTh)以上から上記所定値未満に遷移した場合には、転送設定要求部152に転送設定要求の生成を指示する。また、この計測値が上記所定値未満から上記所定値以上に遷移した場合には、転送解除要求部153に転送解除要求の生成を指示する。
【0023】
転送設定要求部152は、バッテリ残量監視部151から出力された指示に従い、自無線IP内線電話端末1に対する着信を、IP内線電話端末1、2のうちの、予め登録されたIP内線電話端末(転送先IP内線電話端末)あるいはIP内線電話端末グループ(転送先グループ)に転送させるための転送設定要求を生成して、この転送設定要求を、無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する。
【0024】
転送解除要求部153は、バッテリ残量監視部151から出力された指示に従い、主装置3に設定されている転送設定を解除するための転送解除要求を生成して、この転送解除要求を、無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する。
【0025】
図3は、無線IP内線電話端末1の動作を説明するためのフロー図である。
【0026】
バッテリ残量監視部151は、例えば定期的に到来する計測タイミングになると(S10でYES)、バッテリ16の残量値を計測し保持する(S11)。そして、計測値が所定の閾値Th以上から閾値Th未満に遷移したか否か、つまり、前回の計測値が閾値Th以上であり、今回の計測値が閾値Th未満であるとの条件を満たすか否かを判断する(S12)。ここで、閾値Thは、バッテリ16の残量不足を判断するための閾値である。
【0027】
計測値が閾値Th以上から閾値Th未満に遷移した場合(S12でYES)、すなわち、バッテリ16の容量が残量不足となった場合、バッテリ残量監視部151は、転送設定要求部152に転送設定要求の生成を指示する。これを受けて、転送設定要求部152は、自無線IP内線電話端末1に対する着信を、予め登録された転送先IP内線電話端末あるいは転送先グループに転送させるための転送設定要求を生成し、この転送設定要求を無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する(S13)。
【0028】
一方、計測値が上記条件を満たさなかった場合(S12でNO)、バッテリ残量監視部151は、計測値が閾値Th未満から閾値Th以上に遷移したか否か、つまり、前回の計測値が閾値Th未満であり、今回の計測値が閾値Th以上であるか否かを判断する(S14)。
【0029】
計測値が閾値Th未満から閾値Th以上に遷移した場合(S14でYES)、すなわち、バッテリ16の容量が回復した場合、バッテリ残量監視部151は、転送解除要求部153に転送解除要求の生成を指示する。これを受けて、転送解除要求部153は、主装置3に設定されている転送設定を解除するための転送解除要求を生成し、この転送解除要求を無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する(S15)。
【0030】
なお、無線IP内線電話端末1の呼制御処理および通話処理は、既存のIP内線電話端末の呼制御処理および通話処理と基本的に同様である。但し、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、呼制御部13は、この本来の着信先情報をMMインターフェース部12に表示する。この点、既存のIP内線電話端末と異なる。
【0031】
図1に戻って説明を続ける。有線IP内線電話端末2は、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の有線IP内線電話端末と同様である。
【0032】
主装置3は、転送サービス機能を備えたIP−PBX(Private Branch eXchange)である。
【0033】
図4は、主装置3の概略構成図である。
【0034】
図示するように、主装置3は、通信インターフェース部31と、呼制御部32と、局データ記憶部33と、転送設定部34と、を有する。
【0035】
通信インターフェース部31は、LAN5に接続するためのインターフェースである。
【0036】
呼制御部32は、SIP等の呼制御プロトコルに従い、IP内線電話端末1、2に対する発着信の処理をする。
【0037】
局データ記憶部33には、IP内線電話端末1、2の各々について、この端末の電話番号、IPアドレス、および転送先情報を含む局データが記憶されている。
【0038】
転送設定部34は、IP内線電話端末1、2からの要求に従い、局データ記憶部33に記憶されているこの端末の局データの転送先情報を更新する。
【0039】
図5は、主装置3の動作を説明するためのフロー図である。
【0040】
通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1から転送設定要求を受信すると(S30でYES)、この転送設定要求を転送設定部34に渡す。これを受けて、転送設定部34は、局データ記憶部33から、この転送設定要求の送信元である無線IP内線電話端末1の局データを検索し、この局データの転送先情報に、この転送設定要求で指定されている転送先(IP内線電話端末、あるいはIP内線電話端末グループ)を設定する(S31)。
【0041】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1から転送解除要求を受信すると(S32でYES)、この転送解除要求を転送設定部34に渡す。これを受けて、転送設定部34は、局データ記憶部33から、この転送解除要求の送信元である無線IP内線電話端末1の局データを検索し、この局データの転送先情報に設定されている転送先(IP内線電話端末、あるいはIP内線電話端末グループ)を削除する(S33)。
【0042】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1、2から発信情報を受信したならば(S34でYES)、この発信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は発信処理を行う(S35)。
【0043】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1、2に対する着信情報を受信したならば(S36でYES)、この着信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は、局データ記憶部33から、着信情報の宛先の局データを検索する。そして、検索した局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かを判断する(S37)。
【0044】
転送先が設定されている場合(S37でYES)、呼制御部32は、この着信情報に本来の着信先(宛先)の情報を付加し、この着信情報をこの転送先に、通信インターフェース部31を介して送信する(S38)。
【0045】
一方、転送先が設定されていない場合(S37でNO)、呼制御部32は、この着信情報をこの着信情報の本来の着信先(宛先)に、通信インターフェース部31を介して送信する(S39)。
【0046】
図6は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。ここでは、無線IP内線電話端末1に対する着信の転送先として、有線IP内線電話端末2A、2Bのグループが予め定められていることとする。
【0047】
無線IP内線電話端末1は、バッテリ不足を検出すると(S501)、自無線IP内線電話端末1に対する着信を転送先グループ(有線IP内線電話端末2A、2B)へ転送させるための転送設定要求を主装置3に送信する(S502)。これを受けて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信を所定の転送先グループへ転送させるための設定を行う(S503)。
【0048】
さて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信情報を受信すると(S504)、この着信情報の転送先が設定されていることを確認し(S505)、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1)を付加して、設定されている転送先グループ(有線IP内線電話端末2A、2B)に、この着信情報を転送する(S506)。
【0049】
これを受けて、転送先の有線IP内線電話端末2A、2Bは、着信情報に付与されている本来の着信先情報を表示して鳴動する。そして、この呼出しに応答した有線IP内線電話端末2Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S507)。
【0050】
通話終了後、無線IP内線電話端末1は、バッテリ回復を検出すると(S508)、自無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を主装置3に送信する(S509)。これを受けて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除する(S510)。
【0051】
さて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信情報を受信すると(S511)、この着信情報の転送先が設定されていないことを確認し、この着信情報を無線IP内線電話端末1に送信する(S512)。
【0052】
これを受けて、無線IP内線電話端末1が鳴動し、この呼出しに応答することで、無線IP内線電話端末1と通話相手との間に通話パスが形成される(S513)。
【0053】
以上、本発明の第一の実施の形態を説明した。
【0054】
本実施の形態では、無線IP内線電話端末1に対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1に送信することなく、所定の転送先に転送する。したがって、本実施の形態によれば、無線IP内線電話端末1のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【0055】
また、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1が、自無線IP内線電話端末1のバッテリ残量を監視し、このバッテリ残量が所定値以上から所定値未満に遷移した場合に、転送設定要求を主装置3に送信すると共に、このバッテリ残量が所定値未満から所定値以上に遷移した場合に、転送解除要求を主装置3に送信する。このようにすることにより、主装置3として、着信転送サービスを遠隔設定可能な既存の装置を用いることができる。
【0056】
また、本実施の形態において、主装置3は、着信を転送する場合に、本来の着信先情報を付加して転送先に転送し、転送先のIP内線電話端末1、2は、受信した着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この着信先情報を表示する。これにより、ユーザは、どのIP内線電話端末1、2に対する着信の転送であるかを認識することができるので、使い勝手が向上する。
【0057】
なお、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1をバッテリ駆動型電話端末としているが、有線IP内線電話端末2もバッテリ駆動型電話端末としてもよい。この場合、有線IP内線電話端末2の構成は、図2に示す無線IP内線電話端末1の構成において、無線通信インターフェース部11の代わりに、LAN5に接続するための通信インターフェース部を備えた構成とする。
【0058】
[第二の実施の形態]
本実施の形態のIP内線電話システムが、図1に示す第一の実施の形態のIP内線電話システムと異なる点は、前述の無線IP内線電話端末1および主装置3の代わりに、次述の無線IP内線電話端末1Aおよび主装置3Aを設けたことである。その他は、第一の実施の形態のIP内線電話システムと同様である。
【0059】
無線IP内線電話端末1Aは、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末である。無線IP内線電話端末1Aは、定期的にバッテリの残量値を主装置3Aに送信する。また、主装置3Aからの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の無線IP内線電話端末と同様である。
【0060】
図7は、無線IP内線電話端末1Aの概略構成図である。
【0061】
図示するように、無線IP内線電話端末1Aが、図2に示す第一の実施の形態の無線IP内線電話端末1と異なる点は、バッテリ残量監視部151、転送設定要求部152、および転送解除要求部153に代えて、バッテリ残量通知部154を制御部15に設けたことである。その他は、第一の実施の形態の無線IP内線電話端末1と同様である。
【0062】
バッテリ残量通知部154は、定期的に、バッテリ16のバッテリ残量値を計測し、この計測値を含むバッテリ残量通知を無線通信インターフェース部11から主装置3Aへ送信する。
【0063】
主装置3Aは、転送サービス機能を備えたIP−PBXである。主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信を受信した場合に、無線IP内線電話端末1Aから受信したバッテリ残量値に基づいて、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送の必要性を判断する。そして、転送の必要性ありと判断したならば、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信した場合に、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1A)を付加して、予め登録されている転送先IP内線電話端末または転送先グループに転送する。一方、転送の必要性なしと判断したならば、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信した場合に、この着信情報を本来の着信先(無線IP内線電話端末1A)に送信する。
【0064】
図8は、主装置3Aの概略構成図である。
【0065】
図示するように、主装置3Aが、図4に示す第一の実施の形態の主装置3と異なる点は、転送設定部34に代えて転送設定部35を設けたこと、およびバッテリ残量記憶部36を新たに設けたことである。その他は、第一の実施の形態の主装置3と同様である。
【0066】
バッテリ残量記憶部36には、無線IP内線電話端末1Aの最新のバッテリ残量値がこの無線IP内線電話端末1Aの識別情報(電話番号、IPアドレス等)に対応付けられて登録される。
【0067】
転送設定部35は、通信インターフェース部31を介して、無線IP内線電話端末1Aより受信したバッテリ残量通知により特定されるこの無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量値をバッテリ残量記憶部36に記憶する。また、転送設定部35は、無線IP内線電話端末1A毎に、この無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量値に基づいて、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送設定を制御する。
【0068】
図9は、主装置3Aの動作を説明するためのフロー図である。
【0069】
通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1A、2から発信情報を受信したならば(S60でYES)、この発信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は発信処理を行う(S61)。
【0070】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1A、2に対する着信情報を受信したならば(S62でYES)、この着信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は、局データ記憶部33から、着信情報の宛先の局データを検索する。そして、検索した局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かを判断する(S63)。
【0071】
転送先が設定されている場合(S63でYES)、呼制御部32は、この着信情報に本来の着信先(宛先)の情報を付加し、この着信情報をこの転送先に、通信インターフェース部31を介して送信する(S64)。
【0072】
一方、転送先が設定されていない場合(S63でNO)、呼制御部32は、この着信情報をこの着信情報の本来の着信先(宛先)に、通信インターフェース部31を介して送信する(S65)。
【0073】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1Aからバッテリ残量通知を受信すると(S66でYES)、このバッテリ残量通知を転送設定部35に渡す。これを受けて、転送設定部35は、この無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けられてバッテリ残量記憶部36に記憶されているバッテリ残量値を、このバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値に更新する。バッテリ残量値がこの無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けられてバッテリ残量記憶部36に記憶されていない場合は、このバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値を、この無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けてバッテリ残量記憶部36に新たに登録する(S67)。
【0074】
それから、転送設定部35は、受信したバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値がバッテリ残量不足を示す所定の閾値Th未満であるか否かを調べる(S68)。そして、閾値Th未満である場合は(S68でYES)、局データ記憶部33を参照し、このバッテリ残量通知の送信元である無線IP内線電話端末1Aの局データの転送先情報に、転送先が設定されているか否かをさらに調べ(S69)、転送先が設定されていない場合に(S69でYES)、予め登録されている転送先(IP内線電話端末1A、2)をこの転送先情報に設定する(S70)。
【0075】
また、転送設定部35は、受信したバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値が所定の閾値Th以上であるか否かを調べる(S71)。そして、閾値Th以上である場合、すなわち、バッテリが回復した場合は(S71でYES)、局データ記憶部33を参照し、このバッテリ残量通知の送信元である無線IP内線電話端末1Aの局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かをさらに調べ(S72)、転送先が設定されている場合に(S72でYES)、この転送先をこの転送先情報から削除する(S73)。
【0076】
図10は、本発明の第二の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。無線IP内線電話端末IP1Aのバッテリ16が残量不足の状態から回復する場合を例に挙げる。
【0077】
無線IP内線電話端末1Aは、バッテリ残量値を測定すると(S801)、この測定値を含むバッテリ残量通知を主装置3Aに送信する(S802)。これを受けて、主装置3Aは、バッテリ残量通知のバッテリ残量値がバッテリ不足(<閾値Th)を示していることを確認し、無線IP内線電話端末1Aに対する着信を所定の転送先へ転送させるための設定を行う(S803)。
【0078】
さて、主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信すると(S804)、この着信情報の転送先が設定されていることを確認し(S805)、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1A)を付加して、設定されている転送先(ここでは、有線IP内線電話端末2A、2B)にこの着信情報を転送する(S806)。
【0079】
これを受けて、転送先の有線IP内線電話端末2A、2Bは、着信に付与されている本来の着信先情報を表示して鳴動する。そして、この呼出しに応答した有線IP内線電話端末2Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S807)。
【0080】
通話終了後、無線IP内線電話端末1Aは、バッテリ残量値を測定すると(S808)、この測定値を含むバッテリ残量通知を主装置3Aに送信する(S809)。これを受けて、主装置3Aは、バッテリ残量通知のバッテリ残量値がバッテリ回復(≧閾値Th)を示していることを確認し、無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送を解除する(S810)。
【0081】
さて、主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信すると(S811)、この着信情報の転送先が設定されていないことを確認し、この着信情報を無線IP内線電話端末1Aに送信する(S812)。
【0082】
これを受けて、無線IP内線電話端末1Aが鳴動し、この呼出しに応答することで、無線IP内線電話端末1Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S813)。
【0083】
以上、本発明の第二の実施の形態を説明した。
【0084】
本実施の形態では、無線IP内線電話端末1Aに対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1Aに送信することなく、所定の転送先に転送する。したがって、本実施の形態によれば、無線IP内線電話端末1Aのバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1Aに対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【0085】
また、本実施の形態では、主装置3Aが、無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量を監視し、このバッテリ残量に基づいて、無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送設定を制御する。このようにすることにより、上記第一の実施の形態とは異なり、無線IP内線電話端末1Aにおいて、着信転送の判断を行う必要がなくなる。このため、個々の無線IP内線電話端末1Aの構成を簡素化できる。
【0086】
また、本実施の形態において、主装置3Aは、着信を転送する場合に、本来の着信先情報を付加して転送先に転送し、転送先のIP内線電話端末1A、2は、受信した着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この着信先情報を表示する。これにより、ユーザは、どのIP内線電話端末1A、2に対する着信の転送であるかを認識することができるので、使い勝手が向上する。
【0087】
また、本実施の形態において、IP内線電話システム内の全ての無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量を主装置3Aが管理しているので、転送先として予め登録されている無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量が所定の閾値Th未満である場合には、この無線IP内線電話端末1Aへの転送を停止することができる。これにより、予め登録されている転送先でバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。
【0088】
なお、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1Aを、バッテリ不足時に着信が他のIP内線電話端末に転送されるバッテリ駆動型電話端末としているが、有線IP内線電話端末2も、そのようなバッテリ駆動型電話端末としてもよい。この場合、有線IP内線電話端末2の構成は、図7に示す無線IP内線電話端末1Aの構成において、無線通信インターフェース部11の代わりに、LAN5に接続するための通信インターフェース部を備えた構成とする。
【0089】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、無線IP内線電話端末1、1A、および主装置3、3Aの各構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実行されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)など計算機によりソフトウエア的に実行されるものでもよい。
【0090】
また、上記の第一実施の形態において、主装置3の代わりにアクセスポイント4が転送処理を行うようにしてもよい。例えば、アクセスポイント4に、無線IP内線電話端末1および主装置3の呼制御情報を監視する呼制御監視部と、無線IP内線電話端末1の電話番号、IPアドレス、および転送先情報を記憶する転送先設定記憶部と、転送処理を実施する転送処理部とを設ける。そして、アクセスポイント4は、無線IP電話端末1から転送設定要求を受信した場合、以後、当該無線IP電話端末1への着信を検出したならば、主装置3になり代わり転送処理を実施する。これにより、主装置3に汎用のサーバを用いることができる。なお、第二実施の形態の場合についても同様である。
【0091】
また、上記の各実施の形態では、本発明をIP内線電話システムに適用した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。本発明は、IP内線電話システム以外の様々な内線電話システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略図である。
【図2】図2は、無線IP内線電話端末1の概略構成図である。
【図3】図3は、無線IP内線電話端末1の動作を説明するためのフロー図である。
【図4】図4は、主装置3の概略構成図である。
【図5】図5は、主装置3の動作を説明するためのフロー図である。
【図6】図6は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。
【図7】図7は、無線IP内線電話端末1Aの概略構成図である。
【図8】図8は、主装置3Aの概略構成図である。
【図9】図9は、主装置3Aの動作を説明するためのフロー図である。
【図10】図10は、本発明の第二の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0093】
1:無線IP内線電話端末、1A:無線IP内線電話端末、2:有線IP内線電話端末、3:主装置、3A:主装置、4:アクセスポイント、5:LAN、11:無線通信インターフェース部、12:MMインターフェース部、13:呼制御部、14:通信制御部、15:主制御部、16:バッテリ、31:通信インターフェース部、32:呼制御部、33:局データ記憶部、34:転送設定部、35:転送設定部、36:バッテリ残量記憶部、151:バッテリ残量監視部、152:転送設定要求部、153:転送解除要求部、154:バッテリ残量通知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ駆動型電話端末に対する着信処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動局携帯者が通話中、あるいは移動局の電源を切断している場合、またはエリア圏外にいる場合に、移動局が所属するエリア内のコードレス電話機に、移動局に対する着信呼を転送する自動転送サービスを行うシステムが開示されている。このシステムによれば、第三者を通じて移動局携帯者に着信を通知することができる。このため、発信者および移動局携帯者に対するサービスが向上する。
【0003】
【特許文献1】特開平7−50723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、移動局は、バッテリで駆動している。バッテリの残量が少ないと通話中にバッテリ切れを起こしてしまい、通話が途切れてしまう可能性がある。特許文献1に記載の自動転送サービスは、この点を考慮していない。
【0005】
また、通常、着信に対する移動局からの応答がタイムアウトした場合、この移動局の電源が切断しているか、あるいはこの移動局がエリア圏外にいるものと判断される。したがって、特許文献1に記載の自動転送サービスによれば、電源が切断している移動局に対する着信を転送する場合、まず、この移動局に着信を送出し、この着信に対する移動局からの応答がタイムアウトしてから、この着信を転送する。このため、発信者を長く待たせてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電話端末のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減でき、且つバッテリ切れ電話端末に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、バッテリ駆動型電話端末に対して着信があった場合に、このバッテリ駆動型電話端末のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこのバッテリ駆動型電話端末に送信することなく、所定の転送先に転送する。
【0008】
例えば、本発明は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリの残量値を計測するバッテリ残量監視手段と、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自電話端末を収容する主装置に自電話端末に対する着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送させるための転送設定要求を送信する転送設定要求手段と、を有する。
【0009】
また、例えば、本発明は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末を収容する主装置であって、
前記バッテリ駆動型電話端末からバッテリの残量情報を受信する残量情報受信手段と、
前記残量情報受信手段により受信したバッテリの残量情報を記憶する残量情報記憶手段と、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、前記残量情報記憶手段に記憶されている残量情報が示すバッテリの残量値が所定値未満ならば、当該着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送する転送手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電話端末のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れ電話端末に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をIP内線電話システムに適用した場合を例にとり、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
[第一の実施の形態]
図1は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態のIP内線電話システムは、少なくとも一台の無線IP内線電話端末1と、少なくとも一台の有線IP内線電話端末2と、これらのIP内線電話端末1、2を収容する主装置3と、を有する。有線IP内線電話端末2および主装置3は、LAN5に接続されている。無線IP内線電話端末1は、アクセスポイント4に無線接続され、このアクセスポイント4を介してLAN5に接続されている。また、LAN5は、ゲートウエイ6を介してIP電話網に接続されている。
【0014】
無線IP内線電話端末1は、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末である。無線IP内線電話端末1は、バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自無線IP内線電話端末1に対する着信を所定のIP内線電話端末あるいはIP内線電話端末のグループに転送させるための転送設定要求を主装置3に送信する。また、バッテリの残量値が所定値以上となった場合に、自無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を主装置3に送信する。また、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の無線IP内線電話端末と同様である。
【0015】
図2は、無線IP内線電話端末1の概略構成図である。
【0016】
図示するように、無線IP内線電話端末1は、無線通信インターフェース部11と、MM(MAN MACHINE)インターフェース部12と、呼制御部13と、通信制御部14と、主制御部15と、無線IP内線電話端末1の各部11〜15に電力を供給するバッテリ16と、を有する。
【0017】
無線通信インターフェース部11は、アクセスポイント4に接続するためのインターフェースである。
【0018】
MMインターフェース部12は、通話のためのハンドセットと、電話番号、各種指示の入力を受け付けるための操作部と、各種情報を表示するための表示部と、を備える。
【0019】
呼制御部13は、SIP(Session Initiation Protocol)等の呼制御プロトコルに従い、呼制御処理を行って、通話相手との間に通話パスを確立する。
【0020】
通信制御部14は、RTP(Real−time Transport Protocol)等の通信プロトコルに従い、呼制御部13によって確立された通話パスを介して、通話相手と通話データを送受する。
【0021】
主制御部15は、自無線IP内線電話端末1の各部11〜14、16を統括的に制御する。また、バッテリ残量監視部151と、転送設定要求部152と、転送解除要求部153と、を有する。
【0022】
バッテリ残量監視部151は、バッテリ16のバッテリ残量値を逐次計測して、この計測値の遷移を監視する。そして、この計測値が所定値(後述のTh)以上から上記所定値未満に遷移した場合には、転送設定要求部152に転送設定要求の生成を指示する。また、この計測値が上記所定値未満から上記所定値以上に遷移した場合には、転送解除要求部153に転送解除要求の生成を指示する。
【0023】
転送設定要求部152は、バッテリ残量監視部151から出力された指示に従い、自無線IP内線電話端末1に対する着信を、IP内線電話端末1、2のうちの、予め登録されたIP内線電話端末(転送先IP内線電話端末)あるいはIP内線電話端末グループ(転送先グループ)に転送させるための転送設定要求を生成して、この転送設定要求を、無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する。
【0024】
転送解除要求部153は、バッテリ残量監視部151から出力された指示に従い、主装置3に設定されている転送設定を解除するための転送解除要求を生成して、この転送解除要求を、無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する。
【0025】
図3は、無線IP内線電話端末1の動作を説明するためのフロー図である。
【0026】
バッテリ残量監視部151は、例えば定期的に到来する計測タイミングになると(S10でYES)、バッテリ16の残量値を計測し保持する(S11)。そして、計測値が所定の閾値Th以上から閾値Th未満に遷移したか否か、つまり、前回の計測値が閾値Th以上であり、今回の計測値が閾値Th未満であるとの条件を満たすか否かを判断する(S12)。ここで、閾値Thは、バッテリ16の残量不足を判断するための閾値である。
【0027】
計測値が閾値Th以上から閾値Th未満に遷移した場合(S12でYES)、すなわち、バッテリ16の容量が残量不足となった場合、バッテリ残量監視部151は、転送設定要求部152に転送設定要求の生成を指示する。これを受けて、転送設定要求部152は、自無線IP内線電話端末1に対する着信を、予め登録された転送先IP内線電話端末あるいは転送先グループに転送させるための転送設定要求を生成し、この転送設定要求を無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する(S13)。
【0028】
一方、計測値が上記条件を満たさなかった場合(S12でNO)、バッテリ残量監視部151は、計測値が閾値Th未満から閾値Th以上に遷移したか否か、つまり、前回の計測値が閾値Th未満であり、今回の計測値が閾値Th以上であるか否かを判断する(S14)。
【0029】
計測値が閾値Th未満から閾値Th以上に遷移した場合(S14でYES)、すなわち、バッテリ16の容量が回復した場合、バッテリ残量監視部151は、転送解除要求部153に転送解除要求の生成を指示する。これを受けて、転送解除要求部153は、主装置3に設定されている転送設定を解除するための転送解除要求を生成し、この転送解除要求を無線通信インターフェース部11から主装置3へ送信する(S15)。
【0030】
なお、無線IP内線電話端末1の呼制御処理および通話処理は、既存のIP内線電話端末の呼制御処理および通話処理と基本的に同様である。但し、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、呼制御部13は、この本来の着信先情報をMMインターフェース部12に表示する。この点、既存のIP内線電話端末と異なる。
【0031】
図1に戻って説明を続ける。有線IP内線電話端末2は、主装置3からの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の有線IP内線電話端末と同様である。
【0032】
主装置3は、転送サービス機能を備えたIP−PBX(Private Branch eXchange)である。
【0033】
図4は、主装置3の概略構成図である。
【0034】
図示するように、主装置3は、通信インターフェース部31と、呼制御部32と、局データ記憶部33と、転送設定部34と、を有する。
【0035】
通信インターフェース部31は、LAN5に接続するためのインターフェースである。
【0036】
呼制御部32は、SIP等の呼制御プロトコルに従い、IP内線電話端末1、2に対する発着信の処理をする。
【0037】
局データ記憶部33には、IP内線電話端末1、2の各々について、この端末の電話番号、IPアドレス、および転送先情報を含む局データが記憶されている。
【0038】
転送設定部34は、IP内線電話端末1、2からの要求に従い、局データ記憶部33に記憶されているこの端末の局データの転送先情報を更新する。
【0039】
図5は、主装置3の動作を説明するためのフロー図である。
【0040】
通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1から転送設定要求を受信すると(S30でYES)、この転送設定要求を転送設定部34に渡す。これを受けて、転送設定部34は、局データ記憶部33から、この転送設定要求の送信元である無線IP内線電話端末1の局データを検索し、この局データの転送先情報に、この転送設定要求で指定されている転送先(IP内線電話端末、あるいはIP内線電話端末グループ)を設定する(S31)。
【0041】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1から転送解除要求を受信すると(S32でYES)、この転送解除要求を転送設定部34に渡す。これを受けて、転送設定部34は、局データ記憶部33から、この転送解除要求の送信元である無線IP内線電話端末1の局データを検索し、この局データの転送先情報に設定されている転送先(IP内線電話端末、あるいはIP内線電話端末グループ)を削除する(S33)。
【0042】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1、2から発信情報を受信したならば(S34でYES)、この発信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は発信処理を行う(S35)。
【0043】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1、2に対する着信情報を受信したならば(S36でYES)、この着信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は、局データ記憶部33から、着信情報の宛先の局データを検索する。そして、検索した局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かを判断する(S37)。
【0044】
転送先が設定されている場合(S37でYES)、呼制御部32は、この着信情報に本来の着信先(宛先)の情報を付加し、この着信情報をこの転送先に、通信インターフェース部31を介して送信する(S38)。
【0045】
一方、転送先が設定されていない場合(S37でNO)、呼制御部32は、この着信情報をこの着信情報の本来の着信先(宛先)に、通信インターフェース部31を介して送信する(S39)。
【0046】
図6は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。ここでは、無線IP内線電話端末1に対する着信の転送先として、有線IP内線電話端末2A、2Bのグループが予め定められていることとする。
【0047】
無線IP内線電話端末1は、バッテリ不足を検出すると(S501)、自無線IP内線電話端末1に対する着信を転送先グループ(有線IP内線電話端末2A、2B)へ転送させるための転送設定要求を主装置3に送信する(S502)。これを受けて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信を所定の転送先グループへ転送させるための設定を行う(S503)。
【0048】
さて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信情報を受信すると(S504)、この着信情報の転送先が設定されていることを確認し(S505)、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1)を付加して、設定されている転送先グループ(有線IP内線電話端末2A、2B)に、この着信情報を転送する(S506)。
【0049】
これを受けて、転送先の有線IP内線電話端末2A、2Bは、着信情報に付与されている本来の着信先情報を表示して鳴動する。そして、この呼出しに応答した有線IP内線電話端末2Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S507)。
【0050】
通話終了後、無線IP内線電話端末1は、バッテリ回復を検出すると(S508)、自無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を主装置3に送信する(S509)。これを受けて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信の転送を解除する(S510)。
【0051】
さて、主装置3は、無線IP内線電話端末1に対する着信情報を受信すると(S511)、この着信情報の転送先が設定されていないことを確認し、この着信情報を無線IP内線電話端末1に送信する(S512)。
【0052】
これを受けて、無線IP内線電話端末1が鳴動し、この呼出しに応答することで、無線IP内線電話端末1と通話相手との間に通話パスが形成される(S513)。
【0053】
以上、本発明の第一の実施の形態を説明した。
【0054】
本実施の形態では、無線IP内線電話端末1に対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1のバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1に送信することなく、所定の転送先に転送する。したがって、本実施の形態によれば、無線IP内線電話端末1のバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1に対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【0055】
また、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1が、自無線IP内線電話端末1のバッテリ残量を監視し、このバッテリ残量が所定値以上から所定値未満に遷移した場合に、転送設定要求を主装置3に送信すると共に、このバッテリ残量が所定値未満から所定値以上に遷移した場合に、転送解除要求を主装置3に送信する。このようにすることにより、主装置3として、着信転送サービスを遠隔設定可能な既存の装置を用いることができる。
【0056】
また、本実施の形態において、主装置3は、着信を転送する場合に、本来の着信先情報を付加して転送先に転送し、転送先のIP内線電話端末1、2は、受信した着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この着信先情報を表示する。これにより、ユーザは、どのIP内線電話端末1、2に対する着信の転送であるかを認識することができるので、使い勝手が向上する。
【0057】
なお、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1をバッテリ駆動型電話端末としているが、有線IP内線電話端末2もバッテリ駆動型電話端末としてもよい。この場合、有線IP内線電話端末2の構成は、図2に示す無線IP内線電話端末1の構成において、無線通信インターフェース部11の代わりに、LAN5に接続するための通信インターフェース部を備えた構成とする。
【0058】
[第二の実施の形態]
本実施の形態のIP内線電話システムが、図1に示す第一の実施の形態のIP内線電話システムと異なる点は、前述の無線IP内線電話端末1および主装置3の代わりに、次述の無線IP内線電話端末1Aおよび主装置3Aを設けたことである。その他は、第一の実施の形態のIP内線電話システムと同様である。
【0059】
無線IP内線電話端末1Aは、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末である。無線IP内線電話端末1Aは、定期的にバッテリの残量値を主装置3Aに送信する。また、主装置3Aからの着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この本来の着信先情報を表示する。その他の動作は、既存の無線IP内線電話端末と同様である。
【0060】
図7は、無線IP内線電話端末1Aの概略構成図である。
【0061】
図示するように、無線IP内線電話端末1Aが、図2に示す第一の実施の形態の無線IP内線電話端末1と異なる点は、バッテリ残量監視部151、転送設定要求部152、および転送解除要求部153に代えて、バッテリ残量通知部154を制御部15に設けたことである。その他は、第一の実施の形態の無線IP内線電話端末1と同様である。
【0062】
バッテリ残量通知部154は、定期的に、バッテリ16のバッテリ残量値を計測し、この計測値を含むバッテリ残量通知を無線通信インターフェース部11から主装置3Aへ送信する。
【0063】
主装置3Aは、転送サービス機能を備えたIP−PBXである。主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信を受信した場合に、無線IP内線電話端末1Aから受信したバッテリ残量値に基づいて、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送の必要性を判断する。そして、転送の必要性ありと判断したならば、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信した場合に、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1A)を付加して、予め登録されている転送先IP内線電話端末または転送先グループに転送する。一方、転送の必要性なしと判断したならば、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信した場合に、この着信情報を本来の着信先(無線IP内線電話端末1A)に送信する。
【0064】
図8は、主装置3Aの概略構成図である。
【0065】
図示するように、主装置3Aが、図4に示す第一の実施の形態の主装置3と異なる点は、転送設定部34に代えて転送設定部35を設けたこと、およびバッテリ残量記憶部36を新たに設けたことである。その他は、第一の実施の形態の主装置3と同様である。
【0066】
バッテリ残量記憶部36には、無線IP内線電話端末1Aの最新のバッテリ残量値がこの無線IP内線電話端末1Aの識別情報(電話番号、IPアドレス等)に対応付けられて登録される。
【0067】
転送設定部35は、通信インターフェース部31を介して、無線IP内線電話端末1Aより受信したバッテリ残量通知により特定されるこの無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量値をバッテリ残量記憶部36に記憶する。また、転送設定部35は、無線IP内線電話端末1A毎に、この無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量値に基づいて、この無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送設定を制御する。
【0068】
図9は、主装置3Aの動作を説明するためのフロー図である。
【0069】
通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1A、2から発信情報を受信したならば(S60でYES)、この発信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は発信処理を行う(S61)。
【0070】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、IP内線電話端末1A、2に対する着信情報を受信したならば(S62でYES)、この着信情報を呼制御部32に渡す。これを受けて、呼制御部32は、局データ記憶部33から、着信情報の宛先の局データを検索する。そして、検索した局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かを判断する(S63)。
【0071】
転送先が設定されている場合(S63でYES)、呼制御部32は、この着信情報に本来の着信先(宛先)の情報を付加し、この着信情報をこの転送先に、通信インターフェース部31を介して送信する(S64)。
【0072】
一方、転送先が設定されていない場合(S63でNO)、呼制御部32は、この着信情報をこの着信情報の本来の着信先(宛先)に、通信インターフェース部31を介して送信する(S65)。
【0073】
また、通信インターフェース部31は、LAN5を介して、無線IP内線電話端末1Aからバッテリ残量通知を受信すると(S66でYES)、このバッテリ残量通知を転送設定部35に渡す。これを受けて、転送設定部35は、この無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けられてバッテリ残量記憶部36に記憶されているバッテリ残量値を、このバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値に更新する。バッテリ残量値がこの無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けられてバッテリ残量記憶部36に記憶されていない場合は、このバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値を、この無線IP内線電話端末1Aの識別情報に対応付けてバッテリ残量記憶部36に新たに登録する(S67)。
【0074】
それから、転送設定部35は、受信したバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値がバッテリ残量不足を示す所定の閾値Th未満であるか否かを調べる(S68)。そして、閾値Th未満である場合は(S68でYES)、局データ記憶部33を参照し、このバッテリ残量通知の送信元である無線IP内線電話端末1Aの局データの転送先情報に、転送先が設定されているか否かをさらに調べ(S69)、転送先が設定されていない場合に(S69でYES)、予め登録されている転送先(IP内線電話端末1A、2)をこの転送先情報に設定する(S70)。
【0075】
また、転送設定部35は、受信したバッテリ残量通知により特定されるバッテリ残量値が所定の閾値Th以上であるか否かを調べる(S71)。そして、閾値Th以上である場合、すなわち、バッテリが回復した場合は(S71でYES)、局データ記憶部33を参照し、このバッテリ残量通知の送信元である無線IP内線電話端末1Aの局データの転送先情報に転送先が設定されているか否かをさらに調べ(S72)、転送先が設定されている場合に(S72でYES)、この転送先をこの転送先情報から削除する(S73)。
【0076】
図10は、本発明の第二の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。無線IP内線電話端末IP1Aのバッテリ16が残量不足の状態から回復する場合を例に挙げる。
【0077】
無線IP内線電話端末1Aは、バッテリ残量値を測定すると(S801)、この測定値を含むバッテリ残量通知を主装置3Aに送信する(S802)。これを受けて、主装置3Aは、バッテリ残量通知のバッテリ残量値がバッテリ不足(<閾値Th)を示していることを確認し、無線IP内線電話端末1Aに対する着信を所定の転送先へ転送させるための設定を行う(S803)。
【0078】
さて、主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信すると(S804)、この着信情報の転送先が設定されていることを確認し(S805)、この着信情報に本来の着信先情報(無線IP内線電話端末1A)を付加して、設定されている転送先(ここでは、有線IP内線電話端末2A、2B)にこの着信情報を転送する(S806)。
【0079】
これを受けて、転送先の有線IP内線電話端末2A、2Bは、着信に付与されている本来の着信先情報を表示して鳴動する。そして、この呼出しに応答した有線IP内線電話端末2Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S807)。
【0080】
通話終了後、無線IP内線電話端末1Aは、バッテリ残量値を測定すると(S808)、この測定値を含むバッテリ残量通知を主装置3Aに送信する(S809)。これを受けて、主装置3Aは、バッテリ残量通知のバッテリ残量値がバッテリ回復(≧閾値Th)を示していることを確認し、無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送を解除する(S810)。
【0081】
さて、主装置3Aは、無線IP内線電話端末1Aに対する着信情報を受信すると(S811)、この着信情報の転送先が設定されていないことを確認し、この着信情報を無線IP内線電話端末1Aに送信する(S812)。
【0082】
これを受けて、無線IP内線電話端末1Aが鳴動し、この呼出しに応答することで、無線IP内線電話端末1Aと通話相手との間に通話パスが形成される(S813)。
【0083】
以上、本発明の第二の実施の形態を説明した。
【0084】
本実施の形態では、無線IP内線電話端末1Aに対して着信があった場合に、この無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量が所定値未満ならば、この着信をこの無線IP内線電話端末1Aに送信することなく、所定の転送先に転送する。したがって、本実施の形態によれば、無線IP内線電話端末1Aのバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。また、バッテリ切れを起こした無線IP内線電話端末1Aに対する着信を転送する場合における発信者の待ち時間を短縮できる。
【0085】
また、本実施の形態では、主装置3Aが、無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量を監視し、このバッテリ残量に基づいて、無線IP内線電話端末1Aに対する着信の転送設定を制御する。このようにすることにより、上記第一の実施の形態とは異なり、無線IP内線電話端末1Aにおいて、着信転送の判断を行う必要がなくなる。このため、個々の無線IP内線電話端末1Aの構成を簡素化できる。
【0086】
また、本実施の形態において、主装置3Aは、着信を転送する場合に、本来の着信先情報を付加して転送先に転送し、転送先のIP内線電話端末1A、2は、受信した着信に本来の着信先情報が付与されている場合、この着信先情報を表示する。これにより、ユーザは、どのIP内線電話端末1A、2に対する着信の転送であるかを認識することができるので、使い勝手が向上する。
【0087】
また、本実施の形態において、IP内線電話システム内の全ての無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量を主装置3Aが管理しているので、転送先として予め登録されている無線IP内線電話端末1Aのバッテリ残量が所定の閾値Th未満である場合には、この無線IP内線電話端末1Aへの転送を停止することができる。これにより、予め登録されている転送先でバッテリ切れによって通話が途切れてしまう可能性を低減できる。
【0088】
なお、本実施の形態では、無線IP内線電話端末1Aを、バッテリ不足時に着信が他のIP内線電話端末に転送されるバッテリ駆動型電話端末としているが、有線IP内線電話端末2も、そのようなバッテリ駆動型電話端末としてもよい。この場合、有線IP内線電話端末2の構成は、図7に示す無線IP内線電話端末1Aの構成において、無線通信インターフェース部11の代わりに、LAN5に接続するための通信インターフェース部を備えた構成とする。
【0089】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、無線IP内線電話端末1、1A、および主装置3、3Aの各構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実行されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)など計算機によりソフトウエア的に実行されるものでもよい。
【0090】
また、上記の第一実施の形態において、主装置3の代わりにアクセスポイント4が転送処理を行うようにしてもよい。例えば、アクセスポイント4に、無線IP内線電話端末1および主装置3の呼制御情報を監視する呼制御監視部と、無線IP内線電話端末1の電話番号、IPアドレス、および転送先情報を記憶する転送先設定記憶部と、転送処理を実施する転送処理部とを設ける。そして、アクセスポイント4は、無線IP電話端末1から転送設定要求を受信した場合、以後、当該無線IP電話端末1への着信を検出したならば、主装置3になり代わり転送処理を実施する。これにより、主装置3に汎用のサーバを用いることができる。なお、第二実施の形態の場合についても同様である。
【0091】
また、上記の各実施の形態では、本発明をIP内線電話システムに適用した場合を例にとり説明したが、これに限定されない。本発明は、IP内線電話システム以外の様々な内線電話システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略図である。
【図2】図2は、無線IP内線電話端末1の概略構成図である。
【図3】図3は、無線IP内線電話端末1の動作を説明するためのフロー図である。
【図4】図4は、主装置3の概略構成図である。
【図5】図5は、主装置3の動作を説明するためのフロー図である。
【図6】図6は、本発明の第一の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。
【図7】図7は、無線IP内線電話端末1Aの概略構成図である。
【図8】図8は、主装置3Aの概略構成図である。
【図9】図9は、主装置3Aの動作を説明するためのフロー図である。
【図10】図10は、本発明の第二の実施の形態が適用されたIP内線電話システムの概略動作を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0093】
1:無線IP内線電話端末、1A:無線IP内線電話端末、2:有線IP内線電話端末、3:主装置、3A:主装置、4:アクセスポイント、5:LAN、11:無線通信インターフェース部、12:MMインターフェース部、13:呼制御部、14:通信制御部、15:主制御部、16:バッテリ、31:通信インターフェース部、32:呼制御部、33:局データ記憶部、34:転送設定部、35:転送設定部、36:バッテリ残量記憶部、151:バッテリ残量監視部、152:転送設定要求部、153:転送解除要求部、154:バッテリ残量通知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリの残量値を計測するバッテリ残量監視手段と、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自電話端末を収容する主装置に自電話端末に対する着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送させるための転送設定要求を送信する転送設定要求手段と、を有する
ことを特徴とするバッテリ駆動型電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が前記所定値以上に回復した場合に、前記主装置に自電話端末に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を送信する転送解除要求手段をさらに有する
ことを特徴とするバッテリ駆動型電話端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末と、前記電話端末を収容する主装置と、を有する電話システムであって、
前記主装置は、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、当該電話端末に対する着信の転送が設定されているならば、本来の着信先情報として当該電話端末の情報を当該着信に付与して、当該着信を、前記予め定められた電話端末あるいは前記電話端末グループに転送し、
前記電話端末は、
着信があった場合に、当該着信に本来の着信先情報が付与されているならば、当該本来の着信先情報を表示する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項4】
バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末を収容する主装置であって、
前記バッテリ駆動型電話端末から前記バッテリの残量情報を受信する残量情報受信手段と、
前記残量情報受信手段により受信した前記バッテリの残量情報を記憶する残量情報記憶手段と、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、前記残量情報記憶手段に記憶されている残量情報が示す、前記バッテリの残量値が所定値未満ならば、当該着信を、予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送する転送手段と、を有する
ことを特徴とする主装置。
【請求項5】
請求項4に記載の主装置であって、
前記転送手段は、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信を転送する場合に、本来の着信先情報として当該電話端末の情報を当該着信に付与して、当該着信を転送する
ことを特徴とする主装置。
【請求項6】
請求項5に記載の主装置と、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む前記主装置に収容された複数の電話端末と、を有する電話システムであって、
前記バッテリ駆動型電話端末は、
自電話端末のバッテリの残量値を示すバッテリの残量情報を前記主装置に送信し、
前記電話端末は、
着信があった場合に、当該着信に本来の着信先情報が付与されているならば、当該本来の着信先情報を表示する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項1】
バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリの残量値を計測するバッテリ残量監視手段と、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が所定値未満となった場合に、自電話端末を収容する主装置に自電話端末に対する着信を予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送させるための転送設定要求を送信する転送設定要求手段と、を有する
ことを特徴とするバッテリ駆動型電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ駆動型電話端末であって、
前記バッテリ残量監視手段により計測された前記バッテリの残量値が前記所定値以上に回復した場合に、前記主装置に自電話端末に対する着信の転送を解除させるための転送解除要求を送信する転送解除要求手段をさらに有する
ことを特徴とするバッテリ駆動型電話端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末と、前記電話端末を収容する主装置と、を有する電話システムであって、
前記主装置は、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、当該電話端末に対する着信の転送が設定されているならば、本来の着信先情報として当該電話端末の情報を当該着信に付与して、当該着信を、前記予め定められた電話端末あるいは前記電話端末グループに転送し、
前記電話端末は、
着信があった場合に、当該着信に本来の着信先情報が付与されているならば、当該本来の着信先情報を表示する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項4】
バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む複数の電話端末を収容する主装置であって、
前記バッテリ駆動型電話端末から前記バッテリの残量情報を受信する残量情報受信手段と、
前記残量情報受信手段により受信した前記バッテリの残量情報を記憶する残量情報記憶手段と、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信があった場合に、前記残量情報記憶手段に記憶されている残量情報が示す、前記バッテリの残量値が所定値未満ならば、当該着信を、予め定められた電話端末あるいは電話端末グループに転送する転送手段と、を有する
ことを特徴とする主装置。
【請求項5】
請求項4に記載の主装置であって、
前記転送手段は、
前記バッテリ駆動型電話端末に対する着信を転送する場合に、本来の着信先情報として当該電話端末の情報を当該着信に付与して、当該着信を転送する
ことを特徴とする主装置。
【請求項6】
請求項5に記載の主装置と、バッテリで駆動するバッテリ駆動型電話端末を含む前記主装置に収容された複数の電話端末と、を有する電話システムであって、
前記バッテリ駆動型電話端末は、
自電話端末のバッテリの残量値を示すバッテリの残量情報を前記主装置に送信し、
前記電話端末は、
着信があった場合に、当該着信に本来の着信先情報が付与されているならば、当該本来の着信先情報を表示する
ことを特徴とする電話システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−44315(P2009−44315A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205444(P2007−205444)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】
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